電池
【課題】外装体の内部に電池要素が収納され、正極端子および負極端子が外装体から引き出された構造を有する電池であって、封止性が良好な外装体を備えた信頼性の高い電池、さらには、生産性に優れ、経済的に製造することが可能な電池を提供する。
【解決手段】電池要素が収納され、正極端子および負極端子40bが引き出される外装体20が、一対のラミネートシート20a,20bを接合して形成され、一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納する電池要素収納凹部21a,21bと、正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための端子引き出し凹部22a,22bとを備え、前記電池要素収納凹部と、端子引き出し凹部とは予め加工により形成されているような構成とする。
また、一対のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートを用いる。
【解決手段】電池要素が収納され、正極端子および負極端子40bが引き出される外装体20が、一対のラミネートシート20a,20bを接合して形成され、一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納する電池要素収納凹部21a,21bと、正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための端子引き出し凹部22a,22bとを備え、前記電池要素収納凹部と、端子引き出し凹部とは予め加工により形成されているような構成とする。
また、一対のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートを用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、リチウムイオン二次電池などの電池に関し、詳しくは、電池要素が外装体内に収納され、正極端子および負極端子が外部に引き出された構造を有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータなどの携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池などに代表される二次電池が広く用いられるようになっている。
【0003】
ところで、このような二次電池(以下、単に「電池」ともいう)としては、セパレータを介して複数の正極部材と負極部材とが積層された積層体を外装体(筐体)内に収納してなる構成のものが広く用いられている。
【0004】
そのような電池の1つとして、図9〜13に示すように、1枚のラミネートシート71を折り曲げて電池の外装体60とし、電池要素70を収納する部分と、正極端子58および負極端子59を収納する(引き出す)部分には、絞り加工が施された電池が提案されている(特許文献1、図5〜9など参照)。
【0005】
この電池は、薄形のリチウムイオン二次電池であり、図9,10に示すように、多孔質金属板からなる集電体51の両面に正極層52が担持された正極と、多孔質金属板からなる集電体53の両面に負極層54が担持された負極と、正極層52、負極層54の間に配置されたゲル状電解質層55とを有する積層体(電池要素)70を備えている。
【0006】
そして、正極層52を担持する集電体51は、帯状正極端子56を介して正極端子58に接続され、負極層54を担持する集電体53は、帯状負極端子57を介して負極端子59に接続されている。
【0007】
また、外装体60(図9)は、図11〜13に示すように、例えば、内面に熱融着樹脂層が配され、かつ内部に金属層が配設された、ガスバリア性を有する積層シート(ラミネートシート)71から形成されており、容器部61と、蓋部62とを備えている。
【0008】
この外装体60は、一枚のラミネートシート71の容器部61となる領域に、電池要素70が収納されるべき凹部(電池要素収納凹部)65を形成するとともに、容器部61となる領域の端部には、正極端子58と負極端子59を通過させるための矩形状凹部(端子引き出し凹部)63,64を、それぞれ絞り加工によって形成しておき、電池要素を凹部63に収納した後、ラミネートシート71を折り返して、容器部61と蓋部62の周縁部を溶着することにより形成されている。
【0009】
ところで、このような電池においては、その容量が大きくなるに伴い電流も大きくなることから、正極端子58および負極端子59の厚みを厚くすることが必要になる。また、大きな電池容量を得ようとすると積層数が増加するため、電池要素70の厚みも厚くなる。
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1の電池の場合、外装体60を構成する1枚のラミネートシート71の、容器部61となる領域にのみ、絞り加工により、電池要素70を収納する凹部(電池要素収納凹部)65と、正極端子58と負極端子59を通過させるための矩形状凹部(端子引き出し凹部)63,64を形成するようにしている。そのため、電池要素や、正極端子および負極端子の厚みを厚くしようとすると、ラミネートシート71の容器部61となる領域にのみ深い絞り加工を施す(電池要素収納凹部65と、端子引き出し凹部63,64を形成する)ことが必要になる。その結果、ラミネートシート71の加工時に過度に大きな応力が加わったり、容器部61と蓋部62とが大きく異なる形状となったりすることで、外装体60の強度や、容器部61と蓋部62の周縁部を溶着した場合における密着性などに依存する、外装体の封止信頼性が低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−144691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、外装体の内部に電池要素が収納され、正極端子および負極端子が外装体から引き出された構造を有する電池において、確実な封止性能を有する外装体を備えた信頼性の高い電池、さらには、生産性に優れ、経済的に製造することが可能な電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の電池は、
