説明

電源制御システム、電源制御システムの制御方法、電源制御装置及びプログラム

【課題】 電源の管理を効率良く行うことが可能な、電源制御システム、電源制御システムの制御方法、電源制御装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】 デバイス4に電力を供給する電源制御装置200と、前記のデバイス4とは別のデバイス4に電力を供給し、かつ電源制御装置200と通信を行い、デバイス4への電力供給の制御を行う端末装置6と電源制御装置200との、デバイス4への電力供給の制御のための通信を仲介する電源制御装置100と、を具備し、電源制御装置200と電源制御装置100との通信が遮断されたことに応じて、電源制御装置200は電源制御装置100を仲介せずに端末装置6と、デバイス4への電力供給の制御のための通信を行う電源制御システム1、その制御方法、電源制御システム200、及びプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御システム、電源制御システムの制御方法、電源制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコンピュータやコンピュータの周辺機器を接続して使用する場合がある。この場合、各機器の電源管理を効率的に行うことが要求される。
【0003】
特許文献1には、複数の装置に電力を供給し、装置ごとに電源の投入及び切断を切り替える電源制御装置が開示されている。特許文献2には、システムの制御を行うマスタと、マスタに制御されるスレーブとを有する電源制御システムが開示されている。特許文献3には、電力を供給する複数の無停電電源装置と、監視制御を行う制御装置とからなるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−259030号公報
【特許文献2】特開昭62−500269号公報
【特許文献3】特開2002−73221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電源制御システムの制御装置やマスタとして機能する電源制御装置が不在となった場合、電源の管理を効率良く行えないことがある。本願発明は上記課題に鑑み、電源の管理を効率良く行うことが可能な、電源制御システム、電源制御システムの制御方法、電源制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、デバイスに電力を供給する第1電源制御装置と、前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給し、かつ前記第1電源制御装置と通信を行い、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と前記第1電源制御装置との、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を仲介する第2電源制御装置と、を具備し、前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記第1電源制御装置は前記第2電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う電源制御システムである。本発明によれば、マスタとして機能していた第2電源制御装置が不在となった場合でも、第1電源制御装置がマスタとして機能する。従って、マスタが不在となることが抑制されるため、電源の管理を効率的に行うことができる。
【0007】
上記構成において、前記第1電源制御装置は、前記デバイスに供給した電力に関する情報を前記第2電源制御装置に通知し、前記第2電源制御装置は、前記別のデバイスに供給した電力に関する情報及び前記端末装置との通信に関する情報を、前記第1電源装置に通知する構成とすることができる。この構成によれば、第1電源制御装置は、マスタとして機能する場合に、第2電源制御装置から通知された情報を用いて端末装置と通信することができる。このため、マスタの変更を円滑に行うことができる。また、いずれかの電源制御装置との通信が遮断された場合でも、電源制御装置が供給した電力に関する情報は失われない。つまり、電源制御システム1が供給した電力や電力量の履歴を残すことができ、電力供給の監視を行うことが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断された場合、前記第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置から通知された、前記別のデバイスに供給した電力に関する情報を前記端末装置に通知する構成とすることができる。この構成によれば、マスタとして機能していた第2電源制御装置が不在となった場合でも、マスタとして機能する第1電源制御装置が、第2電源制御装置が供給した電力に関する情報を、端末装置に通知する。従って、ユーザは第2電源制御装置が供給した電力に関する情報を知ることができ、電源制御システムが供給した電力や電力量の履歴を把握することができる。
