電池モジュール
【課題】複数の単位電池を組合わせて電池モジュールを構成する際に,単位電池の間の固定状態を強化すること。
【解決手段】本発明によれば,複数の単位電池100,200と,複数の単位電池100,200のケース14の外面に設置され,隣接する単位電池100,200を固定する固定部16,16’とを含むことを特徴とする,電池モジュールが提供される。
【解決手段】本発明によれば,複数の単位電池100,200と,複数の単位電池100,200のケース14の外面に設置され,隣接する単位電池100,200を固定する固定部16,16’とを含むことを特徴とする,電池モジュールが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池モジュールに関し,より詳しくは,隣接する単位電池の間の固定構造を改善した,電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって,エネルギー密度の高い非水電解液を利用した高出力二次電池(rechargeable battery)が開発されており,この二次電池(以下では,単位電池とする)は,大きな電力を必要とする機器,例えばハイブリッド電気自動車などのモータ駆動に使用することができるように,複数が組合されてモジュール(以下では,電池モジュールとする)を構成する。
【0003】
単位電池は,多様な形状に製造されており,代表的な形状としては,円筒形や角形(prismatic)などがある。
【0004】
単位電池が角形である場合,この単位電池は,正極および負極がセパレータを間において位置する電極群と,電極群が挿入される空間部が形成されているケースと,ケースに結合されて,これを密閉するキャッププレートと,キャッププレートから突出して,電極群の正極および負極に電気的に連結される正極端子および負極端子とを含む。
【0005】
このような単位電池による電池モジュールは,単位電池を複数含み,これを一列に配列して,ねじ加工された負極端子および正極端子の間にナットを媒介として連結具を連結設置することによって構成される。
【0006】
この時,単位電池の最外側には一対のエンドプレートが配置され,このエンドプレートにはリストレイントロッド(restraint rod)が締結されるので,単位電池は,エンドプレートによって加圧されて固定されることによって組立てられる。
【0007】
しかし,従来の電池モジュールにおいて,単位電池の間は,互いに固定する別途の装置がなく,単純にリストレイントロッドによる締結圧によって固定されているため,電池モジュールを構成した後に外部から任意の力が加わると,固定状態が容易に解除されることがある。
【0008】
さらに,構造では,電池モジュールを製造する過程で,単位電池を整列させて締結する過程が不便である。
【0009】
一方,電池モジュールにおいては,単位電池の間に冷却用空気のような熱伝達媒体の流動通路を確保した隔壁(cell barrier)が配置されるが,この時,隔壁は,単位電池の間で一定の間隔を維持することによって流動通路を適正に確保することができる。
【0010】
しかし,のように単位電池の固定状態に問題が発生する場合,隔壁もその固定状態に影響を受けるようになって流動通路を確保することができなくなるので,単位電池は,熱伝達媒体の供給を円滑に受けることができなくなり,過度な温度上昇によって作用上の問題が発生することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,複数の単位電池を組合わせて電池モジュールを構成する際に,単位電池の間の固定状態を強化することが可能な,新規かつ改良された電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数の単位電池と;各単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,互いに隣接する単位電池を固定する固定部と;を備えることを特徴とする,電池モジュールが提供される。
【0013】
上記電池モジュールが備える単位電池は,該単位電池の外枠を形成するケースを含む。また,各ケースは,対向する一対の開口端を有する筒状の立体であってもよい。また,該立体は,平面と曲面とにより構成されていてもよい。さらに,複数の単位電池のうち,一の単位電池と他の単位電池とは,側面が互いに対向して配置されていてもよい。つまり,各ケースは,開口端の方向を同一にするように並置されていてもよい。上記固定部は,各ケースの外面に突出して形成されていてもよい。また,複数の単位電池を結合して,一の電池モジュールを形成する際,互いに隣接するケースの各固定部が,互いに咬合してもよい。かかる構成により,電池モジュール内に並置された各単位電池を固定することが可能になる。
【0014】
単位電池は,ケースの外面に形成され,かつ,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁を備えていてもよい。
【0015】
上記電池モジュールが備える隔壁は,ケースの外面に形成され,熱伝達媒体の流動通路を形成してもよい。つまり,一対のケースが隣接して設置された際,一のケースに形成された隔壁と,他のケースの外面および隔壁と,により区画される空間が,熱伝達媒体を流動する通路を形成してもよい。かかる構成により,各ケースに掛かる外力に対し,影響されにくい強固な流動通路を形成することが可能になる。
【0016】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成される複数の第1固定部と;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成される複数の第2固定部と;を備えていてもよい。また,第1固定部と第2固定部とは,互いに密着して支持されていてもよい。
【0017】
上記固定部が備える第1固定部は,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成されていてもよい。つまり,ケースの外面に突出して形成された複数の第1固定部は,互いに所定の間隔を有して配置されていてもよい。また,上記第2固定部は,該一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成されていてもよい。つまり,ケースの外面に突出して形成された複数の第2固定部は,互いに所定の間隔を有して配置されていてもよい。さらに,第1固定部と第2固定部とは,互いに密着して支持されていてもよい。つまり,互いに隣接するケースを接続する際に,突出した第1固定部の側面と第2固定部の側面とが互いに接触するように構成され,該各固定部の側面に垂直な方向に作用する力に対して抗力を生じる。かかる構成により,電池モジュールを構成する単位電池の外枠を構成するケースを,互いに隣接する各固定部が咬合して支持することにより,外力や他の圧力に対する耐性が強くなる。
【0018】
隔壁は,ケースの外面に,任意の間隔をおいて複数形成されていてもよい。かかる構成により,熱伝達媒体が通過する流動通路の幅を適当に設定することができる。
【0019】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースに形成されるリーブと;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースに形成され,かつ,リーブと結合されるホルダーと;を備えていてもよい。
【0020】
