説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】偏光ガラスを好適に利用する。
【解決手段】電気光学装置(1)は、互いに対向して配置される一対の基板(10、20)と、一対の基板間に挟持される電気光学物質(50)と、一対の基板のうち少なくとも電気光学物質の光出射側に位置する一方の基板(20)の電気光学物質に対向しない側に積層される偏光ガラス層(200)と、一方の基板と偏光ガラス層とを接着する接着層(300)とを備えており、接着層の屈折率は、偏光ガラス層の屈折率と同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置として、携帯電話や、携帯情報端末や、パーソナルコンピュータや、その他各種電子機器等に広く用いられている液晶装置がある。このような液晶装置として、特許文献1及び2には、液晶を挟持する一対の基板(つまり、TFTアレイ基板や対向基板)として、ガラス自体に偏光板と同じ機能を持たせた偏光ガラスを用いる液晶装置が開示されている。これにより、偏光板を基板上に別途設ける必要がなくなるため、液晶装置の薄型化を実現することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−323119号公報
【特許文献2】特開2006−18161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一対の偏光ガラスを一対の基板として用いているがゆえに、位相差膜又は位相差板を形成するためには、偏光ガラスの液晶を挟持する側の表面に位相差膜又は位相差板を形成する必要がある。そして、その後、位相差膜又は位相差板が形成された偏光ガラス上に、各種電極や各種駆動回路等を形成していく必要がある。しかしながら、各種電極や各種駆動回路等を形成していく工程において、例えば高温処理や低温処理などの熱処理等を伴う該工程が位相差膜又は位相差板に対して悪影響(例えば、剥離や変形や傷等)を与えかねない。その結果、位相差膜又は位相差板が補償する位相差値が変動したり或いは位相差膜又は位相差板自体に欠陥が生じかねない。このため、形成した位相差膜又は位相差板が本来意図されているとおりの効果を発揮することができず、屈折率異方性による悪影響を排除できないという技術的な問題点を有している。言い換えれば、このような一対の偏光ガラスを一対の基板として単に用いるのみでは、液晶装置の実用性が小さくなってしまいかねない又は殆どなくなってしまいかねないという技術的な問題点を有している。
【0005】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば偏光ガラスを好適に利用した電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(電気光学装置)
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、互いに対向して配置される一対の基板と、前記一対の基板間に挟持される電気光学物質と、前記一対の基板のうち前記電気光学物質の光出射側に位置する一方の基板の前記電気光学物質に対向しない側に積層される偏光ガラス層と、前記一方の基板と前記偏光ガラス層とを接着する接着層とを備えており、前記接着層の屈折率は、前記一方の基板または前記偏光ガラス層の屈折率と同一である。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、一対の基板と、該一対の基板間に挟持されている液晶等の電気光学物質とを含む電気光学パネルを備えている。そして、一対の基板上(特に、一対の基板の夫々の電気光学物質に対向する側の表面上)に形成される各種電極や各種駆動回路を用いて、電気光学物質の状態を変化させることができる。これにより、電気光学装置を、例えば透過型表示、反射型表示又は半透過反射型表示を行う、典型的には直視型の或いは投射型の各種表示装置等として利用することができる。
【0008】
本発明では特に、一対の基板のうち電気光学物質の光出射側に位置する(つまり、電気光学物質から見て、光が出射する側に位置する)一方の基板に、偏光ガラス層が積層される。特に、偏光ガラス層は、一方の基板両側の面のうち電気光学物質に対向しない側(言い換えれば、一方の基板の外側)の面が存在する側に積層される。つまり、偏光ガラス層は、電気光学パネルの外部に、一方の基板と対向するように積層される。ここで、「一方の基板」は、例えば電気光学装置が直視型の表示装置等として利用される場合には、電気光学装置が通常の使用態様で使用されているときに想定される観察者の側から見て相対的に近い側又は手前側に位置する基板を示す趣旨である。或いは、「一方の基板」は、例えば電気光学装置が投射型の表示装置等として利用される場合には、電気光学装置が通常の使用態様で使用されているときに光源から出射される光が電気光学物質を透過し且つ出射していく側(或いは、液晶装置から出射される光が投影されるスクリーンが配置される側)に位置する基板である。また、「偏光ガラス層」は、例えば層状の又は板状の偏光ガラスから構成される又は該偏光ガラスを含む層である。また、「偏光ガラス」とは、ガラス自体に、特定の偏光を透過させ、その他の偏光を透過させない機能を持たせたガラスを意味している。このような偏光ガラスは、例えば、ガラスに金属微粒子を含有させることにより形成される。
【0009】
