電波修正時計
【課題】電波受信感度の低下を防止し、かつ、受信中の受信経過を表示できる電波修正時計を提供すること。
【解決手段】電波修正時計1は、計時部52と、計時部52で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示パネル30と、前記表示パネル30の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、標準電波を受信する受信回路53と、受信した時刻情報に基づいて計時部52の計時時刻を修正する時刻修正手段と、受信回路53の受信動作を制御する受信制御手段とを備える。表示駆動制御手段は、計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では表示パネル30の表示内容を更新せず、時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に表示パネル30の表示内容を更新する。
【解決手段】電波修正時計1は、計時部52と、計時部52で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示パネル30と、前記表示パネル30の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、標準電波を受信する受信回路53と、受信した時刻情報に基づいて計時部52の計時時刻を修正する時刻修正手段と、受信回路53の受信動作を制御する受信制御手段とを備える。表示駆動制御手段は、計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では表示パネル30の表示内容を更新せず、時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に表示パネル30の表示内容を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計に関し、特に、メモリー性を有する表示装置を備えた電波修正時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を受信して時刻修正を行う電波時計部を有するメモリー性液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、表示装置に駆動電圧を印加すると受信時にノイズが発生するため、電波時計部が時刻情報を受信している間は、メモリー性液晶表示装置の反転表示を行わないことが記載されている(特許文献1の段落0040)。
すなわち、前記メモリー性液晶表示装置は、表示装置に駆動電圧を印加する際にノイズが発生し、このノイズがアンテナにおける電波受信に悪影響を与えるため、受信時には表示を更新しないように制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−23481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、時刻情報を含む電波である標準電波、例えば日本標準時を含む標準電波JJY(登録商標)は、1分間で1つの時刻情報(タイムコード)を送信している。この時刻情報にはノイズが含まれている可能性もあるため、一般に、複数個の時刻情報を受信して比較評価し、正しい時刻情報を取得している。このため、標準電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計は、通常、3〜10分程度の受信を行って時刻を修正している。
【0005】
このため、上記特許文献1のように、受信中、表示装置の表示を更新しない場合、表示が停止した状態が3〜10分程度継続することになる。この間は、利用者は、時計の表示に変化がない状態で数分間待たされ、受信処理終了までの残り時間も分からないため、処理状況が把握できない。特に、電波受信中の時計は静止状態に維持することが受信感度を低下させない点で好ましいが、利用者は静止状態を維持すべき残り時間が把握できず、利便性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、電波受信感度の低下を防止し、かつ、受信中の受信経過を表示することができる電波修正時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電波修正時計は、基準クロックパルスに基づいて時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示手段と、前記表示手段の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段の計時時刻を修正する時刻修正手段と、前記受信手段の受信動作を制御する受信制御手段と、を備え、前記表示駆動制御手段は、前記受信手段で標準電波を受信している間は、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時手段の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では前記表示手段の表示内容を更新せず、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に前記表示手段の表示内容を更新することを特徴とする。
【0008】
本発明において、メモリー性を有する表示手段とは、電力供給を継続しなくても所定時間、表示を継続できるメモリー性の表示デバイスである。このメモリー性の表示手段の具体例としては、例えば、EPD(Electrophoretic Display)等の電気泳動方式の表示装置等がある。
このような構成の本発明では、受信処理が行われていない間は、表示駆動制御手段が表示手段の動作を制御して、計時手段で計時した時刻を表示手段で表示する。
また、受信制御手段により受信手段が動作すると、表示駆動制御手段は、時間情報送信期間は表示手段の表示内容を更新しないため、所定の時間情報が送信されている間は、表示手段の駆動による外部ノイズが発生しない。このため、受信手段における受信感度の低下を防止でき、正しい時刻情報を受信できる確率も向上できる。
また、前記時間情報送信期間以外の予め設定された表示更新期間に、前記表示手段の表示内容を更新するため、受信動作中であっても定期的に表示を更新できる。このため、例えば、受信開始からの経過時間や、受信動作の残り時間などの受信経過を更新して表示したり、概略の現時刻を更新して表示できる。従って、従来のように、受信動作中に、表示更新を行わない場合に比べて、利用者は、受信動作中も状況を把握でき、利便性を向上できる。
【0009】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段で標準電波を受信している間に前記表示手段で表示される内容には、前記受信動作の進捗情報が含まれ、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に前記進捗情報の表示内容を更新することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、前記時間情報送信期間以外の予め設定された表示更新期間に、受信動作の残り時間などの進捗情報を更新して表示できる。従って、従来のように、受信動作中に表示更新を行わない場合に比べて、利用者は受信動作の進捗状況を把握でき、利便性を向上できる。
【0011】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間の際に、前記表示手段に表示されていた時刻に各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に、前記表示手段に表示されていた時刻を更新する。この際、更新前に表示されていた時刻に、各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新して表示するため、実際の時間経過に対応した時刻を表示し続けることができる。
例えば、前記表示更新期間が1分間隔で設定されている場合、表示駆動制御手段は、受信開始時に表示手段に表示されていた時刻に、前記1分を加算した時刻に表示を更新する。従って、受信開始時に8時15分と表示されていた場合、表示更新期間になると8時16分に更新され、次の表示更新期間になると8時17分に更新される。このため、利用者は、受信動作中であっても、大まかな現時刻を把握できる。
また、受信処理に必要な時間が把握できていれば、利用者は経過時間から受信の進捗情報を把握することもできる。例えば、受信処理に必要な時間が3分程度であると把握できている場合、受信開始が8時15分であれば、8時18分頃に受信処理が終了すると予測できる。このため、利用者は、時刻表示が8時16分、8時17分と更新された際に、受信完了までの残り時間も容易に把握できる。
【0013】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、前記時刻情報として日本標準時を含む標準電波を受信可能に構成され、前記表示駆動制御手段は、日本標準時を含む標準電波を受信する場合の前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの55秒から59秒の間に設定することが好ましい。
【0014】
日本標準時を含む標準電波(JJY)では、タイムコードフォーマットの55秒から59秒の4秒間は、データが割り当てられていない。このため、この期間に表示手段を駆動して表示内容を更新すれば、表示手段の駆動に伴い受信データにノイズが混入しても、正しい時刻情報を取得することができ、受信感度の低下を防止できる。
【0015】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの0秒から59秒の間の複数箇所に設定し、前記各表示更新期間において前記進捗情報の表示内容を更新することが好ましい。
【0016】
電波修正時計の計時手段は、基準クロックパルスに基づいて時刻を計時するクオーツ時計であるため、月差±20秒程度の精度を維持できる。従って、1日に1回程度の定期的な受信処理時には、時分秒のデータのみを取得して時刻修正を行うこともできる。
標準電波は、各国でタイムコードフォーマットが相違するが、前記時分秒のデータのほかに、年や日(1月1日からの通算日)等の各種データが含まれる。従って、時分秒データのみを受信して時刻修正を行うことができる場合には、時分秒データ以外の情報が送信される期間にも表示更新期間を設定することができる。例えば、前記JJYのタイムコードフォーマットにおいては、1秒から19秒の期間に「分」、「時」の情報が送信され、0秒のタイミングが毎正分(0秒)を表すため、0秒から19秒の期間で時分秒の情報を取得できる。従って、20秒から59秒までの期間に表示更新期間を複数設定することができる。例えば、25秒から29秒の期間に第1の表示更新期間を設定し、55秒から59秒の期間に第2の表示更新期間を設定すればよい。この場合、表示更新期間は、30秒間隔となるため、受信経過情報も30秒毎に更新表示することができ、より詳細な進捗情報を利用者に提示できる。
【0017】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、少なくとも前記時間情報送信期間は、前記表示手段をハイインピーダンス状態に維持することが好ましい。
ここで、表示手段をハイインピーダンス状態に維持するとは、表示手段を駆動回路から切り離すことである。例えば、表示手段に設けられた駆動電極および駆動回路間を繋ぐ信号ラインの途中をオープン(切断)状態とし、駆動回路から表示手段の駆動電極に駆動信号が入力されないようにすることである。
【0018】
本発明によれば、少なくとも前記時間情報送信期間は、表示手段をハイインピーダンス状態とし、駆動信号が表示手段に入力されることがないため、表示手段における外部ノイズの発生も確実に防止できる。このため、時間情報送信期間は、受信データに表示手段による外部ノイズが混入することがなく、受信感度の低下を確実に防止できる。
【0019】
本発明の電波修正時計において、前記表示手段は、電気泳動表示素子を用いて構成されていることが好ましい。
【0020】
電気泳動表示素子は、メモリー性を有する表示素子であり、かつ、視野角が広く、コントラストも高く、高品質の表示が可能である。従って、電波修正時計の表示手段として、電気泳動表示素子を用いれば、視認性が高く、高品質の時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態における時計を示す正面図である。
【図2】前記実施形態の時計の概略断面図である。
【図3】前記実施形態の時計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】前記実施形態のコントローラーの構成を示すブロック図である。
【図5】前記実施形態の表示パネルの断面図である。
【図6】前記実施形態のマイクロカプセルを示す模式図である。
【図7】前記実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図8】前記実施形態のフラグ設定工程を示すフローチャートである。
【図9】前記実施形態の第1受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図10】前記実施形態の受信処理時の表示パネルの表示内容を示す図である。
【図11】日本標準時を含む標準電波のタイムコードフォーマットを示す図である。
【図12】前記実施形態の第2受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態における受信処理時の表示パネルの表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明に関し、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態を図1〜図12を参照して説明する。
[全体構成]
