説明

電気集塵装置および空気清浄機

【課題】空気中の塵埃を捕集する電気集塵装置に関して、より薄型化することを目的とする。
【解決手段】交互に配列された高圧電極1と集塵電極2の内、一部または全部の高圧電極1は放電電極を兼ねた共用放電電極3として構成し、かつ一部または全部の集塵電極2は対向電極を兼ねた共用対向電極4として構成した。これにより、帯電部と集塵部とが近接し合う構成となる。また高圧電極1、集塵電極2、共用対向電極4は、半導電性材料からなるので、各電極間に流れる電流が抑制され、各電極が互いに近接し合う構成であってもスパークはほとんど発生しない。したがって、より薄型化した電気集塵装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の塵埃を捕集する電気集塵装置およびそれを用いた空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気集塵装置は電極間でコロナ放電を発生させて塵埃を帯電させる帯電部と、この帯電部により帯電された塵埃をクーロン力で集塵板に付着させる集塵部とで構成される。
【0003】
基本的な電気集塵装置は、帯電部と集塵部とが分離配置しているため、装置の薄型化に課題があった。またこれらを構成する電極が別部材となるため、組み立て作業性が悪いという課題があった。これに対し、帯電部と集塵部との接地側の電極を共用化すると共に、それぞれの高圧側の電極同士を接続して装置の薄型化や組み立て作業の簡便化を実現した電気集塵装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その電気集塵装置について図3および図4を参照しながら説明する。図3は電気集塵装置の側面図、図4は斜視図である。
【0005】
電気集塵装置は、放電電極と対向電極との間でコロナ放電を発生させて空気中の塵埃を帯電させる帯電部と、この帯電部で帯電された塵埃を捕集する高圧電極と集塵電極とからなる集塵部とを備えたものであって、対向電極と集塵電極とを一体化した共用対向電極101を空気の流れに沿って平行に複数配列すると共に、これらの共用対向電極101間に平板状の半絶縁性樹脂からなる高圧電極102を配置し、この高圧電極102の上流側端部にその長手方向に沿って所定間隔毎に半絶縁性樹脂からなる複数の電極支持部103を設け、ワイヤーで構成される放電電極104を電極支持部103で支持し、共用対向電極101と対向するように配置している。
【0006】
共用対向電極101の高さをH1、高圧電極102の高さをH2とし、放電電極104はH1内に収まるように、電極支持部103の高さをH1と同程度に設定する。さらに集塵電極105の高さをH3とし、各電極の高さの関係がH1>H2>H3となるように設定する。ここで、H2>H3と設定し、放電電極104と集塵電極105の上端部との距離ΔHを設定した理由は、それらの電極間でスパークを発生させないためである。同様に、共用対向電極101と放電電極104との距離も、スパークが発生しないように適宜設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3702726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の電気集塵装置は、放電電極103や集塵電極105が金属等の導電材料からなるため、スパークを抑制するのに、放電電極104と集塵電極105の上端部との距離ΔHを設けたり、共用対向電極101と放電電極104との距離を適宜設定したりする必要があった。したがって、さらなる薄型化が困難という課題を有していた。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、より薄型化した電気集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、放電電極と対向電極とで構成され、前記放電電極と前記対向電極の間でコロナ放電を発生させて空気中の塵埃を帯電させる帯電部と、高圧電極と集塵電極とで構成され、前記帯電部で帯電された塵埃を捕集する集塵部とを備えた電気集塵装置において、前記高圧電極と前記集塵電極を交互に配列し、その交互に配列された前記高圧電極と前記集塵電極の内、一部または全部の前記高圧電極を前記放電電極と一体化した共用放電電極として構成し、かつ一部または全部の前記集塵電極を前記対向電極と一体化した共用対向電極として構成し、前記高圧電極、前記集塵電極、前記共用対向電極が半導電性材料からなることを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、交互に配列された高圧電極と集塵電極の内、一部または全部の高圧電極を放電電極と一体化した共用放電電極として構成し、かつ一部または全部の集塵電極を対向電極と一体化した共用対向電極として構成したので、帯電部と集塵部とが近接し合う構成となる。また高圧電極、集塵電極、共用対向電極が半導電性材料からなるので、各電極間に流れる電流が抑制され、各電極が互いに近接し合う構成(例えば電極間の距離が数mm)であってもスパークはほとんど発生しない。したがって、より薄型化した電気集塵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の電気集塵装置を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態2の電気集塵装置の共用対向電極を示す上面図
【図3】従来の電気集塵装置を示す側面図
