説明

電気瞬間湯沸かし装置

【課題】 省電力化と小型軽量化を図り、水管路のメンテナンスと清掃の容易化。
【解決手段】 内側に上広円錐台形孔を設け、その下端に底部となる上広円錐凹部を形成し、該凹部の中心部を貫通して給湯出口を設けた有底円筒状の熱伝導性容器本体を持つ。その内側に薄肉円筒体状のスペーサーを嵌める。スペーサーは、その上部から下方に続く円周方向等間隔で複数の水路切欠が形成される。スペーサーの内側で、該スペーサーの水路切欠の上部が上側に露出する位置まで、熱伝導性中子が嵌合される。容器本体の外周面に第1発熱体、容器本体底部の給湯出口の周囲に第2発熱体が巻装される。第1発熱体が巻装された容器本体と第2発熱体が巻装された容器本体底部との境界部には、前記第1発熱体が巻装された外周面よりも深い円周溝が設けられる。容器本体は断熱カバーで覆われる。給水管路にバルブおよび散水ノズルが接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気瞬間湯沸かし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気瞬間湯沸かし装置の例として、密閉した容器体内に3本の電気発熱体を封入し、その電気発熱体の輻射熱と容器体内の加熱空気および誘導体によって容器体内壁を100℃以上の高温に加熱し、この加熱した容器体の円筒内壁と円筒外壁との間(数mm)の狭い空隙の水路に水を流し、内壁の熱により湯を沸かすものがあった。(特許文献1)
【0003】
また他の従来例として、飲料製造機の給湯装置では、飲料の連続販売に対する給水加熱手段として、予備タンクを複数個設け、予備タンク毎に加熱を順次増強させ、最終予備タンクで設定温度とするものがあった。(特許文献2)
【特許文献1】特開平01−200143号公報
【特許文献2】特開2003−296812公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものは、構造が複雑で、しかも電気容量が大きくなっていた。また、内壁側下面の導入口より水を上昇させる加温の場合、数mmの狭い空隙内で水を100℃以上で加温し、上昇位置から下側の吐出口への給湯を降下させる。従って、沸騰している水は上昇側に進む傾向があり、容易には降下しない問題を有している。また、給湯の吐出口が上面側であるので、取り扱いが不便である。
【0005】
特許文献2のものは、加熱手段を複数箇所に分散させるので、電気回路が複雑となり、かつ、装置全体構造が大型化し、コストアップに繋がり、また、電気容量が大となる欠点があった。
【0006】
また、これらの湯沸かし装置に使用される水道水は、長時間の高温加熱等を繰り返し受けると、温水管内(直径数mm)に、特に水垢およびカルキ等の異物が付着・堆積して水路が狭くなり、衛生的な処置のメンテナンスや清掃作業および修理作業等が困難であった。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、省電力化と小型軽量化を図り、水管路のメンテナンスと清掃が容易となる電気瞬間湯沸かし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1課題解決手段は、内側に上広円錐台形孔を設け、その下端に底部となる上広円錐凹部を形成し、該凹部の中心部を貫通して給湯出口を設けた有底円筒状の熱伝導性容器本体と、前記容器本体の孔内側に嵌められて、上広円錐台形の薄肉円筒体状のスペーサー本体を持ち、その上部から下方に続く円周方向等間隔で複数の水路切欠が形成された熱伝導性スペーサーと、該スペーサーの内側で、該スペーサーの水路切欠の上部が上側に露出する位置まで、該スペーサーの厚みにより容器本体の上広円錐台形孔内面と間に前記水路切欠による極薄隙間を残すように嵌合された熱伝導性中子と、該極薄隙間に対応した前記容器本体の外周面に巻装された第1発熱体と、前記容器本体底部の給湯出口の周囲に巻装された第2発熱体と、前記第1発熱体が巻装された容器本体と前記第2発熱体が巻装された容器本体底部との境界部に設けられ、前記第1発熱体が巻装された外周面よりも深い円周溝と、前記容器本体の下面と外周部を覆った断熱カバーと、該断熱カバーの上面を着脱自在に覆う断熱蓋と、該断熱蓋を貫通した給水管路に接続されたバルブおよび散水ノズルと、前記給湯出口に接続された温水管路とを含むことである。
【0009】
