電気泳動を用いて予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材を製造する方法
本発明は、電気泳動を用いる予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材の製造方法に関するものであり、その際に電気伝導性チップ又は導電性にされたチップが作業模型の2つの歯型(10、20)の間にか又はフレームワーク部材に直接にか又は間隔をあけて配置されており、その際にチップ(30)は、異なる電気伝導率の領域(50、60)を有していてよい。チップは電気泳動の間に陽極と接続されている。この方法を用いて、ブリッジ用のフレームワークが製作されることができ、並びに前装材料がフレームワーク上に施与されることができる。異なる領域の幾何学的形状により、局部電流の強さ、ひいては局部の材料堆積は調節され、それにより堆積物の所望の空間形状が達成される。こうして製造される義歯材は、故に大きな模型がもはや必要ないので、それにより顕著な時間の節約と結び付いている。特に前装材料の刷毛での施与が不必要である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
DE 198 52 740 A1からは、全部セラミックブリッジフレームワーク(vollkeramischer Brueckengerueste)の製造方法が既に公知である。この方法によればまず最初に、例えばアルミナ−スリップから製造されている2つのコーピングは、同じ材料からなるブリッジポンティックと結合される。そのようにして製造された生素地は、引き続いて焼結され、かつガラス溶浸される。ブリッジポンティックの製造及びはめ込みが多くの技能を必要とすることとは別に、コーピングとポンティックとの間の接合箇所で機械的結合は、構造問題のために満足のいかない結果となりうる。
【0002】
DE 100 21 437 A1からはさらに、アルミナからなる全部セラミックコーピングの電気泳動による製造方法が公知であり、その際に作業模型の歯型は箔でか又は45℃を上回る温度で液状であり、かつ室温でリップスティック様のコンシステンシーを有する離型剤で被覆され、この被覆上にスリップが施与され、かつ作業模型からの分離後にスリップは乾燥後にフレームワークへと焼成され、このフレームワークは引き続いてガラス溶浸される。被覆は、電気伝導性被覆が使用されることによって施与され、この被覆はスリップを有する容器中へ浸漬され、かつ容器と導電性被覆との間に直流電圧の印加することにより作業模型の歯型上にスリップの固体の施与が行われる。
【0003】
スリップという概念はセラミックにおいて常用であるように、WO 99/50480によればセラミックコーピングの製造の際に懸濁剤としての水に対して先入観があるにもかかわらず、水性液体中のセラミック材料のスラリーであると理解されるべきである。
【0004】
故に請求項1に記載される発明の課題は、後作業を要求しないか又は殆ど要求しない堆積されたスリップ材料の所望の空間形状が達成されるように、歯科技術における電気泳動法をさらに発展させることである。この際にさらに、本発明による方法がフレームワークを製作するためだけでなく前装材料を所望の空間形状で堆積させるためにも適していることが示されている。
【0005】
この課題は請求項1の特徴部を用いて解決される。
【0006】
有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は図1〜12に基づいてより詳細に説明される。
【0008】
本発明は以下にさらに説明される。
【0009】
図1は、電気泳動によるコーター用の通常アルミニウムからなる受容部材1を示す。より良好に理解するために、全ての図は180°だけ回転されて示されている。機械そのものの中では、セッコウ歯型2及び3は、これらが受容部材1中に例えば埋め込み材料(Einbettmasse)を用いて固定されていることによって、懸垂して配置されており、その際に失われた歯の空間を充填する介在する顎部材4もさらに設けられている。
【0010】
参照番号5を用いてT字形の断面を有する導電性チップが示されている。チップ5は多種多様な材料から製造されていてよい。チップが導電性であることが本質的である。どの材料が考慮の対象になるかは、以下にさらに挙げられている。
【0011】
チップは脚部で電気泳動の陽極と接続されている。
【0012】
図2は図1の上面図を示す。この際にチップが屋根領域において拡大部6を有することが明らかである。
【0013】
機械の中で、通常のスリップがアルミナ粉末30g(製造者Vita)及び水5ml及び1滴の添加剤(製造者Vita)の混合比で製造される。このスリップ中に、歯型2、3及びチップ5が濃食塩溶液で導電性にされた後にナイロン紙からなるチップ5を有する図1による配置が浸漬される。約36Vの電圧を印加する際に、図3に示されているようなブリッジフレームワーク7を形成する20〜40mAの電流が流れる。このフレームワークは従来方法で焼結され、かつガラス溶浸される。リードケーブルがコーティングされないように、これはチップとの接点から絶縁されている。
