説明

電気加熱器具

【課題】必要な時以外にはAC電源の電力を消費させないようにし、可及的に消費電力を低減できるようにした電気炊飯器等の電気加熱器具を提供。
【解決手段】加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路30と、電熱手段制御用のマイコン制御回路40とを備えてなる電気加熱器具において、同器具の待機状態等では、自動的に上記電源回路30への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて電源復帰スイッチSW1をON操作することにより電源の供給を行うようにした。このような構成によると、待機状態等における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。しかも、同省エネ待機中においても、必要に応じて電源復帰スイッチSW1をON操作することにより電源の供給を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、待機時等の省エネ性能を向上させた電気炊飯器その他の電気加熱器具の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のマイコン制御式の電気炊飯器では、高い加熱出力で効率良く炊飯を行ない、炊飯が完了すると、自動的に保温工程に移行し、ユーザーにより保温取消スイッチが押されるか又は予じめ設定された保温設定時間が経過するまでの間は、ご飯の温度が予じめ設定した所望の保温温度に維持されるように、ご飯の温度を検出しながら保温ヒータ等保温加熱手段の加熱量を適切に制御するようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−14541号公報(明細書第1−10頁、図1−11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、同従来の電気炊飯器の場合、電源回路にAC電源コードが接続されている限り、タイマー予約中を含めて、炊飯スイッチがONになり、実際に炊飯が開始されるまでの待機時間内にも、その電源回路、マイコン制御回路のすべてにAC電源からの動作電源が供給されるようになっており、そのために相当の電力が無駄に消費されている。
【0005】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、待機状態やタイマー予約中では電源回路に対するAC電源からの電源の供給を遮断し、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作して電源を供給するようにすることによって、それぞれ必要な時以外にはAC電源の電力を消費させないようにし、可及的に消費電力を低減できるようにした電気加熱器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0007】
(1) 請求項1記載の発明
この発明の電気加熱器具は、加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路とを備えてなる電気加熱器具であって、器具待機状態では、自動的に上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うようにしたことを特徴としている。
【0008】
このような構成によると、上述した待機状態における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。
【0009】
しかも、同省エネ待機中においても、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うことができる。またバックアップ電源により、最低減のマイコンによる制御回路の制御機能は維持させることができるので、タイマー予約中のタイマー動作等は省エネも可能となる。
【0010】
(2) 請求項2記載の発明
この発明の電気加熱器具は、加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路と、タイマー予約手段とを備えてなる電気加熱器具であって、タイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態では、上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、上記マイコン制御回路のマイコンをスリープ状態にするようにしたことを特徴としている。
【0011】
このような構成によると、タイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。
【0012】
しかも、同タイマー予約中において、さらにマイコン制御回路のマイコンをもスリープ状態にするので、同タイマー予約中の省エネ性能が、より向上する。