図1は、本実施形態の電波修正時計1の正面図である。この時計1は、矩形環状のケース2と、表示モジュール3とを備える。また、ケース2には、各種操作を行うためのボタン4が設けられている。
ケース2には、図2の断面図に示すように、風防ガラス5、裏蓋6が取り付けられている。そして、この風防ガラス5および裏蓋6間の空間に、前記表示モジュール3が配置されている。
表示モジュール3は、後述するように、表示パネル30および回路ブロック9を備えて構成されている。表示パネル30は、プラスチック製の板材などからなるパネル枠39を介してケース2に支持されている。
【0024】
表示パネル30および風防ガラス5間には、太陽電池パネル7が配置されている。太陽電池パネル7は、風防ガラス5の外周に沿って、平面略矩形リング状でかつ薄板状に形成されている。この太陽電池パネル7は、風防ガラス5を透過した光を受光して発電できるように構成されている。また、太陽電池パネル7の内周側に開口71が形成され、表示モジュール3に表示される時刻情報等は、前記開口71から視認可能な範囲に表示されている。
【0025】
パネル枠39および裏蓋6間には、アンテナ8や前記回路ブロック9が配置されている。
アンテナ8は、アンテナコアに銅線が巻かれた一般的なバーアンテナである。なお、アンテナ8としては、バーアンテナに限らず、受信する電波の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0026】
回路ブロック(回路基板)9には、図3にも示すように、表示パネル30の表示駆動を制御する表示駆動回路40や、時計1を制御する制御回路50が設けられている。
制御回路50は、時計1全体を制御するコントローラー(制御部)51、水晶発振回路を備えて時刻を計時する計時部52、アンテナ8による受信を制御する受信回路53、ボタン4の操作を検出する検出回路54等を備えている。
また、コントローラー51、計時部52、受信回路53、検出回路54等は、二次電池55から供給される電力で駆動される。この二次電池55には、前記太陽電池パネル7で発電された電力が充電される。
なお、前記計時部52により本発明の計時手段が構成され、アンテナ8および受信回路53により本発明の受信手段が構成されている。
また、受信回路53は、標準電波を受信する受信部(RF部)と、受信部で受信した電波をデコードしてタイムコードを出力するデコード部とを備えた一般的な受信回路である。
【0027】
コントローラー51は、図4にも示すように、表示駆動制御手段511、時刻修正手段512、受信制御手段513を備える。
表示駆動制御手段511は、表示モジュール3の表示駆動を制御する。
時刻修正手段512は、標準電波の受信によって取得した時刻データを用いて、計時部52で計時している時刻(現時刻)を修正する。
受信制御手段513は、受信回路53の動作を制御する。
【0028】
そして、本実施形態の表示駆動制御手段511は、特に、受信回路53を作動して標準電波を受信している場合、時間情報送信期間では前記表示モジュール3の表示内容を更新せず、予め設定された表示更新期間に前記表示モジュール3の表示内容を更新する機能を備えている。ここで、前記時間情報送信期間とは、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時部52の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている期間を意味する。また、表示更新期間とは、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された期間を意味する。
【0029】
[表示モジュールの構成]
本発明の表示手段である表示モジュール3は、図3に示すように、表示パネル30と、表示駆動回路40とを備えている。表示駆動回路40は、回路ブロック(回路基板)9に取り付けられたドライバIC等で構成されている。そして、表示パネル30と回路ブロック9に設けられた表示駆動回路40とは、パネル枠39に形成されたスリットや溝などに設けられたフレキシブル基板45を介して電気的に接続されている。
この表示駆動回路40は、前記表示駆動制御手段511から出力される信号によって制御され、表示パネル30の表示制御を実行する。すなわち、前記表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御するために、図示しない画像信号処理回路やタイミングジェネレータを備えて構成されている。表示駆動制御手段511は、表示パネル30に表示させる画像や文字を示す表示データなどを生成し、表示駆動回路40に出力する。
【0030】
表示パネル30は、アクティブマトリックス駆動であり、各画素を駆動するためのTFT回路を備えている。
このため、表示駆動回路40は、TFT回路の走査線に所定の走査線信号を出力する走査線駆動回路41と、TFT回路のデータ線に所定のデータ線信号を出力するデータ線駆動回路42とを備えている。なお、各走査線駆動回路41およびデータ線駆動回路42は、前記走査線やデータ線との接続を切断し、表示パネル30をハイインピーダンス状態にもできるように構成されている。
【0031】
[表示パネルの構成]
表示パネル30は、図5に示すように、表面側から透明な表面樹脂31、共通電極32、電気泳動層33、画素電極34、TFT回路層35、裏面樹脂36が積層されて構成されている。
TFT回路層35には、前記走査線駆動回路41で駆動されるTFT回路が構成されている。TFT回路層35は、図示略のスイッチイング用のトランジスタや保持容量などが設けられている。そして、各トランジスタは、画素毎に設けられた画素電極34に接続されている。
【0032】
一方、共通電極32は、ITO(Indium Tin Oxide)などによる透明な電極材で構成されている。この共通電極32は、表示パネル30の略全体にわたって設けられている。すなわち、画素電極34は、表示パネル30の画素毎に設けられているが、共通電極32は各画素に対して共通なものとされている。
【0033】
電気泳動層33は、共通電極32に接着された複数のマイクロカプセル330を備えている。マイクロカプセル330は、図6にも示すように、電気泳動粒子分散液が封入されている。電気泳動粒子分散液は、絶縁性の透明な液体(分散媒)中に、黒色の電気泳動粒子(以下、黒粒子という)331と、白色の電気泳動粒子(以下、白粒子という)332とを分散させたものである。これら黒粒子331および白粒子332は、互いに異なる極性に帯電しており、本実施形態では、黒粒子331がマイナス(負)に帯電し、白粒子332がプラス(正)に帯電している。
【0034】
なお、本実施形態では、マイクロカプセル330の直径は約30μm(0.03mm)であり、黒粒子331の直径は10〜30nm、白粒子332の直径は100〜300nmである。
また、図5に示すように、画素電極34の幅寸法L1は約0.09mm、画素電極34間のギャップの幅寸法L2は約0.01mmである。
【0035】
なお、表示パネル30の側面は、表面樹脂31および裏面樹脂36に跨って設けられるシール剤などでシールされている。この表面樹脂31、裏面樹脂36およびシール剤によって、電気泳動層33等は密封されている。
【0036】
[電気泳動による表示]
各マイクロカプセル330の黒粒子331および白粒子332は、共通電極32および画素電極34間に電位差を生じさせることで電気泳動が行われ、表面樹脂31側から見た場合に各マイクロカプセル330の表示色が変化する。
すなわち、画素電極34がローレベル電位(L電位、図5では「−」と表示)であり、共通電極32がハイレベル電位(H電位)の場合、その電位差によって共通電極32から画素電極34に向かう電界が発生し、正に帯電した白粒子332が画素電極34側に移動するとともに、負に帯電した黒粒子331が共通電極32側に移動する。このため、共通電極32の電位に比べて画素電極34の電位が低い部分は、表面樹脂31側から視認した場合、黒色表示となる。
【0037】
この黒色表示の場合とは逆に、画素電極34をハイレベル電位(H電位、図5では「+」と表示)とし、共通電極32をローレベル電位(L電位)に切り替えた場合、電界の向きが逆転し、表示パネル30における表示は白色となる。
また、黒粒子331、白粒子332の移動量を電圧の印加時間に応じて調整することにより、黒と白との間の色階調の中間色表示も可能となっている。
なお、電界印加が停止されると、黒粒子331,白粒子332の移動も止まり、そのままの表示色が保持される。
【0038】
[電波受信制御処理]
次に、本実施形態の電波受信制御処理に関して説明する。この受信処理は、前記コントローラー51の受信制御手段513によって実行される。
受信制御手段513は、受信回路53を制御して受信処理を行うが、本実施形態ではこの受信処理の動作パターンとして、第1受信モードおよび第2受信モードが予め設定されている。
【0039】
ここで、第1受信モードは、標準電波の時刻情報のうち秒、分および時の情報のみを受信するモードであり、第2受信モードは、秒、分、時はもちろん通算日、年、曜日の情報を含めて標準電波の時刻情報をすべて受信するモードである。
【0040】
[受信開始確認工程]
受信制御手段513は、図7に示す受信動作制御が開始されると、予め設定された自動受信時刻に到達したかを確認する(ST1)。前記自動受信時刻は、例えば午前2時などの電波受信に適した時刻が設定される。
ST1で「No」の場合、受信制御手段513は、ボタン4による強制受信操作があったかを確認する(ST2)。
そして、前記自動受信時刻に到達するか(ST1:YES)、もしくは、ボタン4によって強制受信の操作が行われた場合(ST2:YES)には、受信制御手段513はフラグ設定処理(ST3)を行う。
一方、受信制御手段513は、ST1およびST2のいずれもが「No」の場合は、ST1,ST2の確認処理を繰り返す。このように受信処理が開始されていない間、コントローラー51の表示駆動制御手段511は、計時部52で計時される現時刻に基づいて、表示パネル30における現時刻表示を定期的(例えば1分毎)に更新する。
【0041】
[フラグ設定工程]
フラグ設定工程ST3では、受信制御手段513は、予め設定された条件に従って前記受信モードを設定し、受信モードを選択する際の判断マークとなるフラグAを書き換える。
ここで、フラグAは、1と0とに書き換え可能であり、「フラグA=1」(第1判断マーク)は第1受信モードの選択に対応し、「フラグA=0」(第2判断マーク)は、第2受信モードの選択に対応する。
【0042】
フラグ設定工程ST3の具体的な処理に関して、図8のフローチャートを参照して説明する。
受信制御手段513は、前回受信後(標準電波の受信に成功して時刻を修正した後)に計時部52がリセットされた場合(ST31:YES)、前回受信後にボタン4の操作(外部操作)で日情報や曜日情報等のカレンダー情報の修正が行われた場合(ST32:YES)、ボタン4の操作で強制受信が指令された場合(ST33:YES)、のいずれか一つでもあれば、フラグAを「0」に設定する(ST34)。
一方、ST31,ST32,ST33のいずれもが「No」であれば、受信制御手段513は、フラグAを「1」に設定する(ST35)。
【0043】
ここで、計時部52がリセットされた場合(ST31)をフラグ設定条件とするのは、計時部52がリセットされた場合には計時部52に現時刻の情報が存在しないので総ての時刻情報を受信することが必要となるからである。
計時部52の現時刻のうち日情報および曜日情報が外部操作で修正された場合(ST32)をフラグ設定条件とするのは、外部操作による修正が誤ってなされている可能性があり、第2受信モードで時刻情報のカレンダー情報(日、年、曜日)を含めて時刻情報を受信する必要があるからである。
ボタン4にて強制受信動作が指令された場合(ST33)を決定条件とするのは、ユーザーによって標準電波の受信による時刻修正が指示されたこととなるので、すべての桁(秒、分、時、日、曜日)の修正に万全を期すためであり、また、ユーザーによる強制受信操作は日中に行われることが多いと考えられるところ、日中は電波の受信状況が良好ではないために誤受信しやすいためである。
【0044】
逆に、計時部52がリセットされず(ST31:NO)、ボタン4の操作で計時部52の現時刻が修正されず(ST32:NO)、ボタン4の操作で強制受信が指令されない(ST33:YES)ことが総て満たされていれば、フラグAは「1」に設定される(ST35)。
【0045】
受信制御手段513は、フラグ設定工程ST3の終了後、設定されたフラグAを確認する(ST4)。このフラグAは、図8のフローチャートで説明した設定条件に応じて「フラグA=1」か「フラグA=0」に設定されている。
従って、受信制御手段513は、フラグAの状態(A=1orA=0)を確認し(ST4)、受信モードを選択する。
【0046】
[第1受信モードの受信処理]
まず、ST4において、フラグが「A=1」に設定されている場合(ST4:YES)の場合について説明する。
フラグがA=1に設定されている場合、受信制御手段513は、第1受信モードの受信処理を実行する(ST5)。
【0047】
第1受信モードが実行されると、図9に示すように、まず、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御して表示パネル30の表示を、時刻表示から受信表示に変更し、表示駆動回路40による表示パネル30の駆動を停止する(ST51)。
例えば、図10(A)に示すように、受信処理が開始されるまで、表示パネル30には現在時刻が表示されている。前述したように、この表示は、表示駆動制御手段511で制御され、計時部52で計時している現時刻に対応して1分間隔で更新される。
一方、ST51で受信表示変更処理が実行されると、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信処理中であることを示す内容(受信表示)を表示する。
