説明

電池収容ケース

【課題】異なる電池形式の電池の使用を可能にした電池収容ケースにおいて、電池形式の異なる電池の誤収容を防止する。
【解決手段】単1形、単2形、単3形の各収容部に収容された単1形電池T1と、単2形電池T2と、単3形電池T3のそれぞれの外周面が重なり合うように構成し、単1形電池T1を兼用正電極7aと兼用負電極18aとの間に収容する第1収容位置では、電池収容体の兼用正電極とケース本体1の兼用負電極との間隔を単1形電池T1に合った広い間隔に、単2形または単3形の電池を収容する第2収容位置では、単2形電池T2を収容する兼用正電極と兼用負電極との間隔を単2形電池T2に合った狭い間隔に、単3形電池T3を収容する専用正電極7bと専用負電極18bとの間隔を単3形電池T3に合った狭い間隔にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単1形電池、単2形電池、単3形電池のいずれもが収容可能であり、かつその内の1種のみを収容する電池収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電池を電源とする装置では、単1形電池(R20/LR20)、単2形電池(R14/LR14)、単3形電池(R6/LR6)の外形寸法はそれぞれ直径や長さが異なるため、装置に用いる電池形式を1種に指定し、その電池サイズに合わせた電池収容部を設けているが、指定された電池形式の電池がない場合等の使用者の利便性を考慮して、一つの電池収容ケースで複数の電池形式の電池の使用を可能にすることが行われている。
【0003】
このため、例えば、各電池サイズに合わせたアダプタを設け、これを電池収容ケースに着脱して使用者が電池の交換作業を行う構造を用いると、使用者はアダプタの着脱作業方法や電池形式に合わせた設定位置を認識することが必要であり、すみやかに電池交換を実施するためには、交換作業の習熟や、訓練された作業有識者による指導が必要になるという課題があった。
また、アダプタの着脱時における落下や、それに伴う破損、交換作業における煩わしさの解消という課題や、使用者がアダプタの着脱作業方法を失念した場合や、アダプタを紛失した場合には、異種の電池への交換作業が行えないという課題があった。
【0004】
このような課題に対して、従来の電池収容ケースは、
ケース本体と、前記ケース本体の内部に装着された保持材と、ケース本体に装着され、保持材上を覆う電池カバーとを備え、保持材は、単3形電池の直径より浅い凹部に形成された単1形電池を収容する単1収容部と、単1収容部の底部に配置された単2形電池を収容する単2収容部と、単2収容部の底部に配置された単3形電池を収容する単3収容部と、両側の側板に設けられた係止突起部と、を有し、ケース本体は、3種類の電池形式の各電池正極を当接させる正電極が設けられた正面壁と、ケース本体の正面壁に対向し、3種類の電池形式の各電池負極を押圧するバネで正電極方向に付勢された負電極が設けられた背面壁と、保持材の係止突起に嵌合し、正面壁と背面壁との間の両側の側壁の内側に形成された単1用、単2用、単3用の3つの係止部をガイド溝で接続した係止溝と、正電極の近傍に設けられた逆接防止突起と、を有し、保持材を、係止溝に嵌合する係止突起部に案内させて、単1形電池を正電極と負電極との間の単1収容部に直列に収容する単1収容位置と、単2形電池を正電極と負電極との間の単2収容部に直列に収容する単2収容位置と、単3形電池を正電極と負電極との間の単3収容部に直列に収容する単3収容位置との3位置に移動させ、各位置に係止させた保持材の電池収容部にその位置に該当する電池形式の電池を収容し、その外周面を電池カバーの内側面で保持し、負電極を弾性的に支持するバネによって異なる電池形式の電池の長さ方向のスペースを吸収し、一つの電池収容ケースで3種類の電池形式の異なる電池の使用を可能にしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−324032号公報(段落0025−0048、第1図、第4図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、深さ方向に重ねて形成した単1収容部、単2収容部、単3収容部を有する保持材の係止突起部を、ケース本体の係止溝の各係止部に嵌合させて、各収容位置に停止させ、いずれか一つの収容部に収容された電池の外周面を電池カバーの内側面で保持しているため、過誤により、単1収容位置に係止された保持材の単3収容部に単3形電池を直列に収容した場合であっても、負電極がバネによって単3形電池の電池負極を押圧するので、正常な電圧が電池を電源とする装置へ供給されるが、電池カバーの内側面が単3形電池の外周面を保持していないため、装置、例えば携帯機器の使用中に電池間の接続が外れ、突然電源が遮断されてしまう場合があるという問題がある。