説明

電源回路

【課題】 きわめて簡単な回路構成で、低電圧および過電圧の両方を検出し対処することができる電源回路を提供すること。
【解決手段】 電源回路1は、入力電圧が与えられ、主回路10を動作させる電圧を生成する主電源回路3と、入力電圧が与えられ、制御手段5を動作させる電圧を生成する待機電源回路2と、オフ状態になることによって主電源回路3をオフ状態にし、オン状態になることにより主電源回路3をオン状態にする切換回路13と、待機電源回路2からの電圧が所定値以下であることを検出する低電圧検出回路6と、待機電源回路2からの電圧が所定値以上であることを検出する過電圧検出回路7と、低電圧検出回路6からの信号に基づいて切換回路13をオフ状態にする信号を出力し、かつ、過電圧検出回路7からの信号に基づいて切換回路13をオフ状態にする信号を出力する主電源制御端子bを有する制御手段5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力交流電圧が低電圧および/または過電圧であることを検出することができる電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の電源回路301を示す概略回路図である。待機電源回路302は、マイコン305に与える電源電圧を生成する回路である。主に待機状態(すなわち、主電源回路303がオフ状態、待機電源回路302がオン状態であって、マイコンのみに電圧を供給する状態)の時に、待機電源回路302で生成された電源電圧がマイコン305で使用される。待機電源回路302は、トランス308および整流回路309を備える。主電源回路303は、アンプ回路等の主回路310およびマイコン305に供給する電源電圧を生成するための回路であり、トランス311および整流回路312を備える。マイコン用電源回路304は、主電源回路303および/または待機電源回路302から電源電圧が与えられ、マイコン305に電源電圧を与える回路である。マイコン用電源回路304は、待機電源回路302および/または主電源回路303からの電圧を充電するコンデンサC303、ダイオードD303、D304および安定化回路314を備える。トランス311の一次側にはリレー回路313が設けられている。リレー回路313のスイッチ313Aをオフ状態にすることによって、主電源回路303をオフ状態にし、待機状態にすることができる。
【0003】
電源回路301は、低電圧検出回路306をさらに備えている。低電圧検出回路306は、入力交流電圧(商用交流電源)が停電などの理由によって、低下したこと(もしくはゼロになったこと)を検出する回路である。低電圧検出回路306は、入力交流電圧が低電圧であることを検出すると、マイコン305の電圧検出端子bにローレベルの電圧を与える。マイコン305は電圧検出端子bに与えられたローレベルに基づいて、主電源制御端子cからトランジスタQ301のベースにローレベルの電圧を与える。すると、トランジスタQ301はオフ状態になり、リレー回路313の巻線313Bに流れる電流は遮断される。そのため、スイッチ313Aがオフ状態になり、主電源回路303がオフ状態になる。マイコン305は、入力交流電圧が低電圧であることを判断すると、待機電源回路302のコンデンサC301に充電されている電圧を使って、実行している処理内容をメモリに記憶させる。マイコン305に再び電圧が与えられたときに、記憶した処理内容をメモリから読み出し、停電前に実行していた処理を復元するためである。ここで、巻線313Bに電流が流れていればコンデンサC301に充電された電圧が完全に放電するまでの時間が短くなり、マイコン305は全ての処理内容をメモリに記憶する前に、オフ状態になる。しかし、低電圧検出回路306が、入力交流電圧が低電圧であると判断した際に、巻線313Bに流れる電流は遮断されるので、コンデンサC301に充電された電圧が完全に放電するまでの時間が長くなり、マイコン305は処理内容の全てをより確実にメモリに記憶することができる。一方、電源回路301は、入力交流電圧が過電圧である場合に対しては対応できない。
【0004】
