説明

電池パック

【課題】電池セルの並ぶ方向の衝撃等による影響を軽減すると共に電池セル毎の温度のばらつきを軽減可能な電池パックを提供する。
【解決手段】本発明の電池パック1は、外殻1aを形成するハウジング2内に、複数の電池セル31を備えたセルブロック3が設けられ、前記電池セル31が前後方向Xの端部に電気的接点31aを有し、前記電池セル31を左右方向Yに並べた電池群32が、上下方向Zに重ねて配置され、前記セルブロック3が、重ねて配置した前記電池群32を上下方向Zに挟み保持するセルケース4と、前記電池群32の上下方向Zの間に介在して配置された仕切り板5とを更に備え、前記仕切り板5を、弾性を有した伝熱部材で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具の電源として好適に用いられる電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電動工具の電源として、電動工具に対して着脱自在の電池パックが用いることで、外部電源に接続するためのコードを廃して、電動工具の取り回し作業を行い易くしたものがある。このような電池パックは、電池パックのハウジング内に、複数の電池セルと、電池セル同士を電気的に接続する連結端子とを備え、連結端子はスポット溶接等で電池セルと電気的に接続して取り付けられる。そして、電池パックは、外部との接触時の衝撃や、電動工具の使用時に電動工具で生じた振動等を受けるため、電池セルの位置ずれを生じて、連結端子と電池セルとを繋ぐスポット溶接の外れや電池セルの短絡等の不具合をまねくことがある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の電池パック等のように、衝撃や振動に起因する不具合の発生を抑制したものがある。例えば、特許文献1に記載された電池パックでは、仕切り板を介在させたセルケースで、複数の電池セルを個別に区画したセルブロックを形成する。そして、電池パックの外殻を形成する容器とこのセルブロックとの間に、板状の緩衝体を介在させて、緩衝体と電池セルの間に連結端子を位置させることで、上記振動等による電池セルの位置ずれに伴う連結端子の溶接外れ等を軽減している。
【0004】
また、充電や放電時(充放電時)に、電池セルが発熱し、この電池セルの温度上昇によって、電池容量の低下や過放電等の不具合が生じ易くなる。そこで、電池セルの温度を検知する温度検知部を電池セルの間に設け、温度検知部で検知した温度に応じて充放電動作を調整する制御を行うものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−50044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1等の構成では、連結端子の並ぶ電池セルの長手方向に対して付与された衝撃や振動等を軽減し易いが、仕切り板で区画された電池セルの並ぶ方向の衝撃や振動等を軽減し難い。そのため、電池セルの並ぶ方向に付与された振動等によって電池セルが位置ずれを生じることがあり、この位置ずれに伴うスポット溶接の外れや電池セルの短絡を抑制し難いという問題がある。
【0007】
更に、仕切り板で電池セルを区画したことで、電池セル毎の内部抵抗の差や容器内の通風状況等によって、電池セル毎の温度上昇にばらつきが生じ易くなる。そして、電池セル毎に温度上昇にばらつきが生じ易い場合、温度に応じた充放電制御を行うには、全ての電池セルの温度を検知して、温度に応じた制御を電池セル毎に行うこととなる。そのため、電池パックの構成部材の増加や制御の複雑化等でコストアップを生じると共に、温度検知部の設置空間の確保が必要となる。そして、この設置空間を確保するために、セルケースに開口を形成したり緩衝体を小さくしたりすると、セルケースの強度低下や緩衝体の厚さ減少等をまねき、振動等をセルケースや緩衝体で軽減し難くなる。
【0008】
本発明では、電池セルの並ぶ方向の衝撃等による影響を軽減すると共に電池セル毎の温度のばらつきを軽減可能な電池パックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電池パックは、外殻を形成するハウジング内に、複数の電池セルを備えたセルブロックが設けられ、前記電池セルが前後方向の端部に電気的接点を有し、前後方向に交差する左右方向に前記電池セルを並べた電池群が、前後方向及び左右方向に交差する上下方向に重ねて配置され、前記セルブロックが、重ねて配置した前記電池群を上下方向に挟み保持するセルケースと、前記電池群の上下方向の間に介在して配置された仕切り板とを更に備え、前記仕切り板を、弾性を有した伝熱部材で形成したことを特徴とする。
