説明

電源装置および電源装置の出力電圧変更方法

【課題】 出力電圧の変化中に出力電圧の変化スピードが変わった場合でも、主電源と従電源の出力電圧差が所定の電圧以上開かないようにする。
【解決手段】 出力電圧が変更可能な主電源と、主電源の出力電圧変更時に、主電源の出力電圧の変化方向と同一方向に出力電圧を変更する従電源を備え、主電源の出力電圧と、従電源の出力電圧との電圧差が所定の電圧差以内であるか否かを判定する電圧差判定手段と、電圧変更信号および前記電圧差判定手段の出力に応じて、主電源および従電源の出力電圧を制御する電圧制御手段を備え、電圧制御手段は、電圧変更信号に応じて主電源と従電源の出力電圧の変更を行い、電圧差判定手段によって、主電源と従電源の出力電圧差が所定の電圧差を越えたと判定した場合は、主電源および従電源の出力電圧変化速度を制御し、主電源と従電源の出力電圧差が所定の電圧差以内に収まるように制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の電源を必要とする電子装置に用いる電源に関し、特に複数の電源回路の出力電圧変更を同期して行なうようにした電源装置およびその出力電圧変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策上からも省エネルギー化が求められている。携帯電話やデジタルカメラ等の電池を使用する機器においては、電池寿命を伸ばすという観点からも、機器内で消費する電力の削減の重要度は増している。
【0003】
また、機器の高機能化も進んでおり、例えば、静止画に代わって動画の録画再生なども頻繁に行われるようになってきた。その結果、機器内で用いられるCPUなども高性能となり、より高速のクロックで動作するようになってきた。ところが、クロックを高速にすると、クロック周波数に比例して消費電流が増加するという問題が発生する。さらに、クロックを高速にするためには、より高い電源電圧を必要とする。その結果、従来に比べ消費電力が大幅に増加してしまう。そこで、通常の動作時には電源電圧を下げ、低速のクロックで動作を行い低消費電力とし、動画処理など高速処理が必要な場合にだけ、電源電圧を高くして高速クロックで動作させることで、機器全体の消費電力の増加を最小限に抑えるようにする技術が開発されている。
【0004】
また、機器の多機能も進んでおり、しかも機能毎に要求されている電源電圧が異なるため、機器内には出力電圧の異なる複数の電源が存在する。しかも、高速処理を行なう場合は、それら出力電圧の異なる複数の電源の出力電圧を所定の関係を保ったまま上げたり下げたりする必要がでてきた。
【0005】
複数の電源の出力電圧を制御する技術としては、特許文献1に示すように、主電源の出力電圧を変更した情報を従電源に出力し、従電源は受信した情報に基づいて従電源の出力電圧を設定する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2に示すものは、従電源の出力電圧を主電源の出力電圧に比例するように構成しており、主電源の出力電圧が変更されると、それに従って従電源の出力電圧も変更されるようになっている。
【特許文献1】特開2003−304679号公報
【特許文献2】特開昭58−224562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来は、出力電圧の設定だけを行っており、出力電圧が変化している途中に付いては、なんら制御も確認も行なっていなかった。
【0008】
図5(a)は、主電源の出力電圧Vomと従電源の出力電圧Vo1を上げ下げする場合の電圧変化を示す特性図である。例えば、負荷回路の低速動作時には、主電源の出力電圧Vomは0.7V、従電源の出力電圧Vo1は1.1Vとしている。高速動作を行なう場合には、主電源の出力電圧Vomと従電源の出力電圧Vo1を共に1.4Vまで上げ、高速動作が済んで再び低速動作時の出力電圧に戻るまでの様子を示している。
【0009】
出力電圧を上げる場合の条件は、まず、低い方の電圧である主電源の出力電圧Vomを上げる。出力電圧Vomが従電源の出力電圧Vo1とほぼ同電位になったら、従電源の出力電圧Vo1を主電源の出力電圧Vomとほぼ同じ変化速度で上昇させる。このとき、主電源と従電源の出力電圧の差が所定の電圧、例えば50mV以上開かないようにしなければならない。もちろん、目標出力電圧である1.4Vに達した場合の両電源の出力電圧差も50mV以内にする。
【0010】
図5(b)は図5(a)の丸で囲った部分の拡大図である。一点鎖線で挟まれた範囲が、主電源の出力電圧Vomから±50mVの範囲である。主電源の出力電圧Vomが上昇して、従電源の出力電圧Vo1との差が±50mV以内になると、従電源の出力電圧Vo1も上昇を始め、ほぼ主電源の出力電圧Vomと同じ変化速度で上昇しているので、目標出力電圧である1.4Vに達するまで、主電源の出力電圧Vomとの差が±50mV以内になっている。
【0011】
図5(c)は主電源の出力電圧Vomの上昇途中で、主電源の負荷電流が増加するなどして、出力電圧Vomの上昇速度が落ちた場合を示している。しかし、従電源の出力電圧Vo1は同じペースで上昇するため、上昇途中から従電源の出力電圧Vo1は主電源の出力電圧Vomより50mV以上高くなってしまうという問題が発生する。
【0012】
図示していないが、主電源と従電源が高電圧の1.4Vから低電圧の0.7Vと1.1Vに戻る場合も同様の問題が発生する。
【0013】
この発明は、上述した実情を考慮してなされたものであって、出力電圧の変化中に負荷変動などの影響で出力電圧の変化スピードが変わった場合でも、主電源と従電源の出力電圧差が所定の電圧以上開かないようにすることができる電源装置、および出力電圧変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項1では、出力電圧が変更可能な主電源と、該主電源の出力電圧変更時に、該主電源の出力電圧の変化方向と同一方向に出力電圧を変更する1つ以上の従電源を備えた電源装置において、前記主電源の出力電圧と、前記従電源の出力電圧との電圧差が所定の電圧差以内であるか否かを検出する電圧差検出回路と、電圧変更信号、および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記主電源および前記従電源の出力電圧を制御する電圧制御回路を備え、前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号に応じて前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更を行い、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたことを検出した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0015】
請求項2では、前記電圧差検出回路の出力に基づき出力電圧変更前の前記主電源と前記従電源の出力電圧が異なり、前記主電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧までの電圧と、前記従電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧に重なる部分があることを前記電圧制御回路が検出すると、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内と検出されるまでは、前記主電源もしくは前記従電源のどちらか一方の出力電圧だけを変更し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内になってから、前記主電源もしくは前記従電源の一方もしくは両方の出力電圧が、変更後の目標出力電圧に到達するまでの間に、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたことを検出した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0016】
請求項3では、前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記基準電圧を所定の時間を掛けて徐々に変更することで、前記主電源と前記従電源の出力電圧を変更するようにした。
【0017】
請求項4では、前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記出力電圧検出回路の比率を所定の時間を掛けて徐々に変更することで、前記主電源と前記従電源の出力電圧を変更するようにした。
【0018】
請求項5では、前記主電源と前記従電源の出力電圧上昇中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、検出した時点での前記出力電圧が高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0019】
請求項6では、前記主電源と前記従電源の出力電圧低下中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、検出した時点での前記出力電圧が低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0020】
