説明

電源の電力素子をバイパスする方法およびシステム

電源の電力素子をバイパスするシステムであって、一次巻線と複数の三相二次巻線とを有する多巻線装置、この多巻線装置の異なる三相二次巻線に各々が接続されている複数の電力素子およびこれらの電力素子の少なくとも1つの第1の入力端子と第2の入力端子に接続され、かつこれらの電力素子の少なくとも1つの第1の出力端子と第2の出力端子に接続されているバイパス装置を含むシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年9月13日に出願された米国仮出願第60/971,965号と2007年9月13日に出願された米国仮出願第60/971,972号の優先権の特典を主張する。なお、これらの文献は各々本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
本出願は、一般に、又様々な実施形態において、マルチセル電源内の電力素子をバイパスする方法およびシステムに関する発明を開示する。
【0003】
幾つかの用途において、マルチセル電源は、モジュラ形の電力素子を利用して、ソースと負荷との間で電力を処理する。このようなモジュラ形の電力素子を、様々な冗長構成で所与の電源に施して、電源の可用性を向上させることができる。例えば図1は、このような電力素子を9個持つ電源(例えばACモータドライブ)の様々な実施形態を示す。図1中の電力素子は、入力端子A、B、Cと、出力端子T1とT2とを備えたブロックで表している。図1では、変圧器又は他の多巻線装置110は、その一次巻線112にて、三相の中圧電力を受け取って、一系列の単相インバータ(これらも電力素子と呼ぶ)を介して三相ACモータ等の負荷130に電力を伝える。電源出力の各々の相には、ここでは「相グループ」と呼ぶ一群の直列接続された電力素子により給電が行われる。
【0004】
変圧器110は、幾つかの二次巻線114〜122を励磁する一次巻線112を含む。一次巻線112は、星形のものとして図示しているが、環状形態も可能である。更に、二次巻線114〜122が、デルタ形態又は辺延びデルタ形態を呈するものとして図示しているが、「特許文献1」に記載されているように、他の巻線形態も使用可能である。なおこの文献の開示内容は、参照によって、その全体が本明細書中に組み入れられる。図1の例では、電力素子毎に、別々の二次巻線がある。しかしながら、図1に示す電力素子および/又は二次巻線の数は、単に模範的なものにすぎず、他の数も可能である。このような電源に関する更なる詳細は、「特許文献1」に開示されている。
【0005】
変圧器110と負荷130の間に接続される電力素子のランクの数は幾つでもよい。図1に関連する「ランク(rank)」は、三相の組、即ち電力供給システムの3つの相各々の両端間に設置された3つの電力素子から成る1グループである。図1を参照すると、ランク150は電力素子151〜153を、ランク160は電力素子161〜163をそしてランク170は電力素子171〜173を含む。主制御システム195は、光ファイバ又は別の有線通信媒体や無線通信媒体190を介して、各セル内の局部制御回路にコマンド信号を送る。図1に示す1相毎のセルの数は例示的なものである点に留意されたい。又様々な実施形態では、3つよりも多いか、少ないランク数が可能であろう。
【0006】
図2は、図1の電力素子の様々な実施形態を表す電力素子210の様々な実施形態を示す。電力素子210は、三相ダイオードブリッジ整流器212、1つ又は複数の直流(DC)コンデンサ214、Hブリッジインバータ216を含む。三相ダイオードブリッジ212は、セル入力部218(即ち入力端子A、B、C)にて受け取られる交流(AC)電圧を、三相ダイオードブリッジ整流器212の出力部の両端間に接続された各々のコンデンサ214で保持されるほぼ一定のDC電圧に変換する。電力素子210の出力段は、各々2つのスイッチング素子を持つ2つの電極(左の電極と右の電極)を含むHブリッジインバータ216を含む。Hブリッジインバータ216は、その中の半導体デバイスのパルス幅変調(PWM)を用いて、DCコンデンサ214の両端のDC電圧を、セル出力部220、即ち出力端子T1と出力端子T2との間でAC出力電圧に変換する。
【0007】
図2に示す如く、電力素子210は、セル入力部218と整流器212の間に接続されたヒューズ222も含み得る。ヒューズ222は、短絡故障時、電力素子210を保護する働きをする。他の実施形態は、「特許文献2」(「’909特許」)と、その派生的な「特許文献3」(「’284特許」)に記載されたものと同一か、類似している。なおこれらの文献の開示内容は、参照により、その全体が本明細書中に組み入れられる。