【0014】
焼結する際に、チップ5は残留物不含に燃焼させるが、しかしスリップで充填され、第二の焼結過程の際に後焼結される相応する空洞を残す。この空洞の充填は、溶浸の際にガラスによっても行われることができる。
【0015】
前記の空洞形成が回避されるべきである場合には、幾つかの可能性が考えられている。例えばチップ5はアルミナ繊維又はウィスカーから製造されていてよい。この実施態様の場合に、チップ材料は単純にブリッジポンティック中へ焼結される。他の可能性は、図4に示されているように、他のジオメトリーにより与えられている。ここでチップ8は多少は歯型2、3の上に載っている。チップ8は外側で絶縁されており、それによりそこでは堆積物が形成されない。リードケーブルは同じ理由から同様に完全に絶縁されている。
【0016】
別の可能性は、繊維状物質(例えば紙)からなる2つの層の間に金属箔を有する材料からなるチップを製造することにある。純粋な金属箔の使用も確かに原則的に可能であるが、しかしながら、ここで高い電流の強さが気泡形成をまねき、このことが材料中の欠陥を引き起こしうることが明らかになる。
【0017】
前記の説明からは、チップの幾何学的形状により局所的な材料流動、ひいてブリッジフレームワークの三次元形状に強い影響を及ぼしうることも明らかである。一般的に、材料堆積が局部電流の強さの大きさに依存することが当てはまる。
【0018】
図5は、既に上記で記載されているようなブリッジフレームワークの製作を示す。作業模型の2つの歯型の間にチップ30が設けられている。図6から明らかなように、チップ30は、領域50とは違ってあまり導電性ではない領域60を有する。これは、図7の分解立体図に示されているように、チップの構造により達成される。この際に、チップ30は0.05mmの厚さを有するアルミニウムからなる金属下層70を有し、この上にナイロン紙からなる層80が置かれている。このナイロン紙上へさらに、電気的により強伝導性の領域50を図6に示された形状に相応して形成する、再びアルミニウム箔からなる層90が施与されている。アルミニウムからなる下層70は、リード100を介して電気泳動装置の陽極と接続されている。セッコウからなる歯型10、20及びチップ30はまず最初に塩溶液中への浸漬により電気伝導性にされる。目下、公知方法でブリッジ材料40が電気泳動により施与される場合に、金属箔の領域内で、すなわち領域50内で及び箔70の下方で、より高い電流の強さに基づいて強化された材料堆積をもたらすので、電流の遮断後に既に所望の空間形状のブリッジフレームワークが存在する。特に、それにより図7に示されたこぶ11が発生されることができる。このブリッジフレームワーク上に、ついで焼結及びガラス溶浸の直後に前装材料が施与されることができる。
【0019】
異なる導電性の領域を有するチップは、もちろん多岐にわたる方法で製造されることができる。例えば1つのみの金属箔を使用することが可能であり、この上に多少は絶縁する領域が施与されている。他方では、ベース層は、前記の例の場合と同じように、ナイロン紙又は類似の、最良にはノンテキスタイル層からなっていてよく、この上に金属構造が例えばスクリーン印刷により施与されている。さらに基板製造の際に公知の技術がここで良好に使用されることができるので、極めて複雑な形状をも製造する困難が存在しない。
【0020】
図8には、下顎領域における多員のブリッジフレームワークの製作が示されている。3本の歯を置き換えるべきであるポンティックの形状に適合されているチップ12上に、導電性領域13が施与されている。電気泳動により、既に所望の空間形状を有する材料層14が堆積される。
【0021】
図9は小臼歯の製作を示す。作業歯型15上に前装材料17で前装されるべきである既に既製のコーピング16が存在する。コーピング16上に、金属領域19を有するより詳細に示されていないチップが置かれ、その三角形の形状は図10で明らかに識別されうる。スリップからなる前装材料の堆積の場合に、4つの金属領域19を介して、小臼歯に典型的である4つのこぶ18が形成される。焼結収縮は前装材料の施与の際に含めて計算されているので、小臼歯は焼結後に既に所望の空間形状を有するので、後作業はもう殆ど不必要である。
【0022】
図11及び12には前歯の製作が示されている。セッコウ歯型200上に、既製のコーピング21が存在し、その際にコーピングは正面側で例えばナイロン紙からなるチップで覆われている。このチップは3つの金属ストリップ22を有し、その中で中央のものが幾分より幅広い。電気泳動を実施する際に、施与された前装材料23が正面側で既に所望の厚さ及び丸み24を有することをもたらすので、歯の仕上げのためにわずかに微細作業が必要であるに過ぎない。
【0023】