本実施形態の表示駆動制御手段511は、図10(B)に示すように、受信表示として、受信開始時刻と、受信終了までの残り時間を表示する。受信表示としては、図10(B)の表示に限定されないが、受信状態であることに加えて、受信処理の経過時間や残り時間を表示し、ユーザーが受信処理の進捗状況を把握できるようにすることが望ましい。
【0048】
なお、本実施形態では、表示パネル30の駆動を停止する際に、表示駆動回路40によって走査線、データ線の接続を切断し、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持している。これにより、表示パネル30による外部ノイズの発生を確実に防止でき、アンテナ8および受信回路53による標準電波の受信感度低下を防止している。
また、表示パネル30は、前述のとおり、電気泳動表示素子を用いたメモリー性を有する表示手段である。このため、受信表示に変更後、表示パネル30の駆動を停止し、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持して駆動信号が入力されないようにしても、表示パネル30の表示は維持される。
【0049】
次に、受信制御手段513は、受信回路53を起動する(ST52)。そして、受信制御手段513は、秒同期および分同期を確立できたかを確認する(ST53)。例えば、日本の標準電波(JJY)では、1秒間隔でパルスが立ち上がるため、1秒間隔のパルス立ち上がりを検出することができれば秒同期を確立することができる。また、日本の標準電波では、図11に示すように、ポジションマーカー(P)が連続する部分がタイムコードの開始時点(0秒位置)となり、この連続するポジションマーカーPを検出することができれば分同期を確立することができる。
【0050】
ST53で同期を確立できたと判断した場合、受信制御手段513は、時間情報送信期間であるかを確認する(ST54)。ここで、第1受信モードでは、「秒、分、時」の時刻情報を受信するものである。このため、本実施形態では、第1受信モードでの時間情報送信期間はJJYのタイムコードフォーマットにおける「0〜19秒」の期間に設定されている。
なお、ST53で分同期が確立した場合は、ポジションマーカーPが連続する「0秒」のタイミングであるため、その直後に時間情報送信期間に入ることになる。従って、通常、受信制御手段513は、ST54では「Yes」と判断する。
【0051】
このため、受信制御手段513は、秒、分、時の情報を受信する(ST55)。この受信期間中は、前述したように、表示駆動制御手段511による表示パネル30の表示の更新は行われない。従って、表示パネル30には、ST51で表示した受信表示、つまり図10(B)の表示が続くことになる。
【0052】
次に、受信制御手段513は、第1表示更新期間になったか否かを確認する(ST56)。
ここで、表示更新期間は、前記時間情報送信期間以外で予め設定されている。前述したように、時間情報送信期間は「0〜19秒」であるため、「20〜59秒」の期間であれば表示更新期間を設定できる。そこで、本実施形態では、第1受信モードにおいては、第1表示更新期間として「25〜29秒」の期間を設定し、第2表示更新期間として「55〜59秒」の期間を設定している。なお、各表示更新期間を4秒間としているのは、本実施形態の表示パネル30の表示を更新するために必要な時間が最大で4秒程度であるためである。従って、表示パネル30における表示更新期間は、そのパネルにおける表示更新期間の長さ(時間)に基づいて設定すればよい。
【0053】
ST56で第1表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する。ここで、前述のように、各表示更新期間の間隔は30秒である。そこで、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を、図10(B)の受信表示に対して、30秒進んだ図10(C)の受信表示に更新する(ST57)。すなわち、図10(C)に示すように、分同期確立後の最初の第1表示更新期間であれば、時刻情報の受信処理から約30秒が経過したことになる。このため、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間の表示を、「3分」から「2分30秒」に更新する。
なお、表示パネル30の更新時には、表示駆動回路40は、表示パネル30の走査線、データ線を接続して、表示パネル30のハイインピーダンス状態を解除し、表示内容に応じた駆動信号を表示パネル30に入力する。
【0054】
表示駆動制御手段511は、第1表示更新期間(25〜29秒)の期間が過ぎると、表示駆動回路40の駆動を停止し、表示パネル30の表示更新も停止する。
また、受信制御手段513は、第2表示更新期間になったか否かを確認する(ST58)。
【0055】
ST58で第2表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する(ST59)。具体的には、図示を略すが、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間表示を「2分30秒」から「2分00秒」に更新する。
【0056】
そして、受信制御手段513は、受信に成功したかを判断する(ST60)。ここで、受信に成功したか否かの判断条件は適宜設定できる。
例えば、受信した時刻情報(時分秒)を、計時部52で計時している内部時刻と比較して一致している場合には受信成功と判断することもできる。この場合、1つの時刻情報を受信しただけで受信成功と判断できる場合もあるため、受信処理時間の平均値を短くできる。
また、複数(例えば3個)の時刻情報を受信し、各時刻情報が1分毎等の所定間隔のデータになっている場合に受信成功と判断してもよい。この場合、内部時刻と比較する必要がないため、内部時刻が誤っている場合や、リセットされている場合でも、正しい時刻を受信できたかを判断できる利点がある。
【0057】
受信制御手段513は、ST60で受信に成功したと判断した場合は、受信回路53を停止(OFF)し、第1受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、受信制御手段513は、ST60で受信成功条件に該当していないと判断した場合(ST60:No)は、受信処理がタイムオーバーになったかを判断する(ST62)。すなわち、受信処理は電力を消費するため、腕時計のような電池駆動の場合には長時間受信処理を継続することができない。特に、標準電波を受信し難い環境、例えば、ビル内や地下などの標準電波が到達しない環境に時計1が配置されている場合、受信処理を継続しても電波を受信できず、電力を無駄に消費する。そこで、受信処理を行う時間(例えば3分間)を予め設定し、その時間を経過した場合(ST62:Yes)には、受信制御手段513は受信回路53をオフして第1受信モードでの受信処理を終了するようにしている(ST61)。
なお、受信制御手段513は、ST53で秒同期および分同期を確立できない場合も、標準電波を受信できない環境にあると考えられるため、第1受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、ST62で「No」と判断された場合、ST54に戻って受信処理を継続する。
【0058】
図7に示すように、第1受信モードでの受信処理(ST5)が終了すると、表示駆動制御手段511は、受信に成功したか否かを判断する(ST7)。
そして、ST7で受信に成功している場合、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信に成功したことを表示する(ST8)。具体的には、表示駆動制御手段511は、図10(D)に示すように、表示パネル30に「SUCCESS」と表示し、受信に成功したことを表示する。
【0059】
続いて、時刻修正手段512は、受信した時刻情報(時分秒)を利用して、計時部52で計時している現時刻を修正する(ST9)。そして、表示駆動制御手段511は、図10(E)に示すように、計時部52の現時刻を表示パネル30に表示する(ST10)。
【0060】
一方、ST7で受信に失敗したと判断された場合、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信に失敗したことを表示する(ST11)。具体的には、表示駆動制御手段511は、図示を略すが、表示パネル30に「ERROR」等と表示し、受信に失敗したことを表示する。
【0061】
時刻修正手段512は、受信に失敗した場合、計時部52で計時されている時刻を修正しない。
そして、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を一定間隔(例えば1分間隔)で更新し、計時部52で計時している時刻を表示する(ST10)。
【0062】
以上により、受信処理が終了する。その後は、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を一定間隔(例えば1分間隔)で更新し、計時部52で計時している現時刻を表示する。
【0063】
[第2受信モード]
次に、ST4において、フラグが「A=0」に設定されている場合(ST4:No)の場合について説明する。
フラグがA=0に設定されている場合、受信制御手段513は、第2受信モードの受信処理を実行する(ST6)。
【0064】
受信制御手段513は、第2受信モードにおいては、図12に示す処理を実行する。なお、第1受信モードと同じ処理に関しては同じ符号を付して説明を簡略または省略する。
第2受信モードにおいても、第1受信モードと同様に、まず、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御して表示パネル30の表示を、時刻表示から受信表示に変更し、表示駆動回路40による表示パネル30の駆動を停止する(ST51)。
【0065】
次に、受信制御手段513は、受信回路53を起動する(ST52)。そして、受信制御手段513は、秒同期および分同期を確立できたかを確認する(ST53)。
ST53で同期を確立できたと判断した場合、受信制御手段513は、時間情報送信期間であるかを確認する(ST54)。ここで、第2受信モードでは、全時刻情報、つまり秒、分、時に加えて、1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日、うるう秒の各情報を受信する。このため、本実施形態では、第2受信モードでの時間情報送信期間はJJYのタイムコードフォーマットにおける「0〜54秒」の期間に設定されている。
【0066】
受信制御手段513は、全時刻情報を受信する(ST65)。この受信期間中は、前述したように、表示駆動制御手段511による表示パネル30の表示の更新は行われない。従って、表示パネル30には、ST51で表示した受信表示、つまり図10(B)の表示が保持され続ける。
【0067】
次に、受信制御手段513は、表示更新期間になったか否かを確認する(ST66)。
ここで、表示更新期間は、前記時間情報送信期間以外で予め設定されている。前述したように、時間情報送信期間は「0〜54秒」であるため、表示更新期間は「55〜59秒」の期間とされている。
【0068】
ST66で表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する。ここで、前述のように、表示更新期間の間隔は60秒である。そこで、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を、図10(B)の受信表示に対して、60秒進んだ受信表示に更新する(ST67)。すなわち、分同期確立後の最初の第1表示更新期間であれば、時刻情報の受信処理から約60秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間の表示を、「3分」から「2分」に更新する。
【0069】
表示駆動制御手段511は、表示更新期間(55〜59秒)が過ぎると、表示駆動回路40の駆動を停止し、表示パネル30の表示更新も停止する。
本実施形態においても、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示更新停止時は、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持している。
【0070】
そして、受信制御手段513は、受信に成功したかを判断する(ST60)。第2受信モードにおける受信成功の判断条件は、第1受信モードと同じものにしてもよいし、別途設定してもよい。
例えば、受信した時刻情報(時分秒)を計時部52で計時している内部時刻と比較して判断してもよいし、複数(例えば3個)の時刻情報を受信し、各時刻情報が1分毎等の所定間隔のデータになっているかで判断してもよい。
【0071】
受信制御手段513は、ST60で受信に成功したと判断した場合は、受信回路53を停止し、第2受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、受信制御手段513は、ST60で受信成功条件に該当していないと判断した場合(ST60:No)は、受信処理がタイムオーバーになったかを判断する(ST62)。
ST62で「No」と判断された場合、ST54に戻って受信処理を継続する。ST62で「Yes」と判断された場合、受信回路をオフして受信処理を終了する(ST61)。
なお、第2受信モードにおいても、ST53で秒同期および分同期を確立できない場合は、受信回路をオフして受信処理を終了する(ST61)。
【0072】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)標準電波の受信処理において、計時部52の時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間は、表示パネル30の表示の更新を行わないため、表示パネル30の駆動によるノイズ発生を防止できる。このため、アンテナ8および受信回路53からなる受信手段における受信感度の低下を防止でき、正しい時刻情報を受信できる。このため、計時部52で計時されている現時刻を正しい時刻に修正できる。
