説明

電気機器の配索構造、およびその配索構造を備えた画像形成装置

【課題】取付け作業が容易な線条体保護部材を用いる電気機器の配索構造、およびその配索構造を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】電気機器の配索構造は、エッジ部53を有する板金製のユニットフレームF1と、ユニットフレームF1の近傍に配索された給電用ハーネス39と、給電用ハーネス39とエッジ部53との接触を防止して給電用ハーネス39を保護することが可能な形状を有する弾性体フィルム55とを含み、ユニットフレームF1には、係止突起51が形成されており、弾性体フィルム55は、係止突起51が係止可能な取付け孔57を有しており、取付け孔57が係止突起51に係止された状態でユニットフレームF1に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の電気機器の配索構造、特に線条体を保護する配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機やプリンタ等の画像形成装置は、フルカラー画像の形成に対応するために4つの画像形成部(マゼンタ用の画像形成部、シアン用の画像形成部、イエロー用の画像形成部およびブラック用の画像形成部)を含む。そのため、4つの画像形成部を含む画像処理部を制御するための制御部品が増大し、これに伴い、電線、ハーネス、光ファイバコード類、ワイヤー等の線条体の数が増大し、線条体は装置内で複雑に配索される。
【0003】
画像形成装置は、通常板金製の装置本体フレームを有している。また、画像形成部を含む画像処理部はユニット化されていることが多く、その場合、画像処理部を構成する構成部品は、板金製のユニットフレーム内に格納されていることが多い。そのため、装置本体フレームやユニットフレーム内に配索されている線条体は、板金、特に板金のエッジ部と接触して損傷してしまう場合がある。線条体が損傷すると、画像形成装置が適正な画像形成処理を行うことができない場合が生じる。
【0004】
線条体の損傷を防止するために、画像形成装置では、線条体と板金製フレームのエッジ部との接触を防止する線条体保護部材が用いられている。線条体保護部材として、例えば、線条体の配索方向に延びつつ該線条体を覆うことが可能な形状を有する樹脂製の保護カバーが用いられることが多い。しかしながら、保護カバーの採用はコスト的に好ましくない。
【0005】
保護カバーを用いずに線条体の損傷を防止する技術が求められており、そのような技術として、例えば特許文献1のものが知られている。特許文献1の線条体保護部材は、線条体の配索方向に延びる弾性体フィルムからなり、線条体と該線条体と接触する可能性のある装置本体フレームのエッジ部との間に配置されることにより、線条体の損傷を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−27550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の線条体保護部材である弾性体フィルムは、コスト的に有利であるものの、複数のクランプ部材や両面テープを用いて所定の箇所に取り付けられる。このため、線条体保護部材の取付け作業に時間がかからざるを得ない。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、取付け作業が容易な線条体保護部材を用いる電気機器の配索構造、およびその配索構造を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気機器の配索構造は、エッジ部を有する板金製のフレームと、前記フレームの近傍に配索された線条体と、前記線条体と前記エッジ部との接触を防止して前記線条体を保護することが可能な形状を有する線条体保護部材とを含み、前記フレームには、係止突起が形成されており、前記線条体保護部材は、前記係止突起が係止可能な係止部を有しており、前記係止部が前記係止突起に係止された状態で前記フレームに取り付けられている。
【0010】
本発明に係る電気機器の配索構造によれば、板金製フレームのエッジ部から線条体を保護する線条体保護部材は、その係止部をフレームの係止突起に係止するだけでフレームに取り付けられるので、線条体保護部材のフレームへの取付けが容易である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、電気機器の配索構造は、さらに、前記フレームに所定の部材を固定するための締結部材を含み、前記締結部材が前記係止突起である。
【0012】
この構成によれば、線条体保護部材以外の他の部材をフレームに固定するために用いられる締結部材を利用して線条体保護部材をフレームに取り付けることができるので、線条体保護部材をフレームに取り付けるための専用の部材を別途用いる必要がない。これにより、部品点数の減少、ひいてはコスト低減を達成できる。前記締結部材は、例えばビスである。
【0013】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記係止部は、前記ビスのねじ山の外周の形状にほぼ一致する円形状の係止孔である。