このような偏光ガラス層は、例えば光学接着樹脂を含む接着層を一方の基板との間に介在させて積層される。ここで、偏光ガラス層は、接着層により一方の基板の表面上に直接的に接着されるように積層されてもよい。或いは、偏光ガラス層上に形成された例えば後述する位相差層のような他の素子層と一方の基板とを接着層により直接接着することにより、偏光ガラス層が一方の基板に対して間接的に接着されるように積層されてもよい。いずれにせよ、偏光ガラス層(或いは、他の素子層が形成された偏光ガラス層)は、接着層により一方の基板に接着される。また、接着層の屈折率は、一方の基板又は偏光ガラス層の屈折率と同一である。ここに、本発明における「同一」とは、文字通り全く同一である状態のみならず、光学的に見て実質的には同一と同視し得る状態(言い換えれば、偏光ガラス層若しくは一方の基板及び接着層を透過する光に対して実質的には同一の屈折率となり得る状態)をも含む広い趣旨である。
【0010】
このように、本発明の電気光学装置では、一方の基板上に偏光ガラス層を積層している。特に、電気光学装置を直視型の表示装置等として用いる場合には、偏光ガラス層を観察者から見て相対的に近い側に位置するように配置することで、偏光ガラス層をカバーガラスとしても使用することができる。このため、カバーガラスを別途積層させる必要はなくなる。このため、偏光板とカバーガラスとを別個に備える電気光学装置と比較して、電気光学装置の一層の薄型化及び一層の軽量化を実現することができるとともに、カバーガラスと偏光板の対向するそれぞれの界面での反射による表示品質の低下をなくすことが出来る。
【0011】
また、接着層の屈折率が一方の基板又は偏光ガラス層の屈折率と同一であるため、界面での光の反射や散乱等を抑制することができる。その結果、例えば表示装置として用いられる電気光学装置の表示特性を悪化させることなく、高品位な視認性を確保することができる。
【0012】
加えて、偏光ガラス層が一対の基板の外部(つまり、電気光学パネルの外部)に積層されているため、位相差層(例えば、位相差板や位相差膜)を、一対の基板の外部に形成することができる。言い換えれば、位相差層を、一対の基板の内部(つまり、電気光学パネルの内部)に形成する必要はない。従って、電気光学パネルの内部における各種電極や各種駆動回路等の製造に起因して位相差値が変動するないしは位相差層に欠陥が生ずる不都合を好適に排除することができる。逆に言えば、偏光ガラス層及びその上に形成される位相差膜や位相差板等の光学部材は、それらの形成後に、例えば半導体素子形成時における低温処理或いは高温処理、スパッタリング、蒸着、エッチング等の各種工程に耐える必要はなくて済む。このため、偏光ガラス層の採用によって、該光学部材に関する材料選択の自由度が狭まることはない。従って、偏光ガラスを用いながら、実用性のある電気光学装置を実現することができる。つまり、偏光ガラスを好適に利用した電気光学装置を実現することができる。
【0013】
加えて、偏光ガラス層を基板として用いる必要がないため、偏光ガラス層上に各種電極や各種駆動回路等を形成する必要はない。つまり、電気光学パネルを製造した後に(或いは、一対の基板のうちの一方の基板上に各種電極等を形成した後に)、これらの製造工程とは別個に偏光ガラス層を基板上に積層させればよい。従って、製造工程を大きく変えることなく或いは偏光ガラス層を積層する工程において電気光学パネルの製造時の各種条件ないしは各種環境をそれほど考慮することなく、比較的容易に偏光ガラス層を積層させることができる。
【0014】
更に、電気光学パネルを薄型化する方法として、相対的に厚いガラス(つまり、本発明において一方の基板)の状態で電気光学パネルの内部における各種電極や各種駆動回路等を製造した後に、エッチングあるいは機械的研磨等を施すことで、厚みの薄いガラスを形成するのが一般的である。この場合、ガラスの表面には、細かい凹凸(言い換えれば、キズ等)が形成され得る。この凹凸は、電気光学装置の表示品質の低下や強度の低下等を起こすことがあり好ましくない。しかるに、本発明によれば、偏光ガラス層が接着層により接着されるため、接着層を構成する光学樹脂等が凹凸に充填される。このため、凹凸を好適に補修しながら、偏光ガラス層を一方の基板上に積層させることができる。この場合に、接着層の屈折率を一方の基板と同じにすると、細かい凹凸をほとんど見えないようにすることが出来る。また、一方の基板をエッチングあるいは機械研磨等により薄くする以外に偏光ガラスをエッチングにより薄くすることにより電気光学パネルを薄型化することも可能である。この場合にも細かい凹凸を接着層により補修し、ほとんど見えないようにすることができるのは、同様である。
【0015】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記偏光ガラス層と前記一方の基板とは、前記接着層により直接接着されている。
【0016】
この態様によれば、偏光ガラス層は、接着層により一方の基板の電気光学物質に対向しない側の表面上に直接的に接着されるように積層される。
【0017】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記偏光ガラス層における前記一方の基板に対向する側の表面上に積層される位相差板又は位相差膜を含む位相差層を更に備え、前記偏光ガラス層は、前記位相差層と前記一方の基板とが前記接着層により直接接着されることにより、前記一方の基板に接着され、前記接着層の屈折率は、前記一方の基板の屈折率と同一である。
