説明

電池モジュール

【課題】電池セルに温度ムラが生じることを抑制できる電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池モジュール1は、複数の電池セル2を配列してなる組電池3と、各電池セル2の温度調節を行う温度調節機構5とを備えた。温度調節機構5は、電池セル2間に挟まれる熱交換部材21と、熱源機構27との間で熱媒体が循環されるとともに各熱交換部材21に対して4箇所で熱的に結合される第1熱媒配管22a及び第2熱媒配管22bとを備えた。そして、第1熱媒配管22aと第2熱媒配管22bを、熱交換部材21に対する結合箇所の隣同士で熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池は、充電して繰り返し使用可能であることから種々の電源として広く利用されている。そして、高い出力電圧が要求される用途では、複数の電池セルを配列してなる組電池として利用されている。ここで、二次電池では、その温度環境が性能や寿命に大きな影響を与えるため、組電池に各電池セルの温度調節を行うための温度調節機構を組み合わせてなる電池モジュールが従来から提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、図5に示すように、この電池モジュール51では、組電池52は、長方形板状に形成された電池セル53をその板厚方向に配列することにより構成されている。一方、温度調節機構54は、各電池セル53間に配置される板状の吸熱プレート55と、吸熱プレート55に対して熱的に結合される複数の冷却パイプ56とを備えている。各冷却パイプ56は、略U字状に形成されており、その直線部分が電池セル53の配列方向と平行になるように吸熱プレート55に結合されるとともに、同冷却パイプ56の両端が冷却機構57に連結されている。そして、冷却液が冷却パイプ56と冷却機構57との間で循環することにより、冷却液が冷却機構57で冷却されるとともに、電池セル53で発生する熱が吸熱プレート55及び冷却パイプ56を介して冷却液に吸熱され、同電池セル53が冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷却パイプ56内を流通する冷却液の温度は、電池セル53の熱を吸収することで上昇するため、冷却液の温度は冷却機構57から冷却液が流れ込む冷却パイプ56の上流側で低く、その下流側に向かうにつれて高くなる。そのため、1つの吸熱プレート55においても、冷却パイプ56の上流側が結合された部分と、冷却パイプ56の下流側が結合された部分とでは、その冷却効率が異なる。
【0006】
しかし、上記従来の構成では、各冷却パイプ56が上下に二条をなすように配置されており、吸熱プレート55の下側(図5における下側)に配置された端部からそれぞれ冷却液が流れ込み、各冷却パイプ56を流れて吸熱プレート55の上側(図5における上側)に配置された端部からそれぞれ冷却液が流れ出すように構成されている。したがって、吸熱プレート55において、その上側が下側よりも冷却効率が低くなり易く、吸熱プレート55に温度ムラが生じるようになる。その結果、電池セル53でも温度ムラが生じることで、例えば電池セル53の寿命の低下等を招く虞があり、この点においてなお改善の余地があった。なお、このような問題は、電池セルを冷却する場合に限らず、加熱する場合にも同様に生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電池セルに温度ムラが生じることを抑制できる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の電池セルを配列してなる組電池と、前記各電池セルの温度調節を行う温度調節機構と、を備え、前記温度調節機構は、前記電池セル間に挟まれる熱交換部材、及び前記各熱交換部材に対して熱的に結合されるとともに熱源機構との間で熱媒体が循環する複数の熱媒配管を有する電池モジュールにおいて、前記各熱交換部材には、前記熱媒配管が少なくとも4箇所以上で結合され、前記各熱媒配管は、隣り合う結合箇所での前記熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設されたことを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、熱媒配管を流通する熱媒体の流通方向が、隣り合う結合箇所で互いに逆向きとなるため、熱交換部材に各熱媒配管の上流側部分同士(又は下流側部分同士)が隣り合って配置されず、熱交換部材の一部に各熱媒配管の上流側部分(又は下流側部分)が偏ることを抑制できる。これにより、熱交換部材に温度ムラが生じることを抑制でき、ひいては電池セルに温度ムラが生じることを抑制できる。
【0010】
また、前記熱交換部材には、前記熱媒配管の結合箇所が等間隔に設けられていてもよい。
上記構成によれば、熱媒配管の結合箇所が熱交換部材に等間隔で配置されるため、熱交換部材及び電池セルに温度ムラが生じることをより抑制できるようになる。
