説明

電池配線モジュール

【課題】電子部品を実装したフレキシブルプリント基板の適用を可能とした電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子14を有する複数の単電池11が並べられた単電池群12に取り付けられて電極端子14間を接続する電池配線モジュール15であって、電極端子14間を接続する複数のバスバー40が保持された樹脂プロテクタ50Bと、樹脂プロテクタ50Bに保持されかつバスバー40を介して取り込んだ単電池11に関する情報を処理するための電気回路を構成するべく電子部品35,35Aが実装されたフレキシブルプリント基板21Bと、フレキシブルプリント基板21Bに裏張りされた複数の補強板45A,45Bと、が具備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極端子を備えた単電池を複数並べた単電池群に電池配線モジュールが取り付けられた電池モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。この種の電池モジュールは、電気自動車やハイブリッド車等の車両に取り付けられて、車両の駆動源として使用される。
上記の電池配線モジュールは、電極端子間を接続する複数のバスバーと、このバスバーを保持する樹脂プロテクタとを備えており、各バスバーには電線の一方の端部が接続されているとともに、電線の他方の端部はECUに接続されていて、ECUが電線を介して単電池の状態を監視するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−49047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電池配線モジュールは端的には、樹脂プロテクタに対して各バスバーに接続された複数の電線が配線された構造であるため、単電池の個数が増えてバスバーの個数も増大すると、バスバーに接続される電線の本数も増大し、その結果電池配線モジュールが全体として大型化する嫌いがある。
【0005】
そこで、電線に代えて、複数の導電路が形成されたフレキシブルプリント基板によってバスバーとECUとを接続することが提案され、これにより配線密度を向上できるとともに、電池配線モジュールの小型化が期待できる。さらに、フレキシブルプリント基板に形成された導電路に電子部品を接続することにより、ECUの機能を有する回路をフレキシブルプリント基板上に形成することも考えられ、そうすると電池配線モジュールが一層小型化されることが期待される。
【0006】
しかしながら、車両に積載される電池モジュールでは振動を受けることが避けられず、そのため電池配線モジュールにフレキシブルプリント基板を適用した場合には、特に電子部品の実装領域で振動に起因して破壊することが懸念され、実用化の妨げとなっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、電子部品を実装したフレキシブルプリント基板の適用を可能とした電池配線モジュールを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、前記電極端子間を接続する複数のバスバーが保持された樹脂プロテクタと、前記樹脂プロテクタに保持されかつ前記バスバーを介して取り込んだ前記単電池に関する情報を処理するための電気回路を構成するべく電子部品が実装されたフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に裏張りされた複数の補強板と、が具備されたところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、補強板を裏張りすることによりフレキシブルプリント基板における電子部品の実装領域の補強ができ、同実装領域が振動に起因して破壊すること等が防止される。そのため、電池配線モジュールについて電子部品を実装したフレキシブルプリント基板を適用することが可能となり、ひいては一層小型化された電池配線モジュールを得ることができる。
【0009】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記補強板が前記バスバーから一体に延出して形成されている。補強板を別途備えたものと比較すると、部品点数並びに組付工数の削減が図られる。
【0010】
(2)前記補強板は接着剤を介して前記フレキシブルプリント基板の裏面に貼り付けられるようになっており、前記補強板には接着剤の進入を許容する進入孔が開口されている。貼り付け時に接着剤が進入孔に進入することで補強板のずれ止めが図られ、強固に裏張りすることができる。
