説明

電気物理層活動検出器

低電流差分信号活動検出器回路は、1組の差分入力線に付加されるより小さな差分信号を検出しつつ、同一の1組の差分入力線上の大きな同相信号を除去するように、構成され得る。前記検出回路は、トランスリニア・バッファを含み得る。前記トランスリニア・バッファは、前記バッファ入力および前記バッファ出力において前記差分入力信号によって駆動される。これにより前記検出回路の前記入力を駆動する前記差分信号は、前記バッファ出力デバイスを通じて半波整流され得、検出された出力を提供するようにフィルタリングされ得る。同相信号が付加されると、前記バッファの入力および出力は相互に追跡し合い、前記出力デバイス内において整流される電流は無く、これにより、同相信号は除去される。前記検出回路は、2つのバッファと共に構成することもできる。これらの2つのバッファの出力は、共通ノードに連結され、各バッファ入力は、前記差分入力信号のうちそれぞれ1つによって駆動される。これにより前記検出回路の前記入力を駆動する前記差分信号を、前記2つのバッファの前記出力デバイスを通じて全波整流することができ、検出された出力を提供するようにフィルタリングすることができる。前記2つのバッファは、対称構造で構成することができ、これにより、前記バッファの前記出力が共通ノードに連結された際に同相信号を除去することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にアナログ回路設計に係り、特に、小さな差分信号活動を検出しつつ大きな同相信号(コモン・モード・シグナル)の除去をすることが可能な、低消費電流である検出回路の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
メディア・オリエンテッド・システム・トランスポート(MOST)は光ファイバー・ネットワークであり、大量のデータの効率的な輸送を低コストで行うように構成されている。MOSTは典型的には低オーバーヘッドでありかつ低コストのインターフェースであるため、マイクロホンおよびスピーカなどの車両環境内の多様な周辺デバイスとの通信用途において利用されることが多い。全般的に、MOSTは同期ネットワークであり、この同期ネットワークにおいて、タイミング・マスターがクロック信号を同期連続データ信号と共に供給するが、その際、その他の全てのデバイスは動作をこのクロック信号と同期させている。その結果、バッファリングの必要性が無くなり、また、サンプルレート変換を行う必要も無くなるため、ネットワーク・インターフェース・ハードウェアの複雑性およびコストを最低限に抑えつつ、単純かつ廉価なデバイスを相互接続することが可能になる。
【0003】
公衆交換電話ネットワークの場合とほとんど同様に、MOSTシステムにより、複数のストリーミング・データ・チャンネルおよび制御チャンネルを同期ベース・データ信号に入れて輸送することが容易化される。制御チャンネルは典型的には、送信者と受信者との間のストリーミング・データ・チャンネルの設定において用いられる。送信者と受信者との間の接続が確立された後は、さらなるアドレッシングまたはパケット・ラベル情報処理を何ら行う必要無く、データを連続的に流すことが可能になる。ストリーミング・データ・チャンネルの帯域は専用ストリーム用に予約されて(かつ利用可能となって)いるため、データ・ストリーム輸送の割り込み、衝突または減速は発生しない。そのため、MOSTは、ストリーミング・データ(すなわち、視聴覚コンテンツなどの情報の連続的流れ)のデリバリーのための最適なメカニズムであることが多い。
【0004】
コンピュータ・ベースのデータ(例えば、インターネット・トラフィックまたはナビゲーション・システムからの情報)は、ショート(非同期)バーストで送信することで、パケットとして多数の異なる宛先へとリレーすることができる。このような信号に対応するために、MOSTは、制御チャンネルおよびストリーミング・データ・チャンネルに加えて非同期パケット・ベースのデータを送信するための効率的メカニズムを備えている。これらのメカニズムは、永久同期データ信号上で動作することが多いが、制御チャンネルおよびストリーミング・データ・チャンネルから完全に分離されたままであり、相互に干渉しない。
【0005】
MOST仕様は、アプリケーション部、ネットワーク部およびハードウェア部という3つの主要部分からなる。ハードウェア部は、可能な異なる物理層を備える。1つの可能な物理層として電気物理層(ePHY)が挙げられ、この電気物理層(ePHY)は、撚り線バス(すなわち、差分信号線)を備え得る。MOSTネットワークが起動(ウェークアップ)され得るのは、ePHY信号線上での活動(アクティビティ)が検出された際であり、このような起動(ウェークアップ)は、多様な様式で行うことが可能である。例えば、いくつかのMOST環境は、検出を行うために、ダイオード、フィルタおよび比較器と共に構成されている場合がある。しかし、このような構成は、同相信号の除去を(行うのが可能である場合でも)行うのに理想的に適合せず、また、理想的な電流量よりも多くの電流を消費する。そのため、このようなソリューションの場合、バス上の有効バス活動を示す所望の差分信号を同時検出することで所与のMOSTノードをウェークアップさせつつ、差分(ePHY)線上の大きな同相信号の除去をすることはできない。
【0006】
当業者にとって、このような先行技術を本明細書中に記載のような本発明と比較すれば、先行技術に関連する他の対応する問題が明らかである。
【発明の概要】
【0007】
極めて低い電流を用いる検出器回路(低電流検出[回路]とも呼ばれる)の多様な実施形態は、一対の差分入力線(例えば、MOST(メディア・オリエンテッド・システム・トランスポート)ePHY線)上の大きな同相信号の除去をし、かつ、より小さな差分通信信号は検出するように、動作可能である。前記[低電流]検出回路は、MOST環境において当該機能を行うために典型的に用いられる回路よりも、低レベル信号(例えば、電圧信号)の検出のためのより良いソリューションを提供することができる。例えば、今日のダイオード、フィルタおよび比較器を用いた検出回路の場合、典型的には、同相信号除去において問題があり、かつ、本明細書中記載の低電流検出回路の多様な実施形態よりもより多くの電流を使用する。
【0008】
一連の実施形態において、低電流検出器(または検出回路)は、トランスリニア・バッファを備え得る。前記トランスリニア・バッファは、バッファ入力およびバッファ出力において差分入力信号(例えば、MOST ePHY信号)によって駆動される。差分入力信号は、バッファ出力デバイスを通じて半波整流でき、検出された出力が得られるようにフィルタリングされ得る。同相信号が適用された場合、前記バッファの入力および出力は相互に追跡し合うので、出力デバイス中で整流される電流はゼロとなり得るので、これにより、優れた同相除去(コモン・モード・リジェクション)が提供される。
【0009】