【0073】
(2)また、時間情報送信期間は、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持しているので、表示パネル30に加わる電圧を0にでき、ハイインピーダンス状態に維持しない場合に比べて、ノイズ発生をより防止できる。このため、受信手段の感度低下をより防止でき、正しい時刻情報を受信できる確率も向上できる。
【0074】
(3)さらに、時間情報送信期間以外に設定された表示更新期間に、表示パネル30の表示内容を更新しているので、受信処理期間中であっても、現在受信中であることや、受信処理の進捗状況を表示することができる。すなわち、本実施形態では、受信経過時間に基づいて受信終了までの残り時間を30秒間隔または60秒間隔で更新表示しているので、利用者は、受信終了までの時間を容易に把握できる。このため、利用者は、受信処理に適した状態に電波修正時計1を維持することもでき、受信に成功する確率も向上できる。
【0075】
(4)本実施形態では、第1受信モードでは、1つのタイムコードフォーマットにおいて、第1表示更新期間および第2表示更新期間の2つの表示更新期間を設定している。このため、表示パネル30の表示内容の更新を60秒間で2回行え、受信処理の進捗状態の表示更新を第2受信モード時より細かく行うことができる。
その上、各表示更新期間の間隔が30秒間隔であるため、一定間隔で受信処理の残り時間を表示でき、利用者は違和感なく、残り時間を把握できる。また、前記表示更新期間の間隔が30秒であるため、残り時間の表示も初期表示時間(例えば3分)から30秒ごとカウントダウンした時間を表示しているので、利用者は違和感なく、残り時間を把握できる。
【0076】
(5)さらに、すべての時刻情報を受信する第2受信モードでは、予め時間情報が設定されていない55〜59秒の期間に表示更新期間を設定しているので、すべての時間情報を取得する場合でも、その情報取得時にノイズが発生することを防止できる。このため、特に計時部52のリセット時や、時刻を手動修正した場合や、強制受信操作時に、正しい時刻情報を取得できる可能性も高まり、計時部52の計時時刻を正しい現時刻に修正することができる。
【0077】
(6)表示パネル30として電気泳動表示素子を用いているので、表示パネル30をハイインピーダンス状態とした場合でも、表示を更新することはできないが、表示を維持することはできる。このため、表示パネル30を駆動するための消費電力も低減できる。
さらに、電気泳動表示素子は、視野角が広く、コントラストも高く、高品質の表示が可能であるため、視認性が高く、高品質の電波修正時計1を提供できる。
【0078】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図13を参照して説明する。
第1実施形態では、TFT回路を用いたアクティブマトリックス駆動回路を用いたドットマトリックス方式の表示パネル30を用いていた。
これに対し、第2実施形態は、数字などの表示パターンに応じた形状の電極を有するセグメント方式の表示パネル300を用いている。
【0079】
すなわち、図13に示すように、表示パネル300には、時刻を表示するためのセグメント電極と、受信状態を表示するためのセグメント電極とが設けられている。
具体的には、時刻を表示するために、午前・午後を示す英字「AM、PM」を表示するセグメント電極301と、時および分の数字およびコロン「:」を表示するためのセグメント電極302とが設けられている。
また、受信状態を表示するために、「受信開始」の文字を表示するセグメント電極305と、「RECEIVE」の文字を表示するセグメント電極306と、受信進捗状況を示すバーグラフを表示するセグメント電極307とを備えている。
ここで、本実施形態のセグメント電極307は、6個の目盛りを表示できるように、6分割されており、1つの目盛りは受信処理の経過時間30秒に対応するように設定されている。なお、本実施形態では、ST62のタイムオーバーの判断閾値を3分に設定しているため、受信経過を示すバー表示も3分に対応するものとしている。
この表示パネル300以外の構成は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0080】
このような第2実施形態の電波修正時計1においては、受信処理が行われていない間は、図13(A)に示すように、セグメント電極301、セグメント電極302を用いて時刻表示が行われる。具体的には、前記実施形態と同様に、表示駆動制御手段511は、1分間隔で表示パネル300の表示を更新する。
【0081】
一方、予め設定した受信時刻になった場合や、強制受信操作が行われて受信処理が開始されると、前記第1実施形態と同じく図7〜9、12のフローチャートに従って処理が行われる。
ここで、図9のST51においては、表示駆動制御手段511は、図13(B)に示すように、セグメント電極305、セグメント電極306を駆動して、「受信開始」、「RECEIVE」を表示する。また、セグメント電極301,電極302による時刻表示は、ST51の処理タイミングで表示されている時刻のままに維持する。
【0082】
そして、第1受信モードの場合は、受信開始から最初の第1表示更新期間になった場合(ST56:Yes)、受信開始から30秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、表示更新処理ST57でセグメント電極307の左から一つ目の電極307Aを表示し、30秒経過したことを表示する。
【0083】
また、受信開始から最初の第2表示更新期間になった場合(ST58:Yes)、受信開始から60秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、表示更新処理ST57でセグメント電極307の左から二つ目までの電極307A,307Bを表示し、60秒経過したことを表示するとともに、セグメント電極302の時刻表示を1分進めた時刻に変更して更新する。
なお、ST59での時刻表示の更新は、ST51の時点での表示時刻に1分を加えた時刻である。ここで、ST59の処理が行われる迄の実際の受信処理の経過時間は、ST51の処理からST53の同期確立処理を経て、タイムコードフォーマットの0〜55秒経過時点であるから、必ずしも正確に1分(60秒)が経過している訳ではない。ただし、通常は、ST51の処理後、約1〜2分程度でST59の処理が行われるので、実際の時刻との誤差も1分以内程度であり、概略の時刻表示としては問題ない。
【0084】
そして、受信処理が継続し、2回目の第1表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から3番目までの電極307A〜307Cを表示する(ST57)。さらに、2回目の第2表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から4番目までの電極307A〜307Dを表示し、セグメント電極302による表示を、表示時刻に1分を加えた時刻に更新する。
【0085】
さらに、受信処理が継続し、3回目の第1表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から5番目までの電極307A〜307Eを表示する(ST57)。さらに、3回目の第2表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から6番目までの電極307A〜307Fを表示し、セグメント電極302による表示を、表示時刻に1分を加えた時刻に更新する。
【0086】
そして、前記第1実施形態と同様に、本実施形態の電波修正時計1も、受信処理が終了すると、図7に示すST8〜ST11の処理を行って、通常の時刻表示に戻る。
なお、本実施形態において、受信成功や失敗を表示する場合、表示パネル300にそれらを示すセグメント電極を設けて表示してもよいし、セグメント電極305,306,307等による表示を、一定時間表示し続けたり、点滅することで、受信成功と失敗とを表示するようにしてもよい。
【0087】
また、第2受信モードの場合は、表示更新期間が1分間隔であるため、表示更新期間に達する毎に、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307を2つの目盛りごとに表示し、時刻表示を1分加えた時刻に更新する点を除き、第1受信モードと同じ処理を行う。
さらに、本実施形態でも、表示パネル300の表示を更新しない期間(時間情報送信期間)は、表示パネル300をハイインピーダンス状態に維持し、ノイズの発生を抑えている。
【0088】
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
その上、表示パネル300においては、受信処理の進捗状態を、セグメント電極307を用いてバーグラフで表示しているので、利用者は進捗状態を直感的に把握でき、利便性を向上できる。
また、表示更新期間に、前記セグメント電極307によるバーグラフ表示を更新するだけでなく、セグメント電極302による時刻表示を更新しているので、利用者は、受信中であっても概略の時刻を把握でき、この点でも利便性を向上できる。
【0089】
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0090】
前記実施形態では、黒粒子331および白粒子332による白黒二粒子系の電気泳動表示素子を用いて表示パネル30を構成していたが、これに限らず、青白等の一粒子系の電気泳動表示素子を用いても良く、また、カラー表示が可能な電気泳動表示素子を用いてもよい。
また、表示パネル30、300としては、前記実施形態のEPDに限らず、他のメモリー性表示装置、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)、強誘電液晶、コレステリック液晶等の各種のメモリー性を有する表示装置を利用してもよい。
【0091】
前記実施形態では、表示パネル30、300において、表示更新を停止している間は、表示パネル30、300をハイインピーダンス状態としていたが、必ずしもハイインピーダンス状態にしなくてもよい。要するに、本発明では、時間情報送信期間は、表示パネル30、300の表示更新を行わないように制御すればよい。
【0092】
前記各実施形態では、表示パネル30、300の表示更新期間に、受信回路53を停止することはしていない。これは、表示更新時の受信データはもともと利用されないので、ノイズが混入した信号を受信しても、その部分の情報は時間情報として使用しないためである。
一方、表示パネル30、300の表示更新期間に、受信回路53を停止して消費電力を低減しても良い。特に、受信回路53におけるデコード部を停止させると、消費電力低減に効果的である。
【0093】
本発明は、日本標準時を含む標準電波を受信する場合だけでなく、ドイツ、イギリス、アメリカなどの様々な標準電波を受信する場合にも適用できる。この際、時間情報送信期間および表示更新期間は、各種の標準電波におけるタイムコードフォーマットに基づいて設定すればよい。
また、前記各実施形態では、第1受信モード時に2つの表示更新期間を設定していたが、3つ以上の表示更新期間を設定してもよい。この表示更新期間の数や期間も、各タイムコードフォーマットに基づいて設定すればよい。
さらに、表示更新期間に更新する表示の内容は、前記各実施形態のものに限らない。例えば、受信電波の強度や、受信している標準電波の種類など、受信処理に関する各種情報を表示してもよい。
【0094】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…電波修正時計、3…表示モジュール、7…太陽電池パネル、8…アンテナ、9…回路ブロック、30…表示パネル、33…電気泳動層、40…表示駆動回路、50…制御回路、51…コントローラー、52…計時部、53…受信回路、54…検出回路、55…二次電池、300…表示パネル、301,302,305,306,307…セグメント電極、331…黒粒子、332…白粒子、511…表示駆動制御手段、512…時刻修正手段、513…受信制御手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計に関し、特に、メモリー性を有する表示装置を備えた電波修正時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を受信して時刻修正を行う電波時計部を有するメモリー性液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、表示装置に駆動電圧を印加すると受信時にノイズが発生するため、電波時計部が時刻情報を受信している間は、メモリー性液晶表示装置の反転表示を行わないことが記載されている(特許文献1の段落0040)。
すなわち、前記メモリー性液晶表示装置は、表示装置に駆動電圧を印加する際にノイズが発生し、このノイズがアンテナにおける電波受信に悪影響を与えるため、受信時には表示を更新しないように制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−23481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、時刻情報を含む電波である標準電波、例えば日本標準時を含む標準電波JJY(登録商標)は、1分間で1つの時刻情報(タイムコード)を送信している。この時刻情報にはノイズが含まれている可能性もあるため、一般に、複数個の時刻情報を受信して比較評価し、正しい時刻情報を取得している。このため、標準電波を受信して時刻修正を行う電波修正時計は、通常、3〜10分程度の受信を行って時刻を修正している。
【0005】
