電源装置の出力回路構造
【課題】トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供する。
【解決手段】トランス4の一次側回路は、一次巻線5、コンデンサ101,102、スイッチング素子103,104などで構成されている。トランス4の二次側回路としての出力回路1は、二次巻線6、チョークコイル15、整流ダイオード7,8、平滑コンデンサ16などで構成されている。出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード7,8のカソード同士を接続する導電性機構バー2が設けられている。出力整流ループを等価的に並列回路として構成することにより、当該合成インピーダンスを小さくして、リーケージインダクタンスを抑制することができる。
【解決手段】トランス4の一次側回路は、一次巻線5、コンデンサ101,102、スイッチング素子103,104などで構成されている。トランス4の二次側回路としての出力回路1は、二次巻線6、チョークコイル15、整流ダイオード7,8、平滑コンデンサ16などで構成されている。出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード7,8のカソード同士を接続する導電性機構バー2が設けられている。出力整流ループを等価的に並列回路として構成することにより、当該合成インピーダンスを小さくして、リーケージインダクタンスを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に従来のコンバータ回路例としてハーフブリッジコンバータ回路を示す。トランス4の一次側回路は、コンデンサ101,101や、例えばMOSFETなどからなるスイッチン
グ素子103,104などで構成されており、これらがトランス4の一次巻線5に接続されている。一方、トランス4の二次側回路としての出力回路110は、チョークコイル15や、整流ダイオード7,8や、平滑コンデンサ16などで構成されており、これらがトランス4の二次巻線6(6a,6b)に接続されている。そして、図示しない例えばPWM制御ICがスイッチング素子103,104のゲートに接続され、これらを交互にスイッチング動作させることにより一次側の入力電源100から所望の電圧を取り出して二次側の出力端子10,11に接続された負荷(図示せず)に出力電力を供給する。
【0003】
大電流出力スイッチング電源では、出力整流素子としての整流ダイオード7,8をそれぞれ複数並列接続して使用する。出力1.5kw、出力電圧5Vを例にすると、例えば特許文献1に示されるように、TO-3P形状で40V60Aのショットキーダイオードを6並列程度の接続が必要となる。
【0004】
図9の回路を装置した状態を示したものが図11の機構図である。同図に示す構造は、本出願人が先に出願した特願2006−260415と同一のものであり、トランス4を含む出力回路110の部品実装状態を示している。
【0005】
トランス4の二次巻線側には整流回路部品として並列接続された複数の整流ダイオード7,8、平滑回路部品としてチョークコイル15と平滑コンデンサ16が接続され、大電流が流れる出力回路には出力端子10,11として出力バーが使用されている。プリント基板12には、6個の整流ダイオードを実装するための多数のスルーホールが設けられている。当該整流ダイオードは1素子当たり2本のアノード端子と1本のカソード端子を備えている。プリント基板に設けられたスルーホールのうち、アノード端子が挿入接合されるスルーホールは相互に銅箔で連続しており、カソード端子が挿入接合されるスルーホールも相互に銅箔で連続して形成されている。また、プリント基板12の両端近くには、プリント基板12と薄板18とバスバー13とを三層構造にして機械的に結合するためのビス孔24が2箇所に設けられている。
【0006】
プリント基板12とバスバー13との間に薄板18を挟んで結合する。薄板18の両側に設けられた接合端子をプリント基板12のスルーホールに挿入する。また、整流ダイオード7(8)の端子を所定の姿勢でスルーホールに挿入する。ここで、整流ダイオード7(8)のアノード端子と薄板18の接合端子が挿入されるスルーホールは同一であり、半田付け作業により、薄板18は整流ダイオード7(8)のアノード端子と電気的に接続されることになる。
【0007】
バスバー13のプリント基板12への結合は、薄板18をプリント基板12に半田付けにより接合した後、プリント基板12とバスバー13との間に薄板18を挟んでビス27とナットで機械的に結合される。このことにより薄板18の表面とバスバー13の裏面とは密着させられることから、薄板18とバスバー13とは低いインピーダンスをもって一体化される。また、バスバー13の一端には、他の部品や機器と接続するための入力端子または出力端子30が形成されているので、入力端子または出力端子30をトランス4の二次側巻線端子に接続することにより、トランス4の二次側巻線から直接バスバー13に電流を流すことができる。
【特許文献1】特開2006−210516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9のハーフブリッジコンバータ回路におけるスイッチング素子103,104がターンオフした時の整流ダイオード7,8以降のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を図10に示す。同図中、l1を線路のインダクタンス成分、r1を線路の抵抗成分とすると、同図に示す電流回路ループのリーケージインダクタンスLr1は次式となる。
【0009】
【数1】
【0010】
また、図9のハーフブリッジコンバータ回路の動作波形例を図12に示す。同図中、VS2はスイッチング素子104のソース−ドレイン間電圧を表し、ITは一次巻線5へ流入する励磁電流を表し、Eは入力電源100から供給される入力電圧値を表し、S1はスイッチング素子103を表し、S2はスイッチング素子104を表し、TONは電圧振動又は電流振動が治まってから次のスイッチング素子がオンするまでの安定時間幅を表す。当該動作波形から、スイッチング素子103,104のターンオフ時に電圧振動、電流振動が発生し、効率の悪化、制御範囲の低下が分かる。