一実施形態において、低電流回路は、MOST ePHY線として機能し得る撚り線バス上の活動(アクティビティ)を検出するように構成される。前記回路は、特定のビットレート(例えば、50Mbps)を有する信号を検出でき、100MHz〜400MHzの同相信号を特定のピーク・ツー・ピーク電圧まで(例えば、1Vのピーク・ツー・ピークまで)除去できる。一実施形態において、前記回路は、トランスリニア・ループを形成するように構成された一対のNMOSデバイスおよび一対のPMOSデバイスを備え得る。前記回路の第1のノードは、供給電圧(例えば、3.3V)と基準電圧(例えば、基準接地)との間の電圧レベルで存在するように、構成される。一連の実施形態において、前記第1のノードは、供給電圧と基準接地との中間の電圧レベルで存在するように、構成される。
【0010】
前記回路は、以下のような一連のさらなる所望の電圧レベルを入手するように、構成され得る。第2のノードにおいて生じた電圧は、第1のノードにおいて生じた電圧および第1のPMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧の和に等しくされる。第3のノードにおいて生じた電圧は、第2のノードにおいて生じた電圧と第1のNMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧との間の差に等しくされる。第4のノードにおいて生じた電圧は、第3のノードにおいて生じた電圧と第2のPMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧との間の差に等しくされる。前記回路は、第1のノードにおいて生じた電圧が、第4のノードにおいて生じた電圧および第2のNMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧の和とも等しくなり得るように、構成される。その結果、第1のPMOSデバイスにおいて生じたゲート/ソース電圧および第2のNMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧の和は、第1のNMOSデバイスにおいて生じたゲート/ソース電圧および第2のPMOSデバイス内において生じたゲート/ソース電圧の和と等しくなり得る。
【0011】
一連の実施形態において、第1の電流が、第2のノードにおいて構成され得る第1のPMOSデバイスのソース端子に付加でき、第2の電流が、第4のノードにおいて構成され得る第2のNMOSデバイスのソース端子に付加できる。そのため、4つのMOSデバイス全てのチャンネル幅およびチャンネル長さが同じであり、かつ第1の電流が第2の電流に等しい場合、第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイス内において生じた電流も第1の電流に等しくなる。そのため、トランスリニア・バッファを、第1のノードにおいて構成されたバッファ入力および第3のノードにおいて構成された低インピーダンスバッファ出力と共に得ることが可能になる。
【0012】
差分入力(例えば、MOST ePHYバス)からの2つの入力は、第1のノード(これは、第1のPMOSデバイスおよび第2のNMOSデバイスの各ゲート端子も共に連結し得る)に連結された第1の入力ノードと、第3のノード(これは、第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスの各ソース端子も共に連結し得る)に連結された第2の入力ノードとにおいて、それぞれ付加され得る。これらの入力上に同相信号が存在する場合、第2のPMOSデバイスおよび第1のNMOSデバイス内において生じた電流は一定のままにすることができる。なぜならば、第1のノードにおいて生じた電圧の変化は全て、第3のノードにおいて同一に追跡できるからである。換言すれば、第3のノードにおいて生じた電圧は、第1のノードにおいて生じた電圧に対して同一に変化し得る。従って、第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスの各ドレイン端子において生じた各電圧を不変のままにできる。
【0013】
一実施形態において、これらの電圧は、第1のNMOSデバイスのドレイン端子と供給電圧との間に接続された第1のレジスタと、第2のPMOSデバイスのドレイン端子と基準電圧(例えば、基準接地)との間に接続された第2のレジスタとによって、決定できる。より詳細には、(供給電圧から)第1のレジスタにおける電圧降下により、第1のNMOSデバイスのゲート端子において生じた電圧の値を決定でき、第2のレジスタにおける(基準電圧への)電圧降下により、第2のPMOSデバイスのゲート端子において生じた電圧を決定できる。電流が第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイス双方、したがって第1のレジスタおよび第2のレジスタ内を流れる場合、この電流の値は、第1の電流に等しく、各レジスタにわたる電圧降下も、第1の電流をレジスタの各値で乗算した値と等しい。加えて、第1のキャパシタンスを第1のレジスタの端子にわたって結合させることができ、第2のキャパシタンスを第2のレジスタの端子にわたって結合させることができ、これにより、フィルタとして機能することが可能な各抵抗負荷/容量性負荷を形成することができる。
【0014】
差分入力信号が検出回路の第1の入力および第2の入力に付加されると、第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイス双方は、そのそれぞれのドレイン端子を通じてそのそれぞれの抵抗負荷/容量性負荷へと流れる電流のスパイクを受け取り得る。これらの電流スパイクは一方向にしか流れないため、フィルタリングされると、第1のNMOSデバイスのドレイン端子において各DC電圧をそして第2のPMOSデバイスにおいて各DC電圧を生成し得る。ここで、これら2つのDC電圧は同一の値であり、差分入力電圧のサイズに比例する。従って、同相信号入力は、第1のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスの各ドレイン端子において除去することができ、一方、差分信号は、同一の各ドレイン端子において電圧が上昇するように整流することができる。
【0015】
別の実施形態において、検出回路は、第1の入力および第2の入力を含む差分入力を有し、出力信号を提供するように構成された出力を有し、その出力信号は、前記差分入力上の差分信号活動を示す。前記検出回路は、その第1の入力に連結された入力を有する第1のバッファと、その第2の入力に連結された入力を有する第2のバッファとを備え得る。第1のバッファは、その出力を提供するように構成された出力デバイスを含み、第2のバッファは、その出力を提供するように構成された出力デバイスを含み、第1のバッファの出力および第2のバッファの出力は、共通の(第1の)ノードに連結される。前記検出回路は、負荷回路をさらに含み、第1のバッファの出力デバイスおよび第2のバッファの出力デバイスは、前記検出回路の差分入力に存在する差分信号を十分に整流し、十分に整流された第1の信号を生成するように構成され、前記負荷回路は、前記検出回路の出力信号が得られるように前記十分に整流された第1の信号をフィルタリングし、これにより、前記検出回路の差分入力において差分信号活動があるか否かを示す。
