電源投入制御回路
【課題】情報処理装置の回路に故障があった場合には、電源投入直後に給電を停止させることにより装置の保護及び安全を図ることができる電源投入制御回路を提供する。
【解決手段】電源投入制御回路1は、電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置2に接続され、主電源としてその直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられており、電源装置2に対し電源投入信号32を出力する出力回路3と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマー5と、主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路4と、を備える。所定時間が計時されるまでに主電源監主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源装置に直流電源の供給を停止させる。更に、主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを備えることができる。
【解決手段】電源投入制御回路1は、電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置2に接続され、主電源としてその直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられており、電源装置2に対し電源投入信号32を出力する出力回路3と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマー5と、主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路4と、を備える。所定時間が計時されるまでに主電源監主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源装置に直流電源の供給を停止させる。更に、主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを備えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源投入制御回路に関し、詳しくは、情報処理装置の電源又は電子回路に故障があった場合には、電源投入の直後に給電を停止することにより装置の保護及び安全を図ることができる電源投入制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)のマザーボードや周辺装置等の電子回路は、多種類の直流電源によって動作している。このため、通常、PC等には複数の直流電源を供給する電源装置を備え、その電源装置から負荷となる各電子回路に複数の電源を供給するように構成されている。これに使用される電源装置として、ATX電源(ATX Specification Version 2.2、及びATX12V Power Supply Design Guide Version 2.2を参照)が広く知られており、マザーボードや周辺回路上のマイクロプロセッサやメモリ、入出力、ビデオ、ハードディスクドライブ等に電源が供給される。さらに、回路各部に対して、電源装置から供給される直流電源を更に降圧等して専用の電源系が設けられる場合も多い。
【0003】
複数の直流電源(電圧源)を使用する際には、電源装置や負荷となる回路に故障を生じた場合の電子回路の保護が問題となる。例えば、複数の電圧源から電圧を印加すべき回路において、少なくともいずれか1つの電圧源から電圧が印加されない場合には回路に不所望な電圧が印加されることになって、回路が破壊されるという問題がある。この回路の破壊を抑制するために、電圧値が一定値以上かどうか等に基づいて各電圧源から回路に電圧印加可能か否かを判定し、いずれかの電圧源から回路に電圧印加不可能と判定した場合には回路への電圧印加を阻止する回路保護装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、装置の電源投入処理時間を監視することによってその装置の故障を判断する手法がある。例えば、複数の装置によって構成される情報処理システムにおいて、各装置について電源投入時から電源投入動作終了までの投入処理時間を監視し、記憶されている正常時の投入処理時間より投入処理時間の計測値が大となったときに、その装置が異常であると判定する電源投入監視システムが開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311773号公報
【特許文献2】特開平2−266410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のとおり、PC等情報処理装置内の電子回路において使用される電源が多種類となるに伴い、PC等に備えられた電源装置及び電子回路のいずれかの部分に故障が生じた場合の保護及び安全が重要な問題となる。故障によって電子回路が破壊されるに止まらず、使用部品の発煙や発火等の事故を招く場合があるからである。
前記特許文献1に示されている回路保護装置を使用すれば、複数の電源を使用する回路に不所望の電源が印加されることによる回路の破壊を防ぐことができる。しかしながら、多様な回路を対象として故障時の安全を期するためには、広範に適用可能な手法が必要である。
また、前記特許文献2に記載されているように、情報処理装置の電源投入時から電源投入動作終了までの投入処理時間を監視することによって、当該装置の故障を認識することができる。しかし、装置内の電子回路の故障による発煙や発火を防止するという目的のためには、装置内部において異常を最短時間で検出し、異常を検出したときは直ちに電源を切断するようにすることが必要である。
電源及び電子回路のいかなる部分においても故障が生じる可能性があり、故障の態様もさまざまである。故障によって電子回路内に異常な電流が生じると、極めて短時間(例えば1秒程度)で発煙や発火に至る場合がある。したがって、電源投入直後において、一般には電子回路の初期化の段階で、故障の可能性がある場合には直ちに電子回路への電源供給を停止することが要求される。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑み、情報処理装置の電源又は電子回路に故障があった場合には、電源投入の直後に給電を停止することにより装置の保護及び安全を図ることができる電源投入制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、第1の発明は、入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、前記電源装置に対し前記電源投入信号を出力する出力回路と、前記電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、前記主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、を備え、前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
【0009】
第3の発明は、上記第1の発明において、前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、を更に備え、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源監視回路から前記副電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
第4の発明は、上記第3の発明において、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
【0010】
第5の発明は、上記第2乃至4のいずれかの発明において、前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、前記所定値として該論理回路素子の閾値を用いることを要旨とする。
【0011】
第6の発明は、上記第1乃至4のいずれかの発明において、前記電源装置は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視回路は、前記電源装置から出力される前記電源正常信号を前記主電源正常信号として用いることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明の電源投入制御回路によれば、電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、電源装置に対し電源投入信号を出力する出力回路と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、主電源が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、を備え、タイマーにより所定時間が計時されるまでに主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより電源装置に直流電源の供給を停止させるため、負荷回路への最短の通電時間で電源系の異常を検出することができ、予測されない故障があった場合にも故障部位を問わず総合的に負荷回路の発煙や発火等の事故を防止することが可能になる。また、少ない部品数で簡単に回路を構成することができ、複雑な制御処理を必要としない。
第2の発明によれば、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに主電源正常信号が出力されなかった場合には電源投入信号を非活性にするため、主電源の電圧が所定値を越えて立ち上がり始めてからの最短時間で、精度よく電源系の異常を検出することができる。すなわち、主電源の立ち上がり開始前には発煙や発火等の事故に結び付く可能性が低い。また、例えば電源を切ってから次に電源を投入するまでの時間が短い場合には電源回路に存在する静電容量が放電されていない等により、電源を投入してから主電源が立ち上がるまでの時間は電源投入時の状態によって大幅に変動する。したがって、主電源の立ち上がり開始時を起点にすることによってその変動を除くことができ、異常の有無を精度よく最短時間で検出することが可能になる。
【0013】
第3の発明によれば、前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、各副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、を更に備え、第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの副電源監視回路から副電源正常信号が出力されなかった場合には電源投入信号を非活性にするため、主電源の立ち上がり開始時を起点として副電源の立ち上がり完了までの時間を監視することにより負荷回路の電源系ごとに異常を検出することができ、いずれかの電源系に異常があったときには直ちに主電源を切ることができる。
第4の発明によれば、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源投入信号を非活性にするため、主電源の立ち上がり開始時を起点として主電源及び副電源の立ち上がり完了までの時間を監視することにより、主電源、副電源及び負荷回路の各電源系のいずれに異常があっても検出することができ、いずれかに異常があったときには直ちに主電源を切ることができる。主電源の立ち上がり開始時を起点とするため電源投入時の状態により立ち上がり時間が変動する影響を受けることがなく、電源装置及び負荷回路のすべての電源系について異常を精度よく検出することができる。
【0014】
第5の発明によれば、前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、主電源の立ち上がり開始を判定するための基準値として該論理回路素子の閾値を用いるため、極めて簡単な回路構成により電源投入制御回路を実現することができる。
【0015】
第6の発明によれば、前記電源装置は、供給する直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視回路は、電源装置から出力される電源正常信号を主電源正常信号として用いるため、電源装置としてATX電源等を用いる場合に最小の構成によって電源投入制御回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図面において、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の構成又は部品を示す。
【図1】電源装置と、その電源装置から直流電源(主電源)の供給を受ける負荷回路とからなるシステムの例を表わすブロック図である。
【図2】電源投入制御回路の構成例を表わすブロック図である。
【図3】副電源が備えられる場合の電源投入制御回路の構成例を表わすブロック図である。
【図4】副電源が備えられる場合の、電源投入制御回路の別の構成例を表わすブロック図である。
