説明

電気光学装置

【課題】2D映像と3D映像との表示切り替えが可能な電気光学装置において、3D映像を表示する場合の液晶の応答速度を向上させつつ、その信頼性の低下を抑制した電気光学装置を提供する。
【解決手段】平面映像に応じた画像と、立体映像に応じた画像とを切り替え可能に表示する液晶パネル12と、立体映像に応じた画像を表示するときに、平面映像に応じた画像を表示するときよりも、液晶パネル12の温度が高くなるように制御する制御部29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを用いた電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気光学装置には、液晶ライトバルブにより照明光を変調しながら、スクリーン上に拡大投射された画像を表示する液晶プロジェクター(投射型電気光学装置)や、液晶パネルの背面側から照明光を照射して画像を表示する液晶モニター(直視型電気光学装置)がある。
【0003】
また、最近では、2次元の平面映像(2D映像)の他に、3次元の立体映像(3D映像)を表示できる2D/3D対応型の液晶を用いた電気光学装置も開発されている。例えば、3D映像が表示可能な液晶プロジェクターでは、3D映像に応じた右眼画像と左目画像とをフレーム毎に時分割で交互に表示する一方、ユーザーは、右眼画像と左目画像の切り替えに同期して、右眼と左眼を交互に開閉するシャッター眼鏡を装着し、右眼画像を右眼、左目画像を左眼で選択的に視認することで、3D映像を見ることが可能となっている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【0004】
ところで、このような3D映像の表示を行う電気光学装置では、液晶パネルに表示される右眼画像と左目画像を高速で切り替える必要がある。特に、映像信号の書き込みが線順次方式の場合、画素マトリックスの1番目のラインと最終ラインとの間で書き込みの遅延が生じるため、加えて液晶の応答速度が遅いと、右眼画像と左目画像とが混在する、いわゆるクロストークが発生してしまう。
【0005】
液晶の応答速度を速くするためには、液晶材料の改良(例えば低粘性にする。)や、液晶パネルのセルギャップを小さくする、液晶パネルの温度を上げるなどの方法が考えられる。しかしながら、液晶材料の改良については、材料自体を劇的に改善することが難しい。一方、セルギャップを小さくした場合、明るさが得られなくなる。一方、液晶パネルの温度を上げた場合、信頼性(寿命)の低下を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−306335号公報
【特許文献2】特開2009−232249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、2D映像と3D映像との表示切り替えが可能な液晶を用いた電気光学装置において、3D映像を表示する場合の液晶の応答速度を向上させつつ、その信頼性の低下を抑制した電気光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気光学装置は、平面映像に応じた画像と、立体映像に応じた画像とを切り替え可能に表示する液晶パネルと、立体映像に応じた画像を表示するときに、平面映像に応じた画像を表示するときよりも、液晶パネルの温度が高くなるように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
以上のように、この電気光学装置では、立体映像に応じた画像を表示するときに、平面映像に応じた画像を表示するときよりも、液晶パネルの温度が高くなるように設定することで、液晶の応答速度を速めることができ、3D映像に対応した画像を高速で切り替え表示することが可能となる。また、この電気光学装置では、立体映像に応じた画像を表示するときにのみ液晶パネルの温度を高めに設定することから、液晶パネルの温度を常時高めに設定する場合に比べて、この液晶パネルの信頼性の低下を抑えることが可能である。
【0010】
また、上記電気光学装置は、液晶パネルを冷却する冷却機構を備える場合、制御部が、この冷却機構の駆動を制御することによって、立体映像に応じた画像を表示するときに、平面映像に応じた画像を表示するときよりも、液晶パネルの温度が高くなるように制御することができる。
【0011】
また、上記電気光学装置は、液晶パネルを加熱する加熱機構を備える場合、制御部が、この加熱機構の駆動を制御することによって、立体映像に応じた画像を表示するときに、平面映像に応じた画像を表示するときよりも、液晶パネルの温度が高くなるように制御することができる。
【0012】
