電気部品
【課題】
回路基板への表面実装時に接続不良の端子が生じない電気部品を提供する。
【解決手段】
回路基板の表面に実装される表面実装型のコネクタ1において、コネクタの構造を支持するハウジング11と、ハウジング11に固定された、実装姿勢において、回路基板に対面する複数のコンタクト12と、コンタクト12のそれぞれに、下向きに突出して固定された半田ボール13とを備え、半田ボール13が、回路基板に向いた、複数のコンタクト12に亘って共通の平面Pを形成する平坦部13aを有することを特徴とする。
回路基板への表面実装時に接続不良の端子が生じない電気部品を提供する。
【解決手段】
回路基板の表面に実装される表面実装型のコネクタ1において、コネクタの構造を支持するハウジング11と、ハウジング11に固定された、実装姿勢において、回路基板に対面する複数のコンタクト12と、コンタクト12のそれぞれに、下向きに突出して固定された半田ボール13とを備え、半田ボール13が、回路基板に向いた、複数のコンタクト12に亘って共通の平面Pを形成する平坦部13aを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装型の電気部品として、例えば特許文献1には、ボールグリッドアレータイプのコネクタが示されている。このコネクタは、ハウジングの内側から外側に延設されたコンタクトと半田ボールとを備えている。また、特許文献2にも、ボールグリッドアレータイプのコネクタが示されている。
【0003】
このようなコネクタに代表される電気部品では、多ピン化および実装面積効率化のため、コンタクトの狭ピッチ化が進んでいる。狭ピッチ化が進むにつれ、電気部品のうち、回路基板と接触する複数の部分の高さを互いに揃えることがより強く求められる。高さが揃わず、回路基板に載せた場合に回路基板の接点と接触しない部分があると、この接触しない部分は例えばリフロー処理を実施しても半田接続されず接続不良の原因となるからである。
【0004】
特許文献1に示されたコネクタでは、ハウジングに形成された凹部に半田ボールを配置することで、半田ボールの取付け位置を揃えようとしている。また、特許文献2に示されたコネクタでは、コンタクトの凹部に収容することにより半田ボールの位置決めが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−162909号公報
【特許文献2】台湾実用新案第383963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたコネクタ、および2に記載されたコネクタでは、配置される複数の半田ボールの大きさにおける個体差、ハウジングの凹部の共通平面からのずれ、および、コンタクトの凹部の共通平面からのずれ等に起因して、回路基板に接触する下端の位置に不揃いが生じる。このような不揃いは、回路基板の各導体の上にフラックス含有の半田ペースト(またはフラックスのみ)が十分な厚みで塗布されているならば半田ペーストの厚みによって吸収され得る。しかし、回路基板においても、狭ピッチ化に対応して半田ペーストが塗布される領域が狭幅化してきているので、半田ペーストの厚みを、コネクタの半田ボールの下端位置の不揃いを吸収できる程度に厚くすることができない。これは、半田ペーストを選択的に塗布するのに用いるメタルマスク(ステンシル)の厚みは、塗布性能を確保するため塗布領域の幅が狭まる分薄くする必要があるので、半田ペーストの厚みはメタルマスクの厚みより厚くすることはできないからである。
【0007】
このような半田ボールの個体差等に起因する下端位置の不揃いによる接続不良の問題は、コネクタに限られたものではなく、回路基板に接続するための半田ボールが複数の端子に取り付けられた構造のICソケットや、ICパッケージといった電子部品にも共通の問題である。
【0008】
本発明は上記問題点を解決し、回路基板への表面実装時における端子の接続不良の発生を抑えた電気部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の電気部品は、回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品であって、
この電気部品の構造を支持する絶縁構造体と、
上記絶縁構造体に固定された、この電子部品が上記回路基板に実装される実装姿勢において、この回路基板に対面する複数の端子と、
上記端子のそれぞれに、上記実装姿勢における上記回路基板に向かう向きに突出して固定された半田塊とを備え、
上記半田塊が、上記実装姿勢において上記回路基板に向いた、上記複数の端子に亘って共通の平面を形成する平坦部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の電気部品では、端子のそれぞれに固定された半田塊が、共通の平面を形成する平坦部を有する。このため、回路基板に載せられた場合に複数の半田塊のすべてが、回路基板に接触することとなり、半田リフロー処理の結果、端子のすべてが半田によって接続されるため、接続不良の端子が生じない。
【0011】
ここで、上記本発明の電気部品において、上記複数の端子のそれぞれが、当該端子に固定された半田塊を当該端子を間に挟んで押圧する治具が上記絶縁構造体を避けて押し当てることができる治具押当部を有することが好ましい。
【0012】
電気部品の製造時に、治具押当部に押し当てた治具によって半田塊を端子の側から押圧することによって、平坦部を形成するための別の治具を当てた半田塊に力を効率よく加え、平坦部を容易に形成することができる。
【0013】
また、上記本発明の電気部品において、上記絶縁構造体が、上記複数の端子それぞれに接触し、当該端子に固定された半田塊に当該端子を間に挟んで対面する接触対面部を有することが好ましい。
【0014】
電気部品の製造時に、絶縁構造体を用いて半田塊を端子の側から押圧することによって、平坦部を形成するための別の治具を当てた半田塊に力を効率よく加え、平坦部を容易に形成することができる。
【0015】
また、上記本発明の電気部品において、上記端子のそれぞれは、上記半田塊が入り込んだ凹部を有するものであることが好ましい。
【0016】
端子の凹部に半田塊が入り込んでいるため半田塊が確実に位置決めされ、電気部品の製造時に、半田塊に平坦部を形成するため力を加えても、半田塊のずれが防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、回路基板への表面実装時における端子の接続不良の発生を抑えた電気部品が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態であるコネクタを、相手コネクタを受容する上から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるコネクタを、下から見た斜視図である。
【図3】図1および図2に示すコネクタの一部のコンタクトおよび半田ボールを拡大して示した図である。
【図4】図3に示すコネクタ1の4−4線における断面図である。
【図5】図1〜4に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【図6】図1〜4に示すコネクタが回路基板に載せられた状態を示す図である。
