電気機器用ブッシング
【課題】変圧器のタンク内に取り付けられたブッシングとタンク内の変圧器本体から引き出された口出し線との接続部の構成の簡素化を図ること。
【解決手段】外部に導出される3個の端子部t1,to,t2と、変圧器本体から引き出された8本の口出し線にそれぞれ対応する8個の口出し線接続部b1ないしb8と、端子部t1,to,t2と口出し線接続部b1ないしb8との間を接続する接続回路を構成する配線導体a1ないしa8と、配線導体全体を覆うとともに、端子部t1,to,t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分を覆ってこれらを一体化する絶縁被覆部3とを設けて、変圧器本体から引き出された口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るようにした。
【解決手段】外部に導出される3個の端子部t1,to,t2と、変圧器本体から引き出された8本の口出し線にそれぞれ対応する8個の口出し線接続部b1ないしb8と、端子部t1,to,t2と口出し線接続部b1ないしb8との間を接続する接続回路を構成する配線導体a1ないしa8と、配線導体全体を覆うとともに、端子部t1,to,t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分を覆ってこれらを一体化する絶縁被覆部3とを設けて、変圧器本体から引き出された口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器等の電気機器の端子を外部に引き出すために用いるブッシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
柱上変圧器等の変圧器においては、特許文献1に見られるように、変圧器本体を収容したタンクを貫通させてブッシングを取り付け、このブッシングを通して変圧器本体の二次コイルの出力端子を外部に引き出すようにしている。変圧器を組み立てる際には、二次コイルから引き出された複数の口出し線を互いに干渉することがないように曲げ加工してブッシングの位置まで導き、各口出し線をブッシング導体に接続する。
【0003】
上記のように、変圧器の二次コイルの口出し線をブッシングに接続する際には、二次コイルから引き出された口出し線をブッシングの位置まで導くように変形させる加工が必要であるため、口出し線をブッシングに接続するための作業が面倒であった。特に口出し線が銅バーからなる場合には、その曲げ加工が容易でないため、口出し線をブッシングに接続するために多くの工数を必要とする。また二次コイルから引き出された口出し線の数が多い場合には、口出し線同士が干渉しないようにするための加工が面倒になる。
【0004】
例えば、鉄心の二つの脚部にそれぞれ巻回された2つのコイルにより構成される単相三線式の変圧器においては、特許文献2に示されているように、正相端子と中性相端子との間の電圧及び逆相端子と中性相端子との間の電圧が不平衡になるのを防ぐために、各コイルを、重ねて巻回された2つの単位コイルに分割して、一方のコイルの内側の単位コイルと他方のコイルの外側の単位コイルとを直列または並列に接続し、一方のコイルの外側の単位コイルと他方のコイルの内側の単位コイルとを直列または並列に接続するようにしている。このような変圧器では、口出し線の数が多くなるため、変圧器の二次コイルとブッシングとの間の接続構造が複雑になり、口出し線の加工に要する工数が多くなるのを避けられない。特に口出し線が銅バーからなる場合には、その曲げ加工が容易でないため、口出し線をブッシングに接続するために多くの工数を必要とする。また二次コイルから引き出された口出し線の数が多い場合には、口出し線同士が干渉しないようにするための加工が著しく面倒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−256046号公報
【特許文献2】特開2000−58342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、変圧器本体の二次コイルからの口出し線の数が多い場合には、ブッシングと二次コイルとの間の接続構造が複雑になり、二次コイルから引き出された口出し線の加工の工数が多くなって製造コストが高くなるという問題があった。変圧器に限らず、電気機器本体がタンク内に収容された電気機器であって、電気機器本体から引き出された多くの口出し線がブッシングに接続される場合にも同様の問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、電気機器本体から引き出された口出し線との接続構造の簡素化を図り、電気機器本体とブッシングとの間の配線を簡単に行うことを可能にする電気機器用ブッシングを提供することにある。
【0008】
本発明の更に特定された目的は、変圧器において、その出力端子を構成するブッシングと、変圧器本体の二次コイルから引出された口出線との間の接続構造の簡素化を図り、口出線とブッシングとの間を接続する作業の工数を削減して生産性の向上を図ることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電気機器本体をタンク内に収容してなる電気機器のタンクに取り付けられて、電気機器本体から引き出された口出し線に接続される電気機器用ブッシングを対象とする。
【0010】
本発明に係わるブッシングは、外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、電気機器本体から引き出されたm本(mは2以上の整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体を覆うとともに、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えている。電気機器本体から引き出されたm本の口出し線を交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように上記m個の口出し線接続部が配列され、n個の端子部とm個の口出し線接続部と配線導体とが絶縁被覆部により一体化されている。
【0011】
上記のようにブッシングを構成しておくと、電気機器本体から引き出された各口出し線をそのまま対応する口出し線接続部の所に導いて対応する口出し線接続部に接続すればよく、電気機器を組み立てる際に、各口出し線を他の口出し線との干渉を避けつつ対応する口出し線接続部の所まで導くための曲げ加工を必要としないため、電気機器の組み立て工数を削減して電気機器の製造能率を向上させることができる。また各口出し線は、各口出し線と1対1で対応した口出し線接続部に接続すればよいので、口出し線と口出し線接続部との接続作業を容易に行わせることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、同電位の口出し線接続部の中心軸線と配線導体とが同一平面上に配置される。
【0013】
上記のように、同電位の口出し線接続部の中心軸線及び配線導体を同一平面上に配置するようにしておくと、絶縁被覆部内で電位が異なる配線導体が交差することがないようにすることができるため、口出し線接続部と外部に引き出される端子部との間を接続する接続回路の構成の簡素化を図ることができ、また電位が異なる配線導体相互間の絶縁構造を簡単にすることができる。
【0014】
上記絶縁被覆部は、配線導体全体とn個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることが好ましい。この樹脂モールド部は、絶縁被覆部で被覆する部分を型内に挿入して、型内に樹脂を注入することにより容易に形成することができる。
【0015】
本発明に係わるブッシングは、変圧器本体をタンク内に収容してなる変圧器のタンクに取り付けられて、変圧器本体のコイルから引き出された口出し線に接続される変圧器用ブッシングとして好適なものである。
【0016】
本発明に係わる変圧器用ブッシングは、外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、変圧器本体から引き出されたm本(mは整数)の口出し線にそれぞれ対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体を覆うとともに、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えた構成を有する。本発明に係わるブッシングにおいては、変圧器本体から引き出されたm本の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、m個の口出し線接続部が配列され、n個の端子部とm個の口出し線接続部と配線導体とが絶縁被覆部により一体化されている。
【0017】
本発明に係わる変圧器用ブッシングは、変圧器本体が、2脚鉄心の第1の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第1のコイルと鉄心の第2の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第2のコイルとにより2次コイルが構成されていて、第1のコイルの内側の単位コイルと第2のコイルの外側の単位コイルとが直列または並列に接続され、第1のコイルの外側の単位コイルと第2のコイルの内側の単位コイルとが直列または並列に接続されている単相三線式変圧器の本体である場合に特に有用である。
【0018】
