説明

電気機器の制御装置および制御システム

【課題】電気機器の運転状態を制御する制御装置において、電気機器のユーザーの要望を考慮して電気機器の運転を制御できるようにし、制御装置の使い勝手を向上させる。
【解決手段】電気機器(30)の運転状態を制御する制御装置(10)には、受信部(21)と、タッチパネル型の液晶ディスプレイ(22)と、運転制御部(25)とが設けられる。受信部(21)は、放送局(15)から送信された電力需給情報を受信する。液晶ディスプレイ(22)には、ユーザーによって、該電気機器(30)の運転に関する設定事項であるユーザー設定情報が入力される。運転制御部(25)は、受信部(21)が受信した電力需給情報と、液晶ディスプレイ(22)へ入力されたユーザー設定情報とに基づき、電気機器(30)の消費電力を調節するために電気機器(30)の運転状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気によって作動する電気機器の運転状態を制御する制御装置と、その制御装置を備えた制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気によって作動する電気機器の運転状態を制御する制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、電気機器の一種である空調機の運転状態を制御する制御装置が開示されている。この制御装置は、デジタル放送波を受信し、デジタル放送によって配信された省エネ指令情報に基づいて、空調機の消費電力が低下するように空調機の運転状態を制御する。また、デジタル放送により送信された情報を用いて空調機の運転状態を制御する制御装置は、特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−112371号公報
【特許文献2】特開2003−324665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の制御装置は、省エネ指令情報を受信すると、一律に空調機の消費電力を低下させるための動作を行う。このため、制御装置の動作において、空調機のユーザーの要望は全く考慮されなかった。
【0005】
この点について説明する。例えば住宅に複数台の空調機が設けられている場合において、居住者(空調機のユーザー)は、リビングに設置された空調機については節電のために冷房の設定温度を上げること認めるが、老人の居室に設置された空調機については熱中症を防ぐために冷房の設定温度は上げたくないと考える場合がある。しかし、従来の制御装置では、このような個別のユーザーの要望を考慮することができなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気機器の運転状態を制御する制御装置や制御システムにおいて、電気機器のユーザーの要望を考慮して電気機器の運転を制御できるようにし、制御装置や制御システムの使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、電気によって作動する電気機器(30)に接続されて該電気機器(30)の運転状態を制御する制御装置を対象とする。そして、放送によって送信された電力の最大供給量と使用量に関する電力需給情報を受信する受信部(21)と、上記電気機器(30)のユーザーが該電気機器(30)の運転に関する設定事項であるユーザー設定情報を入力するための入力部(22)と、上記受信部(21)が受信した電力需給情報と上記入力部(22)へ入力されたユーザー設定情報とに基づき、上記電気機器(30)の消費電力を調節するために上記電気機器(30)の運転状態を制御する運転制御部(25)とを備えるものである。
【0008】
第1の発明では、放送によって送信された電力需給情報を受信部(21)が受信する。受信部(21)は、電力需給情報を運転制御部(25)へ送る。電気機器(30)のユーザーが入力部(22)へユーザー設定情報を入力すると、このユーザー設定情報が運転制御部(25)へ送られる。運転制御部(25)は、電力需給情報だけでなく、ユーザー設定情報も考慮した上で、電気機器(30)の運転状態を制御する。この運転制御部(25)は、電気機器(30)の運転状態を、電気機器(30)の消費電力が変化するように調節する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、電力の最大供給量と使用量の差に関連する指標値である供給余裕度を、上記受信部(21)が電力需給情報として受信し、又は上記運転制御部(25)が上記電力需給情報から算出する一方、上記運転制御部(25)は、上記供給余裕度に応じて上記電気機器(30)の運転状態を複数通りに設定可能となっているものである。
【0010】
第2の発明において、運転制御部(25)は、電気機器(30)の運転状態を、供給余裕度に応じて複数通りに設定可能となっている。例えば、運転制御部(25)は、電力の最大供給量と使用量の差が若干小さくなっている状態では、電気機器(30)の消費電力が若干低下するようにその運転状態を制御する一方、電力の最大供給量と使用量の差が殆どなくなっている状態では、電気機器(30)の消費電力が大幅に低下するようにその運転状態を制御する。なお、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態を制御する際に用いる供給余裕度は、放送によって送信されていて受信部(21)が受信したものであってもよいし、受信部(21)が受信した電力需給情報に基づいて運転制御部(25)が算出したものであってもよい。