【0014】
この構成によれば、係止孔の形状と、係止突起であるビスのねじ山の形状とがほぼ一致しているので、線条体保護部材をフレームに安定よく取り付けることができる。
【0015】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記係止孔には、該係止孔から所定の方向に延びるスリットが形成されている。
【0016】
この構成によれば、スリットの形成によって係止孔は、係止突起を係止孔に通す際に若干変形し易くなるので、係止突起を係止孔に通し易くすることができる。これにより、線条体保護部材のフレームへの取付け性が向上する。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記フレームは、前記線条体が配索される近傍に壁面を有しており、前記線条体保護部材は、前記係止突起を介して前記壁面に取り付けられる弾性体フィルムからなる。
【0018】
この構成によれば、従来の保護カバーを用いる構成と比較してコストを低減させることができる。
【0019】
本発明では、上記構成の配索構造を画像形成装置に適用している。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る電気機器の配索構造によれば、線条体を板金のエッジ部から保護しつつ、線条体を容易に配索することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る配索構造が適用された画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図2】画像形成ユニットの装置本体に対する電気的接続を模式的に説明するための平面図である。
【図3】画像形成ユニットが像地本体と電気的に接続された状態を示す斜視図である。
【図4】画像形成ユニットと装置本体とが電気的に非接続の状態にある。
【図5】ユニット側コネクタが支持フレームを介してユニットフレームに固定された状態を示す上面図である。
【図6】線条体保護部材の斜視図である。
【図7】図6に示す線条体保護部材がユニットフレームに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】弾性体フィルムの取付け孔の変形例を示す図である。
【図9】弾性体フィルムのユニットフレームへの取付けの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図1の画像形成装置は、本実施形態に係る配索構造が適用された電気機器としての一例であり、例えばカラープリンタとして構成されている。画像形成装置1は、該画像形成装置1の内部空間を画定する板金製の装置本体フレームFを有する装置本体100を含む。画像形成装置1は、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(K)の各色別の画像形成部2(2M,2C,2Y,2K)を装置本体100内において含むタンデム式のものである。
【0024】
各画像形成部2M,2C,2Y,2Kは、現像装置3、感光体ドラム4、帯電器5およびクリーナー21を含む。画像形成部2の下方には、露光ユニット6が設けられている。また、画像形成部2の上方には、転写ベルト装置20が設けられている。転写ベルト装置20のさらに上方には、トナー供給部7が設けられている。
【0025】
各画像形成部2M,2C,2Y,2Kの感光体ドラム4は、後述する転写ベルト装置20の下方位置で転写ベルト8の外表面に接触した状態で配設されている。転写ベルト8の回転方向B(図1では反時計回りの方向)の上流側から、マゼンタ用感光体ドラム4、シアン用感光体ドラム4、イエロー用感光体ドラム4およびブラック用感光体ドラム4が並設されている。感光体ドラム4は、a−Si(アモルファスシリコン)等から構成され、図1における時計回りの方向(図示のA方向)に回転する。
【0026】
帯電器5は、感光体ドラム4の周面を一様に帯電する。露光ユニット6は、外部のパーソナルコンピュータ等から入力された原稿画像データに基づくレーザ光を感光体ドラム4の周面に導くポリゴンミラー6aを有している。ポリゴンミラー6aは、図略のポリゴンモータによって回転しつつ、各感光体ドラム4の周面上にレーザ光を走査して、前記周面に静電潜像を形成する。
【0027】
トナー供給部7は、マゼンタ,シアン,イエロー,ブラックの各色のトナーを貯蔵する。現像装置3は、トナー供給部7から供給される各色のトナーを対応する感光体ドラム4に供給する。静電潜像が形成された感光体ドラム4に現像装置4からトナーが供給されると、トナーが静電潜像に付着して、感光体ドラム4にトナー像が形成される。
【0028】
現像装置3は、トナーとキャリア(磁性体)とからなる現像剤を貯留する貯留部32と、感光体ドラム4に対向して配置された現像ローラ31とを含む。現像ローラ31は、例えば、その表面がアルミ等の非磁性材料から構成される円筒状の現像スリーブである。現像スリーブの内部には、磁石材料等が配設されている。現像剤は、磁石材料の磁力で現像ローラ31の表面に吸着され、現像ローラ31が所定の方向に回転することで、現像剤のトナーのみが感光体ドラム4の表面に移動する。
