説明

電気的に加熱可能なコーティングを備える透明な窓

透明な窓(1)が、窓(1)の面積のうちのかなりの部分に広がり、特に窓(1)の視野領域(A)に広がる電気的に加熱可能なコーティングを有する。さらに、コーティングが、少なくとも2つの互いに対向する低インピーダンスの母線へと、電気供給電圧が母線へと印加された後に電流がコーティングによって形成される加熱領域(21)を横切って母線間を流れるような方法で電気的に接続されている。この構成において、母線と加熱領域(21)との間に、有効表面抵抗がコーティングの表面抵抗よりも低い少なくとも1つの少なくとも部分的に光透過性な遷移領域(15)が存在している。帯フィルタの視覚的外観を有する遷移領域(15)を得るために、少なくとも1つの遷移領域(15)の表面抵抗を、割り当てられた母線から加熱領域(21)への方向において、増加させることが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に加熱可能なコーティングが、面積のうちのかなりの部分、特に視野領域(A)に広がっており、そのようなコーティングが、少なくとも2つの互いに対向する低インピーダンスの母線へと、電気供給電圧が母線へと印加された後に電流がコーティングによって形成される加熱領域を横切って母線間を流れるような方法で電気的に接続されており、母線と加熱領域との間に、有効表面抵抗がコーティングの表面抵抗よりも低い少なくとも部分的に光透過性な遷移領域が存在している透明な窓に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の分野において、特に加熱可能な構造がさらに設けられるフロントガラスであって、加熱領域がワイヤまたは他の可視の導体を有さないフロントガラスが、ますます求められるようになっている。法的規制が、窓を通しての視界を損なう可視の要素が、特に窓ガラスのきわめて重要な視野領域(A)において、許されない旨を規定している。この理由で、加熱領域は、窓の加熱可能な透明コーティングの形態で設けられることが多くなってきている。
【0003】
光の吸収が少ない加熱可能なコーティングの一般的な問題は、依然として比較的大きい表面抵抗である。特に、加熱すべき窓の寸法が大きい場合や、電流の経路が長い場合に、比較的高い動作電圧を必要とする結果となる。しかしながら、一般的な乗用車の標準的な12から14ボルトの電気系統では、一般的なフロントガラスの寸法および一般的な加熱コーティングの表面抵抗において、適切な加熱力を達成することができない。これまでのところ、使用される層システムの場合における表面抵抗の低減は、可視光の透過の減少を常に伴っている。なぜならば、この場合には、導電層の厚さを増やさなければならないと考えられるからである。
【0004】
上述の問題は、例えば、冒頭で述べた形式の加熱可能な窓ガラスであって、それぞれの母線へと直接電気的に接続された透明な遷移領域が、一方または両方の母線に沿って設けられている窓ガラスを開示する独国特許第20,2005,016,384,U1号明細書によっても対処されている。帯状の2つの遷移領域が、この場合には、中央の視野領域(A)の、一方では上方に位置し、他方では下方に位置しており、したがって、視野領域(A)の光学特性は、(遷移領域と比べて)影響されないままである。遷移領域における表面抵抗の低減は、知られているフロントガラスの場合には、2つの母線から2つの母線に対して垂直にコーティングによって形成される加熱領域へと延びている追加の導体または格子要素によって達成されている。これらの要素は、窓の視野領域(B)に位置しているが、視野領域(A)よりも前で終わっている。「くし状電極」とも称される追加の格子要素の高い導電率のおかげで、格子要素が設けられた2つの遷移領域が、結果として、高い有効導電率、すなわち低い有効電気表面抵抗を有する領域を形成する。これらの領域において、コーティングそのものおよび格子要素の並列接続が生成される。
【0005】
さらに、独国特許第1,256,812号明細書も、加熱可能な車両の窓を記載しており、母線が窓の短辺を延びており、すなわちこの場合には、車両のリアウインドウのほぼ垂直に延びる短辺を延びている。2つの母線から、水平方向に延びるくし状電極が、透明なコーティングによって形成された加熱領域へと延びている。対向する母線の2つのくし状電極が、一方の母線のくし状電極が他方の母線の隣接するくし状電極の間の途中まで延びるよう、それらの垂直方向の間隔の半分だけお互いに対してずらして配置されている。反対の極性の電極の間隔を最小限にすることで、電流が導電コーティングを通って流れなければならない距離が短くなり、この方法で、低い電圧であっても、可能な限り大きくかつ一様に分布した加熱力を、窓全体において得ることができる。
