電池パック
【課題】電池パックを電池駆動機器と機械的に接続し、かつ電気的な接続をも正確に行えるように、機械的、電気的な接続の精度を、簡易な構成で高める。
【解決手段】電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、充電可能な一以上の二次電池1と、二次電池1を収納する電池ケース31と、電池ケース31を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、電気接続部を固定したパック基板74とを備えており、電池ケース31が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、パック基板74が、第一ケーシングの内面に固定されており、さらに装着機構を、第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設ける。
【解決手段】電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、充電可能な一以上の二次電池1と、二次電池1を収納する電池ケース31と、電池ケース31を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、電気接続部を固定したパック基板74とを備えており、電池ケース31が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、パック基板74が、第一ケーシングの内面に固定されており、さらに装着機構を、第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具や電動芝刈り機、電動ブロワ等の電池駆動機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電池駆動機器は、充電できる電池を内蔵している電池パックを脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電池駆動機器から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電することにより繰り返し使用できる。内蔵する電池パックの残容量が少なくなった電池パックは、電池パック用の充電器にセットすることで充電できる。
【0003】
このような電池パックの一例を、図31〜図33に示す。これらの図において、図31は従来の電池パック30Xを電池パック用充電器に装着する状態を示す斜視図、図32は従来の電池パック30Xを電動工具PTに装着した状態を示す斜視図、図33は図31の電池パック30Xを示す斜視図を、それぞれ示している。例えば残容量の少なくなった電池パック30Xは、図31に示すような電池パック用充電器100に装着して充電され、充電終了後は電池パック用充電器100から取り外され、図32に示すような電動工具PTに装着して充電される。このように、電池パック30Xを電池パック用充電器100や電動工具PTに着脱自在に装着するよう、電池パック30Xは図33の斜視図に示すように、係止フック54X及び着脱操作部52Xを設けている。係止フック54Xは、電池パック用充電器や電動工具PTに電池パック30Xを装着した状態で、これが脱落することを阻止する。図31の電池パック用充電器100や図32の電動工具PTは、それぞれ電池パック30Xを装着した状態でこの係止フック54Xに対応する位置に、係止フック54Xと係合される係止凹部17Xを形成している。図33の例においては、係止フック54Xは電池パック30Xから下方に突出されるように付勢されている。これにより、図31の電池パック用充電器100や図32の電動工具PTにそれぞれセットされた電池パック30Xは、係止フック54Xが係止凹部17Xに係合されて固定される。
【0004】
また係止フック54Xは着脱操作部52Xと連動しており、ユーザが着脱操作部52Xを手で上方向に押し上げることで、着脱操作部52Xを電池パック30X側に収納させる方向に後退させる。また着脱操作部52Xにはユーザが操作しやすいよう、凹部が設けられている。またユーザが着脱操作部52Xから手を離すと、付勢された係止フック54Xが再度電池パック30Xから突出する方向に押し出される。これによって、係止フック54Xは、電池パック用充電器100や電動工具PTに電池パック30Xを装着した状態で、これが脱落することを阻止する。
【0005】
また、電池パックを電池駆動機器に装着した状態で、電池パックの出力電力を電池駆動機器に供給するため、あるいは様々な電気信号をやりとりするため、これら間で電気的な接続も確立される。通常は、コネクタや外部接続端子等の電気的な接点同士を挿入、挟持等によって接続状態に維持することで、電気接続が図られている。
【0006】
このように電池パックを電池駆動機器に着脱する構造においては、物理的、機械的に電池パックを電池駆動機器に装着すると共に、電気的な接続をも同時に確立する必要がある。一般に、機械的な接続装着構造は、ラッチ部に設けた係止フックなどの構造でもって行われ、一方電気的な接続は、コネクタや外部接続端子を介して行われる。このように、機械的接続構造と電気的接続構造を分離させることで、機械的な接続強度の向上を図りつつ、電気接続の安定性や信頼性を個別に実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−236882号公報
【特許文献2】特開2004−236450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このように機械的な接続構造と電気的な接続構造とを分離させると、両者の間で正確な位置決めを行う必要が生じる。すなわち、機械的な連結が行われても、電気的な接続の位置がずれてしまうと、接点が安定せず、または電気的な接続が得られないこととなる。逆に電気的な接続を中心とし、機械的な接続構造が正確に得られない場合は、連結の安定性が図られないこととなる。このため、両者を正確に連結できるよう、電池パックの設計においては電気接続構造と機械的接続構造との位置決めが重要となる。
【0009】
しかしながら、一般に電池パックは図34の断面図に示すように、上下に二分割された電池ケースの内部に、二次電池1を収納した電池ホルダ70Yと、電池ホルダ70Yの上面に載置されたパック基板74Yとで構成されるところ、このように複数の部材で構成される電池パックは、各部材の位置決めにおける誤差や、各部材の製造時における製造公差等が累積される結果、位置決めの精度を向上させることは容易でなく、また各部材の製造や固定作業の精度を上げようとすれば、製造コストの著しい上昇を招く結果となる。例えば図34の構成においては、パック電池を外部の電池駆動機器と物理的に接続するための機械接続構造として係止フック54Xが上ケーシング31AY側に設けられており、また電気的に接続するためのコネクタ13Yがパック基板74Y上に固定されている。また、パック基板74Yは電池ホルダ70Y上に固定されており、さらに電池ホルダ70Yは下ケーシング31BY上に固定されている。この結果、上ケーシング31AYの係止フック54Xによる機械接続部位と、コネクタ13Yの電気接続部位との間に生じ得る誤差としては、図34においてクロスハッチングで示すように、コネクタ13Yとパック基板74Yとの固定、パック基板74Yと電池ホルダ70Yとの固定、電池ホルダ70Yと下ケーシング31BYとの固定、下ケーシング31BYと上ケーシング31AYとの固定、の計4箇所の固定部分でそれぞれ生じた接続時の誤差が累積されることとなる。さらに、これに加えて各部材の製造時の製造公差も加算されるため、電気接続と機械接続との間の位置決めを図ることは現実には容易でないことが理解される。
【0010】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、電池パックを電池駆動機器と機械的に接続し、かつ電気的な接続をも正確に行えるように、機械的、電気的な接続の精度を、簡易な構成で高めることを可能とした電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電池パックによれば、電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、充電可能な一以上の二次電池1と、前記二次電池1を収納する電池ケース31と、前記電池ケース31を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、前記電気接続部を固定したパック基板74と、を備えており、前記電池ケース31が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、前記パック基板74が、前記第一ケーシングの内面に固定されており、さらに前記装着機構を、前記第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設けることができる。上記構成により、第一ケーシング側にパック基板を固定し、かつ第一ケーシング側に電池駆動機器との接続構造を設けることで、機械接続構造と電気接続構造との相対的な位置決めを第一ケーシングを基準として行うことができる。すなわち、電池パックを外部の電池駆動機器と電気接続部を介して電気接続するに際して、パック基板上に固定された電気接続部を、第一ケーシングでもって所定位置に位置決めすることが可能となる。一方、電池パックと電池駆動機器との機械的な接続は第一ケーシング側に設けた装着機構にて行われる。このように、電気接続部位と機械接続部位の相対位置が第一ケーシングに対して規定されるため、各接続部位における誤差の累積を極減でき、安価な構成でもって電気接続と機械接続との間の位置決めを正確における利点が得られる。
【0012】
また第2の側面に係る電池パックによれば、前記第一ケーシングは、その内面から直立する姿勢にて突出された柱状部36と、前記柱状部36の端縁から突出させた挿入ピン36aと、を備えており、前記パック基板74は、前記第一ケーシングの内面に固定する姿勢において前記挿入ピン36aと対応する位置に、ボス穴76を開口しており、前記ボス穴76に前記柱状部36の挿入ピン36aを挿入することで、前記パック基板74を第一ケーシングと位置決めすることができる。上記構成により、パック基板を第一ケーシングの内面で容易に位置決め姿勢にて固定できる。
【0013】
さらに第3の側面に係る電池パックによれば、さらに前記二次電池1を個別に収納する電池収納空間を複数形成した電池ホルダ70を備えており、前記電池ホルダ70の上面には、前記パック基板74を固定するためのボス72を設けており、前記ボス72は、前記電池ホルダ70を前記電池ケース31に収納した姿勢において前記挿入ピン36aと対応する位置に設けられており、前記ボス72の端面には、前記挿入ピン36aと結合するためのピン結合部を形成しており、前記挿入ピン36aを前記パック基板74のボス穴76に挿入した状態で、該前記挿入ピン36aを前記ピン結合部と結合することにより、前記パック基板74を前記ピン結合部と挿入ピン36aとで挟持するよう構成できる。上記構成により、パック基板を第一ケーシングと電池ホルダとで狭持して保持でき、従来必要であったパック基板のねじ止め等の作業を省いてこれを固定することが可能となる。
【0014】
さらにまた第4の側面に係る電池パックによれば、前記第一ケーシングの内面に、前記電気接続部を保持する電気接続保持部14を設けることができる。上記構成により、電気接続部を第一ケーシングの内面において保持部で保持することができ、第一ケーシングに対する電気接続部の位置を一層正確に位置決めできる利点が得られる。
【0015】
さらにまた第5の側面に係る電池パックによれば、前記電気接続部が、外形を枠状としたコネクタ13であり、前記電気接続保持部14を、前記コネクタ13の両側を挟持する挟持リブとすることができる。上記構成により、コネクタを第一ケーシングの内面で両側から挟持リブにて挟持でき、電気接続部位の位置決めを簡易な構造で正確に実現できる利点が得られる。
【0016】
さらにまた第6の側面に係る電池パックによれば、前記電気接続部が、金属板を折曲した外部接続端子33であり、前記電気接続保持部14を、前記外部接続端子33の上端縁を挟持する端子位置決めリブ39とすることができる。上記構成により、金属板を折曲した外部接続端子の位置を、第一ケーシングの内面で正確に位置決めできることに加え、上端縁を保持することで金属板を折曲した外部接続端子のへたりを抑制できる効果も得られる。
【0017】
さらにまた第7の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記第一ケーシングから突出して、電池駆動機器側に形成された保持凹部17に挿入されてこれと係止されるための係止フック54を備えることができる。上記構成により、係止フックでもって保持凹部に係止させるというシンプルな構造を用いて電池パックを電池駆動機器に機械的に連結状態とできる。
【0018】
さらにまた第8の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記係止フック54を前記第一ケーシングから突出させたロック位置、又は前記第一ケーシング内に収納させた解除位置に切り替えるための着脱操作部52を備えることができる。上記構成により、着脱操作部を操作することによって電池パックと電池駆動機器との機械接続を容易に解除できる。
【0019】
さらにまた第9の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記係止フック54と前記着脱操作部52とが一体に形成されたラッチ部50、50Bでもって構成されており、前記前記着脱操作部52が前記第一ケーシングの、前記係止フック54を突出させる部位とは異なる面に、スライド自在となる姿勢で表出されており、前記前記着脱操作部52をスライドさせることで、前記係止フック54が前記第一ケーシングの表面から突出するよう構成できる。上記構成により、着脱操作部のスライド操作によって係止フックの突出、収納を切り替えることができ、電池駆動機器との装着、脱離を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電池パックを示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た図を示す斜視図である。
【図3】図1の姿勢における電池パックの分解斜視図である。
【図4】図2の姿勢における電池パックの分解斜視図である。
【図5】図5(a)は下ケーシングに側面カバーを装着する様子を示す斜視図、図5(b)は図5(a)の状態から下ケーシングに側面カバーを装着した状態を示す斜視図である。
【図6】従来の電池ケースで側面を別部材とした構成を示す斜視図である。
【図7】図5の電池ケースで側面カバーを逆向きに挿入しようとする状態を示す斜視図である。
【図8】上ケーシングに側面カバーを装着する様子を示す、斜め下方から見た斜視図である。
【図9】電池ホルダの分解斜視図である。
【図10】上ケーシングと電池ホルダとでパック基板を挟持する様子を示す分解斜視図である。
【図11】図10の上ケーシング等を斜め下方から見た分解斜視図である。
【図12】図10の垂直断面図である。
【図13】図12の上ケーシングと電池ホルダとでパック基板を挟持した状態の要部拡大断面図である。
【図14】実施例2に係るパック基板の固定構造を示す断面図である。
【図15】電池パックを電池パック用充電器に装着した状態を示す斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線における縦断面図である。
【図17】図16の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す縦断面図である。
【図18】図15のXVIII−XVIII線における横断面図である。
【図19】図19(a)は変形例に係る電池パックの横断面図、図19(b)は図19(a)の拡大断面図である。
【図20】外部接続端子をパック基板上に固定した状態を示す斜視図である。
【図21】外部接続端子の上端を端子位置決めリブで保持する状態を示す水平断面図である。
【図22】電池パック用充電器に電池パックを接続した状態を示す回路図である。
【図23】図4のラッチ部の斜視図である。
【図24】図24は電池パックを電動工具にセットした状態を示す斜視図である。
【図25】図23のラッチ部の正面図である。
【図26】図25のXXV−XXV線における垂直断面図である。
【図27】図25のXXVI−XXVI線における垂直断面図である。
【図28】実施例3に係る電池パックを示す外観斜視図である。
【図29】図28の電池パックの正面図である。
