説明

電気配線の形成方法、配線基板の製造方法、電気光学素子の製造方法、電子機器の製造方法、配線基板、電気光学素子、および電子機器

【課題】 液滴吐出装置を用いて、ムラのない均一な厚さの導電層をもつ電気配線を形成すること。
【解決手段】 電気配線の形成方法が、基板表面が溝の底部になるように、前記溝を規定する隔壁を形成する工程Aと、前記底部上に、第1の機能液に対する前記隔壁の親液性よりも、前記第1の機能液に対して高い親液性を有する親液層を形成する工程Bと、前記親液層上に、液滴吐出装置を用いて金属を含有する前記第1の機能液を付与する工程Cと、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気配線の形成方法に関し、特にインクジェット法の適用に好適な電気配線の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置を用いて、インクジェット法によって電気配線を形成する技術としては、特許文献1に示される技術が知られている。この技術は、インク受容層上に無電解メッキ触媒を含有するインクを付与してパターンを形成し、その後無電解メッキ法により当該パターン上に導電性金属を形成するものである。
【0003】
近年では、より微細な配線を形成するため、次のような技術の開発が進められている。基板上に、バンクパターンと呼ばれる隔壁を、配線が配置されるべきパターンを縁取るように形成し、このバンクパターンと基板表面とによって形作られた溝に金属インクを付与して電気配線を形成する技術である。このような技術によれば、バンクパターンの間隔によって配線の幅が決定されるので、バンクパターンを用いない場合に比べてより微細な配線を形成することができる。
【0004】
ここで、均一な厚さの電気配線を形成するためには、上述の溝の底部に付与された金属インクを前記底部に均一に濡れ広げる必要がある。そのために、バンクパターンの材料として金属インクに対し撥液性を有するものを用いたり、バンクパターンの表面をプラズマ処理して金属インクに対する撥液性を持たせたりすることによって、上記底部の金属インクに対する親液性を、バンクパターンの金属インクに対する親液性よりも相対的に高くしている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−311527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の方法では、バンクパターンをパターニングする際に溝の底部に残渣が生じると、前記底部の親液性をバンクパターンに対して相対的に高くできず、金属インクが前記底部に均一に濡れ広がらないという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、隔壁に撥液性を持たせると同時に溝の底部に確実に親液性を持たせることによって、金属インクを前記底部にムラなく均一な厚さに付与することが可能な電気配線の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、液滴吐出装置を用いた電気配線の形成方法は、基板上に、基板の表面が溝の底部になるように、前記溝を規定する隔壁を形成する工程Aと、前記底部上に、第1の機能液に対する前記隔壁の親液性よりも、前記第1の機能液に対して高い親液性を有する親液層を形成する工程Bと、前記親液層上に、液滴吐出装置を用いて金属を含有する前記第1の機能液を配置する工程Cとを含んでいる。
【0009】
上記構成によって得られる効果の一つは、導電性材料をムラなく均一な厚さに形成できることである。
【0010】
好ましくは、上記構成のうちの工程Bが、前記底部上にシリカ(SiO2)の微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいる。この第2の機能液は、さらに酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTi3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)のうちの少なくとも1種からなる微粒子を含有していてもよい。
【0011】
また、前記工程Bは、前記底部上に、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいてもよい。あるいは、前記工程Bは、前記底部上に、シリカと、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上と、の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいてもよい。
【0012】
上記構成によって得られる効果の一つは、親液層が、導電性材料に対して親液性をもつことである。
【0013】
さらに、上述した微粒子の平均粒径は、1μm以下であることが望ましい。
【0014】
上記の条件を満たすことによって得られる効果の一つは、機能液を液滴吐出装置によって吐出する際に、目詰まりすることなく、機能液を所望の方向へ吐出できることである。
【0015】
また、前記工程Aは、フッ素を含有する高分子化合物、またはフッ素を含有する有機分子が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含んでいてもよい。
【0016】
上記構成によって得られる効果の一つは、導電性材料をムラなく均一な厚さに形成できるという本発明の効果をさらに高めることができることである。
【0017】
本発明によれば、液滴吐出装置を用いた電気配線の形成方法は、基板上に、第1の機能液に対する前記隔壁の親液性よりも、前記第1の機能液に対して高い親液性を有する親液層を形成する工程Aと、前記親液層上に、前記親液層が溝の底部になるように、前記溝を規定する隔壁を形成する工程Bと、前記底部上に、液滴吐出装置を用いて金属を含有する前記第1の機能液を配置する工程Cとを含んでいる。
【0018】
上記構成によって得られる効果の一つは、導電性材料をムラなく均一な厚さに形成できることである。
【0019】
好ましくは、上記構成のうちの工程Aが、前記底部上にシリカ(SiO2)の微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいる。前記第2の機能液は、さらに酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTi3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)のうちの少なくとも1種からなる微粒子を含有していてもよい。
【0020】
また、前記工程Aは、前記底部上に、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいてもよい。あるいは、前記工程Aは、前記底部上に、シリカと、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上と、の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含んでいてもよい。
【0021】
上記構成によって得られる効果の一つは、親液層が、導電性材料に対する親液性をもつことである。
【0022】
さらに、上述した微粒子の平均粒径は、1μm以下であることが望ましい。
【0023】
上記の条件を満たすことによって得られる効果の一つは、機能液を液滴吐出装置によって吐出する際に、目詰まりすることなく、機能液を所望の方向へ吐出できることである。
【0024】
また、前記工程Bは、フッ素を含有する高分子化合物、またはフッ素を含有する有機分子が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含んでいてもよい。
【0025】
上記構成によって得られる効果の一つは、導電性材料をムラなく均一な厚さに形成できるという本発明の効果をさらに高めることができることである。
【0026】
本発明のある態様では、前記親液層に光を照射する工程を含んでおり、このときの光の波長は400nm以下であることが好ましい。
【0027】
上記構成によって得られる効果の一つは、親液層の、導電性材料に対する親液性が高くなることである。
【0028】
本発明の他の態様では、前記隔壁は、フッ素を含有する有機分子を含んでいる。
【0029】
上記構成によって得られる効果の一つは、隔壁が、導電性材料に対する撥液性をもつことである。
