説明

電池システム

【課題】電池から外れにくいガス排出管を備えた電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の電池システム10は、ガス排出弁33を設けた電池30と、電池30の内圧が上昇したときにガス排出弁33から排出されるガスを排出するガス排出管35とを備える。本発明の電池システム10では、電池30の内圧の上昇により電池30が膨れることで、電池30とガス排出管35とが押し合う力が増加することを特徴とする。本発明によれば、電池30から外れにくいガス排出管35を備えた電池システム10を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される電池の需要が高まっているが、これらの用途に用いる電池には、電池の内部でガスを発生させるものがある。たとえば、リチウムイオン電池では、電池が異常発熱すると、電池内部でガスが発生して電池内部の圧力が極端に上昇し、電池が破裂するおそれがある。このような危険な事態を回避するため、電池内部でガスが発生しうる電池には、電池内で発生したガスを電池外に排出させるものとして、例えばガス排出弁が設けられている。
【0003】
しかしながら、このガス排出弁から排出されるガスが、車内に漏れた場合には搭乗者の健康を害するおそれがある。そこで、ガス排出弁から排出されるガスを搭乗者に危害を与えないところに誘導するためのガス排出管を備える電池が、提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−216731公報(第6頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、上面にガス排出口と、ガス排出口から排出されるガスを排出するガス排出通路とを備えた単電池を複数接続した組電池が記載されている。この組電池においては、単電池のガス排出部材と、これに隣接する単電池のガス排出部材とを互いに連結することにより、単電池の厚み方向と平行な方向に、ガス排出通路が設けられている。このガス排出通路を構成するガス排出部材は、単電池のガス排出口から上方に突出する突管部と、単電池の厚み方向に平行な方向に設けられた連結部とからなる。
【0005】
上記特許文献1に記載の組電池において、ガス排出部材は、その突管部を単電池のガス排出口に接合することにより取り付けられており、その連結部を隣接するガス排出部材の連結部に嵌め込むことで連結される。したがって、ガス排出部材の突管部と単電池のガス排出口との接合部分、および、隣接するガス排出部材との連結部分を強固に固着しておかないと、単電池が異常発熱して膨らんだ場合やガス排出口からガスが勢いよく噴出した場合などに前記接合部分や前記連結部分がはずれて、ガス漏れが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電池から外れにくいガス排出管を備えた電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして本発明は、ガス排出弁を設けた電池と、前記電池の内圧が上昇したときに前記ガス排出弁から排出されるガスを排出するガス排出管とを備えた電池システムであって、前記電池の内圧の上昇により当該電池が膨れることで前記電池と前記ガス排出管との押し合う力が増加することを特徴とする電池システムである。
【0008】
ところで、ガス排出弁に取り付けるガス排出管の位置ずれを防止する方法として、隣接しあう電池の外壁面の間にガス排出管を圧入することにより、ガス排出管を固定することが考えられる。ガス排出管などのガス排出部材の材料としては、合成樹脂を用いることが一般的であるが、合成樹脂は、長時間強い圧力がかかっている状態におくと、ゆっくりと変形する性質(クリープ現象という)を有しているため、電池が異常発熱して膨らむまでの間に、ガス排出管が変形してしまう可能性がある。このようにしてガス排出管が変形すると、電池の内圧が異常に上昇して電池が変形したりガス排出弁からガスが勢いよく噴出した際に、ガス排出管がガス排出弁から外れたり、ガス排出管の位置ずれが生じることが懸念される。
【0009】
上記したように、ガス排出管がガス排出弁から外れ易いのは、電池の内圧が異常に上昇して電池が変形したりガス排出弁が開いてガスが勢いよく噴出したときである。
そこで、本発明では電池の内圧が上昇したときに電池が膨れることによって、電池とガス排出管とが押し合う力が増加する構成とした。
