説明

電源システム、同電源システムを備えた画像形成装置および電源システムの制御方法

【課題】電源においてより省電力化が可能な技術を提供すること。
【解決手段】電源システム100は、スイッチング電源20、切替回路40、小容量電源回路30および制御装置50を備える。切替回路40は、交流入力ラインLin上に設けられ、オン・オフ切替される切替回路であって、オン時にスイッチング電源20へ交流電力を供給する。小容量電源回路30は切替回路40より前段において交流入力ラインLinに接続され、スイッチング電源20の起動時に切替回路40に電力を供給し、スイッチング電源20の不使用時に所定の電力を供給する。制御装置50は、小容量電源回路30から所定の電力を供給され、スイッチング電源20の不使用時に、切替回路40をオフし、スイッチング電源20への交流電力の供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システム、同電源システムを備えた画像形成装置および電源システムの制御方法に関し、詳しくは、電源システムの省電力化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源システムの省電力化を図る技術として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。その従来技術文献においては、スタンバイ中、主電源制御部がスイッチング電源の出力トランスを発振停止させ、この主電源制御部への電力供給を二次電池が行うことにより、省電力化を図った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−087734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術文献のようにスイッチング電源の発振を停止しても、出力トランスの一次側に設けられる平滑電解コンデンサ等でリーク電流が流れる。そのため、スイッチング電源において、さらなる省電力化を図る余地があった。
本発明は、電源においてより省電力化が可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される電源システムは、交流電源からの交流電圧を所定の直流電圧に変換し、前記直流電圧を出力するスイッチング電源と、交流入力ライン上に設けられ、オン・オフ切替される切替回路であって、オン時に前記スイッチング電源へ交流電力を供給する切替回路と、前記切替回路より前段において前記交流入力ラインに接続され、前記スイッチング電源の起動時に前記切替回路に電力を供給し、前記スイッチング電源の不使用時に所定の電力を供給する小容量電源回路と、前記小容量電源回路から前記所定の電力を供給され、前記スイッチング電源の不使用時に、前記切替回路をオフし、前記スイッチング電源への前記交流電力の供給を停止させる制御装置とを備える。
【0006】
上記電源システムにおいて、前記スイッチング電源の起動後においては、前記スイッチング電源が前記切替回路に前記電力を供給するようにしてもよい。
【0007】
また、上記電源システムにおいて、前記切替回路を、オン状態を電力供給なしに保持する自己保持型切替回路によって構成するようにしてもよい。
【0008】
また、上記電源システムにおいて、前記交流入力ラインへの交流電源の入力遮断を検出する遮断検出回路をさらに備え、前記制御装置は、前記入力遮断が検出された場合は、前記切替回路をオフするようにしてもよい。
【0009】
また、上記電源システムにおいて、前記制御装置は、前記切替回路を制御するのに必要な電荷が前記小容量電源回路に蓄積されているか判断し、蓄積されていたら前記切替回路をオンさせるようにしてもよい。
【0010】
また、上記電源システムにおいて、前記制御装置は、前記スイッチング電源起動後、前記切替回路をオフとした後すぐに前記スイッチング電源使用要求があった場合は、前記電荷が蓄積されていると判断するようにしてもよい。
【0011】
また、上記電源システムにおいて、前記交流入力ラインへの交流電源の入力を検出する電源検出回路をさらに備え、前記切替回路は、該切替回路をオン・オフさせる切替部を含み、前記小容量電源回路は、前記切替部に接続される電圧ラインを含み、前記制御装置は、前記交流電源の検出後、前記電圧ラインの電圧が前記切替部を駆動するために必要な電圧以上となった場合は、前記電荷が蓄積されていると判断するようにしてもよい。
【0012】
また、上記電源システムにおいて、前記小容量電源回路は、第1電圧ラインに接続される第1充電コンデンサを含み、前記制御装置は、前記第1電圧ラインに前記切替部が接続される場合は、前記第1電圧ラインの第1ライン電圧を取得し、取得された前記第1ライン電圧に応じて前記電荷が蓄積されているか判断するようにしてもよい。
【0013】
また、上記電源システムにおいて、前記小容量電源回路は、第1電圧ラインに接続される第1充電コンデンサ、前記第1充電コンデンサの充電電圧を他の電圧に変換するDC−DCコンバータ、および前記DC−DCコンバータの出力側の第2電圧ラインに接続される第2充電コンデンサを含み、前記制御装置は、前記第2電圧ラインに前記切替部が接続される場合は、前記第2電圧ラインの第2ライン電圧または前記第1ライン電圧を取得し、取得された前記第2ライン電圧または前記第1ライン電圧に応じて前記電荷が蓄積されているか判断するようにしてもよい。
【0014】
また、上記電源システムにおいて、前記交流入力ラインへの交流電源の入力を検出する電源検出回路をさらに備え、前記制御装置は、前記交流電源の検出後、所定時間経過した場合、前記電荷が充電されていると判断するようにしてもよい。その際、前記交流入力ラインへの前記交流電源の入力遮断を検出する遮断検出回路と、前記入力遮断の継続時間を計時する計時回路とさらに備え、前記制御装置は、前記継続時間が短いほど、前記所定時間を短く設定するようにしてもよい。
【0015】
