説明

電池ケースおよび電池ケースを備えた電子体温計

【課題】乳幼児が体温計に触れたとしても、電池ケースの隙間に指の爪が入らないようにして、電池ケース内から電池が外れるのを防ぐことができる電池ケースおよび電池ケースを備えた体温計を提供する。
【解決手段】ボタン型電池が着脱可能に収容される凹状部SPを有する電池収容部21と、凹状部の開口部を覆うようにして、電池収容部に着脱可能な蓋部材と、を備える電池ケースであって、凹状部SPは、ボタン電池の外周面に隣接してボタン電池の周囲に配置された壁面部30Rを有し、壁面部30Rの一部及びこの一部に隣接した開口部の端面19が連続して切り欠かれることで溝部55が形成されており、壁面部30Rは、溝部55に指先が挿入された際、その指先がボタン電池の外周面に接触することを規制するように、溝部55に向けて突出した延長部分40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を着脱可能に収容する電池ケース、及びその電池ケースを備えた電子体温計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の乾電池に比べて電源容量は少ないけれども、小型で軽いボタン型電池は、医療用機械器具等の小型の電子機器に採用されることが多く、使用者の体温を計測する電子体温計もその一例である。
すなわち、電子体温計としては、細長い棒状の先端部に感温部を備えた電子体温計が一般的に知られており、当該感温部で体温を計測した結果を表示する液晶等の液晶表示部が配設されている。この感温部や液晶表示部には電源が必要であり、またこれらを制御したり体温を演算したりするためにも電源が必要であるため、電子体温計は電池ケースを有し、その中にボタン型電池が収容されている。
【0003】
そして、電池ケースは、電源容量が少ないボタン型電池が交換可能なように、蓋部材を外して、電池を着脱自在に収容する構造になっている。なお、女性の基礎体温を計測するための電子体温計を応用したもの(以下、女性用電子体温計と称する)は、計測した基礎体温を長期にわたって記録することにより、使用者の高温相と低温相の周期を知ることができ、液晶表示部にトレンドグラフを表示させたり、その他にもカレンダー機能や、メモ登録機能といった種々の機能を有しており(例えば、特許文献1を参照)、通常の電子体温計に比べて電池の消耗が早く電池交換の必要性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−19024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、電池は電池ケースから外せ、交換できる構造になっているため、電子体温計、特に女性用電子体温計が乳幼児の手の届く場所に置かれていると、幼児の悪戯で、電池を電池ケース内から外してしまう恐れがある。或いは、幼児が悪戯で電子体温計に触れることで、電子体温計が落下して蓋部材が外れ、その際の落下衝撃で電池が電池ケース内から外れてしまう恐れもある。そして、乳幼児が例えば4歳未満であると、電池の危険性が分からず、口に含んで誤飲してしまう恐れもある。
そこで本発明は上記課題を解消し、幼児が体温計に触れたとしても、電池ケース内から電池が外れるのを防ぐことができる電池ケースおよびその電池ケースを備えた電子体温計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池ケースは、ボタン型電池が着脱可能に収容される凹状部を有する電池収容部と、前記凹状部の開口部を覆うようにして、前記電池収容部に着脱可能な蓋部材と、を備える電池ケースであって、前記凹状部は、前記ボタン電池の外周面に隣接して前記ボタン電池の周囲に配置された壁面部を有し、前記壁面部の一部及びこの一部に隣接した前記開口部の端面が連続して切り欠かれることで溝部が形成されており、前記壁面部は、前記溝部に指先が挿入された際、前記指先が前記ボタン電池の外周面に接触することを規制するように、前記溝部に向けて突出した延長部分を有することを特徴とする。
上記構成によれば、電池収容部は、ボタン型電池が収容される凹状部の壁面部の一部、及びこの一部に隣接した凹状部の開口端面が連続して切り欠かれることで溝部が形成されているため、使用者は、爪楊枝等の先の細い器具を溝部に挿入して、ボタン電池の外周面に接触させ、それを手掛かりにして、ボタン電池を取り外すことができる。
ここで、壁面部は、溝部に挿入された指先がボタン電池の外周面に接触することを規制するように、溝部に向けて突出した延長部分を有している。従って、乳幼児が体温計に触れたとしても、その指先がボタン電池の外周面を押して電池ケース内からボタン電池が外れるのを防ぐことができる。すなわち、爪楊枝等の器具でボタン電池の外周面を押せたとしても、通常の指先ではボタン電池の外周面を押せないようにして、乳幼児の悪戯による電池外れを防止している。
【0007】
好ましくは、前記電池収容部は、前記蓋部材を接続せずに、前記ボタン電池を収容した状態において、前記ボタン電池の上面又は上面角部を押さえるためにオーバハング状に形成された突出部を有する電池押さえ部が設けられている、ことを特徴とする。
上記構成によれば、蓋部材が電池ケースから外れてしまった場合であっても、電池を電池押さえ部の突出部により電池収容部内から外れないように保持することができる。
【0008】