【0010】
この電池パックとして、前記仕切り板が、弾性部と、弾性部に比べて硬い硬質部とを有することが好ましい。
【0011】
この電池パックとして、前記仕切り板が、前記弾性部を形成する軟質部材と、前記硬質部を形成する硬質部材とを用いた成形品であることが好ましい。
【0012】
この電池パックとして、前記仕切り板が、前記電池セルの外面に当接されて前記電池セルを保持するセル保持部を備え、前記セル保持部が前記硬質部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、電池セルの並ぶ方向の衝撃等による影響を軽減し易くすることができると共に、電池セル毎の温度のばらつきを軽減し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1のセルブロックの分解斜視図である。
【図2】電池パックの斜視図である。
【図3】同上の電池パックにおいて、(a)が平面図であり、(b)が図3(a)のB―B断面図である。
【図4】ハウジングの分解した状態の電池パックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図2には、本発明の電池パック1の実施形態の一例を示している。本実施形態の電池パック1は図3に示すように複数の電池セル31が内蔵されており、電動工具(図示せず)や充電器(図示せず)に着脱自在に取り付けられる。この電動工具は、例えば、インパクト工具やドリルドライバー等となっており、モータを駆動源とした駆動部を備える。そして、電動工具は、このモータを回転駆動させる電源として、本実施形態の電池パック1が利用される。また、上記充電器は、電気的に接続された外部電源(図示せず)から給電されており、電池パック1はこの充電器に取り付けられることで、電池セル31の充電が行われる。
【0017】
電池パック1は、図3や図4に示すように、外殻1aが平面視長方形の箱形状となっており、外殻1aを形成するハウジング2と、ハウジング2に内蔵されたセルブロック3とを備える。以下、図3に示した平面視図面(平面図)を基準に、この平面視を上方から見下ろした状態として、上下方向Z(図3(b)参照)を定め、更に図3におけるハウジング2の長手方向を左右方向Yとし、短手方向を前後方向Xとし、上下方向Zと左右方向Yと前後方向Xは各々略直交する向きとなっている。
【0018】
ハウジング2は、取付部23と、接続部24とを上面部22に有する。取付部23は、電池パック1を電動工具に取り付けた際に電池パック1を着脱自在に保持し、接続部24は、電池パック1を電動工具に取り付けた際に電動工具の内部回路や駆動源とセルブロック3とを電気的に接続させる。
【0019】
そして、ハウジング2は、上下方向Zに一対のハウジング半体21で主体が形成され、対をなすハウジング半体21を上下方向Zに嵌め合わせた状態で、ねじ等の固定具27によって固定され、外殻1aを形成している。更に、上下方向Zに嵌め合わせるハウジング半体21の間には、電動工具を取付部23から取り外すための着脱操作部26が配置される。着脱操作部26は、上面部22を形成する上方側のハウジング半体21とセルブロック3との間に配置した付勢ばね26aによって、上方に付勢されており、この付勢に抗して下方に操作されることで、電動工具を取外し可能にする。
【0020】
なお、図2や図3では、上面部22に保護カバー25が取り付けた状態となっている。この保護カバー25は電池パック1に着脱自在で取り付けられ、電池パック1の出荷時や電池パック1を電動工具や充電器に取り付けない保管時等に、接続部24への塵や埃等の付着を抑制するものとなっている。
【0021】
セルブロック3は、図1に示すように、複数の電池セル31と、仕切り板5と、連結端子33と、セルケース4と、充放電回路6と、緩衝板34とで主体が構成される。
【0022】
電池セル31は、例えば、円柱状の二次電池となっており、電池パック1内に10個設けられる。そして、電池セル31は、軸心を前後方向Xに平行に位置してハウジング2内に配置されており、前後方向Xの端部(円柱の端部)に電気的接点31aを有する。更に、複数の電池セル31は、左右方向Yに5個並べた電池群32を二組構成すると共に、この電池群32を上下方向Zに積み重ねてある。また、電池セル31は、電池群32の上下方向Zの間に仕切り板5を介在させて、セルケース4に保持される。
【0023】