【0011】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記受信部(21)が受信する電力需給情報には、電力の使用量の将来の予測値に関する需要予測情報が含まれるものである。
【0012】
第3の発明では、放送によって送信された電力需給情報に需要予測情報が含まれており、この需要予測情報を受信部(21)が受信する。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記運転制御部(25)は、時刻毎の上記電気機器(30)の運転状態を指定した運転スケジュールを、上記需要予測情報に基づいて定めるものである。
【0014】
第4の発明では、運転制御部(25)に需要予測情報が入力される。このため、運転制御部(25)は、将来における電力の使用量の推移に応じて、電気機器(30)の運転状態を制御することが可能となる。そこで、この発明の運転制御部(25)は、需要予測情報に基づいて電気機器(30)の運転スケジュールを定め、その運転スケジュールに従って電気機器(30)の運転状態を制御する。
【0015】
例えば、制御装置(20)に接続される電気機器(30)がヒートポンプ式の電気温水器である場合、第4の発明の運転制御部(25)は、次のような運転スケジュールを定めることができる。つまり、需要予測情報に基づいて午後1時から午後5時までは電力の最大供給量と使用量の差が小さくなる見込みである場合、運転制御部(25)は、例えば“午後1時までに電気温水器に強制的に湯沸かし運転を実行させてタンク内の温水量を確保し、午後1時から午後5時までは電気温水器の湯沸かし運転を禁止し、午後5時以降は必要に応じて電気温水器の湯沸かし運転を許容する”という運転スケジュールを定め、それに基づいて電気温水器の運転状態を制御することができる。
【0016】
第4の発明のように、運転制御部(25)が需要予測情報に基づいて電気機器(30)の運転スケジュールを定めれば、電力の使用量が多くなる時間帯を外して電気機器(30)を作動させることが可能となり、電力需要のピークシフトが実現される。
【0017】
第5の発明は、上記第1の発明において、上記運転制御部(25)は、上記電力需給情報に基づいて上記電気機器(30)の運転状態の変更案を一つ又は複数作成する一方、上記入力部(22)には、上記運転制御部(25)が作成した上記電気機器(30)の運転状態の変更案の採否を示す情報が、ユーザー設定情報として入力され、上記運転制御部(25)は、上記ユーザー設定情報に基づいて上記電気機器(30)の運転状態を変更するか否かを決定するものである。
【0018】
第5の発明では、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態の変更案を一つ又は複数作成し、その変更案の採否をユーザーが判断する。つまり、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態の変更案を一つだけ作成し、ユーザーがその変更案を受け入れるか否かを判断してもよいし、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態の変更案を複数作成し、ユーザーが複数の変更案のどれを採用するか判断してもよい。そして、ユーザーの判断結果が入力部(22)へユーザー設定情報として入力されると、運転制御部(25)は、ユーザー設定情報に基づいて電気機器(30)の運転状態を変更するか否かを決定する。
【0019】
第6の発明は、上記第1の発明において、上記運転制御部(25)は、電気機器(30)の運転状態の制御に用いられる設定情報であってユーザーが変更できない非開示設定情報を記憶する一方、上記受信部(21)は、個別の制御装置を特定するための識別符号が付加された上記非開示設定情報の更新情報を受信し、上記運転制御部(25)は、自己に対応する識別符号が付与された上記更新情報に基づいて上記非開示設定情報を更新するものである。
【0020】
第6の発明では、運転制御部(25)が非開示設定情報を記憶する。この非開示設定情報は、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態を制御する際に必要な設定情報であるが、ユーザーに勝手に変更されると支障を来す設定情報である。この非開示設定情報は、ユーザーは変更できないものである。ただし、受信部(21)が自己に対応する識別符号が付加された更新情報を受信した場合、運転制御部(25)は、その更新情報に基づいて非開示設定情報を更新する。つまり、放送は一方向通信であるため、受信部(21)は、自己に対応する識別符号が付与された更新情報だけでなく、他の制御装置に対応する識別符号が付与された更新情報も受信する。そして、運転制御部(25)は、他の制御装置に対応する識別符号が付与された更新情報は無視し、自己に対応する識別符号が付与された更新情報に基づいて非開示設定情報を更新する。
【0021】
第7の発明は、上記第1〜第6のいずれか一つの発明において、上記運転制御部(25)が上記電気機器(30)に対して行った制御の内容を動作履歴として記憶する履歴記憶部(26)を備えるものである。
【0022】
第7の発明では、履歴記憶部(26)が動作履歴を記憶する。このため、履歴記憶部(26)には、運転制御部(25)が電気機器(30)に対して過去に行った制御の内容が、動作履歴として蓄積される。
【0023】
第8の発明は、電気機器の制御システムを対象とし、上記第1〜第7の何れか一つの発明に記載の制御装置(20)と、放送によって上記電力需給情報を発信する発信装置(15)とを備えるものである。
【0024】