【図5】主電源の電圧が所定値を越えたかどうかを論理回路素子により検出する例を表わす回路図である。
【図6】主電源正常(又は副電源正常)信号を生成する回路図である。
【図7】図6に示した回路のタイミングチャートである。
【図8】電源投入制御回路の動作を表わすタイミングチャートである。
【図9】電源投入制御回路の別の動作を表わすタイミングチャートである。
【図10】副電源が備えられる場合の電源投入制御回路の動作を表わすタイミングチャートである。
【図11】電源投入制御方法の例を示すフローチャートである。
【図12】電源投入制御方法の別の例を示すフローチャートである。
【図13】副電源が備えられる場合の電源投入制御方法の例を示すフローチャートである。
【図14】ATX電源で規定された電源投入時のタイミングを表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)電源投入制御回路の構成
本発明の電源投入制御回路は、入力される電源投入信号に従って直流電源を出力する電源装置と、その電源装置から直流電源の供給を受ける負荷回路とからなるシステムにおいて、その負荷回路側に備えられ、電源装置に対して出力する電源投入信号を制御する。
本電源投入制御回路が適用される負荷回路は特に限定されず、例えば、パーソナルコンピュータ等のマザーボード、CPUを始めメモリ、入出力、ビデオ等の周辺回路、ハードディスクドライブ等周辺装置の制御回路や駆動回路などが挙げられる。
また、前記電源装置は、その電源の出力のオン、オフを制御するための信号(電源投入信号)が備えられている限り、特に限定されない。代表的な電源装置としては、パーソナルコンピュータ等に使用されているATX電源が挙げられる。
【0018】
前記の電源装置と負荷回路とからなるシステムは、例えば図1に示すように構成される。なお、以下の図面及び説明において負論理の信号には符号#を付して表わすが、各信号の論理は限定されるものではない。
電源装置2は商用電源(AC)等の供給を受け、外部から与えられる電源投入信号(PS_ON#)に従って直流電源(DCm)を負荷回路9に供給する。電源投入信号は、負荷回路9から電源装置2に出力するように構成することができる。この電源投入信号は、電源装置2に対して直流電源の入(オン)及び切(オフ)を制御可能な信号であればよく、例えば、電源投入信号PS_ON#が活性(オン)とされている間は負荷回路9に直流電源DCmが出力され、電源投入信号が非活性(オフ)とされている間は負荷回路9に直流電源が出力されないように制御する信号とすることができる。
電源装置2から供給される直流電源DCmの数及び種類は問わず、例えば、規定電圧が+12V、+5V、+3.3V等のうち1以上の電源とすることができる。
【0019】
負荷回路9は、電源装置2から出力される直流電源DCmを主電源として動作する電子回路であり、その内部の回路各部や装置等91に必要な電源が供給される。負荷回路9には、電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源(92a、92b、92c等)を備えることができる。内部回路等91には、電源装置2から出力された直流電源DCmがそのまま供給されてもよいし、副電源により生成された電源が供給されてもよい。
この他、負荷回路9には、電源装置2の直流電源がオフされている間の電源制御回路用に待機電源(VS)が供給されている。
【0020】
図2は、上記負荷回路9に備えられる本電源投入制御回路の構成例を表わす。電源投入制御回路1は、電源装置2に対し電源投入信号32を出力する出力回路3と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマー5と、直流電源DCmの電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号PGmを出力する主電源監視回路4と、を備える。電源投入制御回路1は、電源装置2がオフとされている間も待機電源VSが供給されるように構成される。
【0021】
出力回路3は、電源装置2に対して直流電源DCmのオン及びオフを指示する電源投入信号32を出力する回路である。電源投入信号32は電源装置2のPS_ON#端子に接続され、例えば、直流電源DCmの供給を要求する間は電源投入信号32をオンとし、直流電源DCmの供給を停止させる間は電源投入信号32をオフとするように構成することができる。出力回路3には、負荷回路側において電源投入を要求する電源要求信号31(PSon#)が入力されている。電源スイッチ、ソフトウェアによるオン/オフ(soft on/off)、LANによる起動(Wake on LAN)等の要因により電源オンが要求されたとき、電源要求信号31がオンにセットされるように構成することができる。電源要求信号31がオンのときには、出力回路3により電源装置2に対する電源投入信号32がオンとされる。
【0022】
主電源監視回路4は、直流電源DCmの電圧を監視して主電源正常信号(PGm)を生成する回路である。主電源監視回路4は、あらかじめ定められた略規定電圧(Vmh)を基準として、直流電源DCmの電圧がVmh以上であるとき主電源正常信号PGmをオンとするように構成することができる。すなわち、主電源正常信号PGmは当該直流電源DCmが正常に出力されていることを示す信号となる。そのため、基準となる略規定電圧Vmhは、各直流電源DCmについて規定された電圧範囲の最低レベルとすることができる。例えば、直流電源DCmの出力電圧が(+12V±5%)と規定されている場合、その略規定電圧Vmhは+12Vの95%の電圧とすることができる。ただし、本電源投入制御回路は、電源系回路に異常があった場合の保護・安全を目的としているため、略規定電圧Vmhは更に低い値(例えば、規定電圧の90%)としてもよい。直流電源DCmが複数である場合、主電源監視回路4はそれぞれの直流電源について備えることができる。
【0023】
電源装置2がATX電源である場合には、供給する直流電源の電圧が規定電圧の95%以上となっていることを示す電源正常信号(PWR_OK)の出力が備えられている。そのような場合には、主電源監視回路4として、基準電圧と比較して主電源正常信号PGmを生成する回路を設ける必要はなく、ATX電源から出力される電源正常信号PWR_OKをそのまま主電源正常信号PGmとして用いるように構成することができる。
【0024】
前記タイマー5は、あらかじめ定められた時間(Ta)を計時するためのタイマー回路であり、出力回路3及び主電源監視回路4と接続されている。具体的な回路構成及び計時方法は特に限定されず、例えば、静電容量の充電特性等を利用したタイマーであってもよいし、デジタルカウンタ等が用いられてもよい。
タイマー5は、電源装置2に電源投入を指示したとき、すなわち出力回路3から出力される電源投入信号32がオンに変化したときに計時を開始し、主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2に電源投入を指示してから所定時間Ta内に直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなったかどうか、を監視することができる。タイマー5は、所定時間Ta内に主電源正常信号PGmが到来しなかった場合には、出力信号TOaをオンにセットするように構成することができる。そしてタイマー5の出力信号TOaを出力回路3に送ることにより、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0025】
上記電源投入制御回路1は、直流電源DCmの電圧があらかじめ定められた基準電圧(Vml)を越えたときに計時を開始する第2タイマー6を備えることができる。
第2タイマー6は、図2に示すように、直流電源DCmの電圧を基準電圧Vmlと比較する比較回路61を備える。比較回路61は、ヒステリシス特性を有する比較器を用いて、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを超えているとき主電源出力開始信号(PU)を出力するように構成することができる。これにより、第2タイマー6は、主電源出力開始信号PUによって計時を開始し、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。
【0026】
上記の基準電圧Vmlは、直流電源DCmの立ち上り開始時の一定の電圧、例えば、直流電源DCmの規定電圧の10%の電圧とすることができる。ただし、本電源投入制御回路は電源系回路に異常があった場合の保護・安全を目的としているため、基準電圧によって主電源の立ち上がりの開始が判断されればよく、基準電圧Vmlを更に高い値(例えば、規定電圧の10〜50%、好ましくは10〜35%)としてもよい。直流電源DCmが複数である場合、第2タイマー6はそれぞれの直流電源について備えることができる。
【0027】
上記のとおり、基準電圧Vmlの値は厳密である必要はないため、比較回路61を汎用の論理回路素子によって構成することができる。具体的には図5に示すように、電源装置2から供給される直流電源DCmの電圧に比例した電圧を論理回路素子611に入力し、その論理回路素子611の出力信号から上記主電源出力開始信号PUを生成することができる。この場合、直流電源DCmの電圧に比例した電圧が論理回路素子611の閾値によって比較されることとなる。
例えば、直流電源DCmの規定電圧が+5Vである場合には、直流電源DCmをそのまま論理回路素子611の入力端子に接続することにより、その電圧が論理回路素子611の閾値(Vth)を超えたとき、主電源出力開始信号PUがオンとなるようにすることができる。論理回路素子611の閾値Vthが1.6Vであれば、直流電源DCmが規定電圧5Vの32%を超えたとき主電源出力開始信号PUが出力されることとなり、好適に使用することができる。
【0028】
図2に示すように、上記第2タイマー6は、上記比較回路61から主電源出力開始信号PUが出力されたとき計時を開始し、あらかじめ定められた時間(Tb)が経過したときには出力信号(TOb)を発生するように構成することができる。具体的な計時方法や回路構成は特に限定されず、例えば、静電容量の充電特性等を利用したタイマーであってもよいし、デジタルカウンタ等が用いられてもよい。そして、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2から供給される直流電源DCmが基準電圧Vmlを超えて立ち上がってから所定時間Tb内に略規定電圧Vmhとなったかどうか、を監視することができる。時間Tbは、電源装置及び負荷回路の特性等により、適宜に決めることができる。
第2タイマー6は、所定時間Tb内に主電源正常信号PGmが到来しなかった場合には、出力信号TObをオンにセットするように構成することができる。そして第2タイマー6の出力信号TObを出力回路3に送ることにより、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0029】
電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源92が負荷回路9に設けられている場合にも、本電源投入制御回路は適用することができる。
図3は、負荷回路9上に1つの副電源92が搭載されている場合の構成例を表わす。副電源92は、電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源(DCs)を生成するものである限り、変換方式や生成される電圧は問わない。
電源投入制御回路11は、副電源92により出力される直流電源の電圧を監視する副電源監視回路8を備え、副電源監視回路8は直流電源DCsの電圧が略規定電圧(Vsh)となっているとき副電源正常信号(PGs)を出力するように構成される。この副電源正常信号PGsは、第2タイマー(6c)に入力される。電源投入制御回路11は、主電源正常信号PGmに替わり副電源正常信号PGsが第2タイマー6cに入力されている点を除き、前記電源投入制御回路1と同様に構成されている。
副電源が2以上ある場合には、副電源ごとに、出力される直流電圧が当該副電源の略規定電圧となっているとき副電源正常信号を出力する副電源監視回路を備えることができる。
【0030】
副電源監視回路8により、直流電源DCsが副電源92の略規定電圧Vsh以上である間オンとなる副電源正常信号PGsが出力される。略規定電圧Vshは、直流電源DCsについて規定された電圧範囲の最低レベルとすることができる。例えば、直流電源DCsの電圧が(+5V±5%)と規定されている場合、略規定電圧Vshは+5Vの95%の電圧とすることができる。ただし、主電源についての略規定電圧Vmhの場合と同様に、副電源について略規定電圧Vshを更に低い値(例えば、規定電圧の90%)に設定してもよい。
【0031】