本発明の電池ケースを備えた電子体温計は、ボタン型電池を着脱可能に装着する電池ケースを備えた体温計であって、前記電池ケースは、前記ボタン型電池が収容される凹状部を有する電池収容部と、前記凹状部の開口部を覆うようにして、前記電池収容部に着脱可能な蓋部材とを備え、前記凹状部は、前記ボタン電池の外周面に隣接して前記ボタン電池の周囲に配置された壁面部を有し、前記壁面部の一部及びこの一部に隣接した前記開口部の端面が連続して切り欠かれることで溝部が形成されており、前記壁面部は、前記溝部に指先が挿入された際、前記指先が前記ボタン電池の外周面に接触することを規制するように、前記溝部に向けて突出した延長部分を有することを特徴とする。
上記構成によれば、乳幼児の指先が、ボタン電池を取り外すために形成された溝部に入っても、壁面部の延長部分が規制をしてボタン電池に接触することを防止し、電池ケース内からボタン電池が外れるのを防止できる。一方、爪楊枝等の先の細い器具を溝部に挿入して、ボタン電池の外周面に接触させ、それを手掛かりにして、ボタン電池を取り外すことができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、乳幼児が電子体温計に触れたとしても、電池ケースの隙間に指の爪が入らないようにし、仮に、電池ケースの隙間に指の爪が入っても、電池ケース内から電池が外れて、誤飲するのを防ぐことができる電池ケースおよび電池ケースを備えた電子体温計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(A)は、本発明の実施形態の女性用電子体温計の平面図、図1(B)は、女性用体温計の背面図、図1(C)は、女性用電子体温計の側面図。
【図2】図1に示す女性用電子体温計の分解斜視図。
【図3】液晶表示部の表示画面に表示される表示内容例を示す図。
【図4】図2に示す女性用電子体温計の電気的な構成例を示す図。
【図5】図2に示す本体ケースのボトムケースと蓋部材を示す図。
【図6】図6(A)は、図5に示す電池ケースの電池収容部の内部構造例を示す斜視図。図6(B)は、図5に示す電池ケースの電池収容部のN−N線における断面図。
【図7】図7(A)は、電池が電池ケースの電池収容部内に固定された状態を示す平面図であり、図7(B)は、電池が電池ケースの電池収容部内に固定された状態を示す側面図。
【図8】電池収容部内の第1電池押さえ部と延長部分の付近を示す斜視図。
【図9】図9(A)は、図2に示す女性用電子体温計からフロントカバーを取り除いた状態のボトムケースと液晶表示部と機能選択部と液晶表示部ホルダーを示す平面図。図9(B)は、図9(A)示す状態のボトムケースからさらに液晶表示部と機能選択部と液晶表示部ホルダーを取り除いた状態を示す平面図。図9(C)は、液晶表示部ホルダーの端部の形状例を示す斜視図。
【図10】保持突起群を構成する第1リブとしてのストッパリブと、第2リブとしてのストッパリブの例を示す図。
【図11】図1に示す女性用電子体温計を収納して保護するための収納ケースを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、本発明の電池ケースを備えた電子体温計の一例である女性用電子体温計1を示しており、図1(A)はその平面図、図1(B)はその背面図であり、図1(C)はその側面図である。図2は、図1に示す女性用電子体温計1の各要素を示す分解斜視図である。
図1に示す女性用電子体温計(以下、「体温計」という)1は、筐体である本体ケース(ケースの一例)2を有しており、この本体ケース2には、図2に示す各要素が収容されている。すなわち、本実施形態の本体ケース2は、ボトムケース3と延長胴体部4と透明性を有するフロントカバー5からなり、その中に基板6、液晶表示部7、機能選択部8、外部通信機能部のホルダー9、液晶表示部ホルダー10、ブザー部11が収容されている。なお、本体ケース2,ボトムケース3,延長胴体部4,フロントカバー5は、好ましくは耐衝撃性、耐薬品性を有するプラスチックにより作られている。
【0012】
ボトムケース3は、基板6、液晶表示部7、機能選択部8、外部通信機能部の9、液晶表示部ホルダー10、及びブザー部11を収容して保持する船形形状を有する容器である。このボトムケース3は、X方向に沿って長く形成されX方向と直交するY方向に沿って短く形成された収容空間12を有している。この収容空間12の深さ方向は、X及びY方向の双方に直交するZ方向に沿っている。ボトムケース3は、先端部3Sと後端部3Rを有しており、図2と図1(B)に示すように、後端部3Rの裏面部には、内蔵したボタン型電池を覆うための蓋部材13が、着脱可能に取り付けられている。
【0013】
延長胴体部4は、ボトムケース3に対して例えば接着剤により固定される部材である。延長胴体部4は、先端部のキャップ取付け部4Aと、キャップ取付け部4Aとは反対側の接続端部4Bとを有している。この延長胴体部4は、中空状の部材であり、接続端部4Bから先端部の金属キャップ取付け部4Aに向けて先細りになるように形成されている。延長胴体部4の接続端部4Bが、ボトムケース3の先端部3S側に対して外側からはめ込んで固定されることで、延長胴体部4とボトムケース3が、図1に示すように一体構造になるように接続されている。
図1(C)に示すように、延長胴体部4の軸方向4Lは、ボトムケース3の軸方向であるX方向に対して、角度4F(5〜10度)だけ少し下側(液晶表示部3の反対側)に傾いており、先端部のキャップ取付け部4Aはやや下向きになっている。これにより、使用者が例えば先端部のキャップ取付け部4Aを、例えば口中の舌下に咥えて体温を測定する場合に、使用者が測定しやすくなる。
【0014】
図2に示す先端部のキャップ取付け部4Aには、先端が閉じた金属製のキャップ4Cが固定されている。キャップ4Cは、熱伝導性に優れた材料、例えばステンレスにより作られており、キャップ4C内には、サーミスタのような破線で示す感温部としての温度計測部4Dが接着・固定されている。温度計測部4Dと基板6とは、図示しない電気配線により電気的に接続されている。このキャップ4Cは、温度計測部4Dに対して使用者の体温を伝熱させるとともに、温度計測部4Dを外部の衝撃や水分等から保護する役割を有する。
