説明

電流センサ付バッテリーターミナル

【課題】取り付け作業性、省スペース性に優れ、丸端子の開発労力を削減できる電流センサ付バッテリーターミナルを提供することを目的とする。
【解決手段】バッテリーからバッテリーポストを介して出力される電流を、線端に電線端子が形成された電線に供給するとともに、その電流をセンサ部にて検出する電流センサ付バッテリーターミナルであって、前記センサ部は、前記バッテリーポストを挿通するバッテリーポスト挿通部を備え、前記バッテリーポストを通過する電流を検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーから供給される電流を検出できる電流センサ付バッテリーターミナルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車の電装品の種類・数が増加の一途を辿り、その分、車載バッテリーの消耗が激しくなっている状況がある。このような場合に、従来より、バッテリーの残存容量を監視したいという要請がある。そのような場合には、バッテリーの上面に形成され、電極となる一対のバッテリーポストの1つに電流センサを取付けて、この電流の大きさによって、バッテリーの消耗度を検出する構造が考えられる。
【0003】
上述した内容を具体的に図面を参照して説明する。図5は、従来の電流センサ付バッテリーターミナルの斜視図である。図5に示すように、一般的に自動車に搭載されるバッテリー57の上面には、電極となる一対のバッテリーポスト59が立設されている。なお、図5に示すバッテリー57は、全体の一部が記載されているため、バッテリーポスト59についても片側のみを記載している。このバッテリーポスト59は上方へいくにしたがって、やや先細り気味の円錐台状に形成され、ここにネガティブ端子61が接続される。
【0004】
ネガティブ端子61は導電金属板を加工成型して形成されたものであり、バッテリーポスト59に対するバッテリーポスト固定部63と、電流センサ65の前面に形成されるブラケット67及び車両側の電線69の電線端子となる丸端子71との接続を行うボルト付接続台部73とから構成されている。ネガティブ端子61のバッテリーポスト固定部63は、バッテリーポスト59に対し上方から嵌め付け可能な締付輪75を有している。
【0005】
この締付輪75は、上下に開口する筒状をなすように回曲し、回曲された両端は側方へ対向して延出し、対向壁77となって向き合っている。両対向壁の間には、締付輪75を絞り込ませるためのクランプボルト79が横向きに貫通している。
【0006】
このクランプボルト79の頭部は方形状に形成され、一方の対向壁77の上下両縁に係止して回り止めがなされている。また、クランプボルト79の軸端部ではナット81が螺合し、クランプボルト79とナット81との締め合いによって、対向壁77の間は接近する。これによって、締付輪75を絞り込んでバッテリーポスト59に締付輪75を食い込ませることができるようになっている。
【0007】
ボルト付接続台部73は締付輪75における両対向壁の反対側の下縁部から一体に延設されている。より具体的には、締付輪75からほぼ水平に接続片83が延び、さらに、その先端から水平にボルト付接続台部73が連続している。
【0008】
電流センサ65は、電線69に接続された負荷に対してバッテリー57から供給される電流を検出する図示しない検出器(例えばホール素子等を利用したもの)を内蔵したセンサ部87と、その側方に一体に突設されたコネクタ部89と、センサ部87の前部にネガティブ端子61のボルト付接続台部73とほぼ同幅のブラケット67とからなっている。また、ブラケット67にはボルト付接続台部73と整合して重ね合わせたときに、電線端子接続固定部となるスタッドボルト91と整合する挿入孔93が貫通している。
【0009】
センサ部87には環状の検出器を合成樹脂材によるインサート成形によって埋め込んであり、略中央には車両側の電線69の丸端子71を挿通可能なバッテリーポスト挿通部となるスリット95が貫通している。スリット95内へ車両側の電線の丸端子71を挿通すると、丸端子71の上面に切り起こしによって形成された一対の止め片97がスリット95内の孔壁に食い込み、これによって電流センサ65に対する車両側の電線69の丸端子71の固定がなされる。
【0010】
また、コネクタ部89は上述したセンサ部87の側方に連続するようにして、センサ部87と一体に成形されている。コネクタ部89は一方側へ開口する筒状に形成され、内部には前記した環状の検出器と接続された接続端子が組み込まれている。コネクタ部89は破線で示される電流検出回路に接続された相手側コネクタと嵌合して、内部の接続端子同士を電気的に導通可能とする。また、コネクタ部89の上面には相手側コネクタとの嵌合保持のためのロック爪99が突出形成されている。
