説明

電池セル

【課題】センサを内蔵しつつも良好な電池性能を発揮する電池セルを提供する。
【解決手段】本発明の電池セル1は、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第1の積層電極体11と、第1の積層電極体11に配置される第1のスペーサ12とを備えた第1の電池ブロック9と、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第2の積層電極体11と、第2の積層電極体11に配置される第2のスペーサ12とを備えた第2の電池ブロック10と、第1の電池ブロック9と第2の電池ブロック10とが第1のスペーサ12と第2のスペーサ12とを接して収納される電池容器2と、センサ15とを有する。センサ15は、第1のスペーサ12と第2のスペーサ12との間に形成されるセンサ配置領域に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを備えた電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
電池には、放電のみ行う一次電池や充放電可能な二次電池があるが、いずれも使用時に発熱する現象が知られている。当該発熱により電池温度が上昇すると良好な電池性能が得られない可能性があるため、電池単体、すなわち電池セルの電池温度を計測すべく電池セル近辺に温度センサを配置し(特許文献1および特許文献2参照)、適宜冷却等して電池性能を良好に保つ試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−14171号公報
【特許文献2】特開2006−4911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献のように電池容器の近傍であっても外部に温度センサを配置しては、発熱している電池セル内部の正確な温度を正確に把握することは難しい。従って、電池性能を良好に保つための冷却制御等は複雑なものとなる。一方、仮に電池セル内部に安易に温度センサを内蔵すると、例えば電池容器内の電極板に接触させて温度センサを配置すると、電極板に歪や損傷が生じ、電池性能がかえって劣化するおそれもある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑み成されたものであって、センサを内蔵しつつも良好な電池性能を発揮する電池セルを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池セルは、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第1の積層電極体と、前記第1の積層電極体に配置される第1のスペーサとを備えた第1の電池ブロックと、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第2の積層電極体と、前記第2の積層電極体に配置される第2のスペーサとを備えた第2の電池ブロックと、前記第1の電池ブロックと前記第2の電池ブロックとが前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとを接して収納される電池容器と、センサと、を有し、前記センサは、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとの間に形成されるセンサ配置領域に配置されることを特徴とする。
【0007】
上記の電池セルは、第1の電池ブロックの第1のスペーサと第2の電池ブロックの第2のスペーサとの間に形成されるセンサ配置領域にセンサが配置されているので、積層電極体を構成する電極板に歪や損傷が生じることが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
従って、本発明によれば、センサを内蔵しつつも良好な電池性能を発揮する電池セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の電池セルの構成を模式的に示す分解図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】図1のB−B’線断面図である。
【図4】図1に示す第2電池ブロックの詳細を示す模式図である。
【図5】図1に示すスペーサの変形例を示す平面図(a)および断面図(b)である。
【図6】第2実施形態の電池セルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。説明に用いる図面において、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。実施形態において同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電池セルの構成を模式的に示す分解図である。図1に示す電池セル1は、例えば角型のリチウムイオン二次電池セルである。