【図7】第1変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図8】第2変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図9】第3変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図10】第2実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図11】図10に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【図12】第2実施形態における変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図13】第3実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図14】第4実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図15】第5実施形態のコネクタの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の第1実施形態であるコネクタの外観を示す斜視図である。図1は、コネクタ1を、相手コネクタを受容する上から見た斜視図であり、図2は、下から見た斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すコネクタ1は、表面実装型の電気部品であり、回路基板の表面に実装されて使用される。コネクタ1は、いわゆるレセプタクル型のコネクタであり、板状の先端部分を有するプラグ型の相手コネクタ(図示しない)と嵌合することで電気的に結合する。コネクタ1は、コネクタ1自体の構造を支持するハウジング11と、ハウジング11に固定された160個のコンタクト12と、コンタクト12のそれぞれを回路基板に半田付けするための半田ボール13とを備えている。ハウジング11は、絶縁性の樹脂材料でからなる成形品であり、相手コネクタ(図示しない)の先端部分を受容する、ハウジング11の長手方向に沿って延びた細長の受容凹部11aが設けられている。ここで、コネクタ1のうち受容凹部11aが設けられた側の方を上Uとし、反対側の方を下Dとする。
【0022】
コンタクト12は、細長な受容凹部11aの両側の内壁に沿って80個ずつ2列に並んで配置されており、受容凹部11aに入り込む相手コネクタの先端部分(図示しない)に接触して電気的に結合する。コンタクト12のそれぞれは、銅または銅合金といった金属製の棒状体が曲げ加工されて形成されたものであり、受容凹部11aからハウジング11を上下方向UDに貫き、ハウジング11の下面11bから突出している。ハウジング11の下面11bから突出したコンタクト12の先は、コンタクト12が2列に並んだ列の外側に曲がって延びている。コネクタ1は、回路基板(図示しない)に実装されるとき、ハウジング11の下面11bを回路基板に向けた姿勢(実装姿勢)となる。コンタクト12の、ハウジング11の下面11bから突出した部分は、この実装姿勢で、回路基板に対面して配置されている。
【0023】
半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれの、ハウジング11の下面11bから突出した先の部分に取り付けられている。半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれに、上記実装姿勢において回路基板に向かう向き、すなわち下向きに突出した状態で固定されている。半田ボール13のそれぞれは、全面が球面ではなく、回路基板に向いた先端が平坦になっている。
【0024】
図3は、図1および図2に示すコネクタの一部のコンタクトおよび半田ボールを拡大して示した図である。また、図4は、図3に示すコネクタ1の4−4線における断面図である。
【0025】
図3および図4に示すように、半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれに、下向きDに突出して固定されており、下を向いた平坦部13aを有している。平坦部13aは平らな面であり、複数のコンタクト12に亘って共通の平面(共平面)Pを形成している。より詳細には、コネクタ1のすべてのコンタクト12に固定された半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成している。
【0026】
また、コンタクト12のそれぞれには、後に説明する押付治具J2(図5参照)が押し当てられる治具押当部12aを有する。治具押当部12aには、コネクタ1の製造工程で、半田ボール13を押圧する押付治具J2(図5参照)が、ハウジング11を避けた状態で押し当てられる。具体的には、コンタクト12の、ハウジング11の下面11bから突出し、曲がって延びた部分は、ハウジング11の側面よりも外側にはみ出ており、このはみ出た部分に半田ボール13が固定されている。
【0027】
図1〜4に示すコネクタ1は、コンタクト12のそれぞれに固定された半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成しているため、コネクタ1を回路基板に載せた場合に、半田ボール13のすべてが、回路基板の導体パターン102(図6参照)に接触することとなる。
【0028】
ここで、ハウジング11が本発明にいう絶縁構造体の一例に相当し、コンタクト12が本発明にいう端子の一例に相当し、半田ボール13が本発明にいう半田塊の一例に相当する。
【0029】
[コネクタの製造方法]
図1〜4に示すコネクタ1を製造するには、まず、ハウジング11にコンタクト12を取付け、図1に示す姿勢とは上下逆の姿勢に保持した状態で、コンタクト12に半田ボールを載せる。半田ボールは、コンタクト12に載せられる段階では球形であり平面は設けられていない。コンタクト12に半田ボールを載せる際には、例えば、半田ボールが載る位置に対応して位置決め穴が設けられた型紙を載せ、穴の位置に半田ボールを配置する方法や、あるいは、型紙を用いずに、半田ボールを順次載せる方法が採用可能である。なお、コンタクト12に載せられる半田ボールの大きさ(直径)には、通常、5%〜10%以下の範囲で偏差がある。
【0030】
次に、コンタクト12に半田ボールが載った状態で、オーブン等にて加熱処理を行い、半田ボールをコンタクト12に溶着・固定する。
【0031】
図5は、図1〜4に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【0032】
図5には、半田ボールがコンタクト12に固定された後、姿勢を上下逆にした状態が示されている。
【0033】
コネクタ1の製造では、次に、半田ボールがコンタクト12に固定され状態のコネクタ半完成品1hを、平板治具J1の上に載せる。平板治具J1は、上面が平らで、半田よりも十分に硬い、例えば鉄や石材といった材料からなる。
【0034】
コネクタ半完成品1hが平板治具J1の上に載せられた段階では、コンタクト12の共通平面からのずれと半田ボール13hのそれぞれの大きさの偏差によって、すべての半田ボール13hが平板治具J1に接しているとは限らず、半田ボール13hのいくつかは、平板治具J1から離れている場合もある。
【0035】
次に、押付治具J2を、コンタクト12の治具押当部12aに押し当てることによって、コンタクト12を間に挟んで半田ボール13hを平板治具J1に対し押圧する。押付治具J2は、半田ボール13hを塑性変形する程度の押当力で、治具押当部12aに押し当たる。このとき、押付治具J2は、ハウジング11を避けて、コンタクト12の治具押当部12aに押し当たるため、半田ボール13hに力が効率よく加えられる。半田ボール13hはコンタクト12よりも柔らかいため、半田ボール13hがコンタクト12に固定された後でも、コンタクト12の形状に影響を与えることなく、変形させることができる。