【0018】
この態様によれば、偏光ガラス層上に形成された位相差層と一方の基板とを接着層により接着することにより、偏光ガラス層が一方の基板に間接的に接着されるように積層されてもよい。このような位相差層としては、板状の位相差板や膜状の位相差膜が一例としてあげられる。例えば位相差層が位相差板である場合には、位相差板は、接着層により偏光ガラス層の一方の基板に対向する側の表面に接着されることが好ましい。或いは、例えば位相差層が位相差膜である場合には、位相差膜は、偏光ガラス層の一方の基板に対向する側の表面上に塗布ないしは形成されることが好ましい。これにより、位相差膜や位相差板を使用している場合にも、上述した各種利益を享受できる。
【0019】
尚、この場合、接着層は、一方の基板とは直接接しているので、一方の基板の表面に形成される凹凸は補修できるが、偏光ガラス層と直接的に接しないため、接着層により偏光ガラス層の表面に形成される凹凸を補修することができない。しかし、位相差層が位相差板であれば、偏光ガラス層と位相差層とは、何らかの接着層を介して接着される。このため、接着層により、凹凸を好適に補修することができる。一方で、位相差層が位相差膜であれば、位相差膜自身が凹凸を好適に補修することができる。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一対の基板のうち前記一方の基板とは異なる他方の基板の前記電気光学物質に対向しない側に積層される他の偏光ガラス層を更に備える。
【0021】
この態様によれば、電気光学パネルを挟持する一対の偏光ガラス層を備える。従って、一方の基板側のみならず、他方の基板側においても、上述した各種効果(或いは、その一部)を享受することができる。
【0022】
尚、「他方の基板」は、例えば電気光学装置が直視型の表示装置等として利用される場合には、電気光学装置が通常の使用態様で使用されているときに想定される観察者の側から見て相対的に遠い側又は奥側に位置する基板を示す趣旨である。或いは、「他方の基板」は、例えば電気光学装置が投射型の表示装置等として利用される場合には、電気光学装置が通常の使用態様で使用されているときに光源から出射される光が電気光学物質に入射する側に位置する基板である。
【0023】
尚、他方の基板側においては、必ずしも偏光ガラス層を備えていなくともよい。この場合、他方の基板側においては、例えば偏光子ないしは偏光膜を一対の保護層で挟持する、いわゆる偏光板が用いられてもよい。この場合であっても、少なくとも一方の基板側において偏光ガラス層が積層されていれば、上述した効果を享受することができることは言うまでもない。
【0024】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記偏光ガラス層の表面に対して、所定のコーティング処理が施されている。
【0025】
この態様によれば、偏光ガラス層の表面(具体的には、例えば、一方の基板と対向しない側の表面)に、例えばAR(Anti Reflection)コーティング処理や、AG(Anti Glare)コーティング処理や、ハードコーティング処理等を施すことができる。このため、偏光ガラス層をカバーガラスとして使用した場合に、最表面にARやAGのコートがされていることとなり、最表面での外光の反射を抑制でき、表示品質を向上することができる。また、通常のカバーガラスでは樹脂材料を使用しているために、温度等の製造上の制約により表面処理に制約が生じるが、偏光ガラス上に表面処理を行うため、効果の高い表面処理や耐久性のある表面処理とすることができる。従って、カバーガラスを別途形成する必要がなくなるため、上述したように、薄型化・軽量化を図るとともに表示品質を向上することができる。
【0026】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0027】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、偏光ガラスを用いながら、実用性を低下させることなく、薄型化や軽量化を実現することができる。このため、小型化に適した投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0028】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0030】
(1)第1実施形態
初めに、図1から図3を参照して、第1実施形態に係る液晶装置について説明する。
【0031】
(1−1)液晶パネルの基本構成
先ず、第1実施形態に係る液晶装置を構成する液晶パネルの構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る液晶パネルの構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。尚、図1には、後に詳述する偏光ガラス等は配置されておらず、間に液晶を挟持してなる一対の基板からなる液晶パネルのみが示されている。
【0032】
