説明

電源回路及び画像形成装置

【課題】外部から供給される電圧が過大となった場合に負荷への給電を遮断するとともに効率よく給電を再開する。
【解決手段】外部から供給された電圧に基づき電源電圧を生成する電源回路であって、第1及び第2の受電部と、第1及び第2の受電部間に接続されたバリスタと、バリスタと並列に接続され第1及び第2の受電部間を開閉する開閉器と、第1の受電部からバリスタ及び開閉器へ向かう第1の電流経路に設けられ、予め定められた電流量以上の電流が流れた場合、第1の電流経路を遮断する第1の給電遮断器と、バリスタの異常に関する物理量を検出する物理量検出部と、検出された物理量が予め定められた基準値を超えたとき開閉器を閉じさせる開閉制御部とを備え、第1の給電遮断器は、遮断の解除を要求する解除指示を受け付ける第1の受付部を備え、解除指示が受け付けられたとき第1の電流経路を導通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び画像形成装置に関し、特に、外部から供給された電圧が過大となった場合に、負荷への給電を遮断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載のように、交流電源に接続された電源ライン上に、過大な電流が流れたときに溶断する一次ヒューズを接続するとともに、電源ライン間に、交流電源と並列にバリスタを接続した給電回路(電源回路)が知られている。当該電源回路では、バリスタの動作電圧(バリスタ電圧)以上の電圧がバリスタに印加された場合に、バリスタが電源ライン間を短絡することによって、電源ラインに過大な電流を流して一次ヒューズを溶断させ、負荷への給電を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−88857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電源回路によって負荷への給電を遮断した後、給電を再開するためには、溶断された一次ヒューズを交換する手間が必要であった。また、バリスタ電圧以上の電圧がバリスタに印加され続けると、バリスタが破壊されることがある。このため、電源回路に供給される電圧の変動が大きい地域では、さらにバリスタを交換する手間が生じる虞もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外部から供給される電圧が過大となった場合に、負荷への給電を遮断するとともに、効率よく給電を再開することができる電源回路及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源回路は、外部から供給された電圧に基づき電源電圧を生成する電源回路であって、前記電圧を受電する第1及び第2の受電部と、前記第1の受電部と前記第2の受電部との間に接続されたバリスタと、前記第1の受電部と前記第2の受電部との間に、前記バリスタと並列に接続され、前記第1及び第2の受電部間を開閉する開閉器と、前記第1の受電部から前記バリスタ及び前記開閉器へ向かう第1の電流経路に設けられ、前記第1の電流経路に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合、前記第1の電流経路を遮断する第1の給電遮断器と、前記バリスタの異常に関する物理量を検出する物理量検出部と、前記物理量検出部で検出された前記物理量が予め定められた基準値を超えたとき、前記開閉器を閉じさせる開閉制御部とを備え、前記第1の給電遮断器は、前記遮断の解除を要求する解除指示を受け付ける第1の受付部を備え、前記第1の受付部によって前記解除指示が受け付けられたとき、前記第1の電流経路を導通させる。
【0007】
この構成によれば、外部から供給される電圧が過大になって、バリスタが急激に抵抗値を低くする異常な状態になり、物理量検出部によって検出されたバリスタの異常に関する物理量が予め定められた基準値を超えたときに、開閉制御部によって開閉器が閉じられ、第1の受電部と第2の受電部との間が短絡される。これによって、第1の電流経路に大量の電流が流れるため、第1の給電遮断器によって第1の電流経路が遮断される。また、第1の受付部によって解除指示が受け付けられると、第1の電流経路が導通される。
【0008】
つまり、外部から供給される電圧が過大になった場合に、第1の電流経路を遮断して負荷への給電を遮断することができるとともに、第1の受付部によって解除指示を受け付けることによって第1の電流経路を導通させ、バリスタや開閉器等の電源回路に備えられた回路素子を交換する手間をかけることなく、第1の電流経路を介した負荷への給電を効率よく再開することができる。
【0009】
また、前記第2の受電部から前記バリスタ及び前記開閉器へ向かう第2の電流経路に設けられ、前記第2の電流経路に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合、前記第2の電流経路を遮断する第2の給電遮断器をさらに備え、前記第2の給電遮断器は、前記遮断の解除を要求する解除指示を受け付ける第2の受付部を備え、前記第2の受付部によって前記解除指示が受け付けられたとき、前記第2の電流経路を導通させることが好ましい。
【0010】
例えば、ヨーロッパや日本等のように、電源コンセントへの差し込み方によって、交流電源のホット(活動)側とニュートラル(中性)側とが切り替わる地域では、外部の交流電源から供給される電圧が過大になって、バリスタが第1の受電部と第2の受電部との間を短絡した場合に、第1の電流経路または第2の電流経路の何れにも大量の電流が流れる可能性がある。