正極部材と負極部材とをセパレータを介して互いに対向するように配置してなる集合体と、電解質とを含む電池要素が、外装体の内部に収納され、かつ、正極部材に接続された正極端子と、負極部材に接続された負極端子とが、前記外装体の外部に引き出された構造を有する電池であって、
前記外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されているとともに、
前記一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納するための所定の深さを有する電池要素収納凹部と、前記正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための所定の深さを有する端子引き出し凹部とを備え、
前記一対のラミネートシートの前記電池要素収納凹部と、前記端子引き出し凹部とは、いずれも絞り加工により形成されていること
を特徴としている。
【0014】
また、本発明の電池においては、請求項2のように、前記一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の電池においては、請求項3のように、前記一対のラミネートシートとして、別体の2枚のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の電池においては、請求項4のように、前記2枚のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電池においては、外装体を、一対のラミネートシートを接合することにより形成するとともに、一対のラミネートシートのそれぞれに、予め加工により電池要素収納凹部と端子引き出し凹部とを形成しているので、電池要素や、正極端子および負極端子の厚みが厚い場合にも、1枚のラミネートシートにのみ加工を施して、電池要素収納凹部と端子引き出し凹部を形成する場合に比べて、加工による各ラミネートシートの変形量が少なくなり、ラミネートシートに加わる応力を小さくすることが可能になるとともに、一対のラミネートシートの形状も近似したものとなり、両者を接合することにより形成される外装体の封止性を向上させることができる。
【0018】
なお、本発明においては、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を、本発明における一対のラミネートシートとして機能させるように構成することも可能である。
すなわち、本発明において、「外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されている」とは、外装体が、別体として形成された2枚のラミネートシートを接合することにより形成されている場合と、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を互いに対向させて接合することにより形成されている場合の両方を含む概念である。
【0019】
また、本発明の電池の場合、それぞれの端子引き出し凹部が近似した形状となることにより、一対のラミネートシートを熱溶着する際に、正極端子および負極端子に加わる圧力も同程度にすることができる。熱溶着時、ラミネートシート内側の接着層や、正極端子および負極端子周囲に通常配設されることになるシーラント層は溶融して、この部分に加わる圧力で流動するが、この圧力が同程度になることから、接着層やシーラント層が波打ったり、偏ったりすることがなく、密着力が低い部分が形成されにくくなる。これにより、正極端子および負極端子付近の封止性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明において、請求項2のように、一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートを用いるようにした場合、電池要素収納部の深さが同じで、端子引き出し凹部の深さが同じになる。その結果、ラミネートシートに凹部を形成するための絞り加工を施す際にラミネートシートに加わる応力を、それぞれ同等程度に振り分けることができるので、個々のラミネートシートに加わる応力をより小さくし、かつ、一対のラミネートシートの形状をより近似したものとすることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、一対のラミネートシートに設けられる端子引き出し凹部が対称形状なので、正極端子および負極端子周囲に加わる圧力がより均等化されるので、この部分における封止性をより向上させることができる。
【0021】
また、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を一対のラミネートシートとした場合、予め加工により電池要素収納凹部と端子引き出し凹部とを形成する際に、一対の領域がつながっている部分が両方の領域から引っ張られてラミネートシートの樹脂層と金属層が剥離する恐れがあるが、請求項3のように、一対のラミネートシートを別体で構成した場合には、このような問題が生じることはない。
【0022】
また、本発明において、請求項4のように、一対のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートを用いるようにした場合、所定の絞り加工が施された1種類のラミネートシートを用意するだけで済むため、封止信頼性が高く、生産性に優れ、経済的に製造することが可能な電池を提供することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例1の電池を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例1の電池を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例1の電池の構成を示す要部正面断面図である。
【図5】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を示す分解正面断面図である。
【図6】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を示す分解側面断面図である。