【0011】
従来、主スイッチのターンオフ時に発生するVds振動の抑制には、トランスの巻線構造で1次−2次間の結合を上げリーケージを低減し、出力整流ループ長を最小限に抑え、1次巻線間に抵抗とコンデンサを直列接続し、振動をロスさせて抑制している。
【0012】
特に電源製品外形の制約で実装上、上記特許文献1のように電源の長手方向に直列実装を行う場合、整流回路の流れは、トランス→整流ダイオード→コンデンサになるため、ブリッジコンバータ回路を例にとると、整流部のダイオード実装は2列になる。トランスの2次出力ループはダイオードの後のループになる。このループ長が大きくなると、整流ループインダクタンスが増加し、ターンオフ時の電圧振動が大きくなり、トランス1次巻線電流の振動も増え、その結果、損失の増加、出力電圧範囲の悪化、ノイズ増加が起こる。
【0013】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における請求項1では、一次巻線と二次巻線とを磁気的に結合してなるトランスを備えた電源装置の二次側回路を構成し、前記二次巻線及び回路素子を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路を並列に設けている。
【0015】
本発明における請求項2の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路が、複数の整流素子の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられている。
【0016】
このようにすると、例えば回路実装上の制約などにより回路ループ長が長くなる場合においても、短絡線路の接続によって等価的にリーケージインダクタンスの並列回路を構成することにより、回路ループに生じるリーケージインダクタンスの合成値をトランス単体の持つリーケージインダクタンスに近い値に最小限に抑制でき、電源装置の主スイッチのターンオフ時に発生する電圧振動を抑制でき、その結果、電源損失の改善、電圧可変範囲の改善、ノイズが改善される。
【0017】
本発明における請求項3の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路を少なくとも前記二次巻線に近接させて設けている。
【0018】
このようにすると、二次巻線と短絡線路とを含む回路ループの面積を小さくしてインダクタンス成分を小さくすることができる。
【0019】
本発明における請求項4の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路は導電性のバー部材であることを特徴とする。
【0020】
このようにすると、短絡線路に大電流が流れても損失を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1及び請求項2によると、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することができる。
【0022】
本発明の請求項3によると、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【0023】
本発明の請求項4によると、損失を抑えてリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における電源装置の出力回路構造の好ましい各実施例を説明する。なお、従来例と同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【実施例1】
【0025】
図1に本第1実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてハーフブリッジコンバータ回路を示す。同図に示されたハーフブリッジコンバータ回路は、基本的な回路構成は図9の従来例と略同じであり、トランス4の二次側回路としての出力回路1の構成が図9で示した出力回路110とは若干相違する。
【0026】
トランス4の一次側回路は、入力電源100の両端に、コンデンサ101,101の直列回路と、スイッチング素子103,104の直列回路とを並列接続し、コンデンサ101,101の接続点とスイッチング素子103,104の接続点との間にトランス4の一次巻線5を接続してなる。
【0027】
出力回路1については、トランス4の二次巻線6には二次巻線6a,6bの接続点に相当するセンタータップが設けられており、このセンタータップはチョークコイル15を介して出力端子11に接続される。二次巻線6a側となる二次巻線6の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード7のアノードへ接続され、二次巻線6b側となる二次巻線6の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード8のアノードへ接続され、これら整流ダイオード7,8のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード7,8の接続点(カソード)は出力端子10へ接続される。一対の出力端子10,11間には平滑コンデンサ16が接続される。以上は、出力回路110と同一の構成である。
【0028】
本第1実施例の出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード7,8のカソード同士を接続する短絡線路としての導電性機構バー2が設けられている。すなわち、出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0029】