請求項7では、前記主電源と前記従電源の出力電圧変更中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、前記主電源と前記従電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を一旦停止し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に戻った場合は、前記基準電圧もしくは前記比率の変更を再開するようにした。
【0021】
請求項8では、出力電圧が変更可能な主電源と、該主電源の出力電圧変更時に、該主電源の出力電圧の変化方向と同一方向に出力電圧を変更する1つ以上の従電源を備えた電源装置の出力電圧において、前記主電源の出力電圧と、前記従電源の出力電圧との電圧差が所定の電圧差以内であるか否かを判定する電圧差判定手段と、電圧変更信号、および前記電圧差判定手段の出力に応じて、前記主電源および前記従電源の出力電圧を制御する電圧制御手段を備え、前記電圧制御手段は、前記電圧変更信号に応じて前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更を行い、前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたと判定した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0022】
請求項9では、出力電圧変更前の、前記主電源と前記従電源の出力電圧が異なり、前記主電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧までの電圧と、前記従電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧に重なる部分がある場合は、前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差に接近したと判定するまでは、前記主電源もしくは前記従電源のどちらか一方の出力電圧だけを変更し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内になってから、前記主電源もしくは前記従電源の一方もしくは両方の出力電圧が、変更後の目標出力電圧に到達するまでの間に、前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたと判定した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0023】
請求項10では、前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更は、前記基準電圧を所定の時間を掛けて徐々に変更することで行なうようにした。
【0024】
請求項11では、前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更は、前記出力電圧検出回路の比率を所定の時間を掛けて徐々に変更することで行なうようにした。
【0025】
請求項12では、前記主電源と前記従電源の出力電圧上昇中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、超えた時点での前記出力電圧が高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0026】
請求項13では、前記主電源と前記従電源の出力電圧低下中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、超えた時点での前記出力電圧が低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうようにした。
【0027】
請求項14では、前記主電源と前記従電源の出力電圧変更中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、前記主電源と前記従電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を一旦停止し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に戻った場合は、前記基準電圧もしくは前記比率の変更を再開するようにした。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、主電源の出力電圧と従電源の出力電圧の変更を、変更前の出力電圧から所定の時間を掛けて目標出力電圧まで変更するようにし、変更途中において、両出力電圧の差を検出して、その差が所定を超えた場合は、主電源もしくは従電源の一方もしくは両方の出力電圧の変化速度を制御するようにしたので、出力電圧の変更途中であっても両出力電圧差を所定の電圧差以内に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0030】
図1は、この発明の第1の実施形態を示す電源装置のブロック図である。電源装置100は、主電源回路10、従電源としての従1電源回路20、電圧制御回路30、2つのコンパレータ40とコンパレータ50で構成されている。
【0031】
主電源回路10は、電圧制御回路30から出力される主電圧設定信号に応じた電圧である出力電圧Vomを出力する。
【0032】
従1電源回路20は、電圧制御回路30から出力される従1電圧設定信号に応じた電圧である出力電圧Vo1を出力する。
【0033】
電圧制御回路30は、機器の動作モードに応じて、図示しないCPUなどの制御回路から出力される電圧変更信号に応じて、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の出力電圧Vo1とを設定する。また、電圧制御回路30には、コンパレータ40の出力Co1とコンパレータ50の出力Co2が入力されており、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の出力電圧Vo1との変更途中の出力電圧情報に応じた制御も行なう。
【0034】
コンパレータ40の反転入力には従1電源回路20の出力電圧Vo1が、非反転入力には主電源回路10の出力電圧Vomが入力され、出力Co1は電圧制御回路30に入力されている。コンパレータ40は入力に所定のオフセット電圧ΔVを備えており、出力電圧VomがVo1より所定のオフセット電圧ΔV以上高い場合にハイレベルを出力する。
【0035】
コンパレータ50の非反転入力には従1電源回路20の出力電圧Vo1が、反転入力には主電源回路10の出力電圧Vomが入力され、出力Co2は電圧制御回路30に入力されている。コンパレータ50も入力に所定のオフセット電圧ΔVを備えており、出力電圧VomがVo1より所定のオフセット電圧ΔV以上低い場合にハイレベルを出力する。
【0036】
コンパレータ40とコンパレータ50が電圧差検出回路を構成しており、出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上の場合はコンパレータ40がハイレベルを出力し、出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以下の場合はコンパレータ50がハイレベルを出力し、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV未満の場合は、コンパレータ40とコンパレータ50の出力は共にローレベルとなる。
【0037】
図2は、主電源回路10および従1電源回路20の電圧設定回路部分を示すブロック図である。符号の/で区切られた左側が主電源回路10の符号名で、右側が従1電源回路20の符号名である。電圧設定回路部分はDAコンバータ11/21、誤差増幅回路12/22、抵抗R11/R21とR12/R22で構成されている。
【0038】
DAコンバータ11/21は主/従1電圧設定信号に応じた電圧の基準電圧Vrm/Vr1を生成する。この基準電圧Vrm/Vr1は誤差増幅回路12/22の非反転入力に接続されている。
【0039】
抵抗R11/R21とR12/R22は直列接続され主/従1電源回路10/20の出力端子と接地端子間に接続され、抵抗R11/R21とR12/R22の接続ノードの電圧Vfbm/Vfb1は誤差増幅回路12/22の反転入力に接続されている。
【0040】
誤差増幅回路12/22の出力は図示しない次段の回路に入力され、出力電圧Vom/Vo1を制御する。主/従1電源回路10/20はシリーズレギュレータでもスイッチングレギュレータのどちらでも構わない。
【0041】
図3は、主電源回路10および従1電源回路20の電圧設定回路部分の別の実施形態を示すブロック図である。図2と異なる部分は、DAコンバータ11/21が固定電圧Vrm/Vr1を出力する基準電圧11/21に代わり、抵抗R12/R22が主/従1電圧設定信号に応じて抵抗値が変わる可変抵抗に代わった点である。
【0042】
次に、回路の動作を説明する。
【0043】