本発明の第2課題解決手段は、内側に上広円錐台形孔を設け、その下端に底部となる上広円錐凹部を形成し、該凹部の中心部を貫通して給湯出口を設けた有底円筒状の熱伝導性容器本体と、前記容器本体の孔内側に嵌合された上広円錐台形の円筒体状の中子本体を持ち、該中子本体外周の上端縁部から下端にわたり複数で等間隔配置の水路溝が形成され、該水路溝の深さにより前記容器本体の上広円錐台形孔内面と間に極薄隙間を残すように嵌合された熱伝導性中子と、前記極薄隙間に対応した前記容器本体の外周面に巻装された第1発熱体と、前記容器本体底部の前記給湯出口の周囲に巻装された第2発熱体と、前記第1発熱体が巻装された容器本体と前記第2発熱体が巻装された容器本体底部との境界部に設けられ、前記第1発熱体が巻装された外周面よりも深い円周溝と、前記容器本体の下面と外周部を覆った断熱カバーと、該断熱カバーの上面を着脱自在に覆う断熱蓋と、該断熱蓋を貫通した給水管路に接続されたバルブおよび散水ノズルと、前記給湯出口に接続された温水管路とを含むことである。
【0010】
本発明の第3課題解決手段は、第1課題解決手段に加え、前記スペーサーは、熱伝導性薄板からプレス加工等により前記水路切欠が形成され、その全体が筒状に結合され、前記水路切欠の境界に串歯状部が形成されたことである。
【0011】
本発明の第4課題解決手段は、第1課題解決手段に加え、前記中子は、前記容器本体の上広円錐台形孔、かつ、前記スペーサーの内側に嵌入できるよう、上広円錐台形の円筒体の中子本体を持ち、その上面中央部に取手が設けられたことである。
【0012】
本発明の第5課題解決手段は、第2課題解決手段に加え、前記中子は、前記容器本体の上広円錐台形孔の内側に嵌入できるよう、上広円錐台形の円筒体の中子本体を持ち、その上面中央部に取手が設けられたことである。
【0013】
本発明の第6課題解決手段は、第4または第5課題解決手段に加え、前記中子本体の上面に略山笠形部が形成されたことである。
【0014】
本発明の第7課題解決手段は、第4または第5課題解決手段に加え、前記中子本体の下端部外周に面取が設けられたことである。
【0015】
本発明の第8課題解決手段は、第5課題解決手段に加え、前記中子本体の上端部外周に面取が設けられたことである。
【0016】
本発明の第9課題解決手段は、第1または第2課題解決手段に加え、給水管路途中の給水バルブが電気信号で開放され、給水が一定時間供給されるようにされたことである。
【0017】
本発明の第10課題解決手段は、第1または第2課題解決手段に加え、前記給水路となる極狭隙間となった範囲では、第1発熱体により中温度を保つように、また、前記容器本体の底部の上広円錐凹部の範囲では、第2発熱体により蒸発温度より僅かに低い規定温度に達するよう、各々温度センサーにより、制御装置で管理されていることである。
【0018】
本発明の第11課題解決手段は、第1または第2課題解決手段に加え、前記断熱カバーは、容器本体外筒部と下面部を覆うよう2分割され、一方と他方カバーとで容器本体全体が覆われ、両カバーを一体に支持固定する支持台が設けられていることである。
【0019】
本発明の第12課題解決手段は、第1または第2課題解決手段に加え、前記容器本体の外円周部に螺旋状溝が形成され、その中に前記第1発熱体が巻装されたことである。
【0020】
本発明の第13課題解決手段は、第1または第2または第12課題解決手段に加え、前記第1、第2発熱体は伝熱セメントで塗布固定されていることである。
【発明の効果】
【0021】
第1または第2課題解決手段により、装置の構成が簡素化され、容器本体が小型となり、電気構成もコンパクトで、省電力化された。また、取り扱いが簡単で狭い場所へも設置できる。しかも、水管路のメンテナンスと清掃が容易となった。即ち、容器本体の上広円錐台形状孔へ熱伝導性該スペーサーを嵌め、その内側に中子本体が嵌合されている。したがって、容器本体の内筒径が拡張され、かつ、上部側が開放部を構成しているので、中子本体を上側に脱着するには極めて容易となり、容器本体内筒径および中子本体・スペーサー等の清掃が効率よく行うことができ、衛生的である。また、基本的に容器本体の孔、熱伝導性該スペーサーおよび中子本体が上広円錐台形状であるので、それらの間に形成される水路を極狭隙間とすることが容易である。
【0022】
第3課題解決手段により次の効果を発揮する。前記スペーサーは、熱伝導性薄板からプレス加工等により前記水路切欠が形成され、その全体が筒状に結合され、前記水路切欠の境界に串歯状部が形成されたものである。従って、スペーサーの製作が容易である。
【0023】
第4、第5課題解決手段により次の効果を発揮する。前記中子は上広円錐台形の円筒体の中子本体を持ち、その上面中央部に取手が設けられたものである。従って、この取手を持てば中子本体の着脱が容易となる。