【0006】
さらに、部分的に暗化させることができる視野領域を有する透明な窓が、独国特許第10,2004,005,611,A1号明細書から知られている。暗化は、この場合には、多層複合体の形態で設けられた窓の透過性を2つの面電極の間に含まれたエレクトロクロミック機能層の助けによって可逆に変化させることによって行われる。車両の電気系統からの供給電圧を、低インピーダンスのコネクタを介して面電極へと供給することができる。独国特許第10,2004,005,611,A1号明細書の場合には、面電極およびそれらのコネクタを、互いに一致するように製作することができ、第1の印加電圧にて窓の1つの縁において暗化が始まり、電圧を高めることで、反対側の縁に位置する機能要素の完全に一様な変化が存在するまで、暗化が窓の表面積を横切って連続的に続くような方法で、お互いに対して離間して配置することができる。この方法で、特にフロントガラスの上縁から始まる水平方向の帯の形態で設けられた機能要素を暗化させるときに、一種の「ローラブラインド効果」が実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
透明なコーティングの形態で設けられる加熱領域の助けによって窓を加熱するためのすべての知られているシステムは、車両の12ボルトの電気系統から直接に供給電圧を使用する場合に、充分に良好な透過性を保証しつつ達成できる加熱力に関して、問題があると考えられる。
【0008】
本発明は、電気的に加熱することが可能であって加熱領域を形成する透明なコーティングを備える透明な窓であって、供給電圧が比較的低い場合でも充分に大きな加熱力をもたらすことができ、視野領域(A)および視野領域(B)の外部でも電気的特性が良好であり、魅力のある意匠を有する窓を提供するという課題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
冒頭で述べた形式の窓にもとづき、この課題は、本発明によれば、少なくとも1つの遷移領域の表面抵抗が、割り当てられた母線から加熱領域への方向において、増加していることによって解決される。
【0010】
本発明は、遷移領域が、典型的には、独国特許10,2005,016,384,U1号明細書の場合のように、不透明な導電領域(例えば、導電性の銀含有スクリーン印刷ペーストまたは薄い導電ワイヤを備える)と、導電性がなく、あるいは少なくともきわめて導電性に乏しい一方で、可視光の範囲について良好な透過性を有する領域とを備えるという発見にもとづいている。あるいは、窓の導電性を、導電コーティングによって生み出すこともでき、導電コーティングは、それ自身は透明だが、コーティングの厚さが増すにつれて透過率が低くなり、したがって層の厚さを厚くして、ある程度不透明な領域を生成することができる。本発明は、遷移領域が、その全高にわたって一様な電気的および光学的特性を有してはいない窓を提供する。光透過性および導電性は、典型的には互いに反比例するため、本発明は、導電性は高いが透明度は低い構造を、それぞれの母線にきわめて近い領域に設ける一方で、母線からの距離が増し、中央の視野領域(A)に近づくにつれて、導電性をより犠牲にし、窓の光学特性をより優先させる。結果として、窓の中央に向かうにつれて透明度が増す窓に組み込まれたサンバイザのような光学特性を有する窓の遷移領域が、結果として得られる。車両の窓の分野において、そのような意匠は、積層安全窓の事例に使用されるPVB中間フィルムを着色することによって生み出されるいわゆる帯フィルタとしても知られている。さらに、窓を車体へと接合するための接着剤のビードを覆うために、窓の表面に黒色インクを印刷することが知られている。しかしながら、知られている黒色印刷は、導電性を有さない従来からの黒色スクリーン印刷インクによって形成されている。他方で、黒色印刷構造は、減少するサイズのドットを有するドットパターンとして終わることも多く、スクリーン印刷ペーストが導電性であると仮定しても、印刷構造のつながりがないことが、下縁の直上において導電性が存在しないことを意味すると考えられる。
【0011】