また、下記特許文献1には、ユーザーが誤って定格電圧を超える交流電圧を入力した場合(例えば電気機器の定格が100Vに対して、200V系電源コンセントへの誤挿入等)に、待機電源回路および主電源回路を保護するための構成が記載されている。特許文献1の図1〜図7では、入力交流電圧が過電圧(電圧が所定値以上)であることを検出した場合に、メインスイッチ31をオフ状態とすることにより、主電源回路および待機電源回路に過電圧が与えられないようにしている。具体的には、メインスイッチ31はソレノイド式のスイッチであり、巻線31−2に電流を流すことによってスイッチ31−1をオフ状態にするものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、入力交流電圧が過電圧であるときに、主電源回路および待機電源回路の両方をオフ状態にしているので、マイコン8は電源電圧が供給されなくなり、オフ状態になってしまう。マイコンがオフ状態になると、ユーザーに電源電圧が過電圧であることを告知できないという問題がある。
【0006】
また、過電圧および低電圧の両方を検出可能な電源回路が望まれている。しかし、特許文献1の構成に、図3の構成を単に組み合わせる回路は、きわめて複雑になり、低電圧時にオフさせるスイッチ7と、過電圧時にオフさせるスイッチ31とは異なる。そのため、マイコン8を介してそれぞれのスイッチをオフすることにより、マイコンが過電圧または低電圧であることを認識し、ユーザーに告知するためには、マイコン8は、過電圧の検出信号を入力する端子、低電圧の検出信号を入力する端子、過電圧時にソレノイド式のスイッチをオフする電圧を出力する端子B3および低電圧時にリレー7をオフする電圧を出力する端子が必要である。従って、マイコンの端子数がきわめて多くなり、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2000−116028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、きわめて簡単な回路構成で、低電圧および過電圧の両方を検出し対処することができる電源回路を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、過電圧検出時にマイコンを停止させることなく、主電源回路を保護する電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態による電源回路は、入力電圧が与えられ、主回路を動作させる電圧を生成する主電源回路と、入力電圧が与えられ、制御手段を動作させる電圧を生成する待機電源回路と、オフ状態になることによって該主電源回路をオフ状態にし、オン状態になることにより該主電源回路をオン状態にする切換回路と、該待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下であることを検出する低電圧検出回路と、該待機電源回路からの電圧が第2の所定値以上であることを検出する過電圧検出回路と、該低電圧検出回路からの信号に基づいて該切換回路をオフ状態にする信号を出力し、かつ、該過電圧検出回路からの信号に基づいて該切換回路をオフ状態にする信号を出力する主電源制御端子を有する制御手段とを備える。
【0010】
本実施形態の電源回路によると、主電源制御端子が、低電圧検出回路からの検出信号に基づいて切換回路をオフするための信号を出力する端子と、過電圧検出回路からの検出信号に基づいて切換回路をオフするための信号を出力する端子とを兼ねている。従って、制御手段の出力端子数を削減することができる。言い換えると、制御手段は、低電圧検出回路からの検出信号が入力されても、過電圧検出回路からの検出信号が入力されても同じ切換回路をオフ状態にしている。切換回路をオフする動作は、過電圧時に主電源回路および主回路を保護するために主電源回路をオフする動作と、低電圧時にリレー回路の巻線に流れる電流を遮断し、待機電源回路からの電圧をできるだけ長い間制御手段に与える動作とを兼ねているからである。従って、きわめて簡単な回路構成で、入力電圧の低電圧および過電圧の両方に対応可能な電源回路を得ることができる。
【0011】
また、過電圧検出回路が、主電源回路からの出力電圧が過電圧であるか否かを検出する場合には、過電圧を検出した時には、既に主電源回路が破損している可能性がある。しかし、本発明では、過電圧検出回路は、主電源回路からの出力電圧ではなく、待機電源回路からの出力電圧が過電圧であるか否かを検出している。そのため、主電源が破損する前に、入力電圧が過電圧であることを検出し、主電源回路をより確実に保護することができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記制御手段は、上記低電圧検出回路からの信号、および上記過電圧検出回路からの信号が与えられる電圧検出端子をさらに有する。
【0013】