【0024】
第6課題解決手段により次の効果を発揮する。前記中子本体の上面に略山笠形部が形成されたものである。従って、供給された水は散水ノズルを経て中子本体上面の略山笠形状の傾斜面に沿って360度の範囲に分散され、スペーサーの複数の等間隔の水路切欠により、容器本体の円錐台形状内面へ均等に分流され給湯出口側に降下する。
【0025】
第7課題解決手段により次の効果を発揮する。前記中子本体の下端部外周に面取が設けられたものである。従って、第2発熱体から中子本体への熱伝導が遮断され、容器本体底部の凹部へ温水がスムーズに降下し易くなる。
【0026】
第8課題解決手段により次の効果を発揮する。前記中子本体の上端部外周に面取が設けられたものである。従って、供給された水は、散水ノズルを経て中子本体上面に沿って360度の範囲に分散され、複数の等間隔の水路溝に確実に導入される。
【0027】
第9課題解決手段により次の効果を発揮する。給水管路途中の給水バルブが電気信号により開放され、一定時間供給された水は散水ノズルを経て中子本体上面に沿って360度の範囲に分散され、スペーサーの複数の等間隔の水路切欠により、容器本体の円錐台形状内面へ均等に分流され給湯出口側に降下する。従って、給水管路の容器本体の内側面積が上側で拡張されていても、一定量の給水を給水バルブの電気信号で時間調整をすることにより、給湯量が変化することなく確保できる効果がある。
【0028】
第10課題解決手段により次の効果を発揮する。一定時間供給された水は、極狭隙間の薄い串歯状帯体となっている切欠の範囲を通過中に、発熱体で加熱された容器本体と中子の熱伝導により、水が境膜伝熱の状態となり、瞬時に温水化することができる。そして、規定温度となった温水が必要な時に規定量だけ得られる。
【0029】
第11課題解決手段により次の効果を発揮する。容器本体外筒部と下面部を覆うように2分割された断熱カバーの一方と他方カバーとで全体を覆い、両カバーを一体に支持固定する下部支持台が設けられている。従って、容器本体外筒部の発熱体と本体下面部の発熱体の危険部位が2分割の断熱カバーで覆われ、かつ、両カバーを一体的に支持台で拘束され、安全性が確保できる。また、支持台により給湯出口側からの給湯を受けるコップの設置が容易となる。
【0030】
第12課題解決手段により次の効果を発揮する。容器本体の外円周部に螺旋状に第1発熱体が巻装するとき、螺旋溝に沿って巻装できるので、作業が簡単、迅速に行える。
【0031】
第13課題解決手段により次の効果を発揮する。容器本体の外円周部に螺旋状に第1発熱体が巻装され、容器本体底部の出口管路に隣接位置に第2発熱体が巻装されている。そして、これらの発熱体は巻装後の保護のため、伝熱セメントで塗布固定されている。従って、誘導熱効率がよくなり、電気容量が軽減でき、また、省エネ効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明に係わる電気瞬間湯沸かし装置の実施態様を図面に示す一実施例にもとづき説明する。図1〜3において、先ず本発明装置の大要は次のとおりである。装置上部において、断熱蓋を貫通した給水管路514に給水バルブQ1および散水ノズル513が接続される。装置下部において、給湯出口に温水管路105と給湯バルブQ2が接続され、その直下にコップCが置かれる。
【0033】
装置の中間部において、有底円筒状の熱伝導性容器本体101の内側に上広円錐台形孔103が設けられ、その下端が上広円錐凹部104を形成された底部となり、該凹部の中心部を貫通して給湯出口管105が接続される。前記容器本体の孔内側に、上広円錐台形の薄肉円筒体状で、複数の水路切欠が形成された熱伝導性スペーサー本体201が嵌められる。該スペーサー200の内側に、該スペーサーの厚みにより上広円錐台形孔内面と間に極薄隙間を残すように、熱伝導性中子300が嵌合される。
【0034】
前記極薄隙間に対応した前記容器本体101の外周面に、第1発熱体A(シーズヒーター)が巻装される。また、前記給湯出口管105の周囲に第2発熱体Bが巻装される。そして、前記容器本体の下面と外周部が断熱カバー500で覆われ、該断熱カバーの上面が断熱蓋509で着脱自在に覆われる。
【0035】
さて、以下に詳細に説明する。図4,5の容器100において、容器本体101の上部端に円筒孔102が形成され、その下端部より上広円錐台形孔103が形成され、その下端に断面V字形状の上広円錐凹部104が形成されて底部となる。底部の中央外側に給湯出口管路105が接続され、管路105に管路用ネジ106が備えられて給湯バルブQ2が取り付けられる。
【0036】