上記副電源監視回路8が負荷回路9上の回路のどこに設けられるかは特に限定されない。例えば、副電源監視回路8は、副電源92に内蔵されていてもよいし、負荷回路上の初期化回路等に備えられていてもよい。すなわち、副電源の制御用IC等から、その副電源の電圧が略規定電圧(Vsh)となっていることを示す信号が出力されている場合には、その信号を上記副電源正常信号PGsとして用いることができる。また、一般に負荷回路上には、電源電圧が規定値に達するまでの間はマイクロプロセッサ等にリセット信号を与える初期化回路が備えられている。したがって、その初期化回路により生成されるリセット信号を副電源正常信号PGsとして用いるように構成することができる。
【0032】
第2タイマー6cは、前記比較回路61を備え、比較回路61から出力された主電源出力開始信号PUによって計時を開始し、あらかじめ定められた時間(Tc)が経過したとき出力信号(TOc)を発生するように構成されている。すなわち、前記第2タイマー6と同様の構成とすることができる。
第2タイマー6cは、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを超えて立ち上がったとき、すなわち比較回路61から出力される主電源出力開始信号PUがオンに変化したときに計時を開始し、副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2から供給される直流電源DCmが電圧Vmlを超えて立ち上がってから所定時間Tc内に副電源92の出力電圧が略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。時間Tcは、電源装置及び副電源の特性と負荷回路の負荷の大きさ等により、適宜に決めることができる。
副電源92の出力電圧が所定時間Tc内に略規定電圧Vshとならなかった場合には、第2タイマー6cは出力信号TOcをオンにセットする。出力信号TOcは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0033】
副電源が2以上ある場合には、副電源ごとに副電源監視回路8を備え、1つの第2タイマー6cにより所定の時間Tcが計測されるまでに、少なくとも1つの副電源監視回路8から副電源正常信号が出力されなかった場合には、第2タイマー6cの出力信号TOcがオンにセットされるように構成することができる。また、副電源ごとに副電源監視回路8及び第2タイマー6cを備え、それぞれの第2タイマー6cについて時間Tcを定め、別個に出力信号TOcが出力されるように構成してもよい。
【0034】
また、負荷回路9上に電源装置2から直流電源の供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源92が設けられている場合に、前記同様の副電源監視回路8を備え、前記第2タイマーにより所定時間(Td)が計測されるまでに、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されなかった場合又は少なくとも1つの副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力されなかった場合には、電源装置2に直流電源の供給を停止させるように構成することができる。
例えば、図4に示す電源投入制御回路12においては、電源装置2から供給される直流電源DCmが略規定電圧Vmh以上であるときに出力される主電源正常信号PGmと、副電源監視回路8から出力される副電源正常信号PGsとの論理積(ワイヤードOR)信号が第2タイマー6dに接続されている。第2タイマー6dは、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれもがオンとなったときに計時を停止するようにすることができる。これによって、直流電源DCmが基準電圧Vmlを超えて立ち上がってから時間Td内に、直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなり、且つ副電源の出力電圧DCsが略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。時間Tdは、電源装置及び副電源の特性と負荷回路の負荷の大きさ等により、適宜に決めることができる。
時間Td内に主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれかが出力されなかった場合には、第2タイマー6dは出力信号TOdをオンにセットする。出力信号TOdは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0035】
上記電源投入制御回路12では、主電源正常信号PGmと副電源正常信号PGsとの論理積信号がタイマー5aにも接続されている。タイマー5aは、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれもがオンとなったときに計時を停止するようにすることができる。これによって、電源装置2に電源投入を指示してから所定時間Ta内に、直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなり、且つ副電源の出力DCsが略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。
時間Ta内に主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれかが出力されなかった場合には、タイマー5aは出力信号TOaをオンにセットする。出力信号TOaは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0036】
副電源が2以上ある場合には、電源投入制御回路12は、副電源ごとに副電源監視回路8を備え、それぞれの副電源監視回路8からの副電源正常信号PGsの論理積(ワイヤードOR)信号によって、各タイマーの計時を停止させるように構成することができる。
以上の他、主電源監視回路、副電源監視回路及び各タイマー、並びに各タイマーの計時開始信号及び停止信号等については、種々変形した構成や組み合わせが可能である。
【0037】
図4に例示した電源装置2からは、出力する直流電源DCmが略規定電圧となっていることを示す電源正常信号PGが出力されている。電源装置2がATX電源である場合には、PWR_OK信号がこれに相当する。このような場合には、主電源監視回路4により主電源正常信号PGmを生成する必要がなく、主電源監視回路4として電源装置2の電源正常信号PGをそのまま主電源正常信号PGmとして用いるように構成することができる。
【0038】
以上に述べた主電源監視回路4及び副電源監視回路8は、例えば図6に示すような公知の電圧監視回路により構成することができる。主電圧監視回路4は、ヒステリシス特性を有する比較回路41により、直流電源DCmの電圧に比例した電圧を基準電圧411と比較することにより、直流電源DCmの電圧が略規定電圧Vmh以上であるとき出力回路44をオンとし、主電源正常信号PGmを出力する。主電源正常信号PGmを時間Dだけ遅延させる遅延回路43を備えてもよい。出力回路44はオープンドレイン出力とすることができる。この回路の動作は、図7のタイムチャートに示すとおりとなる。副電源監視回路8についても同様である。
前記のとおり、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsは、上記と同様の機能を備えた電源自体や電源制御用IC、初期化回路等によって生成されてもよい。
【0039】
(2)電源投入制御回路の動作
図8は、前記電源投入制御回路1の動作を示す。同図は、電源装置2に供給される商用電源VAC、負荷回路9側から電源投入制御回路1に入力される電源要求信号PSon#、電源投入制御回路1の出力回路3から電源装置2に出力される電源投入信号PS_ON#、電源装置2から出力される直流電源DCm、主電源監視回路4から出力される主電源正常信号PGm、及びタイマー5の出力信号TO#を表わす。
【0040】
商用電源VACが供給されている状態であっても電源投入信号PS_ON#がオフ(H)の間は、電源装置2は負荷回路9に直流電源DCmを出力しない。電源投入制御回路1には待機電源(VS)が供給されており、電源要求信号PSon#の状態を監視することができる。負荷回路9側で、電源スイッチ、ソフトウェアによるオン、LANによる起動(Wake on LAN)等の要因により電源オンが要求されたとき、電源要求信号PSon#がオン(L)にセットされ、電源投入制御回路1は電源投入信号PS_ON#をオン(L)とすることにより電源装置2に電源投入を指示する(S1)。このとき、電源投入制御回路1は時間Taのタイマーをスタートさせる。電源装置2は、電源投入信号PS_ON#がオンとされると直流電源DCmを立ち上げる。
【0041】
負荷回路9及び電源装置2に異常がない場合には、破線で示すように、直流電源DCmが規定電圧まで上昇する(DCmn)。この場合、直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えたときに主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力され(PGmn)、それにより計時が停止されるためタイマー5の出力信号TO#はオフのままとなる。したがって電源投入信号PS_ON#はオンのままであり、電源装置2から直流電源DCmが継続して供給される。
【0042】
一方、負荷回路9又は電源装置2に異常がある場合には、実線で示すように、直流電源DCmが規定電圧まで上昇しない(DCma)。そうすると主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されず、時間Taが経過するとタイマー5の出力信号TO#がオン(L)となる。これによって電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0043】
電源投入信号PS_ON#をオンとしてから直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えるまでの時間T1は、電源装置2の容量・特性や負荷回路9の負荷の大きさ等によって異なる。また、電源投入時の電源回路の状態によって大きく変動する。例えば、電源をオフにしてからの経過時間が短い場合には、静電容量が十分に放電されていないため時間T1は短くなる。直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えてから主電源正常信号PGmが出力されるまでの時間T3は、主電源監視回路4の遅延時間によって定まる。
本電源投入制御回路の目的から、タイマーの時間Taは、正常な場合の各種条件下で最大となる上記時間(T1+T3)よりも長く、且つできるだけ短い時間とすることが好ましい。
【0044】
図9は、第2タイマー6を備える電源投入制御回路1の動作を示す。図中の各信号は図8と同じであり、共通する動作については説明を省略する。
前記のとおり、電源装置2は、電源投入信号PS_ON#がオンとされると直流電源DCmを立ち上げる。電源投入信号PS_ON#をオンとした後、直流電源DCmの電圧が前記基準電圧Vmlを越えたとき(S2)、時間Tbの第2タイマー6がスタートされる。
【0045】
負荷回路9及び電源装置2に異常がない場合には、前記同様、直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えたときに主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力される(PGmn)。それにより計時が停止されるため、第2タイマー6の出力信号TO#はオフ、電源投入信号PS_ON#はオンの状態が継続し、電源装置2から直流電源DCmが継続して出力される。
一方、負荷回路9又は電源装置2に異常があって直流電源DCmが規定電圧Vmhまで上昇しない場合(DCma)には、前記同様、時間Tbが経過すると第2タイマー6の出力信号TO#がオン(L)となる。これによって電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0046】
電源投入信号PS_ON#をオンとしてから直流電源DCmが立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)は、電源投入時の電源回路の状態によって大きく変動する。例えば、前に電源をオフにしてからの経過時間が短い場合には、静電容量が十分に放電されていない等により時間(T1−T2)は短くなる。このため、異常検出の精度を高めるためには、直流電源DCmが立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)を除き、直流電源が立ち上がりを開始したとき(S2)から略規定電圧Vmhに上昇するまでの時間、すなわち(T2+T3)を監視することが好ましい。第2タイマーによりこの時間が監視されるため、異常検出の精度をよくすることが可能になる。
直流電源DCmが基準電圧Vmlを越えてから略規定電圧Vmhを越えるまでの時間T2は、電源装置2及び負荷回路9の特性等によって異なる。したがって、第2タイマーの時間Tbは、正常な場合の各種条件下で最大となる上記時間(T2+T3)よりも長く、且つできるだけ短い時間(例えば、500ms〜1s)とすることが好ましい。
【0047】
