電池モジュール
【課題】排気用ダクトの取り付けが容易であり、かつ、開裂弁を大きくすることができる電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュールを構成する第1・第2の電池セル20A、20Bは、交互に逆向きにされて配列されている。各電池セル20A、20Bの電池蓋3には、それぞれ、正・負極の外部端子21、31が取り付けられ、また、開裂弁12が形成されている。第1の電池セル20Aでは、開裂弁12が負極外部端子31側寄りの位置に形成され、第2の電池セル20Bでは、開裂弁12が正極外部端子21側よりの位置に形成されており、各開裂弁12は、電池セル20A、20Bの配列方向に沿って直線状に配列されている。
【解決手段】電池モジュールを構成する第1・第2の電池セル20A、20Bは、交互に逆向きにされて配列されている。各電池セル20A、20Bの電池蓋3には、それぞれ、正・負極の外部端子21、31が取り付けられ、また、開裂弁12が形成されている。第1の電池セル20Aでは、開裂弁12が負極外部端子31側寄りの位置に形成され、第2の電池セル20Bでは、開裂弁12が正極外部端子21側よりの位置に形成されており、各開裂弁12は、電池セル20A、20Bの配列方向に沿って直線状に配列されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関し、より詳細には、過充放電等により電池内部に発生するガスを電池セルの外部に放出する開裂弁を有する複数の電池セルを備える電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池セル、ニッケル水素二次電池セル、ニッケルカドミウム二次電池セル等の二次電池セルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源として近年、急速に普及しつつある。
自動車用の電源として用いられる二次電池セルは、通常、複数個の二次電池セルをバスバーで直列に接続された電池モジュールとされる。
このような二次電池セルは、過充放電または内部短絡による発熱等の異常状態となった際、電池セル内にガスが発生し、電池容器内の圧力が高くなり、電池容器を破損する恐れがある。
【0003】
このため、電池容器の一側面に、電池容器内に発生するガスの圧力が高くなった場合に開裂して、電解液を含んでミスト状となったガスを外部に放出する開裂弁が設けられている。
そして、電池モジュールには、開裂弁から放出されたミスト状のガスを、例えば、自動車等の電池モジュールが設置された空間から外部に排出するための排出用ダクトが設けられている。排出用ダクトは、各二次電池セルの開裂弁の周囲に、当該開裂弁の上部を外部から密封するように取り付けられる。
【0004】
排出用ダクトを備えた電池モジュールとして、正・負極の外部端子が設けられた電池蓋の長手方向の中心に開裂弁を設け、各電池セルの開裂弁上に排気用ダクトを配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
通常、電池モジュールは、隣接する二次電池セル同士が、正極外部端子と負極外部端子とが対向するように逆向きに配置され、正・負極外部端子がバスバーで直列に接続された構造を有する。このように、各二次電池セルの開裂弁が電池蓋の長手方向の中心に配置されていれば、排気用ダクトを直線状に配置することができ、各開裂弁の周囲への取り付けが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次電池セルの高電圧化に伴い、異常状態となった場合における発熱が大きくなり、発生するガスによる電池セル内圧が大きくなる。この対応として、開裂弁を大きくすることが必要である。
しかし、二次電池セルは、正・負極の外部端子に、正・負極の電極板を有する発電要素群に接続された正・負極の集電板を接続する構造を有する。正・負極の集電板と電池容器との取り付け構造は、正・負極の外部端子が配置された方向である電池容器の長手方向において、かなり広い領域が必要とされる。また、二次電池セル内に電解液を注入するための注液口を、正・負極の外部端子間に設ける場合もある。
特許文献1のように、電池容器の長手方向の中心に開裂弁を配置する構造では、開裂弁を設ける領域が狭く、開裂弁を大きくするうえで制約がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池モジュールは、正・負極の電極板を有する発電要素群と、正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、電池容器内に電解液が注入され、正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が電池容器の一側面における一端側と、一端側に対向する他端側に配置され、電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が正・負極の外部端子間における電池容器の一側面に配置された複数の電池セルを備え、隣接する電池セル同士が、正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、隣接する電池セルの一方は、開裂弁が電池容器の一側面における正極外部端子側寄りに配置され、隣接する電池セルの他方は、開裂弁が電池容器の一側面における負極外部端子側寄りに配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池モジュールによれば、開裂弁を取り付ける場合に、電池容器の一側面における中心に位置づける制約が無いため、電池容器の一側面におけるスペース領域に自由に配置することができ、開裂弁を大きくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の電池モジュールの一実施の形態としての外観斜視図。
【図2】図1に図示された電池モジュールにおいて、ガス排気用のダクトを取り付ける前の状態を示す外観斜視図。
【図3】図2に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続する前の状態を示す外観斜視図。
【図4】図1に図示された電池モジュールのIV−IV線に沿う切断断面図。
【図5】図1に図示された電池モジュールにおける第1の電池セルの外観斜視図。
【図6】図5に図示された第1の電池セルの分解斜視図。
【図7】図1に図示された電池モジュールにおける第2の電池セルの外観斜視図。
【図8】図7に図示された第2の電池セルの分解斜視図。
【図9】発電要素群の詳細を示す拡大斜視図。
【図10】本発明の電池モジュールの実施形態2としての外観斜視図。
【図11】図10に図示された電池モジュールを構成する電池セルの外観斜視図。
【図12】図10に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続された一対の電池セルの正・負極の外部端子近傍の拡大断面図。
【図13】電池セルの変形例を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
--実施形態1-
[電池モジュール全体構成]
以下、本発明の電池モジュールの一実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明の電池モジュールは、例えば、電動車両、特に電気自動車の車載電源装置の蓄電装置として、適用することができる。電気自動車は、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド電気自動車、および電動機を車両の唯一の駆動源とする純正電気自動車等を含む。
図1は、本発明の電池モジュールの一実施の形態としての外観斜視図であり、図2は、図1に図示された電池モジュールにおいて、ガス排気用のダクトを取り付ける前の状態を示す外観斜視図であり、図3は、図2に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続する前の状態を示す外観斜視図である。
【0011】
図1に図示された電池モジュール10は、それぞれ、複数個の第1の電池セル20Aと複数個の第2の電池セル20Bとを備える。第1・第2の電池セル20A、20Bは、リチウムイオン電池セルとして例示する。
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとは、それぞれ、電池容器の外部に露出した正極外部端子21と負極外部端子31を有する。
電池モジュール10を構成するすべての第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bは、直列に接続されている。
図1においては、電池モジュール10は、第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bが、それぞれ3個ずつ、計6個の電池セルにより構成されているものとして例示されている。しかし、電池モジュール10は、6個以上または6個未満の任意の個数の電池セルにより構成することが可能である。
【0012】
第1・第2の電池セル20Aと20Bとは、隣接する電池セル同士が、それぞれの正極外部端子21と負極外部端子31とが相手方の逆極性の外部端子21、31に対向するように逆向きにされて、配列方向に対して直交する方向に平行に、かつ、交互に配置されている。
そして、第1・第2の電池セル20Aと20Bは、それぞれ、正極外部端子21と負極外部端子31が、隣接の電池セルの逆極性の外部端子21、31に、すなわち、正極外部端子21は負極外部端子31に、負極外部端子31は正極外部端子21にバスバー11により接続されている。
但し、電池モジュール10の配列の最前部(図1における最も左側)に位置する第1の電池セル20Aの正極外部端子21と、最後尾(図1における最も右側)に位置する第2の電池セル20Bの負極外部端子31は、バスバー11には接続されていない。
【0013】
第1・第2の電池セル20A、20Bは、底部を有し、上部が開口された電池缶2と、電池缶2の開口された上部を覆う電池蓋3とにより構成される電池容器を有する。
第1・第2の電池セル20A、20Bのそれぞれの電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間には開裂弁12と、電池容器内に電解液を注入するための注液部15が形成されている。