セルケース4は上下方向Zに対をなすケース半体41で構成され、絶縁性樹脂等の絶縁性を有した材料で形成される。ケース半体41は、前後方向視半円形状の凹部42を、左右方向Yに複数(本例では五つ)有し、対をなすケース半体41は、凹部42が上下方向Zにおいて対向して配置される。
【0024】
この凹部42を形成する円弧形状の部位は、前後方向視半円形状の円弧の端部が左右方向Yに隣り合う他の円弧形状の部位の端部と繋がっており、ケース半体41は所謂波板状となっている。更に、凹部42(円弧形状の部位)は内径が電池セル31の外径と略同一となるように形成されており、電池セル31の外周面の上下方向Zにおける略半分が当接される。
【0025】
以下、対をなすケース半体41を各々区別する際には、上下方向Zにおいて、下方側に位置する一方のケース半体41を第1ケース半体41aとし、上方側に位置する他方のケース半体41を第2ケース半体41bとする。なお、前述の内径は内側の半径を意味し、前述の外径は外側の半径を意味する。
【0026】
第1ケース半体41aは、下方側の電池群32を構成する電池セル31の外周面の略下半分が凹部42に当接され、第1ケース半体41aは電池セル31を位置決めして下方側から保持する。また、第1ケース半体41aは左右方向Yにおける端部(側端部43)の両方が、凹部42を形成する円弧状の部位より上方に向けて延長して(突出して)設けてある。側端部43は外面の前後方向Xの略中央に、内側(凹部42側)に凹んだ凹所45を有し、凹所45の前後方向Xの略中央には、係止フック46が左右方向Yに突出して設けてある。
【0027】
第2ケース半体41bは、上方側の電池群32を構成する電池セル31の外周面の略上半分が凹部42に当接され、第2ケース半体41bは電池セル31を位置決めして上方側から保持する。また、第2ケース半体41bは左右方向Yにおける端部(側端部43)の両方が、凹部42を形成する円弧状の部位より下方に向けて延長して(突出して)設けてある。そして、側端部43は外面の前後方向Xの略中央に、下方に向けて更に突出した板状の凸片47を有し、凸片47は前後方向Xの略中央に、係止孔48(係止部)が左右方向Yに貫通して設けてある。
【0028】
第2ケース半体41bは、図3や図4に示すように、第2ケース半体41bと上下方向Zに嵌め合わせた際に、側端部43の下端辺が仕切り板5を介在して、第1ケース半体41aの側端部43の上端辺に当接される。そのため、第1ケース半体41aと第2ケース半体41bの上下方向Zの間には、電池セル31配置用の空間が形成される。
【0029】
そして、このケース半体41を嵌め合わせた際に、凸片47が第1ケース半体41aの凹所45内に位置して、係止フック46が係止孔48に引っ掛かって止められ(掛け止めされ)、一対のケース半体41は嵌め合わせた状態に保持される。すなわち、一対のケース半体41は、係止フック46を係止孔48に掛け止めることで、ねじやピン等の固定具を用いずに、上下方向Zに嵌め合わせてセルケース4を形成した状態に保持される。
【0030】
電池群32の上下方向Zの間に配置された仕切り板5は、弾性及び絶縁性を有した伝熱部材で形成されており、例えば、エラストマーで形成される。なお、エラストマーはシリコンゴム等の熱硬化性エラストマーに限らず、軟質系の熱伝導フィラーを導入した熱可塑性エラストマー、所謂放熱エラストマー等であってもよい。そして、伝熱部材は、弾性及び絶縁性に加えて、振動を抑制し易い制振性を有するものが好ましい。
【0031】
また、仕切り板5は、図1に示すように、本体部51と、隔壁部52と、セル保持部53と、位置決め凸部54と、端子用凸部55とで主体が構成される。
【0032】
本体部51は、平面視略長方形の平板状で、上下方向Zに板面を有する。そして、本体部51は、前後方向Xの寸法が電池セル31の前後方向Xの寸法と略同寸となっており、左右方向Yの寸法が、電池群32の左右方向Yの寸法と略同寸或いは若干大きい寸法となっている。そのため、本体部51は二組の電池群32の上下方向Zの間に位置することで、上下方向Zにおいて複数の電池セル31を二組の電池群32に区画している。
【0033】
隔壁部52は本体部51の両方の上記板面から上下方向Zに立ち上がって形成されると共に、本体部51の両方の板面に各々複数設けてある。そして、隔壁部52は前後方向Xに長尺の平板状で、左右方向Yに対向面を有して、略等間隔に左右方向Yに並んで位置する。更に、隔壁部52は上下方向Zに立ち上がった先端辺がケース半体41の円弧形状の部位の端部に当接される。すなわち、隔壁部52の左右方向Yの間隔は凹部42の内側の直径(内径の二倍)となっており、隔壁部52の間には各々電池セル31が一つ配置される。