図9〜12に示された本発明の2つの実施態様の場合に、チップはフレームワーク部材(図9中のコーピング16又は図11中のコーピング21)上に載っている。しかし、チップがコーピングから間隔を有して設けられていることも可能である。この際に、前装材料の施与前に前装材料の所望の外側輪郭に適合されるので、電気泳動の際にコーピングとチップとの間の隙間のみが充填され、この隙間は前装の所望の空間形状についで正確に相応する。この場合に、チップはコーピングの方を向いた側でのみ電気伝導性であり、かつ外側で絶縁されており、それゆえ電流供給機能に加えて成形機能も有する。
この原理はもちろんフレームワークの製造の際にも実現されうる。
【0024】
チップは明白な理由から材料の施与後に除去できないのではなくて、むしろ焼結の際に、チップが外側の形状として設けられている場合を除いてその場に残留する。しかしこれまでの実験が示しているように、コーピングの残留は不利ではない。アルミニウムが使用される限り、これは焼結過程の間に単純にアルミナへ酸化され、かつこれ以上妨害しない。有機材料、例えばナイロンは事実上残留物不含に燃焼する。チップにより占有された空洞は、ガラス溶浸する際に完全に充填され、さらにまた、これがまず最初に充填前にガス逃出チャネルとして利用されるという利点を有する。故に材料の機械的な弱体化は、最終状態で確認不可能である。
【0025】
故に本発明を用いて、患者に価値の高い全部セラミック義歯を費用のかからずに提供するという進んだ措置が行われている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コーターの受容部材中の2つの残根を示す図。
【図2】図1の上面を示す図。
【図3】コーティング後の図1の残根を示す図。
【図4】導電性チップの第二の実施態様を示す図。
【図5】2つの残根用のブリッジフレームワークの製作を示す図。
【図6】図1の0−0断面を示す図。
【図7】図1の0′−0′断面を示す図。
【図8】下顎前部中のブリッジの製作を示す図。
【図9】小臼歯の断面を示す図。
【図10】図9による小臼歯の上面を示す図。
【図11】前歯の製作を示す図。
【図12】図11中のA−A断面を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1 受容部材、 2,3 セッコウ歯型、 4 顎部材、 5 チップ、 6 拡大部、 7 ブリッジフレームワーク、 8 チップ、 10 歯型、 11 こぶ、 12 チップ、 13 導電性領域、 14 材料層、 15 作業歯型、 16 コーピング、 17 前装材料、 18 こぶ、 19 金属領域、 20 歯型、 21 コーピング、 22 金属ストリップ、 23 前装材料、 24 丸み、 30 チップ、 40 ブリッジ材料、 50 領域、 60 領域、 70 金属下層、 80 層、 90 層、 100 リード、 200 セッコウ歯型
【技術分野】
【0001】
DE 198 52 740 A1からは、全部セラミックブリッジフレームワーク(vollkeramischer Brueckengerueste)の製造方法が既に公知である。この方法によればまず最初に、例えばアルミナ−スリップから製造されている2つのコーピングは、同じ材料からなるブリッジポンティックと結合される。そのようにして製造された生素地は、引き続いて焼結され、かつガラス溶浸される。ブリッジポンティックの製造及びはめ込みが多くの技能を必要とすることとは別に、コーピングとポンティックとの間の接合箇所で機械的結合は、構造問題のために満足のいかない結果となりうる。
【0002】
DE 100 21 437 A1からはさらに、アルミナからなる全部セラミックコーピングの電気泳動による製造方法が公知であり、その際に作業模型の歯型は箔でか又は45℃を上回る温度で液状であり、かつ室温でリップスティック様のコンシステンシーを有する離型剤で被覆され、この被覆上にスリップが施与され、かつ作業模型からの分離後にスリップは乾燥後にフレームワークへと焼成され、このフレームワークは引き続いてガラス溶浸される。被覆は、電気伝導性被覆が使用されることによって施与され、この被覆はスリップを有する容器中へ浸漬され、かつ容器と導電性被覆との間に直流電圧の印加することにより作業模型の歯型上にスリップの固体の施与が行われる。
【0003】
スリップという概念はセラミックにおいて常用であるように、WO 99/50480によればセラミックコーピングの製造の際に懸濁剤としての水に対して先入観があるにもかかわらず、水性液体中のセラミック材料のスラリーであると理解されるべきである。
【0004】
故に請求項1に記載される発明の課題は、後作業を要求しないか又は殆ど要求しない堆積されたスリップ材料の所望の空間形状が達成されるように、歯科技術における電気泳動法をさらに発展させることである。この際にさらに、本発明による方法がフレームワークを製作するためだけでなく前装材料を所望の空間形状で堆積させるためにも適していることが示されている。
【0005】
この課題は請求項1の特徴部を用いて解決される。
【0006】
有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は図1〜12に基づいてより詳細に説明される。
【0008】