第8の発明では、発信装置(15)と制御装置(20)とによって制御システム(10)が構成される。発信装置(15)は、放送によって電力需給情報を発信する。そして、制御装置(20)の受信部(21)は、発信装置(15)が送信した電力需給情報を受信する。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、電気機器(30)の制御装置(20)に入力部(22)が設けられる。電気機器(30)のユーザーが入力部(22)へ入力したユーザー設定情報は、運転制御部(25)へ送られる。そして、運転制御部(25)は、電力需給情報とユーザー設定情報の両方を考慮して、電気機器(30)の運転状態を制御する。従って、本発明によれば、ユーザー設定情報として入力部(22)へ入力されたユーザーの意思を考慮して電気機器(30)の運転状態を制御することができ、制御装置(20)の使い勝手を向上させることができる。
【0026】
上記第2の発明において、運転制御部(25)は、供給余裕度に応じて電気機器(30)の運転状態を複数通りに設定可能となっている。従って、この発明によれば、電力の最大供給量と使用量の差に関連する指標値である供給余裕度に応じて、電気機器(30)の運転状態をきめ細かく制御することができる。その結果、電気機器(30)のユーザーに与える影響をなるべく抑えつつ、電力の使用量を最大供給量未満に留めることができる。
【0027】
上記第3の発明では、電力の使用量の将来の予測値に関する需要予測情報を、受信部(21)が受信する。従って、運転制御部(25)は、この需要予測情報を用いて電気機器(30)の運転状態を制御することが可能となる。
【0028】
上記第4の発明において、運転制御部(25)は、需要予測情報に基づいて電気機器(30)の運転スケジュールを定め、その運転スケジュールに従って電気機器(30)の運転状態を制御する。従って、この発明によれば、電力の使用量が多くなる時間帯を外して電気機器(30)を作動させることが可能となり、電力需要のピークシフトを実現することが可能となる。
【0029】
上記第5の発明では、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態の変更案を一つ又は複数作成し、その変更案の採否をユーザーが判断し、その判断結果がユーザー設定情報として入力部(22)へ入力される。つまり、ユーザーが入力部(22)へユーザー設定情報を入力する際には、運転制御部(25)が作成した電気機器(30)の運転状態の変更案の採否だけを判断すればよい。従って、この発明によれば、ユーザーが入力部(22)へユーザー設定情報を入力する際の検討事項を削減でき、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0030】
上記第6の発明では、個別の制御装置(20)を特定するための識別符号が付加された非開示設定情報の更新情報を受信部(21)が受信し、自己に対応する識別符号が付加された更新情報に基づいて運転制御部(25)が非開示設定情報を更新する。従って、放送によって更新情報を送信するだけで各制御装置(20)の非開示設定情報を個別に更新することができ、制御装置(20)の保守作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態の制御装置と制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の変形例1の制御装置と制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の制御装置(20)は、電気によって動作する電気機器(30)の運転状態を制御する装置である。この制御装置(20)は、放送によって送信された情報を受信し、その受信した情報を利用して電気機器(30)の運転状態を制御する。その際、制御装置(20)は、電気機器(30)の消費電力が変化するように、電気機器(30)の運転状態を調節する。また、この制御装置(20)は、放送によって情報を発信する放送局(15)と共に、制御システム(10)を構成している。
【0034】
発信装置である放送局(15)は、放送エリア内に設置された全ての制御装置(20)に対して、共通の情報を発信する。具体的に、放送局(15)は、電力需給逼迫警報と、電力需給情報と、個別配信情報とを発信する。また、放送局(15)は、時刻も発信する。放送局(15)は、これらの情報を、地上デジタル放送、BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送、FM多重放送などの放送波を用いて発信する。
【0035】
電力需給逼迫警報は、電力の使用量がその最大供給量の97%以上に達すると発信される情報である。この電力需給逼迫警報は、使用量がその最大供給量の97%以上に達する毎に、その都度発信される。
【0036】
電力需給情報は、電力の最大供給量と使用量に関する情報である。また、電力需給情報には、電力使用量の最新の実測値と将来の予測値とに関する情報も含まれている。この電力需給情報は、一定の時間が経過する毎(例えば、1時間毎)に発信される。
【0037】
本実施形態では、電力使用率が電力需給情報として放送局(15)から発信される。電力使用率は、電力の最大供給量Sに対する電力使用量Dの割合(D/S)を百分率で表した値である。なお、電力使用率が分かれば、電力会社が後どの位の電力を供給可能か(即ち、電力の最大供給量と使用量の差)が分かる。従って、電力使用率は、“電力の最大供給量と使用量の差に関連する指標値である供給余裕度”に該当する。
【0038】
本実施形態において、放送局(15)は、電力使用率の最新の実測値と、例えば12時間後までの1時間毎の電力使用率の予測値とを、電力需給情報として送信する。この放送局(15)が送信する電力使用率の予測値は、需要予測情報に該当する。
【0039】