電圧検出端子が、低電圧検出回路からの検出信号が与えられる端子と、過電圧検出回路からの検出信号が与えられる端子とを兼ねている。従って、制御手段の入力端子数を削減することができる。制御手段は、低電圧検出回路からの検出信号が与えられた場合も、過電圧検出回路からの検出信号が与えられた場合も、主電源制御端子からは切換回路をオフするための同一の信号を出力すればよいからである。すなわち、本発明では、制御手段は、入力された検出信号が低電圧検出回路からの検出信号であるのか、過電圧検出回路からの検出信号であるのかを区別する必要がないからである。従って、さらに簡単な回路構成で、入力電圧の低電圧および過電圧の両方に対応できる電源回路を得ることができる。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記低電圧検出回路は、前記待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下であるときに、前記電圧検出端子にローレベルの電圧を与える。上記過電圧検出回路は、上記待機電源回路からの電圧が第2の所定値以上であるときに、前記電圧検出端子にローレベルの電圧を与える。
【0015】
待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下である場合には、低電圧検出回路からローレベルの電圧が電圧検出端子に与えられ、第2の所定値以上である場合には、過電圧検出回路からローレベルの電圧が電圧検出端子に与えられるので、制御手段はローレベルの電圧が電圧検出端子に与えられたとき、入力電圧が低電圧または過電圧であると判断することができる。従って、ローレベルの電圧が与えられたとき、制御手段は切換回路をオフするための信号を出力できる。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記過電圧検出回路は、上記電圧検出端子と接地電位との間に接続されたトランジスタと、該トランジスタの制御電極と上記待機電源回路の出力端との間に接続されたツェナーダイオードとを有する。上記低電圧検出回路は、その入力端が該待機電源回路の出力端に接続され、その出力端が該電圧検出端子に接続されている。
【0017】
従って、低電圧検出回路と過電圧検出回路とは、待機電源回路の出力端と電圧検出端子との間に並列に接続されている。そのため、待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下の場合は、低電圧検出回路から電圧検出端子にローレベルの電圧が与えられる。待機電源回路からの電圧が第2の所定値以上の場合は、ツェナーダイオードがオン状態になり、トランジスタがオン状態になり、電圧検出端子が接地電位に接続される。つまり、電圧検出端子にローレベルの電圧が与えられる。制御手段は、ローレベルの電圧が与えられたとき、切換回路をオフするための信号を出力する。
【0018】
好ましい実施形態においては、上記制御手段は、上記低電圧検出回路からの信号が与えられる低電圧検出端子と、上記過電圧検出回路からの信号が与えられる過電圧検出端子とをさらに有する。
【0019】
制御手段は低電圧検出回路からの検出信号が与えられる端子と、過電圧検出回路からの検出信号が与えられる端子とを独立して有している。そのため、制御手段は、低電圧検出回路から検出信号が与えられた場合と、過電圧検出回路から検出信号が与えられた場合とを区別することができる。従って、制御手段は、操作者に入力電圧が過電圧であるのか、低電圧であるかのを区別して告知することができる。例えば、表示部に過電圧である旨または低電圧である旨を表示できる。あるいは過電圧と低電圧とで異なる警告音を発することができる。さらに、制御手段は、過電圧であるときは過電圧時に必要な処理のみを実行し、低電圧時には低電圧時に必要な処理のみを実行できるので、無駄な処理を省くことができる。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態による電源回路は、入力電圧が与えられ、主回路を動作させる電圧を生成する主電源回路と、入力電圧が与えられ、制御手段を動作させる電圧を生成する待機電源回路と、スイッチがオフ状態になることにより該主電源回路をオフ状態にし、該スイッチがオン状態になることにより該主電源回路をオン状態にする切換回路と、該待機電源回路からの電圧が所定値以上であることを検出する過電圧検出回路と、該過電圧検出回路からの信号が与えられることにより、該切換回路のスイッチをオフ状態にする信号を出力する制御手段とを備える。該主電源回路は、該スイッチの後段に接続されており、該待機電源回路は、該スイッチの前段に接続されている。該過電圧検出回路が該待機電源回路からの電圧が所定値以上であることを検出した場合に、該スイッチが該制御手段によってオフ状態にされることにより、該主電源回路はオフ状態になり、該待機電源回路はオン状態を維持する
