説明

電源装置および画像形成装置

【課題】本発明は、HDDの保護と安全性を両立することが可能となる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置では、主電源スイッチ102に並列に接続された第一のリレー103と、主電源スイッチ102のON/OFFの状態を検出してスイッチ状態検出信号105を出力する主電源スイッチ状態検出用スイッチ104と、主電源スイッチ102のOFF状態の検出が所定時間続くとシャットダウン信号を出力するタイマー回路107と、第二のDC電源108に交流電力を供給するようにON/OFF制御される第二のリレー109とを備え、第一のリレー104は、タイマー回路107からシャットダウン信号が出力された時はONされ、シャットダウン信号の未出力時にはOFFされ、第二のリレー109は、スイッチ状態検出信号105がONを示しているときにはONされ、OFFを示しているときにはOFFされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および画像形成装置に関し、特に、HDD等の記憶装置を備える画像形成装置の主電源スイッチ遮断時の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置には、取り扱う画像データやプログラムファイルのサイズ増大に対応するために、大容量の記憶装置としてハードディスクドライブ(HDD)が搭載されているものがある。
【0003】
HDDを搭載している画像形成装置では、HDDのアクセスが行われていないときに電源を落とすことが必要となるが、ユーザーがHDDへのアクセス中であることに気づかずに画像形成装置の主電源スイッチをOFFしてしまうことがある。また、装置の動作中に誤って主電源スイッチをOFFしてしまうこともある。主電源スイッチがオフされるとHDDへの電源もオフされ、HDD内のヘッドが正常に退避されず、HDDの故障やデータ消失等が発生するおそれがある。そのため、HDDのアクセス中に不用意に電源が落とされた場合でも、HDDが故障したり、データが消失しないように保護を行うことが必要となってきている。
【0004】
例えば、主電源スイッチと並列にトライアック等に接続し、主電源スイッチが遮断されたときにはHDDへのアクセス状況によりトライアック等の制御をする方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、ユーザーがいかなるタイミングで主電源スイッチをOFFした場合でも、制御手段が電源OFF可能と判断するまでトライアック等がAC電源を供給し続けることを可能とし、HDDアクセス中や動作中の誤った主電源の遮断からHDDを保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−044228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置では、動作の高速化に伴ってモータ等のアクチュエータに要求される出力が増大しており、例えば、出力が30Wを超えるモータが複数個使用される場合がある。また、帯電、現像、転写等の画像形成プロセスのために、数kVの出力が複数チャンネル用意されている場合がある。さらに、トナー画像を用紙に定着させるための定着器には、200℃を越える温度で制御されるものあり、1000Wクラスのヒータが使用される場合も多い。これらの負荷の故障時には、装置に多大なダメージを与える。そこで、負荷の異常時に安全な駆動停止を行わせる保護回路が設けられていることがほとんどである。
【0007】
一方、予期しない動作等で異常が発生した場合やユーザーが異常に気付いて電源を落としたい場合には、主電源OFF時に負荷への電力供給が即時に遮断されることが望まれる。例えば、装置から異常音が出ているときには、ユーザーはまず装置の主電源スイッチをOFFして動作を止めようとすると考えられるためである。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、HDDの保護のためにユーザーが主電源スイッチを落としても、装置内の制御回路が電源OFFが可能であると判断しない限り、HDDを含む全ての負荷に対して電源が供給され続ける。そのため、異常時にユーザーが装置の電源スイッチを即時OFFしたいと思った場合でも、電源OFFまでに時間がかかる。