【0036】
半田ボール13hは平板治具J1に押圧されることで塑性変形し、平板治具J1に当たっている部分に、平板治具J1に沿った平面の平坦面13a(図4参照)が形成される。このようにして、図1〜4に示すコネクタ1が完成する。コネクタ1の製造工程では、すべての半田ボール13h(図5参照)が平板治具J1の平面部分に押圧されるため、完成したコネクタ1では、図3および図4に示すように、すべての半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成している。
【0037】
なお、半田ボール13hの変形を促進させるため、平板治具J1は、押圧時に上下方向UDあるいは上下方向UDと垂直な横方向に振動(超音波振動を含む)させる構成としてもよく、また、半田ボール13hを溶融しない程度に加熱する構成としてもよい。
[コネクタの実装]
続いて、コネクタ1の回路基板への実装について説明する。
【0038】
図6は、図1〜4に示すコネクタが回路基板に載せられた状態を示す図である。
【0039】
図6に示す回路基板100の表面には、金属の導体パターン102が形成されており、導体パターン102の上にはフラックス含有の半田ペースト103が塗布されている。各導体パターン102上の半田ペースト103の頂部は、共通の平面に接するように位置が揃っている。図6では、導体パターン102および半田ペースト103の構造を見やすくするため、両者の厚みが極端に誇張して示されている。コネクタの実装に先立ち、導体パターン102の上に半田ペースト103が塗布される際には、導体パターン102の位置に合わせて孔が形成されたメタルマスク(図示しない)を載せ、その上から半田ペースト剤を塗布する。このとき、メタルマスクの厚みに対し導体パターン102が細いと、それに対応するメタルマスクの孔も細くなるため、塗布後にメタルマスクを除去する際にメタルマスクの孔の中に半田ペーストが留まってしまい、導体パターン102上への塗布が不完全となるおそれがある。このため、狭ピッチ化により導体パターン102が細幅化するのに応じて、メタルマスクは薄くする必要がある。この結果、狭ピッチ化に対応して、半田ペースト103の厚みはより薄くなっている。なお、基板との接続に供されるコンタクトに予め半田塊が付与された電子部品においては、半田ペースト103の代わりに、フラックスのみ塗布する方法も採用可能である。
【0040】
コネクタ1は、図6に示すように、ハウジング11の下面11bを回路基板100に向け、コンタクト12が回路基板100に対面した実装姿勢で回路基板100に載せられる。コンタクト12のそれぞれに固定された半田ボール13の平坦部13aは、共通の平面P(図3,4)を形成するように揃っている。このため、コネクタ1が回路基板100に載せられた状態では、すべての半田ボール13が各平坦部13aで回路基板100の半田ペースト103に接触する。
【0041】
この状態で、リフロー処理によって加熱されると、半田ボール13が導体パターン102に溶着する。したがって、すべてのコンタクト12が回路基板100の導体パターン102と電気的に結合し、接続不良のコンタクト12は生じない。
[第1実施形態の変形例]
続いて、第1実施形態のコネクタ1に対しコンタクトの形状が異なる種々の変形例を説明する。
【0042】
図7は、第1実施形態における第1変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0043】
図7に示すコネクタのコンタクト12Aは、半田ボール13が入り込んだ凹部12dを有する。より詳細には、コンタクト12Aは、半田ボール13が固定される部分が半田ボール13の外形に沿って上に凹むように曲がった形状を有し、半田ボール13は、この凹んだ凹部12dに固定されている。
【0044】
図8は、第1実施形態における第2変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0045】
図8に示すコネクタのコンタクト12Bは、先端部分に上に曲がった凹部12eが設けられている。半田ボール13は、コンタクト12Bの先端部分の凹部12dに固定されている。
【0046】
図9は、第1実施形態における第3変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0047】
図9に示すコネクタのコンタクト12Cは、下方に向かって延びた先が横に曲がった部分に凹部12fが設けられている。半田ボール13は、この凹部12fに固定されている。
【0048】
図7から図9に示す各変形例のコンタクトは、半田ボール13の固定が機械的に補強されるとともに確実に位置決めされる。このため、製造過程で、平坦部を形成するための力を半田ボール13に加えても、半田ボール13の位置のずれや脱落が起きない。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0049】
図10は、第2実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0050】
図10に示すコネクタ2は、コンタクト22が、金属板を打ち抜き加工して形成されたものであり、ハウジング21の下面および側面の双方から突出して配置されている。コンタクト22の突出部分における上部は段状に形成されており、下部は平らである。コンタクト22の下部には、2つの半田ボール23,24が固定されている。半田ボール23,24のそれぞれは、第1実施形態と同様に、下を向いた平坦部23aを有している。第2実施形態のコネクタ2では、1つのコンタクト22に対し、2つの半田ボール23,24によって電流流路が並列に形成されるため、半田ボールにおけるインピーダンスが低下し、また、通電許容量が増加する。したがって、狭ピッチ化により、半田ボールの大きさが小型化してもインピーダンスの上昇や電流許容量の低下が避けられる。
【0051】
図10に示すコネクタ2のコンタクト22は、上部が段状であり、ハウジング21寄りの上段には、押付治具が押し当てられる第1の治具押当部22aを有し、下段には、第2の治具押当部22bを有する。
【0052】
図11は、図10に示すコネクタ2の製造方法を説明する図である。
【0053】
図10に示すコネクタ2を製造するには、ハウジング21にコンタクト22を固定し、さらに、コンタクト22に半田ボール23,24を固定したものを、図11に示すように、平板治具J1の上に載せる。次に、押付治具J3を、コンタクト12の第1の治具押当部22aおよび第2の治具押当部22bに押し当てることによって、コンタクト22を間に挟んで半田ボール23,24を平板治具J1に対し押圧する。押付治具J3は、ハウジング21を避けて、コンタクト22の第1の治具押当部22aおよび第2の治具押当部22bに押し当たる。
【0054】
半田ボール23,24は平板治具J1に押圧されることで塑性変形し、平板治具J1に当たっている部分に、平板治具J1に沿った平面の平坦面23a,24a(図10参照)が形成される。このようにして、図10に示すコネクタ2が完成する。
[第2実施形態の変形例]
続いて、第2実施形態のコネクタ2に対し、コンタクトの形状が異なる変形例を説明する。
【0055】
図12は、第2実施形態における変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0056】
図12に示すコネクタのコンタクト22Aは、半田ボール23,24がそれぞれ入り込んだ凹部22d,22eを有する。より詳細には、凹部22d,22eは、コンタクト22Aに形成されたくさび形の切欠きであり、半田ボール23,24は、これら凹部22d,22eにそれぞれ固定されている。