変圧器用ブッシングにおいても、上記絶縁被覆部は、配線導体全体とn個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、電気機器用ブッシングを、電気機器本体から引き出されたm個の口出し線の引出位置にそれぞれ対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体と、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えた構成として、電気機器本体から引き出されたm個の口出し線を交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るようにm個の口出し線接続部を配列したので、電気機器本体から引き出された各口出し線をそのまま対応する口出し線接続部の所に導いて対応する口出し線接続部に簡単に接続することができる。したがって、各口出し線をブッシングに接続する際に、各口出し線を他の口出し線との干渉を避けつつ対応する口出し線接続部の所まで導くための曲げ加工を必要としないため、口出し線とブッシングとを接続する作業の工数を削減して電気機器の製造能率を高めることができる。また各口出し線は、各口出し線と1対1で対応した口出し線接続部に接続すればよいので、口出し線と口出し線接続部との接続作業を容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本発明の第1の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図2】(A)は本発明の第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図3】図1及び図2に示したブッシングを電気機器のタンクに取り付ける取付け構造の一例を示した断面図である。
【図4】(A)は本発明の第3の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図5】(A)は本発明の第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図6】第1及び第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の一例を概略的に示した説明図である。
【図7】第1及び第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の他の例を概略的に示した説明図である。
【図8】図6または図7に示された変圧器の一次側及び二次側の構成を示す回路図である。
【図9】第3及び第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の一例を概略的に示した説明図である。
【図10】第3及び第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の他の例を概略的に示した説明図である。
【図11】図9または図10に示された変圧器の一次側及び二次側の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1(A)及び(B)は本発明の第1の実施形態に係わるブッシング1の構成を示し、図2(A)及び(B)は、本発明の第2の実施形態に係わるブッシング1の構成を示している。これらの実施形態に係わるブッシングは、図6ないし図8に示すような巻線構造を有する単相三線式変圧器に適用することを想定している。
【0022】
[第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成]
先ず、図6ないし図8を用いて、第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成について説明する。
図6において、C1及びC2はそれぞれ二脚鉄心の第1及び第2の脚部であり、これらの脚部の両端は、図6には図示されていない継鉄部により連結されている。S1及びS2は第1及び第2の脚部C1及びC2にそれぞれ巻回されて変圧器の二次コイル(低圧コイル)を構成する第1及び第2のコイルである。第1のコイルS1は、第1の脚部C1に巻かれた単位コイルS11と、この単位コイルの上に重ねて巻回された単位コイルS12とからなっている。また第2のコイルS2は、第2の脚部C2に巻回された単位コイルS21と、この単位コイルの上に重ねて巻回された単位コイルS22とからなっている。図6には示してないが、第1及び第2のコイルS1及びS2の外側に更に一次コイル(高圧コイル)P1及びP2(図8参照)が巻回されている。脚部C1,C2を有する2脚鉄心と、脚部C1,C2に巻回された一次コイルS1,S2及び二次コイルP1,P2とにより変圧器本体が構成され、この変圧器本体と、該変圧器本体を絶縁油とともに収容したタンクとにより単相三線式変圧器が構成されている。
【0023】
二次コイルS1及びS2の軸線方向の一端側の端面から、一連の単位コイルの両端につながる口出し線d1ないしd8が引き出されている。図6においては、各口出し線の引出部を、丸数字1ないし8で示された口出し線番号が付された黒丸で表示している。図6において、t1、to及びt2はそれぞれ変圧器の外部に導出される逆相端子部(−端子)、中性相端子部(0端子)及び正相端子部(+端子)を示している。本実施形態では、二次コイルS1及びS2のそれぞれを構成する各単位コイルが、条導体(幅広の箔状導体)を所定ターン数巻回した条巻線からなっていて、各単位コイルの両端に溶接された銅バーにより各口出し線が構成されている。
【0024】
第1のコイルS1を構成する単位コイルS11及びS12のそれぞれの一端(巻き始め側の端部)からそれぞれ1番及び2番の口出し線d1及びd2が引き出され、単位コイルS11及びS12のそれぞれの他端(巻き終わり側の端部)から3番及び4番の口出し線d3及びd4が引き出されている。また第2のコイルを構成する単位コイルS22及びS21のそれぞれの巻き終わり側の端部から5番及び6番の口出し線d5及びd6が引き出され、単位コイルS22及びS21の巻き始め側の端部からそれぞれ7番及び8番の口出し線d7及びd8が引き出されている。
【0025】
第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器2においては、図6に示すように、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部が、鉄心の脚部C1及びC2の間を2分する位置を両脚部の並設方向に対して直角な方向に延びる直線に対して対称な位置にあって、口出し線d1ないしd4の引出部及び口出し線d5ないしd8の引出部が、両脚部C1,C2の並設方向に対して直角な方向に並ぶように、各口出し線の引出位置が設定されている。
【0026】
なお口出し線の引出し方は、図6に示した例に限定されない。例えば図7に示すように、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部を結ぶ直線及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部を結ぶ直線が、鉄心の脚部C1及びC2の間を2分する位置を両脚部の並設方向に対して直角な方向に延びる直線に対して対称な位置にあって、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部を結ぶ直線及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部を結ぶ直線が、ほぼハの字形に傾斜するように、各口出し線の引出位置が設定されていてもよい。
【0027】
本発明に係わるブッシングを単相三線式変圧器に適用するに当たっては、図6に示したように口出し線d1ないしd8を引き出す場合も、図7に示したように口出し線d1ないしd8を引き出す場合も、各口出し線の端末部を、ブッシングに設けられる対応する口出し線接続部に整合し得る位置に位置させることができるように、口出し線d1ないしd8を曲げ成形しておく。
【0028】
図示の単相三線式変圧器においては、図6または図7に示されているように、1番の口出し線d1の端末部及び5番の口出し線d5の端末部がそれぞれ後述するブッシングに設けられた口出し線接続部b1及びb5に接続される。口出し線接続部b1及びb5はそれぞれブッシング内に設けられた配線導体a1及びa5を通して同じくブッシング内に設けられた配線導体at1の一端に共通接続され、配線導体at1の他端がブッシングに設けられた逆相端子部(−端子)t1に接続される。
【0029】
また4番の口出し線d4の端末部及び8番の口出し線d8の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b4及びb8に接続される。これらの口出し線接続部b4及びb8はそれぞれブッシング内に設けられた配線導体a4及びa8を通して配線導体at2の一端に接続され、配線導体at2の他端がブッシングに設けられた正相端子部(+端子)t2に接続される。
【0030】
更に2番の口出し線d2の端末部、3番の口出し線d3の端末部、6番の口出し線d6の端末部及び7番の口出し線d7の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b2,b3,b6及びb7に接続される。口出し線接続部b2,b3,b6及びb7はそれぞれ、ブッシング内に設けられた配線導体a2,a3,a6及びa7を通してブッシング内の配線導体a01に接続され、配線導体a01が配線導体at0を通してブッシングに設けられた中性相端子部(0端子)toに接続される。
【0031】
上記の結線により、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2のコイルS2の外側の単位コイルS22とが並列に接続され、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とが並列に接続される。本明細書では、このような二次コイルの巻き方を並列巻きと呼ぶ。図6または図7に示された単相三線式変圧器の一次側及び二次側の構成は、図8の回路図に示した通りである。
【0032】
[第1の実施形態に係わるブッシングの構成]
図1(A)及び(B)に示されているように、第1の実施形態に係わるブッシング1は、変圧器から外部に導出されるn個(本実施形態ではn=3)の端子部t1,to及びt2と、変圧器本体の二次コイルから引き出されたm本(本実施形態ではm=8)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部b1ないしb8と、端子部t1,to及びt2と口出し線接続部b1ないしb8との間をそれぞれ接続する接続回路Aを構成する配線導体a1ないしa8,a01,at0及びat2と、これらの配線導体の全体を覆うとともに、端子部t1,to,t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部3とからなっている。
【0033】