【図30】図29のXXIX−XXIX線における垂直断面図である。
【図31】従来の電池パックを充電器に装着する状態を示す斜視図である。
【図32】従来の電池パックを電動工具に装着した状態を示す斜視図である。
【図33】図31の電池パックを示す斜視図である。
【図34】従来の電池パックの内部構造を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0022】
図1〜図4に、本発明の実施例1に係る電池パックとして、電動工具用の電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た図を示す斜視図、図3は図1の姿勢における電池パック30の分解斜視図、図4は図2の姿勢における電池パック30の分解斜視図を、それぞれ示している。なお、以下では電動工具用の電池パックを説明するが、本発明の電池パックは電動工具用の電池パックに限定されるものでなく、他の電池駆動機器にも適宜利用可能であることはいうまでもない。
【0023】
これらの図に示す電池パック30は、外形を箱形とし、内部に二次電池1を内蔵している。具体的には、電池パック30は、充電可能な複数の二次電池1を保持する電池ホルダ70と、二次電池1同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池1の保護回路を実装したパック基板74と、電池駆動機器や電池パック用充電器100と接続する電気接続部と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納する電池ケース31とを備える。
(電池ケース31)
【0024】
電池ケース31は、図1〜図2に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電池駆動機器である電動工具PTや、電池パック用充電器100の接続端子(図示せず)と接続するための電気接続部を表出させている。図2及ぶ図4の例では、電池ケース31を構成する上ケーシング31Aの一部に、電気接続部を表出させるための表出窓12を開口している。電池接続部は、電池パック用充電器や電池駆動機器の接続端子と接続させる接続部分を、この表出窓12を通じて表出させている。また電池パック30を電動工具PTや電池パック用充電器100に装着する際に、装着状態を保持するためのラッチ部50を備える。この電池ケース31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
【0025】
また電池ケース31は、第一ケーシングと第二ケーシングとに分割されている。図3〜図4の分解斜視図に示す例では、電池ケース31が上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。電池ケース31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70とパック基板74、及びラッチ部50を収納する。
(側面カバー31C)
【0026】
さらに電池ケース31の側面は、側面カバー31Cで被覆している。図5(a)に下ケーシング31Bに側面カバー31Cを装着する様子を示す斜視図、図5(b)に図5(a)の状態から下ケーシング31Bに側面カバー31Cを装着した状態を示す斜視図を、それぞれ示す。これらの図に示すように、側面カバー31Cは上ケーシング31Aと下ケーシング31Bと別部材で構成している。側面カバー31Cは、上ケーシング31Aと下ケーシング31Bにそれぞれ設けられた溝部に、端縁を挿入して、上ケーシング31Aと下ケーシング31Bで挟持されて固定される。
(反り防止リブ31a)
【0027】
加えて、下ケーシング31Bには、反り防止リブ31aを設けている。従来の電池ケースで側面を別部材とする構成では、図6に示す下ケーシング31Xのように、側面カバーを装着する部分を開口させ、必要な樹脂成形部材を少なくする形状が採用されていた。しかしながら、この構造では電池ケースを樹脂成型した際に反りが生じることがあった。また機械的な強度も捻れ方向に対して弱くなる。そこで、図5(a)に示すように、側面カバー31Cで覆う部分を完全に開口させず、反り防止リブ31aを設けている。これによって、電池ケースの反りを抑制できる。また側面と反り防止リブ31aと側面カバー31Cの二重構造とすることで、機械的な強度も向上できる利点が得られる。特に、電動工具用の電池パックのような屋外使用の用途においては、落下や衝撃等の少々乱暴な扱い方も想定されるため、このような機械強度を増すことで電池パックの信頼性を向上させることができる。
【0028】
なおこの例では、下ケーシング31Bにのみ反り防止リブ31aを設けているが、上ケーシング側に反り防止リブを設けてもよく、また上ケーシングと下ケーシングの両方に反り防止リブを設けてもよいことはいうまでもない。
【0029】
さらに、このように側面カバー31Cを別部材で構成することにより、側面カバー31Cの変更が容易となる。この結果、側面カバー31Cを化粧板として利用し、電池ケース31の側面のデザインの変更を容易に行え、意匠性を高めることもできる。図5(b)の例では、側面カバー31Cの表面を、上半分を枠状に形成し、下半分を六角形のディンプル状に形成している。
(誤挿入防止リブ31b)
【0030】
一方で、側面カバー31Cのデザインが非対称の場合は、組立時において側面カバー31Cの向きを上下逆にして挿入することが考えられる。この場合は、逆差しされた側面カバー31Cのデザインが意図したものと異なる不良品となってしまう。そこで本実施例においては、図5(a)、(b)、図7、図8に示すように、側面カバー31Cに誤挿入防止リブ31bを設けている。誤挿入防止リブ31bは、側面カバー31Cの裏面側の端縁に設けられる。図5(a)の例では、側面カバー31Cの上端縁のほぼ中央に設けられている。この後挿入防止リブは、側面カバー31Cの裏面から若干突出されている。この結果、図7に示すように下ケーシング31Bに対して側面カバー31Cを逆向きに挿入しようとすると、誤挿入防止リブ31bが反り防止リブ31aの上端縁に抵触して、その挿入を妨げる。これによって、側面カバー31Cの誤った姿勢での挿入を物理的に阻止して、組立時のミスを回避できる。また図8の分解斜視図に示すように、上ケーシング31A側には、側面カバー31Cを挿入時に誤挿入防止リブ31bと対応する位置に、誤挿入防止リブ31bを案内するリブガイド31cを設けている。これによって、側面カバー31Cを正しい姿勢で位置決めして上ケーシング31Aに挿入できる。
【0031】
なお、この例では上述の通り上ケーシング31A側には反り防止リブを設けていないため、誤挿入防止リブ31bが反り防止リブに抵触する事態を回避できる。ただ、上ケーシングにも反り防止リブを設ける場合は、誤挿入防止リブの形状を変更し、上ケーシング側に正しく挿入できるような構造とする。例えば、上ケーシングの反り防止リブには、その中央部分に誤挿入防止リブを案内できるスリットを設ける。また、誤挿入防止リブの形状や位置、数などは適宜変更でき、電池ケースに対して正しい方向への挿入を許可しつつ、誤った姿勢での挿入を阻害するようなあらゆる形状、構造が利用できる。
(電池ホルダ70)
【0032】
電池ホルダ70は、図3〜図4に示すように、二次電池1と、パック基板74と、電池リード板80と、各種リード線とを備えている。またこの電池ホルダ70は、後述する図9の分解斜視図に示すように、下面に二次電池1を収納する電池収納空間と、上面にパック基板74を固定する基板固定部75とを設けている。二次電池1同士は、電池ホルダ70の端面に開口された表出部から表出する二次電池1の端面同士を、電池リード板80で電気接続され、さらに電池ホルダ70に二次電池1を収納した電池コアの出力を出力リード線でパック基板74に接続している。パック基板74には、電池コアの出力を、電動工具PTや電池パック用充電器100と接続するための充放電端子を備えている。また電池リード板80の側面には、各電池リード板80を固定するためのリード板固定枠86が設けられている。
【0033】
またパック基板74上には、二次電池1の保護回路が実装されている。保護回路は、各電池リード板80と信号リード線84を介して接続されており、例えば各二次電池1の電池電圧を検出する。さらにパック基板74は、電気接続部として、コネクタ13を一端に固定している。コネクタ13は、電池パックに内蔵する二次電池1の出力と接続された充放電端子に加え、保護回路の出力や電池情報等を出力する信号端子も備えている。コネクタ13の接続部分は、図2等に示すように、電池ケース31に開口された表出窓12を通じて、外部に表出されている。電池パックと電気的に接続される電池駆動機器や電池パック用充電器は、その接続端子を、表出窓12を通じて表出されたコネクタ13に挿入して電気接続する。
(二次電池1)
【0034】
電池ケース31は、内部に二次電池1を内蔵できる形状に形成される。ここでは、二次電池1として外装缶を長手方向に延長された円筒状とした円筒形二次電池を使用している。この電池ケース31は、図4等に示すように電池ケース31内に複数本の二次電池1を互いにほぼ平行姿勢で、同一平面上に横並びに隣接するように配置している。電池パック30に内蔵される二次電池1は、リチウムイオン電池である。ただ、二次電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、ポリマー電池等の充電できる他の全ての電池とすることもできる。複数の二次電池は、複数本を直列に接続して出力電圧を高くし、また複数本を並列に接続して出力電流を大きくできる。この例では、二次電池1をリチウムイオン電池とし、2本を並列にして5組を直列に接続して出力電圧を18Vとしている。ただ電池パックは、内蔵する二次電池の本数や接続状態を特定しない。電池パックは、使用する電池駆動機器の種類や用途に応じて内蔵する二次電池の本数と出力電圧を種々に設計できる。
(電池収納空間)
【0035】
電池ホルダ70の電池収納空間は、図9の分解斜視図に示すように第一サブホルダ71A、第二サブホルダ71Bに二分割されており、これら第一サブホルダ71A、第二サブホルダ71Bの間に二次電池1が挟持される。この例では、電池ホルダ70は10本の二次電池1を収納している。この電池ホルダ70は、二次電池1を電池収納空間に収納した状態で、表出部から表出される端面同士を電池リード板80で接続する。
(電池リード板80)
【0036】
電池リード板80は図9の分解斜視図などに示すように、導電性に優れた平板状の金属板であり、電池収納空間に収納できる大きさに形成される。この電池リード板80はスポット溶接のため、溶接スリットを形成しており、電池収納空間に収納された状態で隣接する二次電池1の端面同士に固定される。
(基板固定部75)
【0037】
電池ホルダ70の上面には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられる。図10〜図13に、基板固定部75にパック基板74を装着する様子を示す。これらの図において、図10は上ケーシング31Aと電池ホルダ70とでパック基板74を挟持する様子を示す分解斜視図、図11は図10の上ケーシング31A等を斜め下方から見た分解斜視図、図12は図10の垂直断面図、図13は図12の上ケーシング31Aと電池ホルダ70とでパック基板74を挟持した状態の要部拡大断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電池ホルダ70は、パック基板74を支承するボス72を設けている。このボス72は、先端縁においてピン結合部として、段差部73を設けている。また段差部73の内側をボス72の外形よりも一回り小さい径の段差を形成して開口端から窪ませ、さらに中空の円筒状としている。また円筒状の内面にはねじ溝が切られている。
【0038】
一方、パック基板74は、ボス72と対応する位置にボス穴76を開口している。このボス穴76は、パック基板74の裏面側からボス72の先端を挿入して、ボス72の段差部73でパック基板74を支承する。
【0039】
さらに上ケーシング31Aには、ボス72と対応する位置に挿入ピン36aを設けている。挿入ピン36aは、上ケーシング31Aの内面から下方に向かって突出させた柱状部36の先端面に設けられる。柱状部36は外形を円柱状に形成しており、また挿入ピン36aもその内部を、柱状部36から連通して円筒状に形成されており、上ケーシング31Aの上面にねじ穴37が開口される。これによって、図12及び図13に示すように、パック基板74のボス穴76に挿入された電池ホルダ70の開口部分に、上ケーシング31Aの挿入ピン36aを挿入して、パック基板74のボス穴76の周囲を柱状部36の先端面と、段差部73との間で挟持した状態で、上ケーシング31Aからねじ38を螺合してパック基板74を固定できる。この構造によれば、上ケーシング31Aと電池ホルダ70との固定作業と同時に、パック基板74の固定も行うことができる。特に、パック基板74の固定に用いるねじと、上ケーシング31Aの固定に用いるねじとを共通化することができ、部材コストの低減と螺合すべき箇所の低減による作業の省力化が図られる。
【0040】
さらにボス穴76は、パック基板74上において対角線上に設けられている。これによって、パック基板74を電池ホルダ70上の基板固定部75において、XY方向に位置決めして固定できる。加えて、上述の通りパック基板74を上ケーシング31Aの柱状部36の先端面と、電池ホルダ70の段差部73とで挟持してねじで固定することにより、パック基板74の高さ方向の位置決めも行える。このように、ボス72と挿入ピン36aを利用したパック基板74の固定構造は、パック基板74のXYZ方向における位置決めも同時に行えるという利点も得られる。
(実施例2)
【0041】
また、上記の構造ではパック基板74の固定をねじで行う例を説明したが、この構成に限らず、パック基板74の固定にねじを使用しない構成としてもよい。このような例に係る電池パック30Bを実施例2として、図14に示す。この例では、ボス72Bにねじ溝を形成せず、また挿入ピン36aにはねじ穴を設けず、挿入ピン36aをボス72Bに挿入して、上ケーシング31Aの柱状部36の先端面と電池ホルダ70の段差部73とでパック基板74を挟持している。この状態で上ケーシング31Aと下ケーシング31Bとを螺合などにより固定することで、パック基板74の固定も図られる。この例では、ボス72Bは、先端縁において段差部73を設け、この段差部73の内側にボス72Bの外形よりも一回り小さい径の円柱状突起72aを形成して突出させている。またボス穴76は、パック基板74の裏面側からボス72Bの先端を挿入して、ボス72の段差部73でパック基板74を支承しつつ、円柱状突起72aをボス穴76に配置させる。ここで円柱状突起72aは、パック基板74の厚さよりも短く、かつその直径をボス穴76よりも小さくしている。また、挿入ピンをボスの先端に圧入する構成としてもよい。
【0042】
従来、パック基板の固定には、パック基板に開口された穴にねじを螺合してパック基板上に固定することが行われていたが、この作業は手間がかかる。特にねじ穴が多い場合は、それだけ作業工数が増えるため、製造コストも上昇する。これに対して、上記実施例2に係る電池パックによれば、パック基板74を電池ホルダ70上に固定するためにこのような螺合作業を要さず、組み立て作業を容易に行える上、ねじ等の固定部材を別途用意する必要も無いため、必要な部材を低減して製造コストも削減できる。
(装着機構)
【0043】
また電池パックは電池ケース31を電池駆動機器や電池パック用充電器に機械的に装着するための装着機構を備えている。ここでは装着機構として、ラッチ部50を備えている。ラッチ部は、係止フック54と着脱操作部52を備えており、着脱操作部52のスライド操作によって係止フック54の突出、収納を切り替えることができる。一方、電池駆動機器側には係止フック54を係止するための保持凹部17が形成されており、電池ケース31の上ケーシング31Aから係止フック54を突出させて保持凹部17に係止することにより、電池駆動機器に装着できる。また着脱操作部52をスライドさせて、係止フック54を突出させたロック位置から、電池ケース31内部に収納させた解除位置に移動させることで、係止状態を解除して電池パックの脱離を簡単に行える(詳細は後述)。ここでは、上ケーシング31A側にこのような装着機構を設けている。
(電気接続部)
【0044】