【0009】
上記構成において、複数の前記第1電源装置のうち1つの第1電源制御装置は、予め定められた順番に基づいて、前記第2電源制御装置を仲介せずに前記端末装置との通信を行い、前記複数の第1電源制御装置のうち、前記1つの第1電源制御装置以外の第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置を仲介して前記端末装置との通信を行う構成とすることができる。この構成によれば、マスタの変更を円滑に行うことができる。
【0010】
上記構成において、前記第2電源制御装置は、前記複数の第1電源装置の各々に番号を付与し、前記順番は前記複数の第1制御装置の各々に付与された番号に基づいて定められる構成とすることができる。この構成によれば、マスタの変更を円滑に行うことができる。
【0011】
上記構成において、前記第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置を仲介せずに端末装置と通信を行うことを前記端末装置に通知する構成とすることができる。この構成によれば、マスタが変更されたことが端末装置に通知されるため、ユーザは迅速にマスタの変更を知ることができる。
【0012】
本発明は、デバイスに電力を供給する第1電源制御装置と、前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給し、かつ前記第1電源制御装置と通信を行い、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と前記第1電源制御装置との、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を仲介する第2電源制御装置と、を具備する電源制御システムの制御方法であって、前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置とが通信可能であるか判断するステップと、前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断されている場合、前記第1電源制御装置は前記第2電源制御装置を仲介せずに端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うステップと、を有する電源制御システムの制御方法である。本発明によれば、マスタとして機能していた第2電源制御装置が不在となった場合でも、第1電源制御装置がマスタとして機能する。従って、マスタが不在となることが抑制されるため、電源の管理を効率的に行うことができる。
【0013】
本発明は、デバイスに電力を供給し、前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給する別の電源制御装置と通信を行い、前記別の電源制御装置を仲介して、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う通信部と、前記別の電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記通信部が前記別の電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うように制御する制御部と、を具備する電源制御装置である。本発明によれば、マスタとして機能していた別の電源制御装置が不在となった場合でも、前記電源制御装置がマスタとして機能する。従って、マスタが不在となることが抑制されるため、電源の管理を効率的に行うことができる。
【0014】
本発明は、デバイスに電力を供給する電源制御装置を、前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給する別の電源制御装置と通信を行い、前記別の電源制御装置を仲介して、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う通信部、前記別の電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記通信部が前記別の電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うように制御する制御部、として機能させるプログラムである。本発明によれば、マスタとして機能していた罰の電源制御装置が不在となった場合でも、前記電源制御装置がマスタとして機能する。従って、マスタが不在となることが抑制されるため、電源の管理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源の管理を効率良く行うことが可能な、電源制御システム、電源制御システムの制御方法、電源制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は実施例1に係る電源制御システムの構成を例示するブロック図である。