このことは、単2形電池の場合も同様である。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、異なる電池形式の電池の使用を可能にした電池収容ケースにおいて、電池形式の異なる電池の誤収容を防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、電池収容ケースが、ケース本体と、前記ケース本体の内部に装着された電池収容体と、を備え、前記電池収容体は、前記単1形電池を収容する単1収容部と、前記単1収容部の底部に配置された前記単2形電池を収容する単2収容部と、前記単2収容部の側方に隣接して、前記単2収容部に収容された単2形電池の外周面と単3形電池の外周面とが重なり合うように配置された前記単3形電池を収容する単3収容部と、前記単1形または単2形電池の電池正極を当接させる兼用正電極および前記単3形電池の電池正極を当接させる専用正電極が設けられた正面板と、前記正面板に直交する2つの側板の、それぞれの前記ケース本体側に形成されたガイド溝と、を有し、前記ケース本体は、前記ガイド溝に嵌合するガイドピンが設けられた側壁と、前記電池収容体の正面板に対向し、前記単1形および単2形電池の電池負極を押圧する兼用負電極および前記単3形電池の電池負極を押圧する専用負電極が設けられた背面壁と、を有し、前記電池収容体を、前記ガイド溝に嵌合するガイドピンに案内させて、前記単1形電池を前記兼用正電極と前記兼用負電極との間の前記単1収容部に収容する第1収容位置と、前記単2形電池を前記兼用正電極と前記兼用負電極との間の前記単2収容部に収容すると共に前記単3形電池を前記専用正電極と前記専用負電極との間の前記単3収容部に収容する第2収容位置とに移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、異なる電池形式の電池の使用を可能にした電池収容ケースにおいて、電池形式の異なる電池の誤収容を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の電池収容ケースを示す説明図
【図2】実施例の電池収容体の断面を示す拡大説明図
【図3】実施例の電池収容体の正面板を示す拡大説明図
【図4】実施例の電池収容体の第1収容位置を示す説明図
【図5】実施例の電池収容体の第2収容位置を示す説明図
【図6】実施例の単1形電池の収容状態を示す説明図
【図7】実施例の単1形電池の収容状態の断面を示す説明図
【図8】実施例の単2形電池の収容状態を示す説明図
【図9】実施例の単2形電池の収容状態の断面を示す説明図
【図10】実施例の単3形電池の収容状態を示す説明図
【図11】実施例の単3形電池の収容状態の断面を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明による電池収容ケースの実施例について説明する。
【実施例】
【0012】
本実施例の電池収容ケースは、図1に示すように、ケース本体1と、ケース本体1の内部に装着された電池収容体2と、ケース本体1に装着された電池収容体2上を覆う電池カバー3とで構成され、単1形電池T1、単2形電池T2、単3形電池T3の電池形式の異なる電池のいずれもが収容可能であり、かつその3種の内の1種のみを収容することが可能な構造を有している。
【0013】
電池収容体2は、電池形式の異なる、つまり長さや直径が異なる複数種類の電池を収容する矩形の枠体であって、単1形電池T1を収容する単1収容部5aと、単2形電池T2を収容する単2収容部5bと、単3形電池T3を収容する単3収容部5cとが設けられており、各収容部5は、該当する電池形式の電池の外周面に沿った円弧凹面で形成され、それぞれの収容部5には、2本の電池が直列に収容される。
【0014】
この電池収容体2には、図2に示すように、電池収容体2の深さ方向の上部に単1収容部5aが配置され、この単1収容部5aの底部に単2収容部5bが配置され、単1収容部5aおよび単2収容部5bの側方に隣接して、単1収容部5aに収容された単1形電池T1、単2収容部5bに収容された単2形電池T2のそれぞれの外周面と単3形電池T3の外周面とが重なり合うように単3収容部5cが配置され、単2収容部5bの底部には、単3形電池T3の外径寸法より大きい貫通穴である開口部6が形成されている(図1参照)。