このため、上記特許文献1のように、受信中、表示装置の表示を更新しない場合、表示が停止した状態が3〜10分程度継続することになる。この間は、利用者は、時計の表示に変化がない状態で数分間待たされ、受信処理終了までの残り時間も分からないため、処理状況が把握できない。特に、電波受信中の時計は静止状態に維持することが受信感度を低下させない点で好ましいが、利用者は静止状態を維持すべき残り時間が把握できず、利便性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、電波受信感度の低下を防止し、かつ、受信中の受信経過を表示することができる電波修正時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電波修正時計は、基準クロックパルスに基づいて時刻を計時する計時手段と、前記計時手段で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示手段と、前記表示手段の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段の計時時刻を修正する時刻修正手段と、前記受信手段の受信動作を制御する受信制御手段と、を備え、前記表示駆動制御手段は、前記受信手段で標準電波を受信している間は、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時手段の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では前記表示手段の表示内容を更新せず、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に前記表示手段の表示内容を更新することを特徴とする。
【0008】
本発明において、メモリー性を有する表示手段とは、電力供給を継続しなくても所定時間、表示を継続できるメモリー性の表示デバイスである。このメモリー性の表示手段の具体例としては、例えば、EPD(Electrophoretic Display)等の電気泳動方式の表示装置等がある。
このような構成の本発明では、受信処理が行われていない間は、表示駆動制御手段が表示手段の動作を制御して、計時手段で計時した時刻を表示手段で表示する。
また、受信制御手段により受信手段が動作すると、表示駆動制御手段は、時間情報送信期間は表示手段の表示内容を更新しないため、所定の時間情報が送信されている間は、表示手段の駆動による外部ノイズが発生しない。このため、受信手段における受信感度の低下を防止でき、正しい時刻情報を受信できる確率も向上できる。
また、前記時間情報送信期間以外の予め設定された表示更新期間に、前記表示手段の表示内容を更新するため、受信動作中であっても定期的に表示を更新できる。このため、例えば、受信開始からの経過時間や、受信動作の残り時間などの受信経過を更新して表示したり、概略の現時刻を更新して表示できる。従って、従来のように、受信動作中に、表示更新を行わない場合に比べて、利用者は、受信動作中も状況を把握でき、利便性を向上できる。
【0009】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段で標準電波を受信している間に前記表示手段で表示される内容には、前記受信動作の進捗情報が含まれ、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に前記進捗情報の表示内容を更新することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、前記時間情報送信期間以外の予め設定された表示更新期間に、受信動作の残り時間などの進捗情報を更新して表示できる。従って、従来のように、受信動作中に表示更新を行わない場合に比べて、利用者は受信動作の進捗状況を把握でき、利便性を向上できる。
【0011】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間の際に、前記表示手段に表示されていた時刻に各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に、前記表示手段に表示されていた時刻を更新する。この際、更新前に表示されていた時刻に、各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新して表示するため、実際の時間経過に対応した時刻を表示し続けることができる。
例えば、前記表示更新期間が1分間隔で設定されている場合、表示駆動制御手段は、受信開始時に表示手段に表示されていた時刻に、前記1分を加算した時刻に表示を更新する。従って、受信開始時に8時15分と表示されていた場合、表示更新期間になると8時16分に更新され、次の表示更新期間になると8時17分に更新される。このため、利用者は、受信動作中であっても、大まかな現時刻を把握できる。
また、受信処理に必要な時間が把握できていれば、利用者は経過時間から受信の進捗情報を把握することもできる。例えば、受信処理に必要な時間が3分程度であると把握できている場合、受信開始が8時15分であれば、8時18分頃に受信処理が終了すると予測できる。このため、利用者は、時刻表示が8時16分、8時17分と更新された際に、受信完了までの残り時間も容易に把握できる。
【0013】
本発明の電波修正時計において、前記受信手段は、前記時刻情報として日本標準時を含む標準電波を受信可能に構成され、前記表示駆動制御手段は、日本標準時を含む標準電波を受信する場合の前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの55秒から59秒の間に設定することが好ましい。
【0014】
日本標準時を含む標準電波(JJY)では、タイムコードフォーマットの55秒から59秒の4秒間は、データが割り当てられていない。このため、この期間に表示手段を駆動して表示内容を更新すれば、表示手段の駆動に伴い受信データにノイズが混入しても、正しい時刻情報を取得することができ、受信感度の低下を防止できる。
【0015】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの0秒から59秒の間の複数箇所に設定し、前記各表示更新期間において前記進捗情報の表示内容を更新することが好ましい。
【0016】
電波修正時計の計時手段は、基準クロックパルスに基づいて時刻を計時するクオーツ時計であるため、月差±20秒程度の精度を維持できる。従って、1日に1回程度の定期的な受信処理時には、時分秒のデータのみを取得して時刻修正を行うこともできる。
標準電波は、各国でタイムコードフォーマットが相違するが、前記時分秒のデータのほかに、年や日(1月1日からの通算日)等の各種データが含まれる。従って、時分秒データのみを受信して時刻修正を行うことができる場合には、時分秒データ以外の情報が送信される期間にも表示更新期間を設定することができる。例えば、前記JJYのタイムコードフォーマットにおいては、1秒から19秒の期間に「分」、「時」の情報が送信され、0秒のタイミングが毎正分(0秒)を表すため、0秒から19秒の期間で時分秒の情報を取得できる。従って、20秒から59秒までの期間に表示更新期間を複数設定することができる。例えば、25秒から29秒の期間に第1の表示更新期間を設定し、55秒から59秒の期間に第2の表示更新期間を設定すればよい。この場合、表示更新期間は、30秒間隔となるため、受信経過情報も30秒毎に更新表示することができ、より詳細な進捗情報を利用者に提示できる。
【0017】
本発明の電波修正時計において、前記表示駆動制御手段は、少なくとも前記時間情報送信期間は、前記表示手段をハイインピーダンス状態に維持することが好ましい。
ここで、表示手段をハイインピーダンス状態に維持するとは、表示手段を駆動回路から切り離すことである。例えば、表示手段に設けられた駆動電極および駆動回路間を繋ぐ信号ラインの途中をオープン(切断)状態とし、駆動回路から表示手段の駆動電極に駆動信号が入力されないようにすることである。
【0018】
本発明によれば、少なくとも前記時間情報送信期間は、表示手段をハイインピーダンス状態とし、駆動信号が表示手段に入力されることがないため、表示手段における外部ノイズの発生も確実に防止できる。このため、時間情報送信期間は、受信データに表示手段による外部ノイズが混入することがなく、受信感度の低下を確実に防止できる。
【0019】
本発明の電波修正時計において、前記表示手段は、電気泳動表示素子を用いて構成されていることが好ましい。
【0020】
電気泳動表示素子は、メモリー性を有する表示素子であり、かつ、視野角が広く、コントラストも高く、高品質の表示が可能である。従って、電波修正時計の表示手段として、電気泳動表示素子を用いれば、視認性が高く、高品質の時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態における時計を示す正面図である。
【図2】前記実施形態の時計の概略断面図である。
【図3】前記実施形態の時計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】前記実施形態のコントローラーの構成を示すブロック図である。
【図5】前記実施形態の表示パネルの断面図である。
【図6】前記実施形態のマイクロカプセルを示す模式図である。
【図7】前記実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図8】前記実施形態のフラグ設定工程を示すフローチャートである。
【図9】前記実施形態の第1受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図10】前記実施形態の受信処理時の表示パネルの表示内容を示す図である。
【図11】日本標準時を含む標準電波のタイムコードフォーマットを示す図である。
【図12】前記実施形態の第2受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態における受信処理時の表示パネルの表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明に関し、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態を図1〜図12を参照して説明する。
[全体構成]
図1は、本実施形態の電波修正時計1の正面図である。この時計1は、矩形環状のケース2と、表示モジュール3とを備える。また、ケース2には、各種操作を行うためのボタン4が設けられている。
ケース2には、図2の断面図に示すように、風防ガラス5、裏蓋6が取り付けられている。そして、この風防ガラス5および裏蓋6間の空間に、前記表示モジュール3が配置されている。
表示モジュール3は、後述するように、表示パネル30および回路ブロック9を備えて構成されている。表示パネル30は、プラスチック製の板材などからなるパネル枠39を介してケース2に支持されている。
【0024】
表示パネル30および風防ガラス5間には、太陽電池パネル7が配置されている。太陽電池パネル7は、風防ガラス5の外周に沿って、平面略矩形リング状でかつ薄板状に形成されている。この太陽電池パネル7は、風防ガラス5を透過した光を受光して発電できるように構成されている。また、太陽電池パネル7の内周側に開口71が形成され、表示モジュール3に表示される時刻情報等は、前記開口71から視認可能な範囲に表示されている。
【0025】
パネル枠39および裏蓋6間には、アンテナ8や前記回路ブロック9が配置されている。
アンテナ8は、アンテナコアに銅線が巻かれた一般的なバーアンテナである。なお、アンテナ8としては、バーアンテナに限らず、受信する電波の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0026】
回路ブロック(回路基板)9には、図3にも示すように、表示パネル30の表示駆動を制御する表示駆動回路40や、時計1を制御する制御回路50が設けられている。
制御回路50は、時計1全体を制御するコントローラー(制御部)51、水晶発振回路を備えて時刻を計時する計時部52、アンテナ8による受信を制御する受信回路53、ボタン4の操作を検出する検出回路54等を備えている。
また、コントローラー51、計時部52、受信回路53、検出回路54等は、二次電池55から供給される電力で駆動される。この二次電池55には、前記太陽電池パネル7で発電された電力が充電される。
なお、前記計時部52により本発明の計時手段が構成され、アンテナ8および受信回路53により本発明の受信手段が構成されている。
また、受信回路53は、標準電波を受信する受信部(RF部)と、受信部で受信した電波をデコードしてタイムコードを出力するデコード部とを備えた一般的な受信回路である。
【0027】
コントローラー51は、図4にも示すように、表示駆動制御手段511、時刻修正手段512、受信制御手段513を備える。
表示駆動制御手段511は、表示モジュール3の表示駆動を制御する。
時刻修正手段512は、標準電波の受信によって取得した時刻データを用いて、計時部52で計時している時刻(現時刻)を修正する。
受信制御手段513は、受信回路53の動作を制御する。
【0028】
そして、本実施形態の表示駆動制御手段511は、特に、受信回路53を作動して標準電波を受信している場合、時間情報送信期間では前記表示モジュール3の表示内容を更新せず、予め設定された表示更新期間に前記表示モジュール3の表示内容を更新する機能を備えている。ここで、前記時間情報送信期間とは、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時部52の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている期間を意味する。また、表示更新期間とは、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された期間を意味する。
【0029】
[表示モジュールの構成]
本発明の表示手段である表示モジュール3は、図3に示すように、表示パネル30と、表示駆動回路40とを備えている。表示駆動回路40は、回路ブロック(回路基板)9に取り付けられたドライバIC等で構成されている。そして、表示パネル30と回路ブロック9に設けられた表示駆動回路40とは、パネル枠39に形成されたスリットや溝などに設けられたフレキシブル基板45を介して電気的に接続されている。
