電気水力学冷却システムのためのコレクタ・ラジエータ構造
電気水力学流体加速器は、エミッタ電極28、38、48、58、78と、実質的にイオン衝突にさらされるコレクタ電極の先端面24、42、34、54、74とを含む。流体流路に沿ったエミッタ電極28、38、48、58、78の下流に位置する熱伝達面26、36、46、56、76は、実質的にイオン衝突にさらされず、第一のオゾン減少材料25、35、45、55、75によって調整された第一部分26、36、46、56、76を含む。コレクタ電極の先端面24、42、34、54、74は、第一のオゾン減少材料によって調整されないが、異なる表面調整を含むことができる。下流側の熱伝達面26、36、46、56、76および先端面24、42、34、54、74は、別個に形成され、結合して一体的構造を形成することができる、または一体的に形成することができる。電気水力学流体加速器は、調整された熱伝達面26、36、46、56、76に対して熱的に結合された熱放散装置を有する電子機器の熱管理組立体において使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
本発明は熱管理に関し、より特定的には、熱を放散させるための熱管理手法の一部として、電気水力学(EHD、電気流体力学(EFD)としても知られる)技術を使用してイオンおよび電界を発生させ、空気などの流体の動きを制御する微小冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体のイオン移動の原理を利用して作られた装置は、イオン風装置、電気風装置、コロナ風ポンプ、電気流体力学(EFD)装置、電気水力学(EHD)スラスタ、およびEHDガスポンプなど、様々な呼称で文献に記されている。本技術の一部の局面は、静電空気清浄機または静電集塵装置と称される装置において活用されている。
【0003】
一般に、電気水力学(EHD)技術は、(例えば空気分子などの)流体を移動させるイオン流動の原理を利用している。EHD流体流動についての基本的原理は、当業者によって合理的かつ十分に理解されている。このため、2つの電極を使用した簡易なシステムにおけるコロナ放電の原理を利用したイオン流を簡単に例示することにより、以下のより詳細な説明の基礎とする。
【0004】
図1を参照すると、コロナ放電の原理は、高い強度の電界を第一の電極10(多くの場合、「コロナ電極」、「コロナ放電電極」、「エミッタ電極」、または単に「エミッタ」と呼ばれる)と第二の電極12との間に印加することを含む。コロナ放出領域11付近における周囲空気の分子などの流体分子はイオン化され、中性の流体分子22と衝突しながら第二の電極12に向かって加速するイオン16の流れ14を形成する。この衝突時において、推進力がイオン16の流れ14から中性の流体分子22に与えられ、これに対応する流体分子22の動きが、矢印13に示されるような第二の電極12に向かう所望の流体流動方向に導かれる。第二の電極12には、「加速電極」、「誘引電極」、「コレクタ電極」、または「ターゲット電極」などの様々な呼称がある。イオン16の流れ14は、第二の電極12に向かって誘引されて中性化される一方、中性の流体分子22は所定の速度で第二の電極22を通過する。コロナ放電の原理によってもたらされる流体の動きは、「電気風」、「コロナ風」、または「イオン風」などの様々な呼称があり、高圧放電電極10の付近からのイオンの動きによって引き起こされる気体の動きとして定義づけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン(O3)は、自然に発生するものである一方、EHD装置、コピー機、レーザープリンタ、および静電空気清浄機などの様々な電子機器の稼働や、所定の種類の電気モータおよび発電機などによってもたらされ得る。しかし、オゾンは呼吸器に刺激を与えるものであり、特に濃度が高い場合には所定の健康問題に関わるため、オゾンの排出は、アンダーライターズラボラトリーズ(UL)または環境保護庁(EPA)などにより設定される厳しい規制限度の対象となり得る。オゾン濃度を下げるための技術は、開発が続けられており、触媒的または反応的にオゾン(O3)を分解し、より安定した酸素の二原子分子(O2)とするように展開されている。
【0006】
オゾン減少技術の向上、およびこのような技術を特にEHD装置に適合させて展開することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の開示
EHDシステムにおいて、オゾン減少材料をシステムの表面に選択的に設けることによってオゾンを分解する、減少させる、または隔離し得ることが見いだされた。例えば、二酸化マンガン(MnO2)は、オゾン減失のための触媒材料として一般に使用される。しかし、少なくとも所定のMnO2系の表面コーティング、および特にこの表面コーティングに通常使用される有機結合剤は、相当量のイオン流を収集する面に対しては特にうまく適合しないことが分かった。実際には、例えばMnO2オゾン触媒のブランドであるBASF社のPremAir(商標)として市販される表面コーティングは、コーティングの粗さ、イオン衝突やオゾンへの露出によって時間とともにコーティングの有機結合剤が分解される点、およびその結果として起こるフィールド不安定性および埃の付着などの原因により、コレクタ電極の先端面への使用には適していない。しかし、MnO2系表面コーティングは、コレクタまたはラジエータにおいて、相当量のイオン流を収集しない領域、または大きなイオン衝突にさらされない領域においては、多くの場合に良好に機能することができる。
【0008】
一般に、EHD装置におけるコレクタ電極の主要な機能は、例えばコロナ放電としてエミッタ電極または他の機構によって生成されるイオン流を配向して捕捉することである。コレクタ電極の表面は、一般に、イオン流からの電荷を収集するための十分に低い電気抵抗を有する。コレクタ電極の先端面は、時間経過に伴う酸化に対する抵抗性を概して有し、表面に対するイオン衝突および偶発的なアーク放電に強い平滑面をさらに有することができる。これにより、表面に平滑な電界が維持される。一部の実施例においては、表面は十分に硬く、摩擦接触によって埃の堆積物を周期的に除去することが可能となる。
【0009】
ラジエータまたはヒートシンク(およびこれを構成する熱伝達面)の主要機能は、これを通過するまたはこの上を通過する空気に対して熱を効率的に伝達することである。ラジエータまたはヒートシンクを設けることによって、多くの場合、流れと接触する表面積が大きくなり、この主要機能が実現される。ラジエータは、十分に高い熱伝導性および大きい表面積(例えば、薄いフィンの配列)を有し、表面に対する熱の伝導または表面からの熱の伝導を効率的に行い得る必要がある。触媒性または反応性のいずれであっても、オゾン減少材料を熱伝達面に設けることにより、望ましいオゾンレベルの低下を実現することができる。
【0010】
EHDエアムーバのコレクタ電極が熱システムのラジエータまたはヒートシンクと一体化した構造において、コレクタおよびラジエータの表面を選択的に調整することによって、この表面を移動する空気内のオゾン分解を最適化し得て、EHD冷却システムの作用を強化し得ることが見出された。例えば、コレクタ電極およびラジエータの表面特性は異なる性能要件を有することから、オゾン分解のための表面調整は、相当量のイオン流を収集する領域と収集しない領域とで異なり得る。構造、材料、表面調整処理、および特定の領域に関する要件または要求を達成するための方法を適合させることにより、実施例は、より長い可動寿命、性能の向上、および/またはオゾン排出の減少を実現する。
【0011】
本件出願において、本明細書中に例示および記載される装置の一部の実施例は、電気水力学流体加速装置といい、「EHD装置」や「EHD流体加速器」などともいう。このような装置は、他の事象の中でも、電子回路が発する熱を放散するための熱管理手法における部品としての使用に適している。具体的には、一部の実施例では、特定のEHD装置構成について記載されており、この装置構成では、エミッタ電極またはその近辺におけるコロナ放電は、電界の存在下で加速するイオンを発生させて流体流動を促す作用を有する。コロナ放電型の装置についての記載内容は有用なものであるが、(本記載に基づいて)他のイオン発生技術を採用してもよいことが分かる。例えば、一部の実施例において、無音放電、交流放電、および誘電体バリア放電(DBD)などの技術は、イオンを発生させ、このイオンを電界の存在下で加速させ、流体の流れを促すものである。
【0012】
本明細書中の記載に基づいて、当業者は、オゾン減少材料を特定のシステムの表面に選択的に付与することは、流体流動を促すための他のイオン発生技術を採用するシステムにおいても同様に利益となり得ることを理解するであろう。例えば、絶縁誘電体によって分離された2つの電極の間に放電するDBDシステムはオゾンを生成するが、これは、本明細書中に記載される技術を使用することによって対処され得る。後の請求項では、「エミッタ電極」および「電気水力学流体加速器」の用語は、採用される特定のイオン発生技術に関わらず、幅広い装置を含むことを意図している。
【0013】
一部の実施例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とを含み、活性化によってイオンを発生し、それにより流路に沿った流体流動を促す。先端面は、実質的にイオン衝突にさらされる。熱伝達面は、流路に沿ったエミッタ電極の下流に配置され、実質的にイオン衝突にさらされない第一部分を少なくとも含む。熱伝達面の第一部分は、第一のオゾン減少材料によって調整され、先端面は、第一のオゾン減少材料によって調整されない。
【0014】
一部の実施例において、先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される。
【0015】
一部の実施例において、エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とは、活性化によってコロナ放電をその間にもたらし、コロナ放電によってイオン衝突が引き起こされる。
【0016】
一部の場合において、先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対する抵抗性を有し、摩擦クリーニングに強い。
【0017】
一部の場合において、先端面は、少なくとも流動が促された流体の存在下では酸化しない表面コーティングを有する。一部の場合において、表面コーティングは、射出成形されたUL94−V0準拠熱可塑性樹脂に施された電気めっき、ダイカスト亜鉛(Zn)または亜鉛合金に施された電気めっき、粉末射出成形された金属に施された電気めっき、およびダイカストアルミニウム(Al)、アルミニウム合金、またはマグネシウム(Mg)合金に施された電気めっき、陽極酸化処理、またはアロジン処理のうちの1つ以上として形成することができる。
【0018】
一部の場合において、電気めっきは、ニッケル(Ni)に施された金(Au)、Niに施されたNiPd、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、マンガンの酸化物、オゾン触媒、およびオゾン反応性材料のうちの1つ以上として形成される。
【0019】
一部の適用例においては、下流の熱伝達面および先端面は、コレクタ電極およびヒートシンクの両方として機能する単一構造の面を構成する。一部の場合において、第一のオゾン減少材料が設けられる場合、第一のオゾン減少材料は先端面から除去される。一部の場合において、第一のオゾン減少材料の堆積があれば、その堆積は先端面からマスキングされる。
【0020】
一部の実施例においては、下流の熱伝達面と先端面とは別個に形成されるが、結合されて一体の構造を形成する。一部の実施例において、熱伝達面は、コレクタ電極とは区別されるが、流路においてコレクタ電極に近接する。一部の場合において、コレクタ電極は、先端面以外のさらなる面を含み、さらなる面は流体流動にさらされるが、イオン衝突には実質的にさらされない。コレクタ電極のさらなる面も、第一のオゾン減少材料によって調整される。
【0021】
一部の場合において、先端面を含むコレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対し電気化学的に強い表面コーティングを有する。一部の場合において、電気化学的に強い表面コーティングは、さらに先端面の摩擦クリーニングに対しても強い。
【0022】
一部の実施例において、コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される。一部の場合において、第二のオゾン減少材料は、金(Au)、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、およびマンガンの酸化物からなるグループから選択され、コロナ放電作用に特有の電界およびイオン衝突の状況下において劣化しやすい有機結合剤を用いずに調製される。
【0023】
