説明

電源管理装置、電源管理方法、および、電源管理システム

【課題】電力変換器の故障が発生した場合でも、高電圧回路から低電圧回路へ電力を供給することができ、車両の補機類を停止させることがなく、安定的に走行を継続する。
【解決手段】第1の蓄電器1と、第2の蓄電器2と、第1の蓄電器1の電力を変換して第2の蓄電器2や車両の補機類5に供給する電力変換器4と、第1の蓄電器1に接続されたモータジェネレータ3とを備えた車両に設けられた電源管理装置であって通常時は第1の蓄電器1と第2の蓄電器2との間を非導通状態とし、電力変換器4の故障が検出された時に導通状態に切り替えるスイッチ6と、スイッチ6を非導通状態から導通状態へ切替える前に、第1の蓄電器1の電圧と第2の蓄電器2の電圧との差が所定電圧差以内となるようにモータジェネレータ3を制御する電源管理部7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源管理装置、電源管理方法、および、電源管理システムに関し、特に、複数の蓄電器と電力変換器とを備えた車両で用いられる、電源管理装置、電源管理方法、および、電源管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球上の温室効果ガス問題を背景に、自動車における燃料消費量を低減する技術の開発が求められている。そのような状況の中で、減速時に発生する運動エネルギを電力として回収し、減速時以外の発電量を低減することで、車両の燃料消費量を低減する技術が開発されている。このような車両において、発電機の電圧を高くすると、発電した電力をより効率良く蓄えることができる。そのため、エンジンの補機類を動作させる電圧域よりも高い電圧で発電と蓄電を行うことができる。また、補機やバッテリには電力変換器を用いて降圧した電力を供給すると、効率良く電力を利用することができる。しかしながら、このようなシステムにおいて、電力変換器が故障してしまうと、高電圧回路から低電圧回路へ電力供給することができなくなる。そのため、補機類への電力供給はバッテリからのみ行われるようになる。バッテリの充電量が低下すると、補機類が動作しなくなり、最悪の場合では、車両が走行できなくなる。
【0003】
従来の車両の電源管理装置は、電力変換器の故障に備えて、電力変換器を2つ備えたシステムが提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、高電圧回路と低電圧回路の間で短絡故障が発生した場合、低電圧回路と同程度の電圧となるように発電機の発電量を低下させて、低電圧回路に電力を供給するシステムが提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−122701号公報(第5頁、図1)
【特許文献2】特許第4143267号公報(第5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来の電源管理装置は、電力変換器の故障に備えて、電力変換器を2つ並列に接続した構成としているので、二系統化に伴う大幅なコストアップが発生してしまうとともに、大型化してしまうなどの問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の別の従来の電源管理装置は、高電圧回路と低電圧回路の間で短絡故障が発生した場合、低電圧回路と同程度の電圧となるように発電機の発電量を低下させて、低電圧回路に電力を供給するように制御する。しかしながら、電力変換器が高電圧回路と低電圧回路を短絡しない通常の故障の場合は、低電圧回路に電力が供給されないなどの問題が解消されずに残ってしまう。
【0008】
そのため、これらの問題を解決するため、高電圧回路と低電圧回路を導通状態とさせるスイッチを設け、電力変換器の故障時は、このスイッチを非導通状態から導通状態へ切替えることが提案されている。これにより、高電圧回路から低電圧回路への電力供給が可能となる。しかしながら、双方の回路の電圧に差がある場合にはスイッチに大電流が流れて焼損させてしまう上、低電圧回路側の電圧が上昇し、補機の耐電圧を超えて焼損に至るなどの課題があった。
【0009】
この発明はかかる課題を解決するためになされたもので、電力変換器の故障が発生した場合でも、高電圧回路から低電圧回路へ電力を供給することができ、車両の補機類を停止させることがなく、安定的に走行を継続することができる、電源管理装置、電源管理方法、および、電源管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、第1の蓄電器を含む第1の回路と、第2の蓄電器を含む第2の回路と、前記第1の蓄電器の電力を変換して前記第2の蓄電器や車両の補機に供給する電力変換器と、前記第1の蓄電器に接続されたモータジェネレータとを含む車両に設けられた電源管理装置であって、前記第1の回路と前記第2の回路との間に接続され、通常時は前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態とし、前記電力変換器の故障が検出された時に、前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態から導通状態に切り替えるスイッチと、前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替える前に、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となるように前記モータジェネレータを制御する電源管理部とを備えたことを特徴とする電源管理装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