図示の絶縁被覆部3は、絶縁樹脂により形成された樹脂モールド部からなっていて、配線導体a1ないしa8,a01,at0及びat2の全体と、端子部t1,to、t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分とが絶縁被覆部3内に埋設されて該絶縁被覆部に一体化されている。
【0034】
図示の絶縁被覆部3は、変圧器のタンク外に配置されるほぼ直方体状の第1の部分301と、該第1の部分の底部に突設されたほぼ直方体状の第2の部分302とを一体に有している。第2の部分302は、第1の部分301よりも小さい断面積を持つように形成されていて、第1の部分301と第2の部分302との間に段差部303が形成されている。樹脂モールド部からなる絶縁被覆部3は、絶縁被覆部3で被覆すべき部分を型内に挿入して、型内に樹脂を注型することにより製造することができる。
【0035】
端子部t1,to及びt2は、絶縁被覆部の第1の部分301の、第2の部分と反対側の端面から外部に突出した状態で設けられている。図1には、端子部t1,to及びt2を詳細に図示してないが、これらの端子部は、配電線につながる電線を接続するのに適したものであればよく、公知の構造を有するもの(例えばボルトと該ボルトに螺合されるナットとからなるもの)を用いればよい。
【0036】
口出し線接続部b1ないしb8は、第2の部分302の第1の部分と反対側の端面から外部に突出した状態で設けられている。図示の例では、口出し線接続部b1ないしb8のそれぞれが、絶縁被覆部3に一部が埋設されて固定されたネジ4と、ネジ4に螺合されたナット5とからなっている。
【0037】
本実施形態においては、変圧器本体から引き出された1番ないし8番の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部b1ないしb8に接続し得るように、口出し線接続部b1ないしb8が配列される。そのためには、ブッシング1を変圧器のタンクに取り付けた際に、口出し線接続部b1ないしb8が対応する口出し線の引出部の近傍に配置されるようにしておくのが好ましい。本実施形態では、ブッシング1を変圧器のタンクに取り付けて、絶縁被覆部3の口出し線接続部b1ないしb8が引き出された第2の部分302の先端を口出し線d1ないしd8が引き出された変圧器の二次コイルの端面の上方に位置させた際に、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8がそれぞれ1番ないし4番の口出し線の端末部及び5番ないし8番の口出し線の端末部と整合し得る位置に配置されるように、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8の位置と、口出し線d1ないしd8の端末部の位置とが設定されている。
【0038】
本実施形態では、図1(A)において、絶縁被覆部3の第2の部分302の輪郭をなす長方形の長辺に沿う方向(図1Aの左右方向)をブッシングの長手方向とし、該長方形の短辺に沿う方向(図1Aの上下方向)をブッシングの幅方向としたときに、口出し線接続部b2及びb3がブッシングの幅方向の中央部で該ブッシングの長手方向に並び、かつ口出し線接続部b1及びb4がそれぞれブッシングの幅方向の一端側及び他端側に配置されて、口出し線接続部b2,b3を間にして、ブッシング1の長手方向に対して傾斜した方向に所定の間隔を隔てて並ぶように、口出し線接続部b1ないしb4が配置されている。同様に、口出し線接続部b6及びb7がブッシングの幅方向の中央部でブッシングの長手方向に並び、かつ口出し線接続部b5及びb8が、それぞれブッシングの幅方向の一端側及び他端側に配置されて、口出し線接続部b6,b7を間にして、ブッシング1の長手方向に対して傾斜した方向に所定の間隔を隔てて並ぶように、口出し線接続部b5ないしb8が配置されている。
【0039】
本実施形態ではまた、同電位の口出線接続部b1及びb5の中心軸線が、ブッシングの長手方向と平行な一つの平面O1−O1上に配置され、同電位の口出線接続部b2,b3,b6及びb7の中心軸線が平面O1−O1と平行な平面O2−O2上に配置され、更に同電位の口出線接続部b4及びb8の中心軸線が平面O1−O1及びO2−O2と平行な平面O3−O3上に配置されるように、口出線接続部b1ないしb8の配設位置が設定されている。
【0040】
図1(B)においては、絶縁被覆部3内に埋設されている配線導体により構成される接続回路Aが破線で示されている。図示の例では、配線導体a1,a5,at1及び逆相端子部t1の中心軸線が口出し線接続部b1及びb5の中心軸線が配置された平面O1−O1と同一の平面上に配置され、配線導体a2,a3,a6,a7,a01,at0及び中性相端子部t0の中心軸線が口出し線接続部b2,b3,b6及びb7が配置された平面O2−O2と同一の平面上に配置されている。また配線導体a4,a8,at2及び正相端子部t2の中心軸線が口出し線接続部b4及びb8の中心軸線が配置された平面O3−O3と同一の平面上に配置されている。
【0041】
図示の例では、配線導体a2,a3,a6及びa7を構成する導体を横方向に延びる導体ao1に接続してこの導体ao1を配線導体at0を通して中性相端子部toに接続するようにしているが、配線導体a2,a3,a6及びa7をそれぞれ構成する導体をそのまま端子部toの所まで延ばして、これらの導体を端子部toに共通接続するようにしてもよい。
【0042】
また図示の例では、配線導体a1及び配線導体a5の口出し線接続部b1及びb5と反対側の端部を共通接続して、これらの配線導体の共通接続点を配線導体at1を通して逆相端子部t1に接続し、配線導体a4及び配線導体a8の口出し線接続部b4及びb8と反対側の端部を共通接続して、これらの配線導体の共通接続点を配線導体at2を通して正相端子部t2に接続するようにしているが、配線導体a1及びa5を逆相端子部t1の所まで伸ばして、配線導体a1及びa5を逆相端子部t1に直接接続し、配線導体a4及びa8を正相端子部t2の所まで延ばして、配線導体a4及びa8を正相端子部t2に直接接続するようにしてもよい。
【0043】
絶縁被覆部3内の配線導体は、一連の口出し線とブッシングの端子部との間を接続する所定の接続回路Aを構成するように設ければよく、絶縁被覆部内における配線導体の設け方は、図1及び図6(または図7)に示された例に限定されない。
【0044】
図示のブッシング1は、絶縁被覆部3の第2の部分301を変圧器のタンクの天井壁または側壁に設けられた取付け孔を通してタンク内に挿入した状態で配置されて、適宜の手段によりタンクに対して固定される。
【0045】
ブッシング1の取付け構造の一例を図3に示した。この例では、変圧器のタンクの側壁10の上部に設けた取付け孔11を通してブッシング1の第2の部分302をタンク内に挿入し、口出し線接続部b1ないしb8を対応する口出し線の引出部の近傍に位置させる。このときブッシング1の絶縁被覆部3の段差部303とタンクの側壁10との間にパッキン12を介在させて、ブッシング1と取付け孔11との嵌合部のシールを図る。またこの例では、絶縁被覆部3の第2の部分302の外周に設けた溝310(図1及び図2には図示せず。)内にコイルバネ13を嵌合させ、このバネ13と変圧器のタンクの側壁10との間に締め付け金具14の端部を挿入した状態で、該締め付け金具14に設けられたネジ孔に螺合させたボルト15をタンクの側壁10に対して締め付けることにより、ブッシング1をタンクの側壁部10に固定している。
【0046】
図1(A)に示したように、口出し線接続部b1ないしb8を配置すると、同電位の口出し線接続部b1及びb5の中心軸線とこれらの口出し線接続部を逆相端子部t1に接続する配線導体とを同一平面上に(平面O1−O1上に)位置させ、同電位の口出し線接続部b2,b3,b6及びb7の中心軸線とこれらの口出し線接続部を中性相端子部t0に接続する配線導体とを同一平面上に(平面O2−O2上に)位置させ、同電位の口出し線接続部b4及びb8の中心軸線とこれらの口出し線接続部を正相端子部t1に接続する配線導体とを同一平面上に(O3−O3上に)位置させることができるため、絶縁被覆部3内で電位が異なる配線導体が交差するのを防いで、口出し線接続部b1ないしb8と端子部t1,t0,t2との間をすっきりと配線することができる。また絶縁被覆部3を構成する際には、同電位の口出し線接続部と配線導体とが配置される3つの平面の間をしっかりと絶縁する配慮をしておけばよいため、絶縁被覆部3を簡単に形成することができる。
【0047】
上記のように、変圧器の二次コイルと外部に引き出される端子部との間を接続する接続回路を構成する配線導体をブッシング1内に設けておくと、変圧器の二次側から引き出されている口出し線をブッシングに接続する際に、各口出し線の端末部を、その近傍に配置されている対応する口出し線接続部に接続すればよく、各口出し線を折り曲げ成形する加工を行う必要がないため、二次口出し線とブッシングとの間を接続する工程の工数を削減することができ、製造能率を向上させることができる。
【0048】
[第2の実施形態に係わるブッシングの構成]
第2の実施形態に係わるブッシング1は、図2(A)及び(B)に示されているように、口出し線接続部b1ないしb8の配列を異ならせたものである。本実施形態においては、口出し線接続部b1ないしb4をブッシングの長手方向に対して傾斜した方向に並べ、口出し線接続部b5ないしb8を口出し線接続部b1ないしb4の並設方向と異なる方向に傾斜した方向に並べた状態で配置して、口出し線接続部b1ないしb8をV字形に配列している。口出し線接続部の配列が変更されたことに伴い、絶縁被覆部3内における配線導体の配置が変更されている。その他の点は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0049】
第2の実施形態のように口出し線接続部を配置すると、図7に示すように口出し線を引き出し、ブッシング1を変圧器タンクの上端開口部を閉じる蓋板に取り付ける場合に、各口出し線の端末部を対応する口出し線接続部の近傍に位置させることが容易になるため、各口出し線の端末部を対応する口出し線接続部の近傍に位置させるための曲げ成形を簡単にすることができる。本実施形態による場合には、絶縁被覆部3内で異なる電位の配線導体が交差することになるため、ブッシングの幅方向(図2Aの上下方向)だけでなく、長手方向(図2Aの左右方向)でも異なる電位の配線導体相互間の絶縁を確実にするための配慮が必要になる。