一部の実施例において、第一のオゾン減少材料は、二酸化マンガン(MnO2)、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、およびニッケル(Ni)の酸化物を含むグループから選択される触媒である。
【0024】
一部の実施例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極と少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す。コレクタ電極は、熱伝達経路に結合され、流体流動内に熱を放散し、実質的にイオン衝突にさらされる先端面と実質的にイオン衝突にさらされないさらなる面とを両方有する。コレクタ電極の先端面ではない更なる面は、第一のオゾン減少材料によって調整される。
【0025】
一部の場合において、先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に電気化学的に強い表面コーティングを有する。
【0026】
一部の適用例において、電気水力学流体加速器は、活性化によりエミッタとコレクタとの間にコロナ放電をもたらし、イオンを生成するように構成される。
【0027】
一部の適用例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極と少なくとも1つのコレクタ電極とを有し、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す。コレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突に実質的にさらされる先端面と、コレクタ電極とは区別されるがコレクタ電極に近接して設けられる熱伝達面とを有し、熱伝達面は、流路においてエミッタ電極の下流に位置するが、イオン衝突に対しては実質的にさらされない。熱伝達面は、第一のオゾン減少材料によって調整される一方、コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料によって調整されない。
【0028】
一部の適用例においては、製品を作るための方法は、オゾン減少材料によって熱伝達面を調整するステップと、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面によって少なくともコレクタ電極の先端面を調整するステップとを備える。本方法はさらに、コレクタ電極の下流かつ近傍において調整された熱伝達面を位置決めするステップと、活性化するとイオンを生成し、調整された熱伝達面の上で流体流動を促すために、コレクタ電極の調整された先端面に近接するエミッタ電極を固定するステップとを備える。エミッタ電極、コレクタ電極、および調整された熱伝達面は、このように位置決めおよび固定されて熱管理組立体を構成する。
【0029】
一部の場合において、熱伝達面を調整するステップは、オゾン減少材料を使用して下部構造に対して施される浸漬コーティング、スプレーコーティング、または電気めっき処理のいずれか1つを含む。一部の場合において、コレクタ電極の先端面を調整するステップは、下部構造に対して施される電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理のいずれか1つを含む。
【0030】
一部の応用例において、本方法は、熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合するステップとを含む。
【0031】
一部の応用例において、製品を作る方法は、オゾン減少材料を使用してコレクタ電極の熱伝達面を調整するステップと、オゾン減少材料を実質的に有さず、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面を設けるためにコレクタ電極の先端面を調整するステップとを含む。本方法はさらに、活性化されるとイオンを生成し、熱伝達面の上での流体流動を促すためにコレクタ電極の先端面に近接してエミッタ電極を固定するステップを含む。エミッタ電極とコレクタ電極とは、熱管理組立体の少なくとも一部を構成するように固定される。
【0032】
一部の応用例において、熱伝達面を調整するステップは、浸漬コーティング、スプレーコーティング、または他の態様のいずれか1つでオゾン減少材料を下部構造に付与することを含み、先端面を調整するステップは、先端面に対してスプレーまたは付与されたオゾン減少材料のいずれかを除去して、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い、電気めっき処理が施された面、陽極酸化処理が施された面、またはアロジン処理が施された面を露出させることを含む。
【0033】
一部の応用例において、本方法はさらに、熱管理組立体を電子機器に導入するステップと、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合させるステップとを含む。
【0034】
本発明は、添付の図面を参照することによって、より良好に理解され、その数々の目的、特徴、および利点が当業者にとって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電気水力学(EHD)流体流動の所定の基本的原理を示す図である。
【図2A】EHD流体加速器の一体型コレクタ・ラジエータ構造の例を示す側面図である。
【図2B】EHD流体加速器の一体型コレクタ・ラジエータ構造の例を示す斜視図である。
【図2C】代替的な先端面形状を有するEHD流体加速器の代替的な一体型コレクタ・ラジエータ構造の斜視図である。
【図3A】たとえばオゾン減少材料などの表面調整材料によってコーティングされた一体型コレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図3B】オゾン減少材料によってコーティングされ、先端部分には実質的にオゾン減少材料を有さない一体型コレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図4】エミッタ電極に対して実質的に並行に配向された代替的なコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図5A】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図5B】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図5C】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図6A】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図6B】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図6C】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図7】コロナ放電型エミッタ電極は、コレクタ・ラジエータ構造の先端コレクタ面の付近に固定され、稼働時において、先端コレクタ面は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされ、先端コレクタ面は、オゾン減少材料を実質的に有さず、電気めっき、陽極酸化、またはアロジン処理が施された平滑で硬い面である、熱管理組立体における図3Bのコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図8】コロナ放電型エミッタ電極は、コレクタ・ラジエータ構造の先端コレクタ面の付近に固定され、稼働時において、先端コレクタ面は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされ、先端コレクタ面は、オゾン減少材料を実質的に有さず、電気めっき、陽極酸化、またはアロジン処理が施された平滑で硬い面である、熱管理組立体における図6Aのコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
異なる図面において同一の参照符号が使用される場合は、類似または同一の事項を示す。
【0037】
本明細書中に記載される熱管理システムの一部の実施例は、EHD装置を採用し、コロナ放電の結果として発生するイオンの加速に基づいて、典型的には空気である流体の流動を促す。他の実施例においては、他のイオン発生および励起技術を採用してもよいが、それについても、本明細書中に提供される記述内容から理解されるであろう。例えば、一部の実施例においては、無音放電、交流放電、誘電体バリア放電(DBD)などの技術によってイオンが生成され、そのイオンが電界の存在下において加速し、流体流動が促される。
【0038】
コレクタ電極と一体化もしくは統合した熱伝達面、またはそうでない熱伝達面を使用することにより、電子機器(例えば、マイクロプロセッサやグラフィック装置)および/または他の部品から放散される熱は、流体流動に対して伝達され、排出される。一般的に、熱管理システムが動作環境に組み込まれると、熱伝達路(多くの場合、ヒートパイプまたは他の技術を使用して付与される)が設けられ、熱が放散された(または生成された)場所から、EHD装置(または複数の装置)によって促された空気流動が、熱伝達面を超えて流れる筺体内の場所(または複数の場所)に、熱が伝達される。当然ながら、一部の実施例は、ラップトップ型またはデスクトップ型コンピュータ、プロジェクタまたはビデオ表示装置、プリンタ、コピー機などの稼働システムに完全に組み込まれてもよく、他の実施例においては、サブアセンブリの態様をとってもよい。
【0039】
本明細書中に記載されるように、熱伝達面およびコレクタ電極の少なくとも先端面部分には、異なる設計課題があり、所定の実施例に関しては、異なる表面調整が付与される。一部の実施例において、一体型構造はコレクタ電極として作用し、熱伝達面を提供する。一部の実施例においては、コレクタ電極と主要な熱伝達面とは、別個の構造として設けられ(または、少なくとも製造され)、これらは稼働構成において一体化される、組み込まれる、または、より一般的には互いに近接して配置される。これらの変形例および他の変形例は、記載の実施例を参照することで理解されるであろう。
【0040】
一般に、コレクタ電極については、様々な大きさ、形状、および他の設計上の変形例が、所定の装置のエミッタ電極とコレクタ電極との間の様々な相互位置関係と併せて想定される。具体的な記載のために、所定の実施例および所定の例示的な表面形状、ならびに他の部品との相互位置関係に注目する。例えば、本明細書中での記載の大部分において、複数の平面コレクタ電極は、並行に間隔を空けた配列で配置され、それぞれのコレクタ電極の先端面から間隔を空けて設けられたエミッタ線に近接している。一部の実施例においては、コレクタ電極の平面部分は、エミッタ線の長手範囲に対して略直角に配向されている。他の実施例においては、コレクタ電極は、その先端面がエミッタ線の長手範囲に対して概して並行となるように配向される。一部の実施例においては、他のコロナ放電電極の構成が設けられる。
【0041】
一部の実施例において、先端面は1個のまたは複数のエミッタ電極に対して湾曲した配置または形状を呈している。一部の実施例において、先端面は、1個のまたは複数のエミッタ電極に対して他の(例えば、湾曲していない)配置または形状を呈している。一部の熱管理システムの実施例において、コレクタ電極は流体流動に対して、熱管理システムを通過してまたは超えて促された大きな熱伝達をもたらす。一部の熱管理システムの実施例において、EHD流体加速に実質的に関与しない熱伝達面は、実質的、さらには主要な熱伝達をもたらし得る。
【0042】
当然のことながら、特定のEHD設計の変形例が例示のために含まれており、当業者は、本明細書の記載に基づいた幅広い設計の変形例があることを認識するであろう。一部の場合、特に流路の例示において、EHD設計は、互いに近接するコロナ放電電極組立体およびコレクタ電極組立体として簡易に例示されているが、様々なEHD設計の変形例の幅広い内容が記載されている。
【0043】
本明細書の記載の大部分はラップトップ型コンピュータ電子機器に特有の形状、空気流、熱伝達路に基づいているが、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、記載の内容を考慮の上で理解されるであろう。当然ながら、記載される実施例は単に例示であり、特定の実施例が導入された特定的な内容ではあるが、本明細書の記載から利益を享受する当業者は、幅広い設計の変形例、および発展した技術および構成が活用できることを認識するであろう。実際に、EHD装置の技術は、幅広い用途とシステムにおける熱管理の課題に対応するために構造、形状、スケール、流路、制御、および配置を適合させる大きな可能性を提供する。特定の材料、寸法、電界強度、励起電圧、電流および/または波形、外装もしくは形態の要因、熱状態、負荷もしくは熱伝達状態、および/またはシステムの設計もしくは用途に言及するが、これは例示にすぎない。上述の点を考慮に入れ、添付の請求項の範囲に含まれる設計の範囲を限定することなく、所定の実施例について記載する。