(3)フレキシブルプリント基板の裏面には電気回路を構成する導電路以外の銅箔が併せて配設されている。電磁的シールド機能を発揮することに有効となる。
【0011】
(4)前記樹脂プロテクタには、前記補強板が載置される補強板載置部が設けられ、この補強板載置部には、前記補強板と前記フレキシブルプリント基板とに整合して開口された貫通孔に貫通するピンが立てられている。補強板とフレキシブルプリント基板とのずれが規制されて、補強板がより強固に裏張りされる。
【0012】
(5)前記樹脂プロテクタには、前記補強板載置部の上面を覆うカバーが開閉可能に設けられ、このカバーの裏面には、前記補強板載置部から立てられた前記ピンの突出端が嵌合される嵌合孔が形成されている。ピンを利用してカバーを正規の閉鎖状態により確実に保持することができる。
【0013】
(6)前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板が裏張りされた領域の間ごとにヒンジ部が設けられた形態で形成され、前記樹脂プロテクタは、複数に分割された連結ユニットが前記フレキシブルプリント基板を介して一連に繋がって構成されている。フレキシブルプリント基板のヒンジ部が伸縮して隣り合う連結ユニットの間隔が変化しつつ樹脂プロテクタの長さが調整され、単電池群との取付誤差が吸収される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池配線モジュールについて電子部品を実装したフレキシブルプリント基板を適用することが可能となり、ひいては一層小型化された電池配線モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の電池モジュールの分解斜視図
【図2】同平面図
【図3】FPCの斜視図
【図4】同平面図
【図5】導電路等の配線形態を示す概略図
【図6】2穴バスバーの斜視図
【図7】同平面図
【図8】1穴バスバーの斜視図
【図9】同平面図
【図10】バスバー並びに電子部品が装着されたFPCの斜視図
【図11】同平面図
【図12】同拡大側面図
【図13】連結ユニットの斜視図
【図14】同平面図
【図15】同側面図
【図16】バスバー等が装着されたFPCが樹脂プロテクタに収容された状態の平面図
【図17】同底面図
【図18】同表側から視た斜視図
【図19】同裏側から見た斜視図
【図20】電池配線モジュールの平面図
【図21】同表側から視た斜視図
【図22】同裏側から見た斜視図
【図23】同拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図23に基づいて説明する。本実施形態に係る電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。電池モジュール10は、図1に示すように、複数(本実施形態では14個)の単電池11が横並びに配置された単電池群12と、単電池群12に取り付けられて複数の単電池11を接続する電池配線モジュール15とから構成されている。
【0017】
(単電池群12)
図1に示すように、単電池11は、扁平な略直方体形状をなしており、その内部には図示しない発電要素が収容されている。単電池11の上面には、両端部寄りの位置に、一対の電極端子14が上方に突出して形成されている。一対の電極端子14の一方は正極であり、他方は負極である。電極端子14は、雄ねじ状に形成されている。各単電池11の正負の向きは、互いに隣り合う単電池11において逆向きになっており、これにより互いに異極の電極端子14が隣り合うように構成されている。電極端子14は電池配線モジュール15に収容されたバスバー40を挟んでナット(図示せず)で締め付けられる。複数の単電池11は、詳しくは図示しないが、保持板等の公知の固定手段により固定されている。
【0018】
(電池配線モジュール15)
図2に示すように、単電池群12の上面には、単電池11の並び方向に沿って細長い電池配線モジュール15が配置されている。
電池配線モジュール15は大まかには、電極端子14間を接続する複数のバスバー40が保持された樹脂プロテクタ50と、樹脂プロテクタ50に保持されたフレキシブルプリント基板20(以下、単にFPC20という。)とを備えている。後記するように、樹脂プロテクタ50は2本が互いに平行に配される一方、FPC20はU字形をなして形成されている。
【0019】
(FPC20)
