電池、電池パック、及び電池の製造方法
【課題】蓋体に樹脂モールド部を形成する際に両者の接着強度が良好であり、溶接不良及び漏液不良が生じることなく、容易に安価に製造され得る電池、及び該電池を備える電池パック、及び電池の製造方法を提供する。
【解決手段】電池パック1の電池2の蓋部8には、外縁から少し内周側に、外縁に沿って一周するように角溝状で適宜の深さを有する凹部81が設けられている。蓋部8が電極群6が接続された状態でケース7の開口部に嵌合された上で、蓋部8とケース7とがレーザ光の照射により溶接され、溶接部82が形成されている。溶接部82は蓋部8とケース7との接続部分から凹部81の縁部に亘って形成されており、凹部81の底面と略平行に、凹部81の開口部に張り出した張出部82aを備えている。蓋部8に保護回路基板15を配し、入出力端子15aが露出する状態で樹脂モールド部19が形成されている。
【解決手段】電池パック1の電池2の蓋部8には、外縁から少し内周側に、外縁に沿って一周するように角溝状で適宜の深さを有する凹部81が設けられている。蓋部8が電極群6が接続された状態でケース7の開口部に嵌合された上で、蓋部8とケース7とがレーザ光の照射により溶接され、溶接部82が形成されている。溶接部82は蓋部8とケース7との接続部分から凹部81の縁部に亘って形成されており、凹部81の底面と略平行に、凹部81の開口部に張り出した張出部82aを備えている。蓋部8に保護回路基板15を配し、入出力端子15aが露出する状態で樹脂モールド部19が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池、電池パック、及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、円筒状又は直方体状をなし、充放電可能な例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(以下、電池という)の一例として、正極板及び負極板を、セパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質を、Al又はAl合金製であり、略直方体状をなすケースに収納して構成されたものがある。
【0003】
前記電池の一側面に、過充電及び過放電を防止するための保護回路、及び電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための入出力端子を有する保護回路基板が配されて電池コアが構成される。保護回路基板と電池との間は接続用のリードにより電気的に接続されている。
【0004】
前記電池コアの四側面を、絶縁性を有する例えば合成樹脂製の外装枠で覆う、又は電池コアを合成樹脂製の外装ケースに収納する等し、この電池コアをラベルで覆うことにより電池パックが得られる。
【0005】
また、電池の蓋部に、保護回路基板と保護素子、及びこれらを接続する配線部品を集約配置した後、入出力端子が露出する状態で保護回路基板を覆うようにホットメルトモールディングしてなる電池パックも知られている。この電池パックにおいては、保護回路基板及び配線部品を含み、例えばポリアミド樹脂等からなる樹脂モールド部は、蓋部の平面部と密着した状態で電池に接続されているため、電池パックが落下する等して樹脂モールド部に荷重が加わった場合等に、樹脂モールド部が電池から剥離する虞があった。従って、樹脂モールド部を電池に強固に接着(固着)させることが重要な課題となっている。
【0006】
特許文献1には、皿状の係合部材を蓋部の表面に予め接合しておき、その上にホットメルトモールディングを行うことにより投錨効果(アンダーカット効果)を得る電池パックの発明が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、蓋部の周縁部を他部より突出させ、該周縁部の内周側に、外側に凹んだ凹部(アンダーカット形状)をプレス加工により設けることにより、該凹部にモールド樹脂が充填された場合に、特許文献1と同様の投錨効果が得られる電池パックの発明が開示されている。この電池パックによれば、蓋部の外周全体で投錨効果が得られるため、樹脂モールド部を電池に強固に固着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−86159号公報
【特許文献2】特開2006−310032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の電池パックの場合、係合部材を蓋部の表面に予め接合しておく必要があり、部品点数が増加し、蓋部の組立工数も増加するため、コストアップが避けられないという問題がある。
特許文献2の電池パックの場合、蓋部の外周に凹部を設けるために、複雑なプレス加工工程を経る必要があり、加工が困難であって、蓋部の製造歩留まりが良くないという問題がある。
【0010】
そして、蓋部はケース(電池缶)にレーザ溶接されることによりケースが封口されるが、内部の電解液が外に漏れ出す(漏液)ことを防止する必要があり、そのためにはケースの開口部の内周形状と蓋部の外周形状が精度良く合致する必要がある。しかし、特許文献2の電池パックの場合、蓋部の周縁部に複雑なプレス加工工程を施すため、十分な精度を確保することが困難であり、溶接不良、及びこれに伴う漏液不良が発生しやすいという問題がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、蓋体に樹脂モールド部を形成する際に両者の接着強度が良好であり、溶接不良及び漏液不良が生じることなく、容易に安価に製造され得る電池、及び該電池を備える電池パック、並びに電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る電池は、有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池において、前記蓋体の外面に凹部が設けられており、該凹部の縁部に、前記蓋体の面方向に張り出す張出部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、凹部の縁部に、蓋体の面方向に張り出すように張出部が設けられているので、電池に保護回路基板等の端子基板を配して樹脂モールドする場合、張出部の投錨(アンダーカット)効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が良好である。従って、端子基板及びリードを含む樹脂モールド部が電池から剥離するのが防止される。
そして、蓋体に設けられた凹部に形成した張出部により投錨効果を得るので、特許文献1の電池パックのように追加部品を必要としない。また、凹部は特許文献2の電池パックのように複雑なプレス加工工程を必要とせず、従来と同程度のプレス加工技術により製造可能であるため、安価に、良好な製造歩留を有して蓋体を製造することができる。そして、蓋体の周縁部の加工精度が低下することもなく、ケースへの溶接不良、及びこれに伴う漏液不良の発生が抑制されている。
凹部は任意の位置に任意の形状で設けることができるので、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を設けることができる。
【0014】
第2発明に係る電池は、第1発明において、前記張出部は、前記縁部にエネルギー線を照射することにより形成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、電池組立時にレーザ光等のエネルギー線の照射により蓋体をケースに溶接して封口する際に、凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射することで、縁部が溶融、再固化されて張出部が形成される。従って、追加工数が少なく、安価に効率良く電池を製造することができる。
特許文献2の電池の凹部は、プレス加工により得ているため、表面が平滑であるが、本発明の張出部は、金属表面が一度溶融して再固化することにより形成されるため、複雑な凹凸を有している。そのため、表面積が大きく、樹脂モールド部の電池に対する接着強度が向上している。
【0016】
第3発明に係る電池は、第1又は第2発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部寄りに設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、凹部が蓋体の周縁部寄りに設けられているので、電池組立時に蓋体をケースに溶接して封口する際に、蓋体とケースとの境界(接続)部分とともに凹部の縁部にエネルギー線を照射することで、蓋体及びケースの溶接と同時に張出部が形成され得る。