第1実施形態の電池セルは、電池容器に後述の電池ブロックを複数挿入且つセンサを当該複数の電池ブロック間に配置し、電極端子が備えられた蓋で電池容器を密閉されて構成される(電解液も電池容器内に貯留される)。以下、図1乃至図4を用いて、またいずれの図においても同一の直交座標系を用いて詳述する。
【0012】
図1に示すように、電池容器2は上述の角型である。すなわち、電池容器2は、Y軸方向に長辺(長さL)且つX軸方向に短辺(長さl(小文字のエル))を配置した略矩形の底面を持ち、当該底面の全ての辺に接続して当該底面に垂直方向(+Z方向)に伸びる壁面を持つ容器である。
【0013】
蓋3は、電池容器2の上記底面と実質的に同一の板状の形状であり、電極端子(正極端子4又は負極端子5)が当該板状の形状の両面に貫通して固定されている。また、電解液を注液する注液孔7(図3参照)も形成されている。電池容器2と蓋3は、電解液等で変質しない絶縁性のプラスチック樹脂製でもよいし、アルミニウム等の導電性の金属製であってもよい。これらが互いに同一材料であると、溶接又は接着・熱溶着等で電池容器2と蓋3との上記密閉を効果的に行うことができる。これらが導電性の場合には、図1に示すように、電極端子が蓋3と電気的に接続しないように、電極端子と蓋3との間にプラスチック樹脂等の絶縁性部材6を設ける。
【0014】
なお、当該密閉の段階では注液孔7が埋められていないため、厳密な意味では実質的に完全な密閉状態ではない。当該密閉の後、注液孔7から電解液(図示せず)を注液し、ネジ等の封止部材8により注液孔7を塞いで上記実質的に完全な密閉状態とする。当該実質的に完全な密閉状態をより完全なものとするため、封止部材8は蓋3と同一材料であることが望ましい。
【0015】
電池容器2内には、少なくとも2つの電池ブロックが内蔵される。図1では、第1電池ブロック9と第2電池ブロック10の2つの電池ブロックが示されている。第1電池ブロック9と第2電池ブロック10は、製造容易の観点から同一の構成としており、説明容易のため、「第1」及び「第2」と区別している。
【0016】
かようにいずれの電池ブロックも同一構成であるため、ここでは1つの電池ブロックの詳細を説明するにあたり、第2電池ブロック10を例にとり、図4を用いて説明する。
電池ブロックは、正極板と負極板とがセパレータを介して積層された積層電極体11と、積層電極体11の周囲を取り囲む形状の樹脂製(例えば絶縁性のプラスチック樹脂製)のスペーサを備えている。図4では、実質的に幅W×高さh×厚みtの矩形で板状の第1スペーサ12が2つと、実質的に幅w×高さh×厚みtの矩形で板状の第2スペーサ13が2つ示されている(ただし、W>wである)。
【0017】
第1スペーサ12及び第2スペーサ13には、積層電極体11への電解液の浸透を良好とするために、後述の凸部17の配置を阻害しない位置に貫通孔16が形成されている(電解液の浸透を効果的にするために図示のように複数形成するのが望ましい)。また、第1スペーサ12及び第2スペーサ13には、積層電極体11を電池セル1の振動等から保護するため、突起した形状の複数の凸部17(高さd)が形成されている。凸部17は、板状の第1スペーサ12及び第2スペーサ13の裏面から押圧し且つ変形させることで形成することができる(図4では、第1スペーサ12及び第2スペーサ13ともに、凸部17が形成されている一方の面を表面、その他方の面を裏面という)。凸部は、当該表面から見て円筒形状やドーム形状など、上記保護の機能を有するものであればいかような形状でもよい。複数の凸部17は、隣り合う凸部17とは所定間隔空け且つ一定の規則性をもって配置される。従って、碁盤の目のように第1スペーサ12及び第2スペーサ13へ凸部17を配置してもよいし、千鳥状に第1スペーサ12及び第2スペーサ13へ凸部17を配置してもよい。
【0018】
ただし、第1スペーサ12において、上記規則性に従えば配置されるはずの凸部17のうち、一部の凸部17については形成されていない(上記規則性に従えば配置されるはずの凸部17の形成領域であって、実際には凸部17の形成がなされない領域を凸部不形成領域12aという)。後に詳述するが、これは、凸部不形成領域12aを含み且つ第1スペーサ12の表面に沿って凸部不形成領域12aを放射状に取り囲んでいる複数の凸部17を結んで形成される領域に、センサ15を載置する空間を確保するためである。
【0019】
2つの第1スペーサ12がそれらの裏面を積層電極体11へ向け且つ積層電極体11を挟んで配置され、また、2つの第2スペーサ13がそれらの裏面を積層電極体11へ向け且つ第1スペーサ12の裏面と垂直方向に2つの第2スペーサ13の裏面が配置され且つ積層電極体11を挟んで配置されている。すなわち、これら4つのスペーサで取り囲んだ空間に積層電極体11が配置されて上記電池ブロックとなる。
【0020】