【0013】
(3) 請求項3記載の発明
この発明の電気加熱器具は、加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用のメインリレーを有するメインリレーを有する電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路とを備え、器具待機状態および又はタイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態では、自動的に上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うようにしてなる電気加熱器具であって、上記電源復帰スイッチのONによる電源の復帰時には、まずマイコン制御回路をONにした後、予備充電回路をONにした上で、電熱手段駆動用のメインリレーをONにするようにしたことを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、待機状態および又はタイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。
【0015】
一方、電源復帰スイッチが設けられていて、必要に応じて、電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うことができるので、必要な時には任意に上記電源回路への電源の供給を復帰させることができる。
【0016】
しかも、同電源復帰スイッチのONによる電源の復帰時には、まずマイコン制御回路をONにした後、予備充電回路をONにした上で、電熱手段駆動用のメインリレーをONにするようにしており、それによりメインリレーの接点が電源復帰時の突入電流で損傷することを回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の結果、本願発明によると、従来に比べて、待機中および又はタイマー予約中時の省エネ性能が高い電気炊飯器等電気加熱器具を低コストに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器全体の構成を示す縦断面図である。
【図2】同電気炊飯器の電源回路(待機電力等低減回路)の構成を示す電気回路図である。
【図3】同電気炊飯器のワークコイル駆動回路の構成を示す電気回路図である。
【図4】本願発明の実施の形態2に係るコーヒーメーカ−の電源回路(待機電力等低減回路)の構成を示す電気回路図である。
【図5】同コーヒーメーカ−の図4の回路の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施の形態1>
図1〜図3は、本願発明の電気加熱器具の構成を電気炊飯器に適用した実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体の全体的な構造および電源回路部分の構成を示している。
【0020】
(全体の構成)
この電気炊飯器では、一例として、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として非金属材料からなる鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面)および該底壁部3a外周の湾曲面部(R面部)には、それぞれ内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えば銀ペースト等よりなる第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
【0021】
そして、この電気炊飯器は、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の底壁部4および上部側筒状の側壁部6よりなる内ケース46と、該内ケース46を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1aと、該外ケース1aと上記内ケース46とを一体化して形成された炊飯器本体1の上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット2とから構成されている。
【0022】
外ケース1aの前面部上方には、操作パネル20が設けられている。そして、該操作パネル20面には、例えば十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯開始スイッチ、タイマー予約スイッチ、取消スイッチ、保温スイッチ、再加熱スイッチ、メニュー選択スイッチ、時スイッチ、分スイッチ等の各種入力スイッチ(タッチキースイッチ)が設けられている。
【0023】
また、該外ケース1a内の上記操作パネル20の内側部分(裏側空間)には、内ケース46側制御基板B1(制御基板カバー25)の上端に対応する位置から斜め前方に下降する格好で、マイコン基板B2(および音声基板19)がマイコン基板カバー18を介して傾斜設置されている。
