説明

電気接続箱

【課題】 限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる電気接続箱を提供する。
【解決手段】 電気接続箱1は、上面に電子部品23を備える回路構成体20と、その下面に貼付される放熱板60と、回路構成体20を収容するアウターケース50とを備える。このアウターケース50に設けられている開口部80から放熱板60が露出されている。電気接続箱1は、この開口部80が設けられている側の面を車両10のタイヤハウジング11に対向させるように取り付けられる。さらに、引っ込んだ位置に配置されている放熱板60に外気を導くための導風路83が開口部80の前側の壁に設けられ、また、その導風路83は車両10の進行方向に沿った方向に貫通形成される。また、放熱板60はタイヤハウジング11への取り付け部を兼ねる熱伝達突部61を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車に搭載される電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気接続箱は、例えば自動車のエンジンルーム内に配設されて使用されるものであり、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、半導体スイッチング素子が実装されている回路構成体と、この回路構成体を収容するケースとを備えている。この電気接続箱では、通電時に半導体スイッチング素子から発生した熱が次第に蓄積され、回路構成体に実装されている他の素子及び電子部品に悪影響を与える可能性がある。そこで、回路構成体の下面側に放熱部材を設けるとともに、この放熱部材をケースの下側に設けた開口部から露出させることにより発生した熱を放熱している。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エンジンルームのレイアウト上、電気接続箱の設置可能な場所は限られており、必ずしも風通しの良い場所に設置できるわけではないから、放熱が充分に行われないことがある。そこで、発生した熱を速やかに放熱するために放熱部材の面積を増やして放熱性を向上させることも考えられる。しかし、放熱部材の面積を増やせば、その分、電気接続箱が大型化し、設置場所のレイアウトが一層困難となってしまう。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、表裏両面のうち一面側に電子部品が実装された回路基板を備えた回路構成体と、前記回路構成体を収容するとともにこの回路構成体の前記電子部品が実装された側とは逆側の面に対応する面に開口部が設けられたケースと、前記回路構成体の前記逆側の面に取り付けられるとともに前記ケースの前記開口部から露出された放熱部材とを備えた電気接続箱であって、前記ケースが、前記開口部が設けられた側の面を車両のボディパネルに対向させつつこのボディパネルに取り付けられるものであって、かつ、前記放熱部材の露出面に外気を導くための導風路が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、前記放熱部材が、前記ケースにおいて前記開口部の開口縁よりも引っ込んだ位置に配置されており、前記導風路が前記開口部の周壁に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、前記導風路が前記車両の進行方向に沿った方向に形成されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、前記導風路が前記ケースにおいて前記車両の進行方向前側の壁部に貫通形成されて前記開口部に連通する貫通路であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、前記放熱部材は、前記ボディパネルに当接される熱伝達突部を備えているところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、前記熱伝達突部は、前記ボディパネルへの取り付け部を兼ねているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、電気接続箱は開口部が設けられた側の面を車両のボディパネルに対向させるようにしてこのボディパネルに取り付けられるとともに、この電気接続箱のケースには放熱部材の露出面に外気を導くための導風路が設けられている。このような構成によれば、通電時に半導体スイッチング素子等の電子部品から発生した熱は、開口部に露出された放熱部材からボディパネルに輻射されてそこで吸収される。さらに、導風路を通って流入した外気が放熱部材の露出面に接するから、この外気によって放熱部材が空冷される。このように、ボディパネルへの輻射に加え、外気による空冷によっても放熱が行われるので、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる。
