説明

電気錠制御装置

【課題】電気錠と電気錠制御盤との配線に誤配線が生じた場合であっても電気錠を正しく動作させることができる電気錠制御装置を提供する。
【解決手段】第1通電部54は、施錠端子と錠共通端子及び扉端子と扉共通端子が接続された状態で、各端子間に探査通電を行う。第1特定部56は、探査通電結果に基づいて接続された二対の端子を特定する。第2通電部58は、二対の端子以外の各端子間に駆動通電を行う。第2特定部60は、駆動通電により二対の端子のうち一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、駆動通電を行った両端子を一対のソレノイド端子に特定し、線間抵抗が変化した一対の端子のうち接続が解消された端子を施錠端子、接続が継続されている端子を錠共通端子、錠共通端子と新たに接続された端子を解錠端子に特定し、線間抵抗が変化しなかった一対の端子を扉端子及び扉共通端子に特定する。電気錠制御部62は、特定結果に基づいて電気錠を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯意識の高まりに伴い、建造物や部屋などの出入口扉に電気錠を設置するケースが増加している。このような電気錠は、一般的に、電気錠制御盤に複数の端子で配線されており、当該電気錠制御盤により施錠及び解錠の切り替えが行われることにより、出入口扉の開閉を可能にする。
【0003】
ところで、電気錠の各端子の配線色はメーカや機種毎に異なるため、現場で電気錠と電気錠制御盤とを配線する際に誤配線が生じてしまう場合があり、誤配線が生じた場合に配線をやり直すとなると電気錠の設置作業に大幅な時間を要することになる。
【0004】
ここで、例えば特許文献1には、カードリーダや電気錠(及び電気錠コントローラ)の追加や削除に伴う誤配線を防止することを目的として、各カードリーダからいずれの電気錠コントローラに解錠又は施錠のコマンドを送出するかを設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−81761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、カードリーダと電気錠コントローラとの誤配線を防止する技術であるため、このような技術を適用したとしても、電気錠と電気錠制御盤との誤配線を防止することはできず、電気錠を正しく動作させることはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電気錠と電気錠制御盤との配線に誤配線が生じた場合であっても電気錠を正しく動作させることができる電気錠制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる電気錠制御装置は、錠共通端子と、前記錠共通端子との接続により施錠状態を示す施錠端子と、前記錠共通端子との接続により解錠状態を示す解錠端子と、所定電圧で駆動電流を流す駆動通電によりソレノイドを駆動して少なくとも前記施錠端子と前記錠共通端子との接続を前記解錠端子と前記錠共通端子との接続に切り替える一対のソレノイド端子と、接続されている状態で扉が閉まっていることを示す扉端子及び扉共通端子とを、少なくとも有する電気錠を、制御する電気錠制御装置であって、前記施錠端子と前記錠共通端子とが接続されているとともに前記扉端子と前記扉共通端子とが接続されている状態で、各端子間に探査電流を流して探査通電を行う第1通電手段と、探査通電結果に基づいて、接続されている二対の端子を特定する第1特定手段と、前記二対の端子以外の各端子間に前記駆動通電を行う第2通電手段と、前記駆動通電により前記二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、前記駆動通電を行った両端子を前記一対のソレノイド端子に特定し、前記線間抵抗が変化した前記一対の端子のうち接続が解消された端子を前記施錠端子、接続が継続されている端子を前記錠共通端子、前記錠共通端子と新たに接続された端子を前記解錠端子に特定し、前記二対の端子のうち前記線間抵抗が変化しなかった一対の端子を前記扉端子及び前記扉共通端子に特定する第2特定手段と、前記第2特定手段の特定結果に基づいて、前記電気錠を制御する電気錠制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の他の態様にかかる電気錠制御装置は、共通端子と、前記共通端子と接続され、接続されている状態で施錠状態を示す施錠端子と、前記共通端子と対を成し、所定電圧で駆動電流を流す駆動通電によりソレノイドを駆動して少なくとも前記施錠端子と前記共通端子との接続の有無を切り替えるソレノイド端子と、前記共通端子と接続され、接続されている状態で扉が閉まっていることを示す扉端子とを、少なくとも有する電気錠を、制御する電気錠制御装置であって、前記施錠端子と前記共通端子とが接続されているとともに前記扉端子と前記共通端子とが接続されている状態で、各端子間に探査電流を流して探査通電を行う第1通電手段と、探査通電結果に基づいて、接