【図7】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を構成する一対のラミネートシートの一方を示す平面図である。
【図8】本発明の実施例1の電池の変形例を示す平面図である。
【図9】従来の電池(リチウムイオン二次電池)の構成を示す断面図である。
【図10】図9の電池の部分切欠上面図である。
【図11】図9の電池の外装体の構成を示す平面図である。
【図12】図11の外装体を長手方向に沿う方向に切断した際の断面図である。
【図13】図11の外装材を端子引き出し凹部が配設された端子部側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0025】
図1〜4は本発明の一実施例にかかる電池(この実施例ではリチウムイオン二次電池)を示す図である。
なお、図1,2,3はそれぞれ、本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池を示す正面図、平面図、側面図であり、また、図4は、その内部構成を示す要部正面断面図である。
【0026】
本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池(リチウムイオン二次電池)100は、図1〜4に示すように、電池要素10(図4)と、電池要素10を収納して封止する外装体20と、複数の集電部材41(図4)を介して電池要素10に接続され、外装体20の周縁部から外部に導出された正極端子40aおよび負極端子40bを備えている。
【0027】
そして、電池要素10は、図4に示すように、正極活物質と集電体とを有する複数の正極部材(正極層)11と、負極活物質と集電体とを有する複数の負極部材(負極層)12と、セパレータ13と、電解質として非水電解液14とを含み、複数の正極部材11と複数の負極部材12とがセパレータ13を介して交互に積層され積層体(集合体)となっている。なお、ここでは電池要素10が積層構造のものを例にとって説明しているが、各層の積層数や積層態様などには特別の制約はなく、電池として機能するものである範囲において種々の変形を加えることができる。例えば、正極部材と負極部材とがセパレータを介して巻回された巻回構造の集合体でも適用できる。
【0028】
また、この実施例1では、正極部材(正極層)11として、例えば、正極活物質であるLiCoO2と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電助剤であるアセチレンブラックとを含有する正極合剤を、アルミニウム箔からなる集電体の表面上に塗布、乾燥して、正極活物質層を集電体の表面上に形成することにより形成された板状の正極部材が用いられている。なお、集電体としてのアルミニウム箔の端部には、正極合剤を塗布せずに、アルミニウム箔の表面が露出した部分が設けられている。
【0029】
また、負極部材(負極層)12として、例えば、負極活物質であるグラファイト系材料と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを含有する負極合剤を、銅箔からなる集電体の表面上に塗布、乾燥して、負極活物質層を集電体の表面上に形成することにより形成された板状の負極部材が用いられている。なお、集電体としての銅箔の端部には、負極合剤を塗布せずに、銅箔の表面が露出した部分が設けられている。
【0030】
また、セパレータ13としては、微孔性ポリエチレンフィルムからなるシート状のセパレータが用いられている。
【0031】
また、電解質としての非水電解液14には、支持塩を非水溶媒に溶解して調製したものが用いられている。この実施例1では、非水電解液として、LiPF6を、炭酸プロピレンと炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを体積比で5:25:70の割合で混合した非水溶媒に、1.0mol/Lの濃度となるように溶解したものが用いられている。なお、非水溶媒や支持塩はこれに限らず、従来の電池に用いられる材料を限定なく用いることができる。また、電解質は、ゲル状または固体状の電解質であってもよい。
【0032】
さらに、図4に示すように、複数の負極部材12は複数の集電部材41を介して負極端子40bに接続されており、複数の正極部材11も、図4には示されていないが、負極部材12の場合と同様に、集電部材を介して正極端子40a(図1)に接続されている。
【0033】
そして、この実施例の電池100においては、図5〜7に示すように、外装体20が、一対(2枚)のラミネートシート20a,20bをその周縁部において互いに接合することにより形成されている。
【0034】
外装体20を構成するラミネートシート20a,20bとしては、樹脂からなる外側の保護層と、アルミニウムからなる中間のガスバリア層と、樹脂からなる内側の接着層とを積層して一体化したラミネートシート(アルミニウムラミネートフィルム)が用いられている。なお、外装体20として用いられるラミネートシートの種類は、上述のようなアルミニウムラミネートフィルムに限らず、他の構成のものも同様に用いることができる。
【0035】
また、この実施例の電池100において、一対のラミネートシート20a,20bにはそれぞれ、図5〜7に示すように、電池要素10(図4)を収納するための電池要素収納凹部21a,21bと、正極端子40aおよび負極端子40b(図1,2)を外部に引き出すための端子引き出し凹部22a,22bとを備えている。これらの電池要素収納凹部21a,21b、および、端子引き出し凹部22a,22bは、いずれも、絞り加工により形成されている。
【0036】
そして、一対のラミネートシート20a,20bの電池要素収納凹部21a,21bはそれぞれ同じ深さとなるように構成されており、また、一対のラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bもそれぞれ同じ深さとなるように構成されている。すなわち、この実施例では、同じ形状、寸法を有し、面対称である一対のラミネートシート20a,20bとして、同じラミネートシートを組み合わせた一対のラミネートシートが用いられている。