また、装置を制御するソフトウェアが正常動作をしていない場合などは、主電源スイッチを落としても電源が遮断されないという状態になる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、HDDの保護と安全性を両立することが可能となる電源装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも2つのDC電源を有する画像形成装置において、第一のDC電源に供給される交流電力をON/OFFするための主電源スイッチ手段と、前記主電源スイッチ手段に並列に接続され、前記主電源スイッチ手段がOFF状態でも前記第一のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第一のリレー手段と、前記主電源スイッチ手段のON/OFFの状態を検出してスイッチ状態検出信号を出力する主電源スイッチ状態検出手段と、前記第一のリレー手段に接続され、前記主電源スイッチ状態検出手段により前記主電源スイッチ手段のOFF状態が検出された後、所定時間が経過するとシャットダウン信号を出力し、前記主電源スイッチのON状態が検出されたときは前記シャットダウン信号を出力しないように動作するタイマー手段と、前記主電源スイッチ状態検出手段に接続され、第二のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第二のリレー手段とを有し、前記第一のリレー手段は、前記タイマー手段から前記シャットダウン信号が出力されていないときにはONされ、前記シャットダウン信号が出力されているときにはOFFされ、前記第二のリレー手段は、前記主電源スイッチ状態検出手段から出力される前記スイッチ状態検出信号がONを示してるときにはONされ、前記スイッチ状態検出信号がOFFを示しているときにはOFFされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源スイッチがOFFされた場合、負荷への電源供給を即時に遮断する一方、HDDや制御回路等については必要な処理を行った後に電源供給を遮断するので、HDDの保護と安全性を両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の画像形成装置に搭載された電源装置の概略構成を示す図である。
【図3】図2におけるタイマー回路の詳細な構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に搭載された電源装置の概略構成を示す図である。
【図5】図4の画像形成装置における主電源ON/OFF時の電源装置の制御動作処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【0015】
本実施形態の画像形成装置100は、複数の画像形成部を並列に配し、且つ中間転写方式を採用したカラー画像出力装置である。画像形成装置100は、画像読取部1Rと、画像出力部1Pとを有する。画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して画像出力部1Pに送信する。画像出力部1Pは、並設された画像形成部10(10a,10b,10c,10d)と、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着ユニット40と、クリーニングユニット50とを有する。
【0016】
各画像形成部10a,10b,10c,10dは同じ構成である。各画像形成部10a,10b,10c,10dでは、第一の像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム11(11a,11b,11c,11d)が回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。回転駆動には、DCブラシレスモータ等が使用される。感光体ドラム11a〜11dの外周面に対向してその回転方向に一次帯電器12(12a,12b,12c,12d)、光学系13(13a,13b,13c,13d)、折り返しミラー16(16a,16b,16c,16d)が配置されている。さらに、現像装置14(14a,14b,14c,14d)、クリーニング装置15(15a,15b,15c,15d)が配置されている。
【0017】
一次帯電器12a〜12dにおいて、帯電高圧(1〜2KV)が印加され感光体ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、光学系13a〜13dにより、画像読取部1Rからの画像信号に応じて変調したレーザービームの光線を折り返しミラー16a〜16dを介して感光体ドラム11a〜11d上に露光することによって、そこに静電潜像を形成する。
【0018】
更に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という。)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dに現像高圧(2KV)よって上記静電潜像を顕像化する。顕像化された可視画像を画像転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにて転写高圧(1〜2KV)が印加され中間転写ユニット30を構成する第二の像担持体としてのベルト状の中間転写体、即ち、中間転写ベルト31に転写する。
