説明

電波センサ

【課題】センサ前方に存在する被検知体の有無や移動状態を精度良く検出する、S/N比に優れた電波センサを提供する。
【解決手段】送信信号を生成する発振回路と、誘電体からなる基板1の一方の表面または内部の略全面に形成された送信信号のグランドとして作用する接地電極と、基板1の他方の表面に形成された、送信信号として電波ビームを前方に放射する矩形状の複数の送信電極3a、3bと、複数の送信電極から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4と、受信電極4にて受信した受信信号を検波する検波素子5と、検波素子5にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路とを備え、複数の送信電極3a、3bを電力均等分配回路となる伝送線路にて相互に接続し、個々の送信電極に伝播される送信信号の電力を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波ビームを利用したセンシング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信アンテナを中心として対称な位置に複数の受信アンテナを配置し、送信アンテナから放射された電波ビームが検知領域内に存在する被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波(受信信号)を、複数の受信アンテナにて各々受信しその位相差からセンサ前方の被検知体の有無を検知する電波センサが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特願2001−307763公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、送信アンテナと受信アンテナとを電気的に独立させ基板の同一平面状に配置する場合、アンテナゲインがほぼ同じ(電極数や電極の位置関係が同じ)送信アンテナと受信アンテナが対称となる位置、且つ相互干渉によるアンテナゲインの低下や電波ビームの放射方向の偏りを防止するため、送信アンテナと受信アンテナは利用周波数における半波長程度(アンテナ中心間距離)離れた位置に配置される。結果的に、送信アンテナの端辺と受信アンテナの端辺とが対向する位置関係となる。
従来技術記載の電波センサは、送信アンテナを中心として対称な位置に複数の受信アンテナを配置しているため、送信アンテナの周囲に受信アンテナを近接して配置しても相互干渉による電波ビームの放射方向の偏りを防止できる。
しかしながら、送信アンテナと受信アンテナを近接して配置するほど、センサ前方に被検知体や障害物が存在しなくても送信アンテナから放射された電波ビームが受信アンテナに回り込み、受信アンテナに電流が流れて受信信号の直流電圧値レベル(オフセット電圧)が上昇してしまう。そのため、受信信号を増幅回路にて増幅する際、直流電圧レベルでの増幅率が低下し、高いS/N比が得られなくなり、被検知体の微小な動きを検出しずらくなる。
【0005】
従って、本発明の目的は、センサ前方に存在する被検知体の有無や移動状態を精度良く検出する、S/N比に優れた電波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、送信信号を生成する発振回路と、誘電体からなる基板と、前記基板の一方の表面または内部の略全面に形成された送信信号のグランドとして作用する接地電極と、前記基板の他方の表面に形成された、送信信号として電波ビームを前方に放射する矩形状の複数の送信電極と、前記複数の送信電極から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極と、前記受信電極に接続された、前記受信電極にて受信した受信信号を検波する検波素子と、前記検波素子にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路とを備え、 前記複数の送信電極は電力均等分配回路となる伝送線路にて相互に接続されたことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために請求項2記載の発明は、励振方向と平行な前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しないよう前記複数の送信電極の周囲に前記受信電極を配置したことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために請求項3記載の発明は、励振方向と直交する前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しない、且つ前記複数の送信電極の間となる位置に前記受信電極を配置したことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために請求項4記載の発明は、前記複数の送信電極の共振周波数と前記受信電極の共振周波数は略同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサ前方に存在する被検知体の有無や移動状態を精度良く検出する、S/N比に優れた電波センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明における電波センサについて説明する。