続されている二対の端子を特定する第1特定手段と、前記二対の端子以外の端子間に前記駆動通電を行う第2通電手段と、前記駆動通電により前記二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、前記駆動通電を行った両端子のうち前記共通端子ではない端子を前記ソレノイド端子に特定し、前記線間抵抗が変化した前記一対の端子のうち前記共通端子ではない端子を前記施錠端子に特定し、前記二対の端子のうち前記線間抵抗が変化しなかった一対の端子のうち前記共通端子ではない端子を前記扉端子に特定する第2特定手段と、前記第2特定手段の特定結果に基づいて、前記電気錠を制御する電気錠制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気錠と電気錠制御盤との配線に誤配線が生じた場合であっても電気錠を正しく動作させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態の警備システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態の電気錠の端子構成例を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の電気錠制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施形態の電気錠制御装置の処理例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、変形例の電気錠の端子構成例を示す図である。
【図6】図6は、変形例の電気錠の端子構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる電気錠制御装置の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
まず、本実施形態の電気錠制御装置を含む警備システムの構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の警備システム10の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、警備システム10は、電気錠20と、操作機40と、電気錠制御装置50と、警備制御装置70と、監視センタ80とを、備える。電気錠20、操作機40、電気錠制御装置50、及び警備制御装置70は、監視対象となる監視先(例えば、オフィス)に設置されており、電気錠20、操作機40、及び警備制御装置70が、電気錠制御装置50に接続されている。監視センタ80は、警備制御装置70を用いて監視先の監視を行うシステムであり、ネットワーク11を介して警備制御装置70と接続されている。ネットワーク11は、有線であっても無線であってもよく、例えば、インターネットなどの公衆通信回線により実現できる。なお、警備システム10が備える各装置の接続形態はこれに限定されるものではない。
【0014】
電気錠20は、監視先である建造物や部屋などの出入口における扉15に設置されており、後述の電気錠制御装置50に複数の端子で配線され、当該電気錠制御装置50の制御の下、扉15の開閉を可能にする。電気錠20は、通電を行う毎に施錠・解錠を切り替えるモータ錠や瞬時通電型の電気錠であってもよいし、通電時に解錠する通電時解錠型の電気錠であってもよい。但し、詳細は後述するが、本実施形態の電気錠20は、扉15に設置された際の初期状態が閉扉及び施錠状態であることを想定しているため、通電時に施錠する通電時施錠型の電気錠は対象外となっている(初期状態が閉扉及び解錠状態となってしまうため)。
【0015】
図2は、本実施形態の電気錠20の端子構成の一例を示す図である。図2に示すように、電気錠20は、SOL1端子21と、SOL2端子22と、解錠アンサ端子23と、錠COM端子24と、施錠アンサ端子25と、扉COM端子26と、扉アンサ端子27と、端子28と、端子29と、ソレノイド30とを、有する。
【0016】
錠COM端子24(錠共通端子の一例)は、解錠アンサ端子23又は施錠アンサ端子25と共通に用いられる端子である。解錠アンサ端子23(解錠端子の一例)は、錠COM端子24とメイク(接続)することで解錠状態を示す。施錠アンサ端子25(施錠端子の一例)は、錠COM端子24とメイク(接続)することで施錠状態を示す。なお、解錠アンサ端子23と錠COM端子24とがメイクしている場合、施錠アンサ端子25と錠COM端子24とはブレイクしており(接続されておらず)、施錠アンサ端子25と錠COM端子24とがメイクしている場合、解錠アンサ端子23と錠COM端子24とはブレイクしている(接続されていない)。
【0017】
SOL1端子21及びSOL2端子22(一対のソレノイド端子の一例)は、所定電圧で駆動電流を流す駆動通電によりソレノイド30を駆動して、解錠アンサ端子23と錠COM端子24との接続(解錠状態)及び施錠アンサ端子25と錠COM端子24との接続(施錠状態)の少なくとも一方を切り替える。なお、錠端子の状態が切り替わる場合(メイクからブレイク、又はブレイクからメイク)、錠端子の端子間の線間抵抗が変化する。