【0030】
本発明の他の態様では、前記隔壁の表面を、フルオロカーボン系の化合物を反応ガスに用いてプラズマ処理する工程を含んでいる。
【0031】
上記構成によって得られる効果の一つは、隔壁の、導電性材料に対する撥液性がさらに向上することである。
【0032】
なお、本発明は、種々の態様で実現することができる。具体的には、配線基板の製造方法、電気光学素子の製造方法または電子機器の製造方法として実現することができる。また、本発明による配線基板の製造方法によって製造された配線基板は、ムラのない均一な厚さの電気配線を有する。この配線基板を備える電気光学素子および電子機器は、ムラのない均一な厚さの電気配線を有するため、良好な電気特性を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
(第1の実施形態)
(A.配線基板)
図1は、本実施形態の電気配線の形成方法によって形成される電気配線を有する配線基板1の斜視図である。なお、図1中のC−C´線の位置でのX−Z平面は、図7(b)が示す平面に対応する。
【0035】
配線基板1は、ポリイミドからなる支持基板10と、バンクパターン20と、親液層30と、導電層40と、を含む。ここで、バンクパターン20と親液層30とは、どちらも支持基板10上に位置している。また、導電層40は、親液層30上に位置している。さて、バンクパターン20は、フッ素を含有する有機分子からなる有機薄膜を加工して形成される。より具体的には、この有機分子にはシランカップリング剤の一種であるCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2−Si(OCH33が用いられている。このような材料を含むバンクパターン20は、後述する導電性材料40A(図7(b))に対して撥液性を有する。なお、支持基板10が、本発明における「基板」に対応し、バンクパターン20が、本発明における「隔壁」に対応する。
【0036】
親液層30、および導電層40は、バンクパターン20によって区画された溝に、支持基板10の表面の側からこの順に充填されている。
【0037】
親液層30は、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有する親液材料30A(図7(a))からなり、後述する導電性材料40Aに対して親液性を有する。くわえて、酸化チタン(TiO2)の微粒子を包含しているため、波長400nm以下の光を照射すると、光触媒反応によって親液性をさらに高めることができる。こうして、親液層30の導電性材料40A(図7(b))に対する親液性は、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性より高くなるように設定される。このような、酸化チタンの分散剤に分散した状態の親液材料30Aとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0038】
導電層40は、金属を含有する導電性材料40Aを原料として形成される。導電性材料40Aは、平均粒径が10nm程度の銀粒子と、分散媒としての水と、を有する金属微粒子分散液である。銀粒子は、互いに凝集するのを避けるため、重合体または界面活性剤で被覆されている。この構造によって、導電性材料40Aにおいて、銀粒子は分散媒中に安定して分散されている。導電性材料40Aに含有される金属微粒子の平均粒径は500nm以下であることが好ましく、特に平均粒径が1nm程度から数100nmまでの微粒子は、「ナノ粒子」とも表記される。この表記によれば、導電性材料40Aは、銀のナノ粒子を含んでいる。なお、この液状の導電性材料40Aは、「金属インク」とも呼ばれる。
【0039】
導電性材料40Aを層状に塗布して高温で焼成、または光を照射すると、銀粒子の間で融合あるいは融着が起こり、低抵抗の導電性物質である導電層40が生成される。導電層40は、配線基板1における電気的な導通を担っており、導電層40によって、図1中のA−A´間、およびB−B´間で電気的な導通がとられている。
【0040】
なお、導電性材料40Aが、本発明における「第1の機能液」に対応し、親液材料30A(図7(a))が、本発明における「第2の機能液」に対応する。親液材料30A、および導電性材料40Aは、いずれも、後述する液状の材料111(図3、図4)の一種である。
【0041】
バンクパターン20によって区画された溝は、以下では「被吐出部50(図6(d))」とも呼ぶ。被吐出部50は、その側面をバンクパターン20によって規定され、その底部は、支持基板10の表面および親液層30のいずれかによって規定される。具体的には、「被吐出部50」は、側面がバンクパターン20で底部が支持基板10の表面である溝、および側面がバンクパターン20で底部が親液層30である溝のいずれをも包含する概念である。
【0042】
なお、本発明の実施にあたり、形成する電気配線のレイアウトは図1に示すようなものに限定されない。配線の幅、本数、配置間隔、形状等を含む電気配線のレイアウトは、目的に応じて自由に変えることができる。
【0043】
本実施形態のバンクパターン20は、支持基板10の表面を露出する複数の開口部を有している。そして、これら複数の開口部のそれぞれの形状が、複数の電気配線(導電層40)のそれぞれの2次元的形状にほぼ一致する。つまり、本実施形態では、バンクパターン20は、後に形成される複数の電気配線のそれぞれの周囲を完全に囲む形状を有している。
【0044】
もちろん、バンクパターン20は、それぞれ互いから分離した複数のバンク部からなってもよい。例えば、所定の距離だけ離れるとともに、互いにほぼ平行に位置する一対のバンク部の間で、1つの電気配線の2次元的形状が縁取られてもよい。この場合には、電気配線の両端部に対応する部分にバンク部がなくてもよい。つまり、バンクパターン20が電気配線の2次元的形状の周囲を完全に囲む必要はない。
【0045】
(B.製造装置)
図2を参照しながら、配線基板1の製造に用いる製造装置2を説明する。以下では、導電層40が設けられる以前の配線基板1を指して基体11(図6)と表記する。
【0046】
製造装置2は、支持基板10上の被吐出部50に対して、親液材料30A、および導電性材料40Aを配置して、親液層30、および導電層40を形成するための装置である。製造装置2は、すべての被吐出部50の底部を構成する支持基板10の表面に親液材料30Aを付与する液滴吐出装置300Lと、支持基板10の表面上の親液材料30Aを乾燥させて親液層30を得る乾燥装置350Lと、親液層30に光を照射する光照射装置400Lと、すべての親液層30上に導電性材料40Aを付与する液滴吐出装置300Cと、親液層30上の導電性材料40Aを乾燥させて導電層40を得る乾燥装置350Cと、を備えている。
【0047】
さらに製造装置2は、液滴吐出装置300L、乾燥装置350L、光照射装置400L、液滴吐出装置300C、乾燥装置350C、の順番に基体11を搬送する搬送装置270も備えている。このように、本実施形態の電気配線の形成方法は、2つの液滴吐出装置を利用する。
【0048】
(C.液滴吐出装置の全体構成)
図3に示す液滴吐出装置300Lは、基本的には親液材料30Aを吐出するためのインクジェット装置である。より具体的には、液滴吐出装置300Lは、液状の材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、支持部104aと、を備えている。なお、もう一つの液滴吐出装置300Cの構造および機能は、液滴吐出装置300Lの構造および機能と基本的に同じであるので、液滴吐出装置300Cの構造および機能の説明は省略する。
【0049】
吐出ヘッド部103は、ヘッド114(図4)を保持している。このヘッド114は、制御部112からの信号に応じて、液状の材料111の液滴を吐出する。なお、吐出ヘッド部103におけるヘッド114は、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に液状の材料111が供給される。
【0050】
ステージ106は基体11(図6)を固定するための平面を提供している。さらにステージ106は、吸引力を用いて基体11の位置を固定する機能も有する。
【0051】
第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。ここで、本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。
【0052】