尚、以下実施例における図面の基板の厚みやパターン寸法は説明の都合上、実際の形状とは異なる。
図1は、本発明における電波センサの第1実施形態を示す、(a)送受信部の正面図、(b)送受信部の背面図、(c)発振部の正面図、(b)発振部の背面図である。図2は同、組立て図である。
【0012】
本発明の電波センサは、電波ビームを送受信する送受信部と電波ビームとして放射される高周波(例えば、マイクロ波やミリ波)の送信信号を生成する発振部とが別体にて構成されている。
誘電体からなる基板1aの一方の表面の略全面には送信信号のグランドとして作用する接地電極2aが形成され、基板1aの他方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3と送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。基板1bに形成された発振回路9により生成された送信信号は、送信電極3の内部に設けられた基板1aの表裏を貫通する貫通孔11aに配置される給電線12(同軸ケーブルや樹脂被覆リード線等)を介し直接、送信電極3に伝播され、送信電極3から電波ビームとして放射される。貫通孔11aはインピーダンスが50Ωとなる送信電極3の内部に設けられている。
送信電極3は、基板1a上における送信信号(使用周波数)の約半波長(λg/2:λg…基板1aを伝搬する高周波信号の波長である。また、真空中における高周波信号の電波の波長をλ、基板1aの比誘電率をεrとすると、λ=εr1/2・λgである。)の長さLを少なくとも一辺にもつ略正方形状の薄膜電極であり、接地電極2aが反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。従って、接地電極2aを境界として送信電極3から前方(接地電極2aに対し送信電極3が形成された方向)に向かい効率良く電波ビームを放射することができる。
【0013】
受信電極4は、送信電極3と同一矩形状の薄膜電極を有するマイクロストリップ構造の受信アンテナであり、インピーダンスが50Ωとなる位置(送信電極3の内部に設けられた貫通孔11aの中心点と同一箇所に相当)に基板1aの表裏を貫通する導通孔8aが設けられ、基板1aの一方の表面に形成された周波数調整線路7と受信電極4とを接続している。周波数調整線路7の片端にはが、他端には受信電極4にて受信した受信信号を検波する検波素子5としてショットキーダイオード5(以下、ダイオード)のアノード端子が各々接続され、ダイオード5のカソード端子は接地電極2aに接続されている。また、ダイオード5にて検波された受信信号を外部に出力するため、出力線路6の片端が受信電極4の励振方向と平行な端辺に接続され、受信信号は基板1aの表裏を貫通する導通孔8bを介し基板1aの一方の表面に形成された接続電極14まで送信される。
【0014】
周波数調整線路7の長さを所定の長さに設定することにより受信電極4の共振周波数を変化させ受信電極4を導波器または反射器として作用させることができる。従って、送信電極3から放射される電波ビームの最大放射強度方向を任意の方向へ設定することが可能となる。特に、受信電極4にダイオード5が接続された状態で受信電極4を導波器として作用させることにより、受信電極4は送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信し外部に受信信号を出力するだけでなく、送信電極3から放射される電波ビームのゲインを増加させることができる。
【0015】
また、受信電極4を導波器または反射器として作用させる、即ち送信電極3と受信電極4とでは共振周波数を異ならせることにより、送信電極3および受信電極4の前方に被検知体が存在しない状態のとき、送信電極3から放射された電波ビーム(電流)が受信電極4へ回り込み検波素子5にて検波される受信信号の電圧値レベルが上昇することを抑制できるため、出力線路6の後段に接続される増幅回路16にて受信信号を増幅する際、比較的高い増幅率を採用でき検知精度が向上する。
【0016】
本構成のマイクロストリップアンテナを電波センサに備えれば、センサ前方の被検知体の動きを検出するために必要な送信電力の省力化が図れ、発振回路9にて生成する送信信号の電力を少なくできるため、低消費電力、且つコンパクトな電波センサを提供することができる。
本実施例では、励振方向と平行する送信電極3の端辺と励振方向と平行する受信電極4の端辺とが対向するよう送信電極3と受信電極4を同一平面状に各々配置したが、励振方向と直交する送信電極の端辺と励振方向と直交する受信電極の端辺とが対向するように配置しても良いし、送信電極の端辺の一部と受信電極の端辺の一部とが対向するよう配置しても良い。そうすれば、受信電極4を導波器として作用させたとき、対向する送信電極3の端面から受信電極の端面までの距離をさらに短くでき、高いアンテナゲイン(高指向性利得)が得られるため、さらにセンサの少電力化、小型化が図れる。また、送信電極3と受信電極4は同一平面状にある必要は無い。使用環境(検知性能)に応じて送信電極3と受信電極4の位置関係は自由に変更することができ、例えば、送信電極3に対し後方側(電波ビームの放射方向とは反対方向)に受信電極4を配置すれば、送信電極3から受信電極4への電波ビーム(電流)の回り込みを抑制できる。また、偏波方式は送信電極と受信電極の形状を略正方形状(垂直偏波)から略正方形の角部を旋回方向に応じてカットすれば円偏波方式に容易に変えることができる。