図1及び図2において、第1実施形態に係る液晶装置1を構成する液晶パネル100では、第1発明に係る「一対の基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0033】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路10は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0034】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0035】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極9a上には、配向膜8が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜8が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0036】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0037】
加えて、液晶装置1は、画素電極9aをITO等から形成するなどにより、透過型表示を行うように構成されてもよいし、画素電極9aをアルミニウム等から形成するなどにより或いは画素電極9aの背後に反射膜を配置するなどにより、反射型表示を行うように構成されてもよい。更に、画素電極9aに反射領域及び透過領域の両者を設けるなどにより、半透過反射型表示を行うように構成されてもよい。また直視型の場合には、観察者から見た液晶装置1の背後にバックライトが適宜配置される。
【0038】
(1−2)液晶装置の構成
続いて、図3を参照して、第1実施形態に係る液晶装置の構成(特に、(特に、液晶パネル100と偏光ガラスとの位置関係)について説明する。ここに、図3は、第1実施形態に係る液晶装置の断面図である。尚、図3においては、説明の簡略化のために、液晶パネル100の詳細な構成については記載を省略しており、対向基板20と液晶層50とTFTアレイ基板10のみを図示した液晶パネル100を示している。
【0039】
図3に示すように、第1実施形態に係る液晶装置1においては、液晶パネル100を構成するTFTアレイ基板10及び対向基板20のうち液晶層50から光が出射する側に位置する対向基板20の表面上に、偏光ガラス200が積層される。例えば、液晶装置1が携帯電話やノートパソコン等の直視型の表示装置として使用される場合には、当該液晶装置1を使用するユーザの側から見て近い側(言い換えれば、手前側)側に位置する対向基板20の表面上に、偏光ガラス200が積層される。或いは、液晶装置1が液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置として使用される場合には、典型的には図3中の下側に位置する不図示の光源から出射される光が液晶層50から出射する側に位置する対向基板20の表面上に、偏光ガラス200が積層される。特に、第1実施形態では、偏光ガラス200は、対向基板20のうち液晶層50に対向しない側の表面(つまり、図3における上側の表面)上に積層される。言い換えれば、偏光ガラス200は、液晶パネル100の外部において、対向基板20上に積層される。
【0040】
偏光ガラス200は、本発明における「偏光ガラス層」の一具体例を構成しており、ガラス自体に、特定の偏光を透過させ、その他の偏光を透過させない機能を持たせたガラスを意味している。このような偏光ガラスは、例えば、ガラスに銀や銅等の金属微粒子或いはセレンやテルルやリンを主成分とする半導体ナノロッドを含有させることにより形成される。
【0041】
偏光ガラス200は、光学接着層300により対向基板20上に接着(言い換えれば、光学接着)されている。この光学接着層300の屈折率は、偏光ガラス200及びTFTアレイ基板10の少なくとも一方の屈折率と同一である又は概ね同一と同視し得る状態にある。
【0042】
他方で、液晶パネル100を構成するTFTアレイ基板10の表面上には、偏光板400が積層される。例えば、液晶装置1が携帯電話やノートパソコン等の表示装置として使用される場合には、当該液晶装置1を使用するユーザの側から見て遠い側(言い換えれば、奥側)に位置するTFTアレイ基板10の表面上に、偏光板400が積層される。或いは、液晶装置1が液晶プロジェクタ等の投射型表示装置として使用される場合には、典型的には図3の下側に位置する不図示の光源から出射される光が液晶層50に入射する側に位置するTFTアレイ基板10の表面上に、偏光板400が積層される。尚、偏光板400は、TFTアレイ基板10のうち液晶層50に対向しない側の表面(つまり、図3における下側の表面)上に積層される。言い換えれば、偏光板400は、液晶パネル100の外部において、TFTアレイ基板10上に積層される。
【0043】
偏光板400は、例えばポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素を吸着させることで生成される偏光子ないしは偏光膜と、該偏光子ないしは偏光膜を間に挟持するトリアセチルセルロース(TAC)からなる一対の保護層とから構成されている。この偏光板400は、例えば糊等を含む粘着層500により、TFTアレイ基板10と接着されている。
【0044】
このように、第1実施形態の液晶装置1では、対向基板20上に偏光ガラス200を積層している。特に、液晶装置1を直視型の表示装置等として用いる場合には、ユーザから見て近い側に偏光ガラス200を積層させるため、偏光ガラス層を偏光用途のみならずカバーガラスそのものとしても使用することができる。このため、カバーガラスを対向基板20上に別途積層させる必要はなくなる。このため、偏光板とカバーガラスとを別個に備える液晶装置と比較して、液晶装置1の一層の薄型化及び一層の軽量化を実現することができる。更には、カバーガラスと偏光ガラス200とが互いに対向する界面での反射が発生することがなくなるため、該界面での反射による表示品質の低下をなくすことが出来る。