【0012】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、放熱部材の露出面はケースの開口部における開口縁よりも引っ込んだ位置に配置されていて、導風路は開口部の周壁に設けられている。ここで、放熱部材が開口縁よりも引っ込んだ位置に配置されていると、外気が放熱部材の露出面に届きにくいから、放熱部材から放射された熱が拡散しにくく、放熱効率が低下してしまう場合がある。しかし、本発明では、導風路が開口部の周壁に設けられているから、この導風路を通って流入した外気が放熱部材の露出面に接し、放熱部材が空冷される。これにより、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる。
【0013】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、導風路が車両の進行方向に沿って設けられているから、車両の走行に伴って車体の前方から後方へ向かって流れる走行風が円滑に導風路に導かれ、放熱部材に達する。これにより、外気による放熱部材の空冷をより効率よく行うことができる。
【0014】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、導風路はケースにおいて車両の進行方向前側の壁部に貫通形成されて開口部に連通する貫通路である。ここで、車両の走行に伴って車体の前方から後方へ向かって流れる走行風はケースの前壁部によってさえぎられるが、この前壁部に貫通路が形成されているから、走行風はこの貫通路を通って円滑に放熱部材の露出面に導かれる。これにより、外気による放熱部材の空冷をより効率よく行うことができる。
【0015】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、放熱部材の一部分である熱伝達突部がボディパネルに当接されている。このような構成によれば、通電時に半導体スイッチング素子等の電子部品から発生した熱が、放熱部材の熱伝達突部を介してボディパネルへと直接伝達され、外部へ速やかに放熱されるようになる。
【0016】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、放熱部材の熱伝達突部が電気接続箱の取り付け部も兼ねることになるから、電気接続箱の構造を簡略化でき、電気接続箱をよりコンパクトな構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図7によって説明する。
【0018】
図1には、本実施形態における電気接続箱1の外観斜視図を、図2には、本実施形態において電気接続箱1が車両10のタイヤハウジング11上に取り付けられている様子を示す概念図を、図3には、本実施形態における電気接続箱1の平面図を、図4には、図3のA−A断面図を、図5には、図3のB−B断面図を示した。また、図6には、本実施形態における電気接続箱1を裏面から視た斜視図を示した。
【0019】
この電気接続箱1は、車両10のタイヤハウジング11(本発明のボディパネルに該当する)上に取り付けられるものであって、回路構成体20とバスバー回路30とをインナーケース40内に収容するとともに、そのインナーケース40をアウターケース50で覆ってなるものである。
【0020】
以下、各構成部材において、図1の上側を上面、下側を下面とする。また、図2に示すように、車両10に取り付けられたときに進行方向前方を向く側(図1の右手前側)を前方、後方を向く側(図1の左奥側)を後方として説明する。
【0021】
回路構成体20は、回路基板21と、この回路基板21の下面に貼り付けられているバスバー基板22とで形成されている(図4参照)。この回路基板21の上面(表裏両面のうち一面)側には、所定のパターンで導電路(図示せず)が形成されているとともに、リレー等の電子部品23が実装されている。また、この回路基板21の下面に貼り付けられているバスバー基板22は、回路基板21とほぼ整合した外形形状とされており、導電性に優れた金属板を打ち抜いて形成され、電力回路となる所定の導電路を形成している。
【0022】