先にFPC20を説明する。FPC20は、図3及び図4に示すように、ポリイミドフィルムや液晶状フィルム等からなる絶縁性のベースフィルムの一面、または両面にプリント配線技術により導電路31(図5参照)が形成された構造である。
FPC20は全体としては、2列のFPC帯21の一端部同士を連結部22で連結してなるU字形に形成されている。
【0020】
2列のFPC帯21のうち第1FPC帯21A(図4の上側)は、裏面のみに導電路31が形成されているのに対して、第2FPC帯21B(同図の下側)は裏面と表面との両面に導電路31が形成されている。したがって、第2FPC帯21Bの表面が、電子部品35等が実装される実装面となっている。
【0021】
第1FPC帯21Aは、長さ方向に沿って7つの単位領域24Aに等分されている。各単位領域24Aの長さは、隣り合う単電池11を2個を合わせた厚さにほぼ匹敵する。各単位領域24Aの間には、余長吸収機能を果たすヒンジ部25が、下向きに膨出形成されている。
【0022】
第2FPC帯21Bは、長さ方向に沿って6つの単位領域に分割されており、ここで中央部の4つの単位領域24Bは、第1FPC帯21Aの単位領域24Aと同じく単電池11の2個分の厚さに相当する長さを有するのに対して、両端の2個の単位領域24Cは、単電池11の3個分の厚さに相当する長さを有している。各単位領域24B,24Cの間には、同じく余長吸収機能を果たすヒンジ部25が、下向きに膨出形成されている。
第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bとでは、それぞれの単位領域24Aと24B,24Cが、単電池11の1個分ピッチがずれて、千鳥状に配されている。
以下において、単位領域24A,24B及び24Cについて、共通の説明を行う場合は、単位領域24として説明する場合がある。
【0023】
第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bの裏面には、詳しくは後記するように、バスバー40に一体形成された補強板45が、各単位領域24ごとに裏張りされるようになっている。バスバー40は単電池11の電圧に関する情報を取り込む検知端子として併せて機能するようになっており、そのため第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bの裏面には、図5に概略的に示すように、各単位領域24ごとにランド30と、同ランド30から導出された導電路31が形成されている。
なお、各単位領域24には、同図に示すように、ランド30と同ランド30と接続された導電路31以外に、複数本の銅箔32が、上記のランド30並びに導電路31とは、絶縁された形態で形成されている。また、ヒンジ部25にも、導電路31以外に銅箔32が形成されている。
【0024】
第2FPC帯21Bの表面には、図10に参照して示すように、例えば各単位領域24B,24Cごとに、電子部品35がリフロー半田付け等の公知の手法により導電路31に対して接続されている。電子部品35にはCPU35Aも含まれ、同じく導電路31に接続されている。
これによりFPC20には、バスバー40を介して取り込んだ単電池11の電圧に関する情報をCPU35Aで演算処理する電圧検知回路が構成されるようになっている。第2FPC帯21Bの自由端には、上記CPU35Aにおける演算信号を外部に送出するべく外部コネクタ(図示せず)と接続されるコネクタ部36が取り付けられるようになっている。
【0025】
第2FPC帯21Bにおける中央部の1個の単位領域24Bと、両端の2個の単位領域24Cとには、その内側縁から突出するようにしてサーミスタ取付片37が形成されている。サーミスタ取付片37は、単位領域24の内側縁に沿って形成された細片が直角姿勢に曲げ形成されたのち、その先端部にU字形に曲げ形成された取付部37Aが設けられた形状であって、取付部37Aの下面にサーミスタ38が装着されるようになっている(図12参照)。同サーミスタ38は対応する単電池11の温度を検出し、その温度検知信号を導電路31を介してCPU35Aに送出するように機能する。
【0026】
(バスバー40)
次に、隣り合う単電池11の電極端子14間を接続するバスバー40について説明する。バスバー40は、一部既述したように、単電池11群側の電圧を検知する検知端子として併せて機能するものであり、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属板をプレス加工して形成され、13個の2穴バスバー40Aと2個の1穴バスバー40Bとが準備される。