【0045】
また、光学接着層300の屈折率が偏光ガラス200及びTFTアレイ基板10の少なくとも一方の屈折率と同一であるため、光学接着層300と偏光ガラス200との間の界面(或いは、対向基板10と偏光ガラス200との間の界面)での光の反射や散乱等を抑制することができる。その結果、例えば表示装置として用いられる液晶装置1の表示特性を悪化させることなく、高品位な視認性を確保することができる。
【0046】
加えて、偏光ガラス200が液晶パネル100の外部に積層されているため、後に詳述する液晶層50に含まれる液晶が有する屈折率異方性による悪影響を排除するための位相差板や位相差膜を、液晶パネル100の外部に形成することができる。言い換えれば、位相差板又は位相差膜を、液晶パネル100の内部に形成する必要はない。従って、液晶パネル100の内部における各種電極(例えば、画素電極9aや対向電極21等)や各種駆動回路(例えば、サンプリング回路7や走査線駆動回路104等)等の形成に起因して位相差板又は位相差膜が補償する位相差値が変動するないしは位相差板又は位相差膜に欠陥が生ずる不都合を好適に排除することができる。逆に言えば、偏光ガラス200及びその上に形成される位相差膜や位相差板等の光学部材は、その形成後に、例えば液晶パネル100を構成する各種電極や各種駆動回路の形成時における低温処理或いは高温処理、スパッタリング、蒸着、エッチング等の各種工程に耐える必要はなくて済む。このため、偏光ガラス200の採用によって、該光学部材に関する材料選択の自由度が狭まることはない。従って、偏光ガラス200を用いながら、実用性のある液晶装置1を実現することができる。つまり、偏光ガラス200を好適に利用した液晶装置1を実現することができる。
【0047】
加えて、偏光ガラス200を対向基板20そのもの(或いは、TFTアレイ基板10そのもの)として用いる必要がないため、偏光ガラス200上に各種電極や各種駆動回路等を形成する必要はない。つまり、液晶パネル100を製造した後に(或いは、対向基板20上に各種電極等を形成した後に)、これらの製造工程とは別個に偏光ガラス200を対向基板20上に積層させればよい。従って、製造工程(特に、液晶パネル100の製造工程)を大きく変えることなく或いは偏光ガラス200を積層する工程において液晶パネル100の製造時の各種条件ないしは各種環境をそれほど考慮することなく、比較的容易に偏光ガラス200を積層させることができる。
【0048】
更に、液晶装置1を薄型化する方法として、相対的に厚いガラス(つまり、第1実施形態においては、TFTアレイ基板10)の状態で液晶パネル100の内部における各種電極や各種駆動回路等を形成した後に、エッチング或いは機械的研磨等を施すことで、厚みの薄いガラスを形成するのが一般的である。この場合、ガラスの表面には、細かい凹凸(言い換えれば、キズ等)が形成され得る。この凹凸は、液晶装置1の表示品質の低下や強度の低下等を起こすことがあるため好ましくない。しかるに、第1実施形態によれば、偏光ガラス200が光学接着層300により接着されるため、光学接着層300を構成する光学樹脂等が凹凸に充填される。このため、凹凸を好適に補修しながら、偏光ガラス200を対向基板20上に積層させることができる。この場合に、光学接着層300の屈折率をTFTアレイ基板10と同じにすると、細かい凹凸をほとんど見えないようにすることが出来る。また、TFTアレイ基板10をエッチングあるいは機械研磨等により薄くする以外に偏光ガラス200をエッチングにより薄くすることにより液晶装置1を薄型化することも可能である。この場合にも細かい凹凸を光学接着層300により補修し、ほとんど見えないようにすることができるのは、同様である。
【0049】
尚、偏光ガラス200の厚さ(つまり、積層方向における厚さ)は、所定の強度(特に、液晶装置1の外部からの応力に対する強度)を保つことができる限りは、軽量化及び薄型化の観点から薄い方が好ましい。一方で、偏光ガラス200の上に更にカバーガラスを形成してもよい。この場合、カバーガラスと偏光ガラス200の双方により、所定の強度を保つことができればよい。
【0050】
(1−3)液晶装置の製造方法
第1実施形態に係る液晶装置1は、以下のように製造される。先ず、上述したTFTアレイ基板10側の各種の構成要素(即ち、画素電極9a及び画素スイッチング用TFTや、走査線駆動回路104或いはデータ線駆動回路101など)を含む積層構造が、比較的大型のガラス基板やシリコン基板からなる第1マザー基板上に形成される。ここでは、1つの第1マザー基板上に複数のTFTアレイ基板10がマトリクス状に形成される多面取りを行うものとする。
【0051】
他方、このようなTFTアレイ基板10を第1マザー基板上に形成する工程と相前後して或いは並行して、上述した対向基板20側の各種の構成要素(対向電極21、遮光膜23など)を含む積層構造が、別の第2マザー基板上に形成される。ここでも、1つの第2マザー基板上に複数の対向基板20がマトリクス状に形成される多面取りを行うものとする。
【0052】