また、上記電気光学装置は、液晶パネルの温度を測定する温度センサを備え、この温度センサが測定した結果に基づいて、制御部が液晶パネルの温度を制御する構成としてもよい。この場合、液晶パネルの温度を精度良く制御することが可能である。
【0013】
また、上記電気光学装置は、立体映像に応じた右眼画像と左目画像とを時分割で交互に表示する液晶パネルに同期して、右眼画像が表示される区間において、右眼側を開放し且つ左眼側を遮断すると共に、左目画像が表示される区間において、右眼側を遮断し且つ左眼側を開放する眼鏡を備えることで、この眼鏡を装着したユーザーに対して、立体映像を視認させることができる。
【0014】
また、上記電気光学装置は、上記液晶パネルをライトバルブとして用いて画像を投射させる投射型の電気光学装置に適用可能である。
【0015】
また、上記電気光学装置は、上記液晶パネルを画像の表示面として直視する直視型の電気光学装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶プロジェクターを示す斜視図である。
【図2】図1に示す液晶プロジェクターが備えるプロジェクター本体の構成を示す図である。
【図3】図1に示す液晶プロジェクターの回路構成を示す図である。
【図4】図1に示す液晶プロジェクターが備えるシャッター眼鏡の開閉動作を示すタイミングチャートである。
【図5】液晶パネルにヒーターを設けた構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0018】
本発明の一実施形態に係る液晶プロジェクターは、2次元の平面映像(2D映像)の他に、3次元の立体映像(3D映像)を表示できる2D/3D対応型の電気光学装置の例である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶プロジェクターを示す斜視図である。
この液晶プロジェクターは、図1に示すように、2D映像と3D映像との表示切り替え可能が可能なプロジェクター本体1と、3D映像を表示するときにユーザーが使用するシャッター眼鏡2とを備え、プロジェクター本体1から拡大投射された画像をスクリーンS上に表示する。
【0020】
図2は、図1に示す液晶プロジェクターが備えるプロジェクター本体1の構成を示す図である。
このプロジェクター本体1は、赤色光変調用、緑色光変調用、青色光変調用の3組の液晶ライトバルブ(液晶パネル)を備えた、いわゆる3板式の液晶プロジェクターの一構成例である。
【0021】
具体的に、このプロジェクター本体1は、図2に示すように、光源3と、ダイクロイックミラー4,5と、反射ミラー6,7,8と、入射レンズ9と、リレーレンズ10と、射出レンズ11と、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bと、クロスダイクロイックプリズム13と、投射レンズ14とを概略備えて構成されている。
【0022】
また、その他にも、光源3から射出される光の照度分布を均一化するためのインテグレータ光学系や、光源3から射出される光の偏光状態を液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで用いる偏光に揃える偏光変換光学系などを備えていてもよい。
【0023】
光源3は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の放電灯16と、放電灯16の光を反射するリフレクター17とから構成されている。ダイクロイックミラー4は、光源3からの白色光に含まれる赤色光LRを透過させるとともに、青色光LBと緑色光LGとを反射する機能を有している。ダイクロイックミラー5は、青色光LBを透過させるとともに、緑色光LGを反射する機能を有している。よって、ダイクロイックミラー4を透過した赤色光は反射ミラー6で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ12Rに入射される。また、ダイクロイックミラー4で反射された緑色光LGは、ダイクロイックミラー5によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ12Gに入射される。
【0024】
さらに、ダイクロイックミラー4で反射された青色光は、ダイクロイックミラー5を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ9、リレーレンズ10、および射出レンズ11を含むリレーレンズ系からなる導光光学系18が設けられている。この導光光学系18を介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ12Bに入射される。
【0025】
