電源供給装置および電力制御システムならびに電気機器の起動方法
【課題】太陽電池の発電量が小さい場合においても、コンバータを起動できるようにする。
【解決手段】電源供給装置は、第1のスイッチと、電圧センサと、制御部と、電圧変換回路とを備える。第1のスイッチは、発電部との電気的接続を切り替える。電圧センサは、入力電圧の大きさを取得する。制御部は、電圧センサからの入力に応じて第1のスイッチを制御する。電圧変換回路は、入力電圧を所望の電圧に変換して出力する。入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、第1のスイッチのオンとオフが繰り返される。
【解決手段】電源供給装置は、第1のスイッチと、電圧センサと、制御部と、電圧変換回路とを備える。第1のスイッチは、発電部との電気的接続を切り替える。電圧センサは、入力電圧の大きさを取得する。制御部は、電圧センサからの入力に応じて第1のスイッチを制御する。電圧変換回路は、入力電圧を所望の電圧に変換して出力する。入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、第1のスイッチのオンとオフが繰り返される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源供給装置および電力制御システムならびに電気機器の起動方法に関する。本開示は、特に、太陽電池などの、端子電圧に変動のある発電装置からの入力電圧を変換して負荷に供給するための電源供給装置および電力制御システムならびに電気機器の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電時に大気汚染物質の放出のない、いわゆる自然エネルギー(クリーンエネルギーとも呼ばれる。)が注目されている。
【0003】
自然エネルギーの例としては、太陽光発電や太陽熱発電、風力発電などにより得られる電力が挙げられる。また、太陽光発電などと比較すると小さな電力ではあるが、人の活動により生じる運動エネルギーから電気エネルギーを取りだす試みも盛んに行われている。
【0004】
ところで、自然エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置から得られる電力は、周囲の環境に応じて大きく変動する。例えば、太陽光発電の場合、太陽電池に対する照度の変化や温度の変化などにより、得られる発電電力が急激に変動することもある。
【0005】
そこで、太陽電池から効率よく電力を安定して取りだすために、太陽電池と負荷との間に、入力電圧を適切な電圧に変換して出力するコンバータを備えたパワーコンディショナー(power conditioner)を介在させることが一般的である。
【0006】
ところで、太陽電池と負荷との間に介在させたパワーコンディショナーの起動時においては、コンバータを起動させるために、ある一定の電力をパワーコンディショナーに投入する必要がある。例えば、コンバータの起動に必要とされる電力を太陽電池から供給する構成の場合、太陽電池の発電量が小さい場合にはコンバータを起動させることができないため、パワーコンディショナー自体を起動できず、太陽電池から電力を取りだすことができない。
【0007】
特に、太陽電池とコンバータとの間に容量の大きなコンデンサが介在すると、パワーコンディショナーを太陽電池に接続させたときに、コンデンサに対する突入電流が生じ、太陽電池の端子電圧が急激に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が急激に低下してしまうと、太陽電池から得られる電力によりパワーコンディショナーを起動させることができない。
【0008】
下記の特許文献1には、電力系統からの交流電力を直流電力に変換する初期充電回路により直流側コンデンサをあらかじめ充電し、その後に連系スイッチをオンとすることにより、起動過程で生じる突入電流を抑制する電力変換装置が開示されている。下記の特許文献2には、二次電池などの負荷に対する電力を生成する第1の太陽電池と、第2の太陽電池とが接続された昇圧回路を備え、該昇圧回路に直列に接続された第2の太陽電池から、該昇圧回路の起動エネルギーが供給される昇圧装置が開示されている。
【0009】
また、下記の特許文献3には、入力電圧を検出して設定される、起動時のオンデューティーを設定するための信号に基づいて、起動時間が一定となるようにスイッチング素子のデューティー変化率を変更するスイッチング電源装置が開示されている。下記の特許文献4には、入力電圧が所定の電圧に達したことを検出されると、3次巻線の端子間に接続されたコンデンサの充電が開始され、該コンデンサの充電の開始から所定の時間経過後に起動スイッチ回路がオンされるスイッチング電源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−193633号公報
【特許文献2】特開2009−038967号公報
【特許文献3】特開2010−226917号公報
【特許文献4】特開2011−125132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
太陽電池の発電量が小さい場合においても、コンバータを起動できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
電源供給装置が、第1のスイッチと、電圧センサと、制御部と、電圧変換回路とを備える。
第1のスイッチは、発電部との電気的接続を切り替える。
電圧センサは、入力電圧の大きさを取得する。
制御部は、電圧センサからの入力に応じて第1のスイッチを制御する。
電圧変換回路は、入力電圧を所望の電圧に変換して出力する。
入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、第1のスイッチのオンとオフが繰り返される。
【0013】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
電力制御システムが、第1の装置と、第2の装置とを備える。
第1の装置が、発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、電圧センサからの入力に応じてスイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備える。
第1の装置は、発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する。
第2の装置は、第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる。
入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、スイッチのオンとオフが繰り返される。
【0014】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、発電装置と負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、入力電圧が負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法である。
【発明の効果】
【0015】
少なくとも1つの実施例によれば、発電装置から効率よく電力を安定して取りだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、コントロールユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、コントロールユニットにおける高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、バッテリユニットの構成例を示すブロック図である。
【図6】図6は、バッテリユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す図である。
【図8】図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【図9】図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【図10】図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。
【図11】図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11Bは、本開示の制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【図12】図12A〜図12Cは、本開示の起動手順を説明するための略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
なお、以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の好適な具体例であり、これらの実施形態および変形例に限定されないものとする。
【0018】
<1.一実施形態>
「システムの構成」
図1は、本開示における制御システムの構成の一例を示す。制御システムは、1または複数のコントロールユニットCUと、1または複数のバッテリユニットBUとから構成される。図1に例示する制御システム1は、1のコントロールユニットCUと、3個のバッテリユニットBUa、BUb、BUcとから構成される。以下の説明において、個々のバッテリユニットを区別する必要がないときは、バッテリユニットBUと適宜称する。
【0019】
制御システム1では、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされている。さらに、複数のバッテリユニットBUはそれぞれ独立して、制御システム1に接続できる。例えば、バッテリユニットBUaおよびバッテリユニットBUbが制御システム1に接続された状態で、新たにバッテリユニットBUcを制御システム1に接続することができる。バッテリユニットBUa〜バッテリユニットBUcが制御システム1に接続された状態で、バッテリユニットBUbのみを制御システム1から離脱することができる。
【0020】
コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとが、電力ラインによって接続されている。電力ラインは、例えば、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUに電力が伝送される電力ラインL1と、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電力が伝送される電力ラインL2とからなる。コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとの間で、信号ラインSLを介した双方向の通信がなされる。通信は、例えば、SMBus(System Management Bus)やUART(Universal asynchronous Receiver-Transmitter)などの仕様に準じた通信がなされる。
【0021】
信号ラインSLは、1または複数のラインによって構成され、用途に応じて、使用されるラインが定義されている。信号ラインSLは共通化されており、信号ラインSLに対して各バッテリユニットBUが接続される。各バッテリユニットBUは、信号ラインSLを介して伝送される制御信号のヘッダ部を分析して、自己に対する制御信号か否かを判別する。制御信号のレベル等を適宜、設定することで、バッテリユニットBUに対するコマンドを伝送できる。バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに対する応答は他のバッテリユニットBUにも伝送されるが、他のバッテリユニットBUは、応答が伝送されることに応じた動作をすることはない。なお、この例では、電力の伝送および通信が有線により行われるものとして説明するが、無線によって行われるようにしてもよい。
【0022】
「コントロールユニットの構成の概要」
コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。コントロールユニットCUは、1または複数の第1の装置を有する。この例では、コントロールユニットCUは、2個の第1の装置を有し、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がそれぞれ第1の装置に対応している。なお、高圧および低圧という表現を使用しているが、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に入力される電圧が同じ入力範囲でもかまわない。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12が受け入れることができる電圧の入力範囲が重複しても一向に構わない。
【0023】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に、環境に応じて発電する発電部によって生成された電圧が供給される。例えば、発電部は、太陽光や風力によって発電する装置である。一方で、この発電部は、自然環境に応じて発電する装置に限られない。例えば、発電部が人力によって発電する装置として構成されてもよい。このように、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置を想定しているが、変動しない物も受けいれることが可能である。そのため、図示しているように、AC電力の入力も行われるようになっている。なお、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12には、同一の発電部または異なる発電部から電圧が供給される。そして、発電部によって生成される電圧が第1の電圧の一例とされる。
【0024】
高圧入力電源回路11には、例えば、太陽光発電によって生成された75V(ボルト)〜100V程度のDC(Direct Current)電圧(V10)が供給される。高圧入力電源回路11に、100V〜250V程度のAC(Alternating Current)電圧が供給されてもよい。高圧入力電源回路11は、太陽光発電から供給される電圧V10の変動に応じて第2の電圧を生成する。例えば、電圧V10が、高圧入力電源回路11によって降圧されることで第2の電圧が生成される。第2の電圧は、例えば、45〜48Vの範囲内のDC電圧である。
【0025】
高圧入力電源回路11は、電圧V10が75Vのときは、電圧V10を45Vに変換する。電圧V10が100Vのときは、電圧V10を48Vに変換する。電圧V10が75Vから100Vの範囲を変化するのに応じて、高圧入力電源回路11は、45Vから48Vの範囲で略リニアに変化させて、第2の電圧を生成する。高圧入力電源回路11は、生成した第2の電圧を出力する。なお、変化率をリニアにせず、各種フィードバック回路を用いて、その出力をそのまま利用するようにしてもよい。
【0026】
低圧入力電源回路12には、例えば、風力発電や人力によって生成された10V〜40V程度の範囲のDC電圧(V11)が供給される。低圧入力電源回路12は、高圧入力電源回路11と同様に、電圧V11の変動に応じて第2の電圧を生成する。低圧入力電源回路12は、電圧V11が10V〜40Vの範囲を変化することにともなって、電圧V11を、例えば、45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧する。昇圧されたDC電圧が低圧入力電源回路12から出力される。
【0027】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12からの出力電圧の両方もしくは一方が、バッテリユニットBUに供給される。図では、バッテリユニットBUに供給されるDC電圧がV12として示されている。上述したように、電圧V12は、例えば、45〜48Vの範囲のDC電圧である。電圧V12によって、複数のバッテリユニットBUのうち全部または一部が充電される。なお、放電しているバッテリユニットBUに対しては、充電はなされない。
【0028】
コントロールユニットCUに対して、パーソナルコンピュータが接続可能とされてもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)によって、コントロールユニットCUとパーソナルコンピュータとが接続される。パーソナルコンピュータを使用して、コントロールユニットCUに対する制御がなされるようにしてもよい。
【0029】
「バッテリユニットの構成の概要」
第2の装置の一例であるバッテリユニットの構成の概要について説明する。以下、バッテリユニットBUaを例にして説明するが、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、特に断わらない限り同一の構成とされる。
【0030】
バッテリユニットBUaは、チャージャー(充電)回路41aと、ディスチャージャー(放電)回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。他のバッテリユニットBUも同様に、チャージャー(充電)回路と、ディスチャージャー(放電)回路と、バッテリとを含む構成とされている。以下の説明において、個々のバッテリを区別する必要がないときは、バッテリBと適宜称する。
【0031】
チャージャー回路41aは、コントロールユニットCUから供給される電圧V12をバッテリBaに適応した電圧に変換する。変換された電圧に基づいて、バッテリBaが充電される。なお、チャージャー回路41aは、電圧V12の変動に応じて、バッテリBaに対する充電レートを変化させる。
【0032】
バッテリBaから出力された電力がディスチャージャー回路42aに供給される。バッテリBaからは、例えば、12〜55V程度の範囲のDC電圧が出力される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaから供給されたDC電圧V13に変換される。電圧V13は、例えば、48VのDC電圧である。電圧V13が、電力ラインL3を介して、ディスチャージャー回路42aからコントロールユニットCUに対して出力される。なお、バッテリBaから出力されたDC電圧が、ディスチャージャー回路42aを介さずに、外部機器に対して直接、供給されるようにしてもよい。
【0033】
バッテリBは、リチウムイオンバッテリ、オリビン型リン酸鉄リチウムイオンバッテリ、鉛バッテリなどである。各バッテリユニットBUのバッテリBが異なるバッテリでもよい。例えば、バッテリユニットBUaのバッテリBaおよびバッテリユニットBUbのバッテリBbは、リチウムイオンバッテリで構成される。バッテリユニットBUcのバッテリBcは、鉛バッテリで構成される。バッテリBにおけるバッテリセルの個数および接続態様は適宜、変更可能である。複数のバッテリセルが直列または並列に接続されてもよい。複数のバッテリセルが直列に接続されたものが並列に接続されるようにしてもよい。
【0034】
複数のバッテリユニットが放電するときは、負荷が軽い場合には、出力電圧が最も高い電圧が電圧V13として電力ラインL2に供給される。負荷が重くなるにつれて、複数のバッテリユニットからの出力が合成され、合成された出力が電力ラインL2に供給される。電力ラインL2を介して、電圧V13がコントロールユニットCUに供給される。電圧V13がコントロールユニットCUの出力ポートから出力される。コントロールユニットCUに対しては、複数のバッテリユニットBUから分散して電力を供給することができる。このため、個々のバッテリユニットBUの負担を軽減することが可能となる。
【0035】
例えば、以下のような使用形態が考えられる。バッテリユニットBUaから出力される電圧V13がコントロールユニットCUを介して外部機器に供給される。バッテリユニットBUbに対しては、コントロールユニットCUから電圧V12が供給され、バッテリユニットBUbのバッテリBbが充電される。バッテリユニットBUcは、予備電源として使用される。例えば、バッテリユニットBUaの残容量が低下した際に、使用するバッテリユニットをバッテリユニットBUaからバッテリユニットBUcに切り換える。バッテリユニットBUcから出力された電圧V13が外部機器に供給される。もちろん、上述した使用形態は一例であり、これに限定されることはない。
【0036】
「コントロールユニットの内部構成」
図2は、コントロールユニットCUの内部構成の一例を示す。上述したように、コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。高圧入力電源回路11は、AC入力をDC出力に変換するAC−DCコンバータ11aと、電圧V10を45V〜48Vの範囲のDC電圧に降圧するDC−DCコンバータ11bとを含む構成とされる。AC−DCコンバータ11aおよびDC−DCコンバータ11bの方式については、公知のものを適用できる。なお、高圧入力電源回路11にDC電圧のみが供給されるときは、AC−DCコンバータ11aがなくてもよい。
【0037】
DC−DCコンバータ11bの入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。図2および後述する図5では、電圧センサを四角で、電子スイッチを丸で、電流センサを斜線が付された丸で、それぞれ簡略化して示している。DC−DCコンバータ11bの入力段には、電圧センサ11cと、電子スイッチ11dと、電流センサ11eとが接続されている。DC−DCコンバータ11bの出力段には、電流センサ11fと、電子スイッチ11gと、電圧センサ11hとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU(Central Processing Unit)13に供給される。各電子スイッチのオン/オフがCPU13によって制御される。
【0038】
低圧入力電源回路12は、電圧V11を45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧するDC−DCコンバータ12aを含む構成とされる。低圧入力電源回路12の入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの入力段には、電圧センサ12bと、電子スイッチ12cと、電流センサ12dとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの出力段には、電流センサ12eと、電子スイッチ12fと、電圧センサ12gとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU13に供給される。各スイッチのオン/オフがCPU13よって制御される。
【0039】
なお、図において、センサから延びる矢印が、センサ情報がCPU13に供給されることを示している。電子スイッチに対する矢印は、電子スイッチに対してCPU13による制御がなされることを示している。
【0040】
高圧入力電源回路11の出力電圧がダイオードを介して出力される。低圧入力電源回路12の出力電圧がダイオードを介して出力される。高圧入力電源回路11の出力電圧および低圧入力電源回路12の出力電圧が合成され、合成された電圧V12が電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに出力される。バッテリユニットBUから供給された電圧V13が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。次に、コントロールユニットCUに供給された電圧V13が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、図において、外部機器に供給される電圧を電圧V14として示している。
【0041】
電力ラインL3がバッテリユニットBUと接続されてもよい。このような構成により、例えば、バッテリユニットBUaから出力された電力が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。供給された電力が電力ラインL3を介してバッテリユニットBUbに供給され、バッテリユニットBUbを充電することができる。なお、図示は省略しているが、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給された電力が、電力ラインL1に供給されるようにしてもよい。
【0042】
コントロールユニットCUは、CPU13を含む構成とされる。CPU13は、コントロールユニットCUの各部を制御する。例えば、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12における電子スイッチをオン/オフする。さらに、CPU13は、各バッテリユニットBUに制御信号を供給する。CPU13は、例えば、バッテリユニットBUの電源をオンさせる制御信号や、充電または放電を指示する制御信号を、バッテリユニットBUに供給する。CPU13は、バッテリユニットBU毎に異なる内容の制御信号を出力することができる。
【0043】
CPU13は、バス14を介してメモリ15、D/A(Digital to Analog)変換部16、A/D(Analog to Digital)変換部17および温度センサ18と接続されている。バス14は、例えば、I2Cバスで構成される。メモリ15は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成される。D/A変換部16は、各種の処理で使用されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0044】
CPU13には、電圧センサや電流センサにより測定されたセンサ情報が入力される。センサ情報は、A/D変換部17によってデジタル信号に変換された後に、CPU13に入力される。温度センサ18は、環境温度を測定する。例えば、コントロールユニットCU内部の温度や、コントロールユニットCUの周囲の温度を測定する。
【0045】
CPU13が通信機能を有していてもよい。例えば、CPU13とパーソナルコンピュータ(PC)19との間で通信のやり取りがなされてもよい。パーソナルコンピュータに限らず、インターネットなどのネットワークに接続された機器とCPU13との間で通信がなされるようにしてもよい。
【0046】
「コントロールユニットの電源系統」
図3は、コントロールユニットCUの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。高圧入力電源回路11の出力段には、逆流防止用のダイオード20が接続されている。低圧入力電源回路12の出力段には、逆流防止用のダイオード21が接続されている。ダイオード20およびダイオード21により、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がOR接続される。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力が合成されてバッテリユニットBUに供給される。実際には、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力のうち、電圧が高い一方の出力がバッテリユニットBUに供給されるものの、負荷となるバッテリユニットBUの電力消費量に応じて、両方から電力が供給される状況にもなる。
【0047】
コントロールユニットCUには、ユーザによって操作可能なメインスイッチSW1が設けられている。メインスイッチSW1がオンされることでCPU13に電力が供給され、コントロールユニットCUが起動する。CPU13に、例えば、コントロールユニットCUに内蔵されるバッテリ22から電力が供給される。バッテリ22は、リチウムイオンバッテリなどの充電可能なバッテリである。バッテリ22からのDC電圧がDC−DCコンバータ23によって、CPU13が動作する電圧に変換される。変換された電圧がCPU13の電源電圧として供給される。このように、コントロールユニットCUの起動時には、バッテリ22が使用される。バッテリ22に対する制御は、例えば、CPU13によってなされる。
【0048】
高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電力によってバッテリ22を充電することができる。バッテリユニットBUから供給された電力がチャージャー回路24に供給される。チャージャー回路24は、DC−DCコンバータを含む構成とされる。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がチャージャー回路24によって所定のレベルのDC電圧に変換される。変換されたDC電圧がバッテリ22に供給される。供給されたDC電圧によってバッテリ22が充電される。
【0049】
なお、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電圧V13によってCPU13が動作するようにしてもよい。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がDC−DCコンバータ25によって所定のレベルの電圧に変換される。変換された電圧が、電源電圧としてCPU13に供給され、CPU13が動作する。
【0050】
コントロールユニットCUが起動した後に、V10およびV11の少なくとも一方が入力されると電圧V12が生成される。電圧V12が、電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに供給される。このとき、CPU13は、信号ラインSLを使用してバッテリユニットBUと通信を行う。この通信によって、CPU13は、バッテリユニットBUに対して起動および放電を指示する制御信号を出力する。そして、CPU13は、スイッチSW2をオンする。スイッチSW2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)から構成される。IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成されてもよい。スイッチSW2がオンされることで、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電圧V13が供給される。
【0051】
スイッチSW2の出力側には、逆流防止用のダイオード26が接続されている。ダイオード26を接続することにより、太陽電池や風力発電などから供給される不安定な電力が、外部機器に直接供給されることを防止できる。そして、外部機器には、バッテリユニットBUから供給される安定した電力を供給できる。もちろん、安全のために、バッテリユニットBUの最終段にもダイオードを設けてもよい。