【図2】図2は実施例1に係る電源制御装置の構成を例示するブロック図である。
【図3】図3(a)は2つの電源制御装置が相互に接続された場合の電源制御システムを例示するブロック図であり、図3(b)は実施例1に係る電源制御システム1の動作を例示するシーケンス図である。
【図4】図4(a)は1つの電源制御装置との通信が遮断された場合の電源制御システムを例示するブロック図であり、図4(b)は実施例1に係る電源制御システム1の動作を例示するシーケンス図である。
【図5】図5は実施例1に係る電源制御装置の構成を例示する機能ブロック図である。
【図6】図6はマスタとして機能している電源制御装置100の制御を例示するフローチャートである。
【図7】図7はスレーブとして機能している電源制御装置200の制御を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
初めに、実施例1に係る電源制御システムの構成について説明する。図1は実施例1に係る電源制御システムの構成を例示するブロック図である。
【0019】
図1に示すように、電源制御システム1は電源制御装置100(第2電源制御装置),200及び300(第1電源制御装置)を備える。電源制御装置100,200及び300の各々には、例えばデバイス4が接続されている。電源制御装置100,200及び300は、ネットワーク2により相互に接続され、通信を行う。また、電源制御システム1は、電源制御システム1のユーザが使用する端末装置6と、ネットワーク2を介して通信を行う。
【0020】
電源制御装置100,200及び300は、例えば同一機種の電源制御装置である。ネットワーク2は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)等である。通信には例えばTCP/IPプロトコルを用いる。各電源制御装置、及び端末装置6は、それぞれ固有のMACアドレス(Media Access Control Adress)を有する。デバイス4は、例えばコンピュータや、プリンタ等である。端末装置6は例えばPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)である。
【0021】
各電源制御装置は、接続されたデバイス4に電力を供給する。ユーザは端末装置6を用いて、例えば電源制御装置が供給する電力のオン/オフの切り替え、電力供給のスケジューリング、消費した電力量の履歴の把握などをする。つまり、端末装置6は、各電源制御装置によるデバイス4への電力供給の制御を行う。
【0022】
図中に破線の矢印で示すように、電源制御装置100は端末装置6と、電源制御装置100によるデバイス4への電力供給の制御のための通信を行う。また、電源制御装置100は端末装置6と、電源制御装置200及び300各々によるデバイス4への電力供給の制御のための通信を仲介する。つまり、電源制御装置100は電源制御システム1のマスタとして機能し、電源制御装置200及び300はスレーブとして機能する。ユーザは、電源制御装置200及び300との通信に関する情報を知らなくても、電源制御装置100を介して電源制御装置200及び300も制御できる。従って、管理工数が削減できる。
【0023】
電源制御装置100は、電源制御装置100がデバイス4に供給する電力に関する情報、及び端末装置6との通信に関する情報を、電源制御装置200及び300に通知する。電源制御装置200及び300の各々は、各自がデバイス4に供給する電力に関する情報を電源制御装置100に通知する。
【0024】
電力に関する情報とは、電源制御装置がデバイス4に供給した電力及び電力量を含む。また、端末装置6との通信に関する情報とは、例えば端末装置6に割り当てられているMACアドレス等、通信経路の情報を含む。
【0025】
次に、電源制御装置の構成について説明する。図2は電源制御装置100から300いずれかの構成を例示するブロック図である。
【0026】
図2に示すように、電源制御装置は、I/F(インターフェース)10、記憶部12、処理部14、電源投入口16、RTC(Real Time Clock:リアルタイムクロック)18、電力情報計測部20、給電口電源投入口22、及び給電口24を備える。
【0027】
電源投入口16は例えば交流電源の投入口であり、電源制御装置は電源投入口16から投入される電力を用いて動作する。電源制御装置はI/F10を介して他の電源制御装置との通信を行う。また電源制御装置がマスタとして機能する場合、I/F10を介して端末装置6との通信を行う。
【0028】
給電口電源投入口22は例えば交流電源の投入口である。給電口24は例えばコンセントであり、デバイス4(図1参照)のプラグ等が差し込まれる。給電口24は給電口電源投入口22から供給される電力を、デバイス4に供給する。電力情報計測部20は電流計及び電圧計を含み、給電口24で流れた電流及び印加された電圧を計測し、給電口24で消費された電力を計測する。RTC18は時計であり、時刻を計測する。
【0029】