その一方で、電池パック30は、上述の通り電池駆動機器や電池パック用充電器100と接続するための電気接続部を備えている。電気接続部は、電池駆動機器や電池パック用充電器と電気的に接続して、電力の授受を行う。例えば図15〜図18に示すように、電池パック30を電池パック用充電器100に装着する場合、電池パック用充電器100の装着部2に配置される複数の接続端子3と、電気接続部であるコネクタ13とがそれぞれ接続される。コネクタ13はパック基板74上に固定されており、二次電池1の出力の他、接続先の外部の電池パック用充電器100や電動工具PTとの間で信号のやりとりを行うための信号端子等を設けることができる。
【0045】
このように電池パックを電池駆動機器に着脱する構造においては、機械的な接続構造である装着機構と、電気的な接続構造である電気接続部とを個別に設けている。この構成によって、機械的な接続強度を高めつつ、電気接続の安定性や信頼性を向上させることが可能となる。しかしながら、このような構成においては、これら機械接続と電気接続との間で相対的な位置関係を正確に位置決めしておく必要がある。すなわち、機械接続がなされた状態で、電気接続の位置が不正確であると、電気接続の接点で接続不良が生じることが考えられ、信頼性が損なわれることがある。逆に電気接続を正確に行うあまり、機械接続が不十分となってしまうと、今度は電池パックが使用中に電池駆動機器から脱離することも考えられる。特に従来の構成では、図34の断面図に示すように、機械接続を上ケーシング31AY側に設ける一方、電気接続を行う電気接続部が、下ケーシング31BY側に電池ホルダ70Yを介して固定されたパック基板74Yの上に固定されている。このため、接続部分が多くなって各部位における誤差が累積され、また各部材の製造公差とも相俟って、電気接続と機械接続との相対的な位置関係を、通常の製造コストの範囲内で行われる組立工程において正確に位置決めすることが困難であった。
【0046】
これに対して、本実施の形態では、装着機構を上ケーシング31Aの表面から部分的に表出させることに加えて、図11などに示すようにパック基板74を上ケーシング31A側に固定している。ここでは、上ケーシング31Aの内面からほぼ垂直な姿勢で突出された柱状部36と、柱状部36の端縁から突出させた挿入ピン36aとを、パック基板74に開口させたボス穴76に挿入して、上ケーシング31Aとパック基板74との相対的な位置関係を規定している。その一方で、装着機構であるラッチ部は、係止フック54を突出させるフック突出窓15を上ケーシング31Aに開口している。このような構成とすることで、装着機構と電気接続部の両方が、上ケーシング31Aを基準として位置決めされるため、上ケーシングと下ケーシングに分断する従来の方法に比べ、位置合わせの精度を各段に向上させることができる。特に電池パックを電池駆動機器とコネクタ13を介して電気接続するに際して、パック基板74上に固定されたコネクタ13を、上ケーシング31Aでもって所定位置に位置決めすることが可能となる。また一方で、電池パックと電池駆動機器との機械的な接続は、上ケーシング31A側に設けた装着機構にて行われる。このように、電気接続部位と機械接続部位の相対位置が上ケーシング31Aに対して規定されるため、各接続部位における誤差の累積を極減でき、安価な構成でもって電気接続と機械接続との間の位置決めを正確における利点が得られる。
(電気接続保持部14)
【0047】
さらに上ケーシング31Aに、電気接続部を保持するための電気接続保持部14を設けることもできる。図11の例では、電気接続保持部14として、上ケーシング31Aの内面においてコネクタ13を両側から挟持する挟持リブを設けている。この構成によって、電気接続部を上ケーシング31Aで、パック基板を介することなく直接的に位置決めできるので、上ケーシング31Aを基準とする電気接続部の位置決めを一層正確に行える利点が得られる。
(外部接続端子33)
【0048】
なお電気接続部はコネクタに限られず、他の部材を利用することもできる。例えば図19〜図21に示すような金属板で構成することもできる。ここでは、金属板を折曲した外部接続端子33を複数用いて電気接続部を構成している。各外部接続端子33は、図20〜図21等に示すように、後端縁を上面視コ字状に折曲されると共に、電池パック用充電器100や電動工具PTといった外部接続機器の接続端子と電気的に接続される先端側においては、コ字状の開口端が徐々に狭くなるように、テーパ状に折曲されている。このように折曲された2枚の金属板の間に、外部接続機器の接続端子が挿入され、金属板同士の間で挟持されることによって電気接続が確立される。
(端子位置決めリブ39)
【0049】
また外部接続端子33を用いた例においても、上ケーシング31Aの内面に電気接続保持部14として、外部接続端子33の上端縁を保持するための端子位置決めリブ39を設けることもできる。このようにすることで、外部接続端子33の電気接続の信頼性を高めることができる。このような例を変形例として図19(a)〜図19(b)に示す。これらの図において、図19(a)は変形例に係る電池パックの横断面図、図19(b)は図19(a)の拡大断面図を、それぞれ示している。
【0050】
一般に外部接続端子33は、金属板を折曲して形成される。ただ、外部接続端子33自体の製造公差に加え、外部接続端子33をパック基板74に固定する際の取付公差、パック基板74と下ケーシング31Bとの取付公差などの各種の公差が累積される結果、位置のばらつきが大きくなる。このため、外部接続端子33と電池パック用充電器100、電動工具PTの端子との嵌合時には、接触位置が偏る等の不具合が発生することが考えられる。
【0051】
また、仮に外部接続端子33を正確な位置に固定できたとしても、外部接続端子33は図20に示すようにパック基板74上に直立姿勢で固定されているため、何度も電池パック用充電器100や電動工具PTとの着脱を行い、端子の挿抜を繰り返す内に、外部接続端子33に歪みが生じ、また弾性が徐々に損なわれることもことも考えられる。
(変形例)
【0052】
そこで本実施例では、外部接続端子33の下端をパック基板74上に固定するのみならず、その上端においても、保持する機構を設けている。図19の断面図に示す例では、上ケーシング31Aの内面に端子位置決めリブ39を設けている。端子位置決めリブ39には、外部接続端子33と対応する位置に、複数条のスリットが設けられており、外部接続端子33の上端をスリットに挿入して、図21の水平断面図に示すように外部接続端子33の上端両面を挟み込むことで、外部接続端子33を下端縁のみならず上端縁においても保持することで、外部接続端子33を正確な位置に位置決めし、さらに位置ずれしないように保持される。このことは、端子に挿抜を繰り返す内に歪みが生じる事態をも抑制できる。これによって、外部接続端子33の正確な位置決めが簡単に図られ、外部の電池パック用充電器100や電動工具PTへの装着に際して、電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0053】
端子位置決めリブ39のスリットは、外部接続端子33の上端を狭持できるよう、好ましくは外部接続端子33の厚さとほぼ同じか、これよりも若干狭く形成される。これによって外部接続端子33を端子位置決めリブ39のスリットに圧入して、確実に外部接続端子33の上端を保持できる。
【0054】
また外部接続端子33は、図20の斜視図などに示すように、後端にスリット状の切り欠きを設けることもできる。これによって、外部接続端子33の上端を端子位置決めリブ39に圧入する際、切り欠き部分で外部接続端子33を変形し易くでき、多少の誤差や公差を変形によって吸収して、外部接続端子33を端子位置決めリブ39で保持できる。
【0055】
このように、電池ケース31の内側で直接、外部接続端子33の位置決めを行う構造によって、外部接続端子33の位置精度を向上させることが可能となる。
(ラッチ部50)
【0056】
一方で電池パック30に設けられたラッチ部50は、図1〜図4に示すように部分的に電池ケース31から表出させるようにして、電池ケース31内に可動自在に収納される。ラッチ部50は、ユーザが手で操作するための着脱操作部52を前面に形成すると共に、図において上部には、電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック54を設けている。この係止フック54は着脱操作部52と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック54と対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0057】
この電池パック30を専用の電池パック用充電器100に装着する様子を、図15〜図18に示す。これらの図において、図15は電池パックを電池パック用充電器100に装着した状態を示す斜視図、図16は図15のXVI−XVI線における縦断面図、図17は図16の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す縦断面図、図18は図15のXVIII−XVIII線における横断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、係止フック54はコイルスプリング等の弾性部材57で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック54が収納され、かつ弾性部材57で係止フック54が押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、ラッチ部50の着脱操作部52を手で押し上げるように操作することで、係止フック54と保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイドに装着ガイドを挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30のコネクタ13が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらにラッチ部50を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
【0058】
図15に示すように、電池パック30を電池パック用充電器100にセットすると、電池パック30の外部端子33が、電池パック用充電器100に設けられた接続端子3と接続される。これによって、電池パック30は電池パック用充電器100から給電を受けて、内部に収納した二次電池1を充電することができる。また、電力供給のみならず、信号端子を介して種々の信号のやりとりを行う。図22に、電池パック用充電器100に電池パック30を接続した状態の回路図を示す。
【0059】
電池パック用充電器100の装着部2は、底面2Aの中央部に位置して、底面2Aから突出する複数の接続端子3を配設している。複数の接続端子3は、一列に横並びに配置している。電池パック用充電器100の接続端子3は、板状の金属板10で、ほぼ同じ外形として互いに平行な姿勢で配列している。板状の接続端子3は、装着部2の底面2Aに垂直な姿勢であって、電池パック30の挿入方向に沿う姿勢で配置している。特に鉛直姿勢で複数列に端子ホルダ8上に固定された接続端子3を、電池パック30の装着方向に延長させた姿勢に保持することで、電池パック30の装着動作により、複数枚の接続端子3を電池パック30の外部端子33と各々スムーズに接触させるように接続でき、好ましい。
【0060】
金属板10である接続端子3は、ニッケル板、銅板、銅合金板等の優れた導電性を有する金属で製作される。ただ、接続端子は必ずしも板状には特定しない。接続端子は、装着部の内側に表出して、ここに装着される電池パックの外部端子に接続される種々の形状とすることができる。
【0061】
複数の接続端子3は、正負の充電端子4を両側に配置し、これらの充電端子4の間に非充電端子5を配置している。充電端子4は、電池パック30に内蔵する二次電池1を充電するための正負の高電圧端子である。また非充電端子5は、電池パック30との間で電池情報を伝達する信号端子である。さらに、複数の接続端子3は、充電端子4の間に配置される非充電端子5を、両側の充電端子4よりも突出して配設してもよい。この構造により、複数の接続端子3の上面に金属異物が接触する状態において、非充電端子5が金属異物の中央部に優先的に接触して、その両端部が両側の充電端子4に接触するのを阻止できる。
(充電回路20)
【0062】
電池パック用充電器100は、装着部2に装着された電池パック30を充電するための充電回路20を内蔵している。電池パック用充電器100の両側に配置される正負の充電端子4は、装着部2にセットされる電池パック30の正負の充放電端子34に接続されて、電池パック30に充電電力を供給する。正極側の充電端子4は、図22の回路図に示すように、充電回路20に接続されており、電池パック30に電力を供給して内蔵される二次電池1を充電する。図の電池パック用充電器100は、商用電源(図示せず)から供給される交流電源を整流回路22で直流に変換し、この直流の電圧を充電回路20で充電用の電圧に変換して充電端子4から出力する。この充電回路20は、例えば、整流回路22の出力側と正極側の充電端子4との間に接続しているスイッチング素子(図示せず)をON/OFFに制御するデューティを変化させて、電池パック30の充電に最適な充電電圧と充電電流に調整する。
【0063】
一対の充電端子4の間に配置される非充電端子5は、信号端子である。図に示す接続端子3は2個の信号端子を備えている。これらの信号端子は、電池パック30に内蔵される二次電池1の異常信号が入力される異常信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池1の温度信号が入力される温度信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池1の識別信号が入力される識別信号端子としている。ただ、信号端子は、これら以外の信号、例えば、電池の充電状態や、電池の種々の情報を伝達する信号端子とすることもできる。
【0064】
制御回路21は、異常信号端子に異常信号が入力されると、電池パック30の異常と判定して、充電回路20をオフに切り換えて充電を停止する。さらに、制御回路21は、温度信号端子に入力される温度信号から、電池パック30に内蔵される二次電池1の温度を検出する。この制御回路21は、電池温度が最高温度よりも高くなると、充電電流を遮断して充電を中断し、あるいは充電電流を少なくして、電池温度を低下させる。電池温度が設定温度よりも低くなると、正常な充電電流で充電する。
【0065】
さらに、制御回路21は、識別信号端子から入力される電池の識別信号から電池パック30を充電する最適な電圧と電流値を判別して充電端子4から出力する充電電圧と充電電流を変更する。この電池パック用充電器100は、電池パック30が装着されると、電池パック30の制御部40から出力される電池の識別信号を制御回路21で受信し、制御回路21が、入力された電池の識別信号から電池パック30のタイプを判別して、この電池パック30を充電するのに最適な電圧と電流値となるように充電回路20を制御する。この電池パック用充電器100は、電池パック30を充電する充電電圧と充電電流を、電池パック30から入力される電池の識別信号から判別して最適な電圧に切り換えて充電するので、一つの電池パック用充電器で出力電圧の異なる複数種の電池パックを充電できる。ただ、電池パック用充電器は、必ずしも出力電圧を切り換える必要はなく、一定の出力電圧で電池パックを充電することもできる。
(装着機構)
【0066】
この電池パック30は、電池ケース31を電池駆動機器又は電池パック用充電器100に装着するための装着機構として、ラッチ部50を備えている。ラッチ部50は、ロック状態とを解除状態に切り替えるための着脱操作部52を設けている。
(着脱操作部52)
【0067】
ラッチ部50は、図23の斜視図に示すように、上面に着脱操作部52を有すると共に、下面に電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック54を設けている。この係止フック54は着脱操作部52と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック54と対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0068】