本発明は以下にさらに説明される。
【0009】
図1は、電気泳動によるコーター用の通常アルミニウムからなる受容部材1を示す。より良好に理解するために、全ての図は180°だけ回転されて示されている。機械そのものの中では、セッコウ歯型2及び3は、これらが受容部材1中に例えば埋め込み材料(Einbettmasse)を用いて固定されていることによって、懸垂して配置されており、その際に失われた歯の空間を充填する介在する顎部材4もさらに設けられている。
【0010】
参照番号5を用いてT字形の断面を有する導電性チップが示されている。チップ5は多種多様な材料から製造されていてよい。チップが導電性であることが本質的である。どの材料が考慮の対象になるかは、以下にさらに挙げられている。
【0011】
チップは脚部で電気泳動の陽極と接続されている。
【0012】
図2は図1の上面図を示す。この際にチップが屋根領域において拡大部6を有することが明らかである。
【0013】
機械の中で、通常のスリップがアルミナ粉末30g(製造者Vita)及び水5ml及び1滴の添加剤(製造者Vita)の混合比で製造される。このスリップ中に、歯型2、3及びチップ5が濃食塩溶液で導電性にされた後にナイロン紙からなるチップ5を有する図1による配置が浸漬される。約36Vの電圧を印加する際に、図3に示されているようなブリッジフレームワーク7を形成する20〜40mAの電流が流れる。このフレームワークは従来方法で焼結され、かつガラス溶浸される。リードケーブルがコーティングされないように、これはチップとの接点から絶縁されている。
【0014】
焼結する際に、チップ5は残留物不含に燃焼させるが、しかしスリップで充填され、第二の焼結過程の際に後焼結される相応する空洞を残す。この空洞の充填は、溶浸の際にガラスによっても行われることができる。
【0015】
前記の空洞形成が回避されるべきである場合には、幾つかの可能性が考えられている。例えばチップ5はアルミナ繊維又はウィスカーから製造されていてよい。この実施態様の場合に、チップ材料は単純にブリッジポンティック中へ焼結される。他の可能性は、図4に示されているように、他のジオメトリーにより与えられている。ここでチップ8は多少は歯型2、3の上に載っている。チップ8は外側で絶縁されており、それによりそこでは堆積物が形成されない。リードケーブルは同じ理由から同様に完全に絶縁されている。
【0016】
別の可能性は、繊維状物質(例えば紙)からなる2つの層の間に金属箔を有する材料からなるチップを製造することにある。純粋な金属箔の使用も確かに原則的に可能であるが、しかしながら、ここで高い電流の強さが気泡形成をまねき、このことが材料中の欠陥を引き起こしうることが明らかになる。
【0017】
前記の説明からは、チップの幾何学的形状により局所的な材料流動、ひいてブリッジフレームワークの三次元形状に強い影響を及ぼしうることも明らかである。一般的に、材料堆積が局部電流の強さの大きさに依存することが当てはまる。
【0018】
図5は、既に上記で記載されているようなブリッジフレームワークの製作を示す。作業模型の2つの歯型の間にチップ30が設けられている。図6から明らかなように、チップ30は、領域50とは違ってあまり導電性ではない領域60を有する。これは、図7の分解立体図に示されているように、チップの構造により達成される。この際に、チップ30は0.05mmの厚さを有するアルミニウムからなる金属下層70を有し、この上にナイロン紙からなる層80が置かれている。このナイロン紙上へさらに、電気的により強伝導性の領域50を図6に示された形状に相応して形成する、再びアルミニウム箔からなる層90が施与されている。アルミニウムからなる下層70は、リード100を介して電気泳動装置の陽極と接続されている。セッコウからなる歯型10、20及びチップ30はまず最初に塩溶液中への浸漬により電気伝導性にされる。目下、公知方法でブリッジ材料40が電気泳動により施与される場合に、金属箔の領域内で、すなわち領域50内で及び箔70の下方で、より高い電流の強さに基づいて強化された材料堆積をもたらすので、電流の遮断後に既に所望の空間形状のブリッジフレームワークが存在する。特に、それにより図7に示されたこぶ11が発生されることができる。このブリッジフレームワーク上に、ついで焼結及びガラス溶浸の直後に前装材料が施与されることができる。
【0019】
異なる導電性の領域を有するチップは、もちろん多岐にわたる方法で製造されることができる。例えば1つのみの金属箔を使用することが可能であり、この上に多少は絶縁する領域が施与されている。他方では、ベース層は、前記の例の場合と同じように、ナイロン紙又は類似の、最良にはノンテキスタイル層からなっていてよく、この上に金属構造が例えばスクリーン印刷により施与されている。さらに基板製造の際に公知の技術がここで良好に使用されることができるので、極めて複雑な形状をも製造する困難が存在しない。
【0020】
図8には、下顎領域における多員のブリッジフレームワークの製作が示されている。3本の歯を置き換えるべきであるポンティックの形状に適合されているチップ12上に、導電性領域13が施与されている。電気泳動により、既に所望の空間形状を有する材料層14が堆積される。