【0008】
図3は、図2の電力素子210の出力端子T1とT2に接続されたバイパス装置230の様々な実施形態を示す。一般に、マルチセル電源の所与の電力素子が開路モードにおいて故障すると、この相グループ内の全ての電力素子を流れる電流がゼロになり、更なる動作が不可能である。電力素子の故障は、セルの出力電圧を、指示された出力電圧と比較するか、セルの構成要素をチェック又は検証するか、診断ルーチンの使用等によって検出し得る。万一、或る電力素子が故障した場合には、故障した電力素子をバイパスし、容量を小さくして引き続きマルチセル電源を動作させ得る。
【0009】
バイパス装置230は、単極単投(SPST)接触器であって、接点232とコイル234を含む。ここで使用する「接点」という語は一般に、静止部分と可動部分とを有する一組の接点を指す。よって接点232は、静止部分と、コイル234で制御される可動部分とを含む。バイパス装置230は、駆動ユニット内の変換サブアセンブリの一構成部分として設けられる。接点232の可動部分がバイパス位置にあるときには、電力素子210の出力端子(T1とT2)に接続された対応する出力線間に分路が作り出される。換言すれば、接点232の可動部分がバイパス位置にある際、故障した電力素子の出力部が短絡される。従って、電力素子210が故障を蒙るときには、相グループ内の他の電力素子からの電流は、故障した電力素子210自体に流すのではなく、故障した電力素子210に接続されたバイパス装置230に流すことができる。
【0010】
図4は、電力素子210の出力端子T1とT2に接続された別のバイパス装置240の様々な実施形態を示す。バイパス装置240は、単極双投(SPDT)接触器であり、接点242とコイル244を含む。接点242は、静止部分と、コイル244で制御される可動部分とを含む。接点242の可動部分がバイパス位置にある際、電力素子210の出力線の一方(例えば図4の出力端子T2に接続された出力線)が切り離され、電力素子210の出力端子T1に接続された出力線と、電力素子210の出力端子T2に接続された出力線の下流部分との間に分路が生ずる。この分路は、普通なら電力素子210を通る電流を、相グループ内の他の電力素子から流す。従って、電力素子210の故障時には、図3のバイパス構成の場合のように、故障した電力素子の出力部が短絡されることはない。
【0011】
図3と4に示すバイパス装置は、電力素子が故障した場合でも、入力端子A〜Cのどれに対しても電力を切り離す働きはない。従って、幾つかの場合に、ヒューズ222(図2を参照)により、入力端子A〜Cの内どれか2つに対して電力が切り離されるほど所与の電力素子の故障が重大でない場合でも、その故障は、引き続き、所与の電力素子に損傷を起こすこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,625,545号明細書
【特許文献2】米国特許第5,986,909号明細書
【特許文献3】米国特許第6,222,284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
或る一般的な態様において、本発明は、一次巻線と複数の三相二次巻線とを有する多巻線装置、この多巻線装置の異なる三相二次巻線に各々が接続されている複数の電力素子およびこれらの電力素子の少なくとも1つの第1の入力端子と第2の入力端子に接続され、又これらの電力素子の少なくとも1つの第1の出力端子と第2の出力端子に接続されているバイパス装置を含むシステムに関連している。
【0014】
別の一般的な態様において、本発明は、マルチセル電源の電力素子に故障が発生しているものと判定することと、制御回路からの電流パルスをコイルに印加することとを含む方法を開示する。このコイルは、電力素子の第1の入力端子に接続された第1の接点、電力素子の第2の入力端子に接続された第2の接点および電力素子の第1の出力端子と第2の出力端子に接続された第3の接点に接続されている。
【0015】
本発明の様々な実施形態を、以下の図と共に例示としてここに述べる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電源の様々な実施形態を示す
【図2】図1の電源の電力素子の様々な実施形態を示す
【図3】図2の電力素子の出力部に接続されたバイパス装置の様々な実施形態を示す
