説明

電気炊飯器

【課題】電気炊飯器において、バックアップ電源を使用する停電時の消費電流を可能な限り低減し、バックアップ電源の寿命を長くするとともに、停電時にも必要な制御データの記憶を可能とした。
【解決手段】
この発明の電気炊飯器は、内鍋と、内鍋を加熱する内鍋加熱手段と、書き換え可能な第1のメモリを内蔵したマイコンよりなる炊飯器制御手段と、停電時におけるバックアップ電源とを備えてなる電気炊飯器において、上記炊飯器制御手段に対してバックアップ電源の不要な第2のメモリを設け、停電時に記憶させておくべきデータを、上記第1のメモリと第2のメモリに分けて記憶させるようにするとともに、停電時において、上記バックアップ電源には、上記炊飯器制御手段の第1のメモリのみをバックアップさせるようにした。
その結果、停電時における必要な制御データの記憶が可能となる。また、同停電時におけるバックアップ電源の消費電流を可及的に小さなものとすることができ、バックアップ電源の寿命を長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、停電時におけるバックアップ電源の省エネ性能を向上させ、かつ停電時にも必要な制御データを保持できるようにした電気炊飯器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のマイコン式の電気炊飯器では、その高性能な制御機能により、吸水からむらしまでの各炊飯段階に応じた適切な加熱出力で効率良く炊飯を行なうことによって良好な炊飯性能を実現し、やがて、炊飯が完了すると、自動的に保温工程に移行し、ユーザーにより保温取消スイッチが押されるか又は予じめ設定された保温設定時間が経過するまでの間は、ご飯の温度が予じめ設定した所望の保温温度に維持されるように、ご飯の温度を検出しながら保温ヒータ等保温加熱手段の加熱量を適切に制御するようになっている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
このようなマイコン式の電気炊飯器の場合、必要な制御機能を維持するためには、その電源回路に電源が供給されていない停電時(例えば当該電気炊飯器がAC電源に接続されていない時や仮に当該電気炊飯器がAC電源に接続されてはいても、例えば待機電力低減回路等の省エネ回路の採用により、炊飯器内部でマイコン等への電源を遮断している時など)にも、上記マイコン内の所定の回路(例えば時計表示のためのRTC回路)や特定のメモリ部(例えば必要な制御データを記憶させて置くためのバックアップRAMなど)には何らかの方法で電源を印加して置かなければならない。
【0004】
そうでないと、当該停電時に制御設定状態が初期状態にリセットされて、それまでの炊飯メニューや同メニューに対応した火加減レベル等のセット状態やタイマー予約セット状態までがクリアされてしまい、ユーザーが再度設定操作を行わなければならない不便が生じる。また炊飯の途中で停電が起こると、以後適切な炊飯が不可能となってしまう。
【0005】
そこで、その対応方法として、一般に固定電池や充電可能な蓄電池をバックアップ電源とする方法が採用されている(例えば特許文献2,3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−14541号公報
【特許文献2】特開2005−204921号公報
【特許文献3】特開2001−185327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来から停電時には必要な制御データをバックアップ電源によりバックアップして保持させて置き、停電から復帰した時に、同保持して置いた制御データを用いて適正な制御を継続することは知られている。
【0008】
そして、そのための制御データ記憶手段としては、一般に炊飯器制御手段としてのマイコン制御ユニットに内蔵されているバックアップRAMが使用されている。
【0009】
しかし、該バックアップRAMの記憶容量には限界があり、それだけで常に変化するデータ(例えば炊飯中におけるタイマーの計時値、炊飯工程シーケンス(吸水、合数判定、昇温工程1、昇温工程2、炊き上げ1、炊き上げ2)、むらし時間、保温時間など)および常には変化しないが各炊飯タイミング毎に設定状態が変更される可能性のあるデータ(例えば音声ガイダンス機能における音声内容や音量、タイマー予約炊飯時における予約時刻、炊飯メニュー、火加減レベルなど)の全てを記憶させるのは困難である。
【0010】
もちろん、同バックアップRAMの記憶容量(バイト数)を増大させたり、複数のバックアップRAMをマイコン制御ユニット内に内蔵させて、それらの各々をバックアップ電源によりバックアップさせるということも考えられる。
【0011】
しかし、前者の場合には当該炊飯器専用のマイコン制御ユニットとして形成する必要があるために、汎用のマイコンを使用することができず、高コストになる。また、後者の場合にも、複数のバックアップRAMを内蔵させた専用のマイコン制御ユニットとする必要があり、より以上に高価になるだけでなく、複数のバックアップRAMに各々バックアップ電源を供給する必要が生じ、省エネ効果が低下する。
【0012】
一方、最近のマイコンでは、マイコン自体に時計表示用のリアルタイムクロック回路(RTC回路)を組み込み、所定発振周期のサブクロック回路と組み合わせることによって、AC電源電圧のゼロクロス信号等の外部クロック信号を用いることなく、より正確な時計表示機能を実現したものが多くなってきている。
【0013】
したがって、このようなタイプのマイコンを電気炊飯器に用いると、例えば上述のような停電時には、当該汎用のマイコン自体が本来持っているバッテリーバックアップモードをそのまま利用して、上記リアルタイムクロック回路以外のマイコン機能を全て停止させ、可及的な省エネ化を図ることが考えられる。
【0014】
しかし、この場合のバッテリーバックアップモードでは、当該バッテリーバックアップモードに入ると、マイコン内のバックアップRAM自体への電源の供給も断たれるので、やはり停電時には制御設定状態が初期状態にリセットされて、それまでの炊飯メニューや同メニューに対応した火加減レベル等のセット状態やタイマー予約セット状態までがクリアされてしまい、ユーザーが再度設定操作を行わなければならない不便が生じる。
【0015】
また、炊飯途中で停電が起こると、以後適切な炊飯が不可能となってしまう。
【0016】
したがって、仮に上述のようなリアルタイムクロック機能(RTC機能)を有するマイコンを用いて炊飯器制御手段を構成したとしても、そのままバッテリーバックアップモードを利用して電気炊飯器の省エネモードを実現することはできない。
【0017】
このため、同マイコンを用いた従来の電気炊飯器の場合、それまでの設定データ(時間に応じて変化する情報と変化しない情報を含めて)を保持させるために、上記リアルタイムクロック回路(RTC回路)を含めてマイコンおよびその周辺の部品(メモリ等)にも、常時バックアップ電源を印加するようにしており、消費電流が大きく、十分な省エネ性能を実現し得ていなかった。
【0018】
その結果、やはりバックアップ電源用の電池の寿命が短かいという問題が残されていた。
【0019】
もちろん、停電時間が短かい場合で、かつバックアップ電源として充電可能な蓄電池(リチウム電池など)を用いた場合には何とか対応できるが、それでもバックアップ状態での消費電流が大きいという課題は同様であり、停電時間が長くなると、やはり対応できない。
【0020】
本願発明は、このような事情に基いてなされたもので、第1,第2の2つのメモリを用いることによって記憶容量を増大させる一方、一方のメモリはバックアップ電源を必要とするが他方のメモリはバックアップ電源を不要とすることにより可及的に消費電流を低減し、停電時には必要な制御データを確実に保持することができ、かつバックアップ電源の寿命をも十分に長くすることができるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0022】
(1) 請求項1記載の発明
この発明の電気炊飯器は、内鍋と、内鍋を加熱する内鍋加熱手段と、書き換え可能な第1のメモリを内蔵したマイコンよりなる炊飯器制御手段と、停電時におけるバックアップ電源とを備えてなる電気炊飯器において、上記炊飯器制御手段に対してバックアップ電源の不要な第2のメモリを設け、停電時に記憶させておくべきデータを、上記第1のメモリと第2のメモリに分けて記憶させるようにするとともに、停電時において、上記バックアップ電源には、上記炊飯器制御手段の第1のメモリのみをバックアップさせるようにしたことを特徴としている。
【0023】
このような構成によると、第1,第2の2つのメモリによりメモリ部の記憶容量を十分に増大させることができ、停電時にも必要な制御データを確実に保持させて置くことができるようになる。したがって、例えば停電になった時点の各種設定データをバックアップ電源によりバックアップされた停電時にも書き込み可能な第1のメモリのバッテリーバックアップ領域に記憶させておくと、停電復帰後には、同第1のメモリに逐次記憶されたデータを用いて速やかに停電前の設定工程を継続する形で、適切に炊飯制御を実行させることができる。
【0024】
しかし、同第1のメモリのバッテリーバックアップ用領域にも限りがあるので、同領域を超えるデータは、例えばフラッシュメモリ等一旦記憶させると電源によるバックアップを必要としない第2のメモリに記憶させるなど、必要な情報を分けて記憶させる。その結果、必要なデータが多い時にも、有効に対応することができる。
【0025】
また、そのようにすることにより記憶容量が大きくなっても、バックアップするメモリは第1のメモリだけで良いから、停電時におけるバックアップ電源の消費電流を可及的に小さなものとすることができ、バックアップ電源の寿命を長くすることができる。
【0026】
(2) 請求項2記載の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、記憶させるデータは、常に変化するデータと常には変化しないデータとに分け、常に変化するデータはバックアップを必要とする第1のメモリに記憶させる一方、常には変化しないデータはバックアップを必要としない第2のメモリに記憶させるようにしたことを特徴としている。
【0027】
このような構成によると、停電時においても経時的に変化するデータの記憶が可能となり、停電時にも適切な制御が可能となる。
【0028】
なお、この場合、第1のメモリのバッテリーバックアップ用領域が、例えば16バイトあるとすると、同16バイトのうちの1バイトは、例えばチェックサム領域として、NO1〜NO15領域のデータのチェックに使用する。
【0029】
また、常に変化しない情報を書き込むタイミングは、例えば異常情報についてはセンサの異常発生時に、またメニュー・火加減・予約時間・音量等については、前回より変化している場合にのみ行うようにする。
【0030】
(3) 請求項3記載の発明
この発明の電気炊飯器は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段の構成において、炊飯器制御手段としてのマイコンが、時計表示のためのリアルタイムクロック回路を備えたものよりなり、停電時には、そのバッテリーバックアップモードを利用して、当該リアルタイムクロック回路および上記第1のメモリ以外の部分への電源の供給を停止するようになっているこを特徴としている。
【0031】
すでに述べたように、リアルタイムクロック回路(RTC回路)を備えたマイコンは、それ自体として、停電時には必要な個所以外へはバックアップ電源の供給を行わないようにするバッテリーバックアップモードが設けられている。
【0032】
したがって、上述の炊飯器制御手段として、同リアルタイムクロック回路付のマイコンを使用した時には、停電時に同制御モードを利用して、そのリアルタイムクロック回路および上記第1のメモリ以外の部分への電源の供給をOFFにすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上の結果、本願発明によると、停電時にも必要な制御データを確実に保持しながら、しかも停電時におけるバックアップ電源の消費電流を可及的に低減することができ、その結果、同電源を長期に亘って有効に利用することができるようになり、コストの低減につながるとともに、製品の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な電気炊飯器の炊飯器全体の構成を示す外観斜視図である。
【図2】同電気炊飯器の炊飯器全体の構成を示す中央断面図である。
【図3】同電気炊飯器の制御回路部分の要部の構成を示すブロック図である。
【図4】同電気炊飯器の炊飯開始時の制御フローである。
【図5】同電気炊飯器の予約開始時の制御フローである。
【図6】同電気炊飯器の音声設定時の制御フローである。
【図7】同電気炊飯器の停電対応時の制御フローである。
【図8】同電気炊飯器の変形例に係る制御回路部分の要部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1〜図3は、本願発明の実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成を、また図4〜図7は、同電気炊飯器の炊飯、予約開始、音声設定、停電対応制御の内容を、それぞれ示している。
【0036】
(炊飯器全体の構成)
この電気炊飯器1は、先ず図1に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として非金属材料からなる蓄熱性の高い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が一例として採用されており、その底壁部3aの底部中央面(フラット面部)および該底壁部3a外周のコーナ部(R面部)3bには、それぞれ内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
【0037】
そして、この電気炊飯器1は、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の保護枠4aおよび上部側の筒状壁部4cよりなる内ケース4と、該内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース5と、該外ケース5の下部に一体に嵌合された底ケース13と、上記外ケース5と上記内ケース4とを肩部材10により一体化して形成された炊飯器本体1の上部に開閉可能に設けられた蓋体2とから構成されている。
【0038】
一方、内ケース4の底壁部である皿状の保護枠4aの下方側には、フェライトコア収納部6a,6a・・・を備えたコイルカバー(コイル台)6が設けられおり、その下部にはフェライトコア6b,6b・・・を配置し、またそれらの間には、上記内鍋3の底壁部3aの中央部側フラット面部と外周部側湾曲面部(コーナー部)3bの上記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には上記内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2にうず電流を誘起して、上記内鍋3を効率良く加熱するようになっている。
【0039】
上記合成樹脂製の外ケース5の後部側は、平面視H形の形状に成型されていて、前後方向に平行な左右の側壁部間後部に位置して左右に延びる仕切壁24が設けられている。そして、この仕切壁24の左右両端側には、後方側から平面視コ字形の外ケースカバー5bの側壁部前端が嵌合(係合)されるようになっている。
【0040】
上記外ケース5の仕切壁24と上記外ケースカバー5aとの間には、上記内ケース4側と仕切られる形で、シール性の高い電装品収納空間が形成されている。そして、この電装品収納空間内に、上記のようにワークコイルC1,C2、保温ヒータH1等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた第1の電気基板(制御基板)B1および該第1の電気基板B1を保持した電気基板カバー(制御基板カバー)7が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0041】
この第1の電気基板B1上には、IGBT等の発熱部品、その他必要部品が設けられているとともに、接続用配線であるフレキシブルなフラットケーブルを介して後述する蓋体2側の第2の電気基板(マイコン基板)B2が接続されている。
【0042】
上記電気基板カバー7は、例えば上記外ケース5の仕切壁24に対して着脱可能な状態で取り付けられるようになっていて、その下部側には保護枠4aの下面側ワークコイルC1,C2部分および第1の電気基板B1のヒートシンク25の放熱フィン部分に冷却用の空気を流す第1の送風ファン11Aが、また左右両側には、上記内鍋3の第1,第2の発熱体G1,G2部分に向けて直接冷却空気を送風する第2,第3の送風ファン11B,11Cが、それぞれ一体に取り付けられている。
【0043】
第1の送風ファン11Aは、上下方向に開口した短筒状のファンケーシング56a内の送風通路56bに軸流ファン56cを備えるとともに、保護枠4aの底部側への吹出空気分流ダクト56dを備えて構成されている。
【0044】
他方、第2,第3の送風ファン11B,11Cは、渦巻き形状のスクロールケーシング11b内にファンモータ11eにより駆動される多翼ロータ11dを配置し、側面側に設けた空気吸込口11gより吸い込んだ空気をスクロール通路11a下流の空気吹出端から吹き出すようにしたシロッコファン(登録商標)よりなり、それらは交互に所定時間運転されるようになっており、その空気吹出端からの吹出空気は、上記保護枠4aの上端4b部分の全周に位置して形成された送風路15に対してフレキシブルなゴム製の連通パイプ(図示省略)を介して吹き出されるようになっている。
【0045】
上記送風路15は、上記保護枠4aの上端4b部分に形成された凹溝状の環状ダクトと該環状ダクトに対して上方側から嵌合される逆凹溝形状のキャップ部を有するダクトリング9との間に形成されている。この送風路15には、円周方向に等間隔で6個の送風用開口F,F・・・が内鍋3コーナー部3bの発熱体G2に向けて(かつ若干下方に向けて)形成されている。また、上記各送風用開口F,F・・・内には、平面視V字状の送風ガイドがそれぞれ設けられており、該送風ガイドの存在により、一方の送風ファンが駆動されているときに、送風路15を流れる冷却風が距離の異なる各送風用開口F,F・・・から円滑に内鍋3の発熱体G2,G1部分に向けてスムーズに送風されるようになっている。
【0046】
ご飯を美味しく炊き上げるためには、昇温工程や昇温工程後の炊き上げ工程などの、飯米に十分に熱を通す高温、かつ高加熱出力が要求される炊飯工程で、内鍋3に対して可能な限り高い加熱出力を与えることが好ましい。
【0047】
しかし、その場合において、内鍋3に局部的に高温になる部分があると、同部分での耐熱対策が必要となり、有効に加熱出力を増大させることができない。
【0048】
ところが、上記のように内鍋3の発熱体G2,G1部分に直接冷却用の空気を第2,第3の送風ファン11B,11Cで送風することにより、上記局部的に高温になる発熱体G2,G1部分を冷却して、その熱を有効に回収し、逆に低温の側壁部3c側に移送して作用させるようにすると、内鍋3全体の加熱温度を可及的に均一化し、加熱効率を向上させて、吹きこぼれ、焦げ付きを防止することができるとともに、さらに従来加熱不足であった内鍋3の側壁部3cへの加熱量を大きく増大させることができるようになり、より一層美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【0049】
この場合において、上記内鍋3の底壁部3a側から側壁部3c側に移送される高温の空気は、内鍋開口縁部(フランジ部)3dの外周面まで流され、側壁部3cの全体を下端から上端まで効率良く加熱する。
【0050】
さらに上記内ケース4の皿状の底壁部である保護枠4aは、その底面部の中央部に内鍋3の底壁部3aの温度を検知するサーミスタを内装した底センサー18のセンサー部嵌合口が形成されているとともに、同センサー部嵌合口の外周側上面にはドーナツ状の遮熱板8が設けられている。また、上端部4b上の環状ダクト9の外周部内側には、所定幅半径方向外方に張り出したフランジ状の段部が設けられ、この段部部分に上記上部側筒状壁部4cの下端側が係合載置されている。
【0051】
他方、同上部側筒状壁部4bの上端は、図示しない内枠部材を介して上記炊飯器本体側外ケース5上端の肩部材10側に連結して固定されている。
【0052】
また、上記内ケース4の上部側筒状壁部4bの外周には、炊飯および保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の側壁部3cの全周を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0053】
なお、符号11は、上記底ケース13の後部側に設けられている上記第1の送風ファン11A用の空気吸込口である。
【0054】
(蓋体の構成)
さらに、符号2は上述の蓋体であり、該蓋体2は、その最上面を構成するとともに、中央部の蒸気パイプ嵌合孔2f部分におねば戻し機能を有する蒸気パイプ(調圧ユニット)14を備えた合成樹脂製の外カバー2aと、該外カバー2aの外周部に嵌合一体化して設けられた同じく合成樹脂製の内カバー2bと、該内カバー2bの外周部内に設けられた内枠部材2cと、該内枠部材2cの内側に設けられた金属製の放熱板2dと、該放熱板2dの上面に設けられた蓋ヒータH2と、上記放熱板2dの下方側に設けられた金属製の内蓋2eとを備えて構成されている。
【0055】
また、放熱板2dの外周縁部下方および内蓋2eの外周縁部下方には、それぞれパッキンP1,P2が設けられており、内蓋2eは、パッキンP2を介して内鍋3の開口縁部3dの内側に傾斜した上面部に広く接触させられている。また、蒸気パイプ14には、下方側放熱板2dの蒸気導入口部から上方側外カバー2aの蒸気排出口14aに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路25が形成されている。そして、14cは、同蒸気排出通路25の調圧パイプ14b内の調圧弁(球体弁)、14dはその下方側の弁口部を有する筒状の弁座部、14eは同弁座部の下端に嵌合された調圧キャップである。
【0056】
この蓋体2は、上記外ケース5の後壁上部の肩部材10に対してヒンジ部(ヒンジ機構)を介して上下方向に回動自在に取付けられており、その開放端側(前端側)内周面には、該蓋体2に係合して当該蓋体2の上方への開放を係止する炊飯器本体1側ロック片17aのロック爪17bが係合する係合部2gが設けられている。
【0057】
そして、上記外ケース1の前壁5a側上部位置に設けられているロック機構アンロック操作部17のON操作によって、同ロック片17aのロック爪17bの蓋側係合部2gとの係合が解除されると、後述するコイルバネ40(蓋側係合片41aと本体側係合片41bを有する)の付勢力によって、上記蓋体2が自動的に上方に開かれるようになっている。
【0058】
また、符号16は、上記内鍋3内の温度および沸騰状態を検知する蓋センサ(蒸気センサ)である。
【0059】
この蓋センサ16は上記内蓋2eの開口部に蒸気通路16eを有した蒸気パイプ16cを嵌合するとともに、同蒸気パイプ16c内の蒸気通路16e内に上方側放熱板2d側に取付ホルダー16aおよび16dを介して取り付けられている温度センサ16bの先端を挿入する形で設けられている。この場合、上記同温度センサ16bは、図示のように上方から下方に向けて長く延びる軸体状のものよりなり、その先端側センサ部(温度検知部)が、上記内鍋3の開口縁部3dよりも内側に臨んで(侵入する形で)設けられている。
【0060】
一方、上記蓋体2の外カバー2aの前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル部20嵌合用の凹溝部2fが形成されており、同凹溝部2f部分に外カバー2aの外周面と連続する外周面を形成する形で操作パネル部20が嵌合されてカバーされるようになっている。
【0061】
該操作パネル部20は、例えば薄型のボックス構造(合成樹脂製)のものよりなり、上記凹溝部2f内に着脱自在に嵌合して収納されている。そして、その上部側部材の上方側中央部に液晶表示部21に対応する透明窓を有するとともに、その周囲には、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ、炊飯スイッチ、保温スイッチ、取消スイッチ、音声設定スイッチ、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定する炊飯メニュースイッチ、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ、火加減設定スイッチ、の各操作キー22a〜22i(図1および図3参照)が設けられている。
【0062】
一方、同操作パネル部20の内側には、上記各種スイッチのスイッチ部品およびそれら操作スイッチの操作状態等表示制御機能、上記第1,第2のワークコイルC1,C2、保温ヒータH1、蓋ヒータH2各々への通電制御機能を有するマイコン制御ユニット40を備えた第2の電気基板(マイコン基板)B2とともに液晶表示部21がそれぞれ上記操作パネル部20面(上部側部材の上面)に対して所定の相対角を有した状態で設けられている。
【0063】
また第2の電気基板(マイコン基板)B2は、上記操作パネル部20の全体に対応し、かつ上記液晶表示部21よりも下方側に位置して、上記操作パネル部20の前傾角よりも小さな前傾角を有して、上記操作パネル部20収納用の凹溝部2f内の底壁部上面側に設置されている。
【0064】
(制御回路部分の構成)
次に図3は、上述のように構成された電気炊飯器本体における炊飯メニューの選択設定、それに対応した火加減レベルの設定、音声ガイダンス機能における音声内容および音量の設定、炊飯予約時刻の設定、停電発生時の停電対応制御等を行う制御回路部分の構成を示す。
【0065】
この実施の形態の電気炊飯器の場合、もちろん上述した第1,第2のワークコイルC1,C2および保温ヒータH1、蓋ヒータH2等の出力を制御する出力制御用のマイコン制御ユニット40を中心として、AC電源側からの電源回路部に、整流平滑回路、第1,第2のワークコイルC1,C2、IGBT、チョークコイル、共振回路よりなるIH回路、DC電源回路、各種センサを用いた温度検出回路、入力電圧検出回路、IGBT駆動回路、入力電流検出回路、電源電圧のゼロクロス検出回路、保温ヒータ駆動回路、蓋ヒータ駆動回路、第1,第2,第3の送風ファン11A,11B,11Cのファンモータ駆動回路などを備えているが、それらについては図示を省略している。
【0066】
そして、図3では、本願発明に関係する構成要素として、制御周期等設定のためのメインクロック信号発生回路45a、時計表示用のクロック信号を発生するサブクロック信号発生回路45b、液晶表示部21用の画像データ、音声回路50駆動用の音声ガイダンスデータやメロディーおよび後述する常には変化しない制御データを記憶したバックアップ電源の不要な外部メモリ(RAM)46、停電時におけるマイコン(RTC回路およびバックアップRAM)バックアップ用のバックアップ電源BE、活電時におけるマイコン駆動用の電源回路41、リセット回路48、音声ガイダンスおよびメロディーを流す音声回路50等がそれぞれ設けられており、それらが各々図示のようにマイコン制御ユニット40に対して接続されている。
【0067】
また、同マイコン制御ユニット40には、さらに液晶表示部21、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ、炊飯スイッチ、保温スイッチ、取消スイッチ、音声設定スイッチ、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定する炊飯メニュースイッチ、時計及びタイマーの時刻時設定スイッチ、時計及びタイマーの時刻分設定スイッチ、火加減レベル設定スイッチ等の各種操作キースイッチ22a〜22iがそれぞれ接続されており、その操作内容、操作量に応じた電気信号が入力されるようになっている。
【0068】
マイコン制御ユニット40のマイコンには、例えば時計表示のためのリアルタイムクロック回路(RTC回路)43とバックアップRAM42が設けられており、停電時には、当該リアルタイムクロック回路43のバッテリーバックアップモードにより、当該マイコン制御ユニット40のリアルタイムクロック回路43およびバックアップRAM42以外の部分へのバックアップ電源BEからの電源の供給を全て停止し、可能な限りバックアップ電源BEの電力消費量を低減し、長寿命化を図る。
【0069】
リアルタイムクロック回路(RTC回路)43は、停電時においては、電源回路41を介して供給されるバックアップ電源BEからの電源により動作し、所定の発振周期の時計表示用サブクロック回路45bからのクロック信号を基に正確な時計表示を行う。
【0070】
バックアップRAM42は、少なくとも16バイトのバッテリーバックアップ領域を有しており、バッテリーバックアップモード時には、該16バイトのバックアップ領域にバックアップが必要な制御データを格納保持し、電源復帰時には、当該格納されていた制御データを用いて停電前の制御状態(例えば待機状態、炊飯予約状態、保温状態など)に戻して本来の制御を可能とする。
【0071】
この場合、該バックアップRAM42に格納すべき制御データとしては、例えば予約炊飯メニューに加えて、時間の経過に応じて常に変化するデータ、例えば炊飯中におけるタイマーの計時値、炊飯工程シーケンス(吸水、合数判定、昇温工程1、昇温工程2、炊き上げ1、炊き上げ2)、むらし時間、保温時間などが選ばれる。
【0072】
また、該バックアップRAM42の格納データを制御に使用する場合、当該格納されているデータが正しいものであるか否かををチェックする必要がある。そこで、この実施の形態では、上記16バイトのバックアップ領域の内、1/16〜15/16のNO1〜NO15領域をデータ記憶領域、残り1/16のNO16領域をNO1〜NO15領域のデータの合計値(サム値)を入れるチェックサム領域として使用するようにしている。
【0073】
そして、停電前に入れて置いたNO16領域のサム値と復電後におけるNO1〜NO15領域のデータ値の合計値とを比較し、それらが一致する場合にはNO1〜NO15領域のデータが正常、一致しない場合には正常でないと判定する。そして、正常でない場合には、それらNO1〜NO15領域のデータを全て初期化し、未設定の待機状態のデータに戻す。これにより、誤ったデータにより制御が継続されることを回避する。
【0074】
外部メモリ(RAM)46は、例えば所定ブロック単位での消去と書き込みが可能で、電源の供給が停止されても記憶データを保持することができるフラッシュメモリにより構成されており、例えば主たるブロック部分には、上述の液晶表示部21に表示される各種の画面データや音声回路50の駆動に必要な音声データ(ガイダンスデータ、メロディデータなど)が書き込まれている。
【0075】
一方、その他にも所定の空きブロックがあり、該空きブロックを利用して、上記16バイトのバックアップRAM42だけでは記憶し切れない制御データ、例えば時間の経過に応じて常には変化しないが、各炊飯タイミング毎に設定状態が変更される可能性のある音声ガイダンス機能における音声内容や音量レベル、タイマー予約炊飯時における予約時刻、炊飯メニュー、火加減レベルなどを記憶させる。
【0076】
この外部メモリ(RAM)46へのデータの書き込み、消去は、もちろん電源供給状態において行う必要があり、対応するブロックの消去を行った上でないと新たな書き込みを行うことはできない。また、書き込まれているデータの消去には、約0.5sec程度の時間がかかり、消去・書き込みのできる回数にも制約(約100万回)がある。
【0077】
したがって、経時的に常時変化するデータの記憶には不向きである。
【0078】
しかし、上述のように経時的に常時は変化しないデータの場合には、問題なく記憶させることができる。しかも、停電時にもバックアップ電源の供給を必要としないから、余分な電力を消費しない。
【0079】
この場合、当該外部メモリ(RAM)46に対して、常には変化しない情報を書き込む場合の書き込みタイミングとしては、例えば次のような方法が考えられる。これらにより、効率良く動作させることができる。
【0080】
(1) 異常情報
各センサに異常が発生した時に書き込む。
【0081】
(2) 炊飯メニュー、火加減レベル
炊飯キー22bを押し下げた時に、そのメニューが前回のメニューと異なっている時に書き込む。
【0082】
(3) 炊飯予約時刻
今回の予約確定時において、その予約時刻が前回の予約時刻と異なっている時に書き込む。
【0083】
(4) 音声内容、音量設定レベル
今回の音声内容・音量設定が確定した時において、前回のものと異なっている時に書き込む。
【0084】
(炊飯開始時の火加減等設定制御)
次に図4のフローチャートは、本実施の形態の炊飯開始時における火加減等設定制御の内容を示している。
【0085】
本実施の形態の場合、上述のように選択設定された所定の炊飯メニューに対応して、所望のレベルに火加減を設定できるようになっている。したがって、これら設定メニューに対応した火加減レベルも、停電時に対応してバックアップできるようにして置かないと、停電からの復帰時に再セットしなければならない。
【0086】
そこで、これら一旦設定されると、以後常には変化しないデータを、上述したマイコン40中のバックアップRAM42とは別の外部メモリ(RAM)46中に記憶させて保存するようにしている。
【0087】
すなわち、該制御では、先ず所定のメニュー(例えば白米炊飯コースなど)が選択され、上述した炊飯器本体1側の炊飯キー22bが押されると、制御を開始する。
【0088】
そして、先ずステップS1に進んで、上記今回選択されたメニューは、前回と同じメニューであるか否かを判定する。その結果、YESの時は、改めて火加減キー22iを操作して火加減を調節設定することなく(ステップS2の処理を行うことなく)、ステップS3に進んで、現在の選択メニューのみを上述したマイコン40のバックアップRAM42中に記憶させる。
【0089】
そして、その後ステップS4に進んで、炊飯を開始した時刻を同じくマイコン40のバックアップRAM42中に記憶させる。
【0090】
そして、それらの処理が終わると、実際に炊飯を開始し、順次吸水、合数判定、昇温、炊き上げ、追炊き、むらし等の工程を実行する。
【0091】
一方、上記ステップS1のメニュー内容の判定において、今回選択設定された炊飯メニューが前回選択設定された炊飯メニューと同じではない新たな炊飯メニューである場合(NOの場合)には、先ずステップS2に進んで、上述した火加減キー22iを用いて、改めて当該メニューに対応した所望の火加減レベルを調節設定し、同設定した火加減レベルを、上記マイコン40のバックアップRAM42とは別の例えばフラッシュメモリ等よりなる外付の外部メモリ(RAM)46中に記憶させる。
【0092】
そして、その上でステップS3に進んで、現在の選択メニューのみを上述したマイコン40のバックアップRAM42に記憶させる。
【0093】
そして、その後、ステップS4に進んで、炊飯を開始した時刻を同じくマイコン40のバックアップRAM42に記憶させる。
【0094】
そして、それらの処理が終わると、実際に炊飯を開始し、順次吸水、合数判定、昇温、炊き上げ、追炊き、むらし等の工程を実行する。
【0095】
このように、本実施の形態の電気炊飯器では、一旦使用した炊飯メニュー(前回のメニュー)と同メニューにおける好みの火加減レベル等をバックアップの必要なマイコン40内の内蔵バックアップRAM42とは別の一旦書き込むとバックアップの不要な外部メモリ(RAM)46中に記憶させて置き、仮に途中で停電であったとしても、何の影響もなく、そのまま次の回に利用できるようになっている。
【0096】
(タイマー予約炊飯時の予約設定制御)
この制御は、上述した予約キー22aを押し、次に時キー22g、分キー22hを押して炊飯開始予約時刻をセットすることによって開始される。
【0097】
そして、先ずステップS1で当該予約セット操作が確定したか否かを判定する。
【0098】
その結果、NOの未だ予約セット操作が確定していない時は、ステップS2に移って取消キー22dが押されて予約セットモード解除操作がなさたか否かを判定し、取消キー22dにより予約セットモードの解除操作がなされたYESの時は、ステップS3に進んで、それまでの予約キー22aのONによる予約セットモードを解除し、待機モードに戻る。
【0099】
他方、予約セットモードが解除されていないNOの時は、予約セット中であるから、ステップS1の予約セット確定判定動作にリターンし、同判定動作を継続する。
【0100】
一方、以上のような処理を経て、予約セット操作が確定(完了)したステップS1でYESの時は、ステップS4に進んで、今回セットされた炊飯予約時刻(〇時〇分)は、前回セットされた予約時刻(〇時〇分)に比べて変更されているか否かを判定し、変更されているYESの時は、ステップS5に進んで当該新たな予約時刻を、マイコン40内のバックアップRAM42ではなくて、外部のRAM46に記憶させる。
【0101】
そして、その上で、当該予約メニューのみをマイコン40内のバックアップRAM42中に記憶させる。そして、その後、タイマー予約炊飯モードに移行し、セットされた炊飯開始時刻の到来を待って炊飯を行う。
【0102】
他方、上記ステップS4の予約時刻の変更判定でNOと判定された予約セット時刻に変更がなかった場合には、上記ステップS5の処理を経ることなく、ステップS6に進んで、当該予約メニューをマイコン40内のバックアップRAM42中に記憶させる。そして、その後、タイマー予約炊飯モードに移行し、セットされた炊飯開始時刻の到来を待って炊飯を行う。
【0103】
このように、本実施の形態のタイマー予約炊飯モードでは、その予約時刻の設定に際し、それまでに記憶されている予約時刻データが新たに変更された場合には、マイコン40のバックアップRAM42ではなくて、外付の外部メモリ(RAM)46に記憶させるようにしている。
【0104】
そして、それによりバックアップRAM42の記憶容量が足りない場合にも対応できるようにしている。
【0105】
これにより、停電状態においても、設定された予約メニューをバックアップ電源BEによってバックアップ可能なバックアップRAM42に、また対応する予約時刻をバックアップ電源BEによるバックアップの不要な外部メモリ(RAM)46にそれぞれ記憶させて置くことができ、停電からの復帰時には、それらの記憶データを用いて適正なタイマー予約炊飯を行うことができる。
【0106】
(音声設定制御)
本実施の形態の電気炊飯器では、上述のようにメニュー設定、炊飯開始、炊飯終了等の音声ガイダンスを行う音声内容、音量レベルを選択調節する音声キー22eを備え、音声内容および音量レベルを調節設定することができる。
【0107】
したがって、一旦設定された、これら音声内容、音量レベルの設定データも停電時に記憶保持させて置く必要がある。そうでないと、停電復帰時にユーザーは改めて設定しなおさなければならない。
【0108】
そこで、本実施の形態では、新たな音声設定時において、前回までの音声、音量設定データと比較し、各々の設定レベルが変更されたか否かを判定し、変化がある場合には、上述の予約時刻の場合と同様に外部メモリ(RAM)46に記憶させることにより、停電時にも当該新たな音声、音量設定データを確実に保持させることができるようにしている。
【0109】
すなわち、該音声設定制御は、AC電源ONの待機状態において、上述した音声キー22eがON操作されることによって開始され、音声、音量レベルの設定操作がなされる。
【0110】
そこで、先ずステップS1で同音声設定操作が確定したか否かを判定し、YESの時は、ステップS3の当該確定された設定内容が前回の設定内容と比べて変化しているか否かの判定動作に進む一方、NOの時は、ステップS2に移って音声設定モード自体が解除されたか否かを確認し、NOの時(設定操作中)はステップS1で確定したことが判定されるまで、同動作を繰り返す。
【0111】
他方、YESの音声設定モードそのものの解除操作がなされた時は、ステップS6に進んで音声設定モードを解除した上で、待機モードに復帰する。
【0112】
一方、上記ステップS3において、上記ステップS1で確定された設定内容が前回の設定内容と比べて変化しているか否かを判定した結果、YESと判定された設定内容が変化している時は、ステップS4,S5に進んで当該新たな音声設定内容(ガイダンス内容、使用するメロディー)、音量設定レベルを、マイコン40内のバックアップRAM42ではなくて、外部メモリ(RAM)46に各々記憶させる。
【0113】
そして、その後、ステップS6で当該音声設定モードを解除した上で、待機状態に戻る。
【0114】
他方、上記ステップS3の変化判定でNOと判定された音声設定内容に変化がなかった場合には、上記ステップS4,S5の処理を経ることなく、ステップS6に進んで、音声設定モードを解除する。そして、その後、待機状態に戻る。
【0115】
このように、本実施の形態の音声設定モードでは、その音声、音量の設定に際し、それまでに記憶されているデータが新たに変更された場合には、マイコン40のバックアップRAM42ではなくて、外付の外部メモリ(RAM)46に記憶させるようにしている。
【0116】
そして、それによりバックアップRAM42の記憶容量が足りない場合にも適切に対応できるようにしている。
【0117】
その結果、停電からの復帰時にも、前回はもちろん今回新たに設定された音声、音量で音声ガイダンスを行うことができる。
【0118】
(停電時対応制御)
次に、図7のフローチャートは、上述のような内部バックアップRAM42および外部メモリ(RAM)46を利用したデータ設定制御を前提としてなされる停電時対応制御(停電から復帰した時の制御)の内容を示している。
【0119】
本実施の形態の場合、AC電源OFFの停電状態に対応するために、上述のように火加減レベル/音声/音量設定データやタイマー予約設定時刻など常には変化しないデータは、マイコン40に対する外付けメモリである外部メモリ(RAM)46に記憶保持される。
【0120】
他方、炊飯メニュー、工程シーケンス、炊飯タイマーや保温タイマーの経過時間、停電時刻、炊飯又は保温開始時刻等の常に変化するデータは、マイコン40内のバックアップRAM42中に記憶保存される。
【0121】
そして、それによって停電時にも確実に必要な設定データの全てを確実に保持できるようにしているとともに、マイコン40内のバックアップRAM42の記憶容量の不足に対応し得るようにしている(図4〜図6参照)。
【0122】
そこで、該制御では、先ず上記停電状態から復帰すると、ステップS1で、上記外部メモリ(RAM)46中の記憶データを読み出し、次にステップS2で、該読み出したデータ内容をバックアップRAM42へ展開する。
【0123】
次に、ステップS3に進んで、同バックアップRAM42へ展開された外部メモリ(RAM)46の記憶データの内容を当該バックアップRAM42中の空き領域(16バイト中の1バイト領域)を使用してチェックサム確認を行う(NO1〜NO15バイトの01を全て足して行く)。
【0124】
そして、その上でステップS4に進み、サム値(合計値)がOKであったか否かを判定する。
【0125】
その結果、OKであった時は、ステップS6に進んで、バックアップRAM42の記憶内容を同RAM42中に展開する。他方、NGであった時は、ステップS5でバックアップRAM42の記憶データを初期化した上で、ステップS6に進んでバックアップRAM42の記憶内容をRAM42中に展開する。
【0126】
そして、それぞれステップS7の停電前の状態の判定動作に進む。
【0127】
すなわち、ステップS7では、先ず停電前の状態が待機状態であったか否かを判定する。
【0128】
その結果、待機中であったYESの場合には、ステップS8に進んで待機動作の設定を行ない、元の待機モードに復帰する。
【0129】
他方、待機中でなかったNOの場合には、さらにステップS9に移って、停電前の状態が炊飯中であったか否かを判定する。
【0130】
その結果、YESの停電前の状態が炊飯中であった場合、続くステップS10,S11,S12で、順次バックアップRAM42に記憶されている停電前の炊飯メニュー、停電前の炊飯工程(例えば吸水、合数判定、昇温1、昇温2、昇温3、炊き上げ1、炊き上げ2、追い炊き1、追い炊き2、むらし1、むらし2など)、停電前の炊飯タイマー経過時刻をセットした後、ステップS13に進んで、上記停電が発生した時刻と現在時刻から停電していた時間を算出する。
【0131】
そして、ステップS14で、該算出された停電時間分の炊飯動作を行わせた後、続く本来の炊飯工程、炊飯モードに復帰させる。
【0132】
他方、待機中でも炊飯中でもなかったNOの場合には、さらにステップS15に移って、停電前の状態が保温中であったか否かを判定する。
【0133】
その結果、YESの停電前の状態が保温中であった場合、続くステップS16,S17,S18で、順次バックアップRAM42に記憶されている停電前の保温メニュー、停電前の保温工程(例えば保温1、保温2)、停電前の保温タイマー経過時刻をセットした後、ステップS19に進んで、上記停電が発生した時刻と現在時刻から停電していた時間を算出する。
【0134】
そして、ステップS20で、該算出された停電時間分の保温動作を行わせた後、続く本来の保温工程、保温モードに復帰させる。
【0135】
他方、待機中、炊飯中、保温中でもなかったステップS15でNOの場合には、さらにステップS21に移って、停電前の状態が炊飯予約中であったか否かを判定する。
【0136】
その結果、YESの停電前の状態が炊飯予約中であった場合には、続くステップS22に進んで、予約されているメニューをセットした上で、ステップS23で現在時刻が予約炊飯の開始時刻になっているか否かを判定する。
【0137】
その結果、YESの炊飯開始時刻になっている時には、予約炊飯モードに進んで炊飯を開始する。
【0138】
他方、NOの未だ炊飯開始時刻になっていない時には予約モードに復帰する。
【0139】
他方、待機中、炊飯中、保温中、予約中でもなかったステップS21でNOの場合には、さらにステップS24に移って、停電前の状態は予約炊飯中であったか否かを判定する。
【0140】
その結果、YESの停電前の状態が予約炊飯中であった場合には、続くステップS25S26,27に進んで、予約されているメニュー、停電前の炊飯工程(例えば吸水、合数判定、昇温1、昇温2、昇温3、炊き上げ1、炊き上げ2、追い炊き1、追い炊き2、むらし1、むらし2など)、停電前の炊飯タイマー経過時刻をセットした後、ステップS28に進んで、上記停電が発生した時刻と現在時刻から停電していた時間を算出する。
【0141】
そして、ステップS29で、該算出された停電時間分の炊飯動作を行わせた後、続く本来の予約炊飯工程、予約炊飯モードに復帰させる。
【0142】
(変形例)
なお、以上の実施の形態では、リアルタイムクロック回路(RTC回路)43を内蔵した汎用マイコンを用いて炊飯器用のマイコン制御ユニット40を形成したが、これは例えば図8に示すように、リアルタイムクロック回路を内蔵しない通常のマイコンに対して、同様のリアルタイムクロック回路43′を外付けすることにより構成することもでき、同様の機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0143】
1は炊飯器本体、3は内鍋、40はマイコン制御ユニット、42はバックアップRAM、43はリアルタイムクロック回路、46は外部メモリ(RAM)、C1,C2はワークコイル、BEはバックアップ電源である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、内鍋を加熱する内鍋加熱手段と、書き換え可能な第1のメモリを内蔵したマイコンよりなる炊飯器制御手段と、停電時におけるバックアップ電源とを備えてなる電気炊飯器において、上記炊飯器制御手段に対してバックアップ電源の不要な第2のメモリを設け、停電時に記憶させておくべきデータを、上記第1のメモリと第2のメモリに分けて記憶させるようにするとともに、停電時において、上記バックアップ電源には、上記炊飯器制御手段の第1のメモリのみをバックアップさせるようにしたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
記憶させるデータは、常に変化するデータと常には変化しないデータとに分け、常に変化するデータはバックアップ電源を必要とする第1のメモリに記憶させる一方、常には変化しないデータはバックアップ電源を必要としない第2のメモリに記憶させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
炊飯器制御手段としてのマイコンが、時計表示のためのリアルタイムクロック回路を備えたものよりなり、停電時には、そのバッテリーバックアップモードを利用して、当該リアルタイムクロック回路および上記第1のメモリ以外の部分への電源の供給を停止するようになっているこを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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