【0015】
電池収容体2の正面板2aには、図3に示すように、単1形電池T1または単2形電池T2の電池正極を当接させる兼用正電極7aおよび単3形電池T3の電池正極を当接させる専用正電極7bが並設され、その兼用正電極7aおよび専用正電極7bのそれぞれの近傍には、収容されるそれぞれの電池が誤って逆収容されたときの当接を防止するための各電池の電池正極より低く、電池負極より高い高さを有する突起部8が形成され、正面板2aの上部の中央部には、手の指で電池収容体2を把持するための把持部9が設けられている。
【0016】
電池収容体2の正面板2aに直交する2つの側板2bのそれぞれの外側面、つまりケース本体1の側壁1b側の面には、電池収容体2の電池の長手方向への移動を案内するガイド溝11a、11bが形成され、その把持部9側のガイド溝11bの把持部9側の端部には、後述する第2収容位置に移動した電池収容体2をその位置に停止させるための溝である係止部12が形成されており、各ガイド溝11a、11bには、ケース本体1の2つの側壁1bの内側面に形成された円柱状の突起であるガイドピン14a、14bが嵌合し、係止部12にはガイドピン14bが嵌合する。
【0017】
また、電池収容体2の一方の側板2b(本実施例では、単3収容部5c側の側板2b)の外側面には、兼用正電極7aおよび専用正電極7bと一体に形成された正極端子15が設けられ、この正極端子15には、ケース本体1の側壁1bに設けられた板バネ等の図示しない弾性電極が摺接し、電池収容体2の正電極7とケース本体1との間を電気的に接続する。
【0018】
更に、電池収容体2の単3収容部5c側の側板2bの上部、つまり電池カバー3側には、単3収容部5cに直列に収容された後述する専用負電極18b側の電池の落下を防止する抑え部16が形成され、その正電極7側には、電池カバー3の後述するフック部21の挿入時の逃げ、および単2収容部5bに収容された単2形電池T2の取外し時に、指の挿入を容易にする逃げとして機能する切欠き部17が形成されている。
【0019】
ケース本体1の2つの側壁1bの間の一端に設けられた背面壁1cには、電池収容体2の正面板2aに対向し、単1形電池T1および単2形電池T2の電池負極を押圧する、円錐コイルバネ等のバネ部材からなる兼用負電極18aおよび単3形電池T3の電池負極を押圧する、円錐コイルバネ等のバネ部材からなる専用負電極18bが並設されている。
【0020】
また、ケース本体1の底部には、単1収容部5aに収容された単1形電池T1の下部を支持する支持台19が設けられ、この支持台19は、電池収容体2のケース本体1への装着時に、電池収容体2の底部に形成された開口部6に挿入される(図7参照)。
【0021】
電池カバー3は、外部からの電池の保護、電池のガタツキ防止、脱落防止等の機能を有するカバーであって、その内側面、つまり電池収容体2側の面には、後述する第1収容位置に位置する電池収容体2の単1収容部5aに収容された単1形電池T1の外周面および第2収容位置に位置する電池収容体2の単2収容部5bに収容された単2形電池T2の外周面を保持する第1保持部20aと、第2収容位置で単3収容部5cに収容された単3形電池T3の外周面を保持する第2保持部20bとが設けられており、各保持部20は、直列に収容された電池間の連結部の近傍で、正電極7側の電池を保持する位置に配置されている。
【0022】
また、電池カバー3の電池の長手方向に沿った一方の縁部(本実施例では、単3収容部5c側の縁部)の長手方向の中央部には、電池カバー3を固定するためのフック部21が設けられている。
上記した電池収納体2は、その正面板2aをケース本体1の背面壁1cに対向させてケース本体1内に押し込まれ、ケース本体1の側壁1bが弾性変形して、ケース本体1のガイドピン14a、14bに、電池収納体2のガイド溝11a、11bが嵌合して装着される。これにより、電池収容体2が、ケース本体1の内部で電池の長手方向への移動が可能になる。
【0023】
本実施例の電池収容体2は、そのガイド溝11a、11bに嵌合するガイドピン14a、14bに案内されながら図4に示す第1収容位置と、図5に示す第2収容位置との間を、電池の長手方向に移動し、これら2つの収容位置で停止するよう構成されている。
