説明

電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ

【課題】PDの数を減らし、光遅延分岐回路を必要としない電気遅延型OCTAを提供すること。
【解決手段】伝送線路10に入力パラレル電気信号が入力されたスイッチ20−1〜20−Nが並列に取り付けられている。スイッチ20−1〜20−Nは、ノーマリオフ状態に設定されており、光電変換器30から出力され分岐した電気信号によってONされると伝送線路10に出力シリアル電気信号を構成する電気パルスを生成する。光電変換器30は光パルス又は光ラベルトリガーが照射されると電気信号を出力し、分岐回路40−1〜40〜N、遅延回路50−1〜50−(N−1)を介して各スイッチ20−1〜20−Nに入力する。遅延回路50−1〜50−(N−1)は分岐回路40−1〜40〜Nの間に設置されており、出力シリアル電気信号のビット間隔τに相当する時間差でスイッチ20−1〜20−Nに電気信号が到達するように調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気遅延型光クロック型トランジスタアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表されるデータ通信の爆発的増加に伴い、光通信の高速化と大容量化の要求が高まっている。さらに、今後の光通信ネットワークは、様々なネットワークサービスに対応可能な柔軟性、及びサービスの種類とユーザーの増大に対応可能な拡張性が必要となってくる。
【0003】
上記の課題に対して、光パケットを用いた通信は、細かなデータ粒度により、最も帯域利用効率、柔軟性、拡張性が高いネットワークを実現することができる。光パケット通信の実現には幾つかの機能が必要であるが、まず、もとの信号である非同期バースト光パケットの生成が必要である。
【0004】
このパケット生成動作においては、もとのパケットデータが保持されているメモリー媒体は、シリコン系Random Access Memory(RAM)が主流であるが、シリコンRAM自身のインターフェイス速度は1Gbpsあたりの制限があるので、メモリー媒体から直接パケット信号を出力するのは困難である。
【0005】
そこで、パケット信号の生成には、データを複数の低速なパラレル電気信号としてメモリー媒体から出力し、高速電子回路技術を用いた電気クロック信号発生器と電気パラレル−シリアル変換器により、パラレル電気信号を高速なシリアル電気信号に変換することが考えられている。そして、その後の電光変換により、光パケット信号が生成される。
【0006】
しかし、このように複数の低速な信号を高速の信号に変換する場合、低速な電気信号を順次倍の速度に逓倍する(すなわち、数100MHz→・・・→20GHz→40GHzとする)必要があるため、かなりの段数が必要となり、また、それぞれの段におけるクロック生成が必要となる。さらに、それぞれの段に対する入力パラレル信号の位相ずれの問題がある。
【0007】
これに対して、位相制御を行うSerdes−Framer Interface(SFI)の規格などあるが、この制御を実行する電子回路技術は非常に複雑であり、デバイス数(Flip−Flop)も多くなることから、デバイス全体の消費電力が大きくなってしまう。さらに、本制御方式はそれぞれのパラレル信号に対してクロック再生を行っているが、非同期バースト的に入力する信号に対しては、瞬時にクロックを抽出することができない。
【0008】
これらの問題を解決する方法として、光クロック型トランジスタアレイ(OCTA)光
電子回路が開発され、電光パラレル−シリアル変換器を実現されている(下記非特許文献
1参照)。
【0009】
図6に、従来の光クロック型トランジスタアレイ(OCTA)の構成を示した模式図を示す。なお、図6において、(M)はMSM−PD(Metal−Semiconductor−Metal Photo Detector)、(VM)はMSM−PDバイアス電圧、(RM)は入力抵抗、(CM)は充電用キャパシタ、(Tr)はトランジスタ、(P)は光パルス、(Vb)はバイアス電圧、(Rb)は並列抵抗、(SON)はON信号、(SP)は入力パラレル電気信号、(SS)は出力シリアル電気信号を示す。
【0010】
図6に示すように、従来のOCTAは、N個の光トリガ型トランジスタ回路1〜Nが一つの伝送線路10に並列に取り付けられており、それぞれの光トリガ型トランジスタ回路1〜Nは、主にトランジスタ(Tr1〜TrN)とトランジスタ(Tr1〜TrN)のゲート端子に取り付けられたMSM−PD(M1〜MN)から構成されている。
【0011】
パケットデータは、CMOSメモリーから入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)として出力され、それぞれがトランジスタ(Tr1〜TrN)のドレイン端子に供給される。トランジスタ(Tr1〜TrN)のゲート端子には、バイアス電圧(Vb)を与えることでノーマリオフの状態に設定されており、入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)は、伝送線路10に流れ込まないようになっている。