【0018】
また、SOL1端子21及びSOL2端子22への通電手法は、モータ錠、瞬時通電型、又は通電時解錠型などの電気錠の種類により異なる。例えば、モータ錠や有極の瞬時通電型の電気錠は、SOL1端子21に通電することにより施錠又は解錠の一方が行われ、SOL2端子22に通電することにより他方が行われる。また例えば、無極の瞬時通電型の電気錠は、SOL1端子21又SOL2端子22のいずれか一方に通電する毎に施解錠を切り替える。また例えば、通電時解錠型の電気錠は、SOL1端子21又SOL2端子22のいずれか一方に通電している間解錠される。
【0019】
扉COM端子26(扉共通端子の一例)及び扉アンサ端子27(扉端子の一例)は、扉15の開閉状態を示し、扉15が閉まっている場合にメイク(接続)し、扉15が開いている場合にブレイク(接続を解消)する。なお本実施形態では、端子28及び端子29は使用しないが、電気錠では、9本の端子をまとめたコネクタが一般的であるため、図示している。
【0020】
図1に戻り、操作機40は、非接触ICカードやICタグなどの鍵からIDを読み取って、後述の電気錠制御装置50に送信する。操作機40は、例えば、カードリーダなどにより実現できる。なお、操作機40は、電気錠制御装置50と一体的に実現してもよい。
【0021】
電気錠制御装置50は、電気錠20を制御して、扉15の開閉を制御する。例えば、電気錠制御装置50は、操作機40から受信したIDの照合(認証)を行い、照合に成功した場合に、電気錠20の施錠又は解錠を行い、扉15の開閉を制御する。
【0022】
特に本実施形態では、電気錠制御装置50は、電気錠20が扉15に設置され運用が開始される前段階で、電気錠20の各端子がいずれの端子であるかを特定する制御を行う。本実施形態では、このように電気錠20の各端子を特定できるため、電気錠制御装置50の接点と電気錠20の各端子との配線に誤配線が生じている場合であっても誤配線を考慮して(配線に従うのではなく、特定された端子に合わせて)電気錠20を制御することにより、電気錠20を正しく動作させることができる。なお本実施形態では、電気錠20の各端子を特定する制御を行うための前提条件が、扉15に設置された際の初期状態が閉扉及び施錠状態であることであるため、前述したように通電時施錠型の電気錠は対象外となっている。
【0023】
電気錠制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを有するチップセットなどを備えた制御盤により実現できる。また、電気錠制御装置50には図示せぬ電源から電力が供給されており、電気錠制御装置50から電気錠20の各端子への通電や電圧を印加することが可能になっている。
【0024】
図3は、本実施形態の電気錠制御装置50の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、電気錠制御装置50は、記憶部51と、第1通電部54と、第1特定部56と、第2通電部58と、第2特定部60と、電気錠制御部62と、判定部64と、報知部66と、送信部68とを、備える。
【0025】
記憶部51は、電気錠制御装置50で実行される各種プログラムや電気錠制御装置50で行われる各種処理に使用される各種情報などを記憶する。記憶部51は、例えば、ROMやRAM(Random Access Memory)などのメモリにより実現できる。記憶部51は、配線情報記憶部52を含む。なお、配線情報記憶部52の詳細については後述する。
【0026】
第1通電部54は、施錠アンサ端子25と錠COM端子24とがメイクされているとともに、扉COM端子26と扉アンサ端子27とがメイクされている状態、即ち、閉扉及び施錠状態で、各端子間に探査電流を流して探査通電を行う。この探査通電は、電気錠20の複数の端子のうちメイクされている端子を特定する目的で行われる。
【0027】
第1特定部56は、第1通電部54の探査通電結果に基づいて、メイクされている二対の端子を特定する。なお、メイクされている二対の端子は、施錠アンサ端子25及び錠COM端子24の対と、扉COM端子26及び扉アンサ端子27の対であるが、この段階では、いずれの対であるかは判別できない。
【0028】
第2通電部58は、二対の端子以外の各端子間に所定電圧(例えば、24V)でソレノイド30を駆動する駆動電流を流す駆動通電を行う。この駆動通電は、ソレノイド30を駆動させることにより、施錠アンサ端子25と錠COM端子24とをブレイクし、解錠アンサ端子23と錠COM端子24とをメイクする目的で行われる。
【0029】
第2特定部60は、駆動通電により二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、駆動通電を行った両端子をSOL1端子21及びSOL2端子22に特定する。また第2特定部60は、線間抵抗が変化した一対の端子のうちブレイクした端子を施錠アンサ端子25、メイクが継続されている端子を錠COM端子24、錠COM端子24と新たにメイクされた端子を解錠アンサ端子23に特定する。また第2特定部60は、二対の端子のうち線間抵抗が変化しなかった一対の端子を扉COM端子26と扉アンサ端子27に特定する。これにより、電気錠20の各端子がいずれの端子であるかを特定できる。