上記固定部が備えるリーブは,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースに形成される。また,上記ホルダーは,一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースに形成され,かつ,リーブと結合される。かかる構成により,各ケースを固定することが可能になる。
【0021】
ホルダーは,ケースの外面に,任意の高さで突出して形成され,リーブの両側面を支持してリーブを固定することができる。かかる構成により,各ケースを確実に固定することが可能になる。
【0022】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される雌コネクタと;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,雌コネクタと結合される雄コネクタと;を備えていてもよい。
【0023】
上記固定部が備える雌コネクタは,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される。また,雌コネクタは,ケースの外面に突出した突出部分の先端が凹んだ形状であってもよい。上記雄コネクタは,一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出して形成され,かつ,雌コネクタと結合される。該雄コネクタは,その先端部分が,雌コネクタと嵌合する構造であってもよい。かかる構成により,隣接するケース同士を確実に固定することが可能になる。
【0024】
雌コネクタが形成された,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雄コネクタがさらに形成されていてもよい。
【0025】
上記電池モジュールが備える雄コネクタは,雌コネクタが形成された,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面にさらに形成されていてもよい。
【0026】
雄コネクタが形成された,他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雌コネクタがさらに形成されていてもよい。
【0027】
雌コネクタは,雄コネクタが形成された,他の単位電池の外枠を構成するケースの外面にさらに形成されていてもよい。かかる構成により,隣接するケースをより強固に固定することが可能になる。
【0028】
隔壁は,互いに隣接する単位電池の外枠を構成するケースの外面に密着して,熱伝達媒体の流動通路を形成してもよい。かかる構成により,熱伝達媒体の流動経路を容易に形成することが可能になる。
【0029】
互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,所定の間隔をおいて配置されていてもよい。かかる構成により,所定の大きさを有する熱伝達媒体の流動経路を形成することが可能になる。
【0030】
互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,雄雌結合方式で締結されて形成されていてもよい。かかる構成により,雄コネクタと雌コネクタとを嵌合させて,固定することが可能になる。
【0031】
ケースは,各々,対向する両端が開口された管構造からなり,開口された部位に,正極端子および負極端子が設置された,キャッププレートが設置されていてもよい。
【0032】
複数の単位電池の間に,絶縁フィルムが介在されていてもよい。かかる構成により,熱伝達媒体の流動経路を保ちながら,単位電池間の絶縁状態を確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように,本発明によれば,単位電池のケースの外面に形成された固定部を利用して隣接する単位電池を互いに固定することによって,単位電池が電池モジュールを構成する場合,簡単に位置が移動してしまうことなく,安定して配列されるようにする。
【0034】
これによって,本発明による電池モジュールは,その使用中に単位電池に対する固定状態が弛緩して発生する誤作動や未作動を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
図1は,本発明の第1実施形態による単位電池を示した斜視図である。また,図2は,本発明の第1実施形態による単位電池を示した断面図である。
【0037】
図1および図2を参照すると,単位電池は,正極11および負極12の間にセパレータ13を挟んで形成される電極群25と,電極群25が挿入される空間が形成されるケース14と,ケース14に結合されて,空間が密閉空間になるように密閉するキャッププレート17,17’と,正極11および負極12に電気的に連結されながら,キャッププレート17,17’の外側に突出している正極端子21および負極端子23とを含む。
【0038】
ここで,ケース14は,アルミニウム,アルミニウム合金,またはニッケルがメッキされたスチールのような導電性金属からなる。
【0039】
本実施形態において,ケース14は,対向する平板部14aの両側に曲面部14bが連結され,その両端が開口された管構造からなる。
【0040】
正極端子21が設置されたキャッププレート17と,負極端子23が設置されたキャッププレート17’とは,ケース14の開口部に対向した状態で設置されて,ケース14を密閉する。
【0041】
もちろん,本実施形態に係る電池モジュールにおいて,ケースの構造は,上述の構造にのみ限定されるものではなく,二次電池として周知の構造は全て適用されうる。また,将来の時点において,一般に流通する電池モジュールのケース構造においても,本発明に係る実施形態を適用することが可能である。
【0042】
ケース14の外面には,複数の隔壁15,15’が形成される。本実施形態において,隔壁15,15’は,ケース14の外面に所定の間隔をおいてケース14の垂直方向(図面のZ方向)に沿って,長く配置された形状に突出して形成される。
【0043】
ここで,隣接する一対のケース14が,互いに同じ方向で並置された場合を考えると,一のケース14の一面に形成された隔壁15と,他のケース14の他面に形成された隔壁15’とは,交互に配列された状態で対向して配置される。つまり,一面に形成された隔壁15の間に他面に形成された隔壁15’が配置され,他面に形成された隔壁15’の間に一面に形成された隔壁15が配置される。
【0044】
本実施形態に係る電池モジュールは,上述のような隔壁15,15’の配置がなされるように,それぞれ,単位電池が配列される。
【0045】
さらに,ケース14には,電池モジュールが構成される際に,隣接する単位電池を相互に固定するための固定部16,16’が形成される。本実施形態において,固定部16,16’は,隔壁15,15’と同一な形状からなっている。また,各々,ケース14の両外面にあり,隔壁15,15’が隣接するようにケース14の最外側サイドに配置される。つまり,並置された隔壁15,15’の最外部には,固定部16,16’が配置されていてもよい。
【0046】
ここで,対向する固定部16,16’は,同一中心線上に位置せずに,いずれか一つが間隔(本実施形態では,固定部の厚さ程度)をおいて移動した状態で位置する。つまり,一面に形成された固定部16と,他面に形成された固定部16’とは,対称な位置関係にはない。従って,隣接する一対のケース14,14を,中心が一致するように,並行に配置した場合であっても,互いに対向する固定部16,16’は,位置が一致しない。特に,そのズレ幅を固定部16,16’の幅程度にしてある為,上述のように,中心が一致するように接合すると,対向する一対の固定部16,16’は,側面を接するように密着する。