【0019】
画像転写領域Ta,Tb,Tc,Tdの下流側では、クリーニング装置15a〜15dにより中間転写体に転写されずに感光体ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。
【0020】
以上に示したプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0021】
給紙ユニット20は、転写材Pを収納するためのカセット21a,21b及び手差しトレイ27と、カセット21a,21b若しくは手差しトレイ27より転写材Pを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22a,22b,26とを有する。また、各ピックアップローラ22a,22b,26から送り出された転写材Pを更に搬送するための給紙ローラ対23と、給紙ガイド24とを有する。さらに、各画像形成部の画像形成タイミングに合わせて転写材Pを二次転写領域Teへ送り出すためのレジストローラ25a,25bを有する。
【0022】
レジストローラ25a,25bから送り出された転写材Pは、二次転写領域Teにて3〜5KVの二次転写高圧が印加され、中間転写ベルト31に形成されたトナー画像を転写され、搬送ベルト43によって定着ユニット40へと搬送される。定着ユニット40は、一対のヒートローラ41a,41bによって転写材Pを加熱、加圧し、転写材P上のトナー画像を定着させる。
【0023】
ヒートローラ41a,41bは、図示しない内蔵されたヒータによって定着に必要な温度となるように加熱されている。ヒータは、ヒートローラ41a,41bにそれぞれ600Wといった高出力のもが使用される。定着ユニット40で定着された転写材Pは、排紙ローラ44,45により排出され画像形成工程が終了する。
【0024】
次に、画像形成装置100に搭載された電源装置の概略構成を図2を参照して説明する。
【0025】
図2は、図1の画像形成装置100に搭載された電源装置の概略構成を示す図である。
【0026】
図2において、第一のDC電源101は、商用のAC電源から供給される交流電力からDC電源を生成し、制御回路112に電圧VCC_A(例えば5V)を供給する。制御回路112は、不図示のRAM,ROMを有し、ROMに格納されたプログラムに従って画像形成装置100の制御を行う。制御回路112には、画像データ等を記憶するためのハードディスクドライブ(HDD)115が接続されており、制御回路112はHDD115(第一の負荷)の駆動を制御している。
【0027】
第一のDC電源101へのAC電源の供給経路には、ユーザーが操作する主電源スイッチ102から供給される経路110と、第一のリレー103から供給される経路111の2つがある。経路111は、主電源スイッチ102がOFF状態でも第一のDC電源101へ電力供給するためのものである。第一のリレー103は、主電源スイッチ102に並列に接続されている。
【0028】
主電源スイッチ状態検出用スイッチ104は、主電源スイッチ102と機械的に同期して作動をするスイッチである。この主電源スイッチ状態検出用スイッチ104は、一方が第一のDC電源101からVCC_Aが出力される出力端に接続され、他方が主電源スイッチ状態検出信号105の出力端として、制御回路112、タイマー回路107、第二のリレー109に接続される。主電源スイッチ102がONされると、主電源スイッチ状態検出用スイッチ104も同期してONされ、主電源スイッチ状態検出用スイッチ104にVCC_Aが印加される。主電源スイッチ状態検出用スイッチ104にVCC_Aが印加されると、主電源スイッチ状態検出信号105がHレベルとなる。
【0029】
第二のDC電源108は、感光体ドラム11等の各駆動部を駆動するモータ類116、一次帯電器12等に高圧電源を供給する高圧電源類117、定着ユニット40内のヒータ類118等の負荷(第二の負荷)を駆動するための電圧VCC_B(例えばDC24V)を印加する。
【0030】
第二のDC電源108は、第二のリレー109を介してAC電源を供給される。第二のリレー109は、主電源スイッチ状態検出信号105の出力端に接続されており、主電源スイッチ102がONされると、VCC_Aが印加され、第二のリレー109はONし、第二のDC電源108にAC供給を行う。
【0031】
タイマー回路107は、主電源スイッチ状態検出信号105がLレベル(VCC_Aが印加されない状態)になってから所定時間後にシャットダウン信号106(第一のシャットダウン信号)を出力するタイマーである。タイマー回路107の詳細な構成を図3に示す。