遷移領域は、好ましくは、不透明な導電性の導電領域と、透明な非導電性の空き領域とを含むが、遷移領域にも透明な導電コーティングが存在する場合には、空き領域が特定の導電性を有することも可能である。しかしながら、この代案として、視野領域(A)に向かって増加する有効表面抵抗を、電気導体加熱コーティングの厚さを変えることによって減らすことも可能である。視野領域(A)に隣接するコーティングの厚さが、視野領域(A)における厚さに相当し、すなわち比較的きわめて小さい一方で、コーティングの厚さは、それぞれの母線に向かって連続的に増加し、正確に言えば、母線の近傍において実質的にもはや透明性が存在しないような程度まで増加する。導電層の塗布の厚さを大きくすることは、遷移領域によって形成される全体としての抵抗が、視野領域(A)のコーティング厚さに比べて大幅に小さくなるように、導電性が改善されるという効果を有する。
【0012】
本発明による窓の好都合な発展によれば、導電領域が、複数の導体経路を有しており、それぞれの導体経路が、一端において母線へと導電形式で接続され、少なくとも反対側の端部においてコーティングへと導電形式で接続される。この場合に、遷移領域に、透明度が窓の中央に向かって増加する「サンバイザ」の光学特性を可能な限り遠くまで与えるために、少なくとも1つの横経路を、隣り合う導電経路の間にそれぞれ配置でき、隣り合う導電経路へと導電形式で接続することができる。電流を実際の導電経路に対して横方向にも流すことができることで、導電経路の中断を電気的に橋絡することができる。
【0013】
さらに、窓の中央に向かって増加する光学的透明度という所望の光学特性を、特に、それぞれの母線からコーティングへと減少する導電経路の幅によっても達成することができる。減少は、一定の減少(導電経路が、例えば鋭角の三角形を形成する)であってよく、あるいは任意の所望の方法で不規則に生じてもよく、導電経路の側方の境界線が任意の所望の曲線の形態をとることができる。
【0014】
本発明による窓の特に好都合な実施の形態によれば、空き領域を、導電領域または導電経路によってすべての側が囲まれたアイランドとして形成することが提案される。これは、導体経路の形態が全体にわたって維持され、アイランドが隣接する導体経路の明確な間隔を定めるという効果を有する。これにより、隣接し合う導体経路の間に位置する領域が、アイランドにも隣接することで、横経路を形成し、隣接し合う導体経路の間の電気的接続のおかげで、フェイルセーフの向上がもたらされる。
【0015】
導電経路は、例えば曲がりくねった形態またはジグザグの形態で延びることができ、頂点または尾根の部分において、それぞれが隣接して位置する鏡像の経路を辿る導電路の頂点または尾根の部分に導電形式で接続される。
【0016】
さらに、遷移領域のアイランドのサイズを、母線との境界においてゼロから、母線からの距離の増加につれて連続的に増加させることができ、加熱領域との境界において、隣接し合うアイランドの間に残る導電経路部分が、0.2mmから10mmの間の幅を有する。加熱領域に向かって導体経路の幅が減少することは、遷移領域の光透過性が、母線から離れるにつれてますます大きくなり、視覚的にきわめて魅力的な外観がもたらされるという効果を有する。
【0017】
さらに、加熱領域への境界において、導電経路部分の幅が、最大でも隣接するアイランドの幅の3%から20%の間である。この措置は、やはり視覚的にきわめて魅力的な外観を、遷移領域の良好な導電性を保持しつつ生み出すために役に立つ。
【0018】
最後に、本発明の改良により、少なくとも1つの遷移領域において、(加熱領域と同様に)導電性の透明コーティングが存在する。基本的には、特定の加熱力を、遷移領域においては、視野領域(A)内の加熱領域に比べて低く保つことができるが、代案として、実際の中央の加熱領域の加熱力に比肩する加熱力を、遷移領域においてそれ迄に達成することもできる。この特別な場合においては、遷移領域を、加熱領域の一部と考えることができる。
【0019】
本発明を、本発明による窓の2つの典型的な実施の形態にもとづいて、以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】乗用車のフロントガラスの形態で設けられた窓の平面図を示している。
【図2】図1による窓の上部遷移領域の拡大詳細図を示している。
【図3】別の窓の上部遷移領域の詳細図を示している。
【図4】乗用車のフロントガラスの形態で設けられた窓の平面図を示している。
【図5】乗用車のフロントガラスの形態で設けられた窓の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示されている窓1は、乗用車の窓であるが、上縁2と、ボンネットに面する下縁3と、側方のAピラーに面する2つの縁4および5とを有する。すべての縁2から5から出発し、窓1は、いずれの場合も、幅10、11、12、および13をそれぞれ有するエッジ帯6、7、8、および9を有しており、幅11は、中心線14の領域において最大であり、エッジ帯8および9の方向に減少している(図1を参照)。