容器本体101の外円周部107には、第1発熱体Aを巻装する螺旋状溝108が形成される。また、図5で示す容器本体下面部111の給湯出口管路105の近傍には、下面溝112が出口管路105を中心にして円弧状に形成され、第2発熱体B(シーズヒーター)が巻装されている。そして、前記第1発熱体Aが巻装された容器本体101と前記第2発熱体Bが巻装された容器本体底部109との境界部には、螺旋状溝108よりも深い円周溝110(溝底と孔103の内面との間の厚さは薄くされ、溝加工に必要な厚さを最小限として決められる)が設けられる。これにより、第2発熱体Bによる容器本体101への熱伝導が遮断される。
【0037】
図1,3において、螺旋状溝108に第1発熱体Aを巻装するには、発熱体Aのヒーター線A’の一方から順次螺旋状溝108に沿って巻装後、それぞれのヒーター線A’端子は下部端に纏められ、容器100の外側に配置された制御装置(図示略)に接続される。図6,7において、第1発熱体Aの巻装なされた隙間に、市販の伝熱セメント113が充填される。
【0038】
次に、容器本体101の下面111の下面溝112へ第2発熱体Bを巻回するには、発熱体Bのヒーター線B’の一方を底面溝112に巻装後、両端子は容器100の外側に配置された制御装置(図示略)に接続される。第2発熱体Bの巻装された隙間に、伝熱セメント113が充填される。この伝熱セメント113はパテ状の非金属性、無機質の高熱伝導率を持ったセメントのため、発熱体A,Bの巻装隙間に充填した場合は、伝熱面積が大幅に拡大されて省エネ対策に効果がある。
【0039】
次に、第1発熱体Aを制御する手段として、図3で発熱体Aが巻装なされた表面側に、熱電対温度センサー端子114aが、容器本体101の上部側面にネジ115で螺着される。そして、第1発熱体Aの温度管理(中温度60℃〜70℃)が制御装置(図示略)でコントロールされる。
【0040】
同じく、第2発熱体Bの巻装された位置近傍で、熱電対温度センサー端子114bが、断熱カバー500の下面にネジ115で螺着される。そして、第2発熱体Bの温度管理(規定温度97〜99℃)が制御装置でコントロールされる。
【0041】
前記容器本体101の材質は、実施例ではADC5(アルミ材)であるが、熱伝導性材料の材種であれば限定されない。また、アルミ材表面はアルマイト処理により表面硬度化を施されている。
【0042】
図10,11において、スペーサー200は薄肉の熱伝導性の材料からなり、前記容器本体の上広円錐台形孔103に嵌入できるよう、上広円錐台形の薄肉円筒体のスペーサー本体201を持つ。スペーサー本体201の上部で軸方向長さの約7分の1〜約4分の1幅の部分はリング部202とされる。そして、その下側からは円周方向に等間隔で複数の水路切欠203が形成され、その境界に串歯状部204が形成される。
【0043】
本実施例の熱伝導性スペーサー200はステンレス材からなるが、材種は熱伝導性であれば特に限定されない。また、スペーサー200の串歯状部204厚さは、0.2mm〜0.25mmの範囲の厚さを選択して、発熱体からの熱伝達効率をはかることができる。つまり、このような極薄の水路を水が通過するので、“境膜伝熱”の状態となり、限りなく100%に近い熱伝導効率が可能となる。製作方法の一例として、極薄のステンレス板にプレス加工等により切欠203を形成し、その全体を筒状に結合させるのである。
【0044】
図8,9の中子300において、中子本体300Aは、前記容器本体の上広円錐台形孔103、かつ、スペーサー200の内側に嵌入できるよう、上広円錐台形の円筒体の中子本体300Aを持つ。該中子本体の上面部に略山笠形部301が形成され、上面中央部に取手302が設けられ、この取手302を持てば中子本体300Aの着脱の容易となる。そして、この熱伝導性中子300は、スペーサー200の内側で、スペーサーの水路切欠203の上部が上側に露出する位置まで嵌合される。これにより、スペーサー200の厚みによって、容器本体101の上広円錐台形孔内面と間に前記水路切欠による極薄隙間が残される。
【0045】
また、該中子本体300Aの下面側より空洞部304が設けられ、発熱体からの熱伝達の効率化(熱容量の減少による温度上昇速度の増加)が図られる。また、該中子本体300Aの下端部外周に面取305を設け、下面側の第2発熱体Bからの熱伝導を遮断し、温水の凹部104へのスムーズな降下を容易とする。
【0046】