【0032】
図3において、タイマー回路107には、第一のDC電源101からVCC_Aが印加される。IC1はコンパレータであり、+側の端子にはVCC_AをR3,R4で分圧した基準電圧が印加される。−側の端子は、R2を充電抵抗、R1を放電抵抗としたC1への充放電回路に接続される。この充放電回路は、トランジスタTR1がONのときに放電を行い、OFFのときに充電を行う。
【0033】
トランジスタTR1は、主電源スイッチ状態検出信号105がHレベル(VCC_Aが印加された状態)となったときにONするように構成される。IC1の−端子は、トランジスタTR1により放電されるため、+側端子の基準電圧より低くなるように抵抗R2,R1の値を設定することにより、IC1の出力端子はHレベルとなる。
【0034】
また、主電源スイッチ状態検出信号105がLレベルになったときは、トランジスタTR1はOFFされ、IC1の−端子はコンデンサC1,抵抗R2で決められた充電時間に従って電圧VCC_Aに達することになる。この際に、+側端子の基準電圧より−側端子の電圧が高くなった時点でIC1の出力端子はLレベルに反転する。
【0035】
IC1の出力端子からはシャットダウン信号106が出力される。シャットダウン信号106がLレベルになった場合に第一のリレー103がOFFする。シャットダウン信号がHレベルのとき、第一のリレー103がONする。シャットダウン信号106で直接リレーを駆動できない場合は、図2に示すように、トランジスタ119を使用して駆動電流を増幅してもよい。このタイマ回路107を用いたリレー103をオフする動作は、制御回路112の動作とは独立して行われる。
【0036】
以上の構成において、主電源スイッチ102がOFFされてから第一のリレー103をOFFするまでのタイマー時間は、C1,R1,R2,R3,R4の値によって決めることが可能となる。例えば、VCC_A=5V、C1=470μF、R1=1KΩ、R2=500KΩ、R3=18KΩ、R4=31KΩとすると、IC1の+端子に印加される基準電圧Vrefは、次式で表される。
【0037】
Vref=R4/(R3+R4)×5=3.16V
TR1がONのときのIC1の−端子の電圧は、R1/(R1+R2)×(5−TR1のVce)となる。TR1のコレクタエミッタ間電圧Vceを0.3Vとすると、1KΩ/(1KΩ+500KΩ)×(5−0.3)≒0.01Vとなる。すなわち、TR1がONのときにIC1は、+側端子電圧>−側端子電圧が成り立ち、IC1の出力はHレベルとなる。
【0038】
一方、TR1がOFFのときのIC1の−端子の電圧は、時間t(ms)において、V_CCA×(1−EXP(−t/(R2×C1)))となり、t≧47000mSのときにVrefの3.16Vより大きくなる。よって、t<47000mSのとき、+側端子電圧>−側端子電圧の関係が成り立ち、IC1の出力はHレベルとなる。そして、t≧47000mSのとき、+側端子電圧≦−側端子電圧の関係が成り立ち、IC1の出力はLレベルとなる。
【0039】
次に、上述した構成に基づいて主電源スイッチ102がONされたときの動作を説明する。
【0040】
まず主電源スイッチ102がONされると、経路110を介して第一のDC電源101にAC電源が供給される。AC電源が供給された第一のDC電源101は、制御回路112、主電源スイッチ状態検出用スイッチ104、及びタイマー回路107にVCC_Aを印加する。VCC_Aが印加されると、タイマー回路107は、Hレベルのシャットダウン信号106を出力し、第一のリレー103をONすることで経路111からも第一のDC電源101へAC電源が供給されるようにする。また、第二のリレー109も、主電源スイッチ状態検出信号105がHレベルになることにより駆動され、第二のDC電源108も負荷駆動回路113にVCC_Bを印加する。
【0041】
以上述べた動作により、主電源スイッチ102がONされたときには、第一及び第二のDC電源101,108は、それぞれVCC_A、VCC_Bの印加を開始し、画像形成装置100の動作が可能となる。
【0042】
次に、主電源スイッチ102がOFFされたときの動作を説明する。
【0043】
主電源スイッチ102がOFFされると、主電源スイッチ状態検出用スイッチ104へのVCC_Aの印加が遮断される。そして、主電源スイッチ状態検出信号105がレベルとなることで第二のリレー109はOFFとなり、第二のDC電源108はAC電源の供給が遮断される。これにより、主電源スイッチ102のOFFに同期して即時に負荷駆動回路113へのVCC_Bの印加がOFF(遮断)されることになる。
【0044】
前述のように、VCC_Bは、モータ類116、高圧電源類117、ヒータ類118等の負荷に印加される電源電圧であるため、ユーザーが主電源スイッチ102をOFFした際には、これら高出力の負荷は即時安全に遮断されることになる。