【0011】
車両側の電線69は、既存構造のものであり、図示しない負荷に接続された電線に接続されるとともに、その前部にはネガティブ端子61のボルト付接続台部73とほぼ同幅の丸端子71を備えている。丸端子71は付け根部分において下向きに屈曲して形成され、電流センサ65のスリット95に貫通して差し込み可能となっている。
【0012】
また、上述した丸端子71における挿入孔101の後方には電流センサ65を取り付けるための一対の止め片97が切り起こしによって形成されている。これにより、スリット95に対し挿入孔101が完全に通過させるまで丸端子71を通すと、スリット95の孔壁に対し止め片97が食い込んで電流センサ65の取付けが可能となる。また、丸端子71にはボルト付接続台部73と整合して重ね合わせたときに、スタッドボルト91と整合する挿入孔101が貫通している。
【0013】
こうして電流センサ65を丸端子71に取付けた状態で、ネガティブ端子61のスタッドボルト91にブラケット67の挿入孔93及び丸端子71の挿入孔101を通すことができる。また、丸端子71は付け根部分において下向きに屈曲しているが、これはバッテリーの側面に電線を沿わせて配索するようにしたものであるが、図示のように屈曲させなくとも真っ直ぐに引き出すようにしてもよい。但し、丸端子71に対する電流センサ65の固定方法は、接着、インサート成形等種々の方式であってもよい。
【0014】
従来の電流センサは上記のように構成されたものである。電流センサ65は、スリット95内へ丸端子71を通し、止め片97をスリット95内の壁面に食い込ませることによって挿入孔101が露出された状態で固定される。そして、ナット82をボルト付接続台部73の表面において挿入孔101に対応させて溶接固定しておく。これにより、ネガティブ端子61と電流センサ65とが一体化され、その状態でバッテリーポスト59に対する接続現場へ搬入される。
【0015】
接続現場では、ネガティブ端子61の締付輪75がバッテリーポスト59に通され、そのもとでクランプボルト79が締め込まれれば、締付輪75が窄み、その内周面がバッテリーポスト59に食い込む。これにより、バッテリーポスト59に対するネガテイブ端子61の接続がなされる。一方、車両側の電線69の丸端子71をネガティブ端子61のボルト付取付台部73に重ね合わせ、挿入孔93、101を整合させておく。
【0016】
そして、スタッドボルト91を両孔93、101に挿通させ、さらにインパクトレンチ等によってナット82をねじ込んでやれば、ネガティブ端子61及び車両側の電線69の丸端子71が接続状態となる。最後に、電流センサ65のコネクタ部89に対して相手側コネクタが嵌合されれば、接続作業が完了する。なお、バッテリー57と負荷との間を流れる電流は環状の検出器によって検出され、その検出値に応じてバッテリーの消耗の程度が判断できる。
【0017】
以上のように、従来の電流センサ付バッテリーターミナルによれば、スタッドボルト91とナット82の締付け作業はバッテリーポスト59から離れた位置においてなされるため、バッテリー周りの比較的空きスペースが確保された箇所で、工具を用いた作業を行っても、特に作業の障害となるものもなく、円滑に作業を遂行することができる。また、電流センサ65の取付けは直接電線69に取り付けられるのでなく、電線と接続された丸端子71に一体化されて接続現場へ搬入されるため、電流センサ65の保護が図りやすかった。
【特許文献1】特開2002−141054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来の電流センサでは車両用の電線の丸端子を電流センサに形成されたスリットに貫通させてからネガティブ端子に接続し、バッテリーポストに搭載する必要があったので、車両の組立成立性を考えるとバッテリーポストへの搭載は非常に困難であった。また、その為に、車両用の電線には、長細い特殊な形状の丸端子を車両設計に応じて新規で開発するなどの弊害が発生していた。
【0019】
また、従来の電流センサは、バッテリーの横にぶら下げる搭載方法であったため、搭載スペースを確保する必要があったが、実際、搭載するだけの十分なスペースは非常に少ないという問題が発生していた。さらに、車両組付けのメインラインで丸端子を電流センサに貫通させてスタッドボルトに共締めする必要があり車両組立の作業性悪化のみならず、組み立てから完成までの間隔に悪影響を招いていた。
【0020】