【0021】
本発明の電源装置は、主電源回路が切換回路のスイッチの後段に接続され、待機電源回路が切換回路のスイッチの前段に接続されているので、切換回路のスイッチをオフ状態にすることにより、主電源回路はオフ状態になり、待機電源回路はオン状態を維持する。主電源回路は容量の大きいコンデンサを備えているので、過電圧によって主電源回路が破損する可能性が高いが、本発明では、過電圧時に主電源回路をオフ状態にし、破損を防止できる。一方、待機電源回路はオン状態を維持するので、制御手段は待機電源回路からの電圧によって動作し続けることができる。マイコンが動作し続けることにより、操作者に過電圧であることを告知し続づけることができる。待機電源回路が出力する直流電圧は低く、消費電力も小さいので、主電源回路と異なりオフ状態にしなくても、破損する可能性はきわめて低い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電源回路は、主電源制御端子が、低電圧検出回路からの検出信号に基づいて切換回路をオフするための信号を出力する端子と、過電圧検出回路からの検出信号に基づいて切換回路をオフするための信号を出力する端子とを兼ねているので、制御手段の出力端子数を削減することができる。従って、きわめて簡単な回路構成で、過電圧および低電圧の両方に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による電源回路1を説明するための概略回路図である。電源回路1は、待機電源回路2、主電源回路3、マイコン用電源回路4、制御手段5、低電圧検出回路6および過電圧検出回路7を備える。
【0024】
待機電源回路2は、主に待機状態(主電源回路がオフ状態で、待機電源回路がオンの状態)の時に、制御手段(例えばマイコン)5および/または図示しないマイコン5の周辺回路(例えば、リモコン信号受光回路および表示回路等)に電圧を供給するための回路である。待機電源回路2は、トランス8および整流回路9を備えている。トランス8は、その一次側巻線が商用交流電源に接続され(入力交流電圧が与えられ)、一次巻線と二次巻線との巻数比に基づいて入力交流電圧を所定の電圧に変換して整流回路9に与える。整流回路9は、トランス8からの電圧を整流および平滑して直流電圧V1を生成する。整流回路9は、全波整流回路D1、コンデンサC1および抵抗R1を含む。コンデンサC1は、主に待機時にマイコン5に与えるための電圧を充電するものであるので、容量の小さいものが採用されている。
【0025】
主電源回路3は、電源回路1の出力端に接続される主回路10(電源供給先の回路であり例えばアンプ回路等)に電圧を供給するための回路である。主電源回路3は、トランス11および整流回路12を備えている。トランス11は、商用交流電源に接続され(入力交流電圧が与えられ)、一次巻線と二次巻線との巻数比に基づいて、入力交流電圧を所定の電圧に変換して整流回路12に与える。整流回路12は、トランス11からの電圧を整流および平滑して、直流電圧V3を生成する。整流回路12は、全波整流回路D2およびコンデンサC2を含む。コンデンサC2は、主回路10およびマイコン5に与えるための電圧を充電するので、容量が大きいものが採用されている。トランス11の一次側には切換回路13が設けられている。切換回路13は、主電源回路3のオンおよびオフを切り換えるものであり、代表的にはリレー回路が採用されている。リレー回路13は、スイッチ13Aおよび巻線13Bを含む。スイッチ13Aは、一端が商用交流電源とトランス8との間に、他端がトランス11に接続されている。すなわち、主電源回路3はスイッチ13Aの後段に、待機電源回路2はスイッチ13Aの前段に接続されている。スイッチ13Aをオフ状態にすると、主電源回路3のみがオフ状態になり、待機電源回路2はオン状態を維持する。そのため、過電圧時にスイッチ13をオフ状態にしても、待機電源回路2はオン状態であるので、マイコン5に電圧を与え続けることができる。巻線13Bの一端は整流回路9の出力端に接続され、他端はリレードライブ用のトランジスタQ1のコレクタに接続されている。トランジスタQ1は、ベースが抵抗R7を介してマイコン5の主電源制御端子cに接続され、エミッタが接地されている。
【0026】