図6は、第1の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を上げる場合のものである。なお、各ステップの左側にはステップ番号を付してある。なお、図中の記号は、VomSは主電源回路10の変更前の出力電圧、Vomは主電源回路10の電圧変更中の出力電圧、VomEは主電源回路10の変更後の目標出力電圧、Vo1Sは従1電源回路20の変更前の出力電圧、Vo1は従1電源回路20の電圧変更中の出力電圧、Vo1Eは従1電源回路20の変更後の目標出力電圧、ΔVはコンパレータ40とコンパレータ50が検出する所定の電圧差である。
【0044】
出力電圧VomSとVo1Sを上げるための電圧変更信号が電圧制御回路30に入力されると、ステップS1で、変更前の主電源回路10の出力電圧VomSと、従1電源回路20の出力電圧Vo1Sの比較を行なう。出力電圧VomSの方がVo1Sより所定の電圧ΔV以上高い場合は、コンパレータ40の出力がハイレベルとなり、電圧制御回路30は、スタート時の主電源VomSの方が高い場合の処理を行うために、ステップS2に進む。
【0045】
そして、ステップS2で、電圧制御回路30は低い方の従1電源回路20の出力電圧Vo1を上げるために従1電圧設定信号を出力する。このとき、電圧制御回路30の処理は、図2で示したDAコンバータ21の出力電圧Vr1、もしくは図3で示した可変抵抗R22の値を一気に目標出力電圧であるVo1Eに設定するのではなく、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧Vo1Eまで変えるようにして、出力電圧変化速度を制御している。この従1電圧設定信号に従い従1電源回路20の電圧が上昇する。
【0046】
続いて、ステップS3では、従1電源回路20の変更中の出力電圧Vo1と、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。コンパレータ40とコンパレータ50の出力が共にローレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vo1と出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、主従電源電圧が一致した状態の処理に進むために、ステップS4に進む。一方、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS2に戻り、出力電圧Vo1を上げるために従1電圧設定信号を出力し、従1電源回路20の電圧を上昇させ、従1電源回路20の変更中の出力電圧Vo1と、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0047】
ステップS4で、主電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vomを上げる。出力電圧Vomの変更も、ステップS2で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは可変抵抗R12の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vo1の変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS4により、出力電圧VomとVo1が上昇する。
【0048】
出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11では、出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。所定の電圧ΔV以上になった場合は、コンパレータ40の出力がハイレベルとなる。すると、ステップS21に移行し、電圧制御回路30は主電圧設定信号を制御してDAコンバータ11、もしくは可変抵抗R12の変更を一時中断して出力電圧Vomの上昇を停止し、ステップS22に進む。次に、ステップS22で、もし出力電圧Vo1の上昇を停止している場合は、出力電圧Vo1の上昇を再開する。
【0049】
ステップS22の後、またはステップS11で出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上でない場合は、ステップS12で、出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。所定の電圧ΔV以上になった場合は、コンパレータ50の出力がハイレベルとなる。するとステップS23に移行し、電圧制御回路30は従1電圧設定信号を制御してDAコンバータ21、もしくは可変抵抗R22の変更を一時中断して出力電圧Vo1の上昇を停止し、ステップS24に進む。次に、ステップS24で、もし出力電圧Vomの上昇を停止している場合は、出力電圧Vomの上昇を再開する。
【0050】
ステップS24の後、またはステップS12で出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV以上でない場合は、ステップS13で、出力電圧Vomの目標出力電圧VomEと出力電圧Vo1の目標出力電圧Vo1Eの比較を行い、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより小さい場合は、ステップS14に移行する。ステップS14では出力電圧Vomの電圧設定が目標出力電圧VomEの電圧設定になったかどうかをチェックしている。まだ、目標出力電圧VomEの設定になっていない場合は、ステップS11に戻り、前述の動作を繰り返す。そして、目標出力電圧VomEの設定になっている場合は、ステップS15に進み、ステップS15で、出力電圧Vomの上昇設定を終了する。
【0051】
ステップS16では、出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になったかどうかをチェックする。出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合には、ステップS17に進み、出力電圧Vo1を上昇させ、ステップS16に戻る。そして、ステップS16において、出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になったことを判断すると、ステップS18で、出力電圧Vo1の上昇設定を終了する。これで、出力電圧VomとVo1はそれぞれの目標出力電圧VomEとVo1Eに設定された。
【0052】
ステップS13に戻り、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより小さくない場合は、ステップS31に移行する。ステップS31でも、出力電圧Vomの目標出力電圧VomEと出力電圧Vo1の目標出力電圧Vo1Eの比較を行い、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより大きい場合は、ステップS32に移行する。ステップS32では出力電圧Vo1の電圧設定が目標出力電圧Vo1Eの電圧設定になったかどうかをチェックしている。まだ、目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合は、ステップS11に戻る。一方、目標出力電圧Vo1Eの設定になっている場合は、ステップS33で、出力電圧Vo1の上昇設定を終了し、ステップS34に進む。
【0053】
ステップS34では、出力電圧Vomが目標出力電圧VomEの設定になったかどうかをチェックする。出力電圧Vomの設定が目標出力電圧VomEの設定になっていない場合には、ステップS35に進み、出力電圧Vomを上昇させ、ステップS34に戻る。そして、ステップS34において、出力電圧Vomの設定が目標出力電圧VomEの設定になったことを判断すると、ステップS36で、出力電圧Vomの上昇設定を終了する。これで、出力電圧VomとVo1はそれぞれの目標出力電圧VomEとVo1Eに設定された。
【0054】
ステップS31に戻り、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより大きくない場合は、目標出力電圧VomEと目標出力電圧Vo1Eがほぼ等しい場合なので、ステップS41に移行する。ステップS41では、出力電圧Vomが目標出力電圧VomEの設定になったかどうかをチェックし、目標出力電圧VomEの設定になっていない場合には、ステップS45に進み、出力電圧Vomを上昇させ、ステップS11に戻る。
【0055】
一方、ステップS41で目標出力電圧VomEの設定になっている場合は、ステップS42で、出力電圧Vomの上昇設定を終了し、ステップS43に進む。
【0056】
ステップS43では、出力電圧Vo1が目標出力電圧Vo1Eの設定になったかどうかをチェックし、まだ、目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合は、ステップS11に戻る。目標出力電圧Vo1Eの設定になっている場合は、ステップS44で、出力電圧Vo1の上昇設定を終了する。
【0057】