図1のハーフブリッジコンバータ回路におけるスイッチング素子103,104がターンオフした時の整流ダイオード7,8以降のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を図2に示す。同図中、l1を例えば回路パターンなどにより構成される線路のインダクタンス成分、r1を例えば回路パターンなどにより構成される線路の抵抗成分とし、l2を導電性機構バー2により構成される線路のインダクタンス成分、r2を導電性機構バー2により構成される線路の抵抗成分とすると、同図に示す電流回路ループのリーケージインダクタンスLr2は次式の数式2となる。数式2において、l2<<Lr1とすればリーケージインダクタンスLr2をl2にできる。
【0030】
【数2】
【0031】
なお、Lr1は例えば回路パターンなどにより構成される線路のみに関する電流回路ループのリーケージインダクタンスであり、上記数式1で表される。
【0032】
図1の回路を装置した状態を示したものが図3の機構図である。同図に示す構造は、図11で示す従来の出力回路110と略同様の組立体に導電性機構バー2を追加したものであり、トランス4を含む出力回路1の部品実装状態を示している。
【0033】
導電性機構バー2は、例えば扁平板状の金属(銅等)からなる2本の導電性バー2a,2aと、これら各導電性バー2aを接続する例えば両端が階段状に折曲成形された板状の金属(銅等)からなる導電性バー2bとから構成される。導電性機構バー2は、整流ダイオード7,8のカソードを短絡接続するものであるため、その装着手法としては、例えば、カソード端子と電気的に接続された放熱板を備えた整流ダイオード7,8の裏面に導電性バー2aをそれぞれ共締めし、これらの導電性機構バー2a,2a同士を別の導電性バー2bでネジ螺着等により接続すればよい。もちろん、導電性機構バー2は、整流ダイオード7,8のカソードを短絡接続できればどのような形態のものを用いてもよいが、本実施例のように、導電性機構バー2を整流ダイオード7,8とトランス4の二次巻線6とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成すれば、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分l2を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスLr2を抑制することができる。
【0034】
また、図1のハーフブリッジコンバータ回路の動作波形例を図4に示す。同図中、VS2はスイッチング素子104のソース−ドレイン間電圧を表し、ITは一次巻線5へ流入する励磁電流を表し、Eは入力電源100から供給される入力電圧値を表し、S1はスイッチング素子103を表し、S2はスイッチング素子104を表し、TONは電圧振動又は電流振動が治まってから次のスイッチング素子がオンするまでの安定時間幅を表す。当該動作波形から、スイッチング素子103,104のターンオフ時の電圧振動、電流振動が1/2になり、損失の改善、電圧制御範囲の拡大、ノイズの抑制の効果があることが分かる。
【0035】
以上のように本第1実施例では、一次巻線5と二次巻線6とを磁気的に結合してなるトランス4を備えた電源装置の二次側回路としての出力回路1を構成し、二次巻線6及び回路素子としての整流ダイオード7,8を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路としての導電性機構バー2を並列に設けている。
【0036】
また本第2実施例の出力回路1では、導電性機構バー2が、複数の整流素子としての整流ダイオード7,8の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられている。
【0037】
このようにすると、例えば回路実装上の制約などにより回路ループ長が長くなる場合においても、導電性機構バー2の接続によって等価的にリーケージインダクタンスの並列回路を構成することにより、回路ループに生じるリーケージインダクタンスの合成値をトランス単体の持つリーケージインダクタンスに近い値に最小限に抑制でき、電源装置の主スイッチとしてのスイッチング素子103,104のターンオフ時に発生する電圧振動を抑制でき、その結果、電源損失の改善、電圧可変範囲の改善、ノイズが改善される。以上により、トランスを備えた電源装置の出力回路1に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することができる。
【0038】
さらに本第1実施例の出力回路1では、導電性機構バー2を少なくとも二次巻線6に近接させて設けている。
【0039】
このようにすると、二次巻線6と導電性機構バー2とを含む回路ループの面積を小さくしてインダクタンス成分を小さくすることができる。従って、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【0040】
また本第1実施例の出力回路1では、前記短絡線路は導電性のバー部材からなる導電性機構バー2であることを特徴とする。
【0041】
このようにすると、短絡線路に大電流が流れても損失を少なくすることができる。従って、損失を抑えてリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【実施例2】
【0042】
図5に本第2実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてフォワードコンバータ回路を示す。
【0043】
トランス41の一次側回路は、入力電源40の両端に、トランス41の一次巻線42と、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子44とを直列接続してなる。
【0044】
トランス41の二次側回路としての出力回路50については、トランス41の二次巻線43の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード51のアノードへ接続され、二次巻線43の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード52のアノードへ接続され、これら整流ダイオード51,52のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード51,52の接続点(カソード)は出力端子55へ接続される。二次巻線43の他端及び整流ダイオード52のアノードはチョークコイル15を介して出力端子11に接続される。一対の出力端子55,56間には平滑コンデンサ54が接続される。
