説明

電気負荷を監視する方法および装置

本出願人は、電気負荷を遠隔で監視し、電気負荷により引き起こされるまたは生成される電力関連異常および回線障害の主要な性質を判断し、その適合性を一定の期待される定常状態条件に適合させるための改良型の方法および装置を開発した。装置は、電力出力部、電力入力部、通信部、関連回路を含むことができるインテリジェント配電モジュールを含む。インテリジェント配電モジュールはさらに、記憶部、感知装置、処理装置、スイッチを含むことができる。電気負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法は、一般に、負荷と電源との間で感知モジュールを介装するステップと、負荷の1つ以上の特性を感知するステップと、負荷感知の性能を判断するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年3月30日に出願された米国特許仮出願第60/909,031号明細書の利益を主張し、米国特許非仮出願12/045,262号明細書の利益と優先権とを主張し、これらは参照により本明細書内に組み込まれる。
【0002】
本明細書内に開示され、教示される本発明は、一般に、配電系統の負荷の監視に関する。より詳細には、装置内の負荷感知の性能を確認するように構成された配電系統の負荷を遠隔監視する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術の情報を提供して、本発明が完全に理解され適切な前後関係で認識されるように、以下の多数の先行米国特許について言及する。
【0004】
1994年1月25日に出願された米国特許第5,281,859号明細書は、切換電力回路が選択的に電気負荷を複数の分岐電力回路の任意の1つに接続する「自動切換電源コンセント(automatically switched power receptacle)」を開示している。切換電力回路は、各分岐回路における電気負荷を感知する感知回路を含む。論理回路は、感知された負荷に従って負荷に接続される分岐回路の1つを選択するために感知回路に接続されて、各分岐回路における平衡負荷を提供する。
【0005】
1995年6月13日に出願されたSchreiberによる米国特許第5,424,903号明細書は、「インテリジェント電力切換装置(intelligent power switcher)」を開示している。ここでは、パーソナルコンピュータコンポーネントまたは電子娯楽機器など、複数の出力の各々に対する電源の電気接続を制御するインテリジェント電力切換システムが開示されている。切換回路は、各出力に対して「オン」または「オフ」状態を選択するユーザコマンドに応答する信号を生成するためにリレー回路に接続される。
【0006】
1999年1月19日に出願されたDavisによる米国特許第5,862,393号明細書は、「取り外し可能な装置を有するコンピュータの電力を監視するシステム(system for managing power of a computer with removable devices)」を開示している。該特許は、電力管理イベントをコンピュータの取り外し可能な装置に伝達することにより電力消費を監視するシステムを開示している。装置がコンピュータのソケット内に装着されている状態の間、電力管理イベントに応答して、装置取り外し信号が取り外し可能装置の装置コントローラに送信される。この装置取り外し信号は、装置に対する電力の遮断などの装置の電力状態の変化を警告することができる。電力状態の変化は、装置取り外し信号に応答して、装置ドライバへ装置コントローラにより伝達される。装置への電力は、電力管理イベントに応答して終了される。さらに、装置挿入信号は、別の電力管理イベントに応答して、装置がソケット内に装着されたままの状態で装置コントローラに伝達される。この装置挿入信号は、装置の別の状態の変化を警告する。この電力管理イベントに応答して、電力が装置に再び印加される。
【0007】
2003年9月9日に出願されたKaoらによる米国特許第6,618,772号明細書は、「電動機器を選択、監視、制御する方法および装置(method and apparatus for selecting,monitoring,and controlling electrically powered devices)」を開示している。一実施形態では、装置は、キー操作回線を有し、キー操作回線の導通を遮断することにより電動機器の使用を制御する制御回路を切換える電動機器を含む。
【0008】
2004年5月25日に出願されたMcNallyによる米国特許第6,741,442号明細書は、「インテリジェント配電系統(intelligent power distribution system)」を開示しており、1つ以上のインテリジェント電力ストリップを開示している。電力ストリップはそれぞれ、装置ラックに装着するようになされた細長いハウジングを含むことができる。電力ストリップはさらに、操作者が定めた順序と遅延時間に従って電源コンセントを電源オンおよび電源オフできる電力管理回路を含む。電力管理回路はさらに、電力ストリップにより引き込まれた電流を感知し、感知電流に基づいて電力ストリップの動作を制御して分岐回路の遮断器の作動を最小化することができる。