マイコン用電源回路4は、待機電源回路2および/または主電源回路3からの電圧を受けて、マイコン5に電圧を与える回路である。マイコン用電源回路4は、逆電流防止用のダイオードD3、D4、コンデンサC3および安定化回路14を備える。コンデンサC3にはマイコン5に与えるための電圧が充電される。待機時には待機電源回路2のみからコンデンサC3に電圧が充電され、通常動作時(主電源回路3のオン時)には(待機電源回路2および)主電源回路3からコンデンサC3に電圧が充電される。主電源回路3からの電圧を充電するので、コンデンサC3は容量の大きいものが採用されている。安定化回路14は、コンデンサC3からの電圧が与えられ、マイコン5の動作に必要な安定化直流電圧を生成する。安定化回路14の出力端は、マイコン5の電圧入力端子aに接続されている。
【0027】
制御手段5は、電源回路1から電源電圧が供給される電気機器全体を制御するものであり、代表的にはマイコン(micro computer)が採用され得る。マイコン5は、入力交流電圧が低電圧または過電圧であると判断した場合に、主電源回路3をオフ状態にするよう制御する。具体的には、リレー回路13をオフ状態にするための信号(例えば、ローレベルの電圧)を出力する。マイコン5は、電圧入力端子a、電圧検出端子bおよび主電源制御端子cを備える。電圧入力端子aは、マイコン用電源回路4からマイコン5を動作するために必要な電圧が与えられる端子である。電圧検出端子bは、低電圧検出回路6から入力交流電圧が低電圧であることを示す信号が与えられ、かつ、過電圧検出回路7から入力交流電圧が過電圧であることを示す信号が与えられる端子である。すなわち、電圧検出端子bは、低電圧であることを示す信号が与えられる端子と、過電圧であることを示す信号が与えられる端子とを兼ねている。従って、マイコン5の端子数を削減することができる。ここで、低電圧または過電圧を示す信号とは、例えばローレベルの電圧(例えば、2V以下)である。主電源制御端子cは、主電源回路3のオンオフを制御するための(リレー回路13をオフするための)信号(ローレベルの電圧)を出力する端子である。主電源制御端子cは、低電圧検出回路6からの信号に基づいてリレー回路13をオフする信号を出力する端子と、過電圧検出回路7からの信号に基づいてリレー回路13をオフするための信号を出力する端子とを兼ねている。従って、マイコン5の出力端子数を削減することができる。
【0028】
低電圧検出回路6は、入力交流電圧が低電圧であることを検出する。より具体的には、低電圧検出回路6は、待機電源回路2からの電圧が低電圧であることを検出する。すなわち、低電圧検出回路6は、待機電源回路2からの電圧が第1の所定値以下であることを検出する。第1の所定値は、マイコン5が待機電源2からの電圧が低電圧であると判断する基準となる電圧値であり、後述するツェナーダイオードD5およびダイオードD6によって設定され得る(第1の所定値は、例えば7.5Vである)。低電圧検出回路6は、待機電源回路2からの電圧が第1の所定値以下であることを検出すると、マイコン5に入力交流電圧が低電圧であることを示す検出信号(ローレベルの電圧)を与える。ローレベルの電圧は、後述する抵抗R2〜R4によって設定され得る(例えば、2Vである)。低電圧検出回路6は、整流回路9の出力端とマイコン5の電圧検出端子bとの間に接続されている。低電圧検出回路6は、低電圧検出手段および検出信号生成手段を有する。低電圧検出手段は、ツェナーダイオードD5およびダイオードD6を含み、待機電源回路2からの電圧が低電圧であることを検出して、マイコン5の電圧検出端子bに与える電圧をローレベルに切り換えるものである。検出信号生成手段は、抵抗R2およびR3を含み、検出信号(ローレベルの電圧)を生成するものである。すなわち、抵抗R2、R3の抵抗値は安定化回路14からの電圧を抵抗R4と共に分圧して、マイコン5の電圧検出端子bにローレベルを与えるように設定されている。ツェナーダイオードD5は、カソードが整流回路9に接続され、アノードが抵抗R2を介して接地されている。ダイオードD6は、カソードがツェナーダイオードD5のアノードと抵抗R2との間に接続され、アノードが抵抗R3を介してマイコン5の電源検出端子bに接続されている。コンデンサC4は一端がダイオードD6のアノードと抵抗R3との間に接続され、他端が接地されている。抵抗R3は、抵抗R4を介して安定化回路14の出力端に接続されている。
【0029】