図4では、これら4つのスペーサを互いに組み木状に組み合わせ容易とするため、第1スペーサ12のZ軸方向へ向かう辺であって−Y側に存在する辺から+Y方向に凹形状の切り欠きを2つ設け、第1スペーサ12のZ軸方向へ向かう辺であって+Y側に存在する辺から−Y方向に凹形状の切り欠きを2つ設け、第2スペーサ13のZ軸方向へ向かう辺であって−X側に存在する辺から−X方向に凸形状の突起を上記凹形状の切り欠きに対応する位置に2つ設け、第2スペーサ13のZ軸方向へ向かう辺であって+X側に存在する辺から+X方向に凸形状の突起を上記凹形状の切り欠きに対応する位置に2つ設けている。当該凹形状の切り欠きと当該凸形状の突起を嵌め合わせることで、上記4つのスペーサは、積層電極体11を四方から挟む井桁の形状を維持することができる。
【0021】
当該凹形状の切り欠きと当該凸形状の突起を形成しない場合には、電池ブロックを形成する際に、上記4つのスペーサを積層電極体11に適宜接触・配置した上、絶縁性テープ等でこれら全てのスペーサを巻く等し、これら全てのスペーサを物理的に接続させることとなる。しかしながら、上記凹形状の切り欠き又は上記凸形状の突起を各スペーサに形成することで、これらを嵌め合わせて容易に電池ブロックを形成でき、従って、生産性を向上することができる。
【0022】
そして、上記のように構成される電池ブロックを並べて電池ユニット(ここでは、第1電池ブロック9及び第2電池ブロック10の2つの電池ブロックが並べられて電池ユニットとなる)とし、絶縁性のプラスチック樹脂等の緩衝材14(図1では簡便のため図示を省略。図2、図3参照)を電池容器2の底面に敷いた上で、電池ユニットを電池容器2の内部へ挿入する。このとき、第1スペーサ12と第2スペーサ13が挿入ガイドの機能を発揮するので、当該挿入は容易になり、且つ、積層電極体11が当該挿入の際に損傷することが防止できる。なお、緩衝材14は、実質的に上記底面を覆って配置され、電池セル1の高さ方向(Z方向)に振動が生じた場合においても、電池セル1に内蔵される電池ユニットに伝達される振動を緩和することができる。
【0023】
上記電池ユニットを電池容器2へ挿入した後、又は挿入する前に、センサ15が、凸部不形成領域12aを含み且つ第1スペーサ12の表面に沿って凸部不形成領域12aを放射状に取り囲んでいる複数の凸部17を結んで形成される領域(以下、センサ配置領域という)に配置される。第1電池ブロック9及び第2電池ブロック10は、互いの第1スペーサ12の凸部17が接触し合って電池ユニットを形成しているため、電池ブロックの積層方向(X軸方向)におけるセンサ配置領域の幅は、凸部の高さdを用いると、2×dで表される(図2参照)。
【0024】
また、センサ配置領域は、センサ15の外形を実質的に複数の凸部17によって少なくとも点で支えることでセンサ15が電池容器2内の所定位置に配置・固定され、電池セル1に振動等が加えられた場合においても電池容器2内でセンサ15が大きく暴れることのないように、その動きを第1スペーサ12の表面において規制すべく設計される。上述のように複数の凸部17によってセンサ15を点で支えることで、電解液の循環を遮ることを防止できるので、電池性能の優れた電池セル1とすることができる。もちろん、設計仕様に応じて、複数の凸部17を適宜連続してつないだ線状の構造として、すなわち点ではなく線でセンサ15の外形を支えるよう設計してもよい。当該線のみではなく、点と線を混在させてセンサ15の外形を支えるよう設計してもよい。
【0025】
なお、1つの電池ブロックを挟みこむ上述の2つの第1スペーサ12は同一構成としたが、2つの電池ブロックが接触する部位におけるそれぞれのスペーサで、上記センサ配置領域が形成されればよいので、必ずしもかように同一構成とする必要はない。第1スペーサ12に相当する2種のスペーサ12A及び12Bで1つの電池ブロックを挟み込み且つ2つの電池ブロックを並べた際の一例を図5に示す(他の構成は全て図1の構成と同様であるので説明を省略する)。
【0026】
スペーサ12A及び12Bは、図5(a)に示すように、互いに第1スペーサ12と同様の寸法であるが、図5(a)のC−C’線でのXY平面断面図(2つの電池ブロックが接触する箇所における互いのスペーサの断面図)である図5(b)に示すように、互いの複数の凸部17は同一パターンで形成されていない。スペーサ12A及び12Bを重ね合わせた際、互いの凸部17が重ねあわないように設計されており、従って、この場合には、センサ配置領域の幅は、凸部17の高さdと同一となる。2つの第1スペーサ12を用いる場合に比べ、かようにセンサ配置領域の幅を小さくすることができるので、上述の効果に加え、電池セルの小型化を促進することができる。
【0027】
また、ここでは、電池容器2に内蔵される電池ブロック間に発生する温度を計測するため、センサ15は温度センサとして説明する。しかしながら、電池ブロック間に発生する圧力を計測する場合には圧力センサなど、電池セル1の内部に発生する温度、圧力等のいかなるパラメータを計測するかによって、センサ15の種類を適宜変更可能である。また、センサが小型であって上記センサ配置領域における上記規制が容易でない場合には、センサの本体をセンサ収納容器15Aに収納してセンサ15とし、このセンサ収納容器15Aの外形を上記のように規制する構成としてもよい。
【0028】