第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。ここで、Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の双方と直交する方向である。
【0053】
上記のような機能を有する第1位置制御装置104の構成と第2位置制御装置108の構成とは、リニアモータまたはサーボモータを利用した公知のXYロボットを用いて実現できる。このため、ここでは、それらの詳細な構成の説明を省略する。
【0054】
さて上述のように、第1位置制御装置104によって、吐出ヘッド部103はX軸方向に移動する。そして、第2位置制御装置108によって、基体11はステージ106と共にY軸方向に移動する。これらの結果、基体11に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114、またはノズル118(図4)は、基体11に対して、Z軸方向に所定の距離を保ちながら、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。「相対移動」または「相対走査」とは、液状の材料111を吐出する側と、そこからの吐出物が着弾する側(被吐出部50)の少なくとも一方を他方に対して相対移動することを意味する。
【0055】
制御部112は、液状の材料111の液滴を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データを内部の記憶装置に格納するとともに、格納された吐出データに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。なお、吐出データとは、基体11上に、液状の材料111を所定パターンで付与するためのデータである。本実施形態では、吐出データはビットマップデータの形態を有している。
【0056】
上記構成を有する液滴吐出装置300Lは、吐出データに応じて、ヘッド114のノズル118(図4)を基体11に対して相対移動させるとともに、被吐出部50に向けてノズル118から液状の材料111を吐出する。
【0057】
なお、インクジェット法で層、膜、またはパターンを形成するとは、液滴吐出装置300Lのような装置を用いて、所定の物体上に、層、膜、またはパターンを形成することである。
【0058】
(D.ヘッド)
図4(a)および(b)に示すように、液滴吐出装置300Lにおけるヘッド114は、複数のノズル118を有するインクジェットヘッドである。具体的には、ヘッド114は、振動板126と、液たまり129と、複数の隔壁122と、複数の振動子124と、複数のノズル118の開口を規定するノズルプレート128と、供給口130と、孔131と、を備えている。液たまり129は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置しており、この液たまり129には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される液状の配向材料111が常に充填される。
【0059】
複数の隔壁122は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、一対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状の配向材料111が供給される。なお、本実施形態では、ノズル118の直径は、約27μmである。
【0060】
さて、振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、それぞれの振動子124が位置する。振動子124のそれぞれは、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A、124Bと、を含む。制御部112が、この一対の電極124A、124Bの間に駆動波形を与えることで、対応するノズル118から液状の配向材料111の液滴Dが吐出される。ここで、ノズル118から吐出される材料の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。なお、ノズル118からZ軸方向に液状の配向材料111の液滴Dが吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0061】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124と、を含んだ部分を「吐出部127」とも表記する。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。また、吐出部127は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
【0062】
(E.制御部)
次に、制御部112の構成を説明する。図5に示すように、制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶装置202と、処理部204と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208と、を備えている。入力バッファメモリ200と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と、記憶装置202と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208とは、図示しないバスによって相互に通信可能に接続されている。
【0063】
走査駆動部206は、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッド駆動部208は、ヘッド114と相互に通信可能に接続されている。
【0064】
入力バッファメモリ200は、液滴吐出装置300Lの外部に位置する外部情報処理装置(不図示)から、液状の材料111の液滴を吐出するための吐出データを受け取る。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶装置202に格納する。図5では、記憶装置202はRAMである。
【0065】
処理部204は、記憶装置202内の吐出データに基づいて、被吐出部50に対するノズル118の相対位置を示すデータを走査駆動部206に与える。走査駆動部206はこのデータと、吐出周期と、に応じた走査駆動信号を第1位置制御装置104および第2位置制御装置108に与える。この結果、被吐出部50に対する吐出ヘッド部103の相対位置が変わる。一方、処理部204は、記憶装置202に記憶された吐出データに基づいて、液状の材料111の吐出に必要な吐出信号をヘッド114に与える。この結果、ヘッド114における対応するノズル118から、液状の材料111の液滴Dが吐出される。
【0066】
制御部112は、CPU、ROM、RAM、バスを含んだコンピュータである。したがって、制御部112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0067】
(F.液状の材料)
上述の「液状の材料111」とは、ヘッド114のノズル118から液滴Dとして吐出されうる粘度を有する材料をいう。ここで、液状の材料111が水性であると油性であるとを問わない。ノズル118から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。ここで、液状の材料111の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であるのが好ましい。粘度が1mPa・s以上である場合には、液状の材料111の液滴Dを吐出する際にノズル118の周辺部が液状の材料111で汚染されにくい。一方、粘度が50mPa・s以下である場合は、ノズル118における目詰まり頻度が小さく、このため円滑な液滴Dの吐出を実現できる。親液材料30A、および導電性材料40Aは、いずれも上述の条件を満たす液状の材料である。
【0068】
また、これらの液状の材料111が微粒子を含有している場合は、その微粒子の平均粒径は1μm以下であることが望ましい。この条件を満たす液状の材料111は、ヘッド114のノズル118から、目詰まりすることなく、所望の方向へ吐出される。例えば、親液材料30Aは、上述した通り、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有しているが、この微粒子の平均粒径は、1μm以下である。また、導電性材料40Aも、銀の粒子を含有しているが、その平均粒径は上述したように10nm程度であり、この条件を満たしている。