【0045】
また、第一のDC電源101へのAC電源供給が経路111からもなされているため、主電源スイッチ102がOFFされても、第一のDC電源101からのVCC_Aの出力は維持される。そのため、制御回路112及びタイマー回路107は動作を続けることが可能となり、制御回路112は動作終了のためのシャットダウン処理(例えばハードディスクドライブ等のアクセス停止)を行う。
【0046】
また、タイマー回路107は、主電源スイッチ102がOFFされてから内部のハードウェア回路によるタイマーを動作させ、所定時間経過した後にシャットダウン信号106をLレベルにすることで第一のDC電源101へのAC供給を遮断する。ここで所定時間を、シャットダウン処理に必要な時間よりも長く設定することにより、シャットダウン処理が終了した後に電源が落ちるようにすることができる。この時間は、制御回路112が主電源スイッチ状態検出信号105により主電源スイッチ102のOFF状態を認識してからHDD115の退避など必要なシャットダウン処理を行う時間に対して十分マージンをとって設定すればよく、例えば1分程度の時間でよい。
【0047】
上記に述べたとおり、主電源スイッチ102のOFF時には、第二のDC電源108で駆動される高出力の負荷は、即時電源供給を遮断される。一方、HDD115等を制御する制御回路112への電力供給はシャットダウン処理を行った後に遮断され、安全性とHDD115の保護を両立することが可能となる。
【0048】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置は、その構成(図1)が上記第1の実施の形態に係る画像形成装置と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0049】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置に搭載された電源装置の概略構成を示す図である。
【0050】
第2の実施形態では、上記第1の実施形態に対して、主電源スイッチ102がOFFされたことに応じて実行されるシャットダウン処理が終了したことを制御回路112が判断した際に即時シャットダウンを行えるように構成を追加したものである。さらには、制御回路112から第二のDC電源108へのAC供給をON/OFF制御する信号を出力する構成を追加したものである。これにより、画像形成装置100の動作待機時等に高出力負荷の電源を遮断し、待機時消費電力の低減を図ることが可能な構成をとったものである。
【0051】
図4において、図2に示す画像形成装置の電源装置の構成と異なる点は、まず制御回路112は、第2のリレー109とトランジスタ122を介して接続されている。第二のリレー109は、VCC_Aが印加された状態で制御回路112がDriver_Power_On信号120を出力することによってONされる。Driver_Power_On信号120で直接リレーを駆動できない場合は、図4に示すように、トランジスタ122を使用して駆動電流を増幅してもよい。
【0052】
第二のリレー109は、主電源スイッチ状態検出信号105の出力端に接続されている。第二のリレー109は、主電源スイッチ102がONされると主電源スイッチ状態検出用スイッチ104を介してVCC_Aが印加される。また、主電源スイッチ102がONにより制御回路112からHレベルのDriver_Power_On信号120が出力されると第二のリレー109がONし、第二のDC電源108にAC供給を行う。
【0053】
タイマー回路107は、主電源スイッチ状態検出信号105がLレベルになってから所定時間後にシャットダウン信号B121を出力するタイマーである。タイマー回路107の構成は第一の実施形態と同様であるが、図3のIC1の出力がシャットダウン信号B121となる。
【0054】
制御回路112は、主電源スイッチ102のOFFを検知すると、論理演算回路であるAND回路123の一方の入力端にシャットダウン信号A114(第二のシャットダウン信号)を出力する。また、タイマー回路107は、AND回路123他方の入力端にシャットダウン信号B121を出力する。AND回路123の出力端は、トランジスタ119を介して第一のリレー103に接続されており、2つの入力信号の論理演算結果に応じてAND回路123から第一のリレー103にシャットダウン信号106が出力される。
【0055】
AND回路123は、入力されたシャットダウン信号B121とシャットダウン信号A114のどちらか一方でもLレベルになった場合に第一のリレー103をOFFするようにシャットダウン信号106をLレベルにする。また、AND回路123は、シャットダウン信号B121とシャットダウン信号A114との両方がHレベルになったときに第一のリレー103をONするようシャットダウン信号106をHレベルにする。シャットダウン信号106で直接リレーを駆動できない場合は、図4に示すように、トランジスタ119を使用して駆動電流を増幅してもよい。