【0022】
帯6、7、8、および9は、外側ガラスおよび内側ガラスと間に位置するPVB接着フィルム層とで構成される窓1の「面2」に塗布される黒色のスクリーン印刷ペーストから製造される。黒色印刷のエッジ帯6、7、8、および9は、従来技術に相当し、特に窓1(すなわち、窓1の「面4」)を周囲の車体の窓枠に保持するための下方に位置する接着剤のビードを隠す役割を果たす。
【0023】
上部のエッジ帯6の下方に、前記上部帯に平行に延びる上部遷移領域15が存在している。下部のエッジ帯7の上方に、やはりこの下部帯に平行に延びる下部遷移領域16が存在している。上部遷移領域15は、その全長にわたってほぼ同じ幅17を有する。同じことが、下部のエッジ帯16にも当てはまり、その幅が18で指し示されている。
【0024】
上部遷移領域15の下縁19に隣接かつ下部遷移領域16の上縁20に隣接し、最初に視野領域(B)が存在し、さらに窓1の中央に向かって、中央視野領域(A)が存在している。今回の例では、両方の視野領域(A)および(B)ならびに遷移領域15および16が、窓の「面3」に透明な導電コーティングを備える。実際の加熱領域21は、2つの遷移領域15および16の互いに面する縁19および20の間に位置している。
【0025】
遷移領域15の詳細を、図2による拡大図から、よりよく見て取ることができる。窓の「面3」に塗布され、図では黒色で示されており、実際にはやはり不透明(例えば、銀含有のスクリーン印刷ペーストで構成されている)である遷移領域15の導電領域に、透明であって白色で図示されている多数の空き領域が割り込んでいる。空き領域は、互いに平行な列にて配置されたほぼ円形のアイランド22の形態で設けられている。それぞれ窓の縁2に平行に延びている各列は、この縁2からの距離が大きいほど、アイランド22のサイズが大きく、正確に言えば、それぞれの円の直径が大きい。1列当たりのアイランドの数は、(遷移領域が外側において弓形に丸められている上方の3列を除き)一定であるが、空き領域によって占められる割合は、アイランド22のサイズの増加の結果として、加熱領域または視野領域(A)の方向に増加している。したがって、全体として、遷移領域15の透明度は、不透明なエッジ帯6から視野領域(A)に向かって連続的に増加する。有効電気表面抵抗も、導電性の導電領域の表面積が減少するため、同じ度合いで増加する。結果として、遷移領域15の導電率が、遷移領域15の下縁19において小さくなり、正確に言えば、遷移領域15の上縁が接続されているきわめて低インピーダンスの母線の導電性に比べて小さくなる。しかしながら、有効表面抵抗も、遷移領域15の縁19において、視野領域(A)の加熱領域のコーティングの表面抵抗よりも依然として小さい。結果として、母線(図には示されていないが、黒色印刷の形態で設けられたエッジ帯6および7の下方に位置する)の有効電気間隔が、遷移領域15および16によって縮小され、遷移領域15および16に印刷された導体構造によって生じるそのような縮小が、上部遷移領域15に配置され知られているサンバイザまたはいわゆる帯フィルタの外観を有し、それらはこの場所においてお馴染みであり、したがって自動車の購入者またはユーザにとって容認可能である。
【0026】
遷移領域15および16の印刷による導電領域の構造を、これらの領域が、互いに平行かつ中心線14に平行に延びる多数の導体部分で構成されていると考えることもできる。導体部分が、曲がりくねった形状を有しており、それぞれある列に属する右側に位置する1つのアイランド22と隣の列に属する左側に位置する1つのアイランド22(アイランドの幅の半分だけずらされている)とを交互に画定している。隣接し合う導体部分は、ある一列の2つのアイランド22の間の領域において重なり合い、次いでお互いから離れるように移動することによって、隣の各列において膨らみ(アイランド22)を形成し、次いで、次の列において再び大きく重なり合う。遷移領域15の印刷パターンを、反転ドットパターンと考えることができ、この例では、ドットがアイランド22によって形成されており、ドット(アイランド22)のサイズが下縁19に向かって(すなわち、視野領域(B)および(A)に向かって)連続的に増加し、最後の列では、わずかに約0.3mmの幅の導体経路が残されるだけである。
【0027】