【0017】
検波素子5(ダイオード)にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路6は、受信電極4の励振方向と平行な端辺に接続することが好ましい。出力線路6を受信電極4の励振方向と直交する端辺や周波数調整線路7に接続すると、出力線路6が保有するインダクタンス成分や容量成分、出力線路6の後段に接続される増幅回路16等の影響を大きく受けて受信電極4の共振周波数が乱高下するため、確実に電波ビームを所定の方向に放射することが困難となる。受信電極4の励振方向と平行な端辺に出力線路6を接続することにより、出力線路6および出力線路6の後段に接続される電気回路のインダクタンス成分や容量成分の影響を少なくし受信電極4の共振周波数の変化を抑制できるため、電波ビームを所定の方向に放射することが比較的容易となる。さらに好ましくは、受信電極4の励振方向と直交する端辺から0.5×L(L:励振方向と平行する端辺の長さ)の位置に相当する受信電極4の端辺近傍に出力線路6を接続することである。出力線路6および出力線路6の後段に接続される電気回路のインダクタンス成分や容量成分の影響を受けず受信電極4の共振周波数の変化が殆ど無いため、確実に電波ビームを所定の方向に放射することができる。
【0018】
出力線路6の線路幅は狭いほどインピーダンスを大きくでき高周波を遮断(反射)しやすくなるため、銅箔エッチング法による一般的な基板製造方法を考慮すると0.1〜0.5ミリメートル程度の線路幅が好ましい。基板上の波長に換算すると出力線路6の線路幅は30分の1波長以下である。
【0019】
誘電体からなる基板1bの一方の表面の略全面には送信信号のグランドとして作用する接地電極2bが形成され、基板1bの他方の表面には不要な電磁波をシールドするとともに基板1bと対向する天面に所定の周波数で発振させるための図示しない周波数調整手段(螺子)を備えたシールドケース10が設置され、その内部に発振回路9(電界効果トランジスタと誘電体共振器を利用し送信信号を生成、またはガンダイオードを利用し送信信号を生成)が形成されている。また、シールドケース10の周囲には検波素子5にて検波された受信信号を増幅して比較し易くするための増幅回路16(オペアンプを利用し構成)が形成されている。送受信部や発振部とは別体にて増幅回路16を備えても良いが、受信電極と検波素子から構成される受信部と増幅回路16とを接続する導線の構造や長さ、その設置環境によっては受信信号が送信されるライン上にノイズが入り検知性能に影響を与えるため、増幅回路16は少なくとも受信部の近傍に備え、受信部と増幅回路16とを短距離にて接続することが好ましい。
【0020】
基板1aと基板1bの外周形状は略同一である。基板1aの接地電極2a面と基板1bの接地電極2b面とを対向させ、少なくとも外周形状が基板1aと同一である導電性のスペーサー介し、接地電極2aと接地電極2bとを電気的に接続することにより、接地電極2a、2bが共通の高周波のグランドとして安定して作用する。従って、基板1aまたは基板1bの何れか一方の基板に電源電圧(V・GND)を印加すれば、基板1bに形成された発振回路にて所定の電力を有する高周波の送信信号が効率良く生成でき、基板1aに形成された送信電極3から電波ビームとして送信信号を所定の方向に放射することができる。
【0021】
送信電極3から放射される電波ビームの放射電力および送信電極と3と受信電極4との位置関係により、検波素子5にて得られる受信信号の電圧値レベルはプラス側またはマイナス側に変化する。従って、送信電極3から放射される電波ビームの放射電力および送信電極と3と受信電極4との位置関係に応じ、周波数調整線路7を介しカソード端子またはアノード端子のどちらか一方を受信電極4と接続し、他方の端子を接地電極2aに接続すれば、出力線路6の後段に接続される増幅回路16が単電源(プラス側またはマイナス側)にて受信信号を効率良く増幅することができる。
基板1bの一方の表面には基板1bの表裏を貫通する導通端子13が接続され、基板1aの一方の表面に形成された接続電極14まで送信された受信信号は、導通端子13を介し増幅回路16へ送信される。増幅回路16における増幅率は使用環境や検知性能に応じて適宜、設定すれば良く、等倍(ボルテージフォロワ:入力1に対し出力1の比率)以上の増幅回路16を一体で備えれば、ノイズ耐性が向上し電波センサから外部に出力される受信信号の電圧値変動を抑制できる。本実施例には記載していないが、必要に応じて増幅回路の前段または後段に必要な周波数成分のみを抽出するフィルター回路を組み込むこともできる。
【0022】
また、本発明の電波センサに、増幅された受信信号に基づいて被検知体の動きを判断する動作判断回路(比較回路:コンパレータを使用し構成、CPU:中央演算処理装置を使用し構成等)と、動作判断回路の判定結果に応じた負荷を駆動するための駆動信号を有線または無線にて外部に出力する出力回路を備えれば、非接触式の電波スイッチとして使用できる。動作判断回路は、直接、またはコンパレータを介しマイコン(CPU)の入力ポートに入力された受信信号の入力タイミングや入力期間に応じて、被検知体の動きを判断すれば良い。さらに、精度良く被検知体の動きを判断したいときはCPUのアナログ電圧をデジタル電圧に変換する機能を有したAD変換機能ポートに受信信号を入力すれば良い。
【0023】