、第1の蓄電器を含む第1の回路と、第2の蓄電器を含む第2の回路と、前記第1の蓄電器の電力を変換して前記第2の蓄電器や車両の補機に供給する電力変換器と、前記第1の蓄電器に接続されたモータジェネレータとを含む車両に設けられた電源管理装置であって、前記第1の回路と前記第2の回路との間に接続され、通常時は前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態とし、前記電力変換器の故障が検出された時に、前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態から導通状態に切り替えるスイッチと、前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替える前に、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となるように前記モータジェネレータを制御する電源管理部とを備えたことを特徴とする電源管理装置であるので、電力変換器の故障が発生した場合でも、高電圧回路から低電圧回路へ電力を供給することができ、車両の補機類を停止させることがなく、安定的に走行を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電源管理装置とその周辺の構成を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る電源管理装置とその周辺の動作を示すタイムチャートである。
【図3A】この発明の実施の形態1に係る電源管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3B】この発明の実施の形態1に係る電源管理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る電源管理装置および電源管理方法について図1〜3を用いて説明する。なお、図1〜3において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、この発明の実施の形態1に係る電源管理装置およびその周辺の構成を示した構成図である。図1に示す構成は、すべて、車両内に設けられている。図1において、1は第1の蓄電器で、2は第2の蓄電器である。第1および第2の蓄電器1,2は、それぞれに接続された電気機器によって、電力の充放電が可能である。第1の蓄電器1は、高電圧系の蓄電器であり、第2の蓄電器2は低電圧系の蓄電器である。第1の蓄電器1は、後述するモータジェネレータ3によって電力が蓄えられ、後述する電力変換器4を通して電力変換し、低電圧系の第2の蓄電器2と後述する車両の補機類5に電力を供給する。
【0015】
車両は、エンジン(図示せず)を原動力として走行し、エンジンはエンジン制御装置14によって出力を制御される。エンジン制御装置14には、エンジン回転数検出手段11、スロットル開度検出手段12、および、アクセル開度検出手段15が接続されている。エンジン回転数検出手段11は、エンジンの回転数を検出する。スロットル開度検出手段12は、スロットル開度を検出する。アクセル開度検出手段15は、ドライバの加速要求として操作されるアクセルペダルの開度を検出する。エンジン制御装置14には、エンジン回転数検出手段11、スロットル開度検出手段12、および、アクセル開度検出手段15からの信号が入力される。エンジン制御装置14は、それらの信号による情報と各システムからの要求トルクとをもとに、必要なエンジン出力を計算し、インジェクタ13に対し燃料噴射を指令する。
【0016】
図1において、3はモータジェネレータである。モータジェネレータ3は、第1の蓄電器1に接続されている。モータジェネレータ3には、駆動モードと発電モードとがある。モータジェネレータ3は、駆動モードでは、第1の蓄電器1に蓄えられた電力を用いてエンジンに対してトルクを付与してエンジンを始動する。また、モータジェネレータ3は、発電モードでは、エンジンからトルクを付与されて、第1の蓄電器1を充電する。5は車両の補機類である。車両の補機類5とは、車両に設けられた複数の補機を意味する。補機の例としては、例えば、ヘッドライト、エアコン、オーディオ、および、エンジンやパワーウィンドウなどを制御するコントロールユニットなどの電気機器がある。4はDC−DCコンバータなどの電力変換器である。電力変換器4は、モータジェネレータ3で発電され、第1の蓄電器1に蓄えられた電力を、第1の蓄電器1の電圧よりも低い電圧に電力変換し、第2の蓄電器2や車両の補機類5に供給する。6はスイッチである。スイッチ6は、モータジェネレータ3と第1の蓄電器1を含む高電圧回路と、第2の蓄電器2と車両の補機類5を含む低電圧回路との間に接続されている。スイッチ6は、高電圧回路と低電圧回路との間の導通状態と非導通状態を切替える。7は電源管理部である。電源管理部7は、モータジェネレータ3に対する発電や駆動の指令や、発電モードおよび駆動モード時のトルクを指令する。また、電源管理部7は、スイッチ6の動作を、通常時は非導通状態とするとともに、電力変換器4の故障を検出した場合、導通状態に切替えるように指令する。電源管理部7は、内部に、第1の蓄電器1の端子間電圧を検出するための第1の蓄電器1の端子間電圧検出手段8と、第2の蓄電器2の端子間電圧を検出するための第2の蓄電器2の端子間電圧検出手段9とを、備えている。これらの端子間電圧検出手段8,9により、第1の蓄電器1と第2の蓄電器2の端子間電圧を計測することができる。また、電力変換器4と第2の蓄電器2との間に電力変換器出力電流検出手段10が接続され、電力変換器4の出力電流を計測することができる。電源管理部7とエンジン制御装置14は通信機能を備えており、それぞれが制御に使用している情報を共有することができる。