【0016】
本発明の上記および他の目的、機能および利点は、以下の発明を実施するための形態を添付図面と共に参照すれば、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】差分入力線上の大きな同相信号の除去をし、かつ、より小さな差分信号を検出する低電流検出回路の一実施形態を示す。
【図2】差分入力線上の大きな同相信号の除去をし、かつ、より小さな差分信号を検出する低電流検出回路の別の実施形態を示す。
【図3】図2の低電流検出回路と共に用いることが可能であり、この較正回路により前記低電流検出回路の較正が可能になる、較正回路の一実施形態を示す。
【図4】較正能力を有する、図2の低電流検出回および図3の較正回路と共に構成される検出回路の一実施形態を示す。
【図5】1組の入力信号の電圧波形と、前記入力信号が本発明の原理に従って設計された低電流検出回路の一実施形態の差分入力に付加された場合に結果として得られる出力の電圧波形とを示す。
【0018】
本発明は多様な改変および代替の形態を受け入れることが可能であるが、図面中、本発明の特定の実施形態を例示目的のために示し、本明細書中詳細に説明する。しかし、本発明の図面および詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図しておらず、それどころか、その意図は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の意図および範囲内に収まる全ての改変、均等物および代替例を網羅することであることが理解されるべきである。標題はひとえに整理目的のためのものであり、記載または請求項を限定または解釈するために用いられることを意図していない点に留意されたい。さらに、本出願全体において、「〜得る」という言葉は、許容的意味合い(すなわち、可能性がある、可能である)で用いられるものであり、強制的意味合い(すなわち、〜なければならない)ではない点に留意されたい。「含む」という言葉およびその派生語は、「含むが、これに限定しない」ということを意味する。「接続される」という用語は、「直接的または間接的に接続される」ということを意味し、「連結される」という用語は、「直接的または間接的に接続される」ということを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中用いられる場合「構造型」とは、個々の抵抗素子または所与のプロセスにおいて集積回路上に実装されたレジスタの物理的構造を指す。例えば、所与のCMOSプロセスにおいて、レジスタを、多様な構造型(例えば、n拡散、p拡散、nウェル、pウェル、ピンチnウェル、ピンチpウェル、ポリシリコンおよび金属を含み得る)のうちの1つとなるように実装することができる。集積回路上で構成する場合、単一の「抵抗」を単一のレジスタとして、または各個々のレジスタは異なる構造型であってもよい2つ以上の共に接続されたレジスタとして構築すればよい。2つ以上のレジスタで構築される場合、抵抗の公称値は、当該抵抗を構成するレジスタの公称値の和と等しくてもよい。「レジスタストリング」とは、直列接続された抵抗を指し、これらの抵抗の端子において接続タップが利用可能である。同様に、「キャパシタンス」とは、単一のコンデンサとしてまたは2つ以上の共に接続されたコンデンサとして構築され得る。2つ以上のコンデンサで構築される場合、キャパシタンスの公称値は、当該キャパシタンスを構成するコンデンサの公称値の和に等しくすることができる。
【0020】
さらに、本明細書中用いられる場合「トランスリニア・ループ」という用語は、非線形デバイス(例えば、電圧対電流の関係が非線形であるデバイス(例えば、トランジスタデバイス))を備える回路を指し、これらの非線形デバイスは、入力内に流れる入力電流および出力内に流れる出力電流の相互関係が線形になるような入力および出力を有する回路を形成するように、構成される。換言すれば、トランスリニア・ループは、構造の出力電流および構造の入力電流に関連する線形伝達関数により、当該構造の出力電流を入力電流を用いて線形制御され得るような構造に配置された非線形デバイスを備え得る。従って、トランスリニア・ループを、個々に非線形の電圧対電流特性を示すデバイス(例えば、CMOSトランジスタ・デバイス)を備える線形電流モード回路とみなすことができる。
【0021】
図1は、差分入力線150および152に付加されるより小さな差分信号を検出しつつ、同一の組の差分入力線150および152上の大きな同相信号の除去をするように動作可能な低電流検出回路100の一実施形態を示す。このように構成されると、回路100は、撚り線バス上の活動を検出(例えば、MOSTネットワークのePHY(電気物理層)線上の活動を検出)し、MOSTネットワークをウェークアップさせるように、動作することができる。回路100は、特定のビットレート(例えば、50Mbps)を有する信号を検出するように構成可能であり、第1の特定の周波数(例えば、100MHz)〜第2の特定の周波数(例えば、400MHz)で、最高特定のピーク・ツー・ピーク電圧(例えば、1Vピーク・ツー・ピーク)までの同相信号の除去をなし得る。
【0022】
一実施形態において、前記回路は、図1に示すようなトランスリニア・ループを形成するように構成された第1のトランジスタ(例えば、PMOSデバイス110)、第2のトランジスタ(例えば、NMOSデバイス112)、第3のトランジスタ(例えば、NMOSデバイス118)および第4のトランジスタ(例えば、PMOSデバイス120)を備え得る。回路100の第1のノード130は、供給電圧Vdd(例えば、3.3V)と基準電圧信号(例えば、基準接地)との間の電圧レベルにおいて存在するように、構成され得る。図1に示す実施形態において、第1のレジスタ104および第2のレジスタ106のそれぞれの値は、ノード130において所望の電圧を生じさせるように指定され得る。ノード130は、供給電圧Vddと基準接地とのおよそ中間に存在するように、設定され得る。回路100への差分入力信号は、入力ノード150および152において付加され得、入力ノード150および152は、それぞれコンデンサ102および126を介してノード130および136にそれぞれ連結され得る。NMOSデバイス118およびPMOSデバイス120はそれぞれ、そのそれぞれのドレイン端子において付加されるそれぞれの負荷回路を持ち得る。例えば、コンデンサ124に並列接続されるレジスタ116は、VddとNMOSデバイス118のドレイン端子との間の負荷回路となり得、コンデンサ128に並列接続されたレジスタ122は、PMOSデバイス120のドレイン端子と基準接地との間の負荷回路であり得る。1組の実施形態において、回路100の出力154は、PMOSデバイス120のドレイン端子において構成され得る。別の実施形態において、NMOSデバイス118のドレイン端子(レジスタ116およびコンデンサ124を備え得る負荷回路への連結)は、入力In150およびInx152における差分入力信号の存在も示すことができるため、回路100の出力154は、NMOSデバイス138のドレイン端子において同様に構成され得る(ただし、このような構成が所望される場合)。