【0030】
電気錠制御部62は、第2特定部60による特定結果に基づいて、電気錠20を制御する。例えば、電気錠制御部62は、電気錠制御装置50の接点と電気錠20の各端子との配線に誤配線が生じている場合であっても誤配線を考慮して(配線に従うのではなく、特定された端子に合わせて)電気錠20を制御する。これにより、電気錠制御装置50と電気錠20との間に誤配線が生じている場合であっても電気錠を正しく動作させることができる。
【0031】
ここで、配線情報記憶部52について説明する。配線情報記憶部52は、電気錠制御装置50の各接点に電気錠20のいずれの端子が配線されるかを示す配線情報を記憶する。
つまり、配線情報記憶部52は、配線情報として、電気錠制御装置50と電気錠20との間の正常配線を示す情報を記憶する。
【0032】
判定部64は、電気錠制御装置50の各接点及び電気錠20の各端子との配線と、配線情報記憶部52の配線情報が示す配線とが、一致するか否かを判定する。
【0033】
報知部66は、判定部64により一致しないと判定された場合に、誤配線である旨を報知する。報知部66は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、又は警報機などにより実現でき、誤配線である旨を表示報知、音声報知、又は視覚報知する。
【0034】
送信部68は、判定部64により一致しないと判定された場合に、誤配線である旨を示す報知信号を警備制御装置70に送信して、報知させる。送信部68は、例えば、通信インタフェースなどの既存の通信装置により実現できる。
【0035】
なお、電気錠制御装置50は、上述した各部の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。例えば図3の電気錠制御装置50では、報知部66による報知と送信部68による報知信号の送信との両方が行われているが、いずれか一方の構成を省略するようにしてもよい。
【0036】
図1に戻り、警備制御装置70は、警備モードを例えば警備状態及び警備解除状態の間で切り替え、警備モードに応じた警備動作を実行する。ここで、警備モードとは、監視領域において異常検知した際の通報先への通報の可否、又は監視領域内に対する報知の可否などを定めたモードであり、異常を検知したときの警備制御装置70の動作を決定するモードである。警備状態とは、警備を必要とする場合に設定する警備モードであり、図示せぬセンサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備制御装置70が受信した場合に、異常を知らせる警報を監視センタ80に通報する状態である。警備解除状態とは、警備を必要としない場合に設定する警備モードであり、図示せぬセンサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備制御装置70が受信した場合でも、監視センタ80への警報の通報、監視領域における異常の検知、通報先端末への異常の通報のいずれも行わない状態である。
【0037】
なお、警備制御装置70は、例えば、警備モードが警備状態である場合に、電気錠制御装置50に電気錠の解錠不許可命令を出力したり、警備モードが警備解除状態である場合に、電気錠制御装置50に電気錠の解錠許可命令を出力したりする。この場合、電気錠制御装置50は、警備モードが警備解除状態である場合のみ、電気錠20を解錠する制御を行う。また警備制御装置70は、電気錠制御装置50に対して、電気錠20の解錠/施錠命令を出力することもできる。
【0038】
監視センタ80は、警備制御装置70から通報を受信すると、警備員に監視先への出動を指示したり、必要に応じて警察や消防などの関係機関に通報したりする。また、監視センタ80は、警備制御装置70から誤配線である旨を示す報知信号を受信するようにして、誤配線が発生した監視先(警備契約先)において作業している作業員の無線携帯端末(図示省略)に対して、誤配線である旨を報知させるようにしてもよい。
【0039】
次に、本実施形態の警備システムの動作について説明する。
【0040】
図4は、本実施形態の電気錠制御装置50で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4に示す処理は、電気錠20が扉15に設置され運用が開始される前段階であって、施錠アンサ端子25と錠COM端子24とがメイクされているとともに、扉COM端子26と扉アンサ端子27とがメイクされている状態、即ち、閉扉及び施錠状態で行われるものとする。また、この段階では、電気錠20のSOL1端子21〜端子29はいずれも未知の端子であるため、ここでは、SOL1端子21〜端子29をそれぞれ端子A〜端子Iとして説明する。
【0041】