図16〜図17の断面図に示すように、係止フック54はコイルスプリング等の弾性部材で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック54が収納され、かつ弾性部材で係止フック54が押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、ラッチ部50の着脱操作部52を手で押し上げるように操作することで、係止フック54と保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイドに装着ガイドを挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30の外部端子33が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらにラッチ部50を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
(装着ガイド)
【0069】
電池パック30を装着部2の底面2Aに沿って正しい姿勢でスライドさせるために、ケース1の対向する側壁には、装着ガイドとして、内面から突出するガイド凸部を突出させている。また、電池パック30の電池ケース31の両側面には、パックガイドとして、このガイド凸部を案内するガイド溝を設けている。ガイド溝は、図18の横断面図に示すように、ガイド凸部を挿入できる凹状に形成される。ガイド凸部は、電池パック30を装着部2に装着するときに、電池パック30の両側面に設けたガイド溝に案内して、電池パック30を正しい姿勢で装着部2に案内できる。ガイド凸部は、電池パック30が挿入される側に位置して、側壁に一体成形して設けることができる。ガイド凸部は、電池パック30の装着方向に延長して設けて、装着部2に装着される電池パック30をガイド凸部に沿ってスライドさせて、電池パック30の外部端子33を装着部2の接続端子3に正しい姿勢で接触できる。
【0070】
なお上述の例では、装着部2側にガイド凸部を設け、電池パック30側にガイド溝を設けた例を説明したが、この構成に限られるものでなく、例えば電池パック側にガイド凸部を、装着部側にガイド溝を、それぞれ設けてもよい。
(表示部56)
【0071】
さらに電池パック30は、二次電池1の状態を表示させるための表示部56を備えている。ここでは、図1、図23等に示すようにラッチ部50の着脱操作部52に表示部56が設けられている。このようにすることで、表示部56の視認性を向上できる。すなわち、電池ケース31を電動工具PTや電池パック用充電器100に装着した状態では、必ずしも電池ケース31の全面が表出されず、図24に示すように大半が電動工具PTに埋もれてしまうこともある。このような場合を考慮すれば、二次電池1の状態を表示させるための表示部を、ユーザが視認できる位置に配置しようとすれば、必ず表出される面に設ける必要がある。そこで、電池パック30の着脱に際して操作が必要となる着脱操作部52を設けた面であれば、必然的に表出されることとなるため、ここに表示部を配置することが考えられる。しかしながら、着脱操作部52は操作性を考えると極力大きく形成させることが望ましく、また表示部は視認性を考慮すれば同じく大きくすることが望ましく、このため、これらを同じ面に設けようとすれば、いずれか一方を小さくする必要が生じて利便性が悪くなるという問題があった。
【0072】
そこで本実施例においては、着脱操作部52に表示部56を設ける構成としている。この結果、着脱操作部52を大きくしつつ、さらに表示部56も視認性を犠牲にすることなく、同じく大きくすることができ、着脱操作部52の操作性と表示部56の視認性を両立することが可能となった。
【0073】
表示部56の光源には、LEDやLD等の半導体発光素子、あるいは液晶や有機EL等が利用できる。この例では、LED61の点灯パターンによって二次電池1の残容量を表示させるよう構成している。また図24の斜視図に示すように、表示部にはラベル55が貼付されており、光源からの光を拡散させて見易くする。また図25の正面図に示す例では、表示部として矩形状のLED点灯窓57を4つ設けており、この数の多寡によって残容量を表示させる。各LED点灯窓57には、それぞれLED61が配置されており、個別の点灯パターンによって電池の残容量を表示できる。
【0074】
ラッチ部50の背面には、図26及び図27の断面図に示すように、サブ基板78が設けられている。サブ基板78上には、LED61及び操作スイッチ59が実装される。ラッチ部50はロック状態と解除状態とを切り替えるため、上下にスライドされる。このためサブ基板78もラッチ部50と共に移動されるため、移動されるサブ基板78に給電させるための折曲可能なリード線79を設けている。リード線79は、パック基板74と接続されてLED61に対して給電を行う。この構成によれば、LED61をスライド移動するラッチ部50に直接設けることで、LED61の発光をダイレクトに表示部56に伝達でき、明るさや視認性の点で有利となる。
(操作ボタン58)
【0075】
また着脱操作部52において、LED点灯窓57の隣には操作ボタン58を設けている。操作ボタン58は、図27の断面図に示すように、サブ基板78上に実装された操作スイッチ59を押下するよう、これと連結されている。すなわち操作ボタン58は、操作スイッチ59と連結されたスイッチカバーとして機能する。このように操作ボタン58も表示部56と同様に着脱操作部52に設けることで、電池ケース31の大きさを維持したまま、操作し易い位置に適度な大きさでスイッチを配置できる。この例では操作ボタン58を介して操作スイッチ59を押下すると、電池の残容量が数秒間表示されるよう構成している。
(実施例3)
【0076】
以上の例では、着脱操作部52に直接LED61を設ける構成を説明した。ただ、本発明はこの構成に限定されるものでなく、着脱操作部に表示部を設けつつ、その光源は必ずしも着脱操作部に設ける必要は無い。このような構成の一例として、図28〜図30に、実施例3に係る電池パック30Cを示す。これらの図において、図28は実施例3に係る電池パック30Cの外観斜視図、図29は図28の電池パック30Cの正面図、図30は図29のXXX−XXX線における垂直断面図を、それぞれ示している。
【0077】
この例ではLED61Bを着脱操作部52とは別個の不動位置である電池ケース31内面に設けている。そしてLED61Bの発光は、ランプリーダ62を介して着脱操作部52に案内される。このように、表示部56Bである点灯窓57Bと、光源であるLED61Bとは必ずしも同じ位置に配置する必要は無く、両者を分離し、ランプリーダ62などの導光手段を通じて導光する構成としてもよい。
【0078】
実施例3に係る電池パック30Cは、図28の斜視図及び図29の正面図に示すように、表示部56Bを設けたラッチ部50Bを表出させている。またその内部においては、図30の断面図に示すように、二次電池1セルを収納する電池ホルダ70と、電池ホルダ70の上面に固定されたパック基板74Bと、パック基板74Bの上面に実装された操作スイッチ59Bと、パック基板74Bの下面に実装されたLED61Bと、LED61Bの発光を表示部56Bの裏面側まで導光するランプリーダ62を備えている。
(ランプリーダ62)
【0079】
ランプリーダ62は、その入光面を半導体発光素子であるLED61Bと光結合可能な姿勢に配置させている。これにより、LED61Bを固定しつつ、その発光をスライド移動する表示部56Bに対して導光することができる。このランプリーダ62は、透光性樹脂などで構成できる。ランプリーダ62は、LED61Bの周囲を覆うようにして入光面にLED61Bの出射面を対向させている。またランプリーダ62の出射面は、ラッチ部50Bを押し下げた状態で表示部56Bに照明光を照射できるように配置される。なお図29の正面図に示すように、表示部56Bにおいて4個の点灯窓57Bが設けられているため、各点灯窓57Bに対応してLED61Bもそれぞれ実装されており、計4個のLED61Bがパック基板74B底面に実装されている。また、ランプリーダ62は各LED61Bの点灯を、それぞれの点灯窓57Bに案内するように導光経路を構成している。また図29の例では、表示部56Bにおいて4個の点灯窓57Bの周囲に二次電池1セルの外形を描くことで、各点灯窓57Bが電池の残容量を示すことがユーザに直感的に理解できるようにしている。
【0080】
またラッチ部50Bは、表面側に着脱操作部52を凹状に設けると共に、凹状の底面に点灯窓57Bを設けている。さらに点灯窓57Bの裏面側は、ランプリーダ62の出射面と対向させている。このラッチ部50Bもロック状態と解除状態とをスライド式に切り替え可能としており、図30においてはラッチ部50Bがロック状態にある位置を示している。ラッチ部50Bは外力の無い状態でロック状態となるよう、ばね等の弾性部材67によって押し上げられる。またユーザが着脱操作部52に指をかけて、弾性部材67に抗する方向に、ラッチ部50Bを下方に押し下げることで、係止フック54Bがパック電池表面から引き込まれて解除状態となる。
【0081】
このラッチ部50Bは、LEDやこれを駆動するためのサブ基板を設けていないため、移動する部材にこのような回路を設けることによって必要となる配線の可撓性等を考慮する必要が無い。LED61Bは、不動位置であるパック基板74B上に設けられているので、発光のための回路実装を簡素化でき、信頼性も高められる。また図29の例ではランプリーダ62も不動位置に固定することで、ラッチ部50Bを極めて簡素化でき、機械的な信頼性を高めることができる。
(操作スイッチ59B)
【0082】
この電池パック30Cは、操作スイッチ59Bの操作をラッチ部50Bの操作と連動させることで、LEDの操作スイッチと電池パックの着脱とを兼用している。すなわち、操作スイッチ59Bを電池パック30Cの外面に表出させず、電池パック30C内部に配置すると共に、ラッチ部50Bの操作によって操作スイッチ59Bが操作されるよう構成されている。電池パック30Cの着脱時にラッチ部50Bを操作させると、これに応じて自動的に操作スイッチ59Bが押下されて、電池パック30Cの残容量が表示される。この構成により、ユーザは電池パック30Cの着脱時に必ず電池パック30Cの残容量を確認できるので、例えば電動工具から電池パック30Cを取り外す際に、これを充電する必要があることを認識して、取り外した電池パック30Cを電池パック用充電器100にセットするよう促され、常時電池パック30Cを充電して残容量が残っている状態とできる。また着脱時に限らず、通常時においても、ラッチ部50Bを押し下げれば残容量を確認できる。
【0083】
この電池パック30Cは、図30の断面図に示すように、係止フック54Bの裏面側に操作スイッチ59Bが配置されており、係止フック54Bが降下されると操作スイッチ59Bの押しボタンが押されるように構成される。これにより、ユーザが手でラッチ部50Bを、弾性部材67の付勢力に抗して押し下げると、係止フック54Bの裏面側で操作スイッチ59Bが押下されることとなる。この結果、操作スイッチ59BのON動作に反応して、図29に示す表示部56Bにおいて電池の残容量がLED61Bの点灯パターンにより表示される。その後、ユーザが手を離すと、弾性部材67の付勢力によってラッチ部50Bが押し上げられて操作スイッチ59BがOFFとなり、LED61Bが消灯して表示部56Bの表示が終了される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る電池パックは、電動工具等の電池駆動機器用の電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器等を駆動するための電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…二次電池
2…装着部;2A…底面
3…接続端子
4…充電端子
5…非充電端子
12…表出窓
13、13Y…コネクタ
14…電気接続保持部
15…フック突出窓
17…保持凹部;17X…係止凹部
20…充電回路
21…制御回路
22…整流回路
30、30B、30C、30X…電池パック
31…電池ケース;31A、31AY…上ケーシング
31B、31BY、31X…下ケーシング;31C…側面カバー
31a…反り防止リブ;31b…誤挿入防止リブ;31c…リブガイド
32…セット面
33…外部接続端子
34…充放電端子
35…信号端子
36…柱状部;36a…挿入ピン
37…ねじ穴
38…ねじ
39…端子位置決めリブ
40…制御部
42…温度センサ
43…電流検出抵抗
50、50B…ラッチ部
52、52X…着脱操作部
54、54B、54X…係止フック
55…ラベル
56、56B…表示部;56X…残量表示部
57…LED点灯窓;57B…点灯窓
58…操作ボタン
59、59B…操作スイッチ
61、61B…LED
62…ランプリーダ
67…弾性部材
70、70Y…電池ホルダ;71A、71B…サブホルダ
72、72B…ボス;72a…円柱状突起
73…段差部
74、74B、74Y…パック基板
75…基板固定部
76…ボス穴
78…サブ基板
79…リード線
80…電池リード板
86…リード板固定枠
100…電池パック用充電器
PT…電動工具
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具や電動芝刈り機、電動ブロワ等の電池駆動機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電池駆動機器は、充電できる電池を内蔵している電池パックを脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電池駆動機器から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電することにより繰り返し使用できる。内蔵する電池パックの残容量が少なくなった電池パックは、電池パック用の充電器にセットすることで充電できる。
【0003】
このような電池パックの一例を、図31〜図33に示す。これらの図において、図31は従来の電池パック30Xを電池パック用充電器に装着する状態を示す斜視図、図32は従来の電池パック30Xを電動工具PTに装着した状態を示す斜視図、図33は図31の電池パック30Xを示す斜視図を、それぞれ示している。例えば残容量の少なくなった電池パック30Xは、図31に示すような電池パック用充電器100に装着して充電され、充電終了後は電池パック用充電器100から取り外され、図32に示すような電動工具PTに装着して充電される。このように、電池パック30Xを電池パック用充電器100や電動工具PTに着脱自在に装着するよう、電池パック30Xは図33の斜視図に示すように、係止フック54X及び着脱操作部52Xを設けている。係止フック54Xは、電池パック用充電器や電動工具PTに電池パック30Xを装着した状態で、これが脱落することを阻止する。図31の電池パック用充電器100や図32の電動工具PTは、それぞれ電池パック30Xを装着した状態でこの係止フック54Xに対応する位置に、係止フック54Xと係合される係止凹部17Xを形成している。図33の例においては、係止フック54Xは電池パック30Xから下方に突出されるように付勢されている。これにより、図31の電池パック用充電器100や図32の電動工具PTにそれぞれセットされた電池パック30Xは、係止フック54Xが係止凹部17Xに係合されて固定される。
【0004】
また係止フック54Xは着脱操作部52Xと連動しており、ユーザが着脱操作部52Xを手で上方向に押し上げることで、着脱操作部52Xを電池パック30X側に収納させる方向に後退させる。また着脱操作部52Xにはユーザが操作しやすいよう、凹部が設けられている。またユーザが着脱操作部52Xから手を離すと、付勢された係止フック54Xが再度電池パック30Xから突出する方向に押し出される。これによって、係止フック54Xは、電池パック用充電器100や電動工具PTに電池パック30Xを装着した状態で、これが脱落することを阻止する。
【0005】
また、電池パックを電池駆動機器に装着した状態で、電池パックの出力電力を電池駆動機器に供給するため、あるいは様々な電気信号をやりとりするため、これら間で電気的な接続も確立される。通常は、コネクタや外部接続端子等の電気的な接点同士を挿入、挟持等によって接続状態に維持することで、電気接続が図られている。
【0006】
このように電池パックを電池駆動機器に着脱する構造においては、物理的、機械的に電池パックを電池駆動機器に装着すると共に、電気的な接続をも同時に確立する必要がある。一般に、機械的な接続装着構造は、ラッチ部に設けた係止フックなどの構造でもって行われ、一方電気的な接続は、コネクタや外部接続端子を介して行われる。このように、機械的接続構造と電気的接続構造を分離させることで、機械的な接続強度の向上を図りつつ、電気接続の安定性や信頼性を個別に実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−236882号公報