【0018】
第4発明に係る電池は、第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記凹部は溝状をなすことを特徴とする。
【0019】
本発明においては、張出部と、これに対向する凹部の縁部との間隔が狭くなるので、凹部に充填して形成された樹脂モールド部分がより抜けにくくなり(アンダーカット効果がより高くなり)、樹脂モールド部の蓋体に対する接着強度がより良好になる。
【0020】
第5発明に係る電池は、第4発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部の全周に沿って設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、特許文献2の電池パックと同様に投錨効果が蓋体の外周全体で得られるため、樹脂モールド部を電池に強固に接着させることが可能である。
【0022】
第6発明に係る電池は、第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記張出部は、前記凹部の縁部の対向する部分に設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、張出部は前記凹部の縁部の対向する部分、すなわち縁部の両側に設けられているので、凹部の開口側の間隔が狭くなり、アンダーカット効果がより高くなり、樹脂モールド部の蓋体に対する接着強度がより良好になる。
【0024】
第7発明に係る電池は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記凹部は複数設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、複数の凹部に張出部を設けることにより、蓋体の樹脂モールド部との接触表面積が大きくなり、張出部による投錨効果がより高くなる。
【0026】
第8発明に係る電池は、第1発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部が側面となるように設けられていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、電池組立時に蓋体をケースに溶接して封口する際に、蓋体とケースとの境界部分とともに凹部の縁部にエネルギー線を照射することで、同時に張出部が形成され得る。
【0028】
第9発明に係る電池パックは、第1乃至第8発明のいずれかに記載の電池の前記蓋体に、該電池へ電力を入出力するための入出力端子を有する端子基板を配し、前記入出力端子が露出する状態で、前記端子基板及び蓋体を樹脂モールドしてなることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、張出部の投錨効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が良好である。従って、端子基板、及びリードを含む樹脂モールド部が電池から剥離するのが防止される。
【0030】
第10発明に係る電池の製造方法は、第1発明に記載の電池の製造方法であって、前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着する工程と、前記凹部の縁部に前記エネルギー線を照射して、前記張出部を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0031】
本発明においては、レーザ光等のエネルギー線照射により蓋体をケースに溶接して封口した後、続けて凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射して張出部を形成するので、安価に効率良く電池を製造することができる。
【0032】
第11発明に係る電池の製造方法は、第3又は第5発明に記載の電池の製造方法であって、前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着し、同時に前記凹部の縁部に前記張出部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0033】
本発明においては、封口と同時に張出部を形成することができるので、さらに効率良く電池を製造することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、蓋体に設けた凹部の縁部に、蓋体の面方向に張り出すように張出部が設けられているので、電池に端子基板を配して樹脂モールドする場合、張出部の投錨効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が強固になる。張出部は、レーザ光等のエネルギー線の照射により蓋体をケースに溶接して封口する際に、凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射することにより形成されるので、追加工数が少なく、安価に効率良く電池を製造することができる。張出部は、金属表面が一度溶融して再固化することにより形成されるため、複雑な凹凸を有している。そのため、表面積が大きく、蓋体の面方向に突出していることと相まって、樹脂モールド部の電池に対する接着強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す(a)は一部断面図、(b)は一部拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る蓋部をケースに嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す一部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る電池パックを示す一部断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る蓋部をケースに嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図14】図13のXIV −XIV 線断面図である。
【図15】本発明の実施の形態5に係るケース嵌合後の蓋部を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電池パック1を示す斜視図、図2は電池パック1を示す(a)は一部断面図、(b)は(a)のA部分における一部拡大図、図3はケース嵌合前の蓋部(蓋体)8を示す斜視図、図4は図3のIV−IV線断面図である。
【0037】
電池パック1は、電池2の蓋部8の外側に、3つの入出力端子15aを有する保護回路基板(端子基板)15を配し、該入出力端子15aの表面が露出する状態で保護回路基板15等を合成樹脂製の樹脂モールド部19により封止することにより構成されている。
【0038】
電池パック1の電池2はリチウムイオン二次電池であり、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極板3、及びAl集電体に正極合剤を塗布してなる正極板4がセパレータ5を介して巻回された扁平巻状の電極群6、並びに非水電解質(図示せず)を、一面が開口した略直方体状をなすAl又はAl合金製のケース7に収容されている。そして、ケース7の開口は、略矩形状をなすAl又はAl合金製の蓋部8により閉塞されている。
【0039】
蓋部8の中央部には、平板状の頭部及び円筒状の脚部を有し、断面視がT字状をなす負極端子9が、該負極端子9の表面を除いて、合成樹脂製であり、絶縁性を有するガスケット10に包囲された状態で、蓋部8を貫通するように設けられている。負極端子9は、Ni材又はNiめっきを施した鋼材からなる。電池2は、ケース7、及び蓋部8の負極端子9が設けられている部分以外の部分が正極(端子)となる。
【0040】
蓋部8の裏面には、合成樹脂製の絶縁体11が設けられている。絶縁体11は蓋部8の一端部に向かって延び、裏面に凹部が設けられており、該凹部に、板状をなす銅製の集電体12が収容されている。該集電体12にはタブが垂設され、該タブに負極板3の負極リードが接続されるように構成されている。負極端子9の脚部は、絶縁体11及び集電体12を貫通させた後、端部がかしめられて蓋部8に固定されている。
蓋部8の他端側には接合部材13が嵌め込まれており、接合部材13は蓋部8の裏面側に設けられた板状をなすAl製の集電体14と接続される。該集電体14に垂設されたタブには、正極板4の正極リードが接続されている。接合部材13は、Al又はAl合金製の第1層と、Ni製の第2層とからなるクラッド材である。
【0041】
