説明

電気外科発電機出力電力の調節のための電気外科発電機制御器

【課題】本出願は、電気外科発電機を提供する。
【解決手段】入力電力を受信するように構成されるDC−DCバックコンバータと、DC−DCバックコンバータおよびDC−ACブーストインバータと通信するインダクタと、一次巻線と、二次巻線とを有する変圧器であって、変圧器は、出力電力を負荷に伝送するように構成され、DC−ACブーストインバータは、インダクタから入力を受信し、変圧器の該一次巻線にAC電力を移送するように構成される、変圧器と、DC−DCバックコンバータおよびDC−ACブーストインバータの両方を制御するように構成される電気外科発電機(ESG)であって、制御は、電気外科発電機の電気的パラメータに部分的に基づく、電気外科発電機(ESG)とを備えている、電気外科発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の詳細な説明)
(関連出願の参照)
この出願は、2010年12月23日に出願された、表題が「DUAL CURRENT−MODE CONTROLLER FOR REGULATION OF ELECTROSURGICAL GENERATOR OUTPUT POWER」である米国仮出願第61/426,985号の本出願である。この出願はまた、2011年9月2日に出願された、表題が「CONSTANT POWER SOURCE BY NONLINEAR CARRIER−CONTROL OF A BUCK CONVERTER FOR USE IN AN ELECTROSURGICAL GENERATOR」である米国仮出願第61/530,528号の本出願である。上記で特定された出願の内容のすべては、その全体があらゆる目的のために参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電気外科発電機は、アーク切断および凝固を行う外科手術の実施において一般的に用いられる。外科手術発電機は、高周波電流を生成して、金属刃と比較して限定された失血および高められた切断制御で組織を切断する。標準の業界の慣習は、電気外科発電機が、いくつかのサイクルにわたり交流(AC)出力電力を測定し、平均をとり、低帯域幅制御ループを用いて、パルス幅変調(PWM)コンバータのデューティサイクルを調整し、固定出力インピーダンス共鳴インバータの搬送波を変調して所望の出力特性を達成することである。しかしながら、フィードバック制御ループおよびいくつかのサイクル平均は、待ち時間の問題を引き起こす。
【0003】
業界の慣習の一実施例は、電気外科発電機が、Kahn Envelope Elimination and Restoration技術と一般的に呼ばれる方法によって、中波(MF)振幅変調(AM)の放送送信機をまねることである。そのような発電機は、典型的には、電気外科類似の搬送周波数における定電圧振幅で動作するD級またはE級のRF出力段を用いる。様々な公知の実施形態において、発電機は、時々S級変調器と呼ばれる効率的なコンバータ電源振幅変調器と結合させられる。コンバータ電源振幅変調器は、RF出力電圧、電流、または組織負荷において消散させられる電力を出力曲線と呼ばれる所望の電力対インピーダンス特性に調節するように構成され得る。
【0004】
そのような技術の仮定は、組織負荷が可聴周波数(AF)帯域より実質的に低い速度で変化することである。しかしながら、この仮定は、電気外科における切断および凝固の主要な機構である、アーキングのプリズム(prism of arcing)を通して見ると、必ずしも完全に正確とはいえない。電気外科におけるアーキングは、サイクルの途中で火が消え、再発火し得、その特性上の変化がAFよりはるかに広い規模で起り得る。従って、この仮定は事実よりも便宜上のものであり得る。なぜなら、制御の目的のためのRFのフィードバックが最も一般的なフィードバック制御器技術によってもたらされる遅延のために非常に難しいことは周知であるからである。
【0005】
電気外科のために一般的に用いられているエンベロープフィードバック調節は、多く(時には何百回)のサイクルにわたり電圧および電流のセンサフィードバックによって交流(AC)出力電力および負荷インピーダンスを測定し、平均をとることによって達成される。このアプローチは、複雑であり、アーキング中のその遅い応答は、AC出力電力の不十分な調節を引き起こし、結果として、望ましくない熱拡散または炭化(charring)および瘢痕形成(scarring)など、他の周知の組織損傷をもたらす。従って、これらおよび他の欠陥を克服する電気外科発電機に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
電気外科発電機の出力と患者の組織との間にアークを形成するために高周波インバータを用いて、冒された細胞にジュール加熱を誘導し得、このことは、切断、凝固、および切開の所望の外科手術効果をもたらす。例示的実施形態において、電気外科は、電気外科発電機によって生成されるジュール加熱を利用する。電気外科発電機は、正確な電源出力特性を生成し、その電源出力特性に対して最大電圧および電流の制限が追加される。電気外科発電機の電圧および電流の制限は、プロセスの安全性に寄与する。さらに例示的実施形態において、電圧および電流の制限は、様々な外科手術用途において望まれ得る特定の組織効果をもたらすように構成される。
【0007】
例示的実施形態において、電気外科発電機制御システムは、出力電圧または出力電流を測定することなく、定電力出力を生成し、実質的な速示制御によって出力電力を調節する。電気外科発電機制御システムは、基準電流に等しい特定の値にインダクタ電流を調節することによって速示に近い制御を行う。従って、例示的実施形態において、電気外科発電機制御システムは、AC出力電力のための効率的で実質的に速示の制御方法を用いて所望のインバータ出力特性を達成する。さらに、例示的電気外科発電機制御システムは、測定された出力電圧、測定されたインダクタ電流のうちの少なくとも1つに部分的に基づいて、また制御システムによって生成されるデューティサイクルコマンドに従うことによって、動作モードを切り替える。さらに、例示的制御システムは、電圧および電流の制限を調整し、所望の組織効果の正確な制御を容易にする能力を提供する。所望の組織効果は、切断深度および表面止血対熱拡散の量のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0008】
先行技術の電気外科発電機と比較して、例示的電気外科発電機は、出力電力の調節を改善することによって、意図しない組織損傷を減少させる。例示的実施形態に従って、電気外科発電機は、サイクル中、電力を制御し、アーキングが起った場合、電力の変化に反応する。電圧源は、特に、通常の電気外科使用中、大きい制御不能なパワーエクスカーションを有する傾向があることを明示する。パワーエクスカーションの大きさは、様々な要因に依存し得る。1つの要因は、正弦サイクルにおいてアークが起った場合、外科医が組織からどれだけ遠くに離れているかということである。さらに、先行技術において、組織からの距離がうまく制御された場合でも、電流源は、長く意図しないアークをもたらし得る。従って、例示的実施形態において、電気外科発電機は、サイクルの全体を通して十分なアークおよびプラズマの制御に対して搬送波周波数サイクル内において電力を制御するように構成され得る。搬送波周波数サイクルの継続時間内における電力制御は、先行技術のシステムより有利である。なぜなら、典型的な電圧または電流の検出フィードバック機構が応答し得るより速くアーキングが起るからである。
【0009】
さらに例示的電気外科発電機は、先行技術の電気外科発電機より複雑さが少ない。さらに、この出願の目的は、著しくより簡単でより正確な方法で、電気外科発電機の所望の出力特性を実現するために、インバータトポロジー、および電流モード制御と電圧モード制御とを組み合せる制御アルゴリズムを提示することである。2つの変換段のうちのどれでもを制御される電流モードであると指示することによって、定電力、定電流、および定電圧出力が、非常に優れた調節および迅速な遷移で達成され得る。
【0010】
例示的実施形態において、電気外科発電機の出力の効果的な調節は、所望の臨床効果を達成するために重要である。出力電力が所望の値を超えることが許容される場合、過剰な熱拡散が起こり得、組織を不必要に損傷し、傷跡をつけ、治癒を遅らせ得る。最大出力電圧が限界値を超えた場合、組織の炭化が起こり得、組織の炭化は、組織を不必要に損傷し得、外科手術領域を覆い隠し得る。電気外科発電機において例示的電気外科発電機制御方式を用いることは、出力電力の速示に近い調節を提供し得る。さらに、電気外科発電機制御方式は、いくらかのサイクル内に所定の電力を正確に供給することによって熱拡散が最小限にされることを確実にする傾向がある。さらに、様々な実施形態において定電圧モードによって提供される迅速かつ正確な調節は、意図しない組織の炭化を最小限にする。従って、熱拡散および炭化の減少は、傷跡を減少させ、治癒時間を短縮することによって、結果として、より良い外科手術の成果をもたらす。
