説明

電気機械装置の特性測定装置及び測定方法

【課題】電気機械装置のトルクやその他の特性を簡便に測定する。
【解決手段】電動モーターの特性測定装置であって、予め特性が既知である負荷モーターと、前記負荷モーターと被測定モーターのローターとを接続するカップリングと、前記被測定モーターに負荷トルクを与えるために、前記負荷モーターの動作を制御する負荷モーター制御部と、前記負荷モーターの回転数と、前記負荷モーターに流れる電流とから、前記負荷モーターが前記被測定モーターに与える負荷トルクを算出する負荷トルク算出部と、前記負荷トルクが前記負荷モーターに与えられたときの前記被測定モーターの電流と回転数とを測定する測定部と、前記負荷トルクと被測定モーターの電流と回転数とを用いて前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を取得する特性取得部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械装置の特性を測定する装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定装置内のねじれ部材のねじれを用いて回転体のトルクを測定する装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ねじれ部材のねじれ特性の動作領域が狭いため、トルクの大きさに応じて、複数のねじれ部材を使い分ける、または、複数の測定装置を使う必要があった。かかる場合において測定領域の一部が重なる場合、その重なる領域において、それぞれの測定結果が一致しない場合もあった。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、電気機械装置のトルクやその他の特性を簡便に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
モーター特性が既知である負荷モーターを用いて被測定モーターの特性を測定する測定方法であって、(a)前記被測定モーターを無負荷状態で回転させて、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、(b)前記負荷モーターを前記回転数で回転させるための順方向電流を算出する工程と、(c)前記負荷モーターと前記被測定モーターとを連結し、前記負荷モーターに対して前記順方向電流以下の電流を印加することにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、(d)前記工程(a)及び前記工程(c)の測定結果を用いて、前記被測定モーターに掛かる負荷トルクを算出し、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する工程と、を備える測定方法。
この適用例によれば、負荷モーターを被測定モーターの負荷として機能させることができ、その負荷の大きさを負荷モーターの回転数、電流により容易に算出することができるので、被測定モーターの特性を容易に取得することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載の測定方法において、さらに、(e)前記負荷モーターに対して外部より電流を印加せずに誘導電流を発生させることにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程、を備え、前記工程(d)において、前記工程(e)の測定結果も用いて、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する、測定方法。
この適用例によれば、被測定モーターに対し、より大きな負荷を与えることが出来る。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の測定方法において、さらに、(f)前記負荷モーターに対して前記被測定モーターと逆方向に回転させるようとするトルクを生じさせる逆駆動電流を印加することにより、前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷トルクの発生装置として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程、を備え、前記工程(d)において、前記工程(f)の測定結果も用いて、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する、測定方法。
この適用例によれば、被測定モーターに対し、さらに大きな負荷を与えることが出来る。
【0010】
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれか一つの適用例に記載の測定方法において、前記無負荷モーターはコアレスモーターである、測定方法。
この適用例によれば、負荷モーターがコアレスモーターで、鉄損が発生しにくいので、被測定モーターに与える負荷において、負荷モーターの鉄損失を考慮する必要がない。
【0011】
[適用例5]
適用例1から適用例4のいずれか一つの適用例に記載の測定方法において、前記負荷モーターは、ブラシレスコアレスモーターである、測定方法。
この適用例によれば、ブラシ損失の経年変化による影響を抑制できる。
【0012】
[適用例6]
電動モーターの特性測定装置であって、モーター特性が既知である負荷モーターと、前記負荷モーターと被測定モーターのローターとを接続するカップリングと、前記被測定モーターに負荷トルクを与えるために、前記負荷モーターの動作を制御する負荷モーター制御部と、前記負荷モーターの回転数と、前記負荷モーターに流れる電流とから、前記負荷モーターが前記被測定モーターに与える負荷トルクを算出する負荷トルク算出部と、前記負荷トルクが前記負荷モーターに与えられたときの前記被測定モーターの電流と回転数とを測定する測定部と、前記負荷トルクと前記被測定モーターの電流と回転数とを用いて前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を取得する特性取得部と、を備え、(a)前記被測定モーターを無負荷状態で回転させて、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、(b)前記負荷モーターを前記回転数で回転させるための順方向電流を算出する工程と、(c)前記負荷モーターと前記被測定モーターとを連結し、前記負荷モーターに対して前記順方向電流以下の電流を印加することにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、(d)前記工程(a)及び前記工程(c)の測定結果を用いて、前記被測定モーターに掛かる負荷トルクを算出し、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する工程と、を実行する特性測定装置。
この適用例によれば、被測定モーターに直結した負荷モーターにより、被測定モーターに掛かる負荷トルクを設定するので、被測定モーターのトルク−電流特性、トルク−回転数特性を容易に測定することができる。