従って、本発明によれば、ガス排出管がガス排出弁から外れやすくなるときと同時、あるいは、その直前に、電池によるガス排出管の圧迫力が電池の膨れによって強くなる。つまり、ガス排出管を強く抑える必要が生じた場合のみに限定して、ガス排出管を圧迫力が強くなって、接続されている電池に強固に固定される。したがって、電池の内圧上昇が生じていない通常の状態では、ガス排出管の電池による圧迫強度を弱く設定することができる。
その結果、上記のクリープ現象は抑制され、ガス排出管が大きく変形するのを防止することができ、これによりガス排出弁からガスが噴出した場合であっても、ガス排出管が電池から外れ難くすることができるのである。
【0010】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記ガス排出管を、前記電池の内圧が上昇したときに前記ガス排出管と押し合う電池と、この電池及び前記ガス排出管以外の別の部材との間に配して、前記電池の内圧が上昇したときに、前記ガス排出管が、前記電池と前記別の部材とから押されるような構成としてもよい。
上記のような構成とすると、電池の内圧が上昇したときに、ガス排出管が電池と別の部材との間に強固に挟まれて固定されるので好ましい。
【0011】
前記電池は電池ケースを備え、前記電池ケースは面積が最も大きい最大面と、前記最大面よりも面積が小さい面であるとともに前記ガス排出弁を設けたガス排出弁設置面とを備え、前記電池の内圧が上昇したときの前記最大面における膨れを抑制する抑制部材を、前記電池ケースの周囲に設け、かつ、前記電池の内圧が上昇したときに、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と前記ガス排出管との押し合う力が増加する構成としてもよい。
【0012】
ガス排出弁から排出されるガスを排気するためのガス排出管はガス排出弁を設置したガス排出弁設置面から電池ケースの外側方向へ突出させて設けられるため、ガス排出弁を電池ケースの面積の大きい面に設ける場合、広い収納スペースが必要となる。一方、上記構成のように、ガス排出弁を電池ケースの面積の小さい面に設けると、省スペースとすることができる。
しかしながら、通常、電池の内圧が上昇した際の電池の膨れは、面積の大きい面で大きく、面積の小さい面では小さいので、ガス排出弁を電池ケースの面積の小さい面に設けた構成とすると、電池の内圧が上昇して電池が膨れたときに、電池とガス排出管とが押し合う力が増加し難くなることが懸念される。
そこで、上記構成においては、電池ケースの最大面における膨れを抑制する抑制部材を電池ケースの周囲に設けることにより、電池ケースの最大面における膨れを防止して、面積の小さい面が膨れ易い構成とした。その結果、上記構成によれば、電池とガス排出管とが押し合う力を充分に増加させることができる。
【0013】
前記電池は、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と、当該ガス排出弁設置面に対向する外側面とに、別の電池と電気的に接続可能な接続端子を備え、前記ガス排出管は、前記ガス排出弁に接続されるとともに、その内部に前記ガス排出弁からのガスが通る第1の排気通路を有する接続部と、前記接続部から連設されて、その内部に前記第1の排気通路と交差する方向に連通する第2の排気通路を有するとともに、別の電池のガス排出管と連結される連結部とからなり、前記電池を複数個、前記接続端子を介して接続することにより、前記ガス排出管の接続部を、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と、隣接する電池の前記電池ケースの外側面との間に配する構成としてもよい。
【0014】
このような構成とすると、電池の内圧上昇により電池が膨らんだ際に、当該膨れた電池の電池ケースのガス排出弁設置面と、隣接する電池の電池ケースの外壁面との間にガス排出管が挟まれて、強固に固定されるため、ガス排出管を固定するための別部材が不要である。
さらに、上記構成では、複数の電池を接続する接続端子が、ガス排出弁設置面に設けられているから、ガス排出管の接続部が挟まれているスペースに、電池の接続端子と、この端子に接続される隣接する電池の接続端子とが配されるため、接続端子のためのスペースを別途設ける必要がないので、省スペースとすることができ、好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池から外れにくいガス排出管を備えた電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明を電気自動車に搭載するリチウムイオン電池に適用した実施形態1を図1ないし図6によって説明する。
