説明

電源供給制御装置及び電源供給制御方法

【課題】本発明は、ハロゲンヒータ等の定着部材を加熱する加熱部材への電源供給制御を行う電源供給制御装置及び電源供給制御方法に関する。
【解決手段】画像形成装置1は、定着部3の定着ローラの温度をサーミスタ33で検出し、該検出温度に基づいて交流電源電流の所定制御周期における半波単位での通電デューティ値を制御して該通電デューティ値に応じたヒータ電流をハロゲンヒータ31、32に供給する。CPU21は、通電デューティ値が制御周期における人の目にちらつきを感じやすい周波数帯域である回避周波数帯域のデューティ値となると、蓄電部7に流す蓄電電流の半波単位での蓄電デューティ値を適宜変更して、加熱デューティ値と蓄電デューティ値を加算した加算デューティ値を回避周波数帯域のデューティ値から外す制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給制御装置及び電源供給制御方法に関し、詳細には、ハロゲンヒータ等の定着部材を加熱する加熱部材への電源供給制御を行う電源供給制御装置及び電源供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成したトナー画像を最終的に用紙上に転写して、トナー画像の転写された用紙を定着部に搬送し、定着部で定着ヒータにより所定の定着温度に加熱され回転駆動される定着ローラと、定着ローラに所定圧力で加圧されて定着ローラとともに従動回転する加圧ローラと、の間に用紙を狭持して搬送しつつ加熱・加圧して、用紙上のトナー画像を用紙に定着させる。
【0003】
そして、従来の画像形成装置は、定着ヒータへの給電を、定着部の温度を監視し、定着部の温度に基づいて、単位時間当たりの通電時間と無通電時間(通電のオン/オフ時間)のDuty(デューティ)値を調整することで制御して、定着ローラの温度を制御している(特許文献1参照)。
【0004】
そして、定着ヒータとしては、画像形成装置に供給されている商用電源の電源電圧が下限値に低下しても印刷不良が発生することを防止し、また、印刷可能となるまでの立ち上がり時間を規定時間内に完了させるために、定着ヒータの発熱量のバラツキを考慮して、発熱量の大きいハロゲンヒータが多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術にあっては、立ち上がり時間を短縮化するために、発熱量の大きいハロゲンヒータを用いているため、ハロゲンヒータは消費電力が大きく、ヒータ通電時に流れる突入電流が大きいことから、屋内の商用電源から電源を取り込んでいるときには、配線インピーダンスにおいて電圧変動(フリッカ)が生じ、同じ電源ラインに接続されている屋内における電灯のちらつきの原因や他の機器に悪影響を発生させる原因となっていた。特に、電圧変動が、8.8Hz〜10Hzの周波数で発生すると、人間の目にちらつきとして敏感に感じるため、対応が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、電圧変動の発生を適切かつ効率的に抑制する電源供給制御装置及び電源供給制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、加熱部材によって加熱され現像剤画像の転写された記録部材を加熱して該現像剤画像を該記録部材に定着させる定着部材の温度を検出し、該検出温度に基づいて交流電源電流の所定制御周期における半波単位での加熱デューティ値を制御して該加熱デューティ値に応じた加熱電流を前記加熱部材に供給する場合に、前記加熱デューティ値が前記制御周期において人の目にちらつきを感じやすい回避周波数帯域のデューティ値となると、前記交流電源電流を前記制御周期における半波単位で蓄電手段に流す蓄電電流の蓄電デューティ値を変更して該加熱デューティ値と該蓄電デューティ値を加算した加算デューティ値を前記回避周波数帯域のデューティ値から外すことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、例えば、前記蓄電手段の蓄電量を検出し、該検出結果に基づいて前記蓄電デューティ値の変更制御を行うことを特徴としてもよい。
【0009】
さらに、本発明は、例えば、前記蓄電制御手段の蓄電電流の電流値を前記加熱電流の電流値と同じ電流値に制御することを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明は、例えば、前記加熱部材が2つ存在すると、2つの該加熱部材の電力差に対応する電力量の電流を流す前記蓄電デューティ値を設定するとともに、該蓄電デューティ値の蓄電電流を、該電力量の少ない方の該加熱部材への前記加熱デューティによる加熱電流に同期させて流させることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人の目にちらつきを感じやすい回避周波数帯域のデューティ値による交流電源電流の利用を回避して、交流電源側における回避周波数帯域での電圧変動の発生を適切かつ効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置の概略構成図。