【0037】
また、図1〜4にその構成を示した上述の電池(リチウムイオン二次電池)100は、各部の寸法として、
(a)電池要素10(=電池要素収納凹部21a,21b)の平面寸法が、短辺:約150mm、長辺:約200mm、
(b)電池要素10の厚みが約10mm、
(c)正極端子40a、負極端子40bが、厚み:0.6mm、幅:60mm
の寸法を有するものである。
【0038】
次に、この電池(リチウムイオン二次電池)100の製造方法について説明する。
(1)まず、複数の正極部材11と複数の負極部材12とがセパレータ13を介して交互に積層された構造を有する積層体10aを形成する。
【0039】
(2)ラミネートシートを絞り加工して、電池要素収納凹部21a,21bと、端子引き出し凹部22a,22bを備えた、同じ形状、寸法を有する面対称の一対のラミネートシート20a,20bを準備する。
【0040】
(3)それから、上記積層体10aがラミネートシート20a,20bの電池要素収納凹部21a,21bからなる空間(電池要素収納空間)に収納され、正極端子40aおよび負極端子40bがラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bから形成される空間を経て外部に引き出されるような態様で、一対のラミネートシート20a,20bからなる外装体20に積層体10aを収納する。
なお、正極端子40aおよび負極端子40bの、ラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bと接する部分には、ポリプロピレンなどの熱溶着性樹脂からなるシーラント層(図示せず)が配置されている。
【0041】
(4)それから、外装体20を構成するラミネートシート20a,20bの周縁部のうち、一部を非水電解液を注入するための電解液注入口として開放状態のままにしておき、それ以外の外装体20の周縁部を熱溶着する。この熱溶着の際に、前述のシーラント層とラミネートシート内側の接着層とが溶着することにより、正極端子40aおよび負極端子40b部分の封止性が向上する。
【0042】
(5)それから、上記電解液注入口からノズルを挿入して、外装部材の内部に非水電解液14(図4)を注入した後、電解液注入口として用いた外周部の一部を仮封止し、所定の条件下で初充電を実施した後、仮封止を再び開放し、減圧しながら熱溶着して本封止する。これにより、図1〜4に示すような電池(リチウムイオン二次電池)100が得られる。
【0043】
この電池100においては、外装体20を、上述のような、絞り加工により形成された電池要素収納凹部21a,21bと、端子引き出し凹部22a,22bを備えた一対のラミネートシート20a,20bを用いて構成するようにしているので、ラミネートシート20a,20bに絞り加工を施す際に過度に大きな応力が加わったり、一対のラミネートシート20a,20bが大きく形状の異なるものになったりすることがなく、電池要素10や、正極端子40a,負極端子40bを厚く形成することが必要な場合にも、従来のように、1枚のラミネートシートに絞り加工を施して、電池要素や、正極端子、負極端子を収容することが可能な深い電池要素収納凹部と端子引き出し凹部を形成する場合に比べて、絞り加工を施す際のラミネートシートの変形量(絞り量)を小さくすることが可能になり、ラミネートシートに加わる応力を小さくすることが可能になるとともに、一対のラミネートシート20a,20bの形状を近似した形状とすることが可能になる。その結果、一対のラミネートシート20a,20bを接合することにより形成される外装体20の封止性を向上させることが可能になる。
【0044】
また、一対のラミネートシート20a,20bとして、所定の絞り加工が施された1種類のラミネートシートを組み合わせて用いるようにしているので、ラミネートシートを作製するのに用いる成形金型および成形機として、それぞれ1種類の成形金型および成形機で対応することが可能になり、生産コストの低減を図ることができる。
【0045】
なお、上記実施例では、正極端子40aと負極端子40bを外装体20の互いに対向する側の端部に引き出した電池を例にとって説明したが、例えば、図8に示すように、正極端子40aと負極端子40bを外装体20の同じ側の端部に引き出すようにすることも可能である。正極端子40aと負極端子40bを外装体から引き出すにあたっての態様には特に制約はなく、種々の態様とすることが可能である。
【0046】
また、電池要素収納凹部21a,21bや、端子引き出し凹部22a,22bの形状や構造についても特に制約はなく、種々の形状や態様とすることが可能である。
【0047】
本発明は、その他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、正極部材および負極部材を構成する活物質や集電体の種類、セパレータの構成材料、外装体となるラミネートシートの具体的な構成、外装体の具体的な形状などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 電池要素
10a 積層体(集合体)
11 正極部材
12 負極部材
13 セパレータ
14 非水電解液
20 外装体
20a,20b ラミネートシート
21a,21b 電池要素収納凹部
22a,22b 端子引き出し凹部
40a 正極端子
40b 負極端子
41 集電部材
100 電池
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、リチウムイオン二次電池などの電池に関し、詳しくは、電池要素が外装体内に収納され、正極端子および負極端子が外部に引き出された構造を有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータなどの携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池などに代表される二次電池が広く用いられるようになっている。
【0003】
ところで、このような二次電池(以下、単に「電池」ともいう)としては、セパレータを介して複数の正極部材と負極部材とが積層された積層体を外装体(筐体)内に収納してなる構成のものが広く用いられている。