【0027】
2穴バスバー40Aは、図6及び図7に示すように、単電池11の電極端子14が挿通される2個の端子挿通孔42を所定間隔を開けて開口した長寸の平面長方形をなす本体部41Aを備えている。一方、1穴バスバー40Bは、図8及び図9に示すように、単電池11の電極端子14が挿通される単一の端子挿通孔42を開口した長寸の平面長方形をなす本体部41Bを備えている。
【0028】
さて、各バスバー40A,40Bには、補強板45A,45Bが一体形成されている。2穴バスバー40Aを例に採ると、本体部41Aの一側縁側に垂直部43Aを介して補強板45Aが一段上がった段差状に形成されている。補強板45Aは、第1FPC帯21Aの単位領域24Aと第1FPC帯21Bの単位領域24Bにおける裏面のほぼ全面に当たる平面長方形に形成されている。なお、第2FPC帯21Bの両端の単位領域24Cでは、2/3の領域に当たるようになっている。
1穴バスバー40Bでは、補強板45Bは同じく本体部41Bの一側縁側に垂直部43Bを介して一段上がった段差状に形成されている。1穴バスバー40Bの補強板45Bは、本体部41Bと同様に短寸に形成され、第2FPC帯21Bの両端の単位領域24Cにおける残りの1/3の領域に当たるようになっている。
【0029】
両バスバー40A,40Bの補強板45A,45Bにおけるほぼ四隅に対応する位置には、位置決め用の貫通孔46が形成されている。なお、FPC20の各単位領域24にも、上記した補強板45A,45Bの貫通孔46と整合した貫通孔34が形成されている。
両バスバー40A,40Bの補強板45A,45Bにおける周縁部には、後記する接着剤の進入を許容する進入孔47が適宜に開口されている。
【0030】
(樹脂プロテクタ50)
樹脂プロテクタ50は、一部既述したように、FPC20の2辺を構成する第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bとに対応して、2本が互いに平行に配されている。
一方(図2の上側)の樹脂プロテクタ50A(以下、第1樹脂プロテクタ50Aという。)は、第1FPC帯21Aの単位領域24Aと対応するようにして、7個の連結ユニット51Aから構成されている。
他方(図2の下側)の樹脂プロテクタ50B(以下、第2樹脂プロテクタ50Bという。)は、第2FPC帯21Bの単位領域24B,24Cと対応するようにして、6個の連結ユニットから構成されており、ここで中央部の4個の連結ユニット51Bは、上記した第1樹脂プロテクタ50Aを構成する連結ユニット51Aと長さが同じであるのに対して、両端の2個の連結ユニット51C,51Dは、単位領域24Cに対応して全体として長いものに形成されている。
【0031】
連結ユニットの基本的な構造を、第2樹脂プロテクタ50Bの中央部に配される連結ユニット51Bを例に採って説明する。
連結ユニット51Bは、図13ないし図15に示すように、2穴バスバー40Aにおける本体部41Aが収容される本体部収容部53Bと、補強板45Aが載置される補強板載置部54Bとが並んで形成されているとともに、補強板載置部54の側縁には、補強板載置部54の上面を覆うカバー55Bがヒンジ56を介して揺動開閉可能に形成されている。
【0032】
本体部収容部53Bは、2穴バスバー40Aの本体部41Aを上方から緊密に挿入可能な箱形に形成されており、同本体部収容部53Bの底面には、本体部41Aにおける2個の端子挿通孔42の形成位置を外部に開口するべく2個の窓孔57が形成されている。本体部収容部53Bにおける補強板載置部54Bと反対側の側壁59Xには、本体部41Aの一側縁における長さ方向の中央部に係止して抜け止めする係止爪58が形成されている。
【0033】
補強板載置部54Bは、上記した本体部収容部53Bにおける側壁59Yの略中央高さ位置から張り出すようにして形成されている。したがって当該側壁59Yの上部側は切除されている。補強板載置部54Bの四隅にはピン60が立てられており、同ピン60が、上記した補強板45A,45BとFPC20とに整合して開口された貫通孔46,34に貫通可能となっている。
補強板載置部54Bの前後の端縁のうち前縁(図14の下側)には、一対の連結片62が突出形成されているとともに、後縁には、同連結片62を摺動可能に受け入れる受け部63が形成されている。
【0034】
カバー55Bは、補強板載置部54Bの上面の全面を覆うことが可能な大きさに形成されている。カバー55Bの裏面には、その中央部に、FPC20の表面に実装された電子部品35を嵌めて逃がす浅い逃がし凹部65が形成されており、その回りに押さえリブ66が形成されている。