【特許文献2】特開2004−236450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このように機械的な接続構造と電気的な接続構造とを分離させると、両者の間で正確な位置決めを行う必要が生じる。すなわち、機械的な連結が行われても、電気的な接続の位置がずれてしまうと、接点が安定せず、または電気的な接続が得られないこととなる。逆に電気的な接続を中心とし、機械的な接続構造が正確に得られない場合は、連結の安定性が図られないこととなる。このため、両者を正確に連結できるよう、電池パックの設計においては電気接続構造と機械的接続構造との位置決めが重要となる。
【0009】
しかしながら、一般に電池パックは図34の断面図に示すように、上下に二分割された電池ケースの内部に、二次電池1を収納した電池ホルダ70Yと、電池ホルダ70Yの上面に載置されたパック基板74Yとで構成されるところ、このように複数の部材で構成される電池パックは、各部材の位置決めにおける誤差や、各部材の製造時における製造公差等が累積される結果、位置決めの精度を向上させることは容易でなく、また各部材の製造や固定作業の精度を上げようとすれば、製造コストの著しい上昇を招く結果となる。例えば図34の構成においては、パック電池を外部の電池駆動機器と物理的に接続するための機械接続構造として係止フック54Xが上ケーシング31AY側に設けられており、また電気的に接続するためのコネクタ13Yがパック基板74Y上に固定されている。また、パック基板74Yは電池ホルダ70Y上に固定されており、さらに電池ホルダ70Yは下ケーシング31BY上に固定されている。この結果、上ケーシング31AYの係止フック54Xによる機械接続部位と、コネクタ13Yの電気接続部位との間に生じ得る誤差としては、図34においてクロスハッチングで示すように、コネクタ13Yとパック基板74Yとの固定、パック基板74Yと電池ホルダ70Yとの固定、電池ホルダ70Yと下ケーシング31BYとの固定、下ケーシング31BYと上ケーシング31AYとの固定、の計4箇所の固定部分でそれぞれ生じた接続時の誤差が累積されることとなる。さらに、これに加えて各部材の製造時の製造公差も加算されるため、電気接続と機械接続との間の位置決めを図ることは現実には容易でないことが理解される。
【0010】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、電池パックを電池駆動機器と機械的に接続し、かつ電気的な接続をも正確に行えるように、機械的、電気的な接続の精度を、簡易な構成で高めることを可能とした電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電池パックによれば、電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、充電可能な一以上の二次電池1と、前記二次電池1を収納する電池ケース31と、前記電池ケース31を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、前記電気接続部を固定したパック基板74と、を備えており、前記電池ケース31が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、前記パック基板74が、前記第一ケーシングの内面に固定されており、さらに前記装着機構を、前記第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設けることができる。上記構成により、第一ケーシング側にパック基板を固定し、かつ第一ケーシング側に電池駆動機器との接続構造を設けることで、機械接続構造と電気接続構造との相対的な位置決めを第一ケーシングを基準として行うことができる。すなわち、電池パックを外部の電池駆動機器と電気接続部を介して電気接続するに際して、パック基板上に固定された電気接続部を、第一ケーシングでもって所定位置に位置決めすることが可能となる。一方、電池パックと電池駆動機器との機械的な接続は第一ケーシング側に設けた装着機構にて行われる。このように、電気接続部位と機械接続部位の相対位置が第一ケーシングに対して規定されるため、各接続部位における誤差の累積を極減でき、安価な構成でもって電気接続と機械接続との間の位置決めを正確における利点が得られる。
【0012】
また第2の側面に係る電池パックによれば、前記第一ケーシングは、その内面から直立する姿勢にて突出された柱状部36と、前記柱状部36の端縁から突出させた挿入ピン36aと、を備えており、前記パック基板74は、前記第一ケーシングの内面に固定する姿勢において前記挿入ピン36aと対応する位置に、ボス穴76を開口しており、前記ボス穴76に前記柱状部36の挿入ピン36aを挿入することで、前記パック基板74を第一ケーシングと位置決めすることができる。上記構成により、パック基板を第一ケーシングの内面で容易に位置決め姿勢にて固定できる。
【0013】
さらに第3の側面に係る電池パックによれば、さらに前記二次電池1を個別に収納する電池収納空間を複数形成した電池ホルダ70を備えており、前記電池ホルダ70の上面には、前記パック基板74を固定するためのボス72を設けており、前記ボス72は、前記電池ホルダ70を前記電池ケース31に収納した姿勢において前記挿入ピン36aと対応する位置に設けられており、前記ボス72の端面には、前記挿入ピン36aと結合するためのピン結合部を形成しており、前記挿入ピン36aを前記パック基板74のボス穴76に挿入した状態で、該前記挿入ピン36aを前記ピン結合部と結合することにより、前記パック基板74を前記ピン結合部と挿入ピン36aとで挟持するよう構成できる。上記構成により、パック基板を第一ケーシングと電池ホルダとで狭持して保持でき、従来必要であったパック基板のねじ止め等の作業を省いてこれを固定することが可能となる。
【0014】
さらにまた第4の側面に係る電池パックによれば、前記第一ケーシングの内面に、前記電気接続部を保持する電気接続保持部14を設けることができる。上記構成により、電気接続部を第一ケーシングの内面において保持部で保持することができ、第一ケーシングに対する電気接続部の位置を一層正確に位置決めできる利点が得られる。
【0015】
さらにまた第5の側面に係る電池パックによれば、前記電気接続部が、外形を枠状としたコネクタ13であり、前記電気接続保持部14を、前記コネクタ13の両側を挟持する挟持リブとすることができる。上記構成により、コネクタを第一ケーシングの内面で両側から挟持リブにて挟持でき、電気接続部位の位置決めを簡易な構造で正確に実現できる利点が得られる。
【0016】
さらにまた第6の側面に係る電池パックによれば、前記電気接続部が、金属板を折曲した外部接続端子33であり、前記電気接続保持部14を、前記外部接続端子33の上端縁を挟持する端子位置決めリブ39とすることができる。上記構成により、金属板を折曲した外部接続端子の位置を、第一ケーシングの内面で正確に位置決めできることに加え、上端縁を保持することで金属板を折曲した外部接続端子のへたりを抑制できる効果も得られる。
【0017】
さらにまた第7の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記第一ケーシングから突出して、電池駆動機器側に形成された保持凹部17に挿入されてこれと係止されるための係止フック54を備えることができる。上記構成により、係止フックでもって保持凹部に係止させるというシンプルな構造を用いて電池パックを電池駆動機器に機械的に連結状態とできる。
【0018】
さらにまた第8の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記係止フック54を前記第一ケーシングから突出させたロック位置、又は前記第一ケーシング内に収納させた解除位置に切り替えるための着脱操作部52を備えることができる。上記構成により、着脱操作部を操作することによって電池パックと電池駆動機器との機械接続を容易に解除できる。
【0019】
さらにまた第9の側面に係る電池パックによれば、前記装着機構が、前記係止フック54と前記着脱操作部52とが一体に形成されたラッチ部50、50Bでもって構成されており、前記前記着脱操作部52が前記第一ケーシングの、前記係止フック54を突出させる部位とは異なる面に、スライド自在となる姿勢で表出されており、前記前記着脱操作部52をスライドさせることで、前記係止フック54が前記第一ケーシングの表面から突出するよう構成できる。上記構成により、着脱操作部のスライド操作によって係止フックの突出、収納を切り替えることができ、電池駆動機器との装着、脱離を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電池パックを示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た図を示す斜視図である。
【図3】図1の姿勢における電池パックの分解斜視図である。
【図4】図2の姿勢における電池パックの分解斜視図である。
【図5】図5(a)は下ケーシングに側面カバーを装着する様子を示す斜視図、図5(b)は図5(a)の状態から下ケーシングに側面カバーを装着した状態を示す斜視図である。
【図6】従来の電池ケースで側面を別部材とした構成を示す斜視図である。
【図7】図5の電池ケースで側面カバーを逆向きに挿入しようとする状態を示す斜視図である。
【図8】上ケーシングに側面カバーを装着する様子を示す、斜め下方から見た斜視図である。
【図9】電池ホルダの分解斜視図である。
【図10】上ケーシングと電池ホルダとでパック基板を挟持する様子を示す分解斜視図である。
【図11】図10の上ケーシング等を斜め下方から見た分解斜視図である。
【図12】図10の垂直断面図である。
【図13】図12の上ケーシングと電池ホルダとでパック基板を挟持した状態の要部拡大断面図である。
【図14】実施例2に係るパック基板の固定構造を示す断面図である。
【図15】電池パックを電池パック用充電器に装着した状態を示す斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線における縦断面図である。
【図17】図16の電池パック用充電器から電池パックを外した状態を示す縦断面図である。
【図18】図15のXVIII−XVIII線における横断面図である。
【図19】図19(a)は変形例に係る電池パックの横断面図、図19(b)は図19(a)の拡大断面図である。
【図20】外部接続端子をパック基板上に固定した状態を示す斜視図である。
【図21】外部接続端子の上端を端子位置決めリブで保持する状態を示す水平断面図である。
【図22】電池パック用充電器に電池パックを接続した状態を示す回路図である。
【図23】図4のラッチ部の斜視図である。
【図24】図24は電池パックを電動工具にセットした状態を示す斜視図である。
【図25】図23のラッチ部の正面図である。
【図26】図25のXXV−XXV線における垂直断面図である。
【図27】図25のXXVI−XXVI線における垂直断面図である。
【図28】実施例3に係る電池パックを示す外観斜視図である。
【図29】図28の電池パックの正面図である。
【図30】図29のXXIX−XXIX線における垂直断面図である。
【図31】従来の電池パックを充電器に装着する状態を示す斜視図である。
【図32】従来の電池パックを電動工具に装着した状態を示す斜視図である。
【図33】図31の電池パックを示す斜視図である。
【図34】従来の電池パックの内部構造を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0022】
図1〜図4に、本発明の実施例1に係る電池パックとして、電動工具用の電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た図を示す斜視図、図3は図1の姿勢における電池パック30の分解斜視図、図4は図2の姿勢における電池パック30の分解斜視図を、それぞれ示している。なお、以下では電動工具用の電池パックを説明するが、本発明の電池パックは電動工具用の電池パックに限定されるものでなく、他の電池駆動機器にも適宜利用可能であることはいうまでもない。
【0023】
これらの図に示す電池パック30は、外形を箱形とし、内部に二次電池1を内蔵している。具体的には、電池パック30は、充電可能な複数の二次電池1を保持する電池ホルダ70と、二次電池1同士を端面で接続する電池リード板80と、二次電池1の保護回路を実装したパック基板74と、電池駆動機器や電池パック用充電器100と接続する電気接続部と、電池ホルダ70及びパック基板74を収納する電池ケース31とを備える。
(電池ケース31)
【0024】
電池ケース31は、図1〜図2に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電池駆動機器である電動工具PTや、電池パック用充電器100の接続端子(図示せず)と接続するための電気接続部を表出させている。図2及ぶ図4の例では、電池ケース31を構成する上ケーシング31Aの一部に、電気接続部を表出させるための表出窓12を開口している。電池接続部は、電池パック用充電器や電池駆動機器の接続端子と接続させる接続部分を、この表出窓12を通じて表出させている。また電池パック30を電動工具PTや電池パック用充電器100に装着する際に、装着状態を保持するためのラッチ部50を備える。この電池ケース31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
【0025】
また電池ケース31は、第一ケーシングと第二ケーシングとに分割されている。図3〜図4の分解斜視図に示す例では、電池ケース31が上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。電池ケース31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70とパック基板74、及びラッチ部50を収納する。
(側面カバー31C)
【0026】
さらに電池ケース31の側面は、側面カバー31Cで被覆している。図5(a)に下ケーシング31Bに側面カバー31Cを装着する様子を示す斜視図、図5(b)に図5(a)の状態から下ケーシング31Bに側面カバー31Cを装着した状態を示す斜視図を、それぞれ示す。これらの図に示すように、側面カバー31Cは上ケーシング31Aと下ケーシング31Bと別部材で構成している。側面カバー31Cは、上ケーシング31Aと下ケーシング31Bにそれぞれ設けられた溝部に、端縁を挿入して、上ケーシング31Aと下ケーシング31Bで挟持されて固定される。
(反り防止リブ31a)
【0027】
加えて、下ケーシング31Bには、反り防止リブ31aを設けている。従来の電池ケースで側面を別部材とする構成では、図6に示す下ケーシング31Xのように、側面カバーを装着する部分を開口させ、必要な樹脂成形部材を少なくする形状が採用されていた。しかしながら、この構造では電池ケースを樹脂成型した際に反りが生じることがあった。また機械的な強度も捻れ方向に対して弱くなる。そこで、図5(a)に示すように、側面カバー31Cで覆う部分を完全に開口させず、反り防止リブ31aを設けている。これによって、電池ケースの反りを抑制できる。また側面と反り防止リブ31aと側面カバー31Cの二重構造とすることで、機械的な強度も向上できる利点が得られる。特に、電動工具用の電池パックのような屋外使用の用途においては、落下や衝撃等の少々乱暴な扱い方も想定されるため、このような機械強度を増すことで電池パックの信頼性を向上させることができる。
【0028】
なおこの例では、下ケーシング31Bにのみ反り防止リブ31aを設けているが、上ケーシング側に反り防止リブを設けてもよく、また上ケーシングと下ケーシングの両方に反り防止リブを設けてもよいことはいうまでもない。
【0029】
さらに、このように側面カバー31Cを別部材で構成することにより、側面カバー31Cの変更が容易となる。この結果、側面カバー31Cを化粧板として利用し、電池ケース31の側面のデザインの変更を容易に行え、意匠性を高めることもできる。図5(b)の例では、側面カバー31Cの表面を、上半分を枠状に形成し、下半分を六角形のディンプル状に形成している。
(誤挿入防止リブ31b)
【0030】