【0017】
なお、この発明の実施の形態1に係る電源管理装置は、電源管理部7とスイッチ6とから構成されている。また、この発明の実施の形態1に係る電源管理システムは、第1の蓄電器1、第2の蓄電器2、電力変換器4、モータジェネレータ3、スイッチ6、電源管理部7から構成されている。
【0018】
図2は、この発明の実施の形態1に係る電源管理装置および電源管理システムのタイムチャートである。グラフの横軸は時間軸であり、縦軸は上段から順に、電源管理部7で生成されるアイドリングストップ許可/禁止信号、スイッチ6の導通/非導通を切替えるスイッチ信号、インジェクタ13からの燃料噴射有無を表す燃料噴射信号、車速センサ(図示せず)で検出される車両速度、エンジン回転数検出手段11で検出されるエンジン回転数、第1の蓄電器1の端子間電圧検出手段8で検出される第1の蓄電器1の端子間電圧、第2の蓄電器2の端子間電圧検出手段9で検出される第2の蓄電器2の端子間電圧、モータジェネレータ3の電流、モータジェネレータ3の出力トルク、エンジンの出力トルク、電力変換器4の出力電流、モータジェネレータ3に対する動作指令をそれぞれ表す。
【0019】
図2に示すように、モータジェネレータ3の電流は、駆動モード時に電力消費となり、軸の上方に大きくなる値を示し、発電モード時に蓄電となり、軸の下方に大きくなる値を示すものとする。また、同様に、モータジェネレータ3の出力トルクは、駆動モード時は軸の上方に大きくなる値を示し、発電モード時は下方に大きくなる値を示す。
【0020】
図2においては、説明の簡略化のため、緩やかな減速時に電力変換器4の故障が発生し、その後、アイドリングが継続されたときの動作を例に挙げて説明する。ただし、このタイムチャートは、この発明の動作原理を説明するために用いるもので、本願発明は、この動作に限定されるものではない。
【0021】
図2において、T1は第1の目標電圧を表し、T2は第2の目標電圧を表す。また、モータジェネレータ3の電流およびトルク特性は一例であり、図2に示す特性に限定されるものではない。図2は一例であり、電流・電圧・トルクなどの情報を表す縦軸のスケールは必ずしも一致しない。
【0022】
図2に示すように、時刻t=T201より以前においては、電力変換器4の出力電流の値から分かるように、電力変換器4は正常に動作している。また、車両速度に示されるように、車両は緩やかに減速しており、エンジン回転数も徐々に所定のアイドリング回転数に近づいている。モータジェネレータ3は発電状態であり、電力変換器4を介して第2の蓄電器2および車両の補機類5に対して電力を供給しているが、第1の蓄電器1および第2の蓄電器2は十分に充電された状態であり、第1の蓄電器1および第2の蓄電器2の端子間電圧は一定値を保っている。モータジェネレータ3の電流は、電力変換器4に接続された車両の補機類5を駆動させるための電力分のみ流れている。モータジェネレータ3の発電トルクは、発電された電流に相当する分のトルクをエンジンより付与されている。エンジンの出力トルクは、エンジンそのものを回転させるために必要なトルクと発電に必要なトルク分を発生している。電力変換器4は正常動作しており、車両の補機類5の駆動に必要な電流を低電圧回路に出力している。
【0023】
時刻t=T201において、なんらかの原因によって、電力変換器4の故障が発生する。電力変換器4の出力電流は低下し、やがてゼロとなる。電源管理部7は、電力変換器出力電流検出手段10からの検出電流値の値に基づいて、電力変換器4の故障を検出する。高電圧回路からの電力供給がなくなるため、第2の蓄電器2から車両の補機類5に対して電力供給が行われるようになり、第2の蓄電器2の電圧は徐々に低下していく。第2の蓄電器2の電圧が所定値以下となった場合、車両の補機類5は駆動できなくなるため、車両が走行できなくなる可能性があり、第2の蓄電器2および車両の補機類5に対して可及的速やかに電力供給が再開されることが望まれる。そのため、電源管理部7は、電力変換器4の故障を検出した場合、エンジン制御装置14に対し、アイドリングストップを禁止する禁止信号を発信すると共に、モータジェネレータ3に対して、モータジェネレータ動作指令として、発電禁止指令を出す。これにより、モータジェネレータ3の発電電流および発電トルクは低下し、ゼロとなる。
【0024】
時刻t=T202において、電源管理部7は、第1の蓄電器1の電圧を低下させる処理を開始する。電源管理部7は、第1の目標電圧T1の演算を開始する。図中のD1は、モータジェネレータ3の駆動中にモータジェネレータ3と第1の蓄電器1との間に生じる電圧降下の最大値を表し、予め電源管理部7に記憶されている。従って、電源管理部7は、D1の値を用いて、第1の目標電圧T1を算出する。具体的には、電源管理部7は、第2の蓄電器2の端子間電圧からD1を差し引いた値を、第1の目標電圧T1として、演算により求める。また、それと同時に、電源管理部7は、モータジェネレータ3に対して、モータジェネレータ動作指令として、駆動指令を発信する。当該駆動指令により、第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1以下となるように、かつ、モータジェネレータ3の駆動トルクの変化量が所定値以上とならないように制限を加えながら、モータジェネレータ3の駆動トルクを徐々に大きくしていく。この変化量は、モータジェネレータ3の発生する駆動トルクによってエンジンまたは車両の挙動が変化し、ドライバに違和感を与えない最大の変化量に設定することが望ましい。駆動トルクの上昇に伴い、モータジェネレータ3の電流も大きくなっていく。エンジンの回転を維持するための必要トルクに対し、モータジェネレータ3の駆動トルクの割合が大きくなるため、エンジンの出力トルクは相対的に小さくなっていく。第1の蓄電器1に蓄えられた電力は、モータジェネレータ3によって消費されるため、第1の蓄電器1の端子間電圧は徐々に低下していく。