まず、第1通電部54は、端子A〜端子Iの各端子間に探査電流を流して探査通電を行う(ステップS100)。つまり、各端子が取りうるペアに対して探査通電を行う。
【0042】
続いて、第1特定部56は、探査通電結果に基づいて、メイクされている二対の端子を特定する(ステップS102)。ここでは、端子D及び端子Eと端子F及び端子Gとがメイクされていると特定されたものとする。
【0043】
続いて、第2通電部58は、二対の端子以外の各端子間に所定電圧でソレノイド30を駆動する駆動電流を流す駆動通電を行う(ステップS104)。つまり、端子A、B、C、H、Iが取りうるペアに対して駆動通電を行う。
【0044】
続いて、第2特定部60は、駆動通電により二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、駆動通電を行った両端子をSOL1端子21及びSOL2端子22に特定する(ステップS106)。ここでは、端子A及び端子Bに対する駆動通電により端子D及び端子Eの端子間の線間抵抗が変化したものとする。この場合、第2特定部60は、端子A及び端子BをSOL1端子21及びSOL2端子22に特定する。
【0045】
また第2特定部60は、線間抵抗が変化した一対の端子のうちブレイクした端子を施錠アンサ端子25、メイクが継続されている端子を錠COM端子24、錠COM端子24と新たに接続された端子を解錠アンサ端子23に特定する(ステップS106)。ここでは、端子Eがブレイクし、端子Dのメイクが継続され、端子Cが新たに端子Dとメイクされたものとする。この場合、第2特定部60は、端子C、端子D、端子Eをそれぞれ解錠アンサ端子23、錠COM端子24、施錠アンサ端子25に特定する。
【0046】
また第2特定部60は、二対の端子のうち線間抵抗が変化しなかった一対の端子を扉COM端子26と扉アンサ端子27に特定する(ステップS106)。ここでは、端子F及び端子Gの端子間の線間抵抗が変化しなかったものとする。この場合、第2特定部60は、端子F及び端子Gを扉COM端子26と扉アンサ端子27に特定する。
【0047】
続いて、電気錠制御部62は、第2特定部60による特定結果に基づいて、電気錠20を制御する(ステップS108)。例えば、電気錠制御部62は、電気錠制御装置50の接点と電気錠20の各端子との配線に従うのではなく、特定された端子に合わせて電気錠20を制御する。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、電気錠20が扉15に設置され運用が開始される前段階で、電気錠20の各端子がいずれの端子であるかを特定する制御を行うため、電気錠20の各端子を特定でき、電気錠制御装置50の接点と電気錠20の各端子との配線に誤配線が生じている場合であっても誤配線を考慮して(配線に従うのではなく、特定された端子に合わせて)電気錠20を制御することにより、電気錠20を正しく動作させることができる。
【0049】
また本実施形態によれば、電気錠制御装置50の接点と電気錠20の各端子との配線に誤配線が生じている場合に電気錠20を正しく動作させることに加え、誤配線である旨の報知や報知信号の送信を行うため、誤配線であることもユーザや警備員に知らせることもできる。
【0050】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、錠COM端子24と扉COM端子26とが別々の端子である例について説明したが、これに限定されるものではなく、図5に示すように、錠COM端子と扉COM端子とが同一端子(COM端子124)である電気錠120であってもよい。このようにすれば、上記実施形態では、錠COM端子24と扉COM端子26とを互いに区別することが出来なかったが、COM端子124と扉アンサ端子27とを区別して、電気錠を制御することができる(錠COM端子=扉COM端子となるため)。但し、錠COM端子24と扉COM端子26とが区別できずに問題となるのは、施錠及び開扉となった場合のみであるため、錠COM端子24と扉COM端子26とを互いに区別できなくても、大きな問題はない。また、図6に示すように、錠COM端子、扉COM端子、及びSOL2端子が同一端子(COM端子222)であり、解錠アンサ23を省略した電気錠220であってもよい。このようにすれば、端子の配線本数を減らすことができる。この場合、第2特定部は、駆動通電により二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、駆動通電を行った両端子のうちCOM端子222ではない端子をSOL1端子21に特定し、線間抵抗が変化した一対の端子のうちCOM端子222ではない端子を施錠アンサ端子25に特定し、二対の端子のうち線間抵抗が変化しなかった一対の端子のうちCOM端子222ではない端子を扉アンサ端子27に特定する。なお、第2特定部は、駆動通電を行った端子であって線間抵抗が変化した端子をCOM端子222に特定する。
【符号の説明】
【0051】
10 警備システム
11 ネットワーク
15 扉
20、120、220 電気錠