次に、図1,3に基づいて各構成部品の組み立て順序を説明する。この場合、容器本体101の外円周部107側の第21発熱体Aおよび下面部111側の第2発熱体Bがすでに組み込まれた状態とする。支持台天板401の上面において、容器本体101の外周囲部107と下面部111を覆うように、2分割された断熱カバー500の一方501と他方カバー502とで全体を覆い、両カバー501,502が一体に支持固定された状態で取り付け、天板401を貫通したボルト403で下面部111に固定される。更に断熱カバー500の外周下部側にバンド503を上部側にバンド504を巻き、ボルト506で締結する。
【0047】
これらの組み立てにおいて、2分割された断熱カバー500の一方501と他方502とで全体を覆うとき、第1発熱体Aおよびヒーター線A’および第2発熱体Bおよびヒーター線B’は、図1のように下端部に纏められて断熱カバー500から外側へ導かれて配置される。
【0048】
また、容器本体凹部104の中心部を貫通して給湯出口管路105が接続され、その管路用ネジ106に給湯バルブQ2が装着される。この本実施例の断熱カバー500は発泡ウレタン材であるが、他の断熱材でもよい。
【0049】
次に、容器本体の上広円錐台形孔103にスペーサー200を挿入し、更に中子本体300Aを、その取手302を持ってスペーサー200の内側に嵌合させる。これにより、スペーサー串歯状部204の0.2mmの厚と、切欠203により極狭隙間の給水路が形成されることになる。
【0050】
その後、容器本体101の上端部の円筒孔102に容器蓋507の位置決め凸部508を嵌合させ、更にその上から上部断熱カバー509を装着させて、容器本体101を密封体とする。次に組み立て最終段階で上部側バンド504の位置にT字形サポート510をボルト511で装着する。この上部側へ給水バルブQ1を固着し、この入口側に給水フィルター512および一次給水管515を順に接続する。給水バルブQ1の出口側に散水ノズル513が装着されて、電気瞬間湯沸かし装置が完成する。
【0051】
前記実施例の作動状態を説明する。第1熱体Aおよび第2発熱体Bへの電流は常にONーOFFスイッチの開閉により断続的に通電状態となっており、制御装置で規定温度に保たれている。そして今、図1,3において、制御装置(図示略)の給湯操作ボタンを押すと、電気信号に代わってタイマー信号となり、一次給水管の給水バルブQ1が信号をうけ、開状態がタイマー作動し、この間に規定量の給水が送られる。制御装置のタイマー設定が切れると、給水バルブQ1が閉状態に切り替わり、給水が遮断される。
【0052】
この間に並行して、給水は散水ノズル513を経て、中子本体の略山笠形部301の傾斜面に沿って360度の範囲に分散される。そして、スペーサーの水路切欠203により境膜帯状の水流となり、容器本体の円錐台形孔の内部で均等に分流されながら、底部の凹部104に一時蓄えられる。この降下範囲には、第1熱体Aによる容器本体101とスペーサー200および中子本体300Aが蓄熱体(発熱体温度が中温度60℃〜70℃)となっているため、給水は温水化されて降下する。
【0053】
ここで、給水を一気に100℃以上に昇温すると沸騰し、入口側に逆流する。そこでここ
では、適切な中温度(60℃〜70℃)となるように、温度センサー114aからの信号で、制御装置により温度管理の制御を行っている。
【0054】
また、給湯出口近くの第2発熱体Bの伝導熱により、容器本体底部の凹部104と給湯出口管路105が高温(規定温度97℃〜99℃)となっている。このため、凹部104に一時蓄えられている温水は、更に高温水化される。
【0055】
この昇温された温水の過度の温度上昇を遮断するための手段として、規定温度(97℃〜99℃)となるように、温度センサー端子114bの信号で給湯バルブQ2が制御装置により管理制御される。また、容器本体101の外円周部107の下端部に、円周溝110を設け、かつ、中子本体に面取305を設け、第2発熱体Bの伝導熱を上部側へ伝導することを遮断する。
【0056】
この規定温度となった温水が必要なときは、制御装置の温水ランプ(図示省略)が点灯していれば、給湯の操作ボタンを押すと電気タイマー信号が出力し、タイマー設定時間だけ給湯バルブQ2が開いて規定量の湯が放出される。このとき、支持台の天板401の下にあるコップCに規定量の湯が注がれる。このようにして、コーヒー,スープ,お茶等の用途に使用できる。
【0057】
図12は第2の実施態様を示し、第1発熱体Aを巻装する螺旋状溝108が省略され、容器本体101の外周面に直接に巻装するものである。即ち、外円周面107に第1発熱体Aのヒーター線Aの一方から順次螺旋状に上部に沿って巻装の後、ヒーター線Aの両端は前記と同様に纏められる。従って、螺旋状溝の加工手間が省略できる。また、前記断熱カバー500の底部の上面に上面溝500aが設けられ、この中に第2発熱体Bが巻装される。発熱体が巻装なされた隙間に、伝熱セメント113が充填される。
