説明

電気化学システム及び電気化学システムを動作させる方法

本開示は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、過酷な環境において、例えば再生型燃料電池の充電反応及び放電反応の両方において、動作安定性を示す、電気化学システム、例えば、電気エネルギ源と再生型燃料電池システムを有する電気エネルギ貯蔵システムとの組み合わせに関する。電気化学システムは、水素発生反応(HER)及び水素酸化反応(HOR)の両方を同じシステムで行なうことができる。電気化学システムは、低コスト、高速応答時間、並びに、許容できる寿命及び性能を有する。また、本開示は、再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸又は酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、過酷な環境において、例えば再生型燃料電池の充電反応及び放電反応の両方において、動作安定性を示す、電気化学システム、例えば、電気エネルギ源と再生型燃料電池システムを有する電気エネルギ貯蔵システムとの組み合わせに関する。また、本開示は、再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法に関する。電気化学システムは、低コスト、高速応答時間、並びに、許容できる寿命及び性能を有する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の状態で貯蔵されるエネルギを高い効率で電気エネルギへ変換することができる電気化学装置である。電気エネルギを入力として使用して酸化された燃料を酸化されていない燃料へと還元することができるように逆の動作も可能にする類の燃料電池が存在する。電気を発生させて燃料を再生することができる能力は、これらの燃料電池を電気エネルギ貯蔵に適したものにする。
【0003】
エネルギ貯蔵技術及びエネルギ発生技術の受容は、それらのサイクル寿命及び性能に依存する。特に、再生型燃料電池に関して、これらの電池は、ダイレクトモードに加えて、可逆モードでは、電気と直接反応の生成物とを消費して直接反応の反応物質を生成するために起動される。水素/臭素燃料電池などの再生型燃料電池の場合、そのサイクル寿命及び効率を制限する重要な因子は、動作する燃料電池材料の劣化である。これらの材料は、長期間にわたって高温で腐食性の高い臭素電解質に晒される。
【0004】
エネルギ貯蔵装置及びエネルギ発生装置は、再生型エネルギ源を用いる幅広い用途において必要とされる。そのような貯蔵装置及び発生装置は、様々なエネルギ供給を様々なエネルギ需要に適合させるのに有用である。
【0005】
世界は、主要エネルギ問題及びクリーンエアー問題に直面している。風、日光、及び、水を使用して先進エネルギ発生技術を利用する再生可能エネルギシステムは、幾つかの見込みのある解決策を与える。残念ながら、従来の再生可能エネルギ源、例えば風力発電機及び太陽エネルギ、並びに、エネルギ貯蔵システム、及び、再生可能エネルギ源とエネルギ貯槽システムとの統合の技術の現状は、問題に対処するべく効率及び費用対効果の観点から十分に開発されてこなかった。
【0006】
現在のエネルギシステムは、一般に、商業的に実行可能な夜間オフピークエネルギ貯蔵システムを欠く。実用用途のために電気を発生させる固体酸化物燃料電池システムは、一般に、天然ガスまたはメタンを水素のためのベース燃料として使用するように設計され、したがって、空気品質低下の一因となる。一体型電解システムは、費用効率の高い方法で水素を生成するために安価なオフピーク生成再生可能エネルギを使用するべく十分に開発されてこなかった。実用用途のための効率的で費用効率の高い電気エネルギを供給するために、先進の再生可能エネルギシステムとエネルギ貯蔵システムとの組み合わせを効果的に一体化する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、過酷な環境において、例えば再生型燃料電池の充電反応及び放電反応の両方において、動作安定性を示す、エネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムの必要性が更に存在する。また、水素発生反応(HERs)及び水素酸化反応(HORs)の両方を同じシステムで行なうことができるエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムの必要性も存在する。当該技術分野においては、低コスト、例えば低コスト反応生成物、高速応答時間、及び、許容できる寿命及び性能を有するエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムを提供することが望ましい。
【0008】
本開示は、後述するように明らかになる多くの利点を与える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一般に、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、過酷な環境において、例えば再生型燃料電池の充電反応及び放電反応の両方において、動作安定性を示す、電気化学システム、例えば、電気エネルギ源と再生型燃料電池システムを有する電気エネルギ貯蔵システムとの組み合わせに関する。また、本開示は、水素発生反応(HERs)及び水素酸化反応(HORs)の両方を同じシステムで行なうことができる電気化学システムに関する。本開示は、更に、低コスト、高速応答時間、並びに、許容できる寿命及び性能を有する電気化学システムに関する。
【0010】
本開示は、部分的には、エネルギ貯蔵システムとエネルギ源とを備える電気化学システムに関する。エネルギ貯蔵システムは、再生型燃料電池システムと、少なくとも1つの燃料貯蔵容器と、少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器とを備える。再生型燃料電池システムは、燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる。少なくとも1つの燃料貯蔵容器は再生型燃料電池システムと流体連通する。少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器は再生型燃料電池システムと流体連通する。再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、再生型燃料電池は、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するようにハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、第1の表面を陰極側に接続するために第1の表面に形成される陰極と、第2の表面を陽極側に接続するために第2の表面に形成される陽極とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒及び陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。エネルギ源は、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給するために再生型燃料電池システムに電気的に接続される。
【0011】
本開示は、部分的には、再生型燃料電池システム、反応生成物供給及び/または貯蔵装置、及び、生成物/燃料貯蔵装置を備える電気化学システムに関する。再生型燃料電池システムは、燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる。再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、再生型燃料電池は、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するようにハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、第1の表面を陰極側に接続するために第1の表面に形成される陰極と、第2の表面を陽極側に接続するために第2の表面に形成される陽極とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒及び陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0012】
反応生成物供給及び/または貯蔵装置は再生型燃料電池システムと流体連通する。反応生成物供給装置は、燃料電池モードで再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ余剰反応生成物を供給し、それにより、再生型燃料電池システムを燃料電池モードで動作させるために必要とされる燃料を超える燃料が電解モードで発生される。反応生成物貯蔵装置は、燃料電池モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ供給されるべき余剰反応生成物を貯蔵する。
【0013】
生成物/燃料貯蔵装置は再生型燃料電池システムと流体連通する。装置は、随意的に、電解モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生される余剰燃料を電気化学システムから除去する。生成物/燃料貯蔵装置は、電解モードの充電反応及び燃料電池モードの放電反応からの生成物及び余剰燃料を貯蔵する。
【0014】
本開示は、部分的には、再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法に更に関する。方法は、再生型燃料電池システムと、少なくとも1つの燃料貯蔵容器と、少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器とを備えるエネルギ貯蔵システムを用意するステップを備える。再生型燃料電池システムは、燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる。少なくとも1つの燃料貯蔵容器は再生型燃料電池システムと流体連通する。少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器は再生型燃料電池システムと流体連通する。
【0015】
方法は、燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるために燃料電池モードで、及び、反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させるために電解モードで再生型燃料電池システムを周期的に動作させるステップを更に備える。再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、再生型燃料電池は、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するようにハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、第1の表面を陰極側に接続するために第1の表面に形成される陰極と、第2の表面を陽極側に接続するために第2の表面に形成される陽極とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒及び陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0016】
また、方法は、電気エネルギを、再生型燃料電池システムに電気的に接続されるエネルギ源から、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ供給するステップを更に備える。
【0017】
また、本開示は、部分的には、再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法に関する。方法は、燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるために燃料電池モードで、及び、反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させるために電解モードで再生型燃料電池システムを周期的に動作させるステップを備える。再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、再生型燃料電池は、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するようにハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、第1の表面を陰極側に接続するために第1の表面に形成される陰極と、第2の表面を陽極側に接続するために第2の表面に形成される陽極とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒及び陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0018】
方法は、燃料電池モードで再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ余剰反応生成物を供給し、それにより、再生型燃料電池システムを燃料電池モードで動作させるために必要とされる燃料を超える燃料が電解モードで発生されるようにするステップを更に備える。
【0019】
また、方法は、電解モードの充電反応及び燃料電池モードの放電反応からの生成物及び余剰燃料を貯蔵するステップを更に備える。
【0020】
本開示の更なる目的、特徴、及び、利点は、以下の図面及び詳細な説明を参照することにより理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】様々なエネルギ源とエネルギ貯蔵システムとの統合及び配電網との給電関係を示す電気化学システムの概略図である。
【図2】機械的に直列に接続される燃料電池積層体の概略図である。
【図3】電気的に直列に接続される燃料電池積層体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、電気化学システム、例えば、電気エネルギ源と再生型燃料電池システムを有する電気エネルギ貯蔵システムとの組み合わせに関する。電気化学システムは、燃料電池技術において高電力を達成することができ、例えば、約1ワット未満から約1MWを超える範囲の電力を供給することができる一方で、低コスト反応生成物の実現に起因して低コスト貯蔵価格を達成できる。容量(エネルギ)を多くの形態に合わせて約1Wh未満から約10MWhを超える範囲で調整することもできる。本開示の電気化学システムは高速応答時間も示す。