また、上記電源システムにおいて、前記切替回路とグランドとの間に設けられる駆動回路をさらに備え、前記制御装置は、前記駆動回路をオン・オフ制御することによって、前記切替回路をオン・オフするようにしてもよい。
【0016】
また、上記電源システムにおいて、前記小容量電源回路は、小容量AC−DC変換回路であり、前記小容量電源回路は、第1電極および第2電極を有し、前記第1電極が前記交流入力ラインに接続される第1コンデンサと、第1電極および第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、両コンデンサに印加される交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路に接続され、整流された交流電圧を平滑して平滑電圧を生成する平滑回路とを含むようにしてもよい。
【0017】
また、本明細書によって開示される画像形成装置は、上記いずれかの電源システムを備えた画像形成装置であって、前記スイッチング電源の使用時は、印刷処理を行う通常モード時であり、前記スイッチング電源の不使用時は、前記画像形成装置の電源オフ時または前記通常モード時より消費電力の少ないオフモード時である。
【0018】
上記画像形成装置において、前記画像形成装置は、CPU、操作パネル、および前記オフモードから前記通常モードへの復帰スイッチを備え、前記オフモード時では、前記小容量電源回路から前記CPU、前記操作パネルおよび前記復帰スイッチに電力が供給されるようにしてもよい。
【0019】
また、本明細書によって開示される電源システムの制御方法は、交流入力ラインに設けられた切替回路と、前記切替回路より前段において前記交流入力ラインに接続され、コンデンサを含む小容量AC−DC変換回路と、前記切替回路より後段に設けられたスイッチング電源とを備えた電源システムの制御方法であって、電源システムへの電源投入時に、前記コンデンサに蓄積されたエネルギーによって前記切替回路をオンして、前記スイッチング電源をオンさせる工程と、電源投入以後において前記スイッチング電源を一時的に所定期間オフさせる場合、前記切替回路をオフさせる工程と、前記所定期間において、前記小容量AC−DC変換回路によって所定の直流電圧を生成させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スイッチング電源の不使用時はスイッチング電源への交流電力の供給を完全にオフすることでリーク電流を抑制できる。そのため、スイッチング電源の不使用時においてさらなる省電力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置の概略的な構成を示すブロック図
【図2】一実施形態に係る電源システムの概略的な構成を示すブロック図
【図3】電源システムにおけるリレー制御処理を概略的に示すフローチャート
【図4】リレー制御処理に係る概略的なタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
実施形態1について図1から図4を参照して説明する。
1.プリンタの説明
図1は、画像形成装置の一例であるプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3b、操作パネル4および電源システム100を含む。電源システム100は、電源部10と制御装置50を含む。電源部10はプリンタ1の電源となるものであり、印刷部2、通信部3a、画像メモリ3bおよび制御装置50に対して電力を供給する。
【0023】
印刷部2は、感光ドラム2a、感光ドラム2aの表面を帯電させる帯電プロセスを実行する帯電器2b、感光ドラム2aの表面に静電潜像を形成する露光プロセスを実行する露光装置2c、感光ドラム2aの表面に形成された静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像プロセスを実行する現像器2d、記録媒体に現像剤像を転写する転写プロセスを実行する転写器2e、記録媒体上に転写された現像剤像を定着させる定着プロセスを実行する定着器2f等から構成されている。
【0024】
印刷部2は帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスを実行して、記録媒体上に印刷データに基づく画像を印刷する印刷処理を実行するものである。通信部3aはPC等の情報端末装置との間で通信を行うものであり、情報端末装置から印刷指示や印刷データを受信する機能を担う。画像メモリ3bは、情報端末装置から受信した印刷データを一時記憶するものである。
【0025】
操作パネル4は、複数の操作ボタン等を有し、ユーザによる操作パネル4の操作によって、コピー指令等のプリンタ1に対する動作指令がなされる。
【0026】
プリンタ1は、通信部3aが情報端末装置から印刷指示を受けて印刷データを受信すると、制御装置50が、印刷部2に帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスからなる印刷処理を実行させることで、記録媒体に印刷データに基づく画像を印刷させる。なお、印刷部2の動作電圧は主に24Vであるのに対して、通信部3a、画像メモリ3bおよび制御装置50の動作電圧は主に3.3Vである。
【0027】
なお、プリンタ1は、動作モードとして通常モードとオフモードとを有する。通常モードとは、プリンタ1が印刷指示に応答して即座に印刷処理を実行できる状態、あるいは、印刷処理を実行している状態にあるモードである。そのため、通常モードにおいては、電源システム100は動作しており、定着器2fは定着可能な温度或いは定着可能な温度よりやや低い温度に維持されるように通電制御されている。また、オフモードとは、印刷指示が所定時間なくプリンタ1が待機状態にあるモードである。オフモードでは、電源システム100は、その一部しか動作しておらず、定着器2fは通電されていない状態となっている。
【0028】
なお、オフモードは、いわゆるスリープモードよりも省電力化されたモードであり、オフモードでは、通信部3aには電源が供給されず外部とのデータ通信はできない。