【0050】
[第3及び第4の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成]
第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する変圧器においては、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2の単位コイルS2の外側の単位コイルS22とを並列に接続し、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とを並列に接続しているが、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2のコイルS2の外側の単位コイルS22とを直列に接続し、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とを直列に接続する(直列巻きをする)単相三線式の変圧器に用いるブッシングにも適用することができる。この場合の変圧器の二次コイルの構成は図9または図10のようになり、変圧器の一次側及び二次側の回路構成は図11に示したようになる。
【0051】
この例では、口出し線d1ないしd8の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b1ないしb8に接続され、口出し線接続部b2とb5との間及び口出し線接続部b4とb7との間がそれぞれブッシング内で配線導体a25及びa47を通して接続される。また口出し線接続部b1及びb8がそれぞれブッシング内で配線導体a1及びa8の一端に接続され、配線導体a1及びa8の他端が配線導体at0を通して中性相端子部t0に接続される。更に、口出し線接続部b3及びb6がそれぞれブッシング内で配線導体a3及びa6を通して逆相端子部t1及び正相端子部t2に接続される。
【0052】
[第3の実施形態に係わるブッシングの構成]
図9または図10の巻線構造を有する単相三線式変圧器に適用する本発明の第3の実施形態のブッシング1の構成を図4(A)及び(B)に示した。図4において、図1の各部と同等の部分にはそれぞれ同一の符号を付してある。本実施形態のブッシング1は、絶縁被覆部3の横断面の縦横の寸法比を図1に示した例とは異ならせてある点、口出し線接続部b1ないしb8の配置を異ならせている点及び絶縁被覆部3内に埋設された配線導体の回路が異なっている点を除き図1に示した実施形態に係わるブッシングと同様である。
【0053】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、同電位の口出し線接続部及び配線導体を同一平面上に位置させるように、口出し線接続部と配線導体とを設けている。図示の例では、図4(B)に示すように、同ブッシングを正面から見た場合に、口出し線接続部b1ないしb8が右から左に順に並び、かつ図4(A)に示すように、同電位の口出し線接続部の中心軸線及び同電位の口出し線接続部につながる配線導体が同一平面上に配置されるように、口出し線接続部b1ないしb8とそれぞれの口出し線接続部につながる配線導体とが設けられている。図示の例では、口出し線接続部b3及び口出し線接続部b6が、ブッシングの幅方向の一端側及び他端側にそれぞれ配置され、口出し線接続部b3とb6との間の領域に、ブッシングの長手方向に位置をずらして配置された同電位の口出し線接続部b4とb7、b1とb8、及びb2とb5が、ブッシングの幅方向に位置をずらして配置されている。
【0054】
口出し線接続部b1及びb8は、絶縁被覆3内で配線導体a1及びa8を通して配線導体at0の一端に接続され、配線導体at0の他端は中性相端子部t0に接続されている。また口出し線接続部b3及びb6がそれぞれ配線導体a3及びa6を通して逆相端子部t1及び正相端子部t2に接続され、口出し線接続部b2とb5との間及び口出し線接続部b4とb7との間がそれぞれ配線導体a25及びa47を通して接続されている。配線導体a1,a8,at0及び中性相端子部t0は、口出し線接続部b1及びb8の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置され、配線導体a3及び逆相端子部t1は口出し線接続部b3の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。また配線導体a25は、口出し線接続部b2及びb5の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置され、配線導体a47は、口出し線接続部b4及びb7の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。更に配線導体a6及び正相端子部t2は、口出し線接続部b6の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。
【0055】
[第4の実施形態に係わるブッシングの構成]
第4の実施形態に係わるブッシング1は、図5(A)及び(B)に示されているように構成されている。本実施形態では、口出し線接続部b1ないしb4をブッシングの長手方向に対して傾斜した方向に並べ、口出し線接続部b5ないしb8を口出し線接続部b1ないしb4の並設方向と異なる方向に傾斜した方向に並べた状態で配置して、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8をV字形に配列している。口出し線接続部の配列が変更されたことに伴い、絶縁被覆部3内における配線導体の配置が変更されている。その他の点は、第3の実施形態と同様に構成されている。
【0056】
本発明に係わるブッシングにおいて、m個の口出し線接続部は、ブッシングをタンクに取り付けた状態で、変圧器本体から引き出された対応する口出し線を大きく曲げることなく、かつ他の口出し線と交差させることなく、ブッシングの口出し線接続部t0,t1及びt2に接続し得るように設ければよく、口出し線接続部の配列パターンは上記実施形態で示した例に限定されるものではない。
【0057】
上記の各実施形態では、単相三線式の変圧器に取り付けるブッシングを例にとったが、他の形式の変圧器に適用するブッシングにも本発明を適用することができる。変圧器本体からの口出し線の引出構造に応じて、ブッシングに設ける口出し線接続部の数及び配列を適宜に設定する。
【0058】
上記の各実施形態では、変圧器の二次コイルから引き出される口出し線に接続されるブッシングに本発明を適用したが、1次側から多くの口出し線が引き出される場合には、変圧器の一次側に接続されるブッシングにも本発明を適用することができる。
【0059】
本発明はまた、電気機器本体から多くの口出し線が引き出されてブッシングに接続される他の電気機器、例えばリアクトル等の電気機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 変圧器用ブッシング
3 絶縁被覆部
b1なしb8 口出し線接続部
t1 逆相端子部
to 中性相端子部
t2 正相端子部
a1〜a8,a25,a47,at0,at1,at2 配線導体
C1,C2 鉄心の脚部
S1 第1のコイル
S11,S12 単位コイル
S2 第2のコイル
S21,S22 単位コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器等の電気機器の端子を外部に引き出すために用いるブッシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
柱上変圧器等の変圧器においては、特許文献1に見られるように、変圧器本体を収容したタンクを貫通させてブッシングを取り付け、このブッシングを通して変圧器本体の二次コイルの出力端子を外部に引き出すようにしている。変圧器を組み立てる際には、二次コイルから引き出された複数の口出し線を互いに干渉することがないように曲げ加工してブッシングの位置まで導き、各口出し線をブッシング導体に接続する。
【0003】
上記のように、変圧器の二次コイルの口出し線をブッシングに接続する際には、二次コイルから引き出された口出し線をブッシングの位置まで導くように変形させる加工が必要であるため、口出し線をブッシングに接続するための作業が面倒であった。特に口出し線が銅バーからなる場合には、その曲げ加工が容易でないため、口出し線をブッシングに接続するために多くの工数を必要とする。また二次コイルから引き出された口出し線の数が多い場合には、口出し線同士が干渉しないようにするための加工が面倒になる。
【0004】
例えば、鉄心の二つの脚部にそれぞれ巻回された2つのコイルにより構成される単相三線式の変圧器においては、特許文献2に示されているように、正相端子と中性相端子との間の電圧及び逆相端子と中性相端子との間の電圧が不平衡になるのを防ぐために、各コイルを、重ねて巻回された2つの単位コイルに分割して、一方のコイルの内側の単位コイルと他方のコイルの外側の単位コイルとを直列または並列に接続し、一方のコイルの外側の単位コイルと他方のコイルの内側の単位コイルとを直列または並列に接続するようにしている。このような変圧器では、口出し線の数が多くなるため、変圧器の二次コイルとブッシングとの間の接続構造が複雑になり、口出し線の加工に要する工数が多くなるのを避けられない。特に口出し線が銅バーからなる場合には、その曲げ加工が容易でないため、口出し線をブッシングに接続するために多くの工数を必要とする。また二次コイルから引き出された口出し線の数が多い場合には、口出し線同士が干渉しないようにするための加工が著しく面倒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−256046号公報
【特許文献2】特開2000−58342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、変圧器本体の二次コイルからの口出し線の数が多い場合には、ブッシングと二次コイルとの間の接続構造が複雑になり、二次コイルから引き出された口出し線の加工の工数が多くなって製造コストが高くなるという問題があった。変圧器に限らず、電気機器本体がタンク内に収容された電気機器であって、電気機器本体から引き出された多くの口出し線がブッシングに接続される場合にも同様の問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、電気機器本体から引き出された口出し線との接続構造の簡素化を図り、電気機器本体とブッシングとの間の配線を簡単に行うことを可能にする電気機器用ブッシングを提供することにある。