【0023】
本開示の電気化学システムは、燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる再生型燃料電池システムを含む。また、システムは、再生型燃料電池システムと流体連通する反応生成物供給及び/または貯蔵装置を含むこともできる。更に、システムは、再生型燃料電池システムと流体連通する燃料除去及び/または貯蔵装置を含むこともできる。
【0024】
反応生成物供給装置は、燃料電池モードで再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ反応生成物を供給できるようになっている。反応生成物貯蔵装置は、燃料電池モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ供給されるべき反応生成物を貯蔵できるようになっている。
【0025】
随意的な燃料除去装置は、電解モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生された燃料を電気化学システムから除去できるようになっている。燃料貯蔵装置は、電解モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生された燃料を貯蔵できるようになっている。
【0026】
燃料貯蔵装置及び反応生成物貯蔵装置は、任意の適したガス、液体、または、固体貯蔵装置を備えてもよい。これらの装置は、バルブによって開閉されるガスタンクまたは液体タンクを備えるのが好ましい。
【0027】
燃料電池の再生動作は、燃料電池システム外で使用するための燃料を生成するために、単なるエネルギ貯蔵の域を越えて適用され得る。再生型燃料電池は、電気エネルギを可逆的に貯蔵するために使用される。電気エネルギが貯蔵システムから必要とされると、燃料電池が燃料電池モードまたは放電モードで動作する。このモードでは、燃料が燃料電池内で酸化されて、電気が発生され、また、必要に応じて反応生成物の一部または全部が貯蔵される。その後、システムは、電解モードまたは充電モードにおいて再充電される。このモードでは、システムは、電力を燃料電池へ供給することによって再充電され、貯蔵された及び/または供給された反応生成物が電解され、その結果、燃料が再生される。再生された燃料及び随意的には再生された酸化剤は、貯蔵されるとともに、燃料電池モードでのエネルギ発生のために利用できる。システムは、任意の適した数のサイクルにわたって燃料電池モードと電解モードとの間で動作を周期的にあるいは交互に切り換える。燃料を再生するために必要とされるよりも多くの電気エネルギ及び反応生成物が所定数の動作サイクルにわたって再生型燃料電池へ供給される場合には、これらのサイクルの一部または全ての間、電解モード中に余剰のあるいは更なる燃料を発生させることができる。言い換えると、システムが電解モードで動作するときには、燃料電池モードでシステムを動作させるために必要とされる燃料よりも多くの燃料が発生される。この余剰燃料は、エネルギ貯蔵システム外で使用できる。
【0028】
例示として、エネルギ源は、導管を介して、エネルギ貯蔵システムに接続される。エネルギ貯蔵システムは、導管を介して、エネルギ消費部に接続される。エネルギ貯蔵システムは、必要に応じて、必要とされる電力を常にあるいは所定の時間にエネルギ消費部へ供給する。消費部へ供給されるエネルギは、エネルギ源またはエネルギ貯蔵システムまたはこれらの2つの組み合わせによってもたらされる。そのようなシステムは、エネルギ消費部によって引き出される電力の量を、エネルギ源から引き出されるエネルギの量から分離する。
【0029】
エネルギ源の例としては、配電網、発電機、及び、再生可能エネルギ源が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい再生可能エネルギ源としては、太陽電池アレイなどの太陽光電源、風力タービンなどの風力源、海洋潮、潮汐、または、湖流の力から電力が発生される潮力発電源、及び、地熱から電力が発生される地熱発電源が挙げられる。
【0030】
エネルギ貯蔵システムは、本明細書中で更に十分に説明される再生型燃料電池システムである。エネルギ消費部の例としては、居住世帯、工場、病院、及び、オフィスビルなどの商業建築物、副配電網、及び、遠隔送信器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
エネルギ貯蔵システムは、一般に、電解モードでエネルギ消費部へ供給されるものよりも多くの電力をエネルギ源から引き出し、更なる電力が再生燃料の形態で貯蔵される。燃料電池モードにおいて、エネルギ貯蔵システムは、エネルギ源から消費部へ供給される電力に代えてあるいは加えて、電力またはエネルギを消費部へ供給する。
【0032】
エネルギ貯蔵システムは、電力管理システム、再生型燃料電池システム、随意的な燃料貯蔵装置、及び、随意的な反応生成物貯蔵装置を含む電気化学システムであることが好ましい。また、エネルギ貯蔵システムは、電気接続導管またはワイヤ、並びに、燃料及び反応生成物が再生型燃料電池システムと燃料貯蔵装置及び生成物貯蔵装置のそれぞれとの間を通過できるようにする燃料導管及び反応生成物導管も含む。
【0033】
電力管理システムは、コンピュータまたはマイクロプロセッサなどの任意の適した制御装置であってもよく、また、電力ストリームを経路付ける方法を決定する論理回路を含むことが好ましい。電気エネルギ源からのエネルギを、電気エネルギ消費部へ十分に方向付けることができ、再生型燃料電池システムへ十分に方向付けることができ、あるいは、電気エネルギ消費部と再生型燃料電池システムとの間で分配することができる。また、電気エネルギを元の電気エネルギ源へ送り戻すこともでき、これは、例えば電気エネルギ源が配電網である場合に適用できる。電力管理システムは、電力がどこから電気エネルギ消費部へ供給されるのかも制御する。電力は、電気エネルギ源から、再生型燃料電池システムから、または、これらの組み合わせから供給することができる。
【0034】
再生型燃料電池システムは1つ以上の再生型燃料電池を備えてもよい。再生型燃料電池は、燃料電池モードでは反応生成物及び電気エネルギまたは電力を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料を発生させる単一の電気化学装置である。
【0035】
再生型燃料電池システムは、再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備えることができる。再生型燃料電池は、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するようにハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、第1の表面を陰極側に接続するために第1の表面に形成される陰極と、第2の表面を陽極側に接続するために第2の表面に形成される陽極とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒、及び、陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっており、また、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0036】
再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備えることもでき、積層体は、溶液区画または電解質区画と、ガス区画と、溶液区画または電解質区画とガス区画との間に配置される膜電極アセンブリ(MEA)とを備える。膜電極アセンブリ(MEA)は、陰極と、陽極と、陰極と陽極との間に配置される固体電解質膜とを備える。陰極がガス区画に面し、陽極が溶液区画または電解質区画に面する。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒、及び、陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっており、また、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0037】
再生型燃料電池システムは再生型燃料電池の1つ以上の積層体を更に備えることもでき、積層体は、陰極と、陽極と、陰極と陽極との間に配置される固体電解質膜とを備える。陰極は支持体を備えるとともに、陰極には触媒が分散される。陽極は支持体を備えるとともに、陽極には随意的に触媒が分散される。陰極に分散される触媒、及び、陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっており、また、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、電流を発生させるために燃料と酸化剤との間の反応を触媒することができる。
【0038】
本開示の電気化学システムで役立つ反応生成物または電解質は、ハロゲン酸、ハロゲン酸と鉄塩とその共役酸との混合物、または、鉄塩とその共役酸との混合物を含む。本開示のエネルギ貯蔵及び発生システムで役立つガスは水素を含む。
【0039】
ハロゲン−水素再生型燃料電池において、反応生成物または電解質は、ハロゲン酸またはハロゲン酸の混合物から成る。ハロゲン分子を帯電させると(電解モード)、ハロゲン正極に(使用される酸のタイプ及びその濃度に応じて)三価及び五価の錯イオンが生じる。
【0040】
例えば、高濃度のHBrが使用されると、酸化生成物は、主要生成物としてのBr3−、低濃度のBr5−イオン、及び、低濃度の溶解臭素分子である。ハロゲン酸の混合物を使用すると、例えばClBr、Br、IBrなどの錯体の混合物を形成することができる。
【0041】
これらのイオン及び溶解ハロゲン分子は、放電時にプラス電極から電子を受け入れてハロゲン酸(HX)へと逆戻りする酸化化合物である。本開示のエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムで使用されるべき特定のハロゲン酸は、最終使用用途によって決まる。例えば、HClはHBr及びHIと比べて高い蒸気圧を有するが、塩化水素系電池は更に高い電圧を有する。電解質粘度を高めるためにリン酸などの受動酸(すなわち、電池反応に関与しない酸)を加えることができる。これにより、プロトン伝導性へほとんど影響を及ぼすことなく、水素電極へクロスオーバーするハロゲン化物錯体イオンが減少する。他の受動酸としては、電解質伝導性を高めるために付加され得る硫酸またはトリフルオロメタンスルホン酸が挙げられる。
【0042】
例えば、水素−三臭化物再生型燃料電池では、水素−三臭化物燃料電池及び電解槽が臭素電極と水素電極とから成り、これらの電極間にはプロトン伝導膜がある。全ての電池構成要素、特に電極は、臭素及び臭化水素酸による腐食に耐えることができなければならない。
【0043】
水素−三臭化物再生型燃料電池反応(放電)は数1によって与えられる。
【数1】

【0044】
数2に示されるネルンスト式によって与えられる可逆電池電圧から分かるように、水素−臭素電池電圧は、HBr活性の増大に伴って減少するとともに、H圧力及びBr活性に伴って増大する。
【数2】

ここで、Eは、実際には、Br/Br電極(1.088V対規定水素電極(NHE))の標準電位である。
【0045】
臭素錯体の形成は0.1V未満だけEを減少させる。3〜7M HBrを含むナノポーラスプロトン伝導膜(NP−PCM)に基づく十分に充電された再生型水素−臭素燃料電池における室温での実験的な出力回路電圧(OCV)値は約1Vである。
【0046】
臭素は水成電解質中で非常に溶けやすい。水中での臭素の溶解度は、Br及びBrのような錯イオンの形成の結果としての臭化物の存在下で増大する。例えば、25℃における1M HBr中での臭素の溶解度は1.495モル/リットルであり、一方、3.1M NaBr中では溶解度が6.83Mである(部分的には、Brのような高次の錯体の形成に起因する)。溶液の色は、低い臭素(または、三臭化物)濃度では黄色であり、高い臭素(または、三臭化物)濃度では深紅である。405nmにおける臭素ガスのモル吸光係数は162であり、393nmにおける臭素水溶液におけるモル吸光係数は164である。
【0047】
臭素及び臭化物の存在下での三臭化物イオンの形成は、数3によって与えられる高速反応である。
【数3】

【0048】
25℃でのこの反応における平衡定数は17である。結果として、3〜7M HBrを含む電解槽及び実用的な燃料電池では、臭素の大部分が三臭化物イオンとして(一部は五臭化物イオンとして)存在し、遊離臭素の濃度が低い。例えば、25℃では、3M HBr及び1M Brの溶液中で、Br及びBrの濃度(臭素濃度を更に減少させる五臭化物イオンの形成を無視する)はそれぞれ0.97M及び0.03Mである。
【0049】
水素−臭素燃料電池では、臭素電極で2つの主要な併発反応が存在する(数4、5)。
【数4】

【数5】

【0050】
従って、高いHBr濃度を伴う実用的な燃料電池では、遊離臭素の濃度が三臭化物イオンの濃度よりもかなり低いため、数4の反応が主流になることが予期される。この(及び同様の)再生型燃料電池において、Br及びBrなどの酸化種は、水素電極へクロスオーバーするとともに、再生型燃料電池性能を低下させる。これは、このクロスオーバーをかなり減少させるナノポーラスプロトン伝導膜などの選択膜を使用することによって減らすことができる。臭素(Br)濃度を下げるため、あるいは、その分子サイズを増大させるため、N−エチルピロリジニウム臭化物、N−メチルピロリジニウム臭化物、N−クロロエチルピロリジニウム臭化物、N−クロロメチルピロリジニウム臭化物などの有機化合物を低濃度で錯体に対して使用できる。しかしながら、水素電極に支障を来さない有機化合物を選定することが必要である。また、添加剤濃度は、相分離を回避するために十分に低くなければならない。
【0051】
鉄−水素再生型燃料電池では、複数の鉄配位子を得るために、反応生成物または電解質が、鉄塩及び共役酸または異なる鉄塩とそれらの共役酸との混合物から成る。Fe(III)/Fe(II)レドックス対における電荷移動プロセスは内圏プロセスであり、したがって、電荷移動速度は、鉄錯体の性質及びその電気化学特性に大きく依存する。異なる配位子の存在下で、Fe(III)イオン及びFe(II)イオンは、溶液中で自由イオンまたは錯体の形態を成す可能性があり、そのため、最適な電解質組成を選択する際、及び、各組成ごとに最適な動作状態を選択する際には、難題がある。電池反応は、一塩基酸に関しては数6aで与えられ、二塩基酸に関しては数6bで与えられる。