【図4】同斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、放電電極と対向電極とで構成され、前記放電電極と前記対向電極の間でコロナ放電を発生させて空気中の塵埃を帯電させる帯電部と、高圧電極と集塵電極とで構成され、前記帯電部で帯電された塵埃を捕集する集塵部とを備えた電気集塵装置において、前記高圧電極と前記集塵電極を交互に配列し、その交互に配列された前記高圧電極と前記集塵電極の内、一部または全部の前記高圧電極を前記放電電極と一体化した共用放電電極として構成し、かつ一部または全部の前記集塵電極を前記対向電極と一体化した共用対向電極として構成し、前記高圧電極、前記集塵電極、前記共用対向電極が半導電性材料からなることを特徴とする電気集塵装置である。
【0014】
装置の動作、作用を以下に記載する。
【0015】
電気集塵装置に塵埃を含む空気を流通させる。空気の流れ上流の帯電部において、共用放電電極と共用対向電極との間でコロナ放電を発生させて、空気中の塵埃を帯電させる。下流の集塵部において、高圧電極と集塵電極との間で電界を発生させて、帯電した塵埃をクーロン力で電極に付着させる。
【0016】
本発明の効果を以下に記載する。
【0017】
一部または全部の高圧電極を放電電極と一体化した共用放電電極として構成し、かつ一部または全部の集塵電極を対向電極と一体化した共用対向電極として構成したので、帯電部と集塵部とが近接し合う構成となる。また、高圧電極、集塵電極、共用対向電極が半導電性材料からなるので、各電極間に流れる電流が抑制され、各電極が互いに近接し合う構成(例えば電極間の距離が数mm)であってもスパークはほとんど発生しなくなり、また半導電性材料を通じて帯電した塵埃の電荷は接地されており中和され、電界強度が維持され、適切な電界の形成を妨げないので、集塵性能、集塵効率が維持され、集塵性能の低下を招かない。したがって、より薄型化した電気集塵装置を提供することができる。
【0018】
また、電極の一体化によって部品数が減るので、装置の組み立て作業性の向上や、製造コストの低減が可能になる。
【0019】
本発明の請求項2に記載の発明は、共用放電電極と共用対向電極との間に、高圧電極と集塵電極とを1組以上配置したことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置である。
【0020】
適切に塵埃を帯電させるためには、共用放電電極または共用対向電極に電圧V1(V)を印加し、必要な電流値A(A)のコロナ放電を発生させなければならない。同時に、効果的に塵埃を捕集するためには、高圧電極または集塵電極に電圧V2(V)を印加し、必要な大きさの電界E(V/m)を発生させなければならない。本発明の電気集塵装置を、共用放電電極と共用対向電極とだけで構成することは可能だが、使用条件や要求される性能によって、必要な電圧V1と電圧V2とが一致するとは限らない。この場合、好適な電流値Aと電界Eとを同時に実現するには、帯電部の極間と集塵部の極間を別々に設定するのが簡単な手段であり、具体的には共用放電電極と共用対向電極との間に、高圧電極と集塵電極とを1組以上配置すればよい。
【0021】
本発明の請求項3に記載の発明は、共用放電電極が、空気の流れ上流側に突出した鋸刃状の突起を設けた金属平板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気集塵装置である。
【0022】
従来の放電電極として、タングステン等からなるワイヤー状の電極がある。しかしワイヤー状の電極は常に張力が加わっているので、切断のおそれがある。放電電極を、鋸刃状の突起を設けた金属平板とすればそのような破損の可能性を低減できる。材料としてはSUS等を使用すればよい。
【0023】
本発明の請求項4に記載の発明は、高圧電極、集塵電極、共用対向電極の表面抵抗率が、10の7〜12乗Ω/□オーダーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0024】
各電極は空気を介して互いに接触しない構造なので、基本的に電極間で電荷の移動は起こらない。したがって各電極が、高圧電源から電極表面に速やかに電荷を与えられる表面抵抗率、すなわち10の12乗Ω/□オーダー以下の表面抵抗率であれば、電極間に電界を発生させることができる。また、例えば電極表面に塵埃が付着、堆積して電極間距離が局所的に小さくなった場合、スパークが発生するおそれがある。これは電極に与えられた電荷が空気というギャップを飛び越えて、対向する電極に急激に移動することによって引き起こされる。ここで、電極の表面抵抗率が10の7乗Ω/□以上であれば、電極表面の電荷の移動を制限することができ、スパークを防止することができる。したがって、高圧電極、集塵電極、共用対向電極の表面抵抗率を、10の7〜12乗Ω/□オーダーとすることで、電界を発生させて塵埃を捕集すると同時にスパークを防止することが可能になる。
【0025】
なお本発明では、共用放電電極が金属等の導電体からなる場合があるが、その近傍に配置される各電極が上記表面低効率を有しているので、金属の共用放電電極と集塵電極または共用対向電極との間のスパークを防止できる。
【0026】
本発明の請求項5に記載の発明は、高圧電極、集塵電極、共用対向電極が、半導電性材料を含有する樹脂平板からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0027】
半導電性材料を練り込んだ樹脂で平板を形成することで、適切な表面抵抗率を有する高圧電極、集塵電極、共用対向電極が得られる。