【0011】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
入力電力を受信するように構成されるDC−DCバックコンバータと、
該DC−DCバックコンバータおよびDC−ACブーストインバータと通信するインダクタと、
一次巻線と、二次巻線とを有する変圧器であって、該変圧器は、出力電力を負荷に伝送するように構成され、該DC−ACブーストインバータは、該インダクタから入力を受信し、該変圧器の該一次巻線にAC電力を移送するように構成される、変圧器と、
該DC−DCバックコンバータおよび該DC−ACブーストインバータの両方を制御するように構成される電気外科発電機(ESG)であって、制御は、該電気外科発電機の電気的パラメータに部分的に基づく、電気外科発電機(ESG)と
を備えている、電気外科発電機。
(項目2)
上記電気的パラメータは、インダクタ電流または上記DC−ACブーストインバータからの上記AC電力の電圧を含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目3)
上記電気外科発電機は、選択された電圧および電流の制限内で動作するように構成される、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目4)
上記電気外科発電機は、3つのモードで動作し、該モードの選択は、負荷のインピーダンスの変化に応答する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目5)
上記3つのモードは、定電圧モードと、定電流モードと、定電力モードとを含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目6)
上記ESG制御器は、
インダクタ電流i(t)を制御電流制限i(t)と比較するように構成される電流モード制御器と、
出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較するように構成される電圧モード制御器と、
所定の制限に基づいて動作モードを決定し、動作モードインディケータを生成するように構成されるモードセレクタと、
該動作モードインディケータを受信し、上記ESG制御器による該動作モードの選択を容易にするように構成されるステアリングロジックと
を備えている、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目7)
上記所定の制限は、電圧制限と、電流制限とを含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目8)
上記所定の制限は、デューティサイクル制限を含む、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目9)
上記電気外科発電機は、実質的に速示の制御で動作する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目10)
上記実質的に速示の制御は、1〜2サイクル、1〜10サイクル、10〜100サイクルのうちの少なくとも1つ内における速示制御である、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目11)
上記実質的に速示の制御は、100〜500kHzの動作帯域幅を有する、上記項目のいずれかに記載の電気外科発電機。
(項目12)
電気外科発電機の電気外科発電機(ESG)制御器であって、該ESG制御器は、
インダクタ電流i(t)を制御電流制限i(t)と比較するように構成される電流モード制御器であって、該電流モード制御器は、第1のデューティサイクルdでスイッチング波形σ(t)を生成するように構成される、電流モード制御器と、
出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較するように構成される電圧モード制御器であって、該電圧モード制御器は、該電気外科発電機の定電圧モードを容易にするために第2のデューティサイクルdを生成するように構成される、電圧モード制御器と、
モードセレクタであって、信号入力を比較し、動作モードインディケータを生成するように構成される、モードセレクタと、
該動作モードインディケータを受信し、該ESG制御器による該動作モードの選択を容易にするように構成されるステアリングロジックであって、該ステアリングロジックは、2つのデューティサイクル信号を該電気外科発電機に提供する、ステアリングロジックと
を備え、
該ステアリングロジックは、該第1のデューティサイクルd、該第2のデューティサイクルd、および2つの固定値のデューティサイクルの様々な組み合わせに基づいて該2つのデューティサイクル信号を提供することによって、該動作モードの選択を容易するようにさらに構成される、電気外科発電機(ESG)制御器。
(項目13)
上記制御電流制限i(t)は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表によって提供される、上記項目のいずれかに記載のESG制御器。
(項目14)
インダクタ電流i(t)を基準電流制限i(t)と比較することは、該基準電流制限i(t)に整合するように該インダクタ電流i(t)を調整することを容易にする、上記項目のいずれかに記載のESG制御器。
(項目15)
上記電圧モード制御器は、コンパレータと、補償器と、パルス幅変調器(PWM)とを備え、該電圧モード制御器は、該コンパレータにおいて上記出力電圧Vout(t)を上記基準電圧Vmaxと比較し、該コンパレータの出力は、該補償器と通信し、該補償器は、該PWMを駆動するエラー信号を出力し、該PWMは、上記第2のデューティサイクルdを生成する、上記項目のいずれかに記載のESG制御器。
【0012】
(摘要)
電気外科発電機は、出力電力の調節を改善することによって、意図しない組織損傷を減少させ得る。電気外科発電機は、サイクル中、電力を制御し得、アーキングが起った場合、電力の変化に反応する。電圧源は、特に、通常の電気外科使用中、大きい制御不能なパワーエクスカーションを有する傾向があることを明示する。パワーエクスカーションの大きさは、様々な要因に依存し得る。例示的電気外科発電機制御方式は、いくらかのサイクル内において所定の電力を正確に供給することによって熱拡散を減少させるかまたは最小限にする。さらに、定電圧モードによって提供される迅速かつ正確な調節は、意図しない組織の炭化を減少させるかまたは最小限にする。従って、熱拡散および炭化の減少は、傷跡を減少させ、治癒時間を短縮することによって、結果として、より良い外科手術の成果をもたらす。電気外科発電機制御器は、電気外科発電機の電気的パラメータに部分的に基づいて、DC−DCバック(buck)コンバータおよびDC−ACブーストコンバータ
の両方を制御するように構成され得る。
【0013】
本発明のより完全な理解は、付録の資料および図面に関連して考慮される場合、詳細な説明および設計説明書(draft statement)を参照することによって得られ得、図面の全体を通して、似た参照番号は、類似した要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、様々な実施形態に従う電気外科発電機回路の概略図を例示する。
【図2】図2は、様々な実施形態に従う所望の出力特性のグラフ図を例示する。
【図3】図3は、様々な実施形態に従う電気外科発電機回路の概略図を例示する。
【図4】図4は、様々な実施形態に従う、定電力出力モードにおける例示的電気外科発電機の概略図を例示する。
【図5】図5は、様々な実施形態に従う、バックコンバータおよびブーストインバータの制御を有する例示的電気外科発電機回路の概略図を例示する。
【図6】図6は、様々な実施形態に従う所望の出力特性の別のグラフ図を例示する。
【図7】図7は、様々な実施形態に従う、電流プログラムモード制御を有する例示的バックコンバータ回路の概略図を例示する。
【図8】図8は、様々な実施形態に従う、非線形搬送波制御電流制限と測定されたインダクタ電流との相互作用、および対応するデューティサイクルの確立のグラフ図を例示する。
【図9】図9は、様々な実施形態に従う、デューティサイクル制限を用いる所望の出力特性のさらに別のグラフ図を例示する。
【図10】図10は、様々な実施形態に従う例示的無損失スナバー回路の概略図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