【0011】
この構成によれば、バリスタが第1の受電部と第2の受電部との間を短絡した場合に、第1の電流経路または第2の電流経路の何れに大量の電流が流れたとしても、第1の給電遮断器または第2の給電遮断器によって、第1の電流経路または第2の電流経路を遮断することができる。また、第1の受付部または第2の受付部によって解除指示を受け付けることによって、遮断した第1の電流経路または第2の電流経路を導通することができる。
【0012】
また、前記物理量は、前記バリスタの温度であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、例えば試験運転等の実験値に基づいて、外部から供給される電圧が過大になって、バリスタが急激に抵抗値を低くする異常な状態になったときにおけるバリスタの温度を、基準値として予め定めておくことができる。そして、開閉制御部は、物理量検出部で検出されたバリスタの温度が当該予め定めた基準値を超えたときに、バリスタが異常な状態であるものとして、開閉器を閉じさせることができる。
【0014】
また、前記物理量は、前記バリスタの両端子間の電圧であってもよい。
【0015】
この構成によれば、例えば試験運転等の実験値に基づいて、外部から供給される電圧が過大になって、バリスタが急激に抵抗値を低くする異常な状態になったときにおけるバリスタの端子間の電圧を、基準値として予め定めておくことができる。そして、開閉制御部は、物理量検出部で検出されたバリスタの端子間の電圧が当該予め定めた基準値を超えたときに、バリスタが異常な状態であるものとして、開閉器を閉じさせることができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記何れか一の構成の電源回路と、当該電源回路によって生成された電源電圧によって動作する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部から供給される電圧が過大となった場合に、負荷への給電を遮断するとともに、効率よく給電を再開することができる電源回路及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電源回路を備えた画像形成装置の一例としての複合機の構成の一例を示す構成図。
【図2】複合機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図3】電源回路の一例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電源回路を備えた画像形成装置の一例として、例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有する複合機を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、複合機1は、本体部100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、及び用紙後処理部500を備えている。
【0021】
原稿給送部300は、原稿載置部301、給紙ローラ303、原稿搬送部305及び原稿排出部307を備えている。
【0022】
給紙ローラ303は、原稿載置部301にセットされた原稿を1枚ずつ繰り出す。原稿搬送部305は、繰り出された原稿を原稿読取部200に搬送する。原稿は、原稿読取部200で読み取られて原稿排出部307に排出される。
【0023】
原稿読取部200は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、及び原稿読取スリット205を備えている。
【0024】
原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサにより読み取る。CCDセンサは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0025】
本体部100は、用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備えている。
【0026】
用紙貯留部101は、本体部100の最下部に配置され、用紙の束を貯留する用紙トレイ107を備えている。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラ109の駆動により、用紙搬送部111へ向けて繰り出される。用紙は、用紙搬送部111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0027】
画像形成部103は、搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は、感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備えている。
【0028】
露光部115は、画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0029】
この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、感光体ドラム113の周面には、画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は、転写部119によって上記の用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0030】