第1の電池セル20Aの開裂弁12は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、負極外部端子31側に近い位置に設けられている。第1の電池セル20Aの注液部15は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、開裂弁12と正極外部端子21との間に設けられている。
一方、第2の電池セル20Bの開裂弁12は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、正極外部端子21側に近い位置に設けられている。第2の電池セル20Bの注液部15は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、開裂弁12と負極外部端子21との間に設けられている。
【0014】
第1の電池セル20Aの負極外部端子31の中心から開裂弁12の中心までの距離と第2の電池セル20Bの正極外部端子21の中心から開裂弁12の中心までの距離とは同一である。第1の電池セル20Aの正極外部端子21の中心から注液部15の中心までの距離と、第2の電池セル20Bの負極外部端子31の中心から注液部15の中心までの距離は同一である。
第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12上には、第1・第2の各電池セル20A、20B内部で発生するガスを排出するための排出用ダクト40が配置されている。排出用ダクト40は、開裂弁12の配列に沿って直線状に延出されている。また、詳細は後述するが、排出用ダクト40は、各電池蓋3における開裂弁12の周囲に、開裂弁12の上部を外部から密封するように取り付けられた複数の連結部を有する。
【0015】
図1に図示された電池モジュール10は、バスバー11に接続されていない最前部に位置する第1の電池セル20Aの正極外部端子21が他の電池モジュールの最後尾の電池セルの負極外部端子に接続されるか、または図示はしないがインバータ装置の高電位側に接続される。また、電池モジュール10は、バスバー11に接続されていない最後尾に位置する第2の電池セル20Bの負極外部端子31が他の電池モジュールの最前列の電池セルの正極外部端子に接続されるか、または図示はしないがインバータ装置の低電位側に接続される。
このように、複数個の電池モジュール10が直列に接続されて電池モジュール装置を構成し、図示しないインバータ装置に接続される。
【0016】
インバータ装置は、電池モジュール装置からの直流電力を3相交流電力に変換し、例えば、車両駆動用システムであれば、電動発電機を駆動する。また、電動発電機が発電機として駆動されている状態では、回生電力をインバータ装置に供給して各電池セル20A、20Bを充電する。
【0017】
また、図示はしないが、電池モジュール10の各バスバー11は電圧検出用の接続導体により、マルチプレクサを介して差動増幅器を含むICおよびこのICの上位コントローラとして機能するマイコンに接続されている。マルチプレクサにより、順次、接続される第1・第2の電池セル20A、20Bが切換えられ、差動増幅器により第1・第2の電池セル20A、20Bの電圧が検出される。検出された第1・第2の各電池セル20A、20Bの電圧は、A/D変換回路においてデジタル値に変換されてマイコンの記憶部に保持される。第1・第2の各電池セル20A、20Bが過充電となったことが検出された場合、第1・第2の各電池セル20A、20Bの正極端子と負極端子との間に配置されたバランシングスイッチ(図示せず)をオンし、各電池セル20A、20Bを放電する。
マイコンおよび複数のICで構成されるセルコントローラは、第1・第2の各電池セル20A、20Bの電圧、総電圧、電流の測定を制御すると共に、充放電を制御する。
マイコンは、入力された第1・第2の各電池セル20A、20Bの温度、または電池モジュール10の平均温度に基づいて、図示はしないが、電池モジュール10を冷却する冷却用のファンの回転数または冷却水の供給量を調整するドライバーおよびポンプ回転数を制御する。
【0018】
[第1の電池セル]
図5は、図1に図示された電池モジュールにおける第1の電池セルの外観斜視図であり、図6は、図5に図示された第1の電池セルの分解斜視図である。
第1の電池セル20Aは、鉄またはアルミニウム系金属からなる電池缶2と、アルミニウム系金属からなる電池蓋3により構成される電池容器を有する。
電池缶2は、底部を有し、上部に開口部2aを有する扁平角形筒形状を有する。電池蓋3は、電池缶2の開口部2aを覆って、例えば、レーザ溶接により周縁部が電池缶2に接合される。
【0019】
電池缶2の内部には、絶縁材からなる絶縁袋7が収容され、この絶縁袋7内に正極板および負極板がセパレータを介して捲回された発電要素群6が収納される。
【0020】
図9は、発電要素群6の拡大斜視図である。
図9に示すように、発電要素群6は、セパレータ6C、負極板6D、セパレータ6C、正極板6Eの順に重ねられて複数周捲回した捲回電極群を、扁平状に潰した扁平捲回構造を有している。捲回電極群は、軸芯を省略して軽量化されており、軸芯の代用として、その捲回開始端部(発電要素群中心部)にはセパレータ6Cが数周巻かれている。また、捲回終了端部(発電要素群表層部)にもセパレータ6Cが数周捲回されて絶縁性が確保され、さらに、巻き解けを防止するためにセパレータ6Cの捲回終了端の片面は、粘着剤が塗着されたテープ(不図示)で止められている。
【0021】
正極板6Eは、アルミニウム合金箔(正極集電箔)の両面に、正極活物質として、例えば、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物を含む正極活物質合剤が略均等かつ略均一に塗着されて作製されている。アルミニウム合金箔の両面には、長手方向に沿う一側に、正極活物質合剤が塗工されず、アルミニウム合金箔が露出された正極未塗工部6Aが形成されている。
【0022】
負極板6Dは、銅合金箔(負極集電箔)の両面に、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材を含む負極活物質合剤が略均等かつ略均一に塗着されて作製されている。銅合金箔の両面には、長手方向に沿う一側に、負極活物質合剤が塗工されず、銅合金箔が露出された負極未塗工部6Bが形成されている。正極未塗工部6Aと負極未塗工部6Bは発電要素群6の互いに反対の周縁端部に設けられている。
【0023】
なお、負極板6Dの捲回方向の長さは、正極板6Eおよび負極板6Dを捲回したときに、捲回最内周および最外周で捲回方向に正極板6Eが負極板6Dからはみ出すことがないように、正極板6Eの長さより長く設定されている。また、負極板6Dに塗工された負極活物質合剤の捲回方向に直交する方向の長さ、換言すれば、幅方向の長さは、正極板6Eに塗工された正極活物質合剤の幅よりも大きく形成されている。したがって、幅方向においても、正極板6Eに塗工された正極活物質合剤が負極板6Dに塗工された負極活物質合剤よりも外側にはみ出すことはない。正極活物質に対向しない負極集電箔の部分があると、正極活物質に含まれるリチウムがイオン化し、セパレータを浸透してその部分に析出する。これにより、内部短絡が発生する可能性がある。このように、負極活物質領域を正極活物質領域よりも広くすることにより、それを防ぐことができる。
【0024】
セパレータ6Cは、リチウムイオンが通過可能な微多孔性シート材で構成されており、本例では、数十μm厚のポリエチレンシートが用いられている。
【0025】
上述した如く、発電要素群6は、セパレータ6C、負極板6D、セパレータ6C、正極板6Eの順に重ねられて複数周捲回し、扁平状に潰された扁平捲回構造を有している。
この扁平捲回構造の発電要素群6においては、図6に図示されるように、正極未塗工部6Aおよび負極未塗工部6Bは、それぞれ、幅方向における一端側および他端側において軸芯の周囲に捲回されて、捲回部分が相互に重合された多層構造を形成する。
【0026】
正極未塗工部6Aには、正極集電板22が、超音波溶接により接合される。
正極集電板22は、例えば、アルミニウム系金属により形成されており、電池蓋3に平行な取付部23と、取付部23に対し垂直方向に延出された集電部24を有する。集電部24には、内側に折曲された折曲部25が形成されており、この折曲部25が正極未塗工部6Aに接合される。取付部23には、貫通孔23aが形成されている。
【0027】
正極集電板22と正極未塗工部6Aとの接合は、例えば、次のように行う。
軸芯の周囲に捲回された正極未塗工部6Aで形成される多層構造部の下面をアンビルで支持する。また、正極未塗工部6Aで形成される多層構造部の上面に正極集電板22の折曲部25を密着してアンビル(図示せず)側に押し付ける。この状態では、軸芯の周囲に捲回されて多層構造を形成する正極未塗工部6Aは、正極集電板22の折曲部25とアンビルにより挟圧されて相互に密着する。そして、正極集電板22の折曲部25の上面にホーンを接触して超音波溶接を行う。これにより、正極未塗工部6Aの重合部分が相互に接合されると共に、正極未塗工部6Aと正極集電板22の折曲部25が接合される。
【0028】
負極集電板32は、銅系金属により形成されているが、取付部33、集電部34、折曲部35を有し、形状およびサイズは正極集電板22と同一である。
また、負極集電板32と負極未塗工部6Bとの接合は、正極集電板22と正極未塗工部6Aとの接合と同様に行うことができ、超音波溶接により負極未塗工部6Bの重合部分が相互に接合されると共に、負極未塗工部6Bと負極集電板32の折曲部35が接合される。
【0029】
電池蓋3には、正極外部端子21および負極外部端子31を取り付けるための貫通孔3a、3bが形成されている。
また、電池蓋3には、開裂弁12および注液口13が形成されている。注液口13は、電解液を注入するための貫通孔である。注液口13は、電解液を注入後、注液栓14を嵌合してレーザ溶接することにより封止される。注液口13と注液栓14により注液部15が構成される。
【0030】
開裂弁12は、過充放電または内部短絡による発熱等の異常が発生し、第1の電池セル20A内の圧力が高くなったときに内部から発生するガスを排出する機能を有する。開裂弁12は、プレスにより電池蓋3の一部に、断面V字またはU字形状の溝を形成し、残部を薄肉とされた構造を有する。断面V字またはU字形状の溝を形成することにより薄肉とされた部分は、電池容器内に発生するガスの圧力により開裂し、電解液を含んでミスト状となったガスを外部に放出する。