一方で、側面カバー31Cのデザインが非対称の場合は、組立時において側面カバー31Cの向きを上下逆にして挿入することが考えられる。この場合は、逆差しされた側面カバー31Cのデザインが意図したものと異なる不良品となってしまう。そこで本実施例においては、図5(a)、(b)、図7、図8に示すように、側面カバー31Cに誤挿入防止リブ31bを設けている。誤挿入防止リブ31bは、側面カバー31Cの裏面側の端縁に設けられる。図5(a)の例では、側面カバー31Cの上端縁のほぼ中央に設けられている。この後挿入防止リブは、側面カバー31Cの裏面から若干突出されている。この結果、図7に示すように下ケーシング31Bに対して側面カバー31Cを逆向きに挿入しようとすると、誤挿入防止リブ31bが反り防止リブ31aの上端縁に抵触して、その挿入を妨げる。これによって、側面カバー31Cの誤った姿勢での挿入を物理的に阻止して、組立時のミスを回避できる。また図8の分解斜視図に示すように、上ケーシング31A側には、側面カバー31Cを挿入時に誤挿入防止リブ31bと対応する位置に、誤挿入防止リブ31bを案内するリブガイド31cを設けている。これによって、側面カバー31Cを正しい姿勢で位置決めして上ケーシング31Aに挿入できる。
【0031】
なお、この例では上述の通り上ケーシング31A側には反り防止リブを設けていないため、誤挿入防止リブ31bが反り防止リブに抵触する事態を回避できる。ただ、上ケーシングにも反り防止リブを設ける場合は、誤挿入防止リブの形状を変更し、上ケーシング側に正しく挿入できるような構造とする。例えば、上ケーシングの反り防止リブには、その中央部分に誤挿入防止リブを案内できるスリットを設ける。また、誤挿入防止リブの形状や位置、数などは適宜変更でき、電池ケースに対して正しい方向への挿入を許可しつつ、誤った姿勢での挿入を阻害するようなあらゆる形状、構造が利用できる。
(電池ホルダ70)
【0032】
電池ホルダ70は、図3〜図4に示すように、二次電池1と、パック基板74と、電池リード板80と、各種リード線とを備えている。またこの電池ホルダ70は、後述する図9の分解斜視図に示すように、下面に二次電池1を収納する電池収納空間と、上面にパック基板74を固定する基板固定部75とを設けている。二次電池1同士は、電池ホルダ70の端面に開口された表出部から表出する二次電池1の端面同士を、電池リード板80で電気接続され、さらに電池ホルダ70に二次電池1を収納した電池コアの出力を出力リード線でパック基板74に接続している。パック基板74には、電池コアの出力を、電動工具PTや電池パック用充電器100と接続するための充放電端子を備えている。また電池リード板80の側面には、各電池リード板80を固定するためのリード板固定枠86が設けられている。
【0033】
またパック基板74上には、二次電池1の保護回路が実装されている。保護回路は、各電池リード板80と信号リード線84を介して接続されており、例えば各二次電池1の電池電圧を検出する。さらにパック基板74は、電気接続部として、コネクタ13を一端に固定している。コネクタ13は、電池パックに内蔵する二次電池1の出力と接続された充放電端子に加え、保護回路の出力や電池情報等を出力する信号端子も備えている。コネクタ13の接続部分は、図2等に示すように、電池ケース31に開口された表出窓12を通じて、外部に表出されている。電池パックと電気的に接続される電池駆動機器や電池パック用充電器は、その接続端子を、表出窓12を通じて表出されたコネクタ13に挿入して電気接続する。
(二次電池1)
【0034】
電池ケース31は、内部に二次電池1を内蔵できる形状に形成される。ここでは、二次電池1として外装缶を長手方向に延長された円筒状とした円筒形二次電池を使用している。この電池ケース31は、図4等に示すように電池ケース31内に複数本の二次電池1を互いにほぼ平行姿勢で、同一平面上に横並びに隣接するように配置している。電池パック30に内蔵される二次電池1は、リチウムイオン電池である。ただ、二次電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、ポリマー電池等の充電できる他の全ての電池とすることもできる。複数の二次電池は、複数本を直列に接続して出力電圧を高くし、また複数本を並列に接続して出力電流を大きくできる。この例では、二次電池1をリチウムイオン電池とし、2本を並列にして5組を直列に接続して出力電圧を18Vとしている。ただ電池パックは、内蔵する二次電池の本数や接続状態を特定しない。電池パックは、使用する電池駆動機器の種類や用途に応じて内蔵する二次電池の本数と出力電圧を種々に設計できる。
(電池収納空間)
【0035】
電池ホルダ70の電池収納空間は、図9の分解斜視図に示すように第一サブホルダ71A、第二サブホルダ71Bに二分割されており、これら第一サブホルダ71A、第二サブホルダ71Bの間に二次電池1が挟持される。この例では、電池ホルダ70は10本の二次電池1を収納している。この電池ホルダ70は、二次電池1を電池収納空間に収納した状態で、表出部から表出される端面同士を電池リード板80で接続する。
(電池リード板80)
【0036】
電池リード板80は図9の分解斜視図などに示すように、導電性に優れた平板状の金属板であり、電池収納空間に収納できる大きさに形成される。この電池リード板80はスポット溶接のため、溶接スリットを形成しており、電池収納空間に収納された状態で隣接する二次電池1の端面同士に固定される。
(基板固定部75)
【0037】
電池ホルダ70の上面には、パック基板74を固定するための基板固定部75が設けられる。図10〜図13に、基板固定部75にパック基板74を装着する様子を示す。これらの図において、図10は上ケーシング31Aと電池ホルダ70とでパック基板74を挟持する様子を示す分解斜視図、図11は図10の上ケーシング31A等を斜め下方から見た分解斜視図、図12は図10の垂直断面図、図13は図12の上ケーシング31Aと電池ホルダ70とでパック基板74を挟持した状態の要部拡大断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電池ホルダ70は、パック基板74を支承するボス72を設けている。このボス72は、先端縁においてピン結合部として、段差部73を設けている。また段差部73の内側をボス72の外形よりも一回り小さい径の段差を形成して開口端から窪ませ、さらに中空の円筒状としている。また円筒状の内面にはねじ溝が切られている。
【0038】
一方、パック基板74は、ボス72と対応する位置にボス穴76を開口している。このボス穴76は、パック基板74の裏面側からボス72の先端を挿入して、ボス72の段差部73でパック基板74を支承する。
【0039】
さらに上ケーシング31Aには、ボス72と対応する位置に挿入ピン36aを設けている。挿入ピン36aは、上ケーシング31Aの内面から下方に向かって突出させた柱状部36の先端面に設けられる。柱状部36は外形を円柱状に形成しており、また挿入ピン36aもその内部を、柱状部36から連通して円筒状に形成されており、上ケーシング31Aの上面にねじ穴37が開口される。これによって、図12及び図13に示すように、パック基板74のボス穴76に挿入された電池ホルダ70の開口部分に、上ケーシング31Aの挿入ピン36aを挿入して、パック基板74のボス穴76の周囲を柱状部36の先端面と、段差部73との間で挟持した状態で、上ケーシング31Aからねじ38を螺合してパック基板74を固定できる。この構造によれば、上ケーシング31Aと電池ホルダ70との固定作業と同時に、パック基板74の固定も行うことができる。特に、パック基板74の固定に用いるねじと、上ケーシング31Aの固定に用いるねじとを共通化することができ、部材コストの低減と螺合すべき箇所の低減による作業の省力化が図られる。
【0040】
さらにボス穴76は、パック基板74上において対角線上に設けられている。これによって、パック基板74を電池ホルダ70上の基板固定部75において、XY方向に位置決めして固定できる。加えて、上述の通りパック基板74を上ケーシング31Aの柱状部36の先端面と、電池ホルダ70の段差部73とで挟持してねじで固定することにより、パック基板74の高さ方向の位置決めも行える。このように、ボス72と挿入ピン36aを利用したパック基板74の固定構造は、パック基板74のXYZ方向における位置決めも同時に行えるという利点も得られる。
(実施例2)
【0041】
また、上記の構造ではパック基板74の固定をねじで行う例を説明したが、この構成に限らず、パック基板74の固定にねじを使用しない構成としてもよい。このような例に係る電池パック30Bを実施例2として、図14に示す。この例では、ボス72Bにねじ溝を形成せず、また挿入ピン36aにはねじ穴を設けず、挿入ピン36aをボス72Bに挿入して、上ケーシング31Aの柱状部36の先端面と電池ホルダ70の段差部73とでパック基板74を挟持している。この状態で上ケーシング31Aと下ケーシング31Bとを螺合などにより固定することで、パック基板74の固定も図られる。この例では、ボス72Bは、先端縁において段差部73を設け、この段差部73の内側にボス72Bの外形よりも一回り小さい径の円柱状突起72aを形成して突出させている。またボス穴76は、パック基板74の裏面側からボス72Bの先端を挿入して、ボス72の段差部73でパック基板74を支承しつつ、円柱状突起72aをボス穴76に配置させる。ここで円柱状突起72aは、パック基板74の厚さよりも短く、かつその直径をボス穴76よりも小さくしている。また、挿入ピンをボスの先端に圧入する構成としてもよい。
【0042】
従来、パック基板の固定には、パック基板に開口された穴にねじを螺合してパック基板上に固定することが行われていたが、この作業は手間がかかる。特にねじ穴が多い場合は、それだけ作業工数が増えるため、製造コストも上昇する。これに対して、上記実施例2に係る電池パックによれば、パック基板74を電池ホルダ70上に固定するためにこのような螺合作業を要さず、組み立て作業を容易に行える上、ねじ等の固定部材を別途用意する必要も無いため、必要な部材を低減して製造コストも削減できる。
(装着機構)
【0043】
また電池パックは電池ケース31を電池駆動機器や電池パック用充電器に機械的に装着するための装着機構を備えている。ここでは装着機構として、ラッチ部50を備えている。ラッチ部は、係止フック54と着脱操作部52を備えており、着脱操作部52のスライド操作によって係止フック54の突出、収納を切り替えることができる。一方、電池駆動機器側には係止フック54を係止するための保持凹部17が形成されており、電池ケース31の上ケーシング31Aから係止フック54を突出させて保持凹部17に係止することにより、電池駆動機器に装着できる。また着脱操作部52をスライドさせて、係止フック54を突出させたロック位置から、電池ケース31内部に収納させた解除位置に移動させることで、係止状態を解除して電池パックの脱離を簡単に行える(詳細は後述)。ここでは、上ケーシング31A側にこのような装着機構を設けている。
(電気接続部)
【0044】
その一方で、電池パック30は、上述の通り電池駆動機器や電池パック用充電器100と接続するための電気接続部を備えている。電気接続部は、電池駆動機器や電池パック用充電器と電気的に接続して、電力の授受を行う。例えば図15〜図18に示すように、電池パック30を電池パック用充電器100に装着する場合、電池パック用充電器100の装着部2に配置される複数の接続端子3と、電気接続部であるコネクタ13とがそれぞれ接続される。コネクタ13はパック基板74上に固定されており、二次電池1の出力の他、接続先の外部の電池パック用充電器100や電動工具PTとの間で信号のやりとりを行うための信号端子等を設けることができる。
【0045】
このように電池パックを電池駆動機器に着脱する構造においては、機械的な接続構造である装着機構と、電気的な接続構造である電気接続部とを個別に設けている。この構成によって、機械的な接続強度を高めつつ、電気接続の安定性や信頼性を向上させることが可能となる。しかしながら、このような構成においては、これら機械接続と電気接続との間で相対的な位置関係を正確に位置決めしておく必要がある。すなわち、機械接続がなされた状態で、電気接続の位置が不正確であると、電気接続の接点で接続不良が生じることが考えられ、信頼性が損なわれることがある。逆に電気接続を正確に行うあまり、機械接続が不十分となってしまうと、今度は電池パックが使用中に電池駆動機器から脱離することも考えられる。特に従来の構成では、図34の断面図に示すように、機械接続を上ケーシング31AY側に設ける一方、電気接続を行う電気接続部が、下ケーシング31BY側に電池ホルダ70Yを介して固定されたパック基板74Yの上に固定されている。このため、接続部分が多くなって各部位における誤差が累積され、また各部材の製造公差とも相俟って、電気接続と機械接続との相対的な位置関係を、通常の製造コストの範囲内で行われる組立工程において正確に位置決めすることが困難であった。
【0046】
これに対して、本実施の形態では、装着機構を上ケーシング31Aの表面から部分的に表出させることに加えて、図11などに示すようにパック基板74を上ケーシング31A側に固定している。ここでは、上ケーシング31Aの内面からほぼ垂直な姿勢で突出された柱状部36と、柱状部36の端縁から突出させた挿入ピン36aとを、パック基板74に開口させたボス穴76に挿入して、上ケーシング31Aとパック基板74との相対的な位置関係を規定している。その一方で、装着機構であるラッチ部は、係止フック54を突出させるフック突出窓15を上ケーシング31Aに開口している。このような構成とすることで、装着機構と電気接続部の両方が、上ケーシング31Aを基準として位置決めされるため、上ケーシングと下ケーシングに分断する従来の方法に比べ、位置合わせの精度を各段に向上させることができる。特に電池パックを電池駆動機器とコネクタ13を介して電気接続するに際して、パック基板74上に固定されたコネクタ13を、上ケーシング31Aでもって所定位置に位置決めすることが可能となる。また一方で、電池パックと電池駆動機器との機械的な接続は、上ケーシング31A側に設けた装着機構にて行われる。このように、電気接続部位と機械接続部位の相対位置が上ケーシング31Aに対して規定されるため、各接続部位における誤差の累積を極減でき、安価な構成でもって電気接続と機械接続との間の位置決めを正確における利点が得られる。
(電気接続保持部14)
【0047】
さらに上ケーシング31Aに、電気接続部を保持するための電気接続保持部14を設けることもできる。図11の例では、電気接続保持部14として、上ケーシング31Aの内面においてコネクタ13を両側から挟持する挟持リブを設けている。この構成によって、電気接続部を上ケーシング31Aで、パック基板を介することなく直接的に位置決めできるので、上ケーシング31Aを基準とする電気接続部の位置決めを一層正確に行える利点が得られる。
(外部接続端子33)
【0048】
なお電気接続部はコネクタに限られず、他の部材を利用することもできる。例えば図19〜図21に示すような金属板で構成することもできる。ここでは、金属板を折曲した外部接続端子33を複数用いて電気接続部を構成している。各外部接続端子33は、図20〜図21等に示すように、後端縁を上面視コ字状に折曲されると共に、電池パック用充電器100や電動工具PTといった外部接続機器の接続端子と電気的に接続される先端側においては、コ字状の開口端が徐々に狭くなるように、テーパ状に折曲されている。このように折曲された2枚の金属板の間に、外部接続機器の接続端子が挿入され、金属板同士の間で挟持されることによって電気接続が確立される。
(端子位置決めリブ39)
【0049】
また外部接続端子33を用いた例においても、上ケーシング31Aの内面に電気接続保持部14として、外部接続端子33の上端縁を保持するための端子位置決めリブ39を設けることもできる。このようにすることで、外部接続端子33の電気接続の信頼性を高めることができる。このような例を変形例として図19(a)〜図19(b)に示す。これらの図において、図19(a)は変形例に係る電池パックの横断面図、図19(b)は図19(a)の拡大断面図を、それぞれ示している。
【0050】
一般に外部接続端子33は、金属板を折曲して形成される。ただ、外部接続端子33自体の製造公差に加え、外部接続端子33をパック基板74に固定する際の取付公差、パック基板74と下ケーシング31Bとの取付公差などの各種の公差が累積される結果、位置のばらつきが大きくなる。このため、外部接続端子33と電池パック用充電器100、電動工具PTの端子との嵌合時には、接触位置が偏る等の不具合が発生することが考えられる。
【0051】
また、仮に外部接続端子33を正確な位置に固定できたとしても、外部接続端子33は図20に示すようにパック基板74上に直立姿勢で固定されているため、何度も電池パック用充電器100や電動工具PTとの着脱を行い、端子の挿抜を繰り返す内に、外部接続端子33に歪みが生じ、また弾性が徐々に損なわれることもことも考えられる。
(変形例)
【0052】