処理部14は例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。処理部14は、I/F10、記憶部12、電源投入口16、RTC18、電力情報計測部20、給電口電源投入口22、及び給電口24を制御する。また処理部14は、RTC18から時刻を、電力情報計測部20から電力を取得する。処理部14は、取得した時刻及び電力から、給電口24で消費された電力量を算出する。処理部14は、RTC18により計測される時刻に基づいて、電力供給のスケジューリングをすることができる。スケジューリングとは、例えば時間帯や曜日ごとに、電源制御装置による電力供給のオン/オフのスケジュールを定めることである。
【0030】
記憶部12は、例えばHDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)やメモリ等である。記憶部12は、デバイス4に供給された電力や電力量の情報、端末装置6や他の電源制御装置との通信に関する情報等、所定の情報を記憶する。図1に示すように、マスタとして機能する電源制御装置100は、記憶部12に記憶された、端末装置6との通信経路の情報を用いて端末装置6と通信を行う。
【0031】
次に、電源制御システム1の動作について説明する。まず、電源制御装置が相互に接続された場合について説明する。図3(a)は2つの電源制御装置が相互に接続された場合の電源制御システムを例示するブロック図であり、図3(b)は実施例1に係る電源制御システム1の動作を例示するシーケンス図である。
【0032】
図3(a)及び図3(b)に示すように、電源制御装置100と電源制御装置200とが接続された場合、電源制御装置100の通信部は、通信可能なMACアドレスを検索する(ステップS1)。ここで、実施例1で用いられるMACアドレスについて説明する。
【0033】
MACアドレスは例えば
00:FF:FF:00:00:01
のように、12桁の記号で表される。MACアドレスのうち、前半の8桁
00:FF:FF:00
は、MACアドレスが割り当てられているハードウェアの機種を表す。電源制御システム1を構成する電源制御装置100,200及び300は、同一機種であるため、MACアドレスの前半部分は各電源制御装置に共通である。MACアドレスの後半部分は、各電源制御装置を表す。電源制御装置200に割り当てられているMACアドレスは、
00:00:FF:FF:00:05
であるとする。
【0034】
図3(b)のステップS1に示すように、電源制御装置100は末尾の番号が1であるMACアドレス
00:FF:FF:00:00:01
から始まり、末尾の番号を1ずつ増やしたMACアドレスに信号を送信し、当該MACアドレスと通信可能か判断する。ここで、MACアドレス
00:FF:FF:00:00:01
から、
00:FF:FF:00:00:04
までに対応する電源制御装置が、電源制御装置100と接続されていないため、電源制御装置100は通信可能でない。
【0035】
上述のように、MACアドレス
00:FF:FF:00:00:05
は、電源制御装置200に割り当てられているため、電源制御装置100と電源制御装置200と通信可能である(ステップS2)。
【0036】
電源制御装置100は、電源制御装置200に番号を通知するよう要求する(ステップS3)。番号とは、電源制御システム1に含まれる電源制御装置に割り当てられた番号である。図3(a)のステップS3の段階では、電源制御装置100には番号“0”が付与されているが、電源制御装置200に番号は付与されていない。ステップS3の後、電源制御装置100は、電源制御装置200に番号“1”を付与する(ステップS4)。
【0037】
ステップS4の後、電源制御装置100は電源制御装置200に対して番号の通知を要求する(ステップS5)。電源制御装置200は、電源制御装置100の要求に応じて、ステップS4で付与された番号“1”を電源制御装置100に通知する(ステップS6)。
【0038】
ステップS6の後、電源制御装置100は、電源制御装置200に所定の情報を通知する(ステップS7)。所定の情報には、電源制御装置100がデバイス4に供給した電力や電力量の履歴等、供給した電力に関する情報が含まれる。また所定の情報には、端末装置6のMACアドレス等、電源制御装置100と端末装置6との通信に関する情報も含まれる。
【0039】
ステップS7の後、電源制御装置200は電源制御装置100と通信可能か確認する(ステップS8)。図3(a)に示すように、電源制御装置100と電源制御装置200とは、ネットワーク2により接続されており、通信可能である。ステップS8の後、電源制御装置200は電源制御装置100に、所定の情報を通知する。所定の情報には、電源制御装置200がデバイス4に供給した電力に関する情報が含まれる。
【0040】