その他に、図1(B)に示すように、延長胴体部4の裏面には、浅い凹部4Kが形成されている。この凹部4Kには、使用者が口中の舌下に咥えて体温を測定する際に、滑るのを防止するための複数の突起部4Nが長手方向に対して直角に形成されている。これにより、使用者は体温を測る際に体温計1を確実に保持できる。ボトムケース3の先端部3Sの内部には、ブザー部11が配置されている。
【0015】
図2に示す基板6は、各種の回路要素と、液晶表示部7と、機能選択部8を搭載している。基板6は、ボトムケース3の収容空間12内にはまり込む形状を有している。液晶表示部7は、基材7Bを用いて基板6の一部分に基板6から浮かした状態で搭載されている。これにより、液晶表示部7は、基板6の回路要素が動作の時に発熱しても、その熱から離すことができるとともに、液晶表示部7の表示画面103をできる限り、ボトムケース3の底部から離れた表面側の高い位置に保持することができる。機能選択部8は、基板6の残部に搭載され、ボトムケース3の後端部3R寄りに位置されている。
液晶表示部7の表示画面103は、例えば数字・文字・図形(キャラクター、アイコン等)を表示可能なドットマトリックス型の液晶表示装置により構成されている。なお、表示画面103に表示される表示内容の詳細例は、図3に示している。
【0016】
図3は、液晶表示部7の表示画面103に表示される表示内容例を示している。
図3に示す選択機能表示領域301は、体温計1の各種機能を選択するための表示領域である。この選択機能表示領域301に表示された各絵文字(アイコン)は、左から順に、メモ入力機能、次回生理日表示機能、次回排卵日表示機能、目覚まし時刻設定機能、音量設定機能、時刻設定機能を選択するためのアイコンである。選択メモ表示領域302は、選択機能表示領域301におけるメモ入力機能が選択された際に、入力されるメモ内容を選択するための表示領域である。選択メモ表示領域302に表示された各絵文字(アイコン)は、左から順に、生理日、発熱、生理痛、性交、飲薬、おりもの、不正出血を示すアイコンである。測定データ表示領域303は、測定された体温データを表示し、過去の所定日数分の体温データを、トレンドグラフとして表示する。
【0017】
図3の設定情報表示領域304は、目覚まし時刻設定機能やアラーム音量設定機能等を用いてユーザが設定した設定内容を表示する表示領域である。なお、本発明の実施形態の体温計1では、音量設定機能を用いて音量を設定する際に、音量を変更するための操作を行った場合、当該操作を行ったタイミングで、変更後の音量による音声が出力されるよう構成されている。このように、変更した音量を、実際にユーザがその場で視聴できる構成とすることで、ユーザは最適な音量設定を行うことが可能となる。現在日時表示領域305は、現在の日付(年月日)または時刻(時分)を表示する。内部状態表示領域306は、体温計1の内部状態を示す情報(例えば、電池の残量等)を表示する。デジタル表示領域309は、測定した体温の数値等をデジタル表示することができる。
【0018】
液晶表示部7は、図3に示す各種の表示内容の情報を表示する必要があるので、使用者の視認性を確保するために、できる限り大型の表示画面103を必要とする。表示画面103の大型化を図るために、図2に示すように、基板6の有効面積において、機能選択部8を搭載する部分以外の部分に、液晶表示部7の表示画面103の領域を確保している。
このように液晶表示部7の表示画面103は、上述した各情報内容を表示する必要があるので、体温計1の全体の大きさに比べて大きな領域を占めており、比較的大型で重い。しかも、使用者が表示画面103の各表示内容の情報を見易くして視認性を良好にするために、液晶表示部7の表示画面103は、できる限りフロントカバー5の窓部分5A寄りの位置に持ち上げるようにして配置されている。
【0019】
図1(A)と図2に示す機能選択部8は、左ボタン111、右ボタン112と、上ボタン121、下ボタン122と、中央の決定ボタン130を備える。左ボタン111と右ボタン112は、図3の表示画面103上に表示されたメニュー項目等の選択対象が選択状態にあることを示す識別子(カーソル)を移動させるための指示(移動指示)を与える。上ボタン121と下ボタン122は、カーソルの移動先の選択対象について、設定値を変更等するための指示(変更指示)を与える。決定ボタン130は、カーソルの移動先の選択対象(またはカーソルの移動先の選択対象ついて、変更された設定値)を決定する。
ところで、決定ボタン130は、体温計1の電源ON/OFFスイッチとしての役割もある。すなわち、機能選択部8は、十字ボタンである左ボタン111、右ボタン112、上ボタン121、下ボタン122と、そして決定ボタン130で構成されていることにより、体温計1の各機能を操作でき、決定ボタン130に電源操作機能を持たせることで、操作性を向上するとともにスイッチの数を減少させている。
【0020】
図2に戻ると、液晶表示部ホルダー10は、液晶表示部7を保持する全体が板状のホルダーであって、ボトムカバー3の内部に保持される部材である。具体的には、液晶表示部ホルダー10は、弾性変形可能なプラスチックにより作られ、液晶表示部7を露出させるための長方形状の開口部10Aと、機能選択部8を露出させるための円形の開口部10Bを有している。