【0045】
本第2実施例の出力回路50では、整流ダイオード51,52のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード51,52のカソード同士を接続する導電性機構バー57が設けられている。すなわち、出力回路50では、整流ダイオード51,52のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0046】
図5の回路を装置した状態を模式的に概略図示したものが図6の回路図である。同図に示す構造は、従来の出力回路と略同様の組立体に導電性機構バー57を追加したものであり、トランス41を含む出力回路50の部品実装状態を示している。
【0047】
導電性機構バー57自体は、第1実施例で説明した導電性機構バー2と同様の構成とすればよく、導電性機構バー57を整流ダイオード51,52とトランス41の二次巻線43とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成して、ループ面積を最小にするのが好ましい。
【実施例3】
【0048】
図7に本第3実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてフルブリッジコンバータ回路を示す。
【0049】
トランス65の一次側回路は、入力電源60の両端に、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子61,62の直列回路と、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子63,64の直列回路とを並列接続し、スイッチング素子61,62の接続点とスイッチング素子63,64の接続点との間にトランス65の一次巻線66を接続してなる。
【0050】
トランス65の二次側回路としての出力回路70については、トランス65の二次巻線67には二次巻線67a,67bの接続点に相当するセンタータップが設けられており、このセンタータップはチョークコイル73を介して出力端子76に接続される。二次巻線67a側となる二次巻線67の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード71のアノードへ接続され、二次巻線67b側となる二次巻線67の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード72のアノードへ接続され、これら整流ダイオード71,72のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード71,72の接続点(カソード)は出力端子75へ接続される。一対の出力端子75,76間には平滑コンデンサ74が接続される。
【0051】
本第3実施例の出力回路70では、整流ダイオード71,72のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード71,72のカソード同士を接続する導電性機構バー77が設けられている。すなわち、出力回路70では、整流ダイオード71,72のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0052】
図7の回路を装置した状態を模式的に概略図示したものが図8の回路図である。同図に示す構造は、従来の出力回路と略同様の組立体に導電性機構バー77を追加したものであり、トランス65を含む出力回路70の部品実装状態を示している。
【0053】
導電性機構バー77自体は、第1実施例で説明した導電性機構バー2と同様の構成とすればよく、導電性機構バー77を整流ダイオード71,72とトランス65の二次巻線67とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成して、ループ面積を最小にするのが好ましい。
【0054】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。出力回路の回路形式は特に限定されるものではなく、当該出力回路を構成する回路素子も、整流ダイオード等の整流素子に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図2】同上、図1のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を示す回路図である。
【図3】同上、図1の出力回路部分を装置した状態の機構を示す斜視図である。
【図4】同上、図1に示す回路各部の動作波形図である。
【図5】本発明の第2実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図6】同上、図5の出力回路部分を装置した状態を模式的に示す回路図である。
【図7】本発明の第3実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図8】同上、図7の出力回路部分を装置した状態を模式的に示す回路図である。
【図9】従来例におけるハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図10】同上、図9のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を示す回路図である。
【図11】同上、図9の出力回路部分を装置した状態の機構を示す斜視図である。
【図12】同上、図9に示す回路各部の動作波形図である。
【符号の説明】
【0056】
1 出力回路
2 導電性機構バー(短絡線路)
4 トランス
5 一次巻線
6 二次巻線
7,8 整流ダイオード(整流素子、回路素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に従来のコンバータ回路例としてハーフブリッジコンバータ回路を示す。トランス4の一次側回路は、コンデンサ101,101や、例えばMOSFETなどからなるスイッチン