【図2】ハロゲンヒータの通電制御パターンを示す図。
【図3】ヒータ通電・キャパシタ蓄電デューティ制御処理を示すフローチャート。
【図4】通電デューティが10%デューティであった場合のデューティ制御の説明図。
【図5】通電デューティが10%デューティであった場合のデューティ制御の説明図。
【図6】2本のハロゲンヒータの電力差を考慮したヒータ通電・キャパシタ蓄電デューティ制御処理を示すフローチャート。
【図7】電力値の小さい方のヒータに同期して2つのヒータの電力差分をキャパシタ蓄電を行う場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0014】
図1〜図7は、本発明の電源供給制御装置及び電源供給制御方法の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の電源供給制御装置及び電源供給制御方法の一実施例を適用した画像形成装置1の要部概略構成図である。
【0015】
図1において、画像形成装置1は、制御部2、定着部3、メイン電源部4、電源スイッチ5、蓄電制御回路6、蓄電部7、放電部8及びDC負荷9等を備えているとともに、ドアスイッチ10及び2つのトライアック11、12を備えており、さらに、図示しないが、各種操作を行うとともに情報の表示を行う操作表示部、電子写真方式で画像を用紙に形成する作像部等を備えている。
【0016】
制御部(デューティ制御手段)2は、CPU(Central Processing Unit )21を備えているとともに、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM内には、画像形成装置1としての基本プログラム及び後述する電源供給制御方法を実行する電源供給制御プログラム等の各種プログラムを格納するとともに、各プログラムを実行するのに必要なデータが予め格納されている。CPU21は、ROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して画像形成装置としての基本処理を実行するとともに、電源供給制御処理を実行する。
【0017】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の電源供給制御方法を実行する電源供給制御プログラムを読み込んでROM等に導入することで、後述するフリッカを適切かつ効率的に抑制する電源供給制御方法を実行する電源供給制御装置を備えた画像形成装置として構築されている。この電源供給制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0018】
なお、操作表示部は、画像形成装置1の操作に必要な各種キーとディスプレイ等が設けられており、制御部2の制御下でディスプレイに各種情報を表示したり、キー操作内容を制御部2に出力する。また、作像部は、外部から受信した画像データや図示しないスキャナ部で読み取られた画像データに基づいて各色用の感光体上に静電潜像を形成し、各色用の感光体上の静電潜像を各色のトナーで現像して各色のトナー画像を形成する。作像部は、この各色用の感光体上の各色のトナー画像を最終的に用紙(記録部材)上に重ね合わせて転写してカラー画像を形成し、から画像の転写された用紙を定着部3に搬送する。
【0019】
定着部3は、作像部で用紙に転写されたカラーのトナー画像を、加熱部材である2つのハロゲンヒータ31、32により加熱された定着ローラ(定着部材)と加圧ローラにより、用紙を搬送しつつ加熱・加圧して用紙に定着させる。定着部3は、ハロゲンヒータ31、32によって加熱される定着ローラの温度をサーミスタ(温度検出手段)33で検出し、サーミスタ33は、検出した温度に対応するアナログの温度検出信号を制御部2のCPU21に出力する。CPU21は、図示しないが、A/Dコンバータを搭載しており、アナログの温度検出信号をA/Dコンバータでデジタル変換することで、転写ローラの温度を取得している。
【0020】
メイン電源部4は、フューズ41、フィルタ42、DC電源部43、電磁リレー44、ゼロクロス検知回路45等を備えており、フューズ41及びフィルタ42を介してAC(交流)100Vの外部電源、例えば、商用電源が供給される。そして、フィルタ42とDC電源部43との間の電源供給線に、電源スイッチ5が接続されており、DC電源部43は、ダイオードブリッジ(DB)43a、キャパシタ43b及びDDC(DC−DCコンバータ)43c等を備えていて、メイン電源スイッチ3を介して入力されたAC電源が図示しない整流回路で整流された直流電源を必要な直流電圧に変換して出力する。