図3及び図4に示すように、蓋部8には、外縁から少し内周側に、外縁に沿って一周するように、角溝状で適宜の深さを有する凹部81がプレス加工により設けられている。
蓋部8は、電極群6が接続された状態でケース7の開口部に嵌合され、蓋部8の外縁部(周縁部)とケース7の開口の内縁部とがレーザ光の照射により溶接されて、溶接部82が形成されている(図2参照)。
溶接部82は蓋部8の外縁部とケース7の内縁部との接続部分から凹部81の縁部に亘って形成されており、凹部81の底面と略平行に(蓋部8の面方向に)、凹部81の開口部に張り出した張出部82aを備えている。
【0042】
蓋部8には、保護回路基板15が配されている。保護回路基板15は、電池2と対向する面に、電池2の過充電又は過放電等を防止するための保護回路を備えている(図示せず)。そして、保護回路基板15の外面には、外部へ電力を取り出し、また逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極及び温度端子である入出力端子15a,15a,15aが金メッキにより設けられている。
【0043】
保護回路基板15のマイナス側の接続端子(図示せず)は、リード16及びPTC(Positive Temperature Coefficient)素子等の保護素子17を介し負極端子9と接続されており、プラス側の接続端子(図示せず)は、リード18を介し前記接合部材13と接続されている。
【0044】
そして、負極端子9、保護素子17、及び保護回路基板15を覆うように、例えばポリアミド樹脂等を用いたホットメルトモールディングにより樹脂モールド部19が形成されている。樹脂モールド部19には窓部19a,19a,19aが設けられており、該窓部19a,19a,19aから入出力端子15a,15a,15が露出している。
ホットメルト樹脂は、蓋部8の部品の表面、及び複雑な凹凸を有する張出部82aの細部にまで亘って充填されている。
前記樹脂モールド部19が設けられた電池2の二平面及び二側面が合成樹脂製のラベル20で覆われることにより電池パック1が構成される。
【0045】
以下に、電池パック1の製造方法について説明する。
電池2は以下のようにして製造される。
図5は、蓋部8をケース7に嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。図中、電極群6は省略してある。
まず、電極群6が接続された蓋部8の外面とケース7の開口縁部の端面とが面一になるように蓋部8をケース7に嵌合する(図5(a))。
【0046】
次に、蓋部8とケース7との境界部に沿って、レーザヘッドを移動させてレーザ光21を照射する(図5(b))。
前記境界部がレーザ光21により溶融して再固化することにより溶接部82が形成されるが、縁部を含む、凹部81の側壁の端面にもレーザ光21が照射されるように制御することで、前記端面も溶融して再固化され、該端面に複雑な凹凸を有した張出部82aが形成される(図5(c))。
レーザの出力、溶接ビード径(レーザ光のビーム径)、及びビームの断面形状(楕円形等)を制御したり、レーザ光の光軸が前記境界部よりケース7の内側に位置するように制御したりすることによって、張出部82aの形状、及び面方向の突出長を制御することができる。
【0047】
以上のようにして得られた電池2の蓋部8に、保護回路基板15、保護素子17、及びこれらを接続するリード16,18等の配線部品を集約配置し、得られた電池コアを、例えばAl合金等の金属で作製された金型内に設置する。そして、例えばポリアミド樹脂等の合成樹脂を略220℃に加温し、溶融させたものを金型に流し込み、樹脂モールドすることで、入出力端子15a,15a,15aが露出した状態で、負極端子9、保護素子17、接合部材13、及び保護回路基板15等を封止した樹脂モールド部19が成形される。
そして、電池2の二平面及び二側面をラベル20で覆うことにより電池パック1が得られる。
【0048】
本実施の形態の電池パック1においては、上述したように、蓋部8に凹部81が設けられている。蓋部8は、外面に凹部81が設けられていること以外は従来の蓋部と相違なく、従来と同程度のプレス加工技術により製造可能であるため、安価に、良好な製造歩留まりを有して製造され得る。そして、蓋部8の周縁部の加工精度が低下することもないので、ケース7への溶接不良、及びこれに伴う漏液不良の発生が抑制されている。
【0049】
本実施の形態においては、ホットメルト樹脂が凹部81の内部まで充填された状態で樹脂モールド部19が形成されており、蓋部8の周方向全体で投錨効果が得られるので、蓋部8の電池2への接着強度は強固である。接着強度は一般的に、接着部の表面積に比例して大きくなる。溶接部82は蓋部8の金属表面が一度溶融して再固化して形成され、複雑な凹凸を有しており、本実施の形態においてはさらに張出部82aを備えるので、蓋部8の面方向、及び該面方向に交叉する方向ともに表面積が大きくなっており、樹脂モールド部19の接着強度を強固にすることができる。
【0050】
なお、蓋部8をケース7に溶接した後、凹部81の内周側の縁部にも沿うようにレーザ光21を照射して、前記縁部にも張出部を設けてもよい。また、凹部81の内周側に、さらに溝状をなす凹部を設け、蓋部8をケース7に溶接した後、該凹部の縁部に張出部を設けることにしてもよい。これにより、張出部の投錨効果がより高くなり、樹脂モールド部19の電池2に対する接着強度がより高くなる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電池パックは、実施の形態1に係る電池パックと同様の構成を有し、凹部81が張出部82aに加えて、張出部83を備える点が実施の形態1に係る電池パック1と異なる。
図6は、本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す一部断面図である。図2(b)と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
張出部83は、実施の形態1と同様にして溶接部82を形成した後、凹部81の内周側の縁部に沿って、ビーム径を張出部82aの形成時より絞った状態でレーザ照射することにより、前記縁部が融解し、再固化して形成される。
本実施の形態においては、張出部82a,83が溝状の凹部81の両側の縁部に設けられているのでアンダーカット効果がより大きくなり、蓋部8の表面積が大きくなっていることと相まって、樹脂モールド部19の蓋部8に対する接着力がより大きくなっている。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電池パックは、蓋部28の形状が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の形状と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図7は本発明の実施の形態3に係るケース嵌合前の蓋部28を示す斜視図、図8は図7のVIII−VIII線断面図、図9は本発明の実施の形態3に係る電池パックを示す一部断面図である。図7,図9において、図3,図2と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
蓋部28は、負極端子9及び接合部材13が設けられる本体(平面)部分が周縁部28aより凹んだ状態で設けられており、すなわち、前記本体部分全体が凹部となっている。
【0053】
実施の形態3に係る蓋部28も、実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8と同様にケース7に嵌合され、蓋部28とケース7との境界部、及び周縁部28aの端面に沿ってレーザ光が照射される。その結果、図9に示すように、蓋部28がケース7に融着されるとともに、本体部分側に張り出した張出部28cを有する溶接部28bが形成される。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、蓋部28のケース7への溶接時に張出部28cが同時に形成され、樹脂モールド部19を形成して電池パックを作製したときに、蓋部28の周方向全体で投錨効果が得られ、樹脂モールド部19は良好に蓋部28に接着され得る。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電池パックは、蓋部38の構成が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の構成と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図10は、本発明の実施の形態4に係るケース嵌合前の蓋部38を示す斜視図、図11は、図10のXI−XI線断面図である。図中、図3及び図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