【0013】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電動モーターの特性測定方法の他、電動モーターの特性測定装置等様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電動モーターの特性測定システムの構成を示す説明図である。
【図2】本実施例のフローチャートを示す説明図である。
【図3】負荷モーターの特性を示す説明図である。
【図4】負荷モーターの無負荷状態における回転数と電流の関係を示す説明図である。
【図5】被測定モーターを負荷モーターと分離した状態で、無負荷回転数で回転させたときの特性を示す説明図である。
【図6】負荷モーターと被測定モーターとを直結して、両モーターを被測定モーターの無負荷回転数で回転させたときの各モーターの特性を示す説明図である。
【図7】負荷モーターに流す相殺電流をステップS220の相殺電流よりも下げたときの各モーターの特性を示す説明図である。
【図8】負荷モーターに回生電流または逆駆動電流を流したときの各モーターの特性を示す説明図である。
【図9】負荷モーターに流す電流をステップS220の相殺電流よりも下げたときの負荷モーターのトルク−電流特性を示す説明図である。
【図10】図9の領域Aにおける電流制御を示す説明図である。
【図11】図9の領域Bにおける電流制御を示す説明図である。
【図12】図9の領域Cにおける電流制御を示す説明図である。
【図13】負荷モーターの電流制御の等価回路を示す説明図である。
【図14】被測定モーターに与える負荷の例を示す説明図である。
【図15】既存のトルク測定装置を用いて測定した被測定モーターのトルク−電流特性を示す説明図である。
【図16】同じ被測定モーターを本実施例の方法で測定したときのトルク−電流特性を示す説明図である。
【図17】被測定モーターの各種特性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、電動モーターの特性測定システムの構成を示す説明図である。電動モーターの特性測定システム1000は、被測定モーター部1100と負荷モーター部1200と、計測用コンピュータ(計測PC)1300と、を備える。被測定モーター部1100は、被測定モーター10と、エンコーダー40と、被測定モーターPWM制御・駆動部100と、PWM比・極性指令部110と、被測定モーター用電源120と、電圧計130と、電流計140と、を備える。負荷モーター部1200は、負荷モーター20と、エンコーダー50と、負荷モーターPWM制御・駆動部200と、定電流制御部210と、電源部220と、を備える。エンコーダー40と、エンコーダー50には、回転数計測部230が接続されている。被測定モーター10と、負荷モーター20とは、必要に応じてカップリング30により接続される。
【0016】
計測用コンピュータ1300は、被測定モーターPWM制御・駆動部100と、PWM比・極性指令部110と、被測定モーター用電源120と、電圧計130と、電流計140と、負荷モーターPWM制御・駆動部200と、定電流制御部210と、電源部220と、回転数計測部230と、に接続されており、測定において、被測定モーター10と、負荷モーター20との動作を制御すると共に、被測定モーター10と、負荷モーター20とから、電圧、電流、回転数のデータを取得する。
【0017】
被測定モーター10は、測定対象のモーターである。計測用コンピュータ1300は、PWM比・極性指令部110に対して被測定モーター10の動作を指示する。また、計測用コンピュータ1300は、後述するように、被測定モーター10や負荷モーター20の回転数から負荷モーター20に供給し、あるいは回生する電流量を算出し、さらにその電流量から被測定モーター10に掛かる負荷トルクを算出する演算を実行する。PWM比・極性指令部110は、被測定モーターPWM制御・駆動部100に対して被測定モーター10を駆動させる。被測定モーター用電源120は、被測定モーター10の電源として機能する。電圧計130は、被測定モーター10に印加される電圧を測定し、電流計140は、被測定モーター10に流れる電流を測定する。エンコーダー40は、被測定モーター10の回転数を計測するために用いられる。なお、エンコーダー40の代わりに回転数計を用いてもよく、また、被測定モーター10が、電気角制御に用いるための位置センサーを有している場合には、この位置センサーを用いて被測定モーター10の回転数を計測しても良い。
【0018】
負荷モーター20は、被測定モーター10に負荷トルクを与える。負荷モーターPWM制御・駆動部200は、負荷モーター20を駆動し、あるいは、回生により制動させる。定電流制御部210は、負荷モーター20に所定の定電流を供給制御または受給制御する。なお、この定電流の値は、被測定モーター10に対して与える負荷に応じて定まる。電源部220は、負荷モーター20に与える電流の電流源として機能する。
【0019】
なお、負荷モーター20としては、鉄損失が極小のコアレスDCモーターを用いることが好ましい。また、制御性の容易なブラシ付コアレスDCモーターでも好ましく、本願の説明はこのブラシ付コアレスモーターをコアレスDCモーターとして説明する。ただし、負荷モーター20としては、被測定モーター10に与える負荷トルクを算出できれば、ブラシレスコアレスDCモーターの方がブラシ損失の経時変化を考慮することなく適している。
【0020】
図2は、本実施例のフローチャートを示す説明図である。本実施例では、負荷モーター20の特性は既知である。フローチャートを説明する前に、負荷モーター20の特性について説明する。
【0021】
図3は、負荷モーターの特性を示す説明図である。図3では、負荷モーター20のトルク−回転数特性(T−N特性)と、トルク−電流特性(T−I特性)とを示している。負荷トルクTLがゼロ、すなわち、負荷モーター20に何も接続せずに負荷モーターを回転させたときの回転数を無負荷回転数NLnlと呼び、そのときの電流を無負荷電流ILnlと呼ぶ。また、負荷トルクTLを大きくし、負荷モーター20の回転数がゼロになったときの負荷トルクを始動トルクと呼ぶ。始動トルクは最も大きなトルクであるので、最大トルクTLmaxとも呼ぶ。また、始動トルクにおける電流を始動電流と呼ぶ。始動電流は、最も大きな電流であるので、最大電流ILmaxとも呼ぶ。
【0022】
負荷トルクTLがゼロよりも小さい領域は、負荷モーター20単独では動作できない領域である。ここで、トルク−電流特性を示す線(トルク−電流特性線)を低トルク側(低電流側)に延長する。本実施例では、電流をゼロとしたときの負荷トルクを無負荷損トルクTLLと呼ぶ。この無負荷損トルクTLLは、負荷モーターの機械損失と鉄損失の和に起因する。この負荷モーター20をブラシレス、コアレスにすることで、機械損失と鉄損失の和を小さくし、極限に小さい無負荷損トルクTLLを有する損失特性とすることも出来る。
【0023】
なお、無負荷損トルクTLLの大きさは、下記に示す式(1)を用いて算出することが出来る。ここで、係数KLtはトルク定数である。
【数1】