【0025】
時刻t=T203において、エンジン回転数が、予め設定された所定の回転数を下回る。この回転数は、モータジェネレータ3から出力可能なトルクが、エンジンが回転を維持するために必要なトルクを上回るような、回転数に設定されている。換言すると、所定の回転数よりもエンジン回転数が低い領域であれば、モータジェネレータ3単体でエンジンの回転を維持することができるということになる。電源管理部7は、モータジェネレータ3に対して、エンジンの回転数を維持するようなトルクを出力するように指令し、エンジン制御装置14に対しては、燃料噴射信号として、インジェクタ13の燃料噴射の停止を指令する信号を出力するため、エンジンの出力トルクはゼロとなる。
【0026】
時刻t=T204において、第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1に近づいたため、電源管理部7は、モータジェネレータ3に対して、モータジェネレータ3の駆動トルクを制限し、それにより、駆動トルクが徐々に低下していく。また、モータジェネレータ3の電流も小さくなる。また、電源管理部7は、エンジン制御装置14に対し、燃料噴射信号として、インジェクタ13の燃料噴射の噴射を指令する信号を出力する。これにより、エンジンは燃料噴射を開始し、エンジンの出力トルクは相対的に大きくなっていく。
【0027】
時刻t=T205において、第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1に到達する。電源管理部7は、第2の蓄電器2の端子間電圧検出手段9からの検出値に基づいて、第2の目標電圧の演算を開始する。第2の目標電圧T2は、第2の蓄電器2の端子電圧と等しいものとする。電源管理部7の指令によって、モータジェネレータ3の動作指令は、駆動から発電に切替られ、モータジェネレータ3の電流は駆動(消費)から発電(蓄電)に変化する。モータジェネレータ3は、第1の蓄電器1の端子間電圧が第2の目標電圧T2以上となるように、かつ、モータジェネレータ3の発電トルクの変化量が所定値以上とならないように制限を加えながら、モータジェネレータ3の発電トルクを徐々に大きくしていく。この変化量は、モータジェネレータ3の発生するトルクによってエンジンまたは車両の挙動が変化し、ドライバに違和感を与えない最大の変化量に設定することが望ましい。発電トルクの上昇に伴い、モータジェネレータ3の電流も発電側に大きくなっていく。モータジェネレータ3は発電状態であり、第1の蓄電器1は蓄電状態であるため、第1の蓄電器1の端子間電圧は徐々に上昇していく。
【0028】
時刻t=T206において、第1の蓄電器1の端子間電圧が第2の目標電圧T2にやや近づいたため、モータジェネレータ3の発電トルクが制限される。第2の蓄電器2の端子間電圧は、電力変換器4の故障が発生してから車両の補機類5に電力を供給し続けており、低下を続けている。
【0029】
時刻t=T207において、第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の目標電圧T2である第2の蓄電器2の端子間電圧の電圧差が所定電圧差以内となる。電源管理部7は、スイッチ6に対し、スイッチ6の状態が非導通状態から導通状態へ切替えるようにスイッチ信号を出力し、スイッチ6が導通状態となる。モータジェネレータ3の電流は、第2の蓄電器2の電圧を維持するために必要な電流と車両の補機類5に供給する電流を出力する。モータジェネレータ3の出力トルクは、モータジェネレータ3の発電量に応じたトルクをエンジンより付与される。エンジンの出力トルクは、モータジェネレータ3の発電トルクとエンジンの回転を維持するために必要なトルクの合算値となる。モータジェネレータ3の動作指令は、スイッチ6が投入された後も発電状態を継続し、車両の補機類5および第2の蓄電器2に対して電力を供給する。
【0030】
このように、本実施の形態においては、高電圧回路と低電圧回路との間の非導通/導通を切り替えるスイッチ6を備え、電源管理部7は、電力変換器4の故障を検出したときに、スイッチ6を非導通状態から導通状態に切り替える前に、高電圧系の第1の蓄電器1の端子間電圧と低電圧系の第2の蓄電器2の端子間電圧との電圧差が所定値以内となるように、モータジェネレータ3を動作させる。これにより、電力変換器4が故障した場合であっても、高電圧回路から低電圧回路に電力を供給することができる。
【0031】
図3A、図3Bは、この発明の実施の形態1に係る電源管理部7の動作を表したフローチャートである。なお、図3A,図3Bは、1つのフローチャートを2つの図面に分けて記載したもので、図3Aに記載の部分と図3Bに記載の部分とは続いている。
【0032】
図3Aに示すように、電源管理部7は、まず、ステップS301において、電力変換器4の故障が発生したか否かを判定する。第1の蓄電器1の端子間電圧が所定値以上あり、電力変換器4が駆動可能な状態であるにもかかわらず、電力変換器4の出力電流が所定値以下のときに故障と判定して、ステップS302に進み、故障と判定されない場合は処理を終了する。
【0033】
ステップS302において、電源管理部7は、モータジェネレータ3に対して、通常の発電動作の禁止を指令して、ステップS303に進む。
【0034】
ステップS303において、電源管理部7は、アイドリングストップの禁止を、エンジン制御装置14に対して指令してステップS304に進む。
【0035】