さらに、この回路構成体20の下面(電子部品23が実装された側とは逆側の面)には、絶縁性の接着剤を介して放熱板60(本発明の放熱部材に該当する)が貼付されている。この放熱板60は、電子部品23から発生する熱を放熱するためのものであるため、熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板により、回路構成体20の外形とほぼ同じ形状に形成されている。そして、この放熱板60の右側縁の後方部には、熱をタイヤハウジング11に直接伝達するための熱伝達突部61が突設されている(図6を併せて参照)。
【0023】
この熱伝達突部61は放熱板60の右側縁の後方部から下方に向けて突出したのち、右外側に向けてL字状に曲げ形成されている。そのL字状に曲げ形成された先の部分は、(詳しくは後述するが)車両10のタイヤハウジング11に当接されて、電気接続箱1をタイヤハウジング11上に固定するための取り付け部を兼ねるものである。したがって、このタイヤハウジング11に当接される部分には、電気接続箱1をタイヤハウジング11上に固定するためのねじを通すねじ孔62が設けられている。
【0024】
また、回路構成体20にはバスバー回路30が接続されている。このバスバー回路30は複数本のバスバー31と絶縁基板32とが交互に積層されたものである(図4、図5参照)。
【0025】
この回路構成体20とバスバー回路30とを収容するインナーケース40は合成樹脂製であり、上面を開放したロアケース41と、その上面を覆うアッパーケース42とからなるものである。このインナーケース40は、図3に示すように、上側から見て全体として長方形の形状をなすとともに、その前半部分は左側部が切り欠かれて後半部分よりも幅狭とされている。また、後方側の左右両端部には、それぞれ上側から見て略長方形に切り欠かれた右切欠き部43Aと左切欠き部43Bとが形成されている。
【0026】
アッパーケース42の上面において前半部分には、リレーを嵌めこむための複数のリレーブロック44が形成され、後半部分の右端側にはヒューズを嵌めこむための複数のヒューズブロック45が形成されている。そして、このリレーブロック44とヒューズブロック45との下面にあたる空間にバスバー回路30が収容されており、それ以外にあたる後半部分左方の空間に回路構成体20が収容されている。また、放熱板60に突設されている熱伝達突部61が、右切欠き部43Aから外部へ導出されている。
【0027】
一方、ロアケース41の下面には、図4に示すように、放熱板60に対応する位置に開口46が設けられている。この開口46は上側から見て放熱板60とほぼ同じ形状に形成されており、その開口46から放熱板60の下面が露出されている。また、このロアケース41の下面においてバスバー回路30の下面にあたる部分には、図5に示すように、下向きに開口するコネクタハウジング47が形成されている。このコネクタハウジング47に外部コネクタ(図示せず)が結合され、その外部コネクタを介して外部回路(例えば電源回路や負荷側回路)とバスバー回路30とが電気的に接続されるようになっている。
【0028】
インナーケース40を覆うアウターケース50(本発明のケースに該当する)は合成樹脂製であり、インナーケース40を下側から覆うロアカバー70と、上側から覆うアッパーカバー(図示せず)とからなる。
【0029】
ロアカバー70は、底面71とその周縁から上方に向かって立つ側壁72を備えて上面側が開口した容器状に形成されており、平面的にはインナーケース40とほぼ整合した略長方形状をなしている(図1参照)。そして、その左側の前後端部にはそれぞれ上側から見てインナーケース40の外周面に沿って凹んだ前端凹み部73Aと後端凹み部73Bとが形成されている(図3を併せて参照)。本実施形態の電気接続箱1はタイヤハウジング11上に取り付けられるものなので、ロアカバー70の底面71においてタイヤハウジング11に対向する部分は、タイヤハウジング11の円弧形状に沿った形状に形成されている。具体的には、前方及びバスバー回路30側の側方に向かって下がる曲面とされている(図6を併せて参照)。
【0030】
なお、ロアカバー70の左側の側壁72には、ハーネス挿通孔51が設けられている。そして、ロアケース41のコネクタハウジング47に嵌合された外部コネクタに接続しているワイヤーハーネス(図示せず)は、インナーケース40の外壁とロアカバー70の内壁との間の空間内に取り回され、このハーネス挿通孔51から外部へ導出される。また、ロアカバー70の側壁72には、電気接続箱1を車両10のタイヤハウジング11上に取り付けるための車両取付部52が複数設けられている。また、前方側の側壁72において上方に、アッパーカバーと係止されるロック片74が設けられている。
【0031】