【0029】
転写ベルト装置20は、駆動ローラ11と、従動ローラ10と、駆動ローラ11および従動ローラ10間に張設された転写ベルト8とを含む。転写ベルト8は、例えばCR(クロロプレン)ゴムからなる弾性層を含むベルトであり、外表面が感光体ドラム4の周面に接触した状態となるように従動ローラ10と駆動ローラ11との間に張設されている。また、転写ベルト8は、テンションローラ19によって上方に付勢されている。駆動ローラ11は、図略の駆動源による駆動力を受けて回転して、転写ベルト8を回転方向B(反時計回りの方向)に回転駆動させる。従動ローラ10は、転写ベルト8の回転によって従動回転する。画像形成部2と転写ベルト装置20とは、ユニット化されて画像形成ユニットUとして構成されている。画像形成ユニットUは、装置本体100に対して装着自在であり、メンテナンス等の際には装置本体100内から引き出すことができる。
【0030】
感光体ドラム4の対向位置には、1次転写ローラ9が転写ベルト8の内表面に接触した状態で転写ベルト8を挟んで配置されている。1次転写ローラ9は、転写ベルト8の回転により従動回転するローラであって、感光体ドラム4とで転写ベルト8をニップして、感光体ドラム4に形成された各色のトナー像を転写ベルト8に1次転写させる1次転写部Tを構成する。1次転写部Tにおいて、転写ベルト8に各色のトナー像が感光体ドラム4から多重転写される。これにより、転写ベルト8にはカラーのトナー像が形成される。
【0031】
クリーナー21は、各感光体ドラム4の周面上に配置され、該周面上の残留トナー等を除去する。
【0032】
転写ベルト8は、駆動ローラ11に巻回されている部位が屈曲した状態となっており、この屈曲部位には、転写ベルト8を挟んで駆動ローラ11に対向する2次転写ローラ18が設けられている。駆動ローラ11および2次転写ローラ18は、それらの間でニップ部を形成しており、このニップ部は、2次転写位置Sとして設定されている。後述する給紙カセット12からの用紙Pが2次転写位置Sを通過することで、転写ベルト8に1次転写されたトナー像が用紙Pに2次転写される。
【0033】
2次転写位置Sの上方には、定着ユニット14が設けられている。定着ユニット14は、2次転写位置Sにおいてトナー像の2次転写が施された用紙Pに対して定着処理を施すものである。定着ユニット14は、一対の定着ローラ141を含み、用紙Pを加熱しつつ、定着ローラ141間でニップすることで、2次転写されたトナー像を用紙P上に定着させる。
【0034】
2次転写位置Sの下方には、一対のレジストローラ17が配設されている。レジストローラ17は、用紙Pを2次転写位置Sに向けて適切なタイミングで搬送すると共に、用紙Pの斜め送りを修正する。
【0035】
露光ユニット6の下方位置には、用紙Pの束を収納する給紙カセット12が装置本体100に対して挿脱自在に配置されている。給紙カセット12と2次転写位置Sとの間には、用紙Pを給紙カセット12から2次転写位置Sまで用紙Pを案内する用紙搬送路13が設けられている。用紙搬送路13には、上述のレジストローラ17が配設されている。また、用紙搬送路13には、レジストローラ17の他に、用紙Pを案内するための複数のローラ対が適所に配設されている。
【0036】
装置本体100の上面には、定着ユニット14によって定着処理が施された用紙Pが排出される排出部16が形成されており、排出部16と定着ユニット14との間には、用紙Pを案内するための用紙排出路15が設けられている。用紙排出路15にも、用紙Pを搬送するためのローラ対が適所に配設されている。
【0037】
上記構成の画像形成装置1内には、電線、ハーネス、光ファイバコード類、ワイヤー等の多数の線条体が配索されている。画像形成装置1は、画像形成ユニットU、定着ユニット14、露光ユニット6等の処理ユニットを制御するための図略の主制御部を有している。主制御部は、画像形成ユニットU、定着ユニット14、露光ユニット6等の処理ユニットと、例えばハーネスよって接続されており、ハーネスを介して制御信号等が伝送される。また、画像形成装置1の装置本体100内には、画像形成ユニットU、定着ユニット14、露光ユニット6等の処理ユニットや、用紙搬送路13および用紙排出路15に配設された搬送ローラ対等に給電するための給電用ハーネスが配索されている。このように、画像形成装置1内には、多数の線条体が複雑に配索されている。
【0038】
画像形成装置1の装置本体100の装置本体フレームFは板金製である。また、画像形成ユニットU、定着ユニット14、露光ユニット6等の各処理ユニットの構成部品は、板金製のユニットフレーム内に格納されていることが多い。そのため、装置本体100内で複雑に配索された線条体は、板金、特に板金のエッジ部と接触して損傷してしまう場合がある。線条体が損傷すると、画像形成装置1が適正な画像形成処理を行うことができない場合が生じる。そこで、本実施形態では、線条体と板金のエッジ部との接触を防止して線条体の損傷を防止する線条体保護部材を用いている。
【0039】