本実施形態の場合、液晶表示部ホルダー10は、基板6の外形形状にほぼ合わせた外形形状を有している。そして、液晶表示部ホルダー10と基板6とは、基板6のおねじ6Mを液晶表示部のホルダー10のねじ穴10Hに通して、おねじ6Mにナット6Nを取り付けることにより、固定されている。また、液晶表示部ホルダー10の周縁に設けられた爪部99が、基板6を抱き込むようにして基板6の底面に係止されている。これにより、液晶表示部ホルダー10と基板6とは液晶表示部7を間に挟みながら固定され、液晶表示部ホルダー10はボトムケース3内に着脱可能にはめ込まれて固定される。
図2のフロントカバー5は、プラスチックにより作られており、透明な窓部分5Aと、円形の開口部5Bを有している。フロントカバー5の透明な例えば凸レンズ状の窓部分5Aと円形の開口部5B以外の部分5Cは、基板6側を外部から視覚的に見えないようにするために、不透明になっている。フロントカバー5の裏面は、液晶表示部ホルダー10の表面に対して、好ましくは接着剤を用いて固定されている。
【0021】
フロントカバー5の透明な窓部分5Aは、液晶表示部7の表示画面103の面積よりもやや小さい面積を有しており、好ましくは凸レンズ状とされて、使用者はこの透明な窓部分5Aを通じて、液晶表示部7の表示画面103に表示されている表示内容を拡大した状態で目視することができる。
開口部5Bは、液晶表示部ホルダー10の開口部10Bに対応した位置に形成され、使用者は、この開口部5Bと開口部10Bを通じて外部に露出した機能選択部8を、指で触って操作することができる。
【0022】
次に、図4を参照して、図2に示す体温計1の電気的な構成例を説明する。図4は、図2に示す体温計1の電気的な構成例を示す図である。
図4に示すように、図2に示すように、体温計1の基板6は、制御回路225、カウンタ226、表示制御部227、演算処理部221、ROM222、タイマ224、RAM223を搭載している。制御回路225は、電池260、カウンタ226、表示制御部227、演算処理部221、温度計測部4Dに対して電気的に接続されている。演算処理部221は、カウンタ226、ROM222、タイマ224、RAM223、ブザー部11、機能選択部8の左ボタン111、右ボタン112と、上ボタン121、下ボタン122と、中央の決定ボタン130に電気的に接続されている。
液晶表示部7の表示画面103は、バックライト用のLED231を有する。ブザー部11は、目覚まし音や体温計測終了等の特定の状態を通知するためのアラーム音を発生する。電池260は、電池ケース20内に配置され、制御回路225と温度計測部4Dに電源を供給する。この電池260は、蓋部材13を取り外すことで交換可能である。
【0023】
図4の温度計測部4Dは、使用者の体温を計測して、体温の数値をデジタル値として出力する。温度計測部4Dは、例えば並列に接続された感温部に設置されたサーミスタ及びコンデンサと、測温用CR発振回路とから構成され、サーミスタの温度に対応するカウンタ226のカウント量の変化に従い、温度をデジタル量として、制御回路225に対して出力する。
RAM(ランダムアクセスメモリ)223は、1日1回の計測から得られた測定値(基礎体温データ)及び入力部250により入力された各種入力値を日付及び時刻と対応付けて、所定日数分(例えば240日分)記憶するとともに、月経周期ごと(生理初日から次の生理初日の前日まで)の中間データ等を一時記憶する。
ROM(コンピュータ読取可能な記憶媒体)222は、体温測定に必要なパラメータや予測式プログラム等を格納している。タイマ224は、時刻及び日付を管理する。
【0024】
図4の表示制御部227は、制御回路225の指令に従って液晶表示部230を制御する。カウンタ226は、温度計測部4Dの測温用CR発振回路の発振信号をカウントして、制御回路225に通知する。演算処理部221は、ROM222の予測式プログラムに従い体温の予測演算等を行う。
なお、図4に示す制御回路225は、図1に示す各ボタン111,112,121,122,130のいずれかの操作を、演算処理部221を介して検出すると、制御回路225は、バックライト用のLED231を自動的に点灯させるようになっている。これにより、バックライト用のLED231を手動で点灯させるための操作スイッチが不要であり、体温計1の構造の簡単化を図っている。
【0025】
図5は、図2に示すボトムケース3と蓋部材13を示す図である。
図5に示すように、ボトムケース3の後端部3R寄りの位置には、電池ケース20が設けられている。この電池ケース20は、後端部3R寄りに設けられた電池収容部21と、蓋部材13により構成されている。電池ケース20は、好ましい例としてコイン型電池とも呼ばれる薄い円柱形状のボタン型電池(以下、「電池」という)260を一枚だけ着脱可能に収容する部分である。
蓋部材13は、本体部13Aと、係合突部13Bと、挿入突部13Cと、電池押さえ突起13Rを有している。本体部13Aは、電池収容部21の形状に合わせた曲面形状を有しており、係合突部13Bは、ほぼL字型形状を有しており、本体部13Aの先端部13DからX1方向に突出して形成されている。挿入突部13Cは、本体部13Aの後端部13Fの内部において、X1方向に向けて突出して形成されている。電池押さえ突起13Rは、蓋部材13が電池収容部21と閉じた状態で、電池260の上面263を押さえ付けるための複数本のリブである。
【0026】