【0021】
電源スイッチ5がオンされることで、フィルタ42を介して供給されるAC100Vの外部電源(交流電源)からの電流・電圧をDC(直流)に整流・電圧調整して、制御部2に供給するとともに、ドアスイッチ10を介して電磁リレー44の動作電源電流または動作電源電圧として供給する。
【0022】
メイン電源部4は、電磁リレー44がオンすることで、ゼロクロス検知回路45、トライアック11、12及び蓄電制御回路6にAC(交流)の商用電源を供給し、トライアック11、12は、制御部2のCPU21によってオン/オフ制御されて、ハロゲンヒータ31、32への通電を制御する。
【0023】
ゼロクロス検知回路45は、全波整流回路、電圧比較回路等で構成され、フィルタ42を介して供給されるAC100Vの外部電源に電磁リレー44を介して接続されている。ゼロクロス検知回路45は、AC電源電圧のゼロクロスタイミングを検出して、そのタイミングでゼロクロスタイミング信号を発生する。このゼロクロスタイミング信号は、制御部2のCPU21の割り込み信号端子INTに入力され、種々のAC関連制御の基準タイミング、特に、ハロゲンヒータ31、32の通電制御に使用される。
【0024】
蓄電制御回路6は、フィルタ42及び電磁リレー44を介してAC外部電源電圧が供給され、CPU21からの蓄電制御信号に基づいて蓄電部7への蓄電を行う。
【0025】
蓄電部7は、所定容量のキャパシタ7a及び蓄電量検出手段である蓄電検出部(図示略)を有しており、蓄電制御回路6によってキャパシタ7aが急速蓄電される。蓄電部7は、その蓄電検出部によってキャパシタ7aの蓄電状態を検出して、キャパシタ蓄電検出信号をCPU21に出力する。
【0026】
放電部8には、CPU21から放電電力制御信号と放電量設定信号が入力され、放電部8は、これらの信号に基づいてDC負荷9への蓄電部7のキャパシタ7aの放電を制御する。DC負荷9は、DCヒータ等のDC(直流)で動作する負荷であり、放電部8を介して蓄電部7からDC電源電圧・電流が供給される。
【0027】
そして、CPU21には、上記ゼロクロス検知回路45からのゼロクロスタイミング信号、ドアスイッチ10の検出信号、蓄電部7からのキャパシタ蓄電検出信号及び定着部3のサーミスタ33からの温度検出信号が入力され、これらの信号に基づいて上記画像形成制御を行うとともに、交流電源電流の所定の制御周期における半波単位でのトライアック11、12のオン/オフ制御及び蓄電制御回路6の蓄電制御を行ってフリッカを適切かつ効率的に抑制しつつハロゲンヒータ31、32のオン/オフを制御して、定着ローラを目標の定着温度に制御する。上記CPU21とトライアック11、12は、全体として加熱制御手段として機能し、また、CPU21と蓄電制御回路6は、全体として蓄電制御手段として機能している。
【0028】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、ハロゲンヒータ31、32への通電をデューティ制御して定着温度を制御するとともに、該ハロゲンヒータ31、32への通電デューティ制御と蓄電部7への蓄電デューティ制御を組み合わせて、人間の目に対してちらつきを感じやすい周波数帯域を回避周波数帯域として避けている。
【0029】
すなわち、CPU21は、定着部3のサーミスタ33からの温度検出信号に基づいてトライアック11、12をオン/オフ制御して、定着ローラを定着温度に制御するが、このとき、温度検出信号の示す検出温度と目標の定着温度から図2に示すデューティ10の通電パターンからデューティ90の通電パターンからいずれかの通電パターンを選択して通電制御する。この場合、CPU21は、ハロゲンヒータ11、12の通電サイクルを変更する制御周期を、人間の目にとってちらつきの感じやすい10Hzに近い10半波長に設定して、その制御周期内の通電パターンを10Hz前後の帯域(回避周波数帯域)を避けた予め設定された高周波の通電パターンで制御することによって、ヒータ制御による交流電源側のちらつきを抑制するとともに、フリッカ低減効果が低く変動の少ない低デューティや高デューティの点灯パターンに対しても、蓄電制御回路6による蓄電部7のキャパシタ7aへの蓄電制御を併用することで、フリッカを抑制する。
【0030】
すなわち、CPU21は、ヒータ制御周期の各通電デューティの通電パターンを、FFT分析(高速フーリエ変換分析)により、10Hzを中心とした周波数成分を持たない、または、極めて小さいレベルに抑制した通電パターンに制御する。