以下、線条体保護部材を画像形成ユニットUにおいて用いて線条体を配索した配索構造の一例について説明する。図2は、画像形成ユニットUの装置本体100に対する電気的接続を模式的に説明するための平面図である。画像形成ユニットUは、画像形成部2および転写ベルト装置20が格納された板金製のユニットフレームF1を有している。
【0040】
ユニットフレームF1は、ユニット化された画像形成部2および転写ベルト装置20が載置される矩形状の支持底板25と、支持底板25から立ち上がり、画像形成部2および転写ベルト装置20を囲う周囲壁とを有する。前記周囲壁は、画像形成ユニットUの装置本体100に対する挿脱方向Wに対向する前壁26および後壁27と、前壁26の両縁部と後壁27の両縁部とを連結する一対の連結壁28とからなる。前壁26は、画像形成ユニットUが装置本体100に装着された状態では外部に面しており、後壁27は装置本体100の内部に面している。ユニットフレームF1の上面は、メンテナンス等のために開放されている。
【0041】
一対の連結壁28のそれぞれには、スライド機構29が設けられている。画像形成ユニットUは、スライド機構29により、装置本体100に収納された収納位置と、装置本体100から引き出された引き出し位置との間でスライド移動可能に構成されている。前壁26には、画像形成ユニットUをスライド移動させるための把持部35が設けられている。
【0042】
装置本体100における画像形成ユニットUが配置された箇所には、装置本体100と画像形成ユニットUとを電気的に接続するための、例えば本体側ドロアコネクタ36が設けられている。また、画像形成ユニットUの後壁27には、本体側ドロアコネクタ36と対向する位置にユニット側ドロアコネクタ37が設けられている。本体側ドロアコネクタ36には、線条体、例えば本体側給電用ハーネス38が接続されており、ユニット側ドロアコネクタ37にも、画像形成ユニットUの画像形成部2および転写ベルト装置20に給電するためのユニット側給電用ハーネス39が接続されている。
【0043】
したがって、画像形成ユニットUが収納位置にあるときは、本体側ドロアコネクタ36とユニット側ドロアコネクタ37とは互いに接続されており、装置本体100から両ドロアコネクタ36,37を通して画像形成ユニットUに対して給電が行われる。一方、画像形成ユニットUが引き出し位置にあるときは、ユニット側ドロアコネクタ37は本体側ドロアコネクタ36と接続していないので、画像形成ユニットUは装置本体100から給電を受けない。
【0044】
図3は、画像形成ユニットUが装置本体100と電気的に接続された状態を示す斜視図である。一方、図4は、画像形成ユニットUと装置本体100とが電気的に非接続の状態を示す斜視図である。図3および図4に示す例では、本体側ドロアコネクタ36は、本体側第1コネクタ40および本体側第2コネクタ41からなり、ユニット側ドロアコネクタ37は、本体側第1コネクタ40に接続されるユニット側第1コネクタ42と、本体側第2コネクタ41に接続されるユニット側第2コネクタ43とからなる。
【0045】
画像形成ユニットUのユニットフレームF1には、ユニット側第1コネクタ42が挿通された状態で後壁27に固定される第1開口44(図4)と、ユニット側第2コネクタ43が挿通された状態で後壁27に固定される第2開口45(図4)とが形成されている。ユニット側第1コネクタ42は、第1開口44に挿通された状態ではその接続口が装置本体100の内部に向いており、ユニット側第2コネクタ43も同様に第2開口45に挿通された状態ではその接続口が装置本体100の内部に向いている。
【0046】
ユニット側第1コネクタ42は、図3および図4に示すように、後壁27に溶接等で固定された板金製の支持フレーム46を介して後壁27に固定されている。図5は、ユニット側第1コネクタ42が支持フレーム46に固定された状態を示す上面図である。ユニット側第1コネクタ42は、上方から見て両側部に固定片47を有している。各固定片47には、ビス等の締結部材48がねじ込み可能な図略のねじ孔が形成されている。また、支持フレーム46には、固定片47の前記ねじ孔と同軸の図略のねじ孔が形成されている。支持フレーム46は、後壁27に形成された第1開口44の輪郭に沿う開口50(図4)を有している。ユニット側第1コネクタ42は、支持フレーム46の開口50および後壁27の第1開口44に挿通された状態で締結部材48を固定片47の前記ねじ孔および支持フレーム46の前記ねじ孔にねじ込むことにより支持フレーム46に固定される。ユニット側第1コネクタ42が支持フレーム46に固定された状態では、ビス48におけるねじ部の一部が支持フレーム46から突出して突起部分(係止突起)51を形成している。
【0047】
なお、本体側ドロアコネクタ36およびユニット側ドロアコネクタ37は、公知のドロアコネクタを用いているため、それらの構造についての説明は省略する。また、本体側ドロアコネクタ36は、雄型コネクタであってもよいし、雌型コネクタであってもよい。ユニット側ドロアコネクタ37は、本体側ドロアコネクタ36に応じて雌型または雄型に設定される。
【0048】
上記構成の画像形成ユニットUでは、ユニット側第1コネクタ42を支持する支持フレーム46のエッジ部、第2開口45の開口縁(つまり、エッジ部)等の板金のエッジ部53が露出しているため、ユニット側第1コネクタ42およびユニット側第2コネクタ43から延びる給電用ハーネス39が接触して損傷してしまう場合がある。