トナー画像が転写された用紙は、定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像を用紙に定着させる。これにより、用紙への画像の印刷が完了する。この印刷済用紙に対して後処理がされる場合、印刷済用紙は本体部100の用紙排出口121から用紙後処理部500へ送られる。これに対して後処理がされない場合、印刷済用紙は排紙トレイ123に排紙される。
【0031】
用紙後処理部500では、印刷済用紙に対して、ソート、ステープル、パンチ、中綴じ等の後処理がされる。用紙後処理部500は、用紙搬入口501、用紙搬送部503、用紙搬出口505及びスタックトレイ507等を備える。用紙搬送部503は用紙排出口121から用紙搬入口501に搬入された印刷済用紙を順次搬送し、後処理がされた印刷済用紙を用紙搬出口505からスタックトレイ507へ搬出する。スタックトレイ507は用紙搬出口505から搬出された上記用紙の集積枚数に応じて矢印方向に上下動可能な構成を有する。
【0032】
操作部400は、操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0033】
操作キー部401は、ハードキーからなる操作キーを備えており、具体的にはヘルプキー405、スタートキー407、テンキー409及び機能切換キー411等を備える。
【0034】
ヘルプキー405は、ヘルプ画面を表示部403に表示させるキーである。ヘルプ画面とはスキャナ、ファクシミリ、プリンタ、コピー等の機能に関する操作方法が表示された画面である。スタートキー407は、コピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキー409は、コピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。機能切換キー411は、コピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0035】
続いて、複合機1の電気的構成について説明する。図2に示すように、複合機1は、本体部100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、用紙後処理部500、USBメモリー等の記憶媒体6を複合機1に接続するための外部インターフェイス(外部I/F)600、通信部700、及び制御部800が、バスによって接続された構成を有する。
【0036】
尚、制御部800は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、及びRAM等のメモリーを備えてなるマイクロコンピュータや、専用のハードウェア回路等を内蔵し、装置全体の動作を制御する。
【0037】
また、複合機1は、外部の交流電源から供給される交流電圧を各部100〜800の動作に用いる電源電圧に変換し、各部100〜800に供給する電源回路2を備えている。
【0038】
具体的には、例えば、図3に示すように、電源回路2は、過電圧保護回路20、ACDCコンバータ30、及びDCDCコンバータ40を備えている。
【0039】
過電圧保護回路20は、外部の交流電源ACから供給される電圧が過大になった場合に、負荷としての各部100〜800が破壊されることを保護するために、負荷への電流経路を遮断する。ACDCコンバータ30は、外部の交流電源ACから供給される交流電圧を直流電圧に変換する。DCDCコンバータ40は、ACDCコンバータ30によって変換された直流電圧を、各部100〜800の動作に必要な所定レベルの電源電圧に変圧する。
【0040】
以下、過電圧保護回路20の構成について詳述する。過電圧保護回路20は、第1の受電部21、第2の受電部22、第1の給電遮断器23、第2の給電遮断器24、開閉器25、バリスタ26、及び開閉制御部27を備えている。
【0041】
第1の受電部21及び第2の受電部22は、外部の交流電源ACから供給される電圧を受電するための入力端子である。尚、第1の受電部21及び第2の受電部22は、コネクタや、ICの信号ピン、または、配線パターンであってもよい。
【0042】
第1の給電遮断器23は、第1の受電部21からバリスタ26及び開閉器25へ向かう第1の電流経路CP1に設けられ、第1の電流経路CP1に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合に、第1の電流経路CP1を遮断する。同様に、第2の給電遮断器24は、第2の受電部22からバリスタ26及び開閉器25へ向かう第2の電流経路CP2に設けられ、第2の電流経路CP2に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合に、第2の電流経路CP2を遮断する。
【0043】
具体的には、第1の給電遮断器23及び第2の給電遮断器24は、例えば、サーキットプロテクタによって構成されている。当該サーキットプロテクタは、例えば、配設される電流経路上に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合に、内部に設けられた熱応動板が加熱されることによって湾曲し、当該熱応動板に設けられた可動接点が電流経路上に設けられた固定接点から離れることによって、電流経路を遮断する。第1の給電遮断器23及び第2の給電遮断器24は、例えば、ホシデン(株)製TBC5000シリーズやTBC6000シリーズを用いることができる。
【0044】