図5に示す電池収容部21は、電池260を収容する凹状部SPを有し、凹状部SPは、電池収容部21に蓋部材13が接続された状態において、蓋部材13側(図5の上側)に臨む開口部を有している。電池収容部21は、図5において左側に示す内側の係合穴部22と、図5において右側に示す別の外側の係合孔部23を有している。内側の係合穴部22は、係合突部13Bに対応する位置に形成されている。外側の係合孔部23は、挿入突部13Cに対応する位置に形成され、後述する第1電池押さえ部24の厚み方向に貫通した孔であって、後述する突出部24Tより下側に形成されている。これにより、蓋部材13をX1方向にスライドして、電池収容部21を蓋部材13により閉鎖する際には、係合突部13Bは、内側の係合穴部22に着脱可能に係合されるとともに、挿入突部13Cは、外側の係合孔部23に着脱可能にはめ込まれる。このようにして、図1(B)と図1(C)に示すように、蓋部材13を指でもってX1方向にスライド操作するだけで、蓋部材13は、電池収容部21を閉鎖して電池260を覆うことができる。
また、使用者が電池260を交換する際には、使用者が指で図1(B)に示す押圧部分24PをZ2方向(紙面垂直下方向)に押すことで、図5に示す係合突部13Bと内側の係合穴部22の係合を簡単に外すことができる。そして、図1(B)に示す蓋部材13を電池収容部21に対してX2方向にスライドさせるだけで、蓋部材13を簡単に取り外して、後で説明する電池取り出し用の器具を挿入すれば電池260を取り出して、新しい電池260に交換することができる。
【0027】
図6(A)は、図5に示す電池収容部21の内部構造例を示す斜視図である。図6(B)は、図5に示す電池収容部21のN−N線における断面図である。図7(A)は、電池260が電池収容部21内に固定された状態を示す平面図であり、図7(B)は、電池260が電池収容部21内に固定された状態を示す側面図である。
図6(A)に示すように、すでに説明したように、電池ケース20の電池収容部21は、ボトムケース3の後端部3R寄りの位置に設けられており、体温計の電池収容部21の反対面には、機能選択部8が設けられている。
【0028】
図6及び図7に示すように、電池収容部21は、後端部3Rの厚み方向の略半分を切り欠いた領域に設けられており、電池260をはめ込むための略円柱形の凹状部SPが形成され、体温計1の各機器に電圧を供給するための第1及び第2端子部31,32と、電池を固定するための第1及び第2電池押さえ部24,25を有している。
凹状部SPは、内底面部30及び壁面部30Rにより形成されている。内底面部30は電池260の主面に対応した略円形であり、壁面部30Rは、内底面部30の略周囲に形成された円弧状である。そして、壁面部30Rは、電池260の外周面に隣接すると共に対向するようにして、電池260の周囲に配置されており、これにより電池260を保持している。なお、壁面部30Rは、電池260の全周を囲んでもよいが、電池260の一部(本実施形態の場合、約2/3)の外周面を囲むようにしてもよい。また、壁面部30Rは、その上端30R−1が、電池収容部21の開口部の端面(蓋部材13の縁部が当接する部分を有する領域)19よりも図6の上側に突出し、後述する溝部55に露出する電池260の外周面を除き、電池260の上面のみが露出するようになっている。
【0029】
第1電池押さえ部24と第2電池押さえ部25とは対向して配置され、第1電池押さえ部24は、電池260がその直径方法に動かないように押えると共に、電池260の上面又は上面角部262がZ1方向に浮かないように押さえるために、押さえ用の突出部24Tを有している。この押さえ用の突出部24Tは、第2電池押さえ部25に向けてオーバハング状に突出して形成されている。これと同時に、第2電池押さえ部25は、電池260の上面又は上面角部262がZ1方向に浮かないように押さえる。
【0030】
図6に示す第1端子部31と第2端子部32は、導電性と弾性変形可能な金属製の電気端子であり、図4に示す制御回路225に接続されている。
複数の第1端子部31は凹状部SPの内底面部30に配置され、図6(B)のZ1方向に付勢された弾性力を有している。即ち、凹状部SPに電池260がはめ込まれると、図7(B)に示すように、電池260は、第1電池押さえ部24と第2電池押さえ部25により押さえ付けられるので、電池260のマイナス電極261は、これらの第1端子部31を弾性変形された状態で、第1端子部31に対して電気的に接触される。
図7(A)と図6(A)に示すように、第2端子部32は、第1電池押さえ部24に向けて付勢力を発揮する板バネ状の第1及び第2接触端子32R,32Tを有している。第1接触端子32Rと第2接触端子32Tは、中央の接続部分32Sの一端部と他端部から夫々延長して形成されており、第1接触端子32Rの先端と第2接触端子32Tの先端は、夫々突起部32Bを有している。第1接触端子32Rの突起部32Bと第2接触端子32Tの突起部32Bは、図7(A)に示すように、電池260の外周面のプラス電極264側に、形成角度Gで機械的に押し付けられて電気的に接触される。このように、第1接触端子32Rと第2接触端子32Tは、電池260の外周面のプラス電極264側を形成角度Gで機械的に押し付けられ、電気的に接触されるだけではなく、電池260をX2方向に向けて、第1電池押さえ部24側に押し付けることができる。これにより、電池260は、第1電池押さえ部24に押し付けられ、押さえ用の突出部24Tが、電池260がZ1方向に浮き上がらないようにさらに電池260を強固に保持でき、電池260が、凹状部SP内からZ1方向に容易に外れるのを防止している。なお、形成角度Gは、例えば好ましくは90度以下の角度である。
【0031】