各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム13に入射する。このクロスダイクロイックプリズム13は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ14によってスクリーン19(図1中に示すスクリーンS)上に投影され、画像が拡大表示される。
【0026】
本実施形態の液晶プロジェクターでは、2D映像と3D映像とを切り替え可能に表示するものであり、2D映像を表示するときには、この2D映像に対応した画像がスクリーン19上に表示される。一方、3D映像を表示するときには、この3D映像に対応した右眼用画像と左眼用画像とがフレーム毎に時分割で交互に切り替わりながらスクリーン19上に表示される。このとき、ユーザーは、右眼用画像と左眼用画像との切り換えに同期して右眼と左眼が交互に開閉するシャッター眼鏡2を装着することで、立体画像を視認することが可能となっている。
【0027】
図3は、図1に示す液晶プロジェクターの回路構成を示す図である。
本実施形態の液晶プロジェクターは、図3に示すように、上記プロジェクター本体1の内部に、画像情報判定部21、直流電源部22、放電灯点灯部23、画像処理部24等からなる回路部25を概略備えている。
【0028】
画像情報判定部21は、画像信号変換部28と、CPU29(Central Processing Unit)とを備えている。画像情報判定部21は、投影対象となる画像情報が、所定の切り換えタイミングで右眼画像と左眼画像とを切り換えて交互に出力するための立体画像情報であるか否かを判定するものである。
【0029】
画像信号変換部28は、外部から画像信号(輝度−色差信号やアナログ信号など)SG1が入力されると、この画像信号SG1を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号SG2R,SG2G,SG2Bを生成する。このとき、画像信号変換部28は、画像信号SG1として、所定のタイミングで右眼画像と左用画像とが交互に切り換わる立体画像情報が入力された場合には、右眼画像と左眼画像との切り換えタイミングに基づいて、同期信号SG3をCPU29に供給する。
【0030】
CPU29は、同期信号SG3に基づいて、投影対象となる画像情報が右眼画像と左眼画像とを交互に切り換えて出力する立体画像情報であるか否かを判定する。画像情報が立体画像情報であるか否かの判定結果SG4は、画像処理部24に出力される。
【0031】
また、CPU29は、液晶プロジェクター1の点灯開始から消灯に至るまでの動作を制御する。具体的には、CPU29は、通信信号SG5を介して点灯命令や消灯命令を放電灯点灯部23に向けて出力する。また、CPU29は、通信信号SG6を介して放電灯点灯部23から放電灯16の点灯情報を受け取る。さらに、CPU29は、同期信号SG3に基づいて、画像信号SG1に同期してシャッター眼鏡2を制御するための制御信号SG7を、有線又は無線の通信手段を介してシャッター眼鏡2に出力する。
【0032】
画像処理部24は、3つの画像信号SG2R,SG2G,SG2Bに対してガンマ補正等を含む画像処理を行う。画像処理後、画像処理部24は、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bをそれぞれ駆動するための駆動信号SG8R,SG8G,SG8Bを生成し、それらの駆動信号SG8R,SG8G,SG8Bを液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに供給する。そして、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、それぞれの駆動信号SG8R,SG8G,SG8Bに基づいて、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射される色光の輝度を変調する。
【0033】
直流電源部22は、外部の交流電源30から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換し、トランス(図示しないが、直流電源部22に含まれる)の2次側にある画像信号変換部28、画像処理部24、CPU29、及びトランスの1次側にある放電灯点灯部23に直流電圧を供給する。
【0034】
放電灯点灯部23は、液晶プロジェクター1の起動時に放電灯16の一対の電極間に高電圧を発生させ、絶縁破壊を生じさせて放電路を形成し、以降、放電灯16が放電を維持するための駆動電流I1を供給する。
【0035】
シャッター眼鏡2は、図3に示すように、右眼シャッター32Rと左眼シャッター32Lとを備えている。これら右眼シャッター32R及び左眼シャッター32Lは、制御信号SG7に基づいて開閉が制御される。なお、右眼シャッター32R及び左眼シャッター32Lは、例えば液晶シャッターで構成することができる。
【0036】