カバー55Bの揺動端側の端縁における両端には、一対のロック片67が裏側に突出して形成されている一方、上記した本体部収容部53Bの側壁59Yにおける両端部には、ロック片67が弾性的に係止するロック部68が設けられている。また、カバー55Bの裏面の四隅には、補強板載置部54の四隅に立てられたピン60の先端が嵌る嵌合孔69が形成されている。
【0035】
図18に示すように、第2樹脂プロテクタ50Bの自由端側に配される連結ユニット51Cは、本体部収容部53Cが、2穴バスバー40Aにおける本体部41Aと、1穴バスバー40Bの本体部41Bとを隔絶して収容可能な形状となっている。補強板載置部54Cは、第2FPC帯21Bにおける自由端側の単位領域24Cに裏張りされた2穴バスバー40Aの補強板45Aと1穴バスバー40Bの補強板45Bが載置可能な形状に形成され、さらにコネクタ部36が設けられた第2FPC帯21Bの自由端が載置可能なコネクタ部載置部70が延出形成されている。
カバー55Cは、補強板載置部54Cの上面の全面を覆うことが可能な大きさに形成されているとともに、上記のコネクタ部36を覆う保護カバー71が一体形成されている。
【0036】
第2樹脂プロテクタ50Bの連結端側に配される連結ユニット51Dは、本体部収容部53Dが、2穴バスバー40Aにおける本体部41Aと、1穴バスバー40Bの本体部41Bとを隔絶して収容可能な形状となっている一方、補強板載置部54Dは、第2FPC帯21Bにおける連結端側の単位領域24Cに裏張りされた2穴バスバー40Aの補強板45Aと1穴バスバー40Bの補強板45Bが載置可能な形状であって、かつ第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bとの連結部22の端部が載置される連結部載置部72が延出形成されている。 カバー55Dは、補強板載置部54Dから連結部載置部72に亘る上面の全面を覆うことが可能な大きさに形成されている。
両連結ユニット51C,51Dともに、その他の形状については、上記した連結ユニット51Bと同様である。
【0037】
第1樹脂プロテクタ50Aを構成する7個の連結ユニット51Aは、本体部収容部53A、補強板載置部54A及びカバー55Aを備える等の基本的な構造は、上記した第2樹脂プロテクタ50Bの中央部の連結ユニット51Bと同様であり、相違する点は、カバー55Aの裏面において、逃がし凹部が形成されておらず、裏面のほぼ全面にわたって押さえリブ66が形成されている。
【0038】
なお、各連結ユニット51A〜51Dにおける本体部収容部53A〜53Dの外面には、FPC20に一体形成されたサーミスタ取付片37の取付部37Aを保持する保持部75が形成されており、サーミスタ取付片37の基部側を、本体部収容部53の側面若しくは本体部収容部53内に形成された取付溝76に挿通しつつ、先端の取付部37Aが保持部75に嵌められて保持されるようになっている。
【0039】
(組立手順)
本実施形態に係る電池モジュール10の組立手順の一例を説明する。
図1に示すように、図示14個の単電池11を、隣り合う単電池11において正負が逆向きとなった形態で重ねて並べることにより、単電池群12が形成される。
一方、図3に示すように、第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bとを連結部22で連結したU字形をなすFPC20が形成され、図10に示すように、第2FPC帯21Bの表面に対し、CPU35Aを含む電子部品35をリフロー半田付けにより実装する。併せてコネクタ部36も装着する。またサーミスタ取付片37の取付部37Aとなる部分にサーミスタ38が装着され、そののち曲げ形成されて所定形状のサーミスタ取付片37が形成される。
【0040】
上記のように電子部品35等が実装されたFPC20に対して、補強板45A,45Bが裏張りされる。第1FPC帯21Aでは、7つの単位領域24Aの裏面に対して、それぞれ2穴バスバー40Aの補強板45Aが裏張りされ、より詳細には、単位領域24Aの裏面全面に導電性接着剤が塗布されたのち、2穴バスバー40Aの本体部41Aが内側(第2FPC帯21B側)を向いた姿勢で、補強板45Aが、貫通孔46,34を整合させつつ対応する単位領域24Aの裏面に押し付けられることで貼り付けられる。
【0041】