【0024】
図4は、負荷モーターの無負荷状態における回転数と電流の関係を示す説明図である。負荷モーター20では、無負荷における回転数NLnlが決まれば、その回転数NLnlで負荷モーター20を回転させるために必要な電流ILnlが決まる。すなわち、
【数2】

の関係がある。
ここでKLI(X)は、以下の近似式(3)で示すことができる。
【数3】

なお近似式として、本実施例では2次の近似式を用いたが、3次以上の高次の近似式を用いてもよい。無負荷状態における回転数NLnlと電流ILnlとの間には、上記の関係があることから、負荷モーター20に対し、無負荷状態で電流ILnlと同じ量の電流を流すことにより、負荷モーター20を無負荷回転数NLnlと同じ回転数で回転させることが出来る。
【0025】
図2のステップS200では、被測定モーター10を無負荷状態で駆動させ、被測定モーター10の回転数(無負荷回転数NMnl)と電流(無負荷電流IMnl)とを測定する。ステップS210では、図4あるいは、式(2)を用いて、ステップS200で測定した被測定モーター10の無負荷回転数NMnlと同じ回転数で無負荷状態の負荷モーター20を回転させるために必要な電流を算出する。本実施例では、この電流を「相殺電流」と呼ぶ。すなわち、相殺電流を順方向に流すことにより負荷モーター20を駆動し、その駆動力を用いて負荷モーター20が有する機械損失を相殺することができる。ここで、順方向とは、負荷モーター20に対し、被測定モーター10と同方向に回転させようとする力を与えるときの電流の向きである。
【0026】
ステップS220では、被測定モーター10と負荷モーター20とを接続する。そして、被測定モーター10をステップS200と同じ駆動電圧、駆動電流で回転させ、負荷モーター20に対しステップS210で算出した相殺電流を順方向に供給し、負荷モーター20を駆動する。上述したように、負荷モーター20は、被測定モーター10の無負荷回転数NLnlと同じ回転数で回転する。この場合、被測定モーター10は、負荷モーター20から負荷を受けない。
【0027】
次に、ステップS230では、負荷モーター20の順方向の相殺電流を少なくしていき、このときの被測定モーター10の回転数と電流を測定する。このとき、相殺電流を少なくしていくと、負荷モーター20は、負荷モーター20自身の機械損失を相殺していた駆動力が少なくなる。その結果、(機械損失−駆動力)に相当する負荷トルクが、被測定モーター10に掛かる。このときの被測定モーターが受ける負荷トルクの大きさは、負荷モーター20の相殺電流の大きさ、回転数(測定された被測定モーター10の回転数と同じ回転数)及び負荷モーター20の既知のモーター特性(図3、図4)により容易に算出することができる。具体的な算出方法については後述する。
【0028】
ステップS240では、さらに、負荷モーター20の機械損失を相殺するために供給している相殺電流の量を減らし、負荷モーター20に流す相殺電流の量をゼロ(コイル開放状態)として負荷モーター20の機械損失のみを掛けた状態にする。すなわち、相殺電流がゼロのため、ステップS230の駆動力がゼロとなる。このときの被測定モーターが受ける負荷トルクの大きさは、負荷モーター20の回転数(測定された被測定モーター10の回転数と同じ回転数)及び負荷モーター20の既知のモーター特性(図3、図4)により容易に算出することができる。具体的な算出方法については後述する。
【0029】
ステップS250では、更に負荷モーター20からの回生電力を用いて回生電流を定電流制御部210により流し、回生電流が最大となる状態(コイル短絡状態)まで変化させ、制動を掛けることにより、さらに大きな負荷トルクを被測定モーター10に掛けることができる。このときの回生電流の向きは、上述した相殺電流の向きとは反対であり、逆方向である。この制動を掛けた状態で、被測定モーター10の回転数と電流を測定する。このとき、被測定モーター10は、(負荷モーター20の機械損失+回生による制動力)に相当する負荷トルクを受ける。ここで、負荷モーター20の機械損失は、上記と同様に、負荷モーター20の回転数に依存し、回生による制動力は、回生電流の大きさに依存する。すなわち、被測定モーターに掛かる負荷トルクの大きさは、負荷モーター20の回生電流の大きさ、回転数(測定された被測定モーター10の回転数と同じ回転数)及び負荷モーター20の既知のモーター特性(図3、図4)により容易に算出することができる。具体的な算出方法については後述する。なお、回生電流は、消費されるか、あるいは、二次電池(図示せず)に回収される。また、回生電流がゼロのときは、回生による制動力がゼロとなるため、被測定モーター10が受ける負荷トルクは、上述したステップS240における負荷トルクと同じである。
【0030】