送信信号と受信信号の周波数の差分を抽出し被検知体の動きを検出するドップラー検知方式の電波センサの場合、被検知体の動きが極端に遅くなったり静止すると、センサから出力されるドップラー信号の電圧値レベルが変動しなくなる。本発明の電波センサは、被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信電極4にて受信し、受信電極4のみに電気的に接続された検波素子5により受信電極4に流れる電流成分を検波し受信信号を外部に出力する。従って、センサ前方における被検知体の存在の有無や移動状態、人や手など被検知体の比較的ゆっくりとした動きや静止状態を、陶器や樹脂などの裏側にセンサを隠蔽した状態にて、受信信号の電圧値レベルや電圧振幅値の(時間的)変化から被検知体の移動速度に関係なく容易に検出することができる。
【0024】
投光素子と受光素子を本実施例のように同一基板上に各々1つずつ配置し、投光素子により前方へ光電ビームを照射し被検知体に衝突し反射して戻ってきた光電ビームを受光素子により受信する赤外線センサの場合、受光素子を介し出力される受信信号の一瞬の電圧値レベルの変動からセンサ前方における被検知体の有無を検出できる。一方で、センサ素子の1波長が数ナノメートル程度であるため、センサに向かい接近する被検知体の移動速度を受信信号から検出することは困難である。
本発明の電波センサは、送信信号の周波数帯域としてマイクロ波やミリ波の帯域を利用すると、定在波の影響によりセンサ前方における電力分布が送信信号の周波数の2分の1波長間隔にてゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。従って、センサに向かい接近する被検知体の動きに対して受信信号が矩形波または三角波状に変化する。そのため、赤外線センサのように受信信号の一瞬の電圧値レベルの変動からセンサ前方における被検知体の有無を精度良く検出することは困難であるが、電波センサから出力された受信信号の周期と送信信号の周波数からセンサに向かい接近する被検知体の移動速度を容易に検出できる。例えば、送信信号の周波数が10ギガヘルツだとすると1波長は約30ミリメートルとなり、センサ前方における電力分布は約15ミリメートル間隔にてゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。相対的な移動距離は送信信号の周波数により決定するため、センサから出力される受信信号に基づいて前のパルスの立上り(または電圧ピーク値)から次のパルスの立上り(または電圧ピーク値)までの時間を抽出すれば、約15ミリメートルの移動距離に対する移動速度を容易に検出することができ、さらにこの移動速度を連続的に検出すれば被検知体の移動状態の変化を容易に認識できる。
【0025】
図3は、本発明における電波センサを水栓装置の自動化に応用した一例を示す、(a)正面図および(b)側面図である。図4は、同、電波センサから出力される受信信号の電圧波形を示すグラフである。
図3に示す自動水栓装置は、水道配管に直結され通水または断水を電気的に切り替え可能な構造を有した図示しない電磁弁と、片端から水道水が流入し他端に設けられた吐水口から流出する水栓装置21と、上述した第1実施形態の電波センサとから構成されている。図示しない電磁弁と水栓装置21の片端は図示しない給水ホースにより配管接続され、使用者が吐水口に向かい洗面ボウル22内に手を差し出したとき自動的に水を吐水口から流出させるために、電波センサ、図示しない動作判断回路、図示しない出力回路、図示しない電磁弁の順に電気的に接続されている。水栓装置21は吐水口が洗面ボウル22の中心線上に位置するように壁23に固定され、吐水口よりも壁23側となる洗面ボウル22の裏側に、受信電極4が送信電極3よりも吐水口側に近くなるよう電波センサが設置され、送信電極3面に対し斜め上方向に向かい電波ビームが放射される。ここでいう、電波ビームの放射方向とは最大放射強度方向を示し、電波ビームの放射方向と吐水口に向かい接近する手の進入方向とは対向することが好ましい。
【0026】
図4に示すCASE1の電圧波形は使用者が洗面ボウル22内に手を差し出す前の状態、CASE2の電圧波形は使用者が吐水口に向かい洗面ボウル22内に手を差し出す(センサに向かい手が接近する)ときの状態、CASE3の電圧波形は吐水口から水が流出し使用者が手洗いしているときの状態、CASE4の電圧波形は使用者が手洗いを終了し吐水口から水が流出しているだけの状態において、電波センサから出力される受信信号の時間的変化を示す電圧波形である。ここでいう洗面ボウル22内とは洗面ボウル内側の天頂方向も含む。
CASE2で示すように吐水口に向かい手が接近するとセンサから出力される受信信号の電圧値レベルはパルス状に増加し吐水口(電波センサ)に接近するほど電圧振幅値が大きくなる。本実施例に記載していないが、逆に吐水口から手が離遠すると受信信号の電圧値レベルはパルス状に減少する。
また、手洗いするために使用者が吐水口付近で両手を前後方向にに擦り合わせて動かしている場合、センサに対して手(指先)が接近・離遠を連続的に繰り返す状態となりCASE3で示すように周波数的には比較的低い傾向となるが電圧振幅値がある程度大きく変動する。