【0028】
本発明の請求項6に記載の発明は、樹脂平板に含有させる半導電性材料が、樹脂平板の材料となっているポリマーと親水性ポリマーとが交互に配列したブロックコポリマーであることを特徴とする請求項5に記載の電気集塵装置である。
【0029】
例えばポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィンを樹脂平板の材料(以下、ベース樹脂と記載)として用いる場合、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に繰り返されるように配列したブロックコポリマーを半導電性材料として用いれば、ベース樹脂との相溶性が良く、相溶化剤を使わずにベース樹脂中に微分散できる。他のベース樹脂に対して相溶性を確保する場合、例えばベース樹脂にポリアミドを用いるときは、上記ポリオレフィンのブロックをポリアミドのブロックに置き換えればよい。
【0030】
ここで半導電性を与えるのは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等の親水基を持つ親水性ポリマーのブロックである。この親水基に結合した水分が乖離してOH−とH+とになり、電荷を持つこれらのイオンが親水性ポリマーのブロックを伝わることで、適切な表面抵抗率(例えば10の7〜12乗Ω/□オーダー)となり得る。ベース樹脂、例えばポリオレフィンには半導電性がないが、ブロックコポリマー同士がベース樹脂中で接触しているため、あるブロックコポリマー中の親水性ポリマーブロックを伝わる電荷が、接触する別のブロックコポリマー中の親水性ポリマーブロックに伝わることで、樹脂全体が半導電性を有する。
【0031】
また、親水性ポリマーとしてポリエチレングリコールやポリアセタールといったポリエーテルを用いると、低湿度環境においても半導電性が得られる。ポリエーテルは主鎖に炭素と酸素のエーテル結合(ポリエチレングリコールであれば(−C−C−O−)n、ポリアセタールであれば(−C−O−)n)を規則的かつ連続的に有する。エーテル結合は炭素と酸素の電気陰性度の差により電気的な偏りがあり、酸素は正の電荷を、炭素は負の電荷を引き寄せる。このため極性分子である水を引き寄せるが、あくまで電気的引力によるものであるから、電界によって炭素鎖上を簡単に移動する。すなわちポリエーテルはエーテル結合が連続する主鎖が電荷の伝わる導電路となるため、電荷を容易に伝えることができる。したがって低湿度環境でも半導電性を得ることができる。また、金属イオン等その他の電荷も主鎖を伝わって移動させることが可能であり、湿度に依存せずに適切な表面抵抗率の半導電性を得ることができる。
【0032】
本発明の請求項7に記載の発明は、ブロックコポリマーがアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の電気集塵装置である。
【0033】
上記の通りポリエーテルは金属イオンを容易に伝えることが可能である。リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属は、金属の中では質量が小さく、かつイオン化し易い。そのため樹脂中を移動させる電荷として有用であり、ベース樹脂中のブロックコポリマーの含有率を小さくしても容易に適切な表面抵抗率(例えば10の7〜12乗Ω/□オーダー)となり得る。
【0034】
本発明の請求項8に記載の発明は、高圧電極、集塵電極、共用対向電極が、絶縁性基板に半導電性材料の薄膜を設けた平板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0035】
電極間に電界を発生させるためには、印加電圧に相当する電荷が電極の表面に存在すればよい。すなわち電極全体が半導電性である必要はなく、表面のみが半導電性であればよい。電極を絶縁性基板に半導電性材料の薄膜を設けた平板とすることで、薄膜が電界を形成する機能を担い、基板が電極に剛性を与える機能を担う。これにより、たわみによって電極同士の間隔が不均一になる、電極同士が接触する、等の問題を防ぐことができる。
【0036】
本発明の請求項9に記載の発明は、絶縁性基板がセラミックスからなることを特徴とする請求項8に記載の電気集塵装置である。
【0037】
これにより電極に高い剛性を与えることができる。またセラミックスは耐熱性、耐食性に優れているので、絶縁性基板の材料として好ましい。セラミックスとしては酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム等を使用すればよい。
【0038】
本発明の請求項10に記載の発明は、半導電性材料が、イオン導電性ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0039】
これにより、周囲の湿度に依存せず電極に適切な半導電性を与えることができる。イオン導電性ポリマーには、上記請求項6または7に記載のポリマーの他に、4級アンモニウム塩を分子構造中に有するポリマー等が挙げられる。4級アンモニウム塩はプラスの電荷を帯びており、そこに塩素イオン等の陰イオンがイオン結合した構造となっている。これによりイオン導電性を有し、わずかに電荷を通す性質を有する。
【0040】
本発明の請求項11に記載の発明は、半導電性材料が、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体であることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0041】