例示的実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分に詳細に本明細書に説明されるが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態が実現され得、また論理の電気的および機械的変更がなされ得ることは理解されるべきである。従って、次の詳細な説明は、例示の目的のためのみに提示される。
【0016】
例示的実施形態に従って、電気外科発電機制御器は、速示近くの制御をもって動作して、電気外科発電機の所望のAC出力を維持し、電気外科発電機は、定電圧モード、定電流モード、および定電力モードのうちの少なくとも1つで動作する。モード選択は、概して切断される組織に関連するインピーダンスに基づく。筋肉および脂肪などの異なる種類の組織は、異なるインピーダンスを有する。電気外科手術に関して、定電力出力は、組織を均一に気化させる傾向があり、結果として、きれいな切開をもたらす。定電圧出力は、組織を爆発的に気化させるかまたは炭化する傾向があり(「黒凝固」)、定電流出力は、気化なしで組織を熱的に凝固させる傾向がある(「白凝固」)。外科医が表面組織を速やかに破壊することを望む場合、炭化は外科手術的に有用であり、熱凝固は、通例機械的圧力に連結されて、肝臓の脈管またはリンパ管を密閉して閉じる。しかしながら、外科医は、定電力出力を用いて手術し、重要なことであるが、偏位があった場合、できるだけ速やかに定電力出力を用いることに戻ることが望ましい。
【0017】
図1に示される概略図を参照すると、例示的実施形態において、電気外科発電機100は、DC−DCバックコンバータ101と、DC−ACブーストインバータ102と、インダクタ103と、変圧器104と、電気外科発電機(ESG)制御システム110とを備えている。例示的実施形態において、DC電圧源Vgは、DC−DCバックコンバータ101に電気的に連結される。さらに、インダクタ103は、DC−DCバックコンバータ101とDC−ACブーストインバータ102との間に電気的に連結される。DC−ACブーストインバータ102の出力は、変圧器104の一次巻線に電力を伝え、電力は、変圧器104の二次巻線を通過して負荷Zに行く。さらに、負荷Zは、組織インピーダンスが変化するので変化し、また切断プロセスがアークプロセスなので変化する。アークのインピーダンスは、形成のいくつかの「相」を経て、最終的には搬送波周波数サイクル内で消滅するので、変化する。
【0018】
例示的実施形態において、ESG制御システム110は、DC−DCバックコンバータ101およびDC−ACブーストインバータ102と通信する。ESG制御システム110は、DC−DCバックコンバータ101のデューティサイクルdおよびDC−ACブーストインバータ102のデューティサイクルdを制御するように構成される。さらに、ESG制御システム110は、電気外科発電機100の電力特性を測定し、測定された電力特性に少なくとも部分的に基づいて電気外科発電機100を制御するように構成される。測定される電力特性の実施例は、インダクタ103を通る電流と、DC−ACブーストインバータ102の出力における電圧とを含む。制御モードの様々な実施形態において、ESG制御システム110は、(例えば、定電流、定電力、または定電圧などの)動作のモードに従って、様々な制御器からのデューティサイクル入力の組み合わせおよび/または選択に基づいてデューティサイクルを生成することによって、バックコンバータ101を制御する。
【0019】
電気外科発電機のAC出力に関して、例示的実施形態において、「定電力」は、各切り替えサイクル時に送られる平均電力が実質的に固定の値に調節されることを意味するように定義される。同様に、「定電圧」は実質的に固定の値に調節されるAC電圧のrms値として定義され、「定電流」は実質的に固定の値に調節されるAC電流のrms値として定義される。様々な実施形態において、定電力、定電圧、および定電流の実質的に固定の値は、ユーザによって選択され得るかまたはルックアップ表から選択され得る。例示的実施形態に従って、ESG制御システム110は、電流モード制御器111と、電圧モード制御器112と、モードセレクタ113と、ステアリングロジック114とを備えている。一例示的実施形態において、モードセレクタ113は、電気外科発電機100の動作の所望のモードを決定するために、出力電圧Vout(t)およびインダクタ電流i(t)を(本明細書においてさらに詳細に考察される)「所定の制限」と比較する。所望の出力特性の例示的グラフ図は、図2に例示される。例示的実施形態において、負荷インピーダンスが増加し、電圧を増加させると、対応して増加する出力電圧は、定電流(A)から定電力(B)へ、定電圧(C)への動作モードの遷移をトリガする。同様に、例示的実施形態において、負荷インピーダンスが減少し、電流を増加させると、対応して減少する出力電圧は、定電圧(C)動作モードから定電力(B)動作モードへ、定電流(A)動作モードへの反対の遷移をトリガする。
【0020】
様々実施形態において、定電力モードは、DC−ACブーストインバータのデューティサイクルを単に変化させることによって維持され得る。図3を参照すると、ESG制御システム310は、電流モード制御器311と、電圧モード制御器312と、モードセレクタ313と、ステアリングロジック314とを備えている。この実施形態において、電流モード制御器311は、インダクタ電流i(t)を制御電流制限iと比較する。例示的実施形態において、制御電流制限iは、ユーザによって設定されるか、またはルックアップ表によって提供される。例示的実施形態において、電流モード制御器311は、ラッチ回路を用いて、デューティサイクルdを有するスイッチング波形δ(t)を生成する。ラッチ回路の入力は、電流比較およびクロック信号である。例示的実施形態において、インダクタ電流i(t)が制御電流制限iより低い場合、スイッチング波形δ(t)は、スイッチング期間の開始時に「高」に切り替えられる。さらに例示的実施形態において、スイッチング波形δ(t)は、制御電流制限iを超えるインダクタ電流i(t)に応答して「低」に切り替えられる。換言すると、インダクタ電流i(t)を制御電流制限iと比較することは、制御電流制限iに整合するようにインダクタ電流i(t)を調整することを容易にする。小インダクタ電流リップルに対して、換言するとΔi<<iである場合、電流モード制御器は、制御電流制限iに実質的に等しいおおよそ一定の値にインダクタ電流i(t)を調節する。
【0021】
様々な実施形態において、また引き続き図3を参照すると、電圧モード制御器312は、コンパレータ321と、補償器322と、パルス幅変調器323とを備えている。さらに様々な実施形態において、電圧モード制御器312は、コンパレータ321において
出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較する。コンパレータ321の出力は補償器322に通信され、補償器322は次にPWM323を駆動する誤差信号を出力する。様々な実施形態において、補償器322の出力はPWM323への入力信号であり、PWMは信号のデューティサイクルdを設定する。
【0022】
さらに様々な実施形態において、モードセレクタ313は、エンコーダを備え、複数の比較を行う。出力電圧Vout(t)は、第1の電圧制限Vlimit_1と比較されて、「信号a」を生成する。出力電圧Vout(t)は、第2の電圧制限Vlimit_2と比較されて、「信号b」を生成する。同様にインダクタ電流i(t)は、第1の電流制限Ilimit_1と比較されて、「信号c」を生成する。インダクタ電流i(t)は、第2の電流制限Ilimit_2と比較されて、「信号d」を生成する。一例示的実施形態において、また表1を参照すると、モード選択は、上記に説明された比較に基づいて、モードセレクタ313によって設定される。表1は、比較の結果および対応するモードを表にする。例示的実施形態において、表1は、出力電圧またはインダクタ電流が比較された制限より大きい場合「1」値とし、出力電圧またはインダクタ電流が比較された制限より小さい場合「0」値として表にする。例えば、出力電圧Vout(t)が第1の電圧制限Vlimit_1および第2の電圧制限Vlimit_2の両方とも超える場合、エンコーダは定電圧モードを選択する。さらに、第2の電圧制限Vlimit_2は基準電圧Vmaxに等しく、基準電圧Vmaxは電圧モード制御器312における比較において用いられるものと同じである。
【0023】
【表1】

(定電力出力)
様々な実施形態において、定AC電力出力は、デューティサイクルdを固定値に設定し、デューティサイクルdを変化させることによって電流プログラムのブーストインバータとしてDC−ACブーストインバータ段を作動させることによって達成される。前述のように、電気外科発電機制御器310は、制御電流制限iに等しいおおよそ一定の値にインダクタ電流を調節することによって速示に近い制御を行う。例示の目的のために、図4は、定電力出力モードにおける電気外科発電機の例示的概略図を表す。