【0047】
図3は,本発明の第1実施形態にかかる電池モジュールの一部を示した平面図である。電池モジュールは,複数の単位電池が組み合わされて,ハウジング(図示せず)内に設置されることによって構成される。ハウジング内では,冷却空気のような熱伝達媒体が流通する。
【0048】
複数の単位電池が組み合わされて,集合体(aggregate)を構成する場合,単位電池は,その正極端子,および負極端子が同一方向に位置するようにして,一列に配列される。つまり,一の単位電池の一側に正極端子が位置するように配置した場合,隣接する他の単位電池の一側には,負極端子が位置するように配置される。もちろん,一側と対向する他側においても,負極端子と正極端子とが交互に位置する。
【0049】
このように構成すると,並置された単位電池は,直列状態で電気的に連結されることができる。つまり,隣接する単位電池の一側に位置する,正極端子と負極端子とを接続することが容易になり,直列の接続構造を構成することができる。このような構成をとるために,各単位電池は,正極端子および負極端子が交互に配置されるように配列される。この状態で,図3に示したように,正極端子21および負極端子23には,導電性を有する連結具28が連結される。
【0050】
このとき,隣接する単位電池は,その隔壁15,15’を交互に配置しながら,それ自体の隔壁を,対向する単位電池のケースの外面に密着させるようになる。
【0051】
例えば,図3を参照にすると,隣接する単位電池100および単位電池200は,それ自体の隔壁15’および隔壁15が,互いに交互に配置されるように結合されながら,密着する。つまり,単位電池100の隔壁15’は,単位電池200のケースの外面に密着され,かつ,単位電池200の隔壁15は,単位電池100のケースの外面に密着する。
【0052】
このような方式により,隔壁15’,15が配置されると,隔壁15,15’の間には,所定の大きさの空間が形成されるので,これによって,熱伝達媒体が流通するチャンネルが形成される。
【0053】
さらに,これら単位電池100,200の結合状態において,単位電池100,200の固定部16’,16は,互いに密着しながら接触するため,接触の際に発生する力によって,単位電池100,200が互いに固定される。
【0054】
つまり,単位電池100の第1固定部16’が,単位電池200の第2固定部16に挿入され,結合されて発生する支持力によって,単位電池100,200が互いに固定されるようになるのである。
【0055】
このような方式により,複数の単位電池が結合されながら,互いに固定される。
【0056】
一方,固定部の位置は上述した例に限定されない。固定部の位置は,隣接する単位電池を固定することができる位置であれば,単位電池のどの部位に位置してもかまわない。また,2箇所に限定されるものでもない。
【0057】
さらに,図4を参照すると,電池モジュールには,単位電池の間の不必要な電気的短絡を防止するため,単位電池の間に絶縁フィルム29が介在してもよい。この絶縁フィルム29は,隔壁および固定部の固有の機能を妨害せず,これらの間に嵌合された状態に設置されて,単位電池を電気的に絶縁させることができる。
【0058】
図5は,本発明の第2実施形態による電池モジュールの一部分を示す平面図である。この電池モジュールは,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0059】
この第2実施形態において,固定部310は,第1実施形態と同様に,隔壁304と同一な形状であり,単位電池300のケース302の一面に形成されるリーブ306と,ケース302の一面に対向する他面に形成され,リーブ306と結合されることによってこれを固定するホルダー308とを含む。
【0060】
この第2実施形態において,リーブ306およびホルダー308は,ケース302の両端に配置される。ホルダー308は,リーブ306と雄雌結合方式で締結されて,リーブ306の両側面を支持して,リーブを固定することができる形状に形成される。雄雌結合方式は,凹部と凸部とが嵌合して,結合される方式のことを意味していてもよい。つまり,ホルダー308の凹部に,凸部であるリーブ306が嵌合して,両者が固定されうる。
【0061】
このために,ホルダー308は,リーブ306に対して固定力を発揮することができる最低限の高さを有して,ケース302の他面から突出形成される。
【0062】
このような固定部310が形成され,一列に配列された複数の単位電池300は,固定部310を利用して固定され,電池モジュールを構成する。
【0063】
図6は,本発明の第3実施形態による二次電池モジュールの一部を示した平面図である。この電池モジュールも,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0064】
この第3実施形態において,固定部400,400’は,第1実施形態の固定部と基本的には,同様な形状に形成される。しかし,固定部400,400’は,単位電池の固定状態をより強化するために,単位電池402の固定部400’が隣接する,他の単位電池404の固定部400と接した状態で,単位電池404のケース406に形成された溝408に挿入される。
【0065】
つまり,この第3実施形態では,固定部400,400’の結合力に加えて,固定部400および溝408の挿入結合による力を利用して,単位電池402,404の間の固定状態を強化することができる。
【0066】
図6では,固定部400,400’のうち,一の面に形成された固定部400のみが溝408に挿入された状態を示したが,反対の面に位置する固定部400’が固定される溝が形成されていてもよい。また,両方の固定部400,400’が各々対応する溝に挿入されて,単位電池の固定状態を強化することもできる。
【0067】
図7は,本発明の第4実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。この電池モジュールも,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0068】
この第4実施形態において,固定部500は,隣接する単位電池502,504に各々形成される。単位電池502,504が一列に配列されて電池モジュールを構成する場合,固定部500は,対向配置されて結合される雌コネクタ506および雄コネクタ508を含む。
【0069】
ここで,雌コネクタ506および雄コネクタ508は,図7に示したように,隣接する単位電池502,504が対向した状態で,この単位電池502,504の一側に混ざって配置されることもできる。例えば,一側に2の固定部が形成される場合,一の固定部の形状が雄コネクタであり,他の固定部の形状が雌コネクタであってもよい。もちろん,図8に示したように,単位電池502,504の一側にいずれか一つに統一されて配置されることもできる。
【0070】
それだけでなく,第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタは,図7に示した形状の他にも多様な形状に形成されることができる。図9に示したように,雌コネクタ510および雄コネクタ512は,その先端が湾曲した形状に形成されてもよい。また,図10に示したように,雌コネクタ514および雄コネクタ516は,その先端が凹凸をなす形状に形成されることもできる。つまり,この第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタは,雄雌結合方式で結合されて単位電池を固定する力を発揮することができる形状であれば,いずれも適用することができる。従って,両コネクタが嵌合可能な形状であればよい。