【0021】
図9は小臼歯の製作を示す。作業歯型15上に前装材料17で前装されるべきである既に既製のコーピング16が存在する。コーピング16上に、金属領域19を有するより詳細に示されていないチップが置かれ、その三角形の形状は図10で明らかに識別されうる。スリップからなる前装材料の堆積の場合に、4つの金属領域19を介して、小臼歯に典型的である4つのこぶ18が形成される。焼結収縮は前装材料の施与の際に含めて計算されているので、小臼歯は焼結後に既に所望の空間形状を有するので、後作業はもう殆ど不必要である。
【0022】
図11及び12には前歯の製作が示されている。セッコウ歯型200上に、既製のコーピング21が存在し、その際にコーピングは正面側で例えばナイロン紙からなるチップで覆われている。このチップは3つの金属ストリップ22を有し、その中で中央のものが幾分より幅広い。電気泳動を実施する際に、施与された前装材料23が正面側で既に所望の厚さ及び丸み24を有することをもたらすので、歯の仕上げのためにわずかに微細作業が必要であるに過ぎない。
【0023】
図9〜12に示された本発明の2つの実施態様の場合に、チップはフレームワーク部材(図9中のコーピング16又は図11中のコーピング21)上に載っている。しかし、チップがコーピングから間隔を有して設けられていることも可能である。この際に、前装材料の施与前に前装材料の所望の外側輪郭に適合されるので、電気泳動の際にコーピングとチップとの間の隙間のみが充填され、この隙間は前装の所望の空間形状についで正確に相応する。この場合に、チップはコーピングの方を向いた側でのみ電気伝導性であり、かつ外側で絶縁されており、それゆえ電流供給機能に加えて成形機能も有する。
この原理はもちろんフレームワークの製造の際にも実現されうる。
【0024】
チップは明白な理由から材料の施与後に除去できないのではなくて、むしろ焼結の際に、チップが外側の形状として設けられている場合を除いてその場に残留する。しかしこれまでの実験が示しているように、コーピングの残留は不利ではない。アルミニウムが使用される限り、これは焼結過程の間に単純にアルミナへ酸化され、かつこれ以上妨害しない。有機材料、例えばナイロンは事実上残留物不含に燃焼する。チップにより占有された空洞は、ガラス溶浸する際に完全に充填され、さらにまた、これがまず最初に充填前にガス逃出チャネルとして利用されるという利点を有する。故に材料の機械的な弱体化は、最終状態で確認不可能である。
【0025】
故に本発明を用いて、患者に価値の高い全部セラミック義歯を費用のかからずに提供するという進んだ措置が行われている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コーターの受容部材中の2つの残根を示す図。
【図2】図1の上面を示す図。
【図3】コーティング後の図1の残根を示す図。
【図4】導電性チップの第二の実施態様を示す図。
【図5】2つの残根用のブリッジフレームワークの製作を示す図。
【図6】図1の0−0断面を示す図。
【図7】図1の0′−0′断面を示す図。
【図8】下顎前部中のブリッジの製作を示す図。
【図9】小臼歯の断面を示す図。
【図10】図9による小臼歯の上面を示す図。
【図11】前歯の製作を示す図。
【図12】図11中のA−A断面を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1 受容部材、 2,3 セッコウ歯型、 4 顎部材、 5 チップ、 6 拡大部、 7 ブリッジフレームワーク、 8 チップ、 10 歯型、 11 こぶ、 12 チップ、 13 導電性領域、 14 材料層、 15 作業歯型、 16 コーピング、 17 前装材料、 18 こぶ、 19 金属領域、 20 歯型、 21 コーピング、 22 金属ストリップ、 23 前装材料、 24 丸み、 30 チップ、 40 ブリッジ材料、 50 領域、 60 領域、 70 金属下層、 80 層、 90 層、 100 リード、 200 セッコウ歯型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動を用いて予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材(vollkeramischer Zahnteile)を製造する方法において、
電気伝導性チップ又は電気伝導性にされたチップを、作業模型上にか又はフレームワーク部材上に直接にか又は間隔をあけて配置し、その際にチップが異なる導電性領域を有していてよく、かつ電気泳動の間に好ましくは陽極と接続されていることを特徴とする、電気泳動を用いる予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材の製造方法。
【請求項2】