【0009】
2004年6月1日に出願されたRendicによる米国特許第6,744,150号明細書「低電圧パワータップを使用するPCにより制御されるコンセントストリップ(outlet strip controlled by PC using low voltage powertap)」を開示している。該特許は、ユーザにより電気ストリップのスイッチまたは下部のモニタシステムを手動で駆動する必要なしに、主装置から電気信号を受信すると、ストリップに接続される1つ以上の装置を自動的に通電にするまたは非通電にする改良型電力ストリップを開示している。システムは、主装置(パーソナルコンピュータであってもよい)の任意の適切なソケットに接続される低電圧パワータップコネクタを使用して、電源の主状態を感知する。出力信号は、副装置への電力を有効にする同期切り替えスイッチまたはリレーをトリガして、コンピュータ状態に基づいて副装置を同期的にオンまたはオフできるようにする。
【0010】
2005年8月30日に出願されたDonahue,IVによる米国特許第6,937,461号明細書は、「モジュール式配電ユニット、配電ユニット用モジュールおよび配電ユニット用モジュールの使用方法(modular power distribution unit,module for the power distribution unit,and method of using the same)」を開示している。該特許は、データセンター、コンピュータ室、通信センターなどの環境にある付属機器へ電力を供給するモジュール式配電ユニットを開示している。これらの環境では、付属機器の電力要件は変化する場合がある。配電ユニットは、フレームと、フレーム内のスロットに嵌合する1つ以上のユーザが交換可能な電力モジュールを含む。各電力モジュールは、必要に応じて、特定の環境の種々の機器に適合する1つ以上のプラグレセプタクル型、レセプタクル数および電力定格構成を提供する。電力モジュールは、他のモジュールへの電力または配電ユニットへの電力を遮断せずに、フレーム内で取り外し、装着、交換可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの参考文献はいずれも上述の出願の問題の解決策を打ち出していない。解決策とは、電気負荷により引き起こされるまたは生成される一部の電力関連異常または回線障害を遠隔で測定し、感知し、適合させて、装置内の電気負荷感知の性能を確認するものである。その際、電気負荷の電力関連信号、電流レベルおよび/または電圧レベルを適切にかつ正確に測定する必要性、および遠隔でかつ負荷がまだ動作可能な状態でこれらを較正する必要性が残る。
【0012】
本明細書内で開示され、説明される本発明は、負荷を監視する方法および装置を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、電気負荷を遠隔で管理し、電気負荷により引き起こされるまたは生成される電力関連異常および回線障害の主要な性質を判断し、その適合性を一定の期待される定常状態条件に適合させるための改良型の方法および装置を開発した。本開示は、性能を確認するための手段を提供する。性能には、装置の負荷感知の精度および有効性が挙げられるが、これらに限られるわけではない。装置は、電力出力部、電力入力部、通信部、関連回路を含むことができるインテリジェント配電モジュールを含む。インテリジェント配電モジュールはさらに、記憶部、感知装置、処理装置、スイッチを含むことができる。
【0014】
本開示はさらに、電気負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法を提供する。方法は、一般に、負荷と電源との間で感知モジュールを介装するステップと、1つ以上の負荷特性を感知するステップと、負荷感知の精度および有効性を含む(これらに限られるわけではない)性能を判断するステップとを含む。
【0015】
以下の図は、本明細書の一部を形成し、本発明の一部の態様を明示するために本明細書内に組み込まれる。本発明は、本明細書内に提示された特定の実施態様の詳細な説明と合わせて、1つ以上のこれらの図を参照することにより、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インテリジェント配電モジュールの例示的な実施形態を示す図である。
【図2】インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュールを示す図である。
【図3】インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュールの別の実施形態を示す図である。
【図4A】インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュールの別の実施形態を示す図である。
【図4B】インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュールの別の実施形態を示す図である。
【図5】電気負荷の監視結果の精度の判定を示す例示的な系統図である。
【図6】較正波形の一実施形態を示す図である。