さて、このロアカバー70においてインナーケース40の下方であって回路構成体20の収容位置に対応する位置、すなわち前端凹み部73Aの後方には、上下方向に貫通した開口部80が設けられている(図4、図6参照)。ここで、ロアケース41の下面には下方に突出したコネクタハウジング47が設けられているから、ロアカバー70の底面71はその突出分だけロアケース41の底面から下がった位置に設けられている(図5を併せて参照)。したがって、この開口部80は、ロアカバー70の底面71からロアケース41の開口46に至る上下方向に長い筒状をなしており、その周壁81の上端部が、ロアケース41における開口46の口縁を嵌めて受けることで、ロアカバー70の開口部80とロアケース41の開口46とが連通している。このようにして、放熱板60はロアカバー70における開口部80の下側の開口縁82よりも引っ込んだ位置に配置されるとともに、この開口部80から外部に臨むようにされる。そして、このロアカバー70の底面71(開口部80が設けられた側の面)がタイヤハウジング11の上面に対向するようにして電気接続箱1がタイヤハウジング11に取り付けられた状態では、開口部80から露出されている放熱板60とタイヤハウジング11が対面することになる。
【0032】
このように、放熱板60は開口部80の下側の開口縁82よりも奥まった位置に配されているから、この開口部80の周壁81には放熱板60の露出面63に外気を導くための導風路83が設けられている(図1、図5および図6参照)。この導風路83は開口部80の周壁81において前側(車両10の進行方向前側)の壁、言い換えると、ロアカバー70の側壁72において前端凹み部73Aの後方にあたる壁に設けられている。この導風路83は前後方向すなわち、車両10の進行方向に沿った方向に貫通されるとともに下側に開放されたトンネル状に形成されている。
【0033】
また、このロアカバー70の底面71において後端部からやや前方にかけての領域には、それよりも前側の領域に比べて上側に引っ込んだ段差部75が形成されている(図6参照)。そして、この段差部75のうち開口部80を挟んで右側部分75Aには、ロアカバー70の下面において前述した熱伝達突部61に対応する位置に上下方向に貫通した窓孔76が設けられており、ここから熱伝達突部61が露出している。そして、この熱伝達突部61のねじ孔62に上方から図示しないねじがねじ込まれることで、熱伝達突部61がタイヤハウジング11にねじ止めされる。一方、電気接続箱1がタイヤハウジング11に取り付けられた状態では、段差部75において開口部80を挟んで左側部分75Bとタイヤハウジング11との間に僅かな隙間が形成される。この隙間は、放熱板60、タイヤハウジング11、および開口部80の周壁81で囲まれた空間から空気を逃がす排気路となる。
【0034】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用および効果について、図7を参照しつつ説明する。
【0035】
この電気接続箱1において、通電時に半導体スイッチング素子等の電子部品23から発生する熱は、回路基板21に接着されたバスバー基板22を介し、バスバー基板22の下面に接着された放熱板60に達する。この放熱板60はロアカバー70の開口部80から露出されており、この露出面63から熱が空気中に放散する。ここで、電気接続箱1は開口部80が設けられた側の面が車両10のタイヤハウジング11に対向するように取り付けられるから、この開口部80から露出されている放熱板60と車両10のタイヤハウジング11が対面することになる。すると、放熱板60に達した熱が、その露出面63からタイヤハウジング11に輻射されてそこで吸収されることになる。
【0036】
また、本実施形態の電気接続箱1では前述したような構造上の都合により、放熱板60が開口部80の開口縁82よりもやや引っ込んだ位置に配置されている。このため、外気が放熱板60の露出面63に届きにくいから、放熱板60から放射された熱が拡散しにくく、放熱効率が低下してしまう場合がある。しかし、この開口部80の周壁81には放熱板60の露出面63に外気を導くための導風路83が設けられているから、この導風路83を通って流入した外気が放熱板60の露出面63に接し、放熱板60が空冷されるようになる。
【0037】
また、車両10が走行すると、それに伴い車体の前方から後方へ向かって流れる走行風が発生する。しかし、ロアカバー70の側壁72は底面71の形状に沿って前下がりに形成されているから、開口部80の前側に形成されている壁によって、発生した走行風はさえぎられてしまう。
【0038】