【0011】
また、前記電池セル及び前記熱交換部材は長方形板状に形成されるとともに、前記熱交換部材の各長辺及び各短辺に前記熱媒配管の結合箇所が1箇所ずつ設けられ、前記各熱媒配管は、前記各長辺に結合される長辺部及び前記各短辺に結合される短辺部の一端同士を連結することにより形成されるとともに、前記各短辺部に熱媒体が流れ込み、前記各長辺部から熱媒体が流れ出すように配設されていてもよい。
【0012】
ここで、熱交換部材及び電池セルが長方形板状に形成された場合、その短辺から中央までの長さは、その長辺から中央までの長さよりも長くなる。つまり、短辺側に配置された熱媒配管の熱は、長辺側に配置された熱媒配管の熱に比べ、熱交換部材の中央に伝達され難い。この点、上記構成によれば、熱交換部材の短辺に熱媒配管の上流側部分が配置され、長辺に熱媒配管の下流側部分が配置されるため、熱交換部材及び電池セルに温度ムラが生じることをより一層抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池セルに温度ムラが生じることを抑制できる電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の電池モジュールの概略構成を示す斜視図。
【図2】第1実施形態の電源モジュールにおける配列方向と直交する断面図(図1のA−A断面図)。
【図3】第2実施形態の電源モジュールにおける配列方向と直交する断面図。
【図4】別例の電池モジュールの概略構成を示す斜視図。
【図5】従来の電池モジュールの概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す電池モジュール1は、電気自動車やハイブリッド車に搭載された走行用モータの電源として用いられるものである。同図に示すように、電池モジュール1は、充電可能な二次電池として構成された複数の電池セル2を配列してなる組電池3と、各電池セル2の温度調節を行う温度調節機構5とを備えている。
【0016】
本実施形態の電池セル2には、長方形板状に形成された角型セルが採用されている。そして、組電池3は、複数の電池セル2をその板厚方向に沿って配列することにより構成されている。なお、以下の説明では、電池セル2が配列された方向を配列方向、電池セル2の正面視における長辺に沿った方向を幅方向、電池セル2の短辺に沿った方向を高さ方向とする。
【0017】
各電池セル2における高さ方向上側(図1における上側)の側面には、同方向に突出する正極端子11及び負極端子12が幅方向に間隔を空けて設けられている。また、組電池3の配列方向両端には、それぞれ長方形板状のエンドプレート13が設けられている。なお、組電池3は、各エンドプレート13に拘束バンド(図示略)が装着されることにより、電池セル2に配列方向両側から加圧された状態で組み付けられている。
【0018】
温度調節機構5は、各電池セル2間、及び配列方向両端に設けられた電池セル2と各エンドプレート13との間で挟持される複数の熱交換部材21と、各熱交換部材21に熱的に(熱伝達可能に)結合される2つの第1熱媒配管22a及び第2熱媒配管22bとを備えている。なお、熱交換部材21及び各熱媒配管22a,22bは、アルミ合金やカーボン等の熱伝導率の高い材料により構成されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、各熱交換部材21は、電池セル2における配列方向端面の全体に接触する略長方形板状に形成されている。そして、各熱交換部材21の外縁には、第1熱媒配管22aと第2熱媒配管22bが4箇所で結合されるようになっている。
【0020】
詳しくは、熱交換部材21における電池セル2又はエンドプレート13によって挟持される挟持部23は、電池セル2と略同一の幅方向長さ及び高さ方向長さを有している。そして、挟持部23には、その幅方向両側に突出する一対の短辺突出部24が形成されるとともに、その高さ方向下側に突出する長辺突出部25が形成されている。各短辺突出部24の高さ方向長さは、挟持部23(電池セル2)の高さ方向長さよりも短く形成されており、短辺突出部24は、挟持部23における高さ方向上側にそれぞれ形成されている。そして、短辺突出部24には、配列方向に貫通するとともに高さ方向に長い長孔状の結合孔24aがそれぞれ形成されている。また、長辺突出部25の幅方向長さは、挟持部23の幅方向長さと略同一に形成されている。そして、長辺突出部25には、配列方向に貫通するとともに幅方向に長い長孔状の結合孔25aが幅方向に間隔を空けて2つ形成されている(図2参照)。なお、挟持部23の表面は、シート状の絶縁シート(図示略)により被覆されている。
【0021】
熱交換部材21の高さ方向上側に結合される第1熱媒配管22aは、1本の配管を折り曲げることにより略U字状に形成されている。この第1熱媒配管22aは、電池セル2の配列方向に延びるとともに、熱交換部材21の幅方向両側、すなわち熱交換部材21の各短辺側に配置される一対の短辺部31a,31bを有している。各短辺部31a,31bの断面形状は、高さ方向に長い長円状に形成されており、各短辺部31a,31bが結合孔24aに圧入されることにより、第1熱媒配管22aが各熱交換部材21に対して熱的に結合されている。つまり、結合孔24aが第1熱媒配管22aの結合箇所に相当する。