【0052】
バッテリユニットBUから供給された電力を外部機器に供給するときは、CPU13は、スイッチSW3をオンする。スイッチSW3がオンされることで、電圧V13に基づく電圧V14が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、電圧V14が他のバッテリユニットBUに供給され、他のバッテリユニットBUのバッテリBが電圧V14によって充電されてもよい。
【0053】
「高圧入力電源回路の構成例」
図4は、高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す。図4に示すように、高圧入力電源回路11は、DC−DCコンバータ11bと、後述するフィードフォワード制御系とを備えている。図4では、電圧センサ11c、電子スイッチ11d、電流センサ11e、電流センサ11f、電子スイッチ11gおよび電圧センサ11hならびにダイオード20などの図示を省略している。
【0054】
低圧入力電源回路12は、DC−DCコンバータ12aが昇圧型のDC−DCコンバータとされること以外は、高圧入力電源回路11の構成とほぼ同様の構成を備えているため、図示および説明を省略する。
【0055】
DC−DCコンバータ11bは、例えば、スイッチング素子などを含む一次側回路32と、トランス33と、整流素子などを含む二次側回路34とから構成される。図4に例示するDC−DCコンバータ11bは、電流共振型のコンバータ(LLC共振コンバータ)である。
【0056】
フィードフォワード制御系は、オペアンプ35、トランジスタ36、抵抗Rc1、Rc2およびRc3を含み、フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ11bの一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を調整する。
【0057】
高圧入力電源回路11がフィードフォワード制御系を備えることにより、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。したがって、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、例えば、太陽電池などからの入力電圧の変化に応じて出力電圧を変化させる電圧変換装置の機能を有している。
【0058】
図4に示すように、高圧入力電源回路11からは、コンデンサ31を含むAC−DCコンバータ11a、一次側回路32、トランス33、二次側回路34を介して出力電圧が取り出される。AC−DCコンバータ11aは、コントロールユニットCUの外部からの入力が交流電源であるときに配置される力率補正(Power Factor Correction)回路である。
【0059】
コントロールユニットCUからの出力は、電力ラインL1により、バッテリユニットBUに送出される。例えば、個々のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・は、逆流防止用のダイオードD1、D2、D3、・・・を介して、出力端子Te1、Te2、Te3、・・・にそれぞれ接続される。
【0060】
以下、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0061】
オペアンプ35の非反転入力端子に対しては、高圧入力電源回路11への入力電圧をkc倍(kc:数十〜百分の一程度)した電圧が入力される。一方、オペアンプ35の反転入力端子c1に対しては、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0をkc倍した電圧が入力されている。オペアンプ35の反転入力端子c1に対する入力電圧(kc×Vt0)は、例えば、D/A変換部16から印加される。電圧Vt0の値は、例えば、D/A変換部16の内蔵メモリに保持され、必要に応じて、電圧Vt0の値を変更することが可能とされている。電圧Vt0の値が、バス14を介してCPU13に接続されたメモリ15に保持され、これをD/A変換部16に転送するようにしてもよい。
【0062】
オペアンプ35の出力端子はトランジスタ36のベースに接続されており、トランジスタ36により、オペアンプ35の非反転入力端子に対する入力電圧と反転入力端子に対する入力電圧との差に応じた電圧−電流変換が行われる。
【0063】
トランジスタ36のエミッタに接続された抵抗Rc2の抵抗値は、抵抗Rc2と並列に接続される抵抗Rc1の抵抗値に対して大とされている。
【0064】
例えば、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧であったとする。このとき、トランジスタ36はオンであり、抵抗Rc1および抵抗Rc2の合成抵抗の値が抵抗Rc1の抵抗値より小となるため、図4に示すf点の電位はグラウンド電位に近づく。
【0065】
すると、フォトカプラ37を介して接続された、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下する。制御用端子に対する入力電圧の低下を検出したDC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き上げる。
【0066】
逆に、例えば、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が低下し、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づいたとする。
【0067】
高圧入力電源回路11に対する入力電圧が下がってくると、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づく。トランジスタ36の状態がオンからオフの状態に近づくに伴い、抵抗Rc1および抵抗Rc2には電流が流れにくくなり、図4に示すf点の電位が上昇する。
【0068】
すると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が一定に保たれなくなるため、DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き下げる。
【0069】
すなわち、高圧入力電源回路11は、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧である場合には、出力電圧を引き上げる。また、高圧入力電源回路11は、太陽電池の端子電圧が低下して、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づくと、出力電圧を引き下げる。このように、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、入力電圧の大きさに応じて出力電圧を動的に変化させる。
【0070】
さらに、以下に説明するように、高圧入力電源回路11は、コントロールユニットCUの出力側で必要とされる電圧の変化に対しても出力電圧を動的に変化させる。
【0071】
例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されるバッテリユニットBUの数が増加したとする。すなわち、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷が増加したとする。
【0072】
この場合、コントロールユニットCUに対して新たにバッテリユニットBUが電気的に接続されることにより、コントロールユニットCUに接続されている太陽電池の端子電圧が下がることになる。すると、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が低下するに伴い、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づくこととなり、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き下げられる。
【0073】
一方、例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されたバッテリユニットBUの数が減少したとすると、太陽電池からみた負荷が減少するため、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が上昇する。高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧になると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下し、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き上げられる。
【0074】
なお、抵抗Rc1、Rc2およびRc3の抵抗値は、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値があらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように適宜選択される。すなわち、抵抗Rc1およびRc2の抵抗値により、高圧入力電源回路11からの出力電圧の上限がきめられる。トランジスタ36は、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が所定の値を超えているときに、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限の電圧値を超えないようにするために配置されている。
【0075】
一方、高圧入力電源回路11からの出力電圧の下限は、後述するように、チャージャー回路41aにおけるフィードフォワード制御系のオペアンプの反転入力端子に対する入力電圧によってきめられる。
【0076】
「バッテリユニットの内部構成」
図5は、バッテリユニットBUの内部構成の一例を示す。ここでは、バッテリユニットBUaを例にして説明する。特に断らない限り、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、バッテリユニットBUaと同様の構成とされる。
【0077】
バッテリユニットBUaは、チャージャー回路41aと、ディスチャージャー回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。コントロールユニットCUからチャージャー回路41aに対して、電圧V12が供給される。バッテリユニットBUaからの出力である電圧V13が、ディスチャージャー回路42aを介してコントロールユニットCUに供給される。ディスチャージャー回路42aから外部機器に対して、直接、電圧V13が供給されるようにしてもよい。
【0078】
チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aを備える。チャージャー回路41aに入力される電圧V12が、DC−DCコンバータ43aによって所定電圧に変換される。変換された所定電圧がバッテリBaに供給され、バッテリBaが充電される。所定電圧は、バッテリBaの種類等によって異なる。DC−DCコンバータ43aの入力段には、電圧センサ43bと、電子スイッチ43cと、電流センサ43dとが接続されている。DC−DCコンバータ43aの出力段には、電流センサ43eと、電子スイッチ43fと、電圧センサ43gとが接続されている。
【0079】
ディスチャージャー回路42aは、DC−DCコンバータ44aを備える。バッテリBaからディスチャージャー回路42aに供給されるDC電圧が、DC−DCコンバータ44aによって電圧V13に変換される。変換された電圧V13がディスチャージャー回路42aから出力される。DC−DCコンバータ44aの入力段には、電圧センサ44bと、電子スイッチ44cと、電流センサ44dとが接続されている。DC−DCコンバータ44aの出力段には、電流センサ44eと、電子スイッチ44fと、電圧センサ44gとが接続されている。
【0080】
バッテリユニットBUaは、CPU45を備える。CPU45は、バッテリユニットBUの各部を制御する。例えば、電子スイッチのオン/オフを制御する。過充電防止機能や過電流防止機能などの、バッテリBの安全を確保する処理をCPU45が行うようにしてもよい。CPU45は、バス46に接続されている。バス46は、例えば、I2Cバスである。
【0081】
バス46には、メモリ47と、A/D変換部48と、温度センサ49とが接続されている。メモリ47は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。A/D変換部48は、例えば、電圧センサや電流センサによって得られるアナログのセンサ情報をデジタル情報に変換する。A/D変換部48によってデジタル信号へと変換されたセンサ情報がCPU45に供給される。温度センサ49は、バッテリユニットBU内の所定箇所の温度を測定する。温度センサ49は、例えば、CPU45が実装される基板の周囲の温度と、チャージャー回路41aおよびディスチャージャー回路42aの温度と、バッテリBaの温度とを測定する。
【0082】
「バッテリユニットの電源系統」
図6は、バッテリユニットBUaの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。バッテリユニットBUaには、メインスイッチは設けられていない。バッテリBaとCPU45との間には、スイッチSW5およびDC−DCコンバータ39が接続されている。バッテリBaとディスチャージャー回路42aとの間には、スイッチSW6が接続されている。チャージャー回路41aの入力段には、スイッチSW7が接続されている。ディスチャージャー回路42aの出力段には、スイッチSW8が接続されている。それぞれのスイッチSWは、例えば、FETにより構成される。
【0083】
バッテリユニットBUaは、例えば、コントロールユニットCUからの制御信号によって起動される。コントロールユニットCUから、所定の信号ラインを介して、例えば、ハイレベルの制御信号が常に供給されている。このため、バッテリユニットBUaのポートを所定の信号ラインに接続するだけでハイレベルの制御信号がスイッチSW5に供給され、スイッチSW5がオンされる。スイッチSW5がオンすることで、バッテリユニットBUaが起動する。スイッチSW5がオンすることで、バッテリBaからのDC電圧がDC−DCコンバータ39に供給される。DC−DCコンバータ39によって、CPU45を動作させる電源電圧が生成される。生成された電源電圧がCPU45に供給され、CPU45が動作する。
【0084】
CPU45は、コントロールユニットCUの指示に応じた制御を実行する。コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、充電指示の制御信号が供給される。充電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW6およびスイッチSW8をオフした後にスイッチSW7をオンする。スイッチSW7がオンされることで、コントロールユニットCUから供給される電圧V12が、チャージャー回路41aに供給される。チャージャー回路41aによって電圧V12が所定電圧に変換され、変換された所定電圧によってバッテリBaが充電される。なお、バッテリBに対する充電方法は、バッテリBの種類に応じて適宜変更することができる。
【0085】
コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、放電指示の制御信号が供給される。放電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW7をオフし、スイッチSW6およびスイッチSW8をオンする。例えば、スイッチSW6をオンしてから、一定時間後にスイッチSW8をオンする。スイッチSW6がオンされることで、バッテリBaからのDC電圧がディスチャージャー回路42aに供給される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaからのDC電圧が電圧V13に変換される。変換された電圧V13が、スイッチSW8を介してコントロールユニットCUに供給される。なお、本例では省略しているが、他のバッテリユニットBUからの出力と衝突しないようにするため、スイッチSW8の後段にダイオードを追加するようにしてもよい。
【0086】
なお、CPU45の制御によって、ディスチャージャー回路42aのオン/オフを切り換えることができる(図中のCPU45からディスチャージャー回路42aに出ているおON/OFF信号線)。例えば、スイッチSW6の出力側に、図示しないスイッチSW(説明の便宜を考慮して、スイッチSW10と称する)が設けられている。スイッチSW10は、ディスチャージャー回路42aを経由する第1の経路と、ディスチャージャー回路42aを経由しない第2の経路とを切り換えるスイッチである。
【0087】
ディスチャージャー回路42aをオンするときは、CPU45は、スイッチSW10を第1の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介してスイッチSW8に供給される。ディスチャージャー回路42aをオフするときは、CPU45は、スイッチSW10を第2の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介さずに直接、スイッチSW8に供給される。
【0088】
「チャージャー回路の構成例」
図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す。図7に示すように、チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aと、後述するフィードフォワード制御系およびフィードバック制御系とを備えている。なお、図7では、電圧センサ43b、電子スイッチ43c、電流センサ43d、電流センサ43e、電子スイッチ43f、電圧センサ43gならびにスイッチSW7などの図示を省略している。
【0089】
各バッテリユニットBUにおけるチャージャー回路も、図7に示すチャージャー回路41aの構成とほぼ同様の構成を備えている。
【0090】
DC−DCコンバータ43aは、例えば、トランジスタ51、コイル52、制御用IC(Integrated Circuit)53などから構成される。トランジスタ51は、制御用IC53により制御される。
【0091】
フィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11と同様に、オペアンプ55、トランジスタ56、抵抗Rb1、Rb2およびRb3を含む。フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ43aの制御用IC53に備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ43a中の制御用IC53は、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、チャージャー回路41aからの出力電圧を調整する。
【0092】
すなわち、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系と同様に作用する。
【0093】
チャージャー回路41aがフィードフォワード制御系を備えることにより、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。チャージャー回路からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値に調整されることにより、コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電電流が、高圧入力電源回路11からの入力電圧の変化に応じて調整される。したがって、チャージャー回路を備えるバッテリユニットBUは、各バッテリBに対する充電レートを変化させる充電装置の機能を有している。
【0094】
コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電レートが変化させられることにより、各バッテリユニットBUのチャージャー回路に対する入力電圧の値(高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の値といってもよい。)が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。
【0095】
チャージャー回路41aへの入力は、例えば、上述したコントロールユニットCUの高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力である。したがって、例えば、図4に示す端子Te1、Te2、Te3、・・・のいずれかと、チャージャー回路41aの入力端子とが接続されている。
【0096】
図7に示すように、チャージャー回路41aからは、DC−DCコンバータ43a、電流センサ54、フィルタ55を介して出力電圧が取り出される。チャージャー回路41aの端子Tb1には、バッテリBaが接続される。すなわち、チャージャー回路41aからの出力は、バッテリBaに対する入力となる。
【0097】
後述するように、各チャージャー回路からの出力電圧の値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整されている。各チャージャー回路からの出力電圧の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値が適宜選択されることにより調整される。
【0098】
このように、各チャージャー回路からの出力電圧の範囲が、チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて個別にきめられるため、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類は特に限定されない。各チャージャー回路内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値を、接続されるバッテリBの種類に応じて適宜選択すればよいからである。
【0099】
なお、図7ではフィードフォワード制御系の出力が制御用IC53の制御用端子に入力される構成を例示したが、バッテリユニットBUのCPU45が、制御用IC53の制御用端子に入力を与えるようにしてもよい。例えば、バッテリユニットBUのCPU45が、信号ラインSLを介してバッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報をコントロールユニットCUのCPU13から取得するようにしてもよい。コントロールユニットCUのCPU13は、電圧センサ11hや電圧センサ12gなどの測定結果から、バッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報を取得することが可能である。
【0100】
以下、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0101】
オペアンプ55の非反転入力端子に対する入力は、チャージャー回路41aへの入力電圧をkb倍(kb:数十〜百分の一程度)した電圧とされる。一方、オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力は、高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の下限として設定しようとする電圧Vbをkb倍した電圧である。オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力電圧(kb×Vb)は、例えば、CPU45から印加される。
【0102】
したがって、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbよりも十分に高い電圧である場合に、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げる。また、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbに近づくと、フィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き下げる。
【0103】
トランジスタ56は、図4に示すトランジスタ36と同様に、チャージャー回路41aに対する入力電圧が所定の値を超えているときに、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限を超えないようにするために配置されている。なお、チャージャー回路41aからの出力電圧の値の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値の組み合わせによってきまる。そのため、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの種類に応じて調整される。
【0104】
また、チャージャー回路41aは、上述したように、フィードバック制御系をも備えている。フィードバック制御系は、例えば、電流センサ54、オペアンプ57およびトランジスタ58などから構成される。
【0105】
バッテリBaに供給される電流量があらかじめ設定された規定値を超えると、フィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられ、バッテリBaに供給される電流量が制限される。フィードバック制御系による、バッテリBaに供給される電流量の制限の程度は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの定格にあわせてきめられる。
【0106】
フィードフォワード制御系またはフィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される電流量が制限されることになる。バッテリBaに供給される電流量が制限されると、結果として、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。
【0107】
次に、本開示の実施形態の理解を容易とするため、MPPT制御と、電圧追従法による制御とを例にとり、それぞれの制御方式について説明する。
【0108】
「MPPT制御」
まず、以下に、MPPT制御の概略について説明を行う。
【0109】
図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。図8A中、Iscは、光照射時において、太陽電池の端子間を短絡したときの出力電流を表し、Vocは、光照射時において、太陽電池の端子間を開放したときの出力電圧を表している。IscおよびVocは、それぞれ短絡電流および開放電圧と呼ばれる。
【0110】
図8Aに示すように、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。一方、光照射時において、太陽電池の端子電圧は、太陽電池の端子間を開放したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電流はほぼ0A(アンペア)である。
【0111】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが、図8Aに示す曲線C1で表されるとする。ここで、太陽電池に対して負荷を接続したとすると、接続される負荷の必要としている消費電力により、太陽電池から取りだされる電圧と電流がきまる。このときの太陽電池の端子電圧および端子電流の組により表される、曲線C1上の点を、太陽電池の動作点という。なお、図8Aは、動作点の位置を模式的に示したものであり、実際の動作点の位置を示すものではない。本開示の他の図における動作点に関しても、同様とする。
【0112】
太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線上において動作点を変化させると、端子電圧と端子電流との積、すなわち発電電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組が見つかる。太陽電池により得られる電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組により表される点は、太陽電池の最適動作点と呼ばれる。
【0113】
太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、最適動作点を与えるVaとIaとの積により求められる。すなわち、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、図8Aにおいて網掛けで示された領域の面積(Va×Ia)により表される。なお、(Va×Ia)を(Voc×Isc)で割った量がフィルファクタである。
【0114】
最適動作点は、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力により変化し、最適動作点を表す点PAは、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力の変化にしたがって曲線C1上を動く。負荷の必要としている電力量が少ない場合、負荷への電流の供給は、最適動作点における端子電流よりも少ない電流で事足りる。そのため、このときの太陽電池の端子電圧の値は、最適動作点における電圧値よりも高い値になる。一方、負荷の必要としている電力量が、最適動作点で供給できる電力量よりも大きい場合には、この時点の照度で提供できる電力を超えているため、太陽電池の端子電圧が0まで低下していくものと考えられる。
【0115】
図8Aに示す曲線C2およびC3は、例えば、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。例えば、図8Aに示す曲線C2は、太陽電池に対する照度が増加した場合における電圧−電流特性に対応し、図8Aに示す曲線C3は、太陽電池に対する照度が減少した場合における電圧−電流特性に対応する。
【0116】
例えば、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C1から曲線C2に変化したとすると、最適動作点も太陽電池に対する照度の増加に伴って変化する。なお、このとき、最適動作点は、曲線C1上の点から曲線C2上の点にうつる。
【0117】