【数6a】

【数6b】

【0052】
本開示のエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムにおいて有用な例示的な鉄塩及び共役酸としては、以下が挙げられる。
【表1】

【0053】
異なる配位子、酸、及び、濃度は、再生型燃料電池特性に影響を与える場合があり、異なる用途への解決策を与える。例えば、Fe(SO及びHSOの使用は、より高い作動電位をもたらす場合があり、また、FeClHCLの使用は、より高い濃度で機能できるようにする場合がある。
【0054】
互いに直接に電気的に直列に接続される燃料電池積層体及び導電性電解質を扱うときには、積層間で分流を生み出すことができる。燃料電池積層体中で見出される分流のように、これらの電流は、エネルギ貯蔵・発生システムの効率を低下させる化学反応を引き起こす。
【0055】
燃料電池積層体を電気的に直列に接続すると、導電性電解質を燃料電池積層体へ供給する入口マニホールド及び出口マニホールドに分流が発生する可能性がある。より多くの燃料電池積層体が直列に接続されると、主な入口供給チューブ及び出口供給チューブ内で生み出される電位が更に高くなる。分流は、2つの異なる方法で、すなわち、機械的にあるいは電子的に減らすことができる。
【0056】
本開示の反応生成物供給及び/または貯蔵装置は、(i)再生型燃料電池の1つ以上の積層体中への電解質の供給のために、電解質供給入口開口と、再生型燃料電池の1つ以上の積層体から外部へと電解質供給入口開口から延在して、電解質を保持するのに適する少なくとも1つの容器と流体連通する電解質供給ラインとを備えるとともに、(ii)再生型燃料電池の1つ以上の積層体からの電解質の除去のために、電解質排出出口開口と、再生型燃料電池の1つ以上の積層体から外部へと電解質排出出口開口から延在して、電解質を保持するのに適する少なくとも1つの容器と流体連通する電解質排出ラインとを備えることができる。
【0057】
電解質供給入口開口に隣接する電解質供給ラインの少なくとも一部はコイル状形態を有し、また、電解質排出入口開口に隣接する電解質排出ラインの少なくとも一部はコイル状形態を有する。コイル状形態を有する電解質供給入口開口に隣接する電解質供給ラインの少なくとも一部の直径及び長さ、及び、コイル状形態を有する電解質排出入口開口に隣接する電解質排出ラインの少なくとも一部の直径及び長さは、同じであってもよく、あるいは、異なってもよい。
【0058】
本開示のエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムで有用な再生型燃料電池の積層体は機械的に直列に接続される。図2は、機械的に直列に接続される燃料電池積層体を示している。図2は、電気的に直列15に接続される4つの燃料電池積層体10を示している。各燃料電池積層体の入口20及び出口25を主な供給パイプ30(電解質入口ライン)及び排出パイプ35(電解質出口ライン)に直接に接続する代わりに、長い小径チューブ40が付加される。チューブ40はコイル状形態であることが好ましい。このチューブ40は、直列のイオンレジスタを燃料電池積層体10に加えるとともに、イオン溶液の正味オーム抵抗を増大させるのに役立ち、それにより、分流に起因する損失が減少される。各燃料電池積層体10と入口ライン30との間で延在するチャネルは、同じ燃料電池積層体10から出口ライン35へと延在するチャネルよりも長く引き出されるが、これは実際には必ずしもそうである必要はなく、多くの実施形態において、これらのチャネルは所定の燃料電池積層体10において同じ長さを有する。チューブ40の直径及び長さの簡略化された推定値を以下の方法で表わすことができ、また、チューブのパラメータは以下の数式に適合すべきである。
V(ボルト)−直列に接続される積層体の配列の全電圧
I(アンペア)−各積層体の動作電流
L(%)−システムにおける分流損失の許容パーセンテージ
IL(アンペア)−分路による電流損失=I×L
R(オーム)−チューブイオン抵抗=V/IL
S(オーム/cm)−溶液抵抗
D(cm)−チューブ直径
X(cm)−チューブ長さ
【数7】

【0059】
配列中の各燃料電池積層体の入口チューブ及び出口チューブの長さは、配列にわたって全て同じである必要はない。異なる手法を使用することもでき、例えば、配列の中央の積層体が最も短い入口チューブ及び出口チューブを有し、各燃料電池積層体におけるチューブの長さが、配列の側部へ移動するにつれて増大される。
【0060】
3つの燃料電池積層体を機械的に直列に接続するためのチューブ計算の一例が以下に与えられる。
【表2】

【0061】
基準ケースの場合、上記の同じ数式を使用するが、たった1mの長さしか有さない接続チューブをとると、分流による電流損失が4.6アンペアまで増大し、これは全電流のほぼ4%である。
【0062】
機械的なチューブにわたる分流を排除するために電子機器を使用すると、システムチューブの複雑さを低減でき、システムを更にコンパクトにすることができるとともに、最適な出力電圧を得るために燃料電池積層体の任意の組み合わせを形成することができる。
【0063】
本開示のエネルギ貯蔵システム及びエネルギ発生システムで有用な再生型燃料電池の積層体は電子的に直列に接続できる。電子的に直列に接続される再生型燃料電池の積層体は、その出力に電気的に接続されない入力を有する電子器具によって接続され得る。電子器具は、例えば、DC/DC変換器またはDC/AC変換器を含むことができる。
【0064】
図3は、燃料電池積層体の電子的な直列接続を示している。図3は、分流が電子的に減少される場合の多くの燃料電池積層体10を概略的に示している。減少は、その出力(共通のグランド)に電気的に接続されない入力を有する電子器具、例えばDC/DC変換器20を介して燃料電池積層体10を互い15に対して接続することによって達成される。各燃料電池積層体は、主供給管(電解質入口ライン)25及び主排出管(電解質出口ライン)30に直接に接続される。
【0065】
例えばDC/DC変換器またはDC/AC変換器において、電流変換は、入力と出力(主にグランド)との間で電気的接続を伴うことなく誘導回路によって達成される。各燃料電池積層体は、入力と出力とが電気的に接続されないDC/DCまたはDC/ACまたは任意の他の電子部品に直接に接続される。各電子デバイスの出力は、配列から高い電圧出力を得るために直列に接続される。電気的絶縁装置の前に燃料電池積層体間の物理的な電気的接続を排除することにより、分流が主入口供給チューブ25及び主出口供給チューブ30で発生しない。
【0066】
本開示の電気化学システムは、ガスから腐食要素を減少させるあるいは排除するのに十分な触媒を含むガス清浄器を含むことができる。水素生成段階(エネルギ貯蔵ステップ)中に燃料電池から出るガス、及び、放電段階(エネルギ発生ステップ)中に消費されない余剰水素は、液体電解質から得られる腐食要素を含んでもよい。湿潤ハロゲン蒸気などのこれらの要素は、腐食性であり、より安全な貯蔵及びより容易な材料選択のために一般ガス流から排除されなければならない。
【0067】
腐食性のハロゲン蒸気を一般ガス流から排除するため、触媒マトリックスにわたる水素を伴うハロゲンの酸化が行なわれる。触媒マトリックスは、燃料電池の水素排ガス流上に位置する反応容器の内部に配置することができる。腐食性残留物を伴う水素は、反応容器入口に入って、腐食要素の反応が行なわれた後に容器出口を通じて出る。
【0068】
反応容器の内部に配置された触媒は、不活性触媒ビーズと、活性触媒粒子とを含む。不活性触媒ビーズは、シリカ(SiO)、カーボン粒子、または、アルミナ(Al)のような任意の多孔質材料から形成される。担持されたビーズの表面積は、約0.1〜350m/g、好ましくは約0.1〜100m/g、より好ましくは約0.1〜1m/gと様々になり得る。触媒粒径は、反応器にわたる所望の圧力損失によって決定される。従来の方法によって、例えば化学的な方法または物理的な方法によって、活性触媒を不活性ビーズに埋め込むことができる。不活性多孔質ビーズに対する活性触媒の充填は、約0.01〜5wt%、好ましくは約0.01〜1wt%、より好ましくは約0.4〜0.6wt%の範囲となり得る。不活性ビーズは、その性能を高めて、その耐久性を高めるために、疎水性材料、例えばポリテトラフルオロレエチレン(PTFE)またはポリビニリデンフルオライド(PVDF)と共に処理することができる。疎水性充填は、約1〜30wt%、好ましくは約10〜25wt%、より好ましくは約18〜20wt%と様々になり得る。
【0069】
一実施形態において、電解質及びガスは、本開示の電気化学システムで使用される1つ以上の燃料電池積層体中で異なる圧力に維持される。電解質圧力は、燃料電池積層体内のガス圧よりも低く維持されるのが好ましい。特に、減圧バルブと流体連通する圧力差コントローラは、燃料電池積層体内のガス圧と異なる電解質圧力を維持するのに十分な燃料電池積層体に入る電解質の圧力を制御するために使用され得る。
【0070】
本開示の一実施形態では、電解質圧力を燃料電池積層体内の水素圧力よりも低く維持することが望ましい。電解質における圧力よりも水素における圧力の方を高く維持すると、幾つかの利点が得られる。利点は、熱力学、動力学、耐久性、及び、安全性でありうる。例えば、熱力学に関しては、場合によって更に高い放電電圧を得ることができる。動力学に関しては、燃料電池の水素側が溶液側に対して過圧されるときに、より良好な物質移動及び活性化エネルギを得ることができる。耐久性に関しては、より高い水素圧力が、長時間にわたって水素電極疎水特性を維持するとともに、燃料電池の水素側からの水滴を排除するのに役立つ。安全性に関しては、燃料電池内のより高い水素圧力が、膜破裂または他の漏れの場合に電解質が燃料電池の水素側へクロスオーバーしないようにする。
【0071】
本開示は、少なくとも1つの貴金属を含む触媒組成を与える。触媒組成は、再生型燃料電池、例えば水素/臭素再生型燃料電池における充電反応及び放電反応を触媒することができる。また、触媒組成は、水素酸化還元反応及びハロゲン/ハロゲン化物酸化還元反応を触媒することもできる。更に、触媒組成は、水素発生反応(HERs)及び水素酸化反応(HORs)を触媒することができる。特に、触媒組成は、過酷な環境下で、例えばハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、HERs及びHORsを触媒することができる。
【0072】
燃料電池積層体に関して、本開示で有用な触媒組成としては、例えば、Ir、Ru、Pd、Pt、Mo、Re、Cr、Ta、Ni、Co、Fe及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態において、触媒組成としては、例えば、(PtRe)/M、(PdRe)/M、及び(PtM)/Irが挙げられ、ここで、Mは貴金属または遷移金属である。好ましくは、触媒組成としては、PtRe、PdRe、PtIr、PdIr、PtCr、PtRu、Pt/Ir/Ru、PtReCo、PtReMo、Ir/Ru、(PtRe)/Ir、(PtRu)/Ir、(PtReMo)/Ir、及び、(PtReCo)/Irが挙げられる。本開示で有用な触媒組成は、少なくとも1つの貴金属がカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持される触媒組成を含む。
【0073】
本開示で有用な触媒組成としては、貴金属、貴金属合金(例えば、他の貴金属、遷移金属、及び/または、他の元素と合金化される貴金属)、または、貴金属混合物(例えば、他の貴金属、遷移金属、及び/または、他の元素と混合される貴金属)が挙げられる。これらの触媒は、従来のPt触媒よりもHOR反応及びHER反応に対してより活性であるとともに、従来のPt触媒よりも三臭化物溶液中で安定であることが分かった。触媒は、プロトン交換膜燃料電池(PEMFCs)におけるHORのために使用できる。
【0074】
触媒組成は、当該技術分野において知られる従来の手順によって形成することができる。触媒を従来の物理的な特徴付け方法によって合成して特徴付けることができるとともに、触媒の活性を電気化学的に検査することができる。触媒をカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持することができる。触媒組成を例えば無電解堆積によってあるいはポリオール方法によって合成することができる。コアシェル構造(またはスキン構造)を有する本開示で有用な触媒組成は、当該技術分野において知られる従来の手順によって調製できる。
【0075】
本開示で有用な非担持触媒は、一般に、粒径が約26nm〜約53nmの範囲内にあるPd含有触媒を除いて、約2nm〜約8nmの範囲の粒径を有する。本開示で有用な担持触媒は、一般に約2nm〜約7nmの範囲の粒径を有する。Pt及びIrを含有する触媒の大部分は、白金、イリジウム、及び、それらの合金が豊富な外殻を有するスキン型構造を備える。一実施形態において、本開示はスキン型触媒を含む。スキン型触媒は、現場であるいは現場外で検査されるHTBFCsにおけるHER反応及びHOR反応において非常に活性で且つ安定であることが分かった。他の元素を伴うあるいは伴わない、Pt及びIr及びそれらの合金の部分単分子層、原子島、及び、1つ以上の単分子層を含む本開示で有用な触媒の耐久性は、非常に良好であることが分かった。何千もの充電−放電(HOR/HER)サイクルが、水素/臭素再生型燃料電池における本開示の触媒を利用して達成された。
【0076】
特に、コアシェル構造(または、スキン構造)を備える本開示で有用な触媒組成において、コア(または粒子)は低濃度のPtまたはPt合金を含むことが好ましい。Pt合金は、1つ以上の他の貴金属、例えばRu、Re、Pd及びIrを含むことができ、随意的に、1つ以上の遷移金属、例えばMo、Co及びCrを含むことができる。コアは、Ptが含まれていない金属または合金を備えてもよい。Ptが含まれていない金属は、1つ以上の貴金属、例えばRu、Re、Pd及びIrを含むことができる。Ptが含まれていない合金は、2つ以上の貴金属、例えばRu、Re、Pd及びIrを含むことができ、随意的に1つ以上の遷移金属、例えばMo、Co及びCrを含むことができる。シェル(またはスキン)は、貴金属、例えばPtまたはIr及びその合金の部分単分子層または原子島から1つ以上の層を備えることが好ましい。Pt合金及びIr合金は、1つ以上の他の貴金属、例えばRu、Re及びPdを含むことができ、随意的に1つ以上の遷移金属、例えばMo、Co及びCrを含むことができる。1つ以上の他の貴金属、例えばRu、Re及びPdは、Pt合金中及びIr合金中に少量存在することが好ましい。同様に、1つ以上の遷移金属、例えばMo、Co及びCrは、Pt合金中及びIr合金中に少量存在することが好ましい。本開示で有用な触媒組成は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池における充電反応及び放電反応を触媒することができる。