図4は、シャッター眼鏡2の開閉動作を示すタイミングチャートである。
シャッタ眼鏡2は、図4に示すように、右眼画像Rと左目画像Lとをフレーム毎に時分割で交互に切り替えて出力される立体画像情報に同期して、右眼画像Rが表示される区間において、右眼シャッター32Rを開放し且つ左眼シャッター32Lを遮断すると共に、左目画像Lが表示される区間において、右眼シャッター32Rを遮断し且つ左眼シャッター32Lを開放する。
【0037】
なお、図4に示すタイミングチャートでは、1フレーム(1/60秒)毎に時分割(1/240秒)により右眼画像Rと右眼画像Lに対応する映像信号(駆動信号SG8R,SG8G,SG8B)を各々2回ずつ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに出力している。そして、1回目の右眼画像R対応する映像信号を出力した後に、右眼シャッター32Rを開放し、1回目の左眼画像L対応する映像信号を出力する前に、右眼シャッター32Rを遮断するように、右眼シャッター32Rの開閉するタイミングを制御している。また、左眼シャッター32Lの開閉するタイミングについても、同様のタイミングで制御している。
【0038】
ところで、上述した映像信号の書き込みが線順次方式の場合、画素マトリックスの1番目のラインと最終ラインとの間で書き込みの遅延が生じるため、加えて液晶の応答速度が遅いと、右眼画像と左目画像とが混在する、いわゆるクロストークが発生してしまう。
【0039】
クロストークの発生を防ぐために必要な液晶の応答速度は、シャッター眼鏡2の応答性や、開閉時間の設定などにもよるが、概ね2ms以下とすることが望ましい。すなわち、3D映像を表示するときは、液晶の応答速度を2ms以下とすることで、クロストークの発生を抑制しながら、十分な明るさを得ることができる。
【0040】
一方、2D映像を表示するときは、1フレーム内で画像の切り替えを高速で行う必要がないため、3D映像を表示するときよりも液晶の応答速度を遅くすることができる。本実施形態では、2D映像を表示するときの液晶の応答速度は約3msである。
【0041】
そこで、本発明では、3D映像を表示するときに、2D映像を表示するときよりも、液晶ライトバルブ12R,12G,12B(以下、まとめて液晶パネル12と言う。)の温度を高めに設定し、液晶の応答速度を2ms以下とする制御を行った。
【0042】
この場合、3D映像を表示するときに、右眼画像と左眼画像とを高速で切り替え表示することが可能となる。また、3D映像を表示するときにのみ液晶パネル12の温度を高めに設定するため、液晶パネル12の温度を常時高めに設定する場合に比べて、この液晶パネル12の信頼性の低下を抑えることが可能である。
【0043】
液晶パネル12の温度を制御する方法としては、例えば図3に示すように、プロジェクター本体1の内部に設けられた冷却ファン(冷却機構)40を上記CPU29が制御することで、液晶パネル12の温度を制御することができる。
【0044】
具体的に、上記CPU29は、上述した画像情報が立体画像情報であるか否かの判定結果SG4に基づいて、液晶パネル12が3D映像を表示する場合に、冷却ファン40を制御するための制御信号SG9を生成し、冷却ファン40に出力する。この制御信号SG9は、2D映像を表示するときよりも冷却ファン40の駆動電圧を低めに設定し、冷却ファン40の送風を低めに制御する。これにより、液晶パネル12の温度を高めに設定することができる。一方、液晶パネル12が2D映像を表示する場合の制御信号SG9は、3D映像を表示するときよりも冷却ファン40の駆動電圧を高めに設定し、冷却ファン40の送風を高めに制御する。これにより、液晶パネル12の温度を低めに設定することができる。
【0045】
例えば、表1にまとめて示すように、2D映像を表示する場合の冷却ファン40の駆動電圧は高め(Hi)に設定されるため、液晶パネル12の温度は約45℃となり、この場合の液晶の応答速度は約3msとなった。これに対して、3D映像を表示する場合の冷却ファン40の駆動電圧は低め(Low)に設定されるため、液晶パネル12の温度は約55℃となり、この場合の液晶の応答速度は約2msとなった。
【0046】
【表1】

【0047】
また、液晶パネル12の温度を制御する方法としては、例えば図5に示すように、液晶パネル12を加熱するヒーター(加熱機構)41を設けて、このヒーター41を上記CPU29が制御することで、液晶パネル12の温度を制御することもできる。
【0048】
具体的に、液晶パネル12は、図5に示すように、素子基板42と対向基板43との間に液晶層44が挟持された構造を有し、素子基板42側にヒーター41及び冷却フィン45、対向基板43側に防塵ガラス46が取り付けられた状態で、外周部がフレーム47により保持されている。
【0049】