MPPT制御とは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対して最適動作点を求め、太陽電池から得られる電力が最大となるように、太陽電池の端子電圧(または端子電流)を制御することにほかならない。
【0118】
図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【0119】
図8Bに示すように、最大動作点を与える端子電圧において、太陽電池の発電電力が最大値Pmaxをとるものとすると、最大動作点を与える端子電圧は、山登り法と呼ばれる手法により求めることができる。以下に説明する一連の手順は、一般的には、太陽電池と、電力系統との間に接続されるパワーコンディショナーのCPUなどにより実行される。
【0120】
例えば、まず、太陽電池から入力される電圧の初期値をV0として、このときの発電電力P0が計算される。次に、V1=V0+ε(ここではε>0とする。)として、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV1として、このときの発電電力P1が計算される。次に、得られたP0とP1とが比較され、P1>P0である場合には、V2=V1+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV2として、このときの発電電力P2が計算される。次に、得られたP1とP2とが比較され、P2>P1である場合には、V3=V2+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV3として、このときの発電電力P3が計算される。
【0121】
ここで、P3<P2であったとすると、最大動作点を与える端子電圧は、V2とV3との間にある。このように、εの大きさを調節することにより、任意の精度で最大動作点を与える端子電圧を求めることができる。上述した手順に、二分法(bisection method algorithm)を適用してもよい。なお、太陽電池の光照射面に部分的に影ができたときなど、P−V曲線が2以上のピークを有していると単純な山登り法では対応できないため、制御プログラムに工夫が必要である。
【0122】
MPPT制御によれば、太陽電池からみた負荷が常に最適になるように端子電圧が調整されるため、それぞれの気象条件下で、太陽電池から最大の電力を取り出すことができる。その一方で、最大動作点を与える端子電圧の計算にアナログ/デジタル変換(A/D変換)が必要とされるほか、計算に乗算が含まれるために、制御に時間を要してしまう。そのため、MPPT制御では、空が急に曇りだして太陽電池に対する照度が急激に変化したときなど、太陽電池に対する照度の急激な変化に対応できないときがある。
【0123】
「電圧追従法による制御」
ここで、図8Aに示す曲線C1〜C3を比較すると、太陽電池に対する照度の変化(電圧−電流特性を表す曲線の変化といってもよい。)に対して、開放電圧Vocの変化は、短絡電流Iscの変化と比較して小さい。また、いずれの太陽電池もよく似た電圧−電流特性を示し、最大動作点を与える端子電圧は、結晶シリコン太陽電池の場合、開放電圧のおよそ80%の付近にあることが知られている。したがって、太陽電池の端子電圧として適当な電圧値を設定し、太陽電池の端子電圧が、その設定された電圧値となるようにコンバータの出力電流を調整すれば、太陽電池から効率よく電力を取り出せると予想される。このような電流制限による制御は、電圧追従法と呼ばれる。
【0124】
以下に、電圧追従法による制御の概略を説明する。前提として、太陽電池とパワーコンディショナーとの間にスイッチング素子が配置され、太陽電池とスイッチング素子との間に電圧測定手段が配置されているものとする。また、太陽電池は、光照射がされた状態にあるものとする。
【0125】
まず、スイッチング素子がオフとされ、スイッチング素子のオフから所定の時間が経過した時に、電圧測定手段により太陽電池の端子電圧が測定される。スイッチング素子のオフから太陽電池の端子電圧の測定までに所定の時間の経過を待つのは、太陽電池の端子電圧が安定するのを待つためである。このときの端子電圧は、開放電圧Vocである。
【0126】
次に、測定により得られた開放電圧Vocの例えば80%の電圧値が、目標電圧値として計算され、目標電圧値がメモリなどに一時的に保持される。次に、スイッチング素子がオンとされ、パワーコンディショナー内のコンバータへの通電が開始される。このとき、太陽電池の端子電圧が、目標電圧値となるように、コンバータの出力電流が調整される。上述した一連の手順が、任意の時間間隔で実行される。
【0127】
電圧追従法による制御は、MPPT制御と比較して、太陽電池により得られる電力の損失が大きいが、簡単な回路で実現でき、低コストであるため、コンバータを備えるパワーコンディショナーを、安価なものとできる。
【0128】
図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図9A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図9A中の黒丸は、電圧追従法による制御を行ったときの動作点を表している。
【0129】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5であったとする。次に、太陽電池に対する照度の変化に伴い、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5からC8に順に変化したとすると、それぞれの制御方式による動作点も太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に伴って変化する。なお、太陽電池への照度の変化に対する開放電圧Vocの変化が小さいため、図9A中においては、電圧追従法による制御を行ったときの目標電圧値をほぼ一定の値Vsとみなしている。
【0130】
図9Aからわかるように、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いは小さい。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、いずれの制御の場合においても、太陽電池により得られる発電電力に大きな違いはないと考えられる。
【0131】
一方、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いが大きい。例えば、図9Aに示すように、MPPT制御を適用したときの端子電圧と電圧追従法による制御を適用したときの端子電圧との差△V6および△V8を比較すると、△V6>△V8となっている。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力と電圧追従法による制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力との差は大きい。
【0132】
「コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御」
次に、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御の概略を説明する。以下、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調(連動)による制御を、協調制御と適宜称する。
【0133】
図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0134】
図9Bに示すように、例えば、コントロールユニットCUには、チャージャー回路およびバッテリの組を備える1または複数のバッテリユニットBUが接続される。図9Bに示すように、1または複数のバッテリユニットBUは、電力ラインL1に対して並列に接続されている。なお、図9BではコントロールユニットCUが1つの場合を例示したが、制御システムがコントロールユニットCUを複数備える場合も同様に、1または複数のコントロールユニットCUは、電力ラインL1に対して並列に接続される。
【0135】
一般的には、太陽電池から得られた電力により1台のバッテリの充電を行おうとする場合、太陽電池とバッテリとの間に介在されたパワーコンディショナーにより、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御が実行される。該1台のバッテリには、複数のバッテリが内包されて一体として動作する物も含まれるが、該1台のバッテリは、複数のバッテリとはいえ、単一の種類からなることが一般的である。言い換えれば、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御は、太陽電池と、1台のバッテリとの間に接続されるパワーコンディショナーの単体で実行されることが想定されている。そして、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成(並列、直列等の接続の態様)には変化がなく、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成は、一般に固定されている。
【0136】
一方、協調制御においては、コントロールユニットCUおよび複数のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・のそれぞれが、コントロールユニットCUの出力電圧と、複数個のバッテリユニットBUの必要とする電圧とのバランスがとれるように自律的に制御を行う。上述したように、バッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・に内包されるバッテリBは、いずれの種類でもよい。すなわち、本開示によるコントロールユニットCUは、複数種のバッテリBに対する協調制御を行うことが可能とされる。
【0137】
さらに、図9Bに示す構成例では、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在であり、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに接続されるバッテリユニットBUの数も変化しうる。図9Bに示す構成例では、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷も変化しうるが、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池の発電中における、太陽電池からみた負荷の変化にも対応が可能である。これは、従来の構成にはなかった大きな特徴の一つである。
【0138】
上述したコントロールユニットCUとバッテリユニットBUとを接続することにより、コントロールユニットCUからの供給能力に応じて充電レートを動的に変化させる制御システムを構築することが可能となる。以下、協調制御の一例についての説明を行う。なお、以下の説明では、初期の状態において、コントロールユニットCUに対して1のバッテリユニットBUaが接続された制御システムを例にとるが、コントロールユニットCUに対して複数のバッテリユニットBUが接続されている場合も同様である。
【0139】
例えば、コントロールユニットCUの入力側に太陽電池が、出力側にバッテリモジュールBUaが接続されているとする。また、例えば、太陽電池の出力電圧の上限が100Vであるものとし、太陽電池の出力電圧の下限を75Vに抑えたいとする。すなわち、Vt0=75Vと設定されており、オペアンプ35の反転入力端子に対する入力電圧が、(kc×75)Vであるとする。
【0140】
また、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限および下限が、例えば、48Vおよび45Vにそれぞれ設定されているものとする。すなわち、Vb=45Vと設定されており、オペアンプ55の反転入力端子に対する入力電圧が、(kb×45)Vであるとする。なお、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限である48Vという値は、高圧入力電源回路11内の抵抗Rc1およびRc2を適宜選択することにより調整されている。言い換えれば、コントロールユニットCUからの出力の目標電圧値が、48Vに設定されているものとする。
【0141】
さらに、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限が、例えば、42Vおよび28Vにそれぞれ設定されているものとする。したがって、チャージャー回路41a内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3は、チャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限がそれぞれ42Vおよび28Vとなるように選択されている。
【0142】
なお、チャージャー回路41aへの入力電圧が上限であるときが、バッテリBaに対する充電レート100%である状態に対応し、入力電圧が下限であるときが、バッテリBaに対する充電レート0%である状態に対応する。すなわち、チャージャー回路41aへの入力電圧が48Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが100%である状態に対応し、チャージャー回路41aへの入力電圧が45Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが0%である状態に対応する。入力電圧が45V〜48Vの範囲で変動することに応じて、充電レートが0〜100%の範囲で設定される。
【0143】
なお、協調制御とは別に、バッテリへの充電レート制御を平行して行うようにしてもよい。すなわち、充電初期では定電流充電が行われるため、チャージャー回路41aからの出力をフィードバック調整して充電電流を一定以下に保てるように充電電圧を調整し、最終段階では、充電電圧を一定以下に保つようにする。ここで、調整される充電電圧は、上記協調制御で調整された電圧以下とされる。これにより、コントロールユニットCUから供給される電力内で充電処理がなされる。
【0144】
まず、太陽電池に対する照度が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0145】
図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図10A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図10Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
【0146】
いま、バッテリBaの必要としている電力が100w(ワット)であるものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C5(最も晴れた状態)により表されるとする。このときの太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のa点により表され、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力(供給量)が、バッテリBaの必要としている電力(需要量)を上回っているとする。
【0147】
太陽電池からバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている場合、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧(電圧V12)は、上限の48Vとなる。すなわち、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上限の48Vであるため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧が上限の42Vとされ、バッテリBaに対する充電が、充電レート100%で行われる。なお、余剰分の電力は、例えば、熱などとして捨てられる。なお、バッテリへのチャージを100%で行うよう説明したが、バッテリへのチャージは100%に限定されず、充電レートは、バッテリの特性に応じて適宜調整が可能である。
【0148】
この状態から空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C5から曲線C6へと変化する。空が曇りだすことにより、太陽電池の端子電圧が徐々に低下し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も徐々に低下する。したがって、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化することに伴い、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C6上のb点にうつる。
【0149】
この状態からさらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6から曲線C7へと変化し、太陽電池の端子電圧が徐々に低下することに伴って、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も低下する。コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある程度低下すると、制御システムは、バッテリBaに対して100%の電力を供給できなくなってくる。
【0150】
ここで、太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0151】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaへの入力電圧が低下するため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、バッテリBaに対する出力電圧を引き下げはじめる。チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される充電電流が減少されることとなり、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。すなわち、バッテリBaに対する充電レートが引き下げられる。
【0152】
バッテリBaに対する充電レートが引き下げられると、消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなる。すると、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0153】
太陽電池の端子電圧が上昇すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧の引き下げの度合いが減少し、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇する。バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇することにより、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げ、バッテリBaに対する充電レートを引き上げる。
【0154】
バッテリBaに対する充電レートが引き上げられると、太陽電池からみた負荷が大きくなり、太陽電池からみた負荷の増加分だけ太陽電池の端子電圧が低下する。太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を引き下げる。
【0155】
以後、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、上述した充電レートの調整が自動的に繰り返される。
【0156】
協調制御は、MPPT制御とは異なり、ソフトウェアによる制御ではない。そのため、協調制御には、最大動作点を与える端子電圧の計算が不要である。また、協調制御による充電レートの調整においては、CPUによる計算が介在しない。そのため、協調制御は、MPPT制御と比較して消費電力が小さく、上述した充電レートの調整も、数ナノ秒〜数百ナノ秒程度と短時間で実行される。
【0157】
また、高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aは、自身に対する入力電圧の大きさを検知して出力電圧を調整するだけなので、アナログ/デジタル変換も不要であり、コントロールユニットCUとバッテリユニットBUaとの間の通信も不要である。したがって、協調制御は、複雑な回路を必要とせず、協調制御を実現するための回路は、小さなものとなる。
【0158】
ここで、曲線C5上の点aにいたときはコントロールユニットCUが100wの電力を供給できていたと仮定し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある値に収束したとする。すなわち、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C7上のc点にうつったとする。このとき、バッテリBaに対して供給される電力は100wを下回ることとなるが、図10Aに示すように、電圧Vt0の値の選び方によっては、MPPT制御行った場合と比較しても遜色のない電力をバッテリBaに対して供給することができる。
【0159】
さらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C7から曲線C8へと変化し、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C8上のd点にうつる。
【0160】
図10Aに示すように、協調制御のもとでは、電力の需要量と供給量との間のバランスが調整されるので、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。すなわち、協調制御のもとでは、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合であっても、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。
【0161】
太陽電池に対する照度が極端に低下した場合、太陽電池の端子電圧が、電圧Vt0に近い値となり、バッテリBaに対して供給される電流量は、ごくわずかなものとなる。したがって、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合には、バッテリBaの充電に時間を要することとなるが、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスがとれているため、制御システムがダウンすることはない。
【0162】
上述したように、協調制御による充電レートの調整は、非常に短時間で実行されるため、協調制御によれば、急に空が曇りだして太陽電池に対する照度が急激に減少した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0163】
次に、太陽電池からみた負荷が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0164】
図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10B中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10B中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。
【0165】
いま、太陽電池に対する照度の変化がないものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、図10Bに示す曲線C0により表されるとする。
【0166】
制御システムの起動の直後においては、制御システム内部の電力消費がほぼないと考えられるため、太陽電池の端子電圧は、開放電圧にほぼ等しいと考えてよい。したがって、制御システムの起動の直後における太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のe点にあるものと考えてよい。なお、このときのコントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧は、上限である48Vと考えてよい。
【0167】
バッテリユニットBUaに接続されたバッテリBaに対する電力の供給が開始されると、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のg点にうつる。なお、本例の説明においては、バッテリBaの必要としている電力が100wであるため、図10Bに網掛けで示す領域S1の面積は、100wに等しい。
【0168】
太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの制御システムの状態は、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている状態である。したがって、太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの太陽電池の端子電圧、コントロールユニットCUからの出力電圧およびバッテリBaに供給される電圧は、それぞれ100V、48Vおよび42Vである。
【0169】
ここで、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。バッテリユニットBUaに接続されているバッテリBaと同様に、バッテリユニットBUbに接続されているバッテリBbが、充電のために100wの電力を必要とするものとすると、消費電力が増加し、太陽電池からみた負荷が急激に大きくなる。
【0170】
合計で200wの電力を2つのバッテリに供給するためには、例えば、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bからの出力電圧を維持させたまま、出力電流の合計を2倍にしなければならない。
【0171】
ところが、発電装置が太陽電池である場合、チャージャー回路41aおよび41bからの出力電流の増加に伴って太陽電池の端子電圧も低下してしまうため、太陽電池の動作点がg点にあるときと比較して、出力電流の合計を2倍より大きくする必要がある。そうすると、図10Bに示すように、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C0上のh点になければならないこととなり、太陽電池の端子電圧が極端に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が極端に低下すると、制御システムがダウンするおそれがある。
【0172】
協調制御では、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスの調整がなされる。具体的には、バッテリBaおよびバッテリBbに供給される電力が合計で例えば150wとなるように、2つのバッテリに対する充電レートが自動的に引き下げられる。
【0173】
すなわち、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧も低下する。太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0174】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaおよびBUbへの入力電圧が低下する。
すると、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bは、バッテリBaおよびBbに対する出力電圧をそれぞれ引き下げはじめる。チャージャー回路からの出力電圧が引き下げられると、チャージャー回路に接続されたバッテリに対する充電が減速される。すなわち、それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられることになる。
【0175】
それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられると、全体として消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなり、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0176】
以後、太陽電池に対する照度が急激に減少した場合と同様にして、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、充電レートの調整が行われる。
【0177】
なお、実際に収束する電圧値がいくつになるかは状況によって異なる。そのため、実際に収束する電圧値ははっきりとはわからないが、太陽電池の端子電圧が下限であるVt0=75Vになると充電がなされなくなるため、下限であるVt0の値よりは若干高い電圧で収束するものと推定される。また、個々のバッテリユニットは連動制御されていないため、個々のバッテリユニットが同じ構成であっても、使用される素子のばらつきにより充電レートは異なっているものと推測される。ただし、結果として全体を協調制御できることに変わりはない。
【0178】
協調制御による充電レートの調整が非常に短時間で実行されるため、バッテリユニットBUbが新たに接続されると、太陽電池の動作点は、曲線C0上のg点からi点へとうつる。なお、図10Bにおいては、説明の都合上、曲線C0上に太陽電池の動作点の一例としてh点を図示したが、協調制御のもとでは、太陽電池の動作点が実際にh点にうつるわけではない。
【0179】
このように、協調制御では、太陽電池からみた負荷の増加に対して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身に対する入力電圧の大きさを検知して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身の吸いこむ電流量を自動的に抑制する。協調制御によれば、コントロールユニットCUに対して接続されるバッテリユニットBUの数が増加して太陽電池からみた負荷が急激に増加した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0180】
次に、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0181】