過電圧検出回路7は、入力交流電圧が過電圧であることを検出する。より具体的には、過電圧検出回路7は、待機電源回路2からの電圧が過電圧であることを検出する。すなわち、過電圧検出回路7は、待機電源回路2からの電圧が第2の所定値以上であることを検出する。第2の所定値は、マイコン5が待機電源2からの電圧が過電圧であると判断する基準となる電圧値であり、後述するツェナーダイオードD7のツェナー電圧およびトランジスタQ2の導通開始電圧によって設定され得る(第2の所定値は、例えば15Vである)。過電圧検出回路7は、待機電源回路2からの電圧が第2の所定値以上であることを検出すると、マイコン5に入力交流電圧が過電圧であることを示す検出信号(ローレベルの電圧)を与える。ローレベルの電圧は、接地電位(0V)である。過電圧検出回路7は、整流回路9の出力端とマイコン5の電圧検出端子bとの間に(低電圧検出回路6と並列に)接続されている。この構成によって、低電圧検出および過電圧検出にマイコン5の電圧検出端子bを兼用しているので、マイコン5の入力端子数を削減することができる。過電圧検出回路7は、信号切換手段および過電圧検出手段を含む。信号切換手段は、スイッチ素子(例えば、トランジスタQ2)を含み、待機電源回路2からの電圧が過電圧である場合に、マイコン5の電圧検出端子bに与える電圧を、過電圧であることを示す電圧(ローレベル)に切り換える。過電圧検出手段は、ツェナーダイオードD7を含み、待機電源回路2からの電圧が第2の所定値以上であることを検出し、トランジスタQ2の制御電極に与える電位を制御する。過電圧検出回路4は、抵抗R5、R6をさらに有する。ツェナーダイオードD7は、カソードが整流回路9と低電圧検出回路6の入力端との間に接続され、アノードが抵抗R5を介して接地され、かつ、抵抗R6を介してトランジスタQ2のベースに接続されている。トランジスタQ2は、コレクタが低電圧検出回路6の出力端とマイコン5の電圧検出端子bとの間に接続され、エミッタが接地されている。過電圧検出回路7は、待機電源回路2からの電圧V1が過電圧である場合に、トランジスタQ2がオン状態となり、マイコン5の電圧検出端子bを接地することにより、ローレベルの電圧を与える。
【0030】
電源回路1の動作を説明する。なお、待機電源回路2からの出力電圧をV1、安定化回路14の出力電圧をV2とする。待機時(リレー回路13がオフの状態)において、マイコン5は、主電源回路3をオンするためのリモコン信号を受けると、主電源制御端子cからハイレベルの電圧を出力し、トランジスタQ1をオン状態にする。そのため、リレー回路13がオン状態になり、主電源回路3がオン状態になる。
【0031】
ここで、電源回路1に正常な(低電圧でも過電圧でもない)交流電圧が入力されている、すなわち待機電源回路2からの電圧V1が第1の所定値より大きく第2の所定値未満(例えば10V)である場合について説明する。低電圧検出回路6については、電圧V1がツェナーダイオードD5のツェナー電圧以上であり、ツェナーダイオードD5がオン状態である。ダイーオードD6は逆方向電圧が与えられる(カソード側の電位が高くなる)ので、ダイオードD6には電流が流れない。そのため、マイコン5の電圧検出端子bに与えられる電圧は、安定化回路14の出力電圧V2(ハイレベルの電圧であり例えば5V)である。過電圧検出回路7については、ツェナーダイオードD7のツェナー電圧をVz7とすると、V1はVz7とトランジスタQ2の導通開始電圧との和より小さく、ツェナーダイオードD7はオフ状態である。トランジスタQ2は、ベース電位が接地電位であり、ベースエミッタ間電圧VBE2が導通開始電圧未満であるので、オフ状態である。そのため、マイコン5の電圧検出端子bに与えられる電圧は、安定化回路14の出力電圧V2(ハイレベルの電圧であり例えば5V)である。すなわち、低電圧検出回路6も過電圧検出回路7も低電圧または過電圧を検出していない。従って、マイコン5は、入力交流電圧が正常である(低電圧でも過電圧でもない)と判断し、主電源制御端子cからハイレベルの電圧を出力し続ける。そのため、トランジスタQ1は、ベース電流が流れオン状態となっており、リレー回路13の巻線13Bに電流が流れ、スイッチ13Aはオン状態となっている。その結果、主電源回路3はオン状態を維持する。
【0032】
次に、待機電源回路2からの電圧V1が第1の所定値以下(例えば7.5V)である(入力交流電圧が低電圧である)場合について説明する。過電圧検出回路7については、先述の正常な電圧時と同様に、トランジスタQ2がオフ状態であり、過電圧を検出していない。低電圧検出回路6については、電圧V1が低下すると、電圧V1がツェナーダイオードD5のツェナー電圧より小さくなり、ツェナーダイオードD5がオフ状態になる。ダイオードD6は、順方向電圧が与えられ(アノード電位がカソード電位より高くなり)、電流が流れる。そのため、マイコン5の電圧検出端子bに与えられる電圧は、抵抗R2、R3、R4によって分圧され、(R2+R3)V2/R2+R3+R4となる(ローレベルの電圧、例えば2Vになる)。