蓋部38の長手方向の両端部には、蓋部38の短手方向に延びる溝状の凹部38a,38eが設けられている。
そして、負極端子9の凹部38e側には、蓋部38の短手方向に延びる溝状の凹部38bが設けられ、凹部38bと凹部38eとの間には、蓋部38の短手方向の両端に、蓋部38の長手方向に延びる凹部38c,38dが設けられている。
【0056】
図12は、蓋部38をケース7に嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。図中、図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、蓋部38の外面とケース7の開口縁部の端面とが面一になるように蓋部38をケース7に嵌合する(図12(a))。
次に、蓋部38とケース7との境界部に沿って、レーザヘッドを移動させてレーザ光21を照射する(図12(b))。
前記境界部がレーザ光21により溶融して再固化することにより溶接部22が形成される(図12(c))。
【0057】
次に、凹部38aの負極端子9側の縁部に沿ってレーザ光21を照射する(図12(d))。
前記縁部が溶融して再固化され、該縁部に複雑な凹凸を有した張出部38fが形成される(図12(e))。
レーザの出力、溶接ビード径(レーザ光のビーム径)、及びビームの断面形状(楕円形等)を制御したり、レーザ光21の光軸が前記境界部よりケース7の内側に位置するように制御したりすることによって、張出部38fの形状、及び面方向の突出長を制御することができる。
【0058】
なお、図12においては、凹部38aの負極端子9側の縁部に張出部38fを設けた場合につき説明しているが、張出部は凹部38aの蓋部38の端部側の縁部にも設けることにしてもよい。
そして、蓋部38に設けられた他の凹部38b,38c,38d,38eの一方の長辺又は両方の長辺に対応する縁部にも張出部38fと同様に張出部を形成することができる。
凹部は任意の位置に設けることができるので、本実施の形態においては、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を形成することができる。
【0059】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電池パックは、蓋部48の構成が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の構成と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図13は本発明の実施の形態5に係るケース嵌合前の蓋部48を示す斜視図、図14は図13のXIV −XIV 線断面図、図15はケース嵌合後の蓋部48を示す一部断面図である。図中、図3及び図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
蓋部48の長手方向の両端部には、平面視が角部に丸みを付けた略矩形状をなし、実施の形態4に係る凹部38a等より幅を広くした凹部48a,48cが設けられている。
そして、負極端子9の凹部48c側には、蓋部48の短手方向に延び、凹部48cと略同一の幅を有する凹部48bが設けられている。
【0061】
実施の形態5に係る蓋部48も、実施の形態4に係る電池パック4の蓋部38と同様にケース7に嵌合され、蓋部48とケース7との境界部に沿ってレーザ光が照射された後、凹部48aの負極端子9側の縁部に沿ってレーザ光が照射される。これにより、蓋部48がケース7に融着されるとともに、蓋部48の端部側に張り出した張出部48dが形成される。
【0062】
なお、図15においては、凹部48aの負極端子9側の縁部に張出部48dを設けた場合につき説明しているが、実施の形態1乃至3と同様に、蓋部48とケース7とのレーザ溶接時に、凹部48aのケース側の縁部にもレーザ光を照射するようにして、該縁部にも同時に張出部を設けることにしてもよい。
そして、蓋部48に設けられた他の凹部48b、48cの一方の長辺又は両方の長辺に対応する縁部にも張出部48dと同様に張出部を形成することができる。
本実施の形態においても、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を形成することができる。
【0063】
なお、前記実施の形態1乃至5においては図示を省略しているが、通常、電池2の蓋部の一端部側には、電池2の内部圧力の異常な上昇時に圧力を開放するために他の部分よりも肉厚を薄くしており、平面視が略長円状をなす開裂弁(安全弁)がプレス加工により設けられており、この開裂弁の開口の縁部に張出部を設けることにしてもよい。
また、凹部は蓋部8,28,38,48の外面側に、該外面より凹み、凹部の内面側は他部と面一である状態で設けられている場合につき説明しているがこれに限定されず、内面も内側に突出するように凹部を設けることにしてもよい。
【0064】
そして、前記実施の形態1乃至5においては、エネルギー線としてレーザ光を照射して蓋部8,28,38,48をケース7に融着させ、凹部の縁部に張出部82a,83,28c,48dを形成する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、電子ビームを照射して蓋部8,28,38,48をケース7に融着させ、張出部82a,83,28c,48dを形成することにしてもよい。
【0065】
そして、電池パックが保護素子17を備える場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、また、保護回路を実装した保護回路基板15を備える場合には限定されない。
さらに、電池2は平面視が略直方体状を有する場合には限定されず、蓋部の平面視が略長円状を有する電池であってもよい。
【0066】
また、前記実施の形態1乃至5においては、電池2がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、Ni・水素二次電池、Ni・カドミウム二次電池等の他の二次電池、又は一次電池であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電池パック
2 電池
3 負極板
4 正極板
5 セパレータ
6 電極群
7 ケース
8、28、38、48 蓋部
81、38a、38b、38c、38d、38e、48a、48b、48c 凹部
82、28b、22 溶接部
82a、83、28c、38f、48d 張出部
28a 周縁部
9 負極端子
10 ガスケット
11 絶縁体
12、14 集電体
13 接合部材
15 保護回路基板
15a 入出力端子
16、18 リード
17 保護素子
20 ラベル
21 レーザ光
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池、電池パック、及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、円筒状又は直方体状をなし、充放電可能な例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(以下、電池という)の一例として、正極板及び負極板を、セパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質を、Al又はAl合金製であり、略直方体状をなすケースに収納して構成されたものがある。
【0003】
前記電池の一側面に、過充電及び過放電を防止するための保護回路、及び電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための入出力端子を有する保護回路基板が配されて電池コアが構成される。保護回路基板と電池との間は接続用のリードにより電気的に接続されている。
【0004】
前記電池コアの四側面を、絶縁性を有する例えば合成樹脂製の外装枠で覆う、又は電池コアを合成樹脂製の外装ケースに収納する等し、この電池コアをラベルで覆うことにより電池パックが得られる。
【0005】
また、電池の蓋部に、保護回路基板と保護素子、及びこれらを接続する配線部品を集約配置した後、入出力端子が露出する状態で保護回路基板を覆うようにホットメルトモールディングしてなる電池パックも知られている。この電池パックにおいては、保護回路基板及び配線部品を含み、例えばポリアミド樹脂等からなる樹脂モールド部は、蓋部の平面部と密着した状態で電池に接続されているため、電池パックが落下する等して樹脂モールド部に荷重が加わった場合等に、樹脂モールド部が電池から剥離する虞があった。従って、樹脂モールド部を電池に強固に接着(固着)させることが重要な課題となっている。