次いで、ステップS260では、負荷モーター20に相殺電流の向きと逆向きの電流(逆駆動電流)を流すことにより、さらに大きな負荷トルクを被測定モーター10に掛ける。この負荷トルクを掛けた状態で、被測定モーター10の回転数と電流を測定する。このときの被測定モーター10は、(負荷モーター20の機械損失+負荷モーター20の逆駆動力)に相当する負荷トルクを受ける。ここで、負荷モーター20の機械損失は、上記と同様に、負荷モーター20の回転数に依存し、負荷モーターの逆駆動力は、逆駆動電流の大きさに依存する。すなわち、被測定モーターに掛かる負荷の大きさは、負荷モーター20の逆駆動電流の大きさ、回転数(測定された被測定モーター10の回転数と同じ回転数)及び負荷モーター20の既知のモーター特性(図3、図4)により容易に算出することができる。具体的な算出方法については後述する。そして、被測定モーター10は、被測定モーター10の始動トルクと同じ大きさの負荷トルクを被測定モーター10の回転方向と逆向きに受けたとき、回転数がゼロとなり回転を停止する。
【0031】
ステップS270では、ステップS200からステップS260で測定した被測定モーター10の回転数と電流及び被測定モーター10が負荷モーター20から受ける負荷トルクを用いて、被測定モーター10のトルク−回転数特性、トルク−電流特性を算出する。ここで、ステップS200からステップS260の測定結果のうち、少なくとも一部を用いて被測定モーター10のトルク−回転数特性、トルク−電流特性を算出してもよい。一般に、コアレスDCモーターでは、トルク−回転数特性、トルク−電流特性は直線になるので、内挿、外挿が可能である。
【0032】
図5は、被測定モーター10を負荷モーター20と分離した状態で、無負荷回転数で回転させたときの特性を示す説明図である。図5は、図2のステップS200の状態を示す。この状態で判るのは、被測定モーター10の無負荷状態における無負荷回転数NMnlと、無負荷電流IMnlである。なお、被測定モーター10の無負荷回転数NMnlは、負荷モーター20とは直結されていないため、被測定モーター10の無負荷特性となる。破線で示した被測定モーター10のT−N特性、T−I特性は、この状態では不明である。しかし、後述するように、以後の測定により負荷モーター20から被測定モーター10に負荷トルクTMを掛け、そのときの回転数及び電流を測定することにより、被測定モーター10のT−N特性、T−I特性を求めることが可能である。ここで、被測定モーター20の回転数と電流は、それぞれ回転数計測部230と電流計140(図1)により直接測定される。また、負荷トルクTMの大きさは、負荷モーター20の回転数及び負荷モーター20の電流(相殺電流、回生電流、逆駆動電流)を用いて算出することができる。
【0033】
次に、負荷モーター20を被測定モーター10の無負荷回転数NMnlで回転させるために必要な電流(相殺電流)を算出する。すなわち、図2のステップS210の工程を実行する。具体的には、計測用コンピュータ1300は、回転数計測部230から被測定モーター10の無負荷回転数NMnlを取得すると、図4または式(3)を用いて、負荷モーター20を被測定モーター10の無負荷回転数NMnlと同じ回転数で回転させるために必要な電流ILnl(相殺電流)を算出する。
【0034】
図6は、負荷モーター20と被測定モーター10とを直結して、両モーターを被測定モーター10の無負荷回転数で回転させたときの各モーターの特性を示す説明図である。すなわち、図6は、図2のステップS220の状態を示す。この状態では、定電流制御部210(図1)は負荷モーター20に対し、順方向の電流ILnl(相殺電流)を供給しており、負荷モーター20は、回転数NLnlで回転する。ここで負荷モーター20の回転数NLnlは、被測定モーター10の無負荷回転数NMnlと同じ回転数である。ここで、被測定モーター10と負荷モーター20とは、同じ回転数で回転するため、被測定モーター10は、負荷モーター20から負荷を受けず、負荷モーター20は、被測定モーター10から負荷を受けない。このときの動作点は、被測定モーター10については、負荷トルクTMがゼロ、回転数がNMnl、電流がIMnlである。また、負荷モーター20については、負荷トルクTLがゼロ、回転数がNLnl、電流がILnlである。
【0035】
図7は、負荷モーター20に流す相殺電流をステップS220の相殺電流ILnlよりも下げたときの各モーターの特性を示す説明図である。すなわち、図6は、図2のステップS230からステップS240までの状態を示す。負荷モーター20に流す相殺電流をステップS220の相殺電流ILnlよりも下げると、下げた分、負荷モーターの機械損失を相殺する駆動力が失われるため、負荷モーター20は、被測定モーター10に対して負荷として機能する。その結果、被測定モーター10の回転数は下がる。例えば、負荷モーター20に流す相殺電流をゼロとすると(図2のステップS240)、被測定モーターに掛かる負荷トルクは、TLLとなる。このときの被測定モーター10の回転数NM0と、電流IM0が測定される。なお、負荷トルクTLLは、負荷モーター20の回転数に依存する。また、負荷モーター20は、被測定モーター10と直結されているため、負荷モーター20の回転数NL0は、被測定モーター10の回転数NM0と同じ値である。したがって、負荷トルクTLLは、下記の式(4)により算出される。
【数4】