次にステップS1に戻り、出力電圧VomSの方がVo1Sより所定の電圧ΔV以上高くない場合は、コンパレータ40の出力がローレベルとなり、ステップS5に移行する。ステップS5で、変更前の出力電圧Vo1Sの方が変更前の出力電圧VomSより所定の電圧ΔV以上高い場合は、コンパレータ50の出力がハイレベルとなり、電圧制御回路30は、スタート時の従電源Vo1Sの方が高い場合の処理を行うために、ステップS6に進む。
【0058】
ステップS6では電圧制御回路30は低い方の主電源回路10の出力電圧VomSを上げるために主電圧設定信号を出力する。このとき、ステップS2の場合と同様、電圧制御回路30は図2で示したDAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは図3で示した可変抵抗R12の値を一気に目標出力電圧であるVomEに設定するのではなく、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧VomEまで変えるようにしている。
【0059】
ステップS7では、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。コンパレータ40とコンパレータ50の出力が共にローレベルになると、主従電源電圧が一致した状態の処理に進むために、ステップS8に進む。一方、出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差との差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS6に戻り、出力電圧Vomを上げるために主電圧設定信号を出力し、主電源回路10の電圧を上昇させ、従1電源回路20の変更中の出力電圧Vo1と、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0060】
ステップS8で、従電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vo1を上げる。出力電圧Vo1の変更も、ステップS6で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vr1、もしくは可変抵抗R22の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vomの変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS8により、出力電圧VomとVo1が上昇する。
【0061】
出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0062】
ステップS5に戻り、変更前の出力電圧Vo1Sの方が変更前の出力電圧VomSより所定の電圧ΔV以上高くない場合は、スタート時の出力電圧VomSとVo1Sの差が所定の電圧ΔV以内なので、コンパレータ40とコンパレータ50の出力は共にローレベルである。この場合は、スタート時の主電源と従電源との差が所定の電圧差以下の場合の処理を行うために、ステップS9に移行し、ステップS2とステップS6で述べたように、出力電圧Vo1とVomを同じ変化速度で上昇させる。出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0063】
以上のように、出力電圧VomとVo1の上昇途中では、電圧差検出回路を構成しているコンパレータ40とコンパレータ50の出力により、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になった場合は、高い方の出力電圧の上昇を停止して、他方の出力電圧の上昇を待つようにしたので、両出力電圧の差の最大値を所定の電圧ΔVに保つことができるようになった。
【0064】
なお、この様子は図5(c)で示している。すなわち、何らかの原因で、出力電圧Vomの上昇速度が低下して、出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV(50mV)以上になると、出力電圧Vo1の上昇を停止し、出力電圧Vomが上昇するのを待つようにしている。
【0065】
また、実際には両出力電圧の許容電圧差より、前記している所定の電圧ΔVを少し小さい電圧にしておくことで、許容電圧差を満足することができる。
【0066】
さらに、ステップS21とS23では出力電圧VomとVo1の電圧上昇の設定を停止させているが、場合によっては、停止させずに、上昇の変化速度を遅くするようにしてもよい。
【0067】
さらに、ステップS22とS24で出力電圧Vo1とVomが停止している場合は上昇を開始させるようにしているが、ここでも、上昇の変化速度を速めになるように設定してもよい。
【0068】
図7は、第1の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を下げる場合のものである。なお、ステップ番号や、記号は図6と同じにして説明する。
【0069】
出力電圧VomSとVo1Sを下げるための電圧変更信号が電圧制御回路30に入力されると、ステップS1で、変更前の主電源回路10の出力電圧VomSと、従1電源回路20の出力電圧Vo1Sの比較を行なう。出力電圧VomSの方がVo1Sより所定の電圧ΔV以上高い場合は、コンパレータ40の出力がハイレベルとなり、スタート時の主電源の方が高い場合の処理を行うためステップS2へ進む。ステップS2で、電圧制御回路30は高い方の主電源回路10の出力電圧VomSを下げるために主電圧設定信号を出力する。このとき、電圧制御回路30は図2で示したDAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは図3で示した可変抵抗R12の値を一気に目標出力電圧であるVomEに設定するのではなく、上げる場合と同様、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧VomEまで変えるようにしている。
【0070】
ステップS3では、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。電圧検出回路30は出力電圧Vo1と出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断すると、主従電源電圧が一致した状態の処理に進むために、ステップS4に進む。一方、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS2に戻り、出力電圧Vomを下げる主電圧設定信号を出力し、主電源回路10の電圧を下降させ、主電源回路10の変更中の出力電圧Vomと、従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0071】
コンパレータ40とコンパレータ50の出力が共にローレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、ステップS4に移行し、従1電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vo1を低下させる。出力電圧Vo1の変更も、ステップS2で説明したのと同様、DAコンバータ21の出力電圧Vr1、もしくは可変抵抗R22の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vomの変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS4により、出力電圧VomとVo1が下降する。
【0072】
出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11では、出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上になった場合は、コンパレータ40の出力がハイレベルとなる。するとステップS21に移行し、電圧制御回路30は従1電圧設定信号を制御してDAコンバータ21、もしくは可変抵抗R22の変更を一時中断して出力電圧Vo1の低下を停止する。次に、ステップS22で、もし出力電圧Vomの低下を停止している場合は、出力電圧Vomの低下を再開する。
【0073】
ステップS22の後、またはステップS11で出力電圧VomがVo1より所定の電圧ΔV以上でない場合は、ステップS12に移行する。ステップS12では、出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV以上になった場合は、コンパレータ50の出力がハイレベルとなる。するとステップS23に移行し、電圧制御回路30は主電圧設定信号を制御してDAコンバータ11、もしくは可変抵抗R12の変更を一時中断して出力電圧Vomの低下を停止する。次にステップS24で、もし出力電圧Vo1の低下を停止している場合は、出力電圧Vo1の低下を再開する。
【0074】
ステップS24の後、またはステップS12で出力電圧Vo1がVomより所定の電圧ΔV以上でない場合は、ステップS13で、出力電圧Vomの目標出力電圧VomEと出力電圧Vo1の目標出力電圧Vo1Eの比較を行い、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより大きい場合は、ステップS14に移行する。