【0058】
図13は第3の実施態様を示し、前記スペーサー200を省略し、これの製作手間を省いたものである。即ち、中子本体の外円周面303の上端縁に面取部306を設け、その下端より複数の等間隔配置の縦水路溝303Aを設け、溝深さを0.2〜0.25mmとする。面取部306により、供給された水は、散水ノズルを経て中子本体上面に沿って360度の範囲に分散され、複数の等間隔の水路溝に確実に導入される。図14は第4の実施態様を示し、前記図13の第3の実施態様の縦水路溝303Aに代えて、螺旋水路溝303Bとしたものである。
【0059】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲および範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電気瞬間湯沸かし装置は、コーヒー,スープ,お茶などの飲料供給に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例の断片断面正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】装置全体の分解図である。
【図4】容器の断片断面正面図である。
【図5】容器の底面図である。
【図6】図1の部分拡大図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】中子の正面図である。
【図9】中子の底面図である。
【図10】スペーサーの平面図である。
【図11】スペーサーの正面図である。
【図12】本発明の第2実施例の断片断面正面図である。
【図13】本発明の第3実施例の断片断面正面図である。
【図14】本発明の第4実施例の断片断面正面図である。
【符号の説明】
【0062】
100 容器
101 容器本体
102 円筒孔
103 上広円錐台形孔
104 上広円錐凹部
105 給湯出口管路
106 管路用ネジ
107 外円周部
108 螺旋状溝
109 容器底部
110 円周溝
111 下面
112 下面溝
113 伝熱セメント
114a,b 温度センサー
115 ネジ
200 熱伝導性スペーサー
201 スペーサー本体
202 リング部
203 切欠
204 串歯体
300 中子
300A 本体
301 略山笠形部
302 取手
303 外筒部
303A 縦溝
303B 螺旋溝
304 空洞部
305 面取部
306 面取部
400 支持台
401 天板
402 脚
403 ボルト
500 断熱カバー
501 右側一方の断熱カバー
502 左側他方の断熱カバー
503 下側バンド
504 上側バンド
505 締め付け孔
506 ボルト
507 容器蓋
508 位置決め凸部
509 上部断熱カバー
510 T字形サポート
511 ボルト
512 給水フィルター
513 散水ノズル
514 給水管路
515 一次給水管
A 第1発熱体
A’ 第1発熱体のヒーター線
B 第2発熱体
B’ 第2発熱体のヒーター線
Q1 給水バルブ(電磁弁)
Q2 給湯バルブ(電磁弁)
C コップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に上広円錐台形孔を設け、その下端に底部となる上広円錐凹部を形成し、該凹部の中心部を貫通して給湯出口を設けた有底円筒状の熱伝導性容器本体と、
前記容器本体の孔内側に嵌められて、上広円錐台形の薄肉円筒体状のスペーサー本体を持ち、その上部から下方に続く円周方向等間隔で複数の水路切欠が形成された熱伝導性スペーサーと、
該スペーサーの内側で、該スペーサーの水路切欠の上部が上側に露出する位置まで、該スペーサーの厚みにより容器本体の上広円錐台形孔内面と間に前記水路切欠による極薄隙間を残すように嵌合された熱伝導性中子と、
該極薄隙間に対応した前記容器本体の外周面に巻装された第1発熱体と、
前記容器本体底部の給湯出口の周囲に巻装された第2発熱体と、
前記第1発熱体が巻装された容器本体と前記第2発熱体が巻装された容器本体底部との境界部に設けられ、前記第1発熱体が巻装された外周面よりも深い円周溝と、
前記容器本体の下面と外周部を覆った断熱カバーと、
該断熱カバーの上面を着脱自在に覆う断熱蓋と、
該断熱蓋を貫通した給水管路に接続されたバルブおよび散水ノズルと、
前記給湯出口に接続された温水管路を含むことを特徴とする電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項2】