【0036】
図8は、負荷モーター20に回生電流または逆駆動電流を流したときの各モーターの特性を示す説明図である。図8は、図2のステップS240からステップS260までの状態を示す。負荷モーター20に流す回生電流、逆駆動電流の向きは、相殺電流の向きと反対である。ここでは、回生電流、逆駆動電流を合わせて「逆方向電流」と呼ぶ。負荷モーター20に逆方向電流IL1が流れ(回生電流)あるいは逆方向電流IL1を流す(逆駆動電流)と、負荷モーター20は、被測定モーター10と反対方向に回ろうとする駆動力を発揮するため、被測定モーター10に対しより大きな負荷トルクを与えることができる。このときの被測定モーター10の回転数NM1と電流IM1が測定される。なお、負荷モーター20は、被測定モーター10と直結されているため、負荷モーター20の回転数NL1は、被測定モーター10の回転数NM1と同じ値である。
【0037】
図9は、負荷モーターに流す電流をステップS220の相殺電流よりも下げたときの負荷モーターのトルク−電流特性を示す説明図である。ここで、グラフは、負荷モーター20に与える電流により、3つの領域に分けることが出来る。領域Aは、図2のステップS230からステップS240までの状態に対応し、負荷モーター20に対して、ゼロから図2のステップS220の相殺電流ILnlまでの間の相殺電流IL2を加える領域である。なお、加える相殺電流IL2の向きは、負荷モーター20を被測定モーター10と同じ方向に回転させようとする力を発揮させる方向である。
【0038】
領域Bは、図2のステップS240からステップS250に対応し、外部から負荷モーター20に加える電流をゼロとし、負荷モーター20の電磁コイルに回生電流IL3を流し、負荷モーター20に対し、被測定モーター10に対する電気的制動を掛けさせる領域である。なお、後述するように、領域Bでは、制動の大きさは、この回生電流IL3の大きさに依存する。なお、領域Aと領域Bの境界が、図2のステップS240に対応する。
【0039】
領域Cは、図2のステップS260に対応し、負荷モーター20に対し、被測定モーター10と反対の方向に回転させようとする力を発揮させる方向の逆駆動電流IL4を流す領域である。ここで、逆駆動電流IL4の向きは、相殺電流IL2の向きと反対である。なお、領域Cにおいて、逆駆動電流IL4は、負荷モーター20の回転による起電力に基づく回生電流IL3に起因する部分を含む。この回生電流IL3は、負荷モーター20の回転数が少なくなるにつれて、少なくなる。そして、被測定モーター10及び負荷モーター20が停止するとき、回生電流IL3はゼロとなる。なお、回生電流IL3と、逆駆動電流IL4は、いずれも逆方向であるため、図8では、両者をまとめて電流IL1と表現している。
【0040】
図10は、図9の領域Aにおける電流制御を示す説明図である。負荷モーターPWM制御・駆動部200は、スイッチングトランジスタTr1〜Tr4を有するH型ブリッジ回路を有している。ここでは、スイッチングトランジスタTr1とスイッチングトランジスタTr4とをオン状態とし、スイッチングトランジスタTr2とスイッチングトランジスタTr3とをオフ状態とする。そして、負荷モーター20に対して、相殺電流ILnlよりも小さい相殺電流IL2を加える。このときの被測定モーター10と負荷モーターの回転数をNL2とする。負荷モーター20を無負荷状態で、回転数NL2で回転させるときに必要な電流ILnl2は、式(2)より、
【数5】