個別配信情報は、後述する非開示設定情報を更新するための更新情報である。また、個別配信情報である更新情報には、個別の制御装置(20)を特定するための識別符号が付加されている。それぞれの制御装置(20)には、その装置に特有の識別符号が付与されている。つまり、一つの識別符号は、特定の一台の制御装置(20)に対応している。この個別配信情報は、電力需給逼迫警報や電力需給情報が送信されていない空き時間に送信される。
【0040】
制御装置(20)は、受信部(21)と、液晶ディスプレイ(22)と、運転制御部(25)とを備えている。また、制御装置(20)は、放送波を受信するためのアンテナ(23)を備えている。
【0041】
受信部(21)は、アンテナ(23)が受信した放送波を復調し、得られた電力需給逼迫警報、電力需給情報、及び個別配信情報を運転制御部(25)へ向けて出力する。なお、電力需給逼迫警報、電力需給情報、及び個別配信情報は、それ以外の情報(例えば、テレビジョン放送の画像情報や音声情報)と共に送信される場合もある。この場合、受信部(21)は、復調した情報から必要な情報(本実施形態では、電力需給逼迫警報、電力需給情報、及び個別配信情報)を選別する動作も行う。
【0042】
液晶ディスプレイ(22)は、いわゆるタッチパネル型の液晶パネルである。この液晶ディスプレイ(22)は、ユーザーに対して情報を表示する表示部と、後述するユーザー設定情報をユーザーが入力するための入力部とを兼ねている。
【0043】
運転制御部(25)は、メモリ(26)と、データ処理部(27)と、通信部(28)とを備えている。メモリ(26)には、非開示設定情報と、ユーザー設定情報と、識別符号とが記録されている。メモリ(26)に記録された識別符号は、そのメモリ(26)が設けられた制御装置(20)に固有のものである。
【0044】
運転制御部(25)のメモリ(26)は、履歴記憶部を兼ねている。つまり、メモリ(26)には、制御装置(20)が電気機器(30)に対して行った制御の内容を示す動作履歴が記録される。このメモリ(26)に記録された動作履歴は、ユーザーには開示されない非開示情報である。
【0045】
非開示設定情報は、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態を制御する際に必要な設定情報であるが、ユーザーに勝手に変更されると支障を来す設定情報である。非開示設定情報の一例としては、制御装置(20)に接続された電気機器(30)の設置場所の住所、制御装置(20)に接続された電気機器(30)の種類(例えば、空調機、電気温水器、照明器具、冷蔵庫など)、制御装置(20)に接続された電気機器(30)の用途(例えば、一般家庭用、産業用など)、ユーザーが電力会社と結んだ契約の内容が挙げられる。
【0046】
ユーザー設定情報は、ユーザーが液晶ディスプレイ(22)を通じて入力した情報であって、電気機器(30)の運転に関するユーザーの要望を示す情報である。ユーザー設定情報の具体的な内容や、ユーザーがユーザー設定情報を入力する手順については後述する。
【0047】
データ処理部(27)は、受信部(21)から出力された電力需給逼迫警報および電力需給情報と、メモリ(26)に記録された非開示設定情報およびユーザー設定情報とに基づいて、電気機器(30)の運転状態を変更するための制御信号を生成する。
【0048】
通信部(28)は、データ処理部(27)において生成した制御信号を、制御装置(20)に接続された電気機器(30)へ向けて出力する。
【0049】
制御装置(20)には、様々な電気機器(30)が接続可能である。制御装置(20)に接続される電気機器(30)の一例としては、空調機、電気ヒータやヒートポンプを熱源とする電気温水器、照明器具、冷蔵庫、電気自動車、蓄電池を備えた充電装置、自家発電機などが挙げられる。得に、空調機や照明器具などは、複数台が一つの制御装置(20)に接続されていてもよい。
【0050】
−運転動作−
制御装置(20)の運転動作について説明する。制御装置(20)は、電力使用量の最大値を下げるピークカットのための制御動作と、電力使用量の変動幅を抑えるピークシフトのための制御動作とを行う。また、制御装置(20)は、非開示設定情報を更新する動作とを、必要に応じて行う。
【0051】
〈ピークカットのための制御動作〉
制御装置(20)は、現時点における電気機器(30)の消費電力が低下するように電気機器(30)の運転状態を変更する動作を、ピークカットのための制御動作として行う。
【0052】
上述したように、制御装置(20)の運転制御部(25)には、その受信部(21)が受信した電力使用率が電力需給情報として入力されている。運転制御部(25)は、電力使用率の最新の実測値に基づいて、電気機器(30)の運転状態の変更案を作成する。また、運転制御部(25)は、非開示設定情報としてメモリ(26)に記録された電気機器(30)の種類に応じて、その電気機器(30)に対応した運転状態と変更案を作成する。
【0053】
運転制御部(25)が作成する変更案の一例を説明する。
【0054】
制御対象となる電気機器(30)が空調機の場合、運転制御部(25)は、電力使用率の最新の実測値が90%を超えると“空調機の冷房運転中の設定温度を2℃上昇させる”という変更案を作成し、電力使用率の最新の実測値が95%を超えると“空調機の運転を停止させる”という変更案を作成する。
【0055】
また、制御対象となる電気機器(30)が照明器具の場合、運転制御部(25)は、電力使用率の最新の実測値が90%を超えると“窓際に設置された照明器具を消灯させる”という変更案を作成し、電力使用率の最新の実測値が95%を超えると“全ての照明器具を消灯させる”という変更案を作成する。このように、運転制御部(25)は、供給余裕度を示す電力使用率の値に応じて、電気機器(30)の運転状態の変更案を複数通り作成する。