【0071】
また,この第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタからなる固定部は,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁518,520より広い幅を有して形成される(図7参照)。
【0072】
これは,雌コネクタおよび雄コネクタの接触面積を拡張して,これらの結合力によって単位電池が安定的に互いに結合されるようにするのを助けるためである。
【0073】
さらに,図7〜図10では,固定部が単位電池の両端又は両端付近に配置されることを示したが,これは一例にすぎず,必要に応じてその配置状態は自由に変更されることができる。
【0074】
このように,第4実施形態では,雄雌結合方式で結合される固定部の構造によって,電池モジュールを構成する単位電池の間の固定状態を強化するようになる。
【0075】
図11は,第4実施形態の変形例である。図11を参照すれば,この変形例の電池モジュールにおいて,固定部600は,第4実施形態と同一な嵌合方式からなり,かつ,隔壁602も固定部600と同一な嵌合方式からなる。
【0076】
つまり,この変形例において,隔壁602は,その本来の機能を維持しながら,固定部の機能を兼ねることができる。
【0077】
従って,この変形例の電池モジュールは,単位電池の固定状態を一層強化することができる。
【0078】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば,本発明の各実施形態に係る電池モジュールは,HEV(ハイブリッド電気自動車),EV(電気自動車),無線掃除機,電動自転車,電動スクーターなどのようにモータを使用して作動する機器において,当該機器のモータを駆動するためのエネルギー源として使用することができる。もちろん,その用途は,必ずしもこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態による単位電池を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による単位電池を示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図4】本発明による電池モジュールにおいて,単位電池の間に絶縁フィルムが介在された状態を示した部分平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による二次電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の多様な例を示した部分平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の一例を示した部分平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の一例を示した部分平面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の変形例による電池モジュールの一部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0081】
100,200 単位電池
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 ケース
15,15’ 隔壁
16,16’ 固定部(第1固定部,第2固定部)
17,17’ キャッププレート
21 正極端子
23 負極端子
25 電極群
29 絶縁フィルム
306 リーブ
308 ホルダー
408 溝
506 雌コネクタ
508 雄コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は電池モジュールに関し,より詳しくは,隣接する単位電池の間の固定構造を改善した,電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって,エネルギー密度の高い非水電解液を利用した高出力二次電池(rechargeable battery)が開発されており,この二次電池(以下では,単位電池とする)は,大きな電力を必要とする機器,例えばハイブリッド電気自動車などのモータ駆動に使用することができるように,複数が組合されてモジュール(以下では,電池モジュールとする)を構成する。
【0003】
単位電池は,多様な形状に製造されており,代表的な形状としては,円筒形や角形(prismatic)などがある。
【0004】
単位電池が角形である場合,この単位電池は,正極および負極がセパレータを間において位置する電極群と,電極群が挿入される空間部が形成されているケースと,ケースに結合されて,これを密閉するキャッププレートと,キャッププレートから突出して,電極群の正極および負極に電気的に連結される正極端子および負極端子とを含む。
【0005】
このような単位電池による電池モジュールは,単位電池を複数含み,これを一列に配列して,ねじ加工された負極端子および正極端子の間にナットを媒介として連結具を連結設置することによって構成される。
【0006】
この時,単位電池の最外側には一対のエンドプレートが配置され,このエンドプレートにはリストレイントロッド(restraint rod)が締結されるので,単位電池は,エンドプレートによって加圧されて固定されることによって組立てられる。
【0007】
しかし,従来の電池モジュールにおいて,単位電池の間は,互いに固定する別途の装置がなく,単純にリストレイントロッドによる締結圧によって固定されているため,電池モジュールを構成した後に外部から任意の力が加わると,固定状態が容易に解除されることがある。
【0008】
さらに,構造では,電池モジュールを製造する過程で,単位電池を整列させて締結する過程が不便である。
【0009】
一方,電池モジュールにおいては,単位電池の間に冷却用空気のような熱伝達媒体の流動通路を確保した隔壁(cell barrier)が配置されるが,この時,隔壁は,単位電池の間で一定の間隔を維持することによって流動通路を適正に確保することができる。
【0010】
しかし,のように単位電池の固定状態に問題が発生する場合,隔壁もその固定状態に影響を受けるようになって流動通路を確保することができなくなるので,単位電池は,熱伝達媒体の供給を円滑に受けることができなくなり,過度な温度上昇によって作用上の問題が発生することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,複数の単位電池を組合わせて電池モジュールを構成する際に,単位電池の間の固定状態を強化することが可能な,新規かつ改良された電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数の単位電池と;各単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,互いに隣接する単位電池を固定する固定部と;を備えることを特徴とする,電池モジュールが提供される。
【0013】