【図4】図2の電力素子の出力部に接続されたバイパス装置の様々な実施形態を示す
【図5】電源の電力素子をバイパスするシステムの様々な実施形態を示す
【図6】電源の電力素子をバイパスするシステムの様々な実施形態を示す
【図7】バイパス装置の様々な実施形態を示す
【図8】バイパス装置の様々な実施形態を示す
【図9】バイパス装置の様々な実施形態を示す
【図10】電源の電力素子をバイパスするシステムの様々な実施形態を示す
【図11】電源の電力素子をバイパスするシステムの様々な実施形態を示す
【図12】電源の電力素子をバイパスするシステムの様々な実施形態を示す
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の理解を容易にすべく、本発明の図および説明の少なくとも一部を簡略化し、関係のある要素に焦点を合わせ、同時に、解り易くするため、通常の当業者には本発明の一部も含むものと理解されるであろう他の要素を排除するものとする。しかしながら、上記の要素は、当技術分野においてよく知られているため、又本発明のより良い理解を必ずしも容易にするとは限らないために、これらの要素の説明は、ここでは行わない。
【0018】
図5は、電源の電力素子(例えば電力素子210)をバイパスするシステム250の様々な実施形態を示す。図5に示すように、システム250は、出力端子T1と出力端子T2に接続されたバイパス装置252、入力端子Aに接続されたバイパス装置254および入力端子Cに接続されたバイパス装置256を含む。システム250は、入力端子Aと入力端子Cに接続された対応するバイパス装置を持つものとして図5に示しているが、他の実施形態では、対応するバイパス装置は、入力端子A〜Cのうちどれか2つに接続されてもよいことが理解されよう。
【0019】
バイパス装置252、254および256は、「’909特許」と、「’284特許」に記載されるように、機械駆動式か、流体駆動式か、電気駆動式、又は半導体のものであってよい。簡潔化のため、以後、各バイパス装置を、電力素子の出力部に接続された1つ又は複数の電気駆動式の接触器を含むバイパス装置に関連して述べる。後で説明する通り所与のバイパス装置は、単極単投(SPST)接触器、単極双投(SPDT)接触器或いは多極接触器として具体化できる。
【0020】
バイパス装置252は、単極双投(SPDT)接触器であり、接点258とコイル260を含む。接点258は、静止部分と、コイル260で制御される可動部分とを含む。バイパス装置252は、図4のバイパス装置240に関し上記したものと類似する形態で動作する。バイパス装置254は、単極単投(SPST)接触器であって、接点262とコイル264を含む。接点262は、静止部分と、コイル264で制御される可動部分を含む。バイパス装置256は、単極単投接触器であり、接点266とコイル268を含む。接点266は、静止部分と、コイル268で制御される可動部分を含む。一般に、故障時、故障した電力素子を以前通った電流に対して分路をバイパス装置252が作り出すのとほぼ同時に、バイパス装置254とバイパス装置256がセル入力電力を切り離す。
【0021】
上述の分路を作り出すことと、セル入力端子の少なくとも2つからセル入力電力を切り離すことに関連する状態は、「完全バイパス」と呼ばれることがある。完全バイパス状態が存在するとき、故障したセルには、それ以上電流が流れ込めない。図2に関して述べたように、電力素子のヒューズ222は、短絡故障の際、電力素子を保護する働きをする。しかし場合によっては、例えば故障電流が小さいとき、ヒューズ222は、故障した電力素子への更なる損傷を防止するのに充分速く溶断しないことがある。様々な実施形態により、バイパス装置254、256は、ヒューズ222より速く作動するように構成されており、このように動作が速ければ、一般に故障した電力素子の損傷を減らせる。
【0022】
図6は、電源の電力素子(例えば電力素子210)をバイパスするシステム270の様々な実施形態を示す。システム270は、図5のバイパス装置252、254、256の総合機能を達成する単一のバイパス装置272を含む。バイパス装置272は、電力素子の出力端子T1と出力端子T2に接続された第1の接点274、入力端子Aに接続された第2の接点276および入力端子Cに接続された第3の接点278を含む多極接触器である。接点274、276、278は各々、静止部分と可動部分とを含む。第2の接点276と第3の接点278は、入力端子AとCに接続されたものとして図6図示しているが、他の実施形態では、第2の接点276と第3の接点278は、入力端子A〜Cの内どれか2つに接続されてもよい。バイパス装置272は又、接点274、276、278の可動部分を制御する単一コイル280も含む。