CASE2およびCASE3の現象は前述した通り電波センサの波長に寄因する。例えば、電波センサの送信信号の周波数を電波法にて使用が許可されている10・50〜10.55GHzとすると、1波長は約28ミリメートルとなり約14ミリメートル間隔にてセンサ前方に電波の放射強度がゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。そのため、センサ前方における放射強度のムラがそのまま手から反射して受信電極4にて受信されるため、前方からセンサ(吐水口)に向かって接近する動きに対してパルス状の受信信号がセンサから出力されることになる。従って、その受信信号の電圧振幅値の時間的変化を抽出すれば、センサに向かい手が接近するのか、それともセンサから手が離遠するのか、手の移動方向を容易に検出できる。さらに、前のパルスの立上り(またはピーク電圧値)から次のパルスの立上り(またはピーク電圧値)までの距離は送信信号の周波数により決定するため、経過時間tを抽出すれば相対的な移動速度を容易に検出できる。
【0027】
一方、手洗いが終了し吐水口から水が流出しているだけの状態のときに電波センサから出力される受信信号は、CASE4に示すように電圧値レベルが多少変動しても電圧振幅値は手や指が吐水口付近に在る場合と比較し著しく小さくなる。さらに、吐水口から連続的に流出する水はセンサ側からは平板状または円柱状の反射板のように見える。従って、水の流出経路が前述した電力分布がほぼゼロとなる位置になるようセンサを洗面ボウル22の裏側に設置すれば、吐水口から水が流出しているだけの状態のときセンサから出力される受信信号の電圧値レベルは、使用者が洗面ボウル22内に手を差し出す前の状態にてセンサから出力される受信信号の電圧値レベルから殆ど変動しなくなるため、吐水口付近に手が在るか否かをさらに識別しやすくなる。そして、図示しない動作判断回路の電気回路構成および制御プログラムが簡素化でき、さらにセンサの小型化が図れ量産性が向上する。
【0028】
このように、受信信号の電圧振幅値の時間的変化を図示しない動作判断回路にて検出すれば、容易に吐水口から流出する水の吐水・止水制御ができる。例えば、使用者の手が吐水口に向かい接近した動きのみに対して吐水口から水を自動的に流出させることができ、水や電気を節約できる。
【0029】
図5は、第1実施形態の電波センサにおける送受信部の変形例1を示す、(a)正面図、(b)背面図である。
以下、前述した実施例と重複する部分の記載については説明を省略する。
図1に示した電波センサの送受信部はマイクロストリップ構造を有するパッチアンテナであったのに対し、図5に示す電波センサの送受信部はマイクロストリップ構造を有するダイポールアンテナである。基板1aの他方の表面には基板1a上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当するLの長さを有する矩形状の薄膜電極が送信電極3として形成されている。送信電極3の略中央部には給電線12を接続するため基板1aの表裏を貫通する貫通孔11aが設けられている。基板1aの一方の表面に形成された接地電極2aが反射板として作用するため、ダイポールアンテナではあるが無指向性ではなく前方(接地電極2aに対し送信電極3が形成された方向)に向かい電波ビームを放射できる。また、送信電極3と平行するように薄膜矩形状の2つの受信電極4a、4bが所定の間隔を設け一直線状に形成され、励振方向と直交し且つ対向する受信電極4aの端辺から受信電極4bの端辺までの略中間位置に検波素子5としてダイオード5が配置されている。受信電極4aの端辺近傍にはダイオード5のアノード端子が接続され、受信電極4bの端辺と対向する受信電極4aの端辺近傍に基板1aの表裏を貫通する導通孔8aが設けられ、基板1aの一方の表面に形成された接地電極2aと受信電極4aとが導通孔8aを介し接続されている。受信電極4bの端辺近傍にはダイオード5のカソード端子が接続され、励振方向と平行する受信電極4bの端辺にはダイオード5にて検波した受信信号を外部に出力するための出力線路6が接続されている。そして、基板1aの表裏を貫通する導通孔8bを介し基板1aの一方の表面に形成された接続電極14と出力線路6とが接続されている。
【0030】
受信電極4a、4bおよびダイオード5から構成される1対の受信アンテナの共振周波数は送信信号の周波数よりも高く、導波器として作用する。図1(a)に示したマイクロストリップアンテナと比較すると、アンテナンゲインは低く電波ビームの放射パターン(半値角)が広い。そのため、送信電極3から放射された電波ビーム(電流)が受信電極4へ回り込む量が多く、ダイオード5にて検波する受信信号の電圧値レベルが初期(送信電極3の前方に被検知体が存在しない状態)から高くなる傾向にある。従って、被検知体の微小な動きについては検出しずらくなるが、励振方向とは直交する端辺の長さを送信電極3および受信電極4a、4bともに短くできるため、電波センサの小型化を最優先する場合には最適なアンテナ構造である。
【0031】
図6は、第1実施形態の電波センサにおける送受信部の変形例2を示す、正面図である。