【図7】重畳波形の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書内に開示される本発明は、種々の変更や代替形態が可能であるが、いくつかの特定の実施形態のみが図面の例で示されており、以下で詳細に説明されている。これらの特定の実施形態の図と詳細な説明は、いかなる方法によっても、本発明の概念または添付の請求項の広さまたは範囲を限定しようとするものではない。むしろ、図面および詳細な説明は、本発明の概念を当業者に示すために、および当業者が本発明の概念を製作し、使用できるように提供されるものである。
【0018】
本明細書内に示された図および以下の特定の構造や機能の書かれた説明は、本出願人が発明した内容の範囲および添付の請求項の範囲を限定するために提示されたものではない。むしろ、図および以下の書かれた説明は、当業者に、特許権保護が請求される発明を構成し、使用するように教示するために提供される。当業者は、明確にするために、また理解させるために、本発明の商業的実施形態の全ての特徴が記載され、示されているとは限らないことは理解する。さらに当業者は、本発明の態様を組み込んだ実際の商業的実施形態の開発には、開発者の商業的実施形態にするための最終目標を達成するためには、多数の実装時固有の決定が必要となることは理解する。そのような実装時固有の決定は、システムに関連した制約、ビジネスに関連した制約、政府に関係した制約、および他の制約の遵守を含むが、おそらくこれらに限られるわけではない。これらの制約は、特定の実装、特定の場所により、またその時々に応じて変化する場合がある。開発者の労力は明らかに複雑で時間のかかるものかもしれないが、このような労力は本開示の利益を有する当業者にとっては日常的な作業である。本明細書内に開示され教示されている本発明は、多数の種々の変更や代替形態が可能であることは理解されなければならない。最後に、「1つの」など(これに限られるわけではない)の単数形の単語を使用するのは、アイテムの数を限定するためではない。また、「上部」、「下部」、「左」、「右」、「上位」、「下位」、「下」、「上」、「側」など(これらに限られるわけではない)の関係語は、図を具体的に参照する際に明確にするために明細書内で使用されており、本発明や添付の請求項の範囲を制限するものではない。
【0019】
本出願人は、電気負荷を遠隔で監視して、電気負荷による電力関連異常および回線障害を遠隔で分析し、感知装置の性能を確認するための改良型の方法および装置を開発した。装置は、電力出力部、電力入力部、通信部、関連回路を含むことができるインテリジェント配電モジュールを含む。モジュールはさらに、記憶部、感知装置、処理装置、スイッチを含むことができる。電気負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法は、一般に、負荷と電源との間で1つ以上の負荷特性を感知する感知モジュールを介装するステップと、電気負荷により引き起こされるまたは生成される電力関連異常および回線障害を分析するステップと、1つ以上の負荷特性を感知するステップと、負荷感知の精度および有効性を含む(これらに限られるわけではない)性能を判断するステップとを含む。
【0020】
電力モジュールは、電力入力部から電力を受け取り、電力出力部への切り替え装置を介して負荷まで送ることができる。本開示のインテリジェント配電モジュール2は、先行技術のモジュールの改良型である。例示的な実施形態のインテリジェント配電モジュール2により、ユーザが性能を自動較正し、性能を判断することができる。性能には、インテリジェント配電モジュール2の負荷感知の精度および有効性が挙げられるが、これらに限られるわけではない。顧客の要求を満たすように各々異なる構成の種々のタイプのインテリジェント配電モジュール2がある。例えば、インテリジェント配電モジュールは、さまざまな電力定格、さまざまな電源コンセント、さまざまな感知装置、またはプラグを有することができる。負荷感知は、装置内の随所および/または電力入力部と装置に接続された負荷との間の随所の信号または特性の測定などの感知を含むことができる。例えば、装置内の負荷の監視、装置の監視、または装置内の感知装置の監視を含むがこれらに限られるわけではない。負荷感知は、感知装置35などのさまざまな感知システムにより具現化できる。感知装置35については、以下で詳細に述べる。
【0021】
図1は、インテリジェント配電モジュールの例示的な実施形態を示す。インテリジェント配電モジュールは、一般に、電力出力部10と、電力入力部15と、通信部25と、関連回路とを含む。関連回路は、一般に、負荷感知の精度および有効性を含む(これらに限られるわけではない)性能を判断するように構成された、記憶部30、感知装置35、処理装置40、スイッチ20を含む。
【0022】
電力入力部15は、電源50からの電力と接続し、電力を受け取るように構成された接続装置である。さらに、図2から図5に詳細が示され説明されている。インテリジェント配電モジュール2を使用する配電系統で使用される電源は、例えば、電源壁付きコンセント、電源レール、電源ストリップ、BCMS(分岐回路監視システム)、またはLDM(Liebert分散監視システム)を含むことができる。電力入力部15は、安全機関が認証した標準電源プラグのような任意の電源プラグにより具現化できる。電源プラグには、例えば、NEMA(National Electrical Manufacturers Association)5−15PまたはNEMA L5−20Pが挙げられる。図1に示された実施形態では、電力出力部15は、NEMA 5−15Pプラグの寸法仕様および電気仕様を有するとして示されている。インテリジェント配電モジュール2は、1つ以上の電力入力部15を有するように構成されてもよい。