【0056】
主電源スイッチ102がOFFされてから第一のリレー103をOFFするまでのタイマー時間は、第一の実施形態と同様に決められる。
【0057】
次に、上述した構成に基づいて主電源スイッチ102がON/OFFされたときの動作の一例を図5を参照して説明する。
【0058】
図5は、図4の画像形成装置100における主電源ON/OFF時の電源装置の制御動作処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
まず主電源スイッチ102がONされると、経路110を介して第一のDC電源101にAC電源が供給される。AC電源が供給されたDC電源101は、制御回路112、主電源スイッチ状態検出信号105、及びタイマー回路107に電源VCC_Aを印加する。VCC_Aが印加されると、タイマー回路107は、Hレベルのシャットダウン信号B121をAND回路123に出力する。
【0060】
ステップS401では、制御回路112は、主電源スイッチ状態検出信号105がHレベル(VCC_Aが印加されている)になったことを検出すると、Hレベルのシャットダウン信号A114を出力する(ステップS402)。これにより、シャットダウン信号B121及びシャットダウン信号A114がHレベルになるため、AND回路123からのシャットダウン信号106がHレベルになり、第一のリレー103がONされる。そして、経路111からも第一のDC電源101へAC電源が供給されるようにする。
【0061】
次に、ステップS403では、制御回路112は、負荷電源である第二のDC電源108をONできるかどうかを判断する。ここでON可能と判断する一例として、制御回路112が回路の初期化の終了を待つ等がある。
【0062】
ステップS403では、電源ON可能と判断した場合、制御回路112は、Driver_Power_On信号120をHレベルにする(ステップS404)。このとき、第二のリレー109は、主電源スイッチ状態検出信号105がHレベルになっていることから、Driver_Power_On信号120がHレベルになることによりONされる。その結果、第二のDC電源108にAC電源が供給され、VCC_Bが負荷駆動回路113に印加される。
【0063】
以上述べた動作により主電源スイッチ102がONされたときには、第一及び第二のDC電源101,108は、それぞれVCC_A、VCC_Bの印加を開始し、画像形成装置100の動作が可能となる。
【0064】
ステップS405では、通常動作が可能になった後に制御回路112は、省電力モードに移行するかどうかを判断する。ここで省電力モードとは、画像形成装置100が所定時間使用されなかった場合に画像形成装置100が消費する電力を低減した待機状態となるモードである。ステップS405で省電力モードに移行すると判断された場合は、Driver_Power_On信号120をLレベルにすることで第二のDC電源108の出力をOFFし、消費電力を低減させる(ステップS406)。
【0065】
省電力モードに移行した場合に制御回路112は、省電力モードから通常の動作モードへ復帰するかどうかを判断する(ステップS407)。復帰するかどうかの判断としては、ユーザーが画像形成装置100に対して何らかの操作を行ったことなどが該当する。ステップS407で通常モードに復帰すると判断された場合は、Driver_Power_On信号120をHレベルにすることで第二のDC電源108を再度ONさせ、画像形成装置100を動作可能状態に復帰させる(ステップS408)。その後、ステップS405へ戻り、再び省電力モードに移行するかどうか判断する。
【0066】
ステップS405で省電力モードに移行しないと判断された場合やS407で通常モードに復帰しないと判断された場合、制御回路112は主電源スイッチ状態検出信号105により主電源スイッチ102がOFFされたかを判断する(ステップS409)。OFFされていない(主電源スイッチ状態検出信号105がHレベル)と判断された場合は、ステップS405に戻る。一方、ステップS409で主電源スイッチ102がOFFされたと判断されるまで上記のステップを繰り返す。
【0067】
ステップS409で主電源スイッチ102がOFFされたと判断されると、制御回路112は、Driver_Power_On信号120をLレベルにすることで第二のDC電源108をOFFさせる(ステップS410)。主電源スイッチ102がOFFされても第一のDC電源101へのAC電源供給が経路111からなされているため、VCC_Aが制御回路112へ印加される。