上記電池モジュールが備える単位電池は,該単位電池の外枠を形成するケースを含む。また,各ケースは,対向する一対の開口端を有する筒状の立体であってもよい。また,該立体は,平面と曲面とにより構成されていてもよい。さらに,複数の単位電池のうち,一の単位電池と他の単位電池とは,側面が互いに対向して配置されていてもよい。つまり,各ケースは,開口端の方向を同一にするように並置されていてもよい。上記固定部は,各ケースの外面に突出して形成されていてもよい。また,複数の単位電池を結合して,一の電池モジュールを形成する際,互いに隣接するケースの各固定部が,互いに咬合してもよい。かかる構成により,電池モジュール内に並置された各単位電池を固定することが可能になる。
【0014】
単位電池は,ケースの外面に形成され,かつ,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁を備えていてもよい。
【0015】
上記電池モジュールが備える隔壁は,ケースの外面に形成され,熱伝達媒体の流動通路を形成してもよい。つまり,一対のケースが隣接して設置された際,一のケースに形成された隔壁と,他のケースの外面および隔壁と,により区画される空間が,熱伝達媒体を流動する通路を形成してもよい。かかる構成により,各ケースに掛かる外力に対し,影響されにくい強固な流動通路を形成することが可能になる。
【0016】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成される複数の第1固定部と;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成される複数の第2固定部と;を備えていてもよい。また,第1固定部と第2固定部とは,互いに密着して支持されていてもよい。
【0017】
上記固定部が備える第1固定部は,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成されていてもよい。つまり,ケースの外面に突出して形成された複数の第1固定部は,互いに所定の間隔を有して配置されていてもよい。また,上記第2固定部は,該一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,互いに所定の間隔をおいて形成されていてもよい。つまり,ケースの外面に突出して形成された複数の第2固定部は,互いに所定の間隔を有して配置されていてもよい。さらに,第1固定部と第2固定部とは,互いに密着して支持されていてもよい。つまり,互いに隣接するケースを接続する際に,突出した第1固定部の側面と第2固定部の側面とが互いに接触するように構成され,該各固定部の側面に垂直な方向に作用する力に対して抗力を生じる。かかる構成により,電池モジュールを構成する単位電池の外枠を構成するケースを,互いに隣接する各固定部が咬合して支持することにより,外力や他の圧力に対する耐性が強くなる。
【0018】
隔壁は,ケースの外面に,任意の間隔をおいて複数形成されていてもよい。かかる構成により,熱伝達媒体が通過する流動通路の幅を適当に設定することができる。
【0019】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースに形成されるリーブと;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースに形成され,かつ,リーブと結合されるホルダーと;を備えていてもよい。
【0020】
上記固定部が備えるリーブは,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースに形成される。また,上記ホルダーは,一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースに形成され,かつ,リーブと結合される。かかる構成により,各ケースを固定することが可能になる。
【0021】
ホルダーは,ケースの外面に,任意の高さで突出して形成され,リーブの両側面を支持してリーブを固定することができる。かかる構成により,各ケースを確実に固定することが可能になる。
【0022】
固定部は,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される雌コネクタと;一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,雌コネクタと結合される雄コネクタと;を備えていてもよい。
【0023】
上記固定部が備える雌コネクタは,複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される。また,雌コネクタは,ケースの外面に突出した突出部分の先端が凹んだ形状であってもよい。上記雄コネクタは,一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出して形成され,かつ,雌コネクタと結合される。該雄コネクタは,その先端部分が,雌コネクタと嵌合する構造であってもよい。かかる構成により,隣接するケース同士を確実に固定することが可能になる。
【0024】
雌コネクタが形成された,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雄コネクタがさらに形成されていてもよい。
【0025】
上記電池モジュールが備える雄コネクタは,雌コネクタが形成された,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面にさらに形成されていてもよい。
【0026】
雄コネクタが形成された,他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雌コネクタがさらに形成されていてもよい。
【0027】
雌コネクタは,雄コネクタが形成された,他の単位電池の外枠を構成するケースの外面にさらに形成されていてもよい。かかる構成により,隣接するケースをより強固に固定することが可能になる。
【0028】
隔壁は,互いに隣接する単位電池の外枠を構成するケースの外面に密着して,熱伝達媒体の流動通路を形成してもよい。かかる構成により,熱伝達媒体の流動経路を容易に形成することが可能になる。
【0029】
互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,所定の間隔をおいて配置されていてもよい。かかる構成により,所定の大きさを有する熱伝達媒体の流動経路を形成することが可能になる。
【0030】
互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,雄雌結合方式で締結されて形成されていてもよい。かかる構成により,雄コネクタと雌コネクタとを嵌合させて,固定することが可能になる。
【0031】
ケースは,各々,対向する両端が開口された管構造からなり,開口された部位に,正極端子および負極端子が設置された,キャッププレートが設置されていてもよい。
【0032】
複数の単位電池の間に,絶縁フィルムが介在されていてもよい。かかる構成により,熱伝達媒体の流動経路を保ちながら,単位電池間の絶縁状態を確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように,本発明によれば,単位電池のケースの外面に形成された固定部を利用して隣接する単位電池を互いに固定することによって,単位電池が電池モジュールを構成する場合,簡単に位置が移動してしまうことなく,安定して配列されるようにする。
【0034】
これによって,本発明による電池モジュールは,その使用中に単位電池に対する固定状態が弛緩して発生する誤作動や未作動を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