上記のように、電源制御装置100と電源制御装置200とが接続して、電源制御システム1が構成される。またステップS4及びS7のように、マスタとして機能する電源制御装置100は、スレーブとして機能する電源制御装置200に番号を付与し、さらに供給した電力に関する情報、及び端末装置6のとの通信に関する情報も通知する。一方ステップS8のように、電源制御装置200は、供給した電力に関する情報を電源制御装置100に通知する。電源制御装置300がネットワーク2に接続された場合も、図5(b)と同様の制御が行われ、図1に示す電源制御システム1が形成される。さらに電源制御装置が追加された場合も同じである。
【0041】
次に、マスタとして機能していた電源制御装置とスレーブとして機能していた電源制御装置との通信が遮断された場合を考える。これは例えば、電源制御装置100のメンテナンスを行う場合や、故障のため取り外した場合等、電源制御装置100とネットワーク2との接続が切断された場合である。図4(a)は電源制御装置100が不在となった電源制御システム1を例示するブロック図であり、図4(b)は実施例1に係る電源制御システム1の動作を例示するシーケンス図である。なお、電源制御装置100,200及び300には、それぞれ番号“0”、“1”及び“2”が付与されているものとする。
【0042】
図4(a)に示すように、マスタとして機能していた電源制御装置100は不在となり、電源制御装置200及び300により、電源制御システム1が構成されることになる。マスタとして機能していた電源制御装置100は、電源制御システム1の外部つまり端末装置6と、スレーブとして機能する他の電源制御装置200及び300との通信を仲介していた。ここでマスタが不在になると、端末装置6とスレーブとの通信が困難となり、電源制御システム1の制御が困難となる。
【0043】
図4(b)に示すように、電源制御装置200は電源制御装置100と通信可能か確認する(ステップS10)。前述のように、電源制御装置100とネットワーク2との接続は切断されており、電源制御装置200と電源制御装置100との通信も遮断されている。この場合、スレーブとして機能していた電源制御装置200及び300のうち、付与された番号が小さい電源制御装置200がマスタとして機能する。
【0044】
ステップS10の後、マスタとして機能する電源制御装置200は、電源制御装置300に番号の通知を要求する(ステップS11)。ステップS11の後、電源制御装置300は電源制御装置200に番号“2”を通知する(ステップS12)。
【0045】
ステップS12の後、電源制御装置200は電源制御装置300に所定の情報を通知する(ステップS13)。前述した図3(b)のステップS7で説明したように電源制御装置100は、電源制御装置200に供給した電力に関する情報、及び端末装置6との通信に関する情報を通知している。電源制御装置200は、電源制御装置100がデバイス4に供給した電力に関する情報、端末装置6との通信に関する情報、及び電源制御装置200がデバイス4に供給した電力に関する情報を、電源制御装置300に通知する。
【0046】
電源制御装置300は電源制御装置100と通信可能か確認する(ステップS14)。前述のように、電源制御装置100とネットワーク2との接続は切断されており、電源制御装置300と電源制御装置100との通信も遮断されている。
【0047】
ステップS14の後、電源制御装置300は電源制御装置200と通信可能か確認する(ステップS15)。図4(a)に示すように電源制御装置200と電源制御装置300とはネットワーク2により接続されており、通信可能である。
【0048】
ステップS15の後、電源制御装置300は電源制御装置200に所定の情報を通知する。所定の情報には、電源制御装置300が供給した電力に関する情報が含まれる。
【0049】
上記のように、マスタとして機能していた電源制御装置100が不在となった場合、スレーブとして機能していた電源制御装置200は、電源制御装置100から通知された端末装置6との通信に関する情報を用いて、マスタとして機能する。ステップS13のように、マスタとして機能する電源制御装置200は、スレーブとして機能する電源制御装置300に、供給した電力に関する情報、及び端末装置6のとの通信に関する情報を通知する。一方ステップS16のように、電源制御装置300は、供給した電力に関する情報を電源制御装置200に通知する。
【0050】
次に、電源制御装置について説明する。図5は電源制御装置の構成を例示する機能ブロック図である。
【0051】
処理部14は制御部30、通信部32、給電制御部34として機能する。給電制御部34は、電源制御装置によるデバイス4への電力の供給を制御する。また、給電制御部34は供給した電力に関する情報を取得する。
【0052】
電源制御装置がマスタとして機能する場合、通信部32は、端末装置6との通信、及びスレーブとして機能する電源制御装置との通信を制御する。通信部32は、スレーブとして機能する電源制御装置に、番号、デバイス4に供給した電力に関する情報、及び端末装置6との通信に関する情報を送信する。また、通信部32は、スレーブとして機能する電源制御装置から、デバイス4に供給した電力に関する情報を受信する。記憶部12は、自他の電源制御装置がデバイス4に供給した電力に関する情報を記憶する。