【0023】
関連回路は、一般に、記憶部30、感知装置35、処理装置40、スイッチ20を含み、負荷感知の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を判断するように構成される。記憶部30は、任意の数のストレージデバイスにより具現化できる。限定的ではないが、記憶部30は、電気的消去可能ROMとすることができる。記憶部30は、データを記憶するように構成されている。このデータは、例えば、基準データ、電流レベル、電力消費量、または配電系統内の他のコンポーネントからの通信データを含むことができる。
【0024】
感知装置35は、電力入力部からの電流または電圧を感知するように構成された電流感知および/または電圧感知の装置を備える。感知装置35は、電流変換器としてもよい。感知装置35は、例えば、インテリジェント配電装置が負荷感知の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を自動較正し、判断するためのデータを提供してもよい。
【0025】
処理装置40は、例えば、感知の種々の機能および/または監視機能を制御するようなインテリジェント配電モジュールを制御するように構成された装置である。処理装置40は、例えば、負荷感知の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を較正し、判断するのに使用される値を計算することができる。インテリジェント配電モジュール2は、モジュールの状態を示す表示部60を備える。この表示部は、例えば、データが送信されたこと、モジュールが較正中であること、モジュールが交換の必要があること、または電力特性の問題が明らかであることを表示することができる。
【0026】
通信部25は、インテリジェント配電モジュール2に対してデータを送受信できるように構成された装置である。通信部25は、例えば、有線信号または無線信号により通信することができる。図1に示された実施形態では、通信部25は、有線通信バスである。通信部25は、さまざまな方法で通信してもよい。以下で3つの例が示されるが、他の方法も可能である。第1に、通信部25は電源15からの電気経路で通信してもよい。第2に、通信部はバスなどの専用有線通信信号で通信してもよい。第3に、通信部は遠隔ステーションと、例えば、電源または配電系統のいくつかの他のコンポーネントと無線信号で通信してもよい。
【0027】
電力出力部10は、電力と接続し、電力を1つ以上の負荷45に伝達するように構成された接続装置である。さらに、図2から図5に詳細が示され説明されている。電力出力部10は、安全機関が認証した標準電源コンセントのような任意の電源コンセントにより具現化できる。電源コンセントには、例えば、NEMA 5−15PまたはIEC60320−2−2−Sheet F(C13)コンセントが挙げられる。図1に示された実施形態では、電力出力部10は、C13コンセントの断面図で示されている。インテリジェント配電モジュール2は、1つ以上の電力出力部10を有するように構成されることが可能である。
【0028】
図2から図5は、配電系統におけるインテリジェント配電モジュール2および例示的な変形形態を示す。これらの図は、インテリジェント配電モジュール2および関連系統の多くの異なる実施形態の数例を示すものである。
【0029】
図2は、インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュールを示す。系統は、電源ストリップとして示され、インテリジェント配電モジュール2に接続されている電源50と、NEMA 5−15Pプラグで示され、インテリジェント配電モジュール2に接続される電力負荷45とを含む。本実施形態では、通信部25は無線通信バスである。無線通信部25により、インテリジェント配電モジュール2は無線でデータの送受信をすることができる。無線通信部は、例えば、負荷感知の1つ以上の特性もしくはモジュールの1つ以上の特性などのデータを遠隔位置からまたは遠隔位置に送信することができる。遠隔位置は、例えば、別のインテリジェント配電モジュールまたは他のシステムを含むことができる。
【0030】
図3は、インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュール別の実施形態を示す。システムは、本明細書において電源レールとして示され、インテリジェント配電モジュール2に接続される電源50と、インテリジェント配電モジュール2に接続される、一体となる2組のNEMA 5−15Pおよび特別仕様の接点構成のプラグインタフェースとして本明細書において示された複数の電力負荷45a、45bを含む。
【0031】