図1(a)に示したマイクロストリップアンテナに対し、基板1aの他方の表面に矩形状の送信電極3を中心として対称な位置に矩形状の受信電極4a、4bを形成している。従って、受信電極4a、4bの内部に設けられた導通孔8a、8cを介し接続される図示しない周波数調整線路を調整し受信電極4a、4bを導波器として作用させると、アンテナゲインが向上し、より鋭い電波ビームを送信電極3面に対し鉛直方向に向かい放射できる。従って、送信電極3から受信電極4a、4bへの電波ビーム(電流)の回り込みをさらに抑制でき、導通孔8b、8dを介し接続された図示しないダイオード5a、5bにて検波する受信信号の電圧値レベルは初期(送信電極3の前方に被検知体が存在しない状態)から低くできるため、本構成のマイクロストリップアンテナを電波センサに備えれば、さらに検知精度が向上する。また、受信電極4a、4bの内部に設けられた導通孔8a、8cを介し接続される図示しない周波数調整線路を調整し受信電極4a、4bを反射器として作用させると、送信電極3から放射された電波ビームは送信電極3に対し受信電極4aと受信電極4bが配置された方向に向かいスプリット(分離)として放射される。従って、受信電極4aと受信電極4bにおける受信信号の電圧値レベルや電圧振幅値の時間的変化(位相差)を比較することにより、陶器や樹脂の裏側にセンサを隠蔽した状態でセンサ前方における被検知体の位置や移動状態(センサに対し接近・離遠する移動方向や速度、センサ前方を横断する移動方向や速度)を識別することができる。また、送信電極3から放射される電波ビームは、赤外線を利用したセンサと比較すると指向角が広く、受信電極4a、4bにて受信信号が得られる検知範囲が重複するため、被検知体の動きが連続した動きであるか否かを容易に認識できる。
【0032】
基板1aと基板1bの比誘電率や厚みは必ずしも同じである必要は無く、使用環境や検知性能に応じて変更できる。例えば、発振回路を形成する基板1bには、効率良く送信信号を生成するために比誘電率のバラツキが少なくtanδ(誘電正接)が小さい基板材料を使用し、送信電極3や受信電極4を形成する基板1aには、受信電極4をより多く形成しセンシング分解能を向上するために比誘電率の高い基板材料を使用する。
【0033】
図7は、本発明における電波センサの第2実施形態を示す、側面図である。図8は、同、(a)正面図、(b)正面側から見た内層の透視図、(c)背面図である。
図1に示した電波センサは電波ビームを送受信する送受信部と電波ビームとなる高周波の送信信号を生成する発振部とが別体にて構成されていたのに対し、図7に示す電波センサは、送信信号のグランドとして作用する接地電極2を内部に埋設し積層した基板1を使用し、電波ビームを送受信する送受信部と電波ビームとなる高周波の送信信号を生成する発振部とが一体にて構成されている。
誘電体からなる基板1の一方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3と送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。送信電極3には伝送線路17の片端を接続するため伝送線路17の線路幅(インピーダンス)に応じ必要な切り欠きが設けられ、そこに伝送線路17の片端が接続され、伝送線路17の他端には基板1の表裏を貫通する導通孔8aが設けられ、基板1の他方の表面に形成された発振回路9により生成された送信信号が、導通孔8aを介し送信電極3まで伝播される。送信電極3は、基板1上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当する長さLを少なくとも一辺に有する矩形状の薄膜電極であり、接地電極2が反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。
【0034】
受信電極4は、矩形状の薄膜電極を有するマイクロストリップ構造の受信アンテナであり、励振方向と直交する受信電極4の一方の端辺中央部に受信した受信信号を検波する検波素子5としてダイオード5のアノード端子が接続され、ダイオード5のカソード端子は基板1の表裏を貫通する導通孔8bを介し基板1の内部に形成された接地電極2に接続されている。第1実施形態にて示した電波センサは周波数調整線路の長さを所定の長さに設定することにより受信電極4の共振周波数を変化させ受信電極4を導波器または反射器として作用させていたが、受信電極4にダイオード5が接続された状態で受信電極4の外形寸法を変更すれば受信電極4の共振周波数が変化し、受信電極4を導波器または反射器として作用させることができる。特に、ダイオード5が接続された状態で受信電極4を導波器として作用させることにより、受信電極4は送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信し外部に受信信号を出力するだけでなく、送信電極3から放射される電波ビームのゲインを増加させることができる。
【0035】
従って、本構成のマイクロストリップアンテナを電波センサに備えれば、発振回路9にて生成される送信信号を効率良く送信電極3まで伝播し、センサ前方の被検知体の動きを検出するために必要な送信電力の省力化が図れ、発振回路9にて生成する送信信号の電力を少なくできるため、低消費電力、且つコンパクトな電波センサを提供することができる。また、検波素子5は受信電極4と同一基板面に配置し検波素子5の一端を直接、受信電極4に接続することが好ましい。そうすれば、部材や製造工程におけるバラツキによる電気的線路長(受信電極4から検波素子5を介し接地電極2までのインピーダンス)の変動を最小限に抑えることができるため、受信電極4の共振周波数がばらついて電波ビームの放射方向がセンサ毎に大きく異なることを抑制できる。
【0036】