【0077】
カーボン粉末は、本開示で使用するのに適した触媒となることもできる。溶液電極における臭化物/三臭化物酸化還元反応においては、カーボン粉末自体がプロセス、還元、及び、酸化にとって有効な触媒であることが分かった。他の実施形態では、金属触媒を何ら伴うことなく溶液電極が使用されてもよい。
【0078】
本開示は、燃料電池の動作において有用な電極を提供する。本開示で有用な電極は陰極及び陽極を含み、陰極及び陽極はそれぞれ支持体を含むとともに、陰極及び陽極には触媒が分散される。陽極は、触媒を伴わなくてもよく、例えばカーボンだけであってもよい。電極は、本明細書中に記載されるプロセスによってあるいは当該技術分野において知られる従来の手順によって形成することができる。
【0079】
電極に分散される触媒は、一般に、Pt、Ir、Pt合金、及び、他の元素を伴うあるいは伴わないIrのナノ粒子(好ましくは2〜5nm)である。しかしながら、高価な貴金属のコストを節約するために、例えばNi、Fe、Co、IrまたはRuなどの非貴金属系合金をコアとして使用できるとともに、それらを一般的な電気化学的なあるいは化学的なプロセスによって所要の貴金属触媒でコーティングすることができる。そのような触媒層の厚さは、1単分子層未満〜10単分子層であってもよい。
【0080】
本開示に係る電極は、多孔質であり、それらの多孔率及び疎水性を制御するようになっているプロセスによって形成される。例えば、電極は、カーボン粉末、高分子結合剤、及び、場合により孔形成剤を備える懸濁液でカーボン担持体(例えば、市販のカーボン布またはカーボン紙)をコーティングすることによって製造することができる。懸濁液は、随意的に、金属触媒の粉末を備えることができる。溶液電極の場合には、金属触媒は随意的であり、一方、水素電極の場合には、金属触媒が必要とされる。本明細書中では、懸濁液(触媒を伴うあるいは伴わない)が「インク」と称される。懸濁液は、数時間にわたって混合されて、カーボン担持体に塗布されるとともに、随意的に乾燥及び加熱によって凝固された後、例えば溶剤及び/または水を用いて洗浄されて孔形成剤が除去され、それにより、孔が残される。結果として得られる層は、微孔層または拡散層と呼ばれるとともに、ガス側ではガス拡散層(GDL)と呼ばれる。本開示に係る再充電可能な燃料電池と共に使用される電極は、約30%〜約80%(vol/vol)の多孔率を有する。好ましくは、約40%〜約80%(vol/vol)の多孔率が都合の良い効率的な電極を与える。
【0081】
一実施形態において、燃料電池は、充電モード及び放電モードのために同じ電極を使用する。そのような実施形態において、燃料電池は、一般に、溶液区画、水素区画、及び、これらの区画間を接続する膜電極アセンブリを有する。電極は、異なるタイプの燃料電池で使用され得るとともに、好ましくは再生型燃料電池、例えば水素/臭素再生型燃料電池で使用される。
【0082】
多孔質電極は、反応物質及び/または生成物がガス(HTBFCの場合にはH)であることによって特徴付けられるガス拡散層と、高分子結合剤、例えばPVDF(ポリビニリデンフルオライド)及びナフィオン(商標)高分子などのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)イオノマーと混合された非常に分散された触媒粉末を有する触媒層とを備えることができる。反応は、ガス及び液体電解質が固体触媒表面上で反応する三相域で起こり得る。
【0083】
本開示で有用な陰極及び陽極は、触媒層と多孔質バッキング層とを備えることができる。陰極で使用される好ましい触媒は、例えば、ナノサイズのPt−Ir合金粉末である。陽極で使用される好ましい触媒は、例えば、陰極で使用されるものと同じナノサイズのPt−Ir合金粉末である。陽極は、触媒を伴わなくてもよく、例えばカーボンだけであってもよい。コアシェル構造(または、スキン構造)触媒は、他の元素を伴うあるいは伴わない、貴金属、例えばPtまたはIr及びその合金の部分単分子層、原子島、及び、1つ以上の層を含む。コアシェル構造(または、スキン構造)触媒で使用されるそのような合金において、白金またはイリジウムと金属との間の比率(Pt:MまたはIr:M原子比率)は約1:10〜約10:1である。
【0084】
バッキング層はカーボンから形成されるのが好ましい。このバッキング層は、多孔質であり、担持のために使用されると同時に、ハウジングと触媒粉末との間にそれ自体で膜に接続される電気接点を形成するために使用される。
【0085】
長い動作の結果として、触媒粒子と担持カーボンマトリックスとの間の結合が損なわれ、それにより、燃料電池が劣化する。それを考慮して、本開示では、ナノサイズ触媒をナノサイズセラミック粉末に結合した後に、得られた粒子をカーボンバッキング層及びプロトン伝導膜(PCM)に結合することが提案される。これを行なうための良好な方法は、良く知られる商業的に利用できる無電解プロセスを使用することである。このプロセスによれば、第1のステップにおいて、所定量の触媒塩を含む溶液中に粉末を浸漬することにより(PtCl、RuCl等のような)触媒塩の最大で1つの単分子層がナノサイズケイ酸粉末に吸着される。その後、第2のステップでは、セラミック粉末の表面に結合される触媒の最大で1つの単分子層を形成するために、ホルムアルデヒド、メタノール、ギ酸、または、次亜リン酸塩のような適切な量の還元剤が適したpH及び温度で加えられる。この単分子層は、更なる堆積のための核生成部位を与える。次に、最終的なサイズ及び構造の触媒粒子を形成するために、1または複数の触媒塩及び更なる還元剤が加えられる。陰極においては、Pt−Ru合金触媒層またはPt−Ir合金触媒層を形成すること、あるいは、1:10〜10:1の原子比率を伴うRu上のPtまたはIr上のPtのいずれかの2つの連続した層を形成することが好ましい。Sn、MoまたはNiのような他の元素を触媒層に加えて、反応速度を更に向上させることができる。陰極及び陽極のための触媒層は同じであっても異なっていてもよい。
【0086】
本開示で有用な陰極においては、触媒が少なくとも1つの貴金属を備える。触媒は、再生型燃料電池、例えば水素/臭素再生型燃料電池における充電反応及び放電反応を触媒することができる。また、触媒は水素酸化還元反応を触媒することもできる。更に、触媒はHERs及びHORsを触媒することもできる。特に、触媒は、過酷な環境下で、例えば酸または酸の混合物あるいはハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、HERs及びHORsを触媒することができる。
【0087】
本開示で有用な陰極において、触媒は、例えば、Ir、Ru、Pd、Pt、Mo、Re、Cr、Ta、Ni、Co、Fe及びこれらの混合物を含むことができる。一実施形態において、触媒組成としては、例えば、(PtRe)/M、(PdRe)/M、及び、(PtM)/Irが挙げられ、ここで、Mは貴金属または遷移金属である。好ましくは、触媒としては、PtRe、PdRe、PtIr、PdIr、PtCr、PtRu、Pt/Ir/Ru、PtReCo、PtReMo、Ir/Ru、(PtRe)/Ir、(PtRu)/Ir、(PtReMo)/Ir、及び、(PtReCo)/Irが挙げられる。本開示で有用な触媒は、少なくとも1つの貴金属がカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持される触媒を含む。
【0088】
本開示で有用な陰極において、支持体は、細孔表面を画定する複数の多孔質領域を備える。細孔表面には触媒が分散され、この場合、触媒が複数の多孔質領域の全体にわたって非連続的に分散されるようになっている。細孔表面上に分散される触媒は、複数の金属粒子を備える。複数の多孔質領域は、ナノ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm未満)、メソ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm〜50nm)、及び/または、マクロ多孔性(すなわち、平均孔径が50nmを超える)である。
【0089】
陰極支持体は、例えば、選択された孔径、深さ、及び、互いに対する距離を有する孔配列を含む無作為な及び規則正しい孔配列など、任意の数の孔及び孔径を有してもよい。本開示で有用な陰極支持体は、任意の数の想定し得る多孔率及び/またはそれに関連付けられる空隙を有することができる。
【0090】
陰極は、カーボン担持層、随意的にはガス拡散層、及び、触媒層を備えることができる。触媒層をカーボン担持層上にコーティングすることができる。ガス拡散層をカーボン担持層上にコーティングすることができ、また、触媒層をガス拡散層上にコーティングすることができる。また、触媒層を固体電解質膜上またはプロトン伝導膜上にコーティングすることもできる。
【0091】
本開示で有用な陽極において、触媒は、カーボン粉末を備え、及び/または、少なくとも1つの貴金属とカーボン粉末とを備える。陽極は、触媒を伴わなくてもよく、例えばカーボンだけであってもよい。触媒は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池、例えば水素/臭素再生型燃料電池における充電反応及び放電反応を触媒することができる。また、触媒はハロゲン/ハロゲン化物酸化還元反応を触媒することもできる。
【0092】
本開示で有用な陽極において、触媒は、例えば、良質なカーボン粉末、または、カーボン粉末上に堆積されあるいは混合されるIr、Ru、Pd、Pt、Mo、Re及びこれらの合金から成るグループから選択される少なくとも1つの触媒を含むことができる。一実施形態において、触媒組成としては、例えば、(PtRe)/M、(PdRe)/M、及び、(PtM)/Irが挙げられ、ここで、Mは貴金属または遷移金属である。好ましくは、触媒としては、PtRe、PdRe、Pt/Ir、Pd/Ir、Pt/Ru、(PtIr)/Ru、Ir/Ru、(PtRe)/Ir、及び、(PtRu)/Irが挙げられる。本開示で有用な触媒は、少なくとも1つの貴金属がカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持される触媒を含む。
【0093】
本開示で有用な陽極において、支持体は、細孔表面を画定する複数の多孔質領域を備える。細孔表面には触媒が分散され、この場合、触媒が複数の多孔質領域の全体にわたって非連続的に分散されるようになっている。細孔表面上に分散される触媒は、複数の金属粒子を備える。複数の多孔質領域は、ナノ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm未満)、メソ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm〜50nm)、及び/または、マクロ多孔性(すなわち、平均孔径が50nmを超える)である。
【0094】
陽極支持体は、例えば、選択された孔径、深さ、及び、互いに対する距離を有する孔配列を含む無作為な及び規則正しい孔配列など、任意の数の孔及び孔径を有してもよい。本開示で有用な陽極支持体は、任意の数の想定し得る多孔率及び/またはそれに関連付けられる空隙を有することができる。
【0095】
陽極は、カーボン担持層、随意的には微孔層、及び、随意的には触媒層を備えることができる。触媒層をカーボン担持層上にコーティングすることができる。微孔層をカーボン担持層上にコーティングすることができ、また、触媒層を微孔層上にコーティングすることができる。また、触媒層を固体電解質膜上またはプロトン伝導膜上にコーティングすることもできる。
【0096】
前述したMEAにおいて、陰極に分散される触媒及び陽極に分散される触媒は、水素酸化還元反応及びハロゲン/ハロゲン化物酸化還元反応を触媒することもできる。また、MEAにおいて、陰極に分散される触媒及び陽極に分散される触媒は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる。
【0097】
MEAにおいて、好ましい固体電解質膜は、本質的に30nmよりも小さい孔径を伴う孔を有するプロトン伝導膜である。固体プロトン伝導膜は、(i)良好な酸吸収能力を有する体積で5%〜60%の非導電性の本質的にナノサイズ粒子を備える無機粉末と、(ii)酸、酸素、及び、前記燃料に化学的に適合する体積で5%〜50%の高分子結合剤と、(iii)体積で10〜90%の酸または酸性水溶液とを備える。
【0098】
本開示で有用な燃料電池において役立つ固体プロトン伝導膜は、その全体が参照することにより本願に組み入れられる米国特許第6,447,943号及び第6,492,047号に記載されている。これらの膜で使用される高分子結合剤は、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スルホンアミド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(塩化ビニル)、アクリロニトリル、ポリ(フッ化ビニル)、Kel F(商標)、及び、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択される。
【0099】
固体プロトン伝導膜を形成するために使用される無機ナノサイズ粉末は、SiO、ZrO、B、TiO、Alや、Ti、Al、B、Zrの水酸化物及びオキシ水酸化物、及び、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択される。
【0100】
本開示で有用な燃料電池において役立つプロトン伝導膜は、酸または酸性水溶液も備える。酸が遊離形態で存在しない、例えば参照することによりその全体が本願に組み入れられる米国特許第5,599,638号に記載される固体電解質膜とは対照的に、ここに記載される固体電解質膜は、燃料電池で使用されると、膜の孔内に捕捉される遊離酸分子を含む。あるいは、固体電解質膜は、無機粉末に結合される酸性分子を含んでもよい。これらの孔の典型的な直径は、本質的に30nm未満であり、好ましくは20nm未満であり、より好ましくは3nm未満である。