【0023】
回路100は、一連の所望の電圧レベルを以下のようにして入手するように、構成可能である。第2のノード132において生じた電圧は、第1のノード130において生じた電圧および第1のPMOSデバイス110において生じたゲート/ソース電圧(VGS)の和に等しくてもよい。第3のノード136において生じた電圧は、第2のノード132において生じた電圧と、第1のNMOSデバイス118内において生じたVGSとの差に等しくてもよい。第4のノード134において生じた電圧は、第3のノード136において生じた電圧と、第2のPMOSデバイス120内において生じたVGSとの間の差に等しくてもよい。回路100は、第1のノード130において生じた電圧が第4のノード134において生じた電圧と第2のNMOSデバイス112内において生じたVGSとの和にも等しくなるように、さらに構成してもよい。その結果、第1のPMOSデバイス110において生じたVGSと第2のNMOSデバイス112において生じたVGSとの和を、第1のNMOSデバイス118において生じたVGSと第2のPMOSデバイス120において生じたVGSとの和に等しくなり得る。
【0024】
第1の電流源108は、第1の電流I1を第1のPMOSデバイス110のソース端子に付加するように構成されてもよく、第2の電流源114は、第2の電流I2を第2のNMOSデバイス112のソース端子に付加するように構成可されてもよい。.従って、4つのMOSデバイス(すなわち、デバイス110、118、120、および112)全てのチャンネル幅(W)およびチャンネル長さ(L)が同一であり、かつI1がI2に等しい場合、第1のNMOSデバイス118内において生じた電流の大きさ、第2のPMOSデバイス120内において生じた電流の大きさは、どちらもI1に等しい。そのため、トランスリニア・バッファを第1のノード130において構成されたバッファ入力および第3のノード136において構成された低インピーダンスバッファ出力と共に得ることができる。同相信号が入力端子150および152上に存在する場合、第1のノード130において生じた電圧の変化を第3のノード136において同じように追跡することができるため、第2のPMOSデバイス120内および第1のNMOSデバイス118内において生じた電流は一定のままにすることができる。換言すれば、第3のノード136において生じた電圧は、第1のノード130において生じた電圧と同じように変化し得る。従って、第1のNMOSデバイス118および第2のPMOSデバイス120のそれぞれのドレイン端子において生じたそれぞれの電圧を不変のままとなり得る。
【0025】
従って、図1に示す実施形態における電圧関係を以下の電圧方程式によってまとめることができる。
(1)V132=V130+VGS110
(2)V136=V132−VGS118=V130+VGS110−VGS118
(3)V134=V136−VGS120=V130+VGS110−VGS118−VGS120
(4)V130=V134+VGS112
上記式から、以下が成り立つ。
(5)VGS110+VGS112=VGS118+VGS120
上記式において、Vxは、ノード「x」において生じた電圧を表し(例えば、V130は、ノード130において生じた電圧を表し)、VGSxは、MOSデバイス「x」において生じたゲート/ソース電圧を表す(例えば、VGS110は、PMOSデバイス110において生じたゲート/ソース電圧を表す)。
【0026】
撚り対線からの入力(例えば、MOSTネットワークにおけるePHY入力)は、差分入力In150およびInx152として構成することができ、In150はコンデンサ102を介してトランスリニア・バッファの入力130に連結され、Inx152はコンデンサ126を介してトランスリニア・バッファの出力136に連結される。上述したように、同相信号が入力In150およびInx152に付加された場合、V130の変化と共にV136も同一に変化し得るため、NMOSデバイス118およびPMOSデバイス120内において生じた電流は一定のままの状態にすることができる。ノード138および154において生じたそれぞれの電圧(ここで、ノード154は電流検出回路100の出力も示す)は、以下の電圧において不変のままの状態にすることができる。
(6)V138=Vdd−I108*R3、および
(7)V154=I108*R4
ここで、I108は、電流108の値(すなわち、I1)を表し、R3およびR4は、それぞれレジスタ116および122を表す。
【0027】
そのため、差分信号が入力In150およびInx152に付加されると、NMOSデバイス118およびPMOSデバイス120はどちらも、そのドレイン端子からそのそれぞれのドレイン抵抗/容量性負荷回路(これら回路は、レジスタ116およびコンデンサ124と、レジスタ122およびコンデンサ128とをそれぞれ含む)へと流れる電流スパイクを受け取ることができる。しかし、これらの電流スパイクは一方向にしか流れないため、フィルタリングを受けると、ノード138においてDC電圧V138をそしてノード154においてDC電圧V154を生成し得る。DC電圧V138およびDC電圧V154はそれぞれ、差分入力電圧のサイズに比例させることができる。その結果、ノード138および154における電圧増加を引き起こす差分信号を整流しつつ、ノード138および154において同相信号入力を除去することが可能になる。そのため、回路100は、ノード154において設けられた検出信号により同相信号を同時に除去しつつ、入力In150と入力Inx152との間に付加された小さな差分入力を検出するように動作し得る。
【0028】
検出回路100は非対称構造であるため、入力In150におけるインピーダンスおよび入力Inx152におけるインピーダンスを相互に異なっていてもよい。そのため、場合によっては、これら2つの入力インピーダンスの間の実際の差に応じて、データ伝送時において検出回路100を通じてエラーが発生する可能性が出てくる。しかし、より対称な構造を設計することで、差分入力において見られるそれぞれの入力インピーダンスの差から発生し得るデータ伝送エラーの可能性を回避することができる。図2は、本発明の原理に従って設計された低電流活動検出器の別の実施形態を示す。図1に示す実施形態中における単一のバッファを用いたアプローチの代わりに、2つのバッファを用いて検出回路200を実装して、より対称な構造にすることができる。従って、検出回路200を、そのそれぞれの差分入力において整合インピーダンスを有するように構成することができる。
【0029】