上述したように、図7(B)に示すように、電池260が凹状部SPにはめ込まれた際、電池260の上面又は上面角部262は、第1電池押さえ部24の突出部24Tと第2電池押さえ部25により押さえられているので、電池260がZ1方向に浮くのを防いでいる。具体的には、図5に示すように、蓋部材13をスライドしながら被せると、蓋部材13の挿入突部13Cが第1電池押さえ部24の突出部24Tより下側にある係合孔部23に挿入され、電池260は第1及び第2接触端子32R,32Tの弾性力に反抗しながら挿入突部13Cに押され、これにより電池260と突出部24Tとの係合状態が解除され易くなる。しかし、図1(B)に示すように蓋部材13が電池収容部21に接続された状態であると、図5に示す蓋部材13の電池押さえ突起13Rが、電池260の上面263をZ2方向に押さえ付ける。これにより、電池260は、Z1方向に浮かないようにして凹状部SP内で確実に保持される。さらに、体温計1の落下や乳幼児の悪戯により、蓋部材13が外れてしまった場合であっても、第1及び第2接触端子32R,32Tの弾性力が働いて、電池260を第1電池押さえ部24側に押さえ付けると共に、突出部24Tに電池260の上面又は上面角部262が押えられて、電池260がZ1方向へ外れてしまうことを防止できる。
以上説明したような電池収容部21内の構造と、蓋部材13の構造を採用することにより、少ない部材で、落下や幼児の悪戯による電池260の取り外れを防止できる。
【0032】
図8(A)は、電池収容部21内の第1電池押さえ部24と壁面部30Rの延長部分40の付近を示す斜視図である。図8(B)は、図8(A)の第1電池押さえ部24と延長部分40の付近をH1方向から見た斜視図である。図8(C)は、図8(A)の第1電池押さえ部24と延長部分40の付近をH2方向から見た斜視図である。図8(D)は、図8(B)の第1電池押さえ部24と延長部分40の付近をH3方向から見た斜視図である。
図8(A)に示すように、電池収容部21は、壁面部30Rの一部、及びその一部に隣接した開口部の端面19が連続して切り欠かれることで溝部55が形成されており、壁面部30Rは、溝部55に挿入される指先が電池の外周面に接触することを規制するように、溝部55に向けて突出した延長部分40を有している。なお、ここにいう「指先」には、大人の女性がファッション等で指先から長く伸ばしたような長い爪は含まれず、このため、大人の長く伸びた爪が溝部55を通って電池の外周面に接触しても構わない。
【0033】
具体的には、凹状部SPの一部を形成する壁面部30Rの2箇所及びそれに隣接した開口部の端面19が切り欠かれて、2つの溝部55,55が形成され、この2つの溝部55,55の間に第1電池押さえ部24が挟まれるように配置されている。この溝部55は、爪楊枝等の器具を挿入して、電池の外周面を第1及び第2接触端子32R,32T側に向けて押圧し、突出部24と電池との係合状態を解除するためのもので、第1及び第2接触端子32R,32Tに略対向するように配置されている。
そして、切り欠くことで形成された壁面部30Rの端部30W,30Wには、それぞれ延長部分40が、第1電池押さえ部24に向けて延長して形成されている。換言すれば、延長部分40は、端部30Wに配置されたリブとも言える。そして、端部30W,30Wがそれぞれ延長部分40を有することで、図8(B)と図8(C)に示す各延長部分40と第1電池押さえ部24との間に形成される隙間BWの値を、できる限り小さくしている。延長部分40は、各端部30Wから延長して一体的に形成しても良いし、或いは、各端部30Wに対して別部材として後付けで貼り付けて固定しても良い。
【0034】
この隙間BWは、爪楊枝のような細い電池取り出し用の器具TLを、外側から意図的にしかも機械的に電池260側に挿入するために設けられている。図7に示すように蓋部材13を取り外して、電池収容部21内を露出させた状態で、例えば使用者が電池260を交換のために、細い電池取り出し用の器具TLを、外側から電池260側に挿入することで、第1電池押さえ部24と第2電池押さえ部25から、電池260を機械的にしかも強制的に取り外すことができる。
このように、隙間BWは、爪楊枝のような細い器具TLを、壁面部30Rの端部30Wの外側から、電池260側へ挿入できる程度の小さい幅を有していれば良い。この小さい隙間BWの寸法例としては、例えば1.8〜2.2mm、特に好ましくは2.0mmである。
このように、延長部分40と第1電池押さえ部24との間に設けられる隙間BWをできる限り小さくすると、仮に蓋部材13が外れてしまい、電池収容部21内の電池260が外部に露出した場合に、例えば4歳未満の幼児の指の爪が、電池260に対して直接当たらないようにすることができる。そして、使用者は、爪楊枝のような細い器具TLを、隙間BWを通じて外側から電池260側に挿入しないと、電池260を取り外すことができない。これにより、幼児が電池260を指の爪で外してしまうことを防いで、電池の誤飲を防ぐことができる。
【0035】
図9(A)は、図2に示す体温計1からフロントカバー5を取り除いた状態のボトムケース3と液晶表示部7と機能選択部8と液晶表示部ホルダー10を示す平面図である。図9(B)は、図9(A)に示す状態からさらに液晶表示部7と機能選択部8と液晶表示部ホルダー10を取り除いた状態を示す平面図である。図9(C)は、液晶表示部ホルダー10の端部の形状例を示す斜視図である。
図2に示す液晶表示部7の表示画面103は、すでに説明したように、各種の表示内容の情報を表示する必要があるので、体温計1の大きな領域を占めており、比較的大型で重い。液晶表示部7のサイズとしては、例えば図2に示す長さLLが40mmで幅WWが20mmである。例えば液晶表示部ホルダー10の長さMLは74mmで、幅MWは24mmである。
しかも、図2に示す液晶表示部7の表示画面103は、使用者が各種の表示内容の情報を見易くするために、できる限りフロントカバー5の窓部分5A寄りの位置に持ち上げるように配置されている。このため、液晶表示部7を支える液晶表示部ホルダー10とボトムケース3の底面との間には空洞があり、使用者が体温計1を落下させてしまった場合に、液晶表示部7を保持している液晶表示部ホルダー10がボトムケース3内において脱落あるいは動いてしまうのを防いで、故障を防止する必要がある。