【0006】
特許文献1には、皿状の係合部材を蓋部の表面に予め接合しておき、その上にホットメルトモールディングを行うことにより投錨効果(アンダーカット効果)を得る電池パックの発明が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、蓋部の周縁部を他部より突出させ、該周縁部の内周側に、外側に凹んだ凹部(アンダーカット形状)をプレス加工により設けることにより、該凹部にモールド樹脂が充填された場合に、特許文献1と同様の投錨効果が得られる電池パックの発明が開示されている。この電池パックによれば、蓋部の外周全体で投錨効果が得られるため、樹脂モールド部を電池に強固に固着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−86159号公報
【特許文献2】特開2006−310032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の電池パックの場合、係合部材を蓋部の表面に予め接合しておく必要があり、部品点数が増加し、蓋部の組立工数も増加するため、コストアップが避けられないという問題がある。
特許文献2の電池パックの場合、蓋部の外周に凹部を設けるために、複雑なプレス加工工程を経る必要があり、加工が困難であって、蓋部の製造歩留まりが良くないという問題がある。
【0010】
そして、蓋部はケース(電池缶)にレーザ溶接されることによりケースが封口されるが、内部の電解液が外に漏れ出す(漏液)ことを防止する必要があり、そのためにはケースの開口部の内周形状と蓋部の外周形状が精度良く合致する必要がある。しかし、特許文献2の電池パックの場合、蓋部の周縁部に複雑なプレス加工工程を施すため、十分な精度を確保することが困難であり、溶接不良、及びこれに伴う漏液不良が発生しやすいという問題がある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、蓋体に樹脂モールド部を形成する際に両者の接着強度が良好であり、溶接不良及び漏液不良が生じることなく、容易に安価に製造され得る電池、及び該電池を備える電池パック、並びに電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る電池は、有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池において、前記蓋体の外面に凹部が設けられており、該凹部の縁部に、前記蓋体の面方向に張り出す張出部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、凹部の縁部に、蓋体の面方向に張り出すように張出部が設けられているので、電池に保護回路基板等の端子基板を配して樹脂モールドする場合、張出部の投錨(アンダーカット)効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が良好である。従って、端子基板及びリードを含む樹脂モールド部が電池から剥離するのが防止される。
そして、蓋体に設けられた凹部に形成した張出部により投錨効果を得るので、特許文献1の電池パックのように追加部品を必要としない。また、凹部は特許文献2の電池パックのように複雑なプレス加工工程を必要とせず、従来と同程度のプレス加工技術により製造可能であるため、安価に、良好な製造歩留を有して蓋体を製造することができる。そして、蓋体の周縁部の加工精度が低下することもなく、ケースへの溶接不良、及びこれに伴う漏液不良の発生が抑制されている。
凹部は任意の位置に任意の形状で設けることができるので、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を設けることができる。
【0014】
第2発明に係る電池は、第1発明において、前記張出部は、前記縁部にエネルギー線を照射することにより形成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、電池組立時にレーザ光等のエネルギー線の照射により蓋体をケースに溶接して封口する際に、凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射することで、縁部が溶融、再固化されて張出部が形成される。従って、追加工数が少なく、安価に効率良く電池を製造することができる。
特許文献2の電池の凹部は、プレス加工により得ているため、表面が平滑であるが、本発明の張出部は、金属表面が一度溶融して再固化することにより形成されるため、複雑な凹凸を有している。そのため、表面積が大きく、樹脂モールド部の電池に対する接着強度が向上している。
【0016】
第3発明に係る電池は、第1又は第2発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部寄りに設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、凹部が蓋体の周縁部寄りに設けられているので、電池組立時に蓋体をケースに溶接して封口する際に、蓋体とケースとの境界(接続)部分とともに凹部の縁部にエネルギー線を照射することで、蓋体及びケースの溶接と同時に張出部が形成され得る。
【0018】
第4発明に係る電池は、第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記凹部は溝状をなすことを特徴とする。
【0019】
本発明においては、張出部と、これに対向する凹部の縁部との間隔が狭くなるので、凹部に充填して形成された樹脂モールド部分がより抜けにくくなり(アンダーカット効果がより高くなり)、樹脂モールド部の蓋体に対する接着強度がより良好になる。
【0020】
第5発明に係る電池は、第4発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部の全周に沿って設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、特許文献2の電池パックと同様に投錨効果が蓋体の外周全体で得られるため、樹脂モールド部を電池に強固に接着させることが可能である。
【0022】
第6発明に係る電池は、第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記張出部は、前記凹部の縁部の対向する部分に設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、張出部は前記凹部の縁部の対向する部分、すなわち縁部の両側に設けられているので、凹部の開口側の間隔が狭くなり、アンダーカット効果がより高くなり、樹脂モールド部の蓋体に対する接着強度がより良好になる。
【0024】
第7発明に係る電池は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記凹部は複数設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、複数の凹部に張出部を設けることにより、蓋体の樹脂モールド部との接触表面積が大きくなり、張出部による投錨効果がより高くなる。
【0026】
第8発明に係る電池は、第1発明において、前記凹部は、前記蓋体の周縁部が側面となるように設けられていることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、電池組立時に蓋体をケースに溶接して封口する際に、蓋体とケースとの境界部分とともに凹部の縁部にエネルギー線を照射することで、同時に張出部が形成され得る。
【0028】
第9発明に係る電池パックは、第1乃至第8発明のいずれかに記載の電池の前記蓋体に、該電池へ電力を入出力するための入出力端子を有する端子基板を配し、前記入出力端子が露出する状態で、前記端子基板及び蓋体を樹脂モールドしてなることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、張出部の投錨効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が良好である。従って、端子基板、及びリードを含む樹脂モールド部が電池から剥離するのが防止される。
【0030】