【0023】
前述の方法は、従来の接触器又はソレノイド、具体的にはコイルが通電されてないときは接点を第1の位置に保持し、コイルが通電されているときは接点を第2の位置に保持する接触器に使用できる。しかし、磁気ラッチング式接触器又はソレノイドを使用することが好ましいこともある。磁気ラッチング式接触器又はソレノイドは、コイルの不通電時、接点を第1の位置か、第2の位置の何れかに保持する永久磁石を含み、又短い電圧パルスをコイルに印加すると、これらの接点が他の位置、即ち第1の位置から第2の位置又はその逆の位置へ移る。磁気ラッチング式接触器は、コイルを1つだけ使用し得る。この接触器では、接点の移動方向は、コイルに印加される電圧パルスの極性により決定できる。同様に、磁気ラッチング式接触器は、Chase氏に付与された米国特許第3,022,450号に記載される接触器のように、2つのコイルを使用してもよい。この種の接触器では、それらの接点の移動方向は、2つのコイルのどちらが通電されるかで定まる。以下の模範的な説明では、例示としてのみ、単一コイルの接触器の実施形態を提示する。同様に、2コイルの接触器も有効であり、単一コイルの接触器のどれでも、2コイルの接触器で置換できる。これに照らして考えると、これらのコイルの全ての参考文献には、可能な2コイルの参考文献も含まれることになる(即ち「コイル」)。
【0024】
図7〜9は、バイパス装置300の様々な実施形態を示す。このバイパス装置は、多極接触器であって、図6のバイパス装置272と同一又は類似していてもよい。バイパス装置300は、静止部分302、304と可動部分306とを含む第1の接点、静止部分308、310と可動部分312とを含む第2の接点および静止部分314、316、318、320と可動部分322とを含む第3の接点を備える。バイパス装置300は又、第1の接点の可動部分306、第2の接点の可動部分312および第3の接点の可動部分322を制御するソレノイド又はコイル324も含む。第1の接点の静止部分304と第2の接点の静止部分310は、電力素子の入力端子A〜Cの内どれか2つに接続されてもよい。第3の接点の静止部分314と318は、電力素子の出力端子T1とT2に各々接続されてもよい。第1の接点の可動部分306、第2の接点の可動部分312および第3の接点の可動部分322は、図7と8では、正規の位置、即ち非バイパス位置に示され、又図9ではバイパス位置に示している。
【0025】
図7に示すように、バイパス装置300は又、コイル324に接続された電気端子326、コイル324を取り囲む鋼製枠328、鋼製枠328と、第1の接点の静止部分304および第2の接点の静止部分308、310との間の第1の絶縁板330、鋼製枠328と、第3の接点の静止部分314、316との間の第2の絶縁板332および第1の支持ブラケット334と第2の支持ブラケット336も含む。バイパス装置300は更に、コイル324、鋼製枠328の開口、第1の絶縁板330と第2の絶縁板332の各々の開口および第1の支持ブラケット334と第2の支持ブラケット336の各々の開口を通る非磁性軸338も含む。
【0026】
更に、バイパス装置300は、第1の支持ブラケット334と非磁性軸338の第1の端との間の第1の偏倚部材340、第2の支持ブラケット336と非磁性軸338の第2の端との間の第2の偏倚部材342および第1の接点の可動部分306、第2の接点の可動部分312、第3の接点の可動部分322の位置(バイパス又は非バイパス)を指示するように構成された位置検出装置344も含む。
【0027】
簡潔化のため図7〜9には示さないが、バイパス装置300は更に、ほぼコイル324の第1の端からコイル324の第2の端迄延びる開口を通って軸方向に移動できるプランジャ(例えば円筒形の鋼製プランジャ)、コイル324に電流を印加しないで接点の可動部分をバイパス位置か非バイパス位置の何れかに保持できる永久磁石、第1の接点の可動部分306と第2の接点の可動部分312を担持する第1の絶縁ブラケット、第3の接点の可動部分322を担持する第2の絶縁ブラケット等も含み得ることは明白である。
【0028】