本実施例の第1収容位置は、図4に示すように、ケース本体1の負電極18と電池収容体2の正電極7とが最も離間し、かつ電池収容体2がケース本体1の底側に停止した位置であって、単1形電池T1を兼用正電極7aと兼用負電極18aとの間の単1収容部5aに収容するときの位置である。
【0024】
また、第2収容位置は、図5に示すように、ケース本体1内で負電極18と電池収容体2の正電極7とが第1収容位置よりも接近し、かつ電池収容体2がケース本体1の開放側に停止した位置であって、単2形電池T2を兼用正電極7aと兼用負電極18aとの間の単2収容部5bに収容するとき、および単3形電池T3を専用正電極7bと専用負電極18bとの間の単3収容部5cに収容するときの位置である。
【0025】
上記した第1収容位置から第2収容位置への電池収容体2の移動は、ケース本体1の底側の第1収容位置に停止している電池収容体2の単1収容部5aに収納されている2本の単1形電池T1を取外し、電池収容体2の把持部9で正面板2aをつまんでケース本体1の負電極18の方向に停止するまで移動させる。このとき、電池収容体2はガイド溝11に嵌合するガイドピン14によってケース本体1の開放側に持上げられる。
【0026】
そして、停止した電池収容体2を把持部9によって停止するまで下方に押下げ、第2収容位置に停止させる。これにより、単2形電池T2または単3形電池T3が収容されたときに負電極18の正電極7方向への付勢力によってケース本体1のガイドピン14bがガイド溝11bの設けられた係止部12に自動的に嵌合して当該位置に固定され、図5に矢印で示す第1収容位置への不用意な移動が防止される。
【0027】
また、第2収容位置から第1収容位置への電池収容体2の移動は、ケース本体1の開放側の第2収容位置に停止している電池収容体2の単2収容部5bまたは単3収容部5cに収納されている2本の単2形電池T2または単3形電池T3を取外し、電池収容体2の把持部9で正面板2aをつまんでケース本体1の負電極18の方向に停止するまで移動させ、その状態で電池収容体2を把持部9によって停止するまで上方に持上げる。これにより、係止部12によるガイドピン14bの係止が解除される。
【0028】
そして、持上げた電池収容体2を把持部9によって負電極18から離間する方向に停止するまで移動させ、第1収容位置に停止させる。このとき電池収容体2はガイド溝11に嵌合するガイドピン14によってケース本体1の底側の方向に押下げられる。これにより、単1形電池T1が収容されたときに兼用負電極18aの兼用正電極7a方向への付勢力によってケース本体1のガイドピン14がガイド溝11の端部に押付けられ、電池収容体2が第1収容位置に固定される。
【0029】
上記した第1収容位置において、単1形電池T1を直列に収容する場合は、図6に示すように、2本の単1形電池T1を電池収容体2の兼用正電極7aとケース本体1の兼用負電極18aとの間の単1収容部5aに収容し、図7に示すように、その外周面の下部をケース本体1の支持台19に支持させた状態で電池カバー3の第1保持部20aで単1形電池T1の外周面の上部を保持し収容する。これにより、単1形電池T1の電池正極は兼用正電極7a、正極端子15、図示しない弾性電極を介して、電池負極は兼用負電極18aを介して、電池収容ケースが設けられた装置の回路基板に接続され、回路基板へ直列の単1形電池T1から電源が供給される。
【0030】
また、第2収容位置において、単2形電池T2を直列に収容する場合は、図8に示すように、2本の単2形電池T2を電池収容体2の兼用正電極7aとケース本体1の兼用負電極18aとの間の単2収容部5bに収容し、図9に示すように、その外周面の上部を電池カバー3の第1保持部20aで保持し収容する。これにより、単2形電池T2の電池正極は兼用正電極7a、正極端子15、図示しない弾性電極を介して、電池負極は兼用負電極18aを介して、電池収容ケースが設けられた装置の回路基板に接続され、回路基板へ直列の単2形電池T2から電源が供給される。
【0031】
また、第2収容位置において、単3形電池T3を直列に収容する場合は、図10に示すように、2本の単3形電池T3を電池収容体2の専用正電極7bとケース本体1の専用負電極18bとの間の単3収容部5cに収容し、図11に示すように、その外周面を抑え部16と電池カバー3の第2保持部20bとで保持し収容する。これにより、単3形電池T3の電池正極は専用正電極7b、正極端子15、図示しない弾性電極を介して、電池負極は専用負電極18bを介して、電池収容ケースが設けられた装置の回路基板に接続され、回路基板へ直列の単3形電池T3から電源が供給される。