【0024】
定常状態において、v(t)である平均電圧は、一定である入力電圧Vgに応答して一定であり、DC−DCバックコンバータは100%デューティサイクルに設定されることによって迂回され、いかなる平均電圧もインダクタLを横切って存在することできない。電流プログラムのモード制御を用いることは、結果として、速示または速示に近い制御によっておおよそ固定の値に調節されるi(t)である平均電流をもたらす。i(t)を調節するために、デューティサイクルdは、電流モード制御器によって変化させられて、固定値でi(t)を維持する。固定の電圧vおよび電流iが与えられるとすると、DA−ACブースト回路102(すなわち、スイッチネットワーク)における電力も一定である。例示的実施形態において、スイッチネットワークは、ほとんど無損失であり、結果として、入力電力におおよそ等しい出力電力をもたらす。入力電力は一定であるので、DC−ACブースト回路102の出力電力も一定である。
【0025】
(定電圧出力)
様々な実施形態において、また再び図3を参照すると、定電圧出力は、DC−DCバックコンバータ101のデューティサイクルdを固定値に設定することによって、またDC−ACブースト回路102のデューティサイクルdの電圧モード制御を用いて、達成される。例示的実施形態において、電圧モード制御は、センサネットワークでDC−ACブースト回路102の出力電圧Vout(t)を測定することと、感知された出力電圧Vout(t)を電圧モード制御器312において制御ループに供給することと、測定された出力電圧Vout(t)と基準出力電圧Vmaxとの間の相対差(relative difference)に基づいてコンバータのデューティサイクルコマンドを調整することとを伴う。換言すると、デューティサイクルdは、Vmaxに整合するように出力電圧を増加させるかまたは減少させるように設定される。例示的実施形態において、Vmaxは、ユーザによってかまたはルックアップ表における値に基づいて、設定され得る。
【0026】
(定電流出力)
例示的実施形態において、定電流出力は、固定デューティサイクルdおよび電流モード制御DC−DCバックコンバータ101においてDC−ACブースト回路102を動作させることによって達成される。例示的実施形態において、電流モード制御は、バックコンバータ101の出力が定電流であるように平均インダクタ電流を正確に制御する。一実施形態において、電流モード制御器111は、インダクタ電流i(t)を制御電流制限iと比較し、ここで制御電流制限iは、所望の固定値である。換言すると、電気外科発電機制御器310は、固定値にインダクタ電流i(t)を維持するために、デューティサイクルdを変化させるように構成される。様々な例示的実施形態において、Vout(t)の場合と同様に、i(t)は、推定された値ではなく、センサによって測定される。その結果、定電流出力モードはAC出力電流を生成し、AC出力電流の大きさは速示に近い速度で調節される。
【0027】
(直接測定によるモード遷移)
様々な実施形態において、定電力、定電圧、または定電流の3つのモードを実装する電気外科発電機システムは、AC出力特性の非常に速く非常に正確な調節をもたらす。様々なモードは、測定された特性によって影響を与えられ、一方、他のモードは、同じ測定された特性に応答する必要がない。具体的には、電気外科発電機制御器310は、測定された出力電圧Vout(t)に部分的に基づいて動作モード間において切り替わり得る。さらに、電気外科発電機制御器310は、測定された出力電圧Vout(t)に基づいて、定電圧モードで動作パラメータを調整し得る。換言すると、コンバータのどの段を電流モード制御に選択するかは、最小のフィードバックで、非本質的な測定、平均値算出、または出力のフィードバックの必要なく、達成され得る。
【0028】
3つのモード間の遷移は、例示的実施形態において、変圧器104の一次巻線の電圧およびインダクタ電流をモニタリングすることによって決定される。前述のように、一例示的実施形態に従って、1つのモードから次のモードへの遷移は、表1に要約される。例示的ESGは、出力電圧Vout(t)が増加すると、定電流から定電力に、定電圧にモードを遷移させる。具体的には、例示的実施形態において、出力電圧Vout(t)が第1の電圧制限Vlimit_1より小さい場合、電気外科発電機300は、定電流モードで動作する。出力電圧Vout(t)が第1の電圧制限を超える場合、電気外科発電機300は、定電力モードに遷移する。出力電圧Vout(t)が第2の電圧制限Vlimit_2を超える場合、電気外科発電機300は、定電力モードに遷移し、ここで、出力電圧Vout(t)は、制限され、一定に保持される。例示的実施形態において、第1の電圧制限Vlimit_1および第2の電圧制限Vlimit_2は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表から設定される。
【0029】
同様に、電気外科発電機300は、インダクタ電流i(t)が増加すると、定電圧モードから定電力モードに、定電流モードに遷移する。具体的には、例示的実施形態において、インダクタ電流i(t)が第1の電流制限Ilimit_1を超えない場合、電気外科発電機300は定電圧モードで動作する。インダクタ電流i(t)が第1の電流制限Ilimit_1を確実に超える場合、モードは、定電力モードに遷移する。インダクタ電流i(t)が第2の電流制限Ilimit_2を超える場合、電気外科発電機300は定電流モードに遷移し、ここで、インダクタ電流i(t)制限され、一定に保持される。例示的実施形態において、第1の電流制限Ilimit_1および第2の電流制限Ilimit_2は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表から設定される。
【0030】
(バックコンバータおよびブーストインバータ制御を有するESG)
様々な実施形態に従って、また図5を参照すると、ESG制御システム510を有する電気外科発電機500は、電流モード制御器511と、電圧モード制御器512と、モードセレクタ513と、ステアリングロジック514とを備えている。様々な実施形態において、電気外科発電機500の動作モードは、定(もしくは最大)電流Imax、バックコンバータからの定電力P、ブーストインバータからの定電力P、または定(もしくは最大)電圧Vmaxのうちの1つである。これらのモードは、図6を参照して例示的実施形態に示される。モードセレクタ513の出力選択は、ステアリングロジック514に通信される。例示的実施形態において、ステアリングロジック514は、イネーブルにされる電流制御器511および電圧モード制御器512のうちの少なくとも1つのどれでも制御する。さらにステアリングロジック514は、どの変換段が電流モード制御器511および/または電圧モード制御器512の出力を受信するかを選択し得る。様々な実施形態において、ステアリングロジック514は、定電力領域(PまたはP)のどの部分が現在動作モードであるかに従って、DC−DCバックコンバータ101またはDC−ACブーストインバータ102のいずれかを動作させるかを切り替える。例えば、電圧モード制御器512および/または電流モード制御器511は、動作モード(定電流モード、定電圧モード、定電力Pもしくは定電力P)に対してデューティサイクルdおよび/またはdを調整し得る。さらにステアリングロジック514は、DC−DCバックコンバータ101および/またはDC−ACブーストインバータ102の各々が受信するデューティサイクルを選択する。
【0031】
様々な実施形態において、電流モード制御器511は、インダクタ電流i(t)を非線形搬送波制御電流制限i(t)と比較する。例示的実施形態において、非線形搬送波制御電流制限i(t)は、Psetの選択によって設定され、Psetの選択は、ユーザによってなされ得るかまたはルックアップ表によって提供され得る。例示的実施形態において、電流モード制御器511は、ラッチ回路を用いて、インダクタ電流i(t)を、電流制限信号(I)または電力制限信号(P)のいずれかを含む制御電流制限i(t)と比較する。P/Iスイッチに対する制御信号はモード信号であり、モード信号はモードセレクタ513から通信される。ラッチ回路の入力は、クロック信号、および制御電流制限i(t)と電流制限信号(I)または電力制限信号(P)のうちの1つを含むインダクタ電流i(t)との比較である。電流モード制御器511出力の選択は、電気外科発電機500の電流モードに応答する。電気外科発電機500の動作モードは、モードセレクタ513の出力から通信され得る。例示的実施形態において、インダクタ電流i(t)が非線形搬送波制御電流制限i(t)より低い場合、スイッチング波形δ(t)は、スイッチチング期間の開始時に「高」に切り替えられる。さらに、例示的実施形態において、スイッチング波形δ(t)は、非線形搬送波制御電流制限i(t)を超えるインダクタ電流i(t)に応答して、「低」に切り替えられる。換言すると、インダクタ電流i(t)の非線形搬送波制御電流制限i(t)との比較は、前述のように、バックコンバータ101のデューティサイクルのパルス継続時間を調整することを容易にする。