【0029】
2.電源システムの構成
次に図2を参照して電源システム100の構成について説明する。上述したように、電源システム100は、電源部10と制御装置50とを含む。まず、電源システム100の電源部10の構成について説明する。電源部10は、スイッチング電源20、小容量電源回路30およびリレー40を含む。
【0030】
リレー40は、切替回路の一例であり、可動切片41、接点42、および可動切片41を駆動するリレーコイル(切替部の一例)43を含む。接点42はここではノーマリオープンの接点である。すなわち、リレーコイル43が励磁されない場合、可動切片41と接点42は接続されず、リレー40はオフ状態にある。一方、リレーコイル43が励磁されると、可動切片41と接点42は接続され、リレー40はオン状態となり、スイッチング電源20に交流電力が供給される。
【0031】
なお、切替回路はリレー40に限られず、オン状態を電力供給なしで保持する、いわゆる自己保持型切替回路であってもよい。例えば、切替回路は、自己保持型リレーあるいは自己保持型ソレノイドであってもよい。自己保持型ソレノイドである場合、可動切片41がオフのときにソレノイドのコイルが励磁されソレノイドが動作することにより、可動切片41がオフからオンに切り替えられて可動切片41のオン状態が継続する。また、可動切片41がオン状態のときにソレノイドのコイルが励磁されソレノイドが動作することにより、可動切片41がオンからオフに切り替えられてオフ状態が継続される構成とすることにより、自己保持型でないリレー40を使用する場合に比べ、オン状態を継続するために常にコイルを励磁する必要が無く、省電力化できる。さらに、切替回路は、機械的接点を有さない半導体スイッチであってもよい。
【0032】
スイッチング電源20は、整流平滑回路21、制御IC22、電圧発生回路23、トランス24、FET(電界効果トランジスタ)Q1、整流平滑回路25、電圧検出回路26、およびDC−DCコンバータ27、28を含む。スイッチング電源20は、リレー40を介して交流入力ラインLinに接続される。
【0033】
スイッチング電源20は、交流電源ACの交流電圧Vacを整流平滑化し、通常モードにおいて+24V、+5Vおよび+3.3Vの直流電圧を生成する。+24Vの直流電圧(以下「DC24V」と記す)は第1出力端子OUT1から出力され、+5Vの直流電圧(以下「DC5V」と記す)は第2出力端子OUT2から出力され、+3.3Vの直流電圧(以下「DC3.3V」と記す)は第3出力端子OUT3から出力される。
【0034】
整流平滑回路21は、いわゆるコンデンサインプット型であり、交流電源ACの交流電圧Vac(例えば、240V)を整流するブリッジダイオードおよび整流後の電圧を平滑化するコンデンサを含む。整流平滑回路21の出力は、トランス24の一次コイルに印加される。
【0035】
トランジスタQ1はNチャンネルのMOSFETであり、制御IC22からゲートにオン・オフ信号(PWM信号)が与えられることにより、オン・オフ動作する。これにより、トランス24の一次側が発振して、トランス24の二次コイルに電圧を誘起させる。
【0036】
また、トランス24の一次側には電圧発生回路23が設けられている。電圧発生回路23は、トランス24の一次側に設けられた補助コイルに誘起される電圧を整流平滑化して、制御IC22用の電源電圧Vccを生成する。
【0037】
整流平滑回路25はトランス24の二次コイルに誘起された電圧を整流平滑化してDC24Vを生成する。
【0038】
電圧検出回路26は、フォトカプラPC1を含み、スイッチング電源20のDC24V出力の検出レベルに応じて、フォトカプラPC1の発光ダイオードLED1を発光させる。フォトカプラPC1は、制御IC22のフィードバックポートFBに接続されたフォトトランジスタPT1を含む。そのため、発光ダイオードLED1の光信号はフォトトランジスタPT1にて電気信号に戻され、DC24V出力の検出値が制御IC22のフィードバックポートFBにフィードバックされる。
【0039】
DC−DCコンバータ27は、DC24VをDC5Vに変換して出力し、DC−DCコンバータ28は、DC24VをDC3.3Vに変換して出力する。
【0040】
制御IC22は、出力モードにおいては、トランス24の一次側を発振させて、各DC電圧を生成し、出力停止モードにおいては、リレー40がオフされることによって電力供給が停止され、動作を停止する。そのため、出力停止モードにおいては、スイッチング電源20からDC電圧は出力されない。なお、プリンタ1のオフモードから通常モードへの復帰時には、リレー40がオンされ制御IC22への電力供給が再開され、トランス24の一次側の発振が開始される。それによって、各DC電圧がスイッチング電源20から出力される。ここで、プリンタ1のオフモードおよび通常モードは、スイッチング電源20の出力停止モードおよび出力モードに対応する。なお、入力ポートVHには、スイッチング電源20の始動時に電源電圧が供給される。
【0041】
次に、電源システム100の制御装置50の構成について説明する。制御装置50は、ASIC(特定用途向けIC)51、リセットIC52、およびリレー駆動トランジスタ(駆動回路の一例)Q3を含む。ASIC51は、プリンタ1の印刷部2を制御するメインブロックB1と、主にプリンタ1のモード制御を行うモード制御ブロックB2とから構成されている。なお、モード制御の一部はメインブロックB1で行うようにしてもよい。また、メインブロックB1およびモード制御ブロックB2は、ASIC51で構成されることに限られない。例えば、メインCPUとサブCPUによって構成されてもよい。
【0042】