図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図11A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図11Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。以下では、同一の照度に対応する太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線に対しては、図面中において、同一の符号を付すこととする。
【0182】
まず、コントロールユニットCUに対して、充電のために100wの電力を必要とするバッテリBaを備えたバッテリユニットBUaが接続されているものとする。また、このときの太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C7により表され、太陽電池の動作点が、曲線C7上のp点により表されるとする。
【0183】
図11Aに示すように、p点における太陽電池の端子電圧が、太陽電池の出力電圧の下限としてあらかじめ設定された電圧Vt0にかなり近づいているとする。太陽電池の端子電圧が電圧Vt0にかなり近づいていることは、制御システムにおいて、協調制御による充電レートの調整が実行され、充電レートが非常に抑えられていることを意味する。すなわち、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態では、チャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、太陽電池から高圧入力電源回路11に供給される電力を大幅に上回っていることを示している。したがって、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態においては、充電レートの調整が大きくなされ、バッテリBaを充電するチャージャー回路41aに対しては、100wよりもかなり小なる電力が供給されている。
【0184】
次に、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C7から曲線C6へと変化したとする。また、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C7上のp点から、曲線C6上のq点にうつる。
【0185】
コントロールユニットCUに対して2つのバッテリユニットが接続されたことにより、チャージャー回路41a、41bがバッテリBa、Bbにフルで充電する際の消費電力は200wとなるが、太陽電池に対する照度が十分でない場合、協調制御が継続され、消費電力が、200w未満(例えば150wなど)に調整される。
【0186】
次に、空が晴れあがるなどして、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C5へと変化したとする。このとき、太陽電池に対する照度の増加に伴って太陽電池の発電電力が増加してくると、太陽電池からの出力電流が増加する。
【0187】
太陽電池に対する照度が十分に増加し、太陽電池の発電電力がさらに増加すると、あるところで太陽電池の端子電圧が電圧Vt0と比較して十分大きい値となる。太陽電池から高圧入力電源回路11ならびにチャージャー回路41aおよび41bを介して2つのバッテリに供給される電力が、2つのバッテリを充電するのに必要としている電力を上回ると、協調制御による充電レートの調整が緩和されるか、自動的に解除される。
【0188】
このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のr点で表され、個々のバッテリBaおよびBbに対する充電は、100%の充電レートで行われる。
【0189】
次に、太陽電池に対する照度が減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化したとする。
【0190】
すると、太陽電池の端子電圧が低下し、太陽電池の端子電圧があらかじめ設定された電圧Vt0に近づくと、協調制御による充電レートの調整が再び実行される。このときの太陽電池の動作点は、曲線C6上のq点で表される。
【0191】
次に、太陽電池に対する照度がさらに減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C8へと変化したとする。
【0192】
すると、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回らないように充電レートが調整されるため、太陽電池からの端子電流が減少し、太陽電池の動作点が、曲線C6上のq点から、曲線C8上のs点にうつる。
【0193】
協調制御では、個々のバッテリユニットBUに対する入力電圧があらかじめ定められた電圧Vt0を下回らないように、コントロールユニットCUと個々のバッテリユニットBUとの間で電力の需要量と供給量との間のバランスが調整される。したがって、協調制御によれば、個々のバッテリユニットBUからみた入力側の供給能力に応じて、個々のバッテリBに対する充電レートをリアルタイムで変化させることができる。このように、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池からみた負荷の変化に対しても対応が可能である。
【0194】
上述したように、本開示は、商用電源を必要としない。したがって、電源装置や電力網が整備されていない地域においても、本開示は有効である。
【0195】
「DC−DCコンバータの起動」
ところで、太陽電池から電力を取りだそうとする場合、太陽電池と負荷との間に、例えば、MPPT制御の機能を備えたパワーコンディショナーを介在させることが一般的である。この場合、太陽電池から電力を取りだすためには、まず、パワーコンディショナーを起動させなければならない。
【0196】
ここで、太陽電池と負荷との間に介在されるパワーコンディショナー内のコンバータ回路においては、入力電圧が数十Vから数百V、入力電流が数Aから数十Aにもなる。このように、パワーコンディショナーにより取り扱われる電力が大きいことから、パワーコンディショナー内のコンバータ回路においては、容量の比較的大きなコンデンサが使用される。
【0197】
容量の比較的大きなコンデンサがパワーコンディショナー内に使用される場合、コンデンサに蓄えられた電荷量が少ないと、パワーコンディショナーが太陽電池と電気的に接続された時に、コンデンサに突入電流が流れ込んでしまう。すなわち、コンデンサに蓄えられた電荷量が小さいと、太陽電池の出力がショートされたような状態となってしまい、パワーコンディショナーが太陽電池から大電流を引っぱってしまう。
【0198】
図8Aに例示したように、太陽電池の電圧−電流特性においては、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。また、パワーコンディショナーを太陽電池に対して最初に接続した時点においては、コンデンサに蓄えられている電荷量は、極めて少ないか、0である。
【0199】
そうすると、パワーコンディショナーを太陽電池に対して最初に接続した時に、太陽電池の供給可能な電力以上の電流が太陽電池から流れだしてしまい、太陽電池の端子電圧(パワーコンディショナーへの入力電圧)がほぼ0となってしまう。パワーコンディショナーへの入力電圧がほぼ0となってしまうと、それ以上コンデンサの端子間電圧が上がらなくなり、パワーコンディショナー内のコンバータ回路をさせることができなかった。
【0200】
このように、従来の構成では、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時における、太陽電池に対する照度が低いと、パワーコンディショナーを起動させることができずに太陽電池から電力を取りだすことができなかった。そのため、従来の構成では、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時において、パワーコンディショナーへの入力電圧が低かった場合には、所定時間経過後に起動処理を再度試みるという処理がなされるのが通常であった。したがって、太陽電池に対する照度が低い状態が続くと、いつまでたってもパワーコンディショナーを起動させることができず、太陽電池から電力を取りだすことができなかった。例えば、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時において、空が曇っていた場合には、天候の回復をただ待つしかなかった。
【0201】
上述した事情は、コントロールユニットとバッテリユニットとの組からなる制御システムおいてもほぼ同様であり、例えば、コントロールユニットCU中の力率補正回路には、図4に示したように、容量の比較的大きなコンデンサ31が含まれている。
【0202】
このコンデンサ31は、コントロールユニットCUの外部からの供給される電力を、一旦高圧にして蓄えるために配置されている。コンデンサ31の端子間電圧を高圧とし、コンデンサ31からの出力電圧をDC−DCコンバータ11bで降圧することにより、コントロールユニットCUからの出力電圧が生成される。
【0203】
コントロールユニットCUへの入力電圧を一旦高電圧としてから、それを降圧して出力電圧を生成するのは、大電力を取りだすためである。そのため、コンデンサ31の容量は比較的大きいものとされており、コンデンサ31に蓄えられた電荷量が小さいと、コントロールユニットCUと太陽電池とを電気的に接続させた時にコントロールユニットCUが太陽電池から大電流を引っぱってしまうことになる。
【0204】
しかしながら、本開示の制御システム1においては、上述したように、コントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUの連動による協調制御が可能とされている。協調制御によれば、コントロールユニットCUが一旦起動してしまえば、太陽電池に対する照度が低い場合であっても、得られた発電電力を利用することができる。言い換えれば、本開示の制御システム1では、コントロールユニットCU中の高圧入力電源回路11の消費電力とバッテリユニットBU中のチャージャー回路41aの消費電力との和を発電電力が上回りさえすれば、例えば、バッテリBへの充電を行うことができる。
【0205】
すなわち、本開示の制御システム1では、従来の構成とは異なり、発電電力が小さいときは発電電力が小さいなりに発電部から得られた電力を利用することが可能である。このように、本開示の制御システムは、小電力から大電力までの利用が可能であり、発電電力が小さい場合であっても、本開示の制御システムを起動させることには意義がある。
【0206】
発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置から得られる電力は、一般に不安定であり、さらに、発電電力が小さい場合における発電電力の利用は、従来の構成では想定されなかったことである。
【0207】
「DC−DCコンバータの起動手順」
次に、本開示の起動手順の一例について説明する。
【0208】
図11Bは、本開示の制御システムの一構成例を示すブロック図である。図11Bに示すように、コントロールユニットCUに対して、例えば、発電部の一例としての太陽電池PVが接続されている。コントロールユニットCUに対しては、例えば、バッテリユニットBUaが接続されている。図11Bでは、コントロールユニットCUに接続されたバッテリユニットBUの数が1つの場合を例示したが、もちろん、バッテリユニットBUの数は2以上であってもよい。
【0209】
なお、図11Bでは、発電部として太陽電池PVがコントロールユニットCUに接続される例を示したが、発電部としては、太陽電池に限定されない。発電部は、例えば、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置であり、自然環境に応じて発電する装置に限られず、人力によって発電する装置であってもよい。人力によって発電する装置としては、例えば、足漕ぎ式発電機や足踏み式発電機等を挙げることができる。ある程度有限の動力源を用いる発電の方式であれば、環境や状況に応じて変動する発電装置と同様の状況になるといえるからである。発電部が、商用電源であってももちろんかまわない。
【0210】
図11Bに示すように、コントロールユニットCUは、DC−DCコンバータ11bを備えている。太陽電池PVにより得られた電力が、DC−DCコンバータ11bにより電圧変換されて、コントロールユニットCUから出力される。コントロールユニットCUから供給された電力が、チャージャー回路41aを介して電圧変換された後、例えば、バッテリBaに供給される。
【0211】
コントロールユニットCU中のDC−DCコンバータ11bの入力段には、容量成分が存在する。図11では、DC−DCコンバータ11bの入力段の容量成分をコンデンサCgとして概念的に示した。コンデンサCgは、例えば、力率補正回路中のコンデンサ31の容量等を含む容量成分である。
【0212】
太陽電池PVと、コンデンサCgとの間には、図11Bに示すように、例えば、電圧センサVSinと、電子スイッチSWinが配置される。電圧センサVSinによって得られるセンサ情報は、CPU13に供給される。したがって、CPU13は、A/D変換等により、太陽電池PVの端子電圧の大きさに関する情報を取得することができる。また、CPU13は、電圧センサVSinからの入力に応じて、電子スイッチSWinのオン/オフを制御する。電子スイッチSWinは、耐圧の観点から、リレーにより構成されることが好ましい。
【0213】
上述したように、本開示の制御システム1においてはコントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUの連動による協調制御が可能とされている。上述した協調制御によれば、発電部から得られる電力が小さい場合でも、発電部から効率的に電力を取り出すことができるが、発電部と制御システム1とを接続した後、まず、コントロールユニットCUを起動させる必要がある。
【0214】
コントロールユニットCUに対する入力電圧が低いときにおいても、DC−DCコンバータ11bの起動を可能とするため、具体的には、以下の手順に従い、DC−DCコンバータ11bを起動させる。
【0215】
なお、外部電源により高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12を起動させたうえで、太陽電池等の発電部からの電力を受け入れることも考えられるが、そのような構成をとった場合には、常時外部電源が必要となってしまう。すなわち、太陽電池等の発電部からの電力のみから、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12等を駆動させることができないことになる。本開示は、発電部の電力を利用して高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12等の電圧変換部を駆動するとともに、効率よく電圧変換を開始する方法を提示するものである。
【0216】
以下の一連の処理は、例えば、コントロールユニットCUのCPU13により実行される。なお、CPU13の動作に必要な電力は、例えば、図3に示したバッテリ22等から供給される。なお、コントロールユニットCUに対してバッテリユニットBUからの電力の供給があるときは、バッテリユニットBUからの電力が、CPU13の動作に使用されるようにされていてもよい。
【0217】
まず、電圧センサVSinにより、発電部からの入力電圧の大きさが調べられる。このとき、電圧センサVSinにより得られる電圧の測定値は、コンデンサCgの端子間電圧となる。なお、コンデンサCgに電荷が蓄えられていた場合には、このときに得られる電圧の測定値は、太陽電池の開放電圧Vocとなる。
【0218】
次に、入力電圧が、あらかじめ設定されたしきい値を超えている場合には、発電部に最も近い側の電子スイッチSWinがオンとされる。なお、発電部が太陽電池の場合、負荷がなければ定格電圧に近い電圧が出力される。そのため、例えば、発電部として、定格出力が100Vの太陽電池が接続されている場合、電子スイッチSWinをオンとするか否かの判定のためのしきい値は、例えば、60Vや70V等に設定される。
【0219】
なお、電圧センサVSinによる電圧の測定より先に電子スイッチSWinをオンとしてもよいが、電圧センサVSinによる電圧の測定を行う場合には、電子スイッチSWinのオンよりも先に電圧の測定を行うことにより、無駄な動作が省略できる。
【0220】
発電部から供給される電力が十分に多かった場合には、DC−DCコンバータ11bが起動される。例えば、DC−DCコンバータ11bの入力段に配置された電子スイッチ11dがオンされることにより、DC−DCコンバータ11bへの通電が開始され、コントロールユニットCUが動作を開始する。
【0221】
一方、発電部から供給される電力がDC−DCコンバータ11bの起動に必要な電力を上回らなかった場合には、数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinがオフされる。
【0222】
電子スイッチSWinをオンのままとしないのは、図11Bに示す構成例においては、電圧センサVSinの測定値により、外部からの電力の供給の有無を判定しているからである。電子スイッチSWinがオンのままであると、コンデンサCgにある程度の量の電荷が蓄積されないと、外部からの電力の供給の有無がわからなくなってしまう。
【0223】
なお、電子スイッチSWinがオンされているごく短い時間には、例えば、コンデンサ31に僅かながらも電荷がチャージされている。電子スイッチSWinのオンから数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinがオフされるのは、電子スイッチSWinがオンされたままだと、コンデンサCgにチャージされた電荷が自然放電されてしまうからである。
【0224】
電子スイッチSWinがオフされると、太陽電池PVの出力電圧は、その時点における最大値まで回復する。
【0225】
次に、数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinが再びオンされる。
【0226】
ここで、電子スイッチSWinのオフからオンまでの間隔が数ミリ秒〜数十ミリ程度と短いと、電子スイッチSWinが再びオンとされることにより、例えば、コンデンサ31に僅かながらもさらに電荷がチャージされ、コンデンサCgにエネルギーが蓄えられる。
【0227】
これは、太陽電池PVとコントロールユニットCUを接続するケーブルおよび太陽電池PV自体が、容量成分を有しているためであると推測される。電子スイッチSWinがオンされた後にオフされると、発電電力が、その容量成分に蓄えられる。したがって、短い間隔をおいて電子スイッチSWinが再びオンされることにより、太陽電池PVとコントロールユニットCUを接続するケーブルおよび太陽電池PV自体に蓄えられたエネルギーが、コンデンサCgに流れ込むと考えられる。
【0228】
電子スイッチSWinがオンされると、電圧センサVSinにより、発電部からの入力電圧の大きさが調べられる。
【0229】
以降は、上述した、電子スイッチSWinのオンとオフが繰り返される。電子スイッチSWinのオンとオフとの間の間隔は、いずれも数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔である。
【0230】
数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔で、電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させると、太陽電池PV−コントロールユニットCU間の容量成分への発電電力の蓄積と、コンデンサCgへのチャージとが繰り返される。
【0231】
すると、コンデンサCgに蓄えられている電荷量の増加に伴い、太陽電池PVからの突入電流が次第に小さくなっていく。したがって、コンデンサCgに蓄えられている電荷量の増加に伴い、コンデンサCgの端子間電圧が高くなっていき、電子スイッチSWinがオンされたときの、コントロールユニットCUに対する入力電圧のドロップの量が次第に小さくなっていく。
【0232】
電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させることにより、太陽電池PVからの出力電圧がDC−DCコンバータ11bの起動に必要な電圧を上回ったら、DC−DCコンバータ11bへの通電を開始させる。このようにすることで、発電部から供給される電力量が小さい場合であっても、DC−DCコンバータ11bを起動させることが可能となる。
【0233】
なお、電子スイッチSWinのオンとオフとの繰り返しの間に入力電圧のドロップが検出された場合には、上述した手順を初めからやり直せばよい。すなわち、例えば、電子スイッチSWinがオフのときにも電圧の測定を行い、発電部からの入力電圧が所定の電圧まで上がっていることが確認されてから、電子スイッチSWinをオンする。そして、所定の時間が経過したら入力電圧をチェックし、入力電圧がまた低ければ、電子スイッチSWinをオフするということを繰り返せばよい。
【0234】
図12A〜図12Cは、本開示の起動手順を説明するための略線図である。
【0235】
図12Aは、電子スイッチのSWinに対する入力信号の一例を折れ線L1により示しており、例えば、信号がハイレベル(図中、Hにより表される状態)のときに電子スイッチのSWinがオンとされ、信号がローレベル(図中、Lにより表される状態)のときに電子スイッチのSWinがオフとされる。図12Bは、太陽電池の出力電圧を曲線L2により模式的に示した図である。図12Cは、コンデンサCgの端子間電圧を曲線L3により模式的に示した図である。図12C中、電圧Vstは、DC−DCコンバータ11bの最低起動電圧を示している。なお、図12A〜図12C中の横軸はいずれも時間Tを表しており、図12A〜図12Cのそれぞれの間の時間的尺度は同じに揃えてある。
【0236】
図12Aに示すように、電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させると、図12Cに示すように、電子スイッチSWinがオンされてコンデンサCgに電荷がチャージされることに伴って、コンデンサCgの端子間電圧が次第に上昇していく。図12Bに示すように、電子スイッチSWinをオンすると、太陽電池の出力電圧が一時的にドロップするが、電子スイッチSWinのオンとオフとの繰り返しに伴って、入力電圧のドロップの量が次第に小さくなっていく。
【0237】
電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させるうちに、図12Cに示すように、あるところでコンデンサCgの端子間電圧がDC−DCコンバータ11bの最低起動電圧Vstを上回ることになる。コンデンサCgの端子間電圧がDC−DCコンバータ11bの最低起動電圧Vstを上回れば、DC−DCコンバータ11bを起動させることができる。
【0238】
このように、電子スイッチSWinのオンとオフとを短い時間間隔で繰り返させることにより、発電電力が小さい場合であっても、後段のDC−DCコンバータを起動させることができる。上述した手順によれば、パワーコンディショナーへの通電を開始させ、入力電圧を検証した後、入力電圧がドロップした場合には一定時間後に再起動させるという従来の手法と比較して、より高速に後段のDC−DCコンバータを起動させることができる。
【0239】
なお、上述した手順では、電子スイッチSWinをオンとした直後に太陽電池の出力電圧を測定しているが、電圧値の取得のためのA/D変換に多少の誤差があっても、太陽電池の出力電圧が0に近いか、高圧かの判定には問題ない。すなわち、A/D変換は、通常、誤差を有しているが、太陽電池の出力電圧とDC−DCコンバータの最低起動電圧との比較に問題はない。
【0240】
以上に説明したように、本開示によれば、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電部から得られる電力が小さい場合であっても、該発電部から得られた電力により、DC−DCコンバータを高速に起動させることができる。また、協調制御が可能とされた制御システムに本開示の技術を適用することにより、小電力から大電力までの利用が可能となり、いままでは捨てられていた電力を活用することができる。
【0241】
なお、本開示の技術は、協調制御が可能とされた制御システムに限られず、入力側に容量成分を有する一般的なDC−DCコンバータの起動にももちろん適用が可能である。
【0242】
<2.変形例>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。実施形態における構成、数値、材料などは全て一例であり、例示した構成等に限定されることはない。例示した構成等は、技術的矛盾が生じない範囲において、適宜、変更することができる。
【0243】
制御システムにおけるコントロールユニットおよびバッテリユニットが携帯可能とされてもよい。上述した制御システムが、例えば、自動車や家屋などに適用されてもよい。
【0244】
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
発電部との電気的接続を切り替える第1のスイッチと、
入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、
前記電圧センサからの入力に応じて前記第1のスイッチを制御する制御部と、
入力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換回路と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記第1のスイッチのオンとオフが繰り返される電源供給装置。
(2)
前記発電部と前記電圧変換回路との間の電気的接続を切り替える第2のスイッチをさらに備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達した後に、前記第2のスイッチがオンされる(1)に記載の電源供給装置。
(3)
前記発電部が、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置を含む(1)または(2)に記載の電源供給装置。
(4)
前記電圧変換回路が、降圧型の電圧変換回路である(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の電源供給装置。
(5)
発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、前記電圧センサからの入力に応じて前記スイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備え、前記発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する第1の装置と、
前記第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる第2の装置と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記スイッチのオンとオフが繰り返される電力制御システム。
(6)
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記発電装置と前記負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、前記負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法。
【符号の説明】
【0245】
1・・・・制御システム
11・・・・高圧入力電源回路
11c・・・・電圧センサ
11e・・・・電流センサ
12・・・・低圧入力電源回路
13・・・・CPU
15・・・・メモリ
16・・・・D/A変換部
16m・・・・内蔵メモリ
35・・・・オペアンプ
41a・・・チャージャー回路
Ba・・・・バッテリ
CU・・・・コントロールユニット
BU・・・・バッテリユニット
V10(V11)・・・第1の電圧
V12・・・第2の電圧
VSin・・・・電圧センサ
SWin・・・・電子スイッチ
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源供給装置および電力制御システムならびに電気機器の起動方法に関する。本開示は、特に、太陽電池などの、端子電圧に変動のある発電装置からの入力電圧を変換して負荷に供給するための電源供給装置および電力制御システムならびに電気機器の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電時に大気汚染物質の放出のない、いわゆる自然エネルギー(クリーンエネルギーとも呼ばれる。)が注目されている。
【0003】
自然エネルギーの例としては、太陽光発電や太陽熱発電、風力発電などにより得られる電力が挙げられる。また、太陽光発電などと比較すると小さな電力ではあるが、人の活動により生じる運動エネルギーから電気エネルギーを取りだす試みも盛んに行われている。
【0004】
ところで、自然エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置から得られる電力は、周囲の環境に応じて大きく変動する。例えば、太陽光発電の場合、太陽電池に対する照度の変化や温度の変化などにより、得られる発電電力が急激に変動することもある。
【0005】
そこで、太陽電池から効率よく電力を安定して取りだすために、太陽電池と負荷との間に、入力電圧を適切な電圧に変換して出力するコンバータを備えたパワーコンディショナー(power conditioner)を介在させることが一般的である。
【0006】
ところで、太陽電池と負荷との間に介在させたパワーコンディショナーの起動時においては、コンバータを起動させるために、ある一定の電力をパワーコンディショナーに投入する必要がある。例えば、コンバータの起動に必要とされる電力を太陽電池から供給する構成の場合、太陽電池の発電量が小さい場合にはコンバータを起動させることができないため、パワーコンディショナー自体を起動できず、太陽電池から電力を取りだすことができない。
【0007】
特に、太陽電池とコンバータとの間に容量の大きなコンデンサが介在すると、パワーコンディショナーを太陽電池に接続させたときに、コンデンサに対する突入電流が生じ、太陽電池の端子電圧が急激に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が急激に低下してしまうと、太陽電池から得られる電力によりパワーコンディショナーを起動させることができない。