【0056】
運転制御部(25)が作成した変更案は、液晶ディスプレイ(22)に表示される。また、制御装置(20)は、液晶ディスプレイ(22)に変更案が提示されたことを、音声等でユーザーに告知する。ユーザーは、液晶ディスプレイ(22)に表示された変更案を受け入れるか否かを判断し、その結果を液晶ディスプレイ(22)へ入力する。
【0057】
例えば、“空調機の冷房運転中の設定温度を2℃上昇させる”という変更案が液晶ディスプレイ(22)に表示された場合、ユーザーは、それを受け入れる場合には「はい」と入力し、それを受け入れない場合は「いいえ」を入力する。また、複数台の空調機が制御装置(20)に接続されている場合は、各空調機毎に変更案を受け入れるか否かを入力できるようになっていてもよい。この場合、ユーザーは、リビングに設置された空調機については、設定温度の変更を認めて「はい」と入力する一方、老人の居室に設置された空調機については、設定温度の変更を認めずに「いいえ」と入力することができる。そして、ユーザーが入力した変更案の受け入れ可否の情報が、ユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録される。
【0058】
運転制御部(25)は、メモリ(26)に記録されたユーザー設定情報に基づいて制御信号を作成し、作成した制御信号を電気機器(30)に対して出力する。例えば、複数台の空調機が制御装置(20)に接続されている場合において、“空調機の冷房運転中の設定温度を2℃上昇させる”という変更案が一部の空調機について拒否されて残りの空調機について承認されたときは、運転制御部(25)は、変更案が承認された空調機に対して冷房運転中の設定温度を引き上げるための制御信号を出力し、変更案が拒否された空調機に対する制御信号の出力は行わない。その際、運転制御部(25)は、実行した制御動作の内容を動作履歴としてメモリ(26)に記録する。この例において、運転制御部(25)は、一部の空調機に対して冷房運転中の設定温度を引き上げるための制御信号を出力し、残りの空調機に対する制御信号の出力は行わなかったことを、動作履歴としてメモリ(26)に記録する。
【0059】
ところで、放送局(15)からは、電力需給逼迫警報が送信される場合がある。上述したように、電力需給逼迫警報は、電力の使用量がその最大供給量の97%以上に達すると発信される。従って、電力需給逼迫警報が送信された場合は、電気機器(30)の消費電力を速やかに削減することが必要となる。
【0060】
そこで、制御装置(20)の運転制御部(25)は、受信部(21)が電力需給逼迫警報を受信すると、直ちに電気機器(30)の消費電力を削減するための制御動作を行う。この制御動作として、運転制御部(25)は、例えば、空調機の運転を強制的に停止させる制御信号、照明器具を強制的に消灯させる制御信号、電気温水器の湯沸かし動作を禁止する制御信号などを作成して出力する。このとき、制御装置(20)は、ユーザーに対して電気機器(30)の運転状態の変更案の採否を問い合わせることはせず、電気機器(30)の運転状態を強制的に変更する。ただし、制御装置(20)は、電気機器(30)の運転状態を変更したことを、液晶ディスプレイ(22)に表示する。
【0061】
〈ピークシフトのための制御動作〉
制御装置(20)は、将来における電力の使用量の変動幅が小さくなるように電気機器(30)の運転状態を変更する動作を、ピークシフトのための制御動作として行う。
【0062】
上述したように、制御装置(20)の運転制御部(25)には、その受信部(21)が受信した電力使用率の予測値が電力需給情報として入力されている。運転制御部(25)は、電力使用率の予測値に基づいて、時刻毎の電気機器(30)の運転状態を指定した運転スケジュールを作成する。また、運転制御部(25)は、非開示設定情報としてメモリ(26)に記録された電気機器(30)の種類に応じて、その電気機器(30)に対応した運転スケジュールを作成する。
【0063】
運転制御部(25)が作成する変更案の一例を説明する。
【0064】
制御対象となる電気機器(30)がヒートポンプ式の電気温水器である場合、運転制御部(25)は、次のような運転スケジュールを定める。つまり、電力使用率の予測値に基づいて午後1時から午後5時までは電力使用率が大きくなる(つまり、電力供給量の余裕が小さくなる)なる見込みである場合、運転制御部(25)は、例えば“午後1時までに電気温水器に強制的に湯沸かし運転を実行させてタンク内の温水量を確保し、午後1時から午後5時までは電気温水器の湯沸かし運転を禁止し、午後5時以降は必要に応じて電気温水器の湯沸かし運転を許容する”という運転スケジュールを定め、それに基づいて電気温水器の運転状態を制御することができる。
【0065】
また、この場合において、運転制御部(25)は、制御対象である電気自動車に対して、“午後1時までに充電を実行させて蓄電池を満充電とし、午後1時から午後5時までは充電を禁止し、午後5時以降は必要に応じて充電を許容する”という運転スケジュールを定め、それに基づいて電気自動車の運転状態を制御することができる。
【0066】
また、この場合において、運転制御部(25)は、制御対象である充電装置に対して、“午後1時までに充電を実行させて蓄電池を満充電とし、午後1時から午後5時までは充電を禁止して蓄電池に放電させ、午後5時以降は必要に応じて充電を許容する”という運転スケジュールを定め、それに基づいて充電装置の運転状態を制御することができる。
【0067】
また、この場合において、運転制御部(25)は、制御対象である自家発電機に対して、“午後1時から午後5時までは必ず運転を行う”という運転スケジュールを定め、それに基づいて自家発電機の運転状態を制御することができる。