メインブロックB1の電源ポートP1は、スイッチング電源20のDC−DCコンバータ28からDC3.3Vを受け取る。なお、メインブロックB1は通常モード中に限り電力が供給されて動作状態となり、スイッチング電源20が出力停止モード、すなわち、オフモードに移行すると、電力の供給が断たれて停止状態になる。なお、オフモードへの移行は、ユーザが操作パネル4の操作でスイッチS1をオフしたり、スリープモードが所定時間以上継続したりすると移行する(図4参照)。また、メインブロックB1は、RTC(リアルタイムクロック)53、メモリ55を含む。RTC53は、小容量電源回路30にリレー40の駆動に必要な電力が蓄電されているかどうかを判定する際の時間計測に利用される。メモリ55は、ROMおよびRAMを含む。ROMには、ASIC51が実行する各種プログラムが格納され、RAMにはプログラムが実行される際の各種データが格納される。
【0043】
一方、モード制御ブロックB2の電源ポートP2は、小容量電源回路30のDC−DCコンバータ33に接続されており、通常モードおよびオフモードにおいて小容量電源回路30から電力供給される。モード制御ブロックB2は、プリンタ1のモード切換えに応じて、スイッチング電源20を、通常モードと、オフモードとに切り換え制御する。通常モードは、スイッチング電源20の使用時に相当し、オフモードはスイッチング電源20の不使用時に相当する。
【0044】
本実施形態において、モード制御ブロックB2は、スイッチング電源20の不使用時に、リレー40をオフ状態に制御し、スイッチング電源20への交流電力の供給を停止させる。具体的には、モード制御ブロックB2は、通常モードでは、RELAY信号によってリレー駆動トランジスタQ3をオンすることによって、小容量電源回路30から電流をリレーコイル43に供給してリレーコイル43を励磁し、リレー40をオンする。それによって、スイッチング電源20に交流電力が供給される。一方、オフモードでは、RELAY信号によってリレー駆動トランジスタQ3をオフすることによってリレーコイル43の励磁を停止させ、リレー40をオフする。それによって、スイッチング電源20への電力供給が遮断される。
【0045】
すなわち、モード制御ブロックB2は、リレー40のオン・オフを制御することにより、スイッチング電源20を出力モードと出力停止モードとに切り換える。ここで、出力モードとは、トランス24の一次側を発振させて、スイッチング電源20を出力状態にするモードであり、プリンタ1の通常モードに対応する。一方、出力停止モードは、トランス24の発振を停止させてスイッチング電源20の出力を停止させるモードであり、プリンタ1のオフモードに対応する。このように、オフモードにおいては、スイッチング電源20の出力が停止されるため、制御装置50には、すなわち、ASIC51のモード制御ブロックB2には、小容量電源回路30から電力が供給される。
【0046】
リセットIC52は、小容量電源回路30のDC−DCコンバータ33の出力電圧(DC+3.3VB)の検出値に応じてRESET信号を生成してモード制御ブロックB2のポートP3へ出力し、RESET信号によって、モード制御ブロックB2のリセットおよびリセット解除を行う。具体的には、DC+3.3VBが所定電圧未満の場合には、モード制御ブロックB2をリセットするRESET信号を生成する。一方、DC+3.3VBが所定電圧以上の場合には、モード制御ブロックB2のリセットを解除するRESET信号を生成する。なお、リセットIC52は、DC−DCコンバータ33の入力電圧、すなわち、第1ライン電圧VL1の検出値に基づいてRESET信号を生成するようにしてもよい。
【0047】
このように、制御装置50は、詳しくは、ASIC51のモード制御ブロックB2は、オフモードから通常モードへ切り換える場合、小容量電源回路30から供給される電力によって、RELAY信号を生成し、RELAY信号によってリレー40をオンさせる。そのため、オフモードから通常モードへ切り換えを、オフモード時に蓄えられた電力を利用して好適に行える。
なお、ユーザは、スイッチS1によって、モード制御ブロックB2にモードの切り換えを指示することができる。例えば、スイッチS1のオンで通常モードとなり、スイッチS1のオフでオフモードとなる。
【0048】
3.小容量電源回路の構成
次に、小容量電源回路30について説明する。小容量電源回路30はオフモードおよび通常モードにおいて制御装置50に電力を供給する。詳しくは、小容量電源回路30は、各モードにおいて、制御装置50のモード制御ブロックB2およびリセットIC52に電力を供給する。通常モードにおいては、小容量電源回路30は、交流電圧Vacの大きさに応じて、交流電源ACから制御装置50に電力を供給したり、ダイオードD5を介してスイッチング電源20のDC5Vから電力を供給したりする。省電力モードにおいては、小容量電源回路30は、平滑コンデンサC3から制御装置50に電力を供給する。
【0049】
小容量電源回路30は、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、整流回路31、平滑回路32、DC−DCコンバータ33、電源検出回路34および第2充電コンデンサC4を含む。
【0050】
第1コンデンサC1は、第1電極C1p1および第2電極C1p2を有し、第1電極C1p1が交流入力ラインLinを介して交流電源ACの一端に接続され、第2電極C1p2が整流回路31に接続される。
【0051】
第2コンデンサC2は、第1電極C2p1および第2電極C2p2を有し、第1電極C2p1が交流電源ACの他端に接続され、第2電極C2p2が整流回路31に接続される。
【0052】
整流回路31は、第1コンデンサC1の第2電極C1p2と第2コンデンサC2の第2電極との間に電気的に接続され、両コンデンサC1、C2に印加される交流電圧Vacを整流する。本実施形態では、整流回路31は、4個のダイオードD1,D2,D3,D4からなるブリッジ回路によって構成される。ダイオードD1およびダイオードD2のカソードは第1接続点Nd1において接続され、ダイオードD1のアノードは第1コンデンサC1の第2電極C1p2に接続され、ダイオードD2のアノードは第2コンデンサC2の第2電極C2p2に接続される。
【0053】