【0031】
そして、各デューティの通電パターンにおけるフリッカ低減効果を測定したところ、デューティ10%やデューティ90%のときのハロゲンヒータ31、32のオン/オフ回数が少ない場合に、ヒータ波形に10Hzの周波数成分が多くなり、フリッカ低減効果のレベルが悪化することが確認されている。
【0032】
一方、ハロゲンヒータ31、32を用いた画像形成装置1においては、大別して、ハロゲンヒータ31、32に通電しないで定着部3が冷えた状態またはハロゲンヒータ31、32に通電した場合であってもハロゲンヒータ31、32を定着可能温度以下で保持している状態である待機状態、待機状態から定着部3が定着可能温度になるまでハロゲンヒータ31、32に通電する状態であるウォームアップ状態、定着部3が印刷可能状態となって実際に印刷している状態である印刷状態の3つの状態がある。そして、これら各状態でのDC負荷9は、待機状態では、作像部、定着部等が動作していないため、消費電力は小さくなっている。また、ウォームアップ状態では、定着部3が動作し、作像部の一部が動作しており、待機状態より消費電力が多くなる。さらに、印刷状態では、作像部及び定着部3等が全て動作するため、消費電力は他の状態より多くなる。
【0033】
そして、CPU21は、ハロゲンヒータ31、32に流すヒータ電流の通電デューティ及び蓄電部7のキャパシタ7aに流す蓄電電流の蓄電デューティを、図3に示すように、制御する。すなわち、CPU21は、まず、ゼロクロス検知回路45からのゼロクロス毎または制御周期毎のゼロクロスタイミング時におけるサーミスタ33からの定着ローラの検出温度である検出ヒータ温度に基づいて、定着ローラを所定の定着温度に制御するために必要な制御周期毎のハロゲンヒータ31、32への通電デューティ値(加熱デューティ値)を算出する(ステップS101)。すなわち、本実施例の画像形成装置1においては、ハロゲンヒータ31、32への通電制御(ヒータ制御)を、例えば、図4及び図5に示すように、10半波サイクル(制御周期)毎に行っており、このヒータ制御周期において要求されるハロゲンヒータ31、32への通電のデューティ値を、ゼロクロス時または制御周期毎のゼロクロス時におけるサーミスタ33からの検出温度に基づいて算出する。
【0034】
次に、CPU21は、上算出した通電デューティによる電力値と、画像形成装置1の他の動作中のDC負荷で使用される電力値とを加算した稼動要求電力値を、画像形成装置1として要求されるシステム電力仕様値から減算することで、該システム電力仕様値の範囲内の許容蓄電電力を算出する。すなわち、画像形成装置1として要求される仕様電力の範囲内で許容蓄電電力を算出する。CPU21は、この許容蓄電電力に対するハロゲンヒータ31、32へのヒータ電力の整数倍(本実施例では、10倍)に当たる電力を蓄電部7のキャパシタ7aに蓄電するための蓄電デューティ値を算出する(ステップS102)。
【0035】
さらに、CPU21は、上記算出した蓄電デューティ値に通電デューティ値を加算して、ちらつき低減通電パターンを決定し(ステップS103)、決定したちらつき低減通電パターンに基づいて、トライアック11、12をオン/オフさせてハロゲンヒータ31、32への通電デューティを制御し、また、通電制御回路6への蓄電制御信号を決定して蓄電部7のキャパシタ7aへの蓄電デューティを制御する(ステップS104)。
【0036】
例えば、図4に示すように、ステップS101で算出した通電デューティ値が、10%であるデューティ(Duty)10の通電パターンであって、ステップS102で算出した許容蓄電電力に対して許容されるキャパシタ7aへの蓄電デューティとして、10%デューティ値が算出されると、通電パターンとしては、結果的には、20%デューティ値となる。したがって、外部電源側のデューティ値として、フリッカの発生する10%デューティ値を回避して、10Hzよりも高周波数側の20%デューティ値とすることができ、フリッカの発生を抑制することができるとともに、DC負荷9に供給する蓄電部7のキャパシタ7aへの蓄電を画像形成装置1の動作中においても、画像形成装置1の仕様電力値を越えない範囲で、急速蓄電することができる。
【0037】
また、このとき、交流電源電流の変動を抑制して、フリッカの発生をより一層抑制するために、キャパシタ7aへの蓄電電流の電流値とハロゲンヒータ31、32へ流すヒータ電流(加熱電流)の電流値を同等としてもよい。
【0038】
さらに、CPU21は、例えば、図5に示すように、ステップS101で算出した通電デューティ値が、40%であるデューティ(Duty)40の通電パターンであって、ステップS102で算出した許容蓄電電力に対して許容されるキャパシタ7aへの蓄電デューティ値として、20%デューティ値を算出が算出されると、通電パターンとしては、結果的には、60%デューティ値を採用する。