【0031】
開裂弁12は、負極外部端子31が取り付けられる電池蓋3の貫通孔3b側寄りに形成されており、その形状は、正極外部端子21と負極外部端子31とを結ぶ長手方向のサイズが、長手方向に直交する短手方向、換言すれば幅方向、のサイズよりも大きい細長形状に形成されている。従って、電池蓋3の幅によってそのサイズが制限される円形形状の場合よりも大きい形状に形成することができる。
開裂弁12の中心は、電池蓋3の長手方向の中心に対して負極外部端子31側寄りに配置される。この場合、開裂弁12の全体が電池蓋3の長手方向の中心よりも負極外部端子31側寄りに位置していてもよいが、開裂弁12の一部は、電池蓋3の長手方向の中心よりも正極外部端子21側寄りに位置してもよい。
【0032】
26は、電池蓋3の貫通孔3a内に挿通される下部円筒部および電池蓋3の貫通孔3aの周縁部上に載置される上部円筒部を有する絶縁リングである。絶縁リング26は正極外部端子21を挿通する貫通孔26aを有する。また、27は、絶縁リング26の下部円筒部を挿通する貫通孔27aを有するガスケットである。
【0033】
正極集電板22を電池蓋3に取り付けるには、先ず、絶縁リング26の下部円筒部を、電池蓋3の貫通孔3aおよびガスケット27の貫通孔27aに嵌入する。次に、正極外部端子21を絶縁リング26の貫通孔26aに挿通する。この状態において、正極外部端子21の下端部はガスケット27の貫通孔27aが形成された平坦部27bの下面より下方に突き出す。次に、正極外部端子21の下部円筒部の下端部に、正極集電板22の取付部23の貫通孔23aを挿通する。そして、正極外部端子21の上下面をプレス加工して、正極集電板22と正極外部端子21とをかしめる。
【0034】
この状態では、正極外部端子21は、絶縁リング26とガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。また、正極集電板22は、ガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。
この後、上述した如く、正極集電板22の折曲部25を発電要素群6の正極未塗工部6Aに超音波溶接により接合する。これにより、正極外部端子21は、正極板6Eに接続される。
【0035】
負極集電板32を電池蓋3に取り付ける方法も、正極集電板22の場合と同様である。
負極集電板32と負極外部端子31がかしめにより電池蓋3に取り付けられた状態では、負極外部端子31は、絶縁リング26とガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。また、負極集電板32は、ガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。
また、負極集電板32の折曲部35を発電要素群6の負極未塗工部6Bに超音波溶接により接合することにより、負極外部端子31は、負極板6Dに接続される。
【0036】
発電要素群6、正・負極の集電板22、32および電池蓋3が一体化された発電要素組立体は、絶縁袋7に収容される。発電要素組立体が絶縁袋7に収容された状態では、発電要素組立体の電池蓋3の下面と絶縁袋7の上端との間には隙間が形成される。発電要素組立体が収容された絶縁袋7は、電池缶2に収容される。この状態で、発電要素組立体と電池缶2とは絶縁される。
次に、電池蓋3の周縁部が電池缶2の上縁部にレーザ溶接等により接合される。そして、電池蓋3に形成された注液口13から非水電解液が注入される。非水電解液の一例としては、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
非水電解液を注入した後、注液口13を注液栓14により封止すると図5に図示された第1の電池セル20Aとなる。
【0037】
[第2の電池セル]
図7は、図1に図示された電池モジュールにおける第2の電池セルの外観斜視図であり、図8は、図7に図示された第2の電池セルの分解斜視図である。
図7に図示された第2の電池セル20Bを図5に図示された第1の電池セル20Aと対比すると、正・負極の外部端子21、31に対する電池蓋3に形成された開裂弁12の位置が相違するだけである。
すなわち、第1の電池セル20Aでは、開裂弁12は、電池蓋3の長手方向において、正極外部端子21側よりも負極外部端子31側寄りに位置している。
これに対し、第2の電池セル20Bでは、開裂弁12は、電池蓋3の長手方向において負極外部端子31側より正極外部端子21側寄りに位置している。
【0038】
図8に図示された第2の電池セル20Bの内部構造と図6に図示された第1の電池セル20Aの内部構造とを対比すると、電池蓋3の左右が逆である以外、他はすべて同一である。
すなわち、第2の電池セル20Bにおいても、発電要素群6の正極未塗工部6Aに正極集電板22が溶接され、正極集電板22と正極外部端子21がかしめられて電池蓋3に取り付けられる。また、発電要素群6の負極未塗工部6Bに負極集電板32が溶接され、負極集電板32と負極外部端子31がかしめられて電池蓋3に取り付けられる。
【0039】
しかし、第2の電池セル20Bでは、正極外部端子21は電池蓋3の貫通孔3bに挿入され、また、負極外部端子31は電池蓋3の貫通孔3aに挿入されて電池蓋3に取り付けられる。この構造は、正極外部端子21が電池蓋3の貫通孔3aに挿入され、また、負極外部端子31が電池蓋3の貫通孔3bに挿入されて電池蓋3に取り付けられる第1の電池セル20Aとは、取り付けられる貫通孔が逆である。
【0040】
つまり、第2の電池セル20Bは、第1の電池セル20Aで使用する電池蓋3の左右を反転した状態で、第1の電池セル20Aに組み付けられる発電要素群6、正・負極の集電板22、32、および正・負極の外部端子21、31を電池蓋3に組み付けて構成されたものである。
このように、第1の電池セル20Aの構成部材は、すべて、第2の電池セル20Bと同一である。
【0041】
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとを、正・負極の外部端子21、31が相手方の逆極性の外部端子に対向するように、交互に逆向きにして、複数個平行に配列した状態が図3に図示される。
この状態では、第1・第2の電池セル20A、20Bの電池蓋3に形成された開裂弁12の中心を結ぶ線は、電池蓋3の長手方向の中心からずれた位置で直線状となる。
【0042】
図2は、第1・第2の電池セル20A、20Bの正極外部端子21と負極外部端子31を、隣接する電池セルの逆極性の外部端子、すなわち、正極外部端子21は負極外部端子31に、負極外部端子31は正極外部端子21にバスバー11により接続した状態を示す。
正・負極の外部端子21、31とバスバー11とは、例えば、TIG(Titan Inert Gas)溶接等のアーク溶接により接合する。
【0043】
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとが、開裂弁12が直線状となるように配列された状態で、第1・第2の電池セル20A、20Bから排出されるミスト状のガスを排出するための排出用ダクト40が、第1・第2の電池セル20A、20Bの各電池蓋3に取り付けられる。
【0044】
[排出用ダクトの取付構造]
図4は、図1に図示された電池モジュールのIV−IV線に沿って切断した拡大断面図であり、排出用ダクトと電池蓋の取付構造を示す。
図2、3には図示されていないが、電池蓋3の開裂弁12の周囲には、複数の突起37が互いに平行に容器外方に向けて立設されている。この突起37は、平板状の電池蓋3の所定位置をプレスすることにより円柱状に形成されている。
【0045】
排出用ダクト40は、図1に示すように、電池蓋3に固定されて、開裂弁12から排出されるガスを収集して案内する。排出用ダクト40は、弾性変形可能な樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂など)により形成されている。
【0046】
排出用ダクト40は、各開裂弁12に対応する複数の連結部41と、これらの連結部41を連結する導管部45が一体に成形された構造を有する。導管部45は、電池モジュール10の高さ方向の寸法を抑え、かつ、ガスの排出容量を大きくするために断面形状が楕円状に形成されている。
複数の連結部41と導管部45とは連通されてガス通路が形成されている。各連結部41は、円形開口が形成された平板状の基部42と、基部42に立設される円筒部43を有する。
【0047】
基部42は、開裂弁12の外周における電池蓋3の上面に、接触された状態で配置される。
の基部42と電池蓋3とが接触する部分には、それぞれの部材に、平面視楕円形状の溝が形成されており、この溝の間に円環状のガスケット(Oリング)36が配設されている。
【0048】
基部42には、電池蓋3に設けられた突起37が挿通される貫通口が設けられている。
排出用ダクト40は、この貫通口に突起37を挿通させた状態で、突起37がかしめられることで、電池蓋3に固定される。かしめを容易に行うことができるように、突起37は、平面視で導管部45の外側になる位置に形成することが好ましい。
【0049】
このように構成された一実施の形態に示す電池モジュール10は、第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12が直線状に配置されるため、排出用ダクト40の導管部45を直線状とすることができる。このため、排出用ダクト40の連結部41と各電池蓋3との取付が容易となる。
【0050】
上記一実施の形態では、第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12を、それぞれ、電池蓋3の長手方向における中心から正・負極の外部端子21、31の一方側寄りにずらした位置に形成した。注液部15を、電池蓋3の正・負極の外部端子21、31の一方に寄せて配置する構造とすれば、注液部15と他方の外部端子との間には広いスペースが生じる。このため、開裂弁12を、この広いスペース領域内に形成することにより、そのサイズを大きくすることが可能となり、開裂弁12から、大量のガスを瞬時に排出することが可能である。
【0051】
上記一実施の形態では、開裂弁12の形状を、長手方向におけるサイズが、電池蓋3の幅方向のサイズよりも大きい細長い楕円形状とした。このため、電池蓋3の幅が上限となる円形状の開裂弁よりも大きいサイズとすることができる。
【0052】
--実施形態2-