【0008】
本発明の更に特定された目的は、変圧器において、その出力端子を構成するブッシングと、変圧器本体の二次コイルから引出された口出線との間の接続構造の簡素化を図り、口出線とブッシングとの間を接続する作業の工数を削減して生産性の向上を図ることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電気機器本体をタンク内に収容してなる電気機器のタンクに取り付けられて、電気機器本体から引き出された口出し線に接続される電気機器用ブッシングを対象とする。
【0010】
本発明に係わるブッシングは、外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、電気機器本体から引き出されたm本(mは2以上の整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体を覆うとともに、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えている。電気機器本体から引き出されたm本の口出し線を交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように上記m個の口出し線接続部が配列され、n個の端子部とm個の口出し線接続部と配線導体とが絶縁被覆部により一体化されている。
【0011】
上記のようにブッシングを構成しておくと、電気機器本体から引き出された各口出し線をそのまま対応する口出し線接続部の所に導いて対応する口出し線接続部に接続すればよく、電気機器を組み立てる際に、各口出し線を他の口出し線との干渉を避けつつ対応する口出し線接続部の所まで導くための曲げ加工を必要としないため、電気機器の組み立て工数を削減して電気機器の製造能率を向上させることができる。また各口出し線は、各口出し線と1対1で対応した口出し線接続部に接続すればよいので、口出し線と口出し線接続部との接続作業を容易に行わせることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、同電位の口出し線接続部の中心軸線と配線導体とが同一平面上に配置される。
【0013】
上記のように、同電位の口出し線接続部の中心軸線及び配線導体を同一平面上に配置するようにしておくと、絶縁被覆部内で電位が異なる配線導体が交差することがないようにすることができるため、口出し線接続部と外部に引き出される端子部との間を接続する接続回路の構成の簡素化を図ることができ、また電位が異なる配線導体相互間の絶縁構造を簡単にすることができる。
【0014】
上記絶縁被覆部は、配線導体全体とn個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることが好ましい。この樹脂モールド部は、絶縁被覆部で被覆する部分を型内に挿入して、型内に樹脂を注入することにより容易に形成することができる。
【0015】
本発明に係わるブッシングは、変圧器本体をタンク内に収容してなる変圧器のタンクに取り付けられて、変圧器本体のコイルから引き出された口出し線に接続される変圧器用ブッシングとして好適なものである。
【0016】
本発明に係わる変圧器用ブッシングは、外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、変圧器本体から引き出されたm本(mは整数)の口出し線にそれぞれ対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体を覆うとともに、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えた構成を有する。本発明に係わるブッシングにおいては、変圧器本体から引き出されたm本の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、m個の口出し線接続部が配列され、n個の端子部とm個の口出し線接続部と配線導体とが絶縁被覆部により一体化されている。
【0017】
本発明に係わる変圧器用ブッシングは、変圧器本体が、2脚鉄心の第1の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第1のコイルと鉄心の第2の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第2のコイルとにより2次コイルが構成されていて、第1のコイルの内側の単位コイルと第2のコイルの外側の単位コイルとが直列または並列に接続され、第1のコイルの外側の単位コイルと第2のコイルの内側の単位コイルとが直列または並列に接続されている単相三線式変圧器の本体である場合に特に有用である。
【0018】
変圧器用ブッシングにおいても、上記絶縁被覆部は、配線導体全体とn個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、電気機器用ブッシングを、電気機器本体から引き出されたm個の口出し線の引出位置にそれぞれ対応するm個の口出し線接続部と、n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、配線導体全体と、n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた絶縁被覆部とを備えた構成として、電気機器本体から引き出されたm個の口出し線を交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るようにm個の口出し線接続部を配列したので、電気機器本体から引き出された各口出し線をそのまま対応する口出し線接続部の所に導いて対応する口出し線接続部に簡単に接続することができる。したがって、各口出し線をブッシングに接続する際に、各口出し線を他の口出し線との干渉を避けつつ対応する口出し線接続部の所まで導くための曲げ加工を必要としないため、口出し線とブッシングとを接続する作業の工数を削減して電気機器の製造能率を高めることができる。また各口出し線は、各口出し線と1対1で対応した口出し線接続部に接続すればよいので、口出し線と口出し線接続部との接続作業を容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は本発明の第1の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図2】(A)は本発明の第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図3】図1及び図2に示したブッシングを電気機器のタンクに取り付ける取付け構造の一例を示した断面図である。
【図4】(A)は本発明の第3の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図5】(A)は本発明の第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングの上面図、(B)は(A)の正面図である。
【図6】第1及び第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の一例を概略的に示した説明図である。
【図7】第1及び第2の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の他の例を概略的に示した説明図である。
【図8】図6または図7に示された変圧器の一次側及び二次側の構成を示す回路図である。
【図9】第3及び第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の一例を概略的に示した説明図である。
【図10】第3及び第4の実施形態に係わる変圧器用ブッシングを適用する単相三線式変圧器の二次コイルの巻線構造の他の例を概略的に示した説明図である。
【図11】図9または図10に示された変圧器の一次側及び二次側の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1(A)及び(B)は本発明の第1の実施形態に係わるブッシング1の構成を示し、図2(A)及び(B)は、本発明の第2の実施形態に係わるブッシング1の構成を示している。これらの実施形態に係わるブッシングは、図6ないし図8に示すような巻線構造を有する単相三線式変圧器に適用することを想定している。
【0022】
[第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成]
先ず、図6ないし図8を用いて、第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成について説明する。
図6において、C1及びC2はそれぞれ二脚鉄心の第1及び第2の脚部であり、これらの脚部の両端は、図6には図示されていない継鉄部により連結されている。S1及びS2は第1及び第2の脚部C1及びC2にそれぞれ巻回されて変圧器の二次コイル(低圧コイル)を構成する第1及び第2のコイルである。第1のコイルS1は、第1の脚部C1に巻かれた単位コイルS11と、この単位コイルの上に重ねて巻回された単位コイルS12とからなっている。また第2のコイルS2は、第2の脚部C2に巻回された単位コイルS21と、この単位コイルの上に重ねて巻回された単位コイルS22とからなっている。図6には示してないが、第1及び第2のコイルS1及びS2の外側に更に一次コイル(高圧コイル)P1及びP2(図8参照)が巻回されている。脚部C1,C2を有する2脚鉄心と、脚部C1,C2に巻回された一次コイルS1,S2及び二次コイルP1,P2とにより変圧器本体が構成され、この変圧器本体と、該変圧器本体を絶縁油とともに収容したタンクとにより単相三線式変圧器が構成されている。
【0023】