【0036】
そこで、図9に示すように、ボトムケース3の内側と液晶表示部ホルダー10とが接する部分には、保持突起群400が設けられている。この保持突起群400は、ボトムケース3の内面3Gと液晶表示部ホルダー10の端面との間に配置される複数個の第1リブ70〜76と、液晶表示部ホルダー10の下面(基板等の他の部材を介した下面を含む)に接触する複数個の第2リブ80とにより、構成されている。
具体的には、第1リブを構成する複数のストッパリブ70〜76のうち、ストッパリブ70,71,72,73,74,75は、ボトムケース3の内面3Gに設けられ、図9(A)においてZ方向(紙面垂直方向)に沿って形成され、液晶表示部ホルダー10がボトムケース3内に装着された状態で、液晶表示部ホルダー10の端面と接触する幅寸法(液晶表示部ホルダー10の端面側に向って突出する長さ)を有している。なお、ストッパリブ70と75、71と74、72と73は、体温計1の長手方向の中心軸に対して、対向位置にある。
これに対して、図9(A)(C)に示すように、第1リブの別のストッパリブ76は、液晶表示部ホルダー10の係合片部77の表面側に設けられている。なお、係合片部77は、図のX方向(対向するボトムケース3の内面3G側)に付勢力を発揮する。そして、図9(C)に示す液晶表示部ホルダー10の一端部10T側を、図9(C)に示すボトムケース3の後端部3Rにはめ込むと、係合片部77の凸部78がボトムケース3の内面3Gの穴部3Wにはめ込まれて、液晶表示部ホルダー10をボトムケース3の後端部3Rの内側に対して固定することができ、この固定状態において、ストッパリブ76は、ボトムケース3の後端部3Rの内面3Gに接触する幅寸法(内面3Gに向って突出する長さ)を有している。
これにより、図9(A)に示すように、液晶表示部ホルダー10がボトムケース3内に装着されると、ボトムケース3側のストッパリブ70〜75が液晶表示部ホルダー10の端面(主面とは異なる周側面)を押圧し、さらに、液晶表示部ホルダー10の係合片部77側のストッパリブ76がボトムケース3の内面3Gを押圧して、ボトムケース3内における液晶表示部ホルダー10の脱落、あるいは挙動を抑制することができる。
【0037】
さらに、図9(C)に示すように、ストッパリブ76は、係合片部77のほぼZ方向、つまり、液晶表示部ホルダー10をボトムケース3に挿入する方向に沿って長く形成されている。このため、係合片部77がRT方向に撓む動作を抑制し、体温計1の落下衝撃があっても、係合片部77の凸部78が、ボトムケース3の後端部3Rの内側の穴部3Wから外れるのを防止できる。
なお、複数個のストッパリブ70〜75は、ボトムケース3をプラスチック成形する場合に同時に成形して設けることができる。液晶表示部ホルダー10の係合片部77側のストッパリブ76は、液晶表示部ホルダー10をプラスチック成形する場合に同時に成形して設けることができる。あるいは、第1リブ70〜76は、別途弾性変形する例えばゴムにより作って、貼り付けても良い。また、第1リブの設定数は、図9の例に限らず任意に選択することができ、ボトムケース3の内側3Gだけでなく、液晶表示部ホルダー10の外周部分側に複数のストッパリブを設けるようにしても良い。
【0038】
図10(A)は、上述した保持突起群を構成する第1リブの例であるストッパリブ70〜75と、第2リブの例であるストッパリブ80の好ましい設定例を示す図であり、図10(B)は、図10(A)に示すボトムケース3の内面3Gに形成されたストッパリブ70〜75とストッパリブ80をX2方向から見た平面図である。
図9(A)と図10(B)に示すように、第2リブである2つのストッパリブ80がボトムケース3の内面3Gにおいて対向する位置に形成されている。図10(A)に示すように、これらのストッパリブ80は、Z方向に沿って形成され、高さH1と幅W1を有している。
【0039】
図10(B)に示すように、ストッパリブ70〜75は、Z方向に沿って形成されている。図10(A)に示すように、ストッパリブ70〜75の高さH2は、ストッパリブ80の高さH1に比べて大きい。ストッパリブ70〜75の幅W2は、ストッパリブ80の幅W1に比べて小さい。すなわち、ストッパリブ80は、ストッパリブ70〜75に比べて、Y方向に関する幅W1は広いが高さH1が低く形成されている。
これにより、図10(A)に示すように、液晶表示部ホルダー10は、ボトムケース3の内面3Gに形成されたストッパリブ70〜75とストッパリブ80により保持される。すなわち、ストッパリブ70〜75は、液晶表示部ホルダー10の左右端面10Mを支え、しかも液晶表示部ホルダー10がY方向(左右方向)に関して移動するのを防止する機能を果たす。そして、ストッパ80,80は、ボトムケース3の内底面に対面する液晶表示部ホルダー10の下面部分10Nを支えて(図2に示す基板6を介して支えてもよい)、液晶表示部ホルダー10をボトムケース3に実装しやすくなり、実装された後はZ1方向(下方向)に下がるのを防止する機能を果たすことができる。
【0040】
図2に示す液晶表示部7の表示画面103は、すでに説明したように、各種の表示内容の情報を表示する必要があるので、比較的大型で重い。しかも、使用者が表示画面103の各情報内容を見易くするために、できる限りフロントカバー5の窓部分5A寄りの位置に持ち上げるようにして配置されている。しかし、ストッパリブ70〜75とストッパリブ80が設けられているので、液晶表示部ホルダー10をボトムケース3に実装しやすくなり、実装された後は、体温計1を落下させてしまった場合であっても、液晶表示部7を保持している液晶表示部ホルダー10がボトムケース3に対して、Z1方向(下方向)とY方向に動いてしまうのを防ぎ、液晶表示部7を安定して固定することができる。