【0069】
なお、「液状の材料111」は、被吐出部50に付与された後に固有の機能を果たすことから、「機能液」とも呼ぶ。
【0070】
(G.形成方法)
続いて、図6および図7を参照しながら、上述の液滴吐出装置300L,300Cを用いた電気配線の形成方法を説明する。
【0071】
まず、支持基板10上をUV洗浄する。そして、図6(a)に示すように、支持基板10上を覆うようにスピンコート法を用いて、フッ素含有有機分子としてのシランカップリング剤を含有する樹脂有機材料を塗布する。このことで、支持基板10上に樹脂有機薄膜20Aを形成する。さらに樹脂有機薄膜20Aの全面を覆うようにネガ型のアクリル系化学増幅型感光性レジストを塗布することで、樹脂有機薄膜20A上にレジスト層20Bを形成する。
【0072】
続いて、レジスト層20Bと樹脂有機薄膜20Aとをフォトリソグラフィーによってパターニングする。具体的には、図6(b)に示すように、導電層40が形成されるべき領域に対応する部位に遮光部ABを有するフォトマスクPMを介して、レジスト層20Bに光hνを照射する。そして、レジスト層20Bを現像後、所定のエッチング液を用いてエッチングすることで、光hνが照射されていない部分、すなわち導電層40に対応する部分のレジスト層20Bと、対応する樹脂有機薄膜20Aとを取り除く。そのことによって、図6(c)に示すように、後に形成されるべき導電層40を囲む形状を有する、樹脂有機薄膜からなるバンクパターン20とレジスト層20Bとが、支持基板10上に残る。その後、所定の薬液を用いてレジスト層20Bを剥離して、支持基板10上には、図6(d)に示すように、バンクパターン20と支持基板10の表面とで規定される被吐出部50が形成される。ここで、支持基板10の表面とバンクパターン20とは、溝を形取っている。支持基板10の表面は、その溝の底部を構成する。
【0073】
以上のようにして、支持基板10の表面が溝の底部になるように、バンクパターン20が形成される。
【0074】
次に、バンクパターン20の表面に対して、プラズマ処理を行う。プラズマ処理は、バンクパターン20が形成された基体11をフルオロカーボン系化合物を含有するガスにさらし、当該ガスにエネルギーを与えてプラズマ化してバンクパターン20の表面と反応させて行う。このプラズマ処理によって、バンクパターン20の、導電性材料40Aに対する撥液性を高めることができる。
【0075】
続いて、支持基板10上に形成された被吐出部50に、親液材料30A、および導電性材料40Aをこの順に配置していく。これらの工程は、図2に示す製造装置2によって行われる。
【0076】
被吐出部50を有する基体11は、搬送装置270によって、液滴吐出装置300Lのステージ106に運ばれる。そして、図7(a)に示すように、液滴吐出装置300Lは、被吐出部50のすべてに親液材料30Aの層が形成されるように、ヘッド114の吐出部127から親液材料30Aを吐出する。より具体的には、液滴吐出装置300Lは、被吐出部50の底部を構成する支持基板10の表面に親液材料30Aを吐出する。基体11のすべての被吐出部50に親液材料30Aの層が形成された場合には、搬送装置270が基体11を乾燥装置350L内に位置させる。そして、被吐出部50上の親液材料30Aを完全に乾燥させることで、被吐出部50に親液層30が形成され、図7(a)に示すように、親液層30を底部とする被吐出部50が形成される。
【0077】
親液層30が形成された基体11は、搬送装置270によって、光照射装置400Lに運ばれる。そして、光照射装置400Lは、基体11に対して波長400nm以下の光を照射する。親液層30は、このような波長の光に対して反応し、親液性が高まる性質を持っている。したがって、この光照射工程を経た親液層30は、導電性材料40Aに対する親液性が高まる。
【0078】
なお、光照射装置400Lは、上述のように波長400nm以下の光を照射するが、親液層30に含まれる微粒子の種類によって、実際に反応に寄与する光の波長は異なる。具体的には、シリカ(SiO2)の微粒子と、金属を含む微粒子とを含有する親液層30は、波長400nm以下の光のうち、その金属を含有する微粒子が光触媒として機能する波長の光に反応する。例えば、本実施形態で用いる、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有する親液層30は、酸化チタン(TiO2)の微粒子が光触媒として機能する、波長380nm以下の光に反応する。また、シリカ(SiO2)の微粒子のみを含む親液層30は、波長が250nm以下の光に反応する。
【0079】
続いて、親液層30を有する基体11は、搬送装置270によって、液滴吐出装置300Cのステージ106に運ばれる。そして、図7(b)に示すように、液滴吐出装置300Cは、被吐出部50のすべてに導電性材料40Aの層が形成されるように、ヘッド114の吐出部127から導電性材料40Aを吐出する。より具体的には、液滴吐出装置300Cは、被吐出部50の底部を構成する親液層30の表面に導電性材料40Aを吐出する。基体11のすべての被吐出部50に導電性材料40Aの層が形成された場合には、搬送装置270が基体11を乾燥装置350C内に位置させる。そして、被吐出部50上の導電性材料40Aを高温雰囲気中で乾燥させると、導電性材料40Aに含まれる銀粒子の間で融合あるいは融着が起こり、低抵抗の導電性物質である導電層40が生成される。こうして、導電層40を電気配線として有する配線基板1が得られる。
【0080】
ところで、親液層30の導電性材料40Aに対する親液性は、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高くなっている。これは、バンクパターン20にフッ素を含有する有機分子としてシランカップリング剤等が含有されているとともに、バンクパターン20をプラズマ処理して撥液性を高めていることと、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有する親液性の高い親液層30に、さらに光を照射して親液性を高めていることによる。このため、被吐出部50の底部を構成する親液層30の表面に着弾した導電性材料40Aの液滴は、バンクパターン20に対して反撥するとともに、親液層30上に濡れ広がろうとする。このような作用によって、導電性材料40Aは親液層30上にムラなく均一に濡れ広がり、これを乾燥させて得られた導電層40は、均一な厚さを持つ層となる。
【0081】
また、被吐出部50の底部にバンクパターン20の残渣が存在する場合でも、この残渣を覆って親液層30が形成されるので、上述と同様の理由によって均一な厚さの導電層40を形成することができる。
【0082】
こうして得られた電気配線は、ムラのない均一な厚さの導電層40をもつので、良好な導電特性を有する。さらに、電気配線が極めて微細なパターンを有する場合であっても、親液層30の導電性材料40Aに対する親液性が、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高いことによって、導電性材料40は、被吐出部50の底部にムラなく均一に濡れ広がる。このため、ムラのない均一な厚さの導電層40を有する、極めて微細なパターンの電気配線を形成することもできる。
【0083】
(G.実装工程)
次に、図8に示すように、上述した工程で製造された配線基板1に、液晶パネル61と半導体素子62とを実装する。具体的には、配線基板1上の導電層40のパターンに、液晶パネル61の対応するパッド、または半導体素子62の対応するパッドを適切に接合する。このようにして、液晶表示装置60が得られる。このように、本実施形態の電気配線の形成方法は、液晶表示装置60の製造に適用できる。なお、本実施形態では、半導体素子62は液晶ドライバ回路である。
【0084】
さらに、本実施形態の電気配線の形成方法は、液晶表示装置の製造だけでなく、種々の電気光学装置の製造にも適用される。ここでいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化、旋光性の変化、または光散乱性の変化などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。
【0085】