【0068】
このように、運転制御部(25)が電力使用率の予測値に基づいて電気機器(30)の運転スケジュールを定めれば、電力の使用量が多くなる時間帯を外して電気機器(30)を作動させることが可能となり、電力需要のピークシフトが実現される。
【0069】
なお、運転制御部(25)は、運転スケジュールに基づいて実行した電気機器(30)に対する制御動作の内容を、動作履歴としてメモリ(26)に記録する。
【0070】
〈非開示設定情報を更新する動作〉
上述したように、放送局(15)は、放送によって個別配信情報を送信している。制御装置(20)の受信部(21)は、この個別配信情報も受信する。ただし、放送局(15)は、その放送エリア内に設置された各制御装置(20)に向けた個別配信情報を順次送信する。このため、受信部(21)が受信する個別配信情報には、その受信部(21)が設けられた制御装置(20)に対する個別配信情報だけでなく、他の制御装置(20)に対する個別配信情報も含まれている。
【0071】
そこで、受信部(21)は、受信した個別配信情報に付加された識別符号と、メモリ(26)に記録された識別符号とを対比する。これら二つの識別符号が一致している場合、受信部(21)が受信した個別配信情報は、その受信部(21)が設けられた制御装置(20)に向けて送信されたものであると判断できる。従って、この場合、受信部(21)は、受信した個別配信情報を運転制御部(25)へ向けて出力する。一方、これら二つの識別符号が一致しない場合、受信部(21)が受信した個別配信情報は、その受信部(21)が設けられた制御装置(20)に向けて送信されたものではないと判断できる。従って、この場合、受信部(21)は、受信した個別配信情報を無視する。
【0072】
運転制御部(25)は、受信部(21)から個別配信情報が入力されると、それに基づいてメモリ(26)の非開示設定情報を更新する。例えば、ユーザーが電力会社と結んだ契約の内容が変更された場合は、変更後の契約の内容が個別配信情報として制御装置(20)へ送信され、制御装置(20)のメモリ(26)に非開示設定情報として記録された契約の内容が更新される。
【0073】
−動作履歴の利用−
本実施形態の制御装置(20)では、運転制御部(25)が電気機器(30)に対して行った制御の内容が、動作履歴としてメモリ(26)に記録される。メモリ(26)に記録された動作履歴は、例えば、電力メータの検針のために検針員がユーザーを訪問した際に、検針員の形態用端末へ吸い出される。制御装置(20)から検針員の形態用端末への動作履歴の移動は、赤外線通信や通信ケーブルを用いた有線通信によって行われてもよいし、メモリーカード等の記憶媒体を利用して行われてもよい。そして、例えば、電力会社とユーザーの間で“節電への協力の程度に応じて料金を割り引く”という内容の契約が交わされている場合、電力会社は、制御装置(20)から出力された動作履歴に基づいて料金の割引額や割引率などを決めることができる。
【0074】
−実施形態1の効果−
本実施形態の制御装置(20)には、タッチパネル型の液晶ディスプレイ(22)が入力部として設けられる。電気機器(30)のユーザーが液晶ディスプレイ(22)へ入力したユーザー設定情報は、運転制御部(25)へ送られる。そして、運転制御部(25)は、電力需給情報である電力使用率とユーザー設定情報の両方を考慮して、電気機器(30)の運転状態を制御する。従って、本実施形態によれば、ユーザー設定情報として液晶ディスプレイ(22)へ入力されたユーザーの意思を考慮して電気機器(30)の運転状態を制御することができ、制御装置(20)の使い勝手を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態の制御装置(20)において、運転制御部(25)は、供給余裕度である電力使用率に応じて電気機器(30)の運転状態を複数通りに設定可能となっている。従って、本実施形態によれば、電力の最大供給量と使用量の差に関連する指標値である電力使用率に応じて、電気機器(30)の運転状態をきめ細かく制御することができる。その結果、電気機器(30)のユーザーに与える影響をなるべく抑えつつ、電力の使用量を最大供給量未満に留めることができる。
【0076】
また、本実施形態の制御装置(20)では、電力使用率の予測値を受信部(21)が受信する。そして、この制御装置(20)の運転制御部(25)は、受信した電力使用率の予測値に基づいて電気機器(30)の運転スケジュールを定め、その運転スケジュールに従って電気機器(30)の運転状態を制御する。従って、本実施形態によれば、電力の使用量が多くなる時間帯を外して電気機器(30)を作動させることが可能となり、電力需要のピークシフトを実現することができる。
【0077】
また、本実施形態の制御装置(20)では、運転制御部(25)が電気機器(30)の運転状態の変更案を作成し、その変更案の採否をユーザーが判断し、その判断結果がユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録される。つまり、ユーザーが液晶ディスプレイ(22)へユーザー設定情報を入力する際には、運転制御部(25)が作成した電気機器(30)の運転状態の変更案の採否だけを判断すればよい。従って、本実施形態によれば、ユーザーが液晶ディスプレイ(22)へユーザー設定情報を入力する際の検討事項を削減でき、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0078】