グ素子103,104などで構成されており、これらがトランス4の一次巻線5に接続されている。一方、トランス4の二次側回路としての出力回路110は、チョークコイル15や、整流ダイオード7,8や、平滑コンデンサ16などで構成されており、これらがトランス4の二次巻線6(6a,6b)に接続されている。そして、図示しない例えばPWM制御ICがスイッチング素子103,104のゲートに接続され、これらを交互にスイッチング動作させることにより一次側の入力電源100から所望の電圧を取り出して二次側の出力端子10,11に接続された負荷(図示せず)に出力電力を供給する。
【0003】
大電流出力スイッチング電源では、出力整流素子としての整流ダイオード7,8をそれぞれ複数並列接続して使用する。出力1.5kw、出力電圧5Vを例にすると、例えば特許文献1に示されるように、TO-3P形状で40V60Aのショットキーダイオードを6並列程度の接続が必要となる。
【0004】
図9の回路を装置した状態を示したものが図11の機構図である。同図に示す構造は、本出願人が先に出願した特願2006−260415と同一のものであり、トランス4を含む出力回路110の部品実装状態を示している。
【0005】
トランス4の二次巻線側には整流回路部品として並列接続された複数の整流ダイオード7,8、平滑回路部品としてチョークコイル15と平滑コンデンサ16が接続され、大電流が流れる出力回路には出力端子10,11として出力バーが使用されている。プリント基板12には、6個の整流ダイオードを実装するための多数のスルーホールが設けられている。当該整流ダイオードは1素子当たり2本のアノード端子と1本のカソード端子を備えている。プリント基板に設けられたスルーホールのうち、アノード端子が挿入接合されるスルーホールは相互に銅箔で連続しており、カソード端子が挿入接合されるスルーホールも相互に銅箔で連続して形成されている。また、プリント基板12の両端近くには、プリント基板12と薄板18とバスバー13とを三層構造にして機械的に結合するためのビス孔24が2箇所に設けられている。
【0006】
プリント基板12とバスバー13との間に薄板18を挟んで結合する。薄板18の両側に設けられた接合端子をプリント基板12のスルーホールに挿入する。また、整流ダイオード7(8)の端子を所定の姿勢でスルーホールに挿入する。ここで、整流ダイオード7(8)のアノード端子と薄板18の接合端子が挿入されるスルーホールは同一であり、半田付け作業により、薄板18は整流ダイオード7(8)のアノード端子と電気的に接続されることになる。
【0007】
バスバー13のプリント基板12への結合は、薄板18をプリント基板12に半田付けにより接合した後、プリント基板12とバスバー13との間に薄板18を挟んでビス27とナットで機械的に結合される。このことにより薄板18の表面とバスバー13の裏面とは密着させられることから、薄板18とバスバー13とは低いインピーダンスをもって一体化される。また、バスバー13の一端には、他の部品や機器と接続するための入力端子または出力端子30が形成されているので、入力端子または出力端子30をトランス4の二次側巻線端子に接続することにより、トランス4の二次側巻線から直接バスバー13に電流を流すことができる。
【特許文献1】特開2006−210516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9のハーフブリッジコンバータ回路におけるスイッチング素子103,104がターンオフした時の整流ダイオード7,8以降のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を図10に示す。同図中、l1を線路のインダクタンス成分、r1を線路の抵抗成分とすると、同図に示す電流回路ループのリーケージインダクタンスLr1は次式となる。
【0009】
【数1】
【0010】
また、図9のハーフブリッジコンバータ回路の動作波形例を図12に示す。同図中、VS2はスイッチング素子104のソース−ドレイン間電圧を表し、ITは一次巻線5へ流入する励磁電流を表し、Eは入力電源100から供給される入力電圧値を表し、S1はスイッチング素子103を表し、S2はスイッチング素子104を表し、TONは電圧振動又は電流振動が治まってから次のスイッチング素子がオンするまでの安定時間幅を表す。当該動作波形から、スイッチング素子103,104のターンオフ時に電圧振動、電流振動が発生し、効率の悪化、制御範囲の低下が分かる。
【0011】
従来、主スイッチのターンオフ時に発生するVds振動の抑制には、トランスの巻線構造で1次−2次間の結合を上げリーケージを低減し、出力整流ループ長を最小限に抑え、1次巻線間に抵抗とコンデンサを直列接続し、振動をロスさせて抑制している。
【0012】
特に電源製品外形の制約で実装上、上記特許文献1のように電源の長手方向に直列実装を行う場合、整流回路の流れは、トランス→整流ダイオード→コンデンサになるため、ブリッジコンバータ回路を例にとると、整流部のダイオード実装は2列になる。トランスの2次出力ループはダイオードの後のループになる。このループ長が大きくなると、整流ループインダクタンスが増加し、ターンオフ時の電圧振動が大きくなり、トランス1次巻線電流の振動も増え、その結果、損失の増加、出力電圧範囲の悪化、ノイズ増加が起こる。
【0013】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における請求項1では、一次巻線と二次巻線とを磁気的に結合してなるトランスを備えた電源装置の二次側回路を構成し、前記二次巻線及び回路素子を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路を並列に設けている。
【0015】
本発明における請求項2の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路が、複数の整流素子の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられている。
【0016】