本実施形態では、インテリジェント配電モジュール2は、有線通信部25と複数の電力出力部10a、10b、10c、10d(まとめて「10」)とを含む。図3は、インテリジェント配電モジュール2がエネルギーを複数の異なるタイプの負荷45a、45b(まとめて「45」)に伝達する方法を示す。電源レールとして具現化されている電源50は、有線通信レセプタクル55を含む。インテリジェント配電モジュール2は、複数の電力出力部10を有し、したがってより複数の負荷45を処理することができる。インテリジェント配電モジュール2は、電源50と有線通信部を介して通信する能力を有する。
【0032】
図4Aは、インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュール別の実施形態を示す。システムは、2つのインテリジェント配電モジュール2a、2b(まとめて「2」)に接続する能力を有する電源レールとして示されている電源50を含む。実施形態のインテリジェント配電モジュール2a、2bは、負荷と同じく電源に直接差し込まれる。図3に示されるように、負荷45が電源ストリップ50に接続されているが、インテリジェント配電モジュール2の電力出力部10に接続されていなくても、インテリジェント配電モジュール2はそれでも、例えば、負荷感知の1つ以上の特性の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を自動較正および判断する機能を実行することができる。
【0033】
図4Bは、インテリジェント配電系統におけるインテリジェント配電モジュール別の実施形態を示す。この代替の実施形態は、図4Aに示された実施形態と同様に、複数の負荷45に接続できる10a、10bで本明細書に示された複数の電力入力部を有する電源ストリップに接続される1つのインテリジェント配電モジュール2のみで示されている。図4Bで具現化されているインテリジェント配電モジュール2は、複数の負荷を担当する。負荷45が電源ストリップ50に接続されているが、インテリジェント配電モジュール2の電力出力部10に接続されていなくても、インテリジェント配電モジュール2は、インテリジェント配電モジュール2の複数の感知装置35により、例えば、負荷感知の1つ以上の特性の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を自動較正および判断する機能を実行することができる。インテリジェント配電装置の図4Aの実施形態が1つの負荷45のみを感知するのに対して、図4Bでは、インテリジェント配電モジュール2の複数の感知装置35a、35bは、複数の負荷45の1つ以上の特性を感知する。本実施形態は、BCMS(分岐回路監視システム)またはLDM(Liebert分散監視システム)で使用することができる。BCMSおよびLDMに関するさらなる情報は、Liebert Corporationのウェブサイト、http://www.liebert.com/で見ることができる。
【0034】
一実施形態では、電流は遠隔で測定される。別の実施形態では、電流の精度が測定され、操作者の裁量で信号を較正するのに使用される。さらに別の実施形態では、電流の精度が測定され、信号を自動的に補正するのに使用される。
【0035】
本出願により開発された改良型の方法は、負荷に接続された電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法である。方法は、一般に、負荷の1つ以上の特性を感知するために負荷と電源との間にモジュールを介装させるステップと、負荷の1つ以上の特性を感知するステップと、負荷感知の精度および有効性(これらに限られるわけではない)を含む性能を判断するステップとを含む。方法はさらに、電気負荷により引き起こされるまたは生成される電力関連異常および回線障害を分析するステップと、負荷検出の性能を確認するステップとを含むことができる。
【0036】
図5は、負荷を監視するための一実施形態であり、モジュールを較正して負荷の1つ以上の特性を測定するステップをさらに含む一実施形態を示す。本実施形態では、複数の感知装置35(本実施形態では、35a、35b、35c、35d(まとめて「35」で示されている))が、1つ以上の特性を感知するために電気負荷と電源との間に介装されている。感知装置35は、少なくとも1つのモジュール2に接続されている。電気負荷は、電源からの電流要件および電圧要件を有し、測定される特性は電流である。したがって、図5に示されたセンサは、異なる電流量での磁界変化を負担抵抗器両端の電圧変化として変換する変流器などの電流感知装置であるが、他の実施形態では、他のタイプのセンサが使用されてもよい。4つの感知装置35は、4つの負荷45a、45b、45c、45dの1つ以上の特性70a、70b、70c、70dを感知する。さらに、電流源65は、各感知装置35を通り負荷85で終端処理されるワイヤ80に接続される。負担抵抗器は、電流感知装置35の出力部に配置されてもよい。
【0037】