【0075】
ステップS14では出力電圧Vomの電圧設定が目標出力電圧VomEの電圧設定になったかどうかをチェックしている。まだ、目標出力電圧VomEの設定になっていない場合は、ステップS11に戻る。目標出力電圧VomEの設定になっている場合は、ステップS15で、出力電圧Vomの低下設定を終了し、ステップS16に進む。
【0076】
ステップS16では、出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になったかどうかをチェックする。出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合には、ステップS17に進み、出力電圧Vo1を下げ、ステップS16に戻る。そして、ステップS16において、出力電圧Vo1の設定が目標出力電圧Vo1Eの設定になったことを判断すると、ステップS18で、出力電圧Vo1の上昇設定を終了する。これで、出力電圧VomとVo1はそれぞれの目標出力電圧VomEとVo1Eに設定された。
【0077】
ステップS13に戻り、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより大きくない場合は、ステップS31に移行する。ステップS31でも、出力電圧Vomの目標出力電圧VomEと出力電圧Vo1の目標出力電圧Vo1Eの比較を行い、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより小さい場合は、ステップS32に移行する。ステップS32では出力電圧Vo1の電圧設定が目標出力電圧Vo1Eの電圧設定になったかどうかをチェックしている。まだ、目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合は、ステップS11に戻る。目標出力電圧Vo1Eの設定になっている場合は、ステップS33で、出力電圧Vo1の低下設定を終了し、ステップS34に進む。
【0078】
ステップS34では、出力電圧Vomが目標出力電圧VomEの設定になったかどうかをチェックする。出力電圧Vomの設定が目標出力電圧VomEの設定になっていない場合には、ステップS35に進み、出力電圧Vomを下げ、ステップS34に戻る。そして、ステップS34において、出力電圧Vomの設定が目標出力電圧VomEの設定になったことを判断すると、ステップS36で、出力電圧Vomの低下設定を終了する。これで、出力電圧VomとVo1はそれぞれの目標出力電圧VomEとVo1Eに設定された。
【0079】
ステップS31に戻り、目標出力電圧VomEの方が目標出力電圧Vo1Eより大きくない場合は、目標出力電圧VomEと目標出力電圧Vo1Eがほぼ等しい場合なので、ステップS41に移行する。
【0080】
ステップS41では、出力電圧Vomが目標出力電圧VomEの設定になったかどうかをチェックし、目標出力電圧VomEの設定になっていない場合には、ステップS45に進み、出力電圧Vomを下げ、ステップS11に戻る。
【0081】
一方、ステップS41で目標出力電圧VomEの設定になっている場合は、ステップS42で、出力電圧Vomの低下設定を終了し、ステップS43に進む。
【0082】
ステップS43では、出力電圧Vo1が目標出力電圧Vo1Eの設定になったかどうかをチェックし、まだ、目標出力電圧Vo1Eの設定になっていない場合は、ステップS11に戻る。目標出力電圧Vo1Eの設定になっている場合は、ステップS44で、出力電圧Vomの低下設定を終了する。
【0083】
次にステップS1に戻り、出力電圧VomSの方がVo1Sより所定の電圧ΔV以上高くない場合は、コンパレータ40の出力がローレベルとなり、ステップS5に移行する。ステップS5で、変更前の出力電圧Vo1Sの方が変更前の出力電圧VomSより所定の電圧ΔV以上高い場合は、コンパレータ50の出力がハイレベルとなり、スタート時の従1電源の方が高い場合の処理を行うためにステップS6に移行する。ステップS6では電圧制御回路30は高い方の従1電源回路20の出力電圧Vo1Sを下げるために主電圧設定信号を出力する。このとき、ステップS2の場合と同様、電圧制御回路30は図2で示したDAコンバータ21の出力電圧Vr1、もしくは図3で示した可変抵抗R22の値を一気に目標出力電圧であるVo1Eに設定するのではなく、上げる場合と同様、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧Vo1Eまで変えるようにしている。
【0084】
ステップS7では、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。コンパレータ40とコンパレータ50の出力が共にローレベルになると、主従電源電圧が一致した状態の処理に進むために、ステップS8に進む。
【0085】
一方、出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差との差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS6に戻り、出力電圧Vo1を下げるために従1電圧設定信号を出力し、従1電源回路10の電圧を下げ、主電源回路10の変更中の出力電圧Vomと、従1電源回路10の変更前の出力電圧Vo1Sとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0086】
ステップS8で、主電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vomを低下させる。出力電圧Vomの変更も、ステップS6で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは可変抵抗R12の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vo1の変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS8により、出力電圧VomとVo1が下降する。
【0087】
出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0088】
ステップS5に戻り、変更前の出力電圧Vo1Sの方が変更前の出力電圧VomSより所定の電圧ΔV以上高くない場合は、スタート時の出力電圧VomSとVo1Sの差が所定の電圧ΔV以内なので、コンパレータ40とコンパレータ50の出力は共にローレベルである。この場合は、スタート時、主電源と従電源との差が所定電圧差以下の場合の処理を行うためにステップS9に移行し、ステップS2とステップS6で述べたように、出力電圧Vo1とVomを同じ変化速度で低下させる。出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0089】
以上のように、出力電圧VomとVo1の低下途中では、電圧差検出回路を構成しているコンパレータ40とコンパレータ50の出力により、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になった場合は、低い方の出力電圧の低下を停止して、他方の出力電圧の低下を待つようにしたので、両出力電圧の差の最大値を所定の電圧ΔVに保つことができるようになる。
【0090】
なお、実際には両出力電圧の許容電圧差より、前記している所定の電圧ΔVを少し小さい電圧にしておくことで、許容電圧差を満足することができる。
【0091】
また、ステップS21とS23では出力電圧Vo1とVomの電圧低下の設定を停止させているが、場合によっては、停止させずに、低下の変化速度を遅くするようにしてもよい。
【0092】
さらに、ステップS22とS24で出力電圧VomとVo1が停止している場合は低下を開始させるようにしているが、ここでも、低下の変化速度を速めになるように設定してもよい。
【0093】
図4は、この発明の第2の実施形態を示す電源装置のブロック図である。電源装置100は主電源回路10、従1電源回路20、電圧制御回路30、ウインドコンパレータ60で構成されている。ウインドコンパレータ60以外は図1の構成と同じである。ウインドコンパレータ60の第1入力I1には主電源回路10の出力電圧Vomが接続され、第2入力I2には従1電源回路20の出力電圧Vo1が接続されている。また出力は電圧制御回路30に入力されている。
【0094】
ウインドコンパレータ60の入力には所定のオフセット電圧ΔVが設定されており、出力電圧VomとVo1の電圧差が上記オフセット電圧未満の場合は、ハイレベルを出力し、以上の場合はローレベルを出力するように構成されている。
【0095】
図8は、第2の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を上げる場合のものである。なお、ステップ番号や、記号は図6と同じものを用いて説明する。
【0096】