図10は、本発明の電池モジュールの実施形態2としての外観斜視図であり、図11は、図10に図示された電池モジュールを構成する電池セルの外観斜視図である。
実施形態2における電池モジュール50は、それぞれ複数個の第1・第2の電池セル60A、60Bにより構成されている。
第1・第2の各電池セル60A、60Bは、正極外部端子61と負極外部端子62と備えている。実施形態1の場合と同様に、実施形態2の場合も、第1の電池セル60Aと第2の電池セル60Bとは、電池蓋3を、左右反転して発電要素組立体に組み付ける点が相違するだけであり、構成部材は同一である。
【0053】
第1・第2の各電池セル60A、60Bにおける正極外部端子61と負極外部端子62は、図11に図示されるように、径大の根元部63と、おねじが形成された径小の取付部64を有するボルト状構造を有する。
隣接する第1・第2の電池セル60A、60Bの相対向する正・負極の外部端子61、62を接続するバスバー11は、正・負極外部端子61、62のおねじに噛合されたナット71により固定されている。
【0054】
図12は、図10に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続された一対の電池セルの正・負極の外部端子近傍を示す拡大断面図である。
第1・第2の電池セル60A、60Bの電池蓋3には、中央部に開口部を有する絶縁部材74が嵌合される貫通孔が形成されている。絶縁部材74に形成された貫通孔に電極接続板65が嵌合している。
【0055】
一方の電極接続板65aには、正極集電板66がかしめ等により電池蓋3に固定されている。電極接続板65aと正極集電板66はアルミニウム系金属により形成されている。
他方の電極接続板65bには、負極集電板67がかしめ等により電池蓋3に固定されている。電極接続板65bと負極集電板67は銅系金属により形成されている。
正極集電板66および負極集電板67は、電池蓋3に取り付けられた取付部分から、ほぼ垂直方向に折曲され、さらに電池セルの厚さ方向の中央部側に傾斜されたうえ、中央部側において、再度、取付部に垂直な方向に屈曲された形状を有する。この中央部において、正極集電板66は正極合剤未処理部に、負極集電板67は負極合剤未処理部に超音波溶接により接合されている。
【0056】
正・負極の集電板66、67および電極接続板65a、65bは、絶縁部材74によって、電池蓋3とは絶縁されている。
各電極接続板65a、65b上には、正極外部端子61または負極外部端子62が接続されている。この接続は、正極外部端子61または負極外部端子62と各電極接続板65とを、直接または導電接続板(図示せず)を介してかしめることにより行うことができる。
【0057】
隣接する正極外部端子61および負極外部端子62は、バスバー11により接続されている。バスバー11には正極外部端子61および負極外部端子62の取付部64を挿通する貫通孔が形成されている。正・負極の外部端子61、62の取付部64にバスバー11を、その貫通孔を挿通することにより取り付け、ナット71を各取付部64のおねじに締結してバスバー11を固定する。この状態で、正極外部端子61および負極外部端子62はバスバー61により電気的に導通されている。
【0058】
実施形態2の電池モジュール50においても、第1・第2の電池セル60A、60Bの開裂弁12の中心が、電池蓋3の長手方向における中心から正・負極の外部端子61、62の一方側寄りにずれた位置に直線状に配列されている。したがって、実施形態1と同様な効果を奏する。
【0059】
[変形例]
実施形態1、2においては、第1・第2の電池セル20A、20Bあるいは60A、60Bの電池容器は、電池缶2と、この電池缶2とは別体に形成された電池蓋3により構成され、正・負極の外部端子21、31あるいは61、62は電池蓋3に取り付けられる構成であった。
図13は、電池セルの変形例を示す外観斜視図である。
図13に示す電池セルも、第1の電池セルと第2の電池セルは、電池蓋3の左右が逆である点が相違するだけで、構成部材はすべて同一である。
そこで、第1・第2の電池セルを代表して、電池セル80として説明する。
【0060】
電池セル80は、電池缶83と、この電池缶83とは別体に形成された電池蓋84とにより構成される電池容器を有する。電池缶83は、上側部81と、この上側部81に一体に成形された断面コ字形状の側壁部82を有する。側壁部82における一対の大面積の側面の一方は開口されており、この電池缶83の開口を塞いで、電池蓋84が取り付けられる。電池缶83と電池蓋84との取り付けは、レーザ溶接等による接合とすることができる。
【0061】
電池缶83の上側部81は、実施形態1の電池蓋3に対応する。
つまり、上側部81には、開裂弁12が形成され、注液部15が設けられている。また、正・負極の外部端子21、31が取り付けられている。
このような、実施形態3に示す電池セル80を用いて電池モジュールを構成することができる。図13に示す実施形態3の電池セル80では、実施形態1において示した正・負極の外部端子21、31を有するものとして例示したが、実施形態2として示した正・負極の外部端子61、62を有する構造とすることもできる。
【0062】
なお、上記各実施形態では、開裂弁12を、第1の電池セル20A、60Aの負極外部端子31、62側寄りに配置し、第2の電池セル20B、60Bの正極外部端子21、61側寄りに配置した構造として例示した。
しかし、上記構造とは逆に、開裂弁12を、第1の電池セル20A、60Aの正極外部端子21、61側寄りに配置し、第2の電池セル20B、60Bの負極外部端子31、62側寄りに配置してもよい。
【0063】
上記実施形態においては、第1の電池セル20A、60Aと第2の電池セル20B、60Bとは、電池蓋3を含め、すべての構成部材が同一の場合として例示した。
しかし、電池蓋3あるいは他の構成部材の一部を異なる形状、サイズとしてもよい。
【0064】
上記実施形態においては、注液部15を、電池蓋3に形成した構造として例示した。しかし、注液部15を、電池蓋3に形成せず、電池缶2のいずれかの側面に形成してもよい。
【0065】
上記実施形態においては、電池モジュールを構成する電池セルとしてリチウムイオン二次電池セルを用いた場合で例示した。しかし、本発明の電池モジュールは、ニッケル水素二次電池セル、ニッケルカドミウム二次電池セル等、他の二次電池セルを用いて構成することが可能である。また、二次電池セル以外にも、リチウムイオンキャパシタを適用することが可能である。
【0066】
また、開裂弁12の形状は、実施形態の例示に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
その他、本発明の電池モジュールは、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、正・負極の電極板を有する発電要素群と、正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、電池容器内に電解液が注入され、正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が電池容器の一側面における一端側と、一端側に対向する他端側に配置され、電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が正・負極の外部端子間における電池容器の一側面に配置された複数の電池セルを備え、隣接する電池セル同士が、正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、隣接する電池セルの一方は、開裂弁が電池容器の一側面における正極外部端子側寄りに配置され、隣接する電池セルの他方は、開裂弁が電池容器の一側面における負極外部端子側寄りに配置されているものであればよい。
【符号の説明】
【0067】
10、50 電池モジュール
2、83 電池缶
3、84 電池蓋
6 発電要素群
11 バスバー
12 開裂弁
15 注液部
20A、60A 第1の電池セル
20B、60B 第2の電池セル
21、61 正極外部端子
31、62 負極外部端子
40 排出用ダクト
80 電池セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関し、より詳細には、過充放電等により電池内部に発生するガスを電池セルの外部に放出する開裂弁を有する複数の電池セルを備える電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池セル、ニッケル水素二次電池セル、ニッケルカドミウム二次電池セル等の二次電池セルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の電源として近年、急速に普及しつつある。
自動車用の電源として用いられる二次電池セルは、通常、複数個の二次電池セルをバスバーで直列に接続された電池モジュールとされる。
このような二次電池セルは、過充放電または内部短絡による発熱等の異常状態となった際、電池セル内にガスが発生し、電池容器内の圧力が高くなり、電池容器を破損する恐れがある。
【0003】
このため、電池容器の一側面に、電池容器内に発生するガスの圧力が高くなった場合に開裂して、電解液を含んでミスト状となったガスを外部に放出する開裂弁が設けられている。
そして、電池モジュールには、開裂弁から放出されたミスト状のガスを、例えば、自動車等の電池モジュールが設置された空間から外部に排出するための排出用ダクトが設けられている。排出用ダクトは、各二次電池セルの開裂弁の周囲に、当該開裂弁の上部を外部から密封するように取り付けられる。
【0004】
排出用ダクトを備えた電池モジュールとして、正・負極の外部端子が設けられた電池蓋の長手方向の中心に開裂弁を設け、各電池セルの開裂弁上に排気用ダクトを配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
通常、電池モジュールは、隣接する二次電池セル同士が、正極外部端子と負極外部端子とが対向するように逆向きに配置され、正・負極外部端子がバスバーで直列に接続された構造を有する。このように、各二次電池セルの開裂弁が電池蓋の長手方向の中心に配置されていれば、排気用ダクトを直線状に配置することができ、各開裂弁の周囲への取り付けが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−108788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次電池セルの高電圧化に伴い、異常状態となった場合における発熱が大きくなり、発生するガスによる電池セル内圧が大きくなる。この対応として、開裂弁を大きくすることが必要である。