21 SOL1端子
22 SOL2端子
23 解錠アンサ端子
24 錠COM端子
25 施錠アンサ端子
26 扉COM端子
27 扉アンサ端子
28、29 端子
40 操作機
50 電気錠制御装置
51 記憶部
52 配線情報記憶部
54 第1通電部
56 第1特定部
58 第2通電部
60 第2特定部
62 電気錠制御部
64 判定部
66 報知部
68 送信部
70 警備制御装置
80 監視センタ
124、222 COM端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠共通端子と、前記錠共通端子との接続により施錠状態を示す施錠端子と、前記錠共通端子との接続により解錠状態を示す解錠端子と、所定電圧で駆動電流を流す駆動通電によりソレノイドを駆動して少なくとも前記施錠端子と前記錠共通端子との接続を前記解錠端子と前記錠共通端子との接続に切り替える一対のソレノイド端子と、接続されている状態で扉が閉まっていることを示す扉端子及び扉共通端子とを、少なくとも有する電気錠を、制御する電気錠制御装置であって、
前記施錠端子と前記錠共通端子とが接続されているとともに前記扉端子と前記扉共通端子とが接続されている状態で、各端子間に探査電流を流して探査通電を行う第1通電手段と、
探査通電結果に基づいて、接続されている二対の端子を特定する第1特定手段と、
前記二対の端子以外の各端子間に前記駆動通電を行う第2通電手段と、
前記駆動通電により前記二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、前記駆動通電を行った両端子を前記一対のソレノイド端子に特定し、前記線間抵抗が変化した前記一対の端子のうち接続が解消された端子を前記施錠端子、接続が継続されている端子を前記錠共通端子、前記錠共通端子と新たに接続された端子を前記解錠端子に特定し、前記二対の端子のうち前記線間抵抗が変化しなかった一対の端子を前記扉端子及び前記扉共通端子に特定する第2特定手段と、
前記第2特定手段の特定結果に基づいて、前記電気錠を制御する電気錠制御手段と、
を備えることを特徴とする電気錠制御装置。
【請求項2】
前記錠共通端子と前記扉共通端子とは、同一端子であることを特徴とする請求項1に記載の電気錠制御装置。
【請求項3】
共通端子と、前記共通端子と接続され、接続されている状態で施錠状態を示す施錠端子と、前記共通端子と対を成し、所定電圧で駆動電流を流す駆動通電によりソレノイドを駆動して少なくとも前記施錠端子と前記共通端子との接続の有無を切り替えるソレノイド端子と、前記共通端子と接続され、接続されている状態で扉が閉まっていることを示す扉端子とを、少なくとも有する電気錠を、制御する電気錠制御装置であって、
前記施錠端子と前記共通端子とが接続されているとともに前記扉端子と前記共通端子とが接続されている状態で、各端子間に探査電流を流して探査通電を行う第1通電手段と、
探査通電結果に基づいて、接続されている二対の端子を特定する第1特定手段と、
前記二対の端子以外の端子間に前記駆動通電を行う第2通電手段と、
前記駆動通電により前記二対の端子のうちいずれか一対の端子間の線間抵抗が変化した場合に、前記駆動通電を行った両端子のうち前記共通端子ではない端子を前記ソレノイド端子に特定し、前記線間抵抗が変化した前記一対の端子のうち前記共通端子ではない端子を前記施錠端子に特定し、前記二対の端子のうち前記線間抵抗が変化しなかった一対の端子のうち前記共通端子ではない端子を前記扉端子に特定する第2特定手段と、
前記第2特定手段の特定結果に基づいて、前記電気錠を制御する電気錠制御手段と、
を備えることを特徴とする電気錠制御装置。
【請求項4】
各接点に前記電気錠のいずれの端子が配線されるかを示す配線情報を記憶する配線情報記憶手段と、
前記各接点及び前記電気錠の各端子との配線と、前記配線情報が示す配線とが、一致するか否かを判定する判定手段と、
一致しないと判定された場合に、誤配線である旨を報知する報知手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気錠制御装置。
【請求項5】
各接点に前記電気錠のいずれの端子が配線されるかを示す配線情報を記憶する配線情報記憶手段と、
前記各接点及び前記電気錠の各端子との配線と、前記配線情報が示す配線とが、一致するか否かを判定する判定手段と、
一致しないと判定された場合に、誤配線である旨を示す報知信号を警備制御装置に送信して、誤配線である旨を報知させる送信手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気錠制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−214299(P2011−214299A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83079(P2010−83079)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】