【0022】
一方、熱交換部材21の高さ方向下側に係合される第2熱媒配管22bは、別部材からなる直線状の長辺部32a,32bの一端同士を連結部32cによって接続することにより略U字状に形成されている。長辺部32a,32bは、電池セル2の配列方向に延びるとともに、熱交換部材21の高さ方向下側、すなわち熱交換部材21の長辺側に配置されている。各長辺部32a,32bの断面形状は、幅方向に長い長円状に形成されており、各長辺部32a,32bが結合孔25aに圧入されることにより、第2熱媒配管22bが各熱交換部材21に対して熱的に結合されている。つまり、結合孔25aが第2熱媒配管22bの結合箇所に相当する。
【0023】
各熱媒配管22a,22bは、配管内部を流通する熱媒体(例えば、水や空気等)を冷却又は加熱するための熱源機構27に接続されている。そして、熱媒体が各熱媒配管22a,22bと熱源機構27との間で循環することにより、熱交換部材21及び各熱媒配管22a,22bを介して電池セル2と熱媒体との間で熱交換が行われて電池セル2の温度が調節される。なお、本実施形態の熱源機構27は、熱媒体を冷却する冷却器、熱媒体を加熱する加熱器及びポンプ(いずれも図示略)を有しており、同ポンプによって熱媒体が熱源機構27と各熱媒配管22a,22bとの間を強制的に循環するようになっている。
【0024】
ここで、各熱媒配管22a,22b内を流通する熱媒体の温度は、電池セル2を冷却する場合には、電池セル2の熱を吸収することで上昇するため、熱源機構27から熱媒体が流れ込む熱媒配管22a,22bの上流側で低く、熱媒配管22a,22bの下流側に向かうにつれて高くなる。一方、熱媒体の温度は、電池セル2を加熱する場合には、電池セル2に熱が吸収されることで低下するため、熱媒配管22a,22bの上流側で高く、熱媒配管22a,22bの下流側に向かうにつれて低くなる。そのため、1つの熱交換部材21においても、熱媒配管22a,22bの上流側が結合された部分と、熱媒配管22a,22bの下流側が結合された部分とでは、その冷却効率又は加熱効率が異なる。
【0025】
この点を踏まえ、各熱媒配管22a,22bは、熱交換部材21に対する隣り合う結合箇所での熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設されている。換言すれば、熱交換部材21には、熱媒配管22a,22bにおける熱源機構27から熱媒体が流れ込む上流部と、熱媒配管22a,22bにおける熱源機構27に熱媒体が流れ出す下流部とが交互に配置されている。詳しくは、熱源機構27における熱媒体を送り出す送出ポート27aには、第1熱媒配管22aの短辺部31a及び第2熱媒配管22bの長辺部32bが接続されるとともに、熱源機構27における熱媒体を回収する回収ポート27bには、第1熱媒配管22aの短辺部31b及び第2熱媒配管22bの長辺部32aが接続されている。
【0026】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)第1熱媒配管22aと第2熱媒配管22bを、熱交換部材21に対する結合箇所の隣同士で熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設した。そのため、熱交換部材21に対しては、第1熱媒配管22aと第2熱媒配管22bの上流側部分同士(又は下流側部分同士)が隣り合って配置されず、熱交換部材21の一部に各熱媒配管22a,22bの上流側部分(又は下流側部分)が偏ることを抑制できる。これにより、熱交換部材21に温度ムラが生じることを抑制でき、ひいては電池セル2に温度ムラが生じることを抑制できる。
【0027】
(2)各熱媒配管22a,22bの断面形状を長孔状に形成したため、例えば各熱媒配管22a,22bの断面形状を丸穴状に形成する場合に比べ、熱交換部材21を効率的に温度調節することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は温度調節機構の構成のみである。このため、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、熱交換部材21の挟持部23には、その幅方向両側、すなわち短辺から突出する一対の短辺突出部41が形成されるとともに、挟持部23の高さ方向両側、すなわち長辺から突出する一対の長辺突出部42が形成されている。つまり、熱交換部材21の各長辺及び各短辺に熱媒配管22a,22bの結合箇所が1箇所ずつ設けられている。そして、熱交換部材21の外縁には、熱媒配管22a,22bの結合箇所が等間隔に設けられている。
【0030】