図1に示すように、本実施形態の組電池10は、略直方体状をなしており、組電池10の長手方向に対して平行に配した樹脂製の2枚の側板11の間に、樹脂枠12で取り囲まれた電池列20を、5列並列してなる。
【0017】
詳しくは、本実施形態の組電池10においては、2枚の絶縁フィルム13,13の間に挟まれた電池列20が、隣接しあう電池列20の間、および、隣接する側板11との間に、樹脂製のスペーサー18を挟んだ状態で並列している(図1及び図2を参照)。電池列20の間に挟まれる絶縁フィルム13及びスペーサー18には、各単電池30に設けたガス排出管35の連結部38(詳細は後述する)を挿通させる挿通孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0018】
スペーサー18の上端および下端には、組電池10の上面及び下面に配された固定部材14を係止するための係止部19が突設されている。なお、スペーサー18の上端に設けた係止部19は前記挿通孔のすぐ上に位置している。
【0019】
組電池10の上面及び下面に配した固定部材14は、組電池10の長手方向に対して垂直方向に、5つ配されており電池列20の位置ずれを防止している。固定部材14は、スペーサー18に設けた係止部19により係止されるとともに、側板11にリベット15留めされている。
【0020】
組電池10の上面に配されている固定部材14のうち、ガス排出管35の連結部38の上に配されている固定部材14は、ガス排出管35の連結部38と隣接する電池列20のガス排出管35の連結部38とを連結してなる連結管(図示せず)の移動を抑制して、ガス排出管35の位置ずれを防止する機能も有している。
【0021】
組電池10の側板11の上端には、組電池10の長手方向に対して平行に2つの溝16,16が設けられている。2つの溝16,16には、それぞれ、電池列20を構成する単電池30から排出されたガスを集めて車外に排出するためのガス収集管17が収容されている。このガス収集管17には、端部に位置するガス排出管35の連結部38が連結されており、ガス収集管17の端部には図示しないガス排出ホースがさらに接続されて、単電池30からガス排出管35に排出されたガスを車外、又は、人の搭乗していない車内のスペースへ導くようになっている。
【0022】
組電池10を構成する電池列20は、図3に示すように、角筒型の単電池30を4つ接続して構成される。電池列20は、単電池30の負極端子31と、当該単電池30と隣接する単電池30の正極端子32とを接続することにより構成される。すなわち、単電池の正極端子32および負極端子31は隣接する単電池と電気的に接続可能な接続端子31,32に相当する。
隣接しあう2つの単電池30,30の間には、ガス排出管35の接続部37が配されている。
【0023】
電池列20を構成する単電池30(本発明の電池に相当)は、図4に示すように、角筒状をなす電池ケース30Aを備える。電池ケース30Aは、面積が最も大きい最大面30Bと、最大面30Bよりも面積が小さい面であるとともに、単電池30内で発生したガスを排出する非復帰式のガス排出弁33を設けたガス排出弁設置面30C(図における上面)とを備える。
電池ケース30Aのガス排出弁設置面30Cには、ガス排出弁33以外に、当該ガス排出弁33に接続される合成樹脂製のガス排出管35と、注液口34と、隣接する単電池30と接続される負極端子31(または正極端子32)とを備える。本実施形態で設けた非復帰式のガス排出弁33は、金属薄膜からなり、電池の内圧が上昇して金属箔膜が破れると、そこからガスが噴出して電池の内圧を低下させることができ好適である。
なお、図4および図5における上側面は、図1〜図3および図6の左側面に対応する。
【0024】
ガス排出弁33の上側(図4および図5における上側)には、口径と高さの異なる2つの円筒を同心円状に配した形状をなし、ガス排出管35が接続される接続部材41が設けられている。接続部材41の外側の円筒部41Aには単電池30のガス排出弁設置面30Cに接合される半円状の接合部41Cが設けられており、接続部材41の内側の円筒部41Bには切り欠け41Eが設けられて、ガス排出弁33から排出されたガスがガス排出管35の連結部38の方向に円滑に流れるようになっている。