【0032】
上記のように、本実施例では、電池収容体2の深さ方向の上部に単1形電池T1を収容する単1収容部5aを配置し、この単1収容部5aの底部に単2形電池T2を収容する単2収容部5bを配置し、単1収容部5aおよび単2収容部5bの側方に隣接して、単3形電池T3を収容する単3収容部5cを配置し、図2に示すように、各収容部5に収容された単1形電池T1と、単2形電池T2と、単3形電池T3とのそれぞれの外周面が重なり合うように構成したので、単1形電池T1の収容時には、それ以外の電池が収容不可能となり、同様に単2形電池T2収容時または単3形電池T3収容時には、他の電池が収容不可能となり、電池形式の異なる収容部5への他の電池形式の電池の誤収容を防止することができる、つまり、正規の収容部5へ、該当する電池形式の電池を迷うことなく正確に収納することができる。
【0033】
また、単1形電池T1を収容する第1収容位置(図4)では、電池収容体2の正電極7とケース本体1の負電極18との間隔が単1形電池T1に合った広い間隔になっているので、単1形電池T1よりも長さの短い単2形電池T2、単3形電池T3のいずれかを収容した場合は、接点である正電極7と負電極18との間で通電できず、電源供給ができないことで使用者に誤収容を容易に認識させることができ、電池形式の異なる収容部5への他の電池形式の電池の誤収容を防止することができる。
【0034】
同様に、単2形電池T2または単3形電池T3を収容する第2収容位置(図5)では、それぞれの電池に対し長さの長い単1形電池T1は電池収容体2へ収容ができず、電池の誤収容を防止することができる。このとき、単3収容部5cには、その円弧凹面の形状および抑え部16によって単2形電池T2は収容できず、また単2収容部5bへ単3形電池T3を収容しようとした場合は、単3形電池T3の外径に対し単2収容部5bの円弧凹面の径が大きいために電池収容体2の単2収容部5bの底部に形成された開口部6内へ単3形電池T3が落ち込むことで、正電極7と負電極18との間で通電できず、電池形式の異なる収容部5への他の電池形式の電池の誤収容を防止することができる。
【0035】
更に、本実施例では、単1形電池T1、単2形電池T2、単3形電池T3を収容するための電池収容体2の位置の切替は、第1収容位置と第2収容位置との2モード2モーションのみで収容準備が完了となり、切替作業における操作性向上と簡素化を図ることができる。
更に、上記した構成の電池収容ケースは、電池の収容スペースとしても非常に無駄が省かれており、シンプル、かつ軽量コンパクトなサイズの電池収容ケースの装置への設置を実現することができる。
【0036】
また、電池収容体2の着脱を不要とした構造であるので、取外し部品の落下やそれに伴う破損および紛失を防止することができる。しかも、電池収容における部品点数の削減とそれに伴う組立作業性の向上を図ることができ、結果として装置の品質向上にも大きく寄与することができる。
【0037】
このように本実施例の電池収容ケースは、電池形式の異なる電池の誤収容を防止する機能を有しているので、通信機器等のエレクトロニクス関連装置だけにとどまらず、音響機器や玩具等の法人、個人等不特定多数の使用者が使用する製品において、サイズの異なった形式の電池を供給電源とし、いずれかの電池形式を1種類だけ直列に収納し使用する場合に、他の電池形式の電池を同時に収容できない機能を求められる、あらゆる製品へ適用が可能である。
【0038】
以上説明したように、本実施例では、単1形、単2形、単3形の各収容部に収容された単1形電池T1と、単2形電池T2と、単3形電池T3のそれぞれの外周面が重なり合うように構成し、単1形電池T1を兼用正電極と兼用負電極との間に収容する第1収容位置では、電池収容体の兼用正電極とケース本体の兼用負電極との間隔を単1形電池T1に合った広い間隔に、単2形または単3形の電池を収容する第2収容位置では、単2形電池T2を収容する兼用正電極と兼用負電極との間隔を単2形電池T2に合った狭い間隔に、単3形電池T3を収容する専用正電極と専用負電極との間隔を単3形電池T3に合った狭い間隔にしたので、異なる電池形式の電池の使用を可能にした電池収容ケースにおいて、電池形式の異なる収容部への他の電池形式の電池の誤収容を防止することができる。
なお、上記実施例においては、電池を2本直列に収容する場合を例に説明したが、収容する電池の本数は、1本であってもよく、3本以上を直列に収容するものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ケース本体