この表示駆動回路40は、前記表示駆動制御手段511から出力される信号によって制御され、表示パネル30の表示制御を実行する。すなわち、前記表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御するために、図示しない画像信号処理回路やタイミングジェネレータを備えて構成されている。表示駆動制御手段511は、表示パネル30に表示させる画像や文字を示す表示データなどを生成し、表示駆動回路40に出力する。
【0030】
表示パネル30は、アクティブマトリックス駆動であり、各画素を駆動するためのTFT回路を備えている。
このため、表示駆動回路40は、TFT回路の走査線に所定の走査線信号を出力する走査線駆動回路41と、TFT回路のデータ線に所定のデータ線信号を出力するデータ線駆動回路42とを備えている。なお、各走査線駆動回路41およびデータ線駆動回路42は、前記走査線やデータ線との接続を切断し、表示パネル30をハイインピーダンス状態にもできるように構成されている。
【0031】
[表示パネルの構成]
表示パネル30は、図5に示すように、表面側から透明な表面樹脂31、共通電極32、電気泳動層33、画素電極34、TFT回路層35、裏面樹脂36が積層されて構成されている。
TFT回路層35には、前記走査線駆動回路41で駆動されるTFT回路が構成されている。TFT回路層35は、図示略のスイッチイング用のトランジスタや保持容量などが設けられている。そして、各トランジスタは、画素毎に設けられた画素電極34に接続されている。
【0032】
一方、共通電極32は、ITO(Indium Tin Oxide)などによる透明な電極材で構成されている。この共通電極32は、表示パネル30の略全体にわたって設けられている。すなわち、画素電極34は、表示パネル30の画素毎に設けられているが、共通電極32は各画素に対して共通なものとされている。
【0033】
電気泳動層33は、共通電極32に接着された複数のマイクロカプセル330を備えている。マイクロカプセル330は、図6にも示すように、電気泳動粒子分散液が封入されている。電気泳動粒子分散液は、絶縁性の透明な液体(分散媒)中に、黒色の電気泳動粒子(以下、黒粒子という)331と、白色の電気泳動粒子(以下、白粒子という)332とを分散させたものである。これら黒粒子331および白粒子332は、互いに異なる極性に帯電しており、本実施形態では、黒粒子331がマイナス(負)に帯電し、白粒子332がプラス(正)に帯電している。
【0034】
なお、本実施形態では、マイクロカプセル330の直径は約30μm(0.03mm)であり、黒粒子331の直径は10〜30nm、白粒子332の直径は100〜300nmである。
また、図5に示すように、画素電極34の幅寸法L1は約0.09mm、画素電極34間のギャップの幅寸法L2は約0.01mmである。
【0035】
なお、表示パネル30の側面は、表面樹脂31および裏面樹脂36に跨って設けられるシール剤などでシールされている。この表面樹脂31、裏面樹脂36およびシール剤によって、電気泳動層33等は密封されている。
【0036】
[電気泳動による表示]
各マイクロカプセル330の黒粒子331および白粒子332は、共通電極32および画素電極34間に電位差を生じさせることで電気泳動が行われ、表面樹脂31側から見た場合に各マイクロカプセル330の表示色が変化する。
すなわち、画素電極34がローレベル電位(L電位、図5では「−」と表示)であり、共通電極32がハイレベル電位(H電位)の場合、その電位差によって共通電極32から画素電極34に向かう電界が発生し、正に帯電した白粒子332が画素電極34側に移動するとともに、負に帯電した黒粒子331が共通電極32側に移動する。このため、共通電極32の電位に比べて画素電極34の電位が低い部分は、表面樹脂31側から視認した場合、黒色表示となる。
【0037】
この黒色表示の場合とは逆に、画素電極34をハイレベル電位(H電位、図5では「+」と表示)とし、共通電極32をローレベル電位(L電位)に切り替えた場合、電界の向きが逆転し、表示パネル30における表示は白色となる。
また、黒粒子331、白粒子332の移動量を電圧の印加時間に応じて調整することにより、黒と白との間の色階調の中間色表示も可能となっている。
なお、電界印加が停止されると、黒粒子331,白粒子332の移動も止まり、そのままの表示色が保持される。
【0038】
[電波受信制御処理]
次に、本実施形態の電波受信制御処理に関して説明する。この受信処理は、前記コントローラー51の受信制御手段513によって実行される。
受信制御手段513は、受信回路53を制御して受信処理を行うが、本実施形態ではこの受信処理の動作パターンとして、第1受信モードおよび第2受信モードが予め設定されている。
【0039】
ここで、第1受信モードは、標準電波の時刻情報のうち秒、分および時の情報のみを受信するモードであり、第2受信モードは、秒、分、時はもちろん通算日、年、曜日の情報を含めて標準電波の時刻情報をすべて受信するモードである。
【0040】
[受信開始確認工程]
受信制御手段513は、図7に示す受信動作制御が開始されると、予め設定された自動受信時刻に到達したかを確認する(ST1)。前記自動受信時刻は、例えば午前2時などの電波受信に適した時刻が設定される。
ST1で「No」の場合、受信制御手段513は、ボタン4による強制受信操作があったかを確認する(ST2)。
そして、前記自動受信時刻に到達するか(ST1:YES)、もしくは、ボタン4によって強制受信の操作が行われた場合(ST2:YES)には、受信制御手段513はフラグ設定処理(ST3)を行う。
一方、受信制御手段513は、ST1およびST2のいずれもが「No」の場合は、ST1,ST2の確認処理を繰り返す。このように受信処理が開始されていない間、コントローラー51の表示駆動制御手段511は、計時部52で計時される現時刻に基づいて、表示パネル30における現時刻表示を定期的(例えば1分毎)に更新する。
【0041】
[フラグ設定工程]
フラグ設定工程ST3では、受信制御手段513は、予め設定された条件に従って前記受信モードを設定し、受信モードを選択する際の判断マークとなるフラグAを書き換える。
ここで、フラグAは、1と0とに書き換え可能であり、「フラグA=1」(第1判断マーク)は第1受信モードの選択に対応し、「フラグA=0」(第2判断マーク)は、第2受信モードの選択に対応する。
【0042】
フラグ設定工程ST3の具体的な処理に関して、図8のフローチャートを参照して説明する。
受信制御手段513は、前回受信後(標準電波の受信に成功して時刻を修正した後)に計時部52がリセットされた場合(ST31:YES)、前回受信後にボタン4の操作(外部操作)で日情報や曜日情報等のカレンダー情報の修正が行われた場合(ST32:YES)、ボタン4の操作で強制受信が指令された場合(ST33:YES)、のいずれか一つでもあれば、フラグAを「0」に設定する(ST34)。
一方、ST31,ST32,ST33のいずれもが「No」であれば、受信制御手段513は、フラグAを「1」に設定する(ST35)。
【0043】
ここで、計時部52がリセットされた場合(ST31)をフラグ設定条件とするのは、計時部52がリセットされた場合には計時部52に現時刻の情報が存在しないので総ての時刻情報を受信することが必要となるからである。
計時部52の現時刻のうち日情報および曜日情報が外部操作で修正された場合(ST32)をフラグ設定条件とするのは、外部操作による修正が誤ってなされている可能性があり、第2受信モードで時刻情報のカレンダー情報(日、年、曜日)を含めて時刻情報を受信する必要があるからである。
ボタン4にて強制受信動作が指令された場合(ST33)を決定条件とするのは、ユーザーによって標準電波の受信による時刻修正が指示されたこととなるので、すべての桁(秒、分、時、日、曜日)の修正に万全を期すためであり、また、ユーザーによる強制受信操作は日中に行われることが多いと考えられるところ、日中は電波の受信状況が良好ではないために誤受信しやすいためである。
【0044】
逆に、計時部52がリセットされず(ST31:NO)、ボタン4の操作で計時部52の現時刻が修正されず(ST32:NO)、ボタン4の操作で強制受信が指令されない(ST33:YES)ことが総て満たされていれば、フラグAは「1」に設定される(ST35)。
【0045】
受信制御手段513は、フラグ設定工程ST3の終了後、設定されたフラグAを確認する(ST4)。このフラグAは、図8のフローチャートで説明した設定条件に応じて「フラグA=1」か「フラグA=0」に設定されている。
従って、受信制御手段513は、フラグAの状態(A=1orA=0)を確認し(ST4)、受信モードを選択する。
【0046】
[第1受信モードの受信処理]
まず、ST4において、フラグが「A=1」に設定されている場合(ST4:YES)の場合について説明する。
フラグがA=1に設定されている場合、受信制御手段513は、第1受信モードの受信処理を実行する(ST5)。
【0047】
第1受信モードが実行されると、図9に示すように、まず、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御して表示パネル30の表示を、時刻表示から受信表示に変更し、表示駆動回路40による表示パネル30の駆動を停止する(ST51)。
例えば、図10(A)に示すように、受信処理が開始されるまで、表示パネル30には現在時刻が表示されている。前述したように、この表示は、表示駆動制御手段511で制御され、計時部52で計時している現時刻に対応して1分間隔で更新される。
一方、ST51で受信表示変更処理が実行されると、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信処理中であることを示す内容(受信表示)を表示する。
本実施形態の表示駆動制御手段511は、図10(B)に示すように、受信表示として、受信開始時刻と、受信終了までの残り時間を表示する。受信表示としては、図10(B)の表示に限定されないが、受信状態であることに加えて、受信処理の経過時間や残り時間を表示し、ユーザーが受信処理の進捗状況を把握できるようにすることが望ましい。
【0048】
なお、本実施形態では、表示パネル30の駆動を停止する際に、表示駆動回路40によって走査線、データ線の接続を切断し、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持している。これにより、表示パネル30による外部ノイズの発生を確実に防止でき、アンテナ8および受信回路53による標準電波の受信感度低下を防止している。
また、表示パネル30は、前述のとおり、電気泳動表示素子を用いたメモリー性を有する表示手段である。このため、受信表示に変更後、表示パネル30の駆動を停止し、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持して駆動信号が入力されないようにしても、表示パネル30の表示は維持される。
【0049】
次に、受信制御手段513は、受信回路53を起動する(ST52)。そして、受信制御手段513は、秒同期および分同期を確立できたかを確認する(ST53)。例えば、日本の標準電波(JJY)では、1秒間隔でパルスが立ち上がるため、1秒間隔のパルス立ち上がりを検出することができれば秒同期を確立することができる。また、日本の標準電波では、図11に示すように、ポジションマーカー(P)が連続する部分がタイムコードの開始時点(0秒位置)となり、この連続するポジションマーカーPを検出することができれば分同期を確立することができる。
【0050】
ST53で同期を確立できたと判断した場合、受信制御手段513は、時間情報送信期間であるかを確認する(ST54)。ここで、第1受信モードでは、「秒、分、時」の時刻情報を受信するものである。このため、本実施形態では、第1受信モードでの時間情報送信期間はJJYのタイムコードフォーマットにおける「0〜19秒」の期間に設定されている。
なお、ST53で分同期が確立した場合は、ポジションマーカーPが連続する「0秒」のタイミングであるため、その直後に時間情報送信期間に入ることになる。従って、通常、受信制御手段513は、ST54では「Yes」と判断する。
【0051】
このため、受信制御手段513は、秒、分、時の情報を受信する(ST55)。この受信期間中は、前述したように、表示駆動制御手段511による表示パネル30の表示の更新は行われない。従って、表示パネル30には、ST51で表示した受信表示、つまり図10(B)の表示が続くことになる。
【0052】
次に、受信制御手段513は、第1表示更新期間になったか否かを確認する(ST56)。
ここで、表示更新期間は、前記時間情報送信期間以外で予め設定されている。前述したように、時間情報送信期間は「0〜19秒」であるため、「20〜59秒」の期間であれば表示更新期間を設定できる。そこで、本実施形態では、第1受信モードにおいては、第1表示更新期間として「25〜29秒」の期間を設定し、第2表示更新期間として「55〜59秒」の期間を設定している。なお、各表示更新期間を4秒間としているのは、本実施形態の表示パネル30の表示を更新するために必要な時間が最大で4秒程度であるためである。従って、表示パネル30における表示更新期間は、そのパネルにおける表示更新期間の長さ(時間)に基づいて設定すればよい。
【0053】
ST56で第1表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する。ここで、前述のように、各表示更新期間の間隔は30秒である。そこで、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を、図10(B)の受信表示に対して、30秒進んだ図10(C)の受信表示に更新する(ST57)。すなわち、図10(C)に示すように、分同期確立後の最初の第1表示更新期間であれば、時刻情報の受信処理から約30秒が経過したことになる。このため、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間の表示を、「3分」から「2分30秒」に更新する。