【0044】
電気水力学(EHD)流体加速の概要
電気水力学(EHD)流体流動の基本的原理は、当該技術においてよく知られている。これに関連し、ジュエル・ラーセン・N等による文献「COMSOLマルチフィジックスを使用したコロナ誘導電気水力学流動のモデリング」(静電学についてのESA年次ミーティング2008紀要)(以下では、「ジュエル・ラーセンモデリング文献」という)は、有用な概要を提供している。同様に、1999年10月14日に出願され、「静電流体加速器」と題されたクリヒタフォビッチ等による米国特許第6,504,308号は、一部のEHD装置において有用な所定の電極および高電圧電源の構成について開示している。米国特許第6,504,308号と併せて、ジュエル・ラーセンモデリング文献のセクションI(序章)、II(背景)、およびIII(数値モデリング)。
【0045】
図1に示されるコロナ誘導電気水力学流体流動の簡易例(ジュエル・ラーセンモデリング文献から編集され、上述されている)は、第一の電極10および第二の電極12を含む。これらの電極の形状は、この簡易例において特定的なものである。同様に、米国特許第6,504,308号に例示される電極の構成および電源設計の局面は、簡易例に特定的なものである。このような例示は、概して内容の記載には有用であるが、本発明の特定の実施例において想定される電極または高圧電源の設計の範囲を限定することを意図したものではない。
【0046】
一般に、エミッタ電極は、幅広い材料から製造され得る。例えば、2003年12月2日に出願され、「コロナ放電電極およびその稼働方法」と題されたクリヒタフォビッチ等を発明者とする米国特許第7,157,704号に記載されるような組成物を一部の実施例に採用してもよい。米国特許第7,157,704号は、一部の実施例に採用することのできるいくつかのエミッタ電極の材料を開示している。一般に、高圧電源によってエミッタ電極とコレクタ電極との間に電界が発生する。
【0047】
コレクタ・ラジエータ構造における表面の調整
本明細書中で使用される、「表面調整」および「調整材料」の用語は、本明細書中に記載されるオゾンの減少、低い表面付着、または特定の表面性能または利益を提供するのに適した表面コーティング、表面堆積、表面変質、または他の表面処理をいう。
【0048】
図2Aから図2Cを参照すると、一部の実施例において、コレクタ・ラジエータ構造20、20′には、オゾン分解材料またはオゾン減少材料である「表面調整」25が所定の後端部分または表面26に設けられる。一方で、先端イオン収集面24には、代替的な表面調整が設けられる、もしくは表面調整を設けない。先端または後端についての表現は、電極28によって誘発されるイオン衝突への露出および流体流動の方向的な基準に基づいて理解される。一部の実施例における表面26は、ラジエータ面または非収集面といわれる。
【0049】
コレクタ・ラジエータ構造20、20′において、複数の個別のラジエータ・コレクタフィンまたは部品が配列として配置され得る。表面調整25は、配列内における個別のフィンの対向する表面26に付与される。一部の場合において、異なる種類または組成物からなる表面調整25を対向するまたは反対の表面26に使用してもよい。例えば、オゾン減少触媒を一方の面26に付与し、異なるオゾン減少材料を対向する面26に付与してもよい。
【0050】
個別の表面26の間または表面26と表面24との間で表面調整を異ならせることで、各イオン収集面24、24′、および流体流動にさらされるがイオン収集には実質的に寄与しない各表面26の有効性を最適化または向上させることができる。例えば、イオン収集面24、24′および(材料適合性の観点からイオン収集性能が低い、ごく僅かである、または重要でない)表面26を選択的に調整することによって、所定の実施例において使用される有効なオゾン分解面の表面積を最大化することができるとともに、埃の蓄積、他の材料の付着または成長、イオン衝突、および/または火花に対するシステム(特にコレクタ面)の感度または脆弱性を減少させる、または制限することができる。
【0051】
一部の実施例において、潜在的に反応性または触媒性が低い第二のオゾン分解材料をイオン収集面24、24′に使用することができ、システムにおける全体的なオゾン分解を向上または最大化させるとともに、コレクタ面に特有の設計目標または制限を許容する。一部の実施例において、先端縁22には、表面24または26とはさらに異なる表面調整を施してもよい。
【0052】
本発明に係る一部の実施例において、熱伝達面としては重要とされていない収集面24、24′のために、望ましい表面調整25によって、ダイカスト金属またはUL−94V0に準拠した射出成形可能なベース材料の上に硬くて安定した非酸化コーティング(面)が施される。様々な実施例において、候補となるベース材料および表面調整の組み合わせは、電気めっきが施されて射出成形された、ミネラルまたはガラス充填のULTEM(登録商標)、ABS、PVC、ABS−PVCの混合のようなUL94−V0準拠熱プラスチック、電気めっき処理が施されたダイカストザマック金属(Zn−Al合金)、電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理が施されたダイカストアルミ(A380または同等の合金)またはマグネシウム合金、および電気めっきが施された粉末射出成形金属のうちの1つ以上を含むことができる。
【0053】
一部の実施例において、表面調整25は、無電解Niへの電気めっきコーティング、例えば、Niへの硬質Auめっき処理またはNiへの硬質NiPdめっき処理を含む。一部の実施例においては、表面調整25は、アルミ系材料に対するタイプIII硬質陽極酸化処理またはアロジン処理のような表面処理を含む。一部の実施例においては、表面調整材料は、Ag、AgOx、Mn、MnOx、または他のオゾン反応性材料を含んでもよい。一部の実施例において、電気めっき処理または陽極酸化処理などのベース材料表面処理とオゾン減少材料を含む表面調整コーティング処理とを組み合わせて表面調整25に採用してもよい。一部の実施例において、熱伝達面の調整は、下部構造に対するオゾン減少材料を用いた浸漬コーティング処理、スプレーコーティング処理、または電気めっき処理のいずれか1つを含む。
【0054】
本発明に係る一部の実施例において、例えば、高熱伝導性材料からなるラジエータの表面である非収集面26のために、表面調整25は、オゾン減少材料コーティングを含むことができる。オゾン減少材料は、オゾン触媒、オゾン結合剤、オゾン反応剤、またはオゾンと反応もしくは結合、またはオゾンを減少もしくは隔離するのに適した他の材料を含むことができる。例示のオゾン減少材料による表面調整25は、触媒によりコーティングされた銅合金またはアルミ合金の穿孔され積載されたフィン、触媒によりコーティングされたダイカストA380アルミ合金またはマグネシウム、および触媒によりコーティングされた押出アルミを含むことができる。
【0055】
一体型コレクタ・ラジエータ構造20、20′が表面24、24′および26の両方を含む一部の実施例において、例えば表面26に対して施される触媒もしくはコーティングまたは他の表面処理などの表面調整25は、例えばコロナ放電電極のような電極28に対向する先端コレクタ縁/面22などのコレクタ面24、24′の全体または一部から選択的に取り除くまたは省くことができる。このような面22、24、24′に表面調整25がないことは、アーク放電、樹枝状結晶の形成、空気流の途絶、または他の悪影響を避けるのに望ましい。
【0056】
表面調整25を選択的に付与および省略する様々な方法が記載される。一部の応用例において、マスキング材料が付与され、隣接する面26にコーティングを施す際にコレクタ面24、24′がオゾン減少材料によってコーティングされるのを防止する。適切なマスキング処理は、スリップウレタン処理、シリコーンなどの除去可能または犠牲コーティングの使用、または他の適切なマスキング処理もしくは材料を含むことができる。一部の応用例において、表面調整は、例えば研磨材または溶剤などの機械的または化学的作用によって面22、24から選択的に除去されてもよい。一部の応用例においては、2つの別個の部品のうちの一方にコーティングを施した後に、これらの2つの部品が機械的に結合され、コレクタ・ラジエータが形成される(例えば、図6Aから図6Cを参照)。様々な方法を使用して、コレクタ面22または24、または材料の付与や表面処理が望ましくない他の領域に対し、材料の付与もしくは除去または表面処理を選択的に成すことができる。
【0057】
図3Aは、オゾン減少材料35によってコーティングされた一体型コレクタ・ラジエータ構造30を示す。図3Bは、コレクタ・ラジエータ構造30′の先端コレクタ面34′に近接してコロナ放電型エミッタ電極38が固定された熱管理組立体における一体型コレクタ-ラジエータ構造30′を示す。稼働時において、表面34′は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされる。表面34′は、硬質電気めっき処理、硬質陽極酸化処理、または硬質アロジン処理が施された、実質的にオゾン減少材料35の無い平滑面を表わす。図3Bに例示される構成において、オゾン減少材料35は、例えばアセトン溶媒を使用して、コレクタ面34′の先端部分から実質的に除去され、硬質電気めっき処理、硬質陽極酸化処理、または硬質アロジン処理が施された下層の平滑面が表れる。
【0058】
図3Aおよび図3Bが別個に示されるとおり、表面調整材料35は、当初は表面34および36に併せて付与され、その後、電極38の影響を最も受けやすい面34から除去される。図3Bに示される特定の応用例において、MnO2触媒結合剤は、アセトン溶液において容易に溶解することができ、表面34からMnO2オゾン減少材料35を除去できることが示されている。一部の一体型の実施例において、溶媒を使用したワイピングまたはブラッシング技術を採用して、コレクタ・ラジエータ構造30、30′の先端面32、34にある触媒または他の材料35を除去することができる。
【0059】
一部の調整材料を先端面32、34に使用できる一方、粗い触媒コーティングのような所定の表面材料または処理は、アーク放電または他の性能劣化や装置故障などを引き起こし得ることが分かった。一部の例において、選択された表面から表面調整材料35を除去または省くことが望ましい。
【0060】
本発明の一部の実施例によれば、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされるコレクタ電極(または複数の電極)の先端面を含む面または領域と、実質的にイオン流またはイオン衝突にさらされていないために幅広いオゾン減少材料の使用の影響を受けやすい他の面または領域とを示すよう描画がされる。
【0061】
図3Aおよび図3Bを参照すると、収集面34は、強い電界および相当なイオン流を概して受ける。これにより、イオン衝突とそれに伴う化学反応で表面が劣化し、摩耗が進行した場合には、アーク放電を引き起こしやすくなる。一部の応用例においては、限られた一部のオゾン分解材料が表面34への使用に適し得る。その一方で、実質的にEHD活性領域の外にある非収集面36は、幅広いオゾン減少材料35の使用に適している。
【0062】
図4を参照すると、コレクタ・ラジエータ構造40は、例えば電極48に対して実質的に並行に配置された平坦なフィンなどの複数のコレクタ電極44を含む。コレクタ電極44の前縁42は、例えば、横から見た時に実質的に湾曲した前部形状となるように、電極48から実質的に等しい距離を置いて配置することができる。面46には、表面調整45が付与され、これにより、オゾン減少特性および/または樹枝状結晶抑止特性、または本明細書中に記載される他の表面特性が得られる。
【0063】
一部の実施例において、コレクタ・ラジエータ構造は、並行コレクタ面と直角コレクタ面との組み合わせを含むことができる。
【0064】
図5A−図5Dおよび図6A−図6Dを参照すると、別個の構造として規定されたコレクタ電極面54、54′、54″とラジエータ面56とが組み合わされ、統合型コレクタ・ラジエータ構造50、50′、50″を形成し、同様に表面調整を特殊化している。表面54および56の隣接する端部は、用途に応じて、分離、近接して分離、または当接させることができる。″
同様に、表面54および56は、所定の用途に適応するように大きさおよび形状を決めることができ、所望の度合いの熱伝達、イオン収集、およびオゾン減少のような特定の表面性能を実現する。
【0065】