【0101】
電池ハードウェアと両方の電極の触媒とに適合する多種多様な低蒸気圧酸を使用して特定の用途に適合させることができる。例えば、酸の以下のリストが与えられる。すなわち、ポリフルオロオレフィンスルホン酸、ペルフルオロオレフィンスルホン酸、ポリフルオロアリールスルホン酸、例えばポリフルオロベンゼンスルホン酸、ポリフルオロトルエンスルホン酸、または、ポリフルオロスチレンスルホン酸、ペルフルオロアリールスルホン酸、例えばペルフルオロベンゼンスルホン酸、ペルフルオロトルエンスルホン酸、または、ペルフルオロスチレンスルホン酸、最大で50%の水素原子またはフッ素原子が塩素原子に置換された同様の酸、CF(CFSOH、HOS(CFCHSOH、CF3(CFCHSOH、HOS(CFSOH(nは1〜9の値を有する整数)、ナフィオン(商標)イオノマー、HCl、HBr、リン酸、スルホン酸、及び、これらの混合物である。
【0102】
あるいは、固体電解質膜は、本質的に50nm未満、好ましくは3nm未満、より好ましくは1.5nm未満である典型的な直径サイズを有する孔を備えるプロトン伝導膜(PCM)である。
【0103】
本開示に係る更なる膜は、その全体が参照することにより本願に組み入れられる米国特許第6,811,911号に記載されるプロトン伝導マトリックスから形成されるフィルムである。イオン伝導性マトリックスは、(i)良好な水成電解質吸収能力を有する体積で5%〜60%の無機粉末と、(ii)水成電解質と化学的に適合する体積で5%〜50%の高分子結合剤と、(iii)体積で10〜90%の水成電解質とを備え、無機粉末は、ほぼサブミクロンの粒子、好ましくはサイズが約5〜約150nmの粒子を備える。本開示のマトリックスは、随意的に、マトリックス中の全ての成分と化学的に適合する約0.1%〜約25%の不揮発性液体潤滑剤を備えてもよい。
【0104】
本開示の好ましい実施形態によれば、無機粉末は、それが少なくとも10m/gの表面積を有するとともに水成電解質にとって良好な吸収能力を持つという点において特徴付けられる。
【0105】
本開示のPCMは、良好な機械的特性を有するプラスチックフィルムの一般的な外観を有する。PCMは、一般的には、実質的な破壊を生じることなく約180°まで曲げることができ、また、約10〜約1000ミクロン以上の範囲の厚さで調製することができる。PCMは、その安定性及び良好なイオン伝導率に起因して、ゼロ未満〜約150℃の広い温度範囲で使用できる。
【0106】
マトリックスが膜の調製を成す本開示の好ましい実施形態によれば、マトリックスに含まれる無機粉末は、好ましくは150nm未満の粒径を有する非常に細かい非導電性粉末である。この実施形態によれば、その内部に水成電解質が吸収されるPCM孔は非常に小さく、それらの孔の特徴的寸法は本質的に50nm未満である。
【0107】
使用される酸または水成電解質のための膜の吸収能力または保持能力は幾つかのパラメータによって決まり、そのようなパラメータの中には、無機粉末の組成及びタイプ、高分子結合剤、及び、溶解された酸または電解質のタイプがある。これらのパラメータの組み合わせは、生成物をそれぞれの用途ごとに合わせるために最適化されなければならない。そのような最適化を行なう間、無機粉末の含有量が最も高いと機械的な特性が低下するという事実について検討がなされなければならない。マトリックスの無機粉末含有量が増大すると、マトリックスの電解質保持特性が向上するが、同時に、マトリックスの機械的強度が低下する。一方、マトリックスの高分子結合剤が増加すると、マトリックスの強度が高まるが、マトリックスの湿潤性が低下し、したがって、伝導性の低いマトリックスとなる。
【0108】
本開示の更なる他の実施形態によれば、マトリックス湿潤性の向上、結果として、電解質保持の向上は、Al、Zr、B、Tiなどの多原子価金属塩を膜に加えることによって達成される。
【0109】
本開示の他の実施形態によれば、マトリックス湿潤性の向上、結果として、電解質保持の向上は、膜の生成前に酸または塩基を用いて無機粉末を前処理することによって達成される。
【0110】
また、本開示は、プロトン伝導膜(PCM)を生成するためのプロセスにも関連し、該プロセスは、(i)良好な酸吸収能力を有する体積で5%〜60%の非導電性の本質的にナノサイズ粒子を備える無機粉末と、(ii)酸、酸化剤、及び、燃料に化学的に適合する体積で5%〜50%の高分子結合剤と、(iii)体積で10〜90%の酸または酸性水溶液とを混合させるステップであって、混合が様々な速度段階で行なわれ、それにより、プロトン伝導性混合物が生成されるステップと、ロール紙上、不織マトリックス上、または、任意の他の塗布可能な材料上に常温でプロトン伝導性混合物を連続的に成形するステップと、成形されたプロトン伝導性混合物を100℃を超える温度で約5〜60分間にわたって乾燥させ、それにより、乾燥フィルムを形成するステップと、複数の乾燥フィルムを加圧下で互いに積層した後、乾燥フィルムの孔から孔形成剤を抽出し、それにより、30ナノメートル未満の平均孔径を有するプロトン伝導膜を形成するステップとを備える。
【0111】
本開示のPCMは、良好な酸吸着能力を有するナノサイズのセラミック粉末と、高分子結合剤と、ナノサイズ孔内に吸収される酸とを備える。このPCMは、再生型燃料電池(RFC)用途において特に有用である。
【0112】
PCMの主な構成要素は、高分子結合剤、無機ナノサイズ粉末、及び、酸性溶液または酸である。PCM孔の典型的な直径は、約1.5〜30nm、好ましくは3nmである。孔は遊離酸性分子で満たされ、これは、酸性電解質を使用するエネルギ貯蔵システムの用途(例えばRFC用途)における主な利点である。
【0113】
試薬(すなわち、粉末及び溶媒)は、溶液の品質を向上させて成形フィルムのより良い機械的特性及び物理的特性をもたらす添加剤と混合される。その後、溶液が機械的な塗工機を使用して流し込まれ、これは、より効率的なプロセスであるとともに、より均一なプロセスである。
【0114】
乾燥フィルムのうちの少なくとも2〜6個、好ましくは4個が互いに積層されるのが好ましい。混合ステップの様々な速度段階は、1〜5時間にわたって約100〜500rpmの混合速度で常温において混合すること、10〜20時間にわたって約400〜700rpmの混合速度で約30〜50℃の範囲の温度において混合すること、10〜20時間にわたって約100〜400rpmの混合速度で常温において混合すること、5〜30分間にわたって約30〜50℃の範囲の温度で脱気することを含む。プロトン伝導性混合物を連続的に成形するステップは、溶液を塗布するための塗工機を使用して、ロール紙、不織マトリックス、あるいは、キャリア担持体を圧延するための同様のロール上にわたって行なわれる。
【0115】
キャリア担持体はシリコン処理された紙であり、また、キャリア担持体の圧延速度はプロトン伝導性混合物の比重にしたがって設定される。
【0116】
乾燥フィルムは、約40〜60ミクロン、より好ましくは約50〜55ミクロンの厚さを有する。
【0117】
乾燥フィルムを積層するステップは、約5〜20kg/cmの範囲の圧力で約130〜150℃の範囲の温度において約3〜10分間にわたって行なわれるのが好ましい。
【0118】
プロセスは、混合前に少なくとも1つのレオロジー制御剤を加えるステップを更に備える。レオロジー制御剤は、SPAN80(一般的な化学的記述では、ソルビタンモノオレエート、C2444)及びZonyl(登録商標)FSN(一般的な化学的記述では、(CO)(CFFO、非イオン性フルオロ界面活性剤)から成るグループから少なくとも選択される。
【0119】
抽出ステップは、(a)孔形成剤をプロトン伝導膜の孔から除去するのに十分な時間にわたって孔形成剤を伴うプロトン伝導膜をエーテル/エタノール混合物中に浸漬するステップと、(b)任意の残存する孔形成剤及び他の溶媒を除去するためにステップ(a)からのプロトン伝導膜をエタノール中に浸漬するステップと、(c)孔からエタノールを除去するためにプロトン伝導膜を水中に浸漬するステップとを備える。
【0120】
エーテル/エタノール混合物は約1:9〜3:7の比率を有する。浸漬ステップ(a)は約1〜5時間にわたって行なわれる。浸漬ステップ(b)は約1〜5時間にわたって行なわれる。
【0121】
ポリフルオロアリールスルホン酸は、ポリフルオロベンゼンスルホン酸、ポリフルオロトルエンスルホン酸、及び、ポリフルオロスチレンスルホン酸から成るグループから少なくとも選択されるものである。ペルフルオロアリールスルホン酸は、ペルフルオロベンゼンスルホン酸、ペルフルオロトルエンスルホン酸、及び、ペルフルオロスチレンスルホン酸から成るグループから少なくとも選択されるものである。
【0122】
プロセスは、DBP(すなわち、フタル酸ジブチル)、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなど、あるいは、これらの任意の組み合わせから成るグループから選択される孔形成剤を更に備える。
【0123】
プロセスは、酸または酸性水溶液を回収するステップを更に備える。
【0124】
本開示で有用な燃料電池において使用されるPCMsは、良好なイオン伝導率を有しており、重金属不純物によって影響されず、100℃よりも高いあるいは0℃よりも低い温度であっても使用できる。
【0125】
本開示で有用なMEAsで使用されるナノポーラスプロトン伝導膜(NP−PCM)は、多孔質電極が溢れるのを防止する水管理を可能にする。これにより、そのような電極が、本開示で有用な燃料電池で用いるのに有利になる。
【0126】
MEAにおいて、陰極に分散される触媒は、水素酸化還元反応−HERs及びHORsを触媒することができる。また、陰極に分散される触媒は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、HERs及びHORsを触媒することができる。
【0127】
本開示で有用なMEAにおける陰極において、触媒は、例えば、Ir、Ru、Pd、Pt、Mo、Re、Cr、Ta、Ni、Co、Fe及びこれらの混合物を含むことができる。一実施形態において、触媒組成としては、例えば、(PtRe)/M、(PdRe)/M、及び、(PtM)/Irが挙げられ、ここで、Mは貴金属または遷移金属である。好ましくは、触媒としては、PtRe、PdRe、PtIr、PdIr、PtCr、PtRu、Pt/Ir/Ru、PtReCo、PtReMo、Ir/Ru、(PtRe)/Ir、(PtRu)/Ir、(PtReMo)/Ir、及び、(PtReCo)/Irが挙げられる。本開示で有用な触媒は、少なくとも1つの貴金属がカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持される触媒を含む。
【0128】
本開示で有用なMEAにおける陰極において、支持体は、細孔表面を画定する複数の多孔質領域を備える。細孔表面には触媒が分散され、この場合、触媒が複数の多孔質領域の全体にわたって非連続的に分散されるようになっている。細孔表面上に分散される触媒は、複数の金属粒子を備える。複数の多孔質領域は、ナノ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm未満)、メソ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm〜50nm)、及び/または、マクロ多孔性(すなわち、平均孔径が50nmを超える)である。
【0129】
陰極支持体は、例えば、選択された孔径、深さ、及び、互いに対する距離を有する孔配列を含む無作為な及び規則正しい孔配列など、任意の数の孔及び孔径を有してもよい。本開示で有用な陰極支持体は、任意の数の想定し得る多孔率及び/またはそれに関連付けられる空隙を有することができる。
【0130】
MEAにおいて、陽極に分散される触媒は、ハロゲン/ハロゲン化物酸化還元反応を触媒することができる。
【0131】
本開示で有用なMEAにおける陽極において、触媒は、例えば、良質なカーボン粉末、または、カーボン粉末上に堆積されあるいは混合されるIr、Ru、Pd、Pt、Mo、Re及びこれらの合金から成るグループから選択される少なくとも1つの触媒を含むことができる。一実施形態において、触媒組成としては、例えば、(PtRe)/M、(PdRe)/M、及び、(PtM)/Irが挙げられ、ここで、Mは貴金属または遷移金属である。好ましくは、触媒としては、PtRe、PdRe、Pt/Ir、Pd/Ir、Pt/Ru、(PtIr)/Ru、Ir/Ru、(PtRe)/Ir、及び、(PtRu)/Irが挙げられる。本開示で有用な触媒は、少なくとも1つの貴金属がカーボン粉末上またはセラミック粉末上に担持される触媒を含む。
【0132】
本開示で有用なMEAにおける陽極において、支持体は、細孔表面を画定する複数の多孔質領域を備える。細孔表面には触媒が分散され、この場合、触媒が複数の多孔質領域の全体にわたって非連続的に分散されるようになっている。細孔表面上に分散される触媒は、複数の金属粒子を備える。複数の多孔質領域は、ナノ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm未満)、メソ多孔性(すなわち、平均孔径が2nm〜50nm)、及び/または、マクロ多孔性(すなわち、平均孔径が50nmを超える)である。
【0133】
陽極支持体は、例えば、選択された孔径、深さ、及び、互いに対する距離を有する孔配列を含む無作為なあるいは規則正しい孔配列など、任意の数の孔及び孔径を有してもよい。本開示で有用な陽極支持体は、任意の数の想定し得る多孔率及び/またはそれに関連付けられる空隙を有することができる。
【0134】
再生型燃料電池において、陰極に分散される触媒及び陽極に分散される触媒は、水素酸化還元反応及びハロゲン/ハロゲン化物酸化還元反応を触媒することもできる。また、再生型燃料電池において、陰極に分散される触媒及び陽極に分散される触媒は、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、再生型燃料電池における充電反応及び放電反応を触媒することができる。
【0135】
本開示で有用な再生型燃料電池で使用されるナノポーラスプロトン伝導膜(NP−PCM)は、多孔質電極が溢れるのを防止する水管理を可能にする。これにより、そのような電極が、本開示で有用な燃料電池で用いるのに有利になる。
【0136】
一般に、所望のレベルの電力を生成するために、単一の電池が燃料電池積層体へと組み合わされる。
【0137】