なお、表示パネル30の更新時には、表示駆動回路40は、表示パネル30の走査線、データ線を接続して、表示パネル30のハイインピーダンス状態を解除し、表示内容に応じた駆動信号を表示パネル30に入力する。
【0054】
表示駆動制御手段511は、第1表示更新期間(25〜29秒)の期間が過ぎると、表示駆動回路40の駆動を停止し、表示パネル30の表示更新も停止する。
また、受信制御手段513は、第2表示更新期間になったか否かを確認する(ST58)。
【0055】
ST58で第2表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する(ST59)。具体的には、図示を略すが、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間表示を「2分30秒」から「2分00秒」に更新する。
【0056】
そして、受信制御手段513は、受信に成功したかを判断する(ST60)。ここで、受信に成功したか否かの判断条件は適宜設定できる。
例えば、受信した時刻情報(時分秒)を、計時部52で計時している内部時刻と比較して一致している場合には受信成功と判断することもできる。この場合、1つの時刻情報を受信しただけで受信成功と判断できる場合もあるため、受信処理時間の平均値を短くできる。
また、複数(例えば3個)の時刻情報を受信し、各時刻情報が1分毎等の所定間隔のデータになっている場合に受信成功と判断してもよい。この場合、内部時刻と比較する必要がないため、内部時刻が誤っている場合や、リセットされている場合でも、正しい時刻を受信できたかを判断できる利点がある。
【0057】
受信制御手段513は、ST60で受信に成功したと判断した場合は、受信回路53を停止(OFF)し、第1受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、受信制御手段513は、ST60で受信成功条件に該当していないと判断した場合(ST60:No)は、受信処理がタイムオーバーになったかを判断する(ST62)。すなわち、受信処理は電力を消費するため、腕時計のような電池駆動の場合には長時間受信処理を継続することができない。特に、標準電波を受信し難い環境、例えば、ビル内や地下などの標準電波が到達しない環境に時計1が配置されている場合、受信処理を継続しても電波を受信できず、電力を無駄に消費する。そこで、受信処理を行う時間(例えば3分間)を予め設定し、その時間を経過した場合(ST62:Yes)には、受信制御手段513は受信回路53をオフして第1受信モードでの受信処理を終了するようにしている(ST61)。
なお、受信制御手段513は、ST53で秒同期および分同期を確立できない場合も、標準電波を受信できない環境にあると考えられるため、第1受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、ST62で「No」と判断された場合、ST54に戻って受信処理を継続する。
【0058】
図7に示すように、第1受信モードでの受信処理(ST5)が終了すると、表示駆動制御手段511は、受信に成功したか否かを判断する(ST7)。
そして、ST7で受信に成功している場合、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信に成功したことを表示する(ST8)。具体的には、表示駆動制御手段511は、図10(D)に示すように、表示パネル30に「SUCCESS」と表示し、受信に成功したことを表示する。
【0059】
続いて、時刻修正手段512は、受信した時刻情報(時分秒)を利用して、計時部52で計時している現時刻を修正する(ST9)。そして、表示駆動制御手段511は、図10(E)に示すように、計時部52の現時刻を表示パネル30に表示する(ST10)。
【0060】
一方、ST7で受信に失敗したと判断された場合、表示駆動制御手段511は、表示パネル30に受信に失敗したことを表示する(ST11)。具体的には、表示駆動制御手段511は、図示を略すが、表示パネル30に「ERROR」等と表示し、受信に失敗したことを表示する。
【0061】
時刻修正手段512は、受信に失敗した場合、計時部52で計時されている時刻を修正しない。
そして、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を一定間隔(例えば1分間隔)で更新し、計時部52で計時している時刻を表示する(ST10)。
【0062】
以上により、受信処理が終了する。その後は、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を一定間隔(例えば1分間隔)で更新し、計時部52で計時している現時刻を表示する。
【0063】
[第2受信モード]
次に、ST4において、フラグが「A=0」に設定されている場合(ST4:No)の場合について説明する。
フラグがA=0に設定されている場合、受信制御手段513は、第2受信モードの受信処理を実行する(ST6)。
【0064】
受信制御手段513は、第2受信モードにおいては、図12に示す処理を実行する。なお、第1受信モードと同じ処理に関しては同じ符号を付して説明を簡略または省略する。
第2受信モードにおいても、第1受信モードと同様に、まず、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を制御して表示パネル30の表示を、時刻表示から受信表示に変更し、表示駆動回路40による表示パネル30の駆動を停止する(ST51)。
【0065】
次に、受信制御手段513は、受信回路53を起動する(ST52)。そして、受信制御手段513は、秒同期および分同期を確立できたかを確認する(ST53)。
ST53で同期を確立できたと判断した場合、受信制御手段513は、時間情報送信期間であるかを確認する(ST54)。ここで、第2受信モードでは、全時刻情報、つまり秒、分、時に加えて、1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日、うるう秒の各情報を受信する。このため、本実施形態では、第2受信モードでの時間情報送信期間はJJYのタイムコードフォーマットにおける「0〜54秒」の期間に設定されている。
【0066】
受信制御手段513は、全時刻情報を受信する(ST65)。この受信期間中は、前述したように、表示駆動制御手段511による表示パネル30の表示の更新は行われない。従って、表示パネル30には、ST51で表示した受信表示、つまり図10(B)の表示が保持され続ける。
【0067】
次に、受信制御手段513は、表示更新期間になったか否かを確認する(ST66)。
ここで、表示更新期間は、前記時間情報送信期間以外で予め設定されている。前述したように、時間情報送信期間は「0〜54秒」であるため、表示更新期間は「55〜59秒」の期間とされている。
【0068】
ST66で表示更新期間になったことが確認できた場合、表示駆動制御手段511は、表示駆動回路40を介して表示パネル30の表示を更新する。ここで、前述のように、表示更新期間の間隔は60秒である。そこで、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示を、図10(B)の受信表示に対して、60秒進んだ受信表示に更新する(ST67)。すなわち、分同期確立後の最初の第1表示更新期間であれば、時刻情報の受信処理から約60秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、受信終了までの残り時間の表示を、「3分」から「2分」に更新する。
【0069】
表示駆動制御手段511は、表示更新期間(55〜59秒)が過ぎると、表示駆動回路40の駆動を停止し、表示パネル30の表示更新も停止する。
本実施形態においても、表示駆動制御手段511は、表示パネル30の表示更新停止時は、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持している。
【0070】
そして、受信制御手段513は、受信に成功したかを判断する(ST60)。第2受信モードにおける受信成功の判断条件は、第1受信モードと同じものにしてもよいし、別途設定してもよい。
例えば、受信した時刻情報(時分秒)を計時部52で計時している内部時刻と比較して判断してもよいし、複数(例えば3個)の時刻情報を受信し、各時刻情報が1分毎等の所定間隔のデータになっているかで判断してもよい。
【0071】
受信制御手段513は、ST60で受信に成功したと判断した場合は、受信回路53を停止し、第2受信モードでの受信処理を終了する(ST61)。
一方、受信制御手段513は、ST60で受信成功条件に該当していないと判断した場合(ST60:No)は、受信処理がタイムオーバーになったかを判断する(ST62)。
ST62で「No」と判断された場合、ST54に戻って受信処理を継続する。ST62で「Yes」と判断された場合、受信回路をオフして受信処理を終了する(ST61)。
なお、第2受信モードにおいても、ST53で秒同期および分同期を確立できない場合は、受信回路をオフして受信処理を終了する(ST61)。
【0072】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)標準電波の受信処理において、計時部52の時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間は、表示パネル30の表示の更新を行わないため、表示パネル30の駆動によるノイズ発生を防止できる。このため、アンテナ8および受信回路53からなる受信手段における受信感度の低下を防止でき、正しい時刻情報を受信できる。このため、計時部52で計時されている現時刻を正しい時刻に修正できる。
【0073】
(2)また、時間情報送信期間は、表示パネル30をハイインピーダンス状態に維持しているので、表示パネル30に加わる電圧を0にでき、ハイインピーダンス状態に維持しない場合に比べて、ノイズ発生をより防止できる。このため、受信手段の感度低下をより防止でき、正しい時刻情報を受信できる確率も向上できる。
【0074】
(3)さらに、時間情報送信期間以外に設定された表示更新期間に、表示パネル30の表示内容を更新しているので、受信処理期間中であっても、現在受信中であることや、受信処理の進捗状況を表示することができる。すなわち、本実施形態では、受信経過時間に基づいて受信終了までの残り時間を30秒間隔または60秒間隔で更新表示しているので、利用者は、受信終了までの時間を容易に把握できる。このため、利用者は、受信処理に適した状態に電波修正時計1を維持することもでき、受信に成功する確率も向上できる。
【0075】
(4)本実施形態では、第1受信モードでは、1つのタイムコードフォーマットにおいて、第1表示更新期間および第2表示更新期間の2つの表示更新期間を設定している。このため、表示パネル30の表示内容の更新を60秒間で2回行え、受信処理の進捗状態の表示更新を第2受信モード時より細かく行うことができる。
その上、各表示更新期間の間隔が30秒間隔であるため、一定間隔で受信処理の残り時間を表示でき、利用者は違和感なく、残り時間を把握できる。また、前記表示更新期間の間隔が30秒であるため、残り時間の表示も初期表示時間(例えば3分)から30秒ごとカウントダウンした時間を表示しているので、利用者は違和感なく、残り時間を把握できる。
【0076】
(5)さらに、すべての時刻情報を受信する第2受信モードでは、予め時間情報が設定されていない55〜59秒の期間に表示更新期間を設定しているので、すべての時間情報を取得する場合でも、その情報取得時にノイズが発生することを防止できる。このため、特に計時部52のリセット時や、時刻を手動修正した場合や、強制受信操作時に、正しい時刻情報を取得できる可能性も高まり、計時部52の計時時刻を正しい現時刻に修正することができる。
【0077】
(6)表示パネル30として電気泳動表示素子を用いているので、表示パネル30をハイインピーダンス状態とした場合でも、表示を更新することはできないが、表示を維持することはできる。このため、表示パネル30を駆動するための消費電力も低減できる。
さらに、電気泳動表示素子は、視野角が広く、コントラストも高く、高品質の表示が可能であるため、視認性が高く、高品質の電波修正時計1を提供できる。
【0078】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図13を参照して説明する。
第1実施形態では、TFT回路を用いたアクティブマトリックス駆動回路を用いたドットマトリックス方式の表示パネル30を用いていた。
これに対し、第2実施形態は、数字などの表示パターンに応じた形状の電極を有するセグメント方式の表示パネル300を用いている。
【0079】
すなわち、図13に示すように、表示パネル300には、時刻を表示するためのセグメント電極と、受信状態を表示するためのセグメント電極とが設けられている。
具体的には、時刻を表示するために、午前・午後を示す英字「AM、PM」を表示するセグメント電極301と、時および分の数字およびコロン「:」を表示するためのセグメント電極302とが設けられている。
また、受信状態を表示するために、「受信開始」の文字を表示するセグメント電極305と、「RECEIVE」の文字を表示するセグメント電極306と、受信進捗状況を示すバーグラフを表示するセグメント電極307とを備えている。
ここで、本実施形態のセグメント電極307は、6個の目盛りを表示できるように、6分割されており、1つの目盛りは受信処理の経過時間30秒に対応するように設定されている。なお、本実施形態では、ST62のタイムオーバーの判断閾値を3分に設定しているため、受信経過を示すバー表示も3分に対応するものとしている。
この表示パネル300以外の構成は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0080】