さらに、当該サーキットプロテクタには、押下可能なボタン機構が設けられている。当該ボタン機構は、ボタンが押下される際の力を用いて、熱応動板に設けられた可動接点を電流経路上の固定接点に当接する状態に戻し、これによって、電流経路を導通するように構成されている。つまり、当該ボタン機構によって、本発明に係る第1の受付部及び第2の受付部の一例が構成されている。
【0045】
尚、第1の給電遮断器23及び第2の給電遮断器24は、これに限らず、例えば、電流経路上に過大な電流が流れた場合に、電流経路に生じる磁力を利用して可動接点と固定接点とを離れさせることによって、電流経路を遮断するサーキットプロテクタによって構成してもよい。ただし、当該サーキットプロテクタにも、可動接点と固定接点とを当接する状態に戻すための機構が設けられている必要がある。
【0046】
開閉器25は、第1の受電部21と第2の受電部22との間に、バリスタ26と並列に接続され、第1の受電部21と第2の受電部22との間を開閉する。
【0047】
具体的には、開閉器25は、例えば、トライアックによって構成されている。当該トライアックは、ゲート端子Gに電流が入力されていないときは、第1の受電部21と第2の受電部22との間を開放し(開き)、ゲート端子Gに電流が入力されたときに、第1の受電部21と第2の受電部22との間を短絡させる(閉じる)。尚、図3に示すコンデンサC及び抵抗素子Rは、当該トライアックのゲート端子Gの保護素子である。
【0048】
バリスタ26は、第1の受電部21と第2の受電部22との間に接続されている。バリスタ26は、交流電源ACから供給される電圧が過大になることによって、バリスタ26に当該バリスタ26のバリスタ電圧以上の電圧が印加されると、抵抗値を急激に低下して、第1の受電部21と第2の受電部22との間を短絡する異常な状態になる。
【0049】
開閉制御部27は、開閉器25を開閉する制御を行う。具体的には、開閉制御部27は、物理量検出部28を備えて構成されている。
【0050】
物理量検出部28は、バリスタ26の異常に関する物理量を検出する。具体的には、物理量検出部28は、例えば、サーミスタによって構成されている。当該サーミスタは、近接するバリスタ26の温度の上昇に合わせて温度を上昇させるとともに、抵抗値を低下させることによって、その抵抗値の大きさによってバリスタ26の温度を検出するように構成されている。
【0051】
当該サーミスタは、試験運転等の実験値に基づいて予め定められた、異常な状態にあるときのバリスタ26の温度まで、当該サーミスタの温度が上昇することによって、当該温度に応じたレベルにまで抵抗値を低下する。当該サーミスタは、当該温度に応じたレベルにまで抵抗値を低下したときに、開閉器25のゲート端子Gに向けて電流が流れるように、その抵抗値が構成されている。言い換えれば、当該サーミスタの温度が、上記の異常な状態にあるときのバリスタ26の温度未満である場合は、当該サーミスタは、異常な状態にあるバリスタ26の温度に応じたレベルにまで抵抗値を低下させていないので、開閉器25のゲート端子Gに向けて電流を流さないように構成されている。
【0052】
つまり、開閉制御部27は、物理量検出部28によって検出されるバリスタ26の温度が、予め定められた基準値としてのバリスタ26が異常な状態にあるときの温度を超えたときに、ゲート端子Gに向けて出力される電流によって、開閉器25を閉じるように構成されている。一方、開閉制御部27は、物理量検出部28によって検出されるバリスタ26の温度が、予め定められた基準値としてのバリスタ26が異常な状態にあるときの温度を超えないときは、ゲート端子Gに向けて電流を流さないことによって、開閉器25を開くように構成されている。
【0053】
上記実施形態の構成によれば、外部の交流電源ACから供給される電圧が過大になって、バリスタ26が急激に抵抗値を低くする異常な状態になり、物理量検出部28によって検出されたバリスタ26の温度が予め定められた基準値とする温度を超えたときに、開閉制御部27によって開閉器25が閉じられ、第1の受電部21と第2の受電部22との間が短絡される。
【0054】
これによって、第1の電流経路CP1に大量の電流が流れた場合は、第1の給電遮断器23によって第1の電流経路CP1が遮断される。また、第1の電流経路CP1が遮断された後、第1の給電遮断器23に備えられた第1の受付部としてのボタン機構が押下されることによって、第1の電流経路CP1が導通される。
【0055】
つまり、外部から供給される電圧が過大になった場合に、第1の電流経路CP1を遮断して負荷100〜800への給電を遮断することができるとともに、第1の給電遮断器23に備えられた第1の受付部としてのボタン機構が押下する(解除指示を受け付ける)ことによって第1の電流経路CP1を導通させ、バリスタ26や開閉器25等の電源回路2に備えられた回路素子を交換する手間をかけることなく、第1の電流経路CP1を介した負荷100〜800への給電を効率よく再開することができる。
【0056】
また、例えば、ヨーロッパや日本等のように、電源コンセントへの差し込み方によって、交流電源ACのホット(活動)側とニュートラル(中性)側とが切り替わる地域では、外部の交流電源ACから供給される電圧が過大になって、バリスタ26が第1の受電部21と第2の受電部22との間を短絡した場合に、第1の電流経路CP1または第2の電流経路CP2の何れにも大量の電流が流れる可能性がある。
【0057】