モジュールを較正して、標準的な測定情報を提供して、負荷検出の1つ以上の特性を確認するために、電流源65は較正電流信号を出力する。例えば、限定的ではないが、負荷の回線周波数の大きさより大きい動作周波数の特徴的なアタック、ステーショナリ、ディケイ周期を有するテーパー状正弦曲線形の較正電流信号である。異なる波形構造を有する他の較正電流信号を使用することもできる。較正電流信号は、電流感知装置周囲を1回または複数回巻かれ得るワイヤ80内に投入される。別の例示的な実施形態では、較正電流信号は、検出されるべき実際の回線障害やアーチファクト特徴を見せる波形で解析されてもよい。図6は、較正波形の一実施形態を示す。さらに別の実施形態の較正信号の波形特性は、負荷の電流信号が通常動作時に一時的または準定常的アーチファクトにより引き起こされる同様の摂動を含む可能性が低いようにするものである。基準または標準測定条件を確立するために負荷が切断される時、または動作データを標準データに較正するために負荷が接続される時に、方法が適用される。本明細書内で開示された方法は、特定の過渡電流により乱される線形および定常波形データを正確に分析するために使用され得る。信号をフィルタ処理するための適応基準を使用して非線形、非定常波形データの分析を可能にできるHilbert−Huang Transformなどの他の方法がある。以下の参考文献は、Hilbert−Huang Transform方法に関するさらなる詳細を示す。Norden E.Huang著、「Hilbert−Huang Transforms and Its Application」、第1章「Introduction to the Hilbert−Huang Transform and its Related Mathematical Problems」1−26頁、2005年、G.Kerschen、A.F.Vakakis、Y.S.Lee、D.M.McFarland、L.A.Bergmen著、「Toward a Fundamental Understanding of the Hilbert−Huang Transform in Nonlinear Structural Dynamic」、Vibration and Controlジャーナル発行、Vol.14、No.1−2、77−105、1−30頁、2008年、Norden Huang著、「Hilbert−Huang Transform:A Method for Analyzing Nonlinear」、NASA Medical Technology Summit、Pasadena、CA、1−38頁、2003年2月23日。
【0038】
ウェーブレット理論の一般的な用語を使用して、以下に本発明の応用の特殊性を簡潔に示す。以下の参考文献は、ウェーブレット理論の一般的な用語でさらなる詳細を示すものである。(i)C.Sidney Burrusら、「An Introduction to Wavelets and Wavelet Transforms−A Primer」、Prentice Hall発行、62頁、205−207頁、1998年、(ii)Yves Nievergelt著、「Wavelets Made Easy」、Birkhauser発行、58−60頁、1999年、(iii)Barbara Burke Hubbard著、「The World According to Wavelets」、AK Peters発行、30−33頁、78−81頁、1996年、(iv)Emmanuel C.Ifeachorら、「Digital Signal Processing−A Practical Approach」、Addison−Wesley発行、184−190頁、1993年。
【0039】
電流源65が較正電流信号を生成すると、回線周波数の少なくとも単一積分周期Tの等間隔サンプル2の電流信号75をデジタル化するためにPLL(位相ロックループ)制御サンプリングシステムが確立される。したがって、較正電流信号は、負荷45a、45b、45c、45dの電流信号に線形に与えられ、負担抵抗器両端での結果の電圧電位は、処理システムおよび電流感知装置により測定される。図7は、4分の1周期Tで示された重畳波形の一実施形態を示す。
【0040】
の等間隔サンプルは、回線周波数の少なくとも単一積分周期Tで測定される。整合誤差を最も感知する電流較正信号と同じ波形形状を示す適切なウェーブレットおよびスケーリング関数を用いてサンプルのセットを重畳することにより、連続ウェーブレット変換がこの間隔で実行される。サンプルセットは、変換され、平均値と2−1ウェーブレット係数とからなる順序集合に分解される。このウェーブレット係数の振幅は、元の信号の比例高調波成分に近い。時間シフト不変性のために、連続ウェーブレット変換が望ましい。この時間シフトの不変性により、ウェーブレット係数は分解プロセスのサンプル間隔の開始点の影響をほとんど受けない。
【0041】
連続ウェーブレット変換は、回線周波数のN積分周期Tにわたり繰り返されて、係数の長期の平均値が計算され、安定値に収束するようにする。得られた平均値係数のセットは、電流負荷のない同じ電流感知装置45により静止条件で測定される基準または標準的係数のセットと相関される。ハードもしくはソフトの閾値化技術を使用して、負荷電流信号の低周波成分により影響される可能性がある低周波係数を破棄する必要がある。例えば、デジタル整合フィルタリングもしくは平均振幅相互差(cross−difference)などの相互相関、または他の同様の相関分析が係数組の同じ長さのシーケンスに対して実行されて、残差により示される測定システムの相対精度を確認する。較正電流信号は周期のまさに同じ位相で確認されるので、連続ウェーブレット変換の時間シフト不変性により、最大相関値を確立するために相互相関は遅延差(difference lags)に対して計算されなくてもよい。