しかし、二次電池セルは、正・負極の外部端子に、正・負極の電極板を有する発電要素群に接続された正・負極の集電板を接続する構造を有する。正・負極の集電板と電池容器との取り付け構造は、正・負極の外部端子が配置された方向である電池容器の長手方向において、かなり広い領域が必要とされる。また、二次電池セル内に電解液を注入するための注液口を、正・負極の外部端子間に設ける場合もある。
特許文献1のように、電池容器の長手方向の中心に開裂弁を配置する構造では、開裂弁を設ける領域が狭く、開裂弁を大きくするうえで制約がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池モジュールは、正・負極の電極板を有する発電要素群と、正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、電池容器内に電解液が注入され、正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が電池容器の一側面における一端側と、一端側に対向する他端側に配置され、電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が正・負極の外部端子間における電池容器の一側面に配置された複数の電池セルを備え、隣接する電池セル同士が、正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、隣接する電池セルの一方は、開裂弁が電池容器の一側面における正極外部端子側寄りに配置され、隣接する電池セルの他方は、開裂弁が電池容器の一側面における負極外部端子側寄りに配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池モジュールによれば、開裂弁を取り付ける場合に、電池容器の一側面における中心に位置づける制約が無いため、電池容器の一側面におけるスペース領域に自由に配置することができ、開裂弁を大きくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の電池モジュールの一実施の形態としての外観斜視図。
【図2】図1に図示された電池モジュールにおいて、ガス排気用のダクトを取り付ける前の状態を示す外観斜視図。
【図3】図2に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続する前の状態を示す外観斜視図。
【図4】図1に図示された電池モジュールのIV−IV線に沿う切断断面図。
【図5】図1に図示された電池モジュールにおける第1の電池セルの外観斜視図。
【図6】図5に図示された第1の電池セルの分解斜視図。
【図7】図1に図示された電池モジュールにおける第2の電池セルの外観斜視図。
【図8】図7に図示された第2の電池セルの分解斜視図。
【図9】発電要素群の詳細を示す拡大斜視図。
【図10】本発明の電池モジュールの実施形態2としての外観斜視図。
【図11】図10に図示された電池モジュールを構成する電池セルの外観斜視図。
【図12】図10に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続された一対の電池セルの正・負極の外部端子近傍の拡大断面図。
【図13】電池セルの変形例を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
--実施形態1-
[電池モジュール全体構成]
以下、本発明の電池モジュールの一実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明の電池モジュールは、例えば、電動車両、特に電気自動車の車載電源装置の蓄電装置として、適用することができる。電気自動車は、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド電気自動車、および電動機を車両の唯一の駆動源とする純正電気自動車等を含む。
図1は、本発明の電池モジュールの一実施の形態としての外観斜視図であり、図2は、図1に図示された電池モジュールにおいて、ガス排気用のダクトを取り付ける前の状態を示す外観斜視図であり、図3は、図2に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続する前の状態を示す外観斜視図である。
【0011】
図1に図示された電池モジュール10は、それぞれ、複数個の第1の電池セル20Aと複数個の第2の電池セル20Bとを備える。第1・第2の電池セル20A、20Bは、リチウムイオン電池セルとして例示する。
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとは、それぞれ、電池容器の外部に露出した正極外部端子21と負極外部端子31を有する。
電池モジュール10を構成するすべての第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bは、直列に接続されている。
図1においては、電池モジュール10は、第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bが、それぞれ3個ずつ、計6個の電池セルにより構成されているものとして例示されている。しかし、電池モジュール10は、6個以上または6個未満の任意の個数の電池セルにより構成することが可能である。
【0012】
第1・第2の電池セル20Aと20Bとは、隣接する電池セル同士が、それぞれの正極外部端子21と負極外部端子31とが相手方の逆極性の外部端子21、31に対向するように逆向きにされて、配列方向に対して直交する方向に平行に、かつ、交互に配置されている。
そして、第1・第2の電池セル20Aと20Bは、それぞれ、正極外部端子21と負極外部端子31が、隣接の電池セルの逆極性の外部端子21、31に、すなわち、正極外部端子21は負極外部端子31に、負極外部端子31は正極外部端子21にバスバー11により接続されている。
但し、電池モジュール10の配列の最前部(図1における最も左側)に位置する第1の電池セル20Aの正極外部端子21と、最後尾(図1における最も右側)に位置する第2の電池セル20Bの負極外部端子31は、バスバー11には接続されていない。
【0013】
第1・第2の電池セル20A、20Bは、底部を有し、上部が開口された電池缶2と、電池缶2の開口された上部を覆う電池蓋3とにより構成される電池容器を有する。
第1・第2の電池セル20A、20Bのそれぞれの電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間には開裂弁12と、電池容器内に電解液を注入するための注液部15が形成されている。
第1の電池セル20Aの開裂弁12は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、負極外部端子31側に近い位置に設けられている。第1の電池セル20Aの注液部15は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、開裂弁12と正極外部端子21との間に設けられている。
一方、第2の電池セル20Bの開裂弁12は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、正極外部端子21側に近い位置に設けられている。第2の電池セル20Bの注液部15は、電池蓋3における正極外部端子21と負極外部端子31との間において、開裂弁12と負極外部端子21との間に設けられている。
【0014】
第1の電池セル20Aの負極外部端子31の中心から開裂弁12の中心までの距離と第2の電池セル20Bの正極外部端子21の中心から開裂弁12の中心までの距離とは同一である。第1の電池セル20Aの正極外部端子21の中心から注液部15の中心までの距離と、第2の電池セル20Bの負極外部端子31の中心から注液部15の中心までの距離は同一である。
第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12上には、第1・第2の各電池セル20A、20B内部で発生するガスを排出するための排出用ダクト40が配置されている。排出用ダクト40は、開裂弁12の配列に沿って直線状に延出されている。また、詳細は後述するが、排出用ダクト40は、各電池蓋3における開裂弁12の周囲に、開裂弁12の上部を外部から密封するように取り付けられた複数の連結部を有する。
【0015】
図1に図示された電池モジュール10は、バスバー11に接続されていない最前部に位置する第1の電池セル20Aの正極外部端子21が他の電池モジュールの最後尾の電池セルの負極外部端子に接続されるか、または図示はしないがインバータ装置の高電位側に接続される。また、電池モジュール10は、バスバー11に接続されていない最後尾に位置する第2の電池セル20Bの負極外部端子31が他の電池モジュールの最前列の電池セルの正極外部端子に接続されるか、または図示はしないがインバータ装置の低電位側に接続される。
このように、複数個の電池モジュール10が直列に接続されて電池モジュール装置を構成し、図示しないインバータ装置に接続される。
【0016】
インバータ装置は、電池モジュール装置からの直流電力を3相交流電力に変換し、例えば、車両駆動用システムであれば、電動発電機を駆動する。また、電動発電機が発電機として駆動されている状態では、回生電力をインバータ装置に供給して各電池セル20A、20Bを充電する。
【0017】
また、図示はしないが、電池モジュール10の各バスバー11は電圧検出用の接続導体により、マルチプレクサを介して差動増幅器を含むICおよびこのICの上位コントローラとして機能するマイコンに接続されている。マルチプレクサにより、順次、接続される第1・第2の電池セル20A、20Bが切換えられ、差動増幅器により第1・第2の電池セル20A、20Bの電圧が検出される。検出された第1・第2の各電池セル20A、20Bの電圧は、A/D変換回路においてデジタル値に変換されてマイコンの記憶部に保持される。第1・第2の各電池セル20A、20Bが過充電となったことが検出された場合、第1・第2の各電池セル20A、20Bの正極端子と負極端子との間に配置されたバランシングスイッチ(図示せず)をオンし、各電池セル20A、20Bを放電する。