【0049】
そこで、本実施形態では、図6に示す線条体保護部材55を用いて給電用ハーネス39と板金のエッジ部53とが接触することを防止している。線条体保護部材55は、例えばPETフィルムからなる薄膜の弾性体フィルムである。図7は、図6に示す弾性体フィルム55がユニットフレームF1に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0050】
ユニットフレームF1の後壁27に取り付けられた弾性体フィルム55は、主に支持フレーム46のエッジ部53および第2開口45のエッジ部53を覆うように形状設定されている。また、ユニット側第1コネクタ42のエッジ部56およびユニット側第2コネクタ43のエッジ部56も弾性体フィルム55によって覆われている。これにより、ユニット側第1コネクタ42に接続された給電用ハーネス39と、ユニット側第2コネクタ43に接続された給電用ハーネス39とは、弾性体フィルム55によってエッジ部53,56と接触しないので、損傷を回避することができる。その結果、画像形成ユニットUの画像形成処理に支障をきたすことを防止できる。なお、弾性体フィルム55には、ユニット側第1コネクタ42に接続された給電用ハーネス39を自由に引き回すための開口70と、ユニット側第2コネクタ43に接続された給電用ハーネス39を自由に引き回すための開口71とが形成されている。
【0051】
弾性体フィルム55は、図6に示すように適所に取付け孔(係止部)57が形成されている。取付け孔57の形状は、締結部材48であるビスのねじ山の形状とほぼ一致するように設定された円形状の孔(係止孔)である。弾性体フィルム55は、ビス48における支持フレーム46から突出した突起部分51を取付け孔57に挿通させることによりユニットフレームF1(実際には、本実施形態では支持フレーム46)に取り付けることができる。弾性体フィルム55の取付け孔57の形状とビス48のねじ山の形状とはほぼ一致しているので、弾性体フィルム55を支持フレーム46に安定よく取り付けることができる。
【0052】
弾性体フィルム55の厚さは、弾性体フィルム55のエッジ部自体が線条体を損傷させることがないような厚さに設定されている。弾性体フィルム55は、材料の特性上、形状設計が容易であり、該弾性体フィルム55が取り付けられる箇所に応じて適宜容易に設計することができる。
【0053】
弾性体フィルム55の取付け孔57は、図8に示す形状に設定することができる。すなわち、取付け孔57は、ビス48のねじ山の形状とほぼ一致するように形状設定された円形部58と、円形部58から所定の方向(図8では上下方向)に延びる一対のスリット59とからなる。弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付けるに当たって、ビス48における支持フレーム46から突出した突起部分51を取付け孔57に挿通させるとき、スリット59の存在によって円形部58は若干変形するので、突起部分51を円形部58に挿通させ易い。取付け孔57を図8に示す形状に設定することにより、弾性体フィルム55の支持フレーム46への取付け性が向上する。
【0054】
上述した弾性体フィルム55を用いた配索構造によれば、板金のエッジ部53から給電用ハーネス39を保護する弾性体フィルム55は、ビス48における支持フレーム46から突出した突起部分51に取付け孔57を挿通させるだけでユニットフレームF1に安定よく取り付けられるので、弾性体フィルム55のユニットフレームF1への取付けが容易である。
【0055】
また、ユニット側第1コネクタ42を支持フレーム46に固定するために用いられるビス48を利用いて弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付けているので、弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付けるための専用の部材を別途用いる必要がない。これにより、部品点数の減少、ひいてはコスト低減を達成できる。
【0056】
以上説明した実施形態では、ビス48の突起部分51を利用して弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付ける構成につき説明したが、弾性体フィルム55は、線条体を結束するために用いられる、所謂配線クランプ60を利用してユニットフレームF1に取り付けてもよい。具体的には、図9に示すように、配線クランプ60は、弾性変形可能な材料からなる部材であって、線条体61が挿通される挿通孔62を有し、線条体61を挿通孔62に挿通した状態で線条体61を保持する保持部63と、保持部63と一体に形成され、ユニットフレームF1に固定される固定部64とを有する。保持部63は、例えば円弧形状を有している。固定部64は、保持部63の両円弧端部のそれぞれから延びる脚部65と、各脚部65の先端に形成された爪部66とからなる。ユニットフレームF1には、脚部65が挿通可能な固定孔67が形成されている。配線クランプ60は、脚部65を弾性変形させつつ固定孔67に挿通させ、脚部65の復元力を利用して爪部66をユニットフレームF1に引っ掛からせることにより、ユニットフレームF1に固定される。配線クランプ60がユニットフレームF1に固定された状態では、配線クランプ60はユニットフレームF1に対して突起部分51を形成する。