酸化スズや、酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体は、酸やアルカリに溶けにくく化学的に安定である。またその導電性は格子欠陥や自由電子に由来している。したがって、これらを半導電性材料として用いることによって、化学的に安定で、かつ導電性が湿度等の影響を受けにくい半導電性の電極を得ることができる。
【0042】
本発明の請求項12に記載の発明は、半導電性材料が、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0043】
電極の半導電性は、半導電性材料同士が接触している表面を電荷が伝わることで得られる。すなわち、使用する半導電性材料は必ずしもその内部に導電性を有している必要はなく、その表面が導電性を有していればよい。例えば、安価な酸化チタンを担体として、その表面に酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した粒子を半導電性材料として用いることにより、酸化スズや固溶体の使用量を低減できるため、コストを削減することが可能になる。
【0044】
本発明の請求項13に記載の発明は、半導電性材料の薄膜が、半導電性材料を含む塗料をスクリーン印刷法で絶縁性基板に塗布して形成されたことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0045】
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリルポリオール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等を、適度な粘度となるようにシクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒に溶解させたものは、スクリーン印刷法における樹脂系インクとして一般的である。これに上記半導電性材料、例えばアンチモンドープ酸化スズ、またはこれを担持した酸化チタンの粒子を混合し、スクリーン印刷用の半導電性塗料として用いることができる。
【0046】
所定のパターンを有し、パターンの部分は塗料を通過させるスクリーンを絶縁性基板に当てて、パターンが設けられた部分から塗料を押出して基板に印刷することで、基板上に半導電性材料の薄膜を形成することができる。膜の形状はスクリーンに設けられたパターンによるため、任意の形状の膜を簡単に形成することができる。また、スクリーン印刷法は膜厚みが均一で寸法精度の高い印刷面が得られるため、高精細な薄膜(半導電性の面)を形成することができる。
【0047】
本発明の請求項14に記載の発明は、半導電性材料の薄膜が、半導電性材料とアルカリ金属を含まないガラス粒子とを含む塗料を絶縁性基板に塗布し、ガラスが融解する温度で加熱処理して形成されたことを特徴とする請求項8、9、11乃至13のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0048】
すなわち、膜を形成するバインダ成分として、珪素、アルミニウム、ニオブ、カルシウム等の酸化物からなるガラス粒子を採用した。
【0049】
例えば、ガラス粒子と、有機溶剤と、高い粘度を得るためのエチルセルロースと、アンチモンドープ酸化スズ粒子と、を混合した半導電性塗料を用いて、スクリーン印刷法で絶縁性基板上にパターンを印刷する。次に、ガラス粒子が融解する温度(例えば800℃以上)で加熱処理して、半導電性の薄膜を形成する。この時、エチルセルロースは350℃前後で燃焼するため薄膜中には含まれない。したがって膜は全て無機物からなり、化学的に安定なものとなる。なお、アルカリ金属はガラスの融点を低下させる効果があるものの、アルカリ性洗剤等のアルカリ性溶液に溶けたり、また質量が小さいため放電による電荷移動等の影響を受けて膜中で移動したりする。このような性質は膜の化学的構造を脆くするおそれがあるので、本発明の薄膜を形成する際にはアルカリ金属を含まないことが好ましい。
【0050】
また、ガラス粒子が融解する温度で加熱処理するため、請求項9に記載のように耐熱性を有するセラミックスを基板として用いる必要がある。例えば、酸化アルミニウムの基板は高い絶縁性と1500℃以上の高い耐熱性を有しているため、ガラス粒子をバインダ成分として薄膜を形成する基板に適している。
【0051】
本発明の請求項15に記載の発明は、共用対向電極の空気の流れ上流側端部近傍に、接地された導電部を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電気集塵装置である。
【0052】
例えば共用放電電極として、鋸刃状の突起を設けた金属平板を使う場合を考える。共用対向電極は少なくとも表面が半導電性を有するため、放電は発生するものの、電荷の移動は抑制される。ここで、表面の一部に導電部があると、放電電流はできるだけその近くに向かうと考えられる。対向電極の空気の流れ上流側端部近傍に導電部を設けることで、放電電極のどの突起からも一定方向に、より均一に放電させることができる。これにより効果的に塵埃を帯電させることができる。
【0053】
本発明の請求項16に記載の発明は、導電部が絶縁性材料によって覆われていることを特徴とする請求項15に記載の電気集塵装置である。
【0054】
これにより、放電電極と導電部との間、または放電電極と導電部近傍の対向電極表面との間に生じるスパークを防止することができる。