【0068】
前述のように主電源スイッチ102がOFFされると、主電源スイッチ状態検出用スイッチ104へのVCC_Aの印加が遮断され、第二のリレー109はOFFとなり、第二のDC電源108へのAC供給が遮断される。よって、Driver_Power_On信号120によらず、主電源スイッチOFFに同期して即時に負荷駆動回路113へのVCC_Bの印加がOFF(遮断)されることになる。つまり、制御回路112の動作とは独立して、ハードウェア的に第二のDC電源108のOFFが保証される。これにより、ユーザーが主電源スイッチ102をOFFした際には、制御回路112の動作状態に拘わらず、これら高出力の負荷は即時安全に遮断される。
【0069】
ステップS410で制御回路112は、Driver_Power_On信号120をLレベルにした後、HDD115の待避処理等の必要なシャットダウン処理を開始する(ステップS411)。その後、制御回路112がシャットダウン処理を行い、シャットダウン可能であると判断すると(ステップS412でYES)、シャットダウン信号A114にLレベルを出力し、AND回路123からのシャットダウン信号106をLレベルにする。この結果、第一のリレー103がOFFし、経路111からの第一のDC電源101へAC電源供給が遮断され、画像形成装置100の全ての電源がOFFする(ステップS413)。
【0070】
また、タイマー回路107は、主電源スイッチ102がOFFされてからハード回路タイマーを動作させ、所定時間経過した後にシャットダウン信号B121をLレベルにすることで、第一のDC電源へのAC供給を遮断する。ここで所定時間は、シャットダウン処理に必要な時間よりも長く設定することによりシャットダウン処理が終了した後に電源が落ちるようにすることができる。この時間は、制御回路112が主電源スイッチ102のOFFを認識してからHDD115の退避など必要なシャットダウン処理を行う時間に対して十分マージンをとって設定すればよい。
【0071】
制御回路112が正常動作をしていれば、タイマー回路107からのシャットダウン信号B121よりも先に制御回路112がシャットダウン信号A114を出力し、最適な時間で第一のDC電源101をOFFする。万が一、ソフトウェア等の不具合でシャットダウン信号A114が出力されなかった場合はタイマー回路107からのシャットダウン信号B121で電源OFFが保証されることになる。
【0072】
上記に述べたとおり、電源OFF時には高出力の負荷は即時電源供給を遮断され、HDD115等を制御する制御回路は、シャットダウン処理を行った後に遮断することができ、安全性とHDD115の保護を両立することが可能となる。
【0073】
上記実施形態では、本発明を画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、情報処理装置であっても画像処理装置であってもよい。また、画像形成装置を含む装置と電源装置とが別体に構成された実施形態であっても、本発明が適用可能である。
【0074】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0075】
101 第一のDC電源
102 主電源スイッチ
103 第一のリレー
104 主電源スイッチ状態検出用スイッチ
105 主電源スイッチ状態検出信号
106 シャットダウン信号
107 タイマー回路
108 第二のDC電源
109 第二のリレー
112 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作終了のためのシャットダウン処理が必要な第一の負荷を制御する制御回路に電力を供給する第一のDC電源と、
第二の負荷を駆動する駆動回路に電力を供給する第二のDC電源と、
前記第一のDC電源に供給される交流電力をON/OFFするための主電源スイッチ手段と、
前記主電源スイッチ手段に並列に接続され、前記主電源スイッチ手段がOFF状態でも前記第一のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第一のリレー手段と、
前記主電源スイッチ手段のON/OFFの状態を表わすスイッチ状態検出信号を出力する主電源スイッチ状態検出手段と、
前記第一のリレー手段に接続され、前記スイッチ状態検出信号が前記主電源スイッチ手段がOFF状態を示してから、前記シャットダウン処理に必要な時間よりも長い所定時間が経過するとシャットダウン信号を出力ように動作するタイマー手段と、
前記主電源スイッチ状態検出手段に接続され、前記第二のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第二のリレー手段とを有し、
前記第一のリレー手段は、前記タイマー手段から前記シャットダウン信号が出力されることによりOFFされ、