別の導電構造が、図3に図式的に示されている。ここでは、アイランド22’が、正六角形の形態を有する。これらの六角形のサイズが、遷移領域15’の下縁19から黒色印刷で生成された上部のエッジ帯6に向かって連続的に減少している。隣り合うアイランド22’の間に残される導体経路は、ジグザグ線(ただし、ジグザグ線の頂点が、両側において平たくされ、導体経路の長手方向の直線部分によって置き換えられている)の形態を有する。
【0028】
結果として、窓1における電流の流れは、窓の「面3」に位置する上部の母線への従来技術から知られている接続点から、この母線に電気的に接触した遷移領域15、15’の導電領域を経由し、視野領域(B)および(A)の加熱コーティングへと生じる。遷移領域15、15’の導電構造ならびに視野領域(B)および(A)のコーティングの両者は、窓1、1’の「面2」に位置している。反対に、加熱領域21の下方では、電流の流れが、下部遷移領域16の導電構造を通って、下部のエッジ帯7の黒色印刷で覆われた「面3」の下部母線へと生じ、そこから接触点を介して電源へと戻る。
【0029】
設計上の理由で、視野領域(B)および(A)に向かって「薄く」なる導電スクリーン印刷ペーストでの窓の印刷を、それぞれエッジ帯8、9に平行に延びる2つのエッジ帯23、24において行うことも可能である。これらの領域における短絡の可能性を排除し、視野領域(B)および(A)にコーティングによって形成される加熱領域21を通って充分な電流が流れることがないようにするために、エッジ帯23、24の導電印刷は、PVBフィルムによる分離のおかげでエッジ帯23、24の遷移領域15、16への導電性の接続が存在しないように、コーティングの「面2」に位置する。
【0030】
図4および図5に示されている窓1は、図1に示した窓1と同様である。乗用車の窓が、上縁2と、ボンネットに面する下縁3と、側方のAピラーに面する2つの縁4および5とを有する。すべての縁(2から5)から出発し、窓1は、いずれの場合も、幅10、11、12、および13をそれぞれ有するエッジ帯6、7、8、および9を有しており、幅11は、中心線14の領域において最大であり、エッジ帯8および9の方向に減少している。
【0031】
空き領域が、互いに平行な列にて配置されたほぼ円形のアイランド22の形態で設けられている。図4においては、中心線14から窓1の縁4および5へとそれぞれ延びる列の距離が増すにつれて、アイランド22のサイズが大きくなり、正確に言えば、それぞれの円の直径が大きくなる。1列当たりのアイランドの数は一定であるが、空き領域によって占められる割合は、縁4および5の方向において、アイランド22のサイズの増加の結果として、増加している。したがって、全体として、遷移領域15の透明度は、中心線14から縁4および5へと連続的に増加する。有効電気表面抵抗も、導電性の導電領域の表面積が減少するため、同じ度合いで増加する。結果として、遷移領域15の導電率が、縁4および5において小さくなる。
【0032】
図5においては、中心線14から窓1の縁4および5へとそれぞれ延びる各列の距離が増すにつれて、アイランド22のサイズが小さくなり、正確に言えば、それぞれの円の直径が減少する。1列当たりのアイランドの数は一定であるが、空き領域によって占められる割合は、縁4および5の方向において、アイランド22のサイズの減少の結果として、減少している。アイランド22のサイズの減少は、中心線14と縁4および5との間の距離の半分で最大に達する。その後に、アイランド22のサイズは増加し、正確に言えば、それぞれの円の直径が、窓1の縁4および5へと増加する。有効電気表面抵抗も、導電性の導電領域の表面積が減少するため、同じ度合いで増加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に加熱可能なコーティングが、窓(1、1’)の面積のうちのかなりの部分、特に視野領域(A)に広がっており、
そのようなコーティングが、少なくとも2つの互いに対向する低インピーダンスの母線へと、電気供給電圧が母線へと印加された後に電流がコーティングによって形成される加熱領域(21)を横切って母線間を流れるような方法で電気的に接続されており、
母線と加熱領域(21)との間に、有効表面抵抗がコーティングの表面抵抗よりも低い少なくとも1つの少なくとも部分的に光透過性な遷移領域(15、15’、16)が存在している透明な窓(1、1’)であって、
少なくとも1つの遷移領域(15、15’、16)の表面抵抗が、割り当てられた母線から加熱領域(21)への方向において、増加していることを特徴とする、窓。