【0057】
図12に示す変形例のコンタクト22Aは、半田ボール23,24の固定が機械的に補強される。このため、製造過程で、平坦部を形成するための力を半田ボール23,24に加えても、半田ボール13の位置のずれや脱落が起きない。
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0058】
図13は、第3実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0059】
図13に示すコネクタ3は、コンタクト32が、ハウジング31の側面に沿って下方Dに延び、延びた先が曲がって、ハウジング31の下に延びている。ハウジング31の下面31bには、下方Dに突出した突起31pが設けられており、コンタクト32は、ハウジング31の突起31pに接している。コンタクト32のうち、突起31pが接触する部分の反対側には、半田ボール33が固定されている。すなわち、ハウジング31の突起31pは、コンタクト32に固定された半田ボール33にコンタクト32を間に挟んで対面している。半田ボール33には、平坦面33aが設けられている。
【0060】
ここで、ハウジング31の突起31pが本発明にいう接触対面部の一例に相当する。
【0061】
図13に示すコネクタ3の製造の際に、平坦面33aを形成する場合には、平板治具J1(図5参照)に平坦面が形成されていない状態の半田ボールを当てて、ハウジング31を平板治具J1に向かって押す。このとき、ハウジング31の突起31pが、コンタクト32を介して半田ボール33を平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。突起31pによって力が効率よく加えられ、コンタクト32を変形させることなく、半田ボール33が塑性変形して平坦面33aが形成される。
[第4実施形態]
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0062】
図14は、第4実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0063】
図14に示すコネクタ4は、コンタクト42が、ハウジング41の側面に沿って下方Dに延び、延びた先が曲がって、ハウジング41の下に延びている。コンタクト42の先端はさらにハウジング41に向かって曲がり、ハウジング41に接している。
【0064】
コンタクト42のうち、ハウジング41の側面に固定された部分と、先端の、ハウジング41に接した部分との間の位置に、半田ボール43が固定されている。半田ボール43には、平坦面43aが設けられている。
【0065】
図14に示すコネクタ4の製造の際に、平坦面43aを形成する場合にも、ハウジング41を用いて、半田ボールを平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。このとき、コンタクト42のうち、ハウジング41の側面に固定された部分と、先端の、ハウジング41に接した部分との両側から力が効率よく加えられ、半田ボール43が塑性変形して平坦面43aが形成される。
[第5実施形態]
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。以下の第5実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0066】
図15は、第5実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0067】
図15に示すコネクタ5では、コンタクト52が、ハウジング51の少なくとも下面に密着している。より詳細には、コンタクト52は、ハウジング51の下面と側面に密着している。コンタクト52は、金属めっきによって形成されているが、蒸着や貼付けによって形成することも可能である。コンタクト52には、半田ボール53が固定されている。半田ボール53には、平坦面53aが設けられている。
【0068】
ここで、ハウジング51のうち、コンタクト52が形成された部分が本発明にいう接触対面部の一例に相当する。
【0069】
図15に示すコネクタ5の製造の際に、平坦面53aを形成する場合にも、ハウジング51を用いて、半田ボールを平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。このとき、コンタクト52から力が効率よく加えられ、半田ボール53が塑性変形して平坦面53aが形成される。
【0070】
なお、上述した実施形態では、本発明にいう半田塊の例として、半田ボールを示したが、本発明の半田塊はボール状やドーム状のものに限られるものではなく、例えば、柱状や錐状であってもよく、また、複数のボールが接して並んだ形状の塊であってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、コンタクトが相手コネクタに接触する部材であるとして説明したが、本発明にいう端子はこれに限られるものではなく、回路基板に対面するものであれば、相手コネクタに接触する部材とは別の部材であってもよい。
【0072】
また、上述した第1実施形態では、コンタクトが80個ずつ2列に並んで配置されたコネクタの例を説明したが、本発明における端子の数は、1列配置の場合には3個以上のいずれででもよく、複数列配置の場合には4個以上のいずれでもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、コンタクトが2列に配置された構造のコネクタの例を説明したが、本発明の電気部品はこれに限られるものではなく、ボールグリッドアレータイプのコネクタであってもよい。また、実施形態では、相手コネクタと嵌合するコネクタの例を説明したが、本発明の電気部品はこれに限られるものではなく、例えば、複数の半田ボールを用いて回路基板に表面実装されるICソケットや、ICパッケージであってもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、半田ボールの平坦面を形成する方法として、半田ボールを平板治具J1に対して押圧することで可塑変形させる例を説明したが、平坦面を形成する方法はこれに限られるものではなく、例えば、半田ボールを平らな研磨面で擦ることで削り取って形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,2,3,4,5 コネクタ
11,21,31,41,51 ハウジング
12,12A,12B,12C,22,22A,32,42,52 コンタクト
12d,12e,12f,22d,22e 凹部
12a,22a,22b 治具押当部
13,23,24,33,43,53 半田ボール
13a,23a,24a,33a,43a,53a 平坦面
31p 突起
P 平面
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装型の電気部品として、例えば特許文献1には、ボールグリッドアレータイプのコネクタが示されている。このコネクタは、ハウジングの内側から外側に延設されたコンタクトと半田ボールとを備えている。また、特許文献2にも、ボールグリッドアレータイプのコネクタが示されている。
【0003】
このようなコネクタに代表される電気部品では、多ピン化および実装面積効率化のため、コンタクトの狭ピッチ化が進んでいる。狭ピッチ化が進むにつれ、電気部品のうち、回路基板と接触する複数の部分の高さを互いに揃えることがより強く求められる。高さが揃わず、回路基板に載せた場合に回路基板の接点と接触しない部分があると、この接触しない部分は例えばリフロー処理を実施しても半田接続されず接続不良の原因となるからである。