【0008】
下記の特許文献1には、電力系統からの交流電力を直流電力に変換する初期充電回路により直流側コンデンサをあらかじめ充電し、その後に連系スイッチをオンとすることにより、起動過程で生じる突入電流を抑制する電力変換装置が開示されている。下記の特許文献2には、二次電池などの負荷に対する電力を生成する第1の太陽電池と、第2の太陽電池とが接続された昇圧回路を備え、該昇圧回路に直列に接続された第2の太陽電池から、該昇圧回路の起動エネルギーが供給される昇圧装置が開示されている。
【0009】
また、下記の特許文献3には、入力電圧を検出して設定される、起動時のオンデューティーを設定するための信号に基づいて、起動時間が一定となるようにスイッチング素子のデューティー変化率を変更するスイッチング電源装置が開示されている。下記の特許文献4には、入力電圧が所定の電圧に達したことを検出されると、3次巻線の端子間に接続されたコンデンサの充電が開始され、該コンデンサの充電の開始から所定の時間経過後に起動スイッチ回路がオンされるスイッチング電源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−193633号公報
【特許文献2】特開2009−038967号公報
【特許文献3】特開2010−226917号公報
【特許文献4】特開2011−125132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
太陽電池の発電量が小さい場合においても、コンバータを起動できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
電源供給装置が、第1のスイッチと、電圧センサと、制御部と、電圧変換回路とを備える。
第1のスイッチは、発電部との電気的接続を切り替える。
電圧センサは、入力電圧の大きさを取得する。
制御部は、電圧センサからの入力に応じて第1のスイッチを制御する。
電圧変換回路は、入力電圧を所望の電圧に変換して出力する。
入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、第1のスイッチのオンとオフが繰り返される。
【0013】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
電力制御システムが、第1の装置と、第2の装置とを備える。
第1の装置が、発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、電圧センサからの入力に応じてスイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備える。
第1の装置は、発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する。
第2の装置は、第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる。
入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、スイッチのオンとオフが繰り返される。
【0014】
本開示の第3の好ましい実施態様は、
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、入力電圧が負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、発電装置と負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、入力電圧が負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法である。
【発明の効果】
【0015】
少なくとも1つの実施例によれば、発電装置から効率よく電力を安定して取りだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、コントロールユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、コントロールユニットにおける高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、バッテリユニットの構成例を示すブロック図である。
【図6】図6は、バッテリユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す図である。
【図8】図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【図9】図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【図10】図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。
【図11】図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11Bは、本開示の制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【図12】図12A〜図12Cは、本開示の起動手順を説明するための略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
なお、以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の好適な具体例であり、これらの実施形態および変形例に限定されないものとする。
【0018】
<1.一実施形態>
「システムの構成」
図1は、本開示における制御システムの構成の一例を示す。制御システムは、1または複数のコントロールユニットCUと、1または複数のバッテリユニットBUとから構成される。図1に例示する制御システム1は、1のコントロールユニットCUと、3個のバッテリユニットBUa、BUb、BUcとから構成される。以下の説明において、個々のバッテリユニットを区別する必要がないときは、バッテリユニットBUと適宜称する。
【0019】
制御システム1では、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされている。さらに、複数のバッテリユニットBUはそれぞれ独立して、制御システム1に接続できる。例えば、バッテリユニットBUaおよびバッテリユニットBUbが制御システム1に接続された状態で、新たにバッテリユニットBUcを制御システム1に接続することができる。バッテリユニットBUa〜バッテリユニットBUcが制御システム1に接続された状態で、バッテリユニットBUbのみを制御システム1から離脱することができる。
【0020】
コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとが、電力ラインによって接続されている。電力ラインは、例えば、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUに電力が伝送される電力ラインL1と、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電力が伝送される電力ラインL2とからなる。コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとの間で、信号ラインSLを介した双方向の通信がなされる。通信は、例えば、SMBus(System Management Bus)やUART(Universal asynchronous Receiver-Transmitter)などの仕様に準じた通信がなされる。
【0021】
信号ラインSLは、1または複数のラインによって構成され、用途に応じて、使用されるラインが定義されている。信号ラインSLは共通化されており、信号ラインSLに対して各バッテリユニットBUが接続される。各バッテリユニットBUは、信号ラインSLを介して伝送される制御信号のヘッダ部を分析して、自己に対する制御信号か否かを判別する。制御信号のレベル等を適宜、設定することで、バッテリユニットBUに対するコマンドを伝送できる。バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに対する応答は他のバッテリユニットBUにも伝送されるが、他のバッテリユニットBUは、応答が伝送されることに応じた動作をすることはない。なお、この例では、電力の伝送および通信が有線により行われるものとして説明するが、無線によって行われるようにしてもよい。
【0022】
「コントロールユニットの構成の概要」
コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。コントロールユニットCUは、1または複数の第1の装置を有する。この例では、コントロールユニットCUは、2個の第1の装置を有し、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がそれぞれ第1の装置に対応している。なお、高圧および低圧という表現を使用しているが、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に入力される電圧が同じ入力範囲でもかまわない。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12が受け入れることができる電圧の入力範囲が重複しても一向に構わない。
【0023】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に、環境に応じて発電する発電部によって生成された電圧が供給される。例えば、発電部は、太陽光や風力によって発電する装置である。一方で、この発電部は、自然環境に応じて発電する装置に限られない。例えば、発電部が人力によって発電する装置として構成されてもよい。このように、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置を想定しているが、変動しない物も受けいれることが可能である。そのため、図示しているように、AC電力の入力も行われるようになっている。なお、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12には、同一の発電部または異なる発電部から電圧が供給される。そして、発電部によって生成される電圧が第1の電圧の一例とされる。
【0024】
高圧入力電源回路11には、例えば、太陽光発電によって生成された75V(ボルト)〜100V程度のDC(Direct Current)電圧(V10)が供給される。高圧入力電源回路11に、100V〜250V程度のAC(Alternating Current)電圧が供給されてもよい。高圧入力電源回路11は、太陽光発電から供給される電圧V10の変動に応じて第2の電圧を生成する。例えば、電圧V10が、高圧入力電源回路11によって降圧されることで第2の電圧が生成される。第2の電圧は、例えば、45〜48Vの範囲内のDC電圧である。
【0025】
高圧入力電源回路11は、電圧V10が75Vのときは、電圧V10を45Vに変換する。電圧V10が100Vのときは、電圧V10を48Vに変換する。電圧V10が75Vから100Vの範囲を変化するのに応じて、高圧入力電源回路11は、45Vから48Vの範囲で略リニアに変化させて、第2の電圧を生成する。高圧入力電源回路11は、生成した第2の電圧を出力する。なお、変化率をリニアにせず、各種フィードバック回路を用いて、その出力をそのまま利用するようにしてもよい。
【0026】
低圧入力電源回路12には、例えば、風力発電や人力によって生成された10V〜40V程度の範囲のDC電圧(V11)が供給される。低圧入力電源回路12は、高圧入力電源回路11と同様に、電圧V11の変動に応じて第2の電圧を生成する。低圧入力電源回路12は、電圧V11が10V〜40Vの範囲を変化することにともなって、電圧V11を、例えば、45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧する。昇圧されたDC電圧が低圧入力電源回路12から出力される。
【0027】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12からの出力電圧の両方もしくは一方が、バッテリユニットBUに供給される。図では、バッテリユニットBUに供給されるDC電圧がV12として示されている。上述したように、電圧V12は、例えば、45〜48Vの範囲のDC電圧である。電圧V12によって、複数のバッテリユニットBUのうち全部または一部が充電される。なお、放電しているバッテリユニットBUに対しては、充電はなされない。
【0028】
コントロールユニットCUに対して、パーソナルコンピュータが接続可能とされてもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)によって、コントロールユニットCUとパーソナルコンピュータとが接続される。パーソナルコンピュータを使用して、コントロールユニットCUに対する制御がなされるようにしてもよい。
【0029】
「バッテリユニットの構成の概要」
第2の装置の一例であるバッテリユニットの構成の概要について説明する。以下、バッテリユニットBUaを例にして説明するが、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、特に断わらない限り同一の構成とされる。
【0030】
バッテリユニットBUaは、チャージャー(充電)回路41aと、ディスチャージャー(放電)回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。他のバッテリユニットBUも同様に、チャージャー(充電)回路と、ディスチャージャー(放電)回路と、バッテリとを含む構成とされている。以下の説明において、個々のバッテリを区別する必要がないときは、バッテリBと適宜称する。
【0031】
チャージャー回路41aは、コントロールユニットCUから供給される電圧V12をバッテリBaに適応した電圧に変換する。変換された電圧に基づいて、バッテリBaが充電される。なお、チャージャー回路41aは、電圧V12の変動に応じて、バッテリBaに対する充電レートを変化させる。
【0032】
バッテリBaから出力された電力がディスチャージャー回路42aに供給される。バッテリBaからは、例えば、12〜55V程度の範囲のDC電圧が出力される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaから供給されたDC電圧V13に変換される。電圧V13は、例えば、48VのDC電圧である。電圧V13が、電力ラインL3を介して、ディスチャージャー回路42aからコントロールユニットCUに対して出力される。なお、バッテリBaから出力されたDC電圧が、ディスチャージャー回路42aを介さずに、外部機器に対して直接、供給されるようにしてもよい。
【0033】
バッテリBは、リチウムイオンバッテリ、オリビン型リン酸鉄リチウムイオンバッテリ、鉛バッテリなどである。各バッテリユニットBUのバッテリBが異なるバッテリでもよい。例えば、バッテリユニットBUaのバッテリBaおよびバッテリユニットBUbのバッテリBbは、リチウムイオンバッテリで構成される。バッテリユニットBUcのバッテリBcは、鉛バッテリで構成される。バッテリBにおけるバッテリセルの個数および接続態様は適宜、変更可能である。複数のバッテリセルが直列または並列に接続されてもよい。複数のバッテリセルが直列に接続されたものが並列に接続されるようにしてもよい。
【0034】
複数のバッテリユニットが放電するときは、負荷が軽い場合には、出力電圧が最も高い電圧が電圧V13として電力ラインL2に供給される。負荷が重くなるにつれて、複数のバッテリユニットからの出力が合成され、合成された出力が電力ラインL2に供給される。電力ラインL2を介して、電圧V13がコントロールユニットCUに供給される。電圧V13がコントロールユニットCUの出力ポートから出力される。コントロールユニットCUに対しては、複数のバッテリユニットBUから分散して電力を供給することができる。このため、個々のバッテリユニットBUの負担を軽減することが可能となる。
【0035】
例えば、以下のような使用形態が考えられる。バッテリユニットBUaから出力される電圧V13がコントロールユニットCUを介して外部機器に供給される。バッテリユニットBUbに対しては、コントロールユニットCUから電圧V12が供給され、バッテリユニットBUbのバッテリBbが充電される。バッテリユニットBUcは、予備電源として使用される。例えば、バッテリユニットBUaの残容量が低下した際に、使用するバッテリユニットをバッテリユニットBUaからバッテリユニットBUcに切り換える。バッテリユニットBUcから出力された電圧V13が外部機器に供給される。もちろん、上述した使用形態は一例であり、これに限定されることはない。
【0036】
「コントロールユニットの内部構成」
図2は、コントロールユニットCUの内部構成の一例を示す。上述したように、コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。高圧入力電源回路11は、AC入力をDC出力に変換するAC−DCコンバータ11aと、電圧V10を45V〜48Vの範囲のDC電圧に降圧するDC−DCコンバータ11bとを含む構成とされる。AC−DCコンバータ11aおよびDC−DCコンバータ11bの方式については、公知のものを適用できる。なお、高圧入力電源回路11にDC電圧のみが供給されるときは、AC−DCコンバータ11aがなくてもよい。
【0037】
DC−DCコンバータ11bの入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。図2および後述する図5では、電圧センサを四角で、電子スイッチを丸で、電流センサを斜線が付された丸で、それぞれ簡略化して示している。DC−DCコンバータ11bの入力段には、電圧センサ11cと、電子スイッチ11dと、電流センサ11eとが接続されている。DC−DCコンバータ11bの出力段には、電流センサ11fと、電子スイッチ11gと、電圧センサ11hとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU(Central Processing Unit)13に供給される。各電子スイッチのオン/オフがCPU13によって制御される。
【0038】
低圧入力電源回路12は、電圧V11を45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧するDC−DCコンバータ12aを含む構成とされる。低圧入力電源回路12の入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの入力段には、電圧センサ12bと、電子スイッチ12cと、電流センサ12dとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの出力段には、電流センサ12eと、電子スイッチ12fと、電圧センサ12gとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU13に供給される。各スイッチのオン/オフがCPU13よって制御される。
【0039】
なお、図において、センサから延びる矢印が、センサ情報がCPU13に供給されることを示している。電子スイッチに対する矢印は、電子スイッチに対してCPU13による制御がなされることを示している。
【0040】
高圧入力電源回路11の出力電圧がダイオードを介して出力される。低圧入力電源回路12の出力電圧がダイオードを介して出力される。高圧入力電源回路11の出力電圧および低圧入力電源回路12の出力電圧が合成され、合成された電圧V12が電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに出力される。バッテリユニットBUから供給された電圧V13が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。次に、コントロールユニットCUに供給された電圧V13が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、図において、外部機器に供給される電圧を電圧V14として示している。
【0041】
電力ラインL3がバッテリユニットBUと接続されてもよい。このような構成により、例えば、バッテリユニットBUaから出力された電力が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。供給された電力が電力ラインL3を介してバッテリユニットBUbに供給され、バッテリユニットBUbを充電することができる。なお、図示は省略しているが、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給された電力が、電力ラインL1に供給されるようにしてもよい。
【0042】
コントロールユニットCUは、CPU13を含む構成とされる。CPU13は、コントロールユニットCUの各部を制御する。例えば、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12における電子スイッチをオン/オフする。さらに、CPU13は、各バッテリユニットBUに制御信号を供給する。CPU13は、例えば、バッテリユニットBUの電源をオンさせる制御信号や、充電または放電を指示する制御信号を、バッテリユニットBUに供給する。CPU13は、バッテリユニットBU毎に異なる内容の制御信号を出力することができる。
【0043】
CPU13は、バス14を介してメモリ15、D/A(Digital to Analog)変換部16、A/D(Analog to Digital)変換部17および温度センサ18と接続されている。バス14は、例えば、I2Cバスで構成される。メモリ15は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成される。D/A変換部16は、各種の処理で使用されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0044】
CPU13には、電圧センサや電流センサにより測定されたセンサ情報が入力される。センサ情報は、A/D変換部17によってデジタル信号に変換された後に、CPU13に入力される。温度センサ18は、環境温度を測定する。例えば、コントロールユニットCU内部の温度や、コントロールユニットCUの周囲の温度を測定する。
【0045】
CPU13が通信機能を有していてもよい。例えば、CPU13とパーソナルコンピュータ(PC)19との間で通信のやり取りがなされてもよい。パーソナルコンピュータに限らず、インターネットなどのネットワークに接続された機器とCPU13との間で通信がなされるようにしてもよい。
【0046】
「コントロールユニットの電源系統」
図3は、コントロールユニットCUの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。高圧入力電源回路11の出力段には、逆流防止用のダイオード20が接続されている。低圧入力電源回路12の出力段には、逆流防止用のダイオード21が接続されている。ダイオード20およびダイオード21により、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がOR接続される。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力が合成されてバッテリユニットBUに供給される。実際には、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力のうち、電圧が高い一方の出力がバッテリユニットBUに供給されるものの、負荷となるバッテリユニットBUの電力消費量に応じて、両方から電力が供給される状況にもなる。
【0047】
コントロールユニットCUには、ユーザによって操作可能なメインスイッチSW1が設けられている。メインスイッチSW1がオンされることでCPU13に電力が供給され、コントロールユニットCUが起動する。CPU13に、例えば、コントロールユニットCUに内蔵されるバッテリ22から電力が供給される。バッテリ22は、リチウムイオンバッテリなどの充電可能なバッテリである。バッテリ22からのDC電圧がDC−DCコンバータ23によって、CPU13が動作する電圧に変換される。変換された電圧がCPU13の電源電圧として供給される。このように、コントロールユニットCUの起動時には、バッテリ22が使用される。バッテリ22に対する制御は、例えば、CPU13によってなされる。
【0048】
高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電力によってバッテリ22を充電することができる。バッテリユニットBUから供給された電力がチャージャー回路24に供給される。チャージャー回路24は、DC−DCコンバータを含む構成とされる。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がチャージャー回路24によって所定のレベルのDC電圧に変換される。変換されたDC電圧がバッテリ22に供給される。供給されたDC電圧によってバッテリ22が充電される。
【0049】
なお、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電圧V13によってCPU13が動作するようにしてもよい。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がDC−DCコンバータ25によって所定のレベルの電圧に変換される。変換された電圧が、電源電圧としてCPU13に供給され、CPU13が動作する。
【0050】
コントロールユニットCUが起動した後に、V10およびV11の少なくとも一方が入力されると電圧V12が生成される。電圧V12が、電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに供給される。このとき、CPU13は、信号ラインSLを使用してバッテリユニットBUと通信を行う。この通信によって、CPU13は、バッテリユニットBUに対して起動および放電を指示する制御信号を出力する。そして、CPU13は、スイッチSW2をオンする。スイッチSW2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)から構成される。IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成されてもよい。スイッチSW2がオンされることで、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電圧V13が供給される。
【0051】
スイッチSW2の出力側には、逆流防止用のダイオード26が接続されている。ダイオード26を接続することにより、太陽電池や風力発電などから供給される不安定な電力が、外部機器に直接供給されることを防止できる。そして、外部機器には、バッテリユニットBUから供給される安定した電力を供給できる。もちろん、安全のために、バッテリユニットBUの最終段にもダイオードを設けてもよい。
【0052】
バッテリユニットBUから供給された電力を外部機器に供給するときは、CPU13は、スイッチSW3をオンする。スイッチSW3がオンされることで、電圧V13に基づく電圧V14が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、電圧V14が他のバッテリユニットBUに供給され、他のバッテリユニットBUのバッテリBが電圧V14によって充電されてもよい。
【0053】
「高圧入力電源回路の構成例」
図4は、高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す。図4に示すように、高圧入力電源回路11は、DC−DCコンバータ11bと、後述するフィードフォワード制御系とを備えている。図4では、電圧センサ11c、電子スイッチ11d、電流センサ11e、電流センサ11f、電子スイッチ11gおよび電圧センサ11hならびにダイオード20などの図示を省略している。
【0054】
低圧入力電源回路12は、DC−DCコンバータ12aが昇圧型のDC−DCコンバータとされること以外は、高圧入力電源回路11の構成とほぼ同様の構成を備えているため、図示および説明を省略する。
【0055】
DC−DCコンバータ11bは、例えば、スイッチング素子などを含む一次側回路32と、トランス33と、整流素子などを含む二次側回路34とから構成される。図4に例示するDC−DCコンバータ11bは、電流共振型のコンバータ(LLC共振コンバータ)である。
【0056】
フィードフォワード制御系は、オペアンプ35、トランジスタ36、抵抗Rc1、Rc2およびRc3を含み、フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ11bの一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を調整する。
【0057】
高圧入力電源回路11がフィードフォワード制御系を備えることにより、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。したがって、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、例えば、太陽電池などからの入力電圧の変化に応じて出力電圧を変化させる電圧変換装置の機能を有している。
【0058】
図4に示すように、高圧入力電源回路11からは、コンデンサ31を含むAC−DCコンバータ11a、一次側回路32、トランス33、二次側回路34を介して出力電圧が取り出される。AC−DCコンバータ11aは、コントロールユニットCUの外部からの入力が交流電源であるときに配置される力率補正(Power Factor Correction)回路である。
【0059】
コントロールユニットCUからの出力は、電力ラインL1により、バッテリユニットBUに送出される。例えば、個々のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・は、逆流防止用のダイオードD1、D2、D3、・・・を介して、出力端子Te1、Te2、Te3、・・・にそれぞれ接続される。
【0060】
以下、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0061】