また、ダイオードD3およびダイオードD4のアノードは第2接続点Nd2において接続され、ダイオードD3のカソードは第1コンデンサC1の第2電極C1p2に接続され、ダイオードD4のカソードは第2コンデンサC2の第2電極C2p2に接続される。第2接続点Nd2はグランドに接続される。なお、整流回路31の構成は図2の構成に限られない。
【0054】
平滑回路32は、整流回路31に第1電圧ラインL1を介して接続され、整流された交流電圧を平滑して第1ライン電圧VL1を生成する。本実施形態では、平滑回路32は、第1充電コンデンサC3および、ツェナーダイオードZD1を含む。そして、スイッチング電源20の起動時に、リレー40をオンするために、第1ライン電圧VL1、すなわち、第1充電コンデンサC3からリレー駆動ラインL3を介して、リレーコイル43に電力が供給される。なお、これに限られず、リレー駆動ラインL3は、DC−DCコンバータ33の出力側、すなわち、第2ライン電圧VL2に接続し、第2充電コンデンサC4からリレー駆動ラインL3を介して、リレーコイル43に電力が供給されるようにしてもよい。
【0055】
第1充電コンデンサC3は、ダイオードD5を介してスイッチング電源20の+5Vの出力端(第2出力端子)OUT2に電気的に接続される。そのため、スイッチング電源20の起動後は、スイッチング電源20の+5V直流電圧によって第1充電コンデンサC3および第2充電コンデンサC4に充電が可能となる。それにより、スイッチング電源20の起動後、短時間でオフモードに入っても短時間の間に第1充電コンデンサC3および第2充電コンデンサC4が充電されるため、第1充電コンデンサC3あるいは第2充電コンデンサC4の電力によって即座にオフモードから通常モードへの復帰が可能となる。なお、本実施形態においては、通常モードへの復帰時に、第1充電コンデンサC3の電力によってリレー40がオンされて、スイッチング電源20が再起動される。
【0056】
ダイオードD5は第1充電コンデンサC3からDC−DCコンバータ35側への逆流を防止するものである。また、ツェナーダイオードZD1は、交流電源ACの交流電圧Vacが上昇した場合に、第1ライン電圧VL1の上昇を抑制するためのものである。なお、ツェナーダイオードZD1は、必ずしも必要な構成ではなく、省略されてもよい。
【0057】
DC−DCコンバータ33は、第1ライン電圧VL1を第2ライン電圧VL2であるDC+3.3V(以下、DC3.3VBと記す)に変換する。第2ライン電圧VL2は、リセットIC52およびモード制御ブロックB2の電源ポートP2に供給される。すなわち、モード制御ブロックB2の電力は、小容量電源回路30から供給される。第2充電コンデンサC4は、DC−DCコンバータ33からのDC3.3VBによって充電される。第1充電コンデンサC3および第2充電コンデンサC4の容量を適宜に選定することによって、オフモードにおいて、所定電圧の必要に応じた電力量を蓄電することができる。
【0058】
なお、DC−DCコンバータ33および第2充電コンデンサC4は、必ずしも必要な構成ではなく、オフモードに必要とされる電力量によっては、DC−DCコンバータ35および第2充電コンデンサC4は省略してもよい。その際、リレー40の駆動電力は、第1充電コンデンサC3から供給されることとなる。
【0059】
また、電源検出回路34は、第1充電コンデンサC3とグランドとの間に接続され、交流入力ラインLinへの交流電源Vacの入力および遮断を検出する。電源検出回路34は、例えば、トランジスタQ2、抵抗R1およびダイオードD6を含む。トランジスタQ2のコレクタは抵抗を介してDC3.3VB)にプルアップされている。トランジスタQ2のベースは、抵抗R1の一端およびダイオードD6のカソードに接続されており、トランジスタQ2のエミッタはグランドに接続されている。電源検出回路34は、遮断検出回路の一例である。なお、抵抗R1およびダイオードD6のうち、いずれかが省略されてもよい。
【0060】
交流電源Vacの入力に応じてトランジスタQ2に所定のベース電流が流れることによってトランジスタQ2がオンされる。一方、トランジスタQ2に所定のベース電流が流れないことによって、トランジスタQ2がオフされる。トランジスタQ2のオン時間に対応したパルス幅を有する交流検出信号INACVが生成され、交流検出信号INACVは、モード制御ブロックB2のポートP4に供給される。交流検出信号INACVに応じて、モード制御ブロックB2は交流電源Vacの有無を検出し、それに応じてRELAY信号を生成してポートP5からトランジスタQ3へ出力する。
【0061】
具体的には、交流電源Vacが入力されて、周期的に交流電圧が所定レベルを超えるとトランジスタQ2が周期的にオンされ、周期的にローレベルとなる交流検出信号INACVが形成される。一方、交流電源Vacが遮断されると、トランジスタQ2はオンされず、ハイレベルで変化しない交流検出信号INACVが形成される。交流電源Vacが入力され、スイッチング電源20を使用する場合には、モード制御ブロックB2は、トランジスタQ3をオンさせるRELAY信号を生成する。
【0062】
一方、スイッチング電源20の使用中に交流電源Vacが遮断された場合、例えば、停電が発生した場合には、トランジスタQ3をオフさせるRELAY信号を生成し、リレー40をオフする。この場合、交流電源Vacの遮断によってスイッチング電源20からの電力でリレー40のオンを維持できなくなり、その代わりに、リレー40のオンを維持する必要が無いにもかかわらずリレー40のオンを維持するために小容量電源回路30の電力が消費されるのを、リレー40をオフすることによって抑制できる。それによって、小容量電源回路30の蓄電を維持できるため、次に電源が回復あるいはオンされたときに、スイッチング電源20の立ち上がりを早めることができる。
【0063】
4.リレー制御処理
次に、図3および図4を参照して、リレー40の制御処理を説明する。図3はリレー制御処理の各処理を示しフローチャートであり、図4はリレー制御処理に係るタイムチャートである。
【0064】
リレー制御処理は、プリンタ1のプラグがコンセントに挿入されると(図4の時刻t0に相当)、所定のプログラムにしたがって、制御装置50、詳しくは、制御装置50のモード制御ブロックB2によって実行される。