動作時、図示しない永久磁石は、上記プランジャを第1の位置か第2の位置の何れかに保持し、更に接点の可動部分306、312、322を非バイパス位置かバイパス位置の何れかに保持する。電気端子326が電流パルスを受け取ると、該電流パルスがコイル324に印加され、それにより、磁界が発生する。印加パルスの極性とプランジャの位置に応じ、印加パスルは、プランジャの位置を変えさせることも、変えさせないこともある。例えば様々な実施形態により、プランジャが第1の位置にあり、かつ接点の可動部分306、312、322が非バイパス位置にあるとき、正の電流パルスは、プランジャを第1の位置から第2の位置に切り替えることになり、更に、それが、接点の可動部分306、312、322を、非バイパス位置からバイパス位置に切り替える。これと対照的に、負の電流パルスが印加されると、プランジャは、第1の位置に留まり、又接点の可動部分306、312、322は、非バイパス位置に留まる。
【0029】
同様に、様々な実施形態により、プランジャが第2の位置にあり、かつ接点の可動部分306、312、322がバイパス位置にあるとき、負の電流パルスは、プランジャを第2の位置から第1の位置に切り替えることになり、更にそれが、接点の可動部分306、312、322を、バイパス位置から非バイパス位置に切り替える。これと対照的に、正の電流パルスが印加される場合、プランジャは、第2の位置に留まり、又接点の可動部分306、312、322は、バイパス位置に留まる。
【0030】
図10は、電源の電力素子(例えば電力素子210)をバイパスするシステム350の様々な実施形態を示す。システム350は、図5のシステム250と類似している。システム350は、電力素子の出力端子T1とT2に接続された第1の接点352、電力素子の入力端子Aに接続された第2の接点354および電源の入力端子Cに接続された第3の接点356を含む。接点352、354、356は各々静止部分と可動部分とを含む。第2の接点354と第3の接点356は、入力端子Aと入力端子Cに接続されているものとして図10に示すが、他の実施形態では、第2の接点354と第3の接点356は、入力端子A、入力端子B、入力端子Cの内どれか2つに接続してもよい。
【0031】
システム350は又、第1の接点352の可動部分を制御する第1のコイル358、第2の接点354の可動部分を制御する第2のコイル360および第3の接点356の可動部分を制御する第3のコイル362も含む。様々な実施形態により、接触器コイルとしてコイル358、360、362を例示している。他の実施形態では、プランジャをその第1の位置又は第2の位置に保持しおよび/又は接点352、354、356の可動部分を非バイパス位置又はバイパス位置に保持するために、コイルに連続的に電流を流す必要のない磁気ラッチング式接触器の一部として、コイル358、360、362を例示している。前述のように、磁気ラッチング式接触器は、単一コイル又は2コイルの構成を使用できる。第1の接点352と第1のコイル358は集合体として第1の接触器を構成し、又第2の接点354と第2のコイル360は集合体として第2の接触器を構成し、更に第3の接点356と第3のコイル362は集合体として、第3の接触器を構成し得る。
【0032】
システム350は更に、第1のコイル358とやり取りする第1の局部プリント基板364、第2のコイル360とやり取りする第2の局部プリント基板366および第3のコイル362とやり取りする第3の局部プリント基板368も含む。局部プリント基板364、366、368は、各々対応するコイル358、360、362を介して対応する接点352、354、356の可動部分を制御すべく構成されている。一般に、局部プリント基板364、366、368は各々、略地電位に保たれた主制御装置(例えば図1の主制御システム195)からコマンドを受け取り、その主制御装置にステータスを報告するよう構成されている。又局部プリント基板364、366、368は各々、必要に応じ対応するコイル358、360、362にエネルギーのパルスを伝え、対応する接点352、354、356の可動部分の位置を変え、又対応する接点352、354、356の可動部分の位置を認識するように構成されている。例えば電力素子をバイパスすべきである状態を主制御装置が検出すると、主制御装置は、個別のプリント基板(例えばプリント基板364)に信号を送る。プリント基板は、この信号を受け取ると、その対応する接点の可動部分を制御し、もって電力素子をバイパスする。局部プリント基板364、366、368は各々、電力素子の入力端子A〜Cに接続された入力線から、或いは遠隔電源から制御電力を得る。図10に示す如く、1つ又は複数の位置検出装置(PSD)365、367、369を利用して、局部プリント基板364、366、368に、接点352、354、356の可動部分の対応する位置を与える。様々な実施形態では、これら位置検出装置は、スイッチング素子、ホール効果センサ、光センサ等として実現され得る。