図10は、副電源監視回路8を備える前記電源投入制御回路11の動作を示す。図中、DCsは副電源92から出力される直流電源、PGsは副電源監視回路8から出力される副電源正常信号を表わし、その他の各信号は図8と同じであり、共通する動作については説明を省略する。
電源投入制御回路11は、前記同様に、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを越えたとき(S2)、時間Tcの第2タイマー6cをスタートさせる。
【0048】
負荷回路9、副電源8及び電源装置2に異常がない場合には、直流電源DCmの供給を受けて副電源により直流電源DCsが立ち上がる(DCsn)。その直流電源DCsの電圧が略規定電圧Vshを越えたときに、副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力される(PGsn)。それにより計時が停止されるため、第2タイマー6cの出力信号TO#はオフ、電源投入信号PS_ON#はオンの状態が継続し、電源装置2から直流電源DCmが継続して供給される。
一方、負荷回路9、副電源8又は電源装置2に異常があって、直流電源DCmがその規定電圧まで上昇するかしないか(DCmn又はDCma)に関わらず、副電源DCsがその規定電圧まで上昇しない場合(DCsa)には、副電源正常信号PGsが出力されない。そして時間Tcが経過すると第2タイマー6cの出力信号TO#がオン(L)となるため、電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0049】
直流電源DCmが基準電圧Vmlを越えてから副電源92の出力が略規定電圧Vshを越えるまでの時間は、電源装置2、副電源92及び負荷回路9の特性等によって異なる。また、副電源の出力が略規定電圧Vshを越えてから副電源正常信号PGsnが出力されるまでには遅延時間Dが生じる。したがって、本電源投入制御回路では、第2タイマー6cの時間Tcを、正常な場合の各種条件下で、直流電源DCmが電圧Vmlを越えてから副電源正常信号PGsnが出力されるまでの最大時間よりも長く、且つできるだけ短い時間とすることが好ましい(例えば、600ms〜1s)。
【0050】
図14は、ATX電源について規定された電源供給開始時のタイミングを示す(ATX12V Power Supply Design Guide Version 2.2を参照)。ATX電源においては、電源投入信号PS_ON#がオンとされてから出力電圧(+12V、+5V、+3.3V)が規定電圧の95%に達するまでの電源オン時間T1(T1<500ms)、出力電圧が規定電圧の10%以上となってから95%に達するまでの立上り時間T2(0.1ms≦T2≦20ms)、その後各出力電圧が正常であることを示す電源正常信号PWR_OKが出力されるまでの遅延時間T3及び立上り時間T4(100ms<T3<500ms、T4≦10ms)がそれぞれ規定されている。したがって、電源投入信号PS_ON#をオンとしてから電源正常信号PWR_OKがオンとされるまでの時間(T1+T3+T4)は、長くても約1秒となる。また、出力電圧が10%以上となってから電源正常信号PWR_OKがオンとされるまでの時間(T2+T3+T4)は、長くても約0.5秒となる。
【0051】
電源装置2がATX電源である場合、上記を考慮すれば、前記タイマーで監視する時間Taは約1秒とすることが好ましい。前記のとおり、電源投入信号PS_ON#をオンとしてから出力電圧が立ち上がるまでの時間T1は電源装置及び負荷回路の特性によるが、とくに出力電圧が立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)は電源の放電状態等によって大きく変動するものである。このため、負荷回路側に異常があるかどうかを検出するためには、出力電圧が立ち上がり始めてから電源正常となるまでの時間(T2+T3+T4)により監視した方が精度よく検出することができる。したがって、前記第2タイマーによって監視する時間Tbは、0.5秒程度とすることが好ましい。
また、副電源が備えられる場合には、主電源が立ち上がってから副電源が立上がるまでの時間は副電源及び負荷の特性によるが、副電源が立ち上がってから副電源正常信号が出力されるまでの遅延時間は通常適宜に設定することができる。これらの点を考慮すると、前記第2タイマーによって監視する時間Tcは、0.6〜1秒程度の範囲とすることが好ましい。
【0052】
(3)電源投入制御方法
以上に例示した電源投入制御回路を使用して、種々の電源投入制御方法が可能である。電源投入制御方法は、入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する前記電源装置2に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路9において使用される。
第1に、電源装置2に対して電源投入信号を活性にしたときタイマーによる計時を開始する電源投入ステップと、電源装置2から出力される直流電源(主電源)の電圧が略規定電圧となったとき主電源正常と判断する主電源監視ステップと、前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視ステップにより主電源正常と判断されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより電源装置に直流電源の供給を停止させる電源停止ステップと、を備える電源投入制御方法1とすることができる。
【0053】
上記電源投入制御方法1の制御の流れを図11に示す。待機時においては、電源スイッチ、ソフトウェアによるオン、LANによる起動等の電源投入要因を監視し(S01)、いずれかが生じた場合には電源投入信号(PS_ON#)をオンとすることにより、電源装置2に電源投入を指示する(S10)。このとき、所定時間Taのタイマー(第1タイマー)をスタートさせて計時を開始する(S11)。その後、電源装置2から出力される直流電源(主電源)の電圧が略規定電圧Vmhとなったかどうかを監視する(S61)。そして、時間Ta内に主電源の電圧が略規定電圧となった場合には主電源正常と判断し、上記タイマーを停止させて(S71)、制御処理を終了する。一方、時間Taが経過するまでに主電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S21、S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記電源投入ステップはステップS10及びS11、前記主電源監視ステップはステップS61、前記電源停止ステップはステップS21及びS81により構成されている。
【0054】
第2に、上記電源投入制御方法1において、上記主電源の電圧が所定値を越えたとき第2タイマーによる計時を開始する主電源出力開始検出ステップと、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視ステップにより主電源正常と判断されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に直流電源の供給を停止させる第2の電源停止ステップと、を更に備える電源投入制御方法2とすることができる。
【0055】
図12のフローチャートにおいて、ステップS01、S10、S11、S61等は前図と同じである。ステップS11で前記第1タイマーをスタートさせた後、主電源の電圧が所定値(基準電圧Vml)を越えたかどうかを監視し(S31)、基準電圧Vmlを越えたとき、所定時間Tbを計時する第2タイマーをスタートさせる(S32)。その後、主電源正常となったかどうかを監視する(S61)。時間Ta内かつ時間Tb内に主電源正常となった場合には、上記第1及び第2タイマーを停止させて(S72)、制御処理を終了する。一方、時間Ta又はTbが経過するまでに主電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記主電源出力開始検出ステップはステップS31及びS32、前記第2の電源停止ステップはステップS51及びS81により構成されている。
【0056】
第3に、上記電源投入制御方法1において、負荷回路9には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源92が設けられており、前記主電源の電圧が所定値を越えたとき第2タイマーによる計時を開始する主電源出力開始検出ステップと、各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となったとき当該副電源について副電源正常と判断する副電源監視ステップと、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源について前記副電源監視ステップにより副電源正常と判断されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる第2の電源停止ステップと、を更に備える電源投入制御方法3とすることができる。
【0057】
図13のフローチャートにおいて、主電源出力開始検出ステップ(S31、S32)までは上記電源投入制御方法2と同様である。その後、各副電源の出力電圧が略規定電圧Vshとなったかどうかを監視し、略規定電圧となったときは副電源正常と判断する。そして、所定時間Tb内にすべての副電源について副電源正常と判断された場合には、上記第1及び第2タイマーを停止させて(S62、S72)、制御処理を終了する。一方、時間Ta又はTbが経過するまでにいずれかの副電源について副電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記副電源監視ステップはステップS62、前記第2の電源停止ステップはステップS51及びS81により構成されている。
【0058】
第4に、上記電源投入制御方法3において、前記第2の電源停止ステップは、前記第2タイマーにより所定時間Tbが計時されるまでに、更に主電源正常となったかどうかを監視し(図13のS62)、主電源正常と判断されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる電源投入制御方法4とすることができる。
【0059】
第5に、上記電源投入制御方法2乃至4のいずれかにおいて、前記主電源出力開始検出ステップは、前記所定値として、前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子の閾値を用いる電源投入制御方法5とすることができる。
【0060】
第6に、上記電源投入制御方法1乃至5のいずれかにおいて、前記電源装置2は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視ステップは、前記電源装置からの前記電源正常信号が入力されたとき主電源正常と判断する電源投入制御方法6とすることができる。
【0061】
なお、本発明においては、上述の実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1、11、12;電源投入制御回路、2;電源装置、3;出力回路、31;電源要求信号(PSon#)、32;電源投入信号(PS_ON#)、4;主電源監視回路、5、5a;タイマー(第1タイマー)、6、6c、6d;第2タイマー、61;電圧比較回路、7;電源停止信号、8;副電源監視回路、9;負荷回路、92、92a、92b、92c;副電源、DCm;電源装置から出力される直流電源(主電源)、DCs;副電源から出力される直流電源、PGm;主電源正常信号、PGs;副電源正常信号、PU;主電源出力開始信号、TOa、TOb、TOc、TOd、TO#;タイマー出力信号、VAC;商用電源、VS;待機電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源投入制御回路に関し、詳しくは、情報処理装置の電源又は電子回路に故障があった場合には、電源投入の直後に給電を停止することにより装置の保護及び安全を図ることができる電源投入制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(PC)のマザーボードや周辺装置等の電子回路は、多種類の直流電源によって動作している。このため、通常、PC等には複数の直流電源を供給する電源装置を備え、その電源装置から負荷となる各電子回路に複数の電源を供給するように構成されている。これに使用される電源装置として、ATX電源(ATX Specification Version 2.2、及びATX12V Power Supply Design Guide Version 2.2を参照)が広く知られており、マザーボードや周辺回路上のマイクロプロセッサやメモリ、入出力、ビデオ、ハードディスクドライブ等に電源が供給される。さらに、回路各部に対して、電源装置から供給される直流電源を更に降圧等して専用の電源系が設けられる場合も多い。
【0003】