【0055】
本発明の請求項17に記載の発明は、空気の流れ上流側にサイクロン集塵装置を備え、下流側に請求項1乃至16のいずれかに記載の電気集塵装置を備えたことを特徴とする空気清浄機である。
【0056】
一般に電気集塵装置は1μm以下と言った微細な塵埃に対しても高い集塵効率を発揮できる。しかし、実際の環境で使用する場合、例えば外気を浄化して屋内に供給する用途に使用する場合、空気中には粗大な塵埃や虫等が含まれるため、電極間に塵埃等が架橋して短絡したり、適切な動作(好適な放電の発生や電界の形成)を妨げたりするおそれがあった。またこの対策として、目の粗いプレフィルタを装置上流に備えると、プレフィルタが目詰まりして適切な風量が確保できなくなる、ユーザーが定期的に掃除しなければならない、等の課題が生じる。本発明の電気集塵装置とサイクロン集塵装置とを組み合わせることで、大小様々な塵埃を対象に除塵可能で、メンテナンス性にも優れ、全体の構成も小型な空気清浄機が提供できる。
【0057】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0058】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の電気集塵装置の斜視図である。
【0059】
実施の形態1の電気集塵装置の構成を説明する。
【0060】
交互に配列された高圧電極1と集塵電極2の内、一部の高圧電極1は放電電極を兼ねた共用放電電極3として構成し、かつ一部の集塵電極2は対向電極を兼ねた共用対向電極4として構成した。また、共用放電電極3と共用対向電極4との間に、高圧電極1と集塵電極2とを1組以上配置した。
【0061】
共用放電電極3は、空気の流れ上流側に突出した鋸刃状の突起を設けた金属平板である。
【0062】
高圧電極1、集塵電極2、共用対向電極4は、半導電性材料を含有する樹脂平板であり、これらの表面抵抗率は10の7〜12乗Ω/□オーダーである。樹脂平板に含有させる半導電性材料には、樹脂平板の材料となっているポリマーと親水性ポリマーとが交互に配列したブロックコポリマー等を使用すればよい。
【0063】
実施の形態1の電気集塵装置の作用を説明する。
【0064】
高圧電源(図示せず)によって高圧電極1および共用放電電極3に高電圧を印加する。また集塵電極2および共用対向電極4は接地する。これにより、共用放電電極3の突起と共用対向電極4との間でコロナ放電が発生する。同時に、高圧電極1または共用放電電極3と、集塵電極2または共用対向電極4と、の間に電界が形成される。
【0065】
送風手段(図示せず)によって装置に塵埃を含む空気を流通させると、空気の流れ上流側で、共用放電電極3と共用対向電極4との間のコロナ放電によって、空気中の塵埃が帯電する。帯電した塵埃には、空気の流れ下流側で、高圧電極1または共用放電電極3と、集塵電極2または共用対向電極4と、の間の電界によってクーロン力が作用し、集塵電極2または共用対向電極4に引き付けられて付着する。
【0066】
以上の作用によって空気中の塵埃は除去される。
【0067】
実施の形態1の電気集塵装置の効果を説明する。
【0068】
一部の高圧電極1を放電電極と一体化した共用放電電極3として構成し、かつ一部の集塵電極2を対向電極と一体化した共用対向電極4として構成したので、帯電部と集塵部とが近接し合う構成となる。また高圧電極1、集塵電極2、共用対向電極4が半導電性材料からなるので、各電極間に流れる電流が抑制され、各電極が互いに近接し合う構成(例えば電極間の距離が数mm)であってもスパークはほとんど発生しなくなり、火花放電が発生しない構成となり、また、半導電性材料を通じて帯電した塵埃の電荷は接地されており中和され、電界強度が維持され、適切な電界の形成を妨げないので、集塵性能、集塵効率が維持され、集塵性能の低下を招かない。したがって、より薄型化した電気集塵装置を提供することができる。また、電極の一体化によって部品数が減るので、装置の組み立て作業性の向上や、製造コストの低減が可能になる。
【0069】
また、適切に塵埃を帯電させるためには、共用放電電極3または共用対向電極4に電圧V1(V)を印加し、必要な電流値A(A)のコロナ放電を発生させなければならない。同時に、効果的に塵埃を捕集するためには、高圧電極1または集塵電極2に電圧V2(V)を印加し、必要な大きさの電界E(V/m)を発生させなければならない。本発明の電気集塵装置を、共用放電電極3と共用対向電極4とだけで構成することは可能だが、使用条件や要求される性能によって、必要な電圧V1と電圧V2とが一致するとは限らない。この場合、好適な電流値Aと電界Eとを同時に実現するには、帯電部の極間と集塵部の極間を別々に設定するのが簡単な手段であり、具体的には共用放電電極3と共用対向電極4との間に、高圧電極1と集塵電極2とを1組以上配置すればよい。
【0070】
また、従来の放電電極として、タングステン等からなるワイヤー状の電極がある。しかしワイヤー状の電極は常に張力が加わっているので、切断のおそれがある。共用放電電極3を、鋸刃状の突起を設けた金属平板としたので、そのような破損の可能性を低減できる。材料としてはSUS等を使用すればよい。
【0071】
電極の半導電性について詳細に説明する。
【0072】