【0012】
次に、MSM−PD(M1〜MN)に光パルス(P1〜PN)を照射すると、そこで発生した電気パルスがゲート電圧の閾値を超えるまで上昇し、トランジスタ(Tr1〜TrN)をONとするため、電気パルスが消滅する間(すなわち、トランジスタ(Tr1〜TrN)がONである間)は、入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)が伝送線路10上に出力される。この時、入力された入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)が“1”の場合は電気パルスが伝送線路10上を伝播し、“0”の場合は出力されないこととなる。
【0013】
したがって、N個のMSM−PD(M1〜MN)に、一定の時間差τを与えて光パルス(P1〜PN)を順次照射することにより、CMOSメモリから出力されたN個の入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)と同じデータを有する出力シリアル電気信号(SS)へ変換されることとなる。
【0014】
出力された出力シリアル電気信号(SS)は、光変調器等を用いて電気−光変換することにより、シリアル光信号に変換される。さらに、各光トリガ型トランジスタ回路1〜Nにおける光パルス(P1〜PN)の照射、及び入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)のビット入力を一定の周期(T=Nxτ)で繰り返すことにより、任意長のバースト光パケットを生成することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Ryohei Urata、外4名、“An Optically Clocked Transistor Array FOR High-Speed Asynchronous Label Swapping: 40 Gb/s AND Beyond”、IEEE、JOURNAL OF LIGHTWAVE TECH NOLOGY、VOL.26、NO.6、2008年3月15日、p.692−703
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来技術はN個の光トリガ型トランジスタ(Tr1〜TrN)に対するON信号を生成するためにN個のMSM−PD(M1〜MN)を必要とし、それらN個のMSM−PD(M1〜MN)に一定の時間差τを与えて光パルス(P1〜PN)を順次照射するために光遅延分岐回路を必要とするため、装置が大きく、作製高コストであるという課題があった。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、PDの数を減らし、電気信号遅延回路を用いた電気遅延型OCTAを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路であって、出力シリアル電気信号を伝播させる伝送線路と、前記伝送線路に並列に接続され、該伝送線路を介して外部に出力するNビットの前記出力シリアル電気信号を構成する互いに異なる特定の1ビットの電気信号を前記伝送線路に出力するN個のスイッチ回路と、光パルスをトリガとして電気パルスを生成する光電変換器と、前記光電変換器に直列に接続され、前記電気パルスを前記各スイッチ回路に分岐するN個の分岐回路と、前記電気パルスが前記出力シリアル電気信号のビット間隔に相当する時間差で前記各スイッチ回路に到達するように前記分岐回路間に設けられたN−1個の遅延回路とを備え、前記各スイッチ回路は、前記各分岐回路で分岐された前記電気パルスによりスイッチング制御してN個のパラレル信号の1つから前記電気信号を出力することを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路において、前記各スイッチ回路は、前記伝送線路にドレイン端子が接続され、前記パラレル信号の信号源にソース端子が接続されたトランジスタ回路と、前記分岐回路の1つと前記トランジスタのゲート端子とを接続するレベル変換器とを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路であって、入力シリアル電気信号を伝播させる伝送線路と、記伝送線路に並列に接続され、前記入力シリアル電気信号の特定の1ビットの電気信号をサンプルホールドするN個のスイッチ回路と、光パルスをトリガとして電気パルスを生成する光電変換器と、前記光電変換器に直列に接続され、前記電気パルスを前記各スイッチ回路に分岐するN個の分岐回路と、前記電気パルスが前記入力シリアル電気信号のビット間隔に相当する時間差で前記各スイッチ回路に到達するように前記分岐回路間に設けられたN−1個の遅延回路とを