【0024】
一方、内ケース46の底壁部4の下方側には、フェライトコア収納部を備えたコイルカバー(コイル台)29が設けられ、その下部にはフェライトコア(符号省略)を配置し、またそれらの間には、上記内鍋3の底壁部3aの中央部側フラット面と外周部側湾曲面の上記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には上記内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2にうず電流を誘起して、上記内鍋3を加熱するようになっている。
【0025】
上記内ケース46(およびコイルカバー29)の前方部側には、上記ワークコイルC1,C2、保温ヒータH1等を駆動制御するIGBT(パワートランジスタ)やヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた制御基板B1および制御基板カバー25が上下立設状態で設けられている。
【0026】
上記内ケース46の皿状の底壁部4は、その底面部4aの中央部にサーミスタS1を内装したセンターセンサーCSのセンサー部嵌合口4fが形成されているとともに、同センサー部嵌合口4fの外周側上面にはドーナツ状の遮熱板30が設けられている。また、外周側湾曲面部4bの上端側には、所定幅半径方向外方に張り出したフランジ状の段部4cが設けられ、この段部4c部分に上記上部側筒状の側壁部6の下端6a側が係合載置されている。
【0027】
他方、同上部側筒状の側壁部6の上端6bは、図示しない内枠部材を介して上記炊飯器本体1側外ケース1a上端の肩部材11側に連結して固定されている。
【0028】
また、上記内ケース46の上部側筒状の側壁部6の外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0029】
そして、上記内ケース46の下部側底壁部4の底面部4aとコイルカバー29の底壁部29aとの間には、その前部側から後部側に到る冷却用の通風路が形成されている。
【0030】
すなわち、上記内ケース46の底壁部4の底面部4aの下面部外周には、図示はしないが、円弧状の薄肉の筒状壁(薄肉リブ)が周方向に沿って立設されており、その前部と後部には、筒壁のない切欠部が設けられているとともに、それらの間には、例えば平面三角形状の複数の台状リブが所望の間隔で所望の位置、かつ所望の方向に散在するように設けられている。
【0031】
また、これも図示はしていないが、上記コイルカバー29の底壁部29aの上面部外周には、上記内ケース46の底壁部4の底面部4aの下面側筒状壁に対応した同様の円弧状の薄肉の第1の筒状壁(薄肉リブ)が上方に向けて立設されているとともに、それらの間には、平面三角形状の複数の台状リブが上記内ケース46の底壁部4の台状のリブと対称な位置関係で散在するように設けられている。
【0032】
さらに、このコイルカバー29の場合、上記第1の筒状壁よりも所定幅半径方向外方に位置する上記底壁部29a外周縁の上記後部側切欠部に対向する半径方向位置には、当該後部側切欠部の開口部の円弧角幅よりも十分に大きな円弧角幅の薄肉の第2の筒状壁(薄肉リブ)が上方に向けて立設されている。
【0033】
これら内ケース46の底壁部4の筒状壁とコイルカバー29の底壁部29aの第1の筒状壁とは、例えば内ケース46の底壁部4に対して第1のワークコイルC1を介してコイルカバー29を下方から嵌合した時に、相互に摺接した状態で嵌合し合って、第1のワークコイルC1の周囲を囲む略円形の通風空間を形成する。
【0034】
また、この嵌合状態では、上記第1のワークコイルC1の渦巻状の各線輪が、上記上下両側に位置して相互に対向する台状のリブ間に安定した状態で挟圧支持され、当該第1のワークコイルC1の上下に有効な通風スペースが形成される。
【0035】
(蓋ユニットの構成)
さらに蓋ユニット2は、その外周面を構成するとともに中央部に調圧パイプ15を備えた合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12の内側に嵌合一体化して設けられた合成樹脂製の内枠13と、該内枠13の内側開口部内に嵌合された金属製の放熱板16a(蓋ヒータは図示省略)と、該放熱板16aの下方に設けられた金属製の内蓋16bとを備えて構成されている。また、放熱板16aの外周縁部下方および内蓋16bの外周縁部下方には、それぞれパッキン14a,14bが設けられており、内蓋16bは、同パッキン14bを介して内鍋3の開口縁部3cの上面部に接触させられている。また、15aは調圧パイプ15内の調圧弁、15bはその下部側キャップ、15cは転倒時の止水ボール弁である。
【0036】
この蓋ユニット2は、図示しない上記外ケース1上部の後端側で肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構10が設けられている。