【0042】
センサまたは測定システムの元の精度仕様は、温度、時間、もしくは不具合によるコンポーネントのパラメータ変化により、変化する場合がある。期待相関係数と実際相関係数との間の0でない残差は、システムの電流信号の元の精度仕様からの偏差を示すので、この情報により補償スケーリング効果が誤差を補正し、および/またはイベント検出のための信号伝達手段を提供することができる。システムは、較正信号の生成のための内部手段もしくは外部手段を備える。上述したように、図5は、負荷を監視するための例示的な実施形態のみを示すが、これにより測定や較正が行われる。
【0043】
負荷を監視する方法の一実施形態では、方法は負荷の1つ以上の特性を測定することができる。負荷の1つ以上の特性には、例えば、電圧、電流および/または電力が挙げられる。さらに、負荷の1つ以上の特性には、例えば、負荷もしくは周囲環境の温度などの他の条件も挙げられる。別の実施形態では、例えば、温度などのモジュールの1つ以上の特性が測定され、遠隔位置で伝達されるのも可能である。さらに別の実施形態では、モジュールは、負荷の1つ以上の特性の測定値が正確に測定されているか否かを判断するためにモジュールを較正することができる。較正は、負荷の1つ以上の特性の測定の精度を確保する。較正の手順もしくは方法は、任意の数の方法で、多数の異なる波形構造を使用して実行される場合がある。
【0044】
上述の本発明の1つ以上の態様を利用するさらに他の実施形態が、本出願人の発明の精神から逸脱せずに考案されてもよい。例えば、本明細書内で開示された本発明の1つ以上の態様を組み込んだ実施形態は、機能や目的に影響を与えずに、任意の数もしくは異なるタイプの電源または負荷を備えて使用されてもよい。さらに、負荷の1つ以上の特性を測定するために、またはモジュールを較正して負荷の1つ以上の特性を測定するために、任意の数の他の方法が使用されてもよい。さらに、開示された方法および実施形態の変形形態を作成するために、改良された方法や装置の種々の方法および実施形態が互いに組み合わされて含まれてもよい。単数形の要素の記述は複数形の要素を含むことができ、またその逆も言える。
【0045】
ステップの順序は、別の形で特に限定されない限り、さまざまなシーケンスで行われてもよい。本明細書内で説明される種々のステップは、他のステップと組み合わされてもよいし、規定のステップに差し挟まれてもよいし、および/または複数のステップに分割されてもよい。同様に、要素が機能的に説明されて、個々のコンポーネントとして具現化されてもよいし、または複数の機能を有するコンポーネントに組み合わされてもよい。
【0046】
本発明は、好適な実施形態および他の実施形態で説明されたが、本発明の全ての実施形態が説明されたわけではない。説明された実施形態に対して明らかな変更および代替形態が当業者には利用可能である。開示された実施形態および開示されていない実施形態は、本出願人により考案された本発明の範囲または適用性を限定または制限するものではない。むしろ、本出願人は、特許法に基づいて、以下の請求項の等価物の範囲または枠内に入る全てのそのような変更および改良を完全に保護するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント配電モジュールであって、
電源からの電力と接続し、受け取るように構成された電力入力部と、
電力入力部からの電力を受け取り、記憶部と電力関連感知装置と処理装置とを備える回路であって、少なくとも処理装置が電力関連感知装置の性能を判断するように構成された回路と、
回路に接続され、電力と接続し、1つ以上の負荷に電力を伝達するように構成された電力出力部と、
該モジュールから及び該モジュールへデータを送信するように構成された通信部と、
を備えるインテリジェント配電モジュール。
【請求項2】
回路が、較正電流信号を感知モジュールの電気信号に投入して合成電流信号を生成し、負荷の1つ以上の特性を測定し、負荷感知の性能を判断するように構成される、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
回路が、モジュール内の合成電流信号および電気信号に数学的変換を施すように構成される、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
数学的変換が、ウェーブレット変換を含む、請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
感知装置が、電流感知装置である、請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
回路が、感知装置を較正するように構成される、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
回路が、感知装置により感知される負荷の1つ以上の特性を測定するように構成される、請求項6に記載のモジュール。
【請求項8】
回路が、感知装置を自動的に較正するように構成される、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