【0034】
セル保持部53は、隔壁部52の対向面に各々設けられると共に、前後方向Xに並んで対向面毎に複数配置される。そして、セル保持部53は電池セル31の外周面に沿った円弧状に形成されており、電池セル31の外周面のケース半体41に当接されてない側が弾性的に当接されて、セル保持部53の円弧状の面と電池セル31の外周面とが略密着する。更に、セル保持部53はセルケース4と共に、複数の電池セル31を本体部51と隔壁部52とで区画された状態で弾性的に保持する。
【0035】
位置決め凸部54は本体部51の左右方向Yにおける両方の端辺に各々設けられる。そして、位置決め凸部54は左右方向視略矩形状で、本体部51から左右方向Yに突出すると共に、前後方向Xにおいて所定の間隔を空けて上記端辺上に二つ形成される。位置決め凸部54は、仕切り板5を介在してセルケース4を形成した際に、セルケース4の側端部43に設けた位置決め凹部44に嵌まり込み、仕切り板5を一対のケース半体41の上下方向Zにおける略中間に位置決めする。
【0036】
端子用凸部55は本体部51の前後方向Xにおける両方の端辺に各々設けられる。そして、端子用凸部55は前後方向視略円形状で、上記端辺から前後方向Xに突出すると共に、左右方向Yに所定の間隔を空けて複数形成される。また、端子用凸部55には、電池セル31どうしや電池セル31と充放電回路6とを電気的に接続する連結端子33が取り付けてある。
【0037】
連結端子33は仕切り板5に複数設けてあり、上下方向Zに並ぶ異なる電池群32の電池セル31どうしを電気的接点31aで電気的に接続すると共に、電池群32の電池セル31を電気的な直列に接続する。更に、連結端子33のうち、電池群32において陰極側の端部と陽極側の端部とに位置する連結端子33は各々充放電回路6と電気的に接続されている。
【0038】
充放電回路6は、回路基板61と、温度検出部62と、接続端子63とを備え、連結端子33が回路基板61に電気的に接続されている。そして、回路基板61は第2ケース半体41bの上部に設けられ、温度検出部62からの検出結果が入力されており、検出結果に応じて電池セル31の充電や放電を制御する制御部を有する。
【0039】
温度検出部62は、クッション等の緩衝部材で電池セル31に圧接されてセルケース4に取り付けてある。そして、温度検出部62は、一つの電池セル31から電池セル31の温度の指標となる情報を検出し、回路基板61に出力している。
【0040】
更に、回路基板61は上方側の板面に接続端子63が取り付けてある。接続端子63は、電池セル31や回路基板61を、電動工具の駆動源や内部回路或いは充電器の内部回路等に、電気的に接続させるための導電部材となっている。
【0041】
緩衝板34は、弾性を有した平板状となっている。そして、緩衝板34は板面が、二組の電池群32の前後方向Xの両端部に、連結端子33を介在して取り付けてあり、前後方向Xにおいて連結端子33及び電池セル31への衝撃等を軽減している。
【0042】
このように、仕切り板5が弾性を有したことで、電池パック1着脱時等の衝撃等を仕切り板5の弾性によって緩和し易くなり、この衝撃等による電池セル31の位置ずれ等を生じ難くすることができる。更に、電動工具の使用時等にモータの回転駆動に伴う上下方向Zや左右方向Y、前後方向Xの往復振動が電動工具に生じた際には、この電動工具から電池パック1を構成するハウジング2、セルケース4、電池セル31に伝達される。この場合、上記振動に伴う電池セル31の振動の方向に沿った相対移動を仕切り板5の弾性によって緩和し易くなる。そのため、連絡端子33の電池セル31との溶接部位へ、繰り返し振動や衝撃等が付与され難くすることができ、この溶接部位での断線を生じ難くすることができる。
【0043】
そして、セルケース4は、凹部42によって左右方向Yにおいて電池セル31を位置決め保持し、上下方向Zに当接した両側端部43によって電池セル31を配置する空間の上下方向Zの間隔を保持すると共に仕切り板5を位置決め保持している。そのため、上下方向Zや左右方向Yに隣り合う電池セル31どうしの間に、絶縁距離を規定し易くなると共に、この規定した絶縁距離を保持し易くなり、電池セル31の短絡を生じ難くすることができる。更に、両側の係止フック46と係止部とを嵌め合わせてセルケース4を形成したことで、固定具を用いてセルケース4を形成したものに比べて、振動等によるケース半体41どうしの緩みを生じ難くすることができる。
【0044】