【0004】
特許文献1に示されたコネクタでは、ハウジングに形成された凹部に半田ボールを配置することで、半田ボールの取付け位置を揃えようとしている。また、特許文献2に示されたコネクタでは、コンタクトの凹部に収容することにより半田ボールの位置決めが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−162909号公報
【特許文献2】台湾実用新案第383963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたコネクタ、および2に記載されたコネクタでは、配置される複数の半田ボールの大きさにおける個体差、ハウジングの凹部の共通平面からのずれ、および、コンタクトの凹部の共通平面からのずれ等に起因して、回路基板に接触する下端の位置に不揃いが生じる。このような不揃いは、回路基板の各導体の上にフラックス含有の半田ペースト(またはフラックスのみ)が十分な厚みで塗布されているならば半田ペーストの厚みによって吸収され得る。しかし、回路基板においても、狭ピッチ化に対応して半田ペーストが塗布される領域が狭幅化してきているので、半田ペーストの厚みを、コネクタの半田ボールの下端位置の不揃いを吸収できる程度に厚くすることができない。これは、半田ペーストを選択的に塗布するのに用いるメタルマスク(ステンシル)の厚みは、塗布性能を確保するため塗布領域の幅が狭まる分薄くする必要があるので、半田ペーストの厚みはメタルマスクの厚みより厚くすることはできないからである。
【0007】
このような半田ボールの個体差等に起因する下端位置の不揃いによる接続不良の問題は、コネクタに限られたものではなく、回路基板に接続するための半田ボールが複数の端子に取り付けられた構造のICソケットや、ICパッケージといった電子部品にも共通の問題である。
【0008】
本発明は上記問題点を解決し、回路基板への表面実装時における端子の接続不良の発生を抑えた電気部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の電気部品は、回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品であって、
この電気部品の構造を支持する絶縁構造体と、
上記絶縁構造体に固定された、この電子部品が上記回路基板に実装される実装姿勢において、この回路基板に対面する複数の端子と、
上記端子のそれぞれに、上記実装姿勢における上記回路基板に向かう向きに突出して固定された半田塊とを備え、
上記半田塊が、上記実装姿勢において上記回路基板に向いた、上記複数の端子に亘って共通の平面を形成する平坦部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の電気部品では、端子のそれぞれに固定された半田塊が、共通の平面を形成する平坦部を有する。このため、回路基板に載せられた場合に複数の半田塊のすべてが、回路基板に接触することとなり、半田リフロー処理の結果、端子のすべてが半田によって接続されるため、接続不良の端子が生じない。
【0011】
ここで、上記本発明の電気部品において、上記複数の端子のそれぞれが、当該端子に固定された半田塊を当該端子を間に挟んで押圧する治具が上記絶縁構造体を避けて押し当てることができる治具押当部を有することが好ましい。
【0012】
電気部品の製造時に、治具押当部に押し当てた治具によって半田塊を端子の側から押圧することによって、平坦部を形成するための別の治具を当てた半田塊に力を効率よく加え、平坦部を容易に形成することができる。
【0013】
また、上記本発明の電気部品において、上記絶縁構造体が、上記複数の端子それぞれに接触し、当該端子に固定された半田塊に当該端子を間に挟んで対面する接触対面部を有することが好ましい。
【0014】
電気部品の製造時に、絶縁構造体を用いて半田塊を端子の側から押圧することによって、平坦部を形成するための別の治具を当てた半田塊に力を効率よく加え、平坦部を容易に形成することができる。
【0015】
また、上記本発明の電気部品において、上記端子のそれぞれは、上記半田塊が入り込んだ凹部を有するものであることが好ましい。
【0016】
端子の凹部に半田塊が入り込んでいるため半田塊が確実に位置決めされ、電気部品の製造時に、半田塊に平坦部を形成するため力を加えても、半田塊のずれが防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、回路基板への表面実装時における端子の接続不良の発生を抑えた電気部品が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態であるコネクタを、相手コネクタを受容する上から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるコネクタを、下から見た斜視図である。
【図3】図1および図2に示すコネクタの一部のコンタクトおよび半田ボールを拡大して示した図である。
【図4】図3に示すコネクタ1の4−4線における断面図である。
【図5】図1〜4に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【図6】図1〜4に示すコネクタが回路基板に載せられた状態を示す図である。
【図7】第1変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図8】第2変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図9】第3変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図10】第2実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図11】図10に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【図12】第2実施形態における変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【図13】第3実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図14】第4実施形態のコネクタの一部断面図である。
【図15】第5実施形態のコネクタの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の第1実施形態であるコネクタの外観を示す斜視図である。図1は、コネクタ1を、相手コネクタを受容する上から見た斜視図であり、図2は、下から見た斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すコネクタ1は、表面実装型の電気部品であり、回路基板の表面に実装されて使用される。コネクタ1は、いわゆるレセプタクル型のコネクタであり、板状の先端部分を有するプラグ型の相手コネクタ(図示しない)と嵌合することで電気的に結合する。コネクタ1は、コネクタ1自体の構造を支持するハウジング11と、ハウジング11に固定された160個のコンタクト12と、コンタクト12のそれぞれを回路基板に半田付けするための半田ボール13とを備えている。ハウジング11は、絶縁性の樹脂材料でからなる成形品であり、相手コネクタ(図示しない)の先端部分を受容する、ハウジング11の長手方向に沿って延びた細長の受容凹部11aが設けられている。ここで、コネクタ1のうち受容凹部11aが設けられた側の方を上Uとし、反対側の方を下Dとする。