【0033】
コイル358、360、362が磁気ラッチング式接触器の一部である実施形態では、局部プリント基板364、366、368は、各々プランジャおよび/又は対応する接点352、354、356の可動部分の位置を切り替えるのに充分なエネルギーを蓄積するDCコンデンサを含み得る。又局部プリント基板364、366、368は各々電力素子の入力端子A〜Cに接続された入力線からのAC電力又は遠隔電源からのAC電力を用いて、切替え事象後に蓄積エネルギーを回復させる電源を含んでいてもよい。
【0034】
図11は、電源の電力素子(例えば電力素子210)をバイパスするシステム370の様々な実施形態を示す。システム370は、図10のシステム350と類似している。システム370は、電力素子の出力端子T1とT2に接続された第1の接点372、電力素子の入力端子Aに接続された第2の接点374および電源の入力端子Cに接続された第3の接点376を含む。接点372、374、376は、各々静止部分と可動部分を含む。第2の接点374と第3の接点376は、入力端子AとCに接続されているものとして図11に示しているが、他の実施形態では、第2の接点374と第3の接点376は、入力端子A〜Cのうちどれか2つに接続されてもよいと理解されよう。
【0035】
システム370は又、第1の接点372の可動部分を制御する第1のコイル378、第2の接点374の可動部分を制御する第2のコイル380および第3の接点376の可動部分を制御する第3のコイル382も含む。他の実施形態では、接触器コイルとして、コイル378、380、372が具体化されている。別の実施形態では、プランジャをその第1又は第2の位置に保持しおよび/又は接点372、374、376の可動部分を非バイパス位置又はバイパス位置に保持すべく、コイルに連続的に電流を流す必要のない磁気ラッチング式接触器の一部として、コイル378、380、382が具体化されている。前述の如く、磁気ラッチング式接触器は、単一コイル又は2コイルの構成となし得る。
【0036】
様々な実施形態により、第1の接点372と第1のコイル378は第1のバイパス装置の一部であり、又第2の接点374と第2のコイル380は第2のバイパス装置の一部であり、更に第3の接点376と第3のコイル382は第3のバイパス装置の一部である。このような実施形態では、システム370は、複数のバイパス装置を含む。
【0037】
図10のシステム350と対照的に、システム370は、第1のコイル378、第2のコイル380および第3のコイル382とやり取りする単一の局部プリント基板384を含む。局部プリント基板384は、各々のコイル378、380、382を介して、対応する接点372、374、376の可動部分を制御するように構成されている。従って、局部プリント基板384は、図10に関して描いた局部プリント基板と類似するが、局部プリント基板384がこれらのコイルを駆動して3つの接点の可動部分の対応する位置を認識するように構成された点で異なっている。一般に、局部プリント基板384は、ほぼ地電位に保たれた主制御装置(例えば図1の主制御システム195)からコマンドを受け取って、その主制御装置にステータスを報告するように構成されている。
【0038】
局部プリント基板384は又、必要に応じコイル378、380、382にエネルギーのパルスを伝え、対応する接点372、374、376の可動部分の位置を変え、かつ対応する接点372、374、376の可動部分の位置を検出すべく構成されている。局部プリント基板384は、電力素子の入力端子A〜Cに接続された入力線又は遠隔電源から制御電力を得る。図11に示すように1つ又は複数の位置検出装置379、383、385を利用して、局部プリント基板384に、接点372、374、376の可動部分の対応する位置を与える。様々な実施形態により、これらの位置検出装置は、スイッチング素子、ホール効果センサ、光センサ等として具体化され得る。
【0039】
コイル378、380、382が磁気ラッチング式接触器の一部である実施形態では、局部プリント基板384は、そのプランジャおよび/又は接点352、354、356の可動部分の位置を切り替えるのに充分なエネルギーを蓄積できるDCコンデンサを含み得る。又、局部プリント基板384は、電力素子の入力端子A〜Cに接続された入力線からのAC電力又は遠隔電源からのAC電力を用いて、切替え事象後に蓄積エネルギーを回復させる電源を含んでいてもよい。