ステップS304において、電源管理部7は、第1の蓄電器1の端子間電圧を低下させる処理を開始する。電源管理部7は、第2の蓄電器2の端子間電圧から、モータジェネレータ3の駆動中にモータジェネレータ3と第1の蓄電器1との間に生じる電圧降下の最大値D1を差し引いた値を第1の目標電圧T1に設定し、第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1以下であるか否かを判定する。第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1以下である場合には、図3Bに示すステップS318に進み、第1の蓄電器1の端子間電圧が第1の目標電圧T1よりも高い場合には、ステップS305に進む。
【0036】
ステップS305において、電源管理部7は、モータジェネレータ3の駆動を指令して、ステップS306に進む。
【0037】
ステップS306において、電源管理部7は、エンジン回転数を引数としたルックアップテーブルによってモータジェネレータ3の駆動トルクを演算し、ステップS307に進む。なお、当該ルックアップテーブルは、電源管理部7に予め記憶されており、エンジン回転数ごとに、モータジェネレータ3の駆動トルクが設定・記憶されている。
【0038】
ステップS307において、電源管理部7は、ステップS306で演算されたモータジェネレータ3の駆動トルクを、第1の蓄電器1の端子間電圧V1から第1の目標電圧T1を減算した値の絶対値に定数倍した値(k1×|V1−T1|、ここで、k1:定数)で制限して、ステップS308に進む。
【0039】
ステップS308において、電源管理部7は、ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルクの変化量が所定変化量よりも大きいか否かを判定する。すなわち、ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルク(現在値)からモータジェネレータ3の駆動トルク(前回値)を減算した値が、所定変化量より大きいか否かを下式により判定する。
【0040】
モータジェネレータ3の駆動トルク(現在値)
− モータジェネレータ3の駆動トルク(前回値) > 所定変化量
【0041】
判定の結果、上式を満たすとき、ステップS309に進み、それ以外の場合はステップS310に進む。
【0042】
ステップS309において、電源管理部7は、ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルクの変化量が所定変化量以下となるように下式のように制限を加え、ステップS313に進む。
【0043】
変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルク
= モータジェネレータ3の駆動トルク(前回値)+ 所定変化量
【0044】
一方、ステップS310において、電源管理部7は、ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルクの変化量が所定変化量よりも小さいか否かを下式のように判定する。
【0045】
ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルク
− モータジェネレータ3の駆動トルク(前回値) < (−1)×所定変化量
【0046】
上式を満たすとき、ステップS311に進み、それ以外の場合はステップS312に進む。
【0047】
ステップS311において、電源管理部7は、ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルクの変化量が所定変化量以上となるように下式のように制限を加え、ステップS313に進む。
【0048】
変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルク
= モータジェネレータ3の駆動トルク(前回値)− 所定変化量
【0049】
ステップS312において、電源管理部7は、変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルクの代入処理を下式のように行い、ステップS313に進む。
【0050】
変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルク
= ステップ307で制限されたモータジェネレータ3の駆動トルク
【0051】
ステップS313において、電源管理部7は、エンジン回転数とアクセル開度を引数としたルックアップテーブルによって、車両の要求トルクを演算し、ステップS314に進む。このルックアップテーブルは、電源管理部7に予め記憶されており、エンジン回転数ごと、および、アクセル開度ごとに、車両の要求トルクが設定・記憶されている。
【0052】
ステップS314において、電源管理部7は、ステップS313までに演算された変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルクをモータジェネレータ3に対して指令して、ステップS315に進む。
【0053】
ステップS315において、電源管理部7は、ステップS313において演算された車両の要求トルクから、ステップS314で指令された変化量制限後のモータジェネレータ3の駆動トルクを減算して、エンジンの要求トルクを算出する。算出されたエンジンの要求トルクをエンジン制御装置14に対して指令して、ステップS316に進む。
【0054】
ステップS316において、電源管理部7は、ステップS315で算出されたエンジンの要求トルクが所定値以下であるか否かを判定する。エンジンの要求トルクが所定値以下である場合、ステップS317に進み、エンジンの要求トルクが所定値より大きい場合、ステップS304に戻って処理を継続する。