図5Aおよび図6Aを参照すると、コレクタ面54が表面56の配列に沿って表面56に対して実質的に直角に配向される場合、先端コレクタ面52は、コレクタ面54の大部分を含むことができる。コレクタ面支持部53は、所定の間隔でコレクタ電極構造50に沿って設けることができる。一部の実施例において、コレクタ面54は、電極58に対して実質的に並行とし、表面56は、電極58に対して実質的に垂直とすることができる。活性化されると、電極58とコレクタ面54との間をイオンおよび周囲空気が流れる。
【0066】
一部の場合において、電極58はオゾンを発生し、樹枝状結晶の態様で下流面に蓄積する微粒子シリカをもたらす。コレクタ面54には、樹枝状結晶または他の悪影響を及ぼす材料の付着を減少させるために選択された第一の表面調整材料が付与され、面56には、オゾンを減少させるために選択される異なる表面調整材料55が付与される。
【0067】
図5Bおよび図6Bを参照すると、コレクタ面54′は、電極58と間隔を空けて湾曲する前端部52を有する。図5Cおよび図6Cを参照すると、コレクタ面54″は、電極58に対して実質的に線形の前端部52″を有する。コレクタ面54′、54″は、間隔をあけて配置され、所望の流体流動力学をその間に提供する。一部の場合において、面54′、54″は、支持構造により、上端および/または底端に沿って結合される。
【0068】
図7および図8は、図3Bおよび図6Aに類似の熱管理組立体のコレクタ・ラジエータ構造70、70′をそれぞれ示し、コロナ放電型エミッタ電極78は、支持構造80によって、コレクタ・ラジエータ構造70、70′のコレクタ先端面74、74′に近接して固定される。コレクタ・ラジエータ構造70、70′は、実質的にイオン衝突にさらされる先端面72、72′、74、74′と、実質的にイオン衝突にさらされない他の面76とを規定する。
【0069】
面74、74′および72、72′は、面76、76′とは異なる態様により調整される。より具体的には、先端面74、74′および72、72′は、エミッタ線78においてコロナ放電を引き起こすのに十分な電界の存在下において、関連するイオン衝突、および一部の場合における摩擦クリーニングに耐え得る平滑な等電位面を有するように調整される。 例えば、面76はオゾン減少性能を実現するように調整され、その一方でコレクタ面74、74′の先端面72、72′は、実質的にオゾン減少材料を有さない。対照的に、このようなイオン衝突にさらされないコレクタ・ラジエータ構造70、70′における下流側の熱伝達面76は、それほど強固である必要がないオゾン減少材料75によってコーティングされる。実際には、一部の実施例においては、このような状態で劣化しやすい有機結合剤を含んでもよい。一部の実施例においては、面74、74′は、硬質電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理が施されたオゾン減少材料75の無い平滑面である。
【0070】
一部の実施例において、面76、76′は、ヒートパイプに溶接または接続、または配列として配置されたフィンにより規定される。一部の場合、ヒートパイプの少なくとも一部には、面76、76′と同じ表面調整、例えば同じオゾン減少材料および/または第二のオゾン減少材料が付与される。
【0071】
本発明の様々な実施形態について記載してきたが、添付の請求項が本発明の特徴を規定するものであり、上に具体的に記載されていない他の実施の形態も本発明の範囲に含まれることが理解される。これらの実施例および他の実施例は、添付の請求項を参照することにより理解される。
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
本発明は熱管理に関し、より特定的には、熱を放散させるための熱管理手法の一部として、電気水力学(EHD、電気流体力学(EFD)としても知られる)技術を使用してイオンおよび電界を発生させ、空気などの流体の動きを制御する微小冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体のイオン移動の原理を利用して作られた装置は、イオン風装置、電気風装置、コロナ風ポンプ、電気流体力学(EFD)装置、電気水力学(EHD)スラスタ、およびEHDガスポンプなど、様々な呼称で文献に記されている。本技術の一部の局面は、静電空気清浄機または静電集塵装置と称される装置において活用されている。
【0003】
一般に、電気水力学(EHD)技術は、(例えば空気分子などの)流体を移動させるイオン流動の原理を利用している。EHD流体流動についての基本的原理は、当業者によって合理的かつ十分に理解されている。このため、2つの電極を使用した簡易なシステムにおけるコロナ放電の原理を利用したイオン流を簡単に例示することにより、以下のより詳細な説明の基礎とする。
【0004】
図1を参照すると、コロナ放電の原理は、高い強度の電界を第一の電極10(多くの場合、「コロナ電極」、「コロナ放電電極」、「エミッタ電極」、または単に「エミッタ」と呼ばれる)と第二の電極12との間に印加することを含む。コロナ放出領域11付近における周囲空気の分子などの流体分子はイオン化され、中性の流体分子22と衝突しながら第二の電極12に向かって加速するイオン16の流れ14を形成する。この衝突時において、推進力がイオン16の流れ14から中性の流体分子22に与えられ、これに対応する流体分子22の動きが、矢印13に示されるような第二の電極12に向かう所望の流体流動方向に導かれる。第二の電極12には、「加速電極」、「誘引電極」、「コレクタ電極」、または「ターゲット電極」などの様々な呼称がある。イオン16の流れ14は、第二の電極12に向かって誘引されて中性化される一方、中性の流体分子22は所定の速度で第二の電極22を通過する。コロナ放電の原理によってもたらされる流体の動きは、「電気風」、「コロナ風」、または「イオン風」などの様々な呼称があり、高圧放電電極10の付近からのイオンの動きによって引き起こされる気体の動きとして定義づけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン(O3)は、自然に発生するものである一方、EHD装置、コピー機、レーザープリンタ、および静電空気清浄機などの様々な電子機器の稼働や、所定の種類の電気モータおよび発電機などによってもたらされ得る。しかし、オゾンは呼吸器に刺激を与えるものであり、特に濃度が高い場合には所定の健康問題に関わるため、オゾンの排出は、アンダーライターズラボラトリーズ(UL)または環境保護庁(EPA)などにより設定される厳しい規制限度の対象となり得る。オゾン濃度を下げるための技術は、開発が続けられており、触媒的または反応的にオゾン(O3)を分解し、より安定した酸素の二原子分子(O2)とするように展開されている。
【0006】
オゾン減少技術の向上、およびこのような技術を特にEHD装置に適合させて展開することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の開示
EHDシステムにおいて、オゾン減少材料をシステムの表面に選択的に設けることによってオゾンを分解する、減少させる、または隔離し得ることが見いだされた。例えば、二酸化マンガン(MnO2)は、オゾン減失のための触媒材料として一般に使用される。しかし、少なくとも所定のMnO2系の表面コーティング、および特にこの表面コーティングに通常使用される有機結合剤は、相当量のイオン流を収集する面に対しては特にうまく適合しないことが分かった。実際には、例えばMnO2オゾン触媒のブランドであるBASF社のPremAir(商標)として市販される表面コーティングは、コーティングの粗さ、イオン衝突やオゾンへの露出によって時間とともにコーティングの有機結合剤が分解される点、およびその結果として起こるフィールド不安定性および埃の付着などの原因により、コレクタ電極の先端面への使用には適していない。しかし、MnO2系表面コーティングは、コレクタまたはラジエータにおいて、相当量のイオン流を収集しない領域、または大きなイオン衝突にさらされない領域においては、多くの場合に良好に機能することができる。
【0008】
一般に、EHD装置におけるコレクタ電極の主要な機能は、例えばコロナ放電としてエミッタ電極または他の機構によって生成されるイオン流を配向して捕捉することである。コレクタ電極の表面は、一般に、イオン流からの電荷を収集するための十分に低い電気抵抗を有する。コレクタ電極の先端面は、時間経過に伴う酸化に対する抵抗性を概して有し、表面に対するイオン衝突および偶発的なアーク放電に強い平滑面をさらに有することができる。これにより、表面に平滑な電界が維持される。一部の実施例においては、表面は十分に硬く、摩擦接触によって埃の堆積物を周期的に除去することが可能となる。
【0009】
ラジエータまたはヒートシンク(およびこれを構成する熱伝達面)の主要機能は、これを通過するまたはこの上を通過する空気に対して熱を効率的に伝達することである。ラジエータまたはヒートシンクを設けることによって、多くの場合、流れと接触する表面積が大きくなり、この主要機能が実現される。ラジエータは、十分に高い熱伝導性および大きい表面積(例えば、薄いフィンの配列)を有し、表面に対する熱の伝導または表面からの熱の伝導を効率的に行い得る必要がある。触媒性または反応性のいずれであっても、オゾン減少材料を熱伝達面に設けることにより、望ましいオゾンレベルの低下を実現することができる。
【0010】
EHDエアムーバのコレクタ電極が熱システムのラジエータまたはヒートシンクと一体化した構造において、コレクタおよびラジエータの表面を選択的に調整することによって、この表面を移動する空気内のオゾン分解を最適化し得て、EHD冷却システムの作用を強化し得ることが見出された。例えば、コレクタ電極およびラジエータの表面特性は異なる性能要件を有することから、オゾン分解のための表面調整は、相当量のイオン流を収集する領域と収集しない領域とで異なり得る。構造、材料、表面調整処理、および特定の領域に関する要件または要求を達成するための方法を適合させることにより、実施例は、より長い可動寿命、性能の向上、および/またはオゾン排出の減少を実現する。
【0011】
本件出願において、本明細書中に例示および記載される装置の一部の実施例は、電気水力学流体加速装置といい、「EHD装置」や「EHD流体加速器」などともいう。このような装置は、他の事象の中でも、電子回路が発する熱を放散するための熱管理手法における部品としての使用に適している。具体的には、一部の実施例では、特定のEHD装置構成について記載されており、この装置構成では、エミッタ電極またはその近辺におけるコロナ放電は、電界の存在下で加速するイオンを発生させて流体流動を促す作用を有する。コロナ放電型の装置についての記載内容は有用なものであるが、(本記載に基づいて)他のイオン発生技術を採用してもよいことが分かる。例えば、一部の実施例において、無音放電、交流放電、および誘電体バリア放電(DBD)などの技術は、イオンを発生させ、このイオンを電界の存在下で加速させ、流体の流れを促すものである。
【0012】
本明細書中の記載に基づいて、当業者は、オゾン減少材料を特定のシステムの表面に選択的に付与することは、流体流動を促すための他のイオン発生技術を採用するシステムにおいても同様に利益となり得ることを理解するであろう。例えば、絶縁誘電体によって分離された2つの電極の間に放電するDBDシステムはオゾンを生成するが、これは、本明細書中に記載される技術を使用することによって対処され得る。後の請求項では、「エミッタ電極」および「電気水力学流体加速器」の用語は、採用される特定のイオン発生技術に関わらず、幅広い装置を含むことを意図している。
【0013】
一部の実施例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とを含み、活性化によってイオンを発生し、それにより流路に沿った流体流動を促す。先端面は、実質的にイオン衝突にさらされる。熱伝達面は、流路に沿ったエミッタ電極の下流に配置され、実質的にイオン衝突にさらされない第一部分を少なくとも含む。熱伝達面の第一部分は、第一のオゾン減少材料によって調整され、先端面は、第一のオゾン減少材料によって調整されない。
【0014】
一部の実施例において、先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される。
【0015】
一部の実施例において、エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とは、活性化によってコロナ放電をその間にもたらし、コロナ放電によってイオン衝突が引き起こされる。
【0016】
一部の場合において、先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対する抵抗性を有し、摩擦クリーニングに強い。
【0017】
一部の場合において、先端面は、少なくとも流動が促された流体の存在下では酸化しない表面コーティングを有する。一部の場合において、表面コーティングは、射出成形されたUL94−V0準拠熱可塑性樹脂に施された電気めっき、ダイカスト亜鉛(Zn)または亜鉛合金に施された電気めっき、粉末射出成形された金属に施された電気めっき、およびダイカストアルミニウム(Al)、アルミニウム合金、またはマグネシウム(Mg)合金に施された電気めっき、陽極酸化処理、またはアロジン処理のうちの1つ以上として形成することができる。