となる。したがって、このときの無負荷損トルクTLnは、式(1)より、
【数6】

となる。この無負荷損トルクTLnのうち(KLt×IL2)については、負荷モーター20が、電流IL2により発生させる駆動力で相殺するので、その差分、(TLn−KLt×IL2)が、被測定モーター10が、負荷モーター20から受ける負荷トルクTMとなる(式(7))。
【数7】

なお、上記演算は、上述したように、計測用コンピュータ1300(図1)により実行される。
【0041】
図11は、図9の領域Bにおける電流制御を示す説明図である。領域Bでは、上述のように、負荷モーター20に対して、回生電流IL3を流して、被測定モーター10に対する電気的制動を掛けさせる。このとき負荷モーターPWM制御・駆動部200のH型ブリッジ回路は、スイッチングトランジスタTr1とスイッチングトランジスタTr4とをオフ状態とし、スイッチングトランジスタTr2とスイッチングトランジスタTr3とをオン状態とする。この制動の大きさは、負荷モーター20の電磁コイルLを流れる回生電流IL3の大きさに依存する。そして、機械損失と、この制動による負荷トルクとの和が、被測定モーター10に対する負荷トルクとなる。
【0042】
領域Bにおける被測定モーター10と負荷モーターの回転数をNL3とする。負荷モーター20を無負荷状態で、回転数NL3で回転させるときに必要な電流ILnl3は、式(2)より、
【数8】

となる。したがって、このときの無負荷損トルクTLnは、式(1)より、
【数9】

となる。この無負荷損トルクTLnは、負荷モーター20の機械損失に基づく負荷トルクである。さらに、被測定モーター10には、機械損失に基づく負荷トルクに加えて、制動による負荷トルクが加わる。制動による負荷トルクTL3は、式(1)より、
【数10】

となる。したがって、負荷モーター20から受ける負荷トルクTMは、
【数11】

となる。
【0043】
図12は、図9の領域Cにおける電流制御を示す説明図である。領域Cでは、上述のように、負荷モーター20に対して、逆駆動電流IL4を流して、被測定モーター10に対する大きな負荷を掛けさせる。このときの負荷モーターPWM制御・駆動部200のH型ブリッジ回路は、領域Bと同様に、スイッチングトランジスタTr1とスイッチングトランジスタTr4とをオフ状態とし、スイッチングトランジスタTr2とスイッチングトランジスタTr3とをオン状態とする。
【0044】
領域Cにおける負荷モーターの回転数をNL4とする。負荷モーター20を無負荷状態で、回転数NL4で回転させるときに必要な電流ILnl4は、式(2)より、
【数12】

となる。したがって、このときの無負荷損トルクTLnは、式(1)より、
【数13】

となる。この無負荷損トルクTLnは、負荷モーター20の機械損失に基づく負荷トルクである。
【0045】
次に、被測定モーター10に対して逆方向に回転しようとする負荷モーター20の負荷トルクを算出する。この逆方向に回転しようとする負荷トルクTL4は、式(1)より、
【数14】