すなわち、低電圧検出回路6は、待機電源回路2からの電圧V1が第1の所定値以下であることを検出し、電圧検出端子bにローレベルの電圧を与える。従って、マイコン5は、入力交流電圧が正常ではない(低電圧または過電圧である)と判断し、主電源制御端子cからローレベルの電圧を出力する。そのため、トランジスタQ1はオフ状態となり、リレー回路13の巻線13Bに流れる電流が遮断される。そのため、スイッチ13Aはオフ状態となり、主電源回路3はオフ状態となる。従って、巻線13Bに流れる電流を遮断できるので、コンデンサC1に充電された電圧が完全に放電しきるまでの時間が長くなり、マイコン5は処理内容の全てをより確実にメモリに保存できる。さらに、マイコン5は、低電圧または過電圧であることを操作者に例えば図示しない表示部に表示することによって告知する。
【0033】
次に、待機電源回路2からの電圧V1が第2の所定値以上(例えば、15V)である(入力交流電圧が過電圧である)場合について説明する。低電圧検出回路6については、先述の正常な電圧時と同様に、ツェナーダイオードD5がオン状態であり、ダイオードD6に電流が流れておらず、低電圧を検出していない状態である。過電圧検出回路7については、電圧V1が上昇してツェナーダイオードD7のツェナー電圧Vz7とトランジスタQ2の導通開始電圧との和以上になると、ツェナーダイオードD7がオン状態となる。そして、トランジスタQ2のベースエミッタ間電圧VBE2が導通開始電圧以上になり、トランジスタQ2がオン状態になる。そのため、マイコン5の電圧検出端子bはトランジスタQ2を介して接地された状態になる。すなわち、過電圧検出回路7は、待機電源回路2からの電圧が第2の所定値以上であることを検出し、電圧検出端子bにローレベル(0V)の電圧を与える。従って、マイコン5は、入力交流電圧が正常ではない(低電圧または過電圧である)と判断し、主電源制御端子cからローレベルの電圧を出力する。そのため、トランジスタQ1はオフ状態となり、リレー回路13の巻線13Bに流れる電流が遮断される。そのため、スイッチ13Aはオフ状態となり、主電源回路3はオフ状態となる。従って、主電源回路3および主回路10が過電圧によって破損することを防止できる。さらに、マイコン5は、待機電源回路2からの電圧によって、低電圧または過電圧であることを操作者に例えば図示しない表示部に表示することによって告知する。
【0034】
以上のように、電源回路1は、マイコン5が電圧検出端子bおよび主電源制御端子cの2つの端子を備えるだけで、入力交流電圧が低電圧であることを検出しリレー回路13をオフする動作と、入力交流電圧が過電圧であることを検出しリレー回路13をオフする動作とを実現することができる。しかも、図3の回路と比較して、ツェナーダイオードD7、トランジスタQ2および抵抗R5、R6を追加するだけでよいので、きわめて簡単な回路構成で低電圧および過電圧に対応できる。
【0035】
次に、本発明の別の好ましい実施形態について説明する。図2は、本実施形態の電源回路201を説明する概略回路図であるが、図1と同一箇所には同一の符号を付し説明を省略する。電源回路201では、マイコン5は、電圧検出端子bに代えて、低電圧検出端子b1および過電圧検出端子b2を有する。低電圧検出回路6の出力端(すなわち、抵抗R3)は、低電圧検出端子b1に接続されている。過電圧検出回路7の出力端(すなわち、トランジスタQ2のコレクタ)は、過電圧検出端子b2に接続され、かつ、抵抗R8を介して安定化回路14の出力端に接続されている。待機電源回路2からの電圧が第1の所定値以下になると、低電圧検出回路6からローレベルの電圧がマイコン5の低電圧検出端子b1に与えられ、主電源制御端子cからローレベルの電圧がトランジスタQ1のベース与えられる。一方、待機電源回路2からの電圧が第2の所定値以上になると、過電圧検出回路7からローレベルの電圧がマイコン5の過電圧検出端子b2に与えられ、主電源制御端子cからローレベルの電圧がトランジスタQ1のベース与えられる。このように、低電圧検出回路6からの検出信号が与えられる端子と、過電圧検出回路7からの検出信号が与えられる端子とが独立して設けられている。そのため、マイコン5はローレベルの電圧が入力されたとき、入力交流電圧が低電圧であるのか、過電圧であるのかを区別することができる。従って、操作者に低電圧または過電圧であることを区別して告知(表示、警告音等)でき、かつ、低電圧時の処理または過電圧時の処理のみを実行することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、図1の回路構成において、過電圧検出回路7のみを有し、低電圧検出回路6を有さない回路構成であってもよい。