マイコンおよび複数のICで構成されるセルコントローラは、第1・第2の各電池セル20A、20Bの電圧、総電圧、電流の測定を制御すると共に、充放電を制御する。
マイコンは、入力された第1・第2の各電池セル20A、20Bの温度、または電池モジュール10の平均温度に基づいて、図示はしないが、電池モジュール10を冷却する冷却用のファンの回転数または冷却水の供給量を調整するドライバーおよびポンプ回転数を制御する。
【0018】
[第1の電池セル]
図5は、図1に図示された電池モジュールにおける第1の電池セルの外観斜視図であり、図6は、図5に図示された第1の電池セルの分解斜視図である。
第1の電池セル20Aは、鉄またはアルミニウム系金属からなる電池缶2と、アルミニウム系金属からなる電池蓋3により構成される電池容器を有する。
電池缶2は、底部を有し、上部に開口部2aを有する扁平角形筒形状を有する。電池蓋3は、電池缶2の開口部2aを覆って、例えば、レーザ溶接により周縁部が電池缶2に接合される。
【0019】
電池缶2の内部には、絶縁材からなる絶縁袋7が収容され、この絶縁袋7内に正極板および負極板がセパレータを介して捲回された発電要素群6が収納される。
【0020】
図9は、発電要素群6の拡大斜視図である。
図9に示すように、発電要素群6は、セパレータ6C、負極板6D、セパレータ6C、正極板6Eの順に重ねられて複数周捲回した捲回電極群を、扁平状に潰した扁平捲回構造を有している。捲回電極群は、軸芯を省略して軽量化されており、軸芯の代用として、その捲回開始端部(発電要素群中心部)にはセパレータ6Cが数周巻かれている。また、捲回終了端部(発電要素群表層部)にもセパレータ6Cが数周捲回されて絶縁性が確保され、さらに、巻き解けを防止するためにセパレータ6Cの捲回終了端の片面は、粘着剤が塗着されたテープ(不図示)で止められている。
【0021】
正極板6Eは、アルミニウム合金箔(正極集電箔)の両面に、正極活物質として、例えば、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物を含む正極活物質合剤が略均等かつ略均一に塗着されて作製されている。アルミニウム合金箔の両面には、長手方向に沿う一側に、正極活物質合剤が塗工されず、アルミニウム合金箔が露出された正極未塗工部6Aが形成されている。
【0022】
負極板6Dは、銅合金箔(負極集電箔)の両面に、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材を含む負極活物質合剤が略均等かつ略均一に塗着されて作製されている。銅合金箔の両面には、長手方向に沿う一側に、負極活物質合剤が塗工されず、銅合金箔が露出された負極未塗工部6Bが形成されている。正極未塗工部6Aと負極未塗工部6Bは発電要素群6の互いに反対の周縁端部に設けられている。
【0023】
なお、負極板6Dの捲回方向の長さは、正極板6Eおよび負極板6Dを捲回したときに、捲回最内周および最外周で捲回方向に正極板6Eが負極板6Dからはみ出すことがないように、正極板6Eの長さより長く設定されている。また、負極板6Dに塗工された負極活物質合剤の捲回方向に直交する方向の長さ、換言すれば、幅方向の長さは、正極板6Eに塗工された正極活物質合剤の幅よりも大きく形成されている。したがって、幅方向においても、正極板6Eに塗工された正極活物質合剤が負極板6Dに塗工された負極活物質合剤よりも外側にはみ出すことはない。正極活物質に対向しない負極集電箔の部分があると、正極活物質に含まれるリチウムがイオン化し、セパレータを浸透してその部分に析出する。これにより、内部短絡が発生する可能性がある。このように、負極活物質領域を正極活物質領域よりも広くすることにより、それを防ぐことができる。
【0024】
セパレータ6Cは、リチウムイオンが通過可能な微多孔性シート材で構成されており、本例では、数十μm厚のポリエチレンシートが用いられている。
【0025】
上述した如く、発電要素群6は、セパレータ6C、負極板6D、セパレータ6C、正極板6Eの順に重ねられて複数周捲回し、扁平状に潰された扁平捲回構造を有している。
この扁平捲回構造の発電要素群6においては、図6に図示されるように、正極未塗工部6Aおよび負極未塗工部6Bは、それぞれ、幅方向における一端側および他端側において軸芯の周囲に捲回されて、捲回部分が相互に重合された多層構造を形成する。
【0026】
正極未塗工部6Aには、正極集電板22が、超音波溶接により接合される。
正極集電板22は、例えば、アルミニウム系金属により形成されており、電池蓋3に平行な取付部23と、取付部23に対し垂直方向に延出された集電部24を有する。集電部24には、内側に折曲された折曲部25が形成されており、この折曲部25が正極未塗工部6Aに接合される。取付部23には、貫通孔23aが形成されている。
【0027】
正極集電板22と正極未塗工部6Aとの接合は、例えば、次のように行う。
軸芯の周囲に捲回された正極未塗工部6Aで形成される多層構造部の下面をアンビルで支持する。また、正極未塗工部6Aで形成される多層構造部の上面に正極集電板22の折曲部25を密着してアンビル(図示せず)側に押し付ける。この状態では、軸芯の周囲に捲回されて多層構造を形成する正極未塗工部6Aは、正極集電板22の折曲部25とアンビルにより挟圧されて相互に密着する。そして、正極集電板22の折曲部25の上面にホーンを接触して超音波溶接を行う。これにより、正極未塗工部6Aの重合部分が相互に接合されると共に、正極未塗工部6Aと正極集電板22の折曲部25が接合される。
【0028】
負極集電板32は、銅系金属により形成されているが、取付部33、集電部34、折曲部35を有し、形状およびサイズは正極集電板22と同一である。
また、負極集電板32と負極未塗工部6Bとの接合は、正極集電板22と正極未塗工部6Aとの接合と同様に行うことができ、超音波溶接により負極未塗工部6Bの重合部分が相互に接合されると共に、負極未塗工部6Bと負極集電板32の折曲部35が接合される。
【0029】
電池蓋3には、正極外部端子21および負極外部端子31を取り付けるための貫通孔3a、3bが形成されている。
また、電池蓋3には、開裂弁12および注液口13が形成されている。注液口13は、電解液を注入するための貫通孔である。注液口13は、電解液を注入後、注液栓14を嵌合してレーザ溶接することにより封止される。注液口13と注液栓14により注液部15が構成される。
【0030】
開裂弁12は、過充放電または内部短絡による発熱等の異常が発生し、第1の電池セル20A内の圧力が高くなったときに内部から発生するガスを排出する機能を有する。開裂弁12は、プレスにより電池蓋3の一部に、断面V字またはU字形状の溝を形成し、残部を薄肉とされた構造を有する。断面V字またはU字形状の溝を形成することにより薄肉とされた部分は、電池容器内に発生するガスの圧力により開裂し、電解液を含んでミスト状となったガスを外部に放出する。
【0031】
開裂弁12は、負極外部端子31が取り付けられる電池蓋3の貫通孔3b側寄りに形成されており、その形状は、正極外部端子21と負極外部端子31とを結ぶ長手方向のサイズが、長手方向に直交する短手方向、換言すれば幅方向、のサイズよりも大きい細長形状に形成されている。従って、電池蓋3の幅によってそのサイズが制限される円形形状の場合よりも大きい形状に形成することができる。
開裂弁12の中心は、電池蓋3の長手方向の中心に対して負極外部端子31側寄りに配置される。この場合、開裂弁12の全体が電池蓋3の長手方向の中心よりも負極外部端子31側寄りに位置していてもよいが、開裂弁12の一部は、電池蓋3の長手方向の中心よりも正極外部端子21側寄りに位置してもよい。
【0032】
26は、電池蓋3の貫通孔3a内に挿通される下部円筒部および電池蓋3の貫通孔3aの周縁部上に載置される上部円筒部を有する絶縁リングである。絶縁リング26は正極外部端子21を挿通する貫通孔26aを有する。また、27は、絶縁リング26の下部円筒部を挿通する貫通孔27aを有するガスケットである。
【0033】
正極集電板22を電池蓋3に取り付けるには、先ず、絶縁リング26の下部円筒部を、電池蓋3の貫通孔3aおよびガスケット27の貫通孔27aに嵌入する。次に、正極外部端子21を絶縁リング26の貫通孔26aに挿通する。この状態において、正極外部端子21の下端部はガスケット27の貫通孔27aが形成された平坦部27bの下面より下方に突き出す。次に、正極外部端子21の下部円筒部の下端部に、正極集電板22の取付部23の貫通孔23aを挿通する。そして、正極外部端子21の上下面をプレス加工して、正極集電板22と正極外部端子21とをかしめる。
【0034】
この状態では、正極外部端子21は、絶縁リング26とガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。また、正極集電板22は、ガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。
この後、上述した如く、正極集電板22の折曲部25を発電要素群6の正極未塗工部6Aに超音波溶接により接合する。これにより、正極外部端子21は、正極板6Eに接続される。
【0035】
負極集電板32を電池蓋3に取り付ける方法も、正極集電板22の場合と同様である。
負極集電板32と負極外部端子31がかしめにより電池蓋3に取り付けられた状態では、負極外部端子31は、絶縁リング26とガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。また、負極集電板32は、ガスケット27により電池蓋3とは絶縁されている。
また、負極集電板32の折曲部35を発電要素群6の負極未塗工部6Bに超音波溶接により接合することにより、負極外部端子31は、負極板6Dに接続される。
【0036】
発電要素群6、正・負極の集電板22、32および電池蓋3が一体化された発電要素組立体は、絶縁袋7に収容される。発電要素組立体が絶縁袋7に収容された状態では、発電要素組立体の電池蓋3の下面と絶縁袋7の上端との間には隙間が形成される。発電要素組立体が収容された絶縁袋7は、電池缶2に収容される。この状態で、発電要素組立体と電池缶2とは絶縁される。
次に、電池蓋3の周縁部が電池缶2の上縁部にレーザ溶接等により接合される。そして、電池蓋3に形成された注液口13から非水電解液が注入される。非水電解液の一例としては、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることができる。