その後、貼合工程によって、第1マザー基板と第2マザー基板とを対向させて、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等からなるシール材52によって貼り合わせる。この際、第1マザー基板上における枠状のシール領域に所定の高さを有するシール材52を形成し、このシール材52の内側の領域に液晶層50を構成する所定量の液晶を滴下した後に、第1マザー基板と第2マザー基板とを、シール材52によって互いに貼り合せるように構成してもよい。即ち、所謂、液晶滴下貼り合わせ方式を採用してもよい。
【0053】
貼り合せ及び液晶注入が完了した後に、第1マザー基板上に配列された複数の液晶装置に対して一括的に検査工程が適宜実施される。その後、第1マザー基板及び第2マザー基板に対して、ダイシングやスクライブを経て個々の液晶装置1に分断される。
【0054】
この場合、第1マザー基板及び第2マザー基板が個々の液晶装置1に分断される前に、第2マザー基板上に形成される複数の対向基板20を覆う程度に大判の偏光ガラスを第2マザー基板に貼り付けておき、第1マザー基板及び第2マザー基板並びに大判の偏光ガラスに対して、一括してダイシング等を行うように構成してもよい。これにより、1回のダイシング等を行えば、第1マザー基板及び第2マザー基板が分断されると同時に、大判の偏光ガラスが個々の液晶装置1に対応する偏光ガラス200に分断されるため、製造工程の短縮を図ることができる。
【0055】
或いは、第1マザー基板及び第2マザー基板が個々の液晶装置1に分断される前に、第2マザー基板上に形成される複数の対向基板20の夫々のサイズに合わせて予め分断された偏光ガラス200を第2マザー基板上の複数の対向基板20の夫々に貼り付けておいてもよい。その後、第1マザー基板及び第2マザー基板に対して、一括してダイシング等を行うように構成してもよい。
【0056】
或いは、第1マザー基板及び第2マザー基板が個々の液晶装置1に分断された後に、複数の対向基板20の夫々のサイズに合わせて予め分断された偏光ガラス200を、分断された個々の液晶装置1の対向基板20に貼り付けるように構成してもよい。
【0057】
尚、第2マザー基板については、貼り合わせ前に分断しておき、分断された多数の対向基板を一枚の第1マザー基板に対して夫々、貼り合わせるようにしてもよい。この場合、真空雰囲気にてシール材52に設けられた液晶注入口に、液晶を滴下することで、基板間のスペースに液晶を真空注入することが可能となる。
【0058】
或いは、シール材52を、枠状のシール領域の一部において欠落させておき、貼り合わされた第1マザー基板1及び第2マザー基板を、液晶パネル毎に切断した後に、シール材52が欠落された部分を注入口として液晶をTFTアレイ基板10及び対向基板20間に注入するようにしてもよい。
【0059】
(2)第2実施形態
続いて、図4を参照して、第2実施形態に係る液晶装置について説明する。ここに、図4は、第2実施形態に係る液晶装置の断面図である。尚、上述した第1実施形態に係る液晶装置1における構成と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0060】
図4に示すように、第2実施形態に係る液晶装置1aは、上述した第1実施形態に係る液晶装置1と同様に、液晶パネル100と、対向基板20の液晶層50に対向しない側の表面に光学接着層300を用いて積層される偏光ガラス200とを備えている。
【0061】
第2実施形態に係る液晶装置1aでは特に、液晶パネル100を構成するTFTアレイ基板10の表面上に、偏光ガラス201が積層される。例えば、液晶装置1が携帯電話やノートパソコン等の直視型の表示装置として使用される場合には、当該液晶装置1を使用するユーザの側から見て遠い側(言い換えれば、奥側)に位置するTFTアレイ基板10の表面上に、偏光ガラス201が積層される。或いは、液晶装置1が液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置として使用される場合には、典型的には図4中の下側に位置する不図示の光源から出射される光が液晶層50に入射する側に位置するTFTアレイ基板10の表面上に、偏光ガラス200が積層される。偏光ガラス201は、TFTアレイ基板10のうち液晶層50に対向しない側の表面(つまり、図4における下側の表面)上に積層される。また、偏光ガラス201は、光学接着層301によりTFTアレイ基板10上に接着されている。この光学接着層301の屈折率は、偏光ガラス201の屈折率と同一である又は概ね同一と同視し得る状態にある。
【0062】
このように、第2実施形態に係る液晶装置1aによれば、液晶パネル100が偏光ガラス200と偏光板500との間に挟持される構成に代えて、液晶パネル100が一対の偏光ガラス(つまり、偏光ガラス200と偏光ガラス201)の間に挟持される構成を採用している。このため、対向基板20の側のみならず、TFTアレイ基板側10の側においても、上述した各種効果(或いは、その少なくとも一部)を享受することができる。
【0063】
(3)第3実施形態
続いて、図5を参照して、第3実施形態に係る液晶装置について説明する。ここに、図5は、第3実施形態に係る液晶装置の断面図である。尚、上述した第1実施形態に係る液晶装置1における構成と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0064】
図5に示すように、第3実施形態に係る液晶装置1bは、上述した第1実施形態に係る液晶装置1と同様に、液晶パネル100と、TFTアレイ基板10の液晶層50に対向しない側の表面に粘着層400を用いて積層される偏光板500とを備えている。