【0055】
ステップS317において、電源管理部7は、エンジン制御装置14に対して、燃料噴射の停止を指令し、ステップS304に戻って処理を継続する。
【0056】
一方、図3Bに示すステップS318においては、電源管理部7は、モータジェネレータ3の発電を指令して、ステップS319に進む。
【0057】
ステップS319において、電源管理部7は、第2の蓄電器2の端子間電圧を第2の目標電圧T2に設定する。その後、第2の目標電圧T2から第1の蓄電器1の端子間電圧V1を減算した値の絶対値に定数倍した値(k2×|T2−V1|、ここで、k2:定数)をモータジェネレータ3の発電トルクに設定し、ステップS320に進む。
【0058】
ステップS320において、電源管理部7は、ステップS319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルクの変化量が所定変化量よりも大きいか否かを下式のように判定する。
【0059】
ステップ319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルク
− モータジェネレータ3の発電トルク(前回値) > 所定変化量
【0060】
判定の結果、上式を満たすとき、ステップS321に進み、それ以外の場合はステップS322に進む。
【0061】
ステップS321において、電源管理部7は、ステップ319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルクの変化量が所定変化量以下となるように下式のように制限を加え、ステップS325に進む。
【0062】
変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルク
= モータジェネレータ3の発電トルク(前回値)+ 所定変化量
【0063】
一方、ステップS322において、電源管理部7ステップ319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルクの変化量が所定変化量よりも小さいか否かを下式のように判定する。
【0064】
ステップ319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルク
− モータジェネレータ3の発電トルク(前回値) < (−1)×所定変化量
【0065】
判定の結果、上式を満たすとき、ステップS323に進み、それ以外の場合はステップS324に進む。
【0066】
ステップS323において、電源管理部7は、ステップS319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルクの変化量が所定変化量以上となるように下式にように制限を加え、ステップS325に進む。
【0067】
変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルク
= モータジェネレータ3の発電トルク(前回値)− 所定変化量
【0068】
ステップS324においては、電源管理部7は、変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルクの代入処理を下式のように行い、ステップS325に進む。
【0069】
変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルク
= ステップS319で演算されたモータジェネレータ3の発電トルク
【0070】
ステップS325において、電源管理部7は、エンジン回転数とアクセル開度を引数としたルックアップテーブルによって車両の要求トルクを演算し、これに前ステップまでに演算された変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルクを加えてエンジンの要求トルクとして、ステップS326に進む。
【0071】
ステップS326において、電源管理部7は、変化量制限後のモータジェネレータ3の発電トルクをモータジェネレータ3に対して指令して、ステップS327に進む。
【0072】
ステップS327において、電源管理部7は、ステップS325で算出されたエンジンの要求トルクをエンジン制御装置に対して指令し、ステップS328に進む。
【0073】
ステップS328において、電源管理部7は、第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の蓄電器2の端子間電圧の差が所定値以内であるか否かを判定する。第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の蓄電器2の端子間電圧の差が所定値以内である場合、ステップS329に進み、第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の蓄電器2の端子間電圧の差が所定値より大きい場合、ステップS318に進み、処理を継続する。
【0074】
ステップS329において、電源管理部7は、スイッチ6に対して非導通状態から導通状態へ切替えるように指令し、処理を終了する。
【0075】
以上のように、この発明における実施の形態について説明したが、第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の蓄電器2の端子間電圧との電圧差が所定値以内であるときに、第1の蓄電器1と第2の蓄電器2を導通状態とするようにスイッチ6を投入できればよく、この構成に限定されるものではない。
【0076】