複数の直流電源(電圧源)を使用する際には、電源装置や負荷となる回路に故障を生じた場合の電子回路の保護が問題となる。例えば、複数の電圧源から電圧を印加すべき回路において、少なくともいずれか1つの電圧源から電圧が印加されない場合には回路に不所望な電圧が印加されることになって、回路が破壊されるという問題がある。この回路の破壊を抑制するために、電圧値が一定値以上かどうか等に基づいて各電圧源から回路に電圧印加可能か否かを判定し、いずれかの電圧源から回路に電圧印加不可能と判定した場合には回路への電圧印加を阻止する回路保護装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、装置の電源投入処理時間を監視することによってその装置の故障を判断する手法がある。例えば、複数の装置によって構成される情報処理システムにおいて、各装置について電源投入時から電源投入動作終了までの投入処理時間を監視し、記憶されている正常時の投入処理時間より投入処理時間の計測値が大となったときに、その装置が異常であると判定する電源投入監視システムが開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311773号公報
【特許文献2】特開平2−266410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のとおり、PC等情報処理装置内の電子回路において使用される電源が多種類となるに伴い、PC等に備えられた電源装置及び電子回路のいずれかの部分に故障が生じた場合の保護及び安全が重要な問題となる。故障によって電子回路が破壊されるに止まらず、使用部品の発煙や発火等の事故を招く場合があるからである。
前記特許文献1に示されている回路保護装置を使用すれば、複数の電源を使用する回路に不所望の電源が印加されることによる回路の破壊を防ぐことができる。しかしながら、多様な回路を対象として故障時の安全を期するためには、広範に適用可能な手法が必要である。
また、前記特許文献2に記載されているように、情報処理装置の電源投入時から電源投入動作終了までの投入処理時間を監視することによって、当該装置の故障を認識することができる。しかし、装置内の電子回路の故障による発煙や発火を防止するという目的のためには、装置内部において異常を最短時間で検出し、異常を検出したときは直ちに電源を切断するようにすることが必要である。
電源及び電子回路のいかなる部分においても故障が生じる可能性があり、故障の態様もさまざまである。故障によって電子回路内に異常な電流が生じると、極めて短時間(例えば1秒程度)で発煙や発火に至る場合がある。したがって、電源投入直後において、一般には電子回路の初期化の段階で、故障の可能性がある場合には直ちに電子回路への電源供給を停止することが要求される。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑み、情報処理装置の電源又は電子回路に故障があった場合には、電源投入の直後に給電を停止することにより装置の保護及び安全を図ることができる電源投入制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、第1の発明は、入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、前記電源装置に対し前記電源投入信号を出力する出力回路と、前記電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、前記主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、を備え、前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
【0009】
第3の発明は、上記第1の発明において、前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、を更に備え、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源監視回路から前記副電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
第4の発明は、上記第3の発明において、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを要旨とする。
【0010】
第5の発明は、上記第2乃至4のいずれかの発明において、前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、前記所定値として該論理回路素子の閾値を用いることを要旨とする。
【0011】
第6の発明は、上記第1乃至4のいずれかの発明において、前記電源装置は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視回路は、前記電源装置から出力される前記電源正常信号を前記主電源正常信号として用いることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明の電源投入制御回路によれば、電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、電源装置に対し電源投入信号を出力する出力回路と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、主電源が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、を備え、タイマーにより所定時間が計時されるまでに主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより電源装置に直流電源の供給を停止させるため、負荷回路への最短の通電時間で電源系の異常を検出することができ、予測されない故障があった場合にも故障部位を問わず総合的に負荷回路の発煙や発火等の事故を防止することが可能になる。また、少ない部品数で簡単に回路を構成することができ、複雑な制御処理を必要としない。
第2の発明によれば、前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに主電源正常信号が出力されなかった場合には電源投入信号を非活性にするため、主電源の電圧が所定値を越えて立ち上がり始めてからの最短時間で、精度よく電源系の異常を検出することができる。すなわち、主電源の立ち上がり開始前には発煙や発火等の事故に結び付く可能性が低い。また、例えば電源を切ってから次に電源を投入するまでの時間が短い場合には電源回路に存在する静電容量が放電されていない等により、電源を投入してから主電源が立ち上がるまでの時間は電源投入時の状態によって大幅に変動する。したがって、主電源の立ち上がり開始時を起点にすることによってその変動を除くことができ、異常の有無を精度よく最短時間で検出することが可能になる。
【0013】
第3の発明によれば、前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、各副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、を更に備え、第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの副電源監視回路から副電源正常信号が出力されなかった場合には電源投入信号を非活性にするため、主電源の立ち上がり開始時を起点として副電源の立ち上がり完了までの時間を監視することにより負荷回路の電源系ごとに異常を検出することができ、いずれかの電源系に異常があったときには直ちに主電源を切ることができる。
第4の発明によれば、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から主電源正常信号が出力されなかった場合には、電源投入信号を非活性にするため、主電源の立ち上がり開始時を起点として主電源及び副電源の立ち上がり完了までの時間を監視することにより、主電源、副電源及び負荷回路の各電源系のいずれに異常があっても検出することができ、いずれかに異常があったときには直ちに主電源を切ることができる。主電源の立ち上がり開始時を起点とするため電源投入時の状態により立ち上がり時間が変動する影響を受けることがなく、電源装置及び負荷回路のすべての電源系について異常を精度よく検出することができる。
【0014】
第5の発明によれば、前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、主電源の立ち上がり開始を判定するための基準値として該論理回路素子の閾値を用いるため、極めて簡単な回路構成により電源投入制御回路を実現することができる。
【0015】
第6の発明によれば、前記電源装置は、供給する直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視回路は、電源装置から出力される電源正常信号を主電源正常信号として用いるため、電源装置としてATX電源等を用いる場合に最小の構成によって電源投入制御回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の図面において、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の構成又は部品を示す。
【図1】電源装置と、その電源装置から直流電源(主電源)の供給を受ける負荷回路とからなるシステムの例を表わすブロック図である。
【図2】電源投入制御回路の構成例を表わすブロック図である。
【図3】副電源が備えられる場合の電源投入制御回路の構成例を表わすブロック図である。
【図4】副電源が備えられる場合の、電源投入制御回路の別の構成例を表わすブロック図である。
【図5】主電源の電圧が所定値を越えたかどうかを論理回路素子により検出する例を表わす回路図である。
【図6】主電源正常(又は副電源正常)信号を生成する回路図である。
【図7】図6に示した回路のタイミングチャートである。
【図8】電源投入制御回路の動作を表わすタイミングチャートである。
【図9】電源投入制御回路の別の動作を表わすタイミングチャートである。
【図10】副電源が備えられる場合の電源投入制御回路の動作を表わすタイミングチャートである。
【図11】電源投入制御方法の例を示すフローチャートである。
【図12】電源投入制御方法の別の例を示すフローチャートである。
【図13】副電源が備えられる場合の電源投入制御方法の例を示すフローチャートである。
【図14】ATX電源で規定された電源投入時のタイミングを表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)電源投入制御回路の構成
本発明の電源投入制御回路は、入力される電源投入信号に従って直流電源を出力する電源装置と、その電源装置から直流電源の供給を受ける負荷回路とからなるシステムにおいて、その負荷回路側に備えられ、電源装置に対して出力する電源投入信号を制御する。
本電源投入制御回路が適用される負荷回路は特に限定されず、例えば、パーソナルコンピュータ等のマザーボード、CPUを始めメモリ、入出力、ビデオ等の周辺回路、ハードディスクドライブ等周辺装置の制御回路や駆動回路などが挙げられる。
また、前記電源装置は、その電源の出力のオン、オフを制御するための信号(電源投入信号)が備えられている限り、特に限定されない。代表的な電源装置としては、パーソナルコンピュータ等に使用されているATX電源が挙げられる。
【0018】
前記の電源装置と負荷回路とからなるシステムは、例えば図1に示すように構成される。なお、以下の図面及び説明において負論理の信号には符号#を付して表わすが、各信号の論理は限定されるものではない。
電源装置2は商用電源(AC)等の供給を受け、外部から与えられる電源投入信号(PS_ON#)に従って直流電源(DCm)を負荷回路9に供給する。電源投入信号は、負荷回路9から電源装置2に出力するように構成することができる。この電源投入信号は、電源装置2に対して直流電源の入(オン)及び切(オフ)を制御可能な信号であればよく、例えば、電源投入信号PS_ON#が活性(オン)とされている間は負荷回路9に直流電源DCmが出力され、電源投入信号が非活性(オフ)とされている間は負荷回路9に直流電源が出力されないように制御する信号とすることができる。
電源装置2から供給される直流電源DCmの数及び種類は問わず、例えば、規定電圧が+12V、+5V、+3.3V等のうち1以上の電源とすることができる。
【0019】
負荷回路9は、電源装置2から出力される直流電源DCmを主電源として動作する電子回路であり、その内部の回路各部や装置等91に必要な電源が供給される。負荷回路9には、電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源(92a、92b、92c等)を備えることができる。内部回路等91には、電源装置2から出力された直流電源DCmがそのまま供給されてもよいし、副電源により生成された電源が供給されてもよい。
この他、負荷回路9には、電源装置2の直流電源がオフされている間の電源制御回路用に待機電源(VS)が供給されている。
【0020】