このようにすると、例えば回路実装上の制約などにより回路ループ長が長くなる場合においても、短絡線路の接続によって等価的にリーケージインダクタンスの並列回路を構成することにより、回路ループに生じるリーケージインダクタンスの合成値をトランス単体の持つリーケージインダクタンスに近い値に最小限に抑制でき、電源装置の主スイッチのターンオフ時に発生する電圧振動を抑制でき、その結果、電源損失の改善、電圧可変範囲の改善、ノイズが改善される。
【0017】
本発明における請求項3の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路を少なくとも前記二次巻線に近接させて設けている。
【0018】
このようにすると、二次巻線と短絡線路とを含む回路ループの面積を小さくしてインダクタンス成分を小さくすることができる。
【0019】
本発明における請求項4の電源装置の出力回路構造では、前記短絡線路は導電性のバー部材であることを特徴とする。
【0020】
このようにすると、短絡線路に大電流が流れても損失を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1及び請求項2によると、トランスを備えた電源装置の出力回路に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することができる。
【0022】
本発明の請求項3によると、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【0023】
本発明の請求項4によると、損失を抑えてリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における電源装置の出力回路構造の好ましい各実施例を説明する。なお、従来例と同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【実施例1】
【0025】
図1に本第1実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてハーフブリッジコンバータ回路を示す。同図に示されたハーフブリッジコンバータ回路は、基本的な回路構成は図9の従来例と略同じであり、トランス4の二次側回路としての出力回路1の構成が図9で示した出力回路110とは若干相違する。
【0026】
トランス4の一次側回路は、入力電源100の両端に、コンデンサ101,101の直列回路と、スイッチング素子103,104の直列回路とを並列接続し、コンデンサ101,101の接続点とスイッチング素子103,104の接続点との間にトランス4の一次巻線5を接続してなる。
【0027】
出力回路1については、トランス4の二次巻線6には二次巻線6a,6bの接続点に相当するセンタータップが設けられており、このセンタータップはチョークコイル15を介して出力端子11に接続される。二次巻線6a側となる二次巻線6の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード7のアノードへ接続され、二次巻線6b側となる二次巻線6の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード8のアノードへ接続され、これら整流ダイオード7,8のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード7,8の接続点(カソード)は出力端子10へ接続される。一対の出力端子10,11間には平滑コンデンサ16が接続される。以上は、出力回路110と同一の構成である。
【0028】
本第1実施例の出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード7,8のカソード同士を接続する短絡線路としての導電性機構バー2が設けられている。すなわち、出力回路1では、整流ダイオード7,8のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0029】
図1のハーフブリッジコンバータ回路におけるスイッチング素子103,104がターンオフした時の整流ダイオード7,8以降のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を図2に示す。同図中、l1を例えば回路パターンなどにより構成される線路のインダクタンス成分、r1を例えば回路パターンなどにより構成される線路の抵抗成分とし、l2を導電性機構バー2により構成される線路のインダクタンス成分、r2を導電性機構バー2により構成される線路の抵抗成分とすると、同図に示す電流回路ループのリーケージインダクタンスLr2は次式の数式2となる。数式2において、l2<<Lr1とすればリーケージインダクタンスLr2をl2にできる。
【0030】
【数2】
【0031】
なお、Lr1は例えば回路パターンなどにより構成される線路のみに関する電流回路ループのリーケージインダクタンスであり、上記数式1で表される。
【0032】
図1の回路を装置した状態を示したものが図3の機構図である。同図に示す構造は、図11で示す従来の出力回路110と略同様の組立体に導電性機構バー2を追加したものであり、トランス4を含む出力回路1の部品実装状態を示している。
【0033】
導電性機構バー2は、例えば扁平板状の金属(銅等)からなる2本の導電性バー2a,2aと、これら各導電性バー2aを接続する例えば両端が階段状に折曲成形された板状の金属(銅等)からなる導電性バー2bとから構成される。導電性機構バー2は、整流ダイオード7,8のカソードを短絡接続するものであるため、その装着手法としては、例えば、カソード端子と電気的に接続された放熱板を備えた整流ダイオード7,8の裏面に導電性バー2aをそれぞれ共締めし、これらの導電性機構バー2a,2a同士を別の導電性バー2bでネジ螺着等により接続すればよい。もちろん、導電性機構バー2は、整流ダイオード7,8のカソードを短絡接続できればどのような形態のものを用いてもよいが、本実施例のように、導電性機構バー2を整流ダイオード7,8とトランス4の二次巻線6とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成すれば、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分l2を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスLr2を抑制することができる。