そして、仕切り板5を伝熱部材で形成したことで、電池セル31に生じた熱が仕切り板5に伝達され易くなり、発熱した電池セル31を冷却し易くすることができ、電池セル31の温度上昇を抑え易くすることができる。更に、電池セル31の熱を仕切り板5に伝達し易くしたことで、ハウジング2内の通風や電池セル31毎の内部抵抗等による、電池セル31の温度上昇のばらつきを抑え易くすることができ、複数の電池セル31の温度が均一化され易くなる。そのため、電池セル31全ての温度を検出しなくても、一部の電池セル31の温度(指標)を検出することで、電池セル31(セルブロック3)の温度に応じた充放電の制御を良好に行うことが可能となり、温度検出部62等によるコストアップを抑え易くなる。
【0045】
また、仕切り板5は、弾性を有した弾性部と、弾性部に比べて硬い硬質部とを有した構成であってもよい。このものでは、例えば、弾性部が、本体部51、隔壁部52、位置決め凸部54、端子用凸部55となっており、硬質部がセル保持部53となっている。
【0046】
弾性部はシリコンゴム等の弾性体(樹脂系のエラストマー)等の軟質部材で形成されており、硬質部は上記軟質部材に比べて硬い硬質部材で構成されている。そして、この硬質部材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の構造用プラスチック(所謂、エンジニアリングプラスチック)となっており、JIS A硬度計(JIS K6253)にて硬度90以上となるものが好ましい。
【0047】
このように、仕切り板5が、軟質部材で形成した弾性部と、硬質部材で形成した硬質部とを有したことで、軟質部材に比べて安価のものを硬質部材に用いる等で、コストを抑え易くなる。そして、硬質部を有したことで、軟質部材だけで形成した仕切り板5に比べて、仕切り板5の強度を向上させ易くなる。
【0048】
更に、セル保持部53を硬質部としたことで、電池セル31を位置決め保持するセル保持部53を、仕切り板5の他の部位(弾性部)に比べて、弾性変形し難くすることができる。そのため、上下方向Zや左右方向Yの衝撃等の影響を弾性部で軽減した際に、上下方向Zや左右方向Yに隣り合う電池セル31間の絶縁距離をセル保持部53で保持し易くなる。
【0049】
なお、仕切り板5は、硬質部に弾性体を用いると共に、弾性部に硬質部より柔らかい弾性体を用いる等の、硬さの異なる二つのエラストマーを用いたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 電池パック
1a 外殻
2 ハウジング
3 セルブロック
31 電池セル
31a 電気的接点
32 電池群
4 セルケース
5 仕切り板
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を形成するハウジング内に、複数の電池セルを備えたセルブロックが設けられ、
前記電池セルが前後方向の端部に電気的接点を有し、
前後方向に交差する左右方向に前記電池セルを並べた電池群が、前後方向及び左右方向に交差する上下方向に重ねて配置され、
前記セルブロックが、重ねて配置した前記電池群を上下方向に挟み保持するセルケースと、前記電池群の上下方向の間に介在して配置された仕切り板とを更に備え、
前記仕切り板を、弾性を有した伝熱部材で形成したことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記仕切り板が、弾性部と、弾性部に比べて硬い硬質部とを有することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記仕切り板が、前記弾性部を形成する軟質部材と、前記硬質部を形成する硬質部材とを用いた成形品であることを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記仕切り板が、前記電池セルの外面に当接されて前記電池セルを保持するセル保持部を備え、前記セル保持部が前記硬質部であることを特徴とする請求項2に記載の電池パック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−45519(P2013−45519A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180721(P2011−180721)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(509119153)パナソニックESパワーツール株式会社 (107)
【Fターム(参考)】