【0022】
コンタクト12は、細長な受容凹部11aの両側の内壁に沿って80個ずつ2列に並んで配置されており、受容凹部11aに入り込む相手コネクタの先端部分(図示しない)に接触して電気的に結合する。コンタクト12のそれぞれは、銅または銅合金といった金属製の棒状体が曲げ加工されて形成されたものであり、受容凹部11aからハウジング11を上下方向UDに貫き、ハウジング11の下面11bから突出している。ハウジング11の下面11bから突出したコンタクト12の先は、コンタクト12が2列に並んだ列の外側に曲がって延びている。コネクタ1は、回路基板(図示しない)に実装されるとき、ハウジング11の下面11bを回路基板に向けた姿勢(実装姿勢)となる。コンタクト12の、ハウジング11の下面11bから突出した部分は、この実装姿勢で、回路基板に対面して配置されている。
【0023】
半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれの、ハウジング11の下面11bから突出した先の部分に取り付けられている。半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれに、上記実装姿勢において回路基板に向かう向き、すなわち下向きに突出した状態で固定されている。半田ボール13のそれぞれは、全面が球面ではなく、回路基板に向いた先端が平坦になっている。
【0024】
図3は、図1および図2に示すコネクタの一部のコンタクトおよび半田ボールを拡大して示した図である。また、図4は、図3に示すコネクタ1の4−4線における断面図である。
【0025】
図3および図4に示すように、半田ボール13は、コンタクト12のそれぞれに、下向きDに突出して固定されており、下を向いた平坦部13aを有している。平坦部13aは平らな面であり、複数のコンタクト12に亘って共通の平面(共平面)Pを形成している。より詳細には、コネクタ1のすべてのコンタクト12に固定された半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成している。
【0026】
また、コンタクト12のそれぞれには、後に説明する押付治具J2(図5参照)が押し当てられる治具押当部12aを有する。治具押当部12aには、コネクタ1の製造工程で、半田ボール13を押圧する押付治具J2(図5参照)が、ハウジング11を避けた状態で押し当てられる。具体的には、コンタクト12の、ハウジング11の下面11bから突出し、曲がって延びた部分は、ハウジング11の側面よりも外側にはみ出ており、このはみ出た部分に半田ボール13が固定されている。
【0027】
図1〜4に示すコネクタ1は、コンタクト12のそれぞれに固定された半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成しているため、コネクタ1を回路基板に載せた場合に、半田ボール13のすべてが、回路基板の導体パターン102(図6参照)に接触することとなる。
【0028】
ここで、ハウジング11が本発明にいう絶縁構造体の一例に相当し、コンタクト12が本発明にいう端子の一例に相当し、半田ボール13が本発明にいう半田塊の一例に相当する。
【0029】
[コネクタの製造方法]
図1〜4に示すコネクタ1を製造するには、まず、ハウジング11にコンタクト12を取付け、図1に示す姿勢とは上下逆の姿勢に保持した状態で、コンタクト12に半田ボールを載せる。半田ボールは、コンタクト12に載せられる段階では球形であり平面は設けられていない。コンタクト12に半田ボールを載せる際には、例えば、半田ボールが載る位置に対応して位置決め穴が設けられた型紙を載せ、穴の位置に半田ボールを配置する方法や、あるいは、型紙を用いずに、半田ボールを順次載せる方法が採用可能である。なお、コンタクト12に載せられる半田ボールの大きさ(直径)には、通常、5%〜10%以下の範囲で偏差がある。
【0030】
次に、コンタクト12に半田ボールが載った状態で、オーブン等にて加熱処理を行い、半田ボールをコンタクト12に溶着・固定する。
【0031】
図5は、図1〜4に示すコネクタの製造方法を説明する図である。
【0032】
図5には、半田ボールがコンタクト12に固定された後、姿勢を上下逆にした状態が示されている。
【0033】
コネクタ1の製造では、次に、半田ボールがコンタクト12に固定され状態のコネクタ半完成品1hを、平板治具J1の上に載せる。平板治具J1は、上面が平らで、半田よりも十分に硬い、例えば鉄や石材といった材料からなる。
【0034】
コネクタ半完成品1hが平板治具J1の上に載せられた段階では、コンタクト12の共通平面からのずれと半田ボール13hのそれぞれの大きさの偏差によって、すべての半田ボール13hが平板治具J1に接しているとは限らず、半田ボール13hのいくつかは、平板治具J1から離れている場合もある。
【0035】
次に、押付治具J2を、コンタクト12の治具押当部12aに押し当てることによって、コンタクト12を間に挟んで半田ボール13hを平板治具J1に対し押圧する。押付治具J2は、半田ボール13hを塑性変形する程度の押当力で、治具押当部12aに押し当たる。このとき、押付治具J2は、ハウジング11を避けて、コンタクト12の治具押当部12aに押し当たるため、半田ボール13hに力が効率よく加えられる。半田ボール13hはコンタクト12よりも柔らかいため、半田ボール13hがコンタクト12に固定された後でも、コンタクト12の形状に影響を与えることなく、変形させることができる。
【0036】
半田ボール13hは平板治具J1に押圧されることで塑性変形し、平板治具J1に当たっている部分に、平板治具J1に沿った平面の平坦面13a(図4参照)が形成される。このようにして、図1〜4に示すコネクタ1が完成する。コネクタ1の製造工程では、すべての半田ボール13h(図5参照)が平板治具J1の平面部分に押圧されるため、完成したコネクタ1では、図3および図4に示すように、すべての半田ボール13の平坦部13aが、共通の平面Pを形成している。
【0037】
なお、半田ボール13hの変形を促進させるため、平板治具J1は、押圧時に上下方向UDあるいは上下方向UDと垂直な横方向に振動(超音波振動を含む)させる構成としてもよく、また、半田ボール13hを溶融しない程度に加熱する構成としてもよい。
[コネクタの実装]
続いて、コネクタ1の回路基板への実装について説明する。
【0038】
図6は、図1〜4に示すコネクタが回路基板に載せられた状態を示す図である。
【0039】
図6に示す回路基板100の表面には、金属の導体パターン102が形成されており、導体パターン102の上にはフラックス含有の半田ペースト103が塗布されている。各導体パターン102上の半田ペースト103の頂部は、共通の平面に接するように位置が揃っている。図6では、導体パターン102および半田ペースト103の構造を見やすくするため、両者の厚みが極端に誇張して示されている。コネクタの実装に先立ち、導体パターン102の上に半田ペースト103が塗布される際には、導体パターン102の位置に合わせて孔が形成されたメタルマスク(図示しない)を載せ、その上から半田ペースト剤を塗布する。このとき、メタルマスクの厚みに対し導体パターン102が細いと、それに対応するメタルマスクの孔も細くなるため、塗布後にメタルマスクを除去する際にメタルマスクの孔の中に半田ペーストが留まってしまい、導体パターン102上への塗布が不完全となるおそれがある。このため、狭ピッチ化により導体パターン102が細幅化するのに応じて、メタルマスクは薄くする必要がある。この結果、狭ピッチ化に対応して、半田ペースト103の厚みはより薄くなっている。なお、基板との接続に供されるコンタクトに予め半田塊が付与された電子部品においては、半田ペースト103の代わりに、フラックスのみ塗布する方法も採用可能である。