本実施形態の電池セル1においては、センサ本体が温度センサである熱電対としているため、図1〜図4に示すように、当該熱電対をセンサ収納容器15Aに収納した構成としている。熱電対は異種金属が接合された構成であり、熱電対により温度計測を行う場合には、それぞれの異種金属に接続された配線15aと配線15bを電池セル1の外部へ取り出して、これら配線を電池セル1外部の電圧計23に接続する必要がある。そこで、これら2つの配線15a及び15bを束ねて、封止部材8と一体化させている。この構成により、注液孔7からこれらの配線を取り出し且つ注液後に封止部材8にて電池セル1を実質的に完全な密閉状態とすることができる。
【0029】
さらに、積層電極体11は、複数の正極板と複数の負極板とがそれぞれセパレータを介して順次積層された積層電極体(積層型積層電極体)でもよいし、1つの正極板と1つの負極板とが1つのセパレータを介して積層され且つ巻かれた状態の積層電極体(捲回型積層電極体)でもよい。
【0030】
図1及び図4では図示を省略しているが、図2及び図3に示すように、積層電極体11には正極板から延びる正極タブ19と負極板から延びる負極タブ20とが形成されており、それぞれ対応する正極リード21または負極リード22を介して、それぞれに対応する正極端子4または負極端子5に電気的に接続されている。
【0031】
電池セル1に振動等が加えられた場合においても電池容器2内で上記電池ユニットが大きく暴れることのないように、積層電極体11の厚み(X軸方向)が設計される。ここでは、2つの電池ブロックから1つの電池ユニットが形成されているので、積層電極体11の厚み(X軸方向)は、(l−((4×d)+(4×t)))/2と設計されている。この式中の「l」は、小文字のエルである。
【0032】
積層電極体11の高さ(Z軸方向)は、第1スペーサ12と第2スペーサ13によってしっかり挟みこまれるように、これらスペーサの高さhと実質的に同じ又は小さく、設計されている。なお、当該スペーサの高さhは、電池セル1の高さ方向(Z軸方向)の内寸Hと実質的に同じ又はやや小さめに設計される。
【0033】
以上の構成により、本実施形態の電池セルは、リチウム二次電池の充放電において最も高温となる電池セル内部の中央付近の温度をセンサにて計測することが可能となる。その際、電池ブロックのそれぞれ配置され且つ電池ブロック間に配置されるスペーサにより形成されるセンサ配置領域に当該センサが配置されるので、電極板の歪や損傷を防止しつつ良好な電池性能を発揮する電池セルを提供することができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、図6を用いて、第2実施形態の電池セルについて説明する。第1実施形態の電池セルとの相違点は、第1実施形態ではセンサ15の配線15a及び15bを2つとも注液孔7から取り出していたが、そのうち1本の配線のみを注液孔7から取り出し且つ他方の配線は取り出さない構成としている点である。他の構成は、第1実施形態の電池と同様であるので、第1実施形態と同一番号を付して当該番号の説明を省略する。
第2実施形態の電池セルでは、電池容器2と蓋3は、いずれも導電性のある材料、例えば金属で形成される。センサ15’から伸びる2本の配線15a’と15b’のうち、配線15a’は第1実施形態の電池セルと同様に電池セル外部に導かれ、電圧計23に接続される。
【0035】
配線15b’については、電池ユニットが電池容器2に挿入される前に、緩衝材14に配線15b’を貫通させる孔が形成されている以外は緩衝材14と同一の緩衝材14’に当該貫通させて、緩衝材14’を電池容器2の底に配置する。これにより、電池容器2と緩衝材14’との間に挟みこまれて配線15b’が電池容器2に接触し、且つ、電池容器2へ電池ユニットを挿入するとその重みにより配線15b’と電池容器2との接触がさらに強化される構成が得られる。
【0036】
封止部材8と電池容器2との間には金属端子25が配置され、金属端子25に接続された配線24が電圧計23に接続されることで、当該センサ15’の電圧計測(電圧による温度計測)がなされる。すなわち、この場合には、電池容器2及び蓋3が導電性のある材料であることにより、これらを実質的に配線として利用することができる。この構成により、注液孔7が小さく、電池セルに内蔵されるセンサの2つの配線を両方とも電池セル外部へ注液孔7を介して導き出すことが容易でない場合にも、適切にセンサを配置できるので、電池セルの小型化が可能とすることができる。
【0037】
なお、本実施形態のセンサは、第1実施形態で述べたと同様のものでもよい。電池容器2等を配線代わりに用いるため、例えば温度センサとしてその温度測定の精度が求められる場合には、センサ15’を一定の熱により断線するヒューズ等の温度センサとすれば、温度計測用の電圧計23では電気的に断線したか否かを計測するだけであるので、十分な精度を担保することができる。
【0038】
