説明

電気回路部の放熱装置

【課題】 熱抵抗を下げ、グランドパターンおよび固定ネジへの熱伝達量が増大することで、電気回路部の放熱効率を向上させた放熱装置を得る。
【解決手段】 電気回路部とグランドパターン11とを含む電気回路基板10と、このグランドパターン11に合致する形状である接触導通面を持つシールド部材1とからなり、電気回路基板10を多層構造基板に構成するとともにその内層の一つを電気回路基板10とほぼ等しい面積を持つグランド専用層12とし、グランドパターン11部のみグランド専用層12が表面部に露出するように構成した電気回路部の放熱装置とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子携帯機器において、消費電力が大きい部品が複数存在し、しかも不要輻射対策のためにシールド部材で密閉されている電気回路部の放熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における電子携帯機器は高速動作化、高付加価値化に伴い、部品の消費電力が増大、つまり発熱量が増大している。この一方で、電子携帯機器の小型化も進展しており、内部空間の狭小化に伴い熱対策を施すに十分な空間の確保が困難な状況である。しかも、高速動作したり高周波無線信号を送受信したりするような電気回路部は、高発熱部品が点在するにもかかわらず、不要輻射対策のために、シールド部材によって密閉されているのが通常である。このような状況において電気回路部の放熱は、従来より自然放熱に依存してきている。
【0003】以下、この電気回路部の放熱装置の一例について図面を参照しながら説明する。
【0004】図6(a)は、従来の電気回路部の放熱装置の分解斜視図、図6(b)は、同電気回路部の斜視図、図7は、電子携帯機器筐体内にある従来の電気回路部の放熱経路を示した模式図である。
【0005】図6(a)および図6(b)において、1はアルミニウム等の電気や熱の良伝導体である材料からなるシールド部材であり、ケース状に形成され、電気回路基板2に搭載される。このシールド部材1は、電気回路基板2上に形成されているグランドパターン3に合致する形状である接触導通面を持つている。電気回路基板2には、高速動作部品や回路全体を司る制御部品など大消費電力部品4が実装されており、また、固定ネジ5により図7に示す電子携帯機器筐体6に固定されている。
【0006】次に、このような構成の電気回路部の放熱装置の放熱経路について、図7を用いて説明する。
【0007】まず、電子携帯機器が作動状態となると、大消費電力部品4では多大な電力が消費され、その消費電力に見合った分の熱が、シールド部材1の内部空間に放出される。この熱は、シールド部材1の内部空気の対流を引き起こしながら、シールド部材1へと伝達される。伝達された熱の一部は、シールド部材1外側の電子携帯機器筐体6内部の空気中へと伝達される。他の熱は、シールド部材1中を温度の低い方向へ向かって伝導するが、一般的に、空気中への熱伝達よりシールド部材1中の熱伝導の方が熱抵抗が小さいため、シールド部材1中を移動する熱量の方が遥かに大きい。
【0008】シールド部材1中を伝導してきた熱は、グランドパターン3へと伝達される。グランドパターン3に伝達された熱は、電気回路基板2を通じて一部は電子携帯機器筐体6内部空気へ、他は固定ネジ5へ伝達される。電子携帯機器筐体6内部空気および固定ネジ5へ伝達された熱は、最終的に電子携帯機器筐体6を介して外部空間に放出されることになる。
【0009】このように、代表的な放熱経路は、大消費電力部品4→空気→シールド部材1→グランドパターン3→電気回路基板2→固定ネジ5or空気→電子携帯機器筐体6→空気となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の放熱装置では以下のような問題点を有している。
【0011】前述したように、近年の電子携帯機器は高速動作化・高付加価値化と小型化が急速に進展しており、これに伴い電子携帯機器内の発熱密度(W/cm3)も急増している。したがって、従来の放熱装置による放熱効果では、電気回路部の温度上昇を抑えられず、その結果、電気回路基板2上にある熱に弱い部品の故障や動作不良などを生じさせ、ひいては商品自体の信頼性も落としてしまうという問題がある。したがって、さらなる放熱効率の向上による電気回路部の温度上昇抑制が要求されてきている。
【0012】特に、シールド部材1のグランドパターン3との接触導通面およびグランドパターン3表面には微小な凹凸があり、接触面積が小さく、熱抵抗が大きい。図8はこの例を示している。つまり、前述した代表的な放熱経路において、シールド部材1を伝導してきた熱がグランドパターン3へと伝達される際、伝熱効率は下がることになる。