内側に上広円錐台形孔を設け、その下端に底部となる上広円錐凹部を形成し、該凹部の中心部を貫通して給湯出口を設けた有底円筒状の熱伝導性容器本体と、
前記容器本体の孔内側に嵌合された上広円錐台形の円筒体状の中子本体を持ち、該中子本体外周の上端縁部から下端にわたり複数で等間隔配置の水路溝が形成され、該水路溝の深さにより前記容器本体の上広円錐台形孔内面と間に極薄隙間を残すように嵌合された熱伝導性中子と、
前記極薄隙間に対応した前記容器本体の外周面に巻装された第1発熱体と、
前記容器本体底部の前記給湯出口の周囲に巻装された第2発熱体と、
前記第1発熱体が巻装された容器本体と前記第2発熱体が巻装された容器本体底部との境界部に設けられ、前記第1発熱体が巻装された外周面よりも深い円周溝と、
前記容器本体の下面と外周部を覆った断熱カバーと、
該断熱カバーの上面を着脱自在に覆う断熱蓋と、
該断熱蓋を貫通した給水管路に接続されたバルブおよび散水ノズルと、
前記給湯出口に接続された温水管路を含むことを特徴とする電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項3】
前記スペーサーは、熱伝導性薄板からプレス加工等により前記水路切欠が形成され、その全体が筒状に結合され、前記水路切欠の境界に串歯状部が形成された
ことを特徴とする請求項1記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項4】
前記中子は、前記容器本体の上広円錐台形孔、かつ、前記スペーサーの内側に嵌入できるよう、上広円錐台形の円筒体の中子本体を持ち、その上面中央部に取手が設けられたことを特徴とする請求項1記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項5】
前記中子は、前記容器本体の上広円錐台形孔の内側に嵌入できるよう、上広円錐台形の円筒体の中子本体を持ち、その上面中央部に取手が設けられたことを特徴とする請求項2記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項6】
前記中子本体の上面に略山笠形部が形成されたことを特徴とする請求項4または5記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項7】
前記中子本体の下端部外周に面取が設けられたことを特徴とする請求項4または5記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項8】
前記中子本体の上端部外周に面取が設けられたことを特徴とする請求項5記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項9】
給水管路途中の給水バルブが電気信号で開放され、給水が一定時間供給されるようにされたことを特徴とする請求項1または2記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項10】
前記給水路となる極狭隙間となった範囲では、第1発熱体により中温度を保つように、また、前記容器本体の底部の上広円錐凹部の範囲では、第2発熱体により蒸発温度より僅かに低い規定温度に達するよう、各々温度センサーにより、制御装置で管理されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項11】
前記断熱カバーは、容器本体外筒部と下面部を覆うよう2分割され、一方と他方カバーとで容器本体全体が覆われ、両カバーを一体に支持固定する支持台が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項12】
前記容器本体の外円周部に螺旋状溝が形成され、その中に前記第1発熱体が巻装されたことを特徴とする請求項1または2記載の電気瞬間湯沸かし装置。
【請求項13】
前記第1、第2発熱体は伝熱セメントで塗布固定されていることを特徴とする請求項1または2または12記載の電気瞬間湯沸かし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−145091(P2008−145091A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336298(P2006−336298)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(500518153)
【Fターム(参考)】