二次コイルS1及びS2の軸線方向の一端側の端面から、一連の単位コイルの両端につながる口出し線d1ないしd8が引き出されている。図6においては、各口出し線の引出部を、丸数字1ないし8で示された口出し線番号が付された黒丸で表示している。図6において、t1、to及びt2はそれぞれ変圧器の外部に導出される逆相端子部(−端子)、中性相端子部(0端子)及び正相端子部(+端子)を示している。本実施形態では、二次コイルS1及びS2のそれぞれを構成する各単位コイルが、条導体(幅広の箔状導体)を所定ターン数巻回した条巻線からなっていて、各単位コイルの両端に溶接された銅バーにより各口出し線が構成されている。
【0024】
第1のコイルS1を構成する単位コイルS11及びS12のそれぞれの一端(巻き始め側の端部)からそれぞれ1番及び2番の口出し線d1及びd2が引き出され、単位コイルS11及びS12のそれぞれの他端(巻き終わり側の端部)から3番及び4番の口出し線d3及びd4が引き出されている。また第2のコイルを構成する単位コイルS22及びS21のそれぞれの巻き終わり側の端部から5番及び6番の口出し線d5及びd6が引き出され、単位コイルS22及びS21の巻き始め側の端部からそれぞれ7番及び8番の口出し線d7及びd8が引き出されている。
【0025】
第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器2においては、図6に示すように、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部が、鉄心の脚部C1及びC2の間を2分する位置を両脚部の並設方向に対して直角な方向に延びる直線に対して対称な位置にあって、口出し線d1ないしd4の引出部及び口出し線d5ないしd8の引出部が、両脚部C1,C2の並設方向に対して直角な方向に並ぶように、各口出し線の引出位置が設定されている。
【0026】
なお口出し線の引出し方は、図6に示した例に限定されない。例えば図7に示すように、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部を結ぶ直線及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部を結ぶ直線が、鉄心の脚部C1及びC2の間を2分する位置を両脚部の並設方向に対して直角な方向に延びる直線に対して対称な位置にあって、1番ないし4番の口出し線d1ないしd4の引出部を結ぶ直線及び5番ないし8番の口出し線d5ないしd8の引出部を結ぶ直線が、ほぼハの字形に傾斜するように、各口出し線の引出位置が設定されていてもよい。
【0027】
本発明に係わるブッシングを単相三線式変圧器に適用するに当たっては、図6に示したように口出し線d1ないしd8を引き出す場合も、図7に示したように口出し線d1ないしd8を引き出す場合も、各口出し線の端末部を、ブッシングに設けられる対応する口出し線接続部に整合し得る位置に位置させることができるように、口出し線d1ないしd8を曲げ成形しておく。
【0028】
図示の単相三線式変圧器においては、図6または図7に示されているように、1番の口出し線d1の端末部及び5番の口出し線d5の端末部がそれぞれ後述するブッシングに設けられた口出し線接続部b1及びb5に接続される。口出し線接続部b1及びb5はそれぞれブッシング内に設けられた配線導体a1及びa5を通して同じくブッシング内に設けられた配線導体at1の一端に共通接続され、配線導体at1の他端がブッシングに設けられた逆相端子部(−端子)t1に接続される。
【0029】
また4番の口出し線d4の端末部及び8番の口出し線d8の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b4及びb8に接続される。これらの口出し線接続部b4及びb8はそれぞれブッシング内に設けられた配線導体a4及びa8を通して配線導体at2の一端に接続され、配線導体at2の他端がブッシングに設けられた正相端子部(+端子)t2に接続される。
【0030】
更に2番の口出し線d2の端末部、3番の口出し線d3の端末部、6番の口出し線d6の端末部及び7番の口出し線d7の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b2,b3,b6及びb7に接続される。口出し線接続部b2,b3,b6及びb7はそれぞれ、ブッシング内に設けられた配線導体a2,a3,a6及びa7を通してブッシング内の配線導体a01に接続され、配線導体a01が配線導体at0を通してブッシングに設けられた中性相端子部(0端子)toに接続される。
【0031】
上記の結線により、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2のコイルS2の外側の単位コイルS22とが並列に接続され、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とが並列に接続される。本明細書では、このような二次コイルの巻き方を並列巻きと呼ぶ。図6または図7に示された単相三線式変圧器の一次側及び二次側の構成は、図8の回路図に示した通りである。
【0032】
[第1の実施形態に係わるブッシングの構成]
図1(A)及び(B)に示されているように、第1の実施形態に係わるブッシング1は、変圧器から外部に導出されるn個(本実施形態ではn=3)の端子部t1,to及びt2と、変圧器本体の二次コイルから引き出されたm本(本実施形態ではm=8)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部b1ないしb8と、端子部t1,to及びt2と口出し線接続部b1ないしb8との間をそれぞれ接続する接続回路Aを構成する配線導体a1ないしa8,a01,at0及びat2と、これらの配線導体の全体を覆うとともに、端子部t1,to,t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部3とからなっている。
【0033】
図示の絶縁被覆部3は、絶縁樹脂により形成された樹脂モールド部からなっていて、配線導体a1ないしa8,a01,at0及びat2の全体と、端子部t1,to、t2及び口出し線接続部b1ないしb8の外部に導出される部分を除いた部分とが絶縁被覆部3内に埋設されて該絶縁被覆部に一体化されている。
【0034】
図示の絶縁被覆部3は、変圧器のタンク外に配置されるほぼ直方体状の第1の部分301と、該第1の部分の底部に突設されたほぼ直方体状の第2の部分302とを一体に有している。第2の部分302は、第1の部分301よりも小さい断面積を持つように形成されていて、第1の部分301と第2の部分302との間に段差部303が形成されている。樹脂モールド部からなる絶縁被覆部3は、絶縁被覆部3で被覆すべき部分を型内に挿入して、型内に樹脂を注型することにより製造することができる。
【0035】
端子部t1,to及びt2は、絶縁被覆部の第1の部分301の、第2の部分と反対側の端面から外部に突出した状態で設けられている。図1には、端子部t1,to及びt2を詳細に図示してないが、これらの端子部は、配電線につながる電線を接続するのに適したものであればよく、公知の構造を有するもの(例えばボルトと該ボルトに螺合されるナットとからなるもの)を用いればよい。
【0036】
口出し線接続部b1ないしb8は、第2の部分302の第1の部分と反対側の端面から外部に突出した状態で設けられている。図示の例では、口出し線接続部b1ないしb8のそれぞれが、絶縁被覆部3に一部が埋設されて固定されたネジ4と、ネジ4に螺合されたナット5とからなっている。
【0037】
本実施形態においては、変圧器本体から引き出された1番ないし8番の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部b1ないしb8に接続し得るように、口出し線接続部b1ないしb8が配列される。そのためには、ブッシング1を変圧器のタンクに取り付けた際に、口出し線接続部b1ないしb8が対応する口出し線の引出部の近傍に配置されるようにしておくのが好ましい。本実施形態では、ブッシング1を変圧器のタンクに取り付けて、絶縁被覆部3の口出し線接続部b1ないしb8が引き出された第2の部分302の先端を口出し線d1ないしd8が引き出された変圧器の二次コイルの端面の上方に位置させた際に、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8がそれぞれ1番ないし4番の口出し線の端末部及び5番ないし8番の口出し線の端末部と整合し得る位置に配置されるように、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8の位置と、口出し線d1ないしd8の端末部の位置とが設定されている。
【0038】
本実施形態では、図1(A)において、絶縁被覆部3の第2の部分302の輪郭をなす長方形の長辺に沿う方向(図1Aの左右方向)をブッシングの長手方向とし、該長方形の短辺に沿う方向(図1Aの上下方向)をブッシングの幅方向としたときに、口出し線接続部b2及びb3がブッシングの幅方向の中央部で該ブッシングの長手方向に並び、かつ口出し線接続部b1及びb4がそれぞれブッシングの幅方向の一端側及び他端側に配置されて、口出し線接続部b2,b3を間にして、ブッシング1の長手方向に対して傾斜した方向に所定の間隔を隔てて並ぶように、口出し線接続部b1ないしb4が配置されている。同様に、口出し線接続部b6及びb7がブッシングの幅方向の中央部でブッシングの長手方向に並び、かつ口出し線接続部b5及びb8が、それぞれブッシングの幅方向の一端側及び他端側に配置されて、口出し線接続部b6,b7を間にして、ブッシング1の長手方向に対して傾斜した方向に所定の間隔を隔てて並ぶように、口出し線接続部b5ないしb8が配置されている。
【0039】
本実施形態ではまた、同電位の口出線接続部b1及びb5の中心軸線が、ブッシングの長手方向と平行な一つの平面O1−O1上に配置され、同電位の口出線接続部b2,b3,b6及びb7の中心軸線が平面O1−O1と平行な平面O2−O2上に配置され、更に同電位の口出線接続部b4及びb8の中心軸線が平面O1−O1及びO2−O2と平行な平面O3−O3上に配置されるように、口出線接続部b1ないしb8の配設位置が設定されている。
【0040】