【0032】
電気外科発電機500からの定電流を生成し、制御するために、インダクタ電流i(t)の平均値は、固定制御電流制限KPsetと実質的に等しくなるように制御され、KPsetは、固定の非時間変化値である。小インダクタ電流リップルに対して、換言するとΔi<<iであり、電流モード制御器は、固定の制御電流制限に実質的に等しいおおよそ一定の値にインダクタ電流i(t)を調節する。
【0033】
バックコンバータを用いて実質的に一定の電力(例えば、定電力P)を生成することに関して、非線形搬送波制御電流制限の実装がさらに説明される。DC−ACブーストインバータのデューティサイクルを単に変化させることに基づいて定電力源を生成することに加えて、バックコンバータはまた、実質的に一定の電力出力を生成するように構成され得る。様々な例示的実施形態において、バックコンバータの実質的に一定の電力出力は、バックコンバータに対するデューティサイクルの活動期間を調整することによって達成され得る。例示的実施形態において、また図7を参照すると、バックコンバータシステムは、電源Vgと、バックコンバータ回路710と、制御器720と、負荷730とを備えている。負荷のインピーダンスは、静的または動的であり得る。様々な実施形態において、制御器720は、バックコンバータ710の出力を表すフィードバック信号711を受信する。例示的実施形態において、フィードバック信号711は、バックコンバータ回路710に連結されたインダクタ712を通過する電流の測定である。
【0034】
様々な実施形態において、制御器720は、バックコンバータからインダクタ電流i(t)のリアルタイムのフィードバックを受信する。フィードバック信号711は、デューティサイクルの活動部分または非活動部分の継続時間を調整するために制御器720によって用いられる。デューティサイクル部分をリアルタイムで、または実質的にリアルタイムで調整することは、バックコンバータ710から定電力源を生成するように構成され得る。様々な実施形態において、インダクタフィードバック信号711の2つの特性は、デューティサイクル調整を決定するために用いられる。2つの特性は、第1にインダクタ電流i(t)の値であり、第2にインダクタ電流i(t)の変化の傾きである。これらの2つの特性は、出力電力の電流および電圧に関する暗黙の情報を負荷730に提供するために用いられ得、この暗黙の情報は、デューティサイクルの大きさをリアルタイムで調整し、実質的に一定の電力出力を生成するために用いられ得る。
【0035】
DC−DCバックコンバータ710のデューティサイクルのパルス継続時間は、電流モード制御器720を用いて変化させられる。デューティサイクルの変化するパルス継続時間はインダクタ電流i(t)を制御し、インダクタ電流i(t)はバックコンバータ710と接触している負荷730に応答する。負荷730のインピーダンスが変化すると、インダクタ712を横切る電圧もまた変化し、インダクタ712を通る電流も同様に変化する。
【0036】
より詳細に説明すると、バックコンバータデューティサイクルの始めに、デューティサイクルの活動部分(パルス期間のパルス継続時間または「オン」部分とも呼ばれる)が開始される。バックコンバータに関して、パルス期間の活動部分は電源とインダクタとの間のスイッチを閉じ、それによって、インダクタを通って電力が流れることを可能にする。様々な実施形態に従って、また図8を参照すると、インダクタフィードバック信号i(t)は、非線形搬送波制御電流i(t)と比較される。非線形搬送波制御電流i(t)は、所望の出力電力に基づいてカスタマイズされる使用のために設定され得る時間変化の非線形の制御信号である。制御電流i(t)を超えるインダクタフィードバック信号i(t)に応答して、デューティサイクルは、非活動部分(「オフ」部分とも呼ばれる)に切り替わる。デューティサイクルは、パルス期間の最後まで非活動部分のままである。パルス期間の最後で、サイクルは、再び別のパルス継続時間で始まる。
【0037】
様々な実施形態において、スイッチングサイクルは、固定の時間期間を有する。インダクタフィードバック信号i(t)と非線形搬送波制御電流i(t)との比較は、デューティサイクルの活動部分および非活動部分の可変の分割に基づいて、実質的に一定の電力出力を容易にすることが可能である。簡単に説明されるように、また引き続き図8を参照すると、インダクタ電流値およびインダクタフィードバック信号i(t)における変化の傾きは、デューティサイクルを調整するために用いられる。実施例として、また限定することなく、インダクタ電流の傾きは、インダクタ電流i(t)が非線形搬送波制御電流i(t)より少ない長さの程度のタイミングに影響を及ぼす。より低い傾き値は、インダクタ電流i(t)がより遅い速度で増加していることを示し、従って、インダクタ電流i(t)が制御電流i(t)を超えるまでより長い時間期間がかかる。換言すると、インダクタ電流i(t)が制御電流i(t)を超えるまでに時間がかかればかかるほど、対応するパルス継続時間は長くなる。例えば、2Tにおけるパルス継続時間と3Tにおけるパルス継続時間との比較を参照されたい。インダクタ電流i(t)のより高い傾き値は、インダクタ電流がより速い速度で増加していることを示し、従って、インダクタ電流i(t)が制御電流限度i(t)を超えるまでより短い時間期間がかかる。より短い時間期間は、結果として、デューティサイクルがより短い期間活動部分のままであり、より短いパルス継続時間を有することをもたらす。
【0038】
非線形搬送波制御電流i(t)は、非線形搬送波制御(NLC)技術の一部である。様々な実施形態において、バックコンバータに適用されるNLC技術は、非線形の搬送波である非線形の時間依存変数に基づく。様々な実施形態において、非線形時間依存変数は、入力電圧Vgと、スイッチングサイクルの期間と、所望の電力出力とによって決定される。NLC技術の適用および実質的に一定の電力出力の生成は、電源であるバックコンバータを作る。換言すると、バックコンバータは、NLC技術を実装して、定量の電力を生成し得、電源であり得る。対照的に、NLC技術の先行技術の使用は、典型的には、コンバータに定量の電力を吸収させ、コンバータを受電回路にするように構成される。NLC制御技術を用いる利益のうちの1つは、ブーストインバータと組み合わされるバックコンバータが単にブーストインバータのみを用いるより広いインピーダンス範囲にわたり一定の電源を生成し得ることである。例えば、本明細書に説明されるような、電気外科発電機は、64〜4000オームのインピーダンス範囲にわたり動作する能力がある。一定の電力の供給源に対してブーストインバータおよびバックコンバータの両方を用いることは、不当に高いピーク電圧なしで、広いインピーダンス範囲にわたり動作することを容易にする。
【0039】
様々な例示的方法に従って、可変抵抗を有する負荷によってバックコンバータに定電力出力を生成することは、デューティサイクルの開始時にバックコンバータのスイッチをオンにすることと、インダクタを介して電流をモニタリングすることとを含む。バックコンバータがデューティサイクルの活動部分において動作している間、インダクタ電流は直線で増加する。例示的方法は、制御回路においてインダクタ電流i(t)を非線形搬送波制御電流i(t)と比較することと、非線形搬送波制御電流の大きさに一致するかまたはそれを超えるインダクタ電流の希望に応答してバックコンバータのスイッチをオフにすることとをさらに含む。バックコンバータのスイッチをオフすることに応答して、インダクタ電流は、デューティサイクルの非活動部分中、減少する。変化するインダクタ電流の傾きは、負荷の変化するインピーダンスに対応し、負荷の変化するインピーダンスは、バックコンバータから実質的に一定の電力出力を生成するために、デューティサイクルのパルス継続時間を調整するために用いられ得る。様々な実施形態において、非線形搬送波制御電流は次の式、
【0040】
【数1】

から引き出され、ここで、Pは負荷における電力であり、Tsはスイッチングサイクル期間であり、Vgは入力DC電圧源の大きさであり、tは時間である(スイッチングサイクルの開始時、t=0が生じると仮定する)。さらに当業者によって理解されるように、インダクタ電流は、バックコンバータをオンまたはオフにすることにより、各サイクル中に小さな変動を有し、小さな変動は、負荷インピーダンスのいかなる変化によるものでもない場合がある。様々な実施形態において、負荷インピーダンスに対する変化は、結果として、インダクタ電流の傾きにおける変化およびインダクタ電流の平均値に対する変化をもたらす。
【0041】