前記第二のリレー手段は、前記主電源スイッチ状態検出手段から出力される前記スイッチ状態検出信号がOFF状態を示すことによりOFFされることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一のDC電源から電力を供給され、前記画像形成装置の動作を制御する制御手段と、
前記第二のDC電源から電力を供給され、前記画像形成装置の負荷の駆動を行う負荷駆動手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記タイマー手段は、前記制御手段の動作とは独立して前記シャットダウン信号を出力することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
第一及び第二のDC電源を有する画像形成装置において、
前記第一のDC電源より電力が供給され、動作を終了させるためのシャットダウン処理が必要な第一の負荷の動作を制御する制御手段と、
前記第二のDC電源より電力が供給され、前記画像形成装置の第二の負荷の駆動を行う負荷駆動手段と、
前記第一のDC電源へ供給される交流電力をON/OFFするための主電源スイッチ手段と、
前記主電源スイッチ手段に並列に接続され、前記主電源スイッチ手段がOFF状態でも前記第一のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第一のリレー手段と、
前記主電源スイッチ手段のON/OFFの状態を表わすスイッチ状態検出信号を出力する主電源スイッチ状態検出手段と、
前記スイッチ状態検出信号が前記主電源スイッチ手段のOFF状態を示してから、前記シャットダウン処理に必要な時間よりも長い所定時間が経過すると第一のシャットダウン信号を出力するように動作するタイマー手段と、
前記主電源スイッチ状態検出手段に接続され、第二のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第二のリレー手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記主電源スイッチ状態検出手段に接続され、前記主電源スイッチ状態検出手段から前記主電源スイッチ手段がOFFされたことを示すスイッチ状態検出信号を受けると、前記第一の負荷のシャットダウン処理を行った後、前記第一のリレー手段をOFFするための第二のシャットダウン信号を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第一のリレー手段、前記タイマー手段、及び前記制御手段に接続された論理演算回路をさらに備え、
前記論理演算回路は、前記タイマー手段から出力される第一のシャットダウン信号と前記制御手段から出力される第二のシャットダウン信号の何れかに基づいて、前記第一のリレー手段をOFFするための前記シャットダウン信号を出力することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
動作終了のためのシャットダウン処理が必要な第一の負荷を制御する制御回路に電力を供給する第一のDC電源及び第二の負荷を駆動する駆動回路に電力を供給する第二のDC電源を有する電源装置において、
前記第一のDC電源に供給される交流電力をON/OFFするための主電源スイッチ手段と、
前記主電源スイッチ手段に並列に接続され、前記主電源スイッチ手段がOFF状態でも前記第一のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第一のリレー手段と、
前記主電源スイッチ手段のON/OFFの状態を表わすスイッチ状態検出信号を出力する主電源スイッチ状態検出手段と、
前記第一のリレー手段に接続され、前記主電源スイッチ状態検出信号が前記主電源スイッチ手段のOFF状態を示してから所定時間が経過するとシャットダウン信号を出力するように動作するタイマー手段と、
前記主電源スイッチ状態検出手段に接続され、前記第二のDC電源に交流電力を供給するためにON/OFF制御される第二のリレー手段とを有し、
前記第一のリレー手段は、前記タイマー手段から前記シャットダウン信号によりOFFされ、
前記第二のリレー手段は、前記主電源スイッチ状態検出信号が前記主電源スイッチ手段のOFFを示していることによりOFFされることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−22775(P2011−22775A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166907(P2009−166907)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】