【0013】また、グランドパターン3に伝達された熱は、電気回路基板2を通じて一部は電子携帯機器筐体6内部空気へ、他は固定ネジ5へ伝達されるが、一般的に空気への熱伝達は熱抵抗が大きい。しかしその一方で、固定ネジ5への熱伝達は、熱的に不良導体である絶縁材料からなる電気回路基板2を介して行われるため、やはり熱抵抗が大きい。したがって、どちらにしても伝熱効率は下がる。
【0014】そこで、本発明は、熱抵抗を下げ、グランドパターンおよび固定ネジへの熱伝達量が増大することで、電気回路部の放熱効率を向上させた放熱装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明は、電気回路部およびグランドパーンをもつ電気回路基板と、シールド部材とからなる電気回路部の放熱装置であって、前記電気回路基板を多層構造基板として構成し、この多層構造基板の内層の一つを前記電気回路基板とほぼ等しい面積を持つグランド専用層とし、グランドパターン部のみグランド専用層が表面部に露出するように構成したものである。
【0016】本発明によれば、シールド部材からグランドパターンへの熱伝達量が増大し、電気回路部の放熱効率を向上させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、電気回路部とグランドパターンとを含む電気回路基板と、前記グランドパターンに合致する形状である接触導通面を持つシールド部材とからなり、前記電気回路基板が多層構造基板として構成され、その内層の一つを前記電気回路基板とほぼ等しい面積を持つグランド専用層とし、前記グランドパターン部のみ前記グランド専用層を表面部に露出させた電気回路部の放熱装置であり、シールド部材からグランドパターンへの熱伝達量が増大し、電気回路部の放熱効率を向上させることが可能になるという作用を有する。また、グランド専用層が表出するグランドパターン部が凹部となっているため、シールド部材の簡易位置決めにも役立つという作用を有する。
【0018】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気回路部の放熱装置において、シールド部材とグランドパターンとの間に、前記グランドパターンと合致する接触導通面を持つ弾力性のある材料からなる導電性部材を介在させたものであり、導電性部材により、シールド部材のグランドパターンとの接触導通面およびグランドパターン表面の微小な凹凸が吸収され、接触導通面積が増加し、シールド部材からグランドパターンへの熱伝達量が増大し、電気回路部の放熱効率を向上させることが可能になるという作用を有する。
【0019】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電気回路部の放熱装置において、グランド専用層が、電気回路基板の固定ネジ部において表面に露出したものであり、グランド専用層から固定ネジへの熱伝達量が増大し、さらに一層の電気回路部の放熱効率を向上させることが可能となるという作用を有する。
【0020】本発明の請求項4に記載の発明は、電気回路部とグランドパターンとを含む電気回路基板と、前記グラントデパターンに合致する形状である接触導通面を持つシールド部材とからなり、前記電気回路基板が多層構造基板として構成され、その内層の一つを前記電気回路基板とほぼ等しい面積を持つグランド専用層とし、前記グランドパターン部には複数のインナービアホールを設け、前記インナービアホールによって前記グランドパターンと前記グランド専用層とを接続し、前記グランド専用層を電気回路基板の固定ネジ部において表面に露出させたものであり、シールド部材からグランドパターンへの熱伝達量およびグランド専用層から固定ネジへの熱伝達量が増大し、電気回路部の放熱効率を向上させることが可能になるという作用を有する。
【0021】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3、4のいずれかに記載の電気回路部の放熱装置において、グランドパターンあるいはグランド専用層に、切断部や面積縮小部を設けたものであり、電子部品で発生した熱がグランドパターンやグランド専用層の熱拡散作用によって拡散され、本来温度の低い箇所の温度が上昇してしまう弊害が防止されるという作用を有する。
【0022】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面において前記従来の技術に示したものと同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略する。
【0023】(実施の形態1)図1(a)は本発明の実施の形態1の電気回路部の放熱装置の分解斜視図、図1(b)は同における要部拡大斜視図である。