以上説明したように、この発明は、第1の蓄電器1と、第2の蓄電器2と、第1の蓄電器1の電力を変換して第2の蓄電器2や車両の補機類5に供給する電力変換器4と、第1の蓄電器1に接続され第1の蓄電器1の電力を用いて外部にトルクを付与または外部のトルクによって発電して第1の蓄電器1を充電するモータジェネレータ3と、第1の蓄電器1を含む回路と第2の蓄電器2を含む回路の間に接続され電力変換器4の故障時は双方の回路間を非導通状態から導通状態にするスイッチ6と、該スイッチ6を非導通状態から導通状態へ切替える前に、前記第1の蓄電器1と前記第2の蓄電器2の電圧差が所定電圧差以内となるように前記モータジェネレータ3を動作させる電源管理部7とを備えた電源管理システムである。また、この発明は、第1の蓄電器1の端子間電圧検出手段8及び第2の蓄電器2の端子間電圧検出手段9を有する電源管理部7とスイッチ6とから構成される電源管理装置である。なお、電力変換器出力電流検出手段10も、電源管理装置の構成要素としてもよい。さらに、この発明は、当該電源管理装置または電源管理システムで実施される電源管理方法でもある。
【0077】
この発明によれば、電力変換器4の故障が発生した場合には、高電圧回路と低電圧回路との間のスイッチ6を非導通状態から導通状態に切替えるように構成したので、電力変換器4の故障が発生した場合でも、モータジェネレータ3で発電された電力をスイッチ6を介して車両の補機類5に供給することができるようになるため、車両の補機類5を停止させることがなく、安定的に走行を継続することができる。また、スイッチ6を設けるだけであるので、二系統化する場合に比べ、安価で小型に構成することができる。さらには、高電圧回路と低電圧回路の電圧差が所定値以内となった後に、スイッチ6を導通状態に切替えるため、低電圧回路の電圧を上昇させることなく、車両の補機類5の耐電圧を超えて焼損に至ることを防止することができる。
【0078】
また、第1の蓄電器2の端子間電圧と第2の蓄電器の端子間電圧との電圧差が、所定電圧差以上の場合は、モータジェネレータ3の動作を外部にトルクを付与する駆動状態とした。これにより、エンジンに対してトルクを付与することができるため、第1の蓄電器1に蓄えたエネルギを無駄に消費することなく、速やかに電圧を低下させることができる。これにより、低電圧回路に電力が供給されない時間を最小限とすることができる。
【0079】
また、モータジェネレータ3の駆動中は、高電圧回路内に大きな電流が流れるため、配線抵抗による電圧降下が発生し、第1の蓄電器1の端子間電圧を正確に計測することができない。そのため、モータジェネレータ3の駆動状態は、第1の蓄電器1の端子間電圧が、第2の蓄電器の端子間電圧よりも低い第1の目標電圧T1以下となるまで継続させ、第1の目標電圧T1に達したときに、発電状態へ切替えて、第1の蓄電器1の端子間電圧と第2の蓄電器2の端子間電圧との電圧差が所定値以内となるまで発電して、スイッチ6を非導通状態から導通状態にするようにした。これにより、第1の蓄電器1の端子間電圧を、駆動停止中に精度良く計測すると共に、発電状態へ切替えた後に、第2の蓄電器2の電圧へ近づけていくため、スイッチ6の切替時の電圧差をより正確に把握することができ、低電圧回路に高い電圧が印加される可能性を駆動状態で電圧計測した場合に比べて低くすることができる。
【0080】
また、モータジェネレータ3の駆動中は、モータジェネレータ3が駆動時に発生するトルクの大きさによってエンジンが出力するトルクを小さくするようにした。これにより、第1の蓄電器1の端子間電圧を低下させるために、モータジェネレータ3を駆動した場合に、モータジェネレータ3の駆動トルク分だけエンジンが出力するトルクを低下させることができるため、エンジンが消費する燃料量を少なくすることができる。
【0081】
また、モータジェネレータ3の駆動中は、モータジェネレータ3の駆動トルクとエンジンの駆動トルクの合計が、車両側が要求するトルクと一致させるように制御するようにした。単純にモータジェネレータ3を駆動した場合は、エンジンの出力軸よりモータジェネレータ3の駆動トルクとエンジンの出力トルクの合計が出力されてしまうために、トルクの変動が発生してしまうが、上記のようにすることで、モータジェネレータ3の駆動に関わらず、車両側が要求するトルクとモータジェネレータ3の出力トルクを含むエンジン出力軸のトルクが一致するようになるため、トルク変動の発生を抑制することができる。
【0082】
また、モータジェネレータ3の駆動中、エンジンの出力トルクが所定トルク以下となった場合は、エンジンへの燃料供給を停止するようにした。これにより、エンジンの回転を維持するために必要なトルクがモータジェネレータ3の最大出力トルクよりも小さい場合、燃料噴射を停止することができ、エンジンが消費する燃料量をゼロとすることができる。
【0083】
また、電力変換器4の故障を検出した後、スイッチ6を非導通状態から導通状態へ切替えるまでの間に、モータジェネレータ3が発生する駆動トルクまたは発電トルクの変化が所定以下となるように制御するようにした。これにより、モータジェネレータ3の動力軸上に接続されたエンジンのトルク変動を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 第1の蓄電器、2 第2の蓄電器、3 モータジェネレータ、4 電力変換器、5 車両の補機類、6 スイッチ、7 電源管理部、8 第1の蓄電器1の端子間電圧検出手段、9 第2の蓄電器2の端子間電圧検出手段、10 電力変換器出力電流検出手段、11 エンジン回転数検出手段、12 スロットル開度検出手段、13 インジェクタ、14 エンジン制御装置、15 アクセル開度検出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の蓄電器を含む第1の回路と、第2の蓄電器を含む第2の回路と、前記第1の蓄電器の電力を変換して前記第2の蓄電器や車両の補機に供給する電力変換器と、前記第1の蓄電器に接続されたモータジェネレータとを含む車両に設けられた電源管理装置であって、