図1(B)においては、絶縁被覆部3内に埋設されている配線導体により構成される接続回路Aが破線で示されている。図示の例では、配線導体a1,a5,at1及び逆相端子部t1の中心軸線が口出し線接続部b1及びb5の中心軸線が配置された平面O1−O1と同一の平面上に配置され、配線導体a2,a3,a6,a7,a01,at0及び中性相端子部t0の中心軸線が口出し線接続部b2,b3,b6及びb7が配置された平面O2−O2と同一の平面上に配置されている。また配線導体a4,a8,at2及び正相端子部t2の中心軸線が口出し線接続部b4及びb8の中心軸線が配置された平面O3−O3と同一の平面上に配置されている。
【0041】
図示の例では、配線導体a2,a3,a6及びa7を構成する導体を横方向に延びる導体ao1に接続してこの導体ao1を配線導体at0を通して中性相端子部toに接続するようにしているが、配線導体a2,a3,a6及びa7をそれぞれ構成する導体をそのまま端子部toの所まで延ばして、これらの導体を端子部toに共通接続するようにしてもよい。
【0042】
また図示の例では、配線導体a1及び配線導体a5の口出し線接続部b1及びb5と反対側の端部を共通接続して、これらの配線導体の共通接続点を配線導体at1を通して逆相端子部t1に接続し、配線導体a4及び配線導体a8の口出し線接続部b4及びb8と反対側の端部を共通接続して、これらの配線導体の共通接続点を配線導体at2を通して正相端子部t2に接続するようにしているが、配線導体a1及びa5を逆相端子部t1の所まで伸ばして、配線導体a1及びa5を逆相端子部t1に直接接続し、配線導体a4及びa8を正相端子部t2の所まで延ばして、配線導体a4及びa8を正相端子部t2に直接接続するようにしてもよい。
【0043】
絶縁被覆部3内の配線導体は、一連の口出し線とブッシングの端子部との間を接続する所定の接続回路Aを構成するように設ければよく、絶縁被覆部内における配線導体の設け方は、図1及び図6(または図7)に示された例に限定されない。
【0044】
図示のブッシング1は、絶縁被覆部3の第2の部分301を変圧器のタンクの天井壁または側壁に設けられた取付け孔を通してタンク内に挿入した状態で配置されて、適宜の手段によりタンクに対して固定される。
【0045】
ブッシング1の取付け構造の一例を図3に示した。この例では、変圧器のタンクの側壁10の上部に設けた取付け孔11を通してブッシング1の第2の部分302をタンク内に挿入し、口出し線接続部b1ないしb8を対応する口出し線の引出部の近傍に位置させる。このときブッシング1の絶縁被覆部3の段差部303とタンクの側壁10との間にパッキン12を介在させて、ブッシング1と取付け孔11との嵌合部のシールを図る。またこの例では、絶縁被覆部3の第2の部分302の外周に設けた溝310(図1及び図2には図示せず。)内にコイルバネ13を嵌合させ、このバネ13と変圧器のタンクの側壁10との間に締め付け金具14の端部を挿入した状態で、該締め付け金具14に設けられたネジ孔に螺合させたボルト15をタンクの側壁10に対して締め付けることにより、ブッシング1をタンクの側壁部10に固定している。
【0046】
図1(A)に示したように、口出し線接続部b1ないしb8を配置すると、同電位の口出し線接続部b1及びb5の中心軸線とこれらの口出し線接続部を逆相端子部t1に接続する配線導体とを同一平面上に(平面O1−O1上に)位置させ、同電位の口出し線接続部b2,b3,b6及びb7の中心軸線とこれらの口出し線接続部を中性相端子部t0に接続する配線導体とを同一平面上に(平面O2−O2上に)位置させ、同電位の口出し線接続部b4及びb8の中心軸線とこれらの口出し線接続部を正相端子部t1に接続する配線導体とを同一平面上に(O3−O3上に)位置させることができるため、絶縁被覆部3内で電位が異なる配線導体が交差するのを防いで、口出し線接続部b1ないしb8と端子部t1,t0,t2との間をすっきりと配線することができる。また絶縁被覆部3を構成する際には、同電位の口出し線接続部と配線導体とが配置される3つの平面の間をしっかりと絶縁する配慮をしておけばよいため、絶縁被覆部3を簡単に形成することができる。
【0047】
上記のように、変圧器の二次コイルと外部に引き出される端子部との間を接続する接続回路を構成する配線導体をブッシング1内に設けておくと、変圧器の二次側から引き出されている口出し線をブッシングに接続する際に、各口出し線の端末部を、その近傍に配置されている対応する口出し線接続部に接続すればよく、各口出し線を折り曲げ成形する加工を行う必要がないため、二次口出し線とブッシングとの間を接続する工程の工数を削減することができ、製造能率を向上させることができる。
【0048】
[第2の実施形態に係わるブッシングの構成]
第2の実施形態に係わるブッシング1は、図2(A)及び(B)に示されているように、口出し線接続部b1ないしb8の配列を異ならせたものである。本実施形態においては、口出し線接続部b1ないしb4をブッシングの長手方向に対して傾斜した方向に並べ、口出し線接続部b5ないしb8を口出し線接続部b1ないしb4の並設方向と異なる方向に傾斜した方向に並べた状態で配置して、口出し線接続部b1ないしb8をV字形に配列している。口出し線接続部の配列が変更されたことに伴い、絶縁被覆部3内における配線導体の配置が変更されている。その他の点は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0049】
第2の実施形態のように口出し線接続部を配置すると、図7に示すように口出し線を引き出し、ブッシング1を変圧器タンクの上端開口部を閉じる蓋板に取り付ける場合に、各口出し線の端末部を対応する口出し線接続部の近傍に位置させることが容易になるため、各口出し線の端末部を対応する口出し線接続部の近傍に位置させるための曲げ成形を簡単にすることができる。本実施形態による場合には、絶縁被覆部3内で異なる電位の配線導体が交差することになるため、ブッシングの幅方向(図2Aの上下方向)だけでなく、長手方向(図2Aの左右方向)でも異なる電位の配線導体相互間の絶縁を確実にするための配慮が必要になる。
【0050】
[第3及び第4の実施形態のブッシングを適用する単相三線式変圧器の構成]
第1及び第2の実施形態のブッシングを適用する変圧器においては、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2の単位コイルS2の外側の単位コイルS22とを並列に接続し、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とを並列に接続しているが、第1のコイルS1の内側の単位コイルS11と第2のコイルS2の外側の単位コイルS22とを直列に接続し、第1のコイルS1の外側の単位コイルS12と第2のコイルS2の内側の単位コイルS21とを直列に接続する(直列巻きをする)単相三線式の変圧器に用いるブッシングにも適用することができる。この場合の変圧器の二次コイルの構成は図9または図10のようになり、変圧器の一次側及び二次側の回路構成は図11に示したようになる。
【0051】
この例では、口出し線d1ないしd8の端末部がそれぞれブッシングに設けられた口出し線接続部b1ないしb8に接続され、口出し線接続部b2とb5との間及び口出し線接続部b4とb7との間がそれぞれブッシング内で配線導体a25及びa47を通して接続される。また口出し線接続部b1及びb8がそれぞれブッシング内で配線導体a1及びa8の一端に接続され、配線導体a1及びa8の他端が配線導体at0を通して中性相端子部t0に接続される。更に、口出し線接続部b3及びb6がそれぞれブッシング内で配線導体a3及びa6を通して逆相端子部t1及び正相端子部t2に接続される。
【0052】
[第3の実施形態に係わるブッシングの構成]
図9または図10の巻線構造を有する単相三線式変圧器に適用する本発明の第3の実施形態のブッシング1の構成を図4(A)及び(B)に示した。図4において、図1の各部と同等の部分にはそれぞれ同一の符号を付してある。本実施形態のブッシング1は、絶縁被覆部3の横断面の縦横の寸法比を図1に示した例とは異ならせてある点、口出し線接続部b1ないしb8の配置を異ならせている点及び絶縁被覆部3内に埋設された配線導体の回路が異なっている点を除き図1に示した実施形態に係わるブッシングと同様である。
【0053】
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、同電位の口出し線接続部及び配線導体を同一平面上に位置させるように、口出し線接続部と配線導体とを設けている。図示の例では、図4(B)に示すように、同ブッシングを正面から見た場合に、口出し線接続部b1ないしb8が右から左に順に並び、かつ図4(A)に示すように、同電位の口出し線接続部の中心軸線及び同電位の口出し線接続部につながる配線導体が同一平面上に配置されるように、口出し線接続部b1ないしb8とそれぞれの口出し線接続部につながる配線導体とが設けられている。図示の例では、口出し線接続部b3及び口出し線接続部b6が、ブッシングの幅方向の一端側及び他端側にそれぞれ配置され、口出し線接続部b3とb6との間の領域に、ブッシングの長手方向に位置をずらして配置された同電位の口出し線接続部b4とb7、b1とb8、及びb2とb5が、ブッシングの幅方向に位置をずらして配置されている。
【0054】
口出し線接続部b1及びb8は、絶縁被覆3内で配線導体a1及びa8を通して配線導体at0の一端に接続され、配線導体at0の他端は中性相端子部t0に接続されている。また口出し線接続部b3及びb6がそれぞれ配線導体a3及びa6を通して逆相端子部t1及び正相端子部t2に接続され、口出し線接続部b2とb5との間及び口出し線接続部b4とb7との間がそれぞれ配線導体a25及びa47を通して接続されている。配線導体a1,a8,at0及び中性相端子部t0は、口出し線接続部b1及びb8の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置され、配線導体a3及び逆相端子部t1は口出し線接続部b3の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。また配線導体a25は、口出し線接続部b2及びb5の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置され、配線導体a47は、口出し線接続部b4及びb7の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。更に配線導体a6及び正相端子部t2は、口出し線接続部b6の中心軸線が配置された平面と同一の平面上に配置されている。