【0034】
また、図1のハーフブリッジコンバータ回路の動作波形例を図4に示す。同図中、VS2はスイッチング素子104のソース−ドレイン間電圧を表し、ITは一次巻線5へ流入する励磁電流を表し、Eは入力電源100から供給される入力電圧値を表し、S1はスイッチング素子103を表し、S2はスイッチング素子104を表し、TONは電圧振動又は電流振動が治まってから次のスイッチング素子がオンするまでの安定時間幅を表す。当該動作波形から、スイッチング素子103,104のターンオフ時の電圧振動、電流振動が1/2になり、損失の改善、電圧制御範囲の拡大、ノイズの抑制の効果があることが分かる。
【0035】
以上のように本第1実施例では、一次巻線5と二次巻線6とを磁気的に結合してなるトランス4を備えた電源装置の二次側回路としての出力回路1を構成し、二次巻線6及び回路素子としての整流ダイオード7,8を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路としての導電性機構バー2を並列に設けている。
【0036】
また本第2実施例の出力回路1では、導電性機構バー2が、複数の整流素子としての整流ダイオード7,8の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられている。
【0037】
このようにすると、例えば回路実装上の制約などにより回路ループ長が長くなる場合においても、導電性機構バー2の接続によって等価的にリーケージインダクタンスの並列回路を構成することにより、回路ループに生じるリーケージインダクタンスの合成値をトランス単体の持つリーケージインダクタンスに近い値に最小限に抑制でき、電源装置の主スイッチとしてのスイッチング素子103,104のターンオフ時に発生する電圧振動を抑制でき、その結果、電源損失の改善、電圧可変範囲の改善、ノイズが改善される。以上により、トランスを備えた電源装置の出力回路1に生じるリーケージインダクタンスを抑制可能な電源装置の出力回路構造を提供することができる。
【0038】
さらに本第1実施例の出力回路1では、導電性機構バー2を少なくとも二次巻線6に近接させて設けている。
【0039】
このようにすると、二次巻線6と導電性機構バー2とを含む回路ループの面積を小さくしてインダクタンス成分を小さくすることができる。従って、ループ面積を最小にしてインダクタンス成分を小さくすることができ、効果的にリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【0040】
また本第1実施例の出力回路1では、前記短絡線路は導電性のバー部材からなる導電性機構バー2であることを特徴とする。
【0041】
このようにすると、短絡線路に大電流が流れても損失を少なくすることができる。従って、損失を抑えてリーケージインダクタンスを抑制することができる。
【実施例2】
【0042】
図5に本第2実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてフォワードコンバータ回路を示す。
【0043】
トランス41の一次側回路は、入力電源40の両端に、トランス41の一次巻線42と、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子44とを直列接続してなる。
【0044】
トランス41の二次側回路としての出力回路50については、トランス41の二次巻線43の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード51のアノードへ接続され、二次巻線43の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード52のアノードへ接続され、これら整流ダイオード51,52のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード51,52の接続点(カソード)は出力端子55へ接続される。二次巻線43の他端及び整流ダイオード52のアノードはチョークコイル15を介して出力端子11に接続される。一対の出力端子55,56間には平滑コンデンサ54が接続される。
【0045】
本第2実施例の出力回路50では、整流ダイオード51,52のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード51,52のカソード同士を接続する導電性機構バー57が設けられている。すなわち、出力回路50では、整流ダイオード51,52のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0046】
図5の回路を装置した状態を模式的に概略図示したものが図6の回路図である。同図に示す構造は、従来の出力回路と略同様の組立体に導電性機構バー57を追加したものであり、トランス41を含む出力回路50の部品実装状態を示している。
【0047】
導電性機構バー57自体は、第1実施例で説明した導電性機構バー2と同様の構成とすればよく、導電性機構バー57を整流ダイオード51,52とトランス41の二次巻線43とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成して、ループ面積を最小にするのが好ましい。
【実施例3】
【0048】
図7に本第3実施例における出力回路構造を適用したコンバータ回路例としてフルブリッジコンバータ回路を示す。
【0049】
トランス65の一次側回路は、入力電源60の両端に、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子61,62の直列回路と、例えばMOSFETなどからなるスイッチング素子63,64の直列回路とを並列接続し、スイッチング素子61,62の接続点とスイッチング素子63,64の接続点との間にトランス65の一次巻線66を接続してなる。