本発明は、上述した問題点に鑑み、取り付け作業性、省スペース性に優れ、電線端子の開発労力を削減できる電流センサ付バッテリーターミナルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の請求項1記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、バッテリーからバッテリーポストを介して出力される電流を、線端に電線端子が形成された電線に供給するとともに、その電流をセンサ部にて検出する電流センサ付バッテリーターミナルであって、前記センサ部は、前記バッテリーポストを挿通するバッテリーポスト挿通部を備え、前記バッテリーポストを通過する電流を検出することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項2記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、請求項1記載のものであって、前記バッテリーポストと固定されるバッテリーポスト固定部と、前記電線端子と固定される電線端子接続固定部とを備えた端子部が前記センサ部上面に一体固定され、 前記バッテリーポストから前記端子部を介して前記電線に電流を供給することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項3記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、請求項2記載のものであって、前記バッテリーポスト固定部は、前記バッテリーポスト挿通部内に配置されることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項4記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、請求項2または請求項3記載のものであって、前記電線端子は丸端子であり、前記電線端子接続固定部にはスタッドボルトが形成もしくは固定されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項5記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、請求項2〜請求項4のいずれかに記載のものであって、前記バッテリーポスト固定部は、締付輪によって前記バッテリーポストを締め付け固定することを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項6記載の電流センサ付バッテリーターミナルは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の記載のものであって、前記センサ部は、前記バッテリーポストを囲って配置される磁性体コアと、前記磁性体コアの近傍に配置されたホール素子と、これら磁性体コアとホール素子とを収納するとともに前記バッテリーポスト挿通部となる略円筒形状の穴が形成された筐体によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の電流センサ付バッテリーターミナルにより、取り付け作業性、省スペース性に優れ、丸端子の開発労力を削減できる電流センサ付バッテリーターミナルを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図1から図4を参照して、詳細に説明する。
図1は、本実施形態の電流センサ付バッテリーターミナルの斜視図である。図1に示すように、自動車に搭載されるバッテリー1の上面には、電極となる一対のバッテリーポスト3が立設されている。なお、図1に示すバッテリー1は、全体の一部が記載されているため、バッテリーポスト3についても片側のみを記載している。このバッテリーポスト3は上方へいくにしたがって、やや先細り気味の円錐台状に形成され、ここに本実施形態の電流センサ付バッテリーターミナル5が接続される。
【0029】
図2は、電流センサ付バッテリーターミナル5の分解斜視図である。また図3は、図2に示す電流センサ付バッテリーターミナルの矢視Aの縦断面図である。図4は、図2に示す電流センサ付バッテリーターミナルの矢視Bの横断面図である。
図1〜図4に示すように、電流センサ付バッテリーターミナル5は、センサ部9と端子部15を備える。
図1〜図4に示すように、センサ部9は、例えば樹脂等で形成された略直方体からなり、中央に略円筒状の上下開口部であるバッテリーポスト挿通部13が形成された筐体45と、その内部に構成された検出器と、コネクタ部11を有する。
図2に示すように、バッテリーポスト挿通部13の内面には、端子部15を固定する嵌合部材となる端子ロック部41が少なくとも1つ設けられている。
【0030】
上述の検出器は例えば、図3と図4に示すように、筐体45内にインサート成型などにより配置固定された磁性体コア(ここでは略C字型の環状に形成された鉄心47)と、鉄心47の間隙部49に配置されたホール素子51から構成される。