備え、前記各スイッチ回路は、前記各分岐回路で分岐された前記電気パルスによりスイッチング制御してNビットの入力シリアル信号からN個のパラレル信号の1つを出力することを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路において、前記各スイッチ回路は、前記伝送線路にドレイン端子が接続されたトランジスタ回路と、前記トランジスタ回路のソース端子に接続された、前記サンプルホールドされた特定の1ビットの電気信号が充電されるホールドキャパシタと、前記サンプルホールドされた電気信号をリセットするためのリセットトランジスタと、前記トランジスタ回路のソース端子に接続された、前記ホールドキャパシタに充電された電気信号を出力するバッファ回路とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路において、前記各スイッチ回路は、前記分岐回路の1つと前記トランジスタのゲート端子とを接続するレベル変換器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、PDの数を減らし、電気信号遅延回路を用いることにより、装置を小型化し、歩留まりを向上して作製コストを抑える効果を奏する。また、伝送線路を短くすることができるため、パラレル−シリアル変換、シリアル−パラレル変換を高速化する効果を奏する。また、作製が容易で小型化も容易なため、パラレルチャネル数を容易に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の実施形態1に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す図である。
【図2】本願発明の実施形態1に係る複数の光電変換器を有する電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す図である。
【図5】本発明のシリアル−パラレル変換動作の行うためのスイッチ回路の構成を示す図である。
【図6】従来の光クロック型トランジスタアレイ(OCTA)の構成を示した模式図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、本願発明の実施形態1に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す。ここではパラレル−シリアル変換動作に関し説明する。伝送線路10に入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)が入力されたスイッチ20−1〜20−Nが並列に取り付けられている。スイッチ20−1〜20−Nは、ノーマリオフ状態に設定されており、光電変換器(OE)30から出力され分岐した電気信号によってONされると伝送線路10に出力シリアル電気信号を構成する電気パルスを生成する。光電変換器30は光パルス又は光ラベルトリガーが照射されると電気信号を出力し、直列接続された分岐回路40−1〜40〜N、遅延回路50−1〜50−(N−1)を介して各スイッチ20−1〜20−Nに入力する。遅延回路50−1〜50−(N−1)は分岐回路40−1〜40〜Nの間に設置されており、出力シリアル電気信号(SS)のビット間隔τに相当する時間差でスイッチ20−1〜20−Nに電気信号が到達するように調整されている。
【0026】
スイッチ20−1〜20−Nは、入力パラレル電気信号(SP1〜SPN)が入力されるドレイン端子と、伝送線路10に接続されたソース端子を有するトランジスタ22−1〜22−Nと、トランジスタ22−1〜22−NのゲートにON信号を入力するレベル変換器21−1〜21−Nとからなる。分岐回路40−1〜40−Nから出力された電気信号はレベル変換器21−1〜21−Nを介してトランジスタ22−1〜22−Nのゲート端子に入力されるとドレイン・ソース間がONになり、伝送線路10に出力シリアル電気信号を構成する電気パルスを生成する。
【0027】
光電変換器30を構成する受光素子は、MSM−PDやPIN−PD等の様々なタイプのPDが可能であるが、光電変換器30の1つのPDによって生成された電気信号から複数のスイッチ20−1〜20−NにON信号を供給することができる。そのため、本発明はスイッチ20−1〜20−Nに1つのPDを使用する従来のOCTAに比べPDの数を大幅に減らすことができる。分岐回路40−1〜40−Nは差動増幅器、遅延回路50−1〜50−(N−1)はバッファ回路や電気配線とすることができる。
【0028】
このように、PD、光遅延分岐回路に替えて歩留まりが高く、作製が容易な分岐回路40−1〜40〜N、遅延回路50−1〜50−(N−1)を用いることにより、装置を低コストで作製することができる。さらに、分岐回路40−1〜40〜N、遅延回路50−1〜50−(N−1)は、PD、光遅延分岐回路に比べて小型化が容易であるため、伝送線路10を従来よりも短縮することでパラレル−シリアル変換をより高速に行うことができる。