【0065】
第3実施形態に係る液晶装置1bでは特に、偏光ガラス200の対向基板10に対向する側の表面に、粘着層600を用いて、位相差板700が積層されている。位相差板700は、色を補償する物や視角によるコントラスト低下や色付きを補償する物、あるいは半透過表示において使われる1/4波長板等として使用される。ここで位相差板700は1層として記載されているが、複数の位相差板が積層されたものを使用する場合もある。位相差板700が積層された偏光ガラス200は、位相差板700と対向基板20とが光学接着層300により接着されるように、対向基板20上に積層される。つまり、第3実施形態に係る液晶装置1bにおいては、偏光ガラス200と対向基板20との間に位相差板700が挟みこまれている。
【0066】
これにより、液晶層50を透過することで発生する光の位相差を好適に補償することができる。更には、偏光ガラス200が液晶パネル100の外部に積層されているため、位相差板700を、液晶パネル100の外部に形成することができる。従って、液晶パネル100の内部における各種電極や各種駆動回路等の形成に起因して位相差板700が補償する位相差値が変動するないしは位相差板700に欠陥が生ずる不都合を好適に排除することができる。
【0067】
(4)第4実施形態
続いて、図6を参照して、第4実施形態に係る液晶装置について説明する。ここに、図6は、第4実施形態に係る液晶装置の断面図である。尚、上述した第1実施形態に係る液晶装置1における構成と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0068】
図6に示すように、第4実施形態に係る液晶装置1cは、上述した第1実施形態に係る液晶装置1と同様に、液晶パネル100と、TFTアレイ基板10の液晶層50に対向しない側の表面に粘着層400を用いて積層される偏光板500とを備えている。
【0069】
第4実施形態に係る液晶装置1bでは特に、偏光ガラス200の対向基板10に対向する側の表面に、位相差膜800が積層されている。ここでは、予めフィルム状に形成された位相差膜800を、偏光ガラス200の対向基板10に対向する側の表面に貼り付けるように構成してもよい。或いは、液状の位相差膜材料を偏光ガラス200の対向基板10に対向する側の表面に均一に塗布又は噴霧することにより、位相差膜800が積層されるように構成してよい。位相差膜800が積層された偏光ガラス200は、位相差板800と対向基板20とが対向するように、対向基板20上に積層される。つまり、第4実施形態に係る液晶装置1cにおいては、偏光ガラス200と対向基板20との間に位相差膜800が挟みこまれている。
【0070】
これにより、液晶層50を透過することで発生する光の位相差を好適に補償することができる。更には、偏光ガラス200が液晶パネル100の外部に積層されているため、位相差膜800を、液晶パネル100の外部に形成することができる。従って、液晶パネル100の内部における各種電極や各種駆動回路等の形成に起因して位相差膜800が補償する位相差値が変動するないしは位相差膜800に欠陥が生ずる不都合を好適に排除することができる。
【0071】
(5)第5実施形態
続いて、図7を参照して、第5実施形態に係る液晶装置について説明する。ここに、図7は、第5実施形態に係る液晶装置の断面図である。尚、上述した第1実施形態に係る液晶装置1における構成と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0072】
図7に示すように、第5実施形態に係る液晶装置1dは、上述した第1実施形態に係る液晶装置1と同様に、液晶パネル100と、対向基板20の液晶層50に対向しない側の表面に光学接着層300を用いて積層される偏光ガラス200と、TFTアレイ基板10の液晶層50に対向しない側の表面に粘着層400を用いて積層される偏光板500とを備えている。
【0073】
第5実施形態に係る液晶装置1dでは特に、偏光ガラス200の対向基板10に対向しない側の表面に、コーティング層900が形成されている。コーティング層900は、例えば、偏光ガラス200の表面における光の反射を抑制するためのAG(Anti Reflection)コーティング層であってもよい。或いは、コーティング層900は、例えば、反射型表示時における鏡面反射を防止したり、偏光ガラス200の表面におけるギラツキを抑制するAG(Anti Glare)コーティング層であってもよい。或いは、コーティング層900は、例えば、偏光ガラス200の表面におけるキズ等を防止したり又は強度を上げるためのハードコーティング層であってもよい。
【0074】
このようにコーティング層900が偏光ガラス200の表面に形成されるため、偏光ガラス200そのものを、より一層カバーガラスとしてとして使用しやすくなる。従って、カバーガラスを別途形成する必要がより一層なくなるため、上述したように、液晶装置1の薄型化及び軽量化を好適に図ることができる。
【0075】
加えて、偏光ガラス200をカバーガラスとして使用した場合に、最表面にARやAGのコートがされていることとなり、最表面での外光の反射を抑制でき、表示品質を向上することができる。また、通常のカバーガラスでは樹脂材料を使用しているために、温度等の製造上の制約により表面処理に制約が生じるが、偏光ガラス200上に表面処理を行うため、効果の高い表面処理や耐久性のある表面処理とすることができる。
【0076】