【0053】
一方、電源制御装置がスレーブとして機能する場合、通信部32は他の電源制御装置との通信を制御する。通信部32は、他の電源制御装置に、デバイス4に供給した電力に関する情報を送信する。また、通信部32はマスタとして機能する電源制御装置から、番号、デバイス4に供給した電力に関する情報、及び端末装置6との通信に関する情報を受信する。記憶部12は、自他の電源制御装置がデバイス4に供給した電力に関する情報、さらに通信部32が受信した端末装置6との通信に関する情報を記憶する。
【0054】
図4(a)及び図4(b)で説明したように、スレーブとして機能する電源制御部が備える制御部30は、通信部32がマスタとして機能する電源制御装置と通信できない場合、スレーブとして機能していた電源制御装置をマスタとして機能させる制御を行う。つまり図1を例とすると、電源制御装置200と端末装置6との通信を仲介していた電源制御装置100と、電源制御装置200との通信が遮断されたことに応じて、電源制御装置200が備える制御部30は、電源制御装置200が電源制御装置100を仲介せずに端末装置6と通信を行うように制御する。
【0055】
次に電源制御装置の制御についてフローチャートを参照して説明する。まず、マスタとして機能する電源制御装置の動作について説明する。図6はマスタとして機能している電源制御装置100の制御を例示するフローチャートである。
【0056】
図6に示すように、電源制御装置100が備える通信部32は他の電源制御装置と通信可能であるか判断する(ステップS20)。例えば図3(b)のステップS1のように、通信部32は通信可能なMACアドレスを検索する。Noの場合、他の電源制御装置と通信可能になるまで、ステップS20の制御を繰り返す。
【0057】
ステップS20においてYesの場合、通信部32は他の電源制御装置から番号が取得できるか判断する(ステップS21)。この制御は図3(b)のステップS3に対応する。
【0058】
ステップS21においてNoの場合、通信部32は他の電源制御装置に番号を通知する。例えば図3(b)のステップS4のように、通信部32は電源制御装置200に番号“1”を通知する。ステップS22の後、通信部32は他の電源制御装置に所定の情報を通知する。この制御は図3のステップS7に対応する。
【0059】
ステップS21においてYesの場合、通信部32は他の電源制御装置から番号を取得し、取得した番号が電源制御装置100に付与された番号より小さいか判断する(ステップS24)。Noの場合、ステップS23に進み、電源制御装置100はマスタとして機能する。つまり、電源制御装置100が備える制御部30は、電源制御装置100が、他の電源制御装置を仲介せずに端末装置6と通信を行い、かつ他の電源制御装置と端末装置6との通信を仲介するように制御を行う。
【0060】
ステップS24においてYesの場合、電源制御装置100はスレーブとしての動作を開始する(ステップS25)。つまり電源制御装置100が備える制御部30は、電源制御装置100が他の電源制御装置を仲介して端末装置6と通信するように制御を行う。ステップS23又はS25の後、制御は終了する。
【0061】
次にスレーブとして機能する電源制御装置の制御について説明する。図7はスレーブとして機能している電源制御装置200の制御を例示するフローチャートである。
【0062】
図7に示すように、電源制御装置200が備える通信部32は、番号“0”が付与された電源制御装置を通信先として選択する(ステップS26)。つまり、通信部32は電源制御装置100を通信先とする。ステップS26の後、通信部32は0番が付与された電源制御装置100と通信可能か判断する(ステップS27)。この制御は、図3(b)のステップS8、又は図4(b)のステップS10に対応する。Yesの場合、通信部32は、電源制御装置100に情報を通知する(ステップS28)。この制御は、図3(b)のステップS9に対応する。ステップS28の後、制御はステップS26に戻る。
【0063】
ステップS27においてNoの場合、通信部32は通信先とする電源制御装置に付与された番号を1つ増やす(“インクリメント”、ステップS29)。つまり、通信先を番号 “0”が付与された電源制御装置から番号“1”が付与された電源制御装置に変更する。ステップS27においてNoの場合の制御は、図4(b)のステップS10に対応する。
【0064】
ステップS29の後、通信部32はステップS29でインクリメントされた番号が自分に付与された番号、つまり電源制御装置200に付与された番号と同じか判断する(ステップS30)。電源制御装置200に付与されている番号は“1”であるため、Yesとなる。Yesの場合、電源制御装置200はマスタとしての動作を開始する(ステップS31)。つまり制御部30は、電源制御装置200が他の電源制御装置を仲介せずに端末装置6と通信を行うように制御を行う。ステップS31の後、通信部32は電源制御装置200がマスタとして機能することを端末装置6に通知する(ステップS32)。ステップS32の後、制御は終了する。