【0029】
1つの光電変換器30が電気信号を供給できるスイッチ20−1〜20−Nの数は、光電変換器30からスイッチ20−Nのトランジスタ22−Nのゲート端子までの伝送経路における電気信号の減衰度合いによって決まるが、半導体の微細化技術の向上と共にスイッチの数Nは改善されることが期待される。この半導体の微細化技術の向上スピードは、光回路の微細化技術の向上スピードよりも優位であると考えられるので、本発明は、光遅延分岐回路を用いた従来のOCTAに対して、小型化、ビット数の増加等の改善が容易に行えることが期待される。
【0030】
出力シリアル電気信号のビット数を規定するスイッチの数は、上述のように伝送経路における電気信号の減衰度合いに依存する。しかしながら、スイッチの数は光電変換器を増やすことで容易に増やすことができる。図2に、光遅延分岐回路を介して本願発明の実施形態1に係る電気遅延型OCTAを2つ接続した構成の模式図を示す図である。図2に示す構成では、光遅延分岐回路70で接続された複数の光電変換器30−1、30−2を設けることで、スイッチの数を図1に示す例に対し容易に2倍にすることができる。
【0031】
(実施形態2)
図3に、本発明の実施形態2に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す。本実施形態2は、伝送線路10に出力される電気パルスの幅を任意に設定することができることを特徴とする。
【0032】
実施形態1の分岐回路40−Nに遅延回路50−Nと分岐回路40−(N+1)とが接続されおり、スイッチ20−1〜20−Nと分岐回路40−1〜40−Nとの間に差動増幅器60−1〜60−Nを設ける。差動増幅器60−1〜60−Nは、正入力端子に分岐回路40−1〜40−Nが接続され、正出力端子にスイッチ20−1〜20−Nを接続され、差動増幅器60−2〜60−Nの負出力端子に1つ前のスイッチ20−1〜20−(N−1)が接続されている。
【0033】
差動増幅器60−1の負出力端子及び差動増幅器60−(N+1)の正出力端子は終端負荷に接続され、差動増幅器60−2〜60−Nの負出力端子はスイッチ20−1〜20−Nのトランジスタ22−1〜22−Nのゲート端子にレベル変換器23−1〜23−Nを介して接続されている。
【0034】
差動増幅器60−1〜60−Nの正出力によってONされたトランジスタ22−1〜22−Nは、差動増幅器60−2〜60−Nからの負出力によってOFFされることで電気パルスの幅を設定する。
【0035】
また、分岐回路40−Nに遅延回路50−N、分岐回路40−(N+1)、差動増幅器60−(N+1)を設ける替わりに、スイッチ20−1〜20−Nを伝送線路10の周囲に周回状に配置し、差動増幅器60−1の負出力端子をスイッチ20−Nのレベル変換器23−Nに接続した構成でも同様の機能を実現できる。
【0036】
(実施形態3)
図4に、本発明の実施形態3に係る電気遅延型OCTAの構成の模式図を示す。本実施形態3は、実施形態2に対してスイッチ20−1〜20−Nの構成のみが異なる。
【0037】
スイッチ20−1〜20−Nは、トランジスタ22−1〜22−Nの外に、トランジスタ22−1〜22−Nのソース端子に接続されたドレイン端子と入力パラレル電気信号源に接続されたソース端子とを有するノーマリオン状態に設定されたトランジスタ24−1〜24−Nを有する。トランジスタ24−1〜24−Nのゲート端子に差動増幅器60−2〜60−(N+1)の負出力端子がレベル変換器23−1〜23−Nを介して接続されており、差動増幅器60−2〜60−(N+1)の負出力によってトランジスタ24−1〜24−Nのドレイン・ソース間をOFFするように構成されている。トランジスタ24−1〜24−NがOFFされ、トランジスタ22−1〜22−Nに入力される入力パラレル電気信号を遮断することで、伝送線路10に出力される電気パルスの幅を設定することができる。
【0038】
ここまでパラレル−シリアル変換動作に関して説明したが、実施形態1〜3のスイッチ20−1〜20−Nに下記の構成を追加することによってシリアル−パラレル変換動作も可能になる。図5に、シリアル−パラレル変換動作の行うためのスイッチ回路の構成の模式図を示す。入力パラレル信号源が接続されていたトランジスタ22−1〜22−N又はトランジスタ24−1〜24−Nのソース端子に、入力信号を充電するためのホールドキャパシタ25−1〜25−N、それらキャパシタのチャージをリセットするためのリセットトランジスタ26−1〜26−N、ホールドキャパシタトランジスタ25−1〜25−Nの電圧を外部に取り出すためのバッファ回路27−1〜27−Nを接続する。
【0039】
トランジスタ22−1〜22−NをONすると、伝送線路10上を伝播する入力シリアル電気信号がホールドキャパシタ25−1〜25〜Nに充電される。充電された電荷がリークしないように、リセットトランジスタ26−1〜26−Nは負の電圧値に設定されている。
【0040】