【0004】
そのような電池の1つとして、図9〜13に示すように、1枚のラミネートシート71を折り曲げて電池の外装体60とし、電池要素70を収納する部分と、正極端子58および負極端子59を収納する(引き出す)部分には、絞り加工が施された電池が提案されている(特許文献1、図5〜9など参照)。
【0005】
この電池は、薄形のリチウムイオン二次電池であり、図9,10に示すように、多孔質金属板からなる集電体51の両面に正極層52が担持された正極と、多孔質金属板からなる集電体53の両面に負極層54が担持された負極と、正極層52、負極層54の間に配置されたゲル状電解質層55とを有する積層体(電池要素)70を備えている。
【0006】
そして、正極層52を担持する集電体51は、帯状正極端子56を介して正極端子58に接続され、負極層54を担持する集電体53は、帯状負極端子57を介して負極端子59に接続されている。
【0007】
また、外装体60(図9)は、図11〜13に示すように、例えば、内面に熱融着樹脂層が配され、かつ内部に金属層が配設された、ガスバリア性を有する積層シート(ラミネートシート)71から形成されており、容器部61と、蓋部62とを備えている。
【0008】
この外装体60は、一枚のラミネートシート71の容器部61となる領域に、電池要素70が収納されるべき凹部(電池要素収納凹部)65を形成するとともに、容器部61となる領域の端部には、正極端子58と負極端子59を通過させるための矩形状凹部(端子引き出し凹部)63,64を、それぞれ絞り加工によって形成しておき、電池要素を凹部63に収納した後、ラミネートシート71を折り返して、容器部61と蓋部62の周縁部を溶着することにより形成されている。
【0009】
ところで、このような電池においては、その容量が大きくなるに伴い電流も大きくなることから、正極端子58および負極端子59の厚みを厚くすることが必要になる。また、大きな電池容量を得ようとすると積層数が増加するため、電池要素70の厚みも厚くなる。
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1の電池の場合、外装体60を構成する1枚のラミネートシート71の、容器部61となる領域にのみ、絞り加工により、電池要素70を収納する凹部(電池要素収納凹部)65と、正極端子58と負極端子59を通過させるための矩形状凹部(端子引き出し凹部)63,64を形成するようにしている。そのため、電池要素や、正極端子および負極端子の厚みを厚くしようとすると、ラミネートシート71の容器部61となる領域にのみ深い絞り加工を施す(電池要素収納凹部65と、端子引き出し凹部63,64を形成する)ことが必要になる。その結果、ラミネートシート71の加工時に過度に大きな応力が加わったり、容器部61と蓋部62とが大きく異なる形状となったりすることで、外装体60の強度や、容器部61と蓋部62の周縁部を溶着した場合における密着性などに依存する、外装体の封止信頼性が低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−144691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、外装体の内部に電池要素が収納され、正極端子および負極端子が外装体から引き出された構造を有する電池において、確実な封止性能を有する外装体を備えた信頼性の高い電池、さらには、生産性に優れ、経済的に製造することが可能な電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の電池は、
正極部材と負極部材とをセパレータを介して互いに対向するように配置してなる集合体と、電解質とを含む電池要素が、外装体の内部に収納され、かつ、正極部材に接続された正極端子と、負極部材に接続された負極端子とが、前記外装体の外部に引き出された構造を有する電池であって、
前記外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されているとともに、
前記一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納するための所定の深さを有する電池要素収納凹部と、前記正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための所定の深さを有する端子引き出し凹部とを備え、
前記一対のラミネートシートの前記電池要素収納凹部と、前記端子引き出し凹部とは、いずれも絞り加工により形成されていること
を特徴としている。
【0014】
また、本発明の電池においては、請求項2のように、前記一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の電池においては、請求項3のように、前記一対のラミネートシートとして、別体の2枚のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の電池においては、請求項4のように、前記2枚のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートが用いられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電池においては、外装体を、一対のラミネートシートを接合することにより形成するとともに、一対のラミネートシートのそれぞれに、予め加工により電池要素収納凹部と端子引き出し凹部とを形成しているので、電池要素や、正極端子および負極端子の厚みが厚い場合にも、1枚のラミネートシートにのみ加工を施して、電池要素収納凹部と端子引き出し凹部を形成する場合に比べて、加工による各ラミネートシートの変形量が少なくなり、ラミネートシートに加わる応力を小さくすることが可能になるとともに、一対のラミネートシートの形状も近似したものとなり、両者を接合することにより形成される外装体の封止性を向上させることができる。
【0018】
なお、本発明においては、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を、本発明における一対のラミネートシートとして機能させるように構成することも可能である。