また、電圧検出端子bは、マイコンのPOFF端子であってもよい。すなわち、POFF端子にローレベルの電圧が入力されると、処理内容をメモリに記憶しスリープモードとなり、その後、ハイレベルの電圧が入力されると、スリープモードから復帰し処理内容をメモリから読み出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、オーディオ・ビジュアル装置(AVアンプまたはTV等)を代表とする各種電子機器の電源回路に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好ましい実施形態による電源回路を示す概略回路図である。
【図2】本発明の別の好ましい実施形態による電源回路を示す概略回路図である。
【図3】従来の電源回路を示す概略回路図である。
【符号の説明】
【0039】
1 電源回路
2 待機電源回路
3 主電源回路
5 制御手段
6 低電圧検出回路
7 過電圧検出回路
13 切換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が与えられ、主回路を動作させる電圧を生成する主電源回路と、
入力電圧が与えられ、制御手段を動作させる電圧を生成する待機電源回路と、
オフ状態になることにより該主電源回路をオフ状態にし、オン状態になることにより該主電源回路をオン状態にする切換回路と、
該待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下であることを検出する低電圧検出回路と、
該待機電源回路からの電圧が第2の所定値以上であることを検出する過電圧検出回路と、
該低電圧検出回路からの信号に基づいて該切換回路をオフ状態にする信号を出力し、かつ、該過電圧検出回路からの信号に基づいて該切換回路をオフ状態にする信号を出力する主電源制御端子を有する制御手段とを備える、電源回路。
【請求項2】
前記制御手段が、前記低電圧検出回路からの信号および前記過電圧検出回路からの信号が与えられる電圧検出端子をさらに有する、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記低電圧検出回路が、前記待機電源回路からの電圧が第1の所定値以下であるときに、前記電圧検出端子にローレベルの電圧を与え、
前記過電圧検出回路が、前記待機電源回路からの電圧が第2の所定値以上であるときに、前記電圧検出端子にローレベルの電圧を与える、請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記過電圧検出回路が、前記電圧検出端子と接地電位との間に接続されたトランジスタと、該トランジスタの制御電極と前記待機電源回路の出力端との間に接続されたツェナーダイオードとを有し、
前記低電圧検出回路が、その入力端が該待機電源回路の出力端に接続され、その出力端が該電圧検出端子に接続されている、請求項2または3に記載の電源回路。
【請求項5】
前記制御手段が、前記低電圧検出回路からの信号が与えられる低電圧検出端子と、前記過電圧検出回路からの信号が与えられる過電圧検出端子とをさらに有する、請求項1に記載の電源回路。
【請求項6】
入力電圧が与えられ、主回路を動作させる電圧を生成する主電源回路と、
入力電圧が与えられ、制御手段を動作させる電圧を生成する待機電源回路と、
スイッチがオフ状態になることにより該主電源回路をオフ状態にし、該スイッチがオン状態になることにより該主電源回路をオン状態にする切換回路と、
該待機電源回路からの電圧が所定値以上であることを検出する過電圧検出回路と、
該過電圧検出回路からの信号が与えられることにより、該切換回路のスイッチをオフ状態にする信号を出力する制御手段とを備え、
該主電源回路が、該スイッチの後段に接続されており、
該待機電源回路が、該スイッチの前段に接続されており、
該過電圧検出回路が該待機電源回路からの電圧が所定値以上であることを検出した場合に、該スイッチが該制御手段によってオフ状態にされることにより、該主電源回路がオフ状態になり、該待機電源回路がオン状態を維持する、電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−40651(P2006−40651A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216739(P2004−216739)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】