出力電圧VomSとVo1Sを上げるための電圧変更信号が電圧制御回路30に入力されると、ステップS1で、変更前の主電源回路10の出力電圧VomSと、従1電源回路20の出力電圧Vo1Sの比較を行なう。ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであれば、変更前の出力電圧VomSとVo1Sの差は所定の電圧ΔV以上である。その場合、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sを調べ、VomS>Vo1Sであればスタート時の主電源の方が高い処理を行うためにステップ2に移行する。
【0097】
ステップS2で、電圧制御回路30は低い方の従1電源回路20の出力電圧Vo1を上げるために従1電圧設定信号を出力する。従1電圧設定信号は第1の実施形態で何度も述べているように、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧Vo1Eまで変えるようにしている。
【0098】
ステップS3では、従1電源回路20の出力電圧Vo1と主電源回路10の変更前の出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vo1と出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、主従電源電圧が一致した場合の処理を行うためにステップS4に進む。
【0099】
一方、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS2に戻り、出力電圧Vo1を上げるために従1電圧設定信号を出力し、従1電源回路20の電圧を上昇させ、従1電源回路20の変更中の出力電圧Vo1と、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0100】
ステップS4で、主電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vomを上昇させる。出力電圧Vomの変更速度は出力電圧Vo1の変更速度とほぼ等しくなるように制御する。出力電圧Vomの変更も、ステップS2で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは可変抵抗R12の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vo1の変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS4により、出力電圧VomとVo1が上昇する。
【0101】
出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。
【0102】
ステップS11では、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になった場合は、ウインドコンパレータ60の出力がローレベルとなる。するとステップS21に移行し、電圧制御回路30は主電圧設定信号と従1電圧設定信号を制御してDAコンバータ11と21、もしくは可変抵抗R12とR22の変更を一時中断して出力電圧VomとVo1の両方の上昇を停止する。
【0103】
ステップS11に戻り、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV未満の場合は、ステップS12に移行する。ステップS12では、出力電圧VomとVo1の上昇の設定を停止している場合は、出力電圧VomとVo1の上昇の設定を再開する。ステップ12とステップ21の次はステップ13に移行する。
【0104】
ステップS13からステップS18までの動作、ステップS31からS36までの動作、およびステップS41からステップS45までの動作は、図6の場合と同様なので、説明の重複を避けるためにここではその説明は省略する。
【0105】
次に、ステップS1に戻る。ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであり、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sを調べ、VomS>Vo1Sでなければ、ステップS5に移行する。ステップS5では、ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであり、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sの関係が、VomS<Vo1Sであれば、スタート時、従1電源の方が高い場合の処理を行うために、ステップS6に移行する。
【0106】
ステップS6では電圧制御回路30は低い方の主電源回路10の出力電圧VomSを上げるために主電圧設定信号を出力する。このときも、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧VomEまで変えるようにしている。
【0107】
ステップS7では、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、主従電源電圧が一致した場合の処理を行うためにステップS8に進む。
【0108】
一方、出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差との差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS6に戻り、出力電圧Vomを上げるために主電圧設定信号を出力し、主電源回路10の電圧を上昇させ、従1電源回路20の変更中の出力電圧Vo1と、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0109】
ステップS8で、従電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vo1を上げる。出力電圧Vo1の変更も、ステップS6で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vr1、もしくは可変抵抗R22の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vomの変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS8により、出力電圧VomとVo1が上昇する。出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。
【0110】
ステップS5に戻り、ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルであれば、スタート時、主電源と従電源との差が所定の電圧差以下の場合の処理を行うために、ステップS9に移行し、ステップS2とステップS6で述べたように、出力電圧Vo1とVomを同じ変化速度で上昇させる。出力電圧VomとVo1を上げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0111】
以上のように、出力電圧VomとVo1の上昇途中では、電圧差検出回路を構成しているウインドコンパレータ60の出力がローレベルになったことにより、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になったことを電圧制御回路30が検知し、その場合は、両方の出力電圧を上昇させる設定を一旦停止する。その後、ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルとなって、両出力電圧の差が所定の電圧ΔV以内になった事を電圧制御回路39が検出すると、両出力電圧の上昇設定を再開するようにしたので、両出力電圧の差の最大値を所定の電圧ΔVに保つことができるようになる。
【0112】
また、実際には第1の実施形態でも述べたように、両出力電圧の許容電圧差より、前記している所定の電圧ΔVを少し小さい電圧にしておくことで、許容電圧差を満足することができる。
【0113】
図9は、第2の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を下げる場合のものである。なお、ステップ番号や、記号は図8と同じである。
【0114】
出力電圧VomSとVo1Sを下げるための電圧変更信号が電圧制御回路30に入力されると、ステップS1で、変更前の主電源回路10の出力電圧VomSと、従1電源回路20の出力電圧Vo1Sの比較を行なう。ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであれば、変更前の出力電圧VomSとVo1Sの差は所定の電圧ΔV以上である。その場合、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sを調べ、VomS>Vo1Sであれば、スタート時の主電源の方が高い場合の処理を行うために、ステップ2に移行する。ステップS2で、電圧制御回路30は高い方の主電源回路10の出力電圧Vomを下げるために主電圧設定信号を出力する。主電圧設定信号は何度も述べているように、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧VomEまで変えるようにしている。