第10発明に係る電池の製造方法は、第1発明に記載の電池の製造方法であって、前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着する工程と、前記凹部の縁部に前記エネルギー線を照射して、前記張出部を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0031】
本発明においては、レーザ光等のエネルギー線照射により蓋体をケースに溶接して封口した後、続けて凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射して張出部を形成するので、安価に効率良く電池を製造することができる。
【0032】
第11発明に係る電池の製造方法は、第3又は第5発明に記載の電池の製造方法であって、前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着し、同時に前記凹部の縁部に前記張出部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0033】
本発明においては、封口と同時に張出部を形成することができるので、さらに効率良く電池を製造することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、蓋体に設けた凹部の縁部に、蓋体の面方向に張り出すように張出部が設けられているので、電池に端子基板を配して樹脂モールドする場合、張出部の投錨効果により樹脂モールド部の電池に対する接着強度が強固になる。張出部は、レーザ光等のエネルギー線の照射により蓋体をケースに溶接して封口する際に、凹部の縁部にも沿うようにエネルギー線を照射することにより形成されるので、追加工数が少なく、安価に効率良く電池を製造することができる。張出部は、金属表面が一度溶融して再固化することにより形成されるため、複雑な凹凸を有している。そのため、表面積が大きく、蓋体の面方向に突出していることと相まって、樹脂モールド部の電池に対する接着強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す(a)は一部断面図、(b)は一部拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る蓋部をケースに嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す一部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る電池パックを示す一部断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る蓋部をケースに嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係るケース嵌合前の蓋部を示す斜視図である。
【図14】図13のXIV −XIV 線断面図である。
【図15】本発明の実施の形態5に係るケース嵌合後の蓋部を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電池パック1を示す斜視図、図2は電池パック1を示す(a)は一部断面図、(b)は(a)のA部分における一部拡大図、図3はケース嵌合前の蓋部(蓋体)8を示す斜視図、図4は図3のIV−IV線断面図である。
【0037】
電池パック1は、電池2の蓋部8の外側に、3つの入出力端子15aを有する保護回路基板(端子基板)15を配し、該入出力端子15aの表面が露出する状態で保護回路基板15等を合成樹脂製の樹脂モールド部19により封止することにより構成されている。
【0038】
電池パック1の電池2はリチウムイオン二次電池であり、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極板3、及びAl集電体に正極合剤を塗布してなる正極板4がセパレータ5を介して巻回された扁平巻状の電極群6、並びに非水電解質(図示せず)を、一面が開口した略直方体状をなすAl又はAl合金製のケース7に収容されている。そして、ケース7の開口は、略矩形状をなすAl又はAl合金製の蓋部8により閉塞されている。
【0039】
蓋部8の中央部には、平板状の頭部及び円筒状の脚部を有し、断面視がT字状をなす負極端子9が、該負極端子9の表面を除いて、合成樹脂製であり、絶縁性を有するガスケット10に包囲された状態で、蓋部8を貫通するように設けられている。負極端子9は、Ni材又はNiめっきを施した鋼材からなる。電池2は、ケース7、及び蓋部8の負極端子9が設けられている部分以外の部分が正極(端子)となる。
【0040】
蓋部8の裏面には、合成樹脂製の絶縁体11が設けられている。絶縁体11は蓋部8の一端部に向かって延び、裏面に凹部が設けられており、該凹部に、板状をなす銅製の集電体12が収容されている。該集電体12にはタブが垂設され、該タブに負極板3の負極リードが接続されるように構成されている。負極端子9の脚部は、絶縁体11及び集電体12を貫通させた後、端部がかしめられて蓋部8に固定されている。
蓋部8の他端側には接合部材13が嵌め込まれており、接合部材13は蓋部8の裏面側に設けられた板状をなすAl製の集電体14と接続される。該集電体14に垂設されたタブには、正極板4の正極リードが接続されている。接合部材13は、Al又はAl合金製の第1層と、Ni製の第2層とからなるクラッド材である。
【0041】
図3及び図4に示すように、蓋部8には、外縁から少し内周側に、外縁に沿って一周するように、角溝状で適宜の深さを有する凹部81がプレス加工により設けられている。
蓋部8は、電極群6が接続された状態でケース7の開口部に嵌合され、蓋部8の外縁部(周縁部)とケース7の開口の内縁部とがレーザ光の照射により溶接されて、溶接部82が形成されている(図2参照)。
溶接部82は蓋部8の外縁部とケース7の内縁部との接続部分から凹部81の縁部に亘って形成されており、凹部81の底面と略平行に(蓋部8の面方向に)、凹部81の開口部に張り出した張出部82aを備えている。
【0042】
蓋部8には、保護回路基板15が配されている。保護回路基板15は、電池2と対向する面に、電池2の過充電又は過放電等を防止するための保護回路を備えている(図示せず)。そして、保護回路基板15の外面には、外部へ電力を取り出し、また逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極及び温度端子である入出力端子15a,15a,15aが金メッキにより設けられている。
【0043】
保護回路基板15のマイナス側の接続端子(図示せず)は、リード16及びPTC(Positive Temperature Coefficient)素子等の保護素子17を介し負極端子9と接続されており、プラス側の接続端子(図示せず)は、リード18を介し前記接合部材13と接続されている。
【0044】
そして、負極端子9、保護素子17、及び保護回路基板15を覆うように、例えばポリアミド樹脂等を用いたホットメルトモールディングにより樹脂モールド部19が形成されている。樹脂モールド部19には窓部19a,19a,19aが設けられており、該窓部19a,19a,19aから入出力端子15a,15a,15が露出している。
ホットメルト樹脂は、蓋部8の部品の表面、及び複雑な凹凸を有する張出部82aの細部にまで亘って充填されている。
前記樹脂モールド部19が設けられた電池2の二平面及び二側面が合成樹脂製のラベル20で覆われることにより電池パック1が構成される。
【0045】
以下に、電池パック1の製造方法について説明する。
電池2は以下のようにして製造される。
図5は、蓋部8をケース7に嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。図中、電極群6は省略してある。
まず、電極群6が接続された蓋部8の外面とケース7の開口縁部の端面とが面一になるように蓋部8をケース7に嵌合する(図5(a))。
【0046】
次に、蓋部8とケース7との境界部に沿って、レーザヘッドを移動させてレーザ光21を照射する(図5(b))。
前記境界部がレーザ光21により溶融して再固化することにより溶接部82が形成されるが、縁部を含む、凹部81の側壁の端面にもレーザ光21が照射されるように制御することで、前記端面も溶融して再固化され、該端面に複雑な凹凸を有した張出部82aが形成される(図5(c))。
レーザの出力、溶接ビード径(レーザ光のビーム径)、及びビームの断面形状(楕円形等)を制御したり、レーザ光の光軸が前記境界部よりケース7の内側に位置するように制御したりすることによって、張出部82aの形状、及び面方向の突出長を制御することができる。
【0047】