具体的には、電気光学装置とは、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、表面伝導型電子放出素子を用いたディスプレイ(SED:Surface-Conduction Electron-Emitter Display)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などを含む用語である。
【0086】
また、本実施形態の電気配線の形成方法は、上述の電気光学装置に含まれる電気光学素子の製造にも適用される。具体的には、電気光学装置の画素部に形成されるTFT(薄膜トランジスタ)素子、走査線や信号線等の電気配線、および画素電極の形成などに適用することができる。
【0087】
さらに、本実施形態の電気配線の形成方法は、種々の電子機器の製造方法に適用され得る。例えば、本実施形態の電気配線の形成方法は、図9に示すような、電気光学装置520を備えた携帯電話機500の製造方法にも適用されるし、図10に示すような、電気光学装置620を備えたパーソナルコンピュータ600の製造方法にも適用される。
【0088】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、バンクパターン20を形成した後で被吐出部50に親液層30を形成する。一方、本実施形態では、支持基板10の表面全体に親液層30を塗布した後で、親液層30の表面上にバンクパターン20を形成する。そして、この点を除くと、本実施形態は、第1の実施形態と基本的に同じである。なお、上述のように、本実施形態では、導電層40が設けられる以前の配線基板1を指して基体11と表記する。
【0089】
まず、支持基板10上をUV洗浄する。その後、支持基板10は、製造装置2中の搬送装置270によって、液滴吐出装置300Lのステージ106に運ばれる。ここで、液滴吐出装置300Lは、支持基板10上に親液材料30Aの層が形成されるように、ヘッド114の吐出部127から親液材料30Aを吐出する。こうして、支持基板10上に親液材料30Aの層が形成されると、搬送装置270が基体11を乾燥装置350L内に位置させる。そして、図11(a)に示すように、親液材料30Aを完全に乾燥させることで、支持基板10の表面に親液層30が形成される。
【0090】
親液層30が形成された基体11は、搬送装置270によって、光照射装置400Lに運ばれる。そして、光照射装置400Lは、基体11に対して波長400nm以下の光を照射する。親液層30は、このような波長の光に対して反応し、親液性が高まる性質を持っている。したがって、当該工程を経た親液層30は、導電性材料40Aに対する親液性が高まる。
【0091】
なお、光照射装置400Lは、上述のように波長400nm以下の光を照射するが、親液層30に含まれる微粒子の種類によって、実際に反応に寄与する光の波長は異なる。具体的には、シリカ(SiO2)の微粒子と、金属を含む微粒子とを含有する親液層30は、波長400nm以下の光のうち、その金属を含有する微粒子が光触媒として機能する波長の光に反応する。例えば、本実施形態で用いる、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有する親液層30は、酸化チタン(TiO2)の微粒子が光触媒として機能する、波長380nm以下の光に反応する。また、シリカ(SiO2)の微粒子のみを含む親液層30は、波長が250nm以下の光に反応する。
【0092】
ここで、基体11は製造装置2から取り出されて、バンクパターン20の形成のための工程を経る。すなわち、まず図11(b)に示すように、親液層30の表面に、スピンコート法を用いて樹脂有機薄膜20Aを形成する。さらに樹脂有機薄膜20Aの全面を覆うようにネガ型のアクリル系化学増幅型感光性レジストを塗布することで、樹脂有機薄膜20A上にレジスト層20Bを形成する。
【0093】
次に、図11(c)および(d)に示すように、レジスト層20Bと樹脂有機薄膜20Aとをフォトリソグラフィーによってパターニングし、その後、レジスト層20Bを剥離して、バンクパターン20を形成する。
【0094】
続いて、バンクパターン20の表面に対して、撥液性を高めるためにプラズマ処理を行う。レジスト層20Bと樹脂有機薄膜20Aのパターニング法、レジスト層20Bの剥離法、およびプラズマ処理の方法は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0095】
こうして、図11(d)に示すように、支持基板10上に親液層30を底部とする被吐出部50が形成される。
【0096】
被吐出部50が形成された基体11は、再び製造装置2に戻され、搬送装置270によって、液滴吐出装置300Cのステージ106に運ばれる。そして、図12に示すように、液滴吐出装置300Cは、被吐出部50のすべてに導電性材料40Aの層が形成されるように、ヘッド114の吐出部127から導電性材料40Aを吐出する。より具体的には、液滴吐出装置300Cは、被吐出部50の底部を構成する親液層30の表面に導電性材料40Aを吐出する。基体11のすべての被吐出部50に導電性材料40Aの層が形成された場合には、搬送装置270が基体11を乾燥装置350C内に位置させる。そして、被吐出部50上の導電性材料40Aを高温雰囲気中で乾燥させると、導電性材料40Aに含まれる銀粒子の間で融合あるいは融着が起こり、低抵抗の導電性物質である導電層40が生成される。こうして、導電層40を電気配線として有する配線基板1が得られる。
【0097】
ところで、親液層30の導電性材料40Aに対する親液性は、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高くなっている。これは、バンクパターン20にフッ素を含有する有機分子としてシランカップリング剤等が含有されているとともに、バンクパターン20をプラズマ処理して撥液性を高めていることと、シリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子を含有する親液性の高い親液層30に、さらに光を照射して親液性を高めていることによる。このため、被吐出部50の底部を構成する親液層30の表面に着弾した導電性材料40Aの液滴は、バンクパターン20に対して反撥するとともに、親液層30上に濡れ広がろうとする。このような作用によって、導電性材料40Aは親液層30上にムラなく均一に濡れ広がり、これを乾燥させて得られた導電層40は、均一な厚さを持つ層となる。
【0098】
また、被吐出部50の底部にバンクパターン20の残渣が存在する場合でも、この残渣を覆って親液層30が形成されるので、上述と同様の理由によって均一な膜圧の導電層40を形成することができる。
【0099】
こうして得られた電気配線は、ムラのない均一な厚さの導電層40をもつので、良好な導電特性を有する。さらに、電気配線が極めて微細なパターンを有する場合であっても、親液層30の導電性材料40Aに対する親液性が、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高いことによって、導電性材料40は、被吐出部50の底部にムラなく均一に濡れ広がる。このため、ムラのない均一な厚さの導電層40を有する、極めて微細なパターンの電気配線を形成することもできる。
【0100】
(第3の実施形態)
第1の実施形態および第2の実施形態においては、バンクパターン20の形成のために塗布したレジスト層20Bは、樹脂有機薄膜20Aおよびレジスト層20Bのパターニング後に剥離したが、レジスト層20B自体に、導電性材料40Aに対する撥液性を持たせて、レジスト層20Bを剥離せずに製造することもできる。以下では、この方式を用いた第3の実施形態について説明する。
【0101】
本実施形態における電気配線の形成方法は、以降で述べる事項を除いては第2の実施形態における電気配線の形成方法と同じである。このため、第2の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0102】
図13は、本実施形態における電気配線の形成方法を示した図である。図13(a)は、支持基板10上に、親液層30、樹脂有機薄膜20Aおよびレジスト層20Bを設けた後に、レジスト層20Bに光を照射してフォトリソグラフィーによってパターニングを行った状態の基体11を示す。
【0103】
ここで、レジスト層20Bには、フッ素を含有する高分子化合物からなるフォトレジストが用いられている。このような材料から形成されたレジスト層20Bは、導電性材料40Aに対して撥液性を有する。