【0040】
図12は、電源の電力素子(例えば電力素子210)をバイパスするシステム390の様々な実施形態を示す。システム390は、図11のシステム370と類似している。システム390は、多極接触器として具体化できるバイパス装置392を含む。バイパス装置392は、図7〜9に示すバイパス装置300と同一であるか類似している。バイパス装置392は、電力素子の出力端子T1とT2に接続された第1の接点394、電力素子の入力端子Aに接続された第2の接点396および電源の入力端子Cに接続された第3の接点398を含む。接点394、396、398は、各々静止部分と可動部分とを含む。第2の接点396と第3の接点398は、入力端子Aと入力端子Cに接続されたものとして図12に示すが、他の実施形態では、第2の接点396と第3の接点398は入力端子A〜Cのうちどれか2つに接続されてもよいと理解されよう。
【0041】
図11のシステム370と対照的に、システム390は、第1の接点394、第2の接点396、第3の接点398の可動部分を制御するコイル400を含む。様々な実施形態により、コイル400は、接触器コイルとして具体化されている。他の実施形態では、プランジャを第1又は第2の位置に保持しおよび/又は接点394、396、398の可動部分を非バイパス位置又はバイパス位置に保持すべく、コイル400に連続的に電流を流す必要のない磁気ラッチング式接触器の一部として、コイル400が具体化され得る。前述の如く、磁気ラッチング式接触器は、単一コイル又は2コイルの構成となし得る。
【0042】
システム390は又、コイル400とやり取りする単一の局部プリント基板402も含む。局部プリント基板402は、コイル400を介して対応する接点394、396、398の可動部分を制御するように構成されている。一般に、局部プリント基板402はほぼ地電位に保たれた主制御装置(例えば図1の主制御システム195)からコマンドを受け取って、その主制御装置にステータスを報告するように構成されている。
【0043】
局部プリント基板402は又、必要に応じてコイル400にエネルギーのパルスを伝えて、対応する接点394、396、398の可動部分の位置を変え、又対応する接点394、396、398の可動部分の位置を認識するように構成されている。局部プリント基板402は、電力素子の入力端子ACに接続された入力線から制御電力を得る。図12に示すように、位置検出装置403を利用し、局部プリント基板402に、接点394、396、398の可動部分の対応する位置を与え得る。様々な実施形態により、位置検出装置は、スイッチング素子、ホール効果センサ、光センサ等として具体化され得る。
【0044】
コイル400が磁気ラッチング式接触器の一部である実施形態では、局部プリント基板402は又、プランジャおよび/又は接点394、396、398の可動部分の位置を切り替えるに充分なエネルギーを蓄積できるDCコンデンサも含み得る。又、局部プリント基板402は、電力素子の入力端子A〜Cに接続された入力線からのAC電力を用いて、切替え事象後に蓄積エネルギーを回復させる電源を含んでいてもよい。
【0045】
本発明の幾つかの実施形態を例示的にここに述べてきたが、併記の特許請求の範囲で定義した本発明の趣旨と範囲から逸脱しなければ、上記実施形態への様々な変更、修正、改造を実現できることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0046】
112 一次巻線、110 多巻線装置、210 電力素子、230 バイパス装置、 232 接点、A、B、C 入力端子、T1、T2 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と複数の三相二次巻線とを有する多巻線装置と、
前記多巻線装置の異なる三相二次巻線に各々が接続されている複数の電力素子と、
前記電力素子の少なくとも1つの第1の入力端子と第2の入力端子に接続され、又前記電力素子の少なくとも1つの第1の出力端子と第2の出力端子に接続されているバイパス装置と
を含むシステム。
【請求項2】
前記バイパス装置が、
静止部分と可動部分とを持ち、前記第1の出力端子と前記第2の出力端子に接続されている第1の接点と、
静止部分と可動部分とを持ち、前記第1の接点が前記第1の入力端子に接続されている第2の接点と、
静止部分と可動部分とを持ち、前記第1の接点が前記第2の入力端子に接続されている第3の接点と、
前記第1の接点、前記第2の接点、前記第3の接点の前記可動部分に結合されているソレノイドと