実質的に一定の電力出力を有するバックコンバータが電気外科発電機における実装の観点において説明されるが、そのようなバックコンバータはまた、アーク溶接および気体放電ランプ(すなわち、街灯)などの様々な用途においても実装され得る。
【0042】
例示的実施形態において、また再び図5を参照すると、電圧モード制御器512は、コンパレータ521と、補償器522と、パルス幅変調器(PWM)523とを備えている。さらに、例示的実施形態において、電圧モード制御器512は、コンパレータ521において、測定された出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較する。コンパレータ521の出力は、補償器522に通信され、補償器522は、次にPWM523を駆動するエラー信号を出力する。例示的実施形態において、補償器522の出力は、PWM523への入力信号であり、PWM523は、特定のモードで信号のデューティサイクルdを設定する。
【0043】
様々な実施形態において、定電圧出力はまた、DC−DCバックコンバータ101のデューティサイクルdを固定値に設定し、DC−ACブーストインバータ102のデューティサイクルdを最大デューティサイクルdmaxに制限することによって達成され得る。
定電圧出力中、DC−ACブーストインバータ102においてデューティサイクル制限を実装することは、概してオープンループでDC−ACブーストインバータ102を作動させることとなる。様々な実施形態において、DC−ACブーストインバータ102のデューティサイクルdを最大デューティサイクルdmaxに制限することは、結果として、直接測定を用いるモード遷移と比較して、不十分な定常状態出力電圧調節をもたらすが、1サイクル当りのベースで過渡オーバーシュートのリスクがほとんどないかまたは全くなく、ピーク出力電圧を制限するという重要な利点を提供する。様々な電気外科用途に対して、最大出力電圧Vout(t)の定常状態値は、任意の時間の間にこの出力モードで動作することはまれであるので、重要性がより少ない。しかしながら、1サイクル当りの過渡電圧制限は、起り得る望ましくないアーキングを制限する手段として非常に有用であり得る。さらに様々な実施形態において、最大デューティサイクルは、出力電圧測定を線形にする必要がなくまたは補償器を同調させる必要がなく、容易に変化させられ得、この例示的実施形態において、直接測定がなされないのでいかなるセンサも必要ではない。
【0044】
さらに、例示的電気外科発電機500などの構成は、モード選択へのさらなる入力を有し得る。別の例示的実施形態において、また図5を参照すると、モードセレクタ513は、エンコーダを備え、複数の比較を行う。出力電圧Vout(t)は、3つの別個の電圧制限(Vlimit_1、Vlimit_2、Vlimit_3)と比較されて、3つの電圧比較信号を生成する。同様に、インダクタ電流i(t)は、3つの別個の電流制限(Ilimit_1、Ilimit_2、Ilimit_3)と比較されて、3つの電流比較信号を生成する。図6を参照すると、様々な実施形態において、モードセレクタ513は、電圧比較信号および電流比較信号を用いて、電気外科発電機500が、定電流出力領域(A)、定電力出力領域(B)の領域P、定電力出力領域(B)の領域P、または定電圧出力領域(C)において動作しているかどうかを決定する。さらにモードセレクタ513からの出力モード信号は、ステアリングロジック514においてスイッチ位置を制御する。さらに、モードセレクタ513からの出力モード信号は、電流モード制御器511においてスイッチ位置を制御する。例えば、出力電圧Vout(t)が、第1の電圧制限Vlimit_1、第2の電圧制限Vlimit_2、第3の電圧制限Vlimit_3を超えた場合、エンコーダは、定電圧モードを選択する。モードセレクタ513からの定電圧モード信号は、ステアリングロジック514のスイッチの位置を「V」にさせる。別の例として、出力電圧Vout(t)が、第1の電圧制限Vlimit_1を超えたが、第2の電圧制限Vlimit_2を超えないで、インダクタ電流i(t)が第1の電流制限Ilimit_1および第2の電流制限Ilimit_2を超えたが、第3の電流制限Ilimit_3を確実に超えた場合、モードセレクタ513は、動作モードが定電力Pであると決定する。図5および表2に例示されるように、モードセレクタ513からの定電力Pモード信号は、ステアリングロジック514のスイッチの位置を「P」にさせる。値「1」および「0」は、閉ループ制御されない、0%〜100%の任意の固定値を表す。換言すると、「1」および「0」によって表される固定値を能動的に変化させるフィードバック信号はない。
【0045】
【表2−1】

【表2−2】

(定電力出力)
例示的実施形態において定AC電力出力は、デューティサイクルσおよびデューティサイクルσのうちの1つまたは両方を所望の値に設定することによって、達成される。さらに電気外科発電機500は、第1の定電力領域Pまたは第2の定電力領域Pのいずれかにおいて定AC電力出力で動作する。様々な実施形態において、コンバータは、負荷のインピーダンスに従って、ブーストインバータ102またはバックコンバータ101を用いて定電力を生成する合間に切り替える。さらに様々な実施形態において、電気外科発電機100は、ブーストインバータ102およびバックコンバータ101の両方を同時に動作し得、このことは、結果として、高電圧および低電力を有する定電力出力をもたらす。
【0046】
定常状態および第1の定電力領域Pにおける動作において、インダクタ電流i(t)は、電流モード制御器511において非線形搬送波制御電流i(t)と比較される。DC−DCバックコンバータのデューティサイクルのパルス継続時間は、電流モード制御器511を用いて変化させられる。デューティサイクルの変化するパルス継続時間は、インダクタ電流i(t)を制御し、バックコンバータと接触している負荷に応答する。負荷のインピーダンスが変化すると、インダクタを横切る電圧V(t)もまた変化し、インダクタi(t)を通る電流も同様に変化する。前述のように、デューティサイクルの開始時、デューティサイクルの活動部分が開始される。非線形搬送波制御電流i(t)を超えるインダクタ電流i(t)に応答して、デューティサイクルは、非活動部分に切り替わる。デューティサイクルは、デューティサイクルの最後まで非活動部分のままであり、デューティサイクルの最後の時点で次のデューティサイクルが活動部分において始まる。代替の実施形態において、インダクタフィードバック信号i(t)と非線形搬送波制御電流i(t)との比較中、制御電流がインダクタ電流を超えると、デューティサイクルは活動部分に切り替わる。例示的実施形態に従って、電気外科発生器500は、第1の定電力領域P中にバックコンバータ101を用いて定電力を生成する。
【0047】
定常状態および第2の定電力領域Pにおける動作において、V(t)である平均電圧は、一定である入力電圧Vgに応答して一定であり、DC−DCバックコンバータは100%デューティサイクルに設定されることによって迂回され、いかなる平均電圧もインダクタ103を横切って存在することできない。電流プログラムのモード制御を用いることは、結果として、速示または速示に近い制御によっておおよそ固定の値に調節されるi(t)である平均電流をもたらす。i(t)を調節するために、デューティサイクルdは、電流モード制御器によって変化させられて、固定値でi(t)を維持する。固定の電圧および電流が与えられるとすると、DA−ACブースト回路(すなわち、スイッチネットワーク)における電力も一定である。例示的実施形態において、スイッチネットワークは、ほとんど無損失であり、結果として、入力電力におおよそ等しい出力電力をもたらす。入力電力は一定であるので、DC−ACブーストインバータ102の出力電力も一定である。
【0048】
(定電圧出力)
例示的実施形態において、定電圧出力は、DC−DCバックコンバータ101のデューティサイクルσを固定値に設定することによって達成され、DC−ACブーストインバータ102のデューティサイクルσは、電圧モード制御される。例示的実施形態において、電圧モード制御は、センサでDC−ACブーストインバータ102の出力電圧Vout(t)を測定することと、感知された出力電圧を電圧モード制御器512において制御ループに供給することと、測定された出力電圧と基準出力電圧との間の相対差に基づいてコンバータのデューティサイクルコマンドを調整することとを伴う。換言すると、デューティサイクルσは、Vmaxに整合するように出力電圧を増加させるかまたは減少させるように設定される。例示的実施形態において、Vmaxは、ユーザによってかまたはルックアップ表における値に基づいて、設定され得る。代替の実施形態において、ブーストインバータは、出力電圧のフィードバックなしで、固定デューティサイクルにおいて作動させられる。
【0049】
(定電流出力)