【0065】
まず、制御装置50は、DC−DCコンバータ33の出力電圧であるDC3.3VBが所定値以上であるかどうか判定する(ステップS105)。言い換えれば、DC3.3VBが所定値以上に達し、リセットICからのRESET信号がモード制御ブロックB2のリセット状態を解除する信号であるかどうか判定する。DC3.3VBが所定値以上であると判定した場合(ステップS105:YES)、制御装置50は、RTC53のカウント値COAをリセットして、RTC53のカウントを開始する(ステップS110)。このタイミングは、図4の時刻t1に相当する。
【0066】
次いで、制御装置50は、交流電圧入力有りかどうかを、上記電源検出回路34からの交流検出信号INACVにしたがって判定する(ステップS115)。交流電圧入力無しと判定した場合(ステップS115:NO)、交流電源Vacが何らかの理由、例えば、停電で遮断されたとして、本処理を終了する(図4の時刻t9参照)。
【0067】
この場合、リレー40をオンさせないことによって、交流遮断によってスイッチング電源20からの電力でリレー40を制御できなくなり小容量電源回路30の電力がリレー40制御のために消費されるのを抑制できる。これによって、小容量電源回路30の蓄電を維持できるため、交流遮断からあまり期間をおかずにプリンタ1のプラグがコンセントに挿入される等、電力供給が再開されたときに、スイッチング電源20の立ち上がりを早めることができる(図4の時刻t7〜t8を参照)。
【0068】
一方、交流電圧入力有りと判定した場合(ステップS115:YES)、DC3.3VBが所定値以上であると判定(時刻t1)してから所定時間K1が経過したかどうか、すなわち、RTC53のカウント値COAが所定値に達したかどうかを判定する(ステップS120)。
【0069】
この判定は、小容量電源回路30にリレー40の駆動に必要な電力が蓄電されているかどうか、すなわち、第1充電コンデンサC3あるいは第2充電コンデンサC4の充電量が十分であるかどうかを判定するために行われる。なお、本実施形態では、第1充電コンデンサC3の充電量が十分であるかどうかを判定するために行われる。所定時間K1が経過したと判定した場合(ステップS120:YES)、制御装置50は、トランジスタQ3をオンさせるRELAY信号を生成し、リレー40をオンする。リレー40をオンすることによって、スイッチング電源20が起動される。このタイミングは、図4の時刻t2に相当する。すなわち、プリンタ1、すなわち電源システム100への電源投入時に、第1充電コンデンサC3に蓄積されたエネルギーによってリレー40がオンされ、スイッチング電源がオンされる。
【0070】
このように、本実施形態では、制御装置50は、リレー40を制御するのに必要な電力(電荷)が小容量電源回路30に蓄積されているか判断し、蓄積されていたらリレー40をオンさせる。そのため、確実にリレー40を制御できる。すなわち、リレー40のリレーコイル43を駆動するには所定の電力が必要であり、所定の電力(電荷)が蓄積されたことを確認することにより、確実にリレーコイル43を駆動できる。
【0071】
また、本実施形態では、スイッチング電源20の起動後においては、スイッチング電源20が、リレー40に電力を供給し、リレー40のオン状態を維持する。具体的には、スイッチング電源20のOUT2からDC5Vが小容量電源回路30のダイオードD5のアノードに供給され、リレー駆動ラインL3を介してリレーコイル43に電力が供給される。これによって、小容量電源回路30の電力容量を小さく設定できる。すなわち、小容量電源回路30を小型化できる。
【0072】
次いで、スイッチング電源20の起動後において、再度、制御装置50は、交流電圧入力有りかどうかを判定する(ステップS130)。交流電圧入力無しと判定した場合(ステップS130:NO)、交流電源Vacが何らかの理由で遮断されたとして(時刻t6参照)、リレー40をオフ状態として(ステップS132)本処理を終了する。一方、交流電圧入力有りと判定した場合(ステップS130:YES)、オフモードに移行したかどうかを判定する(ステップS135)。オフモードに移行したかどうかの判定は、例えば、ユーザによる操作パネル4の操作によってスイッチS1がオフ、すなわちオフモードが選択されたかどうかを判定することによって行われる。あるいは、図4に示されるように、パネル操作からの印刷指示(パネルSW信号)による印刷の完了後、印刷データの受信やユーザによる印刷指示等の操作指示がなされずに所定時間が経過してスリープモードに移行した後(時刻t3参照)、さらにスリープモードが所定時間K2継続したかどうかを判定することによって行われる。なお、図4に示すパネルSW信号は、ユーザによる操作パネル4の操作に応じて生成される。
【0073】
オフモードに移行したと判定した場合(ステップS135:YES)、制御装置50は、トランジスタQ3をオフさせるRELAY信号を生成し、リレー40をオフする(ステップS140)。リレー40をオフすることによって、スイッチング電源20への電力供給は遮断され、スイッチング電源20の動作は完全に停止する(図4の時刻t4に相当)。そのため、オフモード中において、出力トランス24の一次側に設けられる整流平滑回路21の平滑電解コンデンサ等においてリーク電流は流れない。
【0074】
次いで、スイッチング電源20の停止後において、再度、制御装置50は、交流電圧入力有りかどうかを判定する(ステップS145)。交流電圧入力無しと判定した場合(ステップS145:NO)、交流電源Vacが何らかの理由で遮断されたとして、本処理を終了する。一方、交流電圧入力有りと判定した場合(ステップS145:YES)、通常モードに移行するかどうかを判定する(ステップS150)。通常モードに移行するかどうかの判定は、例えば、ユーザによる操作パネル4の操作によるスイッチS1オン等がされたかどうかによって行われる。
【0075】