上記CPU29は、上述した画像情報が立体画像情報であるか否かの判定結果SG4に基づいて、液晶パネル12が3D映像を表示する場合に、ヒーター41を制御するための制御信号SG9を生成し、ヒーター41に出力する。これにより、ヒーター41が液晶パネル12を加熱することで、液晶パネル12の温度を高めに設定することができる。
【0050】
以上のようにして、上記液晶プロジェクターでは、3D映像を表示するときに、液晶パネル12の温度を高めに設定し、液晶の応答速度を速めることができるため、上述した右眼画像と左眼画像との表示切り替えを高速で行うことが可能である。また、上記液晶プロジェクターでは、3D映像を表示するときにのみ液晶パネル12の温度を高めに設定するため、液晶パネル12の温度を常時高めに設定する場合に比べて、この液晶パネル12の信頼性の低下を抑えることが可能である。
【0051】
また、上記液晶プロジェクターでは、液晶パネル12の温度を測定する温度センサ(図示せず。)を設けた構成としてもよい。この場合、温度センサが測定した結果に基づいて、上記CPU29が液晶パネル12の温度を精度良く制御することが可能である。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記液晶プロジェクターでは、3D映像の表示方式として、シャッター眼鏡2を用いる時分割方式を例に挙げて説明したが、それ以外にも、例えば偏光眼鏡を用いる偏光方式、分光眼鏡を用いる波長分割方式などを用いることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、液晶パネルをライトバルブとして用いて画像を投射させる投射型の電気光学装置として液晶プロジェクターを例に挙げて説明したが、液晶パネルを画像の表示面として視認・観察する直視型の電気光学装置に本発明を適用してもよい。その他、電気光学装置の液晶パネル及びその回路部の具体的な構成に関しては、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…プロジェクター本体 2…シャッター眼鏡 12(12R,12G,12B)…液晶ライトバルブ(液晶パネル) 29…CPU(制御部) 40…冷却ファン(冷却機構) 41…ヒーター(加熱機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面映像に応じた画像と、立体映像に応じた画像とを切り替え可能に表示する液晶パネルと、
前記立体映像に応じた画像を表示するときに、前記平面映像に応じた画像を表示するときよりも、前記液晶パネルの温度が高くなるように制御する制御部とを備える電気光学装置。
【請求項2】
前記液晶パネルを冷却する冷却機構を備え、
前記制御部は、前記冷却機構の駆動を制御することによって、前記立体映像に応じた画像を表示するときに、前記平面映像に応じた画像を表示するときよりも、前記液晶パネルの温度が高くなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記液晶パネルを加熱する加熱機構を備え、
前記制御部は、前記加熱機構の駆動を制御することによって、前記立体映像に応じた画像を表示するときに、前記平面映像に応じた画像を表示するときよりも、前記液晶パネルの温度が高くなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記立体映像に応じた右眼画像と左目画像とを時分割で交互に表示する液晶パネルに同期して、前記右眼画像が表示される区間において、右眼側を開放し且つ左眼側を遮断すると共に、前記左目画像が表示される区間において、右眼側を遮断し且つ左眼側を開放する眼鏡を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
前記液晶パネルの温度を測定する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサが測定した結果に基づいて、前記液晶パネルの温度を制御することを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
前記液晶パネルをライトバルブとして用いて画像を投射させることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記液晶パネルを画像の表示面として直視することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−208426(P2012−208426A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75809(P2011−75809)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】