各電極は空気を介して互いに接触しない構造なので、基本的に電極間で電荷の移動は起こらない。したがって各電極が、高圧電源から電極表面に速やかに電荷を与えられる表面抵抗率、すなわち10の12乗Ω/□オーダー以下の表面抵抗率であれば、電極間に電界を発生させることができる。また、例えば電極表面に塵埃が付着、堆積して電極間距離が局所的に小さくなった場合、スパークが発生するおそれがある。これは電極に与えられた電荷が空気というギャップを飛び越えて、対向する電極に急激に移動することによって引き起こされる。ここで、電極の表面抵抗率が10の7乗Ω/□以上であれば、電極表面の電荷の移動を制限することができ、スパークを防止することができる。したがって、高圧電極1、集塵電極2、共用対向電極4の表面抵抗率を、10の7〜12乗Ω/□オーダーとすることで、電界を発生させて塵埃を捕集すると同時にスパークを防止することが可能になる。なお実施の形態1では、共用放電電極3が金属からなるが、その近傍に配置される各電極が上記表面低効率を有しているので、金属の共用放電電極3と集塵電極2または共用対向電極4との間のスパークを防止できる。
【0073】
上記の表面抵抗率、すなわち半導電性、を有する電極を得る手段として、半導電性材料を練り込んだ樹脂で平板を形成することが考えられる。樹脂に練り込む半導電性材料としては、樹脂平板の材料となっているポリマーと親水性ポリマーとが交互に配列したブロックコポリマーを使用すればよい。
【0074】
例えばポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィンを樹脂平板の材料(以下、ベース樹脂と記載)として用いる場合、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとが交互に繰り返されるように配列したブロックコポリマーを半導電性材料として用いれば、ベース樹脂との相溶性が良く、相溶化剤を使わずにベース樹脂中に微分散できる。他のベース樹脂に対して相溶性を確保する場合、例えばベース樹脂にポリアミドを用いるときは、上記ポリオレフィンのブロックをポリアミドのブロックに置き換えればよい。
【0075】
ここで半導電性を与えるのは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等の親水基を持つ親水性ポリマーのブロックである。この親水基に結合した水分が乖離してOH−とH+とになり、電荷を持つこれらのイオンが親水性ポリマーのブロックを伝わることで、10の7〜12乗Ω/□オーダーの表面抵抗率となり得る。ベース樹脂、例えばポリオレフィンには半導電性がないが、ブロックコポリマー同士がベース樹脂中で接触しているため、あるブロックコポリマー中の親水性ポリマーブロックを伝わる電荷が、接触する別のブロックコポリマー中の親水性ポリマーブロックに伝わることで、樹脂全体が半導電性を有する。
【0076】
また、親水性ポリマーとしてポリエチレングリコールやポリアセタールといったポリエーテルを用いると、低湿度環境においても半導電性が得られる。ポリエーテルは主鎖に炭素と酸素のエーテル結合(ポリエチレングリコールであれば(−C−C−O−)n、ポリアセタールであれば(−C−O−)n)を規則的かつ連続的に有する。エーテル結合は炭素と酸素の電気陰性度の差により電気的な偏りがあり、酸素は正の電荷を、炭素は負の電荷を引き寄せる。このため極性分子である水を引き寄せるが、あくまで電気的引力によるものであるから、電界によって炭素鎖上を簡単に移動する。すなわちポリエーテルはエーテル結合が連続する主鎖が電荷の伝わる導電路となるため、電荷を容易に伝えることができる。したがって低湿度環境でも半導電性を得ることができる。また、金属イオン等その他の電荷も主鎖を伝わって移動させることが可能であり、湿度に依存せずに適切な表面抵抗率の半導電性を得ることができる。
【0077】
ここで、金属イオンを電荷としたい場合、ブロックコポリマーがアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むとよい。リチウム、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムといったアルカリ土類金属は、金属の中では質量が小さく、かつイオン化し易い。そのため樹脂中を移動させる電荷として有用であり、ベース樹脂中のブロックコポリマーの含有率を小さくしても容易に適切な表面抵抗率となり得る。
【0078】
上記有機物の半導電性材料と異なり、無機物の材料としては、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体が挙げられる。これらは酸やアルカリに溶けにくく、化学的に安定である。またその導電性は格子欠陥や自由電子に由来している。したがって、これらを半導電性材料として用いることによって、化学的に安定で、かつ導電性が湿度等の影響を受けにくい半導電性の電極を得ることができる。
【0079】
また、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した酸化チタンでもよい。電極の半導電性は、半導電性材料同士が接触している表面を電荷が伝わることで得られる。すなわち、使用する半導電性材料は必ずしもその内部に導電性を有している必要はなく、その表面が導電性を有していればよい。例えば、安価な酸化チタンを担体として、その表面に酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した粒子を半導電性材料として用いることにより、酸化スズや固溶体の使用量を低減できるため、コストを削減することが可能になる。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一符号を付し詳細な説明は省略する。実施の形態2の電気集塵装置の構成を説明する。図2は本発明の実施の形態2の電気集塵装置の共用対向電極の上面図である。