水素/臭素(三臭化物)再生型電気化学電池は、ピークシェービング、負荷管理、及び、他の新興分散型実用用途などのエネルギ貯蔵用途にうまく適する。再生型水素/臭素電池は、臭化水素を水素と三臭化物とに電解する際に電気を消費するとともに幾らかの臭素反応物質を貯蔵化学エネルギとして消費することよって電気エネルギ貯蔵を容易にする。水素及び三臭化物は、その後、電池内で電気化学的に反応され、電気エネルギが生成される。そのため、電池は、反応物質を生成して電気を消費する電解電池としてあるいは反応物質を消費して電気を生成する燃料電池としてそれが効率的に動作できるという点において再生型(可逆的)である。電池は、電気と化学エネルギとを交換する。
【0138】
水素/三臭化物再生型電気化学電池は幾つかの利点を与え、例えば、水素電極及び臭素電極は完全に可逆的であり、非常に高い電気間効率を可能にする。化学物質発生及び電気発生の両方のために同じ電極を電解触媒として使用でき、したがって、両方の機能のために同じ電池を使用できる。電池は、充電モード及び放電モードの両方において高い電流密度及び高い電力密度で動作でき、資本コストが低減される。化学物質発生及び電気発生のための反応物質は電池とは別個に貯蔵され、そのため、ピーキング及び負荷平準化(例えば、週に一度のサイクル)の両方において電池の費用効率が高くなり、また、低コスト容量(kWh)が増大する。
【0139】
水素/三臭化物サイクルのための電気化学反応が充電モード及び放電モードで起こる。充電中、臭化水素が水素及び三臭化物(少量の臭素を伴う)へと電解される。これらの流体は、その後、電気化学電池の外側に別々に貯蔵される。全ての反応物質が電池の外部に貯蔵されるため、電力及びエネルギの貯蔵のための独立したサイズ設定が明確な利点となる。放電中、水素及び三臭化物の溶液が電池へ供給され、該電池で溶液が電気化学的に反応して、電力及び臭化水素が生成される。
【0140】
充電中(電解中)、高濃度の臭化水素酸が電解されて、三臭化物がプラス電極に形成される。水和プロトンが膜を横切って運ばれ、水素ガスがマイナス電極に形成される。充電モード中に形成される水素及び三臭化物は電池の外部に貯蔵され、また、それらは放電(燃料電池)モード中に電池へフィードバックされ、電気エネルギが生成される。
【0141】
溶液中で利用できる少量の可溶性遊離臭素及び三臭化物種の量は、水素/三臭化物燃料電池におけるプラス電極の放電容量を定める。多量の三臭化物は、通常、全体の燃料電池容量を最大にするために望ましい。
【0142】
本開示で有用な燃料電池で使用されるナノポーラスプロトン伝導膜(NP−PCM)は、多孔質電極が溢れるのを防止する水管理を可能にする。これにより、そのような電極が、本開示で有用な燃料電池で用いるのに有利になる。
【0143】
本開示で有用な燃料電池で役立つ燃料は、従来の材料であり、例えば、水素及びアルコールを含む。本開示で有用な燃料電池で役立つ酸化剤は、従来の材料であり、例えば、酸素、臭素、塩素、及び、二酸化塩素を含む。
【0144】
エネルギ貯蔵システムの動作に関して、電気エネルギ源からの電力は、1つ以上の導管を通じて、電力管理システムへ入る。再生型燃料電池システムが燃料電池モードで動作して電気エネルギを与えると、燃料が燃料貯蔵装置から燃料導管を介して再生型燃料電池システムへ供給される。再生型燃料電池システムでは、燃料の化学エネルギが電気エネルギへと変換され、その後、電気エネルギが電力管理システムへ供給される。随意的に、再生型燃料電池システムからの反応生成物の全てあるいは一部が反応生成物導管を介して生成物貯蔵装置へ送られる。貯蔵されない生成物は解放される。
【0145】
再生型燃料装置システムが電解モードで動作すると、電力管理システムからの電気エネルギが再生型燃料電池システムへ供給されるとともに、生成物貯蔵装置からの及び/または電気化学エネルギ貯蔵システムの外側からの反応生成物が反応生成物導管を介して再生型燃料電池システムへ供給される。燃料は、再生型燃料電池システムで再生されて、燃料導管を介して燃料貯蔵装置へ供給される。
【0146】
任意の適した燃料、酸化剤、及び、反応生成物が使用されてもよい。燃料における1つの好ましい例は、ハロゲン酸反応生成物を生成するためにハロゲンと反応される水素である。しかしながら、他の燃料及び酸化剤を使用できる。
【0147】
電気エネルギ源から余剰エネルギを利用でき且つ余剰反応生成物が再生型燃料電池システムへ供給される場合には、システムは、燃料電池モードの再生型燃料電池システムにより必要とされるものよりも多くの燃料を発生させることができる。この余剰燃料は、再生型燃料電池システムから除去されてシステム外での任意の適した最終用途のために与えられてもよい。
【0148】
エネルギ貯蔵システムは、燃料除去装置及び反応生成物供給装置を含んでもよい。余剰燃料は、燃料除去装置を通じてエネルギ貯蔵システムから供給され、一方、余剰反応生成物は、反応生成物供給装置を通じて補充される。装置は、燃料及び反応生成物を供給してもよい任意の適した装置を備えてもよい。
【0149】
例えば、燃料除去装置は、再生型燃料電池システムから及び/またはエネルギ貯蔵システムの外側の燃料貯蔵装置から水素などの燃料を供給する、パイプまたはホースなどのガス導管または液体導管であってもよい。あるいは、装置は、ガスタンクまたは液体タンクなどの移動可能なガス貯蔵容器または液体貯蔵容器を備えてもよく、該容器は、容器に燃料が充填された後にエネルギ貯蔵システムから物理的に除去される。装置が容器を備える場合、装置は、それがエネルギ貯蔵システム内に残存する間は燃料貯蔵装置として、及び、それがシステムから除去されるときは燃料除去装置として、いずれに使用されてもよい。
【0150】
反応生成物供給装置は、ハロゲン酸などの反応生成物をエネルギ貯蔵システムへ供給する1つ以上のガス導管または液体導管であってもよい。例えば、装置は、ハロゲン酸を生成物貯蔵装置へ供給するあるいは再生型燃料電池システムへ直接供給するパイプまたはホースを備えてもよい。反応生成物供給装置は、反応生成物が2つの別個の成分を備えるときには2つの導管を備えてもよい。あるいは、反応生成物供給装置は、反応生成物が充填されるシステムへ物理的に供給されるガスタンクまたは液体タンクなどの移動可能なガス貯蔵容器または液体貯蔵容器を備えてもよい。反応生成物供給装置が容器を備える場合、装置は、それが燃料電池モード中に反応生成物を収集する間は反応生成物貯蔵装置として、及び、それが電解モード中に反応生成物を供給するときは反応生成物供給装置として、いずれに使用されてもよい。
【0151】
反応生成物供給装置は、燃料電池モードで再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する再生型燃料電池システムへ余剰反応生成物を供給するようになっている。言い換えると、装置は、燃料電池モードで動作する再生型燃料電池システムにより発生される量を超える反応生成物を供給する。
【0152】
余剰反応生成物により、再生型燃料電池システムは、所定数の動作サイクルにわたってシステムを燃料電池モードで動作させるために必要な燃料の量を超える量の燃料を電解モードで発生させることができる。したがって、個々の燃料電池モードサイクル及び電解モードサイクルの間にわたって故障や早期停止などの異常が起こる場合があるが、所定数のそのようなサイクルにわたって、例えば10サイクルを超えるサイクルにわたって、例えば100〜1000サイクルにわたって再生型燃料電池システムが周期的に動作されるときに、システムは余剰燃料を生成する。
【0153】
再生型燃料電池システムは、それが燃料電池モードで幾つかの状態下において所定数のサイクルにわたって消費するよりも多くの燃料を電解モードで発生させてもよい。一実施形態において、再生型燃料電池システムは、電解モードでは、燃料電池モードにおけるよりも高い電流レベルで所定数のサイクルにわたって動作する。
【0154】
一実施形態では、再生型燃料電池システムがPCM積層体を含む。エネルギ貯蔵システムは高い往復効率で動作することが望ましく、ここで、往復効率とは、エネルギ源からの電気エネルギに対する電気エネルギ消費部へ供給されるエネルギの比率のことである。高い往復効率を達成するために、PCMは、比較的低い電流密度で動作されるのが好ましく、それにより、PCMの損失が最小限に抑えられる。理論的には、往復効率は、電流密度の減少に伴って高くなる。しかしながら、PCMは、一般的には600℃〜1000℃の範囲である高い動作温度に維持されなければならない。PCM内の損失は、PCMを所望の温度に維持するための補給熱を与えるために使用することができる。電流、したがって損失が非常に小さくなる場合には、所望の動作温度を維持することができない。したがって、電解モード及び燃料電池モードでは、電流密度における実用下限が存在する。この電流密度限界は、システムからの熱損失と、特定の電流で発生される熱とによって決まる。
【0155】
低電流での燃料電池の動作は、ゼロ電流での燃料電池電圧である開回路電圧(OCV)に近い燃料電池電圧を示唆する。OCV未満での動作は電力発生を示唆し、一方、OCVを上回る動作は燃料再生/電解を示唆する。燃料電池が電解モードで動作されると、最小許容電流密度に対する更なる制約が存在し得る。熱中立電圧(thermal neutral voltage)と称される電解のための最小電圧が存在し、この熱中立電圧では電解反応が熱的に中立である。電解中に蓄熱の使用を伴うことなくPCMを熱的に維持するために、電解は熱中立電圧を超えて行なわれなければならない。一方、電力発生はOCVの極近傍で行なうことができる。結果として、電解にとって望ましい最小電流密度は、燃料電池モードでの電力発生にとって望ましい最小電流よりもかなり大きい。最小電流間の違いは、温度管理システムと、燃料及び酸化剤の選択とに依存する。更なる燃料発生を伴わないPCMでは、電力発生及び電解モードにおける電流を、電力発生及び電解のために利用できる時間に関して釣り合わせなければならない。例えば、エネルギが1日当たり16時間にわたって発生される一方で、燃料が1日当たり8時間にわたって再生される場合には、消費される燃料と再生される燃料とを釣り合わせるために、再生中の電流は、電力発生電流の2倍の大きさでなければならない。
【0156】
前述した電流密度に関する2つの制約は、一般に、最小電流密度に関して、燃料電池モードと電解モードとで異なる値をもたらす。電流密度は燃料電池モードにおけるよりも電解モードにおける方が高いため、エネルギ貯蔵システムは、一般に、付加的な/未使用の燃料再生容量を有する。付加的なあるいは余剰の電力または電気エネルギ及び反応生成物が電解モードにおける燃料再生中に利用できる場合には、この余剰燃料発生容量を利用して、電気エネルギ貯蔵システム外で使用され得る更なる燃料を発生させることができる。
【0157】
したがって、エネルギ貯蔵システムは、遠隔の住居動作または商業動作に対するあるいは電力網に接続される住居動作または商業動作に対する再生型電源として使用されてもよい。発電機は、ユーザのピーク負荷に対処するようにサイズ設定されなければならない。このサイズ設定要件により、充電時間中に余剰燃料を発生させることができる。一例として、燃料電池モードでの100%未満のシステム動作中に生じる高い電力ピーク需要を満たすようにサイズ設定されるシステム、または、燃料電池モード中に比較的低いエネルギ消費量(すなわち、最大可能エネルギ消費量を下回るエネルギ消費量)を伴うシステムが挙げられるが、これに限定されない。
【0158】
したがって、一実施形態において、再生型燃料電池システムは、少なくとも再生型燃料電池システムが燃料電池モードで動作する時間の一部にわたって再生型燃料電池システムが与えることができるピーク負荷よりも低い負荷で動作される。そのため、再生型燃料システムは、その燃料電池モードの少なくとも一部にわたって、そのピークまたは最大可能電流密度を下回る電流密度で動作される。一方、再生型燃料システムは、電解モードでは、余剰燃料を生成するためにピーク電流密度などの更に高い電流密度で動作される。
【0159】
エネルギ貯蔵システム及び再生型燃料電池システムは所望のエネルギ貯蔵を行なえるように設計されてサイズ設定されるため、燃料電池積層体のサイズ及びプラントのバランスのサイズは所望のエネルギ貯蔵に基づく。したがって、燃料電池積層体のサイズは、電解モードのために必要とされる燃料電池の数に基づくのではなく、所望のピーク電力を与えるために燃料電池モードで動作する燃料電池の最小数に基づく。そのため、余剰の燃料電池または積層体は、最悪の場合のシナリオではエネルギ貯蔵システムが燃料電池モードで所望のピーク電力を与えるようにすることが求められる場合がある。しかしながら、最悪の場合のシナリオ以外の燃料電池モードでは、全ての燃料電池のエネルギ発生能力が使用されなくてもよい。一方、全ての燃料電池の燃料再生能力は、その後の燃料電池モードのために必要とされる燃料を再生し且つエネルギ貯蔵システム外での使用のための余剰燃料を発生させるために電解モード中に使用されてもよい。
【0160】
他の実施形態において、再生型燃料電池システムは、燃料を発生させて貯蔵するために日中にわたって電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給する太陽光エネルギ発生システムを備える電気エネルギ源に電気的に接続される。また、太陽光エネルギ発生システムは電気エネルギを消費部へも供給する。再生型燃料電池システムは、貯蔵された燃料から電気エネルギを夜間にわたって発生させるとともに、この電気エネルギを消費部へと夜間にわたって供給する。多くの場合、再生型燃料電池システムにかかる夜間の負荷は、少なくとも夜間の一部にわたって、再生型燃料電池システムが供給できるピーク負荷よりも小さい。したがって、再生型燃料システムは、燃料電池モードでは、夜間の少なくとも一部にわたって、そのピーク電流密度よりも低い電流密度で動作される。一方、再生型燃料システムは、電解モードでは、日中の間にわたって、余剰燃料を生成するべく、更に高い電流密度で、例えばピーク電流密度で動作される。
【0161】
他の実施形態において、再生型燃料電池システムは、電解モードでは、燃料電池モードにおけるよりも長い継続時間で所定数のサイクルにわたって動作する。動作時間のこの違いは、余剰燃料を生成するために使用されてもよい。例えば、再生型燃料電池システムは、次の燃料電池モード期間の全体にわたって十分な燃料を再生するために電解モードの一部の間にわたって動作し、その後、余剰燃料を生成するために電解モード期間の残りの期間にわたって動作してもよい。
【0162】