【0115】
ステップS3では、主電源回路10の出力電圧Vomと従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、主従電源電圧が一致した場合の処理を行うためにステップS4に進む。
【0116】
一方、ステップS3において、主電源回路10の変更前の出力電圧VomSとの差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS2に戻り、出力電圧Vomを下げる主電圧設定信号を出力し、主電源回路10の電圧を下降させ、主電源回路10の変更中の出力電圧Vomと、従1電源回路20の変更前の出力電圧Vo1Sとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0117】
ステップS4で、従1電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vo1を低下させる。出力電圧Vo1の変更も、ステップS2で説明したのと同様、DAコンバータ21の出力電圧Vr1、もしくは可変抵抗R22の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vomの変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS4により、出力電圧VomとVo1が下降する。
【0118】
出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。
【0119】
ステップS11では、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になっていないかをチェックする。出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になった場合は、ウインドコンパレータ60の出力がローレベルとなる。するとステップS21に移行し、電圧制御回路30は主電圧設定信号と従1電圧設定信号を制御してDAコンバータ11と21、もしくは可変抵抗R12とR22の変更を一時中断して出力電圧VomとVo1の両方の低下を停止する。
【0120】
ステップS11に戻り、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV未満の場合は、ステップS12に移行する。ステップS12では、出力電圧VomとVo1の低下の設定を停止している場合は、出力電圧VomとVo1の低下の設定を再開する。ステップ12とステップ21の次はステップ13に移行する。
【0121】
ステップS13からステップS18までの動作、ステップS31からS36までの動作、およびステップS41からステップS45までの動作は、図7の場合と同様なので、説明の重複を避けるために、ここではその説明は省略する。
【0122】
次にステップS1に戻る。ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであり、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sを調べ、VomS>Vo1Sでなければ、ステップS5に移行する。ステップS5では、ウインドコンパレータ60の出力がローレベルであり、電圧制御回路30が設定している出力電圧VomSとVo1Sの関係が、VomS<Vo1Sであれば、スタート時の従1電源の方が高い場合の処理を行うために、ステップS6に移行する。
【0123】
ステップS6では電圧制御回路30は高い方の従1電源回路20の出力電圧Vo1Sを下げるために従1電圧設定信号を出力する。このときも、所定の時間を掛けて徐々に目標出力電圧Vo1Eまで変えるようにしている。
【0124】
ステップS7では、従1電源回路20の出力電圧Vo1と主電源回路10の変更前の出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったかどうかを判定する。コンパレータ60の出力がハイレベルになると、電圧検出回路30は出力電圧Vo1と出力電圧VomSの差が所定の電圧ΔV未満になったと判断し、主従電源電圧が一致した場合の処理を行うためにステップS8に進む。
【0125】
一方、出力電圧Vomと出力電圧Vo1Sの差との差が、所定の電圧ΔV以上の場合には、ステップS6に戻り、出力電圧Vo1を下げるために従1電圧設定信号を出力し、従1電源回路10の電圧を下げ、主電源回路10の変更中の出力電圧Vomと、従1電源回路10の変更前の出力電圧Vo1Sとの差が、所定の電圧ΔV未満になるまで動作を繰り返す。
【0126】
ステップS8で、主電圧設定信号を更に出力して出力電圧Vomを低下させる。出力電圧Vomの変更も、ステップS6で説明したのと同様、DAコンバータ11の出力電圧Vrm、もしくは可変抵抗R12の値を徐々に変更する。なお、変更速度は出力電圧Vo1の変更速度とほぼ等しくなるように制御する。このステップS8により、出力電圧VomとVo1が下降する。
【0127】
出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。
【0128】
ステップS5に戻り、ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルであれば、スタート時、主電源と従電源との差が所定電圧差以下の場合の処理を行うために、ステップS9に移行し、ステップS2とステップS6で述べたように、出力電圧Vo1とVomを同じ変化速度で低下させる。出力電圧VomとVo1を下げている間は、ステップS11からS14に示すチェックを行なう。ステップS11以下は既に述べたとおりである。
【0129】
以上のように、出力電圧VomとVo1の低下途中では、電圧差検出回路を構成しているウインドコンパレータ60の出力がローレベルになったことにより、出力電圧VomとVo1の差が所定の電圧ΔV以上になったことを電圧制御回路30が検知し、その場合は、両方の出力電圧を低下させる設定を一旦停止する。その後、ウインドコンパレータ60の出力がハイレベルとなって、両出力電圧の差が所定の電圧ΔV以内になった事を電圧制御回路39が検出すると、両出力電圧の低下設定を再開するようにしたので、両出力電圧の差の最大値を所定の電圧ΔVに保つことができるようになった。
【0130】
また、実際には第1の実施形態でも述べたように、両出力電圧の許容電圧差より、前記している所定の電圧ΔVを少し小さい電圧にしておくことで、許容電圧差を満足することができる。
【0131】
上記した実施形態では、従電源回路が一つの場合に付いて説明したが、従電源回路が複数あった場合も全ての従電源回路の出力電圧と主電源回路の出力電圧の電圧差を検出するコンパレータまたはウインドコンパレータを必要な数だけ設け、その出力を電圧差検出回路で処理することで、同様の動作が可能である。
【0132】
また、ウインドコンパレータの検出電圧はフローチャートのステップに応じて異なる値をとっても良い。
【0133】
また、出力電圧の設定に付いては、本実施形態ではデジタル制御で基準電圧、または可変抵抗の値を変更することで行なっていたが、アナログ制御で基準電圧の変更を行なうことも可能である。
【0134】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す電源装置のブロック図である。
【図2】主電源回路10および従1電源回路20の電圧設定回路部分を示すブロック図である。
【図3】電源回路10および従1電源回路20の電圧設定回路部分の別の実施形態を示すブロック図である。
【図4】この発明の第2の実施形態を示す電源装置のブロック図である。
【図5】主電源の出力電圧Vomと従電源の出力電圧Vo1を上げ下げする場合の電圧変化を示す特性図である。
【図6】第1の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を上げる場合のものである。
【図7】第1の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を下げる場合のものである。
【図8】第2の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を上げる場合のものである。
【図9】第2の実施形態の電源装置の動作を説明するためのフローチャートで、出力電圧を下げる場合のものである。
【符号の説明】
【0136】
10 主電源回路、20 従1電源回路、30 電圧制御回路、
40,50 コンパレータ、60 ウインドコンパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧が変更可能な主電源と、該主電源の出力電圧変更時に、該主電源の出力電圧の変化方向と同一方向に出力電圧を変更する1つ以上の従電源を備えた電源装置において、
前記主電源の出力電圧と、前記従電源の出力電圧との電圧差が所定の電圧差以内であるか否かを検出する電圧差検出回路と、電圧変更信号、および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記主電源および前記従電源の出力電圧を制御する電圧制御回路を備え、