モジュールの状態を表示する表示部を備える、請求項8に記載のモジュール。
【請求項10】
電気負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法であって、
負荷と電源との間で負荷の1つ以上の特性を感知するため感知モジュールを介装するステップと、
較正電流信号を感知モジュールの電気信号に投入するステップと、
較正電流信号と電気信号とを合成電流信号に合成するステップと、
合成信号を使用して、負荷の1つ以上の特性を測定するステップと、
負荷の1つ以上の特性を感知する性能を判断するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
感知モジュール内の合成電流信号および電気信号に数学的変換を施すステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
感知モジュール内の合成電流信号にウェーブレット変換を施すステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
較正電流信号が、負荷の回線周波数の大きさより大きい動作周波数の特徴的なアタック、ステーショナリ、ディケイ周期を有するテーパー状正弦曲線形である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
較正電流信号が、負荷の回線周波数の大きさより大きい動作周波数の特徴的なアタック、ステーショナリ、ディケイ周期を有するテーパー状正弦曲線形である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
負荷の特性を遠隔ステーションに伝達するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ソフトウェアを利用して負荷の特性を測定するためにモジュールを較正するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項17】
電気負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷を監視する方法であって、
負荷と電源との間で負荷の1つ以上の特性を感知する感知モジュールを介接するステップと、
較正電流信号を感知モジュールの電気信号に投入するステップと、
較正電流信号とモジュール内の電気信号とを合成電流信号に合成するステップと、
負荷の1つ以上の特性を測定するステップと、
電気負荷の電力関連異常および回線障害を分析するステップと、
負荷の1つ以上の特性を感知する性能を確認するステップと、
を含む方法。
【請求項18】
感知モジュール内の合成電流信号および電気信号に数学的変換を施すステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
感知モジュール内の合成電流信号にウェーブレット変換を施すステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
負荷の特性を遠隔ステーションに伝達するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ソフトウェアを利用して負荷感知の性能を確認するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
装置および負荷に接続される電源により供給される電流要件および電圧要件を有する電気負荷に接続される装置を監視する方法であって、
負荷と電源との間で装置の1つ以上の特性を感知する装置を介装するステップと、
較正電流信号を装置の電気信号に投入するステップと、
較正電流信号と電気信号とを合成電流信号に合成するステップと、
合成信号を使用して、装置の1つ以上の特性を測定するステップと、
装置の1つ以上の特性を感知する性能を判断するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
装置内の合成電流信号および電気信号に数学的変換を施すステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
装置内の合成電流信号にウェーブレット変換を施すステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
較正電流信号が、装置の回線周波数の大きさより大きい動作周波数の特徴的なアタック、ステーショナリ、ディケイ周期を有するテーパー状正弦曲線形である、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−524418(P2010−524418A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501055(P2010−501055)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/056787
【国際公開番号】WO2008/121529
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(506188585)リーバート・コーポレイシヨン (11)
【Fターム(参考)】