一例は、電気エネルギ源が電気エネルギを消費部へ供給できないときに再生型燃料電池システムが非常用のバックアップ電力を供給するために使用される場合である。例えば、再生型燃料電池システムは、配電網エネルギ源が電気エネルギの供給を停止している時間にわたってバックアップ電源として使用されてもよい。この例では、再生型燃料電池システムは、電解モードの少なくとも90〜99%の時間にわたって動作し、時として、エネルギ源が電気エネルギを供給しないときに燃料電池モードで動作する。したがって、再生型燃料電池システムは、システムが使用されていないときには燃料を供給する電解槽として使用されるとともに、非常用のバックアップ発電機として使用される。この動作モードは、非常用バックアップエネルギ発生システムのコストを低減する。
【0163】
望ましい場合、再生型燃料電池システムは、電解モードでは、燃料電池モードにおけるよりも長い期間にわたって且つ燃料電池モードにおけるよりも高い電流密度で動作してもよい。
【0164】
他の実施形態において、再生型燃料電池システムは、再生可能エネルギ源を備える電気エネルギ源に電気的に接続される。任意の適した再生可能エネルギ源が使用されてもよい。再生可能エネルギ源の余剰容量は、電解モードで動作する再生型燃料電池へ電気エネルギを供給して帯電生成物及び随意的に余剰燃料を発生させるために使用される。異なる再生可能エネルギ源は、異なるタイプの余剰容量を有する。
【0165】
一例において、再生可能エネルギ源は、太陽電池アレイなどの太陽光発電システムを備えてもよい。太陽光発電システムは、その設計寿命の最初の95−99.9%などの第1の部分の間にわたって余剰容量を含む。言い換えると、太陽光発電システムの容量は、システムがその寿命の間を経過するにつれて減少する。したがって、太陽光発電システムは、しばしば、その予期される寿命の残りの第2の部分に基づいて所望量の電気エネルギを供給して、その予期される寿命の第2の部分において太陽光発電システムが不十分な量の電気エネルギを供給しないように設計される。そのため、太陽光発電システムは、消費部によって必要とされる電気エネルギ、及び燃料電池モードでの動作において燃料を再生するために再生型燃料電池システムによって必要とされる電気エネルギを超える電気エネルギを供給するように設計されてサイズ設定される。太陽光発電システムの寿命の95−99.9%などの第1の部分の間にわたる太陽光発電システムの余剰容量は、電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。
【0166】
他の例において、太陽光発電システムは、多くの日数が曇りの場合であっても、所定数の日中及び夜間のサイクルにわたって、消費部によって必要とされ且つ燃料電池モードでの動作において燃料を再生するために再生型燃料電池システムによって必要とされる十分な量の電気エネルギを供給するように設計されてサイズ設定される。すなわち、太陽光発電システムは、最悪の場合の天候シナリオにおいて、例えば日中期間の所定の割合が曇りのときに十分な量の電気エネルギを供給するように設計される。しかしながら、最悪の場合の天候シナリオは時々起こる。したがって、日中期間の所定の割合未満が曇りのとき、及び、次の1または複数の燃料電池モード期間での動作のために再生型燃料電池システムが十分に再充電されるときには、太陽光発電システムは、日中期間の余剰の晴れの部分の間にわたって、電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。例えば、太陽光発電システムは、冬季に、晴れの日の数が最小のときに、及び/または、日中の長さが夜間の長さと比べて最も短いときに、消費部によって必要とされ且つ再生型燃料電池システムによって必要とされる十分な量の電気エネルギを供給するように設計されてサイズ設定される。このように、冬季の時間の所定の割合の間においては十分な太陽光が存在しない。太陽光発電システムは、夏季、所定の割合の時間の間だけしか十分な太陽光が存在しないときに、余剰容量を有する。太陽光発電システムは、夏の間の所定の割合の時間にわたって電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。
【0167】
他の例において、再生可能エネルギ源は、所定の風速で最小量の電気エネルギを供給するように設計される風力タービンシステムを備えてもよい。そのようなシステムは、しばしば、発電機に結合される回転可能なブレードを含み、発電機は、風がブレードを回転させるときに電気を発生させる。このシステムは、風速が所定の風速を超える期間の間にわたって余剰容量を含む。
【0168】
風力タービンシステムは、風が無い場合であっても、あるいは、所定数のサイクルの大部分の間にわたって風速が低い場合であっても、所定数のサイクルにわたって、消費部によって必要とされ且つ燃料電池モードでの動作において燃料を再生するために再生型燃料電池システムによって必要とされる十分な量の電気エネルギを供給するように設計されてサイズ設定される。すなわち、風力タービンシステムは、最悪の場合の天候シナリオにおいて、例えば時間の所定の割合において風が無いときあるいは風速が所望の風速よりも低いとき十分な量の電気エネルギを供給するように設計される。しかしながら、最悪の場合の天候シナリオは時々起こる。したがって、期間の所定の割合未満にわたって風がほとんど無くあるいは全く無く、次の1または複数の燃料電池モード期間での動作のために再生型燃料電池システムが十分に再充電されるときには、風力タービンシステムは、期間の余剰の風の強い部分の間にわたって、電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。例えば、時間の所定の割合にわたって風が全く無くあるいは風が不十分な場合、風力タービンシステムは、期間の所定の割合の間にわたって電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。
【0169】
他の例において、再生可能エネルギ源は、所定の潮汐力で最小量の電気エネルギを供給するように設計される潮汐エネルギ発生システムを備えてもよい。そのようなシステムは、海、海洋、または、湖などの水域下に位置するプレートなどの可動部材を含む。可動部材は発電機に接続される。可動部材は潮汐によって移動し、この動きにより発電機が電気を発生する。このシステムは、潮汐力が所定の潮汐力を超える期間の間にわたって余剰容量を含む。
【0170】
潮汐エネルギ発生システムは、潮汐が無い場合であっても、あるいは、所定数のサイクルの大部分の間にわたって潮汐力が低い場合であっても、所定数のサイクルにわたって、消費部によって必要とされ且つ燃料電池モードでの動作において燃料を再生するために再生型燃料電池システムによって必要とされる十分な量の電気エネルギを供給するように設計されてサイズ設定される。すなわち、潮汐エネルギ発生システムは、最悪の場合の潮汐シナリオにおいて、例えば時間の所定の割合において潮汐力が所望の潮汐力よりも低いとき十分な量の電気エネルギを供給するように設計される。しかしながら、最悪の場合の潮汐シナリオは時々起こる。したがって、期間の所定の割合未満にわたって潮汐力が不十分で、次の1または複数の燃料電池モード期間での動作のために再生型燃料電池システムが十分に再充電されるときには、潮汐エネルギ発生システムは、期間の余剰の高潮汐力部分の間にわたって、電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。例えば、期間の所定の割合にわたって潮汐力が不十分な場合、潮汐エネルギ発生システムは、期間の所定の割合の間にわたって電気エネルギを再生型燃料電池システムへ供給して余剰燃料を発生させるために使用されてもよい。
【0171】
他の例において、再生可能エネルギ源は、所定の地熱エネルギで最小量の電気エネルギを供給するように設計される地熱エネルギ発生システムを備えてもよい。そのような地熱エネルギ発生システムは、地球から放出される熱及び/または蒸気を使用して、熱及び/または蒸気を電気エネルギへと変換する。このシステムは、地熱エネルギが所定の最悪の場合の熱エネルギ供給シナリオを超える期間の間にわたって余剰の容量を含む。例えば、地熱エネルギにおける環境損失は、暖かい夏の環境温度と寒い冬の環境温度との間で異なる。
【0172】
したがって、放電中に消費される燃料が充電期間中に再生される燃料よりも少ない任意の状況において、燃料再生装置を使用するエネルギ貯蔵装置における燃料の共同生成を好ましくは所定数の充電及び放電サイクルにわたって実現できる。再生型燃料電池システムは、電解モードの全期間にわたって燃料を発生させる。発生燃料の約1%〜約99%、例えば発生燃料の約10%〜約30%が、非エネルギ貯蔵システム用途のために使用されてもよい余剰燃料であり、一方、残りの燃料は、再生型燃料電池システムを燃料電池モードで動作させるために使用されてもよい。
【0173】
エネルギ貯蔵システムは、電力網に接続されない遠隔位置にある再生可能エネルギ源と共に使用されてもよい。この場合、電気エネルギ貯蔵システムの再生型燃料電池システムは、航空車両、陸上車両、または、水用車両のための燃料を発生させるために使用されてもよい。この場合、車両燃料インフラは必要とされず、また、エネルギ貯蔵システムは、必要な燃料を供給して遠隔位置にある車両を給電するために使用されてもよい。例えば、車両が水素によって給電されてもよい。また、再生型燃料電池システムは、グリーンハウスガス及び二酸化炭素の放出を伴うことなく、電気及び水素などの無公害燃料を発生させるために使用できるため、再生型燃料電池システムは、環境を改善して、輸送及び他の用途のためのグリーンハウスガスの放出を減らす。
【0174】
余剰発生燃料は、エネルギ貯蔵システム外の任意の適した用途のために使用されてもよい。例えば、余剰燃料は、ロケット、飛行機、ヘリコプター、または、小型飛行船などの航空車両、船舶または潜水艦などの水用車両、自動車、トラック、オートバイ、タンクローリー、または、列車などの陸上車両、半導体製造などの化学製造プロセスまたは化学生成プロセスでの化学反応、あるいは、オフィスビル、工場、及び、病院を含む商業建築物及び住宅などの建物の暖房システムに給電するために供給されてもよい。
【0175】
本開示の様々な改変及び変形が当業者に明らかであり、また、そのような改変及び変形がこの出願の範囲内及び特許請求の範囲の思想及び範囲内に含まれることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる再生型燃料電池システムと、前記再生型燃料電池システムと流体連通する少なくとも1つの燃料貯蔵容器と、前記再生型燃料電池システムと流体連通する少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器とを備えるエネルギ貯蔵システムであって、前記再生型燃料電池システムが再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記再生型燃料電池が、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するように前記ハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、前記第1の表面を陰極側に接続するために前記第1の表面に形成される陰極と、前記第2の表面を陽極側に接続するために前記第2の表面に形成される陽極とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒が、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、エネルギ貯蔵システムと、
電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給するために前記再生型燃料電池システムに電気的に接続されるエネルギ源と、
を備える、電気化学システム。
【請求項2】
燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる再生型燃料電池システムであって、該再生型燃料電池システムが再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記再生型燃料電池が、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するように前記ハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、前記第1の表面を陰極側に接続するために前記第1の表面に形成される陰極と、前記第2の表面を陽極側に接続するために前記第2の表面に形成される陽極とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒が、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、再生型燃料電池システムと、
前記再生型燃料電池システムと流体連通する反応生成物供給及び/または貯蔵装置であって、前記反応生成物供給装置が、燃料電池モードで前記再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ余剰反応生成物を供給し、それにより、前記再生型燃料電池システムを燃料電池モードで動作させるために必要とされる燃料を超える燃料が電解モードで発生され、前記反応生成物貯蔵装置が、燃料電池モードで動作する前記再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えて、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ供給されるべき余剰反応生成物を貯蔵する、反応生成物供給及び/または貯蔵装置と、
前記再生型燃料電池システムと流体連通する生成物/燃料貯蔵装置であって、該生成物/燃料貯蔵装置が、電解モードの充電反応及び燃料電池モードの放電反応からの生成物及び余剰燃料を貯蔵する、生成物/燃料貯蔵装置と、
を備える、電気化学システム。
【請求項3】
前記エネルギ源は、配電網、発電機、または、再生可能エネルギ源から選択される、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項4】
前記エネルギ源は、光起電力源または太陽光電源、あるいは、風力源から選択される再生可能エネルギ源である、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項5】