【0018】
一部の場合において、電気めっきは、ニッケル(Ni)に施された金(Au)、Niに施されたNiPd、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、マンガンの酸化物、オゾン触媒、およびオゾン反応性材料のうちの1つ以上として形成される。
【0019】
一部の適用例においては、下流の熱伝達面および先端面は、コレクタ電極およびヒートシンクの両方として機能する単一構造の面を構成する。一部の場合において、第一のオゾン減少材料が設けられる場合、第一のオゾン減少材料は先端面から除去される。一部の場合において、第一のオゾン減少材料の堆積があれば、その堆積は先端面からマスキングされる。
【0020】
一部の実施例においては、下流の熱伝達面と先端面とは別個に形成されるが、結合されて一体の構造を形成する。一部の実施例において、熱伝達面は、コレクタ電極とは区別されるが、流路においてコレクタ電極に近接する。一部の場合において、コレクタ電極は、先端面以外のさらなる面を含み、さらなる面は流体流動にさらされるが、イオン衝突には実質的にさらされない。コレクタ電極のさらなる面も、第一のオゾン減少材料によって調整される。
【0021】
一部の場合において、先端面を含むコレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対し電気化学的に強い表面コーティングを有する。一部の場合において、電気化学的に強い表面コーティングは、さらに先端面の摩擦クリーニングに対しても強い。
【0022】
一部の実施例において、コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される。一部の場合において、第二のオゾン減少材料は、金(Au)、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、およびマンガンの酸化物からなるグループから選択され、コロナ放電作用に特有の電界およびイオン衝突の状況下において劣化しやすい有機結合剤を用いずに調製される。
【0023】
一部の実施例において、第一のオゾン減少材料は、二酸化マンガン(MnO2)、銀(Ag)、銀酸化物(Ag2O)、およびニッケル(Ni)の酸化物を含むグループから選択される触媒である。
【0024】
一部の実施例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極と少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す。コレクタ電極は、熱伝達経路に結合され、流体流動内に熱を放散し、実質的にイオン衝突にさらされる先端面と実質的にイオン衝突にさらされないさらなる面とを両方有する。コレクタ電極の先端面ではない更なる面は、第一のオゾン減少材料によって調整される。
【0025】
一部の場合において、先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に電気化学的に強い表面コーティングを有する。
【0026】
一部の適用例において、電気水力学流体加速器は、活性化によりエミッタとコレクタとの間にコロナ放電をもたらし、イオンを生成するように構成される。
【0027】
一部の適用例において、電気水力学流体加速器は、エミッタ電極と少なくとも1つのコレクタ電極とを有し、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す。コレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突に実質的にさらされる先端面と、コレクタ電極とは区別されるがコレクタ電極に近接して設けられる熱伝達面とを有し、熱伝達面は、流路においてエミッタ電極の下流に位置するが、イオン衝突に対しては実質的にさらされない。熱伝達面は、第一のオゾン減少材料によって調整される一方、コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料によって調整されない。
【0028】
一部の適用例においては、製品を作るための方法は、オゾン減少材料によって熱伝達面を調整するステップと、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面によって少なくともコレクタ電極の先端面を調整するステップとを備える。本方法はさらに、コレクタ電極の下流かつ近傍において調整された熱伝達面を位置決めするステップと、活性化するとイオンを生成し、調整された熱伝達面の上で流体流動を促すために、コレクタ電極の調整された先端面に近接するエミッタ電極を固定するステップとを備える。エミッタ電極、コレクタ電極、および調整された熱伝達面は、このように位置決めおよび固定されて熱管理組立体を構成する。
【0029】
一部の場合において、熱伝達面を調整するステップは、オゾン減少材料を使用して下部構造に対して施される浸漬コーティング、スプレーコーティング、または電気めっき処理のいずれか1つを含む。一部の場合において、コレクタ電極の先端面を調整するステップは、下部構造に対して施される電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理のいずれか1つを含む。
【0030】
一部の応用例において、本方法は、熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合するステップとを含む。
【0031】
一部の応用例において、製品を作る方法は、オゾン減少材料を使用してコレクタ電極の熱伝達面を調整するステップと、オゾン減少材料を実質的に有さず、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面を設けるためにコレクタ電極の先端面を調整するステップとを含む。本方法はさらに、活性化されるとイオンを生成し、熱伝達面の上での流体流動を促すためにコレクタ電極の先端面に近接してエミッタ電極を固定するステップを含む。エミッタ電極とコレクタ電極とは、熱管理組立体の少なくとも一部を構成するように固定される。
【0032】
一部の応用例において、熱伝達面を調整するステップは、浸漬コーティング、スプレーコーティング、または他の態様のいずれか1つでオゾン減少材料を下部構造に付与することを含み、先端面を調整するステップは、先端面に対してスプレーまたは付与されたオゾン減少材料のいずれかを除去して、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い、電気めっき処理が施された面、陽極酸化処理が施された面、またはアロジン処理が施された面を露出させることを含む。
【0033】
一部の応用例において、本方法はさらに、熱管理組立体を電子機器に導入するステップと、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合させるステップとを含む。
【0034】
本発明は、添付の図面を参照することによって、より良好に理解され、その数々の目的、特徴、および利点が当業者にとって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電気水力学(EHD)流体流動の所定の基本的原理を示す図である。
【図2A】EHD流体加速器の一体型コレクタ・ラジエータ構造の例を示す側面図である。
【図2B】EHD流体加速器の一体型コレクタ・ラジエータ構造の例を示す斜視図である。
【図2C】代替的な先端面形状を有するEHD流体加速器の代替的な一体型コレクタ・ラジエータ構造の斜視図である。
【図3A】たとえばオゾン減少材料などの表面調整材料によってコーティングされた一体型コレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図3B】オゾン減少材料によってコーティングされ、先端部分には実質的にオゾン減少材料を有さない一体型コレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図4】エミッタ電極に対して実質的に並行に配向された代替的なコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図5A】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図5B】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図5C】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す側面図である。
【図6A】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図6B】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図6C】EHD流体加速器において使用される、別個に形成されたコレクタおよびラジエータを組み合わせた一体構造の例を示す斜視図である。
【図7】コロナ放電型エミッタ電極は、コレクタ・ラジエータ構造の先端コレクタ面の付近に固定され、稼働時において、先端コレクタ面は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされ、先端コレクタ面は、オゾン減少材料を実質的に有さず、電気めっき、陽極酸化、またはアロジン処理が施された平滑で硬い面である、熱管理組立体における図3Bのコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【図8】コロナ放電型エミッタ電極は、コレクタ・ラジエータ構造の先端コレクタ面の付近に固定され、稼働時において、先端コレクタ面は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされ、先端コレクタ面は、オゾン減少材料を実質的に有さず、電気めっき、陽極酸化、またはアロジン処理が施された平滑で硬い面である、熱管理組立体における図6Aのコレクタ・ラジエータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
異なる図面において同一の参照符号が使用される場合は、類似または同一の事項を示す。
【0037】
本明細書中に記載される熱管理システムの一部の実施例は、EHD装置を採用し、コロナ放電の結果として発生するイオンの加速に基づいて、典型的には空気である流体の流動を促す。他の実施例においては、他のイオン発生および励起技術を採用してもよいが、それについても、本明細書中に提供される記述内容から理解されるであろう。例えば、一部の実施例においては、無音放電、交流放電、誘電体バリア放電(DBD)などの技術によってイオンが生成され、そのイオンが電界の存在下において加速し、流体流動が促される。
【0038】
コレクタ電極と一体化もしくは統合した熱伝達面、またはそうでない熱伝達面を使用することにより、電子機器(例えば、マイクロプロセッサやグラフィック装置)および/または他の部品から放散される熱は、流体流動に対して伝達され、排出される。一般的に、熱管理システムが動作環境に組み込まれると、熱伝達路(多くの場合、ヒートパイプまたは他の技術を使用して付与される)が設けられ、熱が放散された(または生成された)場所から、EHD装置(または複数の装置)によって促された空気流動が、熱伝達面を超えて流れる筺体内の場所(または複数の場所)に、熱が伝達される。当然ながら、一部の実施例は、ラップトップ型またはデスクトップ型コンピュータ、プロジェクタまたはビデオ表示装置、プリンタ、コピー機などの稼働システムに完全に組み込まれてもよく、他の実施例においては、サブアセンブリの態様をとってもよい。
【0039】
本明細書中に記載されるように、熱伝達面およびコレクタ電極の少なくとも先端面部分には、異なる設計課題があり、所定の実施例に関しては、異なる表面調整が付与される。一部の実施例において、一体型構造はコレクタ電極として作用し、熱伝達面を提供する。一部の実施例においては、コレクタ電極と主要な熱伝達面とは、別個の構造として設けられ(または、少なくとも製造され)、これらは稼働構成において一体化される、組み込まれる、または、より一般的には互いに近接して配置される。これらの変形例および他の変形例は、記載の実施例を参照することで理解されるであろう。
【0040】
一般に、コレクタ電極については、様々な大きさ、形状、および他の設計上の変形例が、所定の装置のエミッタ電極とコレクタ電極との間の様々な相互位置関係と併せて想定される。具体的な記載のために、所定の実施例および所定の例示的な表面形状、ならびに他の部品との相互位置関係に注目する。例えば、本明細書中での記載の大部分において、複数の平面コレクタ電極は、並行に間隔を空けた配列で配置され、それぞれのコレクタ電極の先端面から間隔を空けて設けられたエミッタ線に近接している。一部の実施例においては、コレクタ電極の平面部分は、エミッタ線の長手範囲に対して略直角に配向されている。他の実施例においては、コレクタ電極は、その先端面がエミッタ線の長手範囲に対して概して並行となるように配向される。一部の実施例においては、他のコロナ放電電極の構成が設けられる。