オペアンプ35の非反転入力端子に対しては、高圧入力電源回路11への入力電圧をkc倍(kc:数十〜百分の一程度)した電圧が入力される。一方、オペアンプ35の反転入力端子c1に対しては、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0をkc倍した電圧が入力されている。オペアンプ35の反転入力端子c1に対する入力電圧(kc×Vt0)は、例えば、D/A変換部16から印加される。電圧Vt0の値は、例えば、D/A変換部16の内蔵メモリに保持され、必要に応じて、電圧Vt0の値を変更することが可能とされている。電圧Vt0の値が、バス14を介してCPU13に接続されたメモリ15に保持され、これをD/A変換部16に転送するようにしてもよい。
【0062】
オペアンプ35の出力端子はトランジスタ36のベースに接続されており、トランジスタ36により、オペアンプ35の非反転入力端子に対する入力電圧と反転入力端子に対する入力電圧との差に応じた電圧−電流変換が行われる。
【0063】
トランジスタ36のエミッタに接続された抵抗Rc2の抵抗値は、抵抗Rc2と並列に接続される抵抗Rc1の抵抗値に対して大とされている。
【0064】
例えば、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧であったとする。このとき、トランジスタ36はオンであり、抵抗Rc1および抵抗Rc2の合成抵抗の値が抵抗Rc1の抵抗値より小となるため、図4に示すf点の電位はグラウンド電位に近づく。
【0065】
すると、フォトカプラ37を介して接続された、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下する。制御用端子に対する入力電圧の低下を検出したDC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き上げる。
【0066】
逆に、例えば、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が低下し、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づいたとする。
【0067】
高圧入力電源回路11に対する入力電圧が下がってくると、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づく。トランジスタ36の状態がオンからオフの状態に近づくに伴い、抵抗Rc1および抵抗Rc2には電流が流れにくくなり、図4に示すf点の電位が上昇する。
【0068】
すると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が一定に保たれなくなるため、DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き下げる。
【0069】
すなわち、高圧入力電源回路11は、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧である場合には、出力電圧を引き上げる。また、高圧入力電源回路11は、太陽電池の端子電圧が低下して、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づくと、出力電圧を引き下げる。このように、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、入力電圧の大きさに応じて出力電圧を動的に変化させる。
【0070】
さらに、以下に説明するように、高圧入力電源回路11は、コントロールユニットCUの出力側で必要とされる電圧の変化に対しても出力電圧を動的に変化させる。
【0071】
例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されるバッテリユニットBUの数が増加したとする。すなわち、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷が増加したとする。
【0072】
この場合、コントロールユニットCUに対して新たにバッテリユニットBUが電気的に接続されることにより、コントロールユニットCUに接続されている太陽電池の端子電圧が下がることになる。すると、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が低下するに伴い、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づくこととなり、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き下げられる。
【0073】
一方、例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されたバッテリユニットBUの数が減少したとすると、太陽電池からみた負荷が減少するため、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が上昇する。高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧になると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下し、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き上げられる。
【0074】
なお、抵抗Rc1、Rc2およびRc3の抵抗値は、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値があらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように適宜選択される。すなわち、抵抗Rc1およびRc2の抵抗値により、高圧入力電源回路11からの出力電圧の上限がきめられる。トランジスタ36は、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が所定の値を超えているときに、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限の電圧値を超えないようにするために配置されている。
【0075】
一方、高圧入力電源回路11からの出力電圧の下限は、後述するように、チャージャー回路41aにおけるフィードフォワード制御系のオペアンプの反転入力端子に対する入力電圧によってきめられる。
【0076】
「バッテリユニットの内部構成」
図5は、バッテリユニットBUの内部構成の一例を示す。ここでは、バッテリユニットBUaを例にして説明する。特に断らない限り、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、バッテリユニットBUaと同様の構成とされる。
【0077】
バッテリユニットBUaは、チャージャー回路41aと、ディスチャージャー回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。コントロールユニットCUからチャージャー回路41aに対して、電圧V12が供給される。バッテリユニットBUaからの出力である電圧V13が、ディスチャージャー回路42aを介してコントロールユニットCUに供給される。ディスチャージャー回路42aから外部機器に対して、直接、電圧V13が供給されるようにしてもよい。
【0078】
チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aを備える。チャージャー回路41aに入力される電圧V12が、DC−DCコンバータ43aによって所定電圧に変換される。変換された所定電圧がバッテリBaに供給され、バッテリBaが充電される。所定電圧は、バッテリBaの種類等によって異なる。DC−DCコンバータ43aの入力段には、電圧センサ43bと、電子スイッチ43cと、電流センサ43dとが接続されている。DC−DCコンバータ43aの出力段には、電流センサ43eと、電子スイッチ43fと、電圧センサ43gとが接続されている。
【0079】
ディスチャージャー回路42aは、DC−DCコンバータ44aを備える。バッテリBaからディスチャージャー回路42aに供給されるDC電圧が、DC−DCコンバータ44aによって電圧V13に変換される。変換された電圧V13がディスチャージャー回路42aから出力される。DC−DCコンバータ44aの入力段には、電圧センサ44bと、電子スイッチ44cと、電流センサ44dとが接続されている。DC−DCコンバータ44aの出力段には、電流センサ44eと、電子スイッチ44fと、電圧センサ44gとが接続されている。
【0080】
バッテリユニットBUaは、CPU45を備える。CPU45は、バッテリユニットBUの各部を制御する。例えば、電子スイッチのオン/オフを制御する。過充電防止機能や過電流防止機能などの、バッテリBの安全を確保する処理をCPU45が行うようにしてもよい。CPU45は、バス46に接続されている。バス46は、例えば、I2Cバスである。
【0081】
バス46には、メモリ47と、A/D変換部48と、温度センサ49とが接続されている。メモリ47は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。A/D変換部48は、例えば、電圧センサや電流センサによって得られるアナログのセンサ情報をデジタル情報に変換する。A/D変換部48によってデジタル信号へと変換されたセンサ情報がCPU45に供給される。温度センサ49は、バッテリユニットBU内の所定箇所の温度を測定する。温度センサ49は、例えば、CPU45が実装される基板の周囲の温度と、チャージャー回路41aおよびディスチャージャー回路42aの温度と、バッテリBaの温度とを測定する。
【0082】
「バッテリユニットの電源系統」
図6は、バッテリユニットBUaの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。バッテリユニットBUaには、メインスイッチは設けられていない。バッテリBaとCPU45との間には、スイッチSW5およびDC−DCコンバータ39が接続されている。バッテリBaとディスチャージャー回路42aとの間には、スイッチSW6が接続されている。チャージャー回路41aの入力段には、スイッチSW7が接続されている。ディスチャージャー回路42aの出力段には、スイッチSW8が接続されている。それぞれのスイッチSWは、例えば、FETにより構成される。
【0083】
バッテリユニットBUaは、例えば、コントロールユニットCUからの制御信号によって起動される。コントロールユニットCUから、所定の信号ラインを介して、例えば、ハイレベルの制御信号が常に供給されている。このため、バッテリユニットBUaのポートを所定の信号ラインに接続するだけでハイレベルの制御信号がスイッチSW5に供給され、スイッチSW5がオンされる。スイッチSW5がオンすることで、バッテリユニットBUaが起動する。スイッチSW5がオンすることで、バッテリBaからのDC電圧がDC−DCコンバータ39に供給される。DC−DCコンバータ39によって、CPU45を動作させる電源電圧が生成される。生成された電源電圧がCPU45に供給され、CPU45が動作する。
【0084】
CPU45は、コントロールユニットCUの指示に応じた制御を実行する。コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、充電指示の制御信号が供給される。充電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW6およびスイッチSW8をオフした後にスイッチSW7をオンする。スイッチSW7がオンされることで、コントロールユニットCUから供給される電圧V12が、チャージャー回路41aに供給される。チャージャー回路41aによって電圧V12が所定電圧に変換され、変換された所定電圧によってバッテリBaが充電される。なお、バッテリBに対する充電方法は、バッテリBの種類に応じて適宜変更することができる。
【0085】
コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、放電指示の制御信号が供給される。放電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW7をオフし、スイッチSW6およびスイッチSW8をオンする。例えば、スイッチSW6をオンしてから、一定時間後にスイッチSW8をオンする。スイッチSW6がオンされることで、バッテリBaからのDC電圧がディスチャージャー回路42aに供給される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaからのDC電圧が電圧V13に変換される。変換された電圧V13が、スイッチSW8を介してコントロールユニットCUに供給される。なお、本例では省略しているが、他のバッテリユニットBUからの出力と衝突しないようにするため、スイッチSW8の後段にダイオードを追加するようにしてもよい。
【0086】
なお、CPU45の制御によって、ディスチャージャー回路42aのオン/オフを切り換えることができる(図中のCPU45からディスチャージャー回路42aに出ているおON/OFF信号線)。例えば、スイッチSW6の出力側に、図示しないスイッチSW(説明の便宜を考慮して、スイッチSW10と称する)が設けられている。スイッチSW10は、ディスチャージャー回路42aを経由する第1の経路と、ディスチャージャー回路42aを経由しない第2の経路とを切り換えるスイッチである。
【0087】
ディスチャージャー回路42aをオンするときは、CPU45は、スイッチSW10を第1の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介してスイッチSW8に供給される。ディスチャージャー回路42aをオフするときは、CPU45は、スイッチSW10を第2の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介さずに直接、スイッチSW8に供給される。
【0088】
「チャージャー回路の構成例」
図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す。図7に示すように、チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aと、後述するフィードフォワード制御系およびフィードバック制御系とを備えている。なお、図7では、電圧センサ43b、電子スイッチ43c、電流センサ43d、電流センサ43e、電子スイッチ43f、電圧センサ43gならびにスイッチSW7などの図示を省略している。
【0089】
各バッテリユニットBUにおけるチャージャー回路も、図7に示すチャージャー回路41aの構成とほぼ同様の構成を備えている。
【0090】
DC−DCコンバータ43aは、例えば、トランジスタ51、コイル52、制御用IC(Integrated Circuit)53などから構成される。トランジスタ51は、制御用IC53により制御される。
【0091】
フィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11と同様に、オペアンプ55、トランジスタ56、抵抗Rb1、Rb2およびRb3を含む。フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ43aの制御用IC53に備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ43a中の制御用IC53は、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、チャージャー回路41aからの出力電圧を調整する。
【0092】
すなわち、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系と同様に作用する。
【0093】
チャージャー回路41aがフィードフォワード制御系を備えることにより、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。チャージャー回路からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値に調整されることにより、コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電電流が、高圧入力電源回路11からの入力電圧の変化に応じて調整される。したがって、チャージャー回路を備えるバッテリユニットBUは、各バッテリBに対する充電レートを変化させる充電装置の機能を有している。
【0094】
コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電レートが変化させられることにより、各バッテリユニットBUのチャージャー回路に対する入力電圧の値(高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の値といってもよい。)が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。
【0095】
チャージャー回路41aへの入力は、例えば、上述したコントロールユニットCUの高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力である。したがって、例えば、図4に示す端子Te1、Te2、Te3、・・・のいずれかと、チャージャー回路41aの入力端子とが接続されている。
【0096】
図7に示すように、チャージャー回路41aからは、DC−DCコンバータ43a、電流センサ54、フィルタ55を介して出力電圧が取り出される。チャージャー回路41aの端子Tb1には、バッテリBaが接続される。すなわち、チャージャー回路41aからの出力は、バッテリBaに対する入力となる。
【0097】
後述するように、各チャージャー回路からの出力電圧の値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整されている。各チャージャー回路からの出力電圧の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値が適宜選択されることにより調整される。
【0098】
このように、各チャージャー回路からの出力電圧の範囲が、チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて個別にきめられるため、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類は特に限定されない。各チャージャー回路内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値を、接続されるバッテリBの種類に応じて適宜選択すればよいからである。
【0099】
なお、図7ではフィードフォワード制御系の出力が制御用IC53の制御用端子に入力される構成を例示したが、バッテリユニットBUのCPU45が、制御用IC53の制御用端子に入力を与えるようにしてもよい。例えば、バッテリユニットBUのCPU45が、信号ラインSLを介してバッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報をコントロールユニットCUのCPU13から取得するようにしてもよい。コントロールユニットCUのCPU13は、電圧センサ11hや電圧センサ12gなどの測定結果から、バッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報を取得することが可能である。
【0100】
以下、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0101】
オペアンプ55の非反転入力端子に対する入力は、チャージャー回路41aへの入力電圧をkb倍(kb:数十〜百分の一程度)した電圧とされる。一方、オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力は、高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の下限として設定しようとする電圧Vbをkb倍した電圧である。オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力電圧(kb×Vb)は、例えば、CPU45から印加される。
【0102】
したがって、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbよりも十分に高い電圧である場合に、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げる。また、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbに近づくと、フィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き下げる。
【0103】
トランジスタ56は、図4に示すトランジスタ36と同様に、チャージャー回路41aに対する入力電圧が所定の値を超えているときに、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限を超えないようにするために配置されている。なお、チャージャー回路41aからの出力電圧の値の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値の組み合わせによってきまる。そのため、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの種類に応じて調整される。
【0104】
また、チャージャー回路41aは、上述したように、フィードバック制御系をも備えている。フィードバック制御系は、例えば、電流センサ54、オペアンプ57およびトランジスタ58などから構成される。
【0105】
バッテリBaに供給される電流量があらかじめ設定された規定値を超えると、フィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられ、バッテリBaに供給される電流量が制限される。フィードバック制御系による、バッテリBaに供給される電流量の制限の程度は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの定格にあわせてきめられる。
【0106】
フィードフォワード制御系またはフィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される電流量が制限されることになる。バッテリBaに供給される電流量が制限されると、結果として、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。
【0107】
次に、本開示の実施形態の理解を容易とするため、MPPT制御と、電圧追従法による制御とを例にとり、それぞれの制御方式について説明する。
【0108】
「MPPT制御」
まず、以下に、MPPT制御の概略について説明を行う。
【0109】
図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。図8A中、Iscは、光照射時において、太陽電池の端子間を短絡したときの出力電流を表し、Vocは、光照射時において、太陽電池の端子間を開放したときの出力電圧を表している。IscおよびVocは、それぞれ短絡電流および開放電圧と呼ばれる。
【0110】
図8Aに示すように、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。一方、光照射時において、太陽電池の端子電圧は、太陽電池の端子間を開放したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電流はほぼ0A(アンペア)である。
【0111】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが、図8Aに示す曲線C1で表されるとする。ここで、太陽電池に対して負荷を接続したとすると、接続される負荷の必要としている消費電力により、太陽電池から取りだされる電圧と電流がきまる。このときの太陽電池の端子電圧および端子電流の組により表される、曲線C1上の点を、太陽電池の動作点という。なお、図8Aは、動作点の位置を模式的に示したものであり、実際の動作点の位置を示すものではない。本開示の他の図における動作点に関しても、同様とする。
【0112】
太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線上において動作点を変化させると、端子電圧と端子電流との積、すなわち発電電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組が見つかる。太陽電池により得られる電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組により表される点は、太陽電池の最適動作点と呼ばれる。
【0113】
太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、最適動作点を与えるVaとIaとの積により求められる。すなわち、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、図8Aにおいて網掛けで示された領域の面積(Va×Ia)により表される。なお、(Va×Ia)を(Voc×Isc)で割った量がフィルファクタである。
【0114】
最適動作点は、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力により変化し、最適動作点を表す点PAは、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力の変化にしたがって曲線C1上を動く。負荷の必要としている電力量が少ない場合、負荷への電流の供給は、最適動作点における端子電流よりも少ない電流で事足りる。そのため、このときの太陽電池の端子電圧の値は、最適動作点における電圧値よりも高い値になる。一方、負荷の必要としている電力量が、最適動作点で供給できる電力量よりも大きい場合には、この時点の照度で提供できる電力を超えているため、太陽電池の端子電圧が0まで低下していくものと考えられる。
【0115】
図8Aに示す曲線C2およびC3は、例えば、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。例えば、図8Aに示す曲線C2は、太陽電池に対する照度が増加した場合における電圧−電流特性に対応し、図8Aに示す曲線C3は、太陽電池に対する照度が減少した場合における電圧−電流特性に対応する。
【0116】
例えば、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C1から曲線C2に変化したとすると、最適動作点も太陽電池に対する照度の増加に伴って変化する。なお、このとき、最適動作点は、曲線C1上の点から曲線C2上の点にうつる。
【0117】
MPPT制御とは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対して最適動作点を求め、太陽電池から得られる電力が最大となるように、太陽電池の端子電圧(または端子電流)を制御することにほかならない。
【0118】
図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【0119】
図8Bに示すように、最大動作点を与える端子電圧において、太陽電池の発電電力が最大値Pmaxをとるものとすると、最大動作点を与える端子電圧は、山登り法と呼ばれる手法により求めることができる。以下に説明する一連の手順は、一般的には、太陽電池と、電力系統との間に接続されるパワーコンディショナーのCPUなどにより実行される。
【0120】
例えば、まず、太陽電池から入力される電圧の初期値をV0として、このときの発電電力P0が計算される。次に、V1=V0+ε(ここではε>0とする。)として、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV1として、このときの発電電力P1が計算される。次に、得られたP0とP1とが比較され、P1>P0である場合には、V2=V1+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV2として、このときの発電電力P2が計算される。次に、得られたP1とP2とが比較され、P2>P1である場合には、V3=V2+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV3として、このときの発電電力P3が計算される。
【0121】
ここで、P3<P2であったとすると、最大動作点を与える端子電圧は、V2とV3との間にある。このように、εの大きさを調節することにより、任意の精度で最大動作点を与える端子電圧を求めることができる。上述した手順に、二分法(bisection method algorithm)を適用してもよい。なお、太陽電池の光照射面に部分的に影ができたときなど、P−V曲線が2以上のピークを有していると単純な山登り法では対応できないため、制御プログラムに工夫が必要である。
【0122】
MPPT制御によれば、太陽電池からみた負荷が常に最適になるように端子電圧が調整されるため、それぞれの気象条件下で、太陽電池から最大の電力を取り出すことができる。その一方で、最大動作点を与える端子電圧の計算にアナログ/デジタル変換(A/D変換)が必要とされるほか、計算に乗算が含まれるために、制御に時間を要してしまう。そのため、MPPT制御では、空が急に曇りだして太陽電池に対する照度が急激に変化したときなど、太陽電池に対する照度の急激な変化に対応できないときがある。
【0123】
「電圧追従法による制御」
ここで、図8Aに示す曲線C1〜C3を比較すると、太陽電池に対する照度の変化(電圧−電流特性を表す曲線の変化といってもよい。)に対して、開放電圧Vocの変化は、短絡電流Iscの変化と比較して小さい。また、いずれの太陽電池もよく似た電圧−電流特性を示し、最大動作点を与える端子電圧は、結晶シリコン太陽電池の場合、開放電圧のおよそ80%の付近にあることが知られている。したがって、太陽電池の端子電圧として適当な電圧値を設定し、太陽電池の端子電圧が、その設定された電圧値となるようにコンバータの出力電流を調整すれば、太陽電池から効率よく電力を取り出せると予想される。このような電流制限による制御は、電圧追従法と呼ばれる。