すなわち、本発明において、「外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されている」とは、外装体が、別体として形成された2枚のラミネートシートを接合することにより形成されている場合と、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を互いに対向させて接合することにより形成されている場合の両方を含む概念である。
【0019】
また、本発明の電池の場合、それぞれの端子引き出し凹部が近似した形状となることにより、一対のラミネートシートを熱溶着する際に、正極端子および負極端子に加わる圧力も同程度にすることができる。熱溶着時、ラミネートシート内側の接着層や、正極端子および負極端子周囲に通常配設されることになるシーラント層は溶融して、この部分に加わる圧力で流動するが、この圧力が同程度になることから、接着層やシーラント層が波打ったり、偏ったりすることがなく、密着力が低い部分が形成されにくくなる。これにより、正極端子および負極端子付近の封止性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明において、請求項2のように、一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートを用いるようにした場合、電池要素収納部の深さが同じで、端子引き出し凹部の深さが同じになる。その結果、ラミネートシートに凹部を形成するための絞り加工を施す際にラミネートシートに加わる応力を、それぞれ同等程度に振り分けることができるので、個々のラミネートシートに加わる応力をより小さくし、かつ、一対のラミネートシートの形状をより近似したものとすることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
また、一対のラミネートシートに設けられる端子引き出し凹部が対称形状なので、正極端子および負極端子周囲に加わる圧力がより均等化されるので、この部分における封止性をより向上させることができる。
【0021】
また、1枚のラミネートシートを折り曲げることにより形成される一対の領域を一対のラミネートシートとした場合、予め加工により電池要素収納凹部と端子引き出し凹部とを形成する際に、一対の領域がつながっている部分が両方の領域から引っ張られてラミネートシートの樹脂層と金属層が剥離する恐れがあるが、請求項3のように、一対のラミネートシートを別体で構成した場合には、このような問題が生じることはない。
【0022】
また、本発明において、請求項4のように、一対のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートを用いるようにした場合、所定の絞り加工が施された1種類のラミネートシートを用意するだけで済むため、封止信頼性が高く、生産性に優れ、経済的に製造することが可能な電池を提供することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例1の電池を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例1の電池を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例1の電池の構成を示す要部正面断面図である。
【図5】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を示す分解正面断面図である。
【図6】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を示す分解側面断面図である。
【図7】本発明の実施例1の電池を構成する外装体を構成する一対のラミネートシートの一方を示す平面図である。
【図8】本発明の実施例1の電池の変形例を示す平面図である。
【図9】従来の電池(リチウムイオン二次電池)の構成を示す断面図である。
【図10】図9の電池の部分切欠上面図である。
【図11】図9の電池の外装体の構成を示す平面図である。
【図12】図11の外装体を長手方向に沿う方向に切断した際の断面図である。
【図13】図11の外装材を端子引き出し凹部が配設された端子部側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0025】
図1〜4は本発明の一実施例にかかる電池(この実施例ではリチウムイオン二次電池)を示す図である。
なお、図1,2,3はそれぞれ、本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池を示す正面図、平面図、側面図であり、また、図4は、その内部構成を示す要部正面断面図である。
【0026】
本発明の一実施例(実施例1)にかかる電池(リチウムイオン二次電池)100は、図1〜4に示すように、電池要素10(図4)と、電池要素10を収納して封止する外装体20と、複数の集電部材41(図4)を介して電池要素10に接続され、外装体20の周縁部から外部に導出された正極端子40aおよび負極端子40bを備えている。
【0027】
そして、電池要素10は、図4に示すように、正極活物質と集電体とを有する複数の正極部材(正極層)11と、負極活物質と集電体とを有する複数の負極部材(負極層)12と、セパレータ13と、電解質として非水電解液14とを含み、複数の正極部材11と複数の負極部材12とがセパレータ13を介して交互に積層され積層体(集合体)となっている。なお、ここでは電池要素10が積層構造のものを例にとって説明しているが、各層の積層数や積層態様などには特別の制約はなく、電池として機能するものである範囲において種々の変形を加えることができる。例えば、正極部材と負極部材とがセパレータを介して巻回された巻回構造の集合体でも適用できる。
【0028】
また、この実施例1では、正極部材(正極層)11として、例えば、正極活物質であるLiCoO2と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電助剤であるアセチレンブラックとを含有する正極合剤を、アルミニウム箔からなる集電体の表面上に塗布、乾燥して、正極活物質層を集電体の表面上に形成することにより形成された板状の正極部材が用いられている。なお、集電体としてのアルミニウム箔の端部には、正極合剤を塗布せずに、アルミニウム箔の表面が露出した部分が設けられている。