【0039】
このように、本実施例の画像形成装置1は、ハロゲンヒータ31、32によって加熱されトナー画像の転写された用紙を加熱して該トナー画像を用紙に定着させる定着ローラの温度をサーミスタ33で検出し、該検出温度に基づいて交流電源電流の所定制御周期における半波単位での通電デューティ値(加熱デューティ値)を制御して該通電デューティ値に応じたヒータ電流(加熱電流)をハロゲンヒータ31、32に供給する場合に、通電デューティ値が制御周期における人の目にちらつきを感じやすい周波数帯域である回避周波数帯域のデューティ値となると、蓄電部7に流す蓄電電流を、交流電源電流に対する制御周期における半波単位での蓄電デューティ値を制御して該蓄電デューティ値に応じた蓄電電流とするとともに、該蓄電デューティ値を適宜変更して該加熱デューティ値と該蓄電デューティ値を加算した加算デューティ値を回避周波数帯域のデューティ値から外す制御を行っている。
【0040】
したがって、回避周波数帯域のデューティ値による交流電源電流の利用を回避して、人間の目にちらつきを最も感じやすい8.8Hzを中心とする回避周波数帯域での電圧変動の発生を適切かつ効率的に抑制することができる。その結果、ちらつきや高調波電流に適切に対応し、また、雑音端子電圧のEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁適合性)評価に対して対応することができる。
【0041】
また、本実施例の画像形成装置1は、蓄電部7の蓄電量を検出し、該検出結果に基づいて蓄電デューティ値の変更制御を行っている。
【0042】
したがって、蓄電部7への蓄電をより一層適切に行いつつ、回避周波数帯域での電圧変動の発生をより一層適切かつ効率的に抑制することができる。
【0043】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、蓄電電流値を、ヒータ電流と同等の電流値としている。
【0044】
したがって、ヒータ電流と蓄電電流の電流差を無くすことができ、より一層適切に回避周波数帯域での電圧変動の発生を抑制することができる。
【0045】
また、本実施例の画像形成装置1は、蓄電デューティ値を、画像形成装置1として要求されるシステム電力仕様値によって許容される仕様電力の範囲内で回避周波数帯域から外しつつ、蓄電電流を増加させるデューティ値に制御している。
【0046】
したがって、より一層適切に回避周波数帯域での電圧変動の発生を抑制することができる。
【0047】
また、CPU21は、ハロゲンヒータ31、32へのヒータ電流の通電デューティ値及び蓄電部7のキャパシタ7aへの蓄電電流の蓄電デューティ値を図4に示したように制御する場合に、図6に示すように、両ハロゲンヒータ31、32の電力差を考慮して、制御してもよい。
【0048】
すなわち、CPU21は、2つのハロゲンヒータ31、32の電力差を設定し(ステップS201)、ゼロクロス検知回路45からのゼロクロス毎または制御周期毎のゼロクロスタイミング時におけるサーミスタ33からの検出温度に基づいて、定着ローラを所定の定着温度に制御するために必要なヒータ制御周期毎の通電デューティ値を算出する(ステップS202)。
【0049】
次に、CPU21は、電力値が小さい方のハロゲンヒータ31、32(例えば、ハロゲンヒータ32)への通電時に同期して、ハロゲンヒータ31とハロゲンヒータ32の電力差分の電力値だけのキャパシタ蓄電を実施する(ステップS203)。
【0050】
例えば、図7に示すように、いま、ハロゲンヒータ31の電力値が300Wで、通電デューティ値が30%であり、ハロゲンヒータ32の電力値が400Wで、通電デューティ値が40%である場合、ハロゲンヒータ31の通電に同期して、ハロゲンヒータ31とハロゲンヒータ32の電力値の差(100W)に該当する電力値のみを、キャパシタ7aへの蓄電電力として、蓄電制御信号を蓄電制御回路6に出力し、蓄電部7のキャパシタ7aへの蓄電を行う。
【0051】
このようにすると、各ハロゲンヒータ31、32の制御周期内で均等の電力値の電流を流すことができ、突入電流をより一層適切に抑制しつつ、定着温度を均一化することができるとともに、蓄電して効率を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、定着ヒータ等の加熱部材への加熱電流の通電デューティ値と蓄電部への蓄電電流を制御してフリッカを抑制する電源供給制御装置及び電源供給制御方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
2 制御部
3 定着部