上記第1及び第2実施形態の電池セルでは、電池セルが2つの電池ブロックを備えている例を説明しているが、電池セルに含まれる電池ブロックの数は3以上でも構わない。電池セルが3以上の電池ブロックを備えている場合に、互いに隣り合う複数の電池ブロックのいずれの間にセンサが配置されていてもよいし、特定の電池ブロック間にセンサが配置されていてもよい。
【0039】
また、センサからそれに接続された配線が電池セル外部へ導き出される構成を示したが、当該センサから配線が電池セル外部へ導き出される構成でなくともよい。当該センサから当該センサに内蔵された無線装置によって無線によりその測定情報が電池セル外部へ伝達される構成としてもよいし、電池セルを分解した際に初めてその測定情報の履歴が得られる構成としてもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態の電池セルはリチウムイオン二次電池セルを一例として説明を行ったが、一次電池や二次電池等のいかなる電池の電池セルにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・電池セル、2・・・電池容器、3・・・蓋、4・・・正極端子、5・・・負極端子、6・・・絶縁性部材、7・・・注液孔、8・・・封止部材、9・・・第1の電池ブロック、10・・・第2の電池ブロック、11・・・積層電極体、12・・・第1スペーサ(第1のスペーサ、第2のスペーサ)、13・・・第2スペーサ(第3のスペーサ、第4のスペーサ)、14、14’・・・緩衝材、15・・・センサ、15A・・・センサ収納容器、15a・・・第1配線、15b・・・第2配線、15a’・・・第1配線、15b’・・・第2配線、16・・・貫通孔、17・・・凸部、18・・・凸部不形成領域、19・・・正極タブ、20・・・負極タブ、21・・・正極リード、22・・・負極リード、23・・・電圧計、24・・・配線、25・・・金属端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第1の積層電極体と、前記第1の積層電極体に配置される第1のスペーサとを備えた第1の電池ブロックと、
正極板と負極板とがセパレータを介して積層された第2の積層電極体と、前記第2の積層電極体に配置される第2のスペーサとを備えた第2の電池ブロックと、
前記第1の電池ブロックと前記第2の電池ブロックとが前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとを接して収納される電池容器と、
センサと、を有し、
前記センサは、前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとの間に形成されるセンサ配置領域に配置されることを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記第1のスペーサ又は前記第2のスペーサの表面には複数の凸部が形成され、
前記センサ配置領域に配置された前記センサは、実質的に前記複数の凸部によって前記センサの外形の一部が少なくとも点で支えられ且つ規制されることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1の電池ブロックは、前記第1の積層電極体を2つの前記第1のスペーサで挟みこんで構成され、
前記第2の電池ブロックは、前記第2の積層電極体を2つの前記第2のスペーサで挟みこんで構成されることを特徴とする請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1の電池ブロックは、2つの前記第1のスペーサとで前記第1の積層電極体の周りを井桁状に取り囲む2つの第3のスペーサをさらに備え、
前記第2の電池ブロックは、2つの前記第2のスペーサとで前記第2の積層電極体の周りを井桁状に取り囲む2つの第4のスペーサをさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記センサ配置領域に配置された前記センサは、前記センサの外形の一部が少なくとも線で支えられ且つ規制されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1の積層電極体と前記第2の積層電極体はいずれも積層型であり、
前記第1のスペーサと前記第2のスペーサは実質的に同一構成であって、
前記第3のスペーサと前記第4のスペーサは実質的に同一構成であって、
前記センサは温度センサであることを特徴とする請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記電池容器は導電性であり、
前記センサは2本の配線を備え、
前記配線のうち一方の配線は前記電池容器に電気的に接続されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−104341(P2012−104341A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251127(P2010−251127)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】