【0040】
コネクタ1は、図6に示すように、ハウジング11の下面11bを回路基板100に向け、コンタクト12が回路基板100に対面した実装姿勢で回路基板100に載せられる。コンタクト12のそれぞれに固定された半田ボール13の平坦部13aは、共通の平面P(図3,4)を形成するように揃っている。このため、コネクタ1が回路基板100に載せられた状態では、すべての半田ボール13が各平坦部13aで回路基板100の半田ペースト103に接触する。
【0041】
この状態で、リフロー処理によって加熱されると、半田ボール13が導体パターン102に溶着する。したがって、すべてのコンタクト12が回路基板100の導体パターン102と電気的に結合し、接続不良のコンタクト12は生じない。
[第1実施形態の変形例]
続いて、第1実施形態のコネクタ1に対しコンタクトの形状が異なる種々の変形例を説明する。
【0042】
図7は、第1実施形態における第1変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0043】
図7に示すコネクタのコンタクト12Aは、半田ボール13が入り込んだ凹部12dを有する。より詳細には、コンタクト12Aは、半田ボール13が固定される部分が半田ボール13の外形に沿って上に凹むように曲がった形状を有し、半田ボール13は、この凹んだ凹部12dに固定されている。
【0044】
図8は、第1実施形態における第2変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0045】
図8に示すコネクタのコンタクト12Bは、先端部分に上に曲がった凹部12eが設けられている。半田ボール13は、コンタクト12Bの先端部分の凹部12dに固定されている。
【0046】
図9は、第1実施形態における第3変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0047】
図9に示すコネクタのコンタクト12Cは、下方に向かって延びた先が横に曲がった部分に凹部12fが設けられている。半田ボール13は、この凹部12fに固定されている。
【0048】
図7から図9に示す各変形例のコンタクトは、半田ボール13の固定が機械的に補強されるとともに確実に位置決めされる。このため、製造過程で、平坦部を形成するための力を半田ボール13に加えても、半田ボール13の位置のずれや脱落が起きない。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0049】
図10は、第2実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0050】
図10に示すコネクタ2は、コンタクト22が、金属板を打ち抜き加工して形成されたものであり、ハウジング21の下面および側面の双方から突出して配置されている。コンタクト22の突出部分における上部は段状に形成されており、下部は平らである。コンタクト22の下部には、2つの半田ボール23,24が固定されている。半田ボール23,24のそれぞれは、第1実施形態と同様に、下を向いた平坦部23aを有している。第2実施形態のコネクタ2では、1つのコンタクト22に対し、2つの半田ボール23,24によって電流流路が並列に形成されるため、半田ボールにおけるインピーダンスが低下し、また、通電許容量が増加する。したがって、狭ピッチ化により、半田ボールの大きさが小型化してもインピーダンスの上昇や電流許容量の低下が避けられる。
【0051】
図10に示すコネクタ2のコンタクト22は、上部が段状であり、ハウジング21寄りの上段には、押付治具が押し当てられる第1の治具押当部22aを有し、下段には、第2の治具押当部22bを有する。
【0052】
図11は、図10に示すコネクタ2の製造方法を説明する図である。
【0053】
図10に示すコネクタ2を製造するには、ハウジング21にコンタクト22を固定し、さらに、コンタクト22に半田ボール23,24を固定したものを、図11に示すように、平板治具J1の上に載せる。次に、押付治具J3を、コンタクト12の第1の治具押当部22aおよび第2の治具押当部22bに押し当てることによって、コンタクト22を間に挟んで半田ボール23,24を平板治具J1に対し押圧する。押付治具J3は、ハウジング21を避けて、コンタクト22の第1の治具押当部22aおよび第2の治具押当部22bに押し当たる。
【0054】
半田ボール23,24は平板治具J1に押圧されることで塑性変形し、平板治具J1に当たっている部分に、平板治具J1に沿った平面の平坦面23a,24a(図10参照)が形成される。このようにして、図10に示すコネクタ2が完成する。
[第2実施形態の変形例]
続いて、第2実施形態のコネクタ2に対し、コンタクトの形状が異なる変形例を説明する。
【0055】
図12は、第2実施形態における変形例のコネクタの、コンタクトの一部および半田ボールを示す図である。
【0056】
図12に示すコネクタのコンタクト22Aは、半田ボール23,24がそれぞれ入り込んだ凹部22d,22eを有する。より詳細には、凹部22d,22eは、コンタクト22Aに形成されたくさび形の切欠きであり、半田ボール23,24は、これら凹部22d,22eにそれぞれ固定されている。
【0057】
図12に示す変形例のコンタクト22Aは、半田ボール23,24の固定が機械的に補強される。このため、製造過程で、平坦部を形成するための力を半田ボール23,24に加えても、半田ボール13の位置のずれや脱落が起きない。
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0058】
図13は、第3実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0059】
図13に示すコネクタ3は、コンタクト32が、ハウジング31の側面に沿って下方Dに延び、延びた先が曲がって、ハウジング31の下に延びている。ハウジング31の下面31bには、下方Dに突出した突起31pが設けられており、コンタクト32は、ハウジング31の突起31pに接している。コンタクト32のうち、突起31pが接触する部分の反対側には、半田ボール33が固定されている。すなわち、ハウジング31の突起31pは、コンタクト32に固定された半田ボール33にコンタクト32を間に挟んで対面している。半田ボール33には、平坦面33aが設けられている。
【0060】
ここで、ハウジング31の突起31pが本発明にいう接触対面部の一例に相当する。
【0061】
図13に示すコネクタ3の製造の際に、平坦面33aを形成する場合には、平板治具J1(図5参照)に平坦面が形成されていない状態の半田ボールを当てて、ハウジング31を平板治具J1に向かって押す。このとき、ハウジング31の突起31pが、コンタクト32を介して半田ボール33を平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。突起31pによって力が効率よく加えられ、コンタクト32を変形させることなく、半田ボール33が塑性変形して平坦面33aが形成される。
[第4実施形態]
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0062】