図1は,本発明の第1実施形態による単位電池を示した斜視図である。また,図2は,本発明の第1実施形態による単位電池を示した断面図である。
【0037】
図1および図2を参照すると,単位電池は,正極11および負極12の間にセパレータ13を挟んで形成される電極群25と,電極群25が挿入される空間が形成されるケース14と,ケース14に結合されて,空間が密閉空間になるように密閉するキャッププレート17,17’と,正極11および負極12に電気的に連結されながら,キャッププレート17,17’の外側に突出している正極端子21および負極端子23とを含む。
【0038】
ここで,ケース14は,アルミニウム,アルミニウム合金,またはニッケルがメッキされたスチールのような導電性金属からなる。
【0039】
本実施形態において,ケース14は,対向する平板部14aの両側に曲面部14bが連結され,その両端が開口された管構造からなる。
【0040】
正極端子21が設置されたキャッププレート17と,負極端子23が設置されたキャッププレート17’とは,ケース14の開口部に対向した状態で設置されて,ケース14を密閉する。
【0041】
もちろん,本実施形態に係る電池モジュールにおいて,ケースの構造は,上述の構造にのみ限定されるものではなく,二次電池として周知の構造は全て適用されうる。また,将来の時点において,一般に流通する電池モジュールのケース構造においても,本発明に係る実施形態を適用することが可能である。
【0042】
ケース14の外面には,複数の隔壁15,15’が形成される。本実施形態において,隔壁15,15’は,ケース14の外面に所定の間隔をおいてケース14の垂直方向(図面のZ方向)に沿って,長く配置された形状に突出して形成される。
【0043】
ここで,隣接する一対のケース14が,互いに同じ方向で並置された場合を考えると,一のケース14の一面に形成された隔壁15と,他のケース14の他面に形成された隔壁15’とは,交互に配列された状態で対向して配置される。つまり,一面に形成された隔壁15の間に他面に形成された隔壁15’が配置され,他面に形成された隔壁15’の間に一面に形成された隔壁15が配置される。
【0044】
本実施形態に係る電池モジュールは,上述のような隔壁15,15’の配置がなされるように,それぞれ,単位電池が配列される。
【0045】
さらに,ケース14には,電池モジュールが構成される際に,隣接する単位電池を相互に固定するための固定部16,16’が形成される。本実施形態において,固定部16,16’は,隔壁15,15’と同一な形状からなっている。また,各々,ケース14の両外面にあり,隔壁15,15’が隣接するようにケース14の最外側サイドに配置される。つまり,並置された隔壁15,15’の最外部には,固定部16,16’が配置されていてもよい。
【0046】
ここで,対向する固定部16,16’は,同一中心線上に位置せずに,いずれか一つが間隔(本実施形態では,固定部の厚さ程度)をおいて移動した状態で位置する。つまり,一面に形成された固定部16と,他面に形成された固定部16’とは,対称な位置関係にはない。従って,隣接する一対のケース14,14を,中心が一致するように,並行に配置した場合であっても,互いに対向する固定部16,16’は,位置が一致しない。特に,そのズレ幅を固定部16,16’の幅程度にしてある為,上述のように,中心が一致するように接合すると,対向する一対の固定部16,16’は,側面を接するように密着する。
【0047】
図3は,本発明の第1実施形態にかかる電池モジュールの一部を示した平面図である。電池モジュールは,複数の単位電池が組み合わされて,ハウジング(図示せず)内に設置されることによって構成される。ハウジング内では,冷却空気のような熱伝達媒体が流通する。
【0048】
複数の単位電池が組み合わされて,集合体(aggregate)を構成する場合,単位電池は,その正極端子,および負極端子が同一方向に位置するようにして,一列に配列される。つまり,一の単位電池の一側に正極端子が位置するように配置した場合,隣接する他の単位電池の一側には,負極端子が位置するように配置される。もちろん,一側と対向する他側においても,負極端子と正極端子とが交互に位置する。
【0049】
このように構成すると,並置された単位電池は,直列状態で電気的に連結されることができる。つまり,隣接する単位電池の一側に位置する,正極端子と負極端子とを接続することが容易になり,直列の接続構造を構成することができる。このような構成をとるために,各単位電池は,正極端子および負極端子が交互に配置されるように配列される。この状態で,図3に示したように,正極端子21および負極端子23には,導電性を有する連結具28が連結される。
【0050】
このとき,隣接する単位電池は,その隔壁15,15’を交互に配置しながら,それ自体の隔壁を,対向する単位電池のケースの外面に密着させるようになる。
【0051】
例えば,図3を参照にすると,隣接する単位電池100および単位電池200は,それ自体の隔壁15’および隔壁15が,互いに交互に配置されるように結合されながら,密着する。つまり,単位電池100の隔壁15’は,単位電池200のケースの外面に密着され,かつ,単位電池200の隔壁15は,単位電池100のケースの外面に密着する。
【0052】
このような方式により,隔壁15’,15が配置されると,隔壁15,15’の間には,所定の大きさの空間が形成されるので,これによって,熱伝達媒体が流通するチャンネルが形成される。
【0053】
さらに,これら単位電池100,200の結合状態において,単位電池100,200の固定部16’,16は,互いに密着しながら接触するため,接触の際に発生する力によって,単位電池100,200が互いに固定される。
【0054】
つまり,単位電池100の第1固定部16’が,単位電池200の第2固定部16に挿入され,結合されて発生する支持力によって,単位電池100,200が互いに固定されるようになるのである。
【0055】
このような方式により,複数の単位電池が結合されながら,互いに固定される。
【0056】
一方,固定部の位置は上述した例に限定されない。固定部の位置は,隣接する単位電池を固定することができる位置であれば,単位電池のどの部位に位置してもかまわない。また,2箇所に限定されるものでもない。
【0057】
さらに,図4を参照すると,電池モジュールには,単位電池の間の不必要な電気的短絡を防止するため,単位電池の間に絶縁フィルム29が介在してもよい。この絶縁フィルム29は,隔壁および固定部の固有の機能を妨害せず,これらの間に嵌合された状態に設置されて,単位電池を電気的に絶縁させることができる。
【0058】
図5は,本発明の第2実施形態による電池モジュールの一部分を示す平面図である。この電池モジュールは,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0059】
この第2実施形態において,固定部310は,第1実施形態と同様に,隔壁304と同一な形状であり,単位電池300のケース302の一面に形成されるリーブ306と,ケース302の一面に対向する他面に形成され,リーブ306と結合されることによってこれを固定するホルダー308とを含む。
【0060】
この第2実施形態において,リーブ306およびホルダー308は,ケース302の両端に配置される。ホルダー308は,リーブ306と雄雌結合方式で締結されて,リーブ306の両側面を支持して,リーブを固定することができる形状に形成される。雄雌結合方式は,凹部と凸部とが嵌合して,結合される方式のことを意味していてもよい。つまり,ホルダー308の凹部に,凸部であるリーブ306が嵌合して,両者が固定されうる。