図4に示すように、ホール素子51の一端部は、回路基板53に接続されている。回路基板53からの接続端子54を収容したコネクタ部11が形成され、接続端子54には、着脱自在のキャップ56が被せてある。コネクタ部11は電流検出回路に接続された相手側コネクタと嵌合して、内部の接続端子54同士が電気的に導通可能となる。
コネクタ部11は上述したセンサ部9の筐体45側面に、該センサ部9と一体に形成されている。コネクタ部11は一方側へ開口する筒状に形成され、内部には前記した環状の検出器と接続された端子金具が組み込まれている。コネクタ部11は図示しない電流検出回路に接続された相手側コネクタと嵌合して、内部の接続端子同士を電気的に導通可能とする。
【0031】
端子部15は導電性金属板を加工成型した一体成型金属部材に、クランプボルト25、ナット27、スタッドボルト37を適宜固定したものである。
この端子部15は前述のセンサ部9の筐体45上に配置され、かつバッテリーポスト3に固定されており、バッテリーポスト3と電線7との間で電流を導通するものであり、バッテリーポスト固定部17と電線端子固定部29とを有している。
バッテリーポスト固定部17は、バッテリーポスト挿通部13内においてバッテリーポスト3に対し上方から嵌め付け可能な第1の締付輪19及び第2の締付輪21を上下に2つ有している。
図3に示すように、第1の締付輪19及び第2の締付輪21は各々、側面断面視で略コの字に形成され、互いに重ねあわされた形状とされている。
これらの締付輪19、21は、図2および図3に示すように、上下に開口する筒状をなすように回曲し、回曲された両端は側方へ対向した状態のまま立ち上がって筐体45上面上に延出し、対向壁23となって向き合っている。両対向壁23の間には、第1の締付輪19及び第2の締付輪21を絞り込ませるためのクランプボルト25が横向きに貫通している。
なお図3に示すように、第1の締付輪19にはバッテリーポスト固定面が形成され、そこにはバッテリーポスト3と当接する環状のバッテリーポスト接続部52(図1、図2では発明の理解を容易とするため図示を省略している)が形成されている。また第1の締付輪19は、底面が概ね筐体45の上面と平行であって、第2の締付輪21は、底面が概ね筐体45の下面と平行になるよう、構成されている。
【0032】
クランプボルト25の頭部は方形状に形成され、一方の対向壁23の上下両縁に係止して回り止めがなされている。また、クランプボルト25の軸端部ではナット27が螺合し、クランプボルト25とナット27との締め合いによって、対向壁23の間は接近する。これによって、締付輪19、21を絞り込んでバッテリーポスト3に締付輪19、21を食い込ませて固定することができるようになっている。
【0033】
電線端子固定部29は、図3に示すように、両締付輪19、21における両対向壁23の対抗側に形成されており、両締付輪19、21の上縁部から立ち上がり、筐体45上面上に延設して形成されている。電線端子固定部29には挿入孔が形成され、スタッドボルト37が該挿入孔の下方から上方に向けて貫通配置されている。スタッドボルト37は、図3に示すように、センサ部9の筐体45上面と端子部15の締付輪21の下面との間で挟み込み固定されている。
なおこのスタッドボルト37は複雑な形状の端子部15を形成しやすいように電線端子固定部29と別部品として構成されているが、必ずしも電線端子固定部29と別部品である必要はなく、一体形成されていてもよいし、後から溶接などで固定するものであってもよい。
【0034】
このようにセンサ部9と端子部15とはそれぞれ別体で構成されているが、電流センサ付バッテリー端子5として用いる場合は、端子部15がセンサ部9上に配置され、端子部15のバッテリーポスト固定部17がバッテリーポスト挿通部13内に配置されて端子ロック部41と嵌合接続されることで、端子部15がセンサ部9上面に固定され一体化される。
【0035】
このような電流センサ付バッテリーターミナル5に対して車両側の電線7が接続される。
この電線7は既存構造のものであり、図示しない負荷に接続されるとともに、その線端には端子部15の電線端子固定部29とほぼ同幅の、電線端子の一例となる丸端子35を備えている。丸端子35には挿入孔39が貫通形成されている。この丸端子35もまた既存構造のものが使用可能である。
このような電線7を電流センサ付バッテリーターミナルに接続するには、電線端子固定部29のスタッドボルト37を丸端子35の挿入孔39に挿通するように丸端子35をスタッドボルト37に貫通配置し、上からナット33でスタッドボルト37の頭部側から螺子締め固定することで、丸端子35と電線端子固定部29とを電気的に導通可能に固定している。
なお図1においては、丸端子35はその付け根部分において下向きに屈曲して形成されバッテリー1の側面に電線を沿わせて配索した例を示している。無論この構成については、図示のように屈曲させず真っ直ぐに引き出すようにしてもよい。