【0057】
弾性体フィルム55は、配線クランプ60の保持部63とユニットフレームF1の壁面68との間に挟まれた状態でユニットフレームF1に取り付けられる。弾性体フィルム55をユニットフレームF1の壁面68に宛がい、弾性体フィルム55の取付け孔57とユニットフレームF1の固定孔67とを一致させた後、配線クランプ60の脚部65を取付け孔57および固定孔67に通すことにより、弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付けてもよい。代わりに、配線クランプ60をユニットフレームF1に固定した後、弾性体フィルム55の弾性変形を利用して弾性体フィルム55の取付け孔57に配線クランプ60の保持部63を挿通させることにより、弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取り付けてもよい。このように、弾性体フィルム55は、装置本体100内に存在する突起部分を利用して容易に取り付けることができる。
【0058】
また、以上説明した実施形態では、弾性体フィルム55を用いた配索構造を画像形成ユニットUに適用した場合つき説明したが、弾性体フィルム55の使用箇所は、画像形成ユニットUに限定されず、画像形成装置1の装置本体100内において板金のエッジ部が露出して線条体と接触する可能性のある箇所であるならば、特に限定されない。
【0059】
また、弾性体フィルム55をユニットフレームF1に取付けるための取付け孔57を1箇所のみに形成した例に説明したが、取付け孔57の数は、取付け孔57に挿通可能な突起部分が存在するならば2つ以上であってもよい。
【0060】
さらに、上述した実施形態では、線条体保護部材55を弾性体フィルムから形成した場合につき説明したが、線条体保護部材55は、織布、不織布、厚紙等から形成することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
2 画像形成部
20 転写ベルト装置
27 後壁
36 本体側ドロアコネクタ
37 ユニット側ドロアコネクタ
39 給電用ハーネス
40 本体側第1コネクタ
41 本体側第2コネクタ
42 ユニット側第1コネクタ
43 ユニット側第2コネクタ
46 支持フレーム
48 ビス(締結部材)
51 突起部分(係止突起)
53 エッジ部
55 弾性体フィルム(線条体保護部材)
57 取付け孔(係止部)
100 装置本体
F1 ユニットフレーム
U 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジ部を有する板金製のフレームと、
前記フレームの近傍に配索された線条体と、
前記線条体と前記エッジ部との接触を防止して前記線条体を保護することが可能な形状を有する線条体保護部材と、
を備え、
前記フレームには、係止突起が形成されており、
前記線条体保護部材は、前記係止突起が係止可能な係止部を有しており、前記係止部が前記係止突起に係止された状態で前記フレームに取り付けられている電気機器の配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器の配索構造において、さらに、前記フレームに所定の部材を固定するための締結部材を備え、
前記締結部材が前記係止突起である電気機器の配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機器の配索構造において、前記締結部材はビスである電気機器の配索構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電気機器の配索構造において、前記係止部は、前記ビスのねじ山の外周の形状にほぼ一致する円形状の係止孔である電気機器の配索構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機器の配索構造において、前記係止孔には、該係止孔から所定の方向に延びるスリットが形成されている電気機器の配索構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気機器の配索構造において、
前記フレームは、前記線条体が配索される近傍に壁面を有しており、
前記線条体保護部材は、前記係止突起を介して前記壁面に取り付けられる弾性体フィルムからなる電気機器の配索構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の配索構造を備えた画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256697(P2010−256697A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107831(P2009−107831)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】