【請求項2】
導電領域が、複数の導体経路を有しており、それぞれの導体経路が、一端において母線へと導電形式で接続され、少なくとも反対側の端部においてコーティングへと導電形式で接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の窓。
【請求項3】
少なくとも1つの横経路が、隣り合う導電経路の間にそれぞれ配置され、隣り合う導電経路へと導電形式で接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の窓。
【請求項4】
導電経路の幅が、母線から加熱領域(21)へと減少していることを特徴とする、請求項2または3に記載の窓。
【請求項5】
空き領域が、導電領域または導電経路によってすべての側が囲まれたアイランド(22、22’)として形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の窓。
【請求項6】
導電経路が、曲がりくねった形態またはジグザグの形態で延びており、頂点または尾根の部分において、それぞれ隣接して位置する鏡像の経路を辿る導電路の頂点または尾根の部分に導電形式で接続されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の窓。
【請求項7】
遷移領域(15、15’、16)のアイランド(22、22’)のサイズが、割り当てられた母線との境界においてゼロから、母線からの距離の増加につれて連続的に増加しており、
加熱領域(21)との境界において、隣接し合うアイランド(22、22’)の間に残る導電経路部分が、0.2mmから10mmの間の幅を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の窓。
【請求項8】
加熱領域(21)との境界において、導電経路部分の幅が、最大でも隣接するアイランド(22、22’)の幅の3%から20%の間であることを特徴とする、請求項7に記載の窓。
【請求項9】
少なくとも1つの遷移領域(15、15’、16)に、加熱領域(21)と同様に、導電性の透明コーティングが存在していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の窓。
【請求項10】
電気的に加熱可能なコーティングが、面積のうちのかなりの部分、特に視野領域(A)に広がっており、
そのようなコーティングが、少なくとも2つの互いに対向する低インピーダンスの母線へと、電気供給電圧が母線へと印加された後に電流がコーティングによって形成される加熱領域(21)を横切って母線間を流れるような方法で電気的に接続されており、
母線と加熱領域(21)との間に、有効表面抵抗がコーティングの表面抵抗よりも低い少なくとも1つの少なくとも部分的に光透過性な遷移領域(15、15’、16)が存在している透明な窓(1、1’)であって、
少なくとも1つの遷移領域(15、15’、16)の表面抵抗が、中心線14から縁4および5への方向において、増加していることを特徴とする、窓。
【請求項11】
電気的に加熱可能なコーティングが、窓(1、1’)の面積のうちのかなりの部分、特に視野領域(A)に広がっており、
そのようなコーティングが、少なくとも2つの互いに対向する低インピーダンスの母線へと、電気供給電圧が母線へと印加された後に電流がコーティングによって形成される加熱領域(21)を横切って母線間を流れるような方法で電気的に接続されており、
母線と加熱領域(21)との間に、有効表面抵抗がコーティングの表面抵抗よりも低い少なくとも1つの少なくとも部分的に光透過性な遷移領域(15、15’、16)が存在している透明な窓(1、1’)であって、
少なくとも1つの遷移領域(15、15’、16)の表面抵抗が、少なくとも中心線14の周囲の中央部と縁4および/または5のうちの少なくとも一方の領域とにおいて、増加していることを特徴とする、窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501715(P2011−501715A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529290(P2010−529290)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008775
【国際公開番号】WO2009/049890
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】