【0037】
(制御回路部分の構成)
次に、図2,図3は、上述のように構成された炊飯器本体側の炊飯又は保温制御を行う電源回路および制御用のマイコンを中心とする制御回路部分の構成を示している。
【0038】
これらの回路では、上述のような加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路とを備えてなる電気加熱器具である電気炊飯器において、AC電源回路にAC電源コードが接続されてはいるが、実際には上述した炊飯開始スイッチがON操作されておらず、未だ炊飯が開始されていない器具待機状態、及び又はタイマー予約炊飯設定を行った場合において、予約設定完了後実際に炊飯が開始されるまでの間のタイマー予約中には、自動的に上記電熱手段駆動用の電源回路への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて別途設けられた電源復帰スイッチをON操作することによって、強制的に電源の供給を行えるようにしたことを特徴としている。
【0039】
また、同待機状態又はタイマー予約状態では、さらに必要に応じて、上記マイコン制御回路の制御用のマイコンをスリープ状態にするようにしている。
【0040】
しかも、その場合において、上記電源復帰スイッチのONによる電源の復帰時には、まず上記制御用のマイコンをONにして本来の制御機能を復帰させた後、所定の負荷抵抗をもつ予備充電回路をONにし、突入電流を消費させた上で、最終的に電熱手段に電源を供給するためのメインリレーのリレー接点をONにするようにしている。
【0041】
すなわち、図2中、先ず符号30はAC電源(受電用電源コネクタ)、次に符号31は、同AC電源30からのAC電源を電源をフューズF1およびメインリレーのリレー接点RSを介して導入し、DC電源に整流して出力する整流回路、さらに符号32は同整流回路31から出力されるDC電源によって動作し、電熱手段としての上述したワークコイルC1,C2を駆動するワークコイル駆動回路である。
【0042】
ワークコイル駆動回路32は、例えば図3のように構成されており、符号33は周知のチョークコイル、Cbは周知の共振コンデンサ、Caは周知の平滑コンデンサ、36は周知のIGBT(パワートランジスタ)、37は上記IGBT(パワートランジスタ)36の駆動回路である。
【0043】
一方、符号40は上記操作パネル20側のマイコン基板B2上に設けられている炊飯又は保温制御用の制御マイコンであり、該制御マイコン40には、上記AC電源30側からフォトカプラ用のフォトモススッチSW2、第1の逆流防止用ダイオードD1、電流制限抵抗R4、発光ダイオードおよびフォトトランジスタよりなる第1のフォトカプラPC1を介して、上記AC電源30のAC電源電圧のゼロクロス信号が検出され、制御基準信号として入力されるようになっている。また制御マイコン40には、同じく上記AC電源30側からフォトカプラ用のフォトモススッチSW2、第2の逆流防止用ダイオードD2、AC/DCコンバータ41、第3の逆流防止用ダイオードD3を介して動作用のDC電源が供給されるようになっている。
【0044】
さらに、同制御マイコン40には、第4の逆流防止用ダイオードD4を介してバックアップ電源(バッテリー)Eが接続されており、停電時等のバックアップがなされるようになっている。
【0045】
この制御マイコン40は、例えば上記電源回路に上記AC電源30が接続されているにも拘わらず、所定時間以上炊飯開始スイッチがON操作されなかった時(保温機能がある炊飯器の場合には、保温終了後、所定時間以上炊飯開始操作がなされなかった場合)およびタイマー予約炊飯設定操作がなされた場合において、同予約設定が完了した時には、それらの各場合を判定し、上記メインリレーのリレーコイルRLを励磁し、対応するリレー接点RS(a接点)をブレークする。
【0046】
そして、これによって上記待機中およびタイマー予約中は、上記整流回路31およびワークコイル駆動回路32へのAC電源の供給を遮断し、無駄な消費電流の低減を図る。
【0047】
一方、以上のようにしてAC電源を遮断すると同時に上記フォトモススッチSW2をOFFにすることによって、上記AC/DCコンバータ41をもOFFにし、バックアップ電源Eによってのみ動作させるようにする。
【0048】
このため、バックアップ電源Eの消費電力を可及的に小さくするために、同状態では上記制御マイコン40はスリープ状態に制御される。
【0049】
なお、この時、以下に述べる電源復帰スイッチ(例えば、一例としてフォトモススッチSW2と並列に接続されているバネ復帰型のa接点式プッシュスイッチ)SW1は、ON操作後の自己復帰によりOFF状態にある。
【0050】