【0041】
図11は、図1に示す体温計1を収納して保護するための収納ケース300を示している。図11(A)はこの収納ケース300の平面図、図11(B)は収納ケース300の側面図、図11(C)は図11(A)の収納ケース300のA−A線における断面図、図11(D)は図11(A)の収納ケース300のC−C線における断面図、図11(E)は図11(A)の収納ケース300のB−B線における断面図である。
【0042】
この収納ケース300は、プラスチックにより筒状に形成され、先端部301が除々に先細りになって閉じた形状になるように作られており、図11(C)に示すように、収納ケース300の先端部301には、空気抜き穴302が形成されている。収納ケース300の後端部330には、体温計1の先端部を挿入するための開口部340が形成されている。そして、収納ケース300の内周面には、複数のガイド用リブ303〜313が形成されている。
このように、ガイド用リブ303〜313が、収納ケース300の内周面に形成されていることにより、図11(C)に示すように、体温計1の先端部が、ガイド用リブ303〜313により、収納ケース300の内部に円滑にT方向に案内され、キャップ4Cを先端部収納部350内に収めることができる。これにより、体温計1の先端部のキャップ4Cが、収納ケース300の内部で引っかかってしまい、適切ではない個所で固定されてしまうことを防止することができる。
【0043】
本発明の実施形態では、電池は、電池押さえ部の押さえ用の突出部により電池が電池収容部内から外れないように保持することができる。そして、乳幼児が体温計に触れたとしても、電池ケースの隙間に指の爪が入らないようにして、電池ケース内から電池が外れるのを防ぐことができる。すなわち、装着された電池を取り外すための器具を挿入する溝部には、壁面部の延長部分が突出して設けられているので、乳幼児の指の爪が電池に直接触れるのを防ぐことができるので、電池ケース内から電池が外れてしまうことを防いで、電池の誤飲を防げる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
本発明の実施形態の電池ケースは、女性用体温計1に適用されているが、これに限られず、通常の体温計、或いは血糖値計等の家庭に配備されている他の医療用機械器具に適用することも勿論できる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・女性用体温計(体温計の一例)、2・・・本体ケース(ケースの一例)、3・・・ボトムケース、4・・・延長胴体部、5・・・フロントカバー、6・・・基板、7・・・液晶表示部、8・・・機能選択部、10・・・液晶表示部ホルダー、11・・・ブザー部、13・・・蓋部材、20・・・電池ケース、21・・・電池収容部、24・・・第1電池押さえ部、24T・・・押さえ用の突出部、25・・・第2電池押さえ部、30R・・・壁面部、30W・・・壁面部の端部、40・・・延長部分、70〜76・・・ストッパリブ(第1リブ、保持突起群の一部)、80・・・ストッパリブ(第2リブ、保持突起群の一部)、260・・・電池、400・・・保持突起群、SP・・・凹状部、BW・・・隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン型電池が着脱可能に収容される凹状部を有する電池収容部と、前記凹状部の開口部を覆うようにして、前記電池収容部に着脱可能な蓋部材と、を備える電池ケースであって、
前記凹状部は、前記ボタン電池の外周面に隣接して前記ボタン電池の周囲に配置された壁面部を有し、
前記壁面部の一部及びこの一部に隣接した前記開口部の端面が連続して切り欠かれることで溝部が形成されており、
前記壁面部は、前記溝部に指先が挿入された際、前記指先が前記ボタン電池の外周面に接触することを規制するように、前記溝部に向けて突出した延長部分を有する
ことを特徴とする電池ケース。
【請求項2】
前記電池収容部は、前記蓋部材を接続せずに、前記ボタン電池を収容した状態において、前記ボタン電池の上面又は上面角部を押さえるためにオーバハング状に形成された突出部を有する電池押さえ部が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【請求項3】
ボタン型電池を着脱可能に装着する電池ケースを備えた電子体温計であって、
前記電池ケースは、前記ボタン型電池が収容される凹状部を有する電池収容部と、前記凹状部の開口部を覆うようにして、前記電池収容部に着脱可能な蓋部材とを備え、
前記凹状部は、前記ボタン電池の外周面に隣接して前記ボタン電池の周囲に配置された壁面部を有し、
前記壁面部の一部及びこの一部に隣接した前記開口部の端面が連続して切り欠かれることで溝部が形成されており、
前記壁面部は、前記溝部に指先が挿入された際、前記指先が前記ボタン電池の外周面に接触することを規制するように、前記溝部に向けて突出した延長部分を有する
ことを特徴とする電子体温計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−65424(P2013−65424A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202736(P2011−202736)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】