前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号に応じて前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更を行い、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたことを検出した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電圧差検出回路の出力に基づき出力電圧変更前の前記主電源と前記従電源の出力電圧が異なり、前記主電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧までの電圧と、前記従電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧に重なる部分があることを前記電圧制御回路が検出すると、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内と検出されるまでは、前記主電源もしくは前記従電源のどちらか一方の出力電圧だけを変更し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内になってから、前記主電源もしくは前記従電源の一方もしくは両方の出力電圧が、変更後の目標出力電圧に到達するまでの間に、前記電圧差検出回路によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたことを検出した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、
前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記基準電圧を所定の時間を掛けて徐々に変更することで、前記主電源と前記従電源の出力電圧を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、
前記電圧制御回路は、前記電圧変更信号および前記電圧差検出回路の出力に応じて、前記出力電圧検出回路の比率を所定の時間を掛けて徐々に変更することで、前記主電源と前記従電源の出力電圧を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記主電源と前記従電源の出力電圧上昇中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、検出した時点での前記出力電圧が高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、
低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記主電源と前記従電源の出力電圧低下中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、検出した時点での前記出力電圧が低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、
高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記主電源と前記従電源の出力電圧変更中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えたことを前記電圧差検出回路が検出した場合は、前記電圧制御回路は、前記主電源と前記従電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を一旦停止し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に戻った場合は、前記基準電圧もしくは前記比率の変更を再開することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
出力電圧が変更可能な主電源と、該主電源の出力電圧変更時に、該主電源の出力電圧の変化方向と同一方向に出力電圧を変更する1つ以上の従電源を備えた電源装置の出力電圧を変更する出力電圧変更方法において、
前記主電源の出力電圧と、前記従電源の出力電圧との電圧差が所定の電圧差以内であるか否かを判定する電圧差判定手段と、
電圧変更信号、および前記電圧差判定手段の出力に応じて、前記主電源および前記従電源の出力電圧を制御する電圧制御手段を備え、
前記電圧制御手段は、前記電圧変更信号に応じて前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更を行い、
前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたと判定した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項9】
出力電圧変更前の、前記主電源と前記従電源の出力電圧が異なり、前記主電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧までの電圧と、前記従電源の変更前の出力電圧から変更後の出力電圧に重なる部分がある場合は、前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差に接近したと判定するまでは、前記主電源もしくは前記従電源のどちらか一方の出力電圧だけを変更し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内になってから、前記主電源もしくは前記従電源の一方もしくは両方の出力電圧が、変更後の目標出力電圧に到達するまでの間に、前記電圧差判定手段によって、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を越えたと判定した場合は、前記主電源および前記従電源の出力電圧変化速度を制御し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項8に記載の電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項10】
前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更は、前記基準電圧を所定の時間を掛けて徐々に変更することで行なうことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項11】
前記主電源と前記従電源はそれぞれ基準電圧と、出力電圧に比例した電圧を出力する出力電圧検出回路と、前記基準電圧と前記出力電圧検出回路からの出力電圧の差を増幅する誤差増幅回路を備え、前記主電源と前記従電源の出力電圧の変更は、前記出力電圧検出回路の比率を所定の時間を掛けて徐々に変更することで行なうことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項12】
前記主電源と前記従電源の出力電圧上昇中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、
超えた時点での前記出力電圧が高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項13】
前記主電源と前記従電源の出力電圧低下中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、超えた時点での前記出力電圧が低い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を停止もしくは変化速度を遅くするか、高い方の電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更の変化速度を速くするようにして、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に収まるように制御を行なうことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の電源装置の出力電圧変更方法。
【請求項14】
前記主電源と前記従電源の出力電圧変更中に、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差を超えた場合は、前記主電源と前記従電源の前記基準電圧もしくは前記比率の変更を一旦停止し、前記主電源と前記従電源の出力電圧差が前記所定の電圧差以内に戻った場合は、前記基準電圧もしくは前記比率の変更を再開するようことを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の電源装置の出力電圧変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258809(P2009−258809A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104163(P2008−104163)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】