ここで、この壁に、前方に開口して開口部80に連通する導風路83が設けられているから、図7の矢印で示されるように、走行風はこの開口から導風路83を通って開口部80へ進入できるようになる。さらに、この導風路83は、車両10の進行方向に沿う方向に貫通形成されている。この方向は走行風の流れる方向とほぼ同じであるから、進入した走行風は流れをさえぎられることなく導風路83を円滑に通過して、開口部80へと到達することができる。これにより、放熱板60の空冷をより効率よく行うことができる。
【0039】
そして、ロアカバー70の後方において段差部75における左側部分75Bとタイヤハウジング11との間には排気路となる隙間が設けられているから、開口部80において放熱板60からの熱を吸収した走行風は、この排気路から速やかに外部空間へ排出される。このように、車両10の走行中において開口部80内には常に前方から後方への空気の流れが生じるようになっているから、放熱板60の熱を吸収して温まった走行風は開口部80の内部に滞留することなく外部へ排出され、開口部80の内部には常に新しい空気が供給される。これにより冷却効率が向上され、より効率よく放熱が行われるようになる。
【0040】
このように、この電気接続箱1は、タイヤハウジング11への輻射に加え、外気による空冷によっても放熱が行われるので、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できるものとなっている。また、導風路83は車両10の進行方向に双方向に設けられており、走行風が円滑に開口部80内に導かれるから、より効率よく放熱が行われる。
【0041】
さらに、この放熱板60に突設されている熱伝達突部61が、車両10のタイヤハウジング11に当接されている。すると、電子部品23から放熱板60に達した熱は、放熱板60の一部分である熱伝達突部61を介してタイヤハウジング11へと直接伝達されるようになる。これにより、熱が速やかに外部へ放熱されるようになる。
【0042】
また、この熱伝達突部61は電気接続箱1を車両10のタイヤハウジング11上に取り付ける際の取付け部も兼ねるから、電気接続箱1の構造を簡略化でき、電気接続箱1をよりコンパクトな構造とすることができる。
【0043】
以上説明したように本実施形態によれば、この電気接続箱1は、開口部80が設けられた側の面を車両10のタイヤハウジング11に対向させるようにしてこのタイヤハウジング11に取り付けられるとともに、この電気接続箱1のアウターケース50には、放熱板60の露出面63に外気を導くための導風路83が設けられる。よって、通電時に半導体スイッチング素子等の電子部品23から発生した熱は、開口部80に露出された放熱板60からタイヤハウジング11に輻射されてそこで吸収されるようになる。さらに、導風路83を通って流入した外気が放熱板60の露出面63に接するから、この外気によって放熱板60が空冷されるようになる。このように、タイヤハウジング11への輻射に加え、外気による空冷によっても放熱が行われるようになるので、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる電気接続箱1となる。
【0044】
また、放熱板60の露出面63は、ロアカバー70の開口部80における開口縁82よりも引っ込んだ位置に配置され、その開口部80の周壁81に導風路83が設けられる。ここで、放熱板60が開口縁82よりも引っ込んだ位置に配置されていると、外気が放熱板60の露出面63に届きにくいから、放熱板60から放射された熱が拡散しにくく、放熱効率が低下してしまう場合がある。しかし、本発明では、導風路83が開口部80の周壁81に設けられるから、この導風路83を通って流入した外気が放熱板60の露出面63に接し、放熱板60が空冷されるようになる。これにより、限られたスペース内においても充分な放熱性を確保できる電気接続箱1となる。
【0045】
さらに、導風路83が車両10の進行方向に沿って設けられるから、車両10の走行に伴って車体の前方から後方へ向かって流れる走行風が円滑に導風路83に導かれ、放熱板60に達するようになる。これにより、外気による放熱板60の空冷をより効率よく行うことができるようになる。そして、この導風路83は開口部80の周壁81において前側の壁に貫通形成されて開口部80に連通する貫通路である。ここで、車両10の走行に伴って車体の前方から後方へ向かって流れる走行風は、この開口部80の前側の壁によってさえぎられるが、この壁に導風路83が形成されるから、走行風はこの導風路83を通って円滑に放熱板60の露出面63に導かれるようになる。これにより、外気による放熱板60の空冷をより効率よく行うことができるようになる。
【0046】