【0041】
一部の実施例において、先端面は1個のまたは複数のエミッタ電極に対して湾曲した配置または形状を呈している。一部の実施例において、先端面は、1個のまたは複数のエミッタ電極に対して他の(例えば、湾曲していない)配置または形状を呈している。一部の熱管理システムの実施例において、コレクタ電極は流体流動に対して、熱管理システムを通過してまたは超えて促された大きな熱伝達をもたらす。一部の熱管理システムの実施例において、EHD流体加速に実質的に関与しない熱伝達面は、実質的、さらには主要な熱伝達をもたらし得る。
【0042】
当然のことながら、特定のEHD設計の変形例が例示のために含まれており、当業者は、本明細書の記載に基づいた幅広い設計の変形例があることを認識するであろう。一部の場合、特に流路の例示において、EHD設計は、互いに近接するコロナ放電電極組立体およびコレクタ電極組立体として簡易に例示されているが、様々なEHD設計の変形例の幅広い内容が記載されている。
【0043】
本明細書の記載の大部分はラップトップ型コンピュータ電子機器に特有の形状、空気流、熱伝達路に基づいているが、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、記載の内容を考慮の上で理解されるであろう。当然ながら、記載される実施例は単に例示であり、特定の実施例が導入された特定的な内容ではあるが、本明細書の記載から利益を享受する当業者は、幅広い設計の変形例、および発展した技術および構成が活用できることを認識するであろう。実際に、EHD装置の技術は、幅広い用途とシステムにおける熱管理の課題に対応するために構造、形状、スケール、流路、制御、および配置を適合させる大きな可能性を提供する。特定の材料、寸法、電界強度、励起電圧、電流および/または波形、外装もしくは形態の要因、熱状態、負荷もしくは熱伝達状態、および/またはシステムの設計もしくは用途に言及するが、これは例示にすぎない。上述の点を考慮に入れ、添付の請求項の範囲に含まれる設計の範囲を限定することなく、所定の実施例について記載する。
【0044】
電気水力学(EHD)流体加速の概要
電気水力学(EHD)流体流動の基本的原理は、当該技術においてよく知られている。これに関連し、ジュエル・ラーセン・N等による文献「COMSOLマルチフィジックスを使用したコロナ誘導電気水力学流動のモデリング」(静電学についてのESA年次ミーティング2008紀要)(以下では、「ジュエル・ラーセンモデリング文献」という)は、有用な概要を提供している。同様に、1999年10月14日に出願され、「静電流体加速器」と題されたクリヒタフォビッチ等による米国特許第6,504,308号は、一部のEHD装置において有用な所定の電極および高電圧電源の構成について開示している。米国特許第6,504,308号と併せて、ジュエル・ラーセンモデリング文献のセクションI(序章)、II(背景)、およびIII(数値モデリング)。
【0045】
図1に示されるコロナ誘導電気水力学流体流動の簡易例(ジュエル・ラーセンモデリング文献から編集され、上述されている)は、第一の電極10および第二の電極12を含む。これらの電極の形状は、この簡易例において特定的なものである。同様に、米国特許第6,504,308号に例示される電極の構成および電源設計の局面は、簡易例に特定的なものである。このような例示は、概して内容の記載には有用であるが、本発明の特定の実施例において想定される電極または高圧電源の設計の範囲を限定することを意図したものではない。
【0046】
一般に、エミッタ電極は、幅広い材料から製造され得る。例えば、2003年12月2日に出願され、「コロナ放電電極およびその稼働方法」と題されたクリヒタフォビッチ等を発明者とする米国特許第7,157,704号に記載されるような組成物を一部の実施例に採用してもよい。米国特許第7,157,704号は、一部の実施例に採用することのできるいくつかのエミッタ電極の材料を開示している。一般に、高圧電源によってエミッタ電極とコレクタ電極との間に電界が発生する。
【0047】
コレクタ・ラジエータ構造における表面の調整
本明細書中で使用される、「表面調整」および「調整材料」の用語は、本明細書中に記載されるオゾンの減少、低い表面付着、または特定の表面性能または利益を提供するのに適した表面コーティング、表面堆積、表面変質、または他の表面処理をいう。
【0048】
図2Aから図2Cを参照すると、一部の実施例において、コレクタ・ラジエータ構造20、20′には、オゾン分解材料またはオゾン減少材料である「表面調整」25が所定の後端部分または表面26に設けられる。一方で、先端イオン収集面24には、代替的な表面調整が設けられる、もしくは表面調整を設けない。先端または後端についての表現は、電極28によって誘発されるイオン衝突への露出および流体流動の方向的な基準に基づいて理解される。一部の実施例における表面26は、ラジエータ面または非収集面といわれる。
【0049】
コレクタ・ラジエータ構造20、20′において、複数の個別のラジエータ・コレクタフィンまたは部品が配列として配置され得る。表面調整25は、配列内における個別のフィンの対向する表面26に付与される。一部の場合において、異なる種類または組成物からなる表面調整25を対向するまたは反対の表面26に使用してもよい。例えば、オゾン減少触媒を一方の面26に付与し、異なるオゾン減少材料を対向する面26に付与してもよい。
【0050】
個別の表面26の間または表面26と表面24との間で表面調整を異ならせることで、各イオン収集面24、24′、および流体流動にさらされるがイオン収集には実質的に寄与しない各表面26の有効性を最適化または向上させることができる。例えば、イオン収集面24、24′および(材料適合性の観点からイオン収集性能が低い、ごく僅かである、または重要でない)表面26を選択的に調整することによって、所定の実施例において使用される有効なオゾン分解面の表面積を最大化することができるとともに、埃の蓄積、他の材料の付着または成長、イオン衝突、および/または火花に対するシステム(特にコレクタ面)の感度または脆弱性を減少させる、または制限することができる。
【0051】
一部の実施例において、潜在的に反応性または触媒性が低い第二のオゾン分解材料をイオン収集面24、24′に使用することができ、システムにおける全体的なオゾン分解を向上または最大化させるとともに、コレクタ面に特有の設計目標または制限を許容する。一部の実施例において、先端縁22には、表面24または26とはさらに異なる表面調整を施してもよい。
【0052】
本発明に係る一部の実施例において、熱伝達面としては重要とされていない収集面24、24′のために、望ましい表面調整25によって、ダイカスト金属またはUL−94V0に準拠した射出成形可能なベース材料の上に硬くて安定した非酸化コーティング(面)が施される。様々な実施例において、候補となるベース材料および表面調整の組み合わせは、電気めっきが施されて射出成形された、ミネラルまたはガラス充填のULTEM(登録商標)、ABS、PVC、ABS−PVCの混合のようなUL94−V0準拠熱プラスチック、電気めっき処理が施されたダイカストザマック金属(Zn−Al合金)、電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理が施されたダイカストアルミ(A380または同等の合金)またはマグネシウム合金、および電気めっきが施された粉末射出成形金属のうちの1つ以上を含むことができる。
【0053】
一部の実施例において、表面調整25は、無電解Niへの電気めっきコーティング、例えば、Niへの硬質Auめっき処理またはNiへの硬質NiPdめっき処理を含む。一部の実施例においては、表面調整25は、アルミ系材料に対するタイプIII硬質陽極酸化処理またはアロジン処理のような表面処理を含む。一部の実施例においては、表面調整材料は、Ag、AgOx、Mn、MnOx、または他のオゾン反応性材料を含んでもよい。一部の実施例において、電気めっき処理または陽極酸化処理などのベース材料表面処理とオゾン減少材料を含む表面調整コーティング処理とを組み合わせて表面調整25に採用してもよい。一部の実施例において、熱伝達面の調整は、下部構造に対するオゾン減少材料を用いた浸漬コーティング処理、スプレーコーティング処理、または電気めっき処理のいずれか1つを含む。
【0054】
本発明に係る一部の実施例において、例えば、高熱伝導性材料からなるラジエータの表面である非収集面26のために、表面調整25は、オゾン減少材料コーティングを含むことができる。オゾン減少材料は、オゾン触媒、オゾン結合剤、オゾン反応剤、またはオゾンと反応もしくは結合、またはオゾンを減少もしくは隔離するのに適した他の材料を含むことができる。例示のオゾン減少材料による表面調整25は、触媒によりコーティングされた銅合金またはアルミ合金の穿孔され積載されたフィン、触媒によりコーティングされたダイカストA380アルミ合金またはマグネシウム、および触媒によりコーティングされた押出アルミを含むことができる。
【0055】
一体型コレクタ・ラジエータ構造20、20′が表面24、24′および26の両方を含む一部の実施例において、例えば表面26に対して施される触媒もしくはコーティングまたは他の表面処理などの表面調整25は、例えばコロナ放電電極のような電極28に対向する先端コレクタ縁/面22などのコレクタ面24、24′の全体または一部から選択的に取り除くまたは省くことができる。このような面22、24、24′に表面調整25がないことは、アーク放電、樹枝状結晶の形成、空気流の途絶、または他の悪影響を避けるのに望ましい。
【0056】
表面調整25を選択的に付与および省略する様々な方法が記載される。一部の応用例において、マスキング材料が付与され、隣接する面26にコーティングを施す際にコレクタ面24、24′がオゾン減少材料によってコーティングされるのを防止する。適切なマスキング処理は、スリップウレタン処理、シリコーンなどの除去可能または犠牲コーティングの使用、または他の適切なマスキング処理もしくは材料を含むことができる。一部の応用例において、表面調整は、例えば研磨材または溶剤などの機械的または化学的作用によって面22、24から選択的に除去されてもよい。一部の応用例においては、2つの別個の部品のうちの一方にコーティングを施した後に、これらの2つの部品が機械的に結合され、コレクタ・ラジエータが形成される(例えば、図6Aから図6Cを参照)。様々な方法を使用して、コレクタ面22または24、または材料の付与や表面処理が望ましくない他の領域に対し、材料の付与もしくは除去または表面処理を選択的に成すことができる。
【0057】
図3Aは、オゾン減少材料35によってコーティングされた一体型コレクタ・ラジエータ構造30を示す。図3Bは、コレクタ・ラジエータ構造30′の先端コレクタ面34′に近接してコロナ放電型エミッタ電極38が固定された熱管理組立体における一体型コレクタ-ラジエータ構造30′を示す。稼働時において、表面34′は、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされる。表面34′は、硬質電気めっき処理、硬質陽極酸化処理、または硬質アロジン処理が施された、実質的にオゾン減少材料35の無い平滑面を表わす。図3Bに例示される構成において、オゾン減少材料35は、例えばアセトン溶媒を使用して、コレクタ面34′の先端部分から実質的に除去され、硬質電気めっき処理、硬質陽極酸化処理、または硬質アロジン処理が施された下層の平滑面が表れる。
【0058】
図3Aおよび図3Bが別個に示されるとおり、表面調整材料35は、当初は表面34および36に併せて付与され、その後、電極38の影響を最も受けやすい面34から除去される。図3Bに示される特定の応用例において、MnO2触媒結合剤は、アセトン溶液において容易に溶解することができ、表面34からMnO2オゾン減少材料35を除去できることが示されている。一部の一体型の実施例において、溶媒を使用したワイピングまたはブラッシング技術を採用して、コレクタ・ラジエータ構造30、30′の先端面32、34にある触媒または他の材料35を除去することができる。
【0059】
一部の調整材料を先端面32、34に使用できる一方、粗い触媒コーティングのような所定の表面材料または処理は、アーク放電または他の性能劣化や装置故障などを引き起こし得ることが分かった。一部の例において、選択された表面から表面調整材料35を除去または省くことが望ましい。
【0060】
本発明の一部の実施例によれば、実質的なイオン流またはイオン衝突にさらされるコレクタ電極(または複数の電極)の先端面を含む面または領域と、実質的にイオン流またはイオン衝突にさらされていないために幅広いオゾン減少材料の使用の影響を受けやすい他の面または領域とを示すよう描画がされる。