【0061】
このために,ホルダー308は,リーブ306に対して固定力を発揮することができる最低限の高さを有して,ケース302の他面から突出形成される。
【0062】
このような固定部310が形成され,一列に配列された複数の単位電池300は,固定部310を利用して固定され,電池モジュールを構成する。
【0063】
図6は,本発明の第3実施形態による二次電池モジュールの一部を示した平面図である。この電池モジュールも,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0064】
この第3実施形態において,固定部400,400’は,第1実施形態の固定部と基本的には,同様な形状に形成される。しかし,固定部400,400’は,単位電池の固定状態をより強化するために,単位電池402の固定部400’が隣接する,他の単位電池404の固定部400と接した状態で,単位電池404のケース406に形成された溝408に挿入される。
【0065】
つまり,この第3実施形態では,固定部400,400’の結合力に加えて,固定部400および溝408の挿入結合による力を利用して,単位電池402,404の間の固定状態を強化することができる。
【0066】
図6では,固定部400,400’のうち,一の面に形成された固定部400のみが溝408に挿入された状態を示したが,反対の面に位置する固定部400’が固定される溝が形成されていてもよい。また,両方の固定部400,400’が各々対応する溝に挿入されて,単位電池の固定状態を強化することもできる。
【0067】
図7は,本発明の第4実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。この電池モジュールも,第1実施形態の電池モジュールの構造を基本にしつつ,固定部を異なる形状に構成するので,以下では,便宜上,固定部についてのみ説明する。
【0068】
この第4実施形態において,固定部500は,隣接する単位電池502,504に各々形成される。単位電池502,504が一列に配列されて電池モジュールを構成する場合,固定部500は,対向配置されて結合される雌コネクタ506および雄コネクタ508を含む。
【0069】
ここで,雌コネクタ506および雄コネクタ508は,図7に示したように,隣接する単位電池502,504が対向した状態で,この単位電池502,504の一側に混ざって配置されることもできる。例えば,一側に2の固定部が形成される場合,一の固定部の形状が雄コネクタであり,他の固定部の形状が雌コネクタであってもよい。もちろん,図8に示したように,単位電池502,504の一側にいずれか一つに統一されて配置されることもできる。
【0070】
それだけでなく,第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタは,図7に示した形状の他にも多様な形状に形成されることができる。図9に示したように,雌コネクタ510および雄コネクタ512は,その先端が湾曲した形状に形成されてもよい。また,図10に示したように,雌コネクタ514および雄コネクタ516は,その先端が凹凸をなす形状に形成されることもできる。つまり,この第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタは,雄雌結合方式で結合されて単位電池を固定する力を発揮することができる形状であれば,いずれも適用することができる。従って,両コネクタが嵌合可能な形状であればよい。
【0071】
また,この第4実施形態において,雌コネクタおよび雄コネクタからなる固定部は,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁518,520より広い幅を有して形成される(図7参照)。
【0072】
これは,雌コネクタおよび雄コネクタの接触面積を拡張して,これらの結合力によって単位電池が安定的に互いに結合されるようにするのを助けるためである。
【0073】
さらに,図7〜図10では,固定部が単位電池の両端又は両端付近に配置されることを示したが,これは一例にすぎず,必要に応じてその配置状態は自由に変更されることができる。
【0074】
このように,第4実施形態では,雄雌結合方式で結合される固定部の構造によって,電池モジュールを構成する単位電池の間の固定状態を強化するようになる。
【0075】
図11は,第4実施形態の変形例である。図11を参照すれば,この変形例の電池モジュールにおいて,固定部600は,第4実施形態と同一な嵌合方式からなり,かつ,隔壁602も固定部600と同一な嵌合方式からなる。
【0076】
つまり,この変形例において,隔壁602は,その本来の機能を維持しながら,固定部の機能を兼ねることができる。
【0077】
従って,この変形例の電池モジュールは,単位電池の固定状態を一層強化することができる。
【0078】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば,本発明の各実施形態に係る電池モジュールは,HEV(ハイブリッド電気自動車),EV(電気自動車),無線掃除機,電動自転車,電動スクーターなどのようにモータを使用して作動する機器において,当該機器のモータを駆動するためのエネルギー源として使用することができる。もちろん,その用途は,必ずしもこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態による単位電池を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による単位電池を示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図4】本発明による電池モジュールにおいて,単位電池の間に絶縁フィルムが介在された状態を示した部分平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による二次電池モジュールの一部を示した平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の多様な例を示した部分平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の一例を示した部分平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態による電池モジュールにおいて,固定部の一例を示した部分平面図である。
【図11】本発明の第4実施形態の変形例による電池モジュールの一部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0081】
100,200 単位電池
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 ケース
15,15’ 隔壁
16,16’ 固定部(第1固定部,第2固定部)
17,17’ キャッププレート
21 正極端子
23 負極端子
25 電極群
29 絶縁フィルム
306 リーブ
308 ホルダー
408 溝
506 雌コネクタ
508 雄コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位電池と;
前記各単位電池の外枠を構成するケースの外面に設置され,互いに隣接する前記単位電池を固定する固定部と;
を備えることを特徴とする,電池モジュール。
【請求項2】
前記単位電池は,