【0104】
本実施形態においては、この後、レジスト層20Bを剥離しない。したがって、第2の実施形態におけるバンクパターン20に相当する構成要素は、樹脂有機薄膜からなるバンクパターン20と、レジスト層20Bとを合わせたものとなる。以下では、バンクパターン20と、レジスト層20Bとを合わせたものをバンクパターン20´と呼ぶ。本実施形態における被吐出部50の側面は、バンクパターン20´で規定される。また、バンクパターン20´は、撥液性を有するレジスト層20Bを表面に有するので、この後、バンクパターン20´の撥液性を高めるためのプラズマ処理は行わなくてよい。
【0105】
続いて、図13(b)に示すように、被吐出部50に、第2実施形態と同様の工程によって導電層40を形成する。
【0106】
こうして得られた電気配線においては、導電層40は、ムラのない均一な厚さの層となる。これは、親液層30の導電性材料40Aに対する親液性が、バンクパターン20´の導電性材料40Aに対する親液性よりも高く、この結果、導電性材料40Aがバンクパターン20´に対して反撥するとともに、親液層30上に濡れ広がろうとするためである。
【0107】
本実施形態の形成方法によって形成された電気配線は、第2の実施形態の形成方法によって形成された電気配線と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態の製造方法では、レジスト層20Bの剥離工程と、バンクパターン20´のプラズマ処理工程とを行う必要がないので、電気配線の形成工程を簡略化することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0109】
(変形例1)
上述の各実施形態では、2つの異なる液滴吐出装置300L、300Cが、それぞれ親液材料30A、導電性材料40Aを吐出する。このような構成に代えて、1つの液滴吐出装置(例えば液滴吐出装置300L)が、これらの液状の材料をすべて吐出してもよい。この場合、これら液状の材料は、液滴吐出装置300Lにおける別々のノズル118から吐出されてもよいし、液滴吐出装置300Lにおける1つのノズル118から吐出されてもよい。1つのノズル118からこれら2つの液状の材料が吐出される場合には、液状の材料を切り換える際に、タンク101からノズル118までの経路を洗浄する工程を追加すればよい。
【0110】
(変形例2)
第2の実施形態および第3の実施形態において、親液層30は液滴吐出装置300Lを用いてインクジェット法によって形成したが、この他にも液状の材料を塗布する方法であればどのような方法で形成してもよい。親液層30の形成に適用することが可能な方法の例としては、押出コーティング方法、スピンコーティング方法、グラビアコーティング方法、リバースロールコーティング方法、ロッドコーティング方法、スリットコーティング方法、マイクログラビアコーティング方法、ディップコーティング方法、フレキソ印刷法、およびスクリーン印刷法などを挙げることができる。
【0111】
(変形例3)
上述の各実施形態では、親液材料30Aにはシリカ(SiO2)と酸化チタン(TiO2)とから構成される微粒子が含有されていたが、シリカ(SiO2)の粒子と酸化チタン(TiO2)の粒子とが独立して含有されていてもよい。または、シリカ(SiO2)の微粒子のみを含む材料であっても良い。あるいは、酸化チタン(TiO2)の代わりに、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTi3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)のうちの少なくとも1種からなる微粒子を含有させてもよい。このような親液材料30Aは、導電性材料40Aに対して親液性を有する。
【0112】
また、親液材料30Aは、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する材料であってもよい。さらに、酸化チタンや酸化亜鉛などの上記金属がシリカでコーティングされた微粒子を含有する材料などを用いることができる。このような親液材料30Aも、導電性材料40Aに対して親液性を有する。
【0113】
(変形例4)
上述の各実施形態では、親液層30の親液性を高めるために親液層30に対して波長400nm以下の光を照射していたが、この工程は省略してもよい。この場合、親液層30の、導電性材料40Aに対する親液性は低下するものの、それでもバンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高い。したがって、この変形例によれば、光を照射する工程を省略することができるので、電気配線の形成工程を簡略化することができる。
【0114】
(変形例5)
上述の各実施形態においては、バンクパターン20には、フッ素を含有する有機分子、具体的には、シランカップリング剤の一種であるCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−CH2CH2−Si(OCH33が含まれていたが、これ以外のシランカップリング剤を用いることもできる。シランカップリング剤とは、R1SiX1mX2(3−m)で表される化合物であり、ここでR1は有機基を表し、X1およびX2は、−OR2,−R2,−Clを表し、R2は炭素数が1から4のいずれかであるアルキル基を表し、mは1から3のいずれかの整数である。バンクパターン20に撥液性をもたせるためにバンクパターン20に含有させるのに好適なシランカップリング剤の例としては、CF3(CF23−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF26−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF26−CH2CH2−Si(OC263、CF3(CF27−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF211−CH2CH2−Si(OC263、CF3(CF23−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32、CF3(CF27−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32、CF3(CF28−CH2CH2−Si(CH3)(OC262、CF3(CF28−CH2CH2−Si(C26)(OC262、CF3O(CF2O)6−CH2CH2−Si(OC253、CF3O(C36O)4−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C36O)2(CF2O)3−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C36O)8−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C48O)6−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C48O)8−CH2CH2−Si(CH3)(OC252、CF3O(C36O)4−CH2CH2−Si(C26)(OCH32、などを挙げることができる。
【0115】
また、上述のシランカップリング剤に替えて、フッ素を含有する界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤とは、R11で表される化合物であり、ここでY1は親水性の極性基、すなわち、−OH、−(CH2CH2O)nH、−COOH、−COOK、−COONa、−PO32、−PO3Na2、−PO32、−NO2、−NH2、−NH3Cl(アンモニウム塩)、−NH3Br(アンモニウム塩)、≡NHCl(ビリジニウム塩)、≡NHBr(ビリジニウム塩)、などである。バンクパターン20に撥液性をもたせるためにバンクパターン20に含有させるのに好適な界面活性剤の例としては、CF3−CH2CH2−COONa、CF3(CF23−CH2CH2−COONa、CF3(CF26−CH2CH2−NH3Br、CF3(CF26−CH2CH2−NH3Br、CF3(CF27−CH2CH2−NH3Br、CF3(CF211−CH2CH2−NH3Br、CF3(CF23−CH2CH2−NH3Br、CF3(CF27−CH2CH2−OSO3Na、CF3(CF25−CH2CH2−OSO3Na、CF3(CF28−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(CF2O)6−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C36O)4−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C36O)2(CF2O)3−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C36O)5−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C48O)5−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C48O)5−CH2CH2−OSO3Na、CF3O(C36O)4−CH2CH2−OSO3Na、などを挙げることができる。