また、丸端子35と電線端子固定部29との接続固定方法は、螺子締めに限定されるものではなく、圧入、圧着、圧接、接着、溶接、コネクタ接続など他の方法であってもよい。
【0036】
バッテリー1に電流センサ付バッテリーターミナル5を配置固定し、利用可能とする作業としては、図1に示すように、まずセンサ部9と端子部15を予め組み合わせて固定してなる電流センサ付バッテリーターミナル5(例えばここではスタッドボルト35もセンサ部9と端子部15の間に配置しており、電線7は未接続である状態)をバッテリー1上に配置する。このときバッテリーポスト3をバッテリーポスト挿通部13とバッテリーポスト固定部17に挿通させ、そのもとでクランプボルト25を締め込めば、締付輪19、21が窄み、その内周面(締付輪19ではバッテリーポスト接続部52)がバッテリーポスト3に食い込む。これにより、バッテリーポスト3に対する電流センサ付バッテリーターミナル5の接続がなされる。
このような工程は、バッテリー1を例えば自動車のエンジンルーム内に配置固定する前後いずれにおいても行っておくことが可能である。
そしてこのようにバッテリー1に組み付けられた電流センサ付バッテリーターミナル5に電線7を接続固定する。すなわち電線7の線端に形成された丸端子35の挿通孔39にスタッドボルト37を挿通させ、その状態でインパクトレンチ等によってナット33をスタッドボルト37と螺子締め固定する。
また電流センサ付バッテリーターミナル5のコネクタ部11に対して相手側コネクタを嵌合させれば、作業が完了する。
【0037】
以上のような本実施形態の電流センサ付バッテリーターミナル5によれば、従来と同様に、バッテリー1からバッテリーポスト3、端子部15、スタッドボルト37、丸端子35を介して、電線7に電流を供給することができる。
【0038】
また従来は丸端子35を通過する電流値を検出していたのに対し、本実施形態では、センサ部9がバッテリーポスト挿通部13を有し、バッテリーポスト3の周囲を取り囲んで配置されているため、バッテリーポスト3を通過する電流の電流値を検出することができ、その検出値に応じてバッテリーの消耗の程度が判断できる。すなわち、バッテリーポスト3を通過する電流が生じると、鉄心47内を通過する磁界が生じるので、これを間隙部49に配置されたホール素子51で検出し電圧として出力することで、バッテリーポスト3を流れる電流を検出することが出来る。
【0039】
また本実施形態の電流センサ付バッテリーターミナル5によれば、端子部15がセンサ部9上面に一体固定され、バッテリーポスト3から端子部15を介して電線7に電流を供給する構成をとっているため、自動車のエンジンルーム内にバッテリー1を搭載する前に、電流センサ付バッテリーターミナル5をバッテリーポスト3に固定しておくことができるため、従来より組み付け性が向上する。接続作業そのものについても、バッテリーポスト固定部17が締付輪19、21によってバッテリーポスト3を締め付け固定する構成であるため、簡易な作業で機械的固定と電気的な接続を同時に達成することが出来、好ましい。
また、電流センサ付バッテリーターミナル5を主にバッテリー1上面に固定できるので、バッテリー1の側面側周辺にはスペースが生まれ、作業性、省スペース性に優れる。
【0040】
また、センサ部9がバッテリーポスト3の周囲を取り囲んで配置されていることで、車両用の電線7の丸端子35は従来の電流センサのスリットを挿通させる必要がなくなり、従来から使用している汎用の、例えば長さの短い丸端子を利用することができるので、新規でこれを開発する必要がない。
さらに、車両用の電線7の丸端子35を電流センサ付バッテリーターミナル5から出ているスタッドボルト37に固定するだけでよいので、従来のような電流センサ付バッテリーターミナル5のスリットへの貫通作業等もなく簡潔な作業が可能となる。
【0041】
さらに本実施形態によれば、バッテリーポスト固定部17と電線端子固定部29の間隔は任意に適宜離して設定されることができるので、スタッドボルト37とナット33の締付け作業はバッテリーポスト3から離れた位置においてなされるため、バッテリー周りの比較的空きスペースが確保された箇所で、工具を用いた作業を行っても、特に作業の障害となるものもなく、円滑に作業を遂行することができる。
【0042】
またセンサ部9に用いられる検出器原理にはさまざまなものが知られているが、本実施形態のように例えば磁性体コアを用いた構成を採ることで、バッテリーポスト3の貫通固定構造と、バッテリーポスト3からの電流検出構造を一体化することができ、電流センサ付バッテリーターミナル5を大幅に小型化することができる。
【0043】
またバッテリーポスト固定部17の締付輪19、21をバッテリーポスト挿通部13内に収納状態に配置することができるので、電流センサ付バッテリーターミナル5をさらに小型化することができ好ましい。