となる。したがって、負荷モーター20から受ける負荷トルクTMは、
【数15】

となる。
【0046】
図13は、負荷モーターの電流制御の等価回路を示す説明図である。この等価回路は、電源ELと、スイッチングトランジスタTr1〜Tr4と、電磁コイルLと、抵抗Rと、定電流制御回路ILと、を備えている。領域Aでは、スイッチングトランジスタTr1とTr4がオンとなり、スイッチングトランジスタTr2とTr3がオフとなる。電源ELから定電流制御回路ILで設定された駆動電流(相殺電流)が電磁コイルLに対して順方向に供給され、負荷モーター20の機械損と鉄損を相殺させる制御を行う。
【0047】
領域Bでは、領域と反対にスイッチングトランジスタTr1とTr4がオフとなり、スイッチングトランジスタTr2とTr3がオンとなる。ここで、電源ELは供給する電圧を0Vとする。この場合、電磁コイルLから発生する逆起電力による電流(誘導電流、回生電流)が逆方向に流れる。この逆方向の電流を定電流制御回路IILで設定された大きさに制限し、負荷モーター20を制動する。
【0048】
領域Cでは、領域Bと同様の状態にスイッチングTr1〜Tr4のオンオフを設定し、定電流制御回路ILに設定された電流の大きさに対し、電磁コイルLから発生する逆起電力による電流(誘導電流)が不足した場合、電源ELの電圧設定を上昇させることにより逆駆動電流を供給する。尚、領域Cのように電源ELに電圧を設定(≠0)した状態で、領域Bを行っても回転している負荷モーター20の電磁コイルLから発生する逆起電力による電流(誘導電流)は、電源ELからの電流を抑制し流させない、結果的に領域Bのように電源ELが0Vと同等状態となり、領域Cの設定条件は領域Bを包含した設定領域として用いることができる。そのため、領域Bから領域Cへの電源ELの設定電圧の切り替える境を構築する必要は無くなる。
【0049】
図14は、被測定モーターに与える負荷トルクの例を示す説明図である。図14(A)に示す例では、階段状に負荷トルクを与えている。図14(B)に示す例では、直線的に負荷トルクを増大させている。図14(C)に示す例では、直線的に負荷トルクを増大させた後、直線的に負荷トルクを減少させている。図14(D)に示す例では、パルス状に負荷トルクを与えている。
【0050】
図15は、既存のトルク測定装置を用いて測定した被測定モーターのトルク−電流特性を示す説明図である。高トルク用として株式会社小野測器製のMT−C6414Aを用い、低トルク用としてMT−C4231を用いた。2つの測定器のトルクの測定範囲は、一部が重複している。被測定モーター10の2つのトルク−電流直線は、傾きや重複範囲において、ずれている。
【0051】
図16は、同じ被測定モーターを本実施例の方法で測定したときのトルク−電流特性を示す説明図である。被測定モーター10に与える負荷トルクの値は、負荷モーター20に与える電流または、負荷モーター20で消費させる電流に基づいて、上述した演算式で算出している。各負荷トルクにおいて、電流計140(図1)により、電流を測定し、負荷トルクに対して、電流IMの値をプロットした。トルク−電流直線の傾きは、低負荷トルクから高負荷トルクまでほぼ同じである。また、1つの測定器で測定しているので、2つの測定器で測定したときに見られた、測定領域の重複領域におけるズレは見られない。このように、1つの測定器で広範囲の負荷トルク測定を一回で測定できることは、被測定モーター10への始動トルクである高トルク時の発熱に対する測定時間を短期間で測定ができることに繋がり、測定中での発熱での影響を最小限として測定出来ることは、従来では測定出来なかった領域を測定できる大きな意味がある。
【0052】
図17は、被測定モーターの各種特性を示す説明図である。トルク−電流特性は、各負荷トルクTMに対して、電流IMをプロットすることにより得ることが出来る。トルク−回転数特性は、各負荷トルクTMに対して、被測定モーター10の回転数NMを、回転数計測部230(図1)を用いて計測する。なお、被測定モーター10と負荷モーター20の回転数は同じである。また、被測定モーター10への印加電圧EMを、電圧計130(図1)を用いて計測する。被測定モーター10の入力PMは、
【数16】