検波素子5にて検波された受信信号を外部に出力するため受信電極4の略中央部には基板1の表裏を貫通する導通孔8cが設けられている。そして、導通孔8cを介し基板1の他方の表面に形成された増幅回路16と受信電極4とが接続される。ここでいう導通孔8cは出力線路の一部であり、製造時に導通孔8cを形成するために基板1の他方の表面に形成される図示しないランド(電極)も出力線路と見なすことができる。増幅回路16を構成する半導体(オペアンプ)や抵抗器、コンデンサ等の電子部品の端子部を半田で接続するための部品接続電極を、導通孔8cの図示しないランドと兼用することによりセンサのノイズ耐性が向上し、図1に示した電波センサより薄型化を図れる。
【0037】
検波素子5にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路は、受信電極4の励振方向と直交する端辺から0.5×L((L:励振方向と平行する端辺の長さ)の位置に相当する受信電極4の内部に導通孔8cを設け、導通孔8cを介し受信電極4と図示しない出力線路(導通孔8cのランド)とを接続することが好ましい。さらに好ましくは、受信電極4の略中央部に導通孔8cを設け、導通孔8cを介し受信電極4と図示しない出力線路とを接続することである。そうすれば、導通孔8cの後段に接続される電気回路のインダクタンス成分や容量成分の影響を受けず受信電極4の共振周波数の変化が殆ど無いため、確実に電波ビームを所定の方向に放射することができる。また、送信電極3および受信電極4の前方に被検知体が存在しない状態のとき、送信電極3から放射された電波ビーム(電流)が受信電極4へ回り込み検波素子5にて検波される受信信号の電圧値レベルが上昇することを抑制できるため、導通孔8cの後段に接続される増幅回路16にて受信信号を増幅する際、比較的高い増幅率を採用でき検知精度が向上する。また、図示しない出力線路を引き回さずに短距離にて増幅回路16まで受信信号を送信できノイズ耐性に優れる。
【0038】
基板1の他方の表面には不要な電磁波をシールドするとともに基板1と対向する天面に所定の周波数で発振させるための図示しない周波数調整手段(螺子)を備えたシールドケース10が設置され、その内部に発振回路9(電界効果トランジスタと誘電体共振器を利用し送信信号を生成、またはガンダイオードを利用し送信信号を生成)と検波素子5にて検波された受信信号を増幅して比較し易くするための増幅回路16(オペアンプを使用し構成)とが形成されている。そして、発振回路9と増幅回路16とはシールドケース10の凹面に設けられた仕切り手段18により高周波的に分離されている。従って、増幅回路16には発振回路9側から電波ビームが回り込まないことは勿論、送信電極3から放射された電波ビームが基板1の背面に回りこみ、増幅回路16のライン上にのってくることを防止できる。従って、図1に示した電波センサと比較すると、センサ前方の被検知体の小さな動きを精度良く検出できる。仕切り手段18は、生産性を考慮するとシールドケース10と一体に金属部材で設けることが好ましくい。別の方法として電波吸収材料にて増幅回路16部を被覆しても良い。
【0039】
図9は、本発明における電波センサの第3実施形態を示す、正面図である。
図1に示した電波センサは電波ビームを送受信する送受信部の送信電極と受信電極が各1つであったのに対し、図9に示す電波センサの送受信部は複数の送信電極と1つの受信電極から構成されている。
誘電体からなる基板1の一方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3a、3bと送信電極3a、3bから放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。送信電極3a、3bは電力均等分配回路となる伝送線路17にて相互に接続され、図示しない発振回路9にて生成された送信信号が貫通孔11を介し送信電極3a、3bまで伝播される。送信電極3a、3bは、基板1上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当する長さLを少なくとも一辺に有する矩形状の薄膜電極であり、基板1の内部または他方の表面に形成された図示しない接地電極2が反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。
【0040】
受信電極4は、矩形状の薄膜電極を有するマイクロストリップ構造の受信アンテナであり、励振方向と直交する受信電極4の一方の端辺中央部に受信した受信信号を検波する検波素子5としてダイオード5のアノード端子が周波数調整線路7を介し接続され、ダイオード5のカソード端子は基板1の表裏を貫通する導通孔8aを介し接地電極2に接続されている。受信電極4の共振周波数は周波数調整線路7の長さを所定の長さに設定することにより送信信号の周波数と略同一にすることができ、被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを効率良く受信できる。そして受信電極の略中央部に配置された導通孔8bを介し図示しない出力線路から受信信号を外部に出力する。
【0041】
受信電極4は、電力均等分配回路となる伝送線路17にて相互に接続された送信電極3a、3bの各端辺と受信電極4の端辺とが対向しない位置に配置されている。従って、送信電極3a、3bから放射された電波ビームが受信電極4に回り込み、受信電極4に電流が流れて受信信号の直流電圧値レベル(オフセット電圧)が上昇することを抑制できる。その結果、受信信号を図示しない増幅回路16にて受信信号を増幅する際、直流電圧レベルでの増幅率を高く設定し高いS/N比を得ることができ、被検知体の微小な動きを検出し易くなる。
【0042】