【0029】
また、負極部材(負極層)12として、例えば、負極活物質であるグラファイト系材料と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを含有する負極合剤を、銅箔からなる集電体の表面上に塗布、乾燥して、負極活物質層を集電体の表面上に形成することにより形成された板状の負極部材が用いられている。なお、集電体としての銅箔の端部には、負極合剤を塗布せずに、銅箔の表面が露出した部分が設けられている。
【0030】
また、セパレータ13としては、微孔性ポリエチレンフィルムからなるシート状のセパレータが用いられている。
【0031】
また、電解質としての非水電解液14には、支持塩を非水溶媒に溶解して調製したものが用いられている。この実施例1では、非水電解液として、LiPF6を、炭酸プロピレンと炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを体積比で5:25:70の割合で混合した非水溶媒に、1.0mol/Lの濃度となるように溶解したものが用いられている。なお、非水溶媒や支持塩はこれに限らず、従来の電池に用いられる材料を限定なく用いることができる。また、電解質は、ゲル状または固体状の電解質であってもよい。
【0032】
さらに、図4に示すように、複数の負極部材12は複数の集電部材41を介して負極端子40bに接続されており、複数の正極部材11も、図4には示されていないが、負極部材12の場合と同様に、集電部材を介して正極端子40a(図1)に接続されている。
【0033】
そして、この実施例の電池100においては、図5〜7に示すように、外装体20が、一対(2枚)のラミネートシート20a,20bをその周縁部において互いに接合することにより形成されている。
【0034】
外装体20を構成するラミネートシート20a,20bとしては、樹脂からなる外側の保護層と、アルミニウムからなる中間のガスバリア層と、樹脂からなる内側の接着層とを積層して一体化したラミネートシート(アルミニウムラミネートフィルム)が用いられている。なお、外装体20として用いられるラミネートシートの種類は、上述のようなアルミニウムラミネートフィルムに限らず、他の構成のものも同様に用いることができる。
【0035】
また、この実施例の電池100において、一対のラミネートシート20a,20bにはそれぞれ、図5〜7に示すように、電池要素10(図4)を収納するための電池要素収納凹部21a,21bと、正極端子40aおよび負極端子40b(図1,2)を外部に引き出すための端子引き出し凹部22a,22bとを備えている。これらの電池要素収納凹部21a,21b、および、端子引き出し凹部22a,22bは、いずれも、絞り加工により形成されている。
【0036】
そして、一対のラミネートシート20a,20bの電池要素収納凹部21a,21bはそれぞれ同じ深さとなるように構成されており、また、一対のラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bもそれぞれ同じ深さとなるように構成されている。すなわち、この実施例では、同じ形状、寸法を有し、面対称である一対のラミネートシート20a,20bとして、同じラミネートシートを組み合わせた一対のラミネートシートが用いられている。
【0037】
また、図1〜4にその構成を示した上述の電池(リチウムイオン二次電池)100は、各部の寸法として、
(a)電池要素10(=電池要素収納凹部21a,21b)の平面寸法が、短辺:約150mm、長辺:約200mm、
(b)電池要素10の厚みが約10mm、
(c)正極端子40a、負極端子40bが、厚み:0.6mm、幅:60mm
の寸法を有するものである。
【0038】
次に、この電池(リチウムイオン二次電池)100の製造方法について説明する。
(1)まず、複数の正極部材11と複数の負極部材12とがセパレータ13を介して交互に積層された構造を有する積層体10aを形成する。
【0039】
(2)ラミネートシートを絞り加工して、電池要素収納凹部21a,21bと、端子引き出し凹部22a,22bを備えた、同じ形状、寸法を有する面対称の一対のラミネートシート20a,20bを準備する。
【0040】
(3)それから、上記積層体10aがラミネートシート20a,20bの電池要素収納凹部21a,21bからなる空間(電池要素収納空間)に収納され、正極端子40aおよび負極端子40bがラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bから形成される空間を経て外部に引き出されるような態様で、一対のラミネートシート20a,20bからなる外装体20に積層体10aを収納する。
なお、正極端子40aおよび負極端子40bの、ラミネートシート20a,20bの端子引き出し凹部22a,22bと接する部分には、ポリプロピレンなどの熱溶着性樹脂からなるシーラント層(図示せず)が配置されている。
【0041】
(4)それから、外装体20を構成するラミネートシート20a,20bの周縁部のうち、一部を非水電解液を注入するための電解液注入口として開放状態のままにしておき、それ以外の外装体20の周縁部を熱溶着する。この熱溶着の際に、前述のシーラント層とラミネートシート内側の接着層とが溶着することにより、正極端子40aおよび負極端子40b部分の封止性が向上する。
【0042】
(5)それから、上記電解液注入口からノズルを挿入して、外装部材の内部に非水電解液14(図4)を注入した後、電解液注入口として用いた外周部の一部を仮封止し、所定の条件下で初充電を実施した後、仮封止を再び開放し、減圧しながら熱溶着して本封止する。これにより、図1〜4に示すような電池(リチウムイオン二次電池)100が得られる。
【0043】