ところで、上記メインリレーのリレー接点RSには、図示のようにトライアックTRCと所定の電流制限抵抗R1の直列回路よりなる予備充電回路が並列に接続されており、該予備充電回路のトライアックTRCのトリガー端子には、第2のフォトカプラPC2のフォトトランジスタのエミッタ側が接続されている。また上記フォトトランジスタのコレクタ側は、上記トライアックTRC側の電流制限抵抗R1と同様に所定の電流制限抵抗R2を介してAC電源30の電源ライン(リレー接点RSラインのAC電源側)に接続されている。
【0051】
さらに、上記第2のフォトカプラPC2のフォトダイオードのカソード側は、所定の電流制限抵抗R3を介して上記制御マイコン40のトライアック制御端子に接続されている。
【0052】
そして、同制御マイコン40によって第2のフォトカプラPC2のフォトダイオードがON作動されて発光すると、対応するフォトトランジスタがON作動して、当該トライアックTRCをトリガーし、ON作動させる。
【0053】
すると、AC電源30からの電流は、電流制限抵抗R1によって所定値以下の電流値に制限されるとともに、上記OFF状態にあるメインリレーのリレー接点RSをバイパスし、上記トライアックTRCを介して整流回路31およびワークコイル駆動回路32に供給され、整流回路31およびワークコイル駆動回路32に対する予備充電機能を果たす。
【0054】
上述のように、メインリレーのリレー接点RSは、当該メインリレーのリレーコイルRLによってON又はOFF作動されるが、同リレーコイルRLの励磁状態は、上記制御マイコン40によって制御されるようになっている。そして、例えば上記AC電源回路にAC電源30が接続されてはいるが、所定時間以上炊飯開始スイッチがON操作されておらず、未だ炊飯が開始されていない器具待機状態、又はタイマー予約炊飯設定を行った場合において、予約設定完了後実際に炊飯が開始されるまでの間のタイマー予約中などには、それらの各状態を自動的に検出判定して、当該リレーコイルRLを励磁することにより、リレー接点RSをブレークして上記ワークコイル駆動用の電源回路への電源の供給をOFFにして省エネモードを実現する一方、上記フォトモススッチSW2と並列に設けた電源復帰スイッチSW1のユーザーによるON操作によって上述した省エネモードが解除され、上記ワークコイル駆動用電源回路へのAC電源を復帰させる場合、同フォトモススッチSW2と並列に設けられている電源復帰スイッチSW1のONによるAC/DCコンバータ41からのDC電源および第1のフォトカプラPC1からのゼロクロス信号を入力し、同入力に対応してまず上記フォトモススッチSW2をONにして、そのON状態を自己保持する。
【0055】
これにより、上記電源復帰スイッチSW1がOFF状態に戻されても、上記制御マイコン40には上記AC/DCコンバータ41を介して動作電源が供給されるようになるので、制御マイコン40の動作電源は確実に確保される。そして、それに対応して、上記スリープ状態も解除される。
【0056】
その後、上記制御マイコン40は、上記第2のフォトカプラPCを介して上述した予備充電回路のトライアックTRCをトリガーしてON作動させ、上記メインリレーのリレー接点RSをメークする前に当該予備充電回路に一旦所定の電流を流し、上記メインリレーのリレー接点RSに突入電流が流れないようにした上で、所定の時間を置いて上記リレーコイルRLを励磁し、メインリレーのリレー接点RSをメークする。
【0057】
これにより、最終的に上記メインリレーのリレー接点RSがメークされた時には、すでに電源復帰時の突入電流は消失しており、同突入電流により上記メインリレーのリレー接点RSが溶着するような恐れはなくなり、安全にAC電源が復帰される。
【0058】
以上のような構成によると、待機状態および又はタイマー予約設定後、電熱手段であるワークコイルC1の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態等における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。
【0059】
一方、電源復帰スイッチSW1が設けられていて、必要に応じて、同電源復帰スイッチSW1をON操作することによりAC電源30の供給を行うことができるので、必要な時には任意に上記電源回路への電源の供給を復帰させることができる。
【0060】
しかも、同電源復帰スイッチSW1のONによる電源の復帰時には、まずマイコン制御回路の制御マイコン40をONにして、その制御機能を確実に復帰させた後(スリープ状態解除)、予備充電回路をONにして予じめ突入電流を流した上で、電熱手段駆動用のメインリレーのリレー接点RSをONにするようにしており、それによりメインリレーのリレー接点RSが電源復帰時の突入電流で損傷することを回避することができる。
【0061】
これらの結果、本願発明によると、従来に比べて、待機中および又はタイマー予約中時の省エネ性能が高い電気炊飯器等電気加熱器具を低コストに提供することが可能となる。
【0062】
(変形例)