【0081】
高圧電極1、集塵電極2、共用対向電極4は、セラミックス基板5に半導電性材料の薄膜6を設けた平板である。共用対向電極4には、その空気の流れ上流側端部近傍に、接地された導電部7を設け、導電部7は絶縁性材料8によって覆われている。
【0082】
薄膜6の形成方法を説明する。
【0083】
酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した酸化チタンと、アルカリ金属を含まないガラス粒子(珪素、アルミニウム、ニオブ、カルシウム等の酸化物からなるガラス粒子)と、有機溶剤と、高い粘度を得るためのエチルセルロースと、を混合した半導電性塗料を、スクリーン印刷法でセラミックス基板に印刷し、900℃で加熱処理して薄膜6を形成した。
【0084】
実施の形態2の電気集塵装置の作用、効果を説明する。
【0085】
実施の形態2の基本的な作用、効果は実施の形態1と同様であるので、異なる点を説明する。
【0086】
電極間に電界を発生させるためには、印加電圧に相当する電荷が電極の表面に存在すればよい。すなわち電極全体が半導電性である必要はなく、表面のみが半導電性であればよい。電極をセラミックス基板5に半導電性材料の薄膜6を設けた平板とすることで、薄膜6が電界を形成する機能を担い、セラミックス基板5が電極に剛性を与える機能を担う。これにより、たわみによって電極同士の間隔が不均一になる、電極同士が接触する、等の問題を防ぐことができる。またセラミックスは耐熱性、耐食性に優れているので、基板の材料として好ましい。セラミックスとしては酸化アルミニウムや酸化ジルコニウム等を使用すればよい。
【0087】
また、共用対向電極4は少なくとも表面が半導電性を有するため、放電は発生するものの、電荷の移動は抑制される。ここで、表面の一部に導電部7があると、放電電流はできるだけその近くに向かうと考えられる。共用対向電極4の空気の流れ上流側端部近傍に導電部7を設けることで、共用放電電極3のどの突起からも一定方向に、より均一に放電させることができる。これにより効果的に塵埃を帯電させることができる。さらに、導電部7を絶縁性材料によって覆うことで、共用放電電極3と導電部7との間、または共用放電電極3と導電部7近傍の共用対向電極4表面との間に生じるスパークを防止することができる。
【0088】
スクリーン印刷法について詳細に説明する。
【0089】
一般的にスクリーン印刷法には、次のような特徴、効果がある。
【0090】
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリルポリオール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等を、適度な粘度となるようにシクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒に溶解させたものは、スクリーン印刷法における樹脂系インクとしてよく用いられる。これに半導電性材料を混合し、スクリーン印刷用の半導電性塗料として用いることができる。所定のパターンを有し、パターンの部分は塗料を通過させるスクリーンを絶縁性基板に当てて、パターンが設けられた部分から塗料を押出して基板に印刷することで、基板上に半導電性材料の薄膜を形成することができる。膜の形状はスクリーンに設けられたパターンによるため、任意の形状の膜を簡単に形成することができる。また、スクリーン印刷法は膜厚みが均一で寸法精度の高い印刷面が得られるため、高精細な薄膜(半導電性の面)を形成することができる。
【0091】
図2に示す実施の形態2では、半導電性材料と、ガラス粒子と、有機溶剤と、エチルセルロースと、を含む塗料を使用し、900℃で加熱処理して薄膜6を形成した。
【0092】
この時、エチルセルロースは350℃前後で燃焼するため薄膜6中には含まれない。したがって薄膜6は全て無機物からなり、化学的に安定なものとなる。なお、アルカリ金属はガラスの融点を低下させる効果があるものの、アルカリ性洗剤等のアルカリ性溶液に溶けたり、また質量が小さいため放電による電荷移動等の影響を受けて膜中で移動したりする。このような性質は膜の化学的構造を脆くするおそれがあるので、本発明の薄膜を形成する際にはアルカリ金属を含まないことが好ましい。また、ガラス粒子が融解する温度で加熱処理するため、耐熱性を有するセラミックスを基板として用いる必要がある。例えば、酸化アルミニウムの基板は高い絶縁性と1500℃以上の高い耐熱性を有しているため、ガラス粒子をバインダ成分として薄膜を形成する基板に適している。
【0093】
なお、空気の流れ上流側にサイクロン集塵装置を備え、下流側に本発明の電気集塵装置を備えて、空気清浄機とするのも良い。
【0094】
一般に電気集塵装置は1μm以下と言った微細な塵埃に対しても高い集塵効率を発揮できる。しかし、実際の環境で使用する場合、例えば外気を浄化して屋内に供給する用途に使用する場合、空気中には粗大な塵埃や虫等が含まれるため、電極間に塵埃等が架橋して短絡したり、適切な動作(好適な放電の発生や電界の形成)を妨げたりするおそれがあった。またこの対策として、目の粗いプレフィルタを装置上流に備えると、プレフィルタが目詰まりして適切な風量が確保できなくなる、ユーザーが定期的に掃除しなければならない、等の課題が生じる。本発明の電気集塵装置とサイクロン集塵装置とを組み合わせることで、大小様々な塵埃を対象に除塵可能で、メンテナンス性にも優れ、全体の構成も小型な空気清浄機が提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明にかかる電気集塵装置は、スパークを抑制しつつ帯電部と集塵部とを近接し合う構成としたので、より薄型化することができる。これは、例えば工場のオイルミスト集塵装置、家庭用空気清浄機、または住宅用換気システム等に搭載する電気集塵装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 高圧電極