【0065】
ステップS30においてNoの場合、制御はステップS27に戻る。ステップS30においてNoの場合として、例えば電源制御装置300が図7の制御を行う場合を考える。つまり、電源制御装置300に付与された番号は“2”であり、ステップS29においてインクリメントされた後の番号は“1”である。従って電源制御装置300の制御はステップS30においてNoとなってステップS27に戻り、電源制御装置300はスレーブとしての動作を続ける。
【0066】
実施例1によれば、マスタとして機能していた電源制御装置100が不在となった場合でも、スレーブとして機能していた電源制御装置200が代わってマスタとして機能する。従って、電源制御システム1にマスタが不在となることが抑制される。このため、ユーザはマスタを通じて、電源の管理を効率的に行うことができる。
【0067】
マスタとして機能する電源制御装置100は、スレーブとして機能する電源制御装置200及び300に、端末装置6との通信に関する情報を通知している。従って、電源制御装置200及び300は、マスタとして機能する場合に、電源制御装置100から通知された情報を用いて端末装置6と通信することができる。これにより、マスタの変更を円滑に行うことが可能となる。
【0068】
さらに、マスタとして機能する電源制御装置とスレーブとして機能する電源制御装置とは、各々がデバイス4に供給した電力に関する情報を、互いに通知し合い、共有している。従って、いずれかの電源制御装置との通信が遮断された場合でも、電源制御装置が供給した電力に関する情報は失われない。つまり、電源制御装置100に代わって、電源制御装置200がマスタとして機能する場合、電源制御装置200は端末装置6に、電源制御装置100が供給した電力に関する情報を通知する。これによりユーザは、通信が遮断された電源制御装置100が供給した電力に関する情報を知ることができる。従って、電源制御システム1が供給した電力や電力量の履歴を残すことができ、電力供給の監視を行うことが可能となる。
【0069】
なお、マスタとして機能する電源制御装置100と、スレーブとして機能する電源制御装置200及び300とが情報を通知し合うだけでなく、電源制御装置200及び300も互いに情報を通知し合ってもよい。これにより、効果的に情報が保管される。
【0070】
電源制御装置100,200及び300の各々には、番号“0”、“1”及び“2”の各々が付与され、番号が小さい順にマスタとして機能する。つまり、電源制御装置は予め定められた順番に基づいて、マスタとしての動作を行う。このため、マスタの変更が円滑となる。実施例1では、ネットワーク2に接続される順番に番号を付した例を説明したが、これに限定されない。例えばユーザが任意の順番を定めてもよい。
【0071】
また、図7のステップS32のように、マスタが変更されたことは端末装置6に通知されるため、ユーザは迅速にマスタの変更を知ることができる。通知の方法は、例えば電子メールである。また、例えば電源鮮魚装置が音を発生し、またはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等を点灯させることによっても、ユーザに通知することができる。
【0072】
例えば図4(a)に示すように、マスタが電源制御装置200に変更された後、マスタとして機能していた電源制御装置100がネットワーク2に接続された場合を考える。この場合、電源制御装置100がマスタとして機能し、電源制御装置200はスレーブとして機能する、変更前の状態に戻ってもよい。また電源制御装置200がマスタとして機能し続け、電源制御装置100はスレーブとして機能してもよい。
【0073】
実施例1では電源制御システム1が3つの電源制御装置を備えた例を説明したが、これに限定されず、電源制御装置は2つ以上でもよいし、4つ以上でもよい。また、電源制御装置100,200及び300は同一機種であるとしたが、異なる機種であってもよい。図1では、各電源制御装置が3つのデバイス4に電力を供給しているが、デバイス4は1つでもよいし4つ以上でもよい。
【0074】
なお、電源制御装置の処理部が、電源制御装置が有すべき機能の内容を記述したプログラムを実行することによっても、上記実施例と同様の効果を奏することができる。
【0075】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0076】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
電源制御システム 1
ネットワーク 2
デバイス 4
端末装置 6
通信部 10
記憶部 12
処理部 14
給電口 24
制御部 30
通信部 32
給電制御部 34
電源制御装置 100,200,300

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに電力を供給する第1電源制御装置と、