図2に示すように、検出回路200は、トランジスタ・デバイス204、206、208および210を備え得る第1のバッファと、ランジスタ・デバイス216、218、220および222を備え得る第2のバッファと共に構成することができる。検出回路200の差分入力In250およびInx252は、コンデンサ202を介して第1のバッファの入力238に、そしてコンデンサ203を介して第2のバッファの入力246にそれぞれ連結することができる。これら2つのバッファのそれぞれの出力を共に結んで、図示のようなノード242を形成することができる。1組の実施形態において、出力ノード254と第1の電圧基準(例えば、基準接地)との間で連結されたレジスタ228およびコンデンサ230を備える抵抗/容量性負荷回路により、トランジスタ210および218のそれぞれのドレイン端子を検出回路200の出力Out254を形成するように共に連結することができる。別の実施形態において、検出回路200の出力Out254は、出力ノード254と供給電圧(例えば、供給電圧Vdd)との間に連結されたレジスタ228およびコンデンサ230を備えるものと同様に、トランジスタ208および216のそれぞれのドレイン端子を抵抗/容量性負荷回路と共に連結することにより、形成することができる。
【0030】
負荷回路は、以下にさらに説明するように、平滑化フィルタとして機能することができる。ノード238においてVrefの値を有する電圧を確立するように、第1のレジスタ234を特定の第2の基準電圧Vrefとノード238との間に連結することができる。同様に、ノード246においてVrefの値を有する電圧を確立するように、第2のレジスタ232を基準電圧Vrefとノード246との間に連結することができる。1組の実施形態において、Vddの値の半分の値を持つようにVrefを指定することができる。最後に、電流源212、214、224および226は、それぞれの電流を図示のようにトランジスタデバイス204、206、220および222のそれぞれのドレイン端子に供給するように、構成することができる。検出回路200は、以下にさらに説明するように、検出回路200の較正が可能なように、スイッチSW1〜SW6と共に構成することができる。検出回路200の通常動作時は、スイッチSW1〜SW6は、図2に示すような位置にあるものと仮定される。
【0031】
検出回路200は、検出回路100の動作原理と同様の原理に従って動作することができる。上述したように、差分入力In250およびInx252は、MOST ePHYバス線を表し得、例えば、ノード238および256に連結され得る。ノード238および256は、やはり上述したように、2つのバッファのそれぞれの入力に対応することができる。
【0032】
同相信号での動作
【0033】
以下、同相信号(例えば、同相電圧信号)が入力In250およびInx252に付加された場合(すなわち、各入力における信号(およびよって各入力における電圧)が任意の時点において同一の値を有する場合))の検出回路200の動作について説明する。しかし、簡潔にするために、検出回路200は対称構造であるため、検出回路200の片側(この場合、In250によって駆動される側)の動作について説明すれば十分である。従って、検出回路のInx252によって駆動される側も同様に動作し、これにより、検出回路200の全体的動作が得られる。従って、(回路200の各側にある)以下の構成要素対を相互に対応するものとしてみなすことができる(すなわち、NMOSデバイス204および220、NMOSデバイス208および216、PMOSデバイス206および222、PMOSデバイス210および218、電流源212および224、電流源214および226、ならびにレジスタ234および232)。従って、当業者であれば、検出回路200の片側に含まれる構成要素のうち任意のものの動作は、検出回路200の他方側に含まれる対応する構成要素の動作と同一であり得ることを理解するであろう。
【0034】
1組の実施形態において、第1の電流I1は、電流源212によってNMOSデバイス204へ提供され得、第1の電流I1に等しい値を有する第2の電流I2は、電流源214によってPMOSデバイス206へ提供され得る。ノード238および246において電圧レベルVrefが確立された場合、レジスタ234およびレジスタ232内を流れる電流は無くなる。NMOSトランジスタ204および208は、チャンネル幅対チャンネル長さの比(W/L)が同一になるように構成され得、PMOSトランジスタ206および210も、チャンネル幅対チャンネル長さの比が同一になるように構成され得る。その結果、I1がI2と同じ大きさである場合、NMOSデバイス204およびPMOSデバイス206ならびにNMOSデバイス208およびPMOSデバイス210内を流れる電流は、同じ大きさ(この場合、I1)であり得る。そのため、ノード240において生じた電圧(V240)は、共に結ばれているNMOSデバイス204のゲート端子およびドレイン端子により、VrefおよびVGS204の和(これは、NMOSデバイス204において生じたゲート/ソース電圧である)に等しくなり得る。ノード242において生じた電圧(V242)は、V240とVGS208との間の差(これは、NMOSデバイス208において生じたゲート/ソース電圧である)に等しい値を有し得る。換言すれば、ノード242において生じた電圧(V242)は、Vrefに等しくてもよい。
【0035】
上述したように、検出回路200は対称構造であるため、Inx252によって駆動される前記回路の側に同一の分析を行うことができ、その結果、NMOSデバイス216および220ならびにPMOSデバイス218および222を通じて流れる同一の大きさの電流(この場合、I3)を通じて、ノード242においてVrefを維持することができる(ただし、I4がI3と同じ大きさの電流である場合)。トランジスタデバイス208、216、210および218のソースは共に結ばれているため、検出回路200中を流れる差分電流は無く、PMOSデバイス210およびPMOSデバイス218からのそれぞれの電流は、結果的にレジスタ228を通って基準接地へと流れるDC電流(この場合、I1+I3)となり得、これにより、出力ノード254における電圧は不変となる。従って、検出回路200は、同相信号を除去するように動作し得る。
【0036】
差分信号での動作
【0037】
以下、差分信号がIn250およびInx252に付加された場合の検出回路200の動作について説明する。換言すれば、In250に付加される信号(例えば、電圧信号)は、Inx252に付加される信号と異なる大きさであり得る。この例において、In250における信号をInx252における信号よりも高いものと仮定する。In250における信号レベルがInx252における信号レベルよりも高くなった場合、NMOSデバイス208のゲート端子(すなわち、ノード240)における電圧およびPMOSデバイス210のゲート端子における電圧がどちらとも上昇し得、NMOSデバイス216のゲート端子(すなわち、ノード244)における電圧レベルおよびPMOSデバイス218のゲート端子における電圧レベルはどちらも低下し得る。その結果、電流inNMOSデバイス208内の電流が上昇し、PMOSデバイス210内の電流が低下し、NMOSデバイス216内の電流が低下し、PMOSデバイス218内の電流が上昇し、その結果、電流がNMOSデバイス208からPMOSデバイス218へとさらに流れ、ノード254を通じてレジスタ228内へと流れ込む。NMOSデバイス208およびPMOSデバイス218内における電流上昇は、NMOSデバイス216およびPMOSデバイス210内における電流低下よりも高くなり得、その結果、Out254における電圧は、差分入力信号のレベル(すなわち、差分入力信号レベル)に応じて変化する。レジスタ228およびコンデンサ230を備える抵抗/容量性負荷は、Out254における出力信号の変化をフィルタリングするように動作し得、これにより、In250およびInx252における差分信号活動の検出の間一定のDC電圧が得られる。