このような第2実施形態の電波修正時計1においては、受信処理が行われていない間は、図13(A)に示すように、セグメント電極301、セグメント電極302を用いて時刻表示が行われる。具体的には、前記実施形態と同様に、表示駆動制御手段511は、1分間隔で表示パネル300の表示を更新する。
【0081】
一方、予め設定した受信時刻になった場合や、強制受信操作が行われて受信処理が開始されると、前記第1実施形態と同じく図7〜9、12のフローチャートに従って処理が行われる。
ここで、図9のST51においては、表示駆動制御手段511は、図13(B)に示すように、セグメント電極305、セグメント電極306を駆動して、「受信開始」、「RECEIVE」を表示する。また、セグメント電極301,電極302による時刻表示は、ST51の処理タイミングで表示されている時刻のままに維持する。
【0082】
そして、第1受信モードの場合は、受信開始から最初の第1表示更新期間になった場合(ST56:Yes)、受信開始から30秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、表示更新処理ST57でセグメント電極307の左から一つ目の電極307Aを表示し、30秒経過したことを表示する。
【0083】
また、受信開始から最初の第2表示更新期間になった場合(ST58:Yes)、受信開始から60秒が経過したことになるため、表示駆動制御手段511は、表示更新処理ST57でセグメント電極307の左から二つ目までの電極307A,307Bを表示し、60秒経過したことを表示するとともに、セグメント電極302の時刻表示を1分進めた時刻に変更して更新する。
なお、ST59での時刻表示の更新は、ST51の時点での表示時刻に1分を加えた時刻である。ここで、ST59の処理が行われる迄の実際の受信処理の経過時間は、ST51の処理からST53の同期確立処理を経て、タイムコードフォーマットの0〜55秒経過時点であるから、必ずしも正確に1分(60秒)が経過している訳ではない。ただし、通常は、ST51の処理後、約1〜2分程度でST59の処理が行われるので、実際の時刻との誤差も1分以内程度であり、概略の時刻表示としては問題ない。
【0084】
そして、受信処理が継続し、2回目の第1表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から3番目までの電極307A〜307Cを表示する(ST57)。さらに、2回目の第2表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から4番目までの電極307A〜307Dを表示し、セグメント電極302による表示を、表示時刻に1分を加えた時刻に更新する。
【0085】
さらに、受信処理が継続し、3回目の第1表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から5番目までの電極307A〜307Eを表示する(ST57)。さらに、3回目の第2表示更新期間に達すると、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307の左から6番目までの電極307A〜307Fを表示し、セグメント電極302による表示を、表示時刻に1分を加えた時刻に更新する。
【0086】
そして、前記第1実施形態と同様に、本実施形態の電波修正時計1も、受信処理が終了すると、図7に示すST8〜ST11の処理を行って、通常の時刻表示に戻る。
なお、本実施形態において、受信成功や失敗を表示する場合、表示パネル300にそれらを示すセグメント電極を設けて表示してもよいし、セグメント電極305,306,307等による表示を、一定時間表示し続けたり、点滅することで、受信成功と失敗とを表示するようにしてもよい。
【0087】
また、第2受信モードの場合は、表示更新期間が1分間隔であるため、表示更新期間に達する毎に、表示駆動制御手段511は、セグメント電極307を2つの目盛りごとに表示し、時刻表示を1分加えた時刻に更新する点を除き、第1受信モードと同じ処理を行う。
さらに、本実施形態でも、表示パネル300の表示を更新しない期間(時間情報送信期間)は、表示パネル300をハイインピーダンス状態に維持し、ノイズの発生を抑えている。
【0088】
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
その上、表示パネル300においては、受信処理の進捗状態を、セグメント電極307を用いてバーグラフで表示しているので、利用者は進捗状態を直感的に把握でき、利便性を向上できる。
また、表示更新期間に、前記セグメント電極307によるバーグラフ表示を更新するだけでなく、セグメント電極302による時刻表示を更新しているので、利用者は、受信中であっても概略の時刻を把握でき、この点でも利便性を向上できる。
【0089】
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。
【0090】
前記実施形態では、黒粒子331および白粒子332による白黒二粒子系の電気泳動表示素子を用いて表示パネル30を構成していたが、これに限らず、青白等の一粒子系の電気泳動表示素子を用いても良く、また、カラー表示が可能な電気泳動表示素子を用いてもよい。
また、表示パネル30、300としては、前記実施形態のEPDに限らず、他のメモリー性表示装置、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)、強誘電液晶、コレステリック液晶等の各種のメモリー性を有する表示装置を利用してもよい。
【0091】
前記実施形態では、表示パネル30、300において、表示更新を停止している間は、表示パネル30、300をハイインピーダンス状態としていたが、必ずしもハイインピーダンス状態にしなくてもよい。要するに、本発明では、時間情報送信期間は、表示パネル30、300の表示更新を行わないように制御すればよい。
【0092】
前記各実施形態では、表示パネル30、300の表示更新期間に、受信回路53を停止することはしていない。これは、表示更新時の受信データはもともと利用されないので、ノイズが混入した信号を受信しても、その部分の情報は時間情報として使用しないためである。
一方、表示パネル30、300の表示更新期間に、受信回路53を停止して消費電力を低減しても良い。特に、受信回路53におけるデコード部を停止させると、消費電力低減に効果的である。
【0093】
本発明は、日本標準時を含む標準電波を受信する場合だけでなく、ドイツ、イギリス、アメリカなどの様々な標準電波を受信する場合にも適用できる。この際、時間情報送信期間および表示更新期間は、各種の標準電波におけるタイムコードフォーマットに基づいて設定すればよい。
また、前記各実施形態では、第1受信モード時に2つの表示更新期間を設定していたが、3つ以上の表示更新期間を設定してもよい。この表示更新期間の数や期間も、各タイムコードフォーマットに基づいて設定すればよい。
さらに、表示更新期間に更新する表示の内容は、前記各実施形態のものに限らない。例えば、受信電波の強度や、受信している標準電波の種類など、受信処理に関する各種情報を表示してもよい。
【0094】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…電波修正時計、3…表示モジュール、7…太陽電池パネル、8…アンテナ、9…回路ブロック、30…表示パネル、33…電気泳動層、40…表示駆動回路、50…制御回路、51…コントローラー、52…計時部、53…受信回路、54…検出回路、55…二次電池、300…表示パネル、301,302,305,306,307…セグメント電極、331…黒粒子、332…白粒子、511…表示駆動制御手段、512…時刻修正手段、513…受信制御手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックパルスに基づいて時刻を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示手段と、
前記表示手段の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、
時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段の計時時刻を修正する時刻修正手段と、
前記受信手段の受信動作を制御する受信制御手段と、を備え、
前記表示駆動制御手段は、
前記受信手段で標準電波を受信している間は、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時手段の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では前記表示手段の表示内容を更新せず、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に前記表示手段の表示内容を更新する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電波修正時計において、
前記受信手段で標準電波を受信している間に前記表示手段で表示される内容には、前記受信動作の進捗情報が含まれ、
前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に前記進捗情報の表示内容を更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
前記表示更新期間の際に、前記表示手段に表示されていた時刻に各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、前記時刻情報として日本標準時を含む標準電波を受信可能に構成され、
前記表示駆動制御手段は、
日本標準時を含む標準電波を受信する場合の前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの55秒から59秒の間に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの0秒から59秒の間の複数箇所に設定し、前記各表示更新期間において前記進捗情報の表示内容を更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
少なくとも前記時間情報送信期間は、前記表示手段をハイインピーダンス状態に維持することを特徴とする電波修正時計。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示手段は、電気泳動表示素子を用いて構成されていることを特徴とする電波修正時計。
【請求項1】
基準クロックパルスに基づいて時刻を計時する計時手段と、
前記計時手段で計時された時刻を表示するメモリー性を有する表示手段と、
前記表示手段の表示動作を駆動制御する表示駆動制御手段と、
時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した時刻情報に基づいて前記計時手段の計時時刻を修正する時刻修正手段と、
前記受信手段の受信動作を制御する受信制御手段と、を備え、
前記表示駆動制御手段は、
前記受信手段で標準電波を受信している間は、前記標準電波のタイムコードフォーマットにおいて、前記計時手段の計時時刻を修正するために必要な時間情報が送信されている時間情報送信期間では前記表示手段の表示内容を更新せず、前記時間情報送信期間以外でかつ予め設定された表示更新期間に前記表示手段の表示内容を更新する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電波修正時計において、
前記受信手段で標準電波を受信している間に前記表示手段で表示される内容には、前記受信動作の進捗情報が含まれ、
前記表示駆動制御手段は、前記表示更新期間に前記進捗情報の表示内容を更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
前記表示更新期間の際に、前記表示手段に表示されていた時刻に各表示更新期間の時間間隔に対応する時間を加算した時刻に更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記受信手段は、前記時刻情報として日本標準時を含む標準電波を受信可能に構成され、
前記表示駆動制御手段は、
日本標準時を含む標準電波を受信する場合の前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの55秒から59秒の間に設定する
ことを特徴とする電波修正時計。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
前記表示更新期間を、前記標準電波のタイムコードフォーマットの0秒から59秒の間の複数箇所に設定し、前記各表示更新期間において前記進捗情報の表示内容を更新することを特徴とする電波修正時計。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示駆動制御手段は、
少なくとも前記時間情報送信期間は、前記表示手段をハイインピーダンス状態に維持することを特徴とする電波修正時計。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記表示手段は、電気泳動表示素子を用いて構成されていることを特徴とする電波修正時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−13099(P2011−13099A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157583(P2009−157583)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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