また、本実施形態の制御装置(20)では、個別配信情報を受信部(21)が受信し、自己に対応する識別符号が付与された個別配信情報に基づいて運転制御部(25)が非開示設定情報を更新する。従って、放送によって個別配信情報を送信するだけで各制御装置(20)の非開示設定情報を個別に更新することができ、制御装置(20)の保守作業を簡素化することができる。
【0079】
−実施形態の変形例1−
図2に示すように、本実施形態の制御装置(20)は、放送局(15)から発信された放送波だけでなく、標準電波送信所(16)から発信された時刻情報を受信してもよいし、測位衛星(17)から発信された位置情報を受信してもよい。
【0080】
制御装置(20)が標準電波送信所(16)からの時刻情報を受信する場合は、放送局(15)が時刻情報を発信する必要はない。ただし、制御装置(20)は、標準電波送信所(16)と放送局(15)の両方から時刻情報を受信してもよい。この場合、制御装置(20)は、両者の時刻情報が一致している場合は放送局(15)から受信した情報が正しいと判断し、両者の時刻情報が相違している場合は放送局(15)から受信した情報が偽の情報だと判断する。
【0081】
また、制御装置(20)が測位衛星(17)からの位置情報を受信する場合は、制御装置(20)を設置する際に、設置作業者が電気機器(30)の設置場所の住所をメモリ(26)に記録する必要はない。この場合は、受信部(21)が測位衛星(17)から受信した位置情報がメモリ(26)に記録される。
【0082】
−実施形態の変形例2−
本実施形態では、電力使用率以外の情報が、電力需給情報として放送局(15)から発信されてもよい。例えば、電力の最大供給量と、電力の使用量の最新の実測値と、電力の使用量の将来の予測値とが、電力需給情報として放送局(15)から発信されてもよい。これらの値を電力需給情報として受信した制御装置(20)は、受信した値から電力使用率を算出する。つまり、制御装置(20)は、電力の最大供給量と、電力の使用量の最新の実測値とを用いて、電力使用率の最新の実測値を算出する。また、制御装置(20)は、電力の最大供給量と、電力の使用量の将来の予測値とを用いて、電力使用率の将来の予測値を算出する。そして、制御装置(20)は、算出した電力使用率の最新の実測値と将来の予測値とを用いて、上述した制御動作を行う。
【0083】
ところで、電力の最大供給量は、時刻によって変動することもあり得る。電力の最大供給量が変動する要因としては、揚水発電の出力変動、太陽光発電の出力変動、工場等の自家発電から買い取る電力量の変動、保守点検に伴う発電所の休止などが挙げられる。
【0084】
このため、電力使用率の予測値の精度を高めたい場合は、その値を算出する際に、電力の最大供給量の将来の計画値を用いる必要がある。そこで、その場合は、電力の最大供給量の現在値と、電力の最大供給量の将来の計画値と、電力の使用量の最新の実測値と、電力の使用量の将来の予測値とが、電力需給情報として放送局(15)から発信される。これらの値を電力需給情報として受信した制御装置(20)は、受信した値から電力使用率を算出する。つまり、制御装置(20)は、電力の最大供給量の現在値と、電力の使用量の最新の実測値とを用いて、電力使用率の最新の実測値を算出する。また、制御装置(20)は、電力の最大供給量の将来の計画値と、電力の使用量の将来の予測値とを用いて、電力使用率の将来の予測値を算出する。そして、制御装置(20)は、算出した電力使用率の最新の実測値と将来の予測値とを用いて、上述した制御動作を行う。
【0085】
−実施形態の変形例3−
上述したように、本実施形態の制御装置(20)は、ピークカットのための制御動作を行う。その際、制御装置(20)では、運転制御部(25)が作成した電気機器(30)の運転状態の変更案が液晶ディスプレイ(22)に表示され、その変更案を受けれるか否かの意思表示をユーザーが液晶ディスプレイ(22)に入力する。
【0086】
具体的に、制御対象となる電気機器(30)が空調機の場合、運転制御部(25)は、例えば、電力使用率の最新の実測値が90%を超えると“空調機の冷房運転中の設定温度を2℃上昇させる”という一つの変更案を作成する。液晶ディスプレイ(22)には、空調機の運転状態に関する一つの変更案が表示される。そして、ユーザーは、それを受け入れる場合には「はい」と入力し、それを受け入れない場合は「いいえ」を入力する。
【0087】
一方、本実施形態の制御装置(20)は、電気機器(30)の運転状態に関する複数の変更案を液晶ディスプレイ(22)に表示するように構成されていてもよい。この場合、ユーザーは、例えば希望する変更案に対応する番号を液晶ディスプレイ(22)に入力する。そして、ユーザが選択した変更案を特定する情報が、ユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録される。
【0088】
本変形例の制御装置(20)が行う制御動作の一例を示す。制御対象となる電気機器(30)が空調機の場合、運転制御部(25)は、電力使用率の最新の実測値が90%を超えると、“空調機の冷房運転中の設定温度を1℃上昇させる”という第1の変更案と、“空調機の冷房運転中の設定温度を2℃上昇させる”という第2の変更案と、“空調機の冷房運転を停止させる”という第3の変更案とを作成する。液晶ディスプレイ(22)には、空調機の運転状態に関する第1〜第3の変更案が表示される。そして、ユーザーは、第1の変更案を受け入れる場合は「1」を、第2の変更案を受け入れる場合は「2」を、第3の変更案を受け入れる場合は「3」を、それぞれ液晶ディスプレイ(22)に入力する。例えば、ユーザーが液晶ディスプレイ(22)に「2」と入力した場合は、“第2の変更案を受け入れ、第1及び第3の変更案を拒否する”というユーザーの意思が、制御装置(20)に入力されたことになる。この場合、ユーザーが第2の変更案を選択したことを示す情報が、ユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録される。