前記ケースの外面に形成され,かつ,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,所定の間隔をおいて形成される第1固定部と;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,所定の間隔をおいて形成される第2固定部と;
を備え,
前記第1固定部と前記第2固定部とは,
互いに密着して支持されることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記隔壁は,
前記ケースの外面に,任意の間隔をおいて複数形成されることを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成されるリーブと;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,前記リーブと結合されるホルダーと;
を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ホルダーは,
前記ケースの外面に,任意の高さで突出して形成され,前記リーブの両側面を支持して前記リーブを固定することを特徴とする,請求項5に記載の電池モジュール
【請求項7】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される雌コネクタと;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,前記雌コネクタと結合される雄コネクタと;
を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記雌コネクタが形成された,前記一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雄コネクタがさらに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記雄コネクタが形成された,前記他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雌コネクタがさらに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記隔壁は,
互いに隣接する単位電池の外枠を構成するケースの外面に密着して,前記熱伝達媒体の流動通路を形成することを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,所定の間隔をおいて配置されることを特徴とする,請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,雄雌結合方式で締結されて形成されることを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記ケースは,
各々,対向する両端が開口された管構造からなり,前記開口された部位に,正極端子および負極端子が設置された,キャッププレートが設置されることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記複数の単位電池の間に,絶縁フィルムが介在されていることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項1】
複数の単位電池と;
前記各単位電池の外枠を構成するケースの外面に設置され,互いに隣接する前記単位電池を固定する固定部と;
を備えることを特徴とする,電池モジュール。
【請求項2】
前記単位電池は,
前記ケースの外面に形成され,かつ,熱伝達媒体の流動通路を形成する隔壁を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,所定の間隔をおいて形成される第1固定部と;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に突出し,かつ,所定の間隔をおいて形成される第2固定部と;
を備え,
前記第1固定部と前記第2固定部とは,
互いに密着して支持されることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記隔壁は,
前記ケースの外面に,任意の間隔をおいて複数形成されることを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成されるリーブと;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,前記リーブと結合されるホルダーと;
を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ホルダーは,
前記ケースの外面に,任意の高さで突出して形成され,前記リーブの両側面を支持して前記リーブを固定することを特徴とする,請求項5に記載の電池モジュール
【請求項7】
前記固定部は,
前記複数の単位電池のうち,一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成される雌コネクタと;
前記一の単位電池に隣接する他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に形成され,かつ,前記雌コネクタと結合される雄コネクタと;
を備えることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記雌コネクタが形成された,前記一の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雄コネクタがさらに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記雄コネクタが形成された,前記他の単位電池の外枠を構成するケースの外面に,雌コネクタがさらに形成されることを特徴とする,請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記隔壁は,
互いに隣接する単位電池の外枠を構成するケースの外面に密着して,前記熱伝達媒体の流動通路を形成することを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,所定の間隔をおいて配置されることを特徴とする,請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記互いに隣接する単位電池に,各々形成された隔壁は,雄雌結合方式で締結されて形成されることを特徴とする,請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記ケースは,
各々,対向する両端が開口された管構造からなり,前記開口された部位に,正極端子および負極端子が設置された,キャッププレートが設置されることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記複数の単位電池の間に,絶縁フィルムが介在されていることを特徴とする,請求項1に記載の電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−278334(P2006−278334A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83436(P2006−83436)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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