【0025】
さて、ガス排出弁33に接続されるガス排出管35は、図4に示すように、ガス排出弁33に接続される角筒状の接続部37と、接続部37から連設されて別のガス排出管35と連結される円筒状の連結部38とからなる。
【0026】
ガス排出管35の接続部37は、2つの単電池30の外壁面に接するように配されている。詳しくはガス排出管35の接続部37は、当該ガス排出管35を接続した単電池30のガス排出弁設置面30Cと、この単電池30に接続される隣接する単電池30の外壁面との間に接触するように配される。すなわち単電池30とこの単電池30に隣接する単電池30とは、ガス排出管35の接続部37の厚さの分だけ離れている。
【0027】
ガス排出管35の連結部38は、隣接しあう2つの単電池の間の空間から突出して、他のガス排出管35と連結される端部39を電池列20に対して垂直な方向(隣接する電池列20または側板11の方向)に向けて配されている。
【0028】
ガス排出管35の接続部37には、図5に示すように、ガス排出弁33から排出されるガスが入る排気入口36と、この排気入口36から連結部38の方向に連通する第1の排気通路37Aとが設けられている。ガス排出管35の連結部38には、接続部37に設けた第1の排気通路37Aに連通して、この第1の排気通路37Aに対して交差する方向に第2の排気通路38Aが設けられている。なお、当該第2の排気通路38Aは、ガス排出管35の連結部38の一端部39Aから、他端部39Bにかけて貫通している。
【0029】
接続部37に設けた排気入口36は、ガス排出弁33の上に設けた接続部材41を嵌め入れ可能な形状をなしている。具体的には接続部37の排気入口36は、図5における下側方向に突設された円筒状の接続突部36Aと、この接続突部36Aより口径を小さくすることにより形成した段差部36Bとからなる。なお、接続突部36Aには、接続部材41に設けた接合部41Cに対応して、切欠部36Cが設けられている。
【0030】
従って、ガス排出管35をガス排出弁33の上に設けた接続部材41に嵌め込むと、排気入口36の接続突部36Aは、接続部材41の外側の円筒部41Aよりも外側に配され、排気入口36の段差部36Bに接続部材41の外側の円筒部41Aの上端が当接し、接続突部36Aに設けた切欠部36Cには、接続部材41の接合部41Cが配される。そして、ガス排出管35の接続部37の排気入口36を備える面は単電池30のガス排出弁設置面30Cと面接触する。
【0031】
本実施形態では、ガス排出管35の連結部38は、隣接する電池列20の単電池30に設けたガス排出管35の連結部38にオーリング(図示せず)を介して連結され、端部に位置するガス排出管35の連結部38はオーリングを介してガス収集管17に連結される(図1および図6を参照)。
【0032】
ガス排出管35の連結部38は、その端部39がガス排出管35の連結部38またはガス収集管17と連結可能な形状をなしている。具体的にはガス排出管35の連結部38の端部39のうち、図5における手前側の一端部39Aは、手前側の直径を奥側の直径よりも小さくした段付き状に突出形成されており、奥側の他端部39Bは扁平な形状をなしている。
【0033】
段付き状に形成された一端部39Aは、絶縁フィルム13の挿通孔、スペーサー18の挿通孔が挿通されるとともに、オーリングを挟んで、別のガス排出管35の連結部38またはガス収集管17にはめ込まれるようになっている。一方、扁平な形状をなす他端部39Bは、隣接する電池列20のガス排出管35の連結部38の段付き状に形成された一端部39Aが嵌め入れられるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の組電池10の作用について説明する。
本実施形態の組電池10において、組電池10を構成する単電池30が異常発熱した場合、単電池30の内部ではガスが発生して、当該単電池30は膨らむ。膨らんだ単電池30に配されているガス排出管35の接続部37は、当該単電池30に圧迫されて、隣接する単電池30の外壁面に押し付けられて強固に固定される。そして単電池30の内部の圧力を下げるために、単電池30のガス排出弁33から電池内で発生したガスが排出される。
【0035】
当該ガス排出弁33から排出されたガスは、ガス排出管35の接続部37に設けた排気入口36から第1の排気通路37Aを通ってガス連結部38に設けた第2の排気通路38Aの方向へ移動する。