で、算出することができる。被測定モーター10の出力PLは、
【数17】

で、算出することができる。効率ηは
【数18】

で示すことができる。
【0053】
以上、本実施例によれば、負荷モーター20を用いて低負荷トルクから高負荷トルクまで1つの測定装置で簡便にトルクを測定し、被測定モーターの特性を簡便に取得することが出来る。また、複数の測定装置を用いた場合、測定領域が重複すると、重複した領域で2つの測定装置の測定結果が一致しない場合もあるが、本実施例では、測定装置が1つであるので、測定結果の不一致は、起こり得ない。
【0054】
本実施例によれば、負荷モーター20の回転数と電流とから、被測定モーター10に与えるトルクを算出しているが、予め、負荷モーター20の回転数と電流とから、被測定モーター10に与える負荷トルクの関係を算出しておき、被測定モーター10に与える負荷トルクから、負荷モーター20の電流を算出し、当該電流を負荷モーター20に流してもよい。
【0055】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
10…被測定モーター
20…負荷モーター
30…カップリング
40…エンコーダー
50…エンコーダー
100…被測定モーターPWM制御・駆動部
110…極性指令部
120…被測定モーター用電源
130…電圧計
140…電流計
200…負荷モーターPWM制御・駆動部
210…定電流制御部
220…電源部
230…回転数計測部
1000…特性測定システム
1100…被測定モーター部
1200…負荷モーター部
1300…計測用コンピュータ(計測PC)
EL…電源
EM…印加電圧
IL…定電流制御回路
ILnl…無負荷電流
ILmax…最大電流
IMnl…無負荷電流
ILn2…電流
IL2…電流
IL3…誘導電流
IL4…電流
ILnl2…無負荷電流
ILnl3…無負荷電流
ILnl4…無負荷電流
IM…電流
Klt…係数
L…電磁コイル
NL0…回転数
NM0…回転数
NM1…回転数
NL1…回転数
NL2…回転数
NL3…回転数
NL4…回転数
NLnl…無負荷回転数
NMnl…無負荷回転数
NM…回転数
PL…出力
PM…入力
R…抵抗
R2…可変抵抗
SW1…スイッチ
TL…負荷トルク
TM…負荷トルク
TL3…負荷
TL4…負荷トルク
TLmax…最大トルク
TLn…無負荷損トルク
TLL…無負荷損トルク
Tr1…スイッチングトランジスタ
Tr2…スイッチングトランジスタ
Tr3…スイッチングトランジスタ
Tr4…スイッチングトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター特性が既知である負荷モーターを用いて被測定モーターの特性を測定する測定方法であって、
(a)前記被測定モーターを無負荷状態で回転させて、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、
(b)前記負荷モーターを前記回転数で回転させるための順方向電流を算出する工程と、
(c)前記負荷モーターと前記被測定モーターとを連結し、前記負荷モーターに対して前記順方向電流以下の電流を印加することにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、
(d)前記工程(a)及び前記工程(c)の測定結果を用いて、前記被測定モーターに掛かる負荷トルクを算出し、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する工程と、
を備える、測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定方法において、さらに、
(e)前記負荷モーターに対して外部より電流を印加せずに誘導電流を発生させることにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程、
を備え、
前記工程(d)において、前記工程(e)の測定結果も用いて、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する、測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定方法において、さらに
(f)前記負荷モーターに対して前記被測定モーターと逆方向に回転させるようとするトルクを生じさせる逆駆動電流を印加することにより、前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷トルクの発生装置として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程、
を備え、
前記工程(d)において、前記工程(f)の測定結果も用いて、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する、測定方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定方法において、
前記無負荷モーターはコアレスモーターである、測定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測定方法において、
前記負荷モーターは、ブラシレスコアレスモーターである、測定方法。
【請求項6】
電動モーターの特性測定装置であって、
モーター特性が既知である負荷モーターと、
前記負荷モーターと被測定モーターのローターとを接続するカップリングと、
前記被測定モーターに負荷トルクを与えるために、前記負荷モーターの動作を制御する負荷モーター制御部と、
前記負荷モーターの回転数と、前記負荷モーターに流れる電流とから、前記負荷モーターが前記被測定モーターに与える負荷トルクを算出する負荷トルク算出部と、
前記負荷トルクが前記負荷モーターに与えられたときの前記被測定モーターの電流と回転数とを測定する測定部と、
前記負荷トルクと前記被測定モーターの電流と回転数とを用いて前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を取得する特性取得部と、
を備え、
(a)前記被測定モーターを無負荷状態で回転させて、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、
(b)前記負荷モーターを前記回転数で回転させるための順方向電流を算出する工程と、
(c)前記負荷モーターと前記被測定モーターとを連結し、前記負荷モーターに対して前記順方向電流以下の電流を印加することにより前記負荷モーターを前記被測定モーターに対する負荷として機能させた状態で、前記被測定モーターの回転数と電流とを測定する工程と、
(d)前記工程(a)及び前記工程(c)の測定結果を用いて、前記被測定モーターに掛かる負荷トルクを算出し、前記被測定モーターのトルク−回転数特性と、トルク−電流特性と、を算出する工程と、
を実行する特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−118010(P2012−118010A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270305(P2010−270305)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】