しかし、上記実施形態の構成によれば、バリスタ26が第1の受電部21と第2の受電部22との間を短絡した場合に、第1の電流経路CP1または第2の電流経路CP2の何れに大量の電流が流れたとしても、第1の給電遮断器23または第2の給電遮断器24によって、第1の電流経路CP1または第2の電流経路CP2を遮断することができる。尚、第2の電流経路CP2が遮断された後は、第2の給電遮断器24に備えられた第2の受付部としてのボタン機構を押下することによって、第2の電流経路CP2を導通することができる。
【0058】
尚、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、物理量検出部28がサーミスタによって構成されていたが、これに代えて、バリスタ26の端子間の電圧を検出する電圧計によって、物理量検出部28を構成してもよい。
【0060】
これに合わせて、開閉制御部27を、当該電圧計で検出されたバリスタ26の端子間の電圧が、試験運転等の実験値に基づいて予め定められた異常な状態にあるときのバリスタ26の端子間の電圧(バリスタ電圧)を超えたときに、開閉器25のゲート端子Gに向けて電流を流すように構成し、また、当該電圧計で検出されたバリスタ26の端子間の電圧が、予め定められた異常な状態にあるときのバリスタ26の端子間の電圧(バリスタ電圧)を超えないときは、開閉器25のゲート端子Gに向けて電流を流さないように構成してもよい。
【0061】
また、電源コンセントへの差し込み方が1つに決まっており、交流電源ACのホット(活動)側とニュートラル(中性)側とが切り替わらない地域においては、外部の交流電源ACから供給される電圧が過大になって、バリスタ26が第1の受電部21と第2の受電部22との間を短絡した場合に、第1の電流経路CP1及び第2の電流経路CP2の何れか決まった1つの電流経路に、大量の電流が流れる可能性が高いと考えられる。このため、当該第1の電流経路CP1または第2の電流経路CP2の何れか決まった1つの電流経路にのみ、当該電流経路に対応する第1の給電遮断器23または第2の給電遮断器24を備えるようにして、過電圧保護回路20を簡素化して構成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、本発明に係る電源回路を複合機1に適用する例について説明したが、これに限らず、本発明に係る電源回路は、カラー画像形成用のカラープリンタや、スキャナ装置、ファクシミリ装置、プリンタ装置及びコピー装置等の画像形成装置に適用してもよい。
【0063】
また、上記実施形態において図1乃至図3に示した構成及び設定は単なる一例に過ぎず、本発明を当該実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0064】
1 複合機
2 電源回路
20 過電圧保護回路
21 第1の受電部
22 第2の受電部
23 第1の給電遮断器
24 第2の給電遮断器
25 開閉器
26 バリスタ
27 開閉制御部
28 物理量検出部
103 画像形成部
CP1,CP2 電流経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された電圧に基づき電源電圧を生成する電源回路であって、
前記電圧を受電する第1及び第2の受電部と、
前記第1の受電部と前記第2の受電部との間に接続されたバリスタと、
前記第1の受電部と前記第2の受電部との間に、前記バリスタと並列に接続され、前記第1及び第2の受電部間を開閉する開閉器と、
前記第1の受電部から前記バリスタ及び前記開閉器へ向かう第1の電流経路に設けられ、前記第1の電流経路に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合、前記第1の電流経路を遮断する第1の給電遮断器と、
前記バリスタの異常に関する物理量を検出する物理量検出部と、
前記物理量検出部で検出された前記物理量が予め定められた基準値を超えたとき、前記開閉器を閉じさせる開閉制御部とを備え、
前記第1の給電遮断器は、前記遮断の解除を要求する解除指示を受け付ける第1の受付部を備え、前記第1の受付部によって前記解除指示が受け付けられたとき、前記第1の電流経路を導通させる電源回路。
【請求項2】
前記第2の受電部から前記バリスタ及び前記開閉器へ向かう第2の電流経路に設けられ、前記第2の電流経路に予め定められた電流量以上の電流が流れた場合、前記第2の電流経路を遮断する第2の給電遮断器をさらに備え、
前記第2の給電遮断器は、前記遮断の解除を要求する解除指示を受け付ける第2の受付部を備え、前記第2の受付部によって前記解除指示が受け付けられたとき、前記第2の電流経路を導通させる請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記物理量は、前記バリスタの温度である請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記物理量は、前記バリスタの両端子間の電圧である請求項1または2に記載の電源回路。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の電源回路と、当該電源回路によって生成された電源電圧によって動作する画像形成部と、を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−99031(P2013−99031A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237424(P2011−237424)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】