そこで本実施例では、外部接続端子33の下端をパック基板74上に固定するのみならず、その上端においても、保持する機構を設けている。図19の断面図に示す例では、上ケーシング31Aの内面に端子位置決めリブ39を設けている。端子位置決めリブ39には、外部接続端子33と対応する位置に、複数条のスリットが設けられており、外部接続端子33の上端をスリットに挿入して、図21の水平断面図に示すように外部接続端子33の上端両面を挟み込むことで、外部接続端子33を下端縁のみならず上端縁においても保持することで、外部接続端子33を正確な位置に位置決めし、さらに位置ずれしないように保持される。このことは、端子に挿抜を繰り返す内に歪みが生じる事態をも抑制できる。これによって、外部接続端子33の正確な位置決めが簡単に図られ、外部の電池パック用充電器100や電動工具PTへの装着に際して、電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0053】
端子位置決めリブ39のスリットは、外部接続端子33の上端を狭持できるよう、好ましくは外部接続端子33の厚さとほぼ同じか、これよりも若干狭く形成される。これによって外部接続端子33を端子位置決めリブ39のスリットに圧入して、確実に外部接続端子33の上端を保持できる。
【0054】
また外部接続端子33は、図20の斜視図などに示すように、後端にスリット状の切り欠きを設けることもできる。これによって、外部接続端子33の上端を端子位置決めリブ39に圧入する際、切り欠き部分で外部接続端子33を変形し易くでき、多少の誤差や公差を変形によって吸収して、外部接続端子33を端子位置決めリブ39で保持できる。
【0055】
このように、電池ケース31の内側で直接、外部接続端子33の位置決めを行う構造によって、外部接続端子33の位置精度を向上させることが可能となる。
(ラッチ部50)
【0056】
一方で電池パック30に設けられたラッチ部50は、図1〜図4に示すように部分的に電池ケース31から表出させるようにして、電池ケース31内に可動自在に収納される。ラッチ部50は、ユーザが手で操作するための着脱操作部52を前面に形成すると共に、図において上部には、電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック54を設けている。この係止フック54は着脱操作部52と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック54と対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0057】
この電池パック30を専用の電池パック用充電器100に装着する様子を、図15〜図18に示す。これらの図において、図15は電池パックを電池パック用充電器100に装着した状態を示す斜視図、図16は図15のXVI−XVI線における縦断面図、図17は図16の電池パック用充電器100から電池パック30を外した状態を示す縦断面図、図18は図15のXVIII−XVIII線における横断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、係止フック54はコイルスプリング等の弾性部材57で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック54が収納され、かつ弾性部材57で係止フック54が押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、ラッチ部50の着脱操作部52を手で押し上げるように操作することで、係止フック54と保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイドに装着ガイドを挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30のコネクタ13が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらにラッチ部50を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
【0058】
図15に示すように、電池パック30を電池パック用充電器100にセットすると、電池パック30の外部端子33が、電池パック用充電器100に設けられた接続端子3と接続される。これによって、電池パック30は電池パック用充電器100から給電を受けて、内部に収納した二次電池1を充電することができる。また、電力供給のみならず、信号端子を介して種々の信号のやりとりを行う。図22に、電池パック用充電器100に電池パック30を接続した状態の回路図を示す。
【0059】
電池パック用充電器100の装着部2は、底面2Aの中央部に位置して、底面2Aから突出する複数の接続端子3を配設している。複数の接続端子3は、一列に横並びに配置している。電池パック用充電器100の接続端子3は、板状の金属板10で、ほぼ同じ外形として互いに平行な姿勢で配列している。板状の接続端子3は、装着部2の底面2Aに垂直な姿勢であって、電池パック30の挿入方向に沿う姿勢で配置している。特に鉛直姿勢で複数列に端子ホルダ8上に固定された接続端子3を、電池パック30の装着方向に延長させた姿勢に保持することで、電池パック30の装着動作により、複数枚の接続端子3を電池パック30の外部端子33と各々スムーズに接触させるように接続でき、好ましい。
【0060】
金属板10である接続端子3は、ニッケル板、銅板、銅合金板等の優れた導電性を有する金属で製作される。ただ、接続端子は必ずしも板状には特定しない。接続端子は、装着部の内側に表出して、ここに装着される電池パックの外部端子に接続される種々の形状とすることができる。
【0061】
複数の接続端子3は、正負の充電端子4を両側に配置し、これらの充電端子4の間に非充電端子5を配置している。充電端子4は、電池パック30に内蔵する二次電池1を充電するための正負の高電圧端子である。また非充電端子5は、電池パック30との間で電池情報を伝達する信号端子である。さらに、複数の接続端子3は、充電端子4の間に配置される非充電端子5を、両側の充電端子4よりも突出して配設してもよい。この構造により、複数の接続端子3の上面に金属異物が接触する状態において、非充電端子5が金属異物の中央部に優先的に接触して、その両端部が両側の充電端子4に接触するのを阻止できる。
(充電回路20)
【0062】
電池パック用充電器100は、装着部2に装着された電池パック30を充電するための充電回路20を内蔵している。電池パック用充電器100の両側に配置される正負の充電端子4は、装着部2にセットされる電池パック30の正負の充放電端子34に接続されて、電池パック30に充電電力を供給する。正極側の充電端子4は、図22の回路図に示すように、充電回路20に接続されており、電池パック30に電力を供給して内蔵される二次電池1を充電する。図の電池パック用充電器100は、商用電源(図示せず)から供給される交流電源を整流回路22で直流に変換し、この直流の電圧を充電回路20で充電用の電圧に変換して充電端子4から出力する。この充電回路20は、例えば、整流回路22の出力側と正極側の充電端子4との間に接続しているスイッチング素子(図示せず)をON/OFFに制御するデューティを変化させて、電池パック30の充電に最適な充電電圧と充電電流に調整する。
【0063】
一対の充電端子4の間に配置される非充電端子5は、信号端子である。図に示す接続端子3は2個の信号端子を備えている。これらの信号端子は、電池パック30に内蔵される二次電池1の異常信号が入力される異常信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池1の温度信号が入力される温度信号端子と、電池パック30に内蔵される二次電池1の識別信号が入力される識別信号端子としている。ただ、信号端子は、これら以外の信号、例えば、電池の充電状態や、電池の種々の情報を伝達する信号端子とすることもできる。
【0064】
制御回路21は、異常信号端子に異常信号が入力されると、電池パック30の異常と判定して、充電回路20をオフに切り換えて充電を停止する。さらに、制御回路21は、温度信号端子に入力される温度信号から、電池パック30に内蔵される二次電池1の温度を検出する。この制御回路21は、電池温度が最高温度よりも高くなると、充電電流を遮断して充電を中断し、あるいは充電電流を少なくして、電池温度を低下させる。電池温度が設定温度よりも低くなると、正常な充電電流で充電する。
【0065】
さらに、制御回路21は、識別信号端子から入力される電池の識別信号から電池パック30を充電する最適な電圧と電流値を判別して充電端子4から出力する充電電圧と充電電流を変更する。この電池パック用充電器100は、電池パック30が装着されると、電池パック30の制御部40から出力される電池の識別信号を制御回路21で受信し、制御回路21が、入力された電池の識別信号から電池パック30のタイプを判別して、この電池パック30を充電するのに最適な電圧と電流値となるように充電回路20を制御する。この電池パック用充電器100は、電池パック30を充電する充電電圧と充電電流を、電池パック30から入力される電池の識別信号から判別して最適な電圧に切り換えて充電するので、一つの電池パック用充電器で出力電圧の異なる複数種の電池パックを充電できる。ただ、電池パック用充電器は、必ずしも出力電圧を切り換える必要はなく、一定の出力電圧で電池パックを充電することもできる。
(装着機構)
【0066】
この電池パック30は、電池ケース31を電池駆動機器又は電池パック用充電器100に装着するための装着機構として、ラッチ部50を備えている。ラッチ部50は、ロック状態とを解除状態に切り替えるための着脱操作部52を設けている。
(着脱操作部52)
【0067】
ラッチ部50は、図23の斜視図に示すように、上面に着脱操作部52を有すると共に、下面に電池パック30の装着時の進行方向に面して傾斜させた傾斜面と、傾斜面から連続して形成された垂直面とを有する係止フック54を設けている。この係止フック54は着脱操作部52と一体成型されている。また装着部2には、この係止フック54と対応する位置に保持凹部17を形成している。この保持凹部17も、傾斜面と一致する凹部傾斜面と、水直面と一致する凹部垂直面とを有している。
【0068】
図16〜図17の断面図に示すように、係止フック54はコイルスプリング等の弾性部材で下方に突出するよう付勢されている。この電池パック30は、装着部2に装着する際は、電池パック30をスライドさせる進行方向に沿って傾斜部が押圧されて収縮され、電池パック30の進行を許容する。電池パック30が所定位置まで進行されると、この位置に対応して形成された保持凹部17に係止フック54が収納され、かつ弾性部材で係止フック54が押圧されて、垂直面が凹部垂直面と当接し係止状態となる。この状態では、電池パック30を装着部2から引き抜く方向に力が働いても、垂直面が凹部垂直面と当接することによって係止状態が維持され、電池パック30のスライドが妨げられる。そしてユーザが電池パック30を電池パック用充電器100から取り外す際には、ラッチ部50の着脱操作部52を手で押し上げるように操作することで、係止フック54と保持凹部17との係止状態が解除されて、電池パック30のスライドが許容され、取り外し可能な状態となる。電池パック30は、側面に設けたパックガイドに装着ガイドを挿入してスライドさせ、装着部2の奥まで押し込んだ状態で、電池パック30の外部端子33が電池パック用充電器100の接続端子3と接触され、さらにラッチ部50を保持凹部17に係止させて、電池パック用充電器100に装着される。
(装着ガイド)
【0069】
電池パック30を装着部2の底面2Aに沿って正しい姿勢でスライドさせるために、ケース1の対向する側壁には、装着ガイドとして、内面から突出するガイド凸部を突出させている。また、電池パック30の電池ケース31の両側面には、パックガイドとして、このガイド凸部を案内するガイド溝を設けている。ガイド溝は、図18の横断面図に示すように、ガイド凸部を挿入できる凹状に形成される。ガイド凸部は、電池パック30を装着部2に装着するときに、電池パック30の両側面に設けたガイド溝に案内して、電池パック30を正しい姿勢で装着部2に案内できる。ガイド凸部は、電池パック30が挿入される側に位置して、側壁に一体成形して設けることができる。ガイド凸部は、電池パック30の装着方向に延長して設けて、装着部2に装着される電池パック30をガイド凸部に沿ってスライドさせて、電池パック30の外部端子33を装着部2の接続端子3に正しい姿勢で接触できる。
【0070】
なお上述の例では、装着部2側にガイド凸部を設け、電池パック30側にガイド溝を設けた例を説明したが、この構成に限られるものでなく、例えば電池パック側にガイド凸部を、装着部側にガイド溝を、それぞれ設けてもよい。
(表示部56)
【0071】
さらに電池パック30は、二次電池1の状態を表示させるための表示部56を備えている。ここでは、図1、図23等に示すようにラッチ部50の着脱操作部52に表示部56が設けられている。このようにすることで、表示部56の視認性を向上できる。すなわち、電池ケース31を電動工具PTや電池パック用充電器100に装着した状態では、必ずしも電池ケース31の全面が表出されず、図24に示すように大半が電動工具PTに埋もれてしまうこともある。このような場合を考慮すれば、二次電池1の状態を表示させるための表示部を、ユーザが視認できる位置に配置しようとすれば、必ず表出される面に設ける必要がある。そこで、電池パック30の着脱に際して操作が必要となる着脱操作部52を設けた面であれば、必然的に表出されることとなるため、ここに表示部を配置することが考えられる。しかしながら、着脱操作部52は操作性を考えると極力大きく形成させることが望ましく、また表示部は視認性を考慮すれば同じく大きくすることが望ましく、このため、これらを同じ面に設けようとすれば、いずれか一方を小さくする必要が生じて利便性が悪くなるという問題があった。
【0072】
そこで本実施例においては、着脱操作部52に表示部56を設ける構成としている。この結果、着脱操作部52を大きくしつつ、さらに表示部56も視認性を犠牲にすることなく、同じく大きくすることができ、着脱操作部52の操作性と表示部56の視認性を両立することが可能となった。
【0073】
表示部56の光源には、LEDやLD等の半導体発光素子、あるいは液晶や有機EL等が利用できる。この例では、LED61の点灯パターンによって二次電池1の残容量を表示させるよう構成している。また図24の斜視図に示すように、表示部にはラベル55が貼付されており、光源からの光を拡散させて見易くする。また図25の正面図に示す例では、表示部として矩形状のLED点灯窓57を4つ設けており、この数の多寡によって残容量を表示させる。各LED点灯窓57には、それぞれLED61が配置されており、個別の点灯パターンによって電池の残容量を表示できる。
【0074】
ラッチ部50の背面には、図26及び図27の断面図に示すように、サブ基板78が設けられている。サブ基板78上には、LED61及び操作スイッチ59が実装される。ラッチ部50はロック状態と解除状態とを切り替えるため、上下にスライドされる。このためサブ基板78もラッチ部50と共に移動されるため、移動されるサブ基板78に給電させるための折曲可能なリード線79を設けている。リード線79は、パック基板74と接続されてLED61に対して給電を行う。この構成によれば、LED61をスライド移動するラッチ部50に直接設けることで、LED61の発光をダイレクトに表示部56に伝達でき、明るさや視認性の点で有利となる。
(操作ボタン58)
【0075】
また着脱操作部52において、LED点灯窓57の隣には操作ボタン58を設けている。操作ボタン58は、図27の断面図に示すように、サブ基板78上に実装された操作スイッチ59を押下するよう、これと連結されている。すなわち操作ボタン58は、操作スイッチ59と連結されたスイッチカバーとして機能する。このように操作ボタン58も表示部56と同様に着脱操作部52に設けることで、電池ケース31の大きさを維持したまま、操作し易い位置に適度な大きさでスイッチを配置できる。この例では操作ボタン58を介して操作スイッチ59を押下すると、電池の残容量が数秒間表示されるよう構成している。
(実施例3)
【0076】
以上の例では、着脱操作部52に直接LED61を設ける構成を説明した。ただ、本発明はこの構成に限定されるものでなく、着脱操作部に表示部を設けつつ、その光源は必ずしも着脱操作部に設ける必要は無い。このような構成の一例として、図28〜図30に、実施例3に係る電池パック30Cを示す。これらの図において、図28は実施例3に係る電池パック30Cの外観斜視図、図29は図28の電池パック30Cの正面図、図30は図29のXXX−XXX線における垂直断面図を、それぞれ示している。
【0077】