図2は、上記負荷回路9に備えられる本電源投入制御回路の構成例を表わす。電源投入制御回路1は、電源装置2に対し電源投入信号32を出力する出力回路3と、電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマー5と、直流電源DCmの電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号PGmを出力する主電源監視回路4と、を備える。電源投入制御回路1は、電源装置2がオフとされている間も待機電源VSが供給されるように構成される。
【0021】
出力回路3は、電源装置2に対して直流電源DCmのオン及びオフを指示する電源投入信号32を出力する回路である。電源投入信号32は電源装置2のPS_ON#端子に接続され、例えば、直流電源DCmの供給を要求する間は電源投入信号32をオンとし、直流電源DCmの供給を停止させる間は電源投入信号32をオフとするように構成することができる。出力回路3には、負荷回路側において電源投入を要求する電源要求信号31(PSon#)が入力されている。電源スイッチ、ソフトウェアによるオン/オフ(soft on/off)、LANによる起動(Wake on LAN)等の要因により電源オンが要求されたとき、電源要求信号31がオンにセットされるように構成することができる。電源要求信号31がオンのときには、出力回路3により電源装置2に対する電源投入信号32がオンとされる。
【0022】
主電源監視回路4は、直流電源DCmの電圧を監視して主電源正常信号(PGm)を生成する回路である。主電源監視回路4は、あらかじめ定められた略規定電圧(Vmh)を基準として、直流電源DCmの電圧がVmh以上であるとき主電源正常信号PGmをオンとするように構成することができる。すなわち、主電源正常信号PGmは当該直流電源DCmが正常に出力されていることを示す信号となる。そのため、基準となる略規定電圧Vmhは、各直流電源DCmについて規定された電圧範囲の最低レベルとすることができる。例えば、直流電源DCmの出力電圧が(+12V±5%)と規定されている場合、その略規定電圧Vmhは+12Vの95%の電圧とすることができる。ただし、本電源投入制御回路は、電源系回路に異常があった場合の保護・安全を目的としているため、略規定電圧Vmhは更に低い値(例えば、規定電圧の90%)としてもよい。直流電源DCmが複数である場合、主電源監視回路4はそれぞれの直流電源について備えることができる。
【0023】
電源装置2がATX電源である場合には、供給する直流電源の電圧が規定電圧の95%以上となっていることを示す電源正常信号(PWR_OK)の出力が備えられている。そのような場合には、主電源監視回路4として、基準電圧と比較して主電源正常信号PGmを生成する回路を設ける必要はなく、ATX電源から出力される電源正常信号PWR_OKをそのまま主電源正常信号PGmとして用いるように構成することができる。
【0024】
前記タイマー5は、あらかじめ定められた時間(Ta)を計時するためのタイマー回路であり、出力回路3及び主電源監視回路4と接続されている。具体的な回路構成及び計時方法は特に限定されず、例えば、静電容量の充電特性等を利用したタイマーであってもよいし、デジタルカウンタ等が用いられてもよい。
タイマー5は、電源装置2に電源投入を指示したとき、すなわち出力回路3から出力される電源投入信号32がオンに変化したときに計時を開始し、主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2に電源投入を指示してから所定時間Ta内に直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなったかどうか、を監視することができる。タイマー5は、所定時間Ta内に主電源正常信号PGmが到来しなかった場合には、出力信号TOaをオンにセットするように構成することができる。そしてタイマー5の出力信号TOaを出力回路3に送ることにより、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0025】
上記電源投入制御回路1は、直流電源DCmの電圧があらかじめ定められた基準電圧(Vml)を越えたときに計時を開始する第2タイマー6を備えることができる。
第2タイマー6は、図2に示すように、直流電源DCmの電圧を基準電圧Vmlと比較する比較回路61を備える。比較回路61は、ヒステリシス特性を有する比較器を用いて、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを超えているとき主電源出力開始信号(PU)を出力するように構成することができる。これにより、第2タイマー6は、主電源出力開始信号PUによって計時を開始し、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。
【0026】
上記の基準電圧Vmlは、直流電源DCmの立ち上り開始時の一定の電圧、例えば、直流電源DCmの規定電圧の10%の電圧とすることができる。ただし、本電源投入制御回路は電源系回路に異常があった場合の保護・安全を目的としているため、基準電圧によって主電源の立ち上がりの開始が判断されればよく、基準電圧Vmlを更に高い値(例えば、規定電圧の10〜50%、好ましくは10〜35%)としてもよい。直流電源DCmが複数である場合、第2タイマー6はそれぞれの直流電源について備えることができる。
【0027】
上記のとおり、基準電圧Vmlの値は厳密である必要はないため、比較回路61を汎用の論理回路素子によって構成することができる。具体的には図5に示すように、電源装置2から供給される直流電源DCmの電圧に比例した電圧を論理回路素子611に入力し、その論理回路素子611の出力信号から上記主電源出力開始信号PUを生成することができる。この場合、直流電源DCmの電圧に比例した電圧が論理回路素子611の閾値によって比較されることとなる。
例えば、直流電源DCmの規定電圧が+5Vである場合には、直流電源DCmをそのまま論理回路素子611の入力端子に接続することにより、その電圧が論理回路素子611の閾値(Vth)を超えたとき、主電源出力開始信号PUがオンとなるようにすることができる。論理回路素子611の閾値Vthが1.6Vであれば、直流電源DCmが規定電圧5Vの32%を超えたとき主電源出力開始信号PUが出力されることとなり、好適に使用することができる。
【0028】
図2に示すように、上記第2タイマー6は、上記比較回路61から主電源出力開始信号PUが出力されたとき計時を開始し、あらかじめ定められた時間(Tb)が経過したときには出力信号(TOb)を発生するように構成することができる。具体的な計時方法や回路構成は特に限定されず、例えば、静電容量の充電特性等を利用したタイマーであってもよいし、デジタルカウンタ等が用いられてもよい。そして、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2から供給される直流電源DCmが基準電圧Vmlを超えて立ち上がってから所定時間Tb内に略規定電圧Vmhとなったかどうか、を監視することができる。時間Tbは、電源装置及び負荷回路の特性等により、適宜に決めることができる。
第2タイマー6は、所定時間Tb内に主電源正常信号PGmが到来しなかった場合には、出力信号TObをオンにセットするように構成することができる。そして第2タイマー6の出力信号TObを出力回路3に送ることにより、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0029】
電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源92が負荷回路9に設けられている場合にも、本電源投入制御回路は適用することができる。
図3は、負荷回路9上に1つの副電源92が搭載されている場合の構成例を表わす。副電源92は、電源装置2から直流電源DCmの供給を受けて別の直流電源(DCs)を生成するものである限り、変換方式や生成される電圧は問わない。
電源投入制御回路11は、副電源92により出力される直流電源の電圧を監視する副電源監視回路8を備え、副電源監視回路8は直流電源DCsの電圧が略規定電圧(Vsh)となっているとき副電源正常信号(PGs)を出力するように構成される。この副電源正常信号PGsは、第2タイマー(6c)に入力される。電源投入制御回路11は、主電源正常信号PGmに替わり副電源正常信号PGsが第2タイマー6cに入力されている点を除き、前記電源投入制御回路1と同様に構成されている。
副電源が2以上ある場合には、副電源ごとに、出力される直流電圧が当該副電源の略規定電圧となっているとき副電源正常信号を出力する副電源監視回路を備えることができる。
【0030】
副電源監視回路8により、直流電源DCsが副電源92の略規定電圧Vsh以上である間オンとなる副電源正常信号PGsが出力される。略規定電圧Vshは、直流電源DCsについて規定された電圧範囲の最低レベルとすることができる。例えば、直流電源DCsの電圧が(+5V±5%)と規定されている場合、略規定電圧Vshは+5Vの95%の電圧とすることができる。ただし、主電源についての略規定電圧Vmhの場合と同様に、副電源について略規定電圧Vshを更に低い値(例えば、規定電圧の90%)に設定してもよい。
【0031】
上記副電源監視回路8が負荷回路9上の回路のどこに設けられるかは特に限定されない。例えば、副電源監視回路8は、副電源92に内蔵されていてもよいし、負荷回路上の初期化回路等に備えられていてもよい。すなわち、副電源の制御用IC等から、その副電源の電圧が略規定電圧(Vsh)となっていることを示す信号が出力されている場合には、その信号を上記副電源正常信号PGsとして用いることができる。また、一般に負荷回路上には、電源電圧が規定値に達するまでの間はマイクロプロセッサ等にリセット信号を与える初期化回路が備えられている。したがって、その初期化回路により生成されるリセット信号を副電源正常信号PGsとして用いるように構成することができる。
【0032】
第2タイマー6cは、前記比較回路61を備え、比較回路61から出力された主電源出力開始信号PUによって計時を開始し、あらかじめ定められた時間(Tc)が経過したとき出力信号(TOc)を発生するように構成されている。すなわち、前記第2タイマー6と同様の構成とすることができる。
第2タイマー6cは、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを超えて立ち上がったとき、すなわち比較回路61から出力される主電源出力開始信号PUがオンに変化したときに計時を開始し、副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力されたときには計時を停止するように構成することができる。これによって、電源装置2から供給される直流電源DCmが電圧Vmlを超えて立ち上がってから所定時間Tc内に副電源92の出力電圧が略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。時間Tcは、電源装置及び副電源の特性と負荷回路の負荷の大きさ等により、適宜に決めることができる。
副電源92の出力電圧が所定時間Tc内に略規定電圧Vshとならなかった場合には、第2タイマー6cは出力信号TOcをオンにセットする。出力信号TOcは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0033】
副電源が2以上ある場合には、副電源ごとに副電源監視回路8を備え、1つの第2タイマー6cにより所定の時間Tcが計測されるまでに、少なくとも1つの副電源監視回路8から副電源正常信号が出力されなかった場合には、第2タイマー6cの出力信号TOcがオンにセットされるように構成することができる。また、副電源ごとに副電源監視回路8及び第2タイマー6cを備え、それぞれの第2タイマー6cについて時間Tcを定め、別個に出力信号TOcが出力されるように構成してもよい。
【0034】
また、負荷回路9上に電源装置2から直流電源の供給を受けて別の直流電源を生成する1又は2以上の副電源92が設けられている場合に、前記同様の副電源監視回路8を備え、前記第2タイマーにより所定時間(Td)が計測されるまでに、前記主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されなかった場合又は少なくとも1つの副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力されなかった場合には、電源装置2に直流電源の供給を停止させるように構成することができる。
例えば、図4に示す電源投入制御回路12においては、電源装置2から供給される直流電源DCmが略規定電圧Vmh以上であるときに出力される主電源正常信号PGmと、副電源監視回路8から出力される副電源正常信号PGsとの論理積(ワイヤードOR)信号が第2タイマー6dに接続されている。第2タイマー6dは、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれもがオンとなったときに計時を停止するようにすることができる。これによって、直流電源DCmが基準電圧Vmlを超えて立ち上がってから時間Td内に、直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなり、且つ副電源の出力電圧DCsが略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。時間Tdは、電源装置及び副電源の特性と負荷回路の負荷の大きさ等により、適宜に決めることができる。