【0055】
[第4の実施形態に係わるブッシングの構成]
第4の実施形態に係わるブッシング1は、図5(A)及び(B)に示されているように構成されている。本実施形態では、口出し線接続部b1ないしb4をブッシングの長手方向に対して傾斜した方向に並べ、口出し線接続部b5ないしb8を口出し線接続部b1ないしb4の並設方向と異なる方向に傾斜した方向に並べた状態で配置して、口出し線接続部b1ないしb4及びb5ないしb8をV字形に配列している。口出し線接続部の配列が変更されたことに伴い、絶縁被覆部3内における配線導体の配置が変更されている。その他の点は、第3の実施形態と同様に構成されている。
【0056】
本発明に係わるブッシングにおいて、m個の口出し線接続部は、ブッシングをタンクに取り付けた状態で、変圧器本体から引き出された対応する口出し線を大きく曲げることなく、かつ他の口出し線と交差させることなく、ブッシングの口出し線接続部t0,t1及びt2に接続し得るように設ければよく、口出し線接続部の配列パターンは上記実施形態で示した例に限定されるものではない。
【0057】
上記の各実施形態では、単相三線式の変圧器に取り付けるブッシングを例にとったが、他の形式の変圧器に適用するブッシングにも本発明を適用することができる。変圧器本体からの口出し線の引出構造に応じて、ブッシングに設ける口出し線接続部の数及び配列を適宜に設定する。
【0058】
上記の各実施形態では、変圧器の二次コイルから引き出される口出し線に接続されるブッシングに本発明を適用したが、1次側から多くの口出し線が引き出される場合には、変圧器の一次側に接続されるブッシングにも本発明を適用することができる。
【0059】
本発明はまた、電気機器本体から多くの口出し線が引き出されてブッシングに接続される他の電気機器、例えばリアクトル等の電気機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 変圧器用ブッシング
3 絶縁被覆部
b1なしb8 口出し線接続部
t1 逆相端子部
to 中性相端子部
t2 正相端子部
a1〜a8,a25,a47,at0,at1,at2 配線導体
C1,C2 鉄心の脚部
S1 第1のコイル
S11,S12 単位コイル
S2 第2のコイル
S21,S22 単位コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体をタンク内に収容してなる電気機器の前記タンクに取り付けられて、前記電気機器本体から引き出された口出し線に接続される電気機器用ブッシングにおいて、
外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、
前記電気機器本体から引き出されたm本(mは2以上の整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、
前記配線導体全体を覆うとともに、前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部と、
を備え、
前記電気機器本体から引き出されたm本の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、前記m個の口出し線接続部が配列され、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部と前記配線導体とが前記絶縁被覆部により一体化されていること、
を特徴とする電気機器用ブッシング。
【請求項2】
同電位の口出し線接続部の中心軸線と配線導体とが同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項3】
前記絶縁被覆部は、前記配線導体全体と前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項4】
変圧器本体をタンク内に収容してなる変圧器の前記タンクに取り付けられて、前記変圧器本体のコイルから引き出された口出し線に接続される変圧器用ブッシングにおいて、
外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、
前記変圧器本体から引き出されたm本(mは整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、
前記配線導体全体を覆うとともに、前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部と、
を備え、
前記変圧器本体から引き出されたm個の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、前記m個の口出し線接続部が配列され、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部と前記配線導体とが前記絶縁被覆部により一体化されていること、
を特徴とする変圧器用ブッシング。
【請求項5】
前記変圧器本体は、2脚鉄心の第1の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第1のコイルと前記鉄心の第2の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第2のコイルとにより2次コイルが構成されていて、前記第1のコイルの内側の単位コイルと第2のコイルの外側の単位コイルとが直列または並列に接続され、前記第1のコイルの外側の単位コイルと第2のコイルの内側の単位コイルとが直列または並列に接続されている単相三線式変圧器の本体である請求項4または5に記載の変圧器用ブッシング。
【請求項6】
同電位の口出し線接続部の中心軸線及び配線導体が同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項7】
前記絶縁被覆部は、前記配線導体全体と前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることを特徴とする請求項4,5または6に記載の変圧器用ブッシング。
【請求項1】
電気機器本体をタンク内に収容してなる電気機器の前記タンクに取り付けられて、前記電気機器本体から引き出された口出し線に接続される電気機器用ブッシングにおいて、
外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、
前記電気機器本体から引き出されたm本(mは2以上の整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、
前記配線導体全体を覆うとともに、前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部と、
を備え、
前記電気機器本体から引き出されたm本の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、前記m個の口出し線接続部が配列され、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部と前記配線導体とが前記絶縁被覆部により一体化されていること、
を特徴とする電気機器用ブッシング。
【請求項2】
同電位の口出し線接続部の中心軸線と配線導体とが同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項3】
前記絶縁被覆部は、前記配線導体全体と前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項4】
変圧器本体をタンク内に収容してなる変圧器の前記タンクに取り付けられて、前記変圧器本体のコイルから引き出された口出し線に接続される変圧器用ブッシングにおいて、
外部に導出されるn個(nは2以上の整数)の端子部と、
前記変圧器本体から引き出されたm本(mは整数)の口出し線にそれぞれ1対1で対応するm個の口出し線接続部と、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部との間を接続する接続回路を構成する配線導体と、
前記配線導体全体を覆うとともに、前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分を覆うように設けられた絶縁被覆部と、
を備え、
前記変圧器本体から引き出されたm個の口出し線を互いに交差させることなく対応する口出し線接続部に接続し得るように、前記m個の口出し線接続部が配列され、
前記n個の端子部とm個の口出し線接続部と前記配線導体とが前記絶縁被覆部により一体化されていること、
を特徴とする変圧器用ブッシング。
【請求項5】
前記変圧器本体は、2脚鉄心の第1の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第1のコイルと前記鉄心の第2の脚部に重ね巻きされた2つの単位コイルからなる第2のコイルとにより2次コイルが構成されていて、前記第1のコイルの内側の単位コイルと第2のコイルの外側の単位コイルとが直列または並列に接続され、前記第1のコイルの外側の単位コイルと第2のコイルの内側の単位コイルとが直列または並列に接続されている単相三線式変圧器の本体である請求項4または5に記載の変圧器用ブッシング。
【請求項6】
同電位の口出し線接続部の中心軸線及び配線導体が同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の電気機器用ブッシング。
【請求項7】
前記絶縁被覆部は、前記配線導体全体と前記n個の端子部及びm個の口出し線接続部の外部に導出される部分を除いた部分とを覆うように設けられた樹脂モールド部からなっていることを特徴とする請求項4,5または6に記載の変圧器用ブッシング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−228247(P2011−228247A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193500(P2010−193500)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
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