【0124】
以下に、電圧追従法による制御の概略を説明する。前提として、太陽電池とパワーコンディショナーとの間にスイッチング素子が配置され、太陽電池とスイッチング素子との間に電圧測定手段が配置されているものとする。また、太陽電池は、光照射がされた状態にあるものとする。
【0125】
まず、スイッチング素子がオフとされ、スイッチング素子のオフから所定の時間が経過した時に、電圧測定手段により太陽電池の端子電圧が測定される。スイッチング素子のオフから太陽電池の端子電圧の測定までに所定の時間の経過を待つのは、太陽電池の端子電圧が安定するのを待つためである。このときの端子電圧は、開放電圧Vocである。
【0126】
次に、測定により得られた開放電圧Vocの例えば80%の電圧値が、目標電圧値として計算され、目標電圧値がメモリなどに一時的に保持される。次に、スイッチング素子がオンとされ、パワーコンディショナー内のコンバータへの通電が開始される。このとき、太陽電池の端子電圧が、目標電圧値となるように、コンバータの出力電流が調整される。上述した一連の手順が、任意の時間間隔で実行される。
【0127】
電圧追従法による制御は、MPPT制御と比較して、太陽電池により得られる電力の損失が大きいが、簡単な回路で実現でき、低コストであるため、コンバータを備えるパワーコンディショナーを、安価なものとできる。
【0128】
図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図9A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図9A中の黒丸は、電圧追従法による制御を行ったときの動作点を表している。
【0129】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5であったとする。次に、太陽電池に対する照度の変化に伴い、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5からC8に順に変化したとすると、それぞれの制御方式による動作点も太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に伴って変化する。なお、太陽電池への照度の変化に対する開放電圧Vocの変化が小さいため、図9A中においては、電圧追従法による制御を行ったときの目標電圧値をほぼ一定の値Vsとみなしている。
【0130】
図9Aからわかるように、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いは小さい。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、いずれの制御の場合においても、太陽電池により得られる発電電力に大きな違いはないと考えられる。
【0131】
一方、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いが大きい。例えば、図9Aに示すように、MPPT制御を適用したときの端子電圧と電圧追従法による制御を適用したときの端子電圧との差△V6および△V8を比較すると、△V6>△V8となっている。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力と電圧追従法による制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力との差は大きい。
【0132】
「コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御」
次に、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御の概略を説明する。以下、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調(連動)による制御を、協調制御と適宜称する。
【0133】
図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0134】
図9Bに示すように、例えば、コントロールユニットCUには、チャージャー回路およびバッテリの組を備える1または複数のバッテリユニットBUが接続される。図9Bに示すように、1または複数のバッテリユニットBUは、電力ラインL1に対して並列に接続されている。なお、図9BではコントロールユニットCUが1つの場合を例示したが、制御システムがコントロールユニットCUを複数備える場合も同様に、1または複数のコントロールユニットCUは、電力ラインL1に対して並列に接続される。
【0135】
一般的には、太陽電池から得られた電力により1台のバッテリの充電を行おうとする場合、太陽電池とバッテリとの間に介在されたパワーコンディショナーにより、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御が実行される。該1台のバッテリには、複数のバッテリが内包されて一体として動作する物も含まれるが、該1台のバッテリは、複数のバッテリとはいえ、単一の種類からなることが一般的である。言い換えれば、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御は、太陽電池と、1台のバッテリとの間に接続されるパワーコンディショナーの単体で実行されることが想定されている。そして、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成(並列、直列等の接続の態様)には変化がなく、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成は、一般に固定されている。
【0136】
一方、協調制御においては、コントロールユニットCUおよび複数のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・のそれぞれが、コントロールユニットCUの出力電圧と、複数個のバッテリユニットBUの必要とする電圧とのバランスがとれるように自律的に制御を行う。上述したように、バッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・に内包されるバッテリBは、いずれの種類でもよい。すなわち、本開示によるコントロールユニットCUは、複数種のバッテリBに対する協調制御を行うことが可能とされる。
【0137】
さらに、図9Bに示す構成例では、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在であり、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに接続されるバッテリユニットBUの数も変化しうる。図9Bに示す構成例では、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷も変化しうるが、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池の発電中における、太陽電池からみた負荷の変化にも対応が可能である。これは、従来の構成にはなかった大きな特徴の一つである。
【0138】
上述したコントロールユニットCUとバッテリユニットBUとを接続することにより、コントロールユニットCUからの供給能力に応じて充電レートを動的に変化させる制御システムを構築することが可能となる。以下、協調制御の一例についての説明を行う。なお、以下の説明では、初期の状態において、コントロールユニットCUに対して1のバッテリユニットBUaが接続された制御システムを例にとるが、コントロールユニットCUに対して複数のバッテリユニットBUが接続されている場合も同様である。
【0139】
例えば、コントロールユニットCUの入力側に太陽電池が、出力側にバッテリモジュールBUaが接続されているとする。また、例えば、太陽電池の出力電圧の上限が100Vであるものとし、太陽電池の出力電圧の下限を75Vに抑えたいとする。すなわち、Vt0=75Vと設定されており、オペアンプ35の反転入力端子に対する入力電圧が、(kc×75)Vであるとする。
【0140】
また、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限および下限が、例えば、48Vおよび45Vにそれぞれ設定されているものとする。すなわち、Vb=45Vと設定されており、オペアンプ55の反転入力端子に対する入力電圧が、(kb×45)Vであるとする。なお、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限である48Vという値は、高圧入力電源回路11内の抵抗Rc1およびRc2を適宜選択することにより調整されている。言い換えれば、コントロールユニットCUからの出力の目標電圧値が、48Vに設定されているものとする。
【0141】
さらに、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限が、例えば、42Vおよび28Vにそれぞれ設定されているものとする。したがって、チャージャー回路41a内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3は、チャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限がそれぞれ42Vおよび28Vとなるように選択されている。
【0142】
なお、チャージャー回路41aへの入力電圧が上限であるときが、バッテリBaに対する充電レート100%である状態に対応し、入力電圧が下限であるときが、バッテリBaに対する充電レート0%である状態に対応する。すなわち、チャージャー回路41aへの入力電圧が48Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが100%である状態に対応し、チャージャー回路41aへの入力電圧が45Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが0%である状態に対応する。入力電圧が45V〜48Vの範囲で変動することに応じて、充電レートが0〜100%の範囲で設定される。
【0143】
なお、協調制御とは別に、バッテリへの充電レート制御を平行して行うようにしてもよい。すなわち、充電初期では定電流充電が行われるため、チャージャー回路41aからの出力をフィードバック調整して充電電流を一定以下に保てるように充電電圧を調整し、最終段階では、充電電圧を一定以下に保つようにする。ここで、調整される充電電圧は、上記協調制御で調整された電圧以下とされる。これにより、コントロールユニットCUから供給される電力内で充電処理がなされる。
【0144】
まず、太陽電池に対する照度が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0145】
図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図10A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図10Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
【0146】
いま、バッテリBaの必要としている電力が100w(ワット)であるものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C5(最も晴れた状態)により表されるとする。このときの太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のa点により表され、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力(供給量)が、バッテリBaの必要としている電力(需要量)を上回っているとする。
【0147】
太陽電池からバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている場合、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧(電圧V12)は、上限の48Vとなる。すなわち、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上限の48Vであるため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧が上限の42Vとされ、バッテリBaに対する充電が、充電レート100%で行われる。なお、余剰分の電力は、例えば、熱などとして捨てられる。なお、バッテリへのチャージを100%で行うよう説明したが、バッテリへのチャージは100%に限定されず、充電レートは、バッテリの特性に応じて適宜調整が可能である。
【0148】
この状態から空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C5から曲線C6へと変化する。空が曇りだすことにより、太陽電池の端子電圧が徐々に低下し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も徐々に低下する。したがって、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化することに伴い、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C6上のb点にうつる。
【0149】
この状態からさらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6から曲線C7へと変化し、太陽電池の端子電圧が徐々に低下することに伴って、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も低下する。コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある程度低下すると、制御システムは、バッテリBaに対して100%の電力を供給できなくなってくる。
【0150】
ここで、太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0151】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaへの入力電圧が低下するため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、バッテリBaに対する出力電圧を引き下げはじめる。チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される充電電流が減少されることとなり、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。すなわち、バッテリBaに対する充電レートが引き下げられる。
【0152】
バッテリBaに対する充電レートが引き下げられると、消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなる。すると、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0153】
太陽電池の端子電圧が上昇すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧の引き下げの度合いが減少し、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇する。バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇することにより、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げ、バッテリBaに対する充電レートを引き上げる。
【0154】
バッテリBaに対する充電レートが引き上げられると、太陽電池からみた負荷が大きくなり、太陽電池からみた負荷の増加分だけ太陽電池の端子電圧が低下する。太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を引き下げる。
【0155】
以後、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、上述した充電レートの調整が自動的に繰り返される。
【0156】
協調制御は、MPPT制御とは異なり、ソフトウェアによる制御ではない。そのため、協調制御には、最大動作点を与える端子電圧の計算が不要である。また、協調制御による充電レートの調整においては、CPUによる計算が介在しない。そのため、協調制御は、MPPT制御と比較して消費電力が小さく、上述した充電レートの調整も、数ナノ秒〜数百ナノ秒程度と短時間で実行される。
【0157】
また、高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aは、自身に対する入力電圧の大きさを検知して出力電圧を調整するだけなので、アナログ/デジタル変換も不要であり、コントロールユニットCUとバッテリユニットBUaとの間の通信も不要である。したがって、協調制御は、複雑な回路を必要とせず、協調制御を実現するための回路は、小さなものとなる。
【0158】
ここで、曲線C5上の点aにいたときはコントロールユニットCUが100wの電力を供給できていたと仮定し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある値に収束したとする。すなわち、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C7上のc点にうつったとする。このとき、バッテリBaに対して供給される電力は100wを下回ることとなるが、図10Aに示すように、電圧Vt0の値の選び方によっては、MPPT制御行った場合と比較しても遜色のない電力をバッテリBaに対して供給することができる。
【0159】
さらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C7から曲線C8へと変化し、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C8上のd点にうつる。
【0160】
図10Aに示すように、協調制御のもとでは、電力の需要量と供給量との間のバランスが調整されるので、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。すなわち、協調制御のもとでは、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合であっても、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。
【0161】
太陽電池に対する照度が極端に低下した場合、太陽電池の端子電圧が、電圧Vt0に近い値となり、バッテリBaに対して供給される電流量は、ごくわずかなものとなる。したがって、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合には、バッテリBaの充電に時間を要することとなるが、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスがとれているため、制御システムがダウンすることはない。
【0162】
上述したように、協調制御による充電レートの調整は、非常に短時間で実行されるため、協調制御によれば、急に空が曇りだして太陽電池に対する照度が急激に減少した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0163】
次に、太陽電池からみた負荷が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0164】
図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10B中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10B中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。
【0165】
いま、太陽電池に対する照度の変化がないものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、図10Bに示す曲線C0により表されるとする。
【0166】
制御システムの起動の直後においては、制御システム内部の電力消費がほぼないと考えられるため、太陽電池の端子電圧は、開放電圧にほぼ等しいと考えてよい。したがって、制御システムの起動の直後における太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のe点にあるものと考えてよい。なお、このときのコントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧は、上限である48Vと考えてよい。
【0167】
バッテリユニットBUaに接続されたバッテリBaに対する電力の供給が開始されると、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のg点にうつる。なお、本例の説明においては、バッテリBaの必要としている電力が100wであるため、図10Bに網掛けで示す領域S1の面積は、100wに等しい。
【0168】
太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの制御システムの状態は、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている状態である。したがって、太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの太陽電池の端子電圧、コントロールユニットCUからの出力電圧およびバッテリBaに供給される電圧は、それぞれ100V、48Vおよび42Vである。
【0169】
ここで、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。バッテリユニットBUaに接続されているバッテリBaと同様に、バッテリユニットBUbに接続されているバッテリBbが、充電のために100wの電力を必要とするものとすると、消費電力が増加し、太陽電池からみた負荷が急激に大きくなる。
【0170】
合計で200wの電力を2つのバッテリに供給するためには、例えば、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bからの出力電圧を維持させたまま、出力電流の合計を2倍にしなければならない。
【0171】
ところが、発電装置が太陽電池である場合、チャージャー回路41aおよび41bからの出力電流の増加に伴って太陽電池の端子電圧も低下してしまうため、太陽電池の動作点がg点にあるときと比較して、出力電流の合計を2倍より大きくする必要がある。そうすると、図10Bに示すように、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C0上のh点になければならないこととなり、太陽電池の端子電圧が極端に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が極端に低下すると、制御システムがダウンするおそれがある。
【0172】
協調制御では、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスの調整がなされる。具体的には、バッテリBaおよびバッテリBbに供給される電力が合計で例えば150wとなるように、2つのバッテリに対する充電レートが自動的に引き下げられる。
【0173】
すなわち、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧も低下する。太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0174】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaおよびBUbへの入力電圧が低下する。
すると、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bは、バッテリBaおよびBbに対する出力電圧をそれぞれ引き下げはじめる。チャージャー回路からの出力電圧が引き下げられると、チャージャー回路に接続されたバッテリに対する充電が減速される。すなわち、それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられることになる。
【0175】
それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられると、全体として消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなり、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0176】
以後、太陽電池に対する照度が急激に減少した場合と同様にして、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、充電レートの調整が行われる。
【0177】
なお、実際に収束する電圧値がいくつになるかは状況によって異なる。そのため、実際に収束する電圧値ははっきりとはわからないが、太陽電池の端子電圧が下限であるVt0=75Vになると充電がなされなくなるため、下限であるVt0の値よりは若干高い電圧で収束するものと推定される。また、個々のバッテリユニットは連動制御されていないため、個々のバッテリユニットが同じ構成であっても、使用される素子のばらつきにより充電レートは異なっているものと推測される。ただし、結果として全体を協調制御できることに変わりはない。
【0178】
協調制御による充電レートの調整が非常に短時間で実行されるため、バッテリユニットBUbが新たに接続されると、太陽電池の動作点は、曲線C0上のg点からi点へとうつる。なお、図10Bにおいては、説明の都合上、曲線C0上に太陽電池の動作点の一例としてh点を図示したが、協調制御のもとでは、太陽電池の動作点が実際にh点にうつるわけではない。
【0179】
このように、協調制御では、太陽電池からみた負荷の増加に対して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身に対する入力電圧の大きさを検知して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身の吸いこむ電流量を自動的に抑制する。協調制御によれば、コントロールユニットCUに対して接続されるバッテリユニットBUの数が増加して太陽電池からみた負荷が急激に増加した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0180】
次に、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0181】
図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図11A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図11Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。以下では、同一の照度に対応する太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線に対しては、図面中において、同一の符号を付すこととする。
【0182】
まず、コントロールユニットCUに対して、充電のために100wの電力を必要とするバッテリBaを備えたバッテリユニットBUaが接続されているものとする。また、このときの太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C7により表され、太陽電池の動作点が、曲線C7上のp点により表されるとする。
【0183】
図11Aに示すように、p点における太陽電池の端子電圧が、太陽電池の出力電圧の下限としてあらかじめ設定された電圧Vt0にかなり近づいているとする。太陽電池の端子電圧が電圧Vt0にかなり近づいていることは、制御システムにおいて、協調制御による充電レートの調整が実行され、充電レートが非常に抑えられていることを意味する。すなわち、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態では、チャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、太陽電池から高圧入力電源回路11に供給される電力を大幅に上回っていることを示している。したがって、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態においては、充電レートの調整が大きくなされ、バッテリBaを充電するチャージャー回路41aに対しては、100wよりもかなり小なる電力が供給されている。
【0184】
次に、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C7から曲線C6へと変化したとする。また、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C7上のp点から、曲線C6上のq点にうつる。
【0185】
コントロールユニットCUに対して2つのバッテリユニットが接続されたことにより、チャージャー回路41a、41bがバッテリBa、Bbにフルで充電する際の消費電力は200wとなるが、太陽電池に対する照度が十分でない場合、協調制御が継続され、消費電力が、200w未満(例えば150wなど)に調整される。
【0186】
次に、空が晴れあがるなどして、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C5へと変化したとする。このとき、太陽電池に対する照度の増加に伴って太陽電池の発電電力が増加してくると、太陽電池からの出力電流が増加する。
【0187】
太陽電池に対する照度が十分に増加し、太陽電池の発電電力がさらに増加すると、あるところで太陽電池の端子電圧が電圧Vt0と比較して十分大きい値となる。太陽電池から高圧入力電源回路11ならびにチャージャー回路41aおよび41bを介して2つのバッテリに供給される電力が、2つのバッテリを充電するのに必要としている電力を上回ると、協調制御による充電レートの調整が緩和されるか、自動的に解除される。