時間Td内に主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれかが出力されなかった場合には、第2タイマー6dは出力信号TOdをオンにセットする。出力信号TOdは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0035】
上記電源投入制御回路12では、主電源正常信号PGmと副電源正常信号PGsとの論理積信号がタイマー5aにも接続されている。タイマー5aは、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれもがオンとなったときに計時を停止するようにすることができる。これによって、電源装置2に電源投入を指示してから所定時間Ta内に、直流電源DCmが略規定電圧Vmhとなり、且つ副電源の出力DCsが略規定電圧Vshとなったかどうか、を監視することができる。
時間Ta内に主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsのいずれかが出力されなかった場合には、タイマー5aは出力信号TOaをオンにセットする。出力信号TOaは前記出力回路3に接続されており、電源装置2に直流電源の供給を停止させるための電源停止信号7として用いることができる。
【0036】
副電源が2以上ある場合には、電源投入制御回路12は、副電源ごとに副電源監視回路8を備え、それぞれの副電源監視回路8からの副電源正常信号PGsの論理積(ワイヤードOR)信号によって、各タイマーの計時を停止させるように構成することができる。
以上の他、主電源監視回路、副電源監視回路及び各タイマー、並びに各タイマーの計時開始信号及び停止信号等については、種々変形した構成や組み合わせが可能である。
【0037】
図4に例示した電源装置2からは、出力する直流電源DCmが略規定電圧となっていることを示す電源正常信号PGが出力されている。電源装置2がATX電源である場合には、PWR_OK信号がこれに相当する。このような場合には、主電源監視回路4により主電源正常信号PGmを生成する必要がなく、主電源監視回路4として電源装置2の電源正常信号PGをそのまま主電源正常信号PGmとして用いるように構成することができる。
【0038】
以上に述べた主電源監視回路4及び副電源監視回路8は、例えば図6に示すような公知の電圧監視回路により構成することができる。主電圧監視回路4は、ヒステリシス特性を有する比較回路41により、直流電源DCmの電圧に比例した電圧を基準電圧411と比較することにより、直流電源DCmの電圧が略規定電圧Vmh以上であるとき出力回路44をオンとし、主電源正常信号PGmを出力する。主電源正常信号PGmを時間Dだけ遅延させる遅延回路43を備えてもよい。出力回路44はオープンドレイン出力とすることができる。この回路の動作は、図7のタイムチャートに示すとおりとなる。副電源監視回路8についても同様である。
前記のとおり、主電源正常信号PGm及び副電源正常信号PGsは、上記と同様の機能を備えた電源自体や電源制御用IC、初期化回路等によって生成されてもよい。
【0039】
(2)電源投入制御回路の動作
図8は、前記電源投入制御回路1の動作を示す。同図は、電源装置2に供給される商用電源VAC、負荷回路9側から電源投入制御回路1に入力される電源要求信号PSon#、電源投入制御回路1の出力回路3から電源装置2に出力される電源投入信号PS_ON#、電源装置2から出力される直流電源DCm、主電源監視回路4から出力される主電源正常信号PGm、及びタイマー5の出力信号TO#を表わす。
【0040】
商用電源VACが供給されている状態であっても電源投入信号PS_ON#がオフ(H)の間は、電源装置2は負荷回路9に直流電源DCmを出力しない。電源投入制御回路1には待機電源(VS)が供給されており、電源要求信号PSon#の状態を監視することができる。負荷回路9側で、電源スイッチ、ソフトウェアによるオン、LANによる起動(Wake on LAN)等の要因により電源オンが要求されたとき、電源要求信号PSon#がオン(L)にセットされ、電源投入制御回路1は電源投入信号PS_ON#をオン(L)とすることにより電源装置2に電源投入を指示する(S1)。このとき、電源投入制御回路1は時間Taのタイマーをスタートさせる。電源装置2は、電源投入信号PS_ON#がオンとされると直流電源DCmを立ち上げる。
【0041】
負荷回路9及び電源装置2に異常がない場合には、破線で示すように、直流電源DCmが規定電圧まで上昇する(DCmn)。この場合、直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えたときに主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力され(PGmn)、それにより計時が停止されるためタイマー5の出力信号TO#はオフのままとなる。したがって電源投入信号PS_ON#はオンのままであり、電源装置2から直流電源DCmが継続して供給される。
【0042】
一方、負荷回路9又は電源装置2に異常がある場合には、実線で示すように、直流電源DCmが規定電圧まで上昇しない(DCma)。そうすると主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力されず、時間Taが経過するとタイマー5の出力信号TO#がオン(L)となる。これによって電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0043】
電源投入信号PS_ON#をオンとしてから直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えるまでの時間T1は、電源装置2の容量・特性や負荷回路9の負荷の大きさ等によって異なる。また、電源投入時の電源回路の状態によって大きく変動する。例えば、電源をオフにしてからの経過時間が短い場合には、静電容量が十分に放電されていないため時間T1は短くなる。直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えてから主電源正常信号PGmが出力されるまでの時間T3は、主電源監視回路4の遅延時間によって定まる。
本電源投入制御回路の目的から、タイマーの時間Taは、正常な場合の各種条件下で最大となる上記時間(T1+T3)よりも長く、且つできるだけ短い時間とすることが好ましい。
【0044】
図9は、第2タイマー6を備える電源投入制御回路1の動作を示す。図中の各信号は図8と同じであり、共通する動作については説明を省略する。
前記のとおり、電源装置2は、電源投入信号PS_ON#がオンとされると直流電源DCmを立ち上げる。電源投入信号PS_ON#をオンとした後、直流電源DCmの電圧が前記基準電圧Vmlを越えたとき(S2)、時間Tbの第2タイマー6がスタートされる。
【0045】
負荷回路9及び電源装置2に異常がない場合には、前記同様、直流電源DCmが略規定電圧Vmhを越えたときに主電源監視回路4から主電源正常信号PGmが出力される(PGmn)。それにより計時が停止されるため、第2タイマー6の出力信号TO#はオフ、電源投入信号PS_ON#はオンの状態が継続し、電源装置2から直流電源DCmが継続して出力される。
一方、負荷回路9又は電源装置2に異常があって直流電源DCmが規定電圧Vmhまで上昇しない場合(DCma)には、前記同様、時間Tbが経過すると第2タイマー6の出力信号TO#がオン(L)となる。これによって電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0046】
電源投入信号PS_ON#をオンとしてから直流電源DCmが立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)は、電源投入時の電源回路の状態によって大きく変動する。例えば、前に電源をオフにしてからの経過時間が短い場合には、静電容量が十分に放電されていない等により時間(T1−T2)は短くなる。このため、異常検出の精度を高めるためには、直流電源DCmが立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)を除き、直流電源が立ち上がりを開始したとき(S2)から略規定電圧Vmhに上昇するまでの時間、すなわち(T2+T3)を監視することが好ましい。第2タイマーによりこの時間が監視されるため、異常検出の精度をよくすることが可能になる。
直流電源DCmが基準電圧Vmlを越えてから略規定電圧Vmhを越えるまでの時間T2は、電源装置2及び負荷回路9の特性等によって異なる。したがって、第2タイマーの時間Tbは、正常な場合の各種条件下で最大となる上記時間(T2+T3)よりも長く、且つできるだけ短い時間(例えば、500ms〜1s)とすることが好ましい。
【0047】
図10は、副電源監視回路8を備える前記電源投入制御回路11の動作を示す。図中、DCsは副電源92から出力される直流電源、PGsは副電源監視回路8から出力される副電源正常信号を表わし、その他の各信号は図8と同じであり、共通する動作については説明を省略する。
電源投入制御回路11は、前記同様に、直流電源DCmの電圧が基準電圧Vmlを越えたとき(S2)、時間Tcの第2タイマー6cをスタートさせる。
【0048】
負荷回路9、副電源8及び電源装置2に異常がない場合には、直流電源DCmの供給を受けて副電源により直流電源DCsが立ち上がる(DCsn)。その直流電源DCsの電圧が略規定電圧Vshを越えたときに、副電源監視回路8から副電源正常信号PGsが出力される(PGsn)。それにより計時が停止されるため、第2タイマー6cの出力信号TO#はオフ、電源投入信号PS_ON#はオンの状態が継続し、電源装置2から直流電源DCmが継続して供給される。
一方、負荷回路9、副電源8又は電源装置2に異常があって、直流電源DCmがその規定電圧まで上昇するかしないか(DCmn又はDCma)に関わらず、副電源DCsがその規定電圧まで上昇しない場合(DCsa)には、副電源正常信号PGsが出力されない。そして時間Tcが経過すると第2タイマー6cの出力信号TO#がオン(L)となるため、電源投入信号PS_ON#はオフ(H)とされ、電源装置2は直流電源DCmの出力を断(オフ)とする。
【0049】
直流電源DCmが基準電圧Vmlを越えてから副電源92の出力が略規定電圧Vshを越えるまでの時間は、電源装置2、副電源92及び負荷回路9の特性等によって異なる。また、副電源の出力が略規定電圧Vshを越えてから副電源正常信号PGsnが出力されるまでには遅延時間Dが生じる。したがって、本電源投入制御回路では、第2タイマー6cの時間Tcを、正常な場合の各種条件下で、直流電源DCmが電圧Vmlを越えてから副電源正常信号PGsnが出力されるまでの最大時間よりも長く、且つできるだけ短い時間とすることが好ましい(例えば、600ms〜1s)。
【0050】
図14は、ATX電源について規定された電源供給開始時のタイミングを示す(ATX12V Power Supply Design Guide Version 2.2を参照)。ATX電源においては、電源投入信号PS_ON#がオンとされてから出力電圧(+12V、+5V、+3.3V)が規定電圧の95%に達するまでの電源オン時間T1(T1<500ms)、出力電圧が規定電圧の10%以上となってから95%に達するまでの立上り時間T2(0.1ms≦T2≦20ms)、その後各出力電圧が正常であることを示す電源正常信号PWR_OKが出力されるまでの遅延時間T3及び立上り時間T4(100ms<T3<500ms、T4≦10ms)がそれぞれ規定されている。したがって、電源投入信号PS_ON#をオンとしてから電源正常信号PWR_OKがオンとされるまでの時間(T1+T3+T4)は、長くても約1秒となる。また、出力電圧が10%以上となってから電源正常信号PWR_OKがオンとされるまでの時間(T2+T3+T4)は、長くても約0.5秒となる。
【0051】
電源装置2がATX電源である場合、上記を考慮すれば、前記タイマーで監視する時間Taは約1秒とすることが好ましい。前記のとおり、電源投入信号PS_ON#をオンとしてから出力電圧が立ち上がるまでの時間T1は電源装置及び負荷回路の特性によるが、とくに出力電圧が立ち上がり始めるまでの時間(T1−T2)は電源の放電状態等によって大きく変動するものである。このため、負荷回路側に異常があるかどうかを検出するためには、出力電圧が立ち上がり始めてから電源正常となるまでの時間(T2+T3+T4)により監視した方が精度よく検出することができる。したがって、前記第2タイマーによって監視する時間Tbは、0.5秒程度とすることが好ましい。