なお、上述した図2の回路の場合、上記フォトモススッチSW2は、AC電源回路の正負電源ライン間に、電解コンデンサZoおよびフューズF2を接続し、それらの中間からAC電源回路を入力するように接続されており、同部分には突入電流が流れないようになっている。
【0063】
したがって、フォトモススッチSW2が溶着する恐れは生じない。
【0064】
また、上記電源復帰スイッチSW1のON動作とフォトモススッチSW2のON動作との間には、若干のタイムラグが生じる。したがって、これらの間のタイムラグを解消し、フォトモススッチSW2の確実な応答性を確保するために、例えば次のような構成も、必要に応じて採用される。
【0065】
(1) 電源復帰スイッチSW1を長押しタイプのものとする。
【0066】
(2) 電源復帰スイッチSW1を電子的なデイマースイッチとし、ON動作は迅速であるが、OFF動作は所定の時定数をもって緩やかに作動するようにする。
【0067】
(3) 電源復帰スイッチSW1を自己保持型のものとし、所定の時間が経過してから切れるようにする。
【0068】
<実施の形態2>
まず図4は、電気加熱器具の一例としてコーヒーメーカ−を採用した場合における本願発明の実施の形態2の構成に係る当該コーヒーメーカ−の電源回路部分の構成を示している。
【0069】
また、図5は、同図4の電源回路の動作パターンを示すタイムチャートである。
【0070】
従来のコーヒーメーカーの場合、器具本体のAC電源回路にAC電源コードが直結されており、AC電源コードがAC電源コンセントに接続されると、電源スイッチとは関係なくAC電源回路にAC電源が入り、電源スイッチは単に加熱用の湯沸しヒータをON,OFF駆動するだけのものとなっている。
【0071】
したがって、上記器具本体に直結されているAC電源コードがAC電源コンセントに挿入されている限り、コーヒ抽出状態ではないにも拘わらず、AC電源回路にAC電源が供給されており、結局無駄な電力が消費されていることになる。
【0072】
これは、一旦ドリップが終了した後も同じことであり、結局のところ、上述した電気炊飯器における保温時間経過後の待機状態の場合と同様である。
【0073】
そこで、この実施の形態では、例えば図4に示すように、本来有しているヒータ駆動用の電源スイッチSW4を上述した実施の形態1の電源復帰スイッチに兼用することによって、器具本体の電源コードをAC電源コンセントに挿入しただけでは器具本体のAC電源回路(湯沸しヒータHその他の部分)に電源が入らないようにし、電源スイッチSW4が押され、かつ電源リレーが作動して初めて器具本体内の同AC電源回路部分にAC電源30が供給されるとともにヒータHの駆動が可能となるようにしている。
【0074】
また、その場合において、ドリップ完了後予じめ設定した所定の時間td(図5の(c),(d)参照)が経過すると、制御用のマイコン40により電源リレーのリレー接点RS1をOFFにすることにより、上記AC電源回路に対するAC電源の供給を遮断するようにしている。
【0075】
そして、これらの構成により、実際にドリップが必要な時以外のいわゆる待機状態の消費電力を略ゼロにし、可及的に省エネ効果を向上させるようにしている。
【0076】
すなわち、先ず図4の回路において、符号Hは上述したドリップ用の湯沸しヒータであり、該湯沸しヒータHはサーマルスイッチ(サーモスタット)SW3、電源スイッチSW4、電源リレーのリレー接点RS1、フューズF0を介してAC電源30に接続されている。
【0077】
これにより、ドリップ用の上記湯沸しヒータHは、サーマルスイッチSW3がONで、電源スイッチSW4がON、かつ電源リレーのリレー接点RS1がONになった時に初めて駆動される。
【0078】
電源リレーのリレー接点RS1は、電源リレーのリレーコイルRL1(過電流バイパス用のダイオードD6並設)によってメーク又はブレーク作動される。
【0079】
リレーコイルRL1には、スイッチング用の第1,第2のトランジスタTr1,Tr2接続されており、制御用のマイコン40によって第2,第1のトランジスタTr2,Tr1がON,OFF制御されることによって、励磁又は非励磁状態が制御される。
【0080】
すなわち、上記スイッチング用の第1,第2のトランジスタTr1,Tr2のエミッタ側およびコレクタ側には、それぞれ上記湯沸しヒータHの+側電源ラインの電源電圧をツェナーダイオードZD1,ZD2で規定した一定の電圧(電流)が供給されるようになっているとともに、第2のトランジスタTr2のベースには、上記制御マイコン40の電源リレー制御信号出力端子から必要に応じてスイッチング制御信号が出力されてON,OFF制御される。
【0081】
また、トランジスタTroは、AC電源電圧のゼロクロス信号を検出するスイッチングトランジスタ(pnp)であり、湯沸しヒータHの+電源ラインと制御マイコン40のゼロクロス信号入力端子との間に接続されている。
【0082】