【0044】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
例えば本発明の電流センサ付バッテリーターミナルは、自動車のバッテリーにのみ適用されるものではなく、さまざまな用途に適用可能である。
また本発明では、電流センサによる電流検出原理は、上述のような磁性体コアやホール素子を用いたものに限定されるものではなく、基本的にバッテリーポストを通過する電流を検出するものであればどのようなものであっても構わない。
また電線端子は従来の丸端子に限定されるものではなく、他の端子を使ったとしても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の電流センサ付バッテリーターミナルの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の電流センサ付バッテリーターミナルの分解斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す電流センサ付バッテリーターミナルの矢視Aの縦断面図である。
【図4】図4は、図2に示す電流センサ付バッテリーターミナルの矢視Bの横断面図である。
【図5】図5は、従来の電流センサ付バッテリーターミナルの斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1、57 バッテリー
3、59 バッテリーポスト
5、65 電流センサ
7、69 電線
9、87 センサ部
11、89 コネクタ部
13 バッテリーポスト挿通部
15 端子部
17、63 バッテリーポスト固定部
19、第1の締付輪
21 第2の締付輪
23、77 対向壁
25、79 クランプボルト
27、33、81、82 ナット
29 電線端子固定部
99 ロック爪
35、71 丸端子
37、91 スタッドボルト
39、93、101 挿入孔
41 端子ロック部
43 環状体の筐体
45 筐体
47 鉄心
49 間隙部
51 ホール端子
52 バッテリーポスト接続端子
53 回路基板
54 接続端子
56 キャップ
61 ネガティブ端子
67 ブラケット
73 ボルト付接続台部
75 締付輪
83 接続片
95 スリット
97 止め片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーからバッテリーポストを介して出力される電流を、線端に電線端子が形成された電線に供給するとともに、その電流をセンサ部にて検出する電流センサ付バッテリーターミナルであって、
前記センサ部は、前記バッテリーポストを挿通するバッテリーポスト挿通部を備え、前記バッテリーポストを通過する電流を検出する
ことを特徴とする電流センサ付バッテリーターミナル。
【請求項2】
前記バッテリーポストと固定されるバッテリーポスト固定部と、
前記電線端子と固定される電線端子接続固定部と
を備えた端子部が前記センサ部上面に一体固定され、
前記バッテリーポストから前記端子部を介して前記電線に電流を供給する
ことを特徴とする請求項1記載の電流センサ付バッテリーターミナル。
【請求項3】
前記バッテリーポスト固定部は、前記バッテリーポスト挿通部内に配置される
ことを特徴とする請求項2記載の電流センサ付バッテリーターミナル。
【請求項4】
前記電線端子は丸端子であり、
前記電線端子接続固定部にはスタッドボルトが形成もしくは固定されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の電流センサ付バッテリーターミナル。
【請求項5】
前記バッテリーポスト固定部は、締付輪によって前記バッテリーポストを締め付け固定することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電流センサ付バッテリーターミナル。
【請求項6】
前記センサ部は、前記バッテリーポストを囲って配置される磁性体コアと、前記磁性体コアの近傍に配置されたホール素子と、これら磁性体コアとホール素子とを収納するとともに前記バッテリーポスト挿通部となる略円筒形状の穴が形成された筐体によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電流センサ付バッテリーターミナル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−214068(P2007−214068A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34994(P2006−34994)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】