を含む請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ソレノイドが磁気ラッチング式接触器である請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記磁気ラッチング式接触器が1つのコイルを持つ請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記磁気ラッチング式接触器が少なくとも2つのコイルを持つ請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記バイパス装置に接続されている制御回路を更に含む請求項2記載のシステム。
【請求項7】
前記バイパス装置と前記制御回路に接続されている位置検出装置を更に含む請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記制御回路がプリント基板から成っている請求項6記載のシステム。
【請求項9】
前記制御回路が、前記バイパス装置を制御するように構成されている請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記制御回路が主制御装置に接続されている請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記バイパス装置が少なくとも1つの電気駆動式接触器を含む請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記電気駆動式接触器が、単極単投接触器、単極双投接触器又は多極接触器の少なくとも1つである請求項11記載のシステム。
【請求項13】
マルチセル電源の電力素子に故障が発生していることを判定するステップと、
前記電力素子の第1の入力端子に接続された第1の接点、前記電力素子の第2の入力端子に接続された第2の接点および前記電力素子の第1の出力端子と第2の出力端子に接続された第3の接点に結合されているソレノイドに、制御回路からの電流パルスを印加するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記故障が発生していることを判定するステップが、前記電力素子の出力電圧を、指示された出力電圧と比較するステップを含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ソレノイドに前記電流パルスを印加するステップが、
正の極性で前記電流パルスを印加するステップと、
負の極性で前記電流パルスを印加するステップと
の少なくとも1つを含む請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記ソレノイドに前記電流パルスを印加するステップが、
前記電流パルスを2つのコイルの第1のものに印加するステップと、
前記電流パルスを2つのコイルの第2のものに印加するステップと
の少なくとも1つを含む請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記第1の接点の可動部分の位置を決定するステップと、
前記第2の接点の可動部分の位置を決定するステップと、
前記第3の接点の可動部分の位置を決定するステップと
を更に含む請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記ソレノイドの少なくとも1つのコイルへの前記電流パルスの印加に応答して、前記第1の接点の可動部分、前記第2の接点の可動部分および前記第3の接点の可動部分の位置を変えるステップを更に含む請求項13記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【公表番号】特表2010−539877(P2010−539877A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525068(P2010−525068)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076410
【国際公開番号】WO2009/036430
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510002268)シーメンス インダストリー インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】