第2の排気通路38Aに移動したガスは、2以上のガス排出管35の連結部38を連結してなる連結管を通ってガス収集管17に移動するか、あるいは、直接ガス収集管17に移動し、ガス収集管17からガス排出ホースを通って車外、または、人の搭乗しているスペース以外の車内のスペースに移動する。
【0036】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、単電池30の内圧が上昇したときのみ、ガス排出管35の接続部37は、単電池30の外壁面(ガス排出弁設置面30C)と当該単電池30に隣接する単電池30の外壁面とから強く圧迫される。したがって、本実施形態によれば、電池内圧が正常な状態においては、2つの単電池30の外壁面から強い圧迫力を受けずにガス排出管35を配することが可能となるので、クリープ現象の問題を抑制することができる。
【0037】
そして、本実施形態においては、単電池30が異常発熱して膨らんだ場合に、ガス排出管35の接続部37は、膨らんだ単電池30から強く圧迫されて強固に固定されるので、位置ずれが起こり難い。その結果、本実施形態によれば、電池30から外れにくいガス排出管35を備えた組電池10を提供することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、2枚の側板11の間に、5列の電池列が並列して配されるとともに、隣接しあう電池列20の間には絶縁フィルム13と、スペーサー18とが配されている。従って、本実施形態によれば、2枚の側板11と絶縁フィルム13とスペーサーとが、電池ケース30Aの最大面30Bにおける膨れを抑制する抑制部材として機能し、電池ケース30Aの面積の小さい面(ガス排出弁設置面30C)が膨れ易くなるので、電池30とガス排出管35とが押し合う力を充分に増加させることができる。
【0039】
また本実施形態によれば、ガス排出管35の連結部38は円筒状をなし、オーリングを介して別のガス排出管35の連結部38と連結されるので、連結部38の気密性を向上させることができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、ガス排出管35の連結部38の上に配されて、ガス排出管35の連結部38と別のガス排出管35の連結部38とを連結した部分を固定する固定部材14を備えるから、ガス排出管35の連結部38の移動を抑制するとともに、連結部38の位置ずれを有効に防止することができる。
【0041】
ところで、上記特許文献1に記載の電池のように、単電池を複数接続してなる電池列の外側方向へ、隣接する単電池と電気的に接続するための接続端子が突出形成された構成のものでは、電池列の外側方向に接続端子のためのスペースが必要となるため、電池の容積の増大が懸念される。
【0042】
本実施形態によれば、隣接する単電池30と電気的に接続するための接続端子31,32はガス排出管設置面に設けられている。このガス排出管設置面は、少なくとも、ガス排出管の接続部の厚さだけ隣の電池と離れており、本実施形態では、この電池間のスペースに接続端子31,32を設けたから、接続端子31,32のためのスペースを別途設ける必要はない。また、電池列20の側面においても、接続端子31,32のためのスペースを別途設ける必要はない。
その結果、本実施形態によれば、省スペースとすることが可能である。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では本発明をリチウムイオン電池に適用した例を示したが、本発明はニッケル水素電池などの他の電池に適用してもよい。
(2)上記実施形態では本発明を組電池に適用した例を示したが、単電池であってもよい。
(3)上記実施形態では、ガス排出管が電池と電池との間に挟まれている構成のものを示したが、ガス排出管は電池と電池以外の別の部材(圧迫部材など)との間に挟まれていてもよいし、ガス排出管と、電池または別の部材との間に、フィルム状または板状の部材を挟んだものであってもよい。
【0044】
(4)上記実施形態では、第1の排気通路と第2の排気通路を有し、連結部を介して連結するガス排出管を示したが、たとえば、1本の直線状のガス排出管の1側面に複数の電池と接続されるための複数の穴が等間隔で設けられており、その両側に電池列が配置される構造のものであってもよい。