詳しくは、各短辺突出部41の高さ方向長さは、挟持部23(電池セル2)の高さ方向長さよりも短く形成されており、各短辺突出部41は、挟持部23の高さ方向中央に位置するように形成されている。一方、各長辺突出部42の幅方向長さは、挟持部23の幅方向長さよりも短く形成されており、各長辺突出部42は、挟持部23の幅方向中央に位置するように形成されている。そして、各短辺突出部41には、高さ方向に長い長孔状の結合孔41aがその中央に形成され、各長辺突出部42には、幅方向に長い長孔状の結合孔42aがその中央に形成されている。
【0031】
第1熱媒配管22aは、別部材からなる直線状の短辺部43a及び長辺部43bの一端同士を連結部43cよって接続することにより略U字状に形成されている。短辺部43aは、配列方向に延びるとともに熱交換部材21の幅方向左側に配置され、長辺部43bは、配列方向に延びるとともに熱交換部材21の高さ方向上側に配置されている。一方、第2熱媒配管22bは、別部材からなる直線状の短辺部44a及び長辺部44bの一端同士を連結部44cよって接続することにより略U字状に形成されている。短辺部44aは、配列方向に延びるとともに熱交換部材21の幅方向右側に配置され、長辺部44bは、配列方向に延びるとともに熱交換部材21の高さ方向下側に配置されている。
【0032】
そして、各熱媒配管22a,22bは、各短辺部43a,44aに熱媒体が流れ込み、各長辺部43b,44bから熱媒体が流れ出すように配設されている。詳しくは、熱源機構27の送出ポート27aには、熱媒配管22a,22bの各短辺部43a,44aが接続されるとともに、熱源機構27の回収ポート27bには、各長辺部43b,44bが接続されている。
【0033】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)、(2)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(3)熱交換部材21に、熱媒配管22a,22bの結合箇所である結合孔41a,42aを等間隔に設けたため、熱交換部材21及び電池セル2に温度ムラが生じることをより抑制できるようになる。
【0034】
(4)電池セル2及び熱交換部材21を長方形板状に形成するとともに、熱交換部材21の各長辺及び各短辺に各熱媒配管22a,22bの結合箇所を1箇所ずつ設けた。そして、各熱媒配管22a,22bを、短辺部43a,44a及び長辺部43b,44bの一端同士を連結することにより形成するとともに、各短辺部43a,44aに熱媒体が流れ込み、各長辺部43b,44bから熱媒体が流れ出すように配設した。
【0035】
ここで、熱交換部材21が長方形板状に形成された場合、その短辺から中央までの長さは、その長辺から中央までの長さよりも長くなる。つまり、短辺側に配置された熱媒配管の熱は、長辺側に配置された熱媒配管の熱に比べ、熱交換部材21の中央に伝達され難い。この点、上記構成によれば、熱交換部材21の短辺突出部41に各熱媒配管22a,22bの上流側部分が配置され、長辺突出部42に各熱媒配管22a,22bの下流側部分が配置される。そのため、熱交換部材21及び電池セル2に温度ムラが生じることをより一層抑制できるようになる。
【0036】
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
○上記各実施形態では、各熱媒配管22a,22bを略U字状に形成にし、配列方向の一端側から流入した熱媒体が、折り返されて再び配列方向の一端側から流出するようにした。しかし、これに限らず、熱媒配管における配列方向の一端側又は他端側から流入した熱媒体が他端側又は一端側から流出するようにしてもよい。
【0037】
例えば、図4に示す例では、温度調節機構5は、熱交換部材21の各長辺及び各短辺に1本ずつ配置される4つの熱媒配管22a〜22dと、2つの熱源機構27とを備えている。そして、熱媒配管22a〜22dは、配列方向に延びる直線状にそれぞれ形成されるとともに、熱媒配管22a〜22dの配列方向の両端は、隣り合う結合箇所での熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設されている。なお、熱媒配管22a,22cは、短辺突出部41の結合孔41aに圧入されることにより熱交換部材21に対して熱的に結合され、熱媒配管22b,22dは、長辺突出部42の結合孔42aに圧入されることにより熱交換部材21に対して熱的に結合されている。この構成によれば、配列方向一端側に配置された熱交換部材21に熱媒配管22a,22cの上流側部分が結合されるとともに、配列方向他端側に配置された熱交換部材21に熱媒配管22b,22dの上流側部分が結合される。したがって、配列方向一端側に配置された電池セル2と、配列方向他端側に配置された電池セル2とが同様に温度調節されるようになるため、各電池セル2間に温度ムラが生じることを抑制できる。
【0038】
○上記各実施形態では、各熱媒配管22a,22bを略U字状に形成し、熱媒体の流通方向が一回折り返されるようにしたが、これに限らず、例えば熱媒体の流通方向が複数回折り返されるように折り曲げた形状としてもよい。
【0039】