前記第1の回路と前記第2の回路との間に接続され、通常時は前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態とし、前記電力変換器の故障が検出された時に、前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態から導通状態に切り替えるスイッチと、
前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替える前に、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となるように前記モータジェネレータを制御する電源管理部と
を備えたことを特徴とする電源管理装置。
【請求項2】
前記電源管理部は、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が、第2の所定電圧差以上の場合は、前記モータジェネレータの動作を、前記第1の蓄電器の電力を用いて外部にトルクを付与する駆動状態とすることを特徴とする請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項3】
前記電源管理部は、
前記第1の蓄電器の電圧が、前記第2の蓄電器の電圧よりも低い目標電圧以下となるまで、前記モータジェネレータを駆動状態に継続させ、
前記第1の蓄電器の電圧が前記目標電圧になったときに、前記モータジェネレータの動作を、外部のトルクによって発電して前記第1の蓄電器を充電する発電状態へ切替えて、前記モータジェネレータを発電状態に継続させ、
前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が前記第1の所定電圧差以内になったときに、前記スイッチを非導通状態から導通状態に切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の電源管理装置。
【請求項4】
前記電源管理部は、前記モータジェネレータが駆動状態の間は、前記モータジェネレータが駆動時に発生するトルクの大きさに応じて車両のエンジンが出力するトルクが小さくなるように制御することを特徴とする請求項2に記載の電源管理装置。
【請求項5】
前記電源管理部は、前記モータジェネレータが駆動状態の間は、前記モータジェネレータの駆動トルクと前記エンジンの駆動トルクとの合計が、車両側が要求するトルクと一致するように制御することを特徴とする請求項4に記載の電源管理装置。
【請求項6】
前記電源管理部は、前記モータジェネレータが駆動状態の間は、前記エンジンの出力トルクが所定トルク以下となった場合は、前記エンジンへの燃料供給を停止することを特徴とする請求項4に記載の電源管理装置。
【請求項7】
前記電源管理部は、前記電力変換器の故障を検出してから、前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替えるまでの間に、前記モータジェネレータが発生する駆動トルクまたは発電トルクの変化が所定範囲内となるように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電源管理装置。
【請求項8】
第1の蓄電器を含む第1の回路と、
第2の蓄電器を含む第2の回路と、
前記第1の蓄電器の電力を変換して前記第2の蓄電器や車両の補機に供給する電力変換器と、
前記第1の蓄電器に接続されたモータジェネレータと、
前記第1の回路と前記第2の回路との間に接続され、通常時は前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態とし、前記電力変換器の故障が検出された時に、前記第1の回路と前記第2の回路との間を非導通状態から導通状態に切り替えるスイッチと、
前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替える前に、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となるように前記モータジェネレータを制御する電源管理部と
を備えたことを特徴とする電源管理システム。
【請求項9】
第1の蓄電器を含む第1の回路と、第2の蓄電器を含む第2の回路と、前記第1の蓄電器の電力を変換して前記第2の蓄電器や車両の補機に供給する電力変換器と、前記第1の蓄電器に接続されたモータジェネレータとを備えた車両において実施される電源管理方法であって、
前記電力変換器が正常に動作している間、前記第1の回路と前記第2の回路との間に設けられたスイッチを非導通状態とするステップと、
前記電力変換器が故障したときに前記故障を検出するステップと、
前記故障が検出された場合に、前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となるように、前記モータジェネレータを制御するステップと、
前記第1の蓄電器の電圧と前記第2の蓄電器の電圧との差が第1の所定電圧差以内となったときに、前記スイッチを非導通状態から導通状態へ切替えるステップと
を備えたことを特徴とする電源管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2013−106362(P2013−106362A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246238(P2011−246238)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】