本発明の電波センサは、複数の送信電極を電力均等分配回路となる伝送線路17にて相互に接続することにより、個々の送信電極(送信アンテナ)に伝播される送信信号のエネルギーを分散させ、受信電極(受信アンテナ)に回り込む電流量を減少させることができる。複数の送信電極に対し受信電極が1つ配置された、例えば、送信電極3aまたは送信電極3bの何れか1つの端辺と受信電極4の端辺が対向して配置された送受信部を備えた電波センサは、1つの送信電極に対し受信電極が1つ配置された送受信部を備えた電波センサよりも高いS/N比を得ることができる。
【0043】
また、送信電極の端辺と受信電極の端辺とを対向させて配置する場合、励振方向と直交する送信電極の端辺と受信電極の端辺とを対向して配置させる形態と、励振方向と平行する送信電極の端辺と受信電極の端辺とを対向して配置させる形態があるが、前者の方が受信電極に回り込む電流量を抑制することができるとともに電波ビームの放射形態に与える影響が少ない。図10に示す送受信部は、基板1の一方の表面に複数の送信電極3a、3b、3c、3dが格子状に配置され、図示しない発振回路にて生成された送信信号が均等に分配されて給電孔24a、24b、24c、24dを介し伝播される。基板1の略中心部には受信電極4が配置されているが、受信電極4の端辺は送信電極3a、3b、3c、3dの何れの端辺とも対向していない。このように受信電極4を中心に送信電極3a、3b、3c、3dを対称な位置に配置することにより、受信電極への電流の回り込みを抑制するとともに電波ビームを基板1面に対し略鉛直方向に放射させることができるため、センサの設置自由度が向上する。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明における電波センサの第1実施形態を示す、(a)送受信部の正面図、(b)送受信部の背面図、(c)発振部の正面図、(b)発振部の背面図である。
【図2】同、組立て図である。
【図3】第1実施形態の電波センサを水栓装置の自動化に応用した一例を示す、(a)正面図および(b)側面図である。
【図4】同、電波センサから出力される受信信号の電圧波形を示すグラフである。
【図5】第1実施形態の電波センサにおける送受信部の変形例1を示す、(a)正面図、(b)背面図である。
【図6】第1実施形態の電波センサにおける送受信部の変形例2を示す、正面図である。
【図7】本発明における電波センサの第2実施形態を示す、側面図である。
【図8】同、(a)正面図、(b)正面側から見た内層部の透視図、(c)背面図である。
【図9】本発明における電波センサの第3実施形態を示す、正面図である。
【図10】第3実施形態の電波センサにおける送受信部の変形例1を示す、正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1b 基板
2、2a、2b 接地電極
3、3a、3b、3c、3d 送信電極
4、4a、4b 受信電極
5 検波素子(ショットキーダイオード)
6、6a、6b 出力線路
7 周波数調整線路
8a、8b、8c、8d 導通孔
9 発振回路
10 シールドケース
11、11a、11b 貫通孔
12 給電線
13 導通端子
14 接続電極
15 スペーサー
16 増幅回路
17 伝送線路
18 仕切り手段
21 水栓装置
22 洗面ボール
23 壁
24a、24b、24c、24d 給電孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を生成する発振回路と、
誘電体からなる基板と、
前記基板の一方の表面または内部の略全面に形成された送信信号のグランドとして作用する接地電極と、
前記基板の他方の表面に形成された、送信信号として電波ビームを前方に放射する矩形状の複数の送信電極と、前記複数の送信電極から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極と、
前記受信電極に接続された、前記受信電極にて受信した受信信号を検波する検波素子と、前記検波素子にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路とを備え、
前記複数の送信電極は電力均等分配回路となる伝送線路にて相互に接続されたことを特徴とする電波センサ。
【請求項2】
励振方向と平行な前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しないよう前記複数の送信電極の周囲に前記受信電極を配置したことを特徴とする請求項1記載の電波センサ。
【請求項3】
励振方向と直交する前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しない、且つ前記複数の送信電極の間となる位置に前記受信電極を配置したことを特徴とする請求項2記載の電波センサ。
【請求項4】
前記複数の送信電極の共振周波数と前記受信電極の共振周波数は略同一であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の電波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−60356(P2010−60356A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224525(P2008−224525)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】