【0038】
上述したように、検出回路200は構造が対称であるため、検出回路200は、差分信号に起因してInx252における電圧がIn250における電圧よりも高くなった場合、今まで述べてきたような様態と同様の様態で動作することができる。Inx252における信号レベルがIn250における信号レベルよりも高くなった場合、NMOSデバイス216のゲート端子(すなわち、ノード244)における電圧と、PMOSデバイス218のゲート端子における電圧とはどちらとも上昇し得、NMOSデバイス208のゲート端子(すなわち、ノード240)における電圧レベルと、PMOSデバイス210のゲート端子における電圧レベルとはどちらとも低下し得る。その結果、NMOSデバイス216内の電流が上昇し得、PMOSデバイス218内の電流が低下し得、NMOSデバイス208内の電流が低下し得、PMOSデバイス210内の電流が上昇し得、その結果、電流がNMOSデバイス216からPMOSデバイス210へと流れ、ノード254を通じてレジスタ228内へと流れ込む。NMOSデバイス216およびPMOSデバイス210内での電流上昇は、NMOSデバイス208およびPMOSデバイス218内での電流低下よりも高くなり得、その結果、Out254における電圧は、差分入力信号に応じて変化する。
【0039】
そのため、検出回路200は、2つのバッファを用いて差分入力信号を十分に整流し、同相信号を除去しつつ(すなわち、同相信号が差分入力に付加された場合に検出信号を生成せずに)検出回路の入力における差分信号活動を示す検出信号を提供するように、動作することができる。図1からの検出回路100とは対照的に、検出回路200は、同一差分信号に対してより高い出力電圧振幅を生成し得、また、差分入力In250およびInx252における整合インピーダンスに起因して、データ伝送の間のエラーを無くし得る。しかし、検出回路200の構造を対称でありかつ整合トランジスタデバイスおよび電流源を含む物として特徴付けてきたが、製造の間において完全に整合した構成要素を達成するのは困難な場合がある点に留意されたい。そのため、同相信号が入力In250およびInx252に付加された際、Out254における出力電圧は、完全に不変の状態ではない場合がある。その場合、入力In250およびInx252に付加された差分信号が無い場合でも、入力In250およびInx252における差分活動を示すOut254が発生する場合がある。
【0040】
製造プロセスから発生し得る任意の構成要素の不整合を修正するための1つの可能なソリューションとして、使用前に検出回路200を較正する方法がある。図3は、較正回路300を示す。較正回路300を検出回路200のスイッチSW1〜SW6と共に用いて、検出回路200を較正することができる。1組の実施形態において、検出回路200の出力を(図3に示すように)較正回路300の入力に連結して、図4に示すような検出回路400を得ることができる。従って、ここで、検出回路400は、検出回路200および較正回路300を含むことができ、較正回路300の出力は、検出回路400の実際の検出出力となることができる。このようにして、各検出回路を製造し、システムにおいて構成し、システム電源を入れる前に毎回較正するかまたは通常動作時において必要に応じて定期的に較正することができ、これにより、現在のシステム条件に適合して、システム条件に関係無く動作を正確にすることができる。
【0041】
前記検出回路の較正は、以下のようにして行うことができる。内部に検出回路400が構成されたシステムの電源を入れた後、検出回路200内のスイッチSW1〜SW6の極性を、図2に示す位置から変化してもよい。そのため、スイッチSW1、SW2、SW4およびSW5を開き、スイッチSW3およびSW6を閉じ、入力In250およびInx252における信号がノード238および246にそれぞれ結合することを回避してもよい。換言すれば、上述したスイッチの極性を変化させることにより、In250およびInx252において存在し得る同相入力信号または差分入力信号を全てノード238および246からそれぞれ結合解除する。その結果、ノード238およびノード246を強制的にVrefに等しい電圧レベルで存在させ得る。検出回路200内の構成要素が不整合である場合(例えば、NMOSデバイス204がNMOSデバイス208と同じW/Lを持っていない場合、電流源212および214が完全に同じ電流を提供していない場合など)、トランジスタ・デバイス208、210、216および218のゲートにおける電圧レベルは同一にすることができず、上述した検出回路200の差分信号動作毎に、電流がノード242にわたって1つのバッファから他方のバッファへと流れ得る。ただし、この場合、影響を受けるトランジスタ・デバイスのうちのいずれかのゲートにおける電圧変化は、In250とInx252との間の電圧差に起因するのではなく、構成要素の不整合により検出回路200の構造に発生した非対称に起因する。その結果、名目上は同相信号がノード238および246に付加された場合でも、Out254において電圧変化が発生し得る。
【0042】
続いて、較正回路300内のスイッチの極性を図3に示す位置から変更した場合(すなわち、スイッチSW7およびSW8を閉じ、スイッチSW9を開いた場合)、コンデンサ304をOut254において生じた電圧まで充電し得る。あるいは、同じ結果を得るために、較正回路300内のスイッチの極性を、検出回路200内のスイッチの極性の変更の前または検出回路200内のスイッチの極性の変更と同時に、図3に示す位置から変更してもよい。コンデンサ304をOut254における電圧レベルまで充電した後、スイッチSW7およびSW8を再度開いてもよく、その後、スイッチSW9を閉じてもよく、その結果、Out254に現れた電圧をコンデンサ304上に保存する。その後、検出回路200内のスイッチを再度図2に示す位置に変更してもよく、検出回路400は通常の動作を開始し得る。コンデンサ304において保存された電圧は、入力In250およびInx252における入力信号が無い場合に静止電流がR3内に流れた結果出力Out254において発生し得る「静止電圧」を表す。この静止電圧は、検出回路200内部の構成要素が完全に整合していない場合にも、さらに影響を受け得る。通常動作時においてこの静止電圧を検出200の出力から減算することにより、検出信号からエラーを無くすことができる。図3に示すように、通常動作時において、コンデンサ304上に保存された静止電圧を回路302を用いて検出回路200の出力から減算することができ、その後、回路302の出力を検出回路400の出力において用いて、入力線In250およびInx252上の差分信号活動を示すことができる。