【0188】
このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のr点で表され、個々のバッテリBaおよびBbに対する充電は、100%の充電レートで行われる。
【0189】
次に、太陽電池に対する照度が減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化したとする。
【0190】
すると、太陽電池の端子電圧が低下し、太陽電池の端子電圧があらかじめ設定された電圧Vt0に近づくと、協調制御による充電レートの調整が再び実行される。このときの太陽電池の動作点は、曲線C6上のq点で表される。
【0191】
次に、太陽電池に対する照度がさらに減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C8へと変化したとする。
【0192】
すると、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回らないように充電レートが調整されるため、太陽電池からの端子電流が減少し、太陽電池の動作点が、曲線C6上のq点から、曲線C8上のs点にうつる。
【0193】
協調制御では、個々のバッテリユニットBUに対する入力電圧があらかじめ定められた電圧Vt0を下回らないように、コントロールユニットCUと個々のバッテリユニットBUとの間で電力の需要量と供給量との間のバランスが調整される。したがって、協調制御によれば、個々のバッテリユニットBUからみた入力側の供給能力に応じて、個々のバッテリBに対する充電レートをリアルタイムで変化させることができる。このように、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池からみた負荷の変化に対しても対応が可能である。
【0194】
上述したように、本開示は、商用電源を必要としない。したがって、電源装置や電力網が整備されていない地域においても、本開示は有効である。
【0195】
「DC−DCコンバータの起動」
ところで、太陽電池から電力を取りだそうとする場合、太陽電池と負荷との間に、例えば、MPPT制御の機能を備えたパワーコンディショナーを介在させることが一般的である。この場合、太陽電池から電力を取りだすためには、まず、パワーコンディショナーを起動させなければならない。
【0196】
ここで、太陽電池と負荷との間に介在されるパワーコンディショナー内のコンバータ回路においては、入力電圧が数十Vから数百V、入力電流が数Aから数十Aにもなる。このように、パワーコンディショナーにより取り扱われる電力が大きいことから、パワーコンディショナー内のコンバータ回路においては、容量の比較的大きなコンデンサが使用される。
【0197】
容量の比較的大きなコンデンサがパワーコンディショナー内に使用される場合、コンデンサに蓄えられた電荷量が少ないと、パワーコンディショナーが太陽電池と電気的に接続された時に、コンデンサに突入電流が流れ込んでしまう。すなわち、コンデンサに蓄えられた電荷量が小さいと、太陽電池の出力がショートされたような状態となってしまい、パワーコンディショナーが太陽電池から大電流を引っぱってしまう。
【0198】
図8Aに例示したように、太陽電池の電圧−電流特性においては、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。また、パワーコンディショナーを太陽電池に対して最初に接続した時点においては、コンデンサに蓄えられている電荷量は、極めて少ないか、0である。
【0199】
そうすると、パワーコンディショナーを太陽電池に対して最初に接続した時に、太陽電池の供給可能な電力以上の電流が太陽電池から流れだしてしまい、太陽電池の端子電圧(パワーコンディショナーへの入力電圧)がほぼ0となってしまう。パワーコンディショナーへの入力電圧がほぼ0となってしまうと、それ以上コンデンサの端子間電圧が上がらなくなり、パワーコンディショナー内のコンバータ回路をさせることができなかった。
【0200】
このように、従来の構成では、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時における、太陽電池に対する照度が低いと、パワーコンディショナーを起動させることができずに太陽電池から電力を取りだすことができなかった。そのため、従来の構成では、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時において、パワーコンディショナーへの入力電圧が低かった場合には、所定時間経過後に起動処理を再度試みるという処理がなされるのが通常であった。したがって、太陽電池に対する照度が低い状態が続くと、いつまでたってもパワーコンディショナーを起動させることができず、太陽電池から電力を取りだすことができなかった。例えば、パワーコンディショナーと太陽電池とを電気的に接続させる時において、空が曇っていた場合には、天候の回復をただ待つしかなかった。
【0201】
上述した事情は、コントロールユニットとバッテリユニットとの組からなる制御システムおいてもほぼ同様であり、例えば、コントロールユニットCU中の力率補正回路には、図4に示したように、容量の比較的大きなコンデンサ31が含まれている。
【0202】
このコンデンサ31は、コントロールユニットCUの外部からの供給される電力を、一旦高圧にして蓄えるために配置されている。コンデンサ31の端子間電圧を高圧とし、コンデンサ31からの出力電圧をDC−DCコンバータ11bで降圧することにより、コントロールユニットCUからの出力電圧が生成される。
【0203】
コントロールユニットCUへの入力電圧を一旦高電圧としてから、それを降圧して出力電圧を生成するのは、大電力を取りだすためである。そのため、コンデンサ31の容量は比較的大きいものとされており、コンデンサ31に蓄えられた電荷量が小さいと、コントロールユニットCUと太陽電池とを電気的に接続させた時にコントロールユニットCUが太陽電池から大電流を引っぱってしまうことになる。
【0204】
しかしながら、本開示の制御システム1においては、上述したように、コントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUの連動による協調制御が可能とされている。協調制御によれば、コントロールユニットCUが一旦起動してしまえば、太陽電池に対する照度が低い場合であっても、得られた発電電力を利用することができる。言い換えれば、本開示の制御システム1では、コントロールユニットCU中の高圧入力電源回路11の消費電力とバッテリユニットBU中のチャージャー回路41aの消費電力との和を発電電力が上回りさえすれば、例えば、バッテリBへの充電を行うことができる。
【0205】
すなわち、本開示の制御システム1では、従来の構成とは異なり、発電電力が小さいときは発電電力が小さいなりに発電部から得られた電力を利用することが可能である。このように、本開示の制御システムは、小電力から大電力までの利用が可能であり、発電電力が小さい場合であっても、本開示の制御システムを起動させることには意義がある。
【0206】
発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置から得られる電力は、一般に不安定であり、さらに、発電電力が小さい場合における発電電力の利用は、従来の構成では想定されなかったことである。
【0207】
「DC−DCコンバータの起動手順」
次に、本開示の起動手順の一例について説明する。
【0208】
図11Bは、本開示の制御システムの一構成例を示すブロック図である。図11Bに示すように、コントロールユニットCUに対して、例えば、発電部の一例としての太陽電池PVが接続されている。コントロールユニットCUに対しては、例えば、バッテリユニットBUaが接続されている。図11Bでは、コントロールユニットCUに接続されたバッテリユニットBUの数が1つの場合を例示したが、もちろん、バッテリユニットBUの数は2以上であってもよい。
【0209】
なお、図11Bでは、発電部として太陽電池PVがコントロールユニットCUに接続される例を示したが、発電部としては、太陽電池に限定されない。発電部は、例えば、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置であり、自然環境に応じて発電する装置に限られず、人力によって発電する装置であってもよい。人力によって発電する装置としては、例えば、足漕ぎ式発電機や足踏み式発電機等を挙げることができる。ある程度有限の動力源を用いる発電の方式であれば、環境や状況に応じて変動する発電装置と同様の状況になるといえるからである。発電部が、商用電源であってももちろんかまわない。
【0210】
図11Bに示すように、コントロールユニットCUは、DC−DCコンバータ11bを備えている。太陽電池PVにより得られた電力が、DC−DCコンバータ11bにより電圧変換されて、コントロールユニットCUから出力される。コントロールユニットCUから供給された電力が、チャージャー回路41aを介して電圧変換された後、例えば、バッテリBaに供給される。
【0211】
コントロールユニットCU中のDC−DCコンバータ11bの入力段には、容量成分が存在する。図11では、DC−DCコンバータ11bの入力段の容量成分をコンデンサCgとして概念的に示した。コンデンサCgは、例えば、力率補正回路中のコンデンサ31の容量等を含む容量成分である。
【0212】
太陽電池PVと、コンデンサCgとの間には、図11Bに示すように、例えば、電圧センサVSinと、電子スイッチSWinが配置される。電圧センサVSinによって得られるセンサ情報は、CPU13に供給される。したがって、CPU13は、A/D変換等により、太陽電池PVの端子電圧の大きさに関する情報を取得することができる。また、CPU13は、電圧センサVSinからの入力に応じて、電子スイッチSWinのオン/オフを制御する。電子スイッチSWinは、耐圧の観点から、リレーにより構成されることが好ましい。
【0213】
上述したように、本開示の制御システム1においてはコントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUの連動による協調制御が可能とされている。上述した協調制御によれば、発電部から得られる電力が小さい場合でも、発電部から効率的に電力を取り出すことができるが、発電部と制御システム1とを接続した後、まず、コントロールユニットCUを起動させる必要がある。
【0214】
コントロールユニットCUに対する入力電圧が低いときにおいても、DC−DCコンバータ11bの起動を可能とするため、具体的には、以下の手順に従い、DC−DCコンバータ11bを起動させる。
【0215】
なお、外部電源により高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12を起動させたうえで、太陽電池等の発電部からの電力を受け入れることも考えられるが、そのような構成をとった場合には、常時外部電源が必要となってしまう。すなわち、太陽電池等の発電部からの電力のみから、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12等を駆動させることができないことになる。本開示は、発電部の電力を利用して高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12等の電圧変換部を駆動するとともに、効率よく電圧変換を開始する方法を提示するものである。
【0216】
以下の一連の処理は、例えば、コントロールユニットCUのCPU13により実行される。なお、CPU13の動作に必要な電力は、例えば、図3に示したバッテリ22等から供給される。なお、コントロールユニットCUに対してバッテリユニットBUからの電力の供給があるときは、バッテリユニットBUからの電力が、CPU13の動作に使用されるようにされていてもよい。
【0217】
まず、電圧センサVSinにより、発電部からの入力電圧の大きさが調べられる。このとき、電圧センサVSinにより得られる電圧の測定値は、コンデンサCgの端子間電圧となる。なお、コンデンサCgに電荷が蓄えられていた場合には、このときに得られる電圧の測定値は、太陽電池の開放電圧Vocとなる。
【0218】
次に、入力電圧が、あらかじめ設定されたしきい値を超えている場合には、発電部に最も近い側の電子スイッチSWinがオンとされる。なお、発電部が太陽電池の場合、負荷がなければ定格電圧に近い電圧が出力される。そのため、例えば、発電部として、定格出力が100Vの太陽電池が接続されている場合、電子スイッチSWinをオンとするか否かの判定のためのしきい値は、例えば、60Vや70V等に設定される。
【0219】
なお、電圧センサVSinによる電圧の測定より先に電子スイッチSWinをオンとしてもよいが、電圧センサVSinによる電圧の測定を行う場合には、電子スイッチSWinのオンよりも先に電圧の測定を行うことにより、無駄な動作が省略できる。
【0220】
発電部から供給される電力が十分に多かった場合には、DC−DCコンバータ11bが起動される。例えば、DC−DCコンバータ11bの入力段に配置された電子スイッチ11dがオンされることにより、DC−DCコンバータ11bへの通電が開始され、コントロールユニットCUが動作を開始する。
【0221】
一方、発電部から供給される電力がDC−DCコンバータ11bの起動に必要な電力を上回らなかった場合には、数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinがオフされる。
【0222】
電子スイッチSWinをオンのままとしないのは、図11Bに示す構成例においては、電圧センサVSinの測定値により、外部からの電力の供給の有無を判定しているからである。電子スイッチSWinがオンのままであると、コンデンサCgにある程度の量の電荷が蓄積されないと、外部からの電力の供給の有無がわからなくなってしまう。
【0223】
なお、電子スイッチSWinがオンされているごく短い時間には、例えば、コンデンサ31に僅かながらも電荷がチャージされている。電子スイッチSWinのオンから数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinがオフされるのは、電子スイッチSWinがオンされたままだと、コンデンサCgにチャージされた電荷が自然放電されてしまうからである。
【0224】
電子スイッチSWinがオフされると、太陽電池PVの出力電圧は、その時点における最大値まで回復する。
【0225】
次に、数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔をおいて、電子スイッチSWinが再びオンされる。
【0226】
ここで、電子スイッチSWinのオフからオンまでの間隔が数ミリ秒〜数十ミリ程度と短いと、電子スイッチSWinが再びオンとされることにより、例えば、コンデンサ31に僅かながらもさらに電荷がチャージされ、コンデンサCgにエネルギーが蓄えられる。
【0227】
これは、太陽電池PVとコントロールユニットCUを接続するケーブルおよび太陽電池PV自体が、容量成分を有しているためであると推測される。電子スイッチSWinがオンされた後にオフされると、発電電力が、その容量成分に蓄えられる。したがって、短い間隔をおいて電子スイッチSWinが再びオンされることにより、太陽電池PVとコントロールユニットCUを接続するケーブルおよび太陽電池PV自体に蓄えられたエネルギーが、コンデンサCgに流れ込むと考えられる。
【0228】
電子スイッチSWinがオンされると、電圧センサVSinにより、発電部からの入力電圧の大きさが調べられる。
【0229】
以降は、上述した、電子スイッチSWinのオンとオフが繰り返される。電子スイッチSWinのオンとオフとの間の間隔は、いずれも数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔である。
【0230】
数ミリ秒〜数十ミリ程度の短い間隔で、電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させると、太陽電池PV−コントロールユニットCU間の容量成分への発電電力の蓄積と、コンデンサCgへのチャージとが繰り返される。
【0231】
すると、コンデンサCgに蓄えられている電荷量の増加に伴い、太陽電池PVからの突入電流が次第に小さくなっていく。したがって、コンデンサCgに蓄えられている電荷量の増加に伴い、コンデンサCgの端子間電圧が高くなっていき、電子スイッチSWinがオンされたときの、コントロールユニットCUに対する入力電圧のドロップの量が次第に小さくなっていく。
【0232】
電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させることにより、太陽電池PVからの出力電圧がDC−DCコンバータ11bの起動に必要な電圧を上回ったら、DC−DCコンバータ11bへの通電を開始させる。このようにすることで、発電部から供給される電力量が小さい場合であっても、DC−DCコンバータ11bを起動させることが可能となる。
【0233】
なお、電子スイッチSWinのオンとオフとの繰り返しの間に入力電圧のドロップが検出された場合には、上述した手順を初めからやり直せばよい。すなわち、例えば、電子スイッチSWinがオフのときにも電圧の測定を行い、発電部からの入力電圧が所定の電圧まで上がっていることが確認されてから、電子スイッチSWinをオンする。そして、所定の時間が経過したら入力電圧をチェックし、入力電圧がまた低ければ、電子スイッチSWinをオフするということを繰り返せばよい。
【0234】
図12A〜図12Cは、本開示の起動手順を説明するための略線図である。
【0235】
図12Aは、電子スイッチのSWinに対する入力信号の一例を折れ線L1により示しており、例えば、信号がハイレベル(図中、Hにより表される状態)のときに電子スイッチのSWinがオンとされ、信号がローレベル(図中、Lにより表される状態)のときに電子スイッチのSWinがオフとされる。図12Bは、太陽電池の出力電圧を曲線L2により模式的に示した図である。図12Cは、コンデンサCgの端子間電圧を曲線L3により模式的に示した図である。図12C中、電圧Vstは、DC−DCコンバータ11bの最低起動電圧を示している。なお、図12A〜図12C中の横軸はいずれも時間Tを表しており、図12A〜図12Cのそれぞれの間の時間的尺度は同じに揃えてある。
【0236】
図12Aに示すように、電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させると、図12Cに示すように、電子スイッチSWinがオンされてコンデンサCgに電荷がチャージされることに伴って、コンデンサCgの端子間電圧が次第に上昇していく。図12Bに示すように、電子スイッチSWinをオンすると、太陽電池の出力電圧が一時的にドロップするが、電子スイッチSWinのオンとオフとの繰り返しに伴って、入力電圧のドロップの量が次第に小さくなっていく。
【0237】
電子スイッチSWinのオンとオフとを繰り返させるうちに、図12Cに示すように、あるところでコンデンサCgの端子間電圧がDC−DCコンバータ11bの最低起動電圧Vstを上回ることになる。コンデンサCgの端子間電圧がDC−DCコンバータ11bの最低起動電圧Vstを上回れば、DC−DCコンバータ11bを起動させることができる。
【0238】
このように、電子スイッチSWinのオンとオフとを短い時間間隔で繰り返させることにより、発電電力が小さい場合であっても、後段のDC−DCコンバータを起動させることができる。上述した手順によれば、パワーコンディショナーへの通電を開始させ、入力電圧を検証した後、入力電圧がドロップした場合には一定時間後に再起動させるという従来の手法と比較して、より高速に後段のDC−DCコンバータを起動させることができる。
【0239】
なお、上述した手順では、電子スイッチSWinをオンとした直後に太陽電池の出力電圧を測定しているが、電圧値の取得のためのA/D変換に多少の誤差があっても、太陽電池の出力電圧が0に近いか、高圧かの判定には問題ない。すなわち、A/D変換は、通常、誤差を有しているが、太陽電池の出力電圧とDC−DCコンバータの最低起動電圧との比較に問題はない。
【0240】
以上に説明したように、本開示によれば、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電部から得られる電力が小さい場合であっても、該発電部から得られた電力により、DC−DCコンバータを高速に起動させることができる。また、協調制御が可能とされた制御システムに本開示の技術を適用することにより、小電力から大電力までの利用が可能となり、いままでは捨てられていた電力を活用することができる。
【0241】
なお、本開示の技術は、協調制御が可能とされた制御システムに限られず、入力側に容量成分を有する一般的なDC−DCコンバータの起動にももちろん適用が可能である。
【0242】
<2.変形例>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。実施形態における構成、数値、材料などは全て一例であり、例示した構成等に限定されることはない。例示した構成等は、技術的矛盾が生じない範囲において、適宜、変更することができる。
【0243】
制御システムにおけるコントロールユニットおよびバッテリユニットが携帯可能とされてもよい。上述した制御システムが、例えば、自動車や家屋などに適用されてもよい。
【0244】
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
発電部との電気的接続を切り替える第1のスイッチと、
入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、
前記電圧センサからの入力に応じて前記第1のスイッチを制御する制御部と、
入力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換回路と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記第1のスイッチのオンとオフが繰り返される電源供給装置。
(2)
前記発電部と前記電圧変換回路との間の電気的接続を切り替える第2のスイッチをさらに備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達した後に、前記第2のスイッチがオンされる(1)に記載の電源供給装置。
(3)
前記発電部が、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置を含む(1)または(2)に記載の電源供給装置。
(4)
前記電圧変換回路が、降圧型の電圧変換回路である(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の電源供給装置。
(5)
発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、前記電圧センサからの入力に応じて前記スイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備え、前記発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する第1の装置と、
前記第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる第2の装置と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記スイッチのオンとオフが繰り返される電力制御システム。
(6)
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記発電装置と前記負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、前記負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法。
【符号の説明】
【0245】
1・・・・制御システム
11・・・・高圧入力電源回路
11c・・・・電圧センサ
11e・・・・電流センサ
12・・・・低圧入力電源回路
13・・・・CPU
15・・・・メモリ
16・・・・D/A変換部
16m・・・・内蔵メモリ
35・・・・オペアンプ
41a・・・チャージャー回路
Ba・・・・バッテリ
CU・・・・コントロールユニット
BU・・・・バッテリユニット
V10(V11)・・・第1の電圧
V12・・・第2の電圧
VSin・・・・電圧センサ
SWin・・・・電子スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部との電気的接続を切り替える第1のスイッチと、
入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、
前記電圧センサからの入力に応じて前記第1のスイッチを制御する制御部と、
入力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換回路と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記第1のスイッチのオンとオフが繰り返される電源供給装置。
【請求項2】
前記発電部と前記電圧変換回路との間の電気的接続を切り替える第2のスイッチをさらに備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達した後に、前記第2のスイッチがオンされる請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記発電部が、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置を含む請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記電圧変換回路が、降圧型の電圧変換回路である請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、前記電圧センサからの入力に応じて前記スイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備え、前記発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する第1の装置と、
前記第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる第2の装置と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記スイッチのオンとオフが繰り返される電力制御システム。
【請求項6】
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記発電装置と前記負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、前記負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法。
【請求項1】
発電部との電気的接続を切り替える第1のスイッチと、
入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、
前記電圧センサからの入力に応じて前記第1のスイッチを制御する制御部と、
入力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換回路と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記第1のスイッチのオンとオフが繰り返される電源供給装置。
【請求項2】
前記発電部と前記電圧変換回路との間の電気的接続を切り替える第2のスイッチをさらに備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達した後に、前記第2のスイッチがオンされる請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記発電部が、周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置を含む請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記電圧変換回路が、降圧型の電圧変換回路である請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
発電部との電気的接続を切り替えるスイッチと、入力電圧の大きさを取得する電圧センサと、前記電圧センサからの入力に応じて前記スイッチを制御する制御部と、入力電圧を変換して出力する電圧変換回路とを備え、前記発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する第1の装置と、
前記第1の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、バッテリに対する充電レートを変化させる第2の装置と
を備え、
前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記電圧変換回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記スイッチのオンとオフが繰り返される電力制御システム。
【請求項6】
周囲の環境に応じて発電量の変化する発電装置からの入力電圧が負荷回路の起動のために必要な電圧に満たなかったときに、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達するまで、前記発電装置と前記負荷回路との間に配置されたスイッチのオンとオフを繰り返させ、前記入力電圧が前記負荷回路の起動に必要な電圧に達したら、前記負荷回路への通電を開始させる電気機器の起動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−102571(P2013−102571A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243963(P2011−243963)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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