【0061】
図3Aおよび図3Bを参照すると、収集面34は、強い電界および相当なイオン流を概して受ける。これにより、イオン衝突とそれに伴う化学反応で表面が劣化し、摩耗が進行した場合には、アーク放電を引き起こしやすくなる。一部の応用例においては、限られた一部のオゾン分解材料が表面34への使用に適し得る。その一方で、実質的にEHD活性領域の外にある非収集面36は、幅広いオゾン減少材料35の使用に適している。
【0062】
図4を参照すると、コレクタ・ラジエータ構造40は、例えば電極48に対して実質的に並行に配置された平坦なフィンなどの複数のコレクタ電極44を含む。コレクタ電極44の前縁42は、例えば、横から見た時に実質的に湾曲した前部形状となるように、電極48から実質的に等しい距離を置いて配置することができる。面46には、表面調整45が付与され、これにより、オゾン減少特性および/または樹枝状結晶抑止特性、または本明細書中に記載される他の表面特性が得られる。
【0063】
一部の実施例において、コレクタ・ラジエータ構造は、並行コレクタ面と直角コレクタ面との組み合わせを含むことができる。
【0064】
図5A−図5Dおよび図6A−図6Dを参照すると、別個の構造として規定されたコレクタ電極面54、54′、54″とラジエータ面56とが組み合わされ、統合型コレクタ・ラジエータ構造50、50′、50″を形成し、同様に表面調整を特殊化している。表面54および56の隣接する端部は、用途に応じて、分離、近接して分離、または当接させることができる。″
同様に、表面54および56は、所定の用途に適応するように大きさおよび形状を決めることができ、所望の度合いの熱伝達、イオン収集、およびオゾン減少のような特定の表面性能を実現する。
【0065】
図5Aおよび図6Aを参照すると、コレクタ面54が表面56の配列に沿って表面56に対して実質的に直角に配向される場合、先端コレクタ面52は、コレクタ面54の大部分を含むことができる。コレクタ面支持部53は、所定の間隔でコレクタ電極構造50に沿って設けることができる。一部の実施例において、コレクタ面54は、電極58に対して実質的に並行とし、表面56は、電極58に対して実質的に垂直とすることができる。活性化されると、電極58とコレクタ面54との間をイオンおよび周囲空気が流れる。
【0066】
一部の場合において、電極58はオゾンを発生し、樹枝状結晶の態様で下流面に蓄積する微粒子シリカをもたらす。コレクタ面54には、樹枝状結晶または他の悪影響を及ぼす材料の付着を減少させるために選択された第一の表面調整材料が付与され、面56には、オゾンを減少させるために選択される異なる表面調整材料55が付与される。
【0067】
図5Bおよび図6Bを参照すると、コレクタ面54′は、電極58と間隔を空けて湾曲する前端部52を有する。図5Cおよび図6Cを参照すると、コレクタ面54″は、電極58に対して実質的に線形の前端部52″を有する。コレクタ面54′、54″は、間隔をあけて配置され、所望の流体流動力学をその間に提供する。一部の場合において、面54′、54″は、支持構造により、上端および/または底端に沿って結合される。
【0068】
図7および図8は、図3Bおよび図6Aに類似の熱管理組立体のコレクタ・ラジエータ構造70、70′をそれぞれ示し、コロナ放電型エミッタ電極78は、支持構造80によって、コレクタ・ラジエータ構造70、70′のコレクタ先端面74、74′に近接して固定される。コレクタ・ラジエータ構造70、70′は、実質的にイオン衝突にさらされる先端面72、72′、74、74′と、実質的にイオン衝突にさらされない他の面76とを規定する。
【0069】
面74、74′および72、72′は、面76、76′とは異なる態様により調整される。より具体的には、先端面74、74′および72、72′は、エミッタ線78においてコロナ放電を引き起こすのに十分な電界の存在下において、関連するイオン衝突、および一部の場合における摩擦クリーニングに耐え得る平滑な等電位面を有するように調整される。 例えば、面76はオゾン減少性能を実現するように調整され、その一方でコレクタ面74、74′の先端面72、72′は、実質的にオゾン減少材料を有さない。対照的に、このようなイオン衝突にさらされないコレクタ・ラジエータ構造70、70′における下流側の熱伝達面76は、それほど強固である必要がないオゾン減少材料75によってコーティングされる。実際には、一部の実施例においては、このような状態で劣化しやすい有機結合剤を含んでもよい。一部の実施例においては、面74、74′は、硬質電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理が施されたオゾン減少材料75の無い平滑面である。
【0070】
一部の実施例において、面76、76′は、ヒートパイプに溶接または接続、または配列として配置されたフィンにより規定される。一部の場合、ヒートパイプの少なくとも一部には、面76、76′と同じ表面調整、例えば同じオゾン減少材料および/または第二のオゾン減少材料が付与される。
【0071】
本発明の様々な実施形態について記載してきたが、添付の請求項が本発明の特徴を規定するものであり、上に具体的に記載されていない他の実施の形態も本発明の範囲に含まれることが理解される。これらの実施例および他の実施例は、添付の請求項を参照することにより理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
エミッタ電極28、38、48、58、78と、コレクタ電極の先端面24、34、54、74とを含み、活性化によってイオンを発生し、流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、先端面24、34、54、74は実質的にイオン衝突にさらされ、装置はさらに、
流路に沿ったエミッタ電極28、38、48、58、78の下流に配置された熱伝達面を備え、下流の熱伝達面は、実質的にイオン衝突にさらされない第一の部分26、36、46、56、76を少なくとも含み、
熱伝達面の第一部分26、36、46、56、76は、第一のオゾン減少材料25、35、45、55、75によって調整され、
先端面24、34、54、74は、第一のオゾン減少材料25、35、45、55、75によって調整されない、装置。
【請求項2】
少なくとも先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対する抵抗性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
先端面は、少なくとも流動が促された流体の存在下では酸化しない表面コーティングを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
先端面はさらに、
射出成形されたUL94−V0準拠熱可塑性樹脂に施された電気めっき、
ダイカスト亜鉛(Zn)または亜鉛合金に施された電気めっき、
粉末射出成形された金属に施された電気めっき、および
ダイカストアルミニウム(Al)、アルミニウム合金、またはマグネシウム(Mg)合金に施された電気めっき、陽極酸化処理、またはアロジン処理のうちの1つ以上として形成された表面コーティングを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
電気めっきは、
ニッケル(Ni)に施された金(Au)、
Niに施されたNiPd、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、
マンガンの酸化物、
オゾン触媒、および
オゾン反応性材料のうちの1つ以上として形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とは、活性化によってコロナ放電をその間にもたらし、
コロナ放電によってイオン衝突が引き起こされる、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
下流側の熱伝達面および先端面は、コレクタ電極およびヒートシンクの両方として機能する単一構造を構成する面である、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
第一のオゾン減少材料が設けられる場合、第一のオゾン減少材料は先端面からマスキングされるまたは除去される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
下流側の熱伝達面および先端面は別個に形成されるが、結合されて一体の構造を形成する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
熱伝達面は、コレクタ電極とは区別されるが、流路においてコレクタ電極に近接する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
コレクタ電極は、先端面以外のさらなる面を含み、さらなる面は流体流動にさらされるが、イオン衝突には実質的にさらされず、
コレクタ電極のさらなる面も、第一のオゾン減少材料によって調整される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
第二のオゾン減少材料は、
金(Au)、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、および
マンガンの酸化物を含むグループの中から選択され、コロナ放電に特有の電界およびイオン衝突の状況下において劣化しやすい有機結合剤を使用せずに調製される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第一のオゾン減少材料は、
二酸化マンガン(MnO2)、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、および
ニッケル(Ni)の酸化物からなるグループの中から選択される触媒である、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
エミッタ電極28、38、48、78と少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、
コレクタ電極は、熱伝達経路に結合され、流体流動内に熱を放散し、実質的にイオン衝突にさらされる先端面24、42、34、74と実質的にイオン衝突にさらされない更なる面26、36、46、76とを両方含み、
コレクタ電極の先端面24、34、74、ではない更なる面26、36、46、76は、第一のオゾン減少材料25、35、45、75によって調整される、装置。
【請求項17】
先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に電気化学的に強い表面コーティングを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
装置であって、
エミッタ電極58と、少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、コレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突に実質的にさらされる先端面54を有し、装置はさらに、
コレクタ電極とは区別されるがコレクタ電極に近接して設けられる熱伝達面56を備え、熱伝達面56は、流路においてエミッタ電極58の下流側に位置するが、イオン衝突には実質的にさらされず、
コレクタ電極の先端面54ではなく熱伝達面56が第一のオゾン減少材料55によって調整される、装置。
【請求項19】
ヒートパイプをさらに備え、熱伝達面はヒートパイプに対して熱的に結合し、ヒートパイプは、第一のオゾン減少材料および第二のオゾン減少材料のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に調整される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
製品を作るための方法であって、方法は、
オゾン減少材料55によって熱伝達面56を調整するステップと、
イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い表面によって少なくともコレクタ電極の先端面52、52′、52″を調整するステップと、
コレクタ電極の下流側かつ近傍において調整された熱伝達面56を位置決めするステップと、
活性化するとイオンを生成し、調整された熱伝達面の上で流体流動を促すために、コレクタ電極の調整された先端面52、52′、52″に近接するエミッタ電極58を固定するステップとを備え、
エミッタ電極58、コレクタ電極、および調整された熱伝達面56は、このように位置決めおよび固定されて熱管理組立体を構成する、方法。
【請求項21】