例示的実施形態において、定電流出力は、固定デューティサイクルσおよび電流モード制御DC−DCバックコンバータ101においてDC−ACブーストインバータ102を動作させることによって達成される。例示的実施形態において、電流モード制御は、バックコンバータ101の出力が定電流であるように平均インダクタ電流を正確に制御する。一定電流実施形態において、電流モード制御器511は、インダクタ電流i(t)を制御電流制限i(t)と比較する。様々な実施形態において、制御電流制限i(t)は、選択された固定値であり得るか、またはKPsetによって設定され得、ここで、KPsetは、使用中、ユーザによって設定される定電流である。様々な実施形態において、Psetは、設計段階時に設定される。換言すると、ESG制御スステム510は、固定値にインダクタ電流i(t)を維持するために、デューティサイクルσを変化させるように構成される。その結果、定電流出力モードはAC出力電流を生成し、AC出力電流の大きさは速示に近い速度で調節される。
【0050】
(電気外科発電機モード)
電気外科発電機300の遷移モードと同様に、例示的実施形態において、電気外科発電機500もまた、定電力、定電圧、または定電流の3つのモードを実装して、AC出力特性の非常に速く非常に正確な調節をもたらす。様々なモードは、測定された特性によって影響を与えられ、一方、他のモードは、同じ測定された特性に応答する必要がない。具体的には、ESG制御システム510は、インダクタ電流および電圧などの測定された特性に部分的に基づいて動作モード間において切り替わり得る。換言すると、コンバータのどの段を電流モード制御に選択するかは、最小のフィードバックで、非本質的な測定、平均値算出、または出力のフィードバックの必要なく、達成され得る。また前述のように、ESG制御システム510は、基準電流に等しいおおよそ一定の値にインダクタ電流を調節することによって速示に近い制御を行う。
【0051】
(直接測定によるモード遷移)
3つのモード間の遷移は、例示的実施形態において、変圧器104の一次巻線の電圧およびインダクタ電流をモニタリングすることによって決定される。さらにモード間の遷移を決定することはまた、変圧器104の一次巻線の電圧および電流に基づき得る。様々な実施形態において、ESG制御システム510は、出力電圧Vout(t)が増加すると、定電流から定電力に、定電圧にモードを遷移させる。
【0052】
具体的には、様々な実施形態において、出力電圧Vout(t)が第1の電圧制限(Vlimit_1)より小さい場合、電気外科発電機500は、定電流モードで動作する。出力電圧Vout(t)が第1の電圧制限を超える場合、電気外科発電機500は、第1の定電力モード(P)に遷移する。出力電圧Vout(t)が第2の電圧制限(Vlimit_2)を超える場合、電気外科発電機500は、第2の定電力モード(P)に遷移する。出力電圧Vout(t)が第3の電圧制限(Vlimit_3)を超える場合、電気外科発電機500は、定電圧モードに遷移し、ここで、出力電圧Vout(t)は、制限され、一定に保持される。例示的実施形態において、第1の電圧制限(Vlimit_1)、第2の電圧制限(Vlimit_2)および第3の電圧制限(Vlimit_3)は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表から設定される。
【0053】
さらに、例示的ESG制御システム510は、インダクタ電流i(t)が増加すると、定電圧モードから定電力モードに、定電流モードに遷移する。具体的には、例示的実施形態において、インダクタ電流i(t)が第1の電流制限(Ilimit_1)を超えない場合、電気外科発電機500は定電圧モードで動作する。インダクタ電流i(t)が第1の電流制限(Ilimit_1)を確実に超える場合、モードは、第2の定電力モード(P)に遷移する。インダクタ電流i(t)が第2の電流制限(Ilimit_2)を超える場合、モードは第1の定電力モード(P)に遷移する。インダクタ電流i(t)が第3の電流制限(Ilimit_3)を超える場合、電気外科発電機500は定電流モードに遷移し、ここで、インダクタ電流i(t)制限され、一定に保持される。例示的実施形態において、第1の電流制限(Ilimit_1)、第2の電流制限(Ilimit_2)、および第3の電流制限(Ilimit_3)は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表から設定される。
【0054】
(デューティサイクルによるモード遷移)
様々な代替の実施形態において、動作モードの選択は、デューティサイクルに部分的に基づき得る。例えば、電気外科発電機がバックコンバータを用いて定電力モードで動作し、デューティサイクルが100%活動に達する場合、制御器は、ブーストインバータを用いて定電力モードに切り替わるように構成され得る。ブーストインバータへの切り替わりは、電気外科発電機がインピーダンスのより高い範囲にわたって動作することを可能にする。
【0055】
様々な実施形態において、デューティサイクル制限は、モード遷移を制御するために電気外科発電機において用いられ得る。図9を参照すると、様々な実施形態において、例示的モードセレクタは、デューティサイクル比較信号を用いて、電気外科発電機500が、定電流出力領域(A)、定電力出力領域(B)の領域P、定電力出力領域(B)の領域P、または定電圧出力領域(C)において動作しているかどうかを決定し得る。
【0056】
例示的実施形態において、デューティサイクル比較信号は、バックコンバータデューティサイクルdbuck(本明細書においてdとも呼ばれる)およびブーストインバータデューティサイクルdboost(本明細書においてdとも呼ばれる)を少なくとも4つの別個のデューティサイクル制限(dlimit_1、dlimit_2、dlimit_3、dlimit_4)と比較することから生成される。例えば、バックコンバータデューティサイクルdbuckが第1のデューティサイクル制限dlimit_1および第2のデューティサイクル制限dlimit_2を超え、またブーストインバータデューティサイクルdboostが第3のデューティサイクル制限dlimit_3を超える場合、電気外科発電機は、定電圧モードおよび定電圧出力領域(C)において動作する。同様に、ブーストインバータデューティサイクルdboostが第3のデューティサイクル制限dlimit_3および第4のデューティサイクル制限dlimit_4より小さく、バックコンバータデューティサイクルdbuckが第1のデューティサイクル制限dlimit_1より小さい場合、電気外科発電機は、定電流モードおよび定電流出力領域(A)において動作する。さらに、図9に例示されるように、デューティサイクル比較信号はまた、結果として、定電力出力領域(B)の領域P、または定電力出力領域(B)の領域Pにおいて動作する電気外科発電機をもたらし得る。従って、一例示的実施形態において、モードセレクタ513は、バックコンバータデューティサイクルdbuckおよびブーストインバータデューティサイクルdboostをデューティサイクル制限と比較することに少なくとも部分的に基づいて動作モードを決定し、制御ステアリングロジック514および/または電流モード制御器511にモード出力信号を生成するように構成される。
【0057】
例示的実施形態において、電流モード制御311および電流モード制御器511は両方とも、1〜2サイクル内で電流を調整することによって、インダクタ電流i(t)のおおよそ一定の値を維持することが可能であり得る。別の例示的実施形態において、電流モード制御器は、1〜10サイクル内でインダクタ電流を調整する。さらに別の実施形態において、電流モード制御器は、10〜100サイクル内でインダクタを調整する。これらの実施例のどれでも、「低サイクル」調整を含み得る。この低サイクル調整は、「速示制御」または「速示に近い制御」であると考えられ得る。例示的実施形態に従って、速示に近い制御は、要求された、力の量のみが電気外科器具に送達されることを確実にすることによって、意図しない炭化を最小限にする。先行技術において、負荷インピーダンスにおける変化に対するコンバータの遅い過渡応答は、結果として、500サイクル以上に対して検出されない場合がある、力の過剰な送達をもたらし得る。別の方法で述べると、例示的実施形態において、電気外科発生器は、先行技術の帯域幅1〜10kHzと比較して、100〜500kHzの動作帯域幅を有する。
【0058】