第2FPC帯21Bでは、その中央の4つの単位領域24Bの裏面については、2穴バスバー40Aの補強板45Aが、上記と同じ要領により導電性接着剤を介して全面に貼り付けられる。両端の単位領域24Cの裏面には、2穴バスバー40Aの補強板45Aと1穴バスバー40Bの補強板45Bとが、間隔を開けて内外に並んだ形態で、同じく導電性接着剤を介して全面に貼り付けられる。
以上により、バスバー40A,40Bの補強板45A,45Bで裏張りされ、言い換えるとバスバー40A,40Bを一体的に取り付けたFPC20が形成される。
【0042】
一方、7個の連結ユニット51Aが、連結片62を受け部63に挿通しつつ繋がれることで第1樹脂プロテクタ50Aが形成され、また、連結ユニット51C,51Dの間に4個の連結ユニット51Bを配して、同様に連結片62を受け部63に挿通しつつ繋ぐことによって第2樹脂プロテクタ50Bが形成される。この第1樹脂プロテクタ50Aと第2樹脂プロテクタ50Bとが、所定間隔を開けて互いに平行に配される。
【0043】
この状態から、FPC20が樹脂プロテクタ50A,50Bに対して収容される。詳細には、FPC20に装着されたバスバー40A,40Bの本体部41A,41Bが対応する連結ユニット51A〜51Dの本体部収容部53A〜53Dの底部まで押し込まれ、係止爪58により抜け止めされる。それに併せて、同バスバー40A,40Bの補強板45A,45B並びにその補強板45A,45Bが裏張りされたFPC20が、補強板載置部54に立てられたピン60を貫通孔46,34に貫通させつつ補強板載置部54A〜54D上に載置される。
【0044】
すべてのバスバー40A,40Bの連結ユニット51A〜51Dへの収容が完了したら、各連結ユニット51A〜51Dに設けられたカバー55A〜55Dをヒンジ56を中心として揺動させて閉じる。カバー55A〜55Dは、裏面の嵌合孔69にピン60の先端を嵌めて位置合わせされつつ閉じられ、正規に閉じられたところで、ロック片67が相手のロック部68に係止して閉鎖状態にロックされる。
これにより、第1FPC帯21Aと第2FPC帯21Bの表面、並びにコネクタ部36の上面が覆われた形態の完成品としての電池配線モジュール15が形成される。
【0045】
以上のように形成された電池配線モジュール15が、図1に示すように、単電池群12の上面の所定位置に被せられ、2穴バスバー40A及び1穴バスバー40Bの端子挿通孔42に、単電池11の対応する電極端子14をそれぞれ挿通し、各電極端子14にナットを螺合させて締め付けることにより、電極端子14とバスバー40A,40Bとが接続される。これを以て電池モジュール10が形成されることになる。
なお、このときFPC20に形成されたヒンジ部25が伸縮して隣り合う連結ユニット51A〜51Dの間隔が変化しつつ樹脂プロテクタ50A,50Bの長さが調整され、単電池群12との取付誤差が吸収される。
【0046】
(本実施形態の作用及び効果)
本実施形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
補強板45A,45Bを裏張りすることによりFPC20における電子部品35の実装領域の補強ができ、同実装領域が振動に起因して破壊すること等が防止される。そのため、電池配線モジュール15について電子部品35を実装したFPC20を適用することが可能となり、ひいては一層小型化された電池配線モジュール15を得ることができる。
補強板45A,45Bは、バスバー40A,40Bから一体に延出して形成しているから、補強板を別途備えたものと比較すると、部品点数並びに組付工数の削減が図られ、ひいては安価に対応することができる。
【0047】
FPC20に対して補強板45A,45Bを裏張りするに当たっては、導電性接着剤により補強板45A,45Bを貼り付けるようにしているが、補強板45A,45Bには適宜に進入孔47が開口されていて、貼り付け時に導電性接着剤が進入孔47に進入することで補強板45A、45Bのずれ止めが図られ、強固に裏張りすることができる。
なお、FPC20の裏面には、導電路31以外に銅箔32が予め配されているから、電磁的シールド機能を発揮することに有効となる。
【0048】
FPC20に補強板45A,45Bが裏張りされた部分では、同補強板45A,45Bが連結ユニット51A〜51Dの補強板載置部54A〜54Dに載置された際に、補強板載置部54A〜54Dに立てられたピン60が、補強板45A,45BとFPC20とに整合して開口された貫通孔46,34に貫通される構造となっている。これにより、補強板45A,45BとFPC20との板面に沿った方向のずれが規制され、補強板45A,45Bがより強固に裏張りされる。