前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給し、かつ前記第1電源制御装置と通信を行い、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と前記第1電源制御装置との、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を仲介する第2電源制御装置と、を具備し、
前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記第1電源制御装置は前記第2電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う電源制御システム。
【請求項2】
前記第1電源制御装置は、前記デバイスに供給した電力に関する情報を前記第2電源制御装置に通知し、
前記第2電源制御装置は、前記別のデバイスに供給した電力に関する情報及び前記端末装置との通信に関する情報を、前記第1電源装置に通知する請求項1記載の電源制御システム。
【請求項3】
前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断された場合、前記第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置から通知された、前記別のデバイスに供給した電力に関する情報を前記端末装置に通知する請求項2記載の電源制御システム。
【請求項4】
複数の前記第1電源制御装置のうち1つの第1電源制御装置は、予め定められた順番に基づいて、前記第2電源制御装置を仲介せずに前記端末装置との通信を行い、
前記複数の第1電源制御装置のうち、前記1つの第1電源制御装置以外の第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置を仲介して前記端末装置との通信を行う請求項1から3いずれか一項記載の電源制御システム。
【請求項5】
前記第2電源制御装置は、前記複数の第1電源装置の各々に番号を付与し、
前記順番は前記複数の第1制御装置の各々に付与された番号に基づいて定められる請求項4記載の電源制御システム。
【請求項6】
前記第1電源制御装置は、前記第2電源制御装置を仲介せずに端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うことを前記端末装置に通知する請求項1から5いずれか一項記載の電源制御システム。
【請求項7】
デバイスに電力を供給する第1電源制御装置と、前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給し、かつ前記第1電源制御装置と通信を行い、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と前記第1電源制御装置との、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を仲介する第2電源制御装置と、を具備する電源制御システムの制御方法であって、
前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置とが通信可能であるか判断するステップと、
前記第1電源制御装置と前記第2電源制御装置との通信が遮断されている場合、前記第1電源制御装置は前記第2電源制御装置を仲介せずに端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うステップと、を有する電源制御システムの制御方法。
【請求項8】
デバイスに電力を供給し、
前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給する別の電源制御装置と通信を行い、前記別の電源制御装置を仲介して、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う通信部と、
前記別の電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記通信部が前記別の電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うように制御する制御部と、を具備する電源制御装置。
【請求項9】
デバイスに電力を供給する電源制御装置を、
前記デバイスとは別のデバイスに電力を供給する別の電源制御装置と通信を行い、前記別の電源制御装置を仲介して、前記デバイスへの電力供給の制御を行う端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行う通信部、
前記別の電源制御装置との通信が遮断されたことに応じて、前記通信部が前記別の電源制御装置を仲介せずに前記端末装置と、前記デバイスへの電力供給の制御のための通信を行うように制御する制御部、として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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