2 集塵電極
3 共用放電電極
4 共用対向電極
5 セラミックス基板
6 薄膜
7 導電部
8 絶縁性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と対向電極を備え前記放電電極と前記対向電極の間でコロナ放電を発生させて空気中の塵埃を帯電させる帯電部と、高圧電極と集塵電極を備え前記帯電部で帯電された塵埃を捕集する集塵部とを備えた電気集塵装置において、交互に配列された前記高圧電極と前記集塵電極の内、一部または全部の前記高圧電極を前記放電電極と一体化した共用放電電極として構成し、かつ一部または全部の前記集塵電極を前記対向電極と一体化した共用対向電極として構成し、前記高圧電極、前記集塵電極、前記共用対向電極が半導電性材料からなることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項2】
共用放電電極と共用対向電極との間に、高圧電極と集塵電極とを1組以上配置したことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項3】
共用放電電極が、空気の流れ上流側に突出した鋸刃状の突起を設けた金属平板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気集塵装置。
【請求項4】
高圧電極、集塵電極、共用対向電極の表面抵抗率が、10の7〜12乗Ω/□オーダーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項5】
高圧電極、集塵電極、共用対向電極が、半導電性材料を含有する樹脂平板からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項6】
樹脂平板に含有させる半導電性材料が、樹脂平板の材料となっているポリマーと親水性ポリマーとが交互に配列したブロックコポリマーであることを特徴とする請求項5に記載の電気集塵装置。
【請求項7】
ブロックコポリマーがアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の電気集塵装置。
【請求項8】
高圧電極、集塵電極、共用対向電極が、絶縁性基板に半導電性材料の薄膜を設けた平板であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項9】
絶縁性基板がセラミックスからなることを特徴とする請求項8に記載の電気集塵装置。
【請求項10】
半導電性材料が、イオン導電性ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項11】
半導電性材料が、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体であることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項12】
半導電性材料が、酸化スズまたは酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体を担持した酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至5、8、9のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項13】
半導電性材料の薄膜が、半導電性材料を含む塗料をスクリーン印刷法で絶縁性基板に塗布して形成されたことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項14】
半導電性材料の薄膜が、半導電性材料とアルカリ金属を含まないガラス粒子とを含む塗料を絶縁性基板に塗布し、ガラスが融解する温度で加熱処理して形成されたことを特徴とする請求項8、9、11乃至13のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項15】
共用対向電極の空気の流れ上流側端部近傍に、接地された導電部を設けたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電気集塵装置。
【請求項16】
導電部が絶縁性材料によって覆われていることを特徴とする請求項15に記載の電気集塵装置。
【請求項17】
空気の流れ上流側にサイクロン集塵装置を備え、下流側に請求項1乃至16のいずれかに記載の電気集塵装置を備えたことを特徴とする空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−16056(P2011−16056A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161344(P2009−161344)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】