モード遷移は、速示に近い制御で動作するが、モードを変更するのに少なくとも1〜2サイクル、いくつかの実施形態において最大100サイクルを要する。従って、いずれかの定電力モードである間に負荷インピーダンスが突然増加した場合、コンバータは、定電圧モードに遷移する前に、少なくとも1つのサイクルの残りの間、定電力を供給し続ける。例示的実施形態に従い、図10を参照すると、電気外科発電機は、無損失電圧スナバー回路1000をさらに備えて、望ましくない電圧ノイズ(voltage spike)を防ぐ。スナバー回路1000は、電気外科発電機300または電気外科発電器500のような電気外科発電機に連結され得る。無損失電圧スナバー回路1000は、変圧器104の一次巻線に連結される。例示的実施形態において、スナバー回路1000のデューティサイクルdは、固定値にVCS(t)を維持するように変化させられる。さらに、電気外科に用いられる器具は、典型的には数メートルの長さのリード線を有する。長いリード線は、結果として電気外科発電機に対する誘導負荷をもたらし得る。従って、スナバー回路1000は、誘導負荷を切り替えたとき生成される電圧ノイズを弱めるようにさらに構成され得る。
【0059】
概して、任意の数の電流、電圧、またはデューティサイクルの制限、および定電流、定電力、または定電圧のモードの任意の数の細工分は、電気外科発電機の速示に近い制御を提供するために用いられて、動作モード選択および遷移を容易にし得る。電気外科発電機は、任意の電気外科発電機制御システムを含み得、電気外科発電機制御システムは、電流動作モードを決定するモードセレクタと、定電流、定電力、または定電圧の起り得る動作モードから選択するステアリングロジックとを備え、動作モードは、電流モード制御器および電圧モード制御器の出力に部分的に基づき得る。動作モード間の動作モードおよび遷移は、DC−DCバックコンバータおよびDC−ACブーストインバータの両方を有する電気外科発電機の速示に近い制御を提供するように構成される。
【0060】
出力電力の正確な調節または電圧制限の十分な手段のいずれかを維持することができないことは、より高い出力電圧を引き起こして、意図しない炭化を引き起こし得るか、また、より高い出力電力を引き起こして、意図しない熱拡散を引き起こし得る。本明細書に説明される電気外科発電機の例示的実施形態は、適切な電力特性を正確かつ速やかに維持し、ユーザが切断プロセスを制御することを可能にする。
【0061】
利益、他の利点および問題に対する解決策は、特定の実施形態に関して上記に説明された。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、および、任意の利益、利点または解決策が起るようにするかまたはそれらをより顕著にさせ得る任意の要素は、任意またはすべての設計説明書の重大な、必要な、または不可欠の特徴または要素として解釈されるべきではない。本明細書において、用いられる場合、用語、「include(含む)」、「including(含む)」、「comprise(含む、包含する、備えている)」「comprising(含む、包含する、備えている)」、または任意の他のこれらの変形形態は、非排他的包含を含むように意図され、その結果、要素のリストを含む、プロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むものではなく、リストに明白に載っていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有である他の要素を含み得る。さらに、本明細書に説明されるどの要素も、「essential(不可欠の)」または「critical(重大な)」として明白に記載されない限り本発明の実施のために必要ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力を受信するように構成されるDC−DCバックコンバータと、
該DC−DCバックコンバータおよびDC−ACブーストインバータと通信するインダクタと、
一次巻線と、二次巻線とを有する変圧器であって、該変圧器は、出力電力を負荷に伝送するように構成され、該DC−ACブーストインバータは、該インダクタから入力を受信し、該変圧器の該一次巻線にAC電力を移送するように構成される、変圧器と、
該DC−DCバックコンバータおよび該DC−ACブーストインバータの両方を制御するように構成される電気外科発電機(ESG)であって、制御は、該電気外科発電機の電気的パラメータに部分的に基づく、電気外科発電機(ESG)と
を備えている、電気外科発電機。
【請求項2】
前記電気的パラメータは、インダクタ電流または前記DC−ACブーストインバータからの前記AC電力の電圧を含む、請求項1に記載の電気外科発電機。
【請求項3】
前記電気外科発電機は、選択された電圧および電流の制限内で動作するように構成される、請求項1に記載の電気外科発電機。
【請求項4】
前記電気外科発電機は、3つのモードで動作し、該モードの選択は、負荷のインピーダンスの変化に応答する、請求項1に記載の電気外科発電機。
【請求項5】
前記3つのモードは、定電圧モードと、定電流モードと、定電力モードとを含む、請求項4に記載の電気外科発電機。
【請求項6】
前記ESG制御器は、
インダクタ電流i(t)を制御電流制限i(t)と比較するように構成される電流モード制御器と、
出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較するように構成される電圧モード制御器と、
所定の制限に基づいて動作モードを決定し、動作モードインディケータを生成するように構成されるモードセレクタと、
該動作モードインディケータを受信し、前記ESG制御器による該動作モードの選択を容易にするように構成されるステアリングロジックと
を備えている、請求項1に記載の電気外科発電機。
【請求項7】
前記所定の制限は、電圧制限と、電流制限とを含む、請求項6に記載の電気外科発電機。
【請求項8】
前記所定の制限は、デューティサイクル制限を含む、請求項6に記載の電気外科発電機。
【請求項9】
前記電気外科発電機は、実質的に速示の制御で動作する、請求項1に記載の電気外科発電機。
【請求項10】
前記実質的に速示の制御は、1〜2サイクル、1〜10サイクル、10〜100サイクルのうちの少なくとも1つ内における速示制御である、請求項10に記載の電気外科発電機。
【請求項11】
前記実質的に速示の制御は、100〜500kHzの動作帯域幅を有する、請求項10に記載の電気外科発電機。
【請求項12】
電気外科発電機の電気外科発電機(ESG)制御器であって、該ESG制御器は、
インダクタ電流i(t)を制御電流制限i(t)と比較するように構成される電流モード制御器であって、該電流モード制御器は、第1のデューティサイクルdでスイッチング波形σ(t)を生成するように構成される、電流モード制御器と、
出力電圧Vout(t)を基準電圧Vmaxと比較するように構成される電圧モード制御器であって、該電圧モード制御器は、該電気外科発電機の定電圧モードを容易にするために第2のデューティサイクルdを生成するように構成される、電圧モード制御器と、
モードセレクタであって、信号入力を比較し、動作モードインディケータを生成するように構成される、モードセレクタと、
該動作モードインディケータを受信し、該ESG制御器による該動作モードの選択を容易にするように構成されるステアリングロジックであって、該ステアリングロジックは、2つのデューティサイクル信号を該電気外科発電機に提供する、ステアリングロジックと
を備え、
該ステアリングロジックは、該第1のデューティサイクルd、該第2のデューティサイクルd、および2つの固定値のデューティサイクルの様々な組み合わせに基づいて該2つのデューティサイクル信号を提供することによって、該動作モードの選択を容易するようにさらに構成される、電気外科発電機(ESG)制御器。
【請求項13】
前記制御電流制限i(t)は、ユーザによって設定されるかまたはルックアップ表によって提供される、請求項12に記載のESG制御器。
【請求項14】
インダクタ電流i(t)を基準電流制限i(t)と比較することは、該基準電流制限i(t)に整合するように該インダクタ電流i(t)を調整することを容易にする、請求項12に記載のESG制御器。
【請求項15】
前記電圧モード制御器は、コンパレータと、補償器と、パルス幅変調器(PWM)とを備え、該電圧モード制御器は、該コンパレータにおいて前記出力電圧Vout(t)を前記基準電圧Vmaxと比較し、該コンパレータの出力は、該補償器と通信し、該補償器は、該PWMを駆動するエラー信号を出力し、該PWMは、前記第2のデューティサイクルdを生成する、請求項12に記載のESG制御器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−135203(P2012−135203A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−281839(P2011−281839)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(308032460)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト (25)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
【Fターム(参考)】