【0089】
−実施形態の変形例4−
本実施形態の制御装置(20)は、節電のために停止させる電気機器(30)の優先順位をユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録し、受信部(21)が受信した電力使用率とメモリ(26)が記憶する優先順位とに基づいて電気機器(30)の運転状態を制御するように構成されていてもよい。
【0090】
本変形例の制御装置(20)が行う制御動作の一例を示す。空調機と照明器具と冷蔵庫とが制御装置(20)に接続されている場合、ユーザーは、例えば、空調機の優先順位を「1」とし、照明器具の優先順位を「2」とし、冷蔵庫の優先順位を「3」とする旨を、液晶ディスプレイ(22)に入力する。液晶ディスプレイ(22)に入力された優先順位は、ユーザー設定情報としてメモリ(26)に記録される。そして、運転制御部(25)は、電力使用率の最新の実測値が90%を超えると空調機を停止させ、電力使用率の最新の実測値が95%を超えると照明器具を消灯し、電力使用率の最新の実測値が97%を超えると冷蔵庫を停止させる。つまり、この場合、停止対象としての優先度の最も低い冷蔵庫は、電力使用率の最新の実測値が97%を超えるまで運転し続ける。
【0091】
なお、上記の実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明は、電気によって作動する電気機器の運転状態を制御する制御装置と、その制御装置を備えた制御システムについて有用である。
【符号の説明】
【0093】
10 制御システム
15 放送局(発信装置)
20 制御装置
21 受信部
22 液晶ディスプレイ(入力部)
25 運転制御部
26 メモリ(履歴記憶部)
30 電気機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気によって作動する電気機器(30)に接続されて該電気機器(30)の運転状態を制御する制御装置であって、
放送によって送信された電力の最大供給量と使用量に関する電力需給情報を受信する受信部(21)と、
上記電気機器(30)のユーザーが該電気機器(30)の運転に関する設定事項であるユーザー設定情報を入力するための入力部(22)と、
上記受信部(21)が受信した電力需給情報と上記入力部(22)へ入力されたユーザー設定情報とに基づき、上記電気機器(30)の消費電力を調節するために上記電気機器(30)の運転状態を制御する運転制御部(25)とを備えている
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
電力の最大供給量と使用量の差に関連する指標値である供給余裕度を、上記受信部(21)が電力需給情報として受信し、又は上記運転制御部(25)が上記電力需給情報から算出する一方、
上記運転制御部(25)は、上記供給余裕度に応じて上記電気機器(30)の運転状態を複数通りに設定可能となっている
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記受信部(21)が受信する電力需給情報には、電力の使用量の将来の予測値に関する需要予測情報が含まれている
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記運転制御部(25)は、時刻毎の上記電気機器(30)の運転状態を指定した運転スケジュールを、上記需要予測情報に基づいて定める
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項5】
請求項1において、
上記運転制御部(25)は、上記電力需給情報に基づいて上記電気機器(30)の運転状態の変更案を一つ又は複数作成する一方、
上記入力部(22)には、上記運転制御部(25)が作成した上記電気機器(30)の運転状態の変更案の採否を示す情報が、ユーザー設定情報として入力され、
上記運転制御部(25)は、上記ユーザー設定情報に基づいて上記電気機器(30)の運転状態を変更するか否かを決定する
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記運転制御部(25)は、電気機器(30)の運転状態の制御に用いられる設定情報であってユーザーが変更できない非開示設定情報を記憶する一方、
上記受信部(21)は、個別の制御装置を特定するための識別符号が付加された上記非開示設定情報の更新情報を受信し、
上記運転制御部(25)は、自己に対応する識別符号が付与された上記更新情報に基づいて上記非開示設定情報を更新する
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
上記運転制御部(25)が上記電気機器(30)に対して行った制御の内容を動作履歴として記憶する履歴記憶部(26)を備えている
ことを特徴とする電気機器の制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つに記載の制御装置(20)と、
放送によって上記電力需給情報を発信する発信装置(15)とを備えている
ことを特徴とする電気機器の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−38470(P2013−38470A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170491(P2011−170491)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】