【0050】
トランス65の二次側回路としての出力回路70については、トランス65の二次巻線67には二次巻線67a,67bの接続点に相当するセンタータップが設けられており、このセンタータップはチョークコイル73を介して出力端子76に接続される。二次巻線67a側となる二次巻線67の一端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード71のアノードへ接続され、二次巻線67b側となる二次巻線67の他端は整流素子(回路素子)としての整流ダイオード72のアノードへ接続され、これら整流ダイオード71,72のカソードは互いに接続される。当該整流ダイオード71,72の接続点(カソード)は出力端子75へ接続される。一対の出力端子75,76間には平滑コンデンサ74が接続される。
【0051】
本第3実施例の出力回路70では、整流ダイオード71,72のカソードを互いに接続する例えば回路パターンなどからなる線路とは別に、整流ダイオード71,72のカソード同士を接続する導電性機構バー77が設けられている。すなわち、出力回路70では、整流ダイオード71,72のカソードを互いに接続する線路が並列に2本形成されている。
【0052】
図7の回路を装置した状態を模式的に概略図示したものが図8の回路図である。同図に示す構造は、従来の出力回路と略同様の組立体に導電性機構バー77を追加したものであり、トランス65を含む出力回路70の部品実装状態を示している。
【0053】
導電性機構バー77自体は、第1実施例で説明した導電性機構バー2と同様の構成とすればよく、導電性機構バー77を整流ダイオード71,72とトランス65の二次巻線67とを電気的に接続する経路に沿った状態で構成して、ループ面積を最小にするのが好ましい。
【0054】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。出力回路の回路形式は特に限定されるものではなく、当該出力回路を構成する回路素子も、整流ダイオード等の整流素子に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図2】同上、図1のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を示す回路図である。
【図3】同上、図1の出力回路部分を装置した状態の機構を示す斜視図である。
【図4】同上、図1に示す回路各部の動作波形図である。
【図5】本発明の第2実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図6】同上、図5の出力回路部分を装置した状態を模式的に示す回路図である。
【図7】本発明の第3実施例における出力回路構造を適用したハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図8】同上、図7の出力回路部分を装置した状態を模式的に示す回路図である。
【図9】従来例におけるハーフブリッジコンバータ回路を示す回路図である。
【図10】同上、図9のリーケージインダクタンスを考慮した等価回路を示す回路図である。
【図11】同上、図9の出力回路部分を装置した状態の機構を示す斜視図である。
【図12】同上、図9に示す回路各部の動作波形図である。
【符号の説明】
【0056】
1 出力回路
2 導電性機構バー(短絡線路)
4 トランス
5 一次巻線
6 二次巻線
7,8 整流ダイオード(整流素子、回路素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線と二次巻線とを磁気的に結合してなるトランスを備えた電源装置の二次側回路を構成し、前記二次巻線及び回路素子を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路を並列に設けたことを特徴とする電源装置の出力回路構造。
【請求項2】
前記短絡線路が、複数の整流素子の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられたことを特徴とする請求項1記載の電源装置の出力回路構造。
【請求項3】
前記短絡線路を少なくとも前記二次巻線に近接させて設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電源装置の出力回路構造。
【請求項4】
前記短絡線路は導電性のバー部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電源装置の出力回路構造。
【請求項1】
一次巻線と二次巻線とを磁気的に結合してなるトランスを備えた電源装置の二次側回路を構成し、前記二次巻線及び回路素子を線路で接続して形成された回路ループを有する電源装置の出力回路構造において、前記回路ループを構成する線路部分に対して短絡線路を並列に設けたことを特徴とする電源装置の出力回路構造。
【請求項2】
前記短絡線路が、複数の整流素子の出力端子同士を接続する線路部分に対して並列に設けられたことを特徴とする請求項1記載の電源装置の出力回路構造。
【請求項3】
前記短絡線路を少なくとも前記二次巻線に近接させて設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電源装置の出力回路構造。
【請求項4】
前記短絡線路は導電性のバー部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電源装置の出力回路構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−187780(P2008−187780A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17298(P2007−17298)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】
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