入力信号のビット間隔に相当する時間差を設けたON信号をスイッチ20−1〜20−Nに入力することにより、Nビットの入力シリアル電気信号の各ビットは、スイッチ20−1〜20−Nのホールドキャパシタ25−1〜25〜Nに格納される。ホールドキャパシタ25−1〜25〜Nに充電されたチャージは、バッファ回路27−1〜27−Nを通して出力される。
【0041】
このように、本願発明の電気遅延型OCTAはパラレル−シリアル変換動作、シリアル−パラレル変換動作が可能となることから、ラベルトリガーによりラベルの生成および処理が可能であり、本願発明をCMOSメモリーとのインターフェイスに用いた場合パルストリガーにより高品質な非同期バースト光パケット信号の生成および処理が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 伝送線路
20−1〜20−N スイッチ
21−1〜20−N レベル変換器
22−1〜22−N トランジスタ
23−1〜23−N レベル変換器
24−1〜24−N トランジスタ
25−1〜25−N ホールドキャパシタ
26−1〜26−N リセットトランジスタ
27−1〜27−N バッファ回路
30、30−1、30−2 光電変換器
40−1〜40−N 分岐回路
50−1〜50−N 遅延回路
60−1〜60−N 差動増幅器
70 光遅延分岐回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力シリアル電気信号を伝播させる伝送線路と、
前記伝送線路に並列に接続され、該伝送線路を介して外部に出力するNビットの前記出力シリアル電気信号を構成する互いに異なる特定の1ビットの電気信号を前記伝送線路に出力するN個のスイッチ回路と、
光パルスをトリガとして電気パルスを生成する光電変換器と、
前記光電変換器に直列に接続され、前記電気パルスを前記各スイッチ回路に分岐するN個の分岐回路と、
前記電気パルスが前記出力シリアル電気信号のビット間隔に相当する時間差で前記各スイッチ回路に到達するように前記分岐回路間に設けられたN−1個の遅延回路と
を備え、
前記各スイッチ回路は、前記各分岐回路で分岐された前記電気パルスによりスイッチング制御してN個のパラレル信号の1つから前記電気信号を出力することを特徴とする電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路。
【請求項2】
前記各スイッチ回路は、
前記伝送線路にドレイン端子が接続され、前記パラレル信号の信号源にソース端子が接続されたトランジスタ回路と、
前記分岐回路の1つと前記トランジスタのゲート端子とを接続するレベル変換器と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路。
【請求項3】
入力シリアル電気信号を伝播させる伝送線路と、
前記伝送線路に並列に接続され、前記入力シリアル電気信号の特定の1ビットの電気信号をサンプルホールドするN個のスイッチ回路と、
光パルスをトリガとして電気パルスを生成する光電変換器と、
前記光電変換器に直列に接続され、前記電気パルスを前記各スイッチ回路に分岐するN個の分岐回路と、
前記電気パルスが前記入力シリアル電気信号のビット間隔に相当する時間差で前記各スイッチ回路に到達するように前記分岐回路間に設けられたN−1個の遅延回路と、
を備え、
前記各スイッチ回路は、前記各分岐回路で分岐された前記電気パルスによりスイッチング制御してNビットの入力シリアル信号からN個のパラレル信号の1つを出力することを特徴とする電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路。
【請求項4】
前記各スイッチ回路は、
前記伝送線路にドレイン端子が接続されたトランジスタ回路と、
前記トランジスタ回路のソース端子に接続された、前記サンプルホールドされた特定の1ビットの電気信号が充電されるホールドキャパシタと、
前記サンプルホールドされた電気信号をリセットするためのリセットトランジスタと、
前記トランジスタ回路のソース端子に接続された、前記ホールドキャパシタに充電された電気信号を出力するバッファ回路と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路。
【請求項5】
前記各スイッチ回路は、前記分岐回路の1つと前記トランジスタのゲート端子とを接続するレベル変換器を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電気遅延型光クロック型トランジスタアレイ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−31093(P2013−31093A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167048(P2011−167048)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】