【0116】
上述したシランカップリング剤、および界面活性剤は、分子の末端官能基が基板表面を構成する原子に化学的に吸着するため、金属や絶縁体を始め幅広い材料の酸化物表面に反応性を示す。このため、撥液に寄与する有機分子として用いることができる。特に、これらシランカップリング剤や界面活性剤に含まれるR1が、パーフルオロアルキル構造Cn2n+1やパーフルオロアルキルエーテル構造Cp2p+1O(Cp2pO)r(n、p、rは整数)のようにフッ素原子を含有する場合は、撥液性物質として好適に用いることができる。これは、このようなシランカップリング剤や界面活性剤によって修飾された固体表面の表面自由エネルギーは、25mJ/m2よりも低くなるので、十分な撥液性を有するためである。
【0117】
また、バンクパターン20には、撥液性の高い高分子化合物を用いてもよい。撥液性の高い高分子化合物としては、分子内にフッ素原子を含有する、オリゴマーまたはポリマーを用いることができる。具体的には、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、エチレンー4フッ化エチレン共重合体、6フッ化プロピレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ(ペンタデカフルオロヘブチルエチルメタクリレート)(PPFMA)、およびポリ(パーフルオロオクチルエチルアクリレート)などの長鎖パーフルオロアルキル構造を有するポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリカーボネート系の高分子化合物、などを用いることができる。
【0118】
(変形例6)
第3の実施形態において、レジスト層20Bにはフッ素を含有する高分子化合物からなるフォトレジストを用いたが、フッ素を含有する有機分子を混合したフォトレジストを用いてもよい。このようなフォトレジストによって形成されたレジスト層20Bは、導電性材料40Aに対して撥液性をもつ。このため、第3の実施形態と同様に、導電層40をムラのない均一な厚さで付与することができる。フッ素を含有する有機分子としては、上述の界面活性剤が好ましい。具体的には、日本サーファクタント工業製のNIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン製のZONYL FSN、FSO、旭硝子製のサーフロンS−141,145、大日本インキ製のメガファックF−141,144、ネオス製のフタージェント F−200、F251、ダイキン工業製のユニダインDS−401,402、スリーエム製のフロラードFC−170,176、JEMCO製のエフトップEF−シリーズ、等のフッ素系の非イオン界面活性あるいは、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は、フォトレジストに添加する種類および量を調整することによって、フォトレジストの撥液性を任意に設定することができる。
【0119】
(変形例7)
上述の各実施形態では、樹脂有機薄膜20Aとレジスト層20Bとをパターニングしてバンクパターン20を形成していたが、レジスト層20Bに撥液性のある材料を用いる場合においては、レジスト層20Bのみからバンクパターン20を形成してもよい。より具体的には、樹脂有機薄膜20Aを塗布せずにレジスト層20Bを塗布し、その後レジスト層20Bをパターニングしたものをバンクパターン20とすればよい。このような方法でバンクパターン20を形成した場合でも、親液層30の、導電性材料40Aに対する親液性は、バンクパターン20の導電性材料40Aに対する親液性よりも高いので、均一な厚さの導電層40を形成することができる。
【0120】
(変形例8)
第1の実施形態および第2の実施形態においては、バンクパターン20の表面に対してプラズマ処理を行ったが、この工程は省略してもよい。この場合、バンクパターン20の、導電性材料40Aに対する撥液性は低下するものの、プラズマ処理工程を省略することができるので、電気配線の形成工程を簡略化することができる。
【0121】
(変形例9)
上述の各実施形態では、導電性材料40Aは、銀の粒子と、分散媒としての水と、を有する金属微粒子分散液であるとしたが、銀の粒子の他にも様々な材料からなる粒子を用いることができる。具体的には、金、白金、銀、銅、ニッケル、クロム、ロジウム、パラジウム、亜鉛、コバルト、モリブデン、ルテニウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、錫、アンチモン、ガリウム、およびインジウムのうちの1種以上の元素を含む金属、合金、金属酸化物からなる粒子を用いることができ、特に、金、銀、銅、ニッケル、マンガン、ITO(インジウム錫酸化物)、ATO(アンチモン錫酸化物)からなる粒子が好ましい。また、これらの粒子は、分散媒中に安定して分散させるために、重合体または界面活性剤で被覆されていることが好ましい。
【0122】
導電性材料40Aは、水を溶媒とする金属錯体化合物の溶液であってもよい。金属錯体化合物は、配位化合物ともいわれ、中心に金属イオン、金属、合金、または金属酸化物からなる導電性粒子を有し、その周囲をイオンや分子で取り囲まれている化合物である。具体的には、中心に、金、白金、銀、銅、ニッケル、クロム、ロジウム、パラジウム、亜鉛、コバルト、モリブデン、ルテニウム、タングステン、オスミウム、イリジウム、鉄、マンガン、ゲルマニウム、錫、アンチモン、ガリウム、およびインジウムのうちの1種以上の元素を含む金属イオン、金属、合金、金属酸化物からなる導電性粒子を有する金属錯体化合物を用いることができる。配位子は、任意に選択することができる。このような金属錯体化合物の溶液からなる導電性材料40Aも、これを塗布して高温で焼成、または光を照射すると、中心の導電性粒子の間で融合あるいは融着が起こり、低抵抗の導電性物質である導電層40が生成される。
【0123】
また、導電性材料40Aを構成する金属微粒子分散液の分散媒、および金属錯体化合物溶液の溶媒は水であるとしたが、銀粒子などの導電性粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、α−テルピネオール、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、バンクパターン20との間の撥液性の高さという観点からは表面張力の高いものが好ましく、また、導電性粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点では、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましい。より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0124】
(変形例10)
上述した実施形態では、ポリイミドからなる支持基板10上に多層構造が設けられる。しかしながら、このような支持基板10に代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】配線基板の構成を示す模式図である。
【図2】電気配線の製造装置を示す模式図である。
【図3】液滴吐出装置を示す模式図である。
【図4】(a)および(b)は、液滴吐出装置におけるヘッドを示す模式図である。
【図5】液滴吐出装置における制御部の機能ブロック図である。
【図6】(a)から(d)は、第1の実施形態の電気配線の形成方法を説明する図である。