なお、図5は、図4の電源回路の動作パターンを示すタイムチャートであり、(a)は上述した電源スイッチSW4のON,OFF動作、(b)は上記AC電源30のゼロクロス検出信号、(c)はドリップ表示用LEDの点灯動作、(d)は上記電源リレーのリレー接点RS1のON動作、(e)は同リレー接点RS1のOFF動作をそれぞれ示している。
【0083】
今例えば図4のように、上述したAC電源回路にAC電源30が接続されており、かつ湯沸しヒータHのサーマルスイッチSW3がONになっているとしても、上記電源スイッチSW4がON操作されていない限り、上記AC電源30からのAC電源は、ヒータH側にはもちろん、制御マイコン40側にも供給されず、ゼロクロス信号(図5(b))も検出されない。したがって、上記電源リレーのリレー接点RS1も図5(d)に示すように、ブレーク状態(OFF状態)にあり、さらに表示用LED駆動用のスイッチングトランジスタTr3もOFFであり、ドリップ可能な状態を示す表示用LEDも点灯しない。
【0084】
それらの結果、図4の電源回路の消費電力は略ゼロの状態にあり、制御マイコン40もスリープ状態に維持される。
【0085】
したがって、従来に比べて消費電力は可及的に小さく低減される。
【0086】
一方、この状態から、上記電源スイッチSW4がON操作されると、先ず電源リレーのリレー接点RS1が閉じる前に、上記制御マイコン40、ゼロクロス信号検出用トランジスタTroに電源が供給される一方、上記電源リレー制御用の第1,第2のスイッチングトランジスタTr1,Tr2のコレクタ側にツェナーダイオードZD1,ZD2で規定された一定の電圧(電流)が供給され、制御マイコン40からの制御信号によって上記第2,第1のスイッチングトランジスタTr2,Tr1が順次ONになり、上記リレーコイルRL1が励磁される。
【0087】
そして、それによって最終的に上記リレー接点RS1がONになり、上記湯沸しヒータHにAC電源30が供給される。
【0088】
また、それと同時に上記表示用LED点灯用のトランジスタTr3もON作動し、表示用LEDが点灯する(図5の(a)〜(d)参照)。
【0089】
これにより、ドリップが開始される。
【0090】
以上のような構成のコーヒーメーカ−によると、ドリップ完了後又はドリップ開始前の待機状態における無駄な消費電力を略ゼロレベルに低減することができるようになり、省エネ効果の高いものとなる。
【0091】
なお、図4中、Z1は電界コンデンサ、C1,C2はコンデンサ、D5,D7は逆流防止用ダイオード、R5,R6,r1,r2,r3,r4,r5,r6は抵抗である。
【符号の説明】
【0092】
30はAC電源、31は整流回路、32はワークコイル駆動回路、33はチョークコイル、36はIGBT、37はIGBT駆動回路、40は制御マイコンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路とを備えてなる電気加熱器具であって、器具待機状態では、自動的に上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うようにしたことを特徴とする電気加熱器具。
【請求項2】
加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用の電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路と、タイマー予約手段とを備えてなる電気加熱器具であって、タイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態では、上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、上記マイコン制御回路のマイコンをスリープ状態にするようにしたことを特徴とする電気加熱器具。
【請求項3】
加熱用の電熱手段と、電熱手段駆動用のメインリレーを有するメインリレーを有する電源回路と、電熱手段制御用のマイコン制御回路とを備え、器具待機状態および又はタイマー予約設定後、電熱手段の加熱動作が開始されるまでのタイマー予約状態では、自動的に上記電源回路への電源の供給をOFFにする一方、必要に応じて電源復帰スイッチをON操作することにより電源の供給を行うようにしてなる電気加熱器具であって、上記電源復帰スイッチのONによる電源の復帰時には、まずマイコン制御回路をONにした後、予備充電回路をONにした上で、電熱手段駆動用のメインリレーをONにするようにしたことを特徴とする電気加熱器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235813(P2012−235813A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104896(P2011−104896)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】