カバー55A〜55Dの裏面には、ピン60の突出端が嵌合される嵌合孔69が形成されており、そのため、ピン60を利用してカバー55A〜55Dを正規の閉鎖状態により確実に保持することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)FPCに補強板を裏張りする手段して、上記実施形態では導電性接着剤で接着する場合を例示したが、導電性を有しない接着剤で接着したり、あるいはリフロー半田付けで貼り付ける等、他の貼着手段を採用しても良い。
(2)上記実施形態では、電子部品を実装するのをFPCのうちの一方のFPC帯に集約したから、もう一方のFPC帯については補強板を裏張りすることを割愛してもよい。
(3)電子部品の実装については、FPCを構成する両FPC帯に亘って行ってもよく、そのようなものにも本発明は同様に適用することができる。
【0050】
(4)FPCに裏張りする補強板はバスバーとは別体として備えてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(5)上記実施形態に示した電池配線モジュールの組付手順はあくまでも一例であって、例えばFPCにバスバーを装着したのちに電子部品等を実装する等、適宜に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
10…電池モジュール
11…単電池
12…単電池群
14…電極端子
15…電池配線モジュール
20…FPC(フレキシブルプリント基板)
21B…第2FPC帯
24B,24C…単位領域
25…ヒンジ部
31…導電路
34…貫通孔
35…電子部品
35A…CPU
40,40A,40B…バスバー
41A,41B…本体部
45A,45B…補強板
46…貫通孔
47…進入孔
50,50A,50B…樹脂プロテクタ
51B,51C,51D…連結ユニット
54B,54C,54D…補強板載置部
55B,55C,55D…カバー
60…ピン
69…嵌合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、
前記電極端子間を接続する複数のバスバーが保持された樹脂プロテクタと、
前記樹脂プロテクタに保持されかつ前記バスバーを介して取り込んだ前記単電池に関する情報を処理するための電気回路を構成するべく電子部品が実装されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に裏張りされた複数の補強板と、
が具備されたことを特徴とする電池配線モジュール。
【請求項2】
前記補強板が前記バスバーから一体に延出して形成されていることを特徴とする請求項1記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記補強板は接着剤を介して前記フレキシブルプリント基板の裏面に貼り付けられるようになっており、前記補強板には接着剤の進入を許容する進入孔が開口されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板の裏面には、電気回路を構成する導電路以外の銅箔が併せて配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記樹脂プロテクタには、前記補強板が載置される補強板載置部が設けられ、この補強板載置部には、前記補強板と前記フレキシブルプリント基板とに整合して開口された貫通孔に貫通するピンが立てられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記樹脂プロテクタには、前記補強板載置部の上面を覆うカバーが開閉可能に設けられ、このカバーの裏面には、前記補強板載置部から立てられた前記ピンの突出端が嵌合される嵌合孔が形成されていることを特徴とする請求項5記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板が裏張りされた領域の間ごとにヒンジ部が設けられた形態で形成され、前記樹脂プロテクタは、複数に分割された連結ユニットが前記フレキシブルプリント基板を介して一連に繋がって構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−45508(P2013−45508A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180399(P2011−180399)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】