【0024】図1において、1はアルミニウム等の電気や熱の良伝導体である材料からなるシールド部材であり、ケース状に形成され、電気回路基板10に搭載される。このシールド部材1は、電気回路基板10上に形成されているグランドパターン11に合致する形状である接触導通面を持っている。電気回路基板10には、高速動作部品や回路全体を司る制御部品など大消費電力部品4が実装されており、また固定ネジ5により電子携帯機器筐体(図示せず)に固定されている。
【0025】前記電気回路基板10は多層構造に構成されており、その内層のうちの一つがグランド専用層12としてあり、このグランド専用層12は電気回路基板10とほぼ同等な面積を有している。また、グランドパターン11はグランド専用層12の一部であり、電気回路基板10の表面に露出している。したがって、電気回路基板10の表面においては、前記露出したグランドパターン11部は凹部を形成している。図1(b)にその拡大図を示す。
【0026】以上のように構成された電気回路部の放熱装置における放熱経路について説明する。
【0027】まず、電子携帯機器が作動状態となると、大消費電力部品4では多大な電力が消費され、その消費電力に見合った分の熱が、シールド部材1の内部空間に放出される。この熱は、シールド部材1の内部空気の対流を引き起こしながら、シールド部材1へと伝達される。伝達された熱の一部は、シールド部材1外側の電子携帯機器筐体内部の空気中へと伝達される。他の熱は、シールド部材1中を温度の低い方向へ向かって伝導しするが、一般的に、空気への熱伝達よりシールド部材1中の熱伝導の方が熱抵抗が小さいため、シールド部材1中を移動する熱量の方が遥かに大きい。
【0028】シールド部材1中を伝導してきた熱は、グランドパターン11へと伝達される。この際、グランド専用層12は電気回路基板10と同等の表面積を有しているため、放熱効率も高く、放熱板として機能する。その結果、シールド部材1とグランドパターン11との温度差が大きくなる。
【0029】一般に熱は、高温部から低温部に移動するもので、温度差が大きいほどその移動量も大きい。したがって、シールド部材1とグランドパターン11との温度差が大きいほど、熱移動を促進させることができる。
【0030】グランドパターン11に伝達された熱は、グランド専用層12および電気回路基板10を通じて一部は電子携帯機器筐体内部空気中へ、他は固定ネジ5へ伝達される。その後、最終的には電子携帯機器筐体を介して外部空間に放出されることになる。
【0031】このように、代表的な放熱経路は、大消費電力部品4→空気→シールド部材1→グランドパターン11→グランド専用層12→電気回路基板19→固定ネジ5or空気→電子携帯機器筐体→空気となるが、特に熱抵抗の大きいシールド部材1とグランドパターン11との熱伝達が改善されるので、高い放熱効率のある放熱動作を行うことができる。また、グランドパターン11部が凹部となっているため、シールド部材1の簡易位置決めにも役立ち、組立性にも優れた放熱装置が提供できる。
【0032】(実施の形態2)図2は本発明の実施の形態2の電気回路部の放熱装置の分解斜視図である。
【0033】図2において、13はグランドパターン11と合致する接触導通面を持つ弾力性のある材料、たとえば導電性ゴムなどからなる導電性部材である。図示のように、本実施の形態2では、シールド部材1とグランドパターン11との間に、この導電性部材13を介在させて放熱装置を構成している。
【0034】以上のように構成された電気回路部の放熱装置における放熱経路は、前述した実施の形態1と同じである。
【0035】このような放熱手段に依れば、シールド部材1のグランドパターン11との接触導通面およびグランドパターン11表面に微小な凹凸が存在していても、導電性部材13により吸収され、接触導通面積は増加する。したがって、熱抵抗を大幅に減少させることができ、一層シールド部材1からグランドパターン11への熱伝達量が増大し、電気回路部の放熱効率を向上させることができる。
【0036】また、グランドパターン11部が凹部となっているため、導電性部材13の簡易位置決めにも役立ち、組立性にも優れた放熱装置が提供できる。
【0037】(実施の形態3)図3は、本発明の実施の形態3の電気回路部の放熱装置の分解斜視図である。
【0038】図示のように、本実施の形態3では、電気回路基板10の固定ネジ5部にもグランド専用層12が表面に露出する構成としている。
【0039】以上のように構成された電気回路部の放熱経路について説明する。
【0040】大消費電力部品4で発生した熱は、実施の形態1同様にしてグランド専用層12に伝達される。そして、その熱量のほとんどは、固定ネジ5へ伝達され、電子携帯機器筐体を介して外部空間に放出されることになる。つまり、グランド専用層12から固定ネジ5への熱伝達は、熱的に良導体であるグランド専用層12から直接固定ネジ5へ伝達されるため、熱抵抗が大幅に減少される。したがって、熱のほとんどは熱伝導効率の高い固定ネジ5を介して電子携帯機器筐体に伝達されることになる。