尚、上述した第1実施形態から第5実施形態の夫々に係る液晶装置を適宜組み合わせるように構成してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を享受することができることは言うまでもない。
【0077】
また、上述した実施形態では液晶パネルとして、TN(ツイスト・ネマティック)、ECB(複屈折電界効果)、VA(垂直配向)などの縦電界の構成として記載しているが、IPS(イン・プレーン・スイチッチング)及びFFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)としても、上述した各種効果を享受できる。
【0078】
(6)電子機器
続いて、図8及び図9を参照しながら、上述の液晶装置1を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0079】
図8は、上述した液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図8において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置1を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶パネル100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0080】
次に、上述した液晶装置1を携帯電話に適用した例について説明する。図9は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図9において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置1と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0081】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置1を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0082】
尚、図8及び図9を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0083】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう液晶装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1実施形態に係る液晶パネルの構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の断面図である。
【図4】第2実施形態に係る液晶装置の断面図である。
【図5】第3実施形態に係る液晶装置の断面図である。
【図6】第4実施形態に係る液晶装置の断面図である。
【図7】第5実施形態に係る液晶装置の断面図である。
【図8】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図9】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、50…液晶層、100…液晶パネル、200、201…偏光ガラス、300、301…光学接着層、400…粘着層、500…偏光板、600…粘着層、700…位相差板、800…位相差膜、900…コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持される電気光学物質と、
前記一対の基板のうち少なくとも前記電気光学物質の光出射側に位置する一方の基板の前記電気光学物質に対向しない側に積層される偏光ガラス層と、
前記一方の基板と前記偏光ガラス層とを接着する接着層と
を備えており、
前記接着層の屈折率は、前記一方の基板または前記偏光ガラス層の屈折率と同一であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記偏光ガラス層と前記一方の基板とは、前記接着層により直接接着されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記偏光ガラス層における前記一方の基板に対向する側の表面上に積層される位相差板又は位相差膜を含む位相差層を更に備え、
前記偏光ガラス層は、前記位相差層と前記一方の基板とが前記接着層により直接接着されることにより、前記一方の基板に接着され、接着層の屈折率は、前記一方の基板の屈折率と同一であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記一対の基板のうち前記一方の基板とは異なる他方の基板の前記電気光学物質に対向しない側に積層される他の偏光ガラス層を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記偏光ガラス層の表面に対して、所定のコーティング処理が施されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−58620(P2009−58620A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224114(P2007−224114)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】