(5)上記実施形態では、ガス排出弁と、接続端子とを同じ面に設けたものを示したが、接続端子はガス排出弁設置面とは別の面に設けたものであってもよい。
(6)上記実施形態では角筒状の電池ケースを備える電池を示したが電池ケースは円筒状などであってもよい。
(7)上記実施形態では、非復帰式のガス排出弁を備えるものを示したが、復帰式のガス排出弁を備えるものであってもよい。
【0045】
(8)上記実施形態では、ガス排出管の接続部が角筒状をなすものを示したが、ガス排出管の接続部は、円筒状などであってもよい。
(9)上記実施形態では、ガス排出管の連結部が円筒状をなしてオーリングを介して他のガス排出管に連結されるものを示したが、連結部は円筒状でなくてもよいし、オーリングを備えないものであってもよい。
(10)上記実施形態では、ガス排出管の連結部を他のガス排出管の連結部と連結した部分を固定する固定部材を備えるものを示したが、固定部材を備えないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態1の組電池を示す斜視図
【図2】図1に示した組電池の側面概略図
【図3】組電池を構成する電池列を示す斜視図
【図4】電池列の一部を示す斜視図であって、上下に接続端子が配されるように描いた図
【図5】図4の一部を拡大して示した斜視図
【図6】ガス排出管の連結方向を示す斜視図
【符号の説明】
【0047】
10…組電池(電池システム)
30…単電池(電池)
31…負極端子(接続端子)
32…正極端子(接続端子)
33…ガス排出弁
35…ガス排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出弁を設けた電池と、前記電池の内圧が上昇したときに前記ガス排出弁から排出されるガスを排出するガス排出管とを備えた電池システムであって、
前記電池の内圧の上昇により当該電池が膨れることで前記電池と前記ガス排出管との押し合う力が増加することを特徴とする電池システム。
【請求項2】
前記ガス排出管を、前記電池の内圧が上昇したときに前記ガス排出管と押し合う電池と、この電池及び前記ガス排出管以外の別の部材との間に配して、前記電池の内圧が上昇したときに、前記ガス排出管が、前記電池と前記別の部材とから押されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記電池は電池ケースを備え、
前記電池ケースは面積が最も大きい最大面と、前記最大面よりも面積が小さい面であるとともに前記ガス排出弁を設けたガス排出弁設置面とを備え、
前記電池の内圧が上昇したときの前記最大面における膨れを抑制する抑制部材を、前記電池ケースの周囲に設け、かつ、
前記電池の内圧が上昇したときに、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と前記ガス排出管との押し合う力が増加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池システム。
【請求項4】
前記電池は、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と、当該ガス排出弁設置面に対向する外側面とに、別の電池と電気的に接続可能な接続端子を備え、
前記ガス排出管は、前記ガス排出弁に接続されるとともに、その内部に前記ガス排出弁からのガスが通る第1の排気通路を有する接続部と、
前記接続部から連設されて、その内部に前記第1の排気通路と交差する方向に連通する第2の排気通路を有するとともに、別の電池のガス排出管と連結される連結部とからなり、
前記電池を複数個、前記接続端子を介して接続することにより、前記ガス排出管の接続部を、前記電池ケースの前記ガス排出弁設置面と、隣接する電池の前記電池ケースの外側面との間に配したことを特徴とする請求項3に記載の電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49942(P2010−49942A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213234(P2008−213234)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(304021440)株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション (461)
【Fターム(参考)】