【0041】このように、代表的な放熱経路は、大消費電力部品4→空気→シールド部材1→グランドパターン11→グランド専用層12→固定ネジ5→電子携帯機器筐体→空気となるが、前述したようなグランド専用層12から固定ネジ5への熱抵抗の低下に加え、実施の形態1または2で述べたようなシールド部材1からグランドパターン11への熱抵抗の低下効果もあり、熱伝達が格段に促進され、より一層高い放熱効率を保持した放熱動作を行うことができる。
【0042】なお、本実施の形態3の電気回路部の放熱装置の構成図は、実施の形態2に対する応用として示したが、実施の形態1に応用しても何ら問題はない。
【0043】(実施の形態4)図4(a)は、本発明の実施の形態4の電気回路部の放熱装置の斜視図、図4(b)は図4(a)におけるA−A断面図である。
【0044】図4に示すように、電気回路基板14は多層構造に構成されており、その内層のうちの一つがグランド専用層15であり、このグランド専用層15は電気回路基板14とほぼ同等な面積を有している。また、グランドパターン16は電気回路基板14の表層に形成されており、このグランドパターン16とグランド専用層15とをインナービアホール(以下IVHという)17により接続している。
【0045】また、電気回路基板14の固定ネジ5部はグランド専用層15が表面に露出するよう構成している。
【0046】以上のように構成された電気回路部の放熱装置の放熱経路について説明する。大消費電力部品4で発生した熱は、実施の形態1同様にしてグランドパターン16に伝達される。そしてその熱は、IVH17を介して、グランド専用層15へ伝達される。その後は、実施の形態3同様に、固定ネジ5へ伝達され、最終的に電子携帯機器筐体を介して外部空間に放出されることになる。
【0047】このように、代表的な放熱経路は、大消費電力部品4→空気→シールド部材1→グランドパターン16→IVVH17→グランド専用層15→固定ネジ5→電子携帯機器筐体→空気となり、前述した実施の形態1、2または3同様にシールド部材1とグランドパターン16との熱抵抗およびグランド専用層15と固定ネジ5との熱抵抗が大幅に低下するので、高い放熱効率のある放熱動作を行うことができる。
【0048】なお、本実施の形態4の電気回路部の放熱装置の構成図では、電気回路基板14の表層にグランドパターン16を、グランド専用層15を内層の一つである第2層に形成した例を示しているが、グランドパターン16を内層に、たとえば第2層に形成して表面に露出させ、グランド専用層15を第3層に設け、これらをIVH17で結合してもよい。
【0049】(実施の形態5)図5(a)および図5(b)は、それぞれ本発明の実施の形態5の電気回路部の放熱装置の分解斜視図である。
【0050】図5(a)に示すように、電気回路基板18は多層構造に構成されており、大消費電力部品4の他に、高熱に対して弱い部品19が搭載されている。また、電気回路基板18の内層のうちの一つがグランド専用層20であり、このグランド専用層20は電気回路基板18とほぼ同等な面積を有している。また、電気回路基板18に形成されているグランドパターン21はグランド専用層20の一部であり、表面に露出させて形成している。このグランド専用層20においては、高熱に対して弱い部品19の下部に位置するグランド専用層20とその他部分のグランド専用層20との間に切り欠きを設け、一部表面積を小さくしている。したがって、グランドパターン21も高熱に対して弱い部品19近辺にて切断された構成となっている。
【0051】以上のように構成された電気回路部の放熱装置の放熱経路は、前述した実施の形態1と同様である。
【0052】このような放熱装置に依れば、グランド専用層20の表面積が小さい部分においては熱伝導抵抗が大きくなるため、グランドパターン21、つまりグランド専用層20に伝達された熱が、グランド専用層20内を高熱に対して弱い部品19下部側へ拡散するということが抑制される。
【0053】したがって、グランドパターン21、つまりグランド専用層20の熱拡散作用によって拡散され、本来温度の低い箇所の温度が上昇してしまい、高熱に対して弱い部品19が誤動作するなどの弊害を防止することができる。
【0054】なお、図5(b)も本発明の実施の形態5の電気回路部の放熱装置の別例の分解斜視図であり、上記同様である。
【0055】さらに、本実施の形態5の電気回路部の放熱装置の構成図は、実施の形態1に対する応用として示したが、実施の形態2、3あるいは4に応用しても良い。
【0056】なお、実施の形態4に応用する場合は、グランドパターンはグランド専用層の一部ではないため、グランドパターンとグランド専用層の両方の形状を変更することになる。
【0057】また、このような放熱装置によれば、熱移動を制御できるので、電気回路基板上の部品配置により、任意にグランドパターンやグランド専用層の形状変更をすれば良い。