1b 側壁
1c 背面壁
2 電池収容体
2a 正面板
2b 側板
3 電池カバー
5 収容部
5a 単1収容部
5b 単2収容部
5c 単3収容部
6 開口部
7 正電極
7a 兼用正電極
7b 専用正電極
8 突起部
9 把持部
11、11a、11b ガイド溝
12 係止部
14、14a、14b ガイドピン
15 正極端子
16 抑え部
17 切欠き部
18 負電極
18a 兼用負電極
18b 専用負電極
19 支持台
20 保持部
20a 第1保持部
20b 第2保持部
21 フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、前記ケース本体の内部に装着された電池収容体と、を備え、
前記電池収容体は、
前記単1形電池を収容する単1収容部と、
前記単1収容部の底部に配置された前記単2形電池を収容する単2収容部と、
前記単2収容部の側方に隣接して、前記単2収容部に収容された単2形電池の外周面と単3形電池の外周面とが重なり合うように配置された前記単3形電池を収容する単3収容部と、
前記単1形または単2形電池の電池正極を当接させる兼用正電極および前記単3形電池の電池正極を当接させる専用正電極が設けられた正面板と、
前記正面板に直交する2つの側板の、それぞれの前記ケース本体側に形成されたガイド溝と、を有し、
前記ケース本体は、
前記ガイド溝に嵌合するガイドピンが設けられた側壁と、
前記電池収容体の正面板に対向し、前記単1形および単2形電池の電池負極を押圧する兼用負電極および前記単3形電池の電池負極を押圧する専用負電極が設けられた背面壁と、を有し、
前記電池収容体を、前記ガイド溝に嵌合するガイドピンに案内させて、
前記単1形電池を前記兼用正電極と前記兼用負電極との間の前記単1収容部に収容する第1収容位置と、
前記単2形電池を前記兼用正電極と前記兼用負電極との間の前記単2収容部に収容すると共に前記単3形電池を前記専用正電極と前記専用負電極との間の前記単3収容部に収容する第2収容位置とに移動させることを特徴とする電池収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記ケース本体に装着された電池収容体上を覆う電池カバーを設け、
前記電池カバーに、
前記第1収容位置で前記単1収容部に収容された単1形電池の外周面および前記第2収容位置で前記単2収容部に収容された単2形電池の外周面を保持する第1保持部と、
前記第2収容位置で前記単3収容部に収容された単3形電池の外周面を保持する第2保持部と、を設けたことを特徴とする電池収容ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記単2収容部の底部に、前記単3形電池の外形状より大きい開口部を設けたことを特徴とする電池収容ケース。
【請求項4】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記単2収容部の底部に、前記単3形電池の外形状より大きい開口部を設けると共に、
前記開口部に挿入され、前記単1収容部に収容された単1形電池を支持する支持台を設けたことを特徴とする電池収容ケース。
【請求項5】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記単1形電池、前記単2形電池および前記単3形電池のいずれか1種の電池を直列に収容することを特徴とする電池収容ケース。
【請求項6】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記ガイド溝に、係止部を設け、
電池収容体を、前記第2収容位置に移動させたときに、前記係止部で前記ガイドピンを係止することを特徴とする電池収容ケース。
【請求項7】
請求項1に記載の電池収容ケースにおいて、
前記兼用正電極および前記専用正電極に、電池正極より低く、電池負極より高い突起部を設けたことを特徴とする電池収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−178284(P2012−178284A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40891(P2011−40891)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】