4 メイン電源部
5 電源スイッチ
6 蓄電制御回路
7 蓄電部
8 放電部
9 DC負荷
10 ドアスイッチ
11、12 トライアック
21 CPU
31、32 ハロゲンヒータ
33 サーミスタ
41 フューズ
42 フィルタ
43 DC電源部
44 電磁リレー
45 ゼロクロス検知回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】実公平7−27477号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤画像の転写された記録部材を加熱して該現像剤画像を該記録部材に定着させる定着部材を所定の定着温度に加熱する加熱部材と、
前記定着部材の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出温度に基づいて交流電源電流の所定制御周期における半波単位での加熱デューティ値を制御して該加熱デューティ値に応じた加熱電流を前記加熱部材に供給する加熱制御手段と、
所定容量の電荷を蓄電する蓄電手段と、
前記交流電源電流を前記制御周期における半波単位での蓄電デューティ値を制御して該蓄電デューティ値に応じた蓄電電流を前記蓄電手段に流して蓄電する蓄電制御手段と、
前記加熱制御手段による前記加熱デューティ値が前記制御周期において人の目にちらつきを感じやすい回避周波数帯域のデューティ値となる場合に、前記蓄電制御手段による前記蓄電デューティ値を変更して該加熱デューティ値と該蓄電デューティ値を加算した加算デューティ値を前記回避周波数帯域のデューティ値から外す制御を行うデューティ制御手段と、
を備えていることを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項2】
前記電源供給制御装置は、前記蓄電手段の蓄電量を検出する蓄電量検出手段を備え、
前記デューティ制御手段は、前記蓄電量検出手段の検出結果に基づいて前記蓄電デューティ値の変更制御を行うことを特徴とする請求項1記載の電源供給制御装置。
【請求項3】
前記デューティ制御手段は、前記蓄電制御手段の蓄電電流の電流値を前記加熱電流の電流値と同じ電流値に制御することを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項4】
前記デューティ制御手段は、前記蓄電デューティ値を、前記電源供給装置の適用される機器で規定されている仕様電力の範囲内で前記回避周波数帯域から外しつつ前記蓄電電流を増加させるデューティ値に制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電源供給制御装置。
【請求項5】
前記電源供給制御装置は、前記加熱部材が2つ存在すると、前記デューティ制御手段は、2つの前記加熱部材の電力差に対応する電力量の電流を流す前記蓄電デューティ値を設定するとともに、該蓄電デューティ値の蓄電電流を、該電力量の少ない方の該加熱部材への前記加熱デューティによる加熱電流に同期させて流させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電源供給制御装置。
【請求項6】
加熱部材によって加熱され現像剤画像の転写された記録部材を加熱して該現像剤画像を該記録部材に定着させる定着部材の温度を検出する温度検出処理ステップと、
前記温度検出処理ステップでの検出温度に基づいて交流電源電流の所定制御周期における半波単位での加熱デューティ値を制御して該加熱デューティ値に応じた加熱電流を前記加熱部材に供給する加熱制御処理ステップと、
前記交流電源電流を前記制御周期における半波単位での蓄電デューティ値を制御して該蓄電デューティ値に応じた蓄電電流を蓄電手段に流して蓄電する蓄電制御処理ステップと、
前記加熱制御手段による前記加熱デューティ値が前記制御周期における10Hzを中心とする所定周波数幅の回避周波数帯域のデューティ値となる場合に、前記蓄電制御処理ステップでの前記蓄電デューティ値を変更して該加熱デューティ値と該蓄電デューティ値を加算した加算デューティ値を前記回避周波数帯域のデューティ値から外す制御を行うデューティ制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする電源供給制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−220369(P2010−220369A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63673(P2009−63673)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】