フレームワーク材料を堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前装材料を堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
チップが塩溶液により導電性にされた合成紙である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
より低い電気抵抗領域をアルミニウム箔により生じさせる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
アルミナスリップ又はジルコニアスリップを使用する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
チップ材料としてナイロンを使用する、請求項4記載の方法。
【請求項8】
チップがアルミナ繊維、特にウィスカーを有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
チップの2つの繊維層の間に、例えばアルミニウムからなる、導電性箔を設ける、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
チップを、食塩溶液を用いて導電性にする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
チップがT字形の断面を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
歯型の領域内で、中央領域のチップがより幅広い、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項1】
電気泳動を用いて予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材(vollkeramischer Zahnteile)を製造する方法において、
電気伝導性チップ又は電気伝導性にされたチップを、作業模型上にか又はフレームワーク部材上に直接にか又は間隔をあけて配置し、その際にチップが異なる導電性領域を有していてよく、かつ電気泳動の間に好ましくは陽極と接続されていることを特徴とする、電気泳動を用いる予め決定された空間形状を有する全部セラミック義歯材の製造方法。
【請求項2】
フレームワーク材料を堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前装材料を堆積させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
チップが塩溶液により導電性にされた合成紙である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
より低い電気抵抗領域をアルミニウム箔により生じさせる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
アルミナスリップ又はジルコニアスリップを使用する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
チップ材料としてナイロンを使用する、請求項4記載の方法。
【請求項8】
チップがアルミナ繊維、特にウィスカーを有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
チップの2つの繊維層の間に、例えばアルミニウムからなる、導電性箔を設ける、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
チップを、食塩溶液を用いて導電性にする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
チップがT字形の断面を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
歯型の領域内で、中央領域のチップがより幅広い、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−505312(P2006−505312A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549075(P2004−549075)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003628
【国際公開番号】WO2004/041113
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505163958)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003628
【国際公開番号】WO2004/041113
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505163958)
【Fターム(参考)】
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