非水電解液を注入した後、注液口13を注液栓14により封止すると図5に図示された第1の電池セル20Aとなる。
【0037】
[第2の電池セル]
図7は、図1に図示された電池モジュールにおける第2の電池セルの外観斜視図であり、図8は、図7に図示された第2の電池セルの分解斜視図である。
図7に図示された第2の電池セル20Bを図5に図示された第1の電池セル20Aと対比すると、正・負極の外部端子21、31に対する電池蓋3に形成された開裂弁12の位置が相違するだけである。
すなわち、第1の電池セル20Aでは、開裂弁12は、電池蓋3の長手方向において、正極外部端子21側よりも負極外部端子31側寄りに位置している。
これに対し、第2の電池セル20Bでは、開裂弁12は、電池蓋3の長手方向において負極外部端子31側より正極外部端子21側寄りに位置している。
【0038】
図8に図示された第2の電池セル20Bの内部構造と図6に図示された第1の電池セル20Aの内部構造とを対比すると、電池蓋3の左右が逆である以外、他はすべて同一である。
すなわち、第2の電池セル20Bにおいても、発電要素群6の正極未塗工部6Aに正極集電板22が溶接され、正極集電板22と正極外部端子21がかしめられて電池蓋3に取り付けられる。また、発電要素群6の負極未塗工部6Bに負極集電板32が溶接され、負極集電板32と負極外部端子31がかしめられて電池蓋3に取り付けられる。
【0039】
しかし、第2の電池セル20Bでは、正極外部端子21は電池蓋3の貫通孔3bに挿入され、また、負極外部端子31は電池蓋3の貫通孔3aに挿入されて電池蓋3に取り付けられる。この構造は、正極外部端子21が電池蓋3の貫通孔3aに挿入され、また、負極外部端子31が電池蓋3の貫通孔3bに挿入されて電池蓋3に取り付けられる第1の電池セル20Aとは、取り付けられる貫通孔が逆である。
【0040】
つまり、第2の電池セル20Bは、第1の電池セル20Aで使用する電池蓋3の左右を反転した状態で、第1の電池セル20Aに組み付けられる発電要素群6、正・負極の集電板22、32、および正・負極の外部端子21、31を電池蓋3に組み付けて構成されたものである。
このように、第1の電池セル20Aの構成部材は、すべて、第2の電池セル20Bと同一である。
【0041】
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとを、正・負極の外部端子21、31が相手方の逆極性の外部端子に対向するように、交互に逆向きにして、複数個平行に配列した状態が図3に図示される。
この状態では、第1・第2の電池セル20A、20Bの電池蓋3に形成された開裂弁12の中心を結ぶ線は、電池蓋3の長手方向の中心からずれた位置で直線状となる。
【0042】
図2は、第1・第2の電池セル20A、20Bの正極外部端子21と負極外部端子31を、隣接する電池セルの逆極性の外部端子、すなわち、正極外部端子21は負極外部端子31に、負極外部端子31は正極外部端子21にバスバー11により接続した状態を示す。
正・負極の外部端子21、31とバスバー11とは、例えば、TIG(Titan Inert Gas)溶接等のアーク溶接により接合する。
【0043】
第1の電池セル20Aと第2の電池セル20Bとが、開裂弁12が直線状となるように配列された状態で、第1・第2の電池セル20A、20Bから排出されるミスト状のガスを排出するための排出用ダクト40が、第1・第2の電池セル20A、20Bの各電池蓋3に取り付けられる。
【0044】
[排出用ダクトの取付構造]
図4は、図1に図示された電池モジュールのIV−IV線に沿って切断した拡大断面図であり、排出用ダクトと電池蓋の取付構造を示す。
図2、3には図示されていないが、電池蓋3の開裂弁12の周囲には、複数の突起37が互いに平行に容器外方に向けて立設されている。この突起37は、平板状の電池蓋3の所定位置をプレスすることにより円柱状に形成されている。
【0045】
排出用ダクト40は、図1に示すように、電池蓋3に固定されて、開裂弁12から排出されるガスを収集して案内する。排出用ダクト40は、弾性変形可能な樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂など)により形成されている。
【0046】
排出用ダクト40は、各開裂弁12に対応する複数の連結部41と、これらの連結部41を連結する導管部45が一体に成形された構造を有する。導管部45は、電池モジュール10の高さ方向の寸法を抑え、かつ、ガスの排出容量を大きくするために断面形状が楕円状に形成されている。
複数の連結部41と導管部45とは連通されてガス通路が形成されている。各連結部41は、円形開口が形成された平板状の基部42と、基部42に立設される円筒部43を有する。
【0047】
基部42は、開裂弁12の外周における電池蓋3の上面に、接触された状態で配置される。
の基部42と電池蓋3とが接触する部分には、それぞれの部材に、平面視楕円形状の溝が形成されており、この溝の間に円環状のガスケット(Oリング)36が配設されている。
【0048】
基部42には、電池蓋3に設けられた突起37が挿通される貫通口が設けられている。
排出用ダクト40は、この貫通口に突起37を挿通させた状態で、突起37がかしめられることで、電池蓋3に固定される。かしめを容易に行うことができるように、突起37は、平面視で導管部45の外側になる位置に形成することが好ましい。
【0049】
このように構成された一実施の形態に示す電池モジュール10は、第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12が直線状に配置されるため、排出用ダクト40の導管部45を直線状とすることができる。このため、排出用ダクト40の連結部41と各電池蓋3との取付が容易となる。
【0050】
上記一実施の形態では、第1・第2の電池セル20A、20Bの開裂弁12を、それぞれ、電池蓋3の長手方向における中心から正・負極の外部端子21、31の一方側寄りにずらした位置に形成した。注液部15を、電池蓋3の正・負極の外部端子21、31の一方に寄せて配置する構造とすれば、注液部15と他方の外部端子との間には広いスペースが生じる。このため、開裂弁12を、この広いスペース領域内に形成することにより、そのサイズを大きくすることが可能となり、開裂弁12から、大量のガスを瞬時に排出することが可能である。
【0051】
上記一実施の形態では、開裂弁12の形状を、長手方向におけるサイズが、電池蓋3の幅方向のサイズよりも大きい細長い楕円形状とした。このため、電池蓋3の幅が上限となる円形状の開裂弁よりも大きいサイズとすることができる。
【0052】
--実施形態2-
図10は、本発明の電池モジュールの実施形態2としての外観斜視図であり、図11は、図10に図示された電池モジュールを構成する電池セルの外観斜視図である。
実施形態2における電池モジュール50は、それぞれ複数個の第1・第2の電池セル60A、60Bにより構成されている。
第1・第2の各電池セル60A、60Bは、正極外部端子61と負極外部端子62と備えている。実施形態1の場合と同様に、実施形態2の場合も、第1の電池セル60Aと第2の電池セル60Bとは、電池蓋3を、左右反転して発電要素組立体に組み付ける点が相違するだけであり、構成部材は同一である。
【0053】
第1・第2の各電池セル60A、60Bにおける正極外部端子61と負極外部端子62は、図11に図示されるように、径大の根元部63と、おねじが形成された径小の取付部64を有するボルト状構造を有する。
隣接する第1・第2の電池セル60A、60Bの相対向する正・負極の外部端子61、62を接続するバスバー11は、正・負極外部端子61、62のおねじに噛合されたナット71により固定されている。
【0054】
図12は、図10に図示された電池モジュールにおいて、バスバーで接続された一対の電池セルの正・負極の外部端子近傍を示す拡大断面図である。
第1・第2の電池セル60A、60Bの電池蓋3には、中央部に開口部を有する絶縁部材74が嵌合される貫通孔が形成されている。絶縁部材74に形成された貫通孔に電極接続板65が嵌合している。
【0055】
一方の電極接続板65aには、正極集電板66がかしめ等により電池蓋3に固定されている。電極接続板65aと正極集電板66はアルミニウム系金属により形成されている。
他方の電極接続板65bには、負極集電板67がかしめ等により電池蓋3に固定されている。電極接続板65bと負極集電板67は銅系金属により形成されている。
正極集電板66および負極集電板67は、電池蓋3に取り付けられた取付部分から、ほぼ垂直方向に折曲され、さらに電池セルの厚さ方向の中央部側に傾斜されたうえ、中央部側において、再度、取付部に垂直な方向に屈曲された形状を有する。この中央部において、正極集電板66は正極合剤未処理部に、負極集電板67は負極合剤未処理部に超音波溶接により接合されている。
【0056】
正・負極の集電板66、67および電極接続板65a、65bは、絶縁部材74によって、電池蓋3とは絶縁されている。
各電極接続板65a、65b上には、正極外部端子61または負極外部端子62が接続されている。この接続は、正極外部端子61または負極外部端子62と各電極接続板65とを、直接または導電接続板(図示せず)を介してかしめることにより行うことができる。
【0057】
隣接する正極外部端子61および負極外部端子62は、バスバー11により接続されている。バスバー11には正極外部端子61および負極外部端子62の取付部64を挿通する貫通孔が形成されている。正・負極の外部端子61、62の取付部64にバスバー11を、その貫通孔を挿通することにより取り付け、ナット71を各取付部64のおねじに締結してバスバー11を固定する。この状態で、正極外部端子61および負極外部端子62はバスバー61により電気的に導通されている。
【0058】
実施形態2の電池モジュール50においても、第1・第2の電池セル60A、60Bの開裂弁12の中心が、電池蓋3の長手方向における中心から正・負極の外部端子61、62の一方側寄りにずれた位置に直線状に配列されている。したがって、実施形態1と同様な効果を奏する。
【0059】
[変形例]
実施形態1、2においては、第1・第2の電池セル20A、20Bあるいは60A、60Bの電池容器は、電池缶2と、この電池缶2とは別体に形成された電池蓋3により構成され、正・負極の外部端子21、31あるいは61、62は電池蓋3に取り付けられる構成であった。
図13は、電池セルの変形例を示す外観斜視図である。