スイッチS1オンによって通常モードに移行したと判定した場合(ステップS150:YES)、ステップS125に戻って、リレー40をオンすることによって、スイッチング電源20を再起動する。このタイミングは、図4の時刻t5に相当する。その際、小容量電源回路30の第1充電コンデンサC3には、リレー40を駆動するために十分な充電量が確保されているため、即座にスイッチング電源20を再起動させることができる。
【0076】
5.本実施形態の効果
オフモード等のスイッチング電源20の不使用時は、リレー40をオフすることによって、スイッチング電源20への交流電力の供給を完全にオフされる。そのため、トランス24の一次側でのリーク電流を抑制でき、スイッチング電源20の不使用時においてさらなる省電力化が図れる。
【0077】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
(1)上記実施形態において、制御装置50は、スイッチング電源起動後、切替回路40をオフとした後すぐにスイッチング電源使用要求があった場合は、電荷が蓄積されていると判断するようにしてもよい。交流電力の供給をオフした後すぐにスイッチング電源使用要求があった場合は、小容量電源回路30は充電されているとみなすことができ、この場合、スイッチング電源20の再起動時間を短縮できる。なお、ここで「すぐ」とは、小容量電源回路30内、例えば、充電コンデンサ(C3あるいはC4)に蓄積された電荷の放電時間に対して十分短い時間である。
【0079】
(2)上記実施形態においては、交流電源の検出後(図4の時刻t0後)、DC+3.3VBが所定電圧に達した後、所定時間K1が経過した場合、充電コンデンサ(C3あるいはC4)に電荷が充電されていると判断したがこれに限られない。
【0080】
例えば、交流電源の検出後、所定時間K1の計測を行わずに、単に、電圧ラインの電圧(VL1,VL2)がリレーコイル43を駆動するために必要な電圧以上となった場合は、小容量電源回路30に電荷が蓄積されていると判断するようにしてもよい。この場合、電圧によって電荷が蓄積されているかどうかを把握できるので、所定時間K1の計測を行う場合と比べ、迅速に蓄電状態を把握できる。
【0081】
あるいは、交流電源の検出後、所定時間経過した場合、電荷が充電されていると判断するようにしてもよい。この場合、充電電圧をモニタする回路を設けなくても、単に時間の計測によって充電されているかどうかを把握できる。
【0082】
(3)上記実施形態においては、第1充電コンデンサC3が接続される第1ラインL1の第1ライン電圧VL1に基づいて、小容量電源回路30の充電状態を判断するようにしたがこれに限られない。例えば、第2充電コンデンサC4が接続される第2ラインL2の第2ライン電圧VL2に基づいて、小容量電源回路30の充電状態を判断するようにしてもよい。あるいは、第1充電コンデンサC3および第2充電コンデンサC4の容量に応じて、いずれのライン電圧(VL1,VL2)を検出するかを設定するようにしてもよい。例えば、C3<C4の場合、第2ライン電圧VL2を検出するようにする。
【0083】
(4)上記実施形態において、制御装置50は、交流電源Vacの遮断継続時間K3(図4の時刻t6から時刻t7まで)が短いほど、小容量電源回路30での電荷の充電を検出する所定時間K4(図4の時刻t7から時刻t8まで)を短く設定するようにしてもよい。この場合、入力遮断の継続時間K3が短いほど、小容量電源回路30での電荷の放電量は少なく電荷の蓄積期間は短くてすむ。そのため、遮断継続時間K3が短いほど所定時間K4を短く設定することによって、スイッチング電源の再起動(時刻t8)を迅速に行える(図4参照)。
【0084】
(5)上記各実施形態において、本明細書によって開示される電源システム100を画像形成装置に適用した例を示すが、これに限られない。電源システム100は、通常モードとオフモードとを有するあらゆる装置に適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…プリンタ、20…スイッチング電源、30…小容量電源回路、31…整流回路、32…平滑回路、33…DC−DCコンバータ、34…電源検出回路、40…リレー、50…制御装置、51…ASIC、52…リセットIC、100…電源システム、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、C3…第1充電コンデンサ(平滑回路)、C4…第2充電コンデンサ、Q3…リレー駆動トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電圧を所定の直流電圧に変換し、前記直流電圧を出力するスイッチング電源と、
交流入力ライン上に設けられ、オン・オフ切替される切替回路であって、オン時に前記スイッチング電源へ交流電力を供給する切替回路と、
前記切替回路より前段において前記交流入力ラインに接続され、前記スイッチング電源の起動時に前記切替回路に電力を供給し、前記スイッチング電源の不使用時に所定の電力を供給する小容量電源回路と、
前記小容量電源回路から前記所定の電力を供給され、前記スイッチング電源の不使用時に、前記切替回路をオフし、前記スイッチング電源への前記交流電力の供給を停止させる制御装置と、
を備えた電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源システムにおいて、
前記スイッチング電源の起動後においては、前記スイッチング電源が前記切替回路に前記電力を供給する、電源システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電源システムにおいて、
前記交流入力ラインへの交流電源の入力遮断を検出する遮断検出回路をさらに備え、
前記制御装置は、前記入力遮断が検出された場合は、前記切替回路をオフする、電源システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源システムにおいて、