【0058】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明によれば、シールド部材とグランドパターンとの温度差が大きくなるので、シールド部材からグランドパターンへの熱伝達が促進され、効率の高い放熱作用が可能になるという有効な効果が得られる。
【0059】また、シールド部材のグランドパターンとの接触導通面とグランドパターンとの間に、グランドパターンと合致する接触導通面を持つ弾力性のある材料からなる導電性部材を介在させれば、シールド部材とグランドパターンとの熱抵抗が低減できるので、さらに効率の高い放熱作用が可能になるという有効な効果が得られる。
【0060】また、電気回路基板を固定する固定ネジ部もグランド専用層を表面に露出させれば、熱的に良導体であるグランド専用層から直接固定ネジへ熱伝達が行われるので、グランド専用層と固定ネジとの熱抵抗が低減でき、一層効率の高い放熱作用が可能になるという有効な効果が得られる。
【0061】また、グランドパターンやグランド専用層の形状を、電気回路基板上の部品配置に応じ任意に変更することで、グランドパターンやグランド専用層に移動してきた熱が熱拡散作用によって拡散され、本来温度の低い箇所の温度が上昇してしまう弊害が防止されるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
(b)同電気回路部の放熱装置における要部拡大斜視図
【図2】本発明の実施の形態2の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態3の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
【図4】(a)本発明の実施の形態4の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
(b)図4(a)におけるA−A断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態5の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
(b)同電気回路部の放熱装置の別例の分解斜視図
【図6】(a)従来の電気回路部の放熱装置の分解斜視図
(b)同電気回路部の放熱装置の斜視図
【図7】同電気回路部の放熱装置の放熱経路を示した模式図
【図8】同放熱装置におけるシールド部材の接触導通面とグランドパターンの接触状況の拡大図
【符号の説明】
1 シールド部材
4 大消費電力部品
5 固定ネジ
10 電気回路基板
11 グランドパターン
12 グランド専用層

【特許請求の範囲】
【請求項1】電気回路部とグランドパターンとを含む電気回路基板と、前記グランドパターンに合致する形状である接触導通面を持つシールド部材とからなり、前記電気回路基板が多層構造基板として構成され、その内層の一つを前記電気回路基板とほぼ等しい面積を持つグランド専用層とし、前記グランドパターン部のみ前記グランド専用層を表面部に露出させたことを特徴とする電気回路部の放熱装置。
【請求項2】シールド部材とグランドパターンとの間に、前記グランドパターンと合致する接触導通面を持つ弾力性のある材料からなる導電性部材を介在させたことを特徴とする請求項1記載の電気回路部の放熱装置。
【請求項3】グランド専用層が、電気回路基板の固定ネジ部において表面に露出したことを特徴とする請求項1または2記載の電気回路部の放熱装置。
【請求項4】電気回路部とグランドパターンとを含む電気回路基板と、前記グラントデパターンに合致する形状である接触導通面を持つシールド部材とからなり、前記電気回路基板が多層構造基板として構成され、その内層の一つを前記電気回路基板とほぼ等しい面積を持つグランド専用層とし、前記グランドパターン部には複数のインナービアホールを設け、前記インナービアホールによって前記グランドパターンと前記グランド専用層とを接続し、前記グランド専用層を電気回路基板の固定ネジ部において表面に露出させたことを特徴とする電気回路部の放熱装置。
【請求項5】グランドパターンあるいはグランド専用層に、切断部や面積縮小部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の電気回路部の放熱装置。

【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−277976(P2000−277976A)
【公開日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−79110
【出願日】平成11年3月24日(1999.3.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】