以上のようにして得られた電池2の蓋部8に、保護回路基板15、保護素子17、及びこれらを接続するリード16,18等の配線部品を集約配置し、得られた電池コアを、例えばAl合金等の金属で作製された金型内に設置する。そして、例えばポリアミド樹脂等の合成樹脂を略220℃に加温し、溶融させたものを金型に流し込み、樹脂モールドすることで、入出力端子15a,15a,15aが露出した状態で、負極端子9、保護素子17、接合部材13、及び保護回路基板15等を封止した樹脂モールド部19が成形される。
そして、電池2の二平面及び二側面をラベル20で覆うことにより電池パック1が得られる。
【0048】
本実施の形態の電池パック1においては、上述したように、蓋部8に凹部81が設けられている。蓋部8は、外面に凹部81が設けられていること以外は従来の蓋部と相違なく、従来と同程度のプレス加工技術により製造可能であるため、安価に、良好な製造歩留まりを有して製造され得る。そして、蓋部8の周縁部の加工精度が低下することもないので、ケース7への溶接不良、及びこれに伴う漏液不良の発生が抑制されている。
【0049】
本実施の形態においては、ホットメルト樹脂が凹部81の内部まで充填された状態で樹脂モールド部19が形成されており、蓋部8の周方向全体で投錨効果が得られるので、蓋部8の電池2への接着強度は強固である。接着強度は一般的に、接着部の表面積に比例して大きくなる。溶接部82は蓋部8の金属表面が一度溶融して再固化して形成され、複雑な凹凸を有しており、本実施の形態においてはさらに張出部82aを備えるので、蓋部8の面方向、及び該面方向に交叉する方向ともに表面積が大きくなっており、樹脂モールド部19の接着強度を強固にすることができる。
【0050】
なお、蓋部8をケース7に溶接した後、凹部81の内周側の縁部にも沿うようにレーザ光21を照射して、前記縁部にも張出部を設けてもよい。また、凹部81の内周側に、さらに溝状をなす凹部を設け、蓋部8をケース7に溶接した後、該凹部の縁部に張出部を設けることにしてもよい。これにより、張出部の投錨効果がより高くなり、樹脂モールド部19の電池2に対する接着強度がより高くなる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電池パックは、実施の形態1に係る電池パックと同様の構成を有し、凹部81が張出部82aに加えて、張出部83を備える点が実施の形態1に係る電池パック1と異なる。
図6は、本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す一部断面図である。図2(b)と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
張出部83は、実施の形態1と同様にして溶接部82を形成した後、凹部81の内周側の縁部に沿って、ビーム径を張出部82aの形成時より絞った状態でレーザ照射することにより、前記縁部が融解し、再固化して形成される。
本実施の形態においては、張出部82a,83が溝状の凹部81の両側の縁部に設けられているのでアンダーカット効果がより大きくなり、蓋部8の表面積が大きくなっていることと相まって、樹脂モールド部19の蓋部8に対する接着力がより大きくなっている。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電池パックは、蓋部28の形状が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の形状と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図7は本発明の実施の形態3に係るケース嵌合前の蓋部28を示す斜視図、図8は図7のVIII−VIII線断面図、図9は本発明の実施の形態3に係る電池パックを示す一部断面図である。図7,図9において、図3,図2と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
蓋部28は、負極端子9及び接合部材13が設けられる本体(平面)部分が周縁部28aより凹んだ状態で設けられており、すなわち、前記本体部分全体が凹部となっている。
【0053】
実施の形態3に係る蓋部28も、実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8と同様にケース7に嵌合され、蓋部28とケース7との境界部、及び周縁部28aの端面に沿ってレーザ光が照射される。その結果、図9に示すように、蓋部28がケース7に融着されるとともに、本体部分側に張り出した張出部28cを有する溶接部28bが形成される。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、蓋部28のケース7への溶接時に張出部28cが同時に形成され、樹脂モールド部19を形成して電池パックを作製したときに、蓋部28の周方向全体で投錨効果が得られ、樹脂モールド部19は良好に蓋部28に接着され得る。
【0054】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電池パックは、蓋部38の構成が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の構成と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図10は、本発明の実施の形態4に係るケース嵌合前の蓋部38を示す斜視図、図11は、図10のXI−XI線断面図である。図中、図3及び図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
蓋部38の長手方向の両端部には、蓋部38の短手方向に延びる溝状の凹部38a,38eが設けられている。
そして、負極端子9の凹部38e側には、蓋部38の短手方向に延びる溝状の凹部38bが設けられ、凹部38bと凹部38eとの間には、蓋部38の短手方向の両端に、蓋部38の長手方向に延びる凹部38c,38dが設けられている。
【0056】
図12は、蓋部38をケース7に嵌合して溶接する工程を示す模式的断面図である。図中、図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、蓋部38の外面とケース7の開口縁部の端面とが面一になるように蓋部38をケース7に嵌合する(図12(a))。
次に、蓋部38とケース7との境界部に沿って、レーザヘッドを移動させてレーザ光21を照射する(図12(b))。
前記境界部がレーザ光21により溶融して再固化することにより溶接部22が形成される(図12(c))。
【0057】
次に、凹部38aの負極端子9側の縁部に沿ってレーザ光21を照射する(図12(d))。
前記縁部が溶融して再固化され、該縁部に複雑な凹凸を有した張出部38fが形成される(図12(e))。
レーザの出力、溶接ビード径(レーザ光のビーム径)、及びビームの断面形状(楕円形等)を制御したり、レーザ光21の光軸が前記境界部よりケース7の内側に位置するように制御したりすることによって、張出部38fの形状、及び面方向の突出長を制御することができる。
【0058】
なお、図12においては、凹部38aの負極端子9側の縁部に張出部38fを設けた場合につき説明しているが、張出部は凹部38aの蓋部38の端部側の縁部にも設けることにしてもよい。
そして、蓋部38に設けられた他の凹部38b,38c,38d,38eの一方の長辺又は両方の長辺に対応する縁部にも張出部38fと同様に張出部を形成することができる。
凹部は任意の位置に設けることができるので、本実施の形態においては、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を形成することができる。
【0059】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電池パックは、蓋部48の構成が実施の形態1に係る電池パック1の蓋部8の構成と異なること以外は、電池パック1と同様の構成を有する。
図13は本発明の実施の形態5に係るケース嵌合前の蓋部48を示す斜視図、図14は図13のXIV −XIV 線断面図、図15はケース嵌合後の蓋部48を示す一部断面図である。図中、図3及び図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
蓋部48の長手方向の両端部には、平面視が角部に丸みを付けた略矩形状をなし、実施の形態4に係る凹部38a等より幅を広くした凹部48a,48cが設けられている。
そして、負極端子9の凹部48c側には、蓋部48の短手方向に延び、凹部48cと略同一の幅を有する凹部48bが設けられている。
【0061】