図14は、第4実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0063】
図14に示すコネクタ4は、コンタクト42が、ハウジング41の側面に沿って下方Dに延び、延びた先が曲がって、ハウジング41の下に延びている。コンタクト42の先端はさらにハウジング41に向かって曲がり、ハウジング41に接している。
【0064】
コンタクト42のうち、ハウジング41の側面に固定された部分と、先端の、ハウジング41に接した部分との間の位置に、半田ボール43が固定されている。半田ボール43には、平坦面43aが設けられている。
【0065】
図14に示すコネクタ4の製造の際に、平坦面43aを形成する場合にも、ハウジング41を用いて、半田ボールを平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。このとき、コンタクト42のうち、ハウジング41の側面に固定された部分と、先端の、ハウジング41に接した部分との両側から力が効率よく加えられ、半田ボール43が塑性変形して平坦面43aが形成される。
[第5実施形態]
続いて、本発明の第5実施形態について説明する。以下の第5実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0066】
図15は、第5実施形態のコネクタの一部断面図である。
【0067】
図15に示すコネクタ5では、コンタクト52が、ハウジング51の少なくとも下面に密着している。より詳細には、コンタクト52は、ハウジング51の下面と側面に密着している。コンタクト52は、金属めっきによって形成されているが、蒸着や貼付けによって形成することも可能である。コンタクト52には、半田ボール53が固定されている。半田ボール53には、平坦面53aが設けられている。
【0068】
ここで、ハウジング51のうち、コンタクト52が形成された部分が本発明にいう接触対面部の一例に相当する。
【0069】
図15に示すコネクタ5の製造の際に、平坦面53aを形成する場合にも、ハウジング51を用いて、半田ボールを平板治具J1(図5参照)に対し押圧する。このとき、コンタクト52から力が効率よく加えられ、半田ボール53が塑性変形して平坦面53aが形成される。
【0070】
なお、上述した実施形態では、本発明にいう半田塊の例として、半田ボールを示したが、本発明の半田塊はボール状やドーム状のものに限られるものではなく、例えば、柱状や錐状であってもよく、また、複数のボールが接して並んだ形状の塊であってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、コンタクトが相手コネクタに接触する部材であるとして説明したが、本発明にいう端子はこれに限られるものではなく、回路基板に対面するものであれば、相手コネクタに接触する部材とは別の部材であってもよい。
【0072】
また、上述した第1実施形態では、コンタクトが80個ずつ2列に並んで配置されたコネクタの例を説明したが、本発明における端子の数は、1列配置の場合には3個以上のいずれででもよく、複数列配置の場合には4個以上のいずれでもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、コンタクトが2列に配置された構造のコネクタの例を説明したが、本発明の電気部品はこれに限られるものではなく、ボールグリッドアレータイプのコネクタであってもよい。また、実施形態では、相手コネクタと嵌合するコネクタの例を説明したが、本発明の電気部品はこれに限られるものではなく、例えば、複数の半田ボールを用いて回路基板に表面実装されるICソケットや、ICパッケージであってもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、半田ボールの平坦面を形成する方法として、半田ボールを平板治具J1に対して押圧することで可塑変形させる例を説明したが、平坦面を形成する方法はこれに限られるものではなく、例えば、半田ボールを平らな研磨面で擦ることで削り取って形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,2,3,4,5 コネクタ
11,21,31,41,51 ハウジング
12,12A,12B,12C,22,22A,32,42,52 コンタクト
12d,12e,12f,22d,22e 凹部
12a,22a,22b 治具押当部
13,23,24,33,43,53 半田ボール
13a,23a,24a,33a,43a,53a 平坦面
31p 突起
P 平面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品であって、
この電気部品の構造を支持する絶縁構造体と、
前記絶縁構造体に固定された、この電子部品が前記回路基板に実装される実装姿勢において、該回路基板に対面する複数の端子と、
前記端子のそれぞれに、前記実装姿勢における前記回路基板に向かう向きに突出して固定された半田塊とを備え、
前記半田塊が、前記実装姿勢において前記回路基板に向いた、前記複数の端子に亘って共通の平面を形成する平坦部を有することを特徴とする電気部品。
【請求項2】
前記複数の端子のそれぞれが、当該端子に固定された半田塊を当該端子を間に挟んで押圧する治具が前記絶縁構造体を避けて押し当てられることができる治具押当部を有することを特徴とする請求項1記載の電気部品。
【請求項3】
前記絶縁構造体が、前記複数の端子それぞれに接触し、当該端子に固定された半田塊に当該端子を間に挟んで対面する接触対面部を有することを特徴とする請求項1記載の電気部品。
【請求項4】
前記端子のそれぞれは、前記半田塊が入り込んだ凹部を有するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の電気部品。
【請求項1】
回路基板の表面に実装される表面実装型の電気部品であって、
この電気部品の構造を支持する絶縁構造体と、
前記絶縁構造体に固定された、この電子部品が前記回路基板に実装される実装姿勢において、該回路基板に対面する複数の端子と、
前記端子のそれぞれに、前記実装姿勢における前記回路基板に向かう向きに突出して固定された半田塊とを備え、
前記半田塊が、前記実装姿勢において前記回路基板に向いた、前記複数の端子に亘って共通の平面を形成する平坦部を有することを特徴とする電気部品。
【請求項2】
前記複数の端子のそれぞれが、当該端子に固定された半田塊を当該端子を間に挟んで押圧する治具が前記絶縁構造体を避けて押し当てられることができる治具押当部を有することを特徴とする請求項1記載の電気部品。
【請求項3】
前記絶縁構造体が、前記複数の端子それぞれに接触し、当該端子に固定された半田塊に当該端子を間に挟んで対面する接触対面部を有することを特徴とする請求項1記載の電気部品。
【請求項4】
前記端子のそれぞれは、前記半田塊が入り込んだ凹部を有するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の電気部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−18892(P2012−18892A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157144(P2010−157144)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】
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