この例ではLED61Bを着脱操作部52とは別個の不動位置である電池ケース31内面に設けている。そしてLED61Bの発光は、ランプリーダ62を介して着脱操作部52に案内される。このように、表示部56Bである点灯窓57Bと、光源であるLED61Bとは必ずしも同じ位置に配置する必要は無く、両者を分離し、ランプリーダ62などの導光手段を通じて導光する構成としてもよい。
【0078】
実施例3に係る電池パック30Cは、図28の斜視図及び図29の正面図に示すように、表示部56Bを設けたラッチ部50Bを表出させている。またその内部においては、図30の断面図に示すように、二次電池1セルを収納する電池ホルダ70と、電池ホルダ70の上面に固定されたパック基板74Bと、パック基板74Bの上面に実装された操作スイッチ59Bと、パック基板74Bの下面に実装されたLED61Bと、LED61Bの発光を表示部56Bの裏面側まで導光するランプリーダ62を備えている。
(ランプリーダ62)
【0079】
ランプリーダ62は、その入光面を半導体発光素子であるLED61Bと光結合可能な姿勢に配置させている。これにより、LED61Bを固定しつつ、その発光をスライド移動する表示部56Bに対して導光することができる。このランプリーダ62は、透光性樹脂などで構成できる。ランプリーダ62は、LED61Bの周囲を覆うようにして入光面にLED61Bの出射面を対向させている。またランプリーダ62の出射面は、ラッチ部50Bを押し下げた状態で表示部56Bに照明光を照射できるように配置される。なお図29の正面図に示すように、表示部56Bにおいて4個の点灯窓57Bが設けられているため、各点灯窓57Bに対応してLED61Bもそれぞれ実装されており、計4個のLED61Bがパック基板74B底面に実装されている。また、ランプリーダ62は各LED61Bの点灯を、それぞれの点灯窓57Bに案内するように導光経路を構成している。また図29の例では、表示部56Bにおいて4個の点灯窓57Bの周囲に二次電池1セルの外形を描くことで、各点灯窓57Bが電池の残容量を示すことがユーザに直感的に理解できるようにしている。
【0080】
またラッチ部50Bは、表面側に着脱操作部52を凹状に設けると共に、凹状の底面に点灯窓57Bを設けている。さらに点灯窓57Bの裏面側は、ランプリーダ62の出射面と対向させている。このラッチ部50Bもロック状態と解除状態とをスライド式に切り替え可能としており、図30においてはラッチ部50Bがロック状態にある位置を示している。ラッチ部50Bは外力の無い状態でロック状態となるよう、ばね等の弾性部材67によって押し上げられる。またユーザが着脱操作部52に指をかけて、弾性部材67に抗する方向に、ラッチ部50Bを下方に押し下げることで、係止フック54Bがパック電池表面から引き込まれて解除状態となる。
【0081】
このラッチ部50Bは、LEDやこれを駆動するためのサブ基板を設けていないため、移動する部材にこのような回路を設けることによって必要となる配線の可撓性等を考慮する必要が無い。LED61Bは、不動位置であるパック基板74B上に設けられているので、発光のための回路実装を簡素化でき、信頼性も高められる。また図29の例ではランプリーダ62も不動位置に固定することで、ラッチ部50Bを極めて簡素化でき、機械的な信頼性を高めることができる。
(操作スイッチ59B)
【0082】
この電池パック30Cは、操作スイッチ59Bの操作をラッチ部50Bの操作と連動させることで、LEDの操作スイッチと電池パックの着脱とを兼用している。すなわち、操作スイッチ59Bを電池パック30Cの外面に表出させず、電池パック30C内部に配置すると共に、ラッチ部50Bの操作によって操作スイッチ59Bが操作されるよう構成されている。電池パック30Cの着脱時にラッチ部50Bを操作させると、これに応じて自動的に操作スイッチ59Bが押下されて、電池パック30Cの残容量が表示される。この構成により、ユーザは電池パック30Cの着脱時に必ず電池パック30Cの残容量を確認できるので、例えば電動工具から電池パック30Cを取り外す際に、これを充電する必要があることを認識して、取り外した電池パック30Cを電池パック用充電器100にセットするよう促され、常時電池パック30Cを充電して残容量が残っている状態とできる。また着脱時に限らず、通常時においても、ラッチ部50Bを押し下げれば残容量を確認できる。
【0083】
この電池パック30Cは、図30の断面図に示すように、係止フック54Bの裏面側に操作スイッチ59Bが配置されており、係止フック54Bが降下されると操作スイッチ59Bの押しボタンが押されるように構成される。これにより、ユーザが手でラッチ部50Bを、弾性部材67の付勢力に抗して押し下げると、係止フック54Bの裏面側で操作スイッチ59Bが押下されることとなる。この結果、操作スイッチ59BのON動作に反応して、図29に示す表示部56Bにおいて電池の残容量がLED61Bの点灯パターンにより表示される。その後、ユーザが手を離すと、弾性部材67の付勢力によってラッチ部50Bが押し上げられて操作スイッチ59BがOFFとなり、LED61Bが消灯して表示部56Bの表示が終了される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る電池パックは、電動工具等の電池駆動機器用の電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器等を駆動するための電池パックとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…二次電池
2…装着部;2A…底面
3…接続端子
4…充電端子
5…非充電端子
12…表出窓
13、13Y…コネクタ
14…電気接続保持部
15…フック突出窓
17…保持凹部;17X…係止凹部
20…充電回路
21…制御回路
22…整流回路
30、30B、30C、30X…電池パック
31…電池ケース;31A、31AY…上ケーシング
31B、31BY、31X…下ケーシング;31C…側面カバー
31a…反り防止リブ;31b…誤挿入防止リブ;31c…リブガイド
32…セット面
33…外部接続端子
34…充放電端子
35…信号端子
36…柱状部;36a…挿入ピン
37…ねじ穴
38…ねじ
39…端子位置決めリブ
40…制御部
42…温度センサ
43…電流検出抵抗
50、50B…ラッチ部
52、52X…着脱操作部
54、54B、54X…係止フック
55…ラベル
56、56B…表示部;56X…残量表示部
57…LED点灯窓;57B…点灯窓
58…操作ボタン
59、59B…操作スイッチ
61、61B…LED
62…ランプリーダ
67…弾性部材
70、70Y…電池ホルダ;71A、71B…サブホルダ
72、72B…ボス;72a…円柱状突起
73…段差部
74、74B、74Y…パック基板
75…基板固定部
76…ボス穴
78…サブ基板
79…リード線
80…電池リード板
86…リード板固定枠
100…電池パック用充電器
PT…電動工具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、
充電可能な一以上の二次電池(1)と、
前記二次電池(1)を収納する電池ケース(31)と、
前記電池ケース(31)を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、
電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、
前記電気接続部を固定したパック基板(74)と、
を備えており、
前記電池ケース(31)が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、
前記パック基板(74)が、前記第一ケーシングの内面に固定されており、
さらに前記装着機構が、前記第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設けられてなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記第一ケーシングは、
その内面から直立する姿勢にて突出された柱状部(36)と、
前記柱状部(36)の端縁から突出させた挿入ピン(36a)と、
を備えており、
前記パック基板(74)は、前記第一ケーシングの内面に固定する姿勢において前記挿入ピン(36a)と対応する位置に、ボス穴(76)を開口しており、
前記ボス穴(76)に前記柱状部(36)の挿入ピン(36a)を挿入することで、前記パック基板(74)が第一ケーシングと位置決めされてなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(1)を個別に収納する電池収納空間を複数形成した電池ホルダ(70)を備えており、
前記電池ホルダ(70)の上面には、前記パック基板(74)を固定するためのボス(72)を設けており、
前記ボス(72)は、前記電池ホルダ(70)を前記電池ケース(31)に収納した姿勢において前記挿入ピン(36a)と対応する位置に設けられており、
前記ボス(72)の端面には、前記挿入ピン(36a)と結合するためのピン結合部(73)を形成しており、
前記挿入ピン(36a)を前記パック基板(74)のボス穴(76)に挿入した状態で、該前記挿入ピン(36a)を前記ピン結合部と結合することにより、前記パック基板(74)を前記ピン結合部と挿入ピン(36a)とで挟持するよう構成してなることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記第一ケーシングの内面に、前記電気接続部を保持する電気接続保持部(14)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記電気接続部が、外形を枠状としたコネクタ(13)であり、
前記電気接続保持部(14)が、前記コネクタ(13)の両側を挟持する挟持リブであることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記電気接続部が、金属板を折曲した外部接続端子(33)であり、
前記電気接続保持部(14)が、前記外部接続端子(33)の上端縁を挟持する端子位置決めリブ39であることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記第一ケーシングから突出して、電池駆動機器側に形成された保持凹部(17)に挿入されてこれと係止されるための係止フック(54)を備えてなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項7に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記係止フック(54)を前記第一ケーシングから突出させたロック位置、又は前記第一ケーシング内に収納させた解除位置に切り替えるための着脱操作部(52)を備えてなることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項8に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記係止フック(54)と前記着脱操作部(52)とが一体に形成されたラッチ部(50,50B)でもって構成されており、
前記前記着脱操作部(52)が前記第一ケーシングの、前記係止フック(54)を突出させる部位とは異なる面に、スライド自在となる姿勢で表出されており、
前記前記着脱操作部(52)をスライドさせることで、前記係止フック(54)が前記第一ケーシングの表面から突出するよう構成されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項1】
電池駆動機器に着脱式に装着されて、該電池駆動機器に対しこれを駆動する電力を供給するための電池パックであって、
充電可能な一以上の二次電池(1)と、
前記二次電池(1)を収納する電池ケース(31)と、
前記電池ケース(31)を電池駆動機器に機械的に装着するための装着機構と、
電池駆動機器と電気的に接続して、該電池駆動機器に対して電力を供給するための電気接続部と、
前記電気接続部を固定したパック基板(74)と、
を備えており、
前記電池ケース(31)が、第一ケーシングと、第二ケーシングとに分割されており、
前記パック基板(74)が、前記第一ケーシングの内面に固定されており、
さらに前記装着機構が、前記第一ケーシングの表面から少なくとも部分的に表出するように設けられてなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
前記第一ケーシングは、
その内面から直立する姿勢にて突出された柱状部(36)と、
前記柱状部(36)の端縁から突出させた挿入ピン(36a)と、
を備えており、
前記パック基板(74)は、前記第一ケーシングの内面に固定する姿勢において前記挿入ピン(36a)と対応する位置に、ボス穴(76)を開口しており、
前記ボス穴(76)に前記柱状部(36)の挿入ピン(36a)を挿入することで、前記パック基板(74)が第一ケーシングと位置決めされてなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックであって、さらに、
前記二次電池(1)を個別に収納する電池収納空間を複数形成した電池ホルダ(70)を備えており、
前記電池ホルダ(70)の上面には、前記パック基板(74)を固定するためのボス(72)を設けており、
前記ボス(72)は、前記電池ホルダ(70)を前記電池ケース(31)に収納した姿勢において前記挿入ピン(36a)と対応する位置に設けられており、
前記ボス(72)の端面には、前記挿入ピン(36a)と結合するためのピン結合部(73)を形成しており、
前記挿入ピン(36a)を前記パック基板(74)のボス穴(76)に挿入した状態で、該前記挿入ピン(36a)を前記ピン結合部と結合することにより、前記パック基板(74)を前記ピン結合部と挿入ピン(36a)とで挟持するよう構成してなることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記第一ケーシングの内面に、前記電気接続部を保持する電気接続保持部(14)を設けてなることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記電気接続部が、外形を枠状としたコネクタ(13)であり、
前記電気接続保持部(14)が、前記コネクタ(13)の両側を挟持する挟持リブであることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項4に記載の電池パックであって、
前記電気接続部が、金属板を折曲した外部接続端子(33)であり、
前記電気接続保持部(14)が、前記外部接続端子(33)の上端縁を挟持する端子位置決めリブ39であることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記第一ケーシングから突出して、電池駆動機器側に形成された保持凹部(17)に挿入されてこれと係止されるための係止フック(54)を備えてなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項7に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記係止フック(54)を前記第一ケーシングから突出させたロック位置、又は前記第一ケーシング内に収納させた解除位置に切り替えるための着脱操作部(52)を備えてなることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項8に記載の電池パックであって、
前記装着機構が、前記係止フック(54)と前記着脱操作部(52)とが一体に形成されたラッチ部(50,50B)でもって構成されており、
前記前記着脱操作部(52)が前記第一ケーシングの、前記係止フック(54)を突出させる部位とは異なる面に、スライド自在となる姿勢で表出されており、
前記前記着脱操作部(52)をスライドさせることで、前記係止フック(54)が前記第一ケーシングの表面から突出するよう構成されてなることを特徴とする電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2013−114779(P2013−114779A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257379(P2011−257379)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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