熱伝達面を調整するステップは、オゾン減少材料を使用して下部構造に対して施される浸漬コーティング、スプレーコーティング、または電気めっき処理のいずれか1つを含み、コレクタ電極の先端面を調整するステップは、下部構造に対して施される電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理のいずれか1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に対して熱放散装置を熱的に結合させるステップをさらに備える、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
製品を作るための方法であって、
オゾン減少材料25、35、45、75を使用してコレクタ電極の熱伝達面26、36、46、76を調整するステップと、
オゾン減少材料を実質的に有さず、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面を設けるためにコレクタ電極の先端面24、42、34、74を調整するステップと、
活性化されるとイオンを生成し、熱伝達面26、36、46、76の上での流体流動を促すためにエミッタ電極28、38、48、78をコレクタ電極の先端面24、42、34、74に近接して固定するステップを備え、
エミッタ電極およびコレクタ電極は、熱管理組立体の少なくとも一部を構成するように固定される、方法。
【請求項24】
熱伝達面を調整するステップは、浸漬コーティング、スプレーコーティング、または他の態様のいずれか1つでオゾン減少材料を下部構造に付与することを含み、
先端面を調整するステップは、先端面に対してスプレーされたまたは付与されたオゾン減少材料のいずれかを除去して、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い、電気めっき処理が施された面、陽極酸化処理が施された面、またはアロジン処理が施された面を露出させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合させる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項1】
装置であって、
エミッタ電極28、38、48、58、78と、コレクタ電極の先端面24、34、54、74とを含み、活性化によってイオンを発生し、流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、先端面24、34、54、74は実質的にイオン衝突にさらされ、装置はさらに、
流路に沿ったエミッタ電極28、38、48、58、78の下流に配置された熱伝達面を備え、下流の熱伝達面は、実質的にイオン衝突にさらされない第一の部分26、36、46、56、76を少なくとも含み、
熱伝達面の第一部分26、36、46、56、76は、第一のオゾン減少材料25、35、45、55、75によって調整され、
先端面24、34、54、74は、第一のオゾン減少材料25、35、45、55、75によって調整されない、装置。
【請求項2】
少なくとも先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に対する抵抗性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
先端面は、少なくとも流動が促された流体の存在下では酸化しない表面コーティングを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
先端面はさらに、
射出成形されたUL94−V0準拠熱可塑性樹脂に施された電気めっき、
ダイカスト亜鉛(Zn)または亜鉛合金に施された電気めっき、
粉末射出成形された金属に施された電気めっき、および
ダイカストアルミニウム(Al)、アルミニウム合金、またはマグネシウム(Mg)合金に施された電気めっき、陽極酸化処理、またはアロジン処理のうちの1つ以上として形成された表面コーティングを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
電気めっきは、
ニッケル(Ni)に施された金(Au)、
Niに施されたNiPd、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、
マンガンの酸化物、
オゾン触媒、および
オゾン反応性材料のうちの1つ以上として形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
エミッタ電極とコレクタ電極の先端面とは、活性化によってコロナ放電をその間にもたらし、
コロナ放電によってイオン衝突が引き起こされる、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
下流側の熱伝達面および先端面は、コレクタ電極およびヒートシンクの両方として機能する単一構造を構成する面である、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
第一のオゾン減少材料が設けられる場合、第一のオゾン減少材料は先端面からマスキングされるまたは除去される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
下流側の熱伝達面および先端面は別個に形成されるが、結合されて一体の構造を形成する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
熱伝達面は、コレクタ電極とは区別されるが、流路においてコレクタ電極に近接する、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
コレクタ電極は、先端面以外のさらなる面を含み、さらなる面は流体流動にさらされるが、イオン衝突には実質的にさらされず、
コレクタ電極のさらなる面も、第一のオゾン減少材料によって調整される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
コレクタ電極の先端面は、第一のオゾン減少材料とは異なる第二のオゾン減少材料によって調整される、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
第二のオゾン減少材料は、
金(Au)、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、および
マンガンの酸化物を含むグループの中から選択され、コロナ放電に特有の電界およびイオン衝突の状況下において劣化しやすい有機結合剤を使用せずに調製される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第一のオゾン減少材料は、
二酸化マンガン(MnO2)、
銀(Ag)、
銀酸化物(Ag2O)、および
ニッケル(Ni)の酸化物からなるグループの中から選択される触媒である、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
エミッタ電極28、38、48、78と少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、
コレクタ電極は、熱伝達経路に結合され、流体流動内に熱を放散し、実質的にイオン衝突にさらされる先端面24、42、34、74と実質的にイオン衝突にさらされない更なる面26、36、46、76とを両方含み、
コレクタ電極の先端面24、34、74、ではない更なる面26、36、46、76は、第一のオゾン減少材料25、35、45、75によって調整される、装置。
【請求項17】
先端面は、エミッタ電極からのイオン衝突および偶発的なアーク放電に電気化学的に強い表面コーティングを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
装置であって、
エミッタ電極58と、少なくとも1つのコレクタ電極とを含み、活性化によりイオンを発生させ、それにより流路に沿った流体流動を促す電気水力学流体加速器を備え、コレクタ電極は、エミッタ電極からのイオン衝突に実質的にさらされる先端面54を有し、装置はさらに、
コレクタ電極とは区別されるがコレクタ電極に近接して設けられる熱伝達面56を備え、熱伝達面56は、流路においてエミッタ電極58の下流側に位置するが、イオン衝突には実質的にさらされず、
コレクタ電極の先端面54ではなく熱伝達面56が第一のオゾン減少材料55によって調整される、装置。
【請求項19】
ヒートパイプをさらに備え、熱伝達面はヒートパイプに対して熱的に結合し、ヒートパイプは、第一のオゾン減少材料および第二のオゾン減少材料のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に調整される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
製品を作るための方法であって、方法は、
オゾン減少材料55によって熱伝達面56を調整するステップと、
イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い表面によって少なくともコレクタ電極の先端面52、52′、52″を調整するステップと、
コレクタ電極の下流側かつ近傍において調整された熱伝達面56を位置決めするステップと、
活性化するとイオンを生成し、調整された熱伝達面の上で流体流動を促すために、コレクタ電極の調整された先端面52、52′、52″に近接するエミッタ電極58を固定するステップとを備え、
エミッタ電極58、コレクタ電極、および調整された熱伝達面56は、このように位置決めおよび固定されて熱管理組立体を構成する、方法。
【請求項21】
熱伝達面を調整するステップは、オゾン減少材料を使用して下部構造に対して施される浸漬コーティング、スプレーコーティング、または電気めっき処理のいずれか1つを含み、コレクタ電極の先端面を調整するステップは、下部構造に対して施される電気めっき処理、陽極酸化処理、またはアロジン処理のいずれか1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に対して熱放散装置を熱的に結合させるステップをさらに備える、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
製品を作るための方法であって、
オゾン減少材料25、35、45、75を使用してコレクタ電極の熱伝達面26、36、46、76を調整するステップと、
オゾン減少材料を実質的に有さず、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い面を設けるためにコレクタ電極の先端面24、42、34、74を調整するステップと、
活性化されるとイオンを生成し、熱伝達面26、36、46、76の上での流体流動を促すためにエミッタ電極28、38、48、78をコレクタ電極の先端面24、42、34、74に近接して固定するステップを備え、
エミッタ電極およびコレクタ電極は、熱管理組立体の少なくとも一部を構成するように固定される、方法。
【請求項24】
熱伝達面を調整するステップは、浸漬コーティング、スプレーコーティング、または他の態様のいずれか1つでオゾン減少材料を下部構造に付与することを含み、
先端面を調整するステップは、先端面に対してスプレーされたまたは付与されたオゾン減少材料のいずれかを除去して、イオン衝突およびアーク放電に対して電気化学的に強い、電気めっき処理が施された面、陽極酸化処理が施された面、またはアロジン処理が施された面を露出させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
熱管理組立体を電子機器に導入し、調整された熱伝達面に熱放散装置を熱的に結合させる、請求項23または24に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−513947(P2013−513947A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543252(P2012−543252)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059506
【国際公開番号】WO2011/072036
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504142411)テッセラ,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059506
【国際公開番号】WO2011/072036
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504142411)テッセラ,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
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