○上記各実施形態では、各熱媒配管22a,22bの断面形状を長孔状に形成したが、これに限らず、丸孔状や多角形孔状に形成してもよく、また、配管内に多数の孔が形成された形状としてもよい。
【0040】
○上記各実施形態では、各熱媒配管22a,22bを結合孔24a,25a,41a,42aに圧入することにより熱交換部材21に熱的に結合したが、これに限らず、例えばロウ付け等により熱媒配管22a,22bを熱交換部材21に結合させてもよい。
【0041】
○上記実施形態では、挟持部23の表面を絶縁シートにより被覆したが、これに限らず、例えば絶縁性を有する塗料や接着剤等により挟持部23の表面を被覆してもよい。
○上記実施形態では、熱交換部材21を長方形板状に形成したが、これに限らず、例えば円板形状にしてもよく、また、電池セル2との間で熱交換を行うことができれば、板状以外の他の形状としてもよい。
【0042】
○上記各実施形態において、熱交換部材21に熱媒配管22a,22bとの間で熱媒体を循環させる流路を形成してもよい。
○上記各実施形態では、電池セル2を角型セルとして構成したが、これに限らず、例えば円筒型セルやラミネート型セルとして構成してもよい。
【0043】
○上記各実施形態では、熱源機構27が熱媒体を加熱及び冷却可能な構成としたが、これに限らず、熱源機構27が加熱のみ又は冷却のみ可能な構成としてもよい。
○上記各実施形態では、各熱交換部材21に熱媒配管22a,22bを4箇所で結合させたが、これに限らず、隣り合う結合箇所での熱媒体の流通方向が互いに逆向きであればよく、6箇所以上で結合させてもよい。
【0044】
○上記各実施形態では、本発明を電気自動車やハイブリッド車に搭載された走行用モータの電源として用いられる電池モジュール1に適用したが、他の用途に用いられる電源に適用してもよい。
【0045】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記電池セル及び前記熱交換部材は長方形板状に形成されるとともに、前記熱媒配管の断面形状は、長孔状に形成されたことを特徴とする電池モジュール。上記構成によれば、例えば熱媒配管の断面形状を丸穴状に形成する場合に比べ、熱交換部材を効率的に温度調節することが可能になる。
【0046】
(ロ)前記各熱媒配管の少なくとも1つは、前記電池セルの配列方向の一端側から流入した熱媒体が前記配列方向の他端側から流出するように前記熱源機構に接続され、前記各熱媒配管の少なくとも他の1つは、前記配列方向の他端側から流入した熱媒体が前記配列方向の一端側から流出するように配設されたことを特徴とする電池モジュール。上記構成によれば、配列方向一端側に配置された電池セルと、配列方向他端側に配置された電池セルとが同様に温度調節されるようになるため、各電池セル間に温度ムラが生じることを抑制できる。
【符号の説明】
【0047】
1…電池モジュール、2…電池セル、3…組電池、5…温度調節機構、21…熱交換部材、22a〜22d…熱媒配管、24,41…短辺突出部、24a,25a,41a,42a…結合孔、25,42…長辺突出部、27…熱源機構、31a,31b,43a,44a…短辺部、32a,32b,43b,44b…長辺部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを配列してなる組電池と、前記各電池セルの温度調節を行う温度調節機構と、を備え、
前記温度調節機構は、前記電池セル間に挟まれる熱交換部材、及び前記各熱交換部材に対して熱的に結合されるとともに熱源機構との間で熱媒体が循環する複数の熱媒配管を有する電池モジュールにおいて、
前記各熱交換部材には、前記熱媒配管が少なくとも4箇所以上で結合され、
前記各熱媒配管は、隣り合う結合箇所での前記熱媒体の流通方向が互いに逆向きとなるように配設されたことを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールにおいて、
前記熱交換部材には、前記熱媒配管の結合箇所が等間隔に設けられたことを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池モジュールにおいて、
前記電池セル及び前記熱交換部材は長方形板状に形成されるとともに、前記熱交換部材の各長辺及び各短辺に前記熱媒配管の結合箇所が1箇所ずつ設けられ、
前記各熱媒配管は、前記各長辺に結合される長辺部及び前記各短辺に結合される短辺部の一端同士を連結することにより形成されるとともに、前記各短辺部に熱媒体が流れ込み、前記各長辺部から熱媒体が流れ出すように配設されたことを特徴とする電池モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−89567(P2013−89567A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231963(P2011−231963)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】