前記再生型燃料電池システムは、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給して帯電生成物を発生させるために、再生可能電気エネルギを発生させるとともに余剰容量を使用するための再生可能エネルギ源に電気的に接続される、請求項2に記載の電気化学システム。
【請求項6】
前記再生型燃料電池システムが太陽光から電気エネルギを発生させるため太陽エネルギ源を備えるエネルギ源に電気的に接続され、帯電生成物を発生させるために日中の期間にわたって前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給するとともに、前記再生型燃料電池システムが夜間の期間にわたって電気エネルギを発生させることができるようにする、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項7】
前記再生型燃料電池システムが風から電気エネルギを発生させるため風力エネルギ源を備えるエネルギ源に電気的に接続され、帯電生成物を発生させるために風速が所定の風速を超える期間にわたって前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給するとともに、風速が所定の風速を超えない期間にわたって前記再生型燃料電池システムが電気エネルギを発生させることができるようにする、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項8】
前記再生型燃料電池システムが、
再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記積層体は、溶液区画または電解質区画と、ガス区画と、前記溶液区画または前記電解質区画と前記ガス区画との間に配置される膜電極アセンブリ(MEA)とを備え、前記膜電極アセンブリ(MEA)は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置される固体電解質膜とを備え、前記陰極が前記ガス区画に面し、前記陽極が前記溶液区画または前記電解質区画に面し、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項9】
前記再生型燃料電池システムが、
再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記積層体は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置される固体電解質膜とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、電流を発生させるために燃料と酸化剤との間の反応を触媒することができる、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項10】
前記反応生成物は、ハロゲン酸、ハロゲン酸と鉄塩とその共役酸との混合物、または、鉄塩とその共役酸との混合物を備え、前記ガスが水素を備える、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項11】
前記固体電解質膜がプロトン伝導膜を備える、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項12】
支持体を備えて触媒が分散された前記陰極においては、前記触媒が少なくとも1つの貴金属を備え、支持体を備えて触媒が随意的に分散された前記陽極においては、前記触媒が、カーボン粉末を備え、あるいは、カーボン粉末を伴う少なくとも1つの貴金属を備える、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項13】
前記再生型燃料電池が水素/臭素(三臭化物)再生型燃料電池を備える、請求項1に記載の電気化学システム。
【請求項14】
再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法において、
燃料電池モードでは燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるとともに、電解モードでは反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させる再生型燃料電池システムと、前記再生型燃料電池システムと流体連通する少なくとも1つの燃料貯蔵容器と、前記再生型燃料電池システムと流体連通する少なくとも1つの反応生成物貯蔵容器とを備えるエネルギ貯蔵システムを用意するステップと、
燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるために燃料電池モードで、及び、反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させるために電解モードで前記再生型燃料電池システムを周期的に動作させるステップであって、前記再生型燃料電池システムが再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記再生型燃料電池が、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するように前記ハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、前記第1の表面を陰極側に接続するために前記第1の表面に形成される陰極と、前記第2の表面を陽極側に接続するために前記第2の表面に形成される陽極とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒が、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、ステップと、
電気エネルギを、前記再生型燃料電池システムに電気的に接続されるエネルギ源から、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ供給するステップと、
を備える、方法。
【請求項15】
再生型燃料電池システムを含む電気化学システムを動作させる方法において、
燃料及び酸化剤から電気エネルギ及び反応生成物を発生させるために燃料電池モードで、及び、反応生成物及び電気エネルギから燃料及び酸化剤を発生させるために電解モードで前記再生型燃料電池システムを周期的に動作させるステップであって、前記再生型燃料電池システムが再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記再生型燃料電池が、ハウジングと、それを陰極側と陽極側とに分配するように前記ハウジング内に配置される第1の表面及び第2の表面を有する固体電解質膜と、前記第1の表面を陰極側に接続するために前記第1の表面に形成される陰極と、前記第2の表面を陽極側に接続するために前記第2の表面に形成される陽極とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒が、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、ステップと、
燃料電池モードで前記再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えてあるいは代えて、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ余剰反応生成物を供給し、それにより、前記再生型燃料電池システムを燃料電池モードで動作させるために必要とされる燃料を超える燃料が電解モードで発生されるようにする、ステップと、
電解モードの充電反応及び燃料電池モードの放電反応からの生成物及び余剰燃料を貯蔵するステップと、
を備える、方法。
【請求項16】
電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給して帯電生成物を発生させるために、前記再生型燃料電池システムに電気的に接続されるエネルギ源の余剰容量を使用するステップを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
燃料電池モードで動作する前記再生型燃料電池システムにより発生された反応生成物に加えて、電解モードで動作する前記再生型燃料電池システムへ供給されるべき余剰反応生成物を貯蔵するステップを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記再生型燃料電池システムは、それが燃料電池モードで所定数のサイクルにわたって消費するよりも多くの帯電生成物を電解モードで発生させる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記再生型燃料電池システムは、電解モードでは、燃料電池モードにおけるよりも高い電流レベルで所定数のサイクルにわたって動作する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記再生型燃料電池システムは、少なくとも該再生型燃料電池システムが燃料電池モードで動作する時間の一部にわたって前記再生型燃料電池システムが与えることができるピーク負荷よりも低い負荷で動作される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記再生型燃料電池システムは、電解モードでは、燃料電池モードにおけるよりも長い継続時間で所定数のサイクルにわたって動作する、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記再生型燃料電池システムが再生可能エネルギ源を備えるエネルギ源に電気的に接続され、それにより、電解モードで動作する前記再生型燃料電池へ電気エネルギを供給して帯電生成物を発生させるために、前記再生可能エネルギ源の余剰容量が使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記再生型燃料電池システムは、帯電生成物を発生させるために日中の期間にわたって前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給する太陽光発電エネルギ発生システムを備えるエネルギ源に電気的に接続され、前記再生型燃料電池システムが夜間の期間にわたって電気エネルギを発生させる、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記再生型燃料電池システムは、帯電生成物を発生させるために風速が所定の最小風速を超える期間にわたって前記再生型燃料電池システムへ電気エネルギを供給する風力エネルギ発生システムを備えるエネルギ源に電気的に接続され、前記再生型燃料電池システムは、風速が所定の最小風速を超えない期間にわたって電気エネルギを発生させる、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記再生型燃料電池システムが、
再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記積層体は、溶液区画または電解質区画と、ガス区画と、前記溶液区画または前記電解質区画と前記ガス区画との間に配置される膜電極アセンブリ(MEA)とを備え、前記膜電極アセンブリ(MEA)は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置される固体電解質膜とを備え、前記陰極が前記ガス区画に面し、前記陽極が前記溶液区画または前記電解質区画に面し、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、前記再生型燃料電池の電解モードにおける充電反応及び燃料電池モードにおける放電反応を触媒することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記再生型燃料電池システムが、
再生型燃料電池の1つ以上の積層体を備え、前記積層体は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置される固体電解質膜とを備え、前記陰極が支持体を備えるとともに、前記陰極には触媒が分散され、前記陽極が支持体を備えるとともに、前記陽極には随意的に触媒が分散され、前記陰極に分散される触媒及び前記陽極に随意的に分散される触媒は、同じでありあるいは異なっているとともに、酸または酸の混合物の存在下で、あるいは、ハロゲンイオンまたはハロゲンイオンの混合物の存在下で、電流を発生させるために燃料と酸化剤との間の反応を触媒することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記反応生成物は、ハロゲン酸、ハロゲン酸と鉄塩とその共役酸との混合物、または、鉄塩とその共役酸との混合物を備え、前記ガスが水素を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
前記固体電解質膜がプロトン伝導膜を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
支持体を備えて触媒が分散された前記陰極においては、前記触媒が少なくとも1つの貴金属を備え、支持体を備えて触媒が随意的に分散された前記陽極においては、前記触媒が、カーボン粉末を備え、あるいは、カーボン粉末を伴う少なくとも1つの貴金属を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記再生型燃料電池が水素/臭素(三臭化物)再生型燃料電池を備える、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518364(P2013−518364A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549438(P2012−549438)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000101
【国際公開番号】WO2011/089520
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512188018)ラモット アット テル−アヴィヴ ユニヴァーシテイ リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL−AVIV UNIVERSITY LTD
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 39296, Tel Aviv 61392, Israel
【Fターム(参考)】