この電池100においては、外装体20を、上述のような、絞り加工により形成された電池要素収納凹部21a,21bと、端子引き出し凹部22a,22bを備えた一対のラミネートシート20a,20bを用いて構成するようにしているので、ラミネートシート20a,20bに絞り加工を施す際に過度に大きな応力が加わったり、一対のラミネートシート20a,20bが大きく形状の異なるものになったりすることがなく、電池要素10や、正極端子40a,負極端子40bを厚く形成することが必要な場合にも、従来のように、1枚のラミネートシートに絞り加工を施して、電池要素や、正極端子、負極端子を収容することが可能な深い電池要素収納凹部と端子引き出し凹部を形成する場合に比べて、絞り加工を施す際のラミネートシートの変形量(絞り量)を小さくすることが可能になり、ラミネートシートに加わる応力を小さくすることが可能になるとともに、一対のラミネートシート20a,20bの形状を近似した形状とすることが可能になる。その結果、一対のラミネートシート20a,20bを接合することにより形成される外装体20の封止性を向上させることが可能になる。
【0044】
また、一対のラミネートシート20a,20bとして、所定の絞り加工が施された1種類のラミネートシートを組み合わせて用いるようにしているので、ラミネートシートを作製するのに用いる成形金型および成形機として、それぞれ1種類の成形金型および成形機で対応することが可能になり、生産コストの低減を図ることができる。
【0045】
なお、上記実施例では、正極端子40aと負極端子40bを外装体20の互いに対向する側の端部に引き出した電池を例にとって説明したが、例えば、図8に示すように、正極端子40aと負極端子40bを外装体20の同じ側の端部に引き出すようにすることも可能である。正極端子40aと負極端子40bを外装体から引き出すにあたっての態様には特に制約はなく、種々の態様とすることが可能である。
【0046】
また、電池要素収納凹部21a,21bや、端子引き出し凹部22a,22bの形状や構造についても特に制約はなく、種々の形状や態様とすることが可能である。
【0047】
本発明は、その他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、正極部材および負極部材を構成する活物質や集電体の種類、セパレータの構成材料、外装体となるラミネートシートの具体的な構成、外装体の具体的な形状などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 電池要素
10a 積層体(集合体)
11 正極部材
12 負極部材
13 セパレータ
14 非水電解液
20 外装体
20a,20b ラミネートシート
21a,21b 電池要素収納凹部
22a,22b 端子引き出し凹部
40a 正極端子
40b 負極端子
41 集電部材
100 電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極部材と負極部材とをセパレータを介して互いに対向するように配置してなる集合体と、電解質とを含む電池要素が、外装体の内部に収納され、かつ、正極部材に接続された正極端子と、負極部材に接続された負極端子とが、前記外装体の外部に引き出された構造を有する電池であって、
前記外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されているとともに、
前記一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納するための所定の深さを有する電池要素収納凹部と、前記正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための所定の深さを有する端子引き出し凹部とを備え、
前記一対のラミネートシートの前記電池要素収納凹部と、前記端子引き出し凹部とは、いずれも予め加工により形成されていること
を特徴とする電池。
【請求項2】
前記一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記一対のラミネートシートとして、別体の2枚のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項1または2記載の電池。
【請求項4】
前記2枚のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項3記載の電池。
【請求項1】
正極部材と負極部材とをセパレータを介して互いに対向するように配置してなる集合体と、電解質とを含む電池要素が、外装体の内部に収納され、かつ、正極部材に接続された正極端子と、負極部材に接続された負極端子とが、前記外装体の外部に引き出された構造を有する電池であって、
前記外装体が、一対のラミネートシートを接合することにより形成されているとともに、
前記一対のラミネートシートはそれぞれ、電池要素を収納するための所定の深さを有する電池要素収納凹部と、前記正極端子および前記負極端子を外部に引き出すための所定の深さを有する端子引き出し凹部とを備え、
前記一対のラミネートシートの前記電池要素収納凹部と、前記端子引き出し凹部とは、いずれも予め加工により形成されていること
を特徴とする電池。
【請求項2】
前記一対のラミネートシートとして、面対称の形状を有する一対のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記一対のラミネートシートとして、別体の2枚のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項1または2記載の電池。
【請求項4】
前記2枚のラミネートシートとして、同一形状、同一材料のラミネートシートが用いられていることを特徴とする、請求項3記載の電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−248381(P2012−248381A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118692(P2011−118692)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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