【0043】
1組の実施形態において、In250およびInx252に連結された信号線上の信号活動として検出回路400によって検出され得る最低レベルの差分信号または電圧を決定し得るビルトイン・オフセットまたは閾値電圧を回路302内に付加することにより、検出回路400の感度も指定することができる。例えば、回路302は、Out254における信号レベルがコンデンサ304上に保存された静止電圧と特定の閾値電圧との和に等しい合計電圧を上回った場合のみに、その検出出力のトグルを開始するように構成することができる。例えば、閾値電圧を100mVに設定してもよく、その場合、検出回路400は100mVよりも低い差分信号は検出せず、これにより、In250およびInx254に連結された差分信号線上の特定量のノイズを許し、このようなノイズは、これらの信号線上の有効信号活動として検出されなくなる。
【0044】
図5は、図1に示す低電流検出回路100に入力信号が付加された場合の1組の入力信号502および504の電圧波形と、その結果得られた出力の電圧波形510とを示し、本発明の原理に従って設計された低電流検出回路の少なくとも一実施形態の動作の一例を示す。図5中の出力波形510によって示すように、同相信号502(この場合、1Vのピーク・ツー・ピーク同相モードの電圧)が検出回路100の入力In150に付加され、同一の同相信号504が検出回路100の入力Inx152に付加された場合、検出回路100の出力Out154は、その電圧レベルにおいて顕著な変化を示さず、そのため、同相信号を除去する。電圧波形506および508に示すように差分信号を同相信号に付加した後、検出回路の出力は上昇し、一定レベルに留まり、その間、差分信号活動が入力In150およびInx152上に存在している。その結果、差分信号活動の存在が示される。
【0045】
上記の実施形態についてかなり詳細に説明してきたが、他のバージョンも可能である。当業者にとって、上記開示を深く理解すれば、多数の変更および改変が明らかである。以下の請求項は、このような変更および改変を全て包含するものとして解釈されることが意図される。本明細書中用いられる標題はひとえに整理目的のためのものであり、本明細書中記載の説明または本明細書に添付されている請求項を限定することを意味していない点に留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差分信号活動を検出する検出器であって、
第1の入力および第2の入力を含む差分入力と、
前記検出器の出力信号を生じる出力にして、前記出力信号は前記差分入力の差分信号の活動を示している、出力と、
前記検出器の前記第1の入力に連結された入力を有するバッファにして、前記バッファは前記バッファの出力を提供するように構成された出力デバイスを含み、且つ、前記バッファの前記出力は前記検出器の前記第2の入力に連結されている、バッファと
を備え、
前記バッファの前記出力デバイスは、前記差分入力において存在する差分入力信号を半波整流して半波整流された第1の信号を生成するように、構成され
前記検出器は、前記出力信号を生成するように、前記半波整流された第1の信号をフィルタリングするように構成されて成る、
検出器。
【請求項2】
前記バッファの前記入力および前記バッファの前記出力は、同相信号が前記検出器の前記差分入力に付加された際に、前記バッファの前記入力に生じる入力電圧を追跡する入力電圧を前記バッファの前記出力に有するように構成されて成る、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記差分入力は、撚り対線バス上の差分信号活動を検出するように前記撚り対線バスに連結される、請求項1に記載の検出器。
【請求項4】
前記バッファは、第1のNMOSデバイスおよび第2のNMOSデバイスと、第1のPMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスとを備え、前記バッファの前記出力デバイスは、前記第1のNMOSデバイスおよび前記第1のPMOSデバイスを備える、請求項1に記載の検出器。
【請求項5】
前記第1のNMOSデバイス、前記第2のNMOSデバイス、前記第1のPMOSデバイスおよび前記第2のPMOSデバイスは、トランスリニア・ループを形成するように構成される、請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
前記第1のPMOSデバイス内において生じるゲート/ソース電圧と、前記第2のNMOSデバイス内において生じるゲート/ソース電圧との和は、前記第1のNMOSデバイスにおいて生じるゲート/ソース電圧と、前記第2のPMOSデバイスにおいて生じるゲート/ソース電圧との和に等しい、請求項4に記載の検出器。
【請求項7】
前記第1のNMOSデバイスおよび前記第2のPMOSデバイスは、前記第1のPMOSデバイスのソース端子に付加される第2の電流の値と等しい第1の値を有する電流を伝導させるように構成され、前記第1の値は、前記第2のNMOSデバイスのソース端子に付加される第3の電流の値とさらに等しい、請求項4に記載の検出器。
【請求項8】
前記バッファの前記入力において生じる電圧は、供給電圧と基準電圧との間の電圧差の半分である、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
差分信号活動を検出する方法であって、
差分入力信号を受信することと、
前記差分入力信号によってバッファの入力および出力を駆動することと、
前記差分入力信号により前記バッファの前記入力および前記出力を前記駆動することに応答して、前記出力バッファは、前記差分入力信号を半波整流して、半波整流された信号を生成することと、
前記差分入力信号の大きさに比例する出力が得られるように前記半波整流された信号をフィルタリングして、差分信号活動を示すことと、
を含む、方法。
【請求項10】
同相入力信号を受信することと、
前記バッファの前記入力および前記出力を前記同相入力信号により駆動することと、
第1の電圧を前記バッファの前記出力において生じさせ、かつ第2の電圧を前記バッファの前記入力において生じさせることであって、前記第2の電圧は、前記第1の電圧を追跡することと、
をさらに含み、
前記追跡することに応答して、前記バッファの出力段において生じた電流は整流せず、これにより、前記同相入力信号を除去する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バッファの前記入力を前記駆動することは、前記バッファの入力段として構成された第1のPMOSデバイスおよび第1のNMOSデバイスのそれぞれのゲート端子に前記差分入力信号の残りの部分を付加することを含み、