【図7】(a)および(b)は、第1の実施形態の電気配線の形成方法を説明する図である。
【図8】第1の実施形態の液晶表示装置を示す模式図である。
【図9】第1の実施形態の携帯電話機を示す模式図である。
【図10】第1の実施形態のパーソナルコンピュータを示す模式図である。
【図11】(a)から(d)は、第2の実施形態の電気配線の形成方法を説明する図である。
【図12】第2の実施形態の電気配線の形成方法を説明する図である。
【図13】(a)および(b)は、第3の実施形態の電気配線の形成方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0126】
1…配線基板、2…製造装置、10…支持基板、11…基体、20…バンクパターン、20A…樹脂有機薄膜、20B…レジスト層、30…親液層、30A…親液材料、40…導電層、40A…導電性材料、50…被吐出部、60…液晶表示装置、61…液晶パネル、62…半導体素子、101…タンク、103…吐出ヘッド部、104…第1位置制御装置、104a…支持部、106…ステージ、108…第2位置制御装置、110…チューブ、111…液状の材料、112…制御部、114…ヘッド、118…ノズル、120…キャビティ、122…隔壁、124…振動子、124A…電極、124C…ピエゾ素子、126…振動板、127…吐出部、128…ノズルプレート、130…供給口、131…孔、200…入力バッファメモリ、202…記憶装置、204…処理部、206…走査駆動部、208…ヘッド駆動部、270…搬送装置、300L,300C…液滴吐出装置、350L,350C…乾燥装置、400L…光照射装置、500…携帯電話機、600…パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出装置を用いて機能液を配置することにより電気配線を形成する電気配線の形成方法であって、
基板上に、基板の表面が溝の底部になるように、前記溝を規定する隔壁を形成する工程Aと、
前記底部上に、第1の機能液に対する前記隔壁の親液性よりも、前記第1の機能液に対して高い親液性を有する親液層を形成する工程Bと、
前記親液層上に、液滴吐出装置を用いて金属を含有する前記第1の機能液を配置する工程Cとを有することを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Bは、前記底部上にシリカの微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電気配線の形成方法であって、
前記第2の機能液は、さらに酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種からなる微粒子を含有することを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項4】
請求項1に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Bは、前記底部上に、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Bは、前記底部上に、シリカと、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上と、の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記微粒子の平均粒径は1μm以下であることを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Aは、フッ素を含有する高分子化合物が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Aは、フッ素を含有する有機分子が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項9】
液滴吐出装置を用いて機能液を配置することにより電気配線を形成する電気配線の形成方法であって、
基板上に、第1の機能液に対する隔壁の親液性よりも、前記第1の機能液に対して高い親液性を有する親液層を形成する工程Aと、
前記親液層上に、前記親液層が溝の底部になるように、前記溝を規定する隔壁を形成する工程Bと、
前記底部上に、液滴吐出装置を用いて金属を含有する前記第1の機能液を配置する工程Cとを有することを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Aは、前記底部上にシリカの微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電気配線の形成方法であって、
前記第2の機能液は、さらに酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種からなる微粒子を含有することを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項12】
請求項9に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Aは、前記底部上に、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項13】
請求項9に記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Aは、前記底部上に、シリカと、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、および酸化鉄のうちの少なくとも1種以上と、の組成の組み合わせからなる微粒子を含有する第2の機能液を配置して前記親液層を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記微粒子の平均粒径は1μm以下であることを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Bは、フッ素を含有する高分子化合物が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項16】
請求項9から14のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記工程Bは、フッ素を含有する有機分子が混合されたフォトレジストから前記隔壁を形成する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記親液層に光を照射する工程をさらに含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項18】
請求項17に記載の電気配線の形成方法であって、
前記光の波長は、400nm以下であることを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記隔壁は、フッ素を含有する有機分子を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法であって、
前記隔壁の表面を、フルオロカーボン系の化合物を反応ガスに用いてプラズマ処理する工程を含むことを特徴とする、
電気配線の形成方法。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法を包含した配線基板の製造方法。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法を包含した電気光学素子の製造方法。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか一つに記載の電気配線の形成方法を包含した電子機器の製造方法。
【請求項24】
請求項21に記載の配線基板の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする配線基板。
【請求項25】
請求項24に記載の配線基板を備えることを特徴とする電気光学素子。
【請求項26】
請求項24に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−165422(P2006−165422A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357716(P2004−357716)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】