前記制御装置は、前記切替回路を制御するのに必要な電荷が前記小容量電源回路に蓄積されているか判断し、蓄積されていたら前記切替回路をオンさせる、電源システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電源システムにおいて、
前記制御装置は、前記スイッチング電源起動後、前記切替回路をオフとした後すぐに前記スイッチング電源使用要求があった場合は、前記電荷が蓄積されていると判断する、電源システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電源システムにおいて、
前記交流入力ラインへの交流電源の入力を検出する電源検出回路をさらに備え、
前記切替回路は、該切替回路をオン・オフさせる切替部を含み、
前記小容量電源回路は、前記切替部に接続される電圧ラインを含み、
前記制御装置は、前記交流電源の検出後、前記電圧ラインの電圧が前記切替部を駆動するために必要な電圧以上となった場合は、前記電荷が蓄積されていると判断する、電源システム。
【請求項7】
請求項6に記載の電源システムにおいて、
前記小容量電源回路は、第1電圧ラインに接続される第1充電コンデンサを含み、
前記制御装置は、前記第1電圧ラインに前記切替部が接続される場合は、前記第1電圧ラインの第1ライン電圧を取得し、取得された前記第1ライン電圧に応じて前記電荷が蓄積されているか判断する、電源システム。
【請求項8】
請求項6に記載の電源システムにおいて、
前記小容量電源回路は、第1電圧ラインに接続される第1充電コンデンサ、前記第1充電コンデンサの充電電圧を他の電圧に変換するDC−DCコンバータ、および前記DC−DCコンバータの出力側の第2電圧ラインに接続される第2充電コンデンサを含み、
前記制御装置は、前記第2電圧ラインに前記切替部が接続される場合は、前記第2電圧ラインの第2ライン電圧または前記第1ライン電圧を取得し、取得された前記第2ライン電圧または前記第1ライン電圧に応じて前記電荷が蓄積されているか判断する、電源システム。
【請求項9】
請求項4または請求項5に記載の電源システムにおいて、
前記交流入力ラインへの交流電源の入力を検出する電源検出回路をさらに備え、
前記制御装置は、前記交流電源の検出後、所定時間経過した場合、前記電荷が充電されていると判断する、電源システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電源システムにおいて、
前記交流入力ラインへの前記交流電源の入力遮断を検出する遮断検出回路と、前記入力遮断の継続時間を計時する計時回路とさらに備え、
前記制御装置は、前記継続時間が短いほど、前記所定時間を短く設定する、電源システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電源システムにおいて、
前記切替回路は、オン状態を電力供給なしに保持する自己保持型切替回路である、電源システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の電源システムにおいて、
前記切替回路とグランドとの間に設けられる駆動回路をさらに備え、
前記制御装置は、前記駆動回路をオン・オフ制御することによって、前記切替回路をオン・オフする、電源システム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の電源システムにおいて、
前記小容量電源回路は、小容量AC−DC変換回路であり、
前記小容量電源回路は、
第1電極および第2電極を有し、前記第1電極が前記交流入力ラインに接続される第1コンデンサと、
第1電極および第2電極を有し、前記第1電極が前記交流電源の他端に接続される第2コンデンサと、
前記第1コンデンサの前記第2電極と前記第2コンデンサの前記第2電極との間に電気的に接続され、両コンデンサに印加される交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路に接続され、整流された交流電圧を平滑して平滑電圧を生成する平滑回路とを含む、電源システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の電源システムを備えた画像形成装置であって、
前記スイッチング電源の使用時は、印刷処理を行う通常モード時であり、
前記スイッチング電源の不使用時は、前記画像形成装置の電源オフ時または前記通常モード時より消費電力の少ないオフモード時である、画像形成装置。
【請求項15】
請求項14に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、CPU、操作パネル、および前記オフモードから前記通常モードへの復帰スイッチを備え、
前記オフモード時では、前記小容量電源回路から前記CPU、前記操作パネルおよび前記復帰スイッチに電力が供給される、画像形成装置。
【請求項16】
交流入力ラインに設けられた切替回路と、前記切替回路より前段において前記交流入力ラインに接続され、コンデンサを含む小容量AC−DC変換回路と、前記切替回路より後段に設けられたスイッチング電源とを備えた電源システムの制御方法であって、
電源システムへの電源投入時に、前記コンデンサに蓄積されたエネルギーによって前記切替回路をオンして、前記スイッチング電源をオンさせる工程と、
電源投入以後において前記スイッチング電源を一時的に所定期間オフさせる場合、前記切替回路をオフさせる工程と、
前記所定期間において、前記小容量AC−DC変換回路によって所定の直流電圧を生成させる工程と
を含む、電源システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−102650(P2013−102650A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245775(P2011−245775)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】