実施の形態5に係る蓋部48も、実施の形態4に係る電池パック4の蓋部38と同様にケース7に嵌合され、蓋部48とケース7との境界部に沿ってレーザ光が照射された後、凹部48aの負極端子9側の縁部に沿ってレーザ光が照射される。これにより、蓋部48がケース7に融着されるとともに、蓋部48の端部側に張り出した張出部48dが形成される。
【0062】
なお、図15においては、凹部48aの負極端子9側の縁部に張出部48dを設けた場合につき説明しているが、実施の形態1乃至3と同様に、蓋部48とケース7とのレーザ溶接時に、凹部48aのケース側の縁部にもレーザ光を照射するようにして、該縁部にも同時に張出部を設けることにしてもよい。
そして、蓋部48に設けられた他の凹部48b、48cの一方の長辺又は両方の長辺に対応する縁部にも張出部48dと同様に張出部を形成することができる。
本実施の形態においても、投錨効果を所望する部分に効率良く張出部を形成することができる。
【0063】
なお、前記実施の形態1乃至5においては図示を省略しているが、通常、電池2の蓋部の一端部側には、電池2の内部圧力の異常な上昇時に圧力を開放するために他の部分よりも肉厚を薄くしており、平面視が略長円状をなす開裂弁(安全弁)がプレス加工により設けられており、この開裂弁の開口の縁部に張出部を設けることにしてもよい。
また、凹部は蓋部8,28,38,48の外面側に、該外面より凹み、凹部の内面側は他部と面一である状態で設けられている場合につき説明しているがこれに限定されず、内面も内側に突出するように凹部を設けることにしてもよい。
【0064】
そして、前記実施の形態1乃至5においては、エネルギー線としてレーザ光を照射して蓋部8,28,38,48をケース7に融着させ、凹部の縁部に張出部82a,83,28c,48dを形成する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、電子ビームを照射して蓋部8,28,38,48をケース7に融着させ、張出部82a,83,28c,48dを形成することにしてもよい。
【0065】
そして、電池パックが保護素子17を備える場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、また、保護回路を実装した保護回路基板15を備える場合には限定されない。
さらに、電池2は平面視が略直方体状を有する場合には限定されず、蓋部の平面視が略長円状を有する電池であってもよい。
【0066】
また、前記実施の形態1乃至5においては、電池2がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、Ni・水素二次電池、Ni・カドミウム二次電池等の他の二次電池、又は一次電池であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電池パック
2 電池
3 負極板
4 正極板
5 セパレータ
6 電極群
7 ケース
8、28、38、48 蓋部
81、38a、38b、38c、38d、38e、48a、48b、48c 凹部
82、28b、22 溶接部
82a、83、28c、38f、48d 張出部
28a 周縁部
9 負極端子
10 ガスケット
11 絶縁体
12、14 集電体
13 接合部材
15 保護回路基板
15a 入出力端子
16、18 リード
17 保護素子
20 ラベル
21 レーザ光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池において、
前記蓋体の外面に凹部が設けられており、
該凹部の縁部に、前記蓋体の面方向に張り出す張出部を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記張出部は、前記縁部にエネルギー線を照射することにより形成してあることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部寄りに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記凹部は溝状をなすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部の全周に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記張出部は、前記凹部の縁部の対向する部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
前記凹部は複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電池。
【請求項8】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部が側面となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の電池の前記蓋体に、該電池へ電力を入出力するための入出力端子を有する端子基板を配し、
前記入出力端子が露出する状態で、前記端子基板及び蓋体を樹脂モールドしてなることを特徴とする電池パック。
【請求項10】
請求項1に記載の電池の製造方法であって、
前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着する工程と、
前記凹部の縁部に前記エネルギー線を照射して、前記張出部を形成する工程と
を有することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項11】
請求項3又は5に記載の電池の製造方法であって、
前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着し、同時に前記凹部の縁部に前記張出部を形成する工程を有することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項1】
有底筒状のケースに発電要素を収容し、該ケースの開口部に蓋体を嵌合してなる電池において、
前記蓋体の外面に凹部が設けられており、
該凹部の縁部に、前記蓋体の面方向に張り出す張出部を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記張出部は、前記縁部にエネルギー線を照射することにより形成してあることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部寄りに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記凹部は溝状をなすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部の全周に沿って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記張出部は、前記凹部の縁部の対向する部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
前記凹部は複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電池。
【請求項8】
前記凹部は、前記蓋体の周縁部が側面となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の電池の前記蓋体に、該電池へ電力を入出力するための入出力端子を有する端子基板を配し、
前記入出力端子が露出する状態で、前記端子基板及び蓋体を樹脂モールドしてなることを特徴とする電池パック。
【請求項10】
請求項1に記載の電池の製造方法であって、
前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着する工程と、
前記凹部の縁部に前記エネルギー線を照射して、前記張出部を形成する工程と
を有することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項11】
請求項3又は5に記載の電池の製造方法であって、
前記蓋体の外縁部と前記ケースの内縁部とをエネルギー線の照射により融着し、同時に前記凹部の縁部に前記張出部を形成する工程を有することを特徴とする電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−49122(P2011−49122A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198787(P2009−198787)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
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