図13に示す電池セルも、第1の電池セルと第2の電池セルは、電池蓋3の左右が逆である点が相違するだけで、構成部材はすべて同一である。
そこで、第1・第2の電池セルを代表して、電池セル80として説明する。
【0060】
電池セル80は、電池缶83と、この電池缶83とは別体に形成された電池蓋84とにより構成される電池容器を有する。電池缶83は、上側部81と、この上側部81に一体に成形された断面コ字形状の側壁部82を有する。側壁部82における一対の大面積の側面の一方は開口されており、この電池缶83の開口を塞いで、電池蓋84が取り付けられる。電池缶83と電池蓋84との取り付けは、レーザ溶接等による接合とすることができる。
【0061】
電池缶83の上側部81は、実施形態1の電池蓋3に対応する。
つまり、上側部81には、開裂弁12が形成され、注液部15が設けられている。また、正・負極の外部端子21、31が取り付けられている。
このような、実施形態3に示す電池セル80を用いて電池モジュールを構成することができる。図13に示す実施形態3の電池セル80では、実施形態1において示した正・負極の外部端子21、31を有するものとして例示したが、実施形態2として示した正・負極の外部端子61、62を有する構造とすることもできる。
【0062】
なお、上記各実施形態では、開裂弁12を、第1の電池セル20A、60Aの負極外部端子31、62側寄りに配置し、第2の電池セル20B、60Bの正極外部端子21、61側寄りに配置した構造として例示した。
しかし、上記構造とは逆に、開裂弁12を、第1の電池セル20A、60Aの正極外部端子21、61側寄りに配置し、第2の電池セル20B、60Bの負極外部端子31、62側寄りに配置してもよい。
【0063】
上記実施形態においては、第1の電池セル20A、60Aと第2の電池セル20B、60Bとは、電池蓋3を含め、すべての構成部材が同一の場合として例示した。
しかし、電池蓋3あるいは他の構成部材の一部を異なる形状、サイズとしてもよい。
【0064】
上記実施形態においては、注液部15を、電池蓋3に形成した構造として例示した。しかし、注液部15を、電池蓋3に形成せず、電池缶2のいずれかの側面に形成してもよい。
【0065】
上記実施形態においては、電池モジュールを構成する電池セルとしてリチウムイオン二次電池セルを用いた場合で例示した。しかし、本発明の電池モジュールは、ニッケル水素二次電池セル、ニッケルカドミウム二次電池セル等、他の二次電池セルを用いて構成することが可能である。また、二次電池セル以外にも、リチウムイオンキャパシタを適用することが可能である。
【0066】
また、開裂弁12の形状は、実施形態の例示に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
その他、本発明の電池モジュールは、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、正・負極の電極板を有する発電要素群と、正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、電池容器内に電解液が注入され、正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が電池容器の一側面における一端側と、一端側に対向する他端側に配置され、電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が正・負極の外部端子間における電池容器の一側面に配置された複数の電池セルを備え、隣接する電池セル同士が、正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、隣接する電池セルの一方は、開裂弁が電池容器の一側面における正極外部端子側寄りに配置され、隣接する電池セルの他方は、開裂弁が電池容器の一側面における負極外部端子側寄りに配置されているものであればよい。
【符号の説明】
【0067】
10、50 電池モジュール
2、83 電池缶
3、84 電池蓋
6 発電要素群
11 バスバー
12 開裂弁
15 注液部
20A、60A 第1の電池セル
20B、60B 第2の電池セル
21、61 正極外部端子
31、62 負極外部端子
40 排出用ダクト
80 電池セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正・負極の電極板を有する発電要素群と、前記正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、
前記電池容器内に電解液が注入され、
前記正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が前記電池容器の一側面における一端側と、前記一端側に対向する他端側に配置され、
前記電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が前記正・負極の外部端子間における前記電池容器の前記一側面に配置された複数の電池セルを備え、
隣接する前記電池セル同士が、前記正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、
隣接する前記電池セルの一方は、前記開裂弁が前記電池容器の一側面における前記正極外部端子側寄りに配置され、隣接する前記電池セルの他方は、前記開裂弁が前記電池容器の一側面における前記負極外部端子側寄りに配置されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールおいて、前記一方の電池セルの前記電池容器の一側面における前記開裂弁と前記負極外部端子との間、および前記他方の電池セルの前記電池容器の一側面における前記開裂弁と前記正極外部端子との間に前記電解液を注入する注液部が設けられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池モジュールにおいて、さらに、前記一方および他方の電池セルの前記開裂弁上に配置され、前記開裂弁から放出されたガスを排出するためのダクトを有し、前記ダクトは、前記各開裂弁の周囲における前記電池容器の一側面に、前記各開裂弁の上部を外部から密封して取り付けられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記各開裂弁は、前記電池容器の一側面に配置された前記正極外部端子と前記負極外部端子とを結ぶ長手方向のサイズが、前記長手方向に直交する短手方向のサイズよりも大きい細長形状に形成されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記一方の電池セルの前記正極外部端子から前記開裂弁の中心までの距離と、前記他方の電池セルの前記負極外部端子から前記開裂弁の中心までの距離とは等しいことを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記各電池容器は、底部を有し上部に開口部を有する筒状の電池缶と、前記電池缶の開口部を塞いで前記電池缶に取り付けられた電池蓋により構成され、前記正・負極の外部端子および前記開裂弁は、前記電池蓋に配置されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項1】
正・負極の電極板を有する発電要素群と、前記正・負極の電極板に接続された正・負極の集電板とが電池容器内に収容され、
前記電池容器内に電解液が注入され、
前記正・負極の集電板に接続された正・負極の外部端子が前記電池容器の一側面における一端側と、前記一端側に対向する他端側に配置され、
前記電池容器内の内部圧力が所定値以上となったときに開裂して電池容器内のガスを放出する開裂弁が前記正・負極の外部端子間における前記電池容器の前記一側面に配置された複数の電池セルを備え、
隣接する前記電池セル同士が、前記正・負極の外部端子を相手方の逆極性の外部端子と対向させて配列された電池モジュールにおいて、
隣接する前記電池セルの一方は、前記開裂弁が前記電池容器の一側面における前記正極外部端子側寄りに配置され、隣接する前記電池セルの他方は、前記開裂弁が前記電池容器の一側面における前記負極外部端子側寄りに配置されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールおいて、前記一方の電池セルの前記電池容器の一側面における前記開裂弁と前記負極外部端子との間、および前記他方の電池セルの前記電池容器の一側面における前記開裂弁と前記正極外部端子との間に前記電解液を注入する注液部が設けられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池モジュールにおいて、さらに、前記一方および他方の電池セルの前記開裂弁上に配置され、前記開裂弁から放出されたガスを排出するためのダクトを有し、前記ダクトは、前記各開裂弁の周囲における前記電池容器の一側面に、前記各開裂弁の上部を外部から密封して取り付けられていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記各開裂弁は、前記電池容器の一側面に配置された前記正極外部端子と前記負極外部端子とを結ぶ長手方向のサイズが、前記長手方向に直交する短手方向のサイズよりも大きい細長形状に形成されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記一方の電池セルの前記正極外部端子から前記開裂弁の中心までの距離と、前記他方の電池セルの前記負極外部端子から前記開裂弁の中心までの距離とは等しいことを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電池モジュールにおいて、前記各電池容器は、底部を有し上部に開口部を有する筒状の電池缶と、前記電池缶の開口部を塞いで前記電池缶に取り付けられた電池蓋により構成され、前記正・負極の外部端子および前記開裂弁は、前記電池蓋に配置されていることを特徴とする電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−230775(P2012−230775A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97025(P2011−97025)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]