また、放熱板60の一部分である熱伝達突部61がタイヤハウジング11に当接される。このような構成によれば、通電時に半導体スイッチング素子等の電子部品23から発生した熱が、放熱板60の熱伝達突部61を介してタイヤハウジング11へと直接伝達され、外部へ速やかに放熱されるようになる。さらに、放熱板60の熱伝達突部61が電気接続箱1の取り付け部も兼ねるから、電気接続箱1の構造を簡略化でき、電気接続箱1をよりコンパクトな構造とすることができる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0048】
(1)本実施形態においては、回路構成体20とバスバー回路30とを収容するインナーケース40をアウターケース50で覆ってなる電気接続箱1を示すが、これに限らず、例えばアウターケースで覆われていないものでもよく、車両に取り付けられる電気接続箱について広く適用が可能である。
【0049】
(2)本実施形態においては、電気接続箱1はタイヤハウジング11上に取り付けられるものとされているが、これに限らず、車両のボディパネルに取り付けられる電気接続箱について広く適用が可能である。
【0050】
(3)本実施形態においては、導風路83が1箇所にのみ設けられているが、複数箇所に設けられていてもよい。
【0051】
(4)本実施形態においては、導風路83の断面形状が、上側が円弧状をしたトンネルのような形状に形成されており、下側のロアカバー70の底面71にあたる部分は開放されているが、これに限らず、例えば上側は断面四角状に形成されていてもよい。また、下側が開放されていない形状、例えば円筒状に形成されていてもよい。
【0052】
(5)本実施形態においては、放熱板60の熱伝達突部61が1箇所にのみ設けられているが、複数個所に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態における電気接続箱の外観斜視図
【図2】本実施形態において電気接続箱が車両のタイヤハウジング上に取り付けられている様子を示す概念図
【図3】本実施形態における電気接続箱の平面図
【図4】図3のA−A断面図
【図5】図3のB−B断面図
【図6】本実施形態における電気接続箱を裏面から視た斜視図
【図7】本実施形態において走行風が導風路を通って放熱板の露出面に導かれている様子を示す概念図
【符号の説明】
【0054】
1…電気接続箱
10…車両
11…タイヤハウジング
20…回路構成体
21…回路基板
23…電子部品
50…アウターケース
60…放熱板
61…熱伝達突部
63…露出面
80…開口部
81…周壁
82…開口縁
83…導風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面のうち一面側に電子部品が実装された回路基板を備えた回路構成体と、
前記回路構成体を収容するとともにこの回路構成体の前記電子部品が実装された側とは逆側の面に対応する面に開口部が設けられたケースと、
前記回路構成体の前記逆側の面に取り付けられるとともに前記ケースの前記開口部から露出された放熱部材とを備えた電気接続箱であって、
前記ケースが、前記開口部が設けられた側の面を車両のボディパネルに対向させつつこのボディパネルに取り付けられるものであって、かつ、前記放熱部材の露出面に外気を導くための導風路が設けられていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記放熱部材が、前記ケースにおいて前記開口部の開口縁よりも引っ込んだ位置に配置されており、前記導風路が前記開口部の周壁に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記導風路が前記車両の進行方向に沿った方向に形成されていることを特徴とする請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記導風路が前記ケースにおいて前記車両の進行方向前側の壁部に貫通形成されて前記開口部に連通する貫通路であることを特徴とする請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記ボディパネルに当接される熱伝達突部を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記熱伝達突部は、前記ボディパネルへの取り付け部を兼ねていることを特徴とする請求項5に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−129578(P2006−129578A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312559(P2004−312559)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】