また、副電源が備えられる場合には、主電源が立ち上がってから副電源が立上がるまでの時間は副電源及び負荷の特性によるが、副電源が立ち上がってから副電源正常信号が出力されるまでの遅延時間は通常適宜に設定することができる。これらの点を考慮すると、前記第2タイマーによって監視する時間Tcは、0.6〜1秒程度の範囲とすることが好ましい。
【0052】
(3)電源投入制御方法
以上に例示した電源投入制御回路を使用して、種々の電源投入制御方法が可能である。電源投入制御方法は、入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する前記電源装置2に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路9において使用される。
第1に、電源装置2に対して電源投入信号を活性にしたときタイマーによる計時を開始する電源投入ステップと、電源装置2から出力される直流電源(主電源)の電圧が略規定電圧となったとき主電源正常と判断する主電源監視ステップと、前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視ステップにより主電源正常と判断されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより電源装置に直流電源の供給を停止させる電源停止ステップと、を備える電源投入制御方法1とすることができる。
【0053】
上記電源投入制御方法1の制御の流れを図11に示す。待機時においては、電源スイッチ、ソフトウェアによるオン、LANによる起動等の電源投入要因を監視し(S01)、いずれかが生じた場合には電源投入信号(PS_ON#)をオンとすることにより、電源装置2に電源投入を指示する(S10)。このとき、所定時間Taのタイマー(第1タイマー)をスタートさせて計時を開始する(S11)。その後、電源装置2から出力される直流電源(主電源)の電圧が略規定電圧Vmhとなったかどうかを監視する(S61)。そして、時間Ta内に主電源の電圧が略規定電圧となった場合には主電源正常と判断し、上記タイマーを停止させて(S71)、制御処理を終了する。一方、時間Taが経過するまでに主電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S21、S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記電源投入ステップはステップS10及びS11、前記主電源監視ステップはステップS61、前記電源停止ステップはステップS21及びS81により構成されている。
【0054】
第2に、上記電源投入制御方法1において、上記主電源の電圧が所定値を越えたとき第2タイマーによる計時を開始する主電源出力開始検出ステップと、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視ステップにより主電源正常と判断されなかった場合には、電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に直流電源の供給を停止させる第2の電源停止ステップと、を更に備える電源投入制御方法2とすることができる。
【0055】
図12のフローチャートにおいて、ステップS01、S10、S11、S61等は前図と同じである。ステップS11で前記第1タイマーをスタートさせた後、主電源の電圧が所定値(基準電圧Vml)を越えたかどうかを監視し(S31)、基準電圧Vmlを越えたとき、所定時間Tbを計時する第2タイマーをスタートさせる(S32)。その後、主電源正常となったかどうかを監視する(S61)。時間Ta内かつ時間Tb内に主電源正常となった場合には、上記第1及び第2タイマーを停止させて(S72)、制御処理を終了する。一方、時間Ta又はTbが経過するまでに主電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記主電源出力開始検出ステップはステップS31及びS32、前記第2の電源停止ステップはステップS51及びS81により構成されている。
【0056】
第3に、上記電源投入制御方法1において、負荷回路9には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源92が設けられており、前記主電源の電圧が所定値を越えたとき第2タイマーによる計時を開始する主電源出力開始検出ステップと、各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となったとき当該副電源について副電源正常と判断する副電源監視ステップと、前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源について前記副電源監視ステップにより副電源正常と判断されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる第2の電源停止ステップと、を更に備える電源投入制御方法3とすることができる。
【0057】
図13のフローチャートにおいて、主電源出力開始検出ステップ(S31、S32)までは上記電源投入制御方法2と同様である。その後、各副電源の出力電圧が略規定電圧Vshとなったかどうかを監視し、略規定電圧となったときは副電源正常と判断する。そして、所定時間Tb内にすべての副電源について副電源正常と判断された場合には、上記第1及び第2タイマーを停止させて(S62、S72)、制御処理を終了する。一方、時間Ta又はTbが経過するまでにいずれかの副電源について副電源正常とならなかった場合には、電源投入信号をオフにする(S81)。これにより電源装置2に直流電源の供給を停止させることができる。
前記副電源監視ステップはステップS62、前記第2の電源停止ステップはステップS51及びS81により構成されている。
【0058】
第4に、上記電源投入制御方法3において、前記第2の電源停止ステップは、前記第2タイマーにより所定時間Tbが計時されるまでに、更に主電源正常となったかどうかを監視し(図13のS62)、主電源正常と判断されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる電源投入制御方法4とすることができる。
【0059】
第5に、上記電源投入制御方法2乃至4のいずれかにおいて、前記主電源出力開始検出ステップは、前記所定値として、前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子の閾値を用いる電源投入制御方法5とすることができる。
【0060】
第6に、上記電源投入制御方法1乃至5のいずれかにおいて、前記電源装置2は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、前記主電源監視ステップは、前記電源装置からの前記電源正常信号が入力されたとき主電源正常と判断する電源投入制御方法6とすることができる。
【0061】
なお、本発明においては、上述の実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1、11、12;電源投入制御回路、2;電源装置、3;出力回路、31;電源要求信号(PSon#)、32;電源投入信号(PS_ON#)、4;主電源監視回路、5、5a;タイマー(第1タイマー)、6、6c、6d;第2タイマー、61;電圧比較回路、7;電源停止信号、8;副電源監視回路、9;負荷回路、92、92a、92b、92c;副電源、DCm;電源装置から出力される直流電源(主電源)、DCs;副電源から出力される直流電源、PGm;主電源正常信号、PGs;副電源正常信号、PU;主電源出力開始信号、TOa、TOb、TOc、TOd、TO#;タイマー出力信号、VAC;商用電源、VS;待機電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、
前記電源装置に対し前記電源投入信号を出力する出力回路と、
前記電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、
前記主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、
を備え、
前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを特徴とする電源投入制御回路。
【請求項2】
前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項1記載の電源投入制御回路。
【請求項3】
前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、
前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、
各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、
を更に備え、
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源監視回路から前記副電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項1記載の電源投入制御回路。
【請求項4】
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項3記載の電源投入制御回路。
【請求項5】
前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、前記所定値として該論理回路素子の閾値を用いる請求項2乃至4のいずれかに記載の電源投入制御回路。
【請求項6】
前記電源装置は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、
前記主電源監視回路は、前記電源装置から出力される前記電源正常信号を前記主電源正常信号として用いる請求項1乃至5のいずれかに記載の電源投入制御回路。
【請求項1】
入力される電源投入信号に従って直流電源を供給する電源装置に接続され、主電源として該直流電源の供給を受ける負荷回路に備えられる電源投入制御回路であって、
前記電源装置に対し前記電源投入信号を出力する出力回路と、
前記電源投入信号を活性にしたときに計時を開始するタイマーと、
前記主電源の電圧が略規定電圧となっているとき主電源正常信号を出力する主電源監視回路と、
を備え、
前記タイマーにより所定時間が計時されるまでに前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させることを特徴とする電源投入制御回路。
【請求項2】
前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーを更に備え、
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項1記載の電源投入制御回路。
【請求項3】
前記負荷回路には前記主電源の供給を受けて別の直流電源を出力する1又は2以上の副電源が設けられており、
前記主電源の電圧が所定値を越えたときに計時を開始する第2タイマーと、
各前記副電源の出力電圧が略規定電圧となっているとき当該副電源について副電源正常信号を出力する副電源監視回路と、
を更に備え、
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、少なくとも1つの前記副電源監視回路から前記副電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項1記載の電源投入制御回路。
【請求項4】
前記第2タイマーにより所定時間が計時されるまでに、更に前記主電源監視回路から前記主電源正常信号が出力されなかった場合には、前記電源投入信号を非活性にすることにより前記電源装置に前記直流電源の供給を停止させる請求項3記載の電源投入制御回路。
【請求項5】
前記第2タイマーは前記主電源の電圧に比例した電圧が入力される論理回路素子を備え、前記所定値として該論理回路素子の閾値を用いる請求項2乃至4のいずれかに記載の電源投入制御回路。
【請求項6】
前記電源装置は、供給する前記直流電源が略規定電圧となっていることを示す電源正常信号の出力を備えており、
前記主電源監視回路は、前記電源装置から出力される前記電源正常信号を前記主電源正常信号として用いる請求項1乃至5のいずれかに記載の電源投入制御回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−22533(P2012−22533A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160100(P2010−160100)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(591022597)萩原電気株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(591022597)萩原電気株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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