前記バッファの前記出力を前記駆動することは、前記バッファの前記出力を前記バッファの前記出力段に備えられる第2のNMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスのそれぞれのソース端子に駆動する前記差分入力信号の前記部分を付加することを含み、
前記第1のNMOSデバイス、前記第2のNMOSデバイス、前記第1のPMOSデバイスおよび前記第2のPMOSデバイスは、トランスリニア・ループを形成するように構成され、
前記半波整流された信号をフィルタリングすることは、前記第2のPMOSデバイスのドレイン端子において前記出力を提供することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
差分信号線上の活動を検出するための低電流回路であって、
トランスリニア・ループを形成する第1のNMOSデバイスおよび第2のNMOSデバイスならびに第1のPMOSデバイスおよび第2のPMOSデバイスを備え、前記第1のPMOSデバイスおよび前記第2のNMOSデバイスのそれぞれのゲート端子は、前記トランスリニア・ループの入力を形成するように第1のノードに連結され、前記第1のNMOSデバイスおよび前記第2のPMOSデバイスのそれぞれのソース端子は、前記トランスリニア・ループの出力を形成するように第2のノードに連結されており、
前記差分信号線に連結するように構成された差分入力を備え、その差分入力には前記第1のノードに連結された第1の入力および前記第2のノードに連結された第2の入力が含まれ、
出力を備え、その出力は、前記第2のPMOSデバイスのドレイン端子、または、前記第1のNMOSデバイスのドレイン端子のうちの1つに構成されており、
前記出力において生じるDC電圧は、前記低電流回路の前記第1の入力と前記低電流回路の前記第2の入力との間の電圧差のサイズに比例するよう構成された、低電流回路。
【請求項13】
前記低電流回路の前記第1の入力と前記第1のノードとの間に連結された第1のコンデンサと、前記低電流回路の前記第2の入力と前記第2のノードとの間に連結された第2のコンデンサとをさらに備える、請求項12に記載の低電流回路。
【請求項14】
供給電圧と基準電圧の間に接続された電圧分割器を備え、この電圧分圧器の出力ノードに前記第1のノードが接続されて供給電圧の半分に等しい、請求項12に記載の低電流回路。
【請求項15】
供給電圧と前記第1のNMOSデバイスのドレイン端子との間に連結された第1の負荷回路と、前記第2のPMOSデバイスの前記ドレイン端子と基準電圧との間に連結された第2の負荷回路とをさらに備える、請求項12に記載の低電流回路。
【請求項16】
前記第1のPMOSデバイスのソース端子および前記第1のNMOSデバイスのゲート端子に連結された第3のノードと、
前記第2のNMOSデバイスのソース端子および前記第2のPMOSデバイスのゲート端子に連結された第4のノードと、
第1の電流を前記第3のノードに付加するように構成された第1の電流源と、
第2の電流を前記第4のノードに付加するように構成された第2の電流源と、
をさらに備え、
前記第1のNMOSデバイスにおいて生じた電流および前記第2のPMOSデバイスにおいて生じた電流は、前記第1の電流の値と等しい値を有する、
請求項12に記載の低電流回路。
【請求項17】
差分入力および出力を有する検出器回路であって、
コントロール端子および第1および第2のチャネル端子をそれぞれ有する、第1,第2,第3,第4のトランジスタを備え、
前記第1および第2のトランジスタのコントロール端子は第1ノードに結合され、前記第3および第4のトランジスタの第1のチャネル端子は第2ノードに結合され、前記第2のトランジスタのチャネル端子は第4トランジスタのコントロール端子に結合されており、
前記差分入力の第1入力は前記第1ノードに結合され、前記差分入力の第2入力は前記第2ノードに結合され、
前記検出器回路の出力は、第4のトランジスタの第2のチャネル端子、又は、第3のトランジスタの第2のチャネル端子に与えられ、
前記差分入力に与えられる差分信号に応じて前記出力に生じるDC電圧は、前記第1の入力と前記第2の入力との間の電圧差のサイズに比例する、
ことを特徴とする、検出器回路。
【請求項18】
供給電圧と前記第3のトランジスタの第2のチャネル端子との間に結合された第1の負荷回路と、
前記第4のトランジスタの第2のチャネル端子と基準電圧との間に結合された第2の負荷回路と
をされに備える、請求項17に記載の検出器回路。
【請求項19】
供給電圧と第1ノードとの間に結合された第1のレジスタと、基準電圧と第2ノードとの間に結合された第2のレジスタとをさらに備え、前記供給電圧と前記基準電圧との間の電圧を前記第1ノードに生成する、請求項17に記載の検出器回路。
【請求項20】
検出器回路であって、
第1入力および第2入力を含む差分入力を備え、
前記検出器の第1出力信号を生じる出力を備え、前記第1出力信号は前記差分入力の差分信号の活動を示し、
前記第1入力に結合された入力を有し、出力段に出力を生じる第1バッファを備え、
前記第2入力に結合された入力を有し、出力段に出力を生じる第2バッファを備え、
負荷回路を備え、
前記第1バッファの出力および前記第2バッファの出力は第1ノードに結合され、
前記第1バッファの前記出力段および前記第2バッファの前記出力段は、前記差分入力に現れる差分入力信号を全波整流するよう構成され、
前記負荷回路は、全波整流された信号をフィルタリングして第1出力信号を生じるよう構成されている、
ことを特徴とする、検出回路。
【請求項21】
前記第1バッファおよび前記第2バッファはそれぞれ入力段を有し、前記第1バッファの入力段は第1のトランジスタ対を含み、第1のトランジスタ対のそれぞれには、前記第1バッファの入力をなす第2ノードに結合された第1チャネル端子が含まれており、前記第2バッファの入力段は第2のトランジスタ対を含み、第2のトランジスタ対のそれぞれには、前記第2バッファの入力をなす第3ノードに結合された第1チャネル端子が含まれており、
前記第1バッファの出力段は第3のトランジスタ対を含み、第3のトランジスタ対のそれぞれには、前記第1ノードに結合された第1チャネル端子が含まれており、前記第2バッファの出力段は第4のトランジスタ対を含み、第4のトランジスタ対のそれぞれには、前記第1ノードに結合された第1チャネル端子が含まれている、
ことを特徴とする、請求項20記載の検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515953(P2011−515953A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500891(P2011−500891)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037367
【